(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-13
(45)【発行日】2024-03-22
(54)【発明の名称】便器装置
(51)【国際特許分類】
E03D 9/08 20060101AFI20240314BHJP
【FI】
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2019215709
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】横井 龍一
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-102674(JP,U)
【文献】特開2000-282541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 1/00-13/00
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能部品が取り付けられるベース部と、
前記機能部品に接続され、外部電源から電力を供給する電源コードと、
前記電源コードにおける前記ベース部側の端部に取り付けられるコード固定部と、を備え、
前記ベース部は、その外縁に沿って上下方向に延びる側壁部と、前記コード固定部が取り付けられた前記電源コードが挿通可能な大きさの貫通孔で構成される開口部と、を有
し、
前記開口部は、前記ベース部の後方側における前記側壁部の下端から上方に離れた位置に配置さ
れ、
前記開口部の上部における前記側壁部の内側には、前記ベース部の底面の延びる方向に略平行な方向に前記側壁部の内側から繋がって延びる延出面と、前記延出面を切り欠いて形成される凹部と、を有し前記コード固定部を取り付けるコード固定部取付部が設けられ、前記凹部に前記コード固定部が係合する、便器装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記側壁部の厚さ方向に開放されている、請求項
1に記載の便器装置。
【請求項3】
前記コード固定部は、前記電源コードを保護するグロメットである、請求項1
又は2に記載の便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器装置には、洗浄水の供給や、便蓋の開閉、便座の加温等を行うため、便器本体の周囲に様々な機構が設けられている。これらの機構を構成する機能部品は、便器装置のベース部に取り付けられる。ベース部には、各機構を作動させる電力を供給するため、外部電源から機能部品に電力を供給する電源コードが接続される。電源コードは、ベース部の側壁部に形成された開口部を通って外側へ延びている。開口部を、側壁部の底面側から上方に切り欠いて形成した技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電源コードを側壁部に形成された切り欠き状の開口部から外側へ取り出そうとする場合、作業中に誤って側壁部の下端面で電源コードを挟んでしまう場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、機能部品が取り付けられるベース部と、前記機能部品に接続され、外部電源から電力を供給する電源コードと、前記電源コードにおける前記ベース部側の端部に取り付けられるコード固定部と、を備え、前記ベース部は、その外縁に沿って上下方向に延びる側壁部と、前記コード固定部が取り付けられた前記電源コードが挿通可能な大きさの貫通孔で構成される開口部と、を有する、便器装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】本実施形態のリアベース部の部分斜視図である。
【
図3A】本実施形態のコード固定部の平面図である。
【
図3B】本実施形態のコード固定部の側面図である。
【
図3C】本実施形態のコード固定部の底面図である。
【
図4】本実施形態の電源コード及びコード固定部の斜視図である。
【
図5A】電源コードをベース部に取り付けた状態を示す模式図である。
【
図5B】電源コードをベース部に取り付けた状態を示す断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本開示の便器装置1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明においては、便器装置1の便座21に座った人から視た場合の前後の方向を前後方向と定義する。前後方向に交差する左右を結ぶ方向を幅方向と定義する。鉛直方向に沿った上下の方向を上下方向と定義する。図中、Fは便器装置1の前方を、Rは後方を示す。
【0008】
図1に示すように、便器装置1は、便器本体10と、便座21と、便蓋22と、ベース部3と、電源コード4と、を有する。便器装置1は、例えばトイレルーム(図示省略)に配置され、汚物を下水へ流して洗浄する水洗式の装置である。便器本体10は、上部が開口した凹部を有する容器であり、下部に排水口が形成されている。便座21は、中央が便器本体10の開口に連通するように開口した略環状で平坦な部材であり、便器本体10の上面に載置され、開閉可能に取り付けられている。便蓋22は、便座21の上に配置され、便座21と同様に開閉可能に取り付けられて、便座21及び便器本体10の凹部を覆っている。
【0009】
