(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-28
(45)【発行日】2024-03-07
(54)【発明の名称】小型二次電池の搬送トレイ及びその搬送方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/256 20210101AFI20240229BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20240229BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20240229BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20240229BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20240229BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240229BHJP
【FI】
H01M50/256
H01M50/204 301
H01M50/289
H01M50/291
H01M50/543
H01M10/04 Z
(21)【出願番号】P 2020043103
(22)【出願日】2020-03-12
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】松永 哲也
(72)【発明者】
【氏名】中野 剛志
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-231320(JP,A)
【文献】特開2003-142057(JP,A)
【文献】特開2002-233064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電可能な小型の二次電池を多数収容でき、該二次電池の正極及び負極にそれぞれ接続される第1、第2の充放電プローブを多数備えた充放電検査装置で前記二次電池を充放電検査するために使用可能な搬送トレイであって、
前記二次電池を収容配置する固定穴が多数形成された載置トレイを有し、
前記載置トレイには、前記二次電池の正極及び負極のいずれか一方からなる電極に当接可能な拡張端子部が設けられ、該拡張端子部には、前記電極に接続される前記第1、第2の充放電プローブのいずれか一方が当接可能であることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項2】
請求項1記載の小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記電極は前記拡張端子部に、押圧部材により押さえ付けられることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項3】
充放電可能な小型の二次電池を多数収容でき、該二次電池の正極及び負極にそれぞれ接続される第1、第2の充放電プローブを多数備えた充放電検査装置で前記二次電池を充放電検査するために使用可能な搬送トレイであって、
前記二次電池の正極及び負極が水平方向に配置されるように、前記二次電池を収容配置する固定穴が多数形成された載置トレイを有し、
前記載置トレイには、それぞれ前記固定穴の底面から前記載置トレイの上面にかけて連続する対となる正極拡張端子部と負極拡張端子部が設けられ、
前記二次電池の正極と負極は、前記固定穴の底面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部にそれぞれ当接可能であり、前記第1、第2の充放電プローブは、前記載置トレイの上面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部にそれぞれ当接可能であることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項4】
請求項3記載の小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記充放電検査装置の上部には、前記二次電池を前記固定穴の底面側に押さえ付ける押圧部材が設けられていることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項5】
請求項4記載の小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記押圧部材は、平面視して、前記固定穴の底面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部との間に配置されていることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項6】
充放電可能な小型の二次電池を多数収容でき、該二次電池の正極及び負極にそれぞれ接続される第1、第2の充放電プローブを多数備えた充放電検査装置で前記二次電池を充放電検査するために使用可能な搬送トレイであって、
前記二次電池の正極及び負極が水平方向に配置されるように、前記二次電池を収容配置する固定穴が多数形成された載置トレイを有し、
前記載置トレイの前記固定穴に隣接する位置に、前記第1、第2の充放電プローブの先側がそれぞれ進入可能な第1、第2の挿入穴が形成され、
前記固定穴の底面から前記第1、第2の挿入穴の底面にかけてそれぞれ連続する対となる正極拡張端子部と負極拡張端子部が設けられ、
前記充放電検査装置の上部には、平面視して、前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部との間に配置され、前記二次電池を前記固定穴の底面側に押さえ付ける押圧部材が設けられ、
前記固定穴の底面には、平面視して、前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部との間で、かつ、前記押圧部材とは異なる位置に、前記二次電池を前記固定穴の底面に対して傾斜配置するスペーサが設けられ、
前記スペーサにより傾斜配置される前記二次電池の正極と負極の各下側端部は、前記固定穴の底面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部にそれぞれ当接可能であり、前記第1、第2の充放電プローブは、前記第1、第2の挿入穴の底面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部にそれぞれ当接可能であることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項7】
