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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-11
(45)【発行日】2024-03-19
(54)【発明の名称】ロータの製造方法およびロータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/28 20060101AFI20240312BHJP
   H02K 15/02 20060101ALI20240312BHJP
【FI】
H02K1/28 A
H02K15/02 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022536132
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 JP2021011728
(87)【国際公開番号】W WO2022014100
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2020121866
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】村上 聡
(72)【発明者】
【氏名】原 豊
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 真梨子
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-149608(JP,A)
【文献】特開2019-075877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0097711(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/28
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のシャフトが挿入されるシャフト挿入孔と、永久磁石が挿入される磁石挿入孔とを含む積層コアを備えるロータの製造方法であって、
前記シャフト挿入孔の頂点および辺の数が、極数の整数倍、または、極数を極数以外の極数の約数で除した数になるように、前記積層コアを形成する第1コア形成工程と、
前記積層コアの軸方向から見て、前記積層コアの中央部に設けられるとともに複数の極の各々に対して、または、前記約数ごとの極のグループの各々に対して、前記頂点および前記辺が均等に配置される前記シャフト挿入孔の前記頂点と前記シャフトの外周面との距離が第1距離となるとともに、前記シャフトの前記外周面と前記シャフト挿入孔の前記辺との距離が前記第1距離よりも小さい第2距離となるように、前記シャフトを前記シャフト挿入孔に挿入する挿入工程と、
前記積層コアの前記シャフト挿入孔に前記シャフトが挿入された状態で、前記シャフトの内部に充填された液体が加圧されることによって膨張されるハイドロフォーミングにより、前記軸方向から見て前記シャフトの前記外周面を前記シャフト挿入孔の内周面に沿うように非円形形状に変形させることによって、前記シャフトを前記積層コアに固定する固定工程と、を備える、ロータの製造方法。
【請求項2】
前記軸方向から見て、少なくとも一部の前記シャフト挿入孔の前記頂点が、周方向に隣り合う前記磁石挿入孔同士の間に設けられたブリッジ部と前記周方向に重なる位置に配置されるように、前記積層コアを形成する第コア形成工程をさらに備える、請求項1に記載のロータの製造方法。
【請求項3】
前記積層コアは、磁極を形成する磁極形成部を複数含み、
前記第コア形成工程は、前記軸方向から見て、少なくとも一部の前記シャフト挿入孔の前記頂点が、前記複数の磁極形成部の各々において前記周方向に隣り合う一対の前記磁石挿入孔の前記磁石挿入孔同士の間に設けられ、前記積層コアの径方向外側部分と前記積層コアの径方向内側部分とを連結する前記ブリッジ部と、前記周方向に重なる位置に配置されるように、前記積層コアを形成する工程である、請求項2に記載のロータの製造方法。
【請求項4】
前記軸方向から見て、前記シャフト挿入孔の辺が、周方向において前記積層コアのd軸と重なる位置に配置されるように、前記積層コアを形成する第コア形成工程をさらに備える、請求項1に記載のロータの製造方法。
【請求項5】
筒状のシャフトと、
永久磁石と、
前記シャフトが挿入されるシャフト挿入孔と、前記永久磁石が挿入される磁石挿入孔とを含む積層コアと、を備え、
前記シャフトは、前記シャフトの内部に充填された液体が加圧されることによって膨張されるハイドロフォーミングにより前記積層コアに固定されており、
前記積層コアは、前記シャフト挿入孔の頂点および辺の数が、極数の整数倍、または、極数を極数以外の極数の約数で除した数になるように構成されており、
