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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】塗装ガン
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/00 20180101AFI20240311BHJP
   B05B 5/025 20060101ALN20240311BHJP
【FI】
B05B15/00
B05B5/025 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020089414
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183312
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000117009
【氏名又は名称】旭サナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 猛史
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-128781(JP,A)
【文献】特開平06-328013(JP,A)
【文献】特開昭54-145745(JP,A)
【文献】特表2004-504138(JP,A)
【文献】特開2014-200776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 3/00-5/16
9/00-9/047
11/00-16/80
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルを有するガン本体と、
前記ノズルから塗料を吐出させるためのトリガと、
前記トリガが操作されたことを検知するスイッチと、
前記スイッチをベース部材によって保持したスイッチモジュールとを備え、
前記スイッチモジュールが前記ガン本体に対して着脱可能であり、
前記スイッチモジュールは、前記スイッチから導出したケーブルに取り付けられ、前記ガン本体に設けた本体側コネクタに対して嵌合及び離脱が可能なスイッチ側コネクタを有し、
前記本体側コネクタは、前記ガン本体に形成した連通孔において、前記ガン本体の外部と前記ガン本体の内部との間で出し入れ可能であり、
前記連通孔と前記スイッチモジュールとの間に、シール材が設けられている塗装ガン。
【請求項2】
ノズルを有するガン本体と、
前記ノズルから塗料を吐出させるためのトリガと、
前記トリガが操作されたことを検知するスイッチと、
前記スイッチをベース部材によって保持したスイッチモジュールとを備え、
前記スイッチモジュールは前記ガン本体に対して着脱可能であり、
前記スイッチモジュールは、前記ベース部材と前記トリガとによって囲まれた収容室を有し、
前記収容室内に前記スイッチが収容され、
前記トリガは、前記トリガと前記ベース部材との間の隙間を閉塞する閉塞部を有し、
前記トリガは、前記ベース部材に保持されることによって前記スイッチモジュールを構成している塗装ガン。
【請求項3】
ノズルを有するガン本体と、
前記ノズルから塗料を吐出させるためのトリガと、
前記トリガが操作されたことを検知するスイッチと、
前記スイッチをベース部材によって保持したスイッチモジュールとを備え、
前記スイッチモジュールは前記ガン本体に対して着脱可能であり、
前記ベース部材にモールド材が充填され、
前記スイッチが、前記モールド材の内部に埋設された状態で前記ベース部材に固定されている塗装ガン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗装ガンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トリガースイッチを有する静電塗装ガンが開示されている。この静電塗装ガンは、引き金を引き操作すると、トリガースイッチがON状態となり、高圧静電回路に通電されるとともに、搬送空気と粉体調量空気がエヤインジェクタポンプに供給され、ノズルから塗料が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-31407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トリガースイッチは、引き金の操作を繰り返すのに伴って往復移動するため、故障時の交換や定期点検等のメンテナンスが必要である。