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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】通信端末、プログラム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A01K 79/00 20060101AFI20240307BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20240307BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20240307BHJP
   B63B 79/40 20200101ALI20240307BHJP
   G06Q 50/02 20240101ALI20240307BHJP
【FI】
A01K79/00 Z
H04M11/00 301
B63B49/00 Z
B63B79/40
G06Q50/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020173568
(22)【出願日】2020-10-14
(62)【分割の表示】P 2019239179の分割
【原出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021106568
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-12-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2018年12月27日ウェブサイト(https://isana.lighthouse-frontier.tech/、https://peraichi.com/landing_pages/view/nldts、および、https://scrapbox.io/Lighthouse-Official/)、2019年9月5日ウェブサイト(https://www.facebook.com/Lighthouse.Frontier/)、2019年9月17日ウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=eLEex_3zbY8、https://www.youtube.com/watch?v=WRCM-KLIUO0、https://www.youtube.com/watch?v=qUyGxF_rCXw、https://www.youtube.com/watch?v=K4pGdpukXTk、および、https://www.youtube.com/watch?v=nkmMNUfuF8c)、2019年9月22日ウェブサイト(https://www.youtube.com/watch?v=Hm1PQvRpZ_I)、その他4のウェブサイトにおいて、本願発明について公開しました。 2018年12月27日アプリケーションを実行可能な通信端末を顧客に提供することにより、本願発明について公開しました。
(73)【特許権者】
【識別番号】518075325
【氏名又は名称】株式会社ライトハウス
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】新藤 克貴
(72)【発明者】
【氏名】神戸 慎央
(72)【発明者】
【氏名】松野 洋介
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012024(JP,A)
【文献】特開2004-248642(JP,A)
【文献】特開2008-178325(JP,A)
【文献】特開2006-006217(JP,A)
【文献】特開2006-158239(JP,A)
【文献】国際公開第2020/021936(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 79/00
H04M 11/00
B63B 49/00
B63B 79/40
G06Q 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末であって、
前記通信端末は、船団で漁業を行う各船でセンシングされる情報を各船から無線通信を介して受信し、各船ではなく船外に設けられた情報処理装置と通信可能であり、
前記船団を構成する船は、前記センシングを行うために、前記船の位置を取得する位置情報取得装置と、魚群探知機と、ソナーと、船上の様子を撮影するカメラとを備え、
前記通信端末は、プロセッサと、メモリと、ディスプレイとを備え、
前記通信端末は、前記情報処理装置とは別体であり、
前記プロセッサは、
前記情報処理装置が前記船団を構成する各船から無線通信を介して受け付けた前記センシングされる情報を、前記情報処理装置から無線通信を介して受信する第1のステップと、
前記受信した情報に基づいて、前記ディスプレイに、操業中である前記船団の各船の少なくとも一部について当該船でセンシングされる情報を表示する第2のステップと、
前記ディスプレイに表示される前記船団の各船を指定する操作をユーザから受け付けることにより、当該指定された船について、当該指定された船でセンシングされる情報を表示する第3のステップと、を実行する、通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信端末、プログラム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
漁業を行う方法は様々あり、複数の船で役割分担をしつつ漁業を行う船団漁業者がいる。船団を構成する各船は、役割に応じて、魚群探知機などの様々な機材を搭載している。従来、網を張るなどの行動をするにあたり、無線機またはネットワークにより、各船で検知された情報を船間で共有することや、船間の人員で連絡を行うことが行われている。
【0003】
例えば、特開2006-006217には、網船、魚探船、および運搬船から成る巻き網船団等の漁船団による操業を支援するための漁船団の船間通信システムが記載される。魚探船は魚群を発見すると、魚群探知機の影像をデジタルカメラ等の画像変換手段を介して画像情報に圧縮して、位置情報ならびに海洋情報や気象情報と共に、移動通信ネットワークを経由して網船に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-006217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような船間通信システムには、船団内で情報をリアルタイムに共有するのではなく、魚探船が魚群を発見した場合のみ、魚探船の魚群探知機の影像を画像情報に圧縮して網船と共有する。その結果、魚群探知機の影像などを共有するか否かは、魚探船に乗船した漁師の判断に左右されるので、コミュニケーションロスが発生してしまい、有益な情報を確実に共有できないおそれがある。よって、船団内で情報共有をより効率的に行って、漁の判断を容易にする技術は望まれる。
【0006】
本開示は、漁業を行う船団内で情報共有を効率的に行いつつ、漁の判断を容易にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によると、通信端末であって、船団で漁業を行う各船でセンシングされる情報を各船から受信する情報処理装置と通信可能な通信端末が提供される。船団を構成する船は、センシングを行うために、船の位置を取得する位置情報取得装置と、魚群探知機と、ソナーと、船上の様子を撮影するカメラとのうちの少なくともいずれかを備え、通信端末は、プロセッサと、メモリと、ディスプレイとを備え、プロセッサは、情報処理装置が各船から受け付けたセンシングされる情報を、情報処理装置から受信する第1のステップと、受信した情報に基づいて、ディスプレイに、海図と、海図において船団の各船の位置を示す画像と、船団の各船の少なくとも一部について当該船でセンシングされる情報とを表示する第2のステップと、ディスプレイに表示される各船を指定する操作をユーザから受け付けることにより、当該指定された船でセンシングされる情報を表示する第3のステップと、を実行する。
【0008】
一実施の形態によると、プロセッサを備えるコンピュータに実行させるプログラムが提供される。コンピュータは、船団で漁業を行う各船でセンシングされる情報を各船から受信する情報処理装置と通信可能であり、船団を構成する船は、センシングを行うために、船の位置を取得する位置情報取得装置と、魚群探知機と、ソナーと、船上の様子を撮影するカメラとのうちの少なくともいずれかを備え、プログラムは、プロセッサに、情報処理装置が各船から受け付けたセンシングされる情報を、情報処理装置から受信する第1のステップと、受信した情報に基づいて、ディスプレイに、海図と、海図において船団の各船の位置を示す画像と、船団の各船の少なくとも一部について当該船でセンシングされる情報とを表示する第2のステップと、ディスプレイに表示される各船を指定する操作をユーザから受け付けることにより、当該指定された船でセンシングされる情報を表示する第3のステップと、を実行する。
【0009】
一実施の形態によると、プロセッサを備えるコンピュータにより実行される方法が提供される。コンピュータは、船団で漁業を行う各船でセンシングされる情報を各船から受信する情報処理装置と通信可能であり、船団を構成する船は、センシングを行うために、船の位置を取得する位置情報取得装置と、魚群探知機と、ソナーと、船上の様子を撮影するカメラとのうちの少なくともいずれかを備え、方法は、プロセッサが、情報処理装置が各船から受け付けたセンシングされる情報を、情報処理装置から受信する第1のステップと、受信した情報に基づいて、ディスプレイに、海図と、海図において船団の各船の位置を示す画像と、船団の各船の少なくとも一部について当該船でセンシングされる情報とを表示する第2のステップと、ディスプレイに表示される各船を指定する操作をユーザから受け付けることにより、当該指定された船でセンシングされる情報を表示する第3のステップと、を実行する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、漁業を行う船団内で情報共有を効率的に行いつつ、漁の判断を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】船団運営支援システム1の全体の構成を示す図である。
