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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-06
(45)【発行日】2024-03-14
(54)【発明の名称】調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/00 20060101AFI20240307BHJP
   A47J 27/14 20060101ALI20240307BHJP
【FI】
A47J27/00 102
A47J27/14 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020161309
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022054236
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100137143
【弁理士】
【氏名又は名称】玉串 幸久
(72)【発明者】
【氏名】松隈 修
(72)【発明者】
【氏名】門脇 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】木村 隆之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 基次
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-93947(JP,A)
【文献】特開2015-13666(JP,A)
【文献】特開2017-140289(JP,A)
【文献】特開2008-73309(JP,A)
【文献】特開2019-146707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00~36/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を収容する調理槽内の空気を吸引し、当該調理槽内を大気圧未満の圧力に減圧するための吸引力を発生する減圧ポンプと、
前記調理槽と前記減圧ポンプとを繋ぐ減圧配管と、
前記調理槽へ外気を導入する外気導入配管と、
前記外気導入配管に設けられ、開閉可能な外気導入弁を有する開閉機構と、
前記外気導入配管に接続され、前記調理槽内の圧力を検出する圧力センサと、を備え
前記外気導入配管は、前記減圧配管とは別個独立に設けられて前記調理槽に接続される、調理器。
【請求項2】
前記開閉機構は、前記外気導入配管を介して前記調理槽へ導入される外気の流量が変化するように前記外気導入弁の開度を調整する開度調整手段を有する、請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
前記減圧ポンプ及び前記開閉機構を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記調理器の電源が投入されると、前記減圧ポンプを作動させる前に、前記外気導入弁を開放し、その後、前記外気導入弁を閉鎖する制御を行う、請求項1又は2に記載の調理器。
【請求項4】
前記減圧ポンプ及び前記開閉機構を制御する制御部を備え、
前記制御部は、調理条件に応じた前記調理槽での調理中において、前記調理条件に含まれる前記調理槽内の設定圧力及び前記調理槽内の圧力の少なくとも一方に基づいて、前記減圧ポンプの作動を停止させるとともに前記外気導入弁を開放し、その後、前記外気導入弁を閉鎖する制御を行う、請求項1又は2に記載の調理器。
【請求項5】
前記減圧ポンプ及び前記開閉機構を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記調理槽での調理の終了後、前記減圧ポンプの作動を停止させて前記外気導入弁を開放し、その後、前記外気導入弁を閉鎖する制御を行う、請求項1又は2に記載の調理器。
【請求項6】
前記制御部は、前記外気導入弁を開放してから所定時間経過したときに前記外気導入弁を閉鎖する制御を行う、請求項3~5のいずれか1項に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧未満の圧力下で食材を調理することが可能な調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大気圧未満の圧力に減圧した調理槽内で食材の調理を行う調理器が知られている。この種の調理器の一例として、特許文献1に記載の加熱調理器がある。当該加熱調理器は、食材を収容する調理槽に相当する鍋と、蓋体で密閉された鍋内を減圧する減圧ポンプと、蓋体と減圧ポンプとを繋ぐ管路と、管路に接続される圧力センサとを備えている。
【0003】
この加熱調理器では、減圧ポンプの作動によって鍋内の空気が吸引され、当該鍋内が大気圧未満の圧力に減圧される。その減圧された鍋内の圧力が、減圧ポンプと連通する管路に接続された圧力センサによって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6696198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の加熱調理器では、減圧ポンプの作動によって鍋内から吸引された空気は、減圧ポンプと連通する管路を流れる。管路を流れる空気には、鍋内での食材の調理中に生じた調味料等の蒸発物や水分(水蒸気)などが含まれているが、この水分等は、管路に接続される圧力センサに浸入する。圧力センサに水分等が浸入した場合、圧力センサの検出精度が低下するばかりではなく、圧力センサに故障が生じる虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、食材の調理中に生じた水分等が圧力センサへ浸入することを抑制可能な調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る調理器は、食材を収容する調理槽内の空気を吸引し、当該調理槽内を大気圧未満の圧力に減圧するための吸引力を発生する減圧ポンプと、前記調理槽と前記減圧ポンプとを繋ぐ減圧配管と、前記調理槽へ外気を導入する外気導入配管と、前記外気導入配管に設けられ、開閉可能な外気導入弁を有する開閉機構と、前記外気導入配管に接続され、前記調理槽内の圧力を検出する圧力センサと、を備え、前記外気導入配管は、前記減圧配管とは別個独立に設けられて前記調理槽に接続される
【0008】
この調理器によれば、調理槽には、減圧ポンプに繋がる減圧配管が接続されるとともに、当該減圧配管とは別個独立に設けられた外気導入配管が接続される。そして、この外気導入配管に圧力センサが接続されている。
