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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-27
(45)【発行日】2024-03-06
(54)【発明の名称】局部洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20240228BHJP
【FI】
E03D9/08 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020040585
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021143460
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上原 一人
(72)【発明者】
【氏名】片山 透
(72)【発明者】
【氏名】薬袋 賢一
【審査官】川村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0053768(KR,A)
【文献】特開2019-148083(JP,A)
【文献】特開2002-294821(JP,A)
【文献】国際公開第2013/020240(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3137802(JP,U)
【文献】特開平02-154854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の局部を洗浄するノズルユニットを備える局部洗浄装置であって、
前記ノズルユニットは、
外周面に螺旋溝を有するねじ軸と、
前記ねじ軸を回転させるモータと、
前記ねじ軸と平行に配置され、先端部に洗浄水を噴出する噴出孔を有すると共に、後端部に前記ねじ軸の螺旋溝に嵌合して該ねじ軸の回転に伴って進退するスライド部材を有するノズルと、
前記ノズルの外周面の少なくとも一部を覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは、所定の間隔をおいて互いに対向すると共に前記ノズルの進退方向に沿って延在し、前記スライド部材が嵌合した状態で前記ノズルの回転を規制しつつ前記スライド部材を摺動自在にガイドする一対のガイド壁を有し、
前記ねじ軸は、前記一対のガイド壁の間に配置され、
前記スライド部材は、前記ねじ軸が貫通して螺合するねじ孔を有する、
局部洗浄装置。
【請求項2】
人体の局部を洗浄するノズルユニットを備える局部洗浄装置であって、
前記ノズルユニットは、
外周面に螺旋溝を有するねじ軸と、
前記ねじ軸を回転させるモータと、
前記ねじ軸と平行に配置され、先端部に洗浄水を噴出する噴出孔を有すると共に、後端部に前記ねじ軸の螺旋溝に嵌合して該ねじ軸の回転に伴って進退するスライド部材を有するノズルと、
前記ノズルの外周面の少なくとも一部を覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは、所定の間隔をおいて互いに対向すると共に前記ノズルの進退方向に沿って延在し、前記スライド部材が嵌合した状態で前記ノズルの回転を規制しつつ前記スライド部材を摺動自在にガイドする一対のガイド壁を有し、
前記ねじ軸は、前記一対のガイド壁の間に配置されると共に前記ノズルの下方に配置される、
局部洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の局部洗浄装置であって、
前記ノズルは、周方向に平坦面と曲面とを含む筒状体であり、
前記ねじ軸は、前記ノズルの前記平坦面側に配置される、
局部洗浄装置。
【請求項4】
請求項1ないしいずれか1項に記載の局部洗浄装置であって、
前記ノズルは、前方に向かって斜め下方に傾斜するように配置され、
前記カバーは、少なくとも前記ノズルの底面を覆うように構成され、先端部において、内部に侵入した水を排出するための排水孔を有する、