図2】第1の実施の形態の船団運営支援システム1を構成する通信端末10のブロック図である。
図3】第1の実施の形態の船団運営支援システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
図4】サーバ20が記憶する船情報データベース281、センシング結果データベース282のデータ構造を示す図である。
図5】第1の実施の形態の船団運営支援システム1により、船団内でセンシング結果を共有するフローチャートである。
図6】第1の実施の形態における通信端末10の画面例の図である。
図7】第1の実施の形態における通信端末10の画面例の図である。
図8】第2の実施の形態の船団運営支援システム1を構成するサーバ20の機能的な構成を示す図である。
図9】第2の実施の形態のサーバ20Bが記憶する船情報データベース281B、センシング結果データベース282Bのデータ構造を示す図である。
図10】第2の実施の形態の船団運営支援システムにより、船体リスクを管理するための機能を提供する流れの一例を示すフローチャートである。
図11】第2の実施の形態の船団運営支援システムにより、船団の操船を支援するための機能を提供する一例のフローチャートである。
図12】第2の実施の形態の船団運営支援システムにより、漁獲物の漁獲方法又は漁獲高を管理するための機能を提供する処理を示すフローチャートである。
図13】第2の実施の形態における通信端末10の画面例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0013】
<概要>
以下、漁業を行う船団の運営を支援する船団運営支援システム1について説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
<1 船団運営支援システム1の全体構成>
図1は、船団運営支援システム1の全体の構成を示す図である。
【0015】
船団運営支援システム1は、複数の船からなって漁業を行う船団内で、各船でセンシングされた情報を共有することで、船団の運営を支援するためのシステムである。図1に示すように、船団運営支援システム1は、複数の船30A、30Bに搭載されている通信端末10及びセンシング機器と、各船に通信可能なサーバ20とを含む。各船の上記センシング機器としては、魚群探知機11、ソナー12、位置情報取得装置13及びカメラ14などが挙げられる。船30A、30B及びサーバ20は、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。
【0016】
通信端末10は、船に搭載され、船団内で共有される情報を表示するためのデバイスである。通信端末10としては、例えば、スマートフォン、タブレット等、各ユーザが操作し、移動体通信システムに対応した携帯端末が挙げられる。この他に、通信端末10は、例えばウェアラブルデバイス、PC(Personal Computer)等であるとしてもよい。
【0017】
通信端末10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。通信端末10は、5G、LTE(Long Term Evolution)などの通信規格に対応した無線基地局、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11などの無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ等の通信機器と通信することによりネットワーク80に接続される。
【0018】
各船に搭載されているセンシング機器は、漁業を行うために有益な情報を取得するためのデバイスであり、魚群探知機11、ソナー12、位置情報取得装置13及びカメラ14のうちの少なくともいずれかを含む。上記各センシング機器は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。
【0019】
魚群探知機11は、船に搭載され、当該船の下の海中に向けて超音波を発射し、その反射波を捉えることで魚群を探すためのデバイスである。魚群探知機11は、海中の状況をレーダー映像のように捉え、魚群の分布状況、密集度、海面、海底の地形、水深などを、異なる形、濃度及び色合いで画面上に表示する。
【0020】
ソナー12は、船に搭載され、当該船の周囲方向の海中に向けて超音波を発射し、その反射波を捉えることで魚群を探すためのデバイスである。ソナー12は、海中の状況をレーダー映像のように捉え、魚群の映像及び海底の映像などを、異なる形、濃度及び色合いで画面上に表示する。
【0021】
位置情報取得装置13は、船に搭載され、船の位置を検出するセンサーであり、例えばGPS(Global Positioning System)モジュールである。GPSモジュールは、衛星測位システムで用いられる受信装置である。衛星測位システムでは、少なくとも3個または4個の衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて、GPSモジュールが搭載される船の現在位置を検出する。
【0022】
カメラ14は、船に設けられて、船上の様子を撮影するための装置である。例えば、カメラ14は、網船の上部に設けられ、網の送り出し及び巻き上げの作業を撮影したり、漁獲物を撮影したりする。
【0023】
なお、各船に搭載されているセンシング機器は、上記装置に限らず、海水温を測定する水温センサー、風向風速を測定する風向風速計などを含むとしてもよい。
【0024】
サーバ20は、各船から受信した情報を管理する装置である。サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。
【0025】
図1に示すように、サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0026】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、および、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、および、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路などにより構成される。
【0027】
<1.1 通信端末10の構成>
図2は、実施の形態1の船団運営支援システム1を構成する通信端末10のブロック図である。図2に示すように、通信端末10は、複数のアンテナ(アンテナ111、アンテナ112)と、各アンテナに対応する無線通信部(第1無線通信部121、第2無線通信部122)と、操作受付部130(タッチ・センシティブ・デバイス131およびディスプレイ132を含む)と、音声処理部140と、マイク141と、スピーカ142と、記憶部170と、制御部180とを含む。通信端末10は、図2では特に図示していない機能及び構成(例えば、電力を保持するためのバッテリー、バッテリーから各回路への電力の供給を制御する電力供給回路、GPSモジュールなどの位置情報センサなど)も有している。図2に示すように、通信端末10に含まれる各ブロックは、バス等により電気的に接続される。
【0028】
アンテナ111は、通信端末10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ111は、空間から電波を受信して受信信号を第1無線通信部121へ与える。
【0029】
アンテナ112は、通信端末10が発する信号を電波として放射する。また、アンテナ112は、空間から電波を受信して受信信号を第2無線通信部122へ与える。
【0030】
第1無線通信部121は、通信端末10が他の無線機器と通信するため、アンテナ111を介して信号を送受信するための変復調処理などを行う。第2無線通信部122は、通信端末10が他の無線機器と通信するため、アンテナ112を介して信号を送受信するための変復調処理などを行う。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、チューナー、RSSI(Received Signal Strength Indicator)算出回路、CRC(Cyclic Redundancy Check)算出回路、高周波回路などを含む通信モジュールである。第1無線通信部121と第2無線通信部122とは、通信端末10が送受信する無線信号の変復調や周波数変換を行い、受信信号を制御部180へ与える。
【0031】
操作受付部130は、ユーザの入力操作を受け付けるための機構を有する。具体的には、操作受付部130は、タッチスクリーンとして構成され、タッチ・センシティブ・デバイス131と、ディスプレイ132とを含む。
【0032】
タッチ・センシティブ・デバイス131は、通信端末10のユーザの入力操作を受け付ける。タッチ・センシティブ・デバイス131は、例えば静電容量方式のタッチパネルを用いることによって、タッチパネルに対するユーザの接触位置を検出する。タッチ・センシティブ・デバイス131は、タッチパネルにより検出したユーザの接触位置を示す信号を入力操作として制御部180へ出力する。
【0033】
ディスプレイ132は、制御部180の制御に応じて、画像、動画、テキストなどのデータを表示する。ディスプレイ132は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイによって実現される。
【0034】
音声処理部140は、音声信号の変復調を行う。音声処理部140は、マイク141から与えられる信号を変調して、変調後の信号を制御部180へ与える。また、音声処理部140は、音声信号をスピーカ142へ与える。音声処理部140は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク141は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部140へ与える。スピーカ142は、音声処理部140から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を通信端末10の外部へ出力する。
【0035】
記憶部170は、例えばフラッシュメモリ等により構成され、通信端末10が使用するデータおよびプログラムを記憶する。ある局面において、記憶部170は、船情報171を記憶する。