【0009】
外気導入配管に設けられた開閉機構の外気導入弁が閉鎖された状態で減圧ポンプが作動すると、調理槽から空気が吸引される。その調理槽から吸引された空気は、減圧ポンプに向かって減圧配管を流通するが、当該減圧配管とは別個独立に設けられた外気導入配管には流通しない。このため、調理槽から吸引された空気に含まれる水分等が、外気導入配管に接続された圧力センサに浸入することが抑制される。
【0010】
一方、外気導入弁が閉鎖された状態で減圧ポンプの作動が停止された状態においては、調理槽に接続された外気導入配管への水分等の浸入が想定される。この場合、外気導入配管に接続された圧力センサの周辺にも水分等が滞留する可能性がある。しかしながら、外気導入弁が開放されたときには、外気が外気導入配管を流通するので、その外気の流れによって圧力センサの周辺に滞留していた水分等を除去することができる。このため、水分等が圧力センサに浸入することが抑制される。
【0011】
以上のように、水分等が圧力センサに浸入することが抑制されるので、水分等の浸入に起因した圧力センサの検出精度の低下や故障を防止することができる。
【0012】
上記の調理器において、前記開閉機構は、前記外気導入配管を介して前記調理槽へ導入される外気の流量が変化するように前記外気導入弁の開度を調整する開度調整手段を有する構成であってもよい。
【0013】
この態様では、調理槽での調理中において、減圧ポンプを作動させつつ開度調整手段の駆動によって外気導入弁の開度を調整することにより、調理槽内の圧力を複数の目標圧力のそれぞれに調整することができる。また、外気導入弁の開度調整時には、外気が外気導入配管を流通するので、その外気導入配管に接続された圧力センサへの水分等の浸入を抑制することができる。
【0014】
上記の調理器は、前記減圧ポンプ及び前記開閉機構を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記調理器の電源が投入されると、前記減圧ポンプを作動させる前に、前記外気導入弁を開放し、その後、前記外気導入弁を閉鎖する制御を行う構成であってもよい。
【0015】
この態様では、調理器の電源投入時に、開閉機構の外気導入弁が開放される。これにより、調理槽での調理前の電源投入時において外気導入配管に接続された圧力センサの周辺に水分等が滞留していた場合などに、外気導入配管を流通する外気の流れによって水分等を除去することができる。
【0016】
上記の調理器は、前記減圧ポンプ及び前記開閉機構を制御する制御部を備え、前記制御部は、調理条件に応じた前記調理槽での調理中において、前記調理条件に含まれる前記調理槽内の設定圧力及び前記調理槽内の圧力の少なくとも一方に基づいて、前記減圧ポンプの作動を停止させるとともに前記外気導入弁を開放し、その後、前記外気導入弁を閉鎖する制御を行う構成であってもよい。
【0017】
この態様では、調理槽での調理中において、減圧ポンプの作動が停止された状態で、開閉機構の外気導入弁が開放される。調理槽での調理中において外気導入弁が開放されたときには、外気導入配管を外気が流通するので、当該外気導入配管に接続された圧力センサの周辺に水分等が滞留していた場合などに、外気の流れによって水分等を除去することができる。
【0018】
上記の調理器は、前記減圧ポンプ及び前記開閉機構を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記調理槽での調理の終了後、前記減圧ポンプの作動を停止させて前記外気導入弁を開放し、その後、前記外気導入弁を閉鎖する制御を行う構成であってもよい。
【0019】
この態様では、調理槽での調理の終了後に、開閉機構の外気導入弁が開放される。これにより、調理槽での調理の終了後において外気導入配管に接続された圧力センサの周辺に水分等が滞留していた場合などに、外気導入配管を流通する外気の流れによって水分等を除去することができる。また、調理終了後に開放された外気導入弁がその後に閉鎖されるので、虫などが外気導入配管から調理槽に入ることを抑制することができ、調理器の衛生的な状態を保持することができる。
【0020】
上記の調理器において、前記制御部は、前記外気導入弁を開放してから所定時間経過したときに前記外気導入弁を閉鎖する制御を行う。
【0021】
この態様では、外気導入弁を閉鎖する制御は、外気導入弁を開放してから所定時間経過したときに行われる。これにより、所定時間の外気導入弁の開放に応じた調理槽への外気の導入後において、調理槽内の圧力を大気圧とすることができる。なお、外気導入弁が開放される所定時間は、例えば、予め実験やシミュレーションを行うことで設定しておくことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、食材の調理中に生じた水分等が圧力センサへ浸入することを抑制可能な調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る調理器の構成を示す図である。
図2】調理器の動作を示すフローチャートである。
図3】コントローラによる調理制御の制御フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態に係る調理器について、図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る調理器1の構成を示す図である。図1に示されるように、調理器1は、調理器本体1Aと、減圧ポンプ3と、減圧配管4と、トラップ5と、外気導入配管6と、液状物排出配管7と、コントローラ9と、ヒーターIHと、圧力センサPSとを備えている。
【0026】
調理器本体1Aは、調理槽2が載置される載置面1A1を有する箱形に形成される。載置面1A1にはヒーターIHが配設されており、このヒーターIHの上方に調理槽2が載置される。また、載置面1A1には、ヒーターIHから所定の間隔を隔てた位置に、棒状の係合ピン1A2が突設されている。載置面1A1において係合ピン1A2が突設された位置に、トラップ5が載置される。すなわち、調理器1においては、調理槽2とトラップ5とが、調理器本体1Aの載置面1A1上に横並びに載置される。
【0027】
なお、調理槽2は、調理器1とは別個独立に構成されたものであってもよく、あるいは調理器1の一部を構成するものであってもよい。
【0028】