局部洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の局部洗浄装置としては、内周面に螺旋溝が形成されると共に両端が開口した筒状のシリンダと、シリンダを包囲すると共にシリンダを回転自在に支持するケースと、シリンダの後端部にシリンダと同軸かつ一体に回転するように設けられた外歯ギヤと、外歯ギヤを回転させるモータと、シリンダに包囲され先端部に洗浄水を噴出するノズル孔を有すると共に後端部にシリンダの螺旋溝と嵌合するボールが転動自在に保持されたノズルと、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。ノズルは、モータにより外歯ギヤを回転駆動してシリンダを回転させることにより、ボールが螺旋溝に沿って相対移動することで、前後に進退する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-148086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した局部洗浄装置は、ノズルとノズルを包囲するシリンダとシリンダを包囲するケースとにより構成されるため、積み上げ公差が大きくなり、製造が困難となる。また、ケースの体格が大きくならざるを得ず、装置全体が大型化してしまう。
【0005】
本発明の局部洗浄装置は、積み上げ公差を小さくすると共に小型化することが可能な局部洗浄装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の局部洗浄装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の局部洗浄装置は、
人体の局部を洗浄するノズルユニットを備える局部洗浄装置であって、
前記ノズルユニットは、
外周面に螺旋溝を有するねじ軸と、
前記ねじ軸を回転させるモータと、
前記ねじ軸と平行に配置され、先端部に洗浄水を噴出する噴出孔を有すると共に、後端部に前記ねじ軸の螺旋溝に嵌合して該ねじ軸の回転に伴って進退するスライド部材を有するノズルと、
前記ノズルの外周面の少なくとも一部を覆うカバーと、
を備え、
前記カバーは、所定の間隔をおいて互いに対向すると共に前記ノズルの進退方向に沿って延在し、前記スライド部材が嵌合した状態で前記ノズルの回転を規制しつつ前記スライド部材を摺動自在にガイドする一対のガイド壁を有し、
前記ねじ軸は、前記一対のガイド壁の間に配置される、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の局部洗浄装置が備えるノズルユニットは、外周面に螺旋溝が形成されたねじ軸と、ねじ軸を回転させるモータと、ねじ軸に平行に配置され後端部にスライド部材を有するノズルと、ノズルの外周面の少なくとも一部を覆うカバーと、を有する。ノズルは、スライド部材がねじ軸の螺旋溝に嵌合してねじ軸の回転に伴って進退することで、進退する。カバーは、所定の間隔をおいて互いに対向すると共にノズルの進退方向に沿って延在し、スライド部材が嵌合した状態でノズルの回転を規制しつつスライド部材を摺動自在にガイドする一対のガイド壁を有する。ねじ軸は、一対のガイド壁の間に配置される。ノズルとねじ軸とは平行に配置されるため、内周面に螺旋溝が形成したシリンダでノズルを包囲すると共にノズルの後端部に螺旋溝と嵌合する嵌合部を設けるものに比して、積み上げ公差を小さくすることができる。また、ねじ軸は一対のガイド壁の間に配置されるため、ねじ軸を配置するためのスペースを別途設ける必要がなく、装置の小型化を図ることができる。この結果、積み上げ公差を小さくすると共に小型化することが可能な局部洗浄装置とすることができる。
【0009】
こうした本発明の局部洗浄装置において、前記スライド部材は、前記ねじ軸が貫通して螺合するねじ孔を有するものとしてもよい。こうすれば、スライド部材をよりスムーズに進退させることができる。
【0010】
また、本発明の局部洗浄装置において、前記ノズルは、周方向に平坦面と曲面とを含む筒状体であり、前記ねじ軸は、前記ノズルの前記平坦面側に配置されるものとしてもよい。こうすれば、装置全体を一層小型化することができる。
【0011】
さらに、本発明の局部洗浄装置において、前記ねじ軸は、前記ノズルの下方に配置されるものとしてもよい。こうすれば、2つのノズルを左右方向に並べて配置して局部洗浄装置を構成する際に、ねじ軸が左右方向に干渉しないため、2つのノズルを平行に近づけて配置することが可能となる。
【0012】
また、本発明の局部洗浄装置において、前記ノズルは、前方に向かって斜め下方に傾斜するように配置され、前記カバーは、少なくとも前記ノズルの底面を覆うように構成され、先端部において、内部に侵入した水を排出するための排水孔を有するものとしてもよい。こうすれば、カバー内部に侵入した水を効果的に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態の局部洗浄装置を含む衛生洗浄便座装置が取り付けられた便器の外観斜視図である。
