(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-08
(45)【発行日】2024-03-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240311BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240311BHJP
G09G 3/32 20160101ALI20240311BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240311BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240311BHJP
【FI】
G09F9/30 338
G09F9/30 330
G09F9/33
G09G3/32 A
G09G3/20 624B
G09G3/20 680G
H01L33/00 J
(21)【出願番号】P 2020116275
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 義典
(72)【発明者】
【氏名】小川 耀博
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅延
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-052155(JP,A)
【文献】特開2002-151276(JP,A)
【文献】特開2020-080356(JP,A)
【文献】特開2012-237931(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0267327(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0271440(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0066561(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
H01L 33/00-33/64
G09G 3/00-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1発光素子および当該第1発光素子を駆動する第1画素回路を含む第1副画素と、
第2発光素子および当該第2発光素子を駆動する第2画素回路を含む第2副画素と、
前記第1画素回路に電源を供給する第1電源線と、
前記第2画素回路に電源を供給する第2電源線と、
前記第1発光素子および前記第2発光素子の電圧をリセットするためのリセット信号が供給される1本のリセット配線と、を備え、
前記リセット配線、前記第1電源線および前記第2電源線は、前記第1副画素および前記第2副画素を含む表示領域に配置され、
前記リセット配線は、前記第1画素回路および前記第2画素回路の双方に接続され、
前記第1電源線の幅は、前記第2電源線の幅よりも大き
く、
前記第1画素回路は、前記リセット配線が接続される第1リセットトランジスタを有し、
前記第2画素回路は、前記リセット配線が接続される第2リセットトランジスタを有し、
前記第1リセットトランジスタおよび前記第2リセットトランジスタのそれぞれは、2つのゲート電極を有し、
前記リセット配線は、前記第1リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、前記第2リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、を有する、
表示装置。
【請求項2】
前記表示領域において第1方向に並び、前記第1画素回路および前記第2画素回路にそれぞれ映像信号を供給する第1映像線および第2映像線と、
前記表示領域において前記第1方向と交差する第2方向に並び、前記第1画素回路および前記第2画素回路に走査信号を供給する複数の走査線と、をさらに備え、
前記リセット配線、前記第1電源線および前記第2電源線は、前記第1方向に並ぶ、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1副画素および前記第2副画素は、前記第1方向に並び、
前記第1副画素の前記第1方向における幅は、前記第2副画素の前記第1方向における幅よりも大きい、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1電源線、前記第2電源線、前記リセット配線、前記第1映像線および前記第2映像線は、同層に配置されている、
請求項2または3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1電源線と異なる層に配置され、前記第1電源線と交差する第1ブリッジをさらに備え、
前記第1映像線、前記第1電源線、前記第2映像線および前記第2電源線は、この順で前記第1方向に並び、
前記リセット配線は、前記第1映像線と前記第1電源線の間において前記第1画素回路および前記第1ブリッジに接続され、
前記第1ブリッジは、前記第2映像線と前記第2電源線の間において前記第2画素回路に接続されている、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記リセット配線、前記第1電源線および前記第2電源線と異なる層に配置され、前記リセット配線と交差し、前記第1電源線および前記第2電源線を接続する第2ブリッジをさらに備える、
請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1画素回路は、前記第1発光素子に接続された第1駆動トランジスタを備え、
前記第2画素回路は、前記第2発光素子に接続された第2駆動トランジスタを備え、
前記第1駆動トランジスタのチャネル幅を前記第1駆動トランジスタのチャネル長で割った第1チャネル比は、前記第2駆動トランジスタのチャネル幅を前記第2駆動トランジスタのチャネル長で割った第2チャネル比よりも大きい、
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項8】
第3発光素子および当該第3発光素子を駆動する第3画素回路を含み、前記第1副画素および前記第2副画素とともに1つの画素を構成する第3副画素と、
前記表示領域に配置され、前記第3画素回路に電源を供給する第3電源線と、をさらに備え、
前記リセット配線は、前記第1画素回路、前記第2画素回路および前記第3画素回路に接続されている、