調理槽2は、食材を収容するものであって、上部が開口した槽本体21と、槽本体21の開口部を開閉可能な蓋部22とを有している。槽本体21における少なくとも底部の一部が、電磁誘導により発熱する発熱部211を構成する。すなわち、槽本体21の全体が発熱部211を構成していてもよく、槽本体21の底部の全面が発熱部211を構成していてもよく、あるいは槽本体21の底部の一部が発熱部211を構成していてもよい。槽本体21の開口部が蓋部22によって閉じられることで、調理槽2内に外部空間と区画された空間が形成される。
【0029】
ヒーターIHは、調理器本体1Aの載置面1A1に配設される。ヒーターIHは、発熱部211を電磁誘導加熱する加熱コイルである。調理器1は、ヒーターIHの上に調理槽2を載置した状態で使用される。調理槽2がヒーターIHの上に載置された状態では、発熱部211がヒーターIHに接触する。ヒーターIHに高周波電流を供給すると、発熱部211が発熱する。発熱部211で発生した熱は、熱伝導により槽本体21に伝わる。調理槽2に収容された食材は、槽本体21からの熱伝導及び熱放射により加熱される。なお、調理槽2を加熱する方式は電磁誘導加熱方式に限定されるものではなく、例えば、ヒーターIHをニクロム線とした抵抗加熱方式にするなど、他の方式を採用してもよい。この場合、調理槽2に発熱部211がなくてもよい。ヒーターIHは、後述のコントローラ9によって制御される。
【0030】
減圧ポンプ3は、減圧配管4を介して調理槽2内の空気を吸引し、当該調理槽2内を大気圧未満の圧力に減圧するための吸引力を発生する真空ポンプである。減圧ポンプ3は、調理槽2内の減圧が可能なものであれば特に限定されるものではないが、水分がポンプ内に浸入しても作動に支障を来さずに運転できる水封式の真空ポンプであることが望ましい。減圧ポンプ3は、後述のコントローラ9によって制御される。
【0031】
減圧配管4は、調理槽2と減圧ポンプ3とを繋ぐ配管である。減圧配管4は、減圧ポンプ3の作動によって調理槽2から吸引された空気の流通流路の少なくとも一部を形成する。減圧配管4は、後述のトラップ5と減圧ポンプ3とを繋ぐ第1減圧管41と、トラップ5と調理槽2とを繋ぐ第2減圧管42とを有している。すなわち、第1減圧管41と第2減圧管42との間にトラップ5は配置される。第1減圧管41は、減圧ポンプ3及びトラップ5のそれぞれに接続される。第2減圧管42は、調理槽2及びトラップ5のそれぞれに接続される。減圧ポンプ3の作動によって調理槽2から吸引された空気は、第2減圧管42を流れてトラップ5に流入し、その後、トラップ5から流出して減圧ポンプ3に向かって第1減圧管41を流れる。
【0032】
トラップ5は、調理槽2と減圧ポンプ3との間に減圧配管4を介して配置される中空状の部材である。トラップ5は、減圧配管4を構成する第1減圧管41及び第2減圧管42がそれぞれ接続されることにより、調理槽2と減圧ポンプ3とを繋ぐ流路の途中に配置されることとなる。第2減圧管42を介してトラップ5に流入する空気には、調理槽2内での食材の調理中に生じた調味料等の飛散物や蒸発物、又は水分(水蒸気を含む)など(以下、「水分等」と称する)が含まれている。トラップ5は、調理槽2から吸引されて第2減圧管42を介して流入してきた空気に含まれる水分等を捕捉する。このため、トラップ5から流出して減圧ポンプ3に向かって第1減圧管41を流れる空気に含まれる水分等の量は、可及的に低減されている。
【0033】
トラップ5で捕捉された水分等は、当該トラップ5内で凝縮し又はそのまま液状物として貯留される。トラップ5は、調理器本体1Aの載置面1A1上において、ヒーターIHの上に載置される調理槽2に対して横並びとなる。トラップ5は、少なくとも一部が透明部材から構成されている。このため、調理器1の使用者は、トラップ5内における液状物の貯留状況を外部から視認することができる。また、トラップ5が調理器本体1Aの載置面1A1上に載置されているので、トラップ5内における液状物の貯留状況の視認が容易である。
【0034】
また、トラップ5は、開口部511を有する円筒形又は箱形のトラップ本体51と、開口部511を開閉可能なトラップ蓋体52とを有している。トラップ5においては、トラップ本体51とトラップ蓋体52のうち少なくともいずれか一方が透明部材から構成されていればよい。調理器1の使用者は、トラップ蓋体52を開くことにより、開口部511を介してトラップ本体51内を清掃することができる。これにより、トラップ5の衛生的な状態を保持することができる。
【0035】
トラップ本体51には、吸引空気流入口512と、吸引空気流出口513と、液状物排出口514と、係合溝515とが形成されている。
【0036】
係合溝515は、トラップ本体51の底部の外面に形成され、調理器本体1Aの載置面1A1に突設された係合ピン1A2と係合可能な溝である。トラップ5は、係合ピン1A2と係合溝515とが係合した状態において、載置面1A1上の所定位置に位置決めされる。つまり、調理器本体1Aの載置面1A1には、トラップ5を所定位置に位置決めする位置決め手段が設けられている。調理器1の使用者は、係合ピン1A2が係合溝515に挿入されるようにトラップ5を載置面1A1上に置くことにより、トラップ5の位置決めを行うことができる。また、調理器1の使用者は、載置面1A1に対してトラップ5を上方に持ち上げるだけの簡単な操作で、係合ピン1A2と係合溝515との係合状態を解除し、載置面1A1からトラップ5を取り外すことができる。
【0037】
吸引空気流入口512は、調理槽2から吸引された空気がトラップ本体51内に流入する開口である。吸引空気流出口513は、トラップ本体51内で水分等が捕捉された後の空気が当該トラップ本体51から流出する開口である。液状物排出口514は、トラップ本体51で捕捉された水分等の液状物をトラップ本体51から排出するための開口である。トラップ本体51では、吸引空気流入口512と吸引空気流出口513とがトラップ本体51の上面近傍において同一の高さ位置に形成され、液状物排出口514が吸引空気流入口512及び吸引空気流出口513よりも低い位置であって、トラップ本体51の側面における底面近傍に形成されている。図1では、吸引空気流入口512及び吸引空気流出口513がトラップ本体51の側面に形成された構成が例示されているが、これらの開口はトラップ本体51の上面に形成されていてもよい。なお、調理槽2とトラップ5とが調理器本体1Aの載置面1A1上に横並びに載置された状態において、トラップ本体51の上面は調理槽2の蓋部22よりも低い位置となっている。
【0038】
トラップ本体51の吸引空気流出口513には、第1減圧管41が接続される。第1減圧管41は、一端が第1減圧管接続部81を介してトラップ5の吸引空気流出口513に接続され、他端が減圧ポンプ3に接続されている。
【0039】