一般的な塗装ガンのトリガースイッチは、ノズルが設けられているガン本体の内部に収容されているため、メンテナンスの際にはガン本体を分解する必要がある。そのため、メンテナンスの作業性が良くないという問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、メンテナンスの作業性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
ノズルを有するガン本体と、
前記ノズルから塗料を吐出させるためのトリガと、
前記トリガが操作されたことを検知するスイッチと、
前記スイッチをベース部材によって保持したスイッチモジュールとを備え、
前記スイッチモジュールが前記ガン本体に対して着脱可能である。
【発明の効果】
【0007】
スイッチのメンテナンスを行う際には、スイッチモジュールをガン本体から外せばよく、メンテナンスの後は、スイッチモジュールをガン本体に取り付ければよい。本発明によれば、スイッチのメンテナンス作業において、ガン本体を分解する必要がないので、作業性が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の塗装ガンの一部切欠側面図である。
図2】塗装ガンの部分拡大側断面図である。
図3】ガン本体からスイッチモジュールを取り外した状態をあらわす部分拡大側断面図である。
図4】塗装装置の構成をあらわすブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、前記トリガは、前記ベース部材に保持されることによって前記スイッチモジュールを構成していてもよい。この構成によれば、トリガのメンテナンス作業において、ガン本体を分解する必要がないので、作業性が良好である。
【0010】
本発明は、前記スイッチモジュールは、前記ベース部材と前記トリガとによって囲まれた収容室を有し、前記収容室内に前記スイッチが収容されていてもよい。この構成によれば、スイッチを収容室に収容することによって、スイッチに対する異物の干渉を防止することができる。
【0011】
本発明は、前記トリガは、前記トリガと前記ベース部材との間の隙間を閉塞する閉塞部を有していてもよい。この構成によれば、収容室内を防塵状態に保つことができる。
【0012】
本発明は、前記スイッチモジュールは、前記スイッチから導出したケーブルに取り付けられ、前記ガン本体に設けた本体側コネクタに対して嵌合及び離脱が可能なスイッチ側コネクタを有していてもよい。この構成によれば、本体側コネクタからスイッチ側コネクタを外すことによって、スイッチモジュールをガン本体から分離できるので、スイッチモジュールの取り扱いが容易となる。
【0013】
本発明は、前記本体側コネクタは、前記ガン本体に形成した連通孔において、前記ガン本体の外部と前記ガン本体の内部との間で出し入れ可能であってもよい。この構成によれば、本体側コネクタとスイッチ側コネクタの接続作業と離脱作業を、ガン本体の外部において容易に行うことができる。
【0014】
本発明は、前記連通孔と前記スイッチモジュールとの間に、シール材が設けられていてもよい。この構成によれば、ガン本体内に粉塵が侵入することを防止できる。
【0015】
本発明は、前記スイッチが、モールド材の内部に埋設された状態で前記ベース部材と一体化されていてもよい。この構成によれば、スイッチに対する防塵を実現できる。
【0016】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を図1図4を参照して説明する。尚、以下の説明において、前後の方向については、図1~3における左方を前方と定義する。上下の方向については、図1~3にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。左右の方向については、図1~3の紙面と直角な方向を左右方向と定義する。
【0017】
本実施例1の塗装ガン10は、ガン本体11とスイッチモジュール40を組み付けて構成されている。ガン本体11は、前後方向に細長い銃身12と、銃身12の後端部から斜め下方へ延びるグリップ13とを有する。銃身12の前端部には、塗料を吐出するためのノズル14が設けられている。銃身12の内部には、塗料をノズル14に供給するための第1流路15が設けられている。グリップ13の内部には、塗料を第1流路15の後端部(上流端)に供給するための第2流路16が設けられている。
