(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-04
(45)【発行日】2024-03-12
(54)【発明の名称】フレーム式ブース状家具
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20240305BHJP
A63B 23/00 20060101ALN20240305BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
A63B23/00 J
(21)【出願番号】P 2019196053
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 洋子
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 直俊
(72)【発明者】
【氏名】前川 尚幸
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-053659(JP,A)
【文献】特開2003-087950(JP,A)
【文献】特開2005-133796(JP,A)
【文献】実開昭59-060965(JP,U)
【文献】米国特許第06129650(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
A63B 23/00
E04B 1/19
E04H 15/00 -15/64
F16B 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床上に載置される枠状のベースフレームと、前記ベースフレームに立設された複数の支柱と、それらの支柱の上端同士を連結する天井フレームとを備えたフレーム式ブース状家具であって、
前記支柱は、直線状のパイプで構成され、
前記天井フレームは、複数の直線状の天井パイプで構成されており、
前記支柱と前記天井フレームとが、湾曲した天井フレーム接続具で連結されて
おり、
前記天井フレーム接続具は、湾曲した基体部と、前記基体部の両端のそれぞれに設けた小径部と、前記基体部の外側湾曲面部に開口する凹状のボルト挿込穴と、前記基体部及び前記小径部を貫通して前記ボルト挿込穴のボルト受座面に開口するボルト挿通孔とを備え、
前記ボルト挿込穴を介して前記ボルト挿通孔へ挿し込まれた頭付きボルトが前記支柱及び前記天井パイプの内部に固着したナット部材のそれぞれにねじ込まれることで前記支柱と前記天井フレームとが前記天井フレーム接続具を介して連結される、フレーム式ブース状家具。
【請求項2】
前記天井フレームは、互いに略平行に設けた2本の主天井パイプの中途部同士を1本以上の横桟天井パイプで連結した略H形又は梯子形の天井パイプ組体を備えている、請求項1に記載のフレーム式ブース状家具。
【請求項3】
前記天井フレームは、2つの前記天井パイプ組体の前記主天井パイプ同士が、湾曲した天井パイプ間接続具で連結されて構成されている、請求項2に記載のフレーム式ブース状家具。
【請求項4】
前記天井フレーム接続具には、前記ボルト挿込穴を塞ぐ蓋部材が着脱可能に取り付けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載のフレーム式ブース状家具。
【請求項5】
前記蓋部材は、前記ボルト挿通孔に挿し込まれた前記頭付きボルトの頭部に弾性係合する係合片を備えている、請求項4に記載のフレーム式ブース状家具。
【請求項6】
前記蓋部材の露出面に文字又は図形が表示されている、請求項4又は5に記載のフレーム式ブース状家具。
【請求項7】
前記支柱に設けたコンセント取付穴にコンセントが取り付けられており、前記コンセントから延びる配線ケーブルが、前記支柱内を通って、前記支柱の下部に設けた配線穴から前記支柱外へ引き出されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のフレーム式ブース状家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等の空間に独立したような状態で設置できるフレーム式ブース状家具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスでは、作業目的に応じて各種の家具が使用されている。一般には、椅子とセットで使用される机(或いはテーブル)が家具の基準になっており、多数の机を様々なレイアウトで配置している。この場合、机の使用者が決まっていないフリーアドレス方式も広く普及している。