ベース部3は、便器本体10の後方に配置される。ベース部3には、ホース、洗浄ノズル、電源ユニット、制御回路基板、便座21及び便蓋22を電動で開閉させる電動開閉ユニット、バルブユニット、各種配管等(いずれも図示省略)等の機能部品9が取り付けられる。機能部品9は、例示の各ユニットのうち、1以上を備えていればよい。
【0010】
ベース部3は、フロントベース部31と、リアベース部32と、カバー部33と、を有する。フロントベース部31は、樹脂のプレートで構成され、その上に各機構が取り付けられている。リアベース部32は、樹脂で成形され所定の高さを有する。
【0011】
カバー部33は、フロントベース部31及びリアベース部32を連続して覆うカバーである。カバー部33は、便座21のヒンジ部と接続する。カバー部33は、後部がリアベース部32の側壁部322の周囲を覆う。
【0012】
リアベース部32は、リアベース本体部321と、側壁部322と、を有する。リアベース本体部321は、フロントベース部31の後方の空間に配置される。リアベース部32には、各機構を構成する部品の外形形状に合わせた凹部が形成されており、部品が収容され、取り付けられている。側壁部322は、リアベース本体部321の外縁に沿って上下方向に延びる面である。側壁部322は、リアベース部32の外壁を構成する。
【0013】
側壁部322は、所定の厚みを有して形成され、下端から上端側に向かうにしたがって、リアベース本体部321の内側へ緩やかに傾斜しており、厚みが下端側から上端側に向かうにしたがって薄くなっている。
図2に示すように、側壁部322は、後述する電源コード4が挿通可能な開口部323と、電源コード4を固定するコード固定部41を取り付けるコード固定部取付部324と、を有する。
【0014】
開口部323は、側壁部322に形成される上下に長い長方形の貫通孔である。開口部323は、リアベース部32の後方側における側壁部322の下端から上方に離れた位置に配置される。開口部323は、後述するコード固定部41が挿通可能な大きさを有する。
図5Bに示すように、開口部323は、側壁部322を厚さ方向に貫通するため、側壁部322の外面からリアベース本体部321側へ奥行きをもって開口している。したがって、開口部323は、側壁部322の厚さ方向、すなわち側壁部322の外面からリアベース本体部321内側に開放されている。
【0015】
コード固定部取付部324は、
図1及び
図2に示すように、開口部323の上部で側壁部322の内側に設けられ、後述するコード固定部41を取り付ける部分である。コード固定部取付部324は、壁面部325と、延出面327と、を有する。
【0016】
壁面部325は、
図1及び
図2に示すように、開口部323の上部を塞ぐように延びる略長方形の薄板状の形状を有する。壁面部325は、側壁部322の最も外側の面よりもリアベース本体部321の内側の位置で、略鉛直方向に延びている。
【0017】
延出面327は、壁面部325の内側面に形成され、壁面部325の内側面から、リアベース本体部321の内側へと延びる。延出面327は、リアベース本体部321の底面の延びる方向と略平行な方向に延びる。延出面327は、側壁部322の内側に配置されるリアベース本体部321の周囲の部分と連続して繋がっている。延出面327は、凹部327aと、一対の突起部328と、を有する。凹部327aは、リアベース本体部321の内側に向かって開口するように延出面327を切り欠いて形成される。凹部327a内に、後述するコード固定部41が保持される。
【0018】
一対の突起部328は、
図2に示すように、凹部327aの内周縁から内側に向かって突出する四つの凸部を有する。突起部328は、一対の前方突起部328aと、一対の後方突起部328bと、を有する。前方突起部328aは、凹部327aのリアベース本体部321の内側、すなわち前方に配置され、凹部327aの幅方向の一方及び他方で対向する。後方突起部328bは、凹部327aにおける前方突起部328aよりも後方に離れた位置で、凹部327aの幅方向の一方及び他方で対向する。
【0019】
電源コード4は、トイレルームの壁等に設けられた端子の差し込み口にプラグ43を差し込み、外部電源から電力を供給する電気配線である。電源コード4は、金属の線の周囲を絶縁性の樹脂で被覆したものである。電源コード4は、一方の端部にプラグ43が取り付けられ、他方の端部が機能部品9に接続される。電源コード4は、コード固定部41を介してベース部3に取り付けられる。
【0020】
コード固定部41は、電源コード4におけるベース部3側の端部に取り付けられる。コード固定部41は、電源コード4のベース部3側の端部近傍を保護するグロメットである。グロメットは、エラストマー及びゴムの何れかで形成される。コード固定部41は、電源コード4の外周を囲み、内部の金属線が屈曲して断線することを防止する。コード固定部41は、おおむね円筒状の本体410の中心に形成された貫通孔410aに電源コード4を挿通させ、本体410の下方に電源コード4とコード固定部41との連結部分を保護するコード保護部42が形成された形状を有する。本体410は、上面部411と、底面部412と、側面部413と、溝部414と、を有する。
【0021】
図3Aに示すように、上面部411は、略U字状でU字の開口側を直線で閉じたような形状をしている。上面部411は、平坦な面を有し、中心に貫通孔410aが形成されている。
【0022】