前記シャフト挿入孔は、前記積層コアの軸方向から見て、前記積層コアの中央部に設けられるとともに、複数の極の各々に対して、または、前記約数ごとの極のグループの各々に対して、前記頂点および前記辺が均等に配置されている、ロータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの製造方法およびロータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャフトが挿入されるロータの製造方法およびロータが知られている。このようなロータの製造方法およびロータは、たとえば、特開2001-268858号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2001-268858号公報には、パイプ構造を有した中空形状の回転軸と、回転軸が挿入された積層鉄心とを備えるモータ用ロータが開示されている。回転軸は、積層鉄心の中央に設けられた貫通孔に挿入されている。また、回転軸には、ハイドロフォーミング法により形成された抜止部が設けられている。抜止部は、ハイドロフォーミング法により、回転軸が外径側に膨張することによって形成されている。また、抜止部は、積層鉄心を軸方向に挟み込むように設けられている。
【0004】
また、積層鉄心は、キー溝が1つ設けられたケイ素鋼板が積層されることにより形成されている。これにより、ハイドロフォーミング法により回転軸が膨張することにより、キー溝に噛み合う凸部が形成される。凸部とキー溝とが噛み合うことにより、回転軸に対する積層鉄心の回転方向のずれが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-268858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特開2001-268858号公報に記載のロータでは、積層鉄心の回転方向(周方向)において、キー溝が設けられる1箇所のみにより、回転軸に対する積層鉄心の回転方向のずれが抑制される。このため、キー溝が1箇所に設けられることにより、軸方向視においてシャフトの形状がアンバランスになるという不都合がある。このため、ロータの回転におけるバランスが悪化するという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ハイドロフォーミングによりシャフトを積層コアに固定する場合に、シャフトに対する積層コアの回転方向のずれを防止しながら、ロータの回転におけるバランスが悪化するのを防止することが可能なロータおよびロータの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面におけるロータの製造方法は、筒状のシャフトが挿入されるシャフト挿入孔と、永久磁石が挿入される磁石挿入孔とを含む積層コアを備えるロータの製造方法であって、シャフト挿入孔の頂点および辺の数が、極数の整数倍、または、極数を極数以外の極数の約数で除した数になるように、積層コアを形成する第1コア形成工程と、積層コアの軸方向から見て、積層コアの中央部に設けられるとともに複数の極の各々に対して、または、約数ごとの極のグループの各々に対して、頂点および辺が均等に配置されるシャフト挿入孔の頂点とシャフトの外周面との距離が第1距離となるとともに、シャフトの外周面とシャフト挿入孔の辺との距離が第1距離よりも小さい第2距離となるように、シャフトをシャフト挿入孔に挿入する挿入工程と、積層コアのシャフト挿入孔にシャフトが挿入された状態で、シャフトの内部に充填された液体が加圧されることによって膨張されるハイドロフォーミングにより、軸方向から見てシャフトの外周面をシャフト挿入孔の内周面に沿うように非円形形状に変形させることによって、シャフトを積層コアに固定する固定工程と、を備える。
【0009】
この発明の第1の局面によるロータの製造方法では、上記のように、積層コアの軸方向から見て、複数の頂点を含む非円形形状を有するシャフト挿入孔の頂点とシャフトの外周面との距離が第1距離となるとともに、シャフトの外周面とシャフト挿入孔の辺との距離が第1距離よりも小さい第2距離となるように、シャフトをシャフト挿入孔に挿入する挿入工程と、ハイドロフォーミングにより、軸方向から見てシャフトの外周面をシャフト挿入孔の内周面に沿うように非円形形状に変形させることによって、シャフトを積層コアに固定する固定工程と、が行われる。これにより、複数の頂点の各々において、シャフトに対する積層コアの回転方向のずれが規制される。その結果、シャフト挿入孔の頂点が1つのみの場合に比べて、シャフトに対する積層コアの回転方向のずれをよりバランス良く防止することができる。これにより、シャフトに対する積層コアの回転方向のずれを防止しながら、ロータの回転におけるバランスが悪化するのを防止することが可能なロータの製造方法を提供することができる。
【0010】
この発明の第2の局面におけるロータは、筒状のシャフトと、永久磁石と、シャフトが挿入されるシャフト挿入孔と、永久磁石が挿入される磁石挿入孔とを含む積層コアと、を備え、シャフトは、シャフトの内部に充填された液体が加圧されることによって膨張されるハイドロフォーミングにより積層コアに固定されており、積層コアは、シャフト挿入孔の頂点および辺の数が、極数の整数倍、または、極数を極数以外の極数の約数で除した数になるように構成されており、シャフト挿入孔は、積層コアの軸方向から見て、積層コアの中央部に設けられるとともに、複数の極の各々に対して、または、約数ごとの極のグループの各々に対して、頂点および辺が均等に配置されている