【0003】
他方、近年、オフィスにおいては、ワーカーの生産性を高める等の観点から、ワーキングスタイルに変化がみられる。上記したフリーアドレス方式もその一環であるが、本願出願人は、更に進んで、心身の疲れを取ってリフレッシュしたり、気分転換によって思考の行き詰まりを打破したりできる環境作りに貢献できる家具(設備)を提案しており、その一環として、特許文献1,2において、例えば、人がぶら下がって気分転換したり、凭れかかってリラックスしたりできるフレーム式ブース状家具も開示した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】意匠登録第1550577号公報
【文献】意匠登録第1550578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記フレーム式ブース状家具は、人が中に入って使用するものであり、ある程度の大きさと高い強度及び安全性が必要であるところ、柔らかい外観を得るために、天井フレームを支持する支柱として曲げパイプが用いられている。このような曲げパイプは、曲げ加工に高い技術及び長い加工時間が必要であり、製造コストが高くなることから、改善の余地があった。
【0006】
本発明はこのような状況を背景にして成されたものであり、部品の加工が容易でコスト低減かつ加工時間短縮が可能なフレーム式ブース状家具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、床上に載置される枠状のベースフレームと、前記ベースフレームに立設された複数の支柱と、それらの支柱の上端同士を連結する天井フレームとを備えたフレーム式ブース状家具であって、前記支柱は、直線状のパイプで構成され、前記天井フレームは、複数の直線状の天井パイプで構成されており、前記支柱と前記天井フレームとが、湾曲した天井フレーム接続具で連結されているものである。
【0008】
本発明のフレーム式ブース状家具によれば、支柱及び天井フレームは、加工が容易な直線状のパイプで構成されているので、コスト低減と加工時間短縮を実現できる。さらに、湾曲した天井フレーム接続具で支柱と天井フレームとが連結されているので、天井フレームの天井パイプと支柱とを天井フレーム接続具の湾曲程度の設計に応じて所望の角度をなして連結できるとともに、支柱と天井フレームとの連結部に丸みをもたせることができ、使用者に柔らかい印象を与えてリラックスさせる効果が得られる。
【0009】
本発明のフレーム式ブース状家具において、前記天井フレームは、互いに略平行に設けた2本の主天井パイプの中途部同士を1本以上の横桟天井パイプで連結した略H形又は梯子形の天井パイプ組体を備えているようにしてもよい。
【0010】
このような態様によれば、天井フレームにおいて主天井パイプに交差する横桟天井パイプを設けることで、天井フレームの強度を向上できるとともに、使用者がぶら下がり可能な雲梯遊具状にした遊び心のある形態を得ることができ、使用者のリフレッシュ効果や気分転換効果を向上させることができる。
【0011】
さらに、前記天井フレームは、2つの前記天井パイプ組体の前記主天井パイプ同士が、湾曲した天井パイプ間接続具で連結されて構成されているようにしてもよい。
【0012】
このような態様によれば、2つの天井パイプ組体を連結する天井パイプ間接続具が上向き凸姿勢になるようにして天井フレームを支柱に組み付けることで、正面視で家型五角形の形態を得ることができ、使用者に寛ぎ感や安心感を与え、リフレッシュ効果や気分転換効果をより向上させることができる。
【0013】
本発明のフレーム式ブース状家具において、前記天井フレーム接続具は、湾曲した基体部と、前記基体部の両端のそれぞれに設けた小径部と、前記基体部の外側湾曲面部に開口する凹状のボルト挿込穴と、前記基体部及び前記小径部を貫通して前記ボルト挿込穴のボルト受座面に開口するボルト挿通孔とを備え、前記ボルト挿込穴を介して前記ボルト挿通孔へ挿し込まれた頭付きボルトが前記支柱及び前記天井パイプの内部に固着したナット部材のそれぞれにねじ込まれることで前記支柱と前記天井フレームとが前記天井フレーム接続具を介して連結される。前記天井フレーム接続具には、前記ボルト挿込穴を塞ぐ蓋部材が着脱可能に取り付けられるようにしてもよい。
【0014】
このような態様によれば、天井フレーム接続具を介して支柱と天井フレームとを容易かつ強固に連結できる。また、頭付きボルトの頭部を蓋部材で隠すようにすれば、良好な外観が得られる。また、蓋部材が着脱可能に取り付けられるため、上記頭付きボルトの緩み確認などのメンテナンスを容易に行える。特に、当該ブース状家具をオフィスに設置した状態において、作業性が良いことは利点である。