充放電可能な小型の二次電池を多数収容でき、該二次電池の正極及び負極にそれぞれ接続される第1、第2の充放電プローブを多数備えた充放電検査装置で前記二次電池を充放電検査するために使用可能な搬送トレイであって、
前記二次電池の正極及び負極が上下方向に配置されるように、前記二次電池を収容配置する固定穴が多数形成された載置トレイを有し、
前記載置トレイの前記固定穴に隣接する位置に、前記第1の充放電プローブ及び前記第2の充放電プローブのいずれか一方からなる充放電プローブAの先側が進入可能な挿入穴が形成され、
前記固定穴の底面から前記挿入穴の底面にかけて連続して拡張端子部が設けられ、
前記拡張端子部は、前記充放電プローブAに接続される、前記固定穴に配置された前記二次電池の正極及び負極のいずれか一方からなる電極Aに当接可能で、かつ、前記挿入穴内で前記充放電プローブAと当接可能であることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項8】
請求項7記載の小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記第1の充放電プローブ及び前記第2の充放電プローブのいずれか他方からなる充放電プローブBは、該充放電プローブBに接続される前記二次電池の正極及び負極のいずれか他方からなる電極Bに直接当接可能となって、しかも、前記充放電プローブBには、前記二次電池を前記固定穴に押さえ付ける押圧部材が設けられていることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記載置トレイは、台座トレイに形成された凹部内に移動可能に配置され、
前記充放電検査装置の上部に設けられた位置決めピンと、前記載置トレイに設けられ、前記位置決めピンの下部が挿入される位置決め用穴とを備えた位置決め手段により、前記二次電池と前記第1、第2の充放電プローブとの位置決めが行われることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記載置トレイは、台座トレイに固定配置され、
前記充放電検査装置の下部及び上部のいずれか一方に設けられた位置決めピンと、前記台座トレイに設けられ、前記位置決めピンの先部が挿入される位置決め用穴とを備えた位置決め手段により、前記二次電池と前記第1、第2の充放電プローブとの位置決めが行われることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記二次電池はSMD型であることを特徴とする小型二次電池の搬送トレイ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の小型二次電池の搬送トレイに多数の前記二次電池を収容した状態で、前記充放電検査装置への搬入と該充放電検査装置からの搬出を行うことを特徴とする小型二次電池の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電可能な小型の二次電池を充放電検査装置で充放電検査(充放電試験)するために使用可能な小型二次電池の搬送トレイ及びその搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、充放電可能な二次電池(以下、単に電池とも記載)は、IoT機器等で使用するため小型化されており、その生産数も増加している。
この電池の製造においては、従来の充放電用電池と同様、製造した電池の充放電検査を行い、電池が所定の性能や特性を満たしているか否かを検査してから出荷している。この充放電検査は、複数の二次電池をトレイに配置した状態で、充放電検査装置の充放電プローブを各二次電池に接触(コンタクト)させることで行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、二次電池が小型になると、充放電プローブの二次電池への接触領域が狭くなるため、例えば、二次電池や充放電プローブの配置精度によっては、検査を行う際に充放電プローブが二次電池に接触しないおそれがある。なお、検査効率の観点から、多数の二次電池を同時に検査することも求められるが、1つのトレイに多数の二次電池を配置する場合、二次電池や充放電プローブの配置精度を更に高める必要がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で多数の小型の二次電池を同時に充放電検査することが可能な小型二次電池の搬送トレイ及びその搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的に沿う第1の発明に係る小型二次電池の搬送トレイは、充放電可能な小型の二次電池を多数収容でき、該二次電池の正極及び負極にそれぞれ接続される第1、第2の充放電プローブを多数備えた充放電検査装置で前記二次電池を充放電検査するために使用可能な搬送トレイであって、
前記二次電池を収容配置する固定穴が多数形成された載置トレイを有し、
前記載置トレイには、前記二次電池の正極及び負極のいずれか一方からなる電極に当接可能な拡張端子部が設けられ、該拡張端子部には、前記電極に接続される前記第1、第2の充放電プローブのいずれか一方が当接可能である。
【0007】
第1の発明に係る小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記電極は前記拡張端子部に、押圧部材により押さえ付けられることが好ましい。
【0008】
前記目的に沿う第2の発明に係る小型二次電池の搬送トレイは、充放電可能な小型の二次電池を多数収容でき、該二次電池の正極及び負極にそれぞれ接続される第1、第2の充放電プローブを多数備えた充放電検査装置で前記二次電池を充放電検査するために使用可能な搬送トレイであって、
前記二次電池の正極及び負極が水平方向に配置されるように、前記二次電池を収容配置する固定穴が多数形成された載置トレイを有し、
前記載置トレイには、それぞれ前記固定穴の底面から前記載置トレイの上面にかけて連続する対となる正極拡張端子部と負極拡張端子部が設けられ、
前記二次電池の正極と負極は、前記固定穴の底面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部にそれぞれ当接可能であり、前記第1、第2の充放電プローブは、前記載置トレイの上面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部にそれぞれ当接可能である。
【0009】
第2の発明に係る小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記充放電検査装置の上部には、前記二次電池を前記固定穴の底面側に押さえ付ける押圧部材が設けられていることが好ましい。
