(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-22
(45)【発行日】2024-03-04
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20240226BHJP
【FI】
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2020044424
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】東野 亨
(72)【発明者】
【氏名】村田 謙豪
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 佑司
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-065455(JP,A)
【文献】国際公開第2014/104661(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0003471(KR,A)
【文献】特開2019-199780(JP,A)
【文献】特開2019-199789(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体に配置され、機能部品が配置される機能部と、
前記機能部に配置され、ユーザを洗浄する局部洗浄機構と、
上流側から前記局部洗浄機構に洗浄水を供給する給水路に接続され、下流側からの洗浄水の逆流を防止するとともに余剰の洗浄水の捨て水を排水するエアギャップ機構と、を備え、
前記エアギャップ機構は、前記機能部に配置される前記機能部品のうち、前記局部洗浄機構のノズル部を除く前記機能部品のいずれかの下方に配置される排水部を有し、前記排水部から前記捨て水を排水
し、
前記排水部の一部は、前記局部洗浄機構のノズル部を除く前記機能部品のいずれかと上下方向に重なる、便器装置。
【請求項2】
前記排水部は、前記機能部に配置され、前記エアギャップ機構から前記機能部の前端まで延びる排水トレーを有する、請求項1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記排水部は、上部を覆う蓋部を有する、請求項1又は2に記載の便器装置。
【請求項4】
前記排水部の上部の高さは、下流側が上流側よりも低く位置するように形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の便器装置。
【請求項5】
前記機能部品は、乾燥装置又は脱臭装置である請求項1~4のいずれか1項に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器装置に、洗浄水にてユーザの局部を洗浄する局部洗浄機構を設けたものが知られている。局部洗浄機構に洗浄水を給水する際、局部洗浄機構側から給水側へ逆流したり、捨て水と呼ばれる余剰の水を排水したりするため、エアギャップ機構が設けられる。エアギャップ機構から捨て水を排水する排水経路を、局部洗浄機構の下方に配置させた構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
局部洗浄機構は、洗浄水を吐水するため、基端側が先端側よりも高く配置されるノズル部を有する。このため、エアギャップ機構の排水経路を局部洗浄機構の下方に配置するにあたり、便器装置の高さが高くなってしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、便器本体に配置され、機能部品が配置される機能部と、前記機能部に配置され、ユーザを洗浄する局部洗浄機構と、上流側から前記局部洗浄機構に洗浄水を供給する給水路に接続され、下流側からの洗浄水の逆流を防止するとともに余剰の洗浄水の捨て水を排水するエアギャップ機構と、を備え、前記エアギャップ機構は、前記機能部に配置される前記機能部品のうち、前記局部洗浄機構のノズル部を除く前記機能部品のいずれかの下方に配置される排水部を有し、前記排水部から前記捨て水を排水する、便器装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る便器装置の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るエアギャップ機構の斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る洗浄水供給部の平面図である。
【
図6】第2実施形態に係るエアギャップ機構の斜視図である。
【
図7】第2実施形態の変形例に係るエアギャップ機構の蓋部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の便器装置1の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、便器装置1の便座21に座った人から視た場合の前後の方向を前後方向と定義する。前後方向に交差する左右を結ぶ方向を幅方向と定義する。鉛直方向に沿った上下の方向を上下方向と定義する。
