(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-14
(45)【発行日】2024-03-25
(54)【発明の名称】情報処理方法、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20240315BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20240315BHJP
【FI】
B65G61/00 530
G06Q10/083
(21)【出願番号】P 2020569373
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(86)【国際出願番号】 JP2019041703
(87)【国際公開番号】W WO2020158073
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-08-22
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2019115342
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】北 篤佳
(72)【発明者】
【氏名】岩田 圭介
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第5578124(JP,B2)
【文献】特開2015-138501(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 10/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに実行させる方法であって、
複数の電動の移動体による配送物の配送計画を、前記複数の電動の移動体それぞれについての移動に関する制約に基づき作成し、
前記配送計画に基づき、前記複数の電動の移動体それぞれについて消費電力を算出し、
前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記消費電力と残電力量とから充電量を算出し、
前記複数の電動の移動体それぞれの前記充電量から、前記複数の電動の移動体の充電計画を作成し、
前記配送計画と前記充電計画とから、前記複数の電動の移動体の充電が配送開始までに完了するか否かを判定し、
配送開始までに充電が完了しないと判定された電動の移動体についての前記制約を強めて前記配送計画を再作成し、
作成された前記配送計画を出力し、
前記複数の電動の移動体それぞれについて、バッテリの
現時点におけるSOH(State Of Health)である劣化度を取得し、
前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記劣化度から特定される所定の劣化促進度の範囲内に収まるバッテリの充電量に基づいて、使用可能な電力量を算出し、
前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記使用可能な電力量に基づいて、前記制約を算出する
情報処理方法。
【請求項2】
前記制約は、走行距離の上限であって、
配送開始までに充電が完了しないと判定された電動の移動体についての走行距離の上限を引き下げて、前記配送計画を再作成する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
配送開始までに充電が完了しない電動の移動体がある場合には、さらに、配送開始までに充電が完了する電動の移動体についての前記制約を弱めて前記配送計画を再作成する
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記残電力量が所定の閾値を下回るか否かを判定し、
前記残電力量が前記所定の閾値を下回ると判定された電動の移動体についての前記制約を強めて、前記配送計画を再作成する
請求項1
~3のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記充電計画は、バッテリの劣化が抑制される充電計画を含む
請求項1
~4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
強められた前記制約を出力する
請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
複数の電動の移動体による配送物の配送計画を、前記複数の電動の移動体それぞれについての移動に関する制約に基づき作成する配送計画作成部と、
前記配送計画に基づき、前記複数の電動の移動体それぞれについて消費電力を算出する消費電力算出部と、
前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記消費電力と残電力量とから充電量を算出する充電量算出部と、
前記複数の電動の移動体それぞれの前記充電量から、前記複数の電動の移動体の充電計画を作成する充電計画作成部と、
前記配送計画と前記充電計画とから、前記複数の電動の移動体の充電が配送開始までに完了するか否かを判定する判定部と、
作成された前記配送計画を出力する出力部と、
前記複数の電動の移動体それぞれについて、バッテリの
現時点におけるSOH(State Of Health)である劣化度を取得し、前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記劣化度から特定される所定の劣化促進度の範囲内に収まるバッテリの充電量に基づいて、使用可能な電力量を算出し、前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記使用可能な電力量に基づいて、前記制約を算出する制約算出部と、を備え、