請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記第3画素回路は、前記第3発光素子に接続された第3駆動トランジスタを備え、
前記第3駆動トランジスタのチャネル幅を前記第3駆動トランジスタのチャネル長で割った第3チャネル比は、前記第1チャネル比よりも小さく、かつ前記第2チャネル比と異なる、
請求項8に記載の表示装置。
【請求項10】
前記第1発光素子は、赤色の発光ダイオードである、
請求項1乃至9のうちいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項11】
第1発光素子および当該第1発光素子を駆動する第1画素回路を含む第1副画素と、
第2発光素子および当該第2発光素子を駆動する第2画素回路を含む第2副画素と、
第3発光素子および当該第3発光素子を駆動する第3画素回路を含む第3副画素と、
前記第1画素回路に映像信号を供給する第1映像線と、
前記第2画素回路に映像信号を供給する第2映像線と、
前記第3画素回路に映像信号を供給する第3映像線と、
前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子の電圧をリセットするためのリセット信号が供給される1本のリセット配線と、を備え、
前記第1映像線、前記リセット配線、前記第2映像線、前記第3映像線は、この順で第1方向に並び、
前記第1映像線、前記第2映像線、前記第3映像線は、それぞれ前記第1方向と交差する第2方向に延出し、
前記リセット配線は、前記第1映像線と前記第2映像線との間において前記第2方向に延出する配線部分と、前記第2映像線および前記第3映像線と交差し前記第1方向に延出するブリッジ部分とを有
し、
前記第1画素回路は、前記リセット配線が接続される第1リセットトランジスタを有し、
前記第2画素回路は、前記リセット配線が接続される第2リセットトランジスタを有し、
前記第3画素回路は、前記リセット配線が接続される第3リセットトランジスタを有し、
前記第1リセットトランジスタ、前記第2リセットトランジスタおよび前記第3リセットトランジスタのそれぞれは、2つのゲート電極を有し、
前記リセット配線は、前記第1リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、前記第2リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、前記第3リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、を有する、
表示装置。
【請求項12】
前記第1画素回路は、前記第1映像線が接続される画素選択トランジスタを有し、
前記リセット配線の前記配線部分は、前記画素選択トランジスタ
の一部を迂回するように形成されている、請求項11に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示素子として発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いた表示装置が知られている。近年では、マイクロLEDと称される微小な発光ダイオードをアレイ基板に実装した表示装置も開発されている。この種の表示装置は高品位の画像表示が可能であり、次世代の表示装置として注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-52154号公報
【文献】特開2020-52155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロLED等の自発光型の表示素子を用いた表示装置において輝度を高めるためには、表示素子に電源を供給する電源線の幅を大きくするなどの対策が必要である。しかしながら、高精細な表示装置においては、表示領域に配線や回路を配置するためのスペースが制約され、高輝度化が困難な場合がある。
【0005】
本開示の一態様における目的は、高輝度化が可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、第1発光素子および当該第1発光素子を駆動する第1画素回路を含む第1副画素と、第2発光素子および当該第2発光素子を駆動する第2画素回路を含む第2副画素と、前記第1画素回路に電源を供給する第1電源線と、前記第2画素回路に電源を供給する第2電源線と、前記第1発光素子および前記第2発光素子の電圧をリセットするためのリセット信号が供給される1本のリセット配線と、を備えている。前記リセット配線、前記第1電源線および前記第2電源線は、前記第1副画素および前記第2副画素を含む表示領域に配置されている。前記リセット配線は、前記第1画素回路および前記第2画素回路の双方に接続されている。前記第1電源線の幅は、前記第2電源線の幅よりも大きい。前記第1画素回路は、前記リセット配線が接続される第1リセットトランジスタを有している。前記第2画素回路は、前記リセット配線が接続される第2リセットトランジスタを有している。前記第1リセットトランジスタおよび前記第2リセットトランジスタのそれぞれは、2つのゲート電極を有している。前記リセット配線は、前記第1リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、前記第2リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、を有している。
【0007】
また、一実施形態に係る表示装置は、第1発光素子および当該第1発光素子を駆動する第1画素回路を含む第1副画素と、第2発光素子および当該第2発光素子を駆動する第2画素回路を含む第2副画素と、第3発光素子および当該第3発光素子を駆動する第3画素回路を含む第3副画素と、前記第1画素回路に映像信号を供給する第1映像線と、前記第2画素回路に映像信号を供給する第2映像線と、前記第3画素回路に映像信号を供給する第3映像線と、前記第1発光素子と前記第2発光素子と前記第3発光素子の電圧をリセットするためのリセット信号が供給される1本のリセット配線と、を備えている。前記第1映像線、前記リセット配線、前記第2映像線、前記第3映像線は、この順で第1方向に並んでいる。前記第1映像線、前記第2映像線、前記第3映像線は、それぞれ前記第1方向と交差する第2方向に延出している。前記リセット配線は、前記第1映像線と前記第2映像線との間において前記第2方向に延出する配線部分と、前記第2映像線および前記第3映像線と交差し前記第1方向に延出するブリッジ部分とを有している。