【0036】
船情報171は、船団運営支援システム1内の各船の情報である。船情報171としては、船名、船の役割、船の操業履歴、及び、船に搭載しているセンシング機器に関する情報が含まれる。詳細は後述する。
【0037】
制御部180は、記憶部170に記憶されるプログラムを読み込んで、プログラムに含まれる命令を実行することにより、通信端末10の動作を制御する。制御部180は、例えば予め通信端末10にインストールされているアプリケーションである。制御部180は、プログラムに従って動作することにより、入力操作受付部181と、送受信部182と、データ処理部183と、情報表示部184としての機能を発揮する。
【0038】
入力操作受付部181は、タッチ・センシティブ・デバイス131等の入力装置に対するユーザの入力操作を受け付ける処理を行う。入力操作受付部181は、タッチ・センシティブ・デバイス131に対してユーザが指などを接触させた座標の情報に基づき、ユーザの操作がフリック操作であるか、タップ操作であるか、ドラッグ(スワイプ)操作であるか等の操作の種別を判定する。
【0039】
送受信部182は、通信端末10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。
【0040】
データ処理部183は、通信端末10が入力を受け付けたデータに対し、プログラムに従って演算を行い、演算結果をメモリ等に出力する処理を行う。
【0041】
情報表示部184は、通信端末10がサーバ20から受信した情報をディスプレイ132に表示する処理等を行う。情報表示部184は、ユーザの指定により、表示内容を変更する。例えば、情報表示部184は、ユーザが指定した船1隻分(または複数の船)の魚探映像及び位置情報を表示する。
【0042】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図3は、サーバ20の機能的な構成を示す図である。図3に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0043】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0044】
記憶部202は、サーバ20が使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202は、船情報データベース281と、センシング結果データベース282等を記憶する。
【0045】
船情報データベース281は、船団運営支援システム1における各船に関する情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0046】
センシング結果データベース282は、各船の位置情報、魚探映像情報、カメラ画像など、各船でセンシングした情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0047】
制御部203は、サーバ20のプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして示す機能を発揮する。
【0048】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0049】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0050】
複数船表示モジュール2033は、船団内の複数の船でセンシングした情報を、通信端末10のディスプレイに表示する処理を制御する。例えば、サーバ20は、通信部201を介して、各船の魚群探知機で取得した魚探映像を各船から受信して、当該複数の船の魚探映像を、取得したタイミングで同期させて通信端末10のディスプレイに表示する。
【0051】
船指定受付モジュール2034は、通信端末10から、所定の船を指定するための指令を受け付ける処理を制御する。具体的には、通信端末10は、ユーザから、所定の船を指定するための操作を受け付けて指示の内容をサーバ20に送信し、船指定受付モジュール2034は、当該船を指示する指令を受け付ける。
【0052】
指定船表示モジュール2035は、ユーザが指定した船でセンシングした情報を、通信端末10のディスプレイに表示する処理を制御する。例えば、ユーザが魚探船を指定した場合に、当該ユーザが使用している通信端末10のディスプレイに、魚探船でセンシングした位置情報、魚探映像、ソナー映像、カメラ画像などを表示する。
【0053】
<2 データ構造>
図4は、サーバ20が記憶する船情報データベース281、センシング結果データベース282のデータ構造を示す図である。
【0054】
図4に示すように、船情報データベース281のレコードのそれぞれは、項目「船名」と、項目「役割」と、項目「操業履歴」、項目「搭載機器」等を含む。
【0055】
項目「船名」は、船団内の各船の名前を示す情報である。
名称である。
【0056】
項目「役割」は、それぞれの船が船団の操業において果たす役割を示す情報である。船の役割としては、例えば、魚群を探す「探索船」、魚群を捕獲する「網船」、及び、漁獲物を氷蔵して漁港に水揚げする「運搬船」と記録してよい。
【0057】
項目「操業履歴」は、それぞれの船の操業情報を示し、例えば、操業を行った時間と位置を記録する。
【0058】
項目「搭載機器」は、それぞれの船に搭載されているセンシング機器を示す情報である。例えば、探索船「第1丸」の位置情報取得装置(GPS)、魚群探知機、ソナー及びカメラが搭載されている場合に、「GPS、魚群探知機、ソナー、カメラ」と記録する。
【0059】
サーバ20は、それぞれの船の操業に伴って、船情報データベース281を更新する。
【0060】
センシング結果データベース282のレコードのそれぞれは、項目「船名」と、項目「日時」、項目「位置情報」と、項目「魚探映像」、項目「ソナー映像」、項目「カメラ画像」等を含む。
【0061】
項目「船名」は、船団内の各船を識別するための情報である。
【0062】
項目「日時」は、センシング結果の取得日時を示す情報である。サーバ20は、例えば、それぞれの船のセンシング機器により取得したセンシング結果を、所定の時間間隔(例えば、1分ごと)に受信して蓄積する。
【0063】
項目「位置情報」は、センシングのタイミングにおいて取得される、それぞれの船の位置情報の履歴を示す。例えば、サーバ20は、位置情報としては、緯度と経度からなるGPS座標を記録する。
【0064】
項目「魚探映像」は、それぞれの船の魚群探知機により取得され、魚群探知機の画面に表示される映像の履歴を示す。各船において、魚群探知機の画面には、魚群探知機がセンシングを行った結果がリアルタイムに映像として表示される。魚探映像には、魚群の分布状況、密集度、海面、海底の地形、水深などが含まれ、それぞれ、異なる形、濃度及び色合いで表示される。
【0065】
項目「ソナー映像」は、それぞれの船のソナーにより取得され、ソナーの画面に表示される映像の履歴を示す。各船において、ソナーの画面には、ソナーがセンシングを行った結果がリアルタイムに映像として表示される。ソナー映像には、魚群の映像及び海底の映像などが含まれ、それぞれ、異なる形、濃度及び色合いで表示される。
【0066】
項目「カメラ画像」は、それぞれの船のカメラにより取得され、船上の様子を撮影した画像の履歴を示す。各船において、当該カメラは、船上の様子をリアルタイムに撮影した撮影画像を出力する。
【0067】
各船でセンシングされた位置情報、魚探映像、ソナー映像、カメラ画像は、サーバ20との通信を介して、逐次、サーバ20に送信される。サーバ20は、上記情報を蓄積しながら、船団内の通信端末10に、これら蓄積した情報を送信する。これにより、各船において随時センシングされるセンシング結果を、各船で、ほぼリアルタイムに共有することができる。
【0068】
<3 動作>
以下、図5を参照しながら、船団運営支援システム1により船団内で情報を共有する処理について説明する。
【0069】
図5は、第1の実施の形態における船団運営支援システム1により、船団内で、船団を構成する各船でセンシングした情報を共有する流れの一例を示すフローチャートである。以下の例では、魚群探知機11、ソナー12、位置情報取得装置13及びカメラ14など、各船に搭載されているセンシング機器により取得したセンシング結果を、サーバ20を介して、各船に搭載されている通信端末10に共有して表示する処理について説明する。なお、センシング機器は上記魚群探知機11、ソナー12、位置情報取得装置13、カメラ14に限らず、漁りに有益な情報を取得することができる機器であればよい。
【0070】
ステップS521において、サーバ20は、各船のセンシング機器により取得したセンシング結果を、各船から受信して記憶部に蓄積する。ここでいうセンシング結果は、各船に搭載されている魚群探知機11、ソナー12、位置情報取得装置13及びカメラ14などのセンシング機器により取得した、魚探映像、ソナー映像、位置情報及びカメラ画像など、漁りに有益な情報である。各船のセンシング機器(上記の魚群探知機11等)は、サーバ20との通信により、上記センシング結果をサーバ20へ送信する。
【0071】
ステップS522において、サーバ20は、複数の船のセンシング結果を各船で共有するための情報(各船のセンシング結果)を、通信端末10へ送信する。
【0072】
ステップS511において、通信端末10は、サーバ20から、複数の船のセンシング結果を受信して、ディスプレイに表示する。具体的には、通信端末10は、サーバ20から受信した情報に基づいて、ディスプレイに、海図と、海図において各船の位置を示す画像と、船団の各船の少なくとも一部について当該船でセンシングされる情報とを表示する。
【0073】
海図には、船団が位置しているエリアの水路の状況、すなわち水深、底質、海岸地形、航路標識などが表示されている。各船の位置を示す画像は、例えば船形のアイコンであり、海図において各船の位置をユーザに提示する。また、それぞれの船は、異なる画像で表示されるとしてもよい。
【0074】
また、通信端末10は、複数の船のセンシング結果を表示するように、ディスプレイを複数のエリアに分割し、それぞれのエリアにおいて、各船のセンシング結果を表示する。例えば、船団は3隻の船で構成される場合に、ディスプレイは3列に分割され、それぞれの列に、船1隻分のセンシング結果を表示する。このように、3隻の船のセンシング結果は、時刻の同期をとりつつリアルタイムに船団内に共有される。