【0011】
この発明の第2の局面によるロータでは、上記のように、シャフト挿入孔は、積層コアの軸方向から見て、複数の頂点を含む非円形形状を有する。これにより、複数の頂点の各々において、シャフトに対する積層コアの回転方向のずれが規制される。さらに、積層コアは、シャフト挿入孔の頂点および辺の数が、極数の整数倍、または、極数を極数以外の極数の約数で除した数になるように構成されている。これにより、シャフト挿入孔の頂点および辺の数が極数の整数倍である場合は、複数の極の各々に対して頂点(辺)が均等に配置されるようにロータを形成することを容易に行うことができる。また、頂点および辺の数が極数を極数以外の極数の約数で除した数である場合は、上記約数ごとの極のグループの各々に対して頂点(辺)が均等に配置されるようにロータを形成することを容易に行うことができる。その結果、複数の極の各々に対して、または、上記約数ごとの極のグループの各々に対して、シャフトに対する積層コアの回転方向のずれをよりバランス良く防止することができる。これにより、シャフトに対する積層コアの回転方向のずれを防止しながら、ロータの回転におけるバランスが悪化するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、シャフトに対する積層コアの回転方向のずれを防止しながら、ロータの回転におけるバランスが悪化するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態によるロータ(回転電機)の構成を示す平面断面図である。
図2図1の磁極形成部の近傍の部分拡大図である。
図3】第1実施形態による積層コアおよびシャフトの軸方向に沿った断面斜視図である。
図4】第1実施形態によるロータの製造方法を示すフロー図である。
図5】第1実施形態によるシャフトを積層コアに挿入する前のシャフトおよび積層コアの構成を示す斜視図である。
図6】第1実施形態によるシャフトを積層コアに挿入した状態の軸方向に沿った断面図である。
図7】第1実施形態によるシャフトを積層コアに挿入した状態で、かつ、ハイドロフォーミングを行う前の状態の平面断面図である。
図8】第1実施形態によるハイドロフォーミング時の軸方向に沿った断面図である。
図9】第2実施形態によるロータ(回転電機)の構成を示す平面断面図である。
図10図9の磁極形成部の近傍の部分拡大図である。
図11】第2実施形態によるロータの製造方法を示すフロー図である。
図12】第1実施形態の変形例による積層コアの構成を示す平面断面図である。
図13】第2実施形態の変形例による積層コアの構成を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1図8を参照して、第1実施形態によるロータ1およびロータ1の製造方法について説明する。
【0016】
本願明細書では、「軸方向」とは、ロータ1の回転軸線Cに沿った方向を意味し、図中のZ方向を意味する。また、「径方向」とは、ロータ1の径方向(R1方向またはR2方向)を意味し、「周方向」は、ロータ1の周方向(E1方向またはE2方向)を意味する。
【0017】
(ロータの構造)
まず、図1を参照して、第1実施形態のロータ1の構造について説明する。
【0018】
図1に示すように、回転電機100は、ロータ1とステータ2とを備える。また、ロータ1およびステータ2は、それぞれ、円環状に形成されている。そして、ロータ1は、ステータ2の径方向内側に対向して配置されている。すなわち、第1実施形態では、回転電機100は、インナーロータ型の回転電機として構成されている。また、ロータ1(ロータコア4)の径方向内側には、シャフト3が配置されている。シャフト3は、ギア等の回転力伝達部材を介して、エンジンや車軸等に接続されている。たとえば、回転電機100は、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータとして構成されており、車両に搭載されるように構成されている。
【0019】
また、ロータ1は、ロータコア4を備える。ロータコア4は、複数の電磁鋼板4a(図3参照)が積層され、電磁鋼板4aの積層方向に延びる磁石挿入孔10aを有する積層コア4bを含む。また、ロータ1(ロータコア4)は、永久磁石5を含む。永久磁石5は、積層コア4bの磁石挿入孔10aに挿入(配置)されている。
【0020】
磁石挿入孔10aは、積層コア4bに複数(第1実施形態では16個)設けられている。すなわち、回転電機100は、埋込永久磁石型モータ(IPMモータ:Interior Permanent Magnet Motor)として構成されている。
【0021】
積層コア4bは、周方向に隣り合う一対の磁石挿入孔10aと、一対の磁石挿入孔10aの磁石挿入孔10a同士の間に配置されるブリッジ部10b(図2参照)とを含む、磁極を形成する複数の磁極形成部10を含む。ブリッジ部10bは、積層コア4bの径方向内側部分4hと、積層コア4bの径方向外側部分4lとを連結するように設けられている。磁極形成部10は、積層コア4bにおいて、回転軸線C方向から見て、周方向に沿って、等角度間隔に8つ設けられている。また、磁極形成部10における一対の磁石挿入孔10aは、V字状に配置されている。