【0015】
さらに、前記蓋部材は、前記ボルト挿通孔に挿し込まれた前記頭付きボルトの頭部に弾性係合する係合片を備えているようにしてもよい。
【0016】
このような態様によれば、天井フレーム接続具のボルト挿込穴に挿し込まれた頭付きボルトの頭部を利用して蓋部材を天井フレーム接続具に取付可能なので、ボルト挿込穴の形状を簡素にして製造コストの上昇を抑制できる構成でありながら、蓋部材を天井フレーム接続具に確実かつ容易に取り付けることができる。
【0017】
また、前記蓋部材の露出面に文字又は図形が表示されているようにしてもよい。
【0018】
このような態様によれば、蓋部材は、天井フレーム接続具の外側湾曲面部という、使用者から見えやすい位置に取り付けられることから、蓋部材の露出面にデザインを施して美感を向上できるとともに、例えばメーカ名や商品名、商品コンセプト、キャッチコピーなどを表す文字や図形などを表示することで、高い宣伝及び広告効果が得られる。
【0019】
本発明のフレーム式ブース状家具において、前記支柱に設けたコンセント取付穴にコンセントが取り付けられており、前記コンセントから延びる配線ケーブルが、前記支柱内を通って、前記支柱の下部に設けた配線穴から前記支柱外へ引き出されているようにしてもよい。
【0020】
このような態様によれば、当該ブース式家具に設置される電気機器への電源供給を上記コンセントを介して行えるので、利便性が向上する。また、上記コンセントから延びる配線ケーブルは、支柱内を通って支柱下部から外部へ引き出されているので、配線ケーブルの垂れ下がりが露出せず、良好な外観が得られるとともに、配線ケーブルへの使用者の引っ掛かりを防止して安全性及び利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、加工が容易でコスト低減かつ加工時間短縮が可能なフレーム式ブース状家具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態を示す図であり、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【
図2】同実施形態を示す図であり、(A)は側面図、(B)は斜視図である。
【
図4】天井フレームを示す図であり、(A)は分離斜視図、(B)は
図1(A)のA-A視断面図である。
【
図5】天井フレーム接続具周辺を示す図であり、(A)は外側湾曲面部側から見た斜視図、(B)は内側湾曲面部から見た分離斜視図である。
【
図6】天井フレーム接続具周辺の縦断面図であり、(A)は蓋部材を装着した状態、(B)は蓋部材を装着前の状態を示す。
【
図7】蓋部材を示す図であり、(A)は露出面を示す平面図、(B)は正面図、(C)は底面図である。
【
図8】同実施形態の下部を示す図であり、(A)は一部を分離・省略して示す平面図、(B)は
図8(A)のB-B視断面図である。
【
図9】コーナーベース板と継手フレーム及び中間フレームとの関係を示す分離斜視図である。
【
図10】コーナーベース板及び継手フレームの分離斜視図であり、(A)は外側から見た図、(B)は内側から見た図である。
【
図11】継手フレームを示す図であり、(A)は外観図、(B)はアーム部を仮想線で示した斜視図である。
【
図12】支柱へのコンセント取付け状態を示す一部切欠き側面図である
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図3に示すように、本実施形態のフレーム式ブース状家具は、雲梯タイプであり、主要要素として、平面視四角形のベースフレーム1と、ベースフレーム1の内側に配置した四角形の上底板2と、ベースフレーム1の各コーナー部から立ち上がった4本の支柱3とを備えている。支柱3は中空の金属パイプ(鋼管)を使用している。
【0024】
隣り合った左右2本の支柱3の上端には、湾曲した左右の天井フレーム接続具9を介して左右の主天井パイプ5の左右外側端部を接続しており、左右の主天井パイプ5の左右中央側端部同士を上向き凸姿勢の天井パイプ間接続具6で接続している。したがって、アーチ状(略逆V形)のパイプ構造体が前後に配置されている。したがって、
図1(B)に示すように、本実施形態では、正面視(及び背面視)で家型五角形の形態が形成されている。
【0025】