前記第1画素回路は、前記リセット配線が接続される第1リセットトランジスタを有している。前記第2画素回路は、前記リセット配線が接続される第2リセットトランジスタを有している。前記第3画素回路は、前記リセット配線が接続される第3リセットトランジスタを有している。前記第1リセットトランジスタ、前記第2リセットトランジスタおよび前記第3リセットトランジスタのそれぞれは、2つのゲート電極を有している。前記リセット配線は、前記第1リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、前記第2リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、前記第3リセットトランジスタの前記2つのゲート電極に重なる2つのシールド電極と、を有している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る表示装置の概略的な斜視図である。
【
図2】
図2は、一実施形態に係る表示装置の概略的な回路図である。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る副画素の等価回路の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、一実施形態に係る表示パネルの概略的な断面図である。
【
図5】
図5は、一実施形態に係る画素に含まれる要素の概略的な平面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係る画素に含まれる他の要素の概略的な平面図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る画素に含まれるさらに他の要素の概略的な平面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示した第1副画素の画素回路の概略的な平面図である。
【
図9】
図9は、
図7に示した第2副画素の画素回路の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態につき、図面を参照しながら説明する。
なお、開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有される。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。各図において、連続して配置される同一または類似の要素については符号を省略することがある。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を省略することがある。
【0010】
各実施形態においては一例として、LED素子を備える自発光型の表示装置を開示する。ただし、各実施形態は、例えば有機エレクトロルミネッセンス素子のような他種の表示素子を有する表示装置に対する、各実施形態にて開示される個々の技術的思想の適用を妨げるものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係る表示装置1の概略的な斜視図である。以下の説明においては、図示したように第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを定義する。これら方向X,Y,Zは互いに直交しているが、90°以外の角度で交わってもよい。本実施形態においては、第3方向Zに沿って表示装置1やその構成要素を見ることを平面視と呼ぶ。また、第3方向Zを上と呼び、第3方向Zの反対方向を下と呼ぶことがある。
【0012】
表示装置1は、表示パネル2と、第1回路基板3と、第2回路基板4と、コントローラ5とを備えている。
図1の例において、表示パネル2は、第1方向Xと平行な短辺EXと、第2方向Yと平行な長辺EYとを有した矩形状である。第3方向Zは、表示パネル2の厚さ方向に相当する。
【0013】
表示パネル2は、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周りの非表示領域NDA(周辺領域)とを有している。非表示領域NDAは、短辺EXに沿う端子領域MTを含む。本実施形態においては表示領域DAが矩形状であるが、表示領域DAが他の形状であってもよい。表示領域DAには、第1方向Xおよび第2方向Yにおいてマトリクス状に並ぶ複数の画素PXが配置されている。
【0014】
第1回路基板3は、端子領域MTの上に実装され、表示パネル2と電気的に接続されている。第2回路基板4は、第1回路基板3と電気的に接続されている。第1回路基板3は、例えばフレキシブル回路基板(FPC)である。第2回路基板4は、例えばプリント回路基板(PCB)である。コントローラ5は、例えば集積回路(IC)である。
図1の例においては、第1回路基板3の上にコントローラ5が実装されている。ただし、コントローラ5は、第1回路基板3の下や非表示領域NDA、または第2回路基板4に実装されてもよい。
【0015】
コントローラ5は、例えば第2回路基板4を介して制御基板(図示せず)と接続されている。コントローラ5は、制御基板から出力される映像信号に基づいて複数の画素PXを駆動する。
【0016】
図2は、本実施形態に係る表示装置1の概略的な回路図である。表示パネル2は、非表示領域NDAにおいて、映像ドライバXDRと、第1走査ドライバYDR1と、第2走査ドライバYDR2とを備えている。映像ドライバXDRは、第1方向Xに延びている。走査ドライバYDR1,YDR2は、第2方向Yに延びている。表示領域DAは、走査ドライバYDR1,YDR2の間に位置している。
【0017】
表示パネル2は、表示領域DAにおいて複数種類の配線を備えている。これら配線は、複数の走査線Gsg,Grg,Gbgと、複数の映像線VLと、複数の電源線PL1と、複数の電源線PL2と、複数のリセット配線Srstとを含む。
【0018】
走査線Gsg,Grg,Gbgは、第1方向Xに延びており、走査ドライバYDR1,YDR2に接続されている。例えば、第2方向Yに並ぶ画素PXのうち、偶数番目の画素PXを駆動するための走査線Gsg,Grg,Gbgが第1走査ドライバYDR1に接続され、奇数番目の画素PXを駆動するための走査線Gsg,Grg,Gbgが第2走査ドライバYDR2に接続されている。他の例として、例えば走査線Gsg,Grgが全て第1走査ドライバYDR1に接続されるとともに走査線Gbgが全て第2走査ドライバYDR2に接続されるなど、走査線Gsg,Grg,Gbgのいずれかが第1走査ドライバYDR1に接続され、残りが第2走査ドライバYDR2に接続されてもよい。