【0022】
図2に示すように、ブリッジ部10bは、積層コア4bにおいて、磁石挿入孔10aよりも径方向外側の部分と、磁石挿入孔10aよりも径方向内側の部分とを接続するように設けられている。ブリッジ部10bは、径方向に延びるように設けられている。ブリッジ部10bの周方向の幅W1は、ブリッジ部10bの径方向の長さL1よりも小さい。
【0023】
図1に示すように、ロータコア4は、回転軸線C回りに回転される。また、ロータコア4(積層コア4b)は、積層コア4bの軸方向から見て(Z1方向側から見て)、積層コア4bの中央部に設けられるシャフト挿入孔4cを含む。シャフト3は、積層コア4bのシャフト挿入孔4cに挿入されている。シャフト3が回転することにより、積層コア4bにシャフト3の回転力が伝達され、積層コア4bが回転するように構成されている。
【0024】
また、ステータ2は、ステータコア2aと、ステータコア2aに巻回(配置)されたコイル2bとを含む。ステータコア2aは、ロータコア4の径方向外側に配置されている。ステータコア2aは、たとえば、複数の電磁鋼板(珪素鋼板)が軸方向に積層されており、磁束を通過可能に構成されている。コイル2bは、外部の電源部に接続されており、電力(たとえば、3相交流の電力)が供給されるように構成されている。そして、コイル2bは、電力が供給されることにより、磁界を発生させるように構成されている。また、ロータ1およびシャフト3は、コイル2bに電力が供給されない場合でも、エンジン等の駆動に伴って、ステータ2に対して回転するように構成されている。なお、図1では、コイル2bの一部のみを図示しているが、コイル2bは、ステータコア2aの全周に亘って配置されている。
【0025】
永久磁石5は、軸方向に直交する断面が長方形形状を有している。たとえば、永久磁石5は、磁化方向(着磁方向)が短手方向となるように構成されている。また、磁石挿入孔10aには、磁石挿入孔10aに配置されている永久磁石5を固定する図示しない樹脂材が配置されている。
【0026】
また、図3に示すように、シャフト3は、筒状に形成されている。シャフト3には、後述するオイル射出部6が挿入される挿入孔3aが設けられている。
【0027】
また、シャフト3は、シャフト3の内部に充填された液体800(図8参照)が加圧されることによって膨張されるハイドロフォーミングによって積層コア4bに固定されている。具体的には、シャフト3は、積層コア4bに固定される固定部分3bを含む。固定部分3bとは、シャフト3のうち、積層コア4bのシャフト挿入孔4cに挿入されている部分の全体である。
【0028】
また、ロータ1は、挿入孔3aを介してシャフト3の内部に挿入され、シャフト3の内部において冷却用オイルを射出するオイル射出部6を備える。
【0029】
ここで、第1実施形態では、図1に示すように、シャフト挿入孔4cは、軸方向から見て、複数の頂点4fを含む非円形形状を有する。具体的には、シャフト挿入孔4cは、軸方向から見て、正多角形形状を有する。詳細には、シャフト挿入孔4cは、軸方向から見て、正16角形形状を有する。なお、シャフト挿入孔4cは、軸方向から見て、正16角形以外の正多角形(たとえば正6角形)を有していてもよい。
【0030】
これにより、ハイドロフォーミングにより膨張されたシャフト3の外周面3e(内周面3c)は、軸方向から見て、ロータコア4のシャフト挿入孔4cに沿うように正16角形形状を有している。
【0031】
また、第1実施形態では、積層コア4bは、シャフト挿入孔4cの頂点4fおよび辺4gの数が、極数の整数倍になるように構成されている。具体的には、極数の数(磁極形成部10の数)は8つであり、シャフト挿入孔4cの頂点4fおよび辺4gの数は16である。すなわち、シャフト挿入孔4cの頂点4fおよび辺4gの数は、極数の2倍である。
【0032】
なお、シャフト挿入孔4cの頂点4fとは、隣接する辺4g同士の交点に相当する部分であり、必ずしもピン角ではなく、一定の曲率を有していてもよい。また、辺4gとは、必ずしも直線である必要はなく、一定の曲率を有していてもよい。
【0033】
また、第1実施形態では、積層コア4bは、軸方向から見て、シャフト挿入孔4cの頂点4fが、磁極形成部10のブリッジ部10b(8つ全てのブリッジ部10b)と周方向に重なる位置に配置されるように構成されている。ブリッジ部10bと周方向に重ならない頂点4fは、周方向に隣り合う磁極形成部10同士の周方向における中央部と、周方向に重なる位置に配置される。なお、ブリッジ部10bと周方向に重なる位置に配置される頂点4fは、ブリッジ部10bの周方向における中央近傍と周方向に重なるように設けられる。
【0034】
また、積層コア4bは、軸方向から見て、磁石挿入孔10aが、周方向においてシャフト挿入孔4cの辺4gと重なる位置に配置されるように構成されている。磁石挿入孔10aと辺4gとの間には、径方向における幅が幅W2の径方向内側部分4hが形成されている。幅W2は、一対の磁石挿入孔10aがV字形状を有していることによって、ブリッジ部10bと周方向に重なる位置に配置される頂点4f側に向かって徐々に小さくなる。