第1減圧管接続部81は、第1減圧管41とトラップ5とを接続する。第1減圧管接続部81は、吸引空気流出口513に取り付けられた第1トラップ側嵌合部811と、第1減圧管41の一端に取り付けられた第1減圧管側嵌合部812とで構成される、雄型と雌型の嵌合構造を有するワンタッチ式の管継手である。第1減圧管接続部81の嵌合構造において、第1トラップ側嵌合部811及び第1減圧管側嵌合部812の雌雄は何れでも構わないが、一例として、第1トラップ側嵌合部811が雄型の嵌合部(プラグ)であり、第1減圧管側嵌合部812が雌型の嵌合部(ソケット)である。第1減圧管接続部81においては、第1減圧管側嵌合部812を第1トラップ側嵌合部811に押し込むことにより両嵌合部が嵌合される。これにより、第1減圧管41がトラップ5の吸引空気流出口513に接続される。一方、第1減圧管側嵌合部812と第1トラップ側嵌合部811とが嵌合された状態において、第1トラップ側嵌合部811のある方向と逆方向に第1減圧管側嵌合部812を引っ張ることにより、両嵌合部の嵌合が解除される。これにより、トラップ5の吸引空気流出口513に対する第1減圧管41の接続が解除される。
【0040】
トラップ本体51の吸引空気流入口512には、第2減圧管42が接続される。第2減圧管42は、一端が第2減圧管接続部82を介してトラップ5の吸引空気流入口512に接続され、他端が第3減圧管接続部83を介して調理槽2の蓋部22の上面に形成された減圧接続口22Aに接続されている。
【0041】
第2減圧管接続部82は、第2減圧管42とトラップ5とを接続する。第2減圧管接続部82は、第1減圧管接続部81と同様のワンタッチ式の管継手であり、吸引空気流入口512に取り付けられた第2トラップ側嵌合部821と、第2減圧管42の一端に取り付けられた第2減圧管側嵌合部822とで構成される嵌合構造を有する。
【0042】
第2減圧管接続部82における各嵌合部821,822のいずれが雄型の嵌合部であるかについては、第2トラップ側嵌合部821の雌雄が第1トラップ側嵌合部811の雌雄と同じであり、第2減圧管側嵌合部822の雌雄が第1減圧管側嵌合部812の雌雄と同じである。すなわち、第2減圧管接続部82において、第2トラップ側嵌合部821が雄型の嵌合部(プラグ)であり、第2減圧管側嵌合部822が雌型の嵌合部(ソケット)である。このため、第2減圧管側嵌合部822は、第2トラップ側嵌合部821との嵌合が可能であることに加えて、第1トラップ側嵌合部811との嵌合が可能である。
【0043】
第3減圧管接続部83は、第2減圧管42と調理槽2とを接続する。第3減圧管接続部83は、第1減圧管接続部81と同様のワンタッチ式の管継手であり、調理槽2の蓋部22の減圧接続口22Aに取り付けられた第1調理槽側嵌合部831と、第2減圧管42の他端に取り付けられた第3減圧管側嵌合部832とで構成される嵌合構造を有する。
【0044】
第3減圧管接続部83における各嵌合部831,832のいずれが雄型の嵌合部であるかについては、第1調理槽側嵌合部831の雌雄が第1トラップ側嵌合部811の雌雄と同じであり、第3減圧管側嵌合部832の雌雄が第1減圧管側嵌合部812の雌雄と同じである。すなわち、第3減圧管接続部83において、第1調理槽側嵌合部831が雄型の嵌合部(プラグ)であり、第3減圧管側嵌合部832が雌型の嵌合部(ソケット)である。このため、減圧ポンプ3に接続される第1減圧管41に取り付けられた第1減圧管側嵌合部812は、第1トラップ側嵌合部811との嵌合が可能であることに加えて、調理槽2の蓋部22に取り付けられた第1調理槽側嵌合部831との嵌合が可能である。第1減圧管側嵌合部812と第1調理槽側嵌合部831とが嵌合された状態では、トラップ5を介さずに、調理槽2と減圧ポンプ3とを第1減圧管41によって直接的に連結することができる。このため、調理槽2において水分等が生じにくい調理を行う場合には、第1減圧管41を、トラップ5を介することなく調理槽2に直接連結してもよい。この場合、第1減圧管41が調理槽2と減圧ポンプ3とを繋ぐ減圧配管4として機能する。
【0045】
トラップ本体51の液状物排出口514には、液状物排出配管7が接続される。液状物排出配管7は、トラップ5に接続され、当該トラップ5で捕捉された水分等の液状物をトラップ5から外部に排出するための配管である。液状物排出配管7は、液状物排出管接続部85を介してトラップ5の液状物排出口514に接続されている。
【0046】
液状物排出管接続部85は、液状物排出配管7とトラップ5とを接続する。液状物排出管接続部85は、第1減圧管接続部81と同様のワンタッチ式の管継手であり、液状物排出口514に取り付けられた第3トラップ側嵌合部851と、液状物排出配管7の一端に取り付けられた液状物排出管側嵌合部852とで構成される嵌合構造を有する。なお、既述の通り、トラップ本体51において液状物排出口514が吸引空気流入口512及び吸引空気流出口513よりも低い位置に形成されているので、トラップ5に対する接続位置の高さ関係は、減圧配管4を構成する第1減圧管41及び第2減圧管42よりも液状物排出配管7が低い位置となる。これにより、トラップ5におけるトラップ本体51の底部に貯留された液状物を、トラップ本体51において低い位置に形成された液状物排出口514に接続された液状物排出配管7を通じて適切に排出させることができる。
【0047】
液状物排出管接続部85における各嵌合部851,852の雌雄は、第1減圧管接続部81における各嵌合部811,812及び第2減圧管接続部82における各嵌合部821,822の雌雄とは異なっている。具体的に、第3トラップ側嵌合部851の雌雄は、第1トラップ側嵌合部811及び第2トラップ側嵌合部821の雌雄とは異なっており、液状物排出管側嵌合部852の雌雄は、第1減圧管側嵌合部812及び第2減圧管側嵌合部822の雌雄とは異なっている。すなわち、第1トラップ側嵌合部811及び第2トラップ側嵌合部821が雄型の嵌合部(プラグ)であるのに対し第3トラップ側嵌合部851は雌型の嵌合部(ソケット)であり、第1減圧管側嵌合部812及び第2減圧管側嵌合部822が雌型の嵌合部(ソケット)であるのに対し液状物排出管側嵌合部852は雄型の嵌合部(プラグ)である。
【0048】
このように、液状物排出管接続部85における各嵌合部851,852の雌雄は、第1減圧管接続部81における各嵌合部811,812及び第2減圧管接続部82における各嵌合部821,822の雌雄とは異なっている。このため、液状物排出配管7に取り付けられた液状物排出管側嵌合部852は、トラップ5に取り付けられた第1トラップ側嵌合部811、第2トラップ側嵌合部821及び第3トラップ側嵌合部851に対し、第3トラップ側嵌合部851との嵌合は可能であるが、第1トラップ側嵌合部811及び第2トラップ側嵌合部821とは嵌合できない構造となっている。換言すると、第1減圧管41に取り付けられた第1減圧管側嵌合部812は、液状物排出管接続部85の第3トラップ側嵌合部851とは嵌合できない構造となっている。これにより、調理器1の使用者が、第1減圧管41、第2減圧管42、及び液状物排出配管7をトラップ5に接続しようとしたときに、例えば、第1減圧管41を液状物排出配管7の接続位置に接続してしまうような、接続間違いを防止することができる。このため、トラップ5に貯留された液状物が、減圧ポンプ3の作動時に当該減圧ポンプ3へ流れる事態を防止することができる。