前後の主天井パイプ5の相互間に前後長手の横桟天井パイプ7を接続している。前後2本の主天井パイプ5それぞれの軸方向中途部に2本の横桟天井パイプ7を間隔を空けて固着することで梯子形の天井パイプ組体8を形成しており、左右の天井パイプ組体8によって天井フレーム4を形成している。横桟天井パイプ7は断面円筒形であり、一般成人の身長よりも高い高さに配置されており、人がぶら下がることができる。主天井パイプ5及び横桟天井パイプ7には、鋼管のような金属パイプを使用している。
【0026】
支柱3の中途部に、家具の組立後に着脱可能なクランプ40を取り付け、左右2本の支柱3の間や前後2本の支柱3の間に、クランプ40を介して横桟41を架設できる。例えば、左右方向に延びる横桟41(前後方向に延びる横桟41でもよい)には、補助什器の一例としてのボード10(パネル)を取り付けることができる。ボード10は、筆記板として使用することもできるし、紙葉類を貼り付ける表示板として使用することもできる。或いは、全面が写真やポスターで構成されていてもよい。ボード10の上下側面の左右端部の4箇所に、上下2本溝を有する断面H字形の連結具42の上下一方の溝を嵌合し、上下他方の溝に横桟41を嵌め込み、上下2本の横桟41で連結具42を介してボード10を上下方向に挟み込むことで、ボード10が支持される。
【0027】
また、前後方向に延びる横桟41(左右方向に延びる横桟41でもよい)に、補助什器の一例としてのモニタ43を取り付けることができる。モニタ43の取付は、例えばモニタ43の背面に設けたモニタクランプ44を上下2本の横桟41に着脱可能に固定している。
【0028】
天井フレーム4の横桟天井パイプ7には、身体支持用補助具の一例としての吊り輪14を吊支している。
図1及び
図2では、吊り輪14は1つしか表示していないが、各横桟天井パイプ7に、それぞれ1つずつ又は複数ずつ取り付けられてもよい。
【0029】
また、本実施形態では、支柱3の上下中途部に設けたコンセント取付穴48にコンセント45(
図2(B)及び
図12参照)を埋設するように取り付け、モニタ43等の電気機器への電源供給が行えるように構成されている。コンセント45の配線ケーブル45aは、支柱3内を通って、支柱3下部に設けた配線穴46から支柱3外へ引き出されている。配線穴46には、ゴム製の配線穴キャップ47が取り付けられており、配線穴46への接触による配線ケーブル45aの摩耗及び破損が防止されている。なお、
図3において、支柱3に設けられるコンセント45の取付け穴及び配線穴46の図示は省略されている。なお、コンセント45に設ける端子接続用の差込穴は、電源プラグ用差込穴の他、電源用USBポートや、通信用LANポートなどの差込穴を設けることも可能である。
【0030】
次に、
図3及び
図4等を参照しながら、天井フレーム4について説明する。天井フレーム4は、梯子状に組まれた2つの天井パイプ組体8と、天井パイプ組体8同士を連結する前後一対の天井パイプ間接続具6とを備えている。天井パイプ組体8は、互いに略平行に設けた前後2本の主天井パイプ5と、前後の主天井パイプ5の中途部同士を2本の横桟天井パイプで連結した梯子形の形態を有する。
【0031】
天井パイプ間接続具6は、金属製(例えばアルミダイキャスト製又はスチール製など)であり、湾曲した基体部61と、基体部61の両端に設けた左右一対の小径部62とを備えている。小径部62は、主天井パイプ5の一端部51内に挿入可能な略円筒形に構成されている。小径部62の上面部(組立後のブース状家具において、上側に位置する面部)には、2つのねじ穴63が軸方向に間隔を空けて設けられる一方、主天井パイプ5の一端部51の上面部には、ねじ穴63に対応する2つのボルト挿通孔52が軸方向に間隔を空けて形成されている。
【0032】
主天井パイプ5の一端部51内に天井パイプ間接続具6の小径部62を挿入し、小径部62のねじ穴63に上方からボルト挿通孔52を介して皿ボルト71をねじ込むことで、主天井パイプ5の一端部51に天井パイプ間接続具6が固着される。ねじ穴63は、主天井パイプ5の外周側が大径の円錐形(いわゆる皿穴)に形成されており、皿ボルト71の頭部が主天井パイプ5の外周面から突出しないように構成されている。これにより、使用者が主天井パイプ5の一端部51周辺を掴んでも、使用者の手を怪我しないよう、安全性が高められている。また、ボルト挿通孔52は主天井パイプ5の上面部に設けられていることから、組立後のブース状家具において、使用者にはボルト挿通孔52及び皿ボルト71の頭部が見えることはなく、良好な外観が確保されている。
【0033】
次に、
図5~