【0035】
(ロータの製造方法)
次に、図4図8を参照して、ロータ1の製造方法について説明する。
【0036】
まず、図4に示すように、ステップS1において、積層コア4bおよびシャフト3を準備する工程が行われる。具体的には、図5に示すように、筒状のシャフト3と、シャフト挿入孔4cが軸方向から見て非円形形状(正16角形)を有する積層コア4bとが準備される。この時点では、シャフト3は、軸方向から見て円形形状(図7参照)を有する。
【0037】
また、ステップS1では、軸方向から見て、シャフト挿入孔4cの頂点4fが、周方向に隣り合う磁石挿入孔10a同士の間に設けられたブリッジ部10bと周方向に重なる位置に配置されるように、積層コア4bを形成するコア形成工程が行われる。具体的には、コア形成工程は、軸方向から見て、シャフト挿入孔4cの頂点4fが、複数の磁極形成部10の各々において周方向に隣り合う一対の磁石挿入孔10aの磁石挿入孔10a同士の間に設けられ、積層コア4bの径方向外側部分4lと積層コア4bの径方向内側部分4hとを連結するブリッジ部10bと、周方向に重なる位置に配置されるように、積層コア4bを形成する工程である。なお、ステップS1で行われるコア形成工程は、請求の範囲の「第1コア形成工程」の一例である。
【0038】
次に、図4に示すように、ステップS2において、シャフト挿入孔4cにシャフト3を挿入する(図6参照)挿入工程が行われる。具体的には、図7に示すように、挿入工程は、軸方向から見て正多角形(正16角形)形状を有するシャフト挿入孔4cに、軸方向から見て円形形状を有するシャフト3を挿入する工程である。
【0039】
具体的には、第1実施形態では、挿入工程は、軸方向から見て、シャフト挿入孔4cの頂点4fが、周方向に隣り合う磁石挿入孔10a同士の間に設けられたブリッジ部10b(図2参照)と周方向に重なる位置に配置される積層コア4bのシャフト挿入孔4cに、シャフト3を挿入する工程である。この挿入工程の後(後述する固定工程の前)では、シャフト3の外周面3eと、シャフト挿入孔4cの内周面4iとは、離間した状態である。
【0040】
具体的には、挿入工程は、軸方向から見て、シャフト3の外周面3eとシャフト挿入孔4cの頂点4fとの距離が距離L2となるとともに、シャフト3の外周面3eとシャフト挿入孔4cの辺4gとの距離がL2距離よりも小さい距離L3となるように、シャフト3をシャフト挿入孔4cに挿入する工程である。具体的には、シャフト3の外周面3eと全てのシャフト挿入孔4cの頂点4fとの距離が距離L2で等しくなるとともに、シャフト3の外周面3eと全てのシャフト挿入孔4cの辺4gとの距離が距離L3で等しくなるように、シャフト3はシャフト挿入孔4cに挿入(配置)される。なお、距離L2は、シャフト3の外周面3eとシャフト挿入孔4cの頂点4fとの最短距離である。また、距離L3は、シャフト3の外周面3eとシャフト挿入孔4cの辺4gとの最短距離である。なお、距離L2および距離L3は、それぞれ、請求の範囲の「第1距離」および「第2距離」の一例である。
【0041】
次に、図4に示すように、ステップS3において、シャフト3を積層コア4bに固定する固定工程が行われる。具体的には、固定工程は、積層コア4bのシャフト挿入孔4cにシャフト3が挿入された状態で、ハイドロフォーミングにより、軸方向から見てシャフト3の外周面3eをシャフト挿入孔4cの内周面4iに沿うように非円形形状(正16角形形状)に変形させる(図1参照)ことによって、シャフト3を積層コア4bに固定する工程である。この際、シャフト3の外周面3eとシャフト挿入孔4cの辺4gとの距離L3が、シャフト3の外周面3eとシャフト挿入孔4cの頂点4fとの距離L2よりも小さいので、シャフト3の外周面3eとシャフト挿入孔4cの辺4gとが最初に接触した後、シャフト3の外周面3eとシャフト挿入孔4cの頂点4fとが接触するように、シャフト3が膨張する。
【0042】
また、図8に示すように、ハイドロフォーミングを行う際、積層コア4bおよびシャフト3は、ハイドロフォーミング成形機900に配置(セット)される。ハイドロフォーミング成形機900は、積層コア4bをZ1側から押圧する上型901と、積層コア4bをZ2側から押圧する下型902とを含む。また、ハイドロフォーミング成形機900は、積層コア4bの径方向の移動を径方向外側から規制する規制部903を含む。
【0043】
また、ハイドロフォーミング成形機900は、シャフト3のZ1側の端部をシールする上側シール部904と、シャフト3のZ2側の端部をシールする下側シール部905とを含む。上側シール部904および下側シール部905には、それぞれ、シャフト3の内部に液体800を導入するための導入路904aおよび905aが設けられている。
【0044】
そして、図4に示すように、ステップS4において、永久磁石5(図1参照)を磁石挿入孔10aに挿入するとともに、図示しない樹脂材を磁石挿入孔10aに充填することにより永久磁石5を固定する工程が行われる。すなわち、ハイドロフォーミングは、磁石挿入孔10aに永久磁石5が挿入(配置)されていない状態で行われる。
【0045】