【0018】
塗装ガン10の外面には、スイッチモジュール40を取り付けるための取付面17が設定されている。図3に示すように、取付面17は、銃身12の下面後端部に設定した銃身側取付面18と、グリップ13の前面上端部に設定したグリップ側取付面19とによって構成されている。銃身側取付面18には、軸線を上下方向に向けた雌ネジ孔20が形成されている。
【0019】
図2,3に示すように、グリップ側取付面19には、グリップ13(ガン本体11)の内部と外部とを連通させる連通孔21が形成されている。グリップ側取付面19のうち連通孔21よりも下方の位置には、係止孔23が形成されている。グリップ側取付面19のうち連通孔21よりも上方の位置には、連通孔21の上方近傍位置から前方へ突出するバネ受け部24が形成されている。
【0020】
図3に示すように、グリップ13には、本体側ケーブル26の先端部に取り付けられた本体側コネクタ25が設けられている。本体側コネクタ25は、本体側ケーブル26の先端部に取り付けられている。本体側ケーブル26の先端側部分は、グリップ13内において余長を持って屈曲した状態で収容されている。本体側ケーブル26の先端側部分を伸ばして連通孔21からグリップ13の外部へ導出させると、本体側コネクタ25をガン本体11(グリップ13)の外部へ引き出すことができる。本体側ケーブル26の基端側の長尺部分は、グリップ13の底面からグリップ13の外部へ導出されている。図4に示すように、本体側ケーブル26の基端部は、塗装ガン10の外部に設けた制御装置30に接続されている。
【0021】
図4は、塗装ガン10と制御装置30と高電圧発生器31と塗料ポンプ32と流量調整弁33とを備えた塗装装置を示す。制御装置30は、後述するスイッチ70からの検知信号に基づいて、高電圧発生器31、塗料ポンプ32、流量調整弁33等の動作を制御する。高電圧発生器31は、銃身12内に収容されており、制御装置30からの制御信号に基づいて、ノズル14から吐出される塗料に高電圧を印加する。塗料ポンプ32は、塗装ガン10に塗料を圧送するためのものである。流量調整弁33は、塗料ポンプ32と塗装ガン10との間の塗料流路の途中に設けられ、制御装置30からの制御信号に基づいてノズル14に供給される塗料の流量を調整する。
【0022】
スイッチモジュール40は、ベース部材41と、トリガ60と、スイッチ70と、スイッチ側コネクタ73と、圧縮コイルバネからなる復帰バネ77とを備えて構成されている。図2,3に示すように、ベース部材41は、左右一対の側板部42と、前板部43と、上板部44と、下板部45と、保持部46とを有する単一部品である。前板部43は、左右両側板部42の上端部から前方へ突出し、突出端同士を船首状に繋げた形態である。上板部44は、前板部43の下端縁に連なり、前板部43の下面の開口を塞ぐ形態である。下板部45は、左右両側板部42の下端縁同士を繋いだ形態である。
【0023】
保持部46は、全体として前後方向に貫通した角筒状をなし、左右両側板部42の内面に連なっている。保持部46の後端部外周には、防塵機能を有するリング状のシール材22が取り付けられている。保持部46は、ベース部材41の内部空間47内に収容されている。ベース部材41の内部空間47は、ベース部材41の上面全体に亘ってベース部材41の外部へ開放されているともに、後面全体に亘ってベース部材41の外部へ開放されている。
【0024】
ベース部材41には、ベース部材41の前面のうち上板部44よりも下方の領域に開口する開口部48が形成されている。開口部48の開口縁は、左右両側板部42の前端縁、上板部44の後端縁、及び下板部45の前端縁によって構成されている。スイッチモジュール40を前方から見た正面視において、開口部48の開口形状は上下方向に長い方形である。ベース部材41の内部空間47は、開口部48においてもベース部材41の外部へ開放されている。
【0025】
上板部44には、上板部44を上下方向に貫通する貫通孔49が形成されている。下板部45には、前後方向に細長いガイド孔50が形成されている。下板部45の前端部、即ち下板部45のうちガイド孔50の前端を構成する部位は、トリガ60を待機位置に保持するためのストッパ51として機能する。下板部45の後端部には、斜め下方へ突出した形態の係止突起52が形成されている。