【0019】
映像線VL、電源線PL1,PL2およびリセット配線Srstは、第2方向Yに延びている。映像線VLは、映像ドライバXDRに接続されている。映像線VLには、映像ドライバXDRから映像信号Vsigと初期化信号Viniが供給される。電源線PL1には、コントローラ5から高電位Pvddが供給される。電源線PL2には、コントローラ5から高電位Pvddよりも低い低電位Pvssが供給される。リセット配線Srstには、コントローラ5からリセット信号Vrstが供給される。
【0020】
コントローラ5は、走査ドライバYDR1,YDR2にスタートパルス信号STVやクロック信号CKVも出力する。走査ドライバYDR1,YDR2は複数のシフトレジスタ回路を含んでおり、クロック信号CKVに応じてスタートパルス信号STVを次段のシフトレジスタ回路に順次転送し、各走査線Gsg,Grg,Gbgに走査信号を順次供給する。
【0021】
図3は、画素PXに含まれる副画素SPの等価回路の一例を示す図である。副画素SPは、発光素子10と、発光素子10を駆動する画素回路PCとを備えている。本実施形態においては、発光素子10がマイクロ発光ダイオード(マイクロLED)である場合を想定する。すなわち、表示装置1は、マイクロLED表示装置である。
【0022】
一例として、マイクロLEDである発光素子10においては、最長の一辺の長さが100μm以下である。ただし、発光素子10は、例えば最長の一辺の長さが100μmより大きく300μm未満のミニLEDであってもよい。また、発光素子10は、最長の一辺の長さが300μm以上のLEDであってもよい。
【0023】
画素回路PCは、映像線VLに供給される映像信号Vsigに応じて発光素子10を制御する。このような制御を実現するために、本実施形態における画素回路PCは、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCT、駆動トランジスタDRT、保持容量Csおよび補助容量Cadを有している。補助容量Cadは発光電流量を調整するために設けられる素子であり、場合によっては不要となることもある。
【0024】
リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、例えばNチャネル型のTFTにより構成できるが、これらの少なくとも1つがPチャネル型のTFTにより構成されてもよい。
【0025】
本実施形態において、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、同一工程かつ同一層構造で形成され、半導体層に多結晶シリコンを用いたボトムゲート構造を有している。他の例として、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、トップゲート構造を有してもよい。なお、半導体層としては、酸化物半導体や多結晶GaN半導体などを用いてもよい。
【0026】
リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTは、第1端子、第2端子および制御端子を有している。
図3の説明においては、第1端子をソース電極、第2端子をドレイン電極、制御端子をゲート電極と呼ぶ。
【0027】
駆動トランジスタDRTおよび出力トランジスタBCTは、電源線PL1と電源線PL2の間で発光素子10と直列に接続されている。電源線PL1に供給される高電位Pvddは例えば10Vに設定され、電源線PL2に供給される低電位Pvssは例えば1.5Vに設定されている。
【0028】
出力トランジスタBCTのドレイン電極は、電源線PL1に接続されている。出力トランジスタBCTのソース電極は、駆動トランジスタDRTのドレイン電極に接続されている。出力トランジスタBCTのゲート電極は、走査線Gbgに接続されている。出力トランジスタBCTは、走査線Gbgに与えられる制御信号BGによりオン、オフされる。ここで、オンは導通状態を表し、オフは非導通状態を表す。出力トランジスタBCTは、制御信号BGに基づき発光素子10の発光時間を制御する。
【0029】
駆動トランジスタDRTのソース電極は、発光素子10の一方の電極(ここでは陽極)に接続されている。発光素子10の他方の電極(ここでは陰極)は、電源線PL2に接続されている。駆動トランジスタDRTは、映像信号Vsigに応じた駆動電流を発光素子10に出力する。
【0030】
画素選択トランジスタSSTのソース電極は、映像線VLに接続されている。画素選択トランジスタSSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのゲート電極に接続されている。画素選択トランジスタSSTのゲート電極は、信号書き込み制御用のゲート配線として機能する走査線Gsgに接続されている。画素選択トランジスタSSTは、走査線Gsgから供給される制御信号SGによりオン、オフされ、画素回路PCと映像線VLの接続および非接続を切り替える。すなわち、画素選択トランジスタSSTがオンされることにより、映像線VLの映像信号Vsigまたは初期化信号Viniが駆動トランジスタDRTのゲート電極に供給される。
【0031】
リセットトランジスタRSTのソース電極は、リセット配線Srstに接続されている。リセットトランジスタRSTのドレイン電極は、駆動トランジスタDRTのソース電極および発光素子10の陽極に接続されている。リセットトランジスタRSTのゲート電極は、リセット制御用ゲート配線として機能する走査線Grgに接続されている。リセットトランジスタRSTは、走査線Grgから供給される制御信号RGによりオン、オフされる。リセットトランジスタRSTがオンに切り替えられることにより、駆動トランジスタDRTのソース電極および発光素子10の陽極の電位をリセット配線Srstのリセット信号Vrstにリセットすることができる。すなわち、リセット配線Srstは、発光素子10の電圧をリセットするための配線である。
【0032】
保持容量Csは、駆動トランジスタDRTのゲート電極とソース電極の間に接続されている。補助容量Cadは、駆動トランジスタDRTのソース電極と電源線PL2の間に接続されている。
【0033】
以上のような構成においては、走査線Gsg,Grg,Gbgに供給される制御信号SG,RG,BGによって画素回路PCが駆動され、映像線VLの映像信号Vsigに応じた輝度で発光素子10が発光する。
【0034】