【0075】
ステップS512において、通信端末10は、ユーザから、ディスプレイに表示される各船から船を指定する操作をユーザから受け付ける。例えば、ステップS511において、ディスプレイに3隻の船のセンシング結果が同時に表示され、そして、ステップS512において、通信端末10は、ユーザから、これら3隻の船から、船を指定する操作を受け付ける。
【0076】
ステップS523において、サーバ20は、船を指定する操作に応答して、指定された船のセンシング結果を、通信端末10へ送信する。サーバ20がステップS523において送信する所定の船のセンシング結果は、ステップS523において送信する同一の船のセンシング結果よりも詳しい情報であってもよいし、同じ情報であってもよい。ステップS523において送信する同一の船のセンシング結果とは同じ情報を送信する場合に、ステップS523を行わないとしてもよい。
【0077】
ステップS513において、通信端末10は、指定された船のセンシング結果を受信して表示する。このように、通信端末10のディスプレイには、ユーザが指定した船のみのセンシング結果が表示される。
【0078】
上記一連の処理により、船団を構成する各船でセンシングした情報を船団内で共有する処理は完了される。
【0079】
上記処理によれば、各船のセンシング結果を船団内でリアルタイムに共有することができるとともに、ユーザが確認したい船のセンシング結果のみを表示することもできる。したがって、各船のセンシング結果を集約しつつ共有して、漁場の判断に有益な情報を提供して、船団の運営を支援することができる。
【0080】
<4 画面例>
図6図7は、本開示の第1の実施の形態における通信端末10の画面例を示す図である。以下の画面例では、センシング結果は、各船に搭載されている魚群探知機11、ソナー12、位置情報取得装置13及びカメラ14などのセンシング機器により取得した魚探映像、ソナー映像、位置情報及びカメラ画像を含む。
【0081】
図6の画面例(A)は、複数の船のセンシング結果を1つの画面に集約して表示し、船団内でリアルタイムに共有する局面を示す図である。
【0082】
画面例(A)に示すように、ユーザの通信端末10において、ディスプレイの画面が複数の列に分割され、それぞれの列には、船1隻分の情報が表示されている。また、各船については、船名及び当該船のセンシング結果が表示されている。例えば、画面例(A)には、通信端末10の画面が3列に分割され、それぞれの列に、船「第1丸」、「第2丸」及び「第3丸」の情報が表示されている。例えば、第3列に、船名「第3丸」、第3丸の位置情報を示す画像、及び第3丸のソナー画像が表示されている。
【0083】
通信端末10は、船団を構成する船の数量またはユーザの指定により、画面の表示態様を変更するとしてよい。例えば、通信端末10は、ユーザの設定により、画面の列の数を3列から2列に変更してもよい。
【0084】
また、通信端末10は、ユーザの指定により、画面に表示されるセンシング結果の種類を変更するとしてよい。例えば、ユーザの指定により、第1列には、船「第1丸」について魚探映像及びソナー映像が表示され、第3列には、船「第3丸」について位置情報及びソナー映像が表示されている。
【0085】
また、通信端末10は、所定の船を予め指定することにより、当該指定された船について、別の船とは異なるように表示する。例えば、画面例(A)に示すように、ユーザが船「第3丸」を予め指定した場合に、ディスプレイに複数の船を表示するとき、船「第3丸」に星印を付けて、別の船より識別しやすいように表示する。
【0086】
これにより、船団を構成する各船のセンシング結果を、船団内でリアルタイムに効率的に共有することができる。また、魚探映像、ソナー映像、位置情報及びカメラ画像など、これまで無線でのやり取りで大まかに把握していた情報は、リアルタイムに目視することができる。
【0087】
したがって、船団内の複数の船でセンシングしたデータを、1つの画面に集約してリアルタイムに共有し、一目で分かるようにすることができる。そのため、まき網・ひき網漁の際のコミュニュケーション不全を解消し、漁場の判断及び操業を容易にすることができる。
【0088】
図6の画面例(B)は、指定された船のセンシング結果を表示する局面を示す図である。画面例(A)におけるディスプレイに複数の船のセンシング結果が同時に表示され、これらの船からいずれかの船を指定すると、画面例(B)に遷移する。
【0089】
画面例(B)に示すように、ユーザの通信端末10において、指定された船1隻分のセンシング結果が表示される。例えば、ユーザが探索船(第1丸)の魚群探知機の画面を確認したい場合に、画面例(A)において第1丸を指定すると、面例(B)の画面の左半分には、船団内の各船の現在の位置が海図に表示され、右半分には、第1丸のソナー映像と魚探映像はリアルタイムに表示されている。また、通信端末10は、海図において、指定された船の位置を強調表示してよい。
【0090】
これにより、ユーザが表示したい船のセンシング結果のみをディスプレイに詳細に表示して、当該センシング結果をユーザに視認しやすいように共有することができる。
【0091】
図7の画面例(A)は、各船で取得した位置情報に応じて、所定時間帯における各船の航跡を表示する局面を示す図である。ここでいう所定時間帯の始点と終点は、予め設定される時刻(例えば、出港時刻又は現在時刻)であってもよいし、ユーザによって指定される任意の時刻であってもよい。
【0092】
例えば、図7の画面例(A)に示すように、通信端末10のディスプレイには、各船の現在時刻の位置と、現在時刻から過去3時間における航跡は海図に表示されている。また、各船の現在時刻の経度、緯度座標が表示されている。
【0093】
これにより、船団内の各船のリアルタイムの位置を共有することができるとともに、操業中に通った航路を共有して記録することができる。また、各船の位置、航跡を可視化することで、これまで無線でのやり取りで大まかに把握していた情報は、リアルタイムに目視することができる。そして、地図上に各船の航路が記録され続けるため、他の船が既に通った地点をもう一度探索することを避けることができる。
【0094】
また、図7の画面例(A)には、以下の情報をさらに表示する。
(i)通信端末10は、各船の航跡上の所定ポイントを指定する操作をユーザから受け付けることにより、当該ポイントに対応する時刻における当該船でセンシングされる情報を表示する。例えば、図7の画面例(A)に示すように、ユーザが航跡上の所定ポイントB1を指定する操作に応答して、サーバ20は、センシング結果データベース282を照合することで、ポイントB1の位置情報と、ポイントB1を通過した船でセンシングした情報とを関連付けて、船がポイントB1を通過した時刻と、当該時刻における魚探映像、ソナー映像及びカメラ画像などをユーザに対し表示する。
【0095】
これにより、センシング結果の記録を活用しつつ、航跡上の任意のポイントでセンシングした情報を確認し、操業に有益な情報を提供することができる。
【0096】
(ii)通信端末10は、海図上の所定地点を指定する操作をユーザから受け付けることにより、当該地点を強調表示するとともに、各船でセンシングされた情報と関連付けられて表示する。例えば、図7の画面例(A)に示すように、ユーザは既知の漁場であるB2を指定した場合、当該地点B2に星印を付けて識別しやすいように表示するとともに、各船の航跡と関連付けて表示する。
【0097】
これにより、確認したい地点を予め登録し、当該地点と、各船が当該地点の付近で操業しているときにセンシングした情報を表示して、センシング結果の記録を活用することができる。
【0098】
これにより、センシング結果の記録を活用しつつ、過去の任意時間帯の航跡を確認し、過去の操業の情報を見返すことができる。
【0099】
図7の画面例(B)は、所定の船について、当該船の漁獲記録を作成する局面を示す図である。
【0100】
図7の画面例(B)に示すように、通信端末10は、所定の船について、漁獲記録を作成するための操作をユーザから受け付けることにより、漁獲記録を当該船のセンシング結果と関連付けて、漁獲に関する情報を記録して表示する。例えば、画面例(B)において、ユーザは、地点C1において漁獲を行ったことを漁獲記録として通信端末10に入力する。この際に、通信端末10は、地点C1に魚マークを付けて、別の地点より識別しやすいように表示する。
【0101】
ユーザが漁獲記録を作成するときに入力する情報は、例えば、船名、漁獲を行った時間、漁獲物の種類、重量、数量(匹)、単価、漁具などの情報を含む。サーバ20は、船名及び漁獲を行った時間を、センシング結果データベース282と照合することにより、漁獲を行った地点と関連付けて、当該地点を自動的に関連する。また、ユーザは、漁獲を行った地点を漁獲記録の一部として直接に入力するとしてもよい。
【0102】
これにより、漁の成果を簡単に記録することができて、各操業日の漁獲高及びセンシング結果を関連付けて保存し、好きな時に見返すことができる。
【0103】
また、通信端末10は、海図において、漁獲記録を行った時刻から過去所定時間帯における航跡を、別の航跡とは異なるように表示するとしてよい。例えば、図7の画面例(B)に示すように、漁獲記録を行った地点C1と、漁獲記録を行った時刻から過去1時間の地点C2との間の航跡を、所定の色を付けるように、別の航跡とは異なるように表示する。
【0104】
これにより、漁獲するまでの船の航跡を容易に確認することができて、今後の操業に有益な情報として記録することができる。
【0105】
<小括>
以上のように、、第1の実施の形態によれば、漁業を行う船団内で情報共有を効率的に行いつつ、船団の操業を支援することができる。
【0106】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、漁業を行う船団内でセンシング結果を共有しつつ、船団の操業を支援する例について説明した。第2の実施の形態では、漁船の操業に関する様々な情報を蓄積して、ユーザの要求に応じて、特定な機能を提供する技術について説明する。
【0107】
上記特定な機能としては、具体的に以下の機能が挙げられる。
(i)特定の機能は、船舶の運用にかかるリスクを低減させるための機能である。船舶の運用にかかるリスクは、船体のリスク管理又は船員のリスク管理の機能である。