ここで、前記押圧部材は、平面視して、前記固定穴の底面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部との間に配置されていることが好ましい。
【0010】
前記目的に沿う第3の発明に係る小型二次電池の搬送トレイは、充放電可能な小型の二次電池を多数収容でき、該二次電池の正極及び負極にそれぞれ接続される第1、第2の充放電プローブを多数備えた充放電検査装置で前記二次電池を充放電検査するために使用可能な搬送トレイであって、
前記二次電池の正極及び負極が水平方向に配置されるように、前記二次電池を収容配置する固定穴が多数形成された載置トレイを有し、
前記載置トレイの前記固定穴に隣接する位置に、前記第1、第2の充放電プローブの先側がそれぞれ進入可能な第1、第2の挿入穴が形成され、
前記固定穴の底面から前記第1、第2の挿入穴の底面にかけてそれぞれ連続する対となる正極拡張端子部と負極拡張端子部が設けられ、
前記充放電検査装置の上部には、平面視して、前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部との間に配置され、前記二次電池を前記固定穴の底面側に押さえ付ける押圧部材が設けられ、
前記固定穴の底面には、平面視して、前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部との間で、かつ、前記押圧部材とは異なる位置に、前記二次電池を前記固定穴の底面に対して傾斜配置するスペーサが設けられ、
前記スペーサにより傾斜配置される前記二次電池の正極と負極の各下側端部は、前記固定穴の底面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部にそれぞれ当接可能であり、前記第1、第2の充放電プローブは、前記第1、第2の挿入穴の底面位置の前記正極拡張端子部と前記負極拡張端子部にそれぞれ当接可能である。
【0011】
前記目的に沿う第4の発明に係る小型二次電池の搬送トレイは、充放電可能な小型の二次電池を多数収容でき、該二次電池の正極及び負極にそれぞれ接続される第1、第2の充放電プローブを多数備えた充放電検査装置で前記二次電池を充放電検査するために使用可能な搬送トレイであって、
前記二次電池の正極及び負極が上下方向に配置されるように、前記二次電池を収容配置する固定穴が多数形成された載置トレイを有し、
前記載置トレイの前記固定穴に隣接する位置に、前記第1の充放電プローブ及び前記第2の充放電プローブのいずれか一方からなる充放電プローブAの先側が進入可能な挿入穴が形成され、
前記固定穴の底面から前記挿入穴の底面にかけて連続して拡張端子部が設けられ、
前記拡張端子部は、前記充放電プローブAに接続される、前記固定穴に配置された前記二次電池の正極及び負極のいずれか一方からなる電極Aに当接可能で、かつ、前記挿入穴内で前記充放電プローブAと当接可能である。
【0012】
第4の発明に係る小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記第1の充放電プローブ及び前記第2の充放電プローブのいずれか他方からなる充放電プローブBは、該充放電プローブBに接続される前記二次電池の正極及び負極のいずれか他方からなる電極Bに直接当接可能となって、しかも、前記充放電プローブBには、前記二次電池を前記固定穴に押さえ付ける押圧部材が設けられていることが好ましい。
【0013】
第1~第4の発明に係る小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記載置トレイは、台座トレイに形成された凹部内に移動可能に配置され、
前記充放電検査装置の上部に設けられた位置決めピンと、前記載置トレイに設けられ、前記位置決めピンの下部が挿入される位置決め用穴とを備えた位置決め手段により、前記二次電池と前記第1、第2の充放電プローブとの位置決めが行われることが好ましい。
【0014】
第1~第4の発明に係る小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記載置トレイは、台座トレイに固定配置され、
前記充放電検査装置の下部及び上部のいずれか一方に設けられた位置決めピンと、前記台座トレイに設けられ、前記位置決めピンの先部が挿入される位置決め用穴とを備えた位置決め手段により、前記二次電池と前記第1、第2の充放電プローブとの位置決めが行われることが好ましい。
【0015】
第1~第4の発明に係る小型二次電池の搬送トレイにおいて、前記二次電池がSMD型である場合に本発明の効果がより顕著になる。
【0016】
前記目的に沿う第5の発明に係る小型二次電池の搬送方法は、第1~第4の発明に係る小型二次電池の搬送トレイに多数の前記二次電池を収容した状態で、前記充放電検査装置への搬入と該充放電検査装置からの搬出を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る小型二次電池の搬送トレイ及びその搬送方法は、二次電池を多数収容できる載置トレイに拡張端子部(正極拡張端子部と負極拡張端子部も含む)を設けるので、二次電池と充放電プローブとの接続を、拡張端子部を介して確実に行うことができる。
従って、簡単な構成で多数の小型の二次電池を同時に充放電検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る小型二次電池の搬送トレイが搬入された状態を示す充放電検査装置の説明図である。
【
図2】同小型二次電池の搬送トレイと充放電検査装置の充放電プローブとの位置関係を示す斜視図である。
【
図3】本発明の他の実施の形態に係る小型二次電池の搬送トレイが搬入された状態を示す充放電検査装置の説明図である。
【
図4】同小型二次電池の搬送トレイと充放電検査装置の充放電プローブとの位置関係を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係る小型二次電池の搬送トレイの載置トレイの部分拡大正断面図である。
【
図6】(A)、(B)はそれぞれ第1の変形例に係る載置トレイの部分拡大正断面図、部分拡大側断面図である。
【
図7】第2の変形例に係る載置トレイに設けられた正極拡張端子部及び負極拡張端子部と二次電池との接触状態を示す説明図である。
【
図8】(A)は同載置トレイの平面図、(B)、(C)はそれぞれ同載置トレイへの二次電池の押さえ付け前と押さえ付け後の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、
図1、
図2を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る小型二次電池の搬送トレイ(以下、単に搬送トレイとも記載)10に多数収容された二次電池11を同時に充放電検査する充放電検査装置12について説明する。なお、