制御信号SG,RG,BGは、走査ドライバYDR1,YDR2が上述のスタートパルス信号STVおよびクロック信号CVKに基づいて、各ライン(第1方向Xに並ぶ一連の副画素SP)の走査線Gsg,Grg,Gbgに対し順次供給する。また、
図2に示したコントローラ5から供給される信号に基づいて、映像ドライバXDRが各映像線VLに映像信号Vsigおよび初期化信号Viniを順次供給する。映像信号Vsigの供給に伴い保持容量Csに保持された電荷は、初期化信号Viniの供給に伴い初期化される。
【0035】
図4は、表示パネル2の概略的な断面図である。ここでは、画素PX(副画素SP)の一部に対応する構造を示している。表示パネル2は、絶縁基材20と、絶縁基材20の上に設けられた絶縁層21,22,23,24,25,26と、樹脂層27と、コーティング層28とを備えている。
【0036】
絶縁基材20は、例えばガラスであるが、ポリイミド等の可撓性を有した樹脂基板であってもよい。絶縁層21は、絶縁基材20の上に設けられている。絶縁層21の上には、第1ゲート電極GE1および第2ゲート電極GE2が設けられている。ゲート電極GE1,GE2および絶縁層21は、絶縁層22で覆われている。絶縁層22の上には、半導体層SC1が設けられている。半導体層SC1および絶縁層22は、絶縁層23で覆われている。絶縁層23の上には、第1電極E1および第2電極E2が設けられている。第1電極E1および第2電極E2は、それぞれ絶縁層23を貫通するコンタクトホールh1,h2を通じて半導体層SC1に接触している。
【0037】
第1ゲート電極GE1および半導体層SC1の一部は、出力トランジスタBCTを構成する。第2ゲート電極GE2および半導体層SC1の他の一部は、駆動トランジスタDRTを構成する。
図4には示されていないが、上述のリセットトランジスタRSTおよび画素選択トランジスタSSTは、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTと同様の層構成にて形成されている。
【0038】
第1電極E1、第2電極E2および絶縁層23は、絶縁層24で覆われている。絶縁層24の上には、導電層CL1が設けられている。導電層CL1および絶縁層24は、絶縁層25で覆われている。
【0039】
絶縁層25の上には、導電層CL2,CL3が設けられている。導電層CL2は、絶縁層24,25を貫通するコンタクトホールh3を通じて第2電極E2に接触している。導電層CL3は、絶縁層25を貫通するコンタクトホールh4を通じて導電層CL1に接触している。
【0040】
導電層CL2,CL3および絶縁層25は、絶縁層26で覆われている。絶縁層26の上には、画素電極PEおよびコンタクト電極CONが設けられている。画素電極PEは、絶縁層26を貫通するコンタクトホールh5を通じて導電層CL2に接触している。コンタクト電極CONは、絶縁層26を貫通するコンタクトホールh6を通じて導電層CL3に接触している。
【0041】
画素電極PEの上には接続層LA1が設けられ、コンタクト電極CONの上には接続層LA2が設けられている。発光素子10は、接続層LA1の上に設けられている。発光素子10は、陽極ANと、陰極CAと、陽極ANと陰極CAの間に配置された発光層LIとを有している。発光層LIは、陽極ANと陰極CAの電位差に応じて光を放つ。陽極ANは、接続層LA1の上面に接触している。
【0042】
樹脂層27は、画素電極PE、コンタクト電極CON、接続層LA1,LA2および絶縁層26を覆うとともに、複数の発光素子10の隙間を満たしている。陰極CAは、樹脂層27から露出している。
【0043】
樹脂層27は、共通電極CEで覆われている。共通電極CEは、樹脂層27に設けられたコンタクトホールh7を通じて接続層LA2に接触している。また、共通電極CEは、陰極CAにも接触している。共通電極CEは、コーティング層28で覆われている。
【0044】
絶縁層21,22,23,25は、例えばシリコン酸化物(SiO)やシリコン窒化物(SiN)などの無機絶縁材料で形成されている。絶縁層24,26は、感光性アクリル樹脂などの有機絶縁材料で形成されている。絶縁層24,26は、絶縁層21,22,23,25よりも厚く、平坦化層としての機能を有している。コーティング層28は、例えばパリレン(ポリパラキシリレン)あるいは無機のシロキサン結合を主鎖に持ち側鎖に有機結合をもつシリコンで形成されている。
【0045】
第1ゲート電極GE1、第2ゲート電極GE2、第1電極E1、第2電極E2、導電層CL2,CL3、画素電極PEおよびコンタクト電極CONは、金属材料で形成されている。導電層CL1および共通電極CEは、インジウム錫酸化物(ITO)などの透明導電材料で形成されている。接続層LA1,LA2は、例えば半田で形成されている。
【0046】
第1電極E1には、上述の電源線PL1を介して高電位Pvddが供給される。この高電位Pvddは、出力トランジスタBCT、駆動トランジスタDRT、第2電極E2、導電層CL2、画素電極PEおよび接続層LA1を介して発光素子10の陽極ANに供給される。
【0047】
共通電極CEには、上述の電源線PL2を介して低電位Pvssが供給される。低電位Pvssは、共通電極CEに接触する発光素子10の陰極CAにも供給される。また、低電位Pvssは、接続層LA2、コンタクト電極CONおよび導電層CL3を介して導電層CL1にも供給される。導電層CL1は、導電層CL2等とともに上述の補助容量Cadを形成する。
【0048】
図5は、画素PXに含まれる要素の一部の概略的な平面図である。本実施形態においては、画素PXが3つの副画素SPa,SPb,SPcを含む場合を想定する。副画素SPaは赤色を表示し、副画素SPbは緑色を表示し、副画素SPcは青色を表示する。ただし、画素PXは、白色などの他の色を表示する副画素を含んでもよい。また、画素PXに含まれる副画素SPの数は3つに限られない。
【0049】
副画素SPa,SPb,SPcは、
図3および
図4に示した構造を有している。
図5においては、各副画素SPa,SPb,SPcの画素電極PE(PEa,PEb,PEc)、接続層LA1(LA1a,LA1b,LA1c)および発光素子10(10a,10b,10c)の形状と、コンタクト電極CONおよび接続層LA2の形状と、コンタクトホールh5,h6,h7の位置とを示している。
【0050】
図5の例においては、副画素SPaの画素電極PEaと副画素SPcの画素電極PEcが第1方向Xに並び、副画素SPbの画素電極PEbとコンタクト電極CONが第1方向Xに並んでいる。さらに、画素電極PEaと画素電極PEbが第2方向Yに並び、画素電極PEcとコンタクト電極CONが第2方向Yに並んでいる。例えば画素電極PEa,PEb,PEcおよびコンタクト電極CONは矩形状であるが、この例に限られない。