図2】局部洗浄装置に含まれるノズルユニットの外観斜視図である。
図3】ノズルユニットの分解斜視図である。
図4】ノズルユニットの正面図である。
図5】ノズルユニットの断面図である。
図6図5のA-A断面図である。
図7】変形例のノズルユニットの外観図である。
図8】変形例のノズルユニットの外観図である。
図9】変形例のノズルユニットの外観図である。
図10】変形例のノズルユニットの分解斜視図である。
図11図10のノズルの側面図である。
図12図11のB-B断面図である。
図13】変形例のノズルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は本実施形態の局部洗浄装置を含む衛生洗浄便座装置が取り付けられた便器の外観斜視図であり、図2は局部洗浄装置に含まれるノズルユニットの外観斜視図であり、図3はノズルユニットの分解斜視図であり、図4はノズルユニットの正面図であり、図5はノズルユニットの断面図であり、図6は、図5のA-A断面図である。便器1は、洋式便器であり、便器1の上面には、衛生洗浄便座装置10が設置されている。衛生洗浄便座装置10は、図1に示すように、便器1の後方に設置される便座装置本体12と、便座装置本体12に回動自在に支持された便座14と、便座装置本体12に回動自在に支持された便蓋16と、使用者により操作される操作パネル18と、を備える。
【0016】
便座装置本体12は、給水管(水道配管)に接続された洗浄水流路、止水弁、熱交換ユニット、洗浄の強さを調整する脈動ポンプ、洗浄水を噴出するノズルユニット20(図2参照)、切替バルブなどを含む局部洗浄装置を備えており、これらは樹脂製のハウジング内に収容されている。熱交換ユニットは、水タンクやヒータ、温度センサが設けられ、給水管からの水をヒータによって温水にする。
【0017】
また、便座装置本体12は、衛生洗浄便座装置10を制御する図示しない制御装置を備える。制御装置は、操作パネル18や着座センサ13(図1参照)、水タンクの温度センサなどからの信号に基づいて、水タンク内のヒータや脈動ポンプ、ノズルユニット20、切替バルブを制御する。操作パネル18には、図示しないが、おしり洗浄を指示するおしり用洗浄スイッチやビデ洗浄を指示するビデ用洗浄スイッチ、洗浄の強さを調整するための洗浄強さ調整スイッチ、洗浄の停止を指示する停止スイッチなどが設けられている。
【0018】
ノズルユニット20は、図3に示すように、ノズル30やモータ40、ねじ軸45、カバー50等を備える。
【0019】
ノズル30は、便器1の中央に対して斜め下方に傾斜するように配置され、洗浄位置と収容位置との間で前後に進退移動すると共に洗浄位置において便座14に着座する人体の局部に洗浄水を噴出可能に構成される。このノズル30は、後端が開口すると共に先端部に2つのノズル孔31a,31bが形成された筒状のノズル本体31と、ノズル本体31の後端部に固定されたスライド部材35と、を備える。本実施形態では、ノズル孔31aは、おしり洗浄用のノズル孔として構成され、ノズル孔31bは、ビデ洗浄用のノズル孔として構成される。ノズル本体31の内部には、図3に示すように、2本の洗浄水配管32a,32bが設けられている。洗浄水配管32aの一端はノズル孔31aと連通され、洗浄水配管32aの他端には、切替バルブに接続される給水配管33aが水密かつノズル本体31の進退移動に伴って相対移動するように挿通されている。また、洗浄水配管32bの一端はノズル孔31bと連通され、洗浄水配管32bの他端には、切替バルブに接続される給水配管33bが水密かつノズル本体31の進退移動に伴って相対移動するように挿通されている。切替バルブは、脈動ポンプよりも下流の洗浄水流路の洗浄水の供給先を複数のノズル孔31a,31bのいずれから噴出させるかを切り替えるものであり、例えば、モータにより駆動されるロータリバルブとして構成される。
【0020】
また、ノズル本体31は、図4に示すように、底面が平坦面により形成されると共に上面と側面とが曲面により形成された非円形状(略半円形状)の横断面を有する筒状体として構成される。本実施形態では、ノズル本体31の上面は、その側面よりも大きい曲率半径の曲面により形成されている。なお、ノズル本体31の上面は、その側面と同じ曲率半径の曲面により形成されてもよいし、平坦面により形成されてもよい。ノズル本体31の底面側、すなわちノズル本体31の下方には、外周面に一条または複数条のねじ溝(螺旋溝)を有するねじ軸45がノズル本体31と平行に配置されている(図5参照)。