図1では、充放電検査装置12へ搬送トレイ10を搬入する方向、及び、充放電検査装置12から搬送トレイ10を搬出する方向を前後方向とし、これと直交する方向を左右方向(幅方向)とする。また、
図2では、説明の便宜上、二次電池11と、後述する第1、第2の充放電プローブ13、14、カードエッジコネクタ15、充放電電源16、及び、固定穴17の全部を図示することなく、その一部のみを図示している(後述する
図3、
図4も同様)。
【0020】
充放電検査装置12で充放電検査する二次電池11は、SMD型(表面実装型)の全固体電池であり、直方体状となってその両側に正極と負極がそれぞれ設けられ、その一辺が、例えば、20mm以下(10mm以下でもよく、更には5mm以下でもよい)程度の小型のものである。この二次電池は、小型のものであれば形状や種類は特に限定されるものではなく、例えば、その形状は、薄板状、円盤状、立方体状、円柱状等でもよい。
1つの搬送トレイ10に収容される二次電池11の個数は、特に限定されるものではないが、例えば、100個以上、好ましくは500個以上、更に好ましくは1000個以上である。一方、上限値は、例えば、10000個程度にできる。
【0021】
充放電検査装置12は、1つの搬送トレイ10に収容された多数の二次電池11を同時に充放電検査するものであり、例えば、充放電検査設備の左右方向、及び/又は、上下方向に設けられた複数の検査ステージ18のそれぞれに、充放電検査装置12を格納して使用できる。
この充放電検査装置12は、
図1に示すように、平面視して長方形状(又は正方形状)のベース台19と、このベース台19に立設された複数の支柱20と、搬送トレイ10を載置する昇降台21と、この昇降台21を昇降させる複数の昇降手段22と、支柱20の上端部に設けられた支持プレート23とを有している。
以下、詳しく説明する。
【0022】
支柱20は、ベース台19の四隅部に立設配置され、ベース台19に対して支持プレート23の高さ位置を固定するものである。
昇降台21は、ベース台19の左側と右側にそれぞれ配置された対となる昇降板部24、25で構成され、この昇降板部24、25が、搬送トレイ10をその両側から支持して、昇降台21上に搬送トレイ10を載置するものである。なお、
図1中の符号26は、昇降台21を所定の高さ位置に支持する支持台である。
昇降手段22は、例えば、上下方向に進退駆動するエアシリンダー(油圧シリンダーでもよい)であり、平面視してベース台19の左右方向両側の前後方向中央位置(2つの支柱20の間)に対となって配置されている。この昇降手段22のシリンダチューブ27(基部:上部)は支持プレート23が下面に固定された電源基板28に取付け固定され、ピストンロッド29(先部:下部)は昇降板部24、25に取付け固定され、対となる昇降板部24、25を支持プレート23(電源基板28)に対して同時に昇降させることができる(同期駆動させることができる)。
なお、昇降手段22をベース台19上に立設配置し(シリンダチューブ27をベース台19に取付け固定し)、ピストンロッド29を昇降板部24、25に取付け固定することもでき、また、昇降台が1つであれば昇降手段は1個でもよい。
【0023】
支持プレート23には、棒状の第1、第2の充放電プローブ13、14が対となって、その両側を支持プレート23の表裏面から突出させた状態で多数設けられている。この第1、第2の充放電プローブ13、14は二次電池11を充放電検査するものであり、電圧測定機能も有している。なお、第1、第2の充放電プローブはそれぞれ、出力測定機能と電圧測定機能を備えた2本のプローブ(合計4本)で構成することもできる。
第1の充放電プローブ13は、その下端部(一端部)が二次電池11の正極に直接又は間接的に接続可能なものであり、第2の充放電プローブ14は、その下端部(一端部)が二次電池11の負極に直接又は間接的に接続可能なものである。このため、1個の支持プレート23に設けられる第1、第2の充放電プローブ13、14の本数は、第1、第2の充放電プローブ13、14を一組として、1個の搬送トレイ10に収容される二次電池11の最大個数と同じにしている。
【0024】
支持プレート23は、
図2に示すように、樹脂製の2枚の板材30で構成され、各板材30にザグリ加工を施し、形成された穴の大径部31が向き合うように2枚の板材30を貼り合わせることで、空間部32を形成している。この空間部32には、第1、第2の充放電プローブ13、14の軸心方向中央に設けられた拡径部(拡幅部)33が配置され、第1、第2の充放電プローブ13、14の軸心方向両側が、支持プレート23の小径部34を介してその厚み方向両側に突出した状態となっている。
なお、空間部32内では、第1、第2の充放電プローブ13、14の拡径部33がその軸心方向に隙間35、36を有した状態で配置される。
【0025】
この空間部32内の隙間35、36には、図示しないばね材(弾性部材の一例)がそれぞれ収容配置されている。これにより、第1、第2の充放電プローブ13、14が支持プレート23に対してその軸心方向に往復移動可能になって、二次電池11に対する第1、第2の充放電プローブ13、14の接触圧力と、支持プレート23の背面側(搬送トレイ10とは反対側)に配置される電源基板28に対する第1、第2の充放電プローブ13、14の接触圧力を、それぞれ調整できる。
なお、ばね材は、第1、第2の充放電プローブ13、14の拡径部33の軸心方向片側(上側の隙間35又は下側の隙間36)のみに配置することもできる。
【0026】
電源基板28は、支柱20の上端部に取付け固定されている(支持プレート23は電源基板28を介して支柱20に設けられている)。
この電源基板28の上面には、複数のカードエッジコネクタ15が設けられ、充放電電源16が取付け取外し可能になっているので、メンテナンス性を良好にできる。また、電源基板28の下面には、基板端子37が設けられ、第1、第2の充放電プローブ13、14の上端部(他端部)が当接可能になっている。これにより、第1、第2の充放電プローブ13、14の上端部が充放電電源16に接続されることになる。
このカードエッジコネクタ15と基板端子37は、1個の充放電電源16に複数の二次電池11が並列接続されるように、電源基板28に形成した配線で接続されている。
【0027】
電源基板28には、その下方に突出した複数の円柱状の位置決めピン38が設けられ、この位置決めピン38が、支持プレート23に形成された断面円形の位置決めピン用の貫通孔39を貫通し、その下部を下方へ突出させている。なお、支持プレート23は電源基板28の下側に、その相対位置がずれないように取付け固定されている。
これにより、支持プレート23と電源基板28を一体化できると共に、電源基板28の基板端子37と第1、第2の充放電プローブ13、14との接触を確実に実施できる。