【0008】
図1に示すように、便器装置1は、便器本体10と、便座21と、便蓋22と、機能部3と、局部洗浄機構4と、エアギャップ機構5(
図2参照)と、排水部6(
図2参照)と、を有する。便器装置1は、例えばトイレルーム(図示省略)に配置され、汚物を下水へ流して洗浄する水洗式の装置である。
【0009】
便器本体10は、上部が開口した便鉢部11を有する容器である。便鉢部11は、便器本体10の前方側に形成される凹部であり、下部に排水口が形成されて下水管(図示省略)と接続されている。便座21は、中央が後述する便器本体10の開口に連通するように開口した略環状で平坦な部材である。便座21は、便器本体10の上面に設置され、開閉可能に取り付けられている。便蓋22は、便座21の上に配置され、便座21と同様に開閉可能に取り付けられて、便座21及び便器本体10の凹部を覆っている。
【0010】
機能部3は、便器本体10の後方に配置され、便器装置1の機能を発揮する各種の機能部品9が配置される部分である。
図2中、手前側が便器本体10の前方Fであり、奥側が便器本体10の後方Rを示している。
図2に示すように、例えば、機能部3には、以下に説明する局部洗浄機構4、エアギャップ機構5、脱臭装置91、乾燥装置92、給水バルブ93、給水路としての給水ホース94、排水部6等、及びこれらの各機構を制御する制御部7が配置される。機能部3には、これらの機能部品9の全てが配置されていなくてもよい。機能部3には、局部洗浄機構4が配置される他に、上記例示した各種の機能部品9のいずれか一つ以上が配置されていればよい。機能部3には、これらの各機構や装置を接続し、機能部3内の機能部品9に電力を供給するための電気配線や、給水用の配管等が配置される。
【0011】
乾燥装置92は、ヒータ及び送風ファンを有する。乾燥装置92は、送風ファンで生成した風を温めて、ユーザに向けて温風を送風する装置である。乾燥装置92は、
図2に示すように、機能部3の前方側から見て幅方向の一方側に配置されている。
【0012】
脱臭装置91は、内部に吸引ファン及び塵芥フィルタを有し、便鉢部11内の空気を吸引して脱臭及び滅菌を行う装置である。脱臭装置91は、機能部3の前方側から見て幅方向の他方側に配置されている。
【0013】
給水バルブ93は、図示しない給水源から供給される洗浄水を、以下に説明する局部洗浄機構4やエアギャップ機構5へ供給する流路の基端に設けられる。給水バルブ93は、機能部3の下面に配置される。給水バルブ93は、洗浄水の止水及び給水を行う。
【0014】
給水ホース94は、一端が給水バルブ93に接続され、他端が後述するエアギャップ機構5に接続される。給水ホース94は、エアギャップ機構5を介して、上流側の給水源から局部洗浄機構4へ洗浄水を供給する管であり、給水路を構成する。
【0015】
図2に示すように、局部洗浄機構4は、機能部3の幅方向における略中央部に、便器本体10の前後方向に沿って配置される。局部洗浄機構4は、ノズル部41と、カバー42と、給水機構43とを有する。局部洗浄機構4は、便鉢部11内に洗浄水を吐出し、ユーザの局部を洗浄する装置である。
【0016】
ノズル部41は、円筒状に形成される。ノズル部41は、便鉢部11内に湯水を吐出する管である。ノズル部41は、ユーザの臀部用及びビデ用の二本の管が隣り合って配置される。ノズル部41は、後方側から前方側へ向かって下方に傾斜して取り付けられる。ノズル部41は、ユーザがリモートコントローラーで操作することにより、洗浄水の吐出の際に前方へ移動し、使用後は後退するように進退移動する。ノズル部41の先端は便鉢部11の後方上部に配置されている。ノズル部41から洗浄水が吐出され、洗浄が行われる。ノズル部41が後退している間は、ノズル部41が出し入れされる機能部3の開口を、シャッター41aが覆っている。
【0017】
カバー42は、一対のノズル部41の外面を覆うカバーである。カバー42は、機能部3の幅方向の略中央において、便器本体10の前後方向に延びるように配置されている。
【0018】
給水機構43は、ノズル部41へ供給する湯水の給水及び止水を行うバルブ、これらを駆動するモータ等を有する。給水機構43には、給水ホース94が接続される。給水機構43は、ノズル部41の後部から下方に配置されている。
【0019】
エアギャップ機構5は、給水ホース94に接続される。エアギャップ機構5は、局部洗浄機構4の上流に設けられ、給水される洗浄水の一部を局部洗浄機構4へ供給するほか、下流側の局部洗浄機構4から洗浄水が逆流することを防止するとともに、エアギャップ機構5に流入した洗浄水の余剰の捨て水を排水する機構である。エアギャップ機構5は、本体部51と、エアギャップ蓋部52と、を有する。
【0020】