【0021】
スライド部材35は、図5に示すように、ノズル本体31の後端において下方に突出するようにノズル本体31に固定されている。スライド部材35は、図6に示すように、ねじ軸45が貫通して螺合するよう内周面にねじ軸45のねじ溝に嵌合するねじ山が形成されたねじ孔35aを有しており、ねじ軸45が回転することによりねじ軸45の延在方向に沿って進退移動する。スライド部材35は、ノズル本体31に固定されているから、ノズル本体31は、スライド部材35が進退移動することにより進退移動する。
【0022】
モータ40は、ねじ軸45を回転駆動するものであり、カバー50(下カバー52)に固定される。モータ40の回転軸40aは、図5に示すように、ねじ軸45と平行に配置され、当該回転軸40aには、駆動ギヤ41が固定されている。駆動ギヤ41は、ねじ軸45の他端部に同軸に固定された回転ギヤ42と噛合する。これにより、ねじ軸45は、モータ40により回転させられる。
【0023】
カバー50は、前端が開口すると共にノズル30を包囲して当該ノズル30を進退自在に支持するものであり、図3に示すように、上カバー51と下カバー52と後カバー53とを有する。上カバー51および下カバー52は、半円筒状の部材であり、周方向における端面同士が重ね合わせられて係合されることにより円筒状に形成される。下カバー52には、ねじ軸45の一端45aを回転自在に支持する軸受け部材61が取り付けられる取付孔52aが形成され、後カバー53には、ねじ軸45の他端45bを回転自在に支持する軸受け部材62が取り付けられる取付孔53aが形成されている。これにより、ねじ軸45は、軸受け部材61,62を介して下カバー52および後カバー53により回転自在に支持される。
【0024】
下カバー52の底部には、図5および図6に示すように、スライド部材35の進退移動をガイドするガイド溝521が形成されている。ガイド溝521は、本実施形態では、ノズル30の進退方向に沿って延在する凹条であり、その一対の側壁521a,521bには、スライド部材35が摺動自在に嵌合される。これにより、ガイド溝521は、ノズル30の回転を規制しつつノズル30を進退自在にガイドする。また、下カバー52の先端部には、図5に示すように、カバー50(下カバー52)内に浸入した水をカバー50外へ排出するための排水孔(開口)521cが形成されている。
【0025】
また、上述したように、ノズル本体31は、平坦な底面を有し、ねじ軸45は、ノズル本体31の底面側を覆う下カバー52に形成されたガイド溝521に収容さされる。すなわち、ねじ軸45は、ガイド溝521の一対の側壁521a,521bの間に配置される。これにより、下カバー52を大型化することなく、下カバー52のガイド溝521にねじ軸45を収容するための十分なスペースを確保することができるため、ノズルユニット20をよりコンパクトにすることができる。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態の衛生洗浄便座装置10(局部洗浄装置のノズルユニット20)の動作について説明する。衛生洗浄便座装置10の制御装置は、着座センサ13により使用者が便座14に着座していると判定し、かつ、操作パネル18のおしり用洗浄スイッチが押下されたと判定すると、モータ40により駆動ギヤ41と噛合する回転ギヤ42を回転させて、ねじ軸45を回転させる。ねじ軸45が回転すると、ノズル本体31に固定されたスライド部材35(ねじ孔35a)がねじ軸45の外周面に形成された螺旋溝に沿って相対的に移動し、ノズル30はおしり洗浄用の洗浄位置に向かって進出する。ノズル30が洗浄位置に到達すると、制御装置は、ノズル30のノズル孔31aに脈動ポンプからの洗浄水が給水配管33aを介して供給されるよう切替バルブ(モータ)を制御する。これにより、ノズル孔31aから人体の肛門部に向かって洗浄水が噴出され、おしり洗浄が開始される。制御装置は、操作パネル18の停止スイッチが押下されて、おしり洗浄の停止が指示されると、ノズル30への給水を停止する。そして、モータ40により回転ギヤ42を逆回転させて、ノズル30を収容位置に向かって後退させ、カバー50内に収容させる。
【0027】