なお、第1、第2の充放電プローブ13、14は、電源基板28の基板端子37とは隙間を有した状態で配置され、当接可能となっているが、当接させた状態(接触状態)でもよい。
【0028】
充放電検査装置12には、
図1に示すように、OPCサーバを備えた充放電制御部(充放電PC)40と、昇降台21の高さ位置を検出するセンサ41と、昇降手段22を操作する電磁弁42が設けられている。
これにより、充放電制御部40は、センサ41の情報(昇降台21の高さ位置)をPLC43を介して読み取ることができ、また、センサ41の情報を基に、充放電制御部40の指令によってPLC43の信号で電磁弁42(昇降手段22)を操作して、昇降台21を昇降させることができる。
【0029】
なお、充放電検査装置12には、充放電検査を行う際に発生する熱エネルギーが二次電池11に干渉することを抑制、更には防止するための送風ファン(図示しない)が設けられている。
この送風ファンは、例えば、充放電検査装置12の奥側(後ろ側)に配置して、支持プレート23と搬送トレイ10の間を奥側から手前側(前側)へかけて送風することができ、また、充放電検査装置12の左右方向の両側又は片側に配置して、左側から右側、及び/又は、右側から左側へかけて(左右方向片側から、又は、左右方向両側から)送風することもできる。なお、送風ファンの設置台数は、特に限定されるものではなく、1台又は2台以上の複数台でもよい。
【0030】
図1、
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る小型二次電池の搬送トレイ10は、充放電可能な小型の二次電池11を多数収容でき、この多数の二次電池11を同時に充放電検査装置12で充放電検査するために使用可能なものである。なお、搬送トレイ10は、他の用途、例えば、二次電池11の受け入れや出荷、他の検査、管理等に使用することもできる。
以下、詳しく説明する。
【0031】
搬送トレイ10は、台座トレイ50と、この台座トレイ50上に配置される複数(ここでは4個)の載置トレイ51とを有している。
台座トレイ50は平面視して正方形状又は長方形状となって、その下側には、下方へ向けて開口した断面凹状の挿入部52が形成され、例えば、スタッカクレーン(搬送手段)のフォーク(爪部)を挿入部52に差し込むことで、搬送トレイ10を搬送可能な構成となっている。なお、挿入部の形成位置や数は、例えば、搬送トレイの大きさや使用するスタッカクレーンの種類等に応じて種々変更できる。
【0032】
台座トレイ50の上側には、平面視して正方形状又は長方形状の凹部53が複数(ここでは、載置トレイ51の個数と同じ4個)形成され、この凹部53内に載置トレイ51がそれぞれ配置されている。このため、載置トレイ51同士は干渉しない構造となっている。
凹部53の底面と載置トレイ51の裏面とは互いに接触し、載置トレイ51が、凹部53の底面に沿って凹部53内を移動可能(摺動可能)になっている。なお、載置トレイ51の移動をスムーズに行うため、凹部53の底部及び/又は載置トレイ51の裏面部を、潤滑性のある材料で構成してもよく、また、凹部53の底面と載置トレイ51の裏面との間に潤滑材を配置してもよい。
この凹部53の内幅は、載置トレイ51の移動範囲に応じて設定できるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、載置トレイ51の外幅よりも20mm以下、好ましくは10mm以下、更に好ましくは5mm以下の範囲で広くする(あそびを設ける)のがよい。
【0033】
載置トレイ51には、平面視して長方形状の固定穴17が多数形成され、この固定穴17に二次電池11を収容配置できる構成となっている。この固定穴17の形状は、二次電池11の輪郭に対応した形状であり、その内幅は、収容する二次電池11の側面とは僅少の隙間を有する程度(固定穴17内で二次電池11の位置がずれない程度)の大きさになっている。
なお、1つの載置トレイ51に形成する固定穴17の数は、収容する二次電池11の最大個数に対応し、特に限定されるものではないが、例えば、50個以上、好ましくは150個以上、更に好ましくは300個以上にすることができる。一方、上限値は、例えば、1000個程度にできる。
【0034】
載置トレイ51の4隅部のうち、その対角位置となる2つの隅部に位置決め用穴54(上方に向けて開口した有底の穴であるが貫通した孔でもよい)が設けられている。
この位置決め用穴54は断面円形となって、前記した貫通孔39を貫通した位置決めピン38の下部が挿入されるものであり、この位置決め用穴54に位置決めピン38の下部が挿入されることで、支持プレート23に対する載置トレイ51の位置、即ち、第1、第2の充放電プローブ13、14に対する二次電池11の位置を調整(位置決め)できる。従って、位置決め用穴の個数や配置位置は、この位置調整ができる構成であれば、特に限定されるものではない。
【0035】
この位置調整がなされた状態では、位置決めピン38の下面は位置決め用穴54内の高さ方向の途中に位置する(位置決め用穴54の底面に接触しない位置)。
この位置調整は、支持プレート23に対して搬送トレイ10を上昇させる際に、位置決め用穴54に位置決めピン38が進入することで実施できるため、位置決めピン38の先部(下部)を先細り形状にするのがよく、また、位置決め用穴54の上側を上方に向けて拡径するテーパ状にするのがよい。
なお、上記した位置決め用穴54と、充放電検査装置12に設けられた貫通孔39及び位置決めピン38とで位置決め手段が構成されているが、第1、第2の充放電プローブ13、14に対する二次電池11の位置を調整できれば、位置決め手段の構成は特に限定されるものではない。
【0036】
上記した搬送トレイ10の代わりに、
図3、
図4に示す小型二次電池の搬送トレイ(以下、単に搬送トレイとも記載)10aを使用することもできる。なお、
図3、
図4において、
図1、
図2に記載の構成と同一部材には同一符号を付し、詳しい説明を省略する。
搬送トレイ10aは、台座トレイ60と、この台座トレイ60上に固定配置される1個の載置トレイ61とを有している。この搬送トレイ10aは、例えば、台座トレイ60と載置トレイ61とを個別に製造して一体化したものであるが、台座トレイ60と載置トレイ61とを樹脂等を用いて一体的に製造したものでもよい。
【0037】
台座トレイ60は平面視して正方形状又は長方形状となって、その下側には、下方へ向けて開口した断面凹状の挿入部62(挿入部52と同様)が形成されている。
台座トレイ60の上側には、平面視して正方形状又は長方形状の凹部63が1個形成され、この凹部63内に載置トレイ61が嵌め込まれて取付け固定されている。この載置トレイ61には、平面視して長方形状の固定穴17が多数形成され、この固定穴17に二次電池11を収容配置できる構成となっている。