[第2実施形態]
次に、図9図11を参照して、第2実施形態によるロータ11およびロータ11の製造方法について説明する。第2実施形態のロータ11では、シャフト挿入孔4cの頂点4fとブリッジ部10bとが周方向において重なるように配置される上記第1実施形態とは異なり、シャフト挿入孔14cの辺14gがd軸と周方向において重なる位置に配置される。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
【0046】
(ロータの構造)
まず、図9を参照して、第2実施形態のロータ11の構造について説明する。
【0047】
図9に示すように、回転電機200は、上記第1実施形態の回転電機100のロータ1の代わりに、ロータ11を備える。
【0048】
また、ロータ11は、ロータコア14を備える。ロータコア14は、磁石挿入孔10aを有する積層コア14bを含む。また、ロータコア14(積層コア14b)は、積層コア14bの軸方向から見て(Z1方向側から見て)、積層コア14bの中央部に設けられるシャフト挿入孔14cを含む。
【0049】
ここで、第2実施形態では、図10に示すように、積層コア14bは、軸方向から見て、シャフト挿入孔14cの辺14gが、周方向において積層コア14bのd軸と重なる位置に配置されるように構成されている。ここで、d軸とは、ロータコア14(積層コア14b)において磁極が作る磁束の方向を意味する。図10に示す例では、磁束はブリッジ部10bを通過するので、d軸は、軸方向から見て、回転軸線Cからブリッジ部10bへ向かう方向である。
【0050】
ロータコア14(積層コア14b)には、ブリッジ部10bが8つ設けられているので、それぞれのブリッジ部10bに対応するようにd軸は8つ存在する。そして、それぞれのd軸は、シャフト挿入孔14cの辺14gと周方向において重なる位置に形成される。なお、図9に示すように、シャフト挿入孔14cの頂点14fは、周方向に隣り合う磁極形成部10同士の間の位置と周方向に重なるように配置される。
【0051】
(ロータの製造方法)
次に、図11を参照して、ロータ1の製造方法について説明する。
【0052】
まず、図11に示すように、ステップS11において、積層コア14bおよびシャフト3を準備する工程が行われる。
【0053】
また、ステップS11では、軸方向から見て、シャフト挿入孔14cの辺14gが、周方向において積層コア14bのd軸と重なる位置に配置されるように、積層コア14bを形成するコア形成工程が行われる。なお、ステップS11で行われるコア形成工程は、請求の範囲の「第2コア形成工程」の一例である。
【0054】
次に、ステップS12において、シャフト挿入孔14cにシャフト3を挿入する挿入工程が行われる。第2実施形態では、挿入工程は、軸方向から見て、シャフト挿入孔14cの辺14gが、周方向において積層コア14bのd軸と重なる位置に配置される積層コア14bのシャフト挿入孔14cに、シャフト3を挿入する工程である。
【0055】
次に、図11に示すように、ステップS13において、シャフト3を積層コア14bに固定する固定工程が行われる。具体的には、固定工程は、積層コア14bのシャフト挿入孔14cにシャフト3が挿入された状態で、ハイドロフォーミングにより、軸方向から見てシャフト3の外周面3eをシャフト挿入孔4cの内周面14iに沿うように非円形形状(正16角形形状)に変形させる(図1参照)ことによって、シャフト3を積層コア14bに固定する工程である。
【0056】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0057】
[第1および第2実施形態の効果]
第1および第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
(ロータの効果)
第1および第2実施形態では、上記のように、シャフト(3)は、シャフト(3)の内部に充填された液体(800)が加圧されることによって膨張されるハイドロフォーミングにより積層コア(4b、14b)に固定されている。また、シャフト挿入孔(4c、14c)は、積層コア(4b、14b)の軸方向から見て、積層コア(4b、14b)の中央部に設けられるとともに、複数の頂点(4f、14f)を含む非円形形状を有する。また、積層コア(4b、14b)は、シャフト挿入孔(4c、14c)の頂点(4f、14f)および辺(4g、14g)の数が、極数の整数倍、または、極数を極数以外の極数の約数で除した数になるように構成されている。これにより、シャフト挿入孔(4c、14c)の頂点(4f、14f)および辺(4g、14g)の数が極数の整数倍である場合は、複数の極の各々に対して頂点(4f、14f)(辺(4g、14g))が均等に配置されるようにロータ(1、11)を形成することを容易に行うことができる。また、頂点(4f、14f)および辺(4g、14g)の数が極数を極数以外の極数の約数で除した数である場合は、上記約数ごとの極のグループの各々に対して頂点(4f、14f)(辺(4g、14g))が均等に配置されるようにロータ(1、11)を形成することを容易に行うことができる。その結果、複数の極の各々に対して、または、上記約数ごとの極のグループの各々に対して、シャフト(3)に対する積層コア(4b、14b)の回転方向のずれをよりバランス良く防止することができる。これにより、シャフト(3)に対する積層コア(4b、14b)の回転方向のずれを防止しながら、ロータ(1、11)の回転におけるバランスが悪化するのを防止することができる。