また、制御装置は、着座センサ13により使用者が便座14に着座していると判定し、かつ、操作パネル18のビデ用洗浄スイッチが押下されたと判定すると、モータ40により駆動ギヤ41と噛合する回転ギヤ42を回転させ、ノズル30をビデ洗浄用の洗浄位置に向かって進出させる。ノズル30が洗浄位置に到達すると、制御装置は、ノズル30のノズル孔31bに脈動ポンプからの洗浄水が給水配管33bを介して供給されるよう切替バルブ(モータ)を制御する。これにより、ノズル孔31bから人体のビデ部に向かって洗浄水が噴出され、ビデ洗浄が開始される。制御装置は、操作パネル18の停止スイッチが押下されて、ビデ洗浄の停止が指示されると、ノズル30への給水を停止する。そして、モータ40により回転ギヤ42を逆回転させて、ノズル30を収容位置に向かって後退させ、カバー50内に収容させる。
【0028】
以上説明した本実施形態の局部洗浄装置では、外周面に螺旋溝が形成されたねじ軸45と、ねじ軸45を回転させるモータ40と、ねじ軸45と平行に配置され後端部にスライド部材35を有するノズル30と、ノズル30を包囲するカバー50と、を有し、ノズル30は、スライド部材35がねじ軸45の螺旋溝に嵌合してねじ軸45の回転に伴って進退移動することで、進退移動する。カバー50は、所定の間隔をおいて互いに対向すると共にノズル30の進退方向に沿って延在し、スライド部材35が嵌合した状態でノズル30の回転を規制しつつスライド部材35を摺動自在にガイドするガイド溝521を有する。ねじ軸45は、ガイド溝521における一対の側壁521a,521bの間に配置される。ノズル30とねじ軸45とは平行に配置されるため、内周面に螺旋溝が形成したシリンダでノズルを包囲すると共にノズルの後端部に螺旋溝と嵌合する嵌合部を設けるものに比して、積み上げ公差を小さくすることができる。また、ねじ軸45はガイド溝521内に収容されるため、ねじ軸45を収容するためのスペースを別途設ける必要がなく、装置の小型化を図ることができる。この結果、積み上げ公差を小さくすると共に小型化することが可能な局部洗浄装置とすることができる。
【0029】
上述した実施形態では、ノズル本体31は、周方向に平坦面と曲面とを含む筒状に形成されるものとしたが、円筒状に形成されてもよい。
【0030】
上述した実施形態では、ノズルユニット20のノズル30が有する複数のノズル孔31a,31bを、それぞれおしり洗浄用とビデ洗浄用として用いるものとしたが、それぞれおしりパワフル洗浄用とおしりマイルド洗浄用として用いてもよい。また、図7の変形例のノズルユニット120に示すように、それぞれ用途が異なる複数のノズル30を左右に並べて配置するものとしてもよい。この場合、実施形態のノズルユニット20のように、ねじ軸やねじ軸を回転させるモータをノズル本体の下方に配置することにより、各ノズルのカバーを共用化することも可能となり、ノズルユニット120の製造コストをより低減させることができる。また、2つのノズル30を左右に並べて配置する際に、ねじ軸やモータが左右方向に干渉しないため、2つのノズル30を平行に近づけることができる。これにより、ノズルユニット120を左右方向にコンパクトにすると共にノズル30からの洗浄水の噴出方向を適切にすることができる。
【0031】
上述した実施形態では、ノズル30は、便器1の中央に向かって斜め下方に傾斜し、下カバー52には、その先端部において開口する排水孔521cが形成されるものとしたが、こうした開口を有しないものとしてもよい。
【0032】
上述した実施形態では、ガイド溝521は、ノズル30の進退方向に沿って延在する凹条により形成されたが、例えば一対のレールとするなど、所定の間隔をおいて互いに対向すると共にノズル30の進退方向に沿って延在する一対のガイド壁を備えるものであればよい。
【0033】
上述した実施形態では、スライド部材35は、ねじ軸45が貫通して螺合するねじ孔35aを有するものとしたが、例えば突起など、ねじ軸45の螺旋溝に嵌合してねじ軸45の回転に伴って螺旋溝に沿って相対移動が可能なものであれば、如何なるものであってもよい。
【0034】
上述した実施形態では、カバー50は、ノズル30の外周面を包囲するように上カバー51と下カバー52とを備えるものとしたが、図8の変形例のノズルユニット210に示すように、上カバー51を備えないものとしてもよい。
【0035】
上述した実施形態では、ねじ軸45は、ノズル30の下方に配置されるものとしたが、図9の変形例のノズルユニット320に示すように、ノズル30に対して左右方向に隣接するように配置されてもよい。また、ねじ軸45は、ノズル30に対して上方に隣接するように配置されてもい。