(ii)特定の機能は、船団の操船を支援するための機能である。船団の操船を支援するための機能は、船を自動航行させるための機能、又は、海図、海底地図の少なくともいずれかを提供する機能である。
(iii)特定の機能は、漁獲物の漁獲方法の管理、漁獲高の管理、または、流通の管理の少なくともいずれかのための機能である。これらの詳細については後述する。
【0108】
第2の実施形態により、漁船の操業に関する様々な情報を蓄積して、ユーザの要求に応じて、特定の機能を提供することができる。
【0109】
<構成>
<1 船団運営支援システム1の全体構成>
第2の実施の形態に係る船団運営支援システムの構成及び通信端末10の構成は、図1、3に示す構成と同様であるので、繰り返して説明しない。以下、第2の実施形態に係るサーバ20Bの構成について説明する。
【0110】
<1.1 サーバ20Bの構成>
図8は、サーバ20Bの機能的な構成を示す図である。図8に示すように、サーバ20Bは、通信部201Bと、記憶部202Bと、制御部203Bとしての機能を発揮する。
【0111】
通信部201Bは、サーバ20Bが外部の装置と通信するための処理を行う。
【0112】
記憶部202Bは、サ ーバ20Bが使用するデータ及びプログラムを記憶する。記憶部202Bは、船情報データベース281Bと、センシング結果データベース282B等を記憶する。
【0113】
船情報データベース281Bは、船団運営支援システム1における各船に関する情報を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0114】
センシング結果データベース282Bは、各船の位置情報、魚探映像情報、カメラ画像など、各船でセンシングしたセンシング結果を保持するためのデータベースである。詳細は後述する。
【0115】
制御部203Bは、サーバ20Bのプロセッサがプログラムに従って処理を行うことにより、各種モジュールとして示す機能を発揮する。
【0116】
受信制御モジュール2031Bは、サーバ20Bが外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0117】
送信制御モジュール2032Bは、サーバ20Bが外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0118】
センシング結果記憶モジュール2033Bは、各船でセンシングされるセンシング結果を記憶する処理を制御する。例えば、サーバ20Bは、通信部201を介して、各船でセンシングされる位置情報、魚探映像、ソナー映像及びカメラ情報などを記憶部202Bに記憶する。
【0119】
要求受付モジュール2034Bは、特定の機能の提供を要求するための指令を、ユーザから受け付ける処理を制御する。具体的には、通信端末10は、ユーザから、特定の機能の提供を要求するための操作を受け付けて、当該要求の内容をサーバ20Bに送信する。要求受付モジュール2034Bは、当該要求を受信する。
【0120】
機能提供モジュール2035Bは、ユーザに要求された機能を提供する処理を制御する。具体的には、サーバ20Bは、記憶部に蓄積されるセンシング結果に基づいて、ユーザに要求された機能機能をユーザの端末に提供する。例えば、ユーザが船体のリスクを管理する機能を要求した場合に、サーバ20Bは、各船でセンシングされるセンシング結果に基づいて、各船において異常が発生したか否かを検知し、検知結果をユーザの端末へ送信する。
【0121】
<2 データ構造>
図9は、サーバ20Bが記憶する船情報データベース281B、センシング結果データベース282Bのデータ構造を示す図である。
【0122】
図9に示すように、船情報データベース281Bのレコードのそれぞれは、項目「船名」と、項目「スベック」と、項目「母港」等を含む。
【0123】
項目「船名」は、船団内の各船の名前を示す情報である。
名称である。
【0124】
項目「スベック」は、それぞれの船の主要諸元データを示す情報である。例えば、スベックとしては、船の長さ、幅、深さ、計画総トン数、最大積載量、最大排水量などを記憶する。
【0125】
項目「母港」は、それぞれの船が拠点を置く港を示す。
【0126】
センシング結果データベース282Bのレコードのそれぞれは、項目「船名」と、項目「日時」、項目「位置情報」と、項目「魚探映像」、項目「カメラ画像」、項目「排気温度」、項目「風向風速」、項目「漁獲記録」等を含む。
【0127】
項目「船名」は、船団内の各船の名前を示す情報である。
【0128】
項目「日時」は、センシング結果の取得日時を示す情報である。サーバ20Bは、例えば、それぞれの船のセンシング機器により取得したセンシング結果を、1分ごとに受信して蓄積する。ここでいうセンシング機器は、例えば、魚群探知機、位置情報取得装置、カメラ、排気温度計、風向風速計などが挙げられる。
【0129】
項目「位置情報」は、それぞれの船のリアルタイムの位置情報を示す情報である。位置情報としては、緯度と経度からなるGPS 座標を記録してよい。
【0130】
項目「魚探映像」は、それぞれの船の魚群探知機により取得され、魚群探知機の画面に表示されるリアルタイムの映像である。魚探映像には、魚群の分布状況、密集度、海面、海底の地形、水深などは、異なる形、濃度及び色合いで表示される。
【0131】
項目「カメラ画像」は、それぞれの船のカメラにより取得され、船上の様子を撮影したリアルタイムの画像である。
【0132】
項目「排気温度」は、それぞれの船の排気温度を示す情報である。例えば、船のエンジンの排気口近傍に取り付けられている排気温度センサーにより、排気温度をリアルタイムに計測する。
【0133】
項目「風向風速」は、それぞれの船の航行時の風向と風速を示す情報である。船に取り付けられている風向風速計により、風向と風速をリアルタイムに計測する。
【0134】
項目「漁獲記録」は、それぞれの船の漁獲記録を示す情報である。漁獲記録は、漁師に入力される情報であってよいし、網を巻き上げるときのカメラ画像により取得した情報であってもよいし、漁獲物を計量する装置により取得した情報であってもよい。
【0135】
各船によるセンシング結果は、サーバ20Bとの通信を介して、リアルタイムにサーバ20Bに送信され、サーバ20Bは、上記情報を蓄積して更新する。
【0136】
<3 動作>
以下、図10、11、12を参照しながら、船団運営支援システム1により、サーバに記憶しているセンシング結果に基づき、ユーザが要求した特定の機能を提供する処理について説明する。ここで、特定の機能は、(i)船舶の運用にかかるリスクを低減させるための機能、(ii)船団の操船を支援するための機能、又は、(iii)漁獲物の漁獲方法の管理、漁獲高の管理、または、流通の管理の少なくともいずれかのための機能である。
【0137】
<実施例1>
図10には、船舶の運用にかかるリスクを低減させるための機能として、船体のリスクを管理するための機能を提供する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0138】
ステップS1021において、サーバ20Bは、各船のセンシング機器により取得したセンシング結果を、各船から受信して記憶部202Bに蓄積する。ここでいうセンシング結果は、各船に搭載されている魚群探知機、ソナー、位置情報取得装置、カメラ、排気温度計及び風向風速計などのセンシング機器により取得した、魚探映像、ソナー映像、位置情報、カメラ画像、排気温度、風向風速など、漁りに有益な情報である。各船のセンシング機器は、サーバ20Bとの通信により、上記センシング結果をサーバ20Bへ送信する。
【0139】
ステップS1011において、通信端末10は、ユーザから、船体のリスクを管理するための機能にかかる要求を受け付ける。通信端末10は、複数の特定の機能をユーザに提示し、ユーザが、船体のリスクを管理するための機能を選択した場合に、当該要求を受け付けて、船体のリスクを管理するための機能を提供するようにリクエストをサーバ20Bへ送信する。
【0140】
ステップS1022において、サーバ20Bは、通信端末10から、船体のリスクを管理するための機能にかかる要求を受信してから、記憶部202Bに蓄積しているセンシング結果から、船体のリスクを管理することと関連しているセンシング結果を抽出して処理する。
【0141】
例えば、船体のリスクとして、船体に異常が発生することがある。サーバ20Bは、各船の排気温度を、船体の異常検知と関連しているパラメータとして抽出し、予め設定した閾値と比較する。つまり、サーバ20Bは、船の排気温度が、想定される温度と異なる場合に、船体、または、船に搭載される各機器に何らかの異常が発生していると判定する。サーバ20Bは、記憶部202Bに蓄積している各船の排気温度が当該閾値を超えた場合に、センシング結果データベース282Bを照合し、異常が発生した船を特定する。又は、サーバ20Bは、排気温度を異常検知のパラメータとして抽出し、記憶部202Bに蓄積している各船の排気温度の、予め設定した正常値からの乖離度合いを機械学習の手法により算出するとしてもよい。
【0142】
ステップS1023において、サーバ20Bは、関連しているセンシング結果に基づき、異常検知の結果を通信端末10に送信する。例えば、ステップS1022において、サーバ20Bは、記憶部202Bに蓄積している排気温度に基づき、排気温度が閾値を超えて異常が発生したと判定した場合に、当該異常検知の結果を船団内の各通信端末10に送信する。また、サーバ20Bは、上記排気温度の正常値からの乖離度を船団内の各通信端末10に送信するとしてもよい。
【0143】
ステップS1012において、通信端末10は、サーバ20Bから、異常検知の結果を受信して表示する。
【0144】
上記一連の処理により、サーバに蓄積されているセンシング結果に基づき、船体のリスクを管理するための機能を提供する処理は完了される。
【0145】
ここで、サーバ20Bが、船体に異常が発生していることを検知するために、各船でセンシングされる別のパラメータを参照することとしてもよい。例えば、サーバ20Bは、船の排水温度のパラメータに基づいて、各船に異常が発生していることを検知してもよい。例えば、排水温度が、船体を運用する際に想定される温度と比較して異常に高い、または、異常に低い場合に、船体に何らかの異常が発生している(例えば、船体に搭載される所定の装置が正常に稼働していない等)ことを検知する。すなわち、サーバ20Bは、排水温度と、予め設定した閾値とを比較することにより、船体に異常が発生していることを検知する。