前記配送計画作成部は、配送開始までに充電が完了しないと判定された電動の移動体についての前記制約を強めて前記配送計画を再作成する
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気自動車の充電計画を作成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1では、充電計画のみが出力されるため、電気自動車等の電動の移動体による配送物の配送計画と出力された充電計画とで整合が取れないおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、充電計画と整合が取れた配送計画を作成することができる情報処理方法、情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータに実行させる方法であって、複数の電動の移動体による配送物の配送計画を、前記複数の電動の移動体それぞれについての移動に関する制約に基づき作成し、前記配送計画に基づき、前記複数の電動の移動体それぞれについて消費電力を算出し、前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記消費電力と残電力量とから充電量を算出し、前記複数の電動の移動体それぞれの前記充電量から、前記複数の電動の移動体の充電計画を作成し、前記配送計画と前記充電計画とから、前記複数の電動の移動体の充電が配送開始までに完了するか否かを判定し、配送開始までに充電が完了しないと判定された電動の移動体についての前記制約を強めて前記配送計画を再作成し、作成された前記配送計画を出力する。
【0007】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、複数の電動の移動体による配送物の配送計画を、前記複数の電動の移動体それぞれについての移動に関する制約に基づき作成する配送計画作成部と、前記配送計画に基づき、前記複数の電動の移動体それぞれについて消費電力を算出する消費電力算出部と、前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記消費電力と残電力量とから充電量を算出する充電量算出部と、前記複数の電動の移動体それぞれの前記充電量から、前記複数の電動の移動体の充電計画を作成する充電計画作成部と、前記配送計画と前記充電計画とから、前記複数の電動の移動体の充電が配送開始までに完了するか否かを判定する判定部と、作成された前記配送計画を出力する出力部と、を備え、前記配送計画作成部は、配送開始までに充電が完了しないと判定された電動の移動体についての前記制約を強めて前記配送計画を再作成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係る情報処理方法、及び情報処理システムによれば、充電計画と整合が取れた配送計画を作成することができる配送計画を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る第1配送計画作成処理のフローチャートである。
【
図3】
図3は、変形例に係る第2配送計画作成処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
電気自動車等の電動の移動体による配送物の配送計画を作成した場合において、配送計画で運用予定の電動の移動体に上記従来の充電方法を適用すると、配送計画が実行できないおそれがある。例えば、配送開始までに充電が完了しない電動の移動体が発生することがある。また、例えば、配送開始よりも充電完了時点が早すぎると充電量によっては保存劣化が大きくなるおそれもある。そこで、発明者は、充電計画と整合が取れた配送計画を作成する方法について、鋭意検討、実験を重ねた。その結果、発明者は、下記情報処理方法、及び情報処理システムに想到した。
【0011】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータに実行させる方法であって、複数の電動の移動体による配送物の配送計画を、前記複数の電動の移動体それぞれについての移動に関する制約に基づき作成し、前記配送計画に基づき、前記複数の電動の移動体それぞれについて消費電力を算出し、前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記消費電力と残電力量とから充電量を算出し、前記複数の電動の移動体それぞれの前記充電量から、前記複数の電動の移動体の充電計画を作成し、前記配送計画と前記充電計画とから、前記複数の電動の移動体の充電が配送開始までに完了するか否かを判定し、配送開始までに充電が完了しないと判定された電動の移動体についての前記制約を強めて前記配送計画を再作成し、作成された前記配送計画を出力する。
【0012】
上記情報処理方法によると、一旦作成した配送計画において、配送開始までに充電が完了しない電動の移動体がある場合には、その移動体の制約を強めて配送計画を再作成する。このため、上記情報処理方法によると、充電計画と整合が取れた配送計画を作成することができる。
【0013】