【0051】
副画素SPaの接続層LA1aは画素電極PEaの上に配置され、副画素SPbの接続層LA1bは画素電極PEbの上に配置され、副画素SPcの接続層LA1cは画素電極PEcの上に配置され、接続層LA2はコンタクト電極CONの上に配置されている。
【0052】
副画素SPaの発光素子10aは接続層LA1aの上に配置され、副画素SPbの発光素子10bは接続層LA1bの上に配置され、副画素SPcの発光素子10cは接続層LA1cの上に配置されている。発光素子10aは赤色の光を放つマイクロLEDであり、発光素子10bは緑色の光を放つマイクロLEDであり、発光素子10cは青色の光を放つマイクロLEDである。
【0053】
図6は、画素PXに含まれる他の要素の概略的な平面図である。この図においては、副画素SPa,SPb,SPcの導電層CL2(CL2a,CL2b,CL2c)の形状と、導電層CL3の形状と、コンタクトホールh3,h4,h5,h6の位置とを示している。
【0054】
副画素SPaの導電層CL2a、副画素SPbの導電層CL2b、および副画素SPcの導電層CL2cは、
図5に示した画素電極PEa,PEb,PEcの下にそれぞれ位置している。
【0055】
図6の例において、画素PXは、第1方向Xに延びる配線WLaと、第2方向Yに延びる配線WLbとをさらに備えている。これら配線WLa,WLbは互いに接続されており、導電層CL3で形成されている。
【0056】
図7は、画素PXに含まれるさらに他の要素の概略的な平面図である。この図においては、
図4における絶縁層21,22の間の第1層に配置される金属製の導電材料(ドット部分)と、絶縁層22,23の間の第2層に配置される半導体材料(破線部分)と、絶縁層23,24の間の第3層に配置される金属製の導電材料(斜線部分)と、第1乃至第3層に通じるコンタクトホールとを示している。
【0057】
第1層に配置される導電材料には、走査線Grg,Gbg,Gsgが含まれる。第2層に配置される半導体材料には、リセットトランジスタRST、画素選択トランジスタSST、出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTの一部を成す半導体層SC1,SC2が含まれる。第3層に配置される導電材料には、副画素SPa,SPb,SPcにそれぞれ映像信号Vsigを供給する映像線VLa,VLb,VLc、副画素SPa,SPb,SPcにそれぞれ高電位Pvddを供給する電源線PL1a,PL1b,PL1cおよびリセット信号Vrstを供給するリセット配線Srstが含まれる。
【0058】
図7の例においては、映像線VLa、リセット配線Srst、電源線PL1a、映像線VLb、電源線PL1b、映像線VLcおよび電源線PL1cがこの順で第1方向Xに並んでいる。図中の右端に示す映像線VLaは、図示した画素PXに隣り合う他の画素PXの副画素SPaに映像信号Vsigを供給するものである。
【0059】
リセット配線Srstは、映像線VLa,VLbの間において映像線VLa寄りに位置している。電源線PL1aは、映像線VLa,VLbの間において映像線VLb寄りに位置している。電源線PL1bは、映像線VLb,VLcの間において映像線VLc寄りに位置している。電源線PL1cは、映像線VLcと上記他の画素PXの映像線VLaの間において映像線VLa寄りに位置している。
【0060】
図7の例において、映像線VLa,VLb,VLcおよび電源線PL1a,PL1b,PL1cは、全体的に第2方向Yと平行に延びている。一方、リセット配線Srstは、画素選択トランジスタSSTの一部、駆動トランジスタDRT、出力トランジスタBCTおよびリセットトランジスタRSTを迂回するように屈曲しながら第2方向Yに延びている。すなわち、リセット配線Srstは、第1方向Xに延びる部分と、第2方向Yに延びる部分とを含む。
【0061】
副画素SPaの画素回路PCaは、映像線VLaと電源線PL1aの間に配置されている。副画素SPbの画素回路PCbは、映像線VLbと電源線PL1bの間に配置されている。副画素SPcの画素回路PCcは、映像線VLcと電源線PL1cの間に配置されている。
【0062】
画素回路PCaは、映像線VLaと電源線PL1aの間に配置された中継電極50aを有している。画素回路PCbは、映像線VLbと電源線PL1bの間に配置された中継電極50bを有している。画素回路PCcは、映像線VLcと電源線PL1cの間に配置された中継電極50cを有している。中継電極50a,50b,50cは、第3層に配置されている。中継電極50aは、リセット配線Srstから延出している。中継電極50b,50cは、島状に形成されている。中継電極50a,50b,50cは、リセット配線Srstの一部と定義することもできる。
【0063】
中継電極50a,50b,50cの近傍に、第1層に形成された第1ブリッジ30が配置されている。第1ブリッジ30は、映像線VLb,VLcおよび電源線PL1a,PL1bと交差して第1方向Xに延びている。第1ブリッジ30の一端は映像線VLaと電源線PL1aの間に位置し、他端は映像線VLcと電源線PL1cの間に位置している。リセット配線Srstは、映像線VLaと電源線PL1aの間において、
図4に示した絶縁層22,23を貫通するコンタクトホールh30を通じて第1ブリッジ30に接続されている。中継電極50bは、映像線VLbと電源線PL1bの間において、コンタクトホールh30を通じて第1ブリッジ30に接続されている。中継電極50cは、映像線VLcと電源線PL1cの間において、コンタクトホールh30を通じて第1ブリッジ30に接続されている。コンタクトホールh30は、
図4に示した絶縁層22,23を貫通する。
【0064】
このように、リセット配線Srstは、中継電極50aを介して画素回路PCaに接続されるとともに、第1ブリッジ30および中継電極50b,50cを介して画素回路PCb,PCcに接続されている。これにより、1本のリセット配線Srstによって各画素回路PCa,PCb,PCcにリセット信号Vrstを供給することが可能となる。なお、第1ブリッジ30は、リセット配線Srstの一部と定義することもできる。この場合において、リセット配線Srstは、映像線VLaと映像線VLbとの間において第2方向Yに延出する配線部分(
図7において斜線を付した部分)と、映像線VLbおよび映像線VLcと交差し第1方向Xに延出するブリッジ部分(第1ブリッジ30)とを有する。