【0146】
また、サーバ20Bは、船体の各装置の稼働時間、各装置が稼働している際に発生する稼働音に基づいて、各船で異常が発生していることを検知することとしてもよい。例えば、サーバ20Bは、船体の装置として、エンジンの稼働時間、または、エンジンが稼働している際の稼働音の少なくともいずれかに基づいて、異常が発生していることを検知してもよい。サーバ20Bは、エンジンの稼働時間(エンジンを稼働させた累計の稼働時間、または、エンジンを連続して稼働させている時間等)と、予め設定した閾値とを比較して、エンジンに異常が発生する可能性を判定する。また、サーバ20Bは、エンジンの稼働音のセンシング結果と、エンジンが正常に稼働している場合の稼働音とを比較して一致度合いを判定することにより、エンジンに異常が発生していることを検知する。
【0147】
また、サーバ20Bは、以下のセンシング結果に基づいて、船体に異常が発生していることを検知することとしてもよい。
・油圧
・エンジン回転数
・バッテリ電圧
・燃料残量
・魚群探知機等の漁労機器のエラー
・船の状態情報(メンテナンス履歴、故障率など)
サーバ20Bは、各船のセンシング結果に基づいて、船体に異常が発生していることを検知して、船団を構成する各船の通信端末10に通知する。例えば、上記の例では、燃料残量の減少幅が、船団の航行で想定されるよりも大きい場合に、サーバ20Bが、船体に何らかの異常が発生していると検知してもよい。これにより、船団を構成する船に異常が発生していることを各船が共有することが容易となり、船体に異常が発生していることを前提として船団を運用するよう、各船の船員に促すことができる。
【0148】
また、サーバ20Bは、船体の撮影画像(船体に設置されるカメラの撮影画像)、船体に搭載される装置を撮影する撮影画像等に基づいて、画像認識を行うことにより、煙が発生していることを検出する。サーバ20Bは、当該煙が発生していることにより、船体に異常が発生していることを検知することとしてもよい。つまり、サーバ20Bは、船体に搭載される装置が異常な状態となって煙が発生していることにより、船体に異常が発生していることを検知する。
【0149】
また、サーバ20Bは、各船で撮影される撮影画像に基づいて、以下を撮影対象とすることにより、船体に異常が発生していることを検知してもよい。
・圧力計、回転数計などの計器類の撮影画像
船体に搭載されるこれら計器類を撮影するようにカメラ(または、カメラを搭載する通信端末10など)を設置し、サーバ20Bが、これらカメラの撮影画像を画像認識することにより、計器類の数値を監視する。当該計器類の数値が異常値を示す場合に、サーバ20Bが、船体の異常を検知する。
【0150】
これにより、ユーザの要求に応じて、異常検知の結果は、船団内の各船にリアルタイムに表示・共有される。そのため、ユーザの要求に応じて、センシング結果を活用しつつ、船体の異常を早期に発見して、船団の運営を支援することができる。
【0151】
図10には、船体の異常検知を例として、船体のリスクを管理するための機能を提供する流れを説明したが、船舶の運用にかかるリスクを低減させるための機能として、これに限らず、以下の例がさらに挙げられる。
【0152】
<実施例2>
船舶の運用にかかるリスクが、船体のリスク管理である場合、情報処理装置(サーバ20B)は、各船でセンシングされるセンシング結果、各船の性能に関する情報、各船の運航実績に関する情報の少なくともいずれかに基づいて、各船に提供する船舶保険を特定し、船舶保険の情報をユーザの端末へ送信する。
【0153】
例えば、サーバ20Bは、記憶部202Bに蓄積している排気温度が閾値を超えて異常が発生したと判定した場合に、異常が発生した船を特定し、船の性能に関する情報又は運航実績に関する情報に基づき、当該異常によって発生可能な損害を対象にする船舶保険を特定し、船舶保険の情報を当該船の端末へ送信する。
【0154】
これにより、ユーザの要求に応じて、センシング結果を活用しつつ、各船に適宜な船舶保険の情報を提示することができる。
【0155】
また、船舶の運用にかかるリスクが、船体のリスク管理である場合、サーバ20Bは、各船が何らかの物体と衝突したことを検知して通信端末10等へ通知する。例えば、各船に搭載されるカメラ、加速度センサ等に基づいて、サーバ20Bは、船が他の船と衝突することにより、通常の航行とは異なる動きをしたことを検出する。各船は、他の船または陸地と衝突することがあり得る。また、各船は、座礁することがあり得る。また、各船は、流木、氷塊、ブイ、定置網など海上または海中を漂う物体(浮遊物など)と衝突することがあり得る。サーバ20Bは、各船に搭載されるカメラ、加速度センサ、位置情報センサ等に基づいて、各船が衝突を起こしたことを検知する。
【0156】
また、船体のリスク管理をするため、サーバ20Bは、各船のセンシング結果に基づいて、各船が転覆していること、または、転覆しかかっていることを検知して通信端末10等へ通知する。例えば、サーバ20Bは、船に搭載される加速度センサ等の出力に基づいて、船が通常の航行では想定できないほど傾いていることを検知する。
【0157】
また、サーバ20Bは、船舶の運用にかかるリスクとして、漁網をまいた際に漁網が損傷してしまう可能性を判定し、判定結果を通信端末10等へ通知する。海域によっては、漁網をまいた際に、漁網が損傷するおそれがある。例えば、海底に沈没船などの人工物があり、当該人工物と漁網とが接触することにより、漁網が損傷するおそれがある。サーバ20Bは、各船のセンシング結果に基づいて海底地図を更新し、当該海底地図に基づいて(例えば、海底に沈没船などの人工物が存在することにより)、漁網が接触すると漁網が損傷する可能性を海域ごとに判定する。これにより、サーバ20Bは、例えば、通信端末10に対し、各船がいる海域(または、各船の近くの海域)において、漁網をまくことが好ましくない海域を通知する。
【0158】
また、サーバ20Bは、海象情報(波の高さ、海上風、潮流など)に基づき、各船が漁獲を行うか否かのタイミングを判定し、判定結果を通信端末10等へ通知することとしてもよい。例えば、ある漁場における波の高さの予測結果に基づいて、漁を行う危険度が高いタイミングについては各船を当該海域で安全に航行させることが困難であるため漁を行わないほうがよい、等と判定する。
【0159】
また、海域において漁獲される魚の大きさ、魚の量に対し、漁網の目が小さすぎると、漁網に大量の魚がかかることになってしまい、漁網がやぶれるおそれがある。つまり、サーバ20Bは、魚の大きさ及び魚の量に基づく評価パラメータと閾値とを比較することにより、海域において漁網をまいた際に漁網がやぶれる可能性を評価することができ得る。サーバ20Bは、各船のセンシング結果に基づいて(例えば、過去の各海域における漁獲結果の情報)、各海域において漁獲される魚の大きさ、魚の量を予測する。サーバ20Bは、当該予測結果に基づいて、通信端末10に対し、漁網をまいてよい海域の情報と、漁網をまいた際に漁網が損傷する可能性が一定値を超える海域の情報とを通知することができる。
【0160】
<実施例3>
船舶の運用にかかるリスクが、船員のリスク管理である場合、情報処理装置(サーバ20B)は、各船の船員の健康を管理する機能、労務を管理する機能の少なくともいずれかをユーザの端末へ提供する。情報処理装置(サーバ20B)は、各船のセンシング結果として、少なくとも、各船の船上を撮影するカメラの撮影画像を記憶部202Bに蓄積しており、撮影画像に基づいて、各船の船員の健康の状態、労務の状態を特定し、特定した結果をユーザの端末へ送信する。また、船上における船員の動きが、既定の行為であるか否かに基づいて、労務の状態を特定する。
【0161】
例えば、サーバ20Bは、通信端末10から、船員のリスク管理の機能に係る要求を受け付けた場合、記憶部202Bに蓄積しているセンシング結果から、各船の船上を撮影するカメラの撮影画像を抽出して、機械学習の手法により、各船員の動きを解析して、各船の船員の健康の状態、労務の状態を特定する。例えば、船員の健康状態、労務状態が悪化している際のカメラの撮影画像(または、船員の健康状態、労務状態が良好である際のカメラの撮影画像)に基づき学習済みモデルを生成することにより、各船のカメラの撮影画像と当該学習済みモデルとに基づいて、船員の健康の状態、労務の状態が適切であるか否かを評価することができる。また、例えば、カメラの撮影画像を抽出して解析し、網を巻き上げる時点で、各船員の動きが適切であるか否かを判断する。サーバ20Bは、当該解析、特定の結果を、通信端末10に送信して表示させる。
【0162】
ここで、サーバ20Bは、船員の健康状態、労務状態として、船員の疲労度合いが一定を超えているか否かを判定し、判定結果を通信端末10等に対し通知することとしてもよい。例えば、船員に疲労が蓄積していない状態における船員の動きのセンシング結果(カメラの撮影画像等)、また、船員に疲労が蓄積している度合いが高い状態の船員の動きのセンシング結果とをサーバ20Bが保持することにより(これらの情報に基づいて学習済みモデルを生成することにより)、サーバ20Bは、各船のセンシング結果に基づいて、船員の疲労の度合いを評価することができ得る。
【0163】
同様に、サーバ20Bは、船員が病気であるか否かを判定し、判定結果を通信端末10等に通知することとしてもよい。
【0164】
また、サーバ20Bは、船員の労務状態として、労働災害が発生したことを検知し、検知結果を通信端末10等に対し通知することとしてもよい。重大な労働災害としては、船員が船から海に落ちた(転落した)こと、船員が漁網にひっかかること等がある。サーバ20Bは、各船のカメラの撮影画像等のセンシング結果に基づいて船員を検出し、当該船員が海に転落したこと、漁網に船員が引っ掛かっていることを検知して、検知結果を通信端末10等に通知する。
【0165】
これにより、ユーザの要求に応じて、センシング結果を活用しつつ、各船の船員の健康の状態、労務の状態を把握し、船員のリスクを管理することができる。
【0166】
これらの他に、サーバ20Bは、以下の情報に基づいて、各船の船員の状態を管理することとしてもよい。
・人員の稼働率
・人員の給与
例えば、サーバ20Bは、船員が漁労を行っている日数に基づいて、船員の稼働率を特定することができる。
【0167】
<実施例4>
図11は、船団の操船を支援するための機能を提供する一例のフローチャートである。この例において、船団の操船を支援するための機能は、船を自動航行させるための機能である。