【0049】
図1に示されるように、液状物排出配管7には、トラップ側開閉機構71が設けられている。トラップ側開閉機構71は、液状物排出配管7において液状物排出管接続部85を介してトラップ5に接続される一端とは反対の他端に設けられる。トラップ側開閉機構71は、液状物排出配管7において液状物排出管接続部85よりも低い位置に配置される。すなわち、液状物排出配管7は、トラップ5に接続される一端よりも他端が低い位置となるように配索されている。このような液状物排出配管7の一端と他端との高低差によって、トラップ5におけるトラップ本体51の底部に貯留された液状物を、液状物排出配管7を通じて適切に排出させることができる。
【0050】
トラップ側開閉機構71は、液状物排出配管7を開閉可能に構成される。図1に示す例では、トラップ側開閉機構71は、開閉可能な液状物排出弁711と、液状物排出弁711を開閉動作させる駆動モーター712とを有している。駆動モーター712の駆動によって液状物排出弁711が開放された状態では、液状物排出配管7を介してトラップ5内と外部空間とが連通して液状物排出配管7が開放された状態となり、トラップ5に貯留された液状物の液状物排出配管7を通じた排出が許容される。一方、駆動モーター712の駆動によって液状物排出弁711が閉鎖された状態では、液状物排出配管7を介したトラップ5内と外部空間との連通が遮断されて液状物排出配管7が閉鎖された状態となる。なお、トラップ側開閉機構71は、駆動モーター712によって液状物排出弁711を開閉させる構造に限定されるものではなく、電磁弁などによって構成されてもよい。
【0051】
既述の通り、調理器1では、調理槽2と減圧ポンプ3との間に減圧配管4を介してトラップ5が配置されている。これにより、減圧ポンプ3の作動に応じて調理槽2から吸引された空気に含まれる水分等をトラップ5で捕捉し、当該水分等の減圧ポンプ3への浸入を抑制することができる。
【0052】
更に、トラップ5には、トラップ側開閉機構71が設けられた液状物排出配管7が接続されている。このため、トラップ側開閉機構71によって液状物排出配管7を開放することにより、トラップ5で捕捉された水分等の液状物を、液状物排出配管7を通じてトラップ5から排出させることができる。これにより、トラップ5内における液状物の貯留量を可及的に少なくすることが可能となるので、トラップ5から減圧配管4の第1減圧管41への液状物の流出を抑止し、第1減圧管41を通じた減圧ポンプ3への液状物の浸入を抑制することができる。このため、液状物の浸入に起因した減圧ポンプ3の故障を防止することができる。
【0053】
また、図1に示さるように、調理槽2には、第2減圧管42とは別個独立に設けられた外気導入配管6が接続されている。外気導入配管6は、調理槽2に接続され、当該調理槽2へ導入する外気が流通する配管である。外気導入配管6は、その一端が外気導入管接続部84を介して調理槽2の蓋部22の上面に形成された外気接続口22Bに接続されている。なお、蓋部22の上面において、外気接続口22Bは、第2減圧管42が接続される減圧接続口22Aとは別個独立に形成されている。
【0054】
外気導入管接続部84は、外気導入配管6と調理槽2とを接続する。外気導入管接続部84は、第1減圧管接続部81と同様のワンタッチ式の管継手であり、調理槽2の蓋部22の外気接続口22Bに取り付けられた第2調理槽側嵌合部841と、外気導入配管6の一端に取り付けられた外気導入管側嵌合部842とで構成される嵌合構造を有する。外気導入管接続部84における各嵌合部841,842のいずれが雄型の嵌合部であるかについては、第2調理槽側嵌合部841の雌雄が第1トラップ側嵌合部811の雌雄と同じであり、外気導入管側嵌合部842の雌雄が第1減圧管側嵌合部812の雌雄と同じである。
【0055】
図1に示されるように、外気導入配管6には、外気導入側開閉機構61が設けられている。外気導入側開閉機構61は、開度調整可能な外気導入弁611と、外気導入弁611の開度を調整するステッピングモーター612(開度調整手段)とを有している。ステッピングモーター612の駆動によって外気導入弁611が開放された状態では、外気導入配管6を介して調理槽2内と外部空間とが連通し、調理槽2への外気の導入が許容される。一方、ステッピングモーター612の駆動によって外気導入弁611が閉鎖された状態では、外気導入配管6を介した調理槽2内と外部空間との連通が遮断される。
【0056】
更に、外気導入配管6には、センサ接続管6Aを介して圧力センサPSが接続されている。センサ接続管6Aは、外気導入配管6からT字形に分岐して当該外気導入配管6と交差(直交)する方向に延びる管路であり、外気導入配管6を介して調理槽2の内部空間と連通している。圧力センサPSは、センサ接続管6Aを介して外気導入配管6に接続されている。圧力センサPSは、外気導入配管6及びセンサ接続管6Aと連通する調理槽2内の圧力を検出する。圧力センサPSは、調理槽2内の圧力の検出が可能なものであれば特に限定されるものではないが、水分がセンサ内に浸入しても圧力検出に支障を来さない防水性を有する圧力センサであることが望ましい。圧力センサPSの検出結果は、後述のコントローラ9に入力される。
【0057】
外気導入配管6に設けられた外気導入側開閉機構61の外気導入弁611が閉鎖された状態で減圧ポンプ3が作動すると、調理槽2から空気が吸引される。その調理槽2から吸引された空気は、減圧ポンプ3が接続された第1減圧管41に向かって第2減圧管42を流通するが、当該第2減圧管42とは別個独立に設けられた外気導入配管6には流通しない。このため、調理槽2から吸引された空気に含まれる水分等が、センサ接続管6Aを介して外気導入配管6に接続された圧力センサPSに浸入することが抑制される。
【0058】