図3に示すように、本体部51は、上流側から流入する洗浄水を貯水可能な容器により構成される。本体部51は、開口部511と、底部512と、流出口513と、排水口514と、を有する。開口部511は、本体部51の上方が開放されることで形成されている。底部512は、開口部511に対向する面である。底部512には、段差512aが形成されている。本体部51の下端に広がる面が下端面512bである。下端面512bから段差512aを介して上方にずれた位置に、すなわち下端面512bより高く開口部511よりも低い位置に、逆流を防止するためのオーバーフロー面512cが形成されている。
【0021】
流出口513は、洗浄水を局部洗浄機構4へ供給する給水ホース94へ接続される開口であり、本体部51の底部512に設けられる。流出口513は、底部512の下端面512bに形成されている。
図3に示すように、流出口513は、下端面512bから筒状に下方へ延出している。流出口513からは、給水ホース94が機能部3の下方を回ってポンプ(図示省略)へ接続される。
【0022】
排水口514は、捨て水を流す開口であり、底部512のオーバーフロー面512cに連続するように形成される。排水口514は、上流側から供給される洗浄水が、流出口513から出るよりも多く余った場合に排水される開口である。排水口514は、下端面512bよりも上方に位置するオーバーフロー面512cから連続して形成されているので、洗浄水が本体部51内に溜まって水位が上がった際や、流出口513から逆流した場合に、本体部51の上端へ行きつくことなく排水口514から排水されることで、本体部51から洗浄水が溢れることが防止される。
【0023】
エアギャップ蓋部52は、第1エアギャップ蓋部521と、第2エアギャップ蓋部522と、を有する。第1エアギャップ蓋部521は、本体部51の上部に形成された開口部511を覆う部材であり、第1蓋部平面部523と、洗浄水供給部524と、を有する。第1蓋部平面部523は、本体部51における第1エアギャップ蓋部521と合わさっている部分の輪郭に合った輪郭を有する平面状の部材により構成される。
【0024】
洗浄水供給部524は、
図4に示すように、第1蓋部平面部523の中央側を一端として、第1蓋部平面部523の外側へ向けて延びる略長円形の領域であり、第1蓋部平面部523から起立する低い側壁524aによって囲われている。側壁524aは、外側と内側と二重に形成されており、洗浄水供給部524は、平面部525と、流入口526と、吐水口527と、整流部528と、を有する。
【0025】
平面部525は、側壁524aによって囲われた領域の面である。平面部525には、第1蓋部平面部523の外側に近い第1側525aより、第1蓋部平面部523の中央側に近い第2側525bの方が低くなるように排水勾配が形成されている。第1側525aが上流側であり、第2側525bが下流側である。平面部525は、第2側525bで幅が広く、第1側525aで幅が狭くなっている。
【0026】
流入口526は、第1エアギャップ蓋部521に設けられ、より詳細には、洗浄水供給部524における第1側525aに形成される。流入口526は、平面部525の第1側525aから下方に延びる円筒状の流入円筒部5260に形成される。流入円筒部5260には、給水バルブ93から延びる給水ホース94が取り付けられ、流入口526は、本体部51における後述する吐水口527に向けて洗浄水を流入させる。
【0027】
吐水口527は、本体部51の上方に設けられ、第1蓋部平面部523の第2側525bに形成される。吐水口527は、流入口526から下流方向に離れた位置に配置される。吐水口527は、第2側525bから下方へ向かって、本体部51への吐水方向に延びる筒状に形成される吐水筒部5270(
図5参照)を有する。吐水筒部5270は、エアギャップ機構5の上下方向に延びており、吐水筒部5270の下端は、本体部51内に位置している。
図3の太線の矢印に示すように、流入口526から供給される洗浄水は、平面部525の排水勾配に沿って流れる。吐水口527は、破線の矢印に示すように流入した洗浄水を、吐水筒部5270を通過して本体部51の内部へ向けて吐水する。
【0028】
図5に示すように、第1蓋部平面部523から吐水筒部5270へ連続する吐水口527上部の内周面は、R形状の曲面527rになっている。吐水口527は、流入口526よりも径が大きい。吐水口527の開口面積は、流入口526の開口面積よりも大きい。吐水口527の開口面積とは、以下に説明する整流部528のリブ部5281を除いた略円形の面積のことを言う。これにより、吐水口527を流れる洗浄水の流速を低下させ、吐水時の飛び跳ねを抑制することができる。
【0029】
整流部528は、上流側から吐水口527へ向かって流入し、本体部51へ流下する洗浄水の流れを整流する部分である。洗浄水供給部524において、流入口526から吐水口527までの間には一定の幅があるため、ここを通過して吐水口527へ流入後、洗浄水の供給量や流速によっては流れが乱れる場合がある。整流部528は、吐水口527から本体部51の内部へ向かう洗浄水の流れを、吐水口527から本体部51へ流下する上下方向の流れに対して交差する方向、すなわち上下方向を縦方向とすると横方向への乱れを抑制するように整流する。整流部528は、吐水口527に設けられ、リブ部5281と、膨張部5282と、を有する。