なお、1つの載置トレイ61に形成する固定穴17の数は、1つの搬送トレイ10aに収容する二次電池11の最大個数に対応し、特に限定されるものではないが、例えば、例えば、100個以上、好ましくは500個以上、更に好ましくは1000個以上である。一方、上限値は、例えば、10000個程度にできる。
【0038】
台座トレイ60の4隅部のうち、その対角位置となる2つの隅部に位置決め用穴64(下方に向けて開口した天井部を有する穴であるが貫通した孔でもよい)が設けられている。
この位置決め用穴64は断面円形となって、昇降台21の昇降板部24、25(充放電検査装置10の下部)に設けられた位置決めピン65の上部(先部)が挿入されるものであり、この位置決め用穴64に位置決めピン65が挿入されることで、支持プレート23に対する載置トレイ61の位置、即ち、第1、第2の充放電プローブ13、14に対する二次電池11の位置を調整できる。従って、位置決め用穴の個数や配置位置は、この位置調整ができる構成であれば、特に限定されるものではなく、例えば、支持プレート(充放電検査装置の上部)に位置決めピンを設け、台座トレイに位置決め用穴(上方に向けて開口した有底の穴であるが貫通した孔でもよい)を設けてもよい。なお、位置決めピンの先部は先細り形状にするのがよく、また、位置決め用穴の位置決めピンの進入及び退出側を位置決めピンに向けて拡径するテーパ状にするのがよい。
【0039】
載置トレイ51は樹脂製であり、
図2、
図5に示すように、二次電池11の正極及び負極が水平方向に配置(水平配置)されるように、二次電池11を収容配置する固定穴17が多数形成されたものである。
この載置トレイ51には、対となる金属製(例えば、銅製又は銅合金製等)の正極拡張端子部70と負極拡張端子部71(それぞれ、拡張端子部の一例)が多数(固定穴17の個数に対応)設けられている。正極拡張端子部70と負極拡張端子部71はそれぞれ階段状(Z字状の角部を略直角(90度)にした形状)となって、固定穴17の底面から内側面を介し載置トレイ51の上面(固定穴17の側方)にかけて連続して設けられている。なお、正極拡張端子部70と負極拡張端子部71は、固定穴17の底面位置において、間隔を有して対向配置され、絶縁状態になっている。また、正極拡張端子部70と負極拡張端子部71は同一形状であるが、固定穴の底面から載置トレイの上面にかけて連続して設けることができれば、異なる形状でもよい。
【0040】
固定穴17の底面位置の正極拡張端子部70と負極拡張端子部71には、固定穴17に収容配置される二次電池11の正極と負極がそれぞれ当接可能となって、載置トレイ51の上面位置の正極拡張端子部70と負極拡張端子部71には、第1、第2の充放電プローブ13、14がそれぞれ当接可能となっている。
ここで、正極拡張端子部70のうち、固定穴17の底面に配置される領域と載置トレイ51の上面に配置される領域の面積はそれぞれ、水平配置した二次電池11の正極の下面(又は上面)の面積よりも広く、また、負極拡張端子部71のうち、固定穴17の底面に配置される領域と載置トレイ51の上面に配置される領域の面積はそれぞれ、水平配置した二次電池11の負極の下面(又は上面)の面積よりも広くしている。具体的には、正極(負極も同様)の下面(又は上面)の面積の1.2倍以上(好ましくは、1.5倍以上、更に好ましくは2倍以上、上限は5倍(更には3倍)程度)である。
【0041】
これにより、第1、第2の充放電プローブ13、14と二次電池11の正極及び負極とを、直接接触させることなく、正極拡張端子部70と負極拡張端子部71を介して間接的に接続することができる。このため、第1、第2の充放電プローブ13、14の二次電池11への接触領域が狭くても(二次電池11が特に小型の場合でも)、充放電検査を確実に実施できる。また、充放電検査を行う二次電池の形状が変わっても、充放電検査装置の構成を変更することなく、載置トレイの形状(二次電池を収容配置する固定穴の形状)を変更するのみで、充放電検査を実施できる。
なお、正極拡張端子部70と負極拡張端子部71の表面は平滑であるが、例えば、表面を凹凸状にすることで、二次電池11の正極及び負極との接触を更に安定させることができる。
【0042】
また、二次電池11は、正極と負極の各部分の厚みが、正極と負極の間の絶縁部分よりも厚く形成された構成であるため、正極と正極拡張端子部70との接触、及び、負極と負極拡張端子部71との接触が容易である。しかし、二次電池11は載置トレイ51側に押圧されないため、二次電池11の正極と正極拡張端子部70との接触、及び、負極と負極拡張端子部71との接触を、確実に実施できない場合もある。
このため、
図5に示すように、第1、第2の充放電プローブ13、14が設けられた支持プレート23に更に、その下方に突出した押さえピン(押圧部材の一例)72を多数設け、この押さえピン72で二次電池11の絶縁部分を上方から押圧し、二次電池11を載置トレイ51(固定穴17の底面側)に押さえ付ける。なお、押さえピン72も、ばね材(弾性部材)を介して支持プレート23に設けることが好ましい。
【0043】
この押さえピン72は樹脂製の絶縁性を備えた材質で構成されているが、通電性(金属製)を備えた材質で構成することもできる。この場合、押さえピンに、例えば、従来公知のスイッチ付プローブ等を使用して、二次電池の樹脂製の絶縁性を備えた材質(即ち、正極と負極を除く部分)に対し、押さえピンの接触を確認することができる。
また、押さえピン72は、平面視して、固定穴17の底面位置の正極拡張端子部70と負極拡張端子部71との間に配置される(押さえピン72の下方に正極拡張端子部70と負極拡張端子部71が無い)ことが好ましい。これにより、正極と正極拡張端子部70との接触、及び、負極と負極拡張端子部71との接触を、確実に実施でき、二次電池11の絶縁部分と正極拡張端子部70及び負極拡張端子部71との接触による接触不良を防止できる。
【0044】
上記した載置トレイ51の代わりに、
図6(A)、(B)に示す載置トレイ80を使用することもできる。
載置トレイ80は、二次電池11の正極及び負極が上下方向に配置(以下、縦型配置とも記載)されるように、二次電池11を収容配置する固定穴17aが多数形成されたものであり、トレイ本体81と、トレイ本体81の裏面側(支持プレート23とは反対側、下面側)に取付け固定される樹脂製の端子基板82とを有している。
トレイ本体81には、縦型配置する二次電池11の輪郭に対応した断面長方形状の貫通孔83と、この貫通孔83の隣接位置に形成された断面円形の貫通孔84が形成されている。このトレイ本体81の裏面に端子基板82を取付け固定することで、各貫通孔83、84の底が塞がれ、二次電池11と第2の充放電プローブ14(充放電プローブA)の先側がそれぞれ挿入可能(進入可能)な固定穴17aと挿入穴85が形成される。
【0045】