【0026】
トリガ60は、上下方向に細長い板状の指当て部61と、左右一対の板状をなす閉塞部62と、支点部63と、底面部64と、保持突起66と、押圧部67と、可動係止片68とを有する単一部品である。一対の閉塞部62は、指当て部61の左右両側縁から後方へ突出した形態である。支点部63は、指当て部61の上端縁と左右両閉塞部62の上端縁とに連なっている。底面部64は、指当て部61の下端縁と左右両閉塞部62の下端縁とに連なっている。トリガ60の内部には、指当て部61と左右両閉塞部62と支点部63と底面部64とによって囲まれた収容凹部65が形成されている。収容凹部65は、トリガ60の後面全体に亘ってトリガ60の外部後方へ開放されている。
【0027】
保持突起66は、指当て部61の後面(収容凹部65の前面)における上端部から後方へ突出した形態であり、収容凹部65内に収容されている。保持突起66は、支点部63の下方近傍に配置されている。押圧部67は、指当て部61の後面(収容凹部65の前面)における下端部から後方へ突出した形態であり、収容凹部65内に収容されている。可動係止片68は、底面部64の下端部から下方へ突出した形態である。
【0028】
スイッチ70は、マイクロスイッチからなる。スイッチ70は、ケース71と、アクチュエータ74と、スイッチ側ケーブル72とを有する。アクチュエータ74は、ケース71の外部前方に配置され、ケース71の前面上端部から斜め下前方へ片持ち状に延出した形態である。アクチュエータ74は、アクチュエータ74の上端部を支点として後方へ揺動変位するようになっている。
【0029】
ケース71内には、スナップ動作部(図示省略)と接点部(図示省略)と端子部(図示省略)が収容されている。端子部にはスイッチ側ケーブル72の基端部が接続されている。スイッチ側ケーブル72は、ケース71の後面から後方へ導出されている。スイッチ側ケーブル72の導出端部(先端部)にはスイッチ側コネクタ73が取り付けられている。
【0030】
スイッチ70は、ケース71の後端部を保持部46内に収容した状態で、ベース部材41に取り付けられている。ケース71の前端部とアクチュエータ74は、保持部46から保持部46の外部前方へ突出している。スイッチ70は、モールド材75によって保持部46に固定されている。モールド材75は、保持部46の内部における後端部に充填され、保持部46の内面とケース71の後端部外面とに密着している。ケース71の後端部は、保持部46内に収容された状態でモールド材75で覆われることによって、異物の干渉から保護されている。モールド材75は、ケース71の後端部のみを覆っているので、ケース71の前端部に配置されたアクチュエータ74は、前後方向へ揺動変位することができる。
【0031】
トリガ60は、ベース部材41の後方からベース部材41の内部空間47内に挿入することによって、ベース部材41に組み付けられている。トリガ60をベース部材41に組み付けた状態では、支点部63が、上板部44の後端縁に対して後方から当接した状態、又は上板部44の後端縁に対して後方から近接して対向した状態となる。可動係止片68は、ガイド孔50内に収容される。トリガ60の前端側部分は、ベース部材41の開口部48からベース部材41の外部前方へ突出する。
【0032】
スイッチモジュール40の内部には、ベース部材41の内部空間47とトリガ60の収容凹部65とによって囲まれた収容室76が構成される。トリガ60の少なくとも後端側部分が内部空間47内に収容されているので、収容室76の一部は、内部空間47と収容凹部65とが重複した空間となっている。収容室76は、ベース部材41の後方へ開放されている。トリガ60の閉塞部62は、ベース部材41の側板部42の内面に対して僅かな隙間を空けて対向した状態、又はベース部材41の側板部42の内面に軽く接触した状態となっている。したがって、収容室76は、トリガ60の前方へは開放されていない。
【0033】
ストッパ51のうちケース71の前端部とアクチュエータ74は、ベース部材41の内部空間47よりも前方に位置しているが、トリガ60の収容凹部65内に収容されている。ケース71の後端部は保持部46内に収容されている。したがって、スイッチ70の全体が収容室76内に収容されている。アクチュエータ74の下端部は、トリガ60の押圧部67に対し後方から当接した状態、又は後方から近接して対向した状態に位置する。