【0065】
走査線Gsgの図中下方には、第1層に形成された第2ブリッジ40が配置されている。第2ブリッジ40は、映像線VLa,VLb,VLc、電源線PL1a,PL1b,PL1cおよびリセット配線Srstと交差して第1方向Xに延びている。電源線PL1a,PL1b,PL1cは、
図4に示した絶縁層22,23を貫通するコンタクトホールh40を通じて第2ブリッジ40に接続されている。
【0066】
このように電源線PL1a,PL1b,PL1cを第2ブリッジ40で接続することにより、高電位Pvddを供給するための導電層の抵抗を下げることができる。第2ブリッジ40は、例えば第1方向Xに配列された複数の画素PXにわたって延びており、各々の画素PXの電源線PL1a,PL1b,PL1cと接続されている。他の例として、第2ブリッジ40は、画素PXに対して1つずつ設けられてもよい。
【0067】
図8は、
図7に示した画素回路PCaを拡大した概略的な平面図である。
図9は、
図7に示した画素回路PCbを拡大した概略的な平面図である。以下、画素回路PCa,PCb,PCcの詳細な構造につき、
図7に加え
図8および
図9を参照して説明する。
【0068】
図8に示すように、走査線Gbgは、リセット配線Srstと電源線PL1aの間において、第1ゲート電極GE1を有している。また、走査線Gbg,Gsg、映像線VLaおよび電源線PL1aで囲われた領域内に第2ゲート電極GE2が配置されている。これら第1ゲート電極GE1および第2ゲート電極GE2は、
図4にも示した通り絶縁層21,22の間の第1層に配置されている。
【0069】
走査線Grg,Gbgの間において、第1電極E1が電源線PL1aからリセット配線Srstに向かって突出している。また、走査線Grg,Gsg、リセット配線Srstおよび電源線PL1aで囲われた領域内に島状の第2電極E2が配置されている。第2電極E2は、
図4にも示した通り絶縁層23,24の間の第3層に配置されている。
【0070】
半導体層SC1は、リセット配線Srstと電源線PL1aの間に配置されている。半導体層SC1は、第1部分P1と、第1部分P1から第2方向Yに延出した第2部分P2および第3部分P3とを有している。
【0071】
第2部分P2は、第1ゲート電極GE1および第2ゲート電極GE2と交差している。第2部分P2の先端は、
図4にも示したコンタクトホールh1を通じて第1電極E1と接続されている。
図8の例においては、第1方向Xに並ぶ2つのコンタクトホールh1が設けられている。第1ゲート電極GE1および第2部分P2の一部によって出力トランジスタBCTが構成されている。第2ゲート電極GE2および第2部分P2の一部によって駆動トランジスタDRTが構成されている。
【0072】
走査線Grgは、リセット配線Srstと電源線PL1aの間において、2つの第3ゲート電極GE3を有している。リセット配線Srstに接続された中継電極50aは、第3電極E3を有している。半導体層SC1の第3部分P3は、各第3ゲート電極GE3と交差している。第3部分P3の先端は、
図4に示した絶縁層23を貫通するコンタクトホールh8を通じて第3電極E3に接続されている。第3ゲート電極GE3および第3部分P3によってリセットトランジスタRSTが構成されている。
【0073】
映像線VLaは、リセット配線Srstに向けて突出した第4電極E4を有している。走査線Gsgは、映像線VLaと電源線PL1aの間において、2つの第4ゲート電極GE4を有している。半導体層SC2は、各第4ゲート電極GE4と交差している。半導体層SC2の一端は、
図4に示した絶縁層23を貫通するコンタクトホールh9を通じて第4電極E4に接続されている。半導体層SC2の他端は、
図4に示した絶縁層22を貫通するコンタクトホールh10を通じて第2ゲート電極GE2に接続されている。第4ゲート電極GE4および半導体層SC2によって画素選択トランジスタSSTが構成されている。
【0074】
半導体層SC1の第1部分P1は、
図4にも示したコンタクトホールh2を通じて第2電極E2に接続されている。第2電極E2は、第2ゲート電極GE2の大部分と対向し、第2ゲート電極GE2とともに
図3に示した保持容量Csを形成する。第2電極E2と第2ゲート電極GE2が重なる位置に、
図4および
図6にも示したコンタクトホールh3が設けられている。
【0075】
第2電極E2は、出力トランジスタBCTにおいて半導体層SC1の第2部分P2と第1ゲート電極GE1が交差する領域、および、駆動トランジスタDRTにおいて第2部分P2と第2ゲート電極GE2が交差する領域と重なっている。これにより、半導体層SC1の上方からの電位が出力トランジスタBCTおよび駆動トランジスタDRTの動作に与える影響を抑制できる。
【0076】
中継電極50aは、シールドSLD1を有している。リセット配線Srstは、シールドSLD2を有している。これらシールドSLD1,SLD2は、半導体層SC1の第3部分P3と各第3ゲート電極GE3が交差する領域と重なっている。これにより、半導体層SC1の上方からの電位がリセットトランジスタRSTの動作に与える影響を抑制できる。
【0077】
コンタクトホールh10付近には、第3層に形成されたシールドSLD3が配置されている。シールドSLD3は、一対の第4ゲート電極GE4の一方と半導体層SC2とが交差する領域と重なっている。また、第4電極E4は、一対の第4ゲート電極GE4の他方と半導体層SC2とが交差する領域と重なっている。これにより、半導体層SC2の上方からの電位が画素選択トランジスタSSTの動作に与える影響を抑制できる。
【0078】
図9に示すように、副画素SPbの画素回路PCbの構成は、基本的には
図8に示した画素回路PCaの構成と同様である。ただし、画素回路PCbにおいては、中継電極50bにシールドSLD2が設けられている。また、第1電極E1と半導体層SC1の第2部分P2とを接続するコンタクトホールh1が1つのみ設けられている。すなわち、画素回路PCaに含まれるコンタクトホールh1の数は、画素回路PCbに含まれるコンタクトホールh1の数よりも多い。副画素SPcの画素回路PCcの構成も、画素回路PCbの構成と同様である。
【0079】
続いて、本実施形態における画素回路PCa,PCb,PCcおよび各種配線のさらなる特徴および本実施形態から得られる効果の一例について説明する。
一般に、赤色の光を放つマイクロLEDは、緑色や青色の光を放つマイクロLEDよりも効率が低い。そのため、赤色の光を放つマイクロLEDである発光素子10aを良好な輝度で発光させるためには、他の発光素子10b,10cに比べて高い電流が必要となる。そこで、