図7等を参照しながら、支柱3と天井フレーム4との連結構造について説明する。上述のように、支柱3と天井フレーム4は、湾曲した天井フレーム接続具9を介して連結される。天井フレーム接続具9は、金属製(例えばアルミダイキャスト製又はスチール製など)であり、湾曲した基体部91と、基体部91の両端のそれぞれに設けた小径部92,93と、基体部91の外側湾曲面部91aに開口する凹状のボルト挿込穴94と、基体部91及び小径部92,93を貫通してボルト挿込穴94のボルト受座面95,96に開口するボルト挿通孔97,98とを備えている。小径部92,93は、天井フレーム4の主天井パイプ5の他端部53内又は支柱3の上端部3a内に挿入可能な略円筒形に形成されている。
【0034】
基体部91には、天井側小径部92内と天井側ボルト受座面95との間を貫通する孔が設けられ、その孔と小径部92内空間とで天井側ボルト挿通孔97が形成されている。主天井パイプ5の他端部53内には、ナット板54(ナット部材)が溶接にて固着されており、天井フレーム接続具9のボルト挿込穴94を介して天井側ボルト挿通孔97へ挿し込まれた頭付きボルト72がナット板54にねじ込まれることで、天井フレーム接続具9と主天井パイプ5(天井フレーム4)とが連結される。
【0035】
本実施形態では、天井側小径部92には、先端部外周面に設けた上下一対の切欠き面部92aと、先端面に設けた左右一対の突起部92bとが設けられている。ナット板54には、上下の切欠き面部92aを挟むように設けた上下一対の起立面部54aと、突起部92bが嵌り込む左右一対の切欠き凹部54bとが設けられている。切欠き面部92aと起立面部54aとを位置合わせし、突起部92bと切欠き凹部54bとを位置合わせすることで、天井フレーム接続具9を主天井パイプ5に所定の軸回り角度で取付け可能であるとともに、天井フレーム接続具9の主天井パイプ5軸回りの回動が規制されている。これにより、正面視で中央部上向き凸形の天井フレーム4に対して、天井フレーム接続具9を支柱側小径部93が下向きになるように容易に位置決め及び取付けできる。
【0036】
また、基体部91には、支柱側小径部93内と支柱側ボルト受座面96との間を貫通する孔が設けられ、その孔と小径部93内空間とで支柱側ボルト挿通孔98が形成されている。支柱3の上端部3a内には、ナット板3b(ナット部材)が溶接にて固着されており、天井フレーム接続具9のボルト挿込穴94を介して支柱側ボルト挿通孔98へ挿し込まれた頭付きボルト72がナット板3bにねじ込まれることで、天井フレーム接続具9と支柱3とが連結される。
【0037】
なお、頭付きボルト72は、例えばボタンボルトであり、頭付きボルト72の軸部にはスプリングワッシャ73が遊嵌されている。
図6に示すように、頭付きボルト72の頭部座面は、スプリングワッシャ73を介してボルト受座面95,96に着座しており、頭付きボルト72の頭部は、ボルト受座面95,96に対して突出している。
【0038】
図5及び
図6等に示すように、天井フレーム接続具9には、ボルト挿込穴94を塞ぐ蓋部材100が着脱可能に取り付けられる。ボルト挿込穴94に蓋部材100を取り付けることで、ボルト挿込穴94の内部及び頭付きボルト72の頭部が外観に表れないように構成されている。
【0039】
基体部91の外側湾曲面部91aに開口するボルト挿込穴94は、略扇形柱状に形成されており、主天井パイプ5の軸と略直交する天井側ボルト受座面95と、支柱3の軸と略直交する支柱側ボルト受座面96とを備えている。
【0040】
蓋部材100は、合成樹脂製であり、ボルト挿込穴94の開口部を塞ぐ蓋面部101と、蓋面部101の両端部に設けた係合片102とを備えている。蓋面部101は、ボルト挿込穴94の開口部に沿って湾曲しており、蓋部材100をボルト挿込穴94に取り付けた状態では蓋面部101の外側湾曲面が露出面になる。蓋面部101の両端部には、蓋部材100をボルト挿込穴94から取り外す際に、マイナスドライバー等の工具を差し込み可能な切欠き凹部106が形成されている。
【0041】
係合片102は、蓋面部101の内側湾曲面の両端部から蓋面部101の湾曲中心側へ向けて突出されており、ボルト挿込穴94のボルト受座面95,96に対峙するように設けられている。係合片102には、頭付きボルト72の頭部が嵌り込む係合凹部102aが形成されている。
【0042】
また、蓋面部101の内側湾曲面には、一対の係合片102の間に立設された一対の第1補強リブ103と、係合片102と第1補強リブ103とを連結する第2補強リブ104が立設されている。さらに、蓋面部101の内側湾曲面には、一対の第1補強リブ103の間に設けられた略U字形の第3補強リブ105が設けられている。