【0034】
ベース部材41にトリガ60を組み付けた状態のスイッチモジュール40は、ガン本体11に対して取付面17を覆うように組み付けられる。スイッチモジュール40の組み付けに際しては、本体側コネクタ25を、連通孔21からグリップ13の前方へ引っ張り出して、スイッチ側コネクタ73と嵌合する。次に、保持突起66に復帰バネ77を外嵌し、係止突起52を係止孔23に嵌入し、復帰バネ77をバネ受け部24に外嵌させる。この後、スイッチモジュール40を、係止孔23及び係止突起52を支点として取付面17に接近させる方向へ揺動させる。
【0035】
スイッチモジュール40の揺動に伴い、保持部46の後端部が連通孔21に収容され、保持部46の後端部外周のシール材22が、連通孔21の内周縁部に対して弾性的に密着する。ベース部材41が取付面17に取り付けられると、支点部63が、上板部44の後端縁と、グリップ側取付面19の上端部との間で前後方向に挟まれ、貫通孔49が雌ネジ孔20に整合する。貫通孔49に貫通させたビス78を雌ネジ孔20にねじ込んで締め付けると、スイッチモジュール40が、ガン本体11に対してベース部材41とスイッチ70を固定した状態で取り付けられる。
【0036】
スイッチモジュール40をガン本体11に取り付けた状態では、トリガ60は、支点部63を支点として前後方向へ揺動変位することができる。復帰バネ77は指当て部61の後面とグリップ側取付面19との間で縮むように弾性変形するので、トリガ60は、復帰バネ77の弾力によって前方へ付勢されている。復帰バネ77の付勢により、トリガ60は、可動係止片68をストッパ51に対して後方から当接させた待機位置(図2,3を参照)に保持される。
【0037】
ノズル14から塗料を吐出させる際には、グリップ13を把持してトリガ60の指当て部61に指を当て、トリガ60を引き操作して後方へ揺動させる。トリガ60を引き操作すると、トリガ60の押圧部67に押されたアクチュエータ74が、スナップ動作部にスナップアクション動作を行わせ、接点部を端子部に接触させる。接点部が端子部に接触すると、スイッチ70がON状態となり、スイッチ70からの検知信号が、スイッチ側ケーブル72、スイッチ側コネクタ73、本体側コネクタ25及び本体側ケーブル26を介して制御装置30へ入力される。制御装置30の制御により、高電圧を印加された塗料がノズル14から吐出される。
【0038】
トリガ60から指を離すと、復帰バネ77の弾力によってトリガ60が待機位置へ復帰し、スイッチ70がOFF状態となるので、塗料の吐出が停止する。トリガ60を引き操作する過程、及びトリガ60が待機位置へ復帰する過程では、トリガ60の左右両閉塞部62と支点部63と底面部64が、ベース部材41の開口部48の開口縁を全周に亘って閉塞した状態を保つ。これにより、スイッチ70が収容されている収容室76が、防塵状態に保たれる。トリガ60の前後方への揺動に伴い、可動係止片68がガイド孔50内で前後方向へ変位する。
【0039】
スイッチ70のメンテナンスや交換を行う際には、スイッチモジュール40をガン本体11から取り外す。トリガ60のメンテナンスや交換の際にも、スイッチモジュール40をガン本体11から取り外す。スイッチモジュール40を取り外す際には、まず、ビス78を緩めて雌ネジ孔20及び貫通孔49から外し、スイッチモジュール40を係止孔23及び係止突起52を支点として前方へ揺動させる。復帰バネ77がバネ受け部24から外れたら、復帰バネ77を保持突起66から取り外し、係止突起52を係止孔23から抜き取る。この後、スイッチ側コネクタ73と本体側コネクタ25を離脱させる。以上の手順により、ガン本体11を分解することなく、トリガ60とスイッチ70をガン本体11から取り外すことができる。
【0040】
本実施例1の塗装ガン10は、ノズル14を有するガン本体11と、ノズル14から塗料を吐出させるためのトリガ60と、トリガ60が操作されたことを検知するスイッチ70と、スイッチ70をベース部材41によって保持したスイッチモジュール40とを備えている。スイッチモジュール40はガン本体11に対して着脱可能である。スイッチ70のメンテナンスを行う際には、スイッチモジュール40をガン本体11から外せばよく、メンテナンスの後は、スイッチモジュール40をガン本体11に取り付ければよい。
【0041】