図3Bに示すように、側面部413は、上面部411におけるU字状の幅方向の長さよりも長い高さを有し、U字の側面の一方及び他方に溝部414が形成されている。溝部414は、上面部411から下方へ離れた位置から底面部412に到達するまで側面部413の高さ方向に沿って形成される凹部である。溝部414は、延出面327の前方突起部328aと後方突起部328bとの間に係合する。溝部414は、側面部413の高さ方向に沿って形成されるとともに所定の幅を有し、幅方向の一方側では、側面部413の高さ方向に沿って直線的に延び、幅方向の他方側では、ジグザグの凹凸が設けられている。
【0023】
図3Cに示すように、底面部412におけるU字の両側側面には、溝部414の凹部が形成されている。底面部412の中心には、上面部411から延びる貫通孔410aが形成されている。
【0024】
図4に示すように、コード保護部42は、底面部412の貫通孔410aの周囲に形成され、底面部412の外周よりも小さな外周を有する略円筒状の部分である。コード保護部42は、電源コード4がコード固定部41から極端に曲がらないように、底面部412から下方に延びる電源コード4の根元部分の周囲を覆う。
【0025】
図5A及び
図5Bに示すように、コード固定部41は貫通孔410aに電源コード4を挿通させた状態で、本体410の側面部413に形成された溝部414と後方突起部328bとが係合するように取り付ける。このとき、開口部323は、コード固定部41が挿通可能な大きさを有しているので、コード固定部41は、ベース部3の外側から、開口部323を通してリアベース本体部321内へ取り付けることができる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、開口部323は、側壁部322の下端から切り欠かれて形成されておらず、側壁部の下端から上方に離れた位置に形成された貫通孔により構成されている。これにより、電源コード4が開口部323を挿通するようにベース部3の外側へ延出させることができる。このため、電源コード4を側壁部322の下端や、カバー部33等で挟んでしまうことを防止し、電源コード4の取付けが容易になるとともに、電源コード4を保護して破断等を防止することができる。
【0027】
本実施形態によれば、以下の効果を奏する。便器装置1を、機能部品9が取り付けられるベース部3と、機能部品9に接続され、外部電源から電力を供給する電源コード4と、電源コード4におけるベース部3側の端部に取り付けられるコード固定部41と、を含んで構成した。ベース部3を、その外縁に沿って上下方向に延びる側壁部322と、コード固定部41が取り付けられた電源コード4が挿通可能な大きさの貫通孔で構成される開口部323と、を含んで構成した。開口部323が、電源コード4を取り付けたコード固定部41を挿通させることができる大きさの貫通孔により構成されている。このため、電源コード4を保護するコード固定部41を付けた状態で、電源コード4をベース部3に取り付けたり、側壁部322の貫通孔から外側へ引き出したりすることができる。電源コード4の太さが便器装置1の設置場所や便器装置1の種類等に応じて変化したとしても、コード固定部41ごと開口部323を挿通させるだけの大きさがあるので、電源コード4の太さの変化の影響を受けにくい。よって、取り付ける電源コード4の太さが変化するたびに開口部323やベース部3の設計を変更する必要がなくなり、製造効率が向上する。
【0028】
開口部323を、ベース部3の後方側の側壁部322に形成した。便器装置1をトイレルーム等に設置した際に、電源コード4を目立たせずに配置させることができる。
【0029】
開口部323の上部における側壁部322の内側に、コード固定部41を取り付けるコード固定部取付部324を設けた。開口部323の上部にコード固定部41が取り付けられることで、コード固定部41に取り付けた電源コード4を下方に延ばして開口部323を挿通するように電源コード4を案内することができる。このため、電源コード4をベース部3の底面上で配線を取り回す必要がなくなる。よって、取り付けが容易になると同時に、電源コード4を取り付けるスペースを小さくすることができる。
【0030】
開口部323を、側壁部322の厚さ方向に開放するように構成した。開口部323がコード固定部取付部324の下方に配置されるとともに、かつ側壁部322の厚さ方向に開放されているので、コード固定部取付部324に取り付けられたコード固定部41から延びる電源コード4は、上下方向及び側壁部322の厚さ方向(便器装置1の前後方向)内の余裕のある空間に配置される。したがって、電源コード4の太さにかかわらず取り付けることが可能となるとともに、電源コード4を無理に曲げる必要もなくなり、容易に取り付けることができる。
【0031】
コード固定部41を、電源コード4を保護するグロメットにより構成した。電源コード4をグロメットに挿通させた状態で、グロメットをコード固定部取付部324に取り付けることができるので、電源コード4の固定と、電源コードを固定する部分の近傍を保護することが同時に行うことができ、作業効率が向上する。
【0032】
本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、変形、改良等は本開示に含まれる。例えば、上記実施形態では、開口部323は、リアベース部32の後方の側壁部322に形成されている。これに限られず、開口部323は、ベース部3の幅方向のいずれか一方の側壁部に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 便器装置、 3 ベース部、 4 電源コード、 9 機能部品、 10 便器本体、 41 コード固定部(グロメット)、 322 側壁部、 323 開口部、 324 コード固定部取付部