【0168】
ステップS1121において、サーバ20Bは、各船のセンシング機器により取得したセンシング結果を、各船から受信して記憶部202Bに蓄積する。ここでいうセンシング結果は、各船に搭載されている魚群探知機、ソナー、位置情報取得装置、カメラ、排気温度計及び風向風速計などのセンシング機器により取得した、魚探映像、ソナー映像、位置情報、カメラ画像、排気温度、風向風速など、漁りに有益な情報である。各船のセンシング機器は、サーバ20Bとの通信により、上記センシング結果をサーバ20Bへ送信する。
【0169】
ステップS1111において、通信端末10は、ユーザから、船を自動航行させるための機能にかかる要求を受け付ける。通信端末10は、複数の特定の機能をユーザに提示し、ユーザが船を自動航行させるための機能を選択した場合に、当該要求を受け付けて、船を自動航行させるための機能を提供するようにリクエストをサーバ20Bへ送信する。
【0170】
ステップS1122において、サーバ20Bは、通信端末10から、船を自動航行させるための機能にかかる要求を受信してから、記憶部202Bに蓄積しているセンシング結果から、船を自動航行させるための機能と関連しているセンシング結果を抽出して処理する。
【0171】
例えば、サーバ20Bは、記憶部202Bに蓄積しているセンシング結果から、風速データ、風向データ、船速データ、船の現在の位置情報及び母港の位置を抽出して、燃料消費量が削減できる最適な航路を決定する。
【0172】
ステップS1123において、サーバ20Bは、関連しているセンシング結果に基づき、船を自動航行させるための情報を通信端末10に送信する。例えば、ステップS1122において、サーバ20Bは、記憶部202Bに蓄積しているセンシング結果に基づき、燃料消費量が削減できる最適な航路を決定した上で、ステップS1123において、サーバ20は、当該最適な航路を生成して通信端末10に送信する。
【0173】
ステップS1112において、通信端末10は、サーバ20Bから、船を自動航行させるための情報を受信して表示する。
【0174】
上記一連の処理により、サーバに蓄積されているセンシング結果に基づき、船を自動航行させるための機能を提供する処理は完了される。
【0175】
これにより、ユーザの要求に応じて、船を自動航行させるための情報は、リアルタイムに生成されてユーザに対し表示される。そのため、ユーザの要求に応じて、センシング結果を活用しつつ、船を自動航行させるための情報を提供することができる。
【0176】
図11には、船を自動航行させることを例として、船団の操船を支援するための機能を提供する流れを説明したが、船団の操船を支援するための機能はこれに限らず、以下の処理がさらに挙げられる。
【0177】
<実施例5>
船団の操船を支援するための機能は、海図、海底地図の少なくともいずれかを提供する機能であり、情報処理装置(サーバ20B)は、各船でセンシングされるセンシング結果に基づいて、海図、海底地図の少なくともいずれかを更新し、更新された海図、海底地図の少なくともいずれかをユーザの端末(通信端末10)へ送信する。
【0178】
例えば、サーバ20Bは、記憶部202Bに蓄積している魚探映像及びソナー映像に基づき、海底の様子に関するデータを抽出することで、海底地図を更新し、更新された海底地図を通信端末10へ送信する。又は、サーバ20Bは、船の過去の航跡に基づき、海図に関するデータを抽出することで、海図を更新し、更新された海図を通信端末10へ送信する。
【0179】
これにより、ユーザの要求に応じて、センシング結果を活用しつつ、海図又は海底地図を提供することができる。ここで、サーバ20Bは、各船において随時センシングされた結果に基づき海図、海底地図を更新するため、通信端末10に対し、直近のセンシング結果に基づいた海図、海底地図を提供することができる。
【0180】
以上の例の他に、船団の操船を支援するための機能として、サーバ20Bは、海域の潮流、風速等の情報に基づいて船団の燃料消費量(つまり、船団を航行させる燃料費というコスト要因)を予測することと、海域における漁獲高を予測することと、海域において漁獲を行っている他の船団の情報等に基づいて、船団の航行方法(船団の航行ルート、航行速度など)を通信端末10等に通知することとしてもよい。例えば、ある漁場において、漁獲を行う競争相手が複数いる場合(船団が複数ある場合)、特定の漁場については他の船団よりも早く漁場に到着することで見込まれる漁獲高(例えば、競争相手がいない状態であれば見込まれる漁獲高)と、当該早く漁場に到着するために消費する燃料消費量(船団の航行速度を上げることで大量の燃料を消費する可能性がある)とに基づいて、航行方法を通信端末10等のユーザに提案することとしてもよい。例えば、通信端末10等において、漁獲高(いわば、見込まれる売上)と、燃料消費量(いわば、見込まれるコスト)とを含む航行方法を複数パターンにわたって画面に表示することにより、ユーザから航行方法のパターンの指定を受け付けるとする。この場合、通信端末10等は、ユーザから受け付けた航行方法に基づいて自動航行するよう各船の航行を制御することとしてもよい。つまり、サーバ20Bは、漁業従事者に対し、漁獲高および燃料消費量に基づいて、利益が最大化するような航行方法を提案することができる。
【0181】
また、船団の航行を支援するための機能として、気象情報、海象情報(波の高さ、海上風、水温など)を通信端末10等へ提供することとしてもよい。例えば、海象情報として、水温の情報は、漁場の予測を行うことに参照され得る。また、サーバ20Bが、海象情報として、潮流の情報(潮流の予測結果)を通信端末10等へ提供する場合、潮流の情報に基づき各船の航行方法を提案または決定することができ得る。例えば、各船が、漁獲に有利な徐行にいち早くたどり着くために、サーバ20Bが、潮流の情報を参照することとしてもよい。
【0182】
<船団の操船を支援するための機能の、他の例>
サーバ20Bは、船団の操船を支援するための機能として、船団の各船のいずれかから他の船への指示内容を出力する機能を提供することとしてもよい。
【0183】
このような指示内容としては、船団の各船のいずれかの通信端末10から、航行に関する指示を、船団の各船へと送信することを含む。例えば、船団の各船のいずれかにおいて、ユーザが、海図上に、船を移動させる目標となる目標点(点の情報)、船を航行させる目標となる航路(線の情報)、船を航行させる速度などの指示内容を通信端末10において指定するとする。当該船の通信端末10からサーバ20Bへ当該指示内容が送信され、サーバ20Bが、船団の各船へ通知する。これにより、各船において、ある船からの指示内容が的確に共有される。各船は、このように受信した指示内容に基づいて、自動航行などを設定することとしてもよい。
【0184】
また、このような指示内容としては、船団の各船のいずれかの通信端末10から、漁のタイミングに関する指示を、各船へと送信することを含む。例えば、船団の各船のいずれかにおいて、ユーザが、網を投入するタイミング、網を引き上げるタイミングなど漁のタイミングに関する指示内容を通信端末10において指定したとする。これにより、各船に、ある船からの指示内容が共有され、文字情報、音声、映像などにより、これら網を投入するタイミングが共有される。
【0185】
<実施例6>
図12には、漁獲物の漁獲方法又は漁獲高を管理するための機能を提供する処理を示すフローチャートである。
【0186】
ステップS1121において、サーバ20Bは、各船でセンシングされる結果に基づき、海域の情報と、当該海域において特定の魚を獲った漁獲方法又は漁獲高に関する情報とを記憶部202Bに蓄積させる。なお、通信端末10が、漁獲高に関する情報の入力(どの海域で、どれだけの漁獲量があったか等)をユーザから受け付けて、受け付けた当該漁獲高に関する情報をサーバ20Bへ送信することにより、サーバ20Bで各海域の漁獲高に関する情報を管理することとしてもよい。
【0187】
例えば、サーバ20Bは、1回の操業で漁獲した漁獲物について、各船でセンシングされる位置情報、網を巻き上げるときのカメラ画像、又は漁獲物を計量する装置により取得した情報に基づき、漁獲を行った海域の情報と、当該海域において特定の魚を獲った漁獲方法又は漁獲高に関する情報とを蓄積させる。
【0188】
ステップS1211において、通信端末10は、ユーザから、漁獲物の漁獲方法又は漁獲高を管理するための機能にかかる要求を受け付ける。通信端末10は、複数の特定の機能をユーザに提示し、ユーザが漁獲物の漁獲方法又は漁獲高を管理するための機能を選択した場合に、当該要求を受け付けて、漁獲物の漁獲方法又は漁獲高を管理するための機能を提供するようにリクエストをサーバ20Bへ送信する。
【0189】
ステップS1222において、サーバ20Bは、通信端末10から、漁獲物の漁獲方法又は漁獲高を管理するための機能にかかる要求を受信してから、記憶部202Bから、海域の情報と、当該海域において特定の魚を獲った漁獲方法又は漁獲高に関する情報とを抽出して処理する。
【0190】
ステップS1123において、サーバ20Bは、各海域における漁獲方法又は漁獲高が適切であるか否かを判定し、判定結果をユーザの端末へ送信する。判定の基準は、例えば、漁獲を行った海域の水産資源管理措置であってよい。
【0191】
ステップS1112において、通信端末10は、サーバ20Bから、各海域における漁獲方法が適切であるか否かについての判定結果を受信して表示する。
【0192】
また、サーバ20Bの制御部203Bは、判定結果に基づいて、各海域における漁獲方法又は漁獲高が適切であることの認証を行うとしてもよい。例えば、サーバ20Bは、各海域において許可されている漁獲方法、漁獲高の情報を記憶部202Bにおいて管理しており、各船のセンシング結果に基づいて、当該船の漁獲方法、漁獲高が適切であるか(許可されている範囲内にとどまっているか)を判定する。なお、サーバ20Bは、漁獲高が適切であることの他に、漁獲物の認証(MSC(登録商標):Marine Stewardship Councilの認証、水産エコラベル、マリンエコラベル(登録商標)の認証など)を行うこととしてもよい。サーバ20Bは、各海域において正当に漁獲された漁獲物であることの認証を行うこと、また、これら認証を行うための機能、認証を取得するためのコンサルティングサービスをユーザに提供することとしてもよい。例えば、漁獲物の撮影画像に基づいて、サーバ20Bが、漁獲物の認証を行うこととしてもよい。