本実施例1の塗装ガン10によれば、スイッチ70のメンテナンス作業において、ガン本体11を分解する必要がないので、作業性が良好である。トリガ60は、ベース部材41に保持されることによってスイッチモジュール40を構成している。したがって、トリガ60のメンテナンス作業の際にも、ガン本体11を分解する必要がなく、作業性が良好である。
【0042】
スイッチモジュール40は、ベース部材41とトリガ60とによって囲まれた収容室76を有している。スイッチ70は、収容室76内に収容されている。この構成によれば、スイッチモジュール40をガン本体11から取り外した状態において、スイッチ70に対する異物の干渉を防止することができる。
【0043】
スイッチモジュール40の収容室76は、ベース部材41の上面と後面において外部へ開放されているが、スイッチモジュール40をガン本体11に取り付けた状態では、ベース部材41の上面と後面はガン本体11の取付面17によって閉塞されている。ベース部材41の前面には、トリガ60を取り付けるための開口部48が開口しているが、トリガ60は、トリガ60とベース部材41(開口部48の開口縁)との間の隙間を閉塞する閉塞部62を有している。したがって、収容室76内を防塵状態に保つことができる。
【0044】
スイッチモジュール40は、スイッチ70から導出したスイッチ側ケーブル72の導出端に取り付けられたスイッチ側コネクタ73を有している。スイッチ側コネクタ73は、ガン本体11に設けた本体側コネクタ25に対して嵌合及び離脱が可能である。本体側コネクタ25からスイッチ側コネクタ73を外すことによって、スイッチモジュール40をガン本体11から分離できるので、スイッチモジュール40の取り扱いが容易である。
【0045】
本体側コネクタ25は、ガン本体11に形成した連通孔21において、ガン本体11の外部とガン本体11の内部との間で出し入れ可能である。したがって、本体側コネクタ25とスイッチ側コネクタ73の接続作業と離脱作業を、ガン本体11の外部において容易に行うことができる。
【0046】
スイッチモジュール40の保持部46と、ガン本体11の連通孔21との間には、シール材22が設けられている。シール材22を設けたことにより、連通孔21と保持部46との隙間からガン本体11内に粉塵が侵入することを防止できる。スイッチ70は、ケース71のうち保持部46の前方に突出した部分をモールド材75に埋設した状態で、ベース部材41の保持部46と一体化されている。この構成によれば、モールド材75によってスイッチ70に対する防塵を実現できる。
【0047】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施例では、スイッチモジュールがトリガを含んでいるが、トリガをガン本体に直接的に取り付け、スイッチモジュールがトリガを含まない形態としてもよい。
上記実施例では、スイッチモジュールが、ガン本体の給電回路に対して嵌合及び離脱が可能なスイッチ側コネクタを有しているが、スイッチモジュールはスイッチ側コネクタを有しない形態であってもよい。この場合、給電回路とスイッチモジュールをケーブルで接続したままにしておくことになるが、ケーブルを長尺のものにすれば、スイッチモジュールの取り扱いが容易となる。
上記実施例では、給電側コネクタをガン本体の外部へ取り出すことができるようにしたが、給電側コネクタは、ガン本体の内部に固定してもよい。
上記実施例では、スイッチをモールド材に埋設したが、モールド材を用いずに、スイッチをベース部材に取り付けてもよい。
上記実施例では、スイッチを収容室内に収容したが、スイッチの少なくとも一部が、スイッチモジュールの外面から突出した形態であってもよい。
上記実施例では、トリガの操作を検知するスイッチとして、マイクロスイッチを用いたが、マイクロスイッチに替えてリードスイッチ等を用いてもよい。
上記実施例では、シール材を保持部の外周に取り付けたが、シール材は、開口部の内周面に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…塗装ガン
11…ガン本体
14…ノズル
21…連通孔
22…シール材
25…本体側コネクタ
40…スイッチモジュール
41…ベース部材
60…トリガ
62…閉塞部
70…スイッチ
72…スイッチ側ケーブル(ケーブル)
73…スイッチ側コネクタ
75…モールド材
76…収容室
図1
図2
図3
図4