【0030】
リブ部5281は、吐水口527に形成される。リブ部5281は
図3~
図5に示すように、吐水筒部5270の外周側から吐水口527の中心側に向かって延びる薄い板状に形成された部分である。リブ部5281は、吐水口527から本体部51へ流下する洗浄水の流れ方向に沿って形成される。
図5に示すように、エアギャップ機構5の断面視において、リブ部5281は、吐水筒部5270の内壁の一部と、この内壁に向かい合うリブ部5281の側面との間の距離Dが、下流に向かうにしたがって近づくように形成されている。リブ部5281は、吐水する空間が下流に向かうにしたがって小さくなるように傾斜している。よって、リブ部5281自体の断面は、上流側から下流側に向かうにしたがって厚くなっている。リブ部5281は、吐水口527より上流側へ突出し、吐水口527の外周縁を越えて上方へ延びる突出部5283を有する。
【0031】
膨張部5282は、リブ部5281の自由端側に形成される。膨張部5282は、リブ部5281の基端側から自由端側へ延びる板面の厚さ寸法よりも大きな寸法の外径を有して膨らむ略円形の曲面である。膨張部5282は、リブ部5281の上端から下端まで形成される。膨張部5282は、完全な円ではなく、外周の一部がリブ部5281に接続されているため、リブ部5281と接続された部分で円の外周は途切れている。略円形とは、途切れた部分を含めて想定できる円形を含む概念である。
【0032】
第2エアギャップ蓋部522は、
図3に示すように、第1エアギャップ蓋部521の平面部525の上を覆う平坦な蓋である。第2エアギャップ蓋部522の下面には、洗浄水供給部524を区画する二重の側壁524aの間に嵌まる縁部522aが下方に向かって突出しており、この縁部522aを二重の側壁524aの間に嵌めることで、第2エアギャップ蓋部522が第1エアギャップ蓋部521に取り付けられる。側壁524aに高さがあることから、吐水口527から上方に突出する整流部528を内部に配置しても、第2エアギャップ蓋部522は第1エアギャップ蓋部521に取り付けることができる。
【0033】
図5に示すように、第2エアギャップ蓋部522で洗浄水供給部524の上を覆った状態で、第1エアギャップ蓋部521の平面部525と第2エアギャップ蓋部522の下面との間に空間Sが形成され、この空間S内に洗浄水が供給される。
【0034】
排水部6は、排水トレー61と、本開示の蓋部としてのトレー蓋部62と、を有する。排水部6は、乾燥装置92の下方に配置される。
【0035】
排水トレー61は、機能部3に配置され、エアギャップ機構5から機能部3の前端まで延びる細長く浅い、上部の開口した容器である。排水トレー61は、便器本体10の前後方向に沿って延び、縦長の底面611と、底面611の周囲に起立する側壁612とを有する。排水トレー61の後端側は、エアギャップ機構5の排水口514の下方に位置する。排水トレー61の前端側は、側壁612を有さずに、機能部3の前端に配置されている。排水トレー61には、後端側を上流とし、前端側と下流とした排水勾配が形成されている。排水勾配は、後端側を上流とし、前端側を下流とした勾配である。排水トレー61は、エアギャップ機構5から排水される捨て水を排水する。
図3に示すように、排水トレー61は、下流側が上流側よりも低く位置するように段差613が形成されている。
【0036】
トレー蓋部62は、排水トレー61の上部の開口を覆う平坦な部材である。トレー蓋部62は、
図3に示すように、排水トレー61におけるエアギャップ機構5の排水口514の下側から、段差613を超えて段差613の前方までの範囲を覆っている。トレー蓋部62は、前端側に段差623が形成され、排水トレー61の段差613を含む前端側を覆っている。これにより、排水部6の上部の高さが、下流側が上流側よりも低く位置するように形成される。
【0037】
トレー蓋部62は、幅方向の両側から下垂する係止面621を有する。係止面621には、中央に貫通した係止孔622が形成されている。排水トレー61の側壁612の外側から突出する係止突起614に係止孔622を係止させることで、トレー蓋部62が排水トレー61に係止される。
【0038】
第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。便器装置1を便器本体10に配置され、機能部品9が配置される機能部3と、機能部3に配置され、ユーザを洗浄する局部洗浄機構4と、上流側から局部洗浄機構4に洗浄水を供給する給水ホース94に接続され、下流側からの洗浄水の逆流を防止するとともに余剰の洗浄水の捨て水を排水するエアギャップ機構5と、を含んで構成した。エアギャップ機構5を、機能部3に配置される機能部品9のうち、局部洗浄機構4のノズル部41を除く機能部品9のいずれかの下方に配置される排水部6を含んで構成し、排水部6から捨て水を排水させた。局部洗浄機構4は洗浄水をユーザに向かって吐水するために、ノズル部41を便器本体10の後方から前方に受かって、上方から下方へ傾斜させる必要があり、局部洗浄機構4以外の機能部品9よりも多く高さ寸法が必要となる。排水部6を、局部洗浄機構4のノズル部41以外の機能部品9の下方に配置することで、機能部3の高さ寸法を大きくせずに、かつ、排水部6のみの空間を占めることなく、配置することができる。よって、高さを抑え機能部3を省スペース化し、幅を小さく設計することが可能になる。