一方、外気導入弁611が閉鎖された状態で減圧ポンプ3の作動が停止された状態においては、調理槽2に接続された外気導入配管6への水分等の浸入が想定される。この場合、センサ接続管6Aを介して外気導入配管6に接続された圧力センサPSの周辺にも水分等が滞留する可能性がある。しかしながら、外気導入弁611が閉鎖状態から開放状態に切り替えられたときには、外気が外気導入配管6を流通するので、その外気の流れによって圧力センサPSの周辺に滞留していた水分等を除去することができる。このため、水分等が圧力センサPSに浸入することが抑制される。外気導入弁611を開放状態にした後、減圧ポンプ3を作動させることで、圧力センサPSの周辺に滞留していた水分等を効率よく除去することができる。
【0059】
以上のように、水分等が圧力センサPSに浸入することが抑制されるので、水分等の浸入に起因した圧力センサPSの検出精度の低下や故障を防止することができる。
【0060】
また、外気導入側開閉機構61においては、ステッピングモーター612は、外気導入配管6を介して調理槽2へ導入される外気の流量が変化するように外気導入弁611の開度を調整する。調理器1では、調理槽2内での食材の調理中において、減圧ポンプ3を作動させつつステッピングモーター612の駆動によって外気導入弁611の開度を調整することができる。これにより、調理槽2内の圧力を複数の目標圧力のそれぞれに調整することができるとともに、調理槽2内の圧力の変化速度を調整することができる。
【0061】
コントローラ9は、CPU(Central Pocessing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成された制御部である。コントローラ9には、圧力センサPSによる検出結果が入力される。また、コントローラ9には、電源SEとタッチパネルTPとが接続されている。コントローラ9は、電源SEが投入されると、CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、タッチパネルTP、ヒーターIH、減圧ポンプ3、外気導入側開閉機構61のステッピングモーター612、トラップ側開閉機構71の駆動モーター712に電力を供給するとともに、これらの動作を制御する。なお、タッチパネルTPは、調理器1の使用者による各種指令の入力を受け付ける入力部としての機能を有するとともに、各種情報を表示する表示部としての機能を有する。
【0062】
コントローラ9の制御に基づく調理器1の動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0063】
電源SEが投入されると(ステップS1)、コントローラ9は、減圧ポンプ3及びヒーターIHを作動させる前に、ステッピングモーター612を制御し、外気導入弁611を開放させる(ステップS2)。これにより、調理槽2内が大気圧未満の圧力に減圧されたままの状態で電源SEが遮断されていた場合などには、電源SEの投入により外気導入配管6に外気の流れが生じる。そのため、センサ接続管6Aを介して外気導入配管6に接続された圧力センサPSの周辺に水分等が滞留していた場合などに、外気導入配管6を流通する外気の流れによってその水分等を除去することができる。
【0064】
また、電源SEの投入時において調理槽2内に外気導入配管6を介して外気が導入されるので、調理槽2内が大気圧未満の圧力に減圧されたままの状態で電源SEが遮断されていた場合などに、調理槽2内の圧力を大気圧とすることができる。これにより、調理槽2の蓋部22を開くことができる。
【0065】
電源SEの投入時、コントローラ9は、駆動モーター712を制御し、液状物排出弁711を開放させる(ステップS3)。これにより、調理槽2での調理前の電源SEの投入時において、液状物排出配管7が開放された状態となり、トラップ5内に残留している液状物を、液状物排出配管7を通じてトラップ5から排出させることができる。
【0066】
なお、電源SEの投入時において、コントローラ9が外気導入弁611を開放させた後、調理槽2内が大気圧であることを示す検出結果が圧力センサPSから出力された場合に、コントローラ9が、液状物排出弁711を開放させるようにしてもよい。あるいは、コントローラ9が外気導入弁611を開放させた後、予め実験やシミュレーションを行うことによって求められる特定の時間が経過したときに、コントローラ9が、液状物排出弁711を開放させてもよい。また、上記の例では、外気導入弁611を開放させた後に液状物排出弁711を開放させる制御について説明したが、このような制御に限定されない。例えば、コントローラ9は、圧力センサPSの検出結果に基づいて調理槽2内が大気圧であるか否かを判断し、調理槽2内が大気圧である場合に、外気導入弁611と同時に液状排出弁711を開放させてもよい。あるいは、調理槽2の蓋部22が開いているような場合には、コントローラ9は、液状物排出弁711を開放させた後、外気導入弁611を開放させてもよい。
【0067】
次いで、コントローラ9は、外気導入弁611及び液状物排出弁711が開放された状態において所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS4)。前記所定時間は、例えば、予め実験やシミュレーションを行うことによって求められる、液状物排出時間及び外気導入時間に基づいて設定することができる。液状物排出時間は、液状物排出弁711の開放に応じてトラップ5から液状物が排出された後にトラップ5に残留する液状物の残留量が、許容範囲内に収まる時間である。外気導入時間は、外気導入弁611の開放に応じて調理槽2へ外気が導入されることによって当該調理槽2内の圧力が大気圧になるまでに必要な時間である。液状物排出時間と外気導入時間とが同値である場合には、その値が前記所定時間として設定される。一方、液状物排出時間と外気導入時間とが異値である場合には、長い方の値が前記所定時間として設定される。
【0068】
外気導入弁611及び液状物排出弁711が開放されてから前記所定時間経過した場合(ステップS4でYESの場合)には、コントローラ9は、外気導入弁611を閉鎖させるとともに、液状物排出弁711を閉鎖させる(ステップS5)。
【0069】
コントローラ9は、調理槽2内での食材の調理条件の入力を案内する条件入力案内画面を、タッチパネルTPに表示する制御を行う。タッチパネルTPは、調理槽2内での調理条件の指令に関する入力を受け付ける(ステップS6)。タッチパネルTPに入力された調理条件は、コントローラ9に入力される。タッチパネルTPに入力される調理条件の指令としては、調理槽2内の目標圧力、目標調理温度、目標調理時間などの設定に関する指令や、調理モードの選択の指令が挙げられる。タッチパネルTPを介した調理条件の入力後に、当該タッチパネルTPに調理開始指令が入力される(ステップS7)。
【0070】