図7(B)に示すように、蓋面部101の中央部が弾性変形することで、一対の係合片102の先端部同士が互いに近づく方向へ変位可能に構成されている。
【0043】
蓋部材100をボルト挿込穴94に装着する際には、ボルト挿込穴94に挿入された係合片102の先端部が頭付きボルト72の頭部に接触する。蓋部材100をさらに押し込むと、蓋面部101が弾性変形することで係合片102の先端部が頭付きボルト72の頭部を乗り越え、係合凹部102aに頭付きボルト72の頭部が嵌り込んで、係合片102が頭付きボルト72の頭部に係合する。これにより、蓋部材100が天井フレーム接続具9のボルト挿込穴94に脱落不能に保持される。
【0044】
また、本実施形態では、蓋部材100において、係合片102の基端部が蓋面部101の端部とは間隔を空けて配置されている一方、ボルト挿込穴94において、ボルト受座面95,96の開口側端部に、蓋部材100の蓋面部101の端部が当接する段差部99が形成されており、上下の段差部99に蓋部材100の両端部(蓋面部101の両端部)を圧入することで、蓋部材100の押し込み量を制限するとともに、蓋部材100をボルト挿込穴94に確実に保持可能に構成されている。
【0045】
蓋部材100をボルト挿込穴94から取り外す際には、一方の切欠き凹部106に工具先端部を挿入し、蓋面部101の一端部を持ち上げることで、係合片102の先端部が蓋面部101の弾性に抗して頭付きボルト72の頭部を乗り越え、係合凹部102aと頭付きボルト72の頭部との係合が解除される。
【0046】
図6及び
図7に示すように、蓋部材100の蓋面部101の外側湾曲面(露出面)には、凸状の刻印107が形成されて、文字や図形が表示されている。本実施形態では、刻印107を含めて、蓋部材100の蓋面部101の外側湾曲面が天井フレーム接続具9の基体部91の外側湾曲面部91aから突出しないように構成されている。
【0047】
なお、刻印107は凹状のものであってもよい。また、蓋部材100の蓋面部101の外側湾曲面に表示される文字や図形の形成方法は、特に限定されず、例えば文字や図形を印刷したシールを蓋面部101の外側湾曲面に貼り付ける構成であってもよい。
【0048】
次に、ベースフレーム1と底部とを説明する。
図3及び
図8~
図11から理解できるように、ベースフレーム1は、コーナー部に配置されて支柱3を支持する継手フレーム22と、左右で隣り合った継手フレーム22の間に位置して前後の辺を構成する中間フレーム23とを有している。継手フレーム22は平面視で直交した2本のアーム部24を有しており、2本のアーム部24の交叉部に、支柱3が上から嵌まるロッド25が立設されている。
【0049】
アーム部24と中間フレーム23とは横長の角形鋼管で構成されており、両者には下向き開口コ字形のジョイント部材26が嵌まっている。すなわち、ジョイント部材26は、アーム部24と中間フレーム23とに跨がった状態、又は前後に隣接する一対のアーム部24に跨った状態で配置されている。ジョイント部材26は、C形のチャンネル材や角形鋼管を使用することも可能である。
【0050】
他方、フレーム式ブース状家具の底部は、カーペット状や人工芝状等の1枚の上底板2と、その下方に配置された多数の下台板(アクセスフロアユニット)27と、コーナー補強部材の一例としてコーナー部に配置された上下のコーナーベース板28,29で構成されている。下台板27及びコーナーベース板28,29は、平面視正方形で同じ大きさ、同じ高さに形成されており、これらで台部を構成して、その上に上底板2が張られている(或いは、載せられている。)。下台板27は、厚板状又は足付き板状であり、配線機能を持たせることも可能である。
【0051】
上底板2は、フローリング状とすることもできる。上底板2を複数に分離した構成とすることも可能である。上コーナーベース板28及び下台板27の上面を美粧処理しておくと、上底板2を無くすことも可能である。
【0052】
上下コーナーベース板28,29の間には、金属板製のスペーサ30が配置されている(なお、スペーサ30は金属製でなくてもよいし、ブロック構造であってもよい。)。スペーサ30は、中央部と四隅部との5か所に配置されていて、下コーナーベース板29には溶接又はビス止めで固定されている。
図5に示すように、上コーナーベース板28は、各スペーサ30にビス(皿ビス)31で固定されている。コーナーベース板28,29は平面視正方形に形成されており、各辺の長さは継手フレーム22のアーム部24内側面と同程度の長さになっている。