【0193】
上記一連の処理により、漁獲物の漁獲方法又は漁獲高を管理するための機能を提供する処理は完了される。
【0194】
これにより、ユーザの要求に応じて、各海域における漁獲方法又は漁獲高が適切であるか否についての判定結果をユーザに表示される。そのため、ユーザの要求に応じて、センシング結果を活用しつつ、漁獲物の漁獲方法又は漁獲高を管理することができる。
【0195】
図11には、漁獲物の漁獲方法又は漁獲高を管理する流れを説明したが、これに限らず、以下の処理がさらに挙げられる。
【0196】
<実施例7>
特定の機能が、漁獲物の流通の管理のための機能である場合、情報処理装置(サーバ20B)は、各船の漁獲高の情報を記憶部202Bに蓄積させ、ユーザの端末に、各漁港と関連付けて、漁獲高に関する情報を提供する。サーバ20Bの制御部203Bは、ユーザの端末(例えば、魚の仕入れを行うユーザの端末)に対し、漁獲高に関する情報として、獲られた魚の種類および量の情報を提供し、ユーザの端末から、当該魚を購買するための操作を受け付ける。
【0197】
例えば、サーバ20Bは、各船の漁獲高の情報を記憶部202Bに蓄積させ、漁獲高に関する情報を各漁港に送信する。各漁港のユーザは、通信端末10を用いて、当該漁獲物を競りで購買するための操作を入力する。
【0198】
これにより、ユーザの要求に応じて、センシング結果を活用しつつ、漁獲物の流通を容易にすることができる。つまり、各船から漁獲高の情報がサーバ20Bに提供されることにより、ユーザの端末から当該魚を購買するための操作を受け付けることが可能となるため、各船が帰港する途中(つまり、各船の魚が漁港に到着する前)において魚の購買を行うことが可能となる。ここで、サーバ20Bは、当該魚の情報を、複数のユーザの端末へ通知することとしてもよい。各ユーザの端末において、当該魚を競り落とすための金額の指定をユーザから受け付ける。これにより、漁港に魚が入る前に、当該魚を競りにかけることができ得る。そのため、各船から、魚を仕入れるユーザへ、当該魚を引き渡す期間を短縮化しうることとなり得る。また、サーバ20Bは、このように、各船で漁獲された魚の情報と、漁獲を行った漁師の情報と、当該魚を購入した購入者の情報と、当該購入した魚を二次流通により獲得した業者の情報等を管理することとしてもよい。例えば、サーバ20Bは、漁師が漁獲した魚を消費者が消費するまでの過程の各流通事業者の情報を記録してブロックチェーン技術により管理することとしてもよい。サーバ20Bは、各流通事業者が魚の購買を行うための環境(例えば、魚の購入処理を行うための画面など)を用意することにより、漁師が漁獲した魚が、どのような二次流通業者を経て最終消費者へと届けられたかを管理することができ、最終消費者に対し、どの漁師が漁獲した魚であるかという追跡可能性(トレーサビリティ)を提供することができる。
【0199】
<4 画面例>
図13は、本開示の第2の実施の形態における通信端末10の画面例を示す図である。図13は、ユーザから、特定の機能にかかる要求を受信することに応じて、サーバ20Bの記憶部202Bに蓄積されるセンシング結果に基づいて、当該機能をユーザの端末に提供するための処理を示す。
【0200】
図13の画面例(A)は、複数の特定の機能をユーザに提示する局面を示す図である。図13の画面例(A)に示すように、通信端末10のディスプレイは、2つのエリアB1、B2に分割され、エリアB1には自船の船名が表示され、エリアB2には、提供可能な機能を示す「機能一覧」をユーザに提示する。
【0201】
「機能一覧」は、船体リスク管理機能、船員リスク管理機能、自動航行機能、海図作成機能、漁獲管理機能、及び漁獲物流通管理機能を含む。いずれかの機能を選択することにより、当該機能にかかる要求が受け付けられる。例えば、ユーザが「船体リスク管理」の機能を選択すると、通信端末10の表示画面は画面例(B)に遷移する。なお、ユーザが上記のいずれかの機能を選択する操作によらず、通信端末10において、特定の機能についてユーザに提供する(特定の機能を利用するための画面を表示する)こととしてもよい。
【0202】
図13の画面例(B)は、ユーザの要求に応じて、船体リスク管理機能をユーザに提供する局面を示す図である。画面例(B)に示すように、エリアB3には、サーバに記憶されているセンシング結果に基づいて生成した通知が表示され、当該通知は、船体リスクに関する通知である。例えば、画面例(B)には、船の排気温度が正常値を超過して、エンジンの異常にかかる船体リスクをユーザに通知する。このように、通信端末10は、船体リスク管理の機能を提供する。また、画面例(B)には、画面例(A)に示す「機能一覧」画面へ戻るためのボタンB4がある。
【0203】
図13の画面例(C)は、ユーザの要求に応じて、自動航行機能をユーザに提供する局面を示す図である。ユーザが画面例(A)における「自動航行」の機能を選択すると、通信端末10の表示画面は画面例(C)に遷移する。
【0204】
画面例(C)に示すように、エリアB5には、サーバに記憶されているセンシング結果に基づいて生成した通知が表示され、当該通知は、船を自動航行させるための情報である。例えば、画面例(C)には、記憶部に蓄積している風速データ、風向データ、船速データ、船の現在の位置情報及び母港の位置に基づき、燃料消費量が削減できる最適な航路を生成し、当該航路に関する情報をユーザに提示する。また、画面例(C)には、画面例(A)に示す「機能一覧」画面へ戻るためのボタンB4がある。
【0205】
図13の画面例(D)は、ユーザの要求に応じて、漁獲管理機能をユーザに提供する局面を示す図である。ユーザが画面例(A)における「漁獲管理」の機能を選択すると、通信端末10の画面は画面例(D)に遷移する。
【0206】
画面例(D)に示すように、エリアB6には、サーバに記憶されているセンシング結果に基づき、各海域における漁獲方法又は漁獲高が適切であるか否かについての判定結果が表示される。例えば、各船は、漁獲に使用した漁具、漁法、操業期間や場所、漁獲サイズをセンシングしてサーバに蓄積して、これらの情報により、漁獲が適切かどうかを判定し、判定結果をユーザに表示する。また、画面例(D)には、画面例(A)に示す「機能一覧」画面へ戻るためのボタンB4がある。
【0207】
<小括>
以上のように、第2の実施の形態によれば、漁船の操業に関する様々な情報を蓄積して、ユーザのニーズに応じて、特定な機能を提供することができる。
【0208】
<変形例>
サーバ20Bは、上記のように各船でセンシングされるセンシング結果に基づいて、これら情報、および、これら情報の分析結果を、漁業を行う事業者の経営に資する情報として提供することとしてもよい。サーバ20Bは、経営に資する情報を、ユーザに対し、閲覧可能に提供させる機能、経営に資する情報を管理する機能、分析できる機能を提供することとしてもよい。つまり、各船を航行させることでセンシングされる各種データ(漁船の稼働時間、燃料消費量、船員数、その他の各情報)に対し、ユーザが特定の情報を指定して比較できる機能を提供することにより、経営情報を提供することとしてもよい。
【0209】
また、サーバ20Bは、これら各船からセンシングされるセンシング結果を、時系列データとして扱うことにより、学習済みモデルを生成する。サーバ20Bは、当該学習済みモデルを用いて、漁業を行う事業者の漁業活動のコンサルティングサービスを提供することとしてもよい。、また、コンサルティングサービスを提供する事業者が、サーバ20Bにより管理される各種センシング結果に基づいて、漁業活動のコンサルティングサービスを提供することとしてもよい。
【0210】
<付記>
以上の各実施の形態で説明した事項を以下に付記する。
【0211】
(付記1)通信端末(10)であって、通信端末(10)は、船団で漁業を行う各船(1A、1B)でセンシングされる情報を各船から受信する情報処理装置(20)と通信可能であり、船団を構成する船は、センシングを行うために、船の位置を取得する位置情報取得装置(13)と、魚群探知機(11)と、ソナー(12)と、船上の様子を撮影するカメラ(14)とのうちの少なくともいずれかを備え、通信端末(10)は、プロセッサと、メモリと、ディスプレイとを備え、プロセッサは、情報処理装置が各船から受け付けたセンシングされる情報を、情報処理装置から受信する第1のステップ(S531)と、受信した情報に基づいて、ディスプレイに、船団の各船の少なくとも一部について当該船でセンシングされる情報とを表示する第2のステップ(S531)と、ディスプレイに表示される各船を指定する操作をユーザから受け付けることにより、当該指定された船でセンシングされる情報を表示する第3のステップ(S532、S533)と、を実行する、通信端末(10)。
【0212】
(付記2)各船でセンシングされた位置情報に基づいて、所定時間帯における各船の航跡を表示する、(付記1)に記載の通信端末。
【0213】
(付記3)ディスプレイに表示される各船の航跡上の所定ポイントを指定する操作をユーザから受け付けることにより、当該ポイントに対応する時刻における当該船でセンシングされる情報を表示する、(付記2)に記載の通信端末。
【0214】
(付記4)第2のステップにおいて、所定の船を予め指定することにより、当該指定された船について、別の船とは異なるように表示する、(付記1)又は(付記2)に記載の通信端末。
【0215】
(付記5)海図上の所定地点を指定することにより、当該地点を、各船でセンシングされた情報と関連付けられて表示する、(付記1)から(付記4)のいずれか一項に記載の通信端末。
【0216】
(付記6)所定の船について、当該船の漁獲記録を作成するための操作をユーザから受け付ける、(付記1)に記載の通信端末。
【0217】
(付記7)海図において、漁獲記録を行った地点を、別の地点とは異なるように表示する、(付記6)に記載の通信端末。
【0218】
(付記8)海図において、漁獲記録を行った時刻から過去所定時間帯における航跡を、別の航跡とは異なるように表示する、(付記6)に記載の通信端末。
【符号の説明】
【0219】
10 通信端末、20 サーバ、30A、30B 船、11 魚群探知機、12 ソナー、13 位置情報取得装置、14 カメラ、281 船情報データベース、281 センシング結果データベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13