図7に示すレイアウトにおいては、発光素子10aに供給される電流を高めるための工夫がなされている。
【0080】
具体的には、
図7の例においては、発光素子10aに高電位Pvddを供給する電源線PL1aの第1方向Xにおける幅Wa1が、他の電源線PL1b,PL1cの第1方向Xにおける幅Wb1,Wc1よりも大きい。これにより、電源線PL1aの抵抗を下げて発光素子10aに流れる電流を高めることができる。幅Wa1は、例えば幅Wb1,Wc1の1.5倍以上である。一例として、幅Wa1は5.5μmであり、幅Wb1,Wc1は3.0μmである。
【0081】
また、本実施形態においては、発光素子10aに流れる電流をさらに高めるべく、画素回路PCaの駆動トランジスタDRTのチャネル比Ra(第1チャネル比)を他の画素回路PCb,PCcの駆動トランジスタDRTのチャネル比Rb,Rc(第2,第3チャネル比)よりも大きくなるように半導体層SC1の形状等が定められている。
【0082】
ここで、チャネル比Raは、
図8に示すチャネル幅Wa2をチャネル長Lで割った値(Wa2/L)に相当する。チャネル幅Wa2は、半導体層SC1の第2部分P2と第2ゲート電極GE2が交差する領域の第1方向Xにおける長さであり、チャネル長Lは当該領域の第2方向Yにおける長さである。チャネル比Rb,Rcも同様に定義することができる。
【0083】
本実施形態においては、画素回路PCa,PCb,PCcの駆動トランジスタDRTのチャネル長Lが等しい。一方、
図7に示すように、画素回路PCb,PCcのそれぞれの駆動トランジスタDRTのチャネル幅Wb2,Wc2に比べてチャネル幅Wa2が大きい。これにより、チャネル比Raがチャネル比Rb,Rcよりも高められている。チャネル幅Wa2は、チャネル幅Wb2の1.5倍以上であることが好ましく、チャネル幅Wb2の2倍以上であればより好ましい。一例として、チャネル幅Wa2は11.0μmであり、チャネル幅Wb2は5.5μmである。
【0084】
チャネル比Rcは、チャネル比Rbと同じであってもよいし、異なってもよい。
図7の例においては、チャネル幅Wc2がチャネル幅Wb2よりも大きい。したがって、チャネル比Rcはチャネル比Rbよりも大きい。この場合、発光素子10bに流れる電流に比べて発光素子10cに流れる電流を高めることができる。
【0085】
なお、副画素SPaにおいて電源線PL1aの幅Wa1とチャネル幅Wa2を大きくすると、画素PXの第1方向Xにおける幅Wxも増大し得る。幅Wxの増大は、画素PXの高精細化を阻害する。この点に関し、本実施形態においては、リセット配線Srstを副画素SPa,SPb,SPcのそれぞれに対して設けるのではなく、副画素SPa,SPb,SPcで共通化することにより幅Wxの増大が抑制されている。一例として、幅Wxは96.0μmである。また、画素PXの第2方向Yにおける幅Wyも96.0μmである。
【0086】
図7の例においては、副画素SPaの幅Wa3は他の副画素SPb,SPcの幅Wb3,Wc3に比べて大きい。一例として、幅Wxが96.0μmである場合において、幅Wa3は37μmであり、幅Wb3,Wc3は29.5μmである。このように副画素SPaの幅Wa3を大きくすることで、電源線PL1aの幅Wa1とチャネル幅Wa2を大きくし且つ映像線VLaと電源線PL1aの間にリセット配線Srstを配置するためのスペースを確保することが可能となる。
【0087】
以上説明した通り、本実施形態にて例示した画素回路PCa,PCb,PCcおよび各種配線のレイアウトによれば、発光素子10aの輝度を高めつつも、画素PXのサイズの増大を抑制することができる。結果として、表示装置1の高輝度化と高精細化が可能となる。その他にも、本実施形態からは種々の好適な効果を得ることができる。
【0088】
本実施形態において、副画素SPa,SPb,SPcは、それぞれ第1副画素、第2副画素および第3副画素の一例である。画素回路PCa,PCb,PCcは、第1画素回路、第2画素回路および第3画素回路の一例である。発光素子10a,10b,10cは、第1発光素子、第2発光素子および第3発光素子の一例である。映像線VLa,VLb,VLcは、第1映像線、第2映像線および第3映像線の一例である。電源線PL1a,PL1b,PL1cは、第1電源線、第2電源線および第3電源線の一例である。画素回路PCa,PCb,PCcの駆動トランジスタDRTは、第1駆動トランジスタ、第2駆動トランジスタおよび第3駆動トランジスタの一例である。
【0089】
なお、本実施形態においてはリセット配線Srstが映像線VLaと電源線PL1aの間に位置する構成を示した。他の例として、リセット配線Srstは、電源線PL1aと映像線VLbの間、映像線VLbと電源線PL1bの間、電源線PL1bと映像線VLcの間、あるいは映像線VLcと電源線PL1cの間に位置してもよい。
【0090】
また、本実施形態においてはリセット配線Srstが映像線VLa,VLb,VLc等とともに第1方向Xに並び第2方向Yに延びる構成を示した。他の例として、リセット配線Srstは、走査線Grg,Gbg,Gsgとともに第2方向Yに並び第1方向Xに延びてもよい。この場合においては、リセット配線Srstを副画素SPa,SPb,SPcで共通化することにより、副画素SPa,SPb,SPcごとにリセット配線Srstを設ける場合に比べて画素PXの第2方向Yにおける幅Wyを低減できる。
【0091】
また、本実施形態においては、電源線PL1の幅および駆動トランジスタDRTのチャネル比を大きくする対象が赤色の副画素SPaである場合を例示した。しかしながら、他の色の副画素SPにおいて電源線PL1の幅および駆動トランジスタDRTのチャネル比を大きくしてもよい。
【0092】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0093】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0094】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0095】
1…表示装置、2…表示パネル、10…発光素子、DA…表示領域、Gsg,Grg,Gbg…走査線、VL…映像線、PL1,PL2…電源線、Srst…リセット配線、PX…画素、SP…副画素、PC…画素回路、DRT…駆動トランジスタ、BCT…出力トランジスタ、SST…画素選択トランジスタ、RST…リセットトランジスタ。