【0053】
そして、例えば
図9に示すように、下コーナーベース板29には、アーム部24の側面に重なる側片29aが形成されており、この側片29aとアーム部24とジョイント部材26とが、ボルト32で共締めされている。ジョイント部材26の内側面には、角棒材33が溶接で固定されており、この角棒材33に雌ねじを形成している。また、
図9及び
図10に示すように、アーム部24と中間フレーム23との連結部においては、アーム部24とジョイント部材26とがボルト32で共締めされる一方、中間フレーム23とジョイント部材26とが低頭ボルト38で共締めされる。低頭ボルト38を用いることで、ベースフレーム1枠内への下台板27の配置が阻害されないように構成されている。
【0054】
なお角棒材33に代えて六角ナット等のナットを使用してもよい。また、角棒材33にしてもナットにしてしも、必ずしもジョイント部材26に固定しておく必要はない。
図9に明示するように、上コーナーベース板28には、アーム部24と重ならない部位において下向きに突出した下向き側片28aを設けており、下向き側片28aは、下コーナーベース板29又は床面に乗るように設定している。
【0055】
本実施形態では、コーナーベース板28,29(特に下コーナーベース板29)は、2本のアーム部24を補強する役割を有している。このため、フレーム式ブース状家具のコーナー部での強度(すなわち支柱3の支持強度)は、格段に高くなっている。中間フレーム23及びアーム部24は、ゴム等の緩衝材34を介して床面に載置されている。
【0056】
図7に示すように、2本のアーム部24の接続部は上下の当て板35,36で挟まれており、上当て板35に支柱3の下端部が溶接で固定されている一方、下当て板36にはロッド25が溶接で固定されている。
【0057】
2本のアーム部24の当接部は45度にカットされており、両者の合わせ面に、それぞれロッド25に半分ずつ嵌まる半円穴が切り開き形成されている。そして、下当て板36が溶接されたロッド25を2本のアーム部24で挟んで、その状態を保持しつつ、2本のアーム部24の重合部(特に上面部と下面部)を溶接で接合している(ロッド25をアーム部24の上面に溶接してもよい。)。
【0058】
そして、フレーム式ブース状家具の組み立てに際しては、上当て板35が溶接された支柱3をロッド25に嵌め入れて、上当て板35をボルト37で下当て板36にねじ込んでいる。したがって、継手フレーム22には、ボルト37が嵌まる貫通穴が空いている。ロッド25の上端部には大径部25aを形成しており、この大径部25aが支柱3の内部にきっちり嵌まっている。
【0059】
図1~
図7等に示すように、上記実施形態のフレーム式ブース状家具は、床上に載置される枠状のベースフレーム1と、ベースフレーム1に立設された複数の支柱3と、それらの支柱3の上端同士を連結する天井フレーム4とを備え、例えばオフィスに設置されるものである。支柱3は、直線状のパイプで構成され、天井フレーム4は、複数の直線状の天井パイプ5,7で構成されている。そして、支柱3と天井フレーム4とが、湾曲した天井フレーム接続具9で連結されている。このように、支柱3及び天井フレーム4が、加工の容易な直線状のパイプで構成されているので、上記実施形態のフレーム式ブース状家具は、コスト低減と加工時間短縮を実現できる。さらに、湾曲した天井フレーム接続具9で支柱3と天井フレーム4とが連結されているので、天井フレーム4の天井パイプ5と支柱3とを天井フレーム接続具9の湾曲程度の設計に応じて所望の角度をなして連結できるとともに、支柱3と天井フレーム4との連結部に丸みをもたせることができ、使用者に柔らかい印象を与えてリラックスさせる効果が得られる。
【0060】
図1~
図4等に示すように、天井フレーム4は、互いに略平行に設けた2本の主天井パイプ5の中途部同士を1本以上(本実施形態では2本)の横桟天井パイプ7で連結した梯子形の天井パイプ組体8を備えている。このように、天井フレーム4において主天井パイプ5に交差する横桟天井パイプ7を設けることで、天井フレーム4の強度を向上できるとともに、使用者がぶら下がり可能な雲梯遊具状にした遊び心のある形態を得ることができ、使用者のリフレッシュ効果や気分転換効果を向上させることができる。なお、横桟天井パイプ7の本数は1本であってもよいし、3本以上であってもよい。
【0061】
図1~