【0059】
(ロータの製造方法の効果)
また、第1および第2実施形態では、上記のように、ロータ(1、11)の製造方法は、軸方向から見て、複数の頂点(4f、14f)を含む非円形形状を有するシャフト挿入孔(4c、14c)の頂点(4f、14f)とシャフト(3)の外周面(3e)との距離が第1距離(L2)となるとともに、シャフト(3)の外周面(3e)とシャフト挿入孔(4c、14c)の辺(4g、14g)との距離が第1距離(L2)よりも小さい第2距離(L3)となるように、シャフト(3)をシャフト挿入孔(4c、14c)に挿入する挿入工程を備える。また、ロータ(1、11)の製造方法は、積層コア(4b、14b)のシャフト挿入孔(4c、14c)にシャフト(3)が挿入された状態で、シャフト(3)の内部に充填された液体(800)が加圧されることによって膨張されるハイドロフォーミングにより、軸方向から見てシャフト(3)の外周面(3e)をシャフト挿入孔(4c、14c)の内周面(4i、14i)に沿うように非円形形状に変形させることによって、シャフト(3)を積層コア(4b、14b)に固定する固定工程を備える。これにより、複数の頂点(4f、14f)の各々において、シャフト(3)に対する積層コア(4b、14b)の回転方向のずれが規制される。その結果、シャフト挿入孔(4c、14c)の頂点(4f、14f)が1つのみの場合に比べて、シャフト(3)に対する積層コア(4b、14b)の回転方向のずれをよりバランス良く防止することができる。これにより、シャフト(3)に対する積層コア(4b、14b)の回転方向のずれを防止しながら、ロータ(1、11)の回転におけるバランスが悪化するのを防止することが可能なロータ(1、11)の製造方法を提供することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、上記のように、ロータ(1)の製造方法は、軸方向から見て、少なくとも一部のシャフト挿入孔(4c)の頂点(4f)が、周方向に隣り合う磁石挿入孔(10a)同士の間に設けられたブリッジ部(10b)と周方向に重なる位置に配置されるように、積層コア(4b)を形成する第1コア形成工程を備える。ここで、ハイドロフォーミングにおいて、シャフト(3)の外周面(3e)は、最初にシャフト挿入孔(4c)の辺(4g)に接触した後に、シャフト挿入孔(4c)の頂点(4f)に接触するように膨張する。これにより、シャフト挿入孔(4c)の辺(4g)にかかる応力よりも、シャフト挿入孔(4c)の頂点(4f)にかかる応力の方が小さくなる。また、ブリッジ部(10b)は、周方向の幅(W1)が比較的小さいため、機械的強度が比較的低い。したがって、機械的強度が比較的低いブリッジ部(10b)にかかる応力を小さくすることができる。
【0061】
また、第1実施形態では、上記のように、積層コア(4b)は、磁極を形成する磁極形成部(10)を複数含む。また、第1コア形成工程は、軸方向から見て、少なくとも一部のシャフト挿入孔(4c)の頂点(4f)が、複数の磁極形成部(10)の各々において周方向に隣り合う一対の磁石挿入孔(10a)の磁石挿入孔(10a)同士の間に設けられ、積層コア(4b)の径方向外側部分(4l)と積層コア(4b)の径方向内側部分(4h)とを連結するブリッジ部(10b)と、周方向に重なる位置に配置されるように、積層コア(4b)を形成する工程である。これにより、頂点(4f)にかかるハイドロフォーミングの応力は比較的小さいので、複数の磁極形成部(10)の各々に設けられるブリッジ部(10b)にかかるハイドロフォーミングによる応力を小さくすることができる。
【0062】
また、第2実施形態では、上記のように、軸方向から見て、シャフト挿入孔(14c)の辺(14g)が、周方向において積層コア(14b)のd軸と重なる位置に配置されるように、積層コア(14b)を形成する第2コア形成工程をさらに備える。ここで、軸方向から見て、シャフト挿入孔(14c)の辺(14g)は、シャフト挿入孔(14c)の頂点(14f)よりも径方向内側に配置されている。これにより、シャフト挿入孔(14c)の辺(14g)が比較的径方向内側に配置されている分、d軸の周方向の一方側に隣り合うq軸から、d軸の周方向の他方側に隣り合うq軸に流れる磁束が通る磁路の幅を大きくすることができる。その結果、磁束を流れやすくすることができるので、磁束の低下に起因してモータ出力が低下するのを防止することができる。
【0063】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0064】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、シャフト挿入孔(4c、14c)は、正多角形形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、シャフト挿入孔は、正多角形でない多角形形状を有していてもよい。また、シャフト挿入孔は、多角形でない形状であるとともに頂点が設けられる形状を有していてもよい。