なお、図2のフローチャートでは、タッチパネルTPを介して調理条件が入力されるステップS6と調理開始指令が入力されるステップS7とが、外気導入弁611及び液状物排出弁711を閉鎖させるステップS5の後に行われることが示されている。しかしながら、外気導入弁611及び液状物排出弁711を閉鎖させる前に、タッチパネルTPを介した調理条件及び調理開始指令の入力を受け付けるようにしてもよい。
【0071】
タッチパネルTPを介した調理開始指令の入力に基づいて、コントローラ9は、外気導入弁611及び液状物排出弁711が閉鎖された状態において、各調理モードに応じて、減圧ポンプ3及びヒーターIHを作動させるとともに、外気導入側開閉機構61及びトラップ側開閉機構71を制御して行う調理制御を実行する(ステップS8)。コントローラ9が実行する調理制御の詳細については後述することとする。
【0072】
コントローラ9は、設定した調理条件の調理が終了したか否かを判定する(ステップS9)。設定した調理条件の調理が終了したと判定した場合(ステップS9でYES)、コントローラ9は、減圧ポンプ3及びヒーターIHの作動を停止させて調理槽2での調理を終了させる(ステップS10)。
【0073】
減圧ポンプ3及びヒーターIHの作動が停止されると、コントローラ9は、外気導入弁611を開放させる(ステップS11)。これにより、センサ接続管6Aを介して外気導入配管6に接続された圧力センサPSの周辺に水分等が滞留していた場合などに、外気導入配管6を流通する外気の流れによって水分等を除去することができる。
【0074】
また、調理槽2での調理の終了後において調理槽2内に外気導入配管6を介して外気が導入されるので、調理槽2内の圧力を大気圧とすることができる。これにより、調理槽2の蓋部22を開くことができる。
【0075】
調理槽2での調理の終了後、コントローラ9は、液状物排出弁711を開放させる(ステップS12)。これにより、調理槽2での調理の終了後において液状物排出配管7が開放された状態となり、トラップ5内に残留している液状物を、液状物排出配管7を通じてトラップ5から排出させることができる。
【0076】
なお、調理槽2での調理の終了後において、コントローラ9が外気導入弁611を開放させた後、調理槽2内が大気圧であることを示す検出結果が圧力センサPSから出力された場合に、コントローラ9が、液状物排出弁711を開放させるようにしてもよい。あるいは、コントローラ9が外気導入弁611を開放させた後、予め実験やシミュレーションを行うことによって求められる特定の時間が経過したときに、コントローラ9が、液状物排出弁711を開放させてもよい。
【0077】
次いで、コントローラ9は、外気導入弁611及び液状物排出弁711が開放された状態において前記所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS13)。
【0078】
外気導入弁611及び液状物排出弁711が開放されてから前記所定時間経過した場合(ステップS13でYESの場合)には、コントローラ9は、外気導入弁611を閉鎖させるとともに、液状物排出弁711を閉鎖させる(ステップS14)。前記所定時間が経過すれば、調理終了後に開放された外気導入弁611が閉鎖されるので、虫などが外気導入配管6から調理槽2に入ることを抑制することができる。同様に、前記所定時間が経過すれば、調理終了後に開放された液状物排出弁711が閉鎖されるので、虫などが液状物排出配管7からトラップ5や調理槽2に入ることを抑制することができる。これにより、調理器1の衛生的な状態を保持することができる。
【0079】
次に、コントローラ9が実行する上記のステップS8の調理制御の一例について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0080】
なお、調理器1では、減圧加熱調理モードと、含浸調理モードと、手動調理モードとの3つの調理モードの選択が可能である。減圧加熱調理モードは、食材が収容された調理槽2を大気圧未満の圧力に減圧するとともに、その減圧下で加熱する調理を行う調理モードである。含浸調理モードは、調理条件に調理槽2内の圧力を大気圧とする条件が含まれる調理モードである。具体的には、含浸調理モードは、食材が収容された調理槽2を大気圧未満の圧力に減圧した状態で調理する減圧調理工程と、調理槽2を大気圧とした状態で調理する大気開放工程とを含み、調理槽2内が減圧と大気圧との間で変動する条件下で調理を行うモードである。手動調理モードは、調理槽2内での調理中において、調理器1の使用者が、調理槽2の調理条件を異なる調理条件に変更したり、手動で次の調理条件に移行させたりすることが可能な調理モードである。ここでは、3つの調理モードのうち、含浸調理モードが選択された場合について説明する。
【0081】
ステップS6においてタッチパネルTPに調理条件が入力され、ステップS7においてタッチパネルTPに調理開始指令が入力されると、コントローラ9は、図3に例示される調理制御を行う。
【0082】
コントローラ9は、調理条件に応じて必要な場合にヒーターIHによって調理槽2を加熱する制御を開始する(ステップS821)。この加熱制御は、調理槽2に収容された食材の温度が目標調理温度になるまで加熱してその温度を維持する制御である。
【0083】
次いで、コントローラ9は、減圧ポンプ3の作動を開始させる(ステップS822)。コントローラ9は、調理槽2の目標圧力に応じて減圧ポンプ3を作動させつつステッピングモーター612を制御し、外気導入弁611の開度を調整する制御を行う(ステップS823)。外気導入弁611の開度を調整する制御が行われているときには、外気導入配管6を外気が流通するので、センサ接続管6Aを介して外気導入配管6に接続された圧力センサPSの周辺に水分等が滞留していた場合などに、外気の流れによって水分等を除去することができる。
【0084】
外気導入弁611の開度を調整する制御の開始後、コントローラ9は、圧力センサPSの検出結果に基づいて、調理槽2内の圧力が目標圧力に到達するまで減圧されたか否かを判定する(ステップS824)。
【0085】
調理槽2内が目標圧力まで減圧されたと判定した場合(ステップS824でYESの場合)には、コントローラ9は、外気導入弁611の開度を維持させる(ステップS825)とともに、減圧ポンプ3の作動を維持させる(ステップS826)。これにより、調理槽2内の圧力が、調理条件に含まれる設定圧力としての目標圧力に維持される。
【0086】