端子基板82の表面であって、固定穴17aの底面から挿入穴85の底面にかけて連続して、金メッキからなる拡張端子部86が設けられている。
これにより、固定穴17aの底面位置の拡張端子部86には、固定穴17aに縦型配置される二次電池11の下側に位置する負極(電極A)の側面が当接可能となって、挿入穴85の底面位置の拡張端子部86には、第2の充放電プローブ14の先端部が当接可能となる。ここで、拡張端子部86のうち、固定穴17aの底面に配置される領域と挿入穴85の底面に配置される領域の面積はそれぞれ、縦型配置した二次電池11の負極の側面の面積よりも広くしている。具体的には、負極の側面の面積の1.2倍以上(好ましくは、1.5倍以上、更に好ましくは2倍以上、上限は5倍(更には3倍)程度)である。
【0046】
これにより、第2の充放電プローブ14と二次電池11の負極とを、直接接触させることなく、拡張端子部86を介して間接的に接続することができる。このため、第2の充放電プローブ14の二次電池11への接触領域が狭くても(二次電池11が特に小型の場合でも)、第2の充放電プローブ14と二次電池11の負極との接続を確実に実施できる。
なお、拡張端子部86の表面は平滑であるが、例えば、表面を凹凸状にすることで、二次電池11の負極との接触を更に安定させることができる。
また、二次電池を縦型配置することで、水平配置する場合と比較して、例えば、載置トレイに形成できる固定穴の個数(即ち、二次電池の収容個数)を増やすことができ、また、固定穴の個数が同じであれば載置トレイのコンパクト化が図れる。
【0047】
固定穴17aに縦型配置される二次電池11の上側に位置する正極(電極B)の側面には、第1の充放電プローブ13(充放電プローブB)が、直接当接可能となっている。
ここで、第1の充放電プローブ13には、二次電池11を固定穴17aに押さえ付ける押圧部材(例えば、ばね材(弾性部材))が設けられているため、二次電池11の負極と拡張端子部86との接触を、確実に実施できる。
なお、ここでは、第2の充放電プローブ14と二次電池11の負極とを、拡張端子部86を介して接続した場合について説明したが、二次電池の負極が上側に位置するように、二次電池を固定穴に縦型配置する場合は、第1の充放電プローブと二次電池の正極とを、拡張端子部を介して接続する構成とすることもできる。この場合、第2の充放電プローブと二次電池の負極とが直接接触する。
【0048】
また、上記した載置トレイ51、80の代わりに、
図7、
図8(A)~(C)に示す載置トレイ90を使用することもできる。
載置トレイ90は、二次電池11の正極及び負極が水平方向に配置(水平配置)されるように、二次電池11を収容配置する固定穴17bが多数形成されたものであり、トレイ本体91と、トレイ本体91の裏面側(支持プレート23とは反対側、下面側)に取付け固定される樹脂製の端子基板92とを有している。
トレイ本体91には、水平配置する二次電池11の輪郭に対応した断面長方形状(又は断面正方形状)の貫通孔93と、この貫通孔93の隣接位置に形成された断面円形の2つの貫通孔94、95とが、それぞれ形成されている。このトレイ本体91の裏面に端子基板92を取付け固定することで、各貫通孔93~95の底が塞がれ、二次電池11と第1、第2の充放電プローブ13、14の先側がそれぞれ挿入可能(進入可能)な固定穴17bと挿入穴(第1の挿入穴)96及び挿入穴(第2の挿入穴)97が形成される。
【0049】
端子基板92の表面であって、固定穴17bの底面から各挿入穴96、97の底面にかけては、金メッキからなる対となる正極拡張端子部98と負極拡張端子部99が、それぞれ連続して設けられている。この正極拡張端子部98と負極拡張端子部99は、端子基板92の表面において、間隔を有して平行に配置され、絶縁状態になっている。
二次電池11は、平面視して、正極拡張端子部98と負極拡張端子部99との間に配置される前記した押さえピン72により、二次電池11の絶縁部分(正極と負極の配置方向とは直交する方向の一側:
図7、
図8(A)~(C)では左側)が上方から押圧されることで、載置トレイ90(固定穴17bの底面側)に押さえ付けられる。
また、固定穴17bの底面には、平面視して、正極拡張端子部98と負極拡張端子部99との間で、かつ、押さえピン72とは異なる位置(正極と負極の配置方向とは直交する方向の他側:
図7、
図8(A)~(C)では右側)に、二次電池11を固定穴17bの底面に対して傾斜配置するためのスペーサ(支持部材)100が設けられている。このスペーサ100は、例えば、端子基板92の表面に対し半田付け等を行うことにより形成できる。
【0050】
上記したスペーサ100により、固定穴17bに収容配置される二次電池11の正極と負極の一側の各下側端部(
図7、
図8(A)~(C)では左側角部)が、固定穴17bの底面位置の正極拡張端子部98と負極拡張端子部99にそれぞれ当接可能となり、かつ、二次電池11の正極と負極の他側の各下側端部(
図7、
図8(A)~(C)では右側角部)が、固定穴17bの底面(正極拡張端子部98と負極拡張端子部99)に対して浮いた状態となる。また、各挿入穴96、97の底面位置の正極拡張端子部98と負極拡張端子部99には、第1、第2の充放電プローブ13、14がそれぞれ当接可能となる。
使用にあっては、
図7、
図8(C)に示すように、押さえピン72で二次電池11の絶縁部分を上方から押圧し、二次電池11を載置トレイ90(固定穴17bの底面側)に押さえ付けることで、二次電池11の正極と負極に対する荷重が、正極拡張端子部98及び負極拡張端子部99と斜め方向に、それぞれかかる。これにより、二次電池11が固定穴17b内の他側(
図7、
図8(C)では右側)へ移動するため、正極拡張端子部98と負極拡張端子部99上では、二次電池11の正極と負極がそれぞれ若干擦る動作をとり(摺動し)、正極と正極拡張端子部98との接触性、負極と負極拡張端子部99との接触性を、それぞれ向上させることができる。なお、押さえピン72の押圧による固定穴17b内の二次電池11の移動は、二次電池11の他側(
図7、
図8(C)では右側)が固定穴17bの内壁面に接触することで止まる。
【0051】
続いて、小型二次電池の搬送トレイ10を用いた充放電検査方法(小型二次電池の搬送方法)について、
図1、
図2を参照しながら説明する。
搬送トレイ10は、スタッカクレーンによって、検査ステージ18に配置された充放電検査装置12に自動で搬入され、搬送トレイ10が昇降台21上に載置される。この搬送トレイ10の載置トレイ51には、多数の二次電池11が収容配置されている。
なお、
図3、
図4に示す搬送トレイ10aでは、搬送トレイ10aを昇降台21上に載置する際に、昇降台21に設けられた位置決めピン65が、台座トレイ60に設けられた位置決め用穴64に挿入されることで、第1、第2の充放電プローブ13、14と、二次電池11の正極及び負極との位置決めがなされる。