【0065】
また、上記第1および第2実施形態では、シャフト挿入孔(4c、14c)の頂点(4f、14f)および辺(4g、14g)の数が、極数の整数倍である例を示したが、本発明はこれに限られない。シャフト挿入孔の頂点および辺の数が、極数を極数以外の極数の約数で除した数(第1および第2実施形態では4つ)であってもよい。
【0066】
また、上記第1および第2実施形態では、シャフト挿入孔(4c、14c)の頂点(4f、14f)および辺(4g、14g)の数が、極数の2倍である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、シャフト挿入孔の頂点および辺の数が、極数と等しくてもよい。
【0067】
また、上記第1実施形態では、シャフト挿入孔4cの頂点4fが、周方向において全てのブリッジ部10bと重なる位置に配置される例を示したが、本発明はこれに限られない。シャフト挿入孔4cの頂点4fが、8つのブリッジ部10bのうちの一部と周方向において重なる位置に配置されていてもよい。
【0068】
また、上記第1および第2実施形態では、磁極形成部10が、周方向に隣り合う一対の磁石挿入孔10aとブリッジ部10bとにより構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、図12Aおよび図13Aに示すように、磁極形成部110は、周方向に延びる1つの磁石挿入孔110aのみを含んでいる。この場合、周方向において隣り合う磁石挿入孔110a同士の間がブリッジ部110bとなる。図12Aに示すように、シャフト挿入孔4cの頂点4fは、全てのブリッジ部110bと周方向において重なる位置に配置される。また、図13Aに示すように、シャフト挿入孔14cの辺14gは、d軸(回転軸線Cから磁石挿入孔110aの周方向中央に向かう方向)と周方向において重なる位置に配置されている。
【0069】
また、図12Bおよび図13Bに示すように、磁極形成部210は、一対の磁石挿入孔10aと、一対の磁石挿入孔10a同士の間のブリッジ部10bと、一対の磁石挿入孔10aの径方向外側において周方向に延びる磁石挿入孔210aとを含んでいる。図12Bに示すように、シャフト挿入孔4cの頂点4fは、全てのブリッジ部10bと周方向において重なる位置に配置される。また、図13Bに示すように、シャフト挿入孔14cの辺14gは、d軸(回転軸線Cからブリッジ部10bおよび磁石挿入孔210aの周方向中央に向かう方向)と周方向において重なる位置に配置されている。
【0070】
また、図12Cおよび図13Cに示すように、磁極形成部310は、周方向に隣り合う一対の磁石挿入孔310aと、一対の磁石挿入孔310aの径方向外側において周方向に延びる磁石挿入孔311aとを含んでいる。磁石挿入孔310a同士の間のブリッジ部310bには、フラックスバリア310cが設けられている。図12Cに示すように、シャフト挿入孔4cの頂点4fは、全てのブリッジ部310b(フラックスバリア310c)と周方向において重なる位置に配置される。また、図13Cに示すように、シャフト挿入孔14cの辺14gは、d軸(回転軸線Cからブリッジ部310bおよび磁石挿入孔311aの周方向中央に向かう方向)と周方向において重なる位置に配置されている。
【0071】
また、図12Dおよび図13Dに示すように、磁極形成部410は、一対の磁石挿入孔310aと、ブリッジ部310bと、一対の磁石挿入孔310aの径方向外側において周方向に隣り合うように設けられる一対の磁石挿入孔410aとを含んでいる。一対の磁石挿入孔410a同士の間にはブリッジ部410bが設けられている。図12Dに示すように、シャフト挿入孔4cの頂点4fは、全てのブリッジ部310b(ブリッジ部410b)と周方向において重なる位置に配置される。また、図13Dに示すように、シャフト挿入孔14cの辺14gは、d軸(回転軸線Cからブリッジ部310bおよびブリッジ部410bに向かう方向)と周方向において重なる位置に配置されている。
【0072】
また、上記第1および第2実施形態では、ハイドロフォーミングを行った後に永久磁石5を磁石挿入孔10aに挿入する工程を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。永久磁石5を磁石挿入孔10aに挿入した後にハイドロフォーミングを行ってもよい。
【符号の説明】
【0073】
1、11 ロータ
3 シャフト
3e 外周面
4b、14b 積層コア
4c、14c シャフト挿入孔
4f、14f 頂点
4g、14g 辺
4h 径方向内側部分
4i、14i 内周面
4l 径方向外側部分
5 永久磁石
10、310、410 磁極形成部
10a、110a、210a、310a、311a、410a 磁石挿入孔
10b、110b、310b、410b ブリッジ部
800 液体
L2 距離(第1距離)
L3 距離(第2距離)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13