図4等に示すように、天井フレーム4は、2つの天井パイプ組体8の主天井パイプ5同士が、湾曲した天井パイプ間接続具6で連結されて構成されている。2つの天井パイプ組体8を連結する天井パイプ間接続具6が上向き凸姿勢になるようにして天井フレーム4を支柱3に組み付けることで、正面視で家型五角形の形態を得ることができ、使用者に寛ぎ感や安心感を与え、リフレッシュ効果や気分転換効果をより向上させることができる。なお、天井フレーム4は1つの天井パイプ組体8で構成されてもよい。
【0062】
図6及び
図7等に示すように、天井フレーム接続具9は、湾曲した基体部91と、基体部91の両端のそれぞれに設けた小径部92,93と、基体部91の外側湾曲面部91aに開口する凹状のボルト挿込穴94と、基体部91及び小径部92,93を貫通してボルト挿込穴94のボルト受座面95,96に開口するボルト挿通孔97,98とを備えている。そして、ボルト挿込穴94を介してボルト挿通孔97,98へ挿し込まれた頭付きボルト72が支柱3及び主天井パイプ5の内部に固着したナット部材3b,54のそれぞれにねじ込まれることで、支柱3及び天井フレーム4が天井フレーム接続具9を介して連結される構成である。そして、天井フレーム接続具9には、ボルト挿込穴94を塞ぐ蓋部材100が着脱可能に取り付けられている。これにより、天井フレーム接続具9を介して支柱3と天井フレーム4とを容易かつ強固に連結できるとともに、頭付きボルト72の頭部を蓋部材100で隠すことができるので、良好な外観が得られる。
【0063】
図6及び
図7等に示すように、蓋部材100は、ボルト挿通孔97,98に挿し込まれた頭付きボルト72の頭部に弾性係合する係合片102を備えている。これにより、天井フレーム接続具9のボルト挿込穴94に挿し込まれた頭付きボルト72の頭部を利用して蓋部材100を天井フレーム接続具9に取付可能なので、ボルト挿込穴94の形状を簡素にして製造コストの上昇を抑制できる構成でありながら、蓋部材100を天井フレーム接続具9に確実かつ容易に取り付けることができる。
【0064】
図6及び
図7等に示すように、蓋部材100の蓋面部101の外側湾曲面(露出面)には、刻印107によって文字や図形が表示されている。蓋部材100は、天井フレーム接続具9の外側湾曲面部91aという、使用者から見えやすい位置に取り付けられることから、蓋部材100の露出面に例えばメーカ名や商品名、商品コンセプト、キャッチコピーなどを表す文字や図形などを表示することで、高い宣伝及び広告効果が得られる。
【0065】
図1、
図2及び
図12に示すように、支柱3に設けたコンセント取付穴48にコンセント45が取り付けられており、コンセント45から延びる配線ケーブル45aが、支柱3内を通って、支柱3の下部に設けた配線穴46から支柱3外へ引き出されている。これにより、上記ブース式家具に設置されるモニタ43などの電気機器への電源供給をコンセント45を介して行えるので、利便性が向上する。また、コンセント45から延びる配線ケーブル45aは、支柱3内を通って支柱3下部から外部へ引き出されているので、配線ケーブル45aの垂れ下がりが露出せず、良好な外観が得られるとともに、配線ケーブル45aへの使用者の引っ掛かりを防止して安全性及び利便性を向上できる。
【0066】
図3等に示すように、ベースフレーム1、支柱3及び天井フレーム4は、複数の継手フレーム22、中間フレーム23、支柱3、天井パイプ組体8に分離していて現場で組み立てるものであるため、運搬は容易であり、実用性に優れている。
【0067】
上記の実施形態では、フレーム式ブース状家具を平面視四角形に形成したが、フレーム式ブース状家具は、平面視円形など、四角形以外の平面視形状に形成することも可能である。円形の場合は、支柱の本数は任意に設定できる。平面視四角形の場合でも、大型の場合は、支柱3を辺の中途部に配置することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 ベースフレーム
3 支柱
4 天井フレーム
5 主天井パイプ
6 天井パイプ間接続具
7 横桟天井パイプ
8 天井パイプ組体
9 天フレーム接続具
45 コンセント
45a 配線ケーブル
46 配線穴
48 コンセント取付穴
54 ナット板(ナット部材の一例)
72 頭付きボルト
91 基体部
91a 外側湾曲面部
92 天井側小径部
93 支柱側小径部
94 ボルト挿込穴
95 天井側ボルト受座面
96 支柱側ボルト受座面
97 天井側ボルト挿通孔
98 支柱側ボルト挿通孔
99 段差部
100 蓋部材
101 蓋面部
102 係合片
102a 係合凹部
107 刻印(文字や図形の一例)