次いで、コントローラ9は、調理槽2内が目標圧力に維持された状態において設定減圧時間が経過したか否かを判定する(ステップS827)。設定減圧時間が経過したと判定した場合(ステップS827でYESの場合)、コントローラ9は、調理条件に含まれる調理槽2内の設定圧力及び圧力センサPSの検出結果で示される調理槽2内の圧力の少なくとも一方に基づいて減圧ポンプ3の作動を停止させるとともに、外気導入弁611を開放させる(ステップS828)。すなわち、コントローラ9は、調理槽2内の圧力が調理条件に含まれる目標圧力に維持された状態で減圧ポンプ3の作動を停止させるとともに、外気導入弁611を開放させる。これにより、調理槽2での調理中において当該調理槽2内の圧力が、目標圧力から大気圧へと変動する。この場合、調理中において調理槽2内の圧力が減圧と大気圧との間で変動することとなる。これにより、調理槽2内が減圧されたときに食材から空気が抜けて食材が膨張する一方、調理槽2内が大気圧に戻されたときには、膨張した食材が収縮する。このため、調味料等を食材内部に浸透させることができる。また、調理槽2での調理中において外気導入弁611が開放されたときには、外気導入配管6を外気が流通する。このため、センサ接続管6Aを介して外気導入配管6に接続された圧力センサPSの周辺に水分等が滞留していた場合などに、外気の流れによって水分等を除去することができる。
【0087】
調理槽2での調理中において、調理槽2内の圧力が大気圧になっていると想定される場合、例えば、コントローラ9が減圧ポンプ3の作動を停止させて外気導入弁611を開放させた後、あるいは、目標圧力が大気圧とされている場合や大気圧条件の調理モードで調理している場合などに、コントローラ9は、液状物排出弁711を開放させる(ステップS829)。これにより、調理槽2での調理中において液状物排出配管7が開放された状態となり、トラップ5内に貯留された液状物を、液状物排出配管7を通じてトラップ5から排出させることができる。そして、調理槽2内の圧力が大気圧になっていると想定される場合に液状物排出弁711が開放されるので、液状物排出配管7、トラップ5、及び第2減圧管42を経由して外気が調理槽2に導入されることが防止され、当該外気の流れに伴ってトラップ5内の液状物が調理槽2に流れ込むような事態を防止できる。但し、調理槽2での調理中において、当該調理槽2内の圧力が大気圧になったときに必ず液状物排出弁711を開放する構成に限らない。調理槽2内が大気圧になるのが複数回あるのであれば、少なくとも1回、液状物排出弁711を開放するようにしてもよいし、このステップがない構成としてもよい。
【0088】
次いで、コントローラ9は、外気導入弁611及び液状物排出弁711が開放された状態において設定大気開放時間が経過したか否かを判定する(ステップS830)。外気導入弁611及び液状物排出弁711が開放されてから設定大気開放時間が経過した場合(ステップS830でYESの場合)には、コントローラ9は、外気導入弁611を閉鎖させるとともに、液状物排出弁711を閉鎖させる(ステップS831)。
【0089】
外気導入弁611及び液状物排出弁711が閉鎖されると、コントローラ9は、調理槽2内の圧力が減圧と大気圧との間で変動する圧力変動回数が目標回数に到達したか否かを判定する(ステップS832)。
【0090】
圧力変動回数が目標回数に到達したと判定した場合(ステップS832でYESの場合)には、コントローラ9は、図2のステップS9に進んで調理が終了したと判断し、ステップS10からステップS14までの各ステップの処理を行う。一方、圧力変動回数が目標回数に到達していないと判定した場合(ステップS832でNOの場合)には、コントローラ9は、目標回数に到達するまで、ステップS822からステップS832までの各ステップの処理を繰り返し行う。
【0091】
既述の通り、トラップ5は、少なくとも一部が透明部材から構成され、且つ、調理器本体1Aの載置面1A1上において、ヒーターIHの上に載置される調理槽2に対して横並びとなるように、係合ピン1A2が突設された位置に載置されている。このため、調理槽2での調理の終了後において、調理器1の使用者は、トラップ5内における液状物の貯留状況を外部から容易に視認することができる。
【0092】
トラップ5内に液状物が残留し、トラップ5内の清掃が必要な場合には、調理器1の使用者は、トラップ蓋体52を開くことにより、開口部511を介してトラップ本体51内を清掃することができる。
【0093】
トラップ5を調理器本体1Aの載置面1A1から取り外して清掃する場合には、調理器1の使用者によって、第1減圧管接続部81、第2減圧管接続部82、及び液状物排出管接続部85の各嵌合構造の嵌合を解除する作業が行われる。この作業によって、トラップ5に対する第1減圧管41、第2減圧管42、及び液状物排出配管7の接続を解除することができる。
【0094】
また、第1減圧管接続部81における第1減圧管側嵌合部812は、液状物排出管接続部85の第3トラップ側嵌合部851とは嵌合できない構造となっている。このため、トラップ5の清掃後に調理器1の使用者が、第1減圧管41、第2減圧管42、及び液状物排出配管7をトラップ5に接続する場合に、第1減圧管41を液状物排出配管7の接続位置に接続してしまうような接続間違いを防止することができる。
【0095】
以上、本発明の実施形態に係る調理器1について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採用することができる。
【0096】
上記の実施形態では、第1減圧管接続部81、第2減圧管接続部82、第3減圧管接続部83、外気導入管接続部84、及び液状物排出管接続部85が、雄型の嵌合部と雌型の嵌合部とで構成される嵌合構造を有する構成について説明したが、このような嵌合構造に限定されるものではない。例えば、各管接続部81,82,83,84,85は、ねじ式のものや、磁石を利用するものなどであってもよい。
【0097】
また、第1減圧管41、第2減圧管42、及び液状物排出配管7は、各管接続部81,82,85を介さずにトラップ5に接続されていてもよい。同様に、第2減圧管42及び外気導入配管6は、各管接続部83,84を介さずに調理槽2に接続されていてもよい。
【0098】
上記の実施形態では、電源SEの投入時に、所定時間内において液状物排出弁711を開放させる制御について説明したが、この制御を省略しても構わない。
【0099】
また、調理槽2での調理中において、当該調理槽2内が大気圧である場合に液状物排出弁711を開放させる制御について説明したが、この制御を省略しても構わない。
【0100】
また、調理槽2での調理の終了後に、所定時間内において液状物排出弁711を開放させる制御について説明したが、この制御を省略しても構わない。
【符号の説明】
【0101】
1 調理器
2 調理槽
3 減圧ポンプ
4 減圧配管
6 外気導入配管
61 外気導入側開閉機構
611 外気導入弁
612 ステッピングモーター(開度調整手段)
9 コントローラ(制御部)
PS 圧力センサ
図1
図2
図3