【0039】
第1実施形態によれば、排水部6を、機能部3に配置され、エアギャップ機構5から機能部3の前端まで延びる排水トレー61を含んで構成した。エアギャップ機構5からの排水を、直接機能部3に流さずに排水トレー61で受け止めることで、排水を前方向に確実に流すことができる。このため、機能部3の不要な箇所が濡れることを防止できる。
【0040】
第1実施形態によれば、排水部6を、上部を覆うトレー蓋部62を含んで構成した。これにより、排水トレー61を流れる水の飛沫が跳ねるようなことがあっても、上部に配置した乾燥装置92等の機能部品9が濡れることを防止することができる。
【0041】
第1実施形態によれば、排水部6の上部の高さ、具体的にはトレー蓋部62の上面の高さを、下流側が上流側よりも低く位置するように形成した。これにより、排水部6の下流側の高さ寸法を小さくすることができ、スペースが狭い機能部3の前端側を有効に活用することができる。
【0042】
第1実施形態によれば、機能部品9を、乾燥装置92又は脱臭装置91により構成した。乾燥装置92又は脱臭装置91の下方に排水部6を配置することで、機能部3の省スぺース化を効率的に図ることができる。
【0043】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本開示に含まれる。上記の実施形態では、排水部6は、乾燥装置92の下方に配置されている。排水部6は、脱臭装置91の下方に配置されていてもよい。排水部6は、機能部3に配置される機能部品9のうち、局部洗浄機構4のノズル部41を除く機能部品9のいずれかの下方に配置されていればよい。
【0044】
排水部6は排水トレー61を含むことを例示した。しかし、排水部6を機能部3のベースプレートで形成してもよい。ベースプレートとは、機能部品9を支持する平面を有する部材である。排水部6をベースプレートの一部を成型してトレーの形状としてもよい。
【0045】
図6は、第2実施形態に係るエアギャップ機構5Aの斜視図である。第2実施形態以降の説明において、第1実施形態と共通する構成については説明を省略し、図面及び説明において同じ符号を用いる。第2実施形態に係るエアギャップ機構5Aは、エアギャップ蓋部52の第1エアギャップ蓋部521が本体部51の開口部511の全てを覆っていない。エアギャップ蓋部52Aは、本体部51の上部に形成される開口部511の少なくとも一部を覆っていればよい。エアギャップ蓋部52Aによって覆われていない開口部511に、他の機能部品が位置していてもよい。
【0046】
エアギャップ蓋部52Aの第1エアギャップ蓋部521Aは、第1蓋部平面部523の外縁から下垂し、本体部51Aの側面に沿って延びる係止面523aと、係止面523aに形成される係止孔523bを有する。本体部51Aの側面には、係止孔523bに係止可能な突起51aが形成され、突起51aが係止孔523bに係止することで、エアギャップ蓋部52Aが本体部51Aに取り付けられている。
【0047】
図7は、第2実施形態の変形例に係るエアギャップ機構5Bのエアギャップ蓋部52Bにおける第1蓋部521Bの斜視図である。
図7に示すように、リブ部5281Bは、吐水口527の外周縁から中心側へ向かって突出する複数の凸部により構成されてよい。変形例に係るリブ部5281Bの基端から自由端側までの長さは、第1実施形態に係るリブ部5281の長さよりも短い。変形例では、リブ部5281は、吐水口527の外周縁から4か所、略90度の間隔を空けて形成されている。変形例によれば、吐水口527の外周側から中心側へ向かうように洗浄水を整流することができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
以上の実施形態は、適宜組み合わせてよい。例えば、第2実施形態の変形例に係るリブ部5281Bが、第1実施形態の吐水口527に設けられてもよい。例えば、第2実施形態の変形例に係るリブ部5281Bの自由端に、膨張部5282が設けられていてもよい。洗浄水供給部の形状は、限定されない。吐水筒部5270を、円筒形として例示した。しかし、筒状であれば方形筒状であってもよい。外周の形状は限定されない。
【符号の説明】
【0049】
1 便器装置、 3 機能部、 4 局部洗浄機構、 5 エアギャップ機構、 6 排水部、9 機能部品、 10 便器本体、 ノズル部41、 62 トレー蓋部(蓋部)、 94 給水ホース(給水路)、91 脱臭装置、92 乾燥装置