【0052】
次に、充放電制御部40の指令によってPLC43の信号で電磁弁42(昇降手段22)を操作して、搬送トレイ10を上昇させる。このとき、電源基板28に設けられた位置決めピン38が貫通孔39を介して位置決め用孔54に挿入され、位置決めピン38に対する載置トレイ51内の二次電池11の配列が、前後左右で正確な位置に決定される。
更に搬送トレイ10が上昇すると、位置決めピン38に対して正確な位置に配列された第1、第2の充放電プローブ13、14と、二次電池11の正極及び負極とがそれぞれ間接的にコンタクトされ、昇降手段22は、第1、第2の充放電プローブ13、14のストローク(ばね圧)と、正極拡張端子部70及び負極拡張端子部71との接触圧力の関係、及び/又は、押さえピン72と二次電池11の絶縁部分との接触圧力の関係、から決定した上昇位置で停止する。これにより、最適な接圧条件となる。
【0053】
第1、第2の充放電プローブ13、14と二次電池11の正極及び負極との、正極拡張端子部70及び負極拡張端子部71を介したコンタクト完了通知を、PLC43から充放電制御部40が読み取ると、予め設定した充放電検査のフローに従って充放電電源16が駆動し、二次電池11の充放電検査を完了させる。
この充放電検査においては、送風ファンを駆動させて、熱エネルギーが二次電池11に干渉することを抑制、更には防止する。このとき、載置トレイ51では、
図5に示すように、第1、第2の充放電プローブ13、14が正極拡張端子部70及び負極拡張端子部71に接触することから、二次電池11を押さえピン72で載置トレイ51に押さえ付け、支持プレート23と載置トレイ51の間に向けて送風ファンによる送風を行う。これにより、送風によって二次電池11が載置トレイ51から飛び出すことを防止できる。
【0054】
上記した充放電試験が終了した後は、送風ファンによる送風を停止し、所定の時間(例えば、数秒程度)経過後、搬送トレイ10が降下する。これにより、押さえピン72による二次電池11の押さえ付けを解除する。
そして、搬送トレイ10は、スタッカクレーンによって、充放電検査装置12から自動で搬出される。
以上の操作を、予め設定されたプログラムに基づいて、各搬送トレイ10に対し順次行う。これにより、簡単な構成で多数の小型の二次電池を同時に充放電検査できる。
なお、充放電検査が終了した二次電池11は、例えば、搬送トレイ10に収容配置された状態で搬出できる。また、搬送トレイ10からの二次電池11の取出しは、例えば、吸引手段等を用いて実施できる。
【0055】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の小型二次電池の搬送トレイ及びその搬送方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態においては、1個の二次電池を1個の押圧部材で、固定穴の底面に押さえ付けた場合について説明したが、1個の二次電池を2個以上の複数個の押圧部材で押さえ付けることもできる。
例えば、正極及び負極が水平方向となるように固定穴に配置された二次電池を、2本の押さえピンで押さえ付ける場合は、押さえピンを絶縁性の材質(樹脂製等)で構成し、二次電池の正極と負極をそれぞれ押さえ付ける(例えば、同時に押さえ付ける)ことができ、また、3本の押さえピンで押さえ付ける場合は、二次電池の正極と負極、及び、正極と負極の間の絶縁部分を、それぞれ押さえ付けることができる。なお、3本の押さえピンで押さえ付ける場合は、二次電池の正極、負極、及び、絶縁部分を同時に押さえ付けることができるが、まず二次電池の絶縁部分を押さえ付けた後、正極と負極を同時に押さえ付けてもよい。
更に、4本以上の押さえピンで押さえ付ける場合は、例えば、正極と負極をそれぞれ複数箇所、更には絶縁部分を1箇所又は複数箇所、押さえピンで押さえ付けることもできる。
なお、正極及び負極が上下方向となるように、二次電池が固定穴に配置される場合も、1個又は2個以上の複数個の押圧部材(例えば、弾性部材)で押さえ付けることができる。
【0056】
また、前記実施の形態においては、充放電検査装置の構成を具体的に説明したが、充放電検査装置は、二次電池の正極及び負極にそれぞれ接続される第1、第2の充放電プローブを多数備えた構成であれば、特に限定されるものではない。
例えば、昇降手段は昇降台(昇降板部)を昇降できる構成であればよく、エアシリンダーの接続位置を変更し、シャフト等を設けることで、昇降台を昇降させる構成にすることもできる。なお、搬送トレイを支持プレートに対して昇降させたが、支持プレートを搬送トレイに対して昇降させることもできる。
また、支持プレートは、第1、第2の充放電プローブを多数設けることができる構成であればよく、例えば、支持プレートを構成する2枚の板材のうち、上側の板材に貫通孔を形成し、下側の板材のみにザグリ加工を施すこともでき、また、支持プレートを1枚の板材で構成してザグリ加工を施すこともでき、ザグリ加工の形状は特に限定されるものではない。
そして、充放電電源は電源基板に、カードエッジコネクタを介して取付け取外し可能にしているが、通常用いられるコネクタを介して取付けてもよい。
更に、搬送トレイの搬送手段にはスタッカクレーンを使用したが、搬送トレイを搬送できれば特に限定されるものではなく、例えば、コンベア等も使用でき、この場合、台座トレイの下側に挿入部を設ける必要はない(搬送手段の種類に応じて、台座トレイの形状は変更できる)。
【符号の説明】
【0057】
10、10a:小型二次電池の搬送トレイ、11:二次電池、12:充放電検査装置、13:第1の充放電プローブ、14:第2の充放電プローブ、15:カードエッジコネクタ、16:充放電電源、17、17a、17b:固定穴、18:検査ステージ、19:ベース台、20:支柱、21:昇降台、22:昇降手段、23:支持プレート、24、25:昇降板部、26:支持台、27:シリンダチューブ、28:電源基板、29:ピストンロッド、30:板材、31:大径部、32:空間部、33:拡径部、34:小径部、35、36:隙間、37:基板端子、38:位置決めピン、39:貫通孔、40:充放電制御部、41:センサ、42:電磁弁、43:PLC、50:台座トレイ、51:載置トレイ、52:挿入部、53:凹部、54:位置決め用穴、60:台座トレイ、61:載置トレイ、62:挿入部、63:凹部、64:位置決め用穴、65:位置決めピン、70:正極拡張端子部(拡張端子部)、71:負極拡張端子部(拡張端子部)、72:押さえピン(押圧部材)、80:載置トレイ、81:トレイ本体、82:端子基板、83、84:貫通孔、85:挿入穴、86:拡張端子部、90:載置トレイ、91:トレイ本体、92:端子基板、93:貫通孔、94、95:貫通孔、96、97:挿入穴、98:正極拡張端子部、99:負極拡張端子部、100:スペーサ