【0036】
上述した実施形態では、ノズル本体31は、一端がノズル孔31a,31bと連通すると共に、他端側から切替バルブに接続された給水配管33a,33bが水密に挿通された洗浄水配管32a,32bを備えるものとした。しかし、図10の変形例のノズルユニット420に示すように、ノズル430は、切替バルブに接続された給水ホース432a,432bを介して洗浄水の供給を受けてノズル孔431a,431bから噴出するように構成されてもよい。このノズル430は、図10図12に示すように、ノズル本体431と、給水ホース432a,432bと、継手433と、止水栓437と、を備える。ノズル本体431の内部には、内筒435が挿通されている。内筒435の内周面により囲まれる空間は、給水ホース432aから供給される洗浄水をノズル孔431aへ導く洗浄水流路436aをなし、ノズル本体431の内周面と内筒435の外周面とにより囲まれる空間は、給水ホース432bから供給される洗浄水をノズル孔431bへ導く環状の洗浄水流路436bをなす。継手433には、給水ホース432a,432bの一端が接続され、継手433の内部には、給水ホース432a,432bからの洗浄水を対応する洗浄水流路436a,436bに供給するための給水路434a,434bが形成されている。止水栓437は、ノズル本体431の後端に取り付けられ、給水路434aから洗浄水流路436aへの洗浄水の流通を許容すると共に、給水路434bから洗浄水流路436aへの洗浄水の流通を禁止する。ノズル本体431を覆うカバー(上カバー451)には、図10に示すように、継手433を当該カバーから露出させると共に当該継手433がノズル本体431の進退に伴って進退するように進退方向に延在する開口451が形成されている。なお、変形例のノズル430では、ノズル本体431は、2つのノズル孔431a,431bを備えたが、1つのノズル孔のみを備えてもよい。この場合、図13に示すように、ノズル本体1431の内部には、洗浄水をノズル孔へ導く1つの洗浄水流路1436が形成され、ノズル本体1431の後端には、当該後端の開口を塞ぐように止水栓1437が取り付けられる。また、継手1433には、切替バルブに接続される図示しない1つの給水ホースが接続され、継手1433の内部には、当該1つの給水ホースからの洗浄水をノズル本体1431の洗浄水流路1436へ導く1つの給水路1434が形成される。
【0037】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、ノズルユニット20,120,220,320,420が「ノズルユニット」に相当し、ねじ軸45が「ねじ軸」に相当し、スライド部材35が「スライド部材」に相当し、ノズル30が「ノズル」に相当し、カバー50(上カバー51,下カバー52)が「カバー」に相当し、ガイド溝521の一対の側壁521a,521bが「一対のガイド壁」に相当する。また、ねじ孔35aが「ねじ孔」に相当する。また、排水孔521cが「排水孔」に相当する。
【0038】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0039】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、局部洗浄装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 便器、10 衛生洗浄便座装置、12 便座装置本体、13 着座センサ、14 便座、16 便蓋、18 操作パネル、20,120,220,320,420 ノズルユニット、30,430 ノズル、31,431 ノズル本体、31a,31b,431a,431b ノズル孔、32a,32b 洗浄水配管、33a,33b 給水配管、35 スライド部材、35a ねじ孔、40 モータ、40a 回転軸、41 駆動ギヤ、42 回転ギヤ、45 ねじ軸、45a 一端、45b 他端、50 カバー、51 上カバー、52 下カバー、52a 取付孔、53 後カバー、53a 取付孔、61,62 軸受け部材、432a,432b 給水ホース、433,1433 継手、434a,434b,1434 給水路、435 内筒、436a,436b,1436 洗浄水流路、437,1437 止水栓、521 ガイド溝、521a,521b 側壁、521c 排水孔。
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