また、前記制約は、走行距離の上限であって、配送開始までに充電が完了しないと判定された電動の移動体についての走行距離の上限を引き下げて、前記配送計画を再作成するとしてもよい。これにより、走行距離の上限を用いて配送計画の再作成を制御することができる。例えば、一旦作成した配送計画において、配送開始までに充電が完了しない電動の移動体がある場合には、その移動体の走行距離が短くなるように、配送計画を再作成することができる。
【0014】
また、前記複数の電動の移動体それぞれについて、バッテリの劣化度を取得し、前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記劣化度から特定される所定の劣化促進度の範囲内に収まるバッテリの充電量に基づいて、使用可能な電力量を算出し、前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記使用可能な電力量に基づいて、前記制約を算出するとしてもよい。これにより、バッテリの劣化を抑制できる配送計画を作成することができる。
【0015】
また、配送開始までに充電が完了しない電動の移動体がある場合には、さらに、配送開始までに充電が完了する電動の移動体についての前記制約を弱めて前記配送計画を再作成するとしてもよい。これにより、さらに充電計画と整合が取れた配送計画を作成することができる。
【0016】
また、前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記残電力量が所定の閾値を下回るか否かを判定し、前記残電力量が前記所定の閾値を下回ると判定された電動の移動体についての前記制約を強めて、前記配送計画を再作成するとしてもよい。これにより、電欠する電動の移動体の発生を抑制する配送計画を作成することができる。
【0017】
また、前記充電計画は、バッテリの劣化が抑制される充電計画を含むとしてもよい。これにより、バッテリの劣化を抑制することができる。
【0018】
本開示の一態様に係る情報処理システムは、複数の電動の移動体による配送物の配送計画を、前記複数の電動の移動体それぞれについての移動に関する制約に基づき作成する配送計画作成部と、前記配送計画に基づき、前記複数の電動の移動体それぞれについて消費電力を算出する消費電力算出部と、前記複数の電動の移動体それぞれについて、前記消費電力と残電力量とから充電量を算出する充電量算出部と、前記複数の電動の移動体それぞれの前記充電量から、前記複数の電動の移動体の充電計画を作成する充電計画作成部と、前記配送計画と前記充電計画とから、前記複数の電動の移動体の充電が配送開始までに完了するか否かを判定する判定部と、作成された前記配送計画を出力する出力部と、を備え、前記配送計画作成部は、配送開始までに充電が完了しないと判定された電動の移動体についての前記制約を強めて前記配送計画を再作成する。
【0019】
上記情報処理システムによると、一旦作成した配送計画において、配送開始までに充電が完了しない電動の移動体がある場合には、その移動体の制約を強めて配送計画を再作成する。このため、上記情報処理システムによると、充電計画と整合が取れた配送計画を作成することができる。
【0020】
以下、本開示の一態様に係る情報処理方法、及び情報処理システムの具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であって本開示を限定するものではない。各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0021】
なお、本開示の包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0022】
(実施の形態1)
以下、実施の形態に係る情報処理システムについて説明する。この情報処理システムは、複数の電動の移動体による配送物の配送計画であって、充電計画と整合が取れた配送計画を作成する。
【0023】
ここでは、一例として、電動の移動体は、バッテリ駆動の自動運転車両であるとして説明するが、電動の移動体は、配送物を配送することができれば、必ずしもバッテリ駆動の自動運転車両に限定される必要はない。電動の移動体は、例えば、自律飛行型又は遠隔操縦型のドローンであってもよいし、搭乗する運転手が手動で運転する車両であってもよい。
【0024】
[1.情報処理システムの構成]
図1は、実施の形態に係る情報処理システム1の構成を示すブロック図である。
【0025】
図1に示されるように、情報処理システム1は、サーバ100と、移動体200と、端末300と、充電器400とを含んで構成される。
図1では、情報処理システム1は、あたかも1台の移動体200を含んで構成されるかのように図示されているが、実際には、情報処理システム1は、複数の移動体200を含んで構成される。また、
図1では、情報処理システム1は、あたかも1台の端末300を含んで構成されるかのように図示されているが、実際には、情報処理システム1は、1台の端末300を含む構成であってもよいし、複数台の端末300を含む構成であってもよいし、さらには、1台も端末300を含まない構成であってもよい。また、
図1では、情報処理システム1は、あたかも1つの充電器400を含んで構成されるかのように図示されているが、実際には、情報処理システム1は、1つの充電器400を含む構成であってもよいし、複数の充電器400を含む構成であってもよい。
【0026】
移動体200は、電動で走行する移動体である。移動体200は、通信部210と、自動走行制御部220と、バッテリ管理部230と、バッテリ240とを含んで構成される。
【0027】
バッテリ240は、移動体200を駆動する電動の駆動装置(例えば、モータ。図示されず。)に電力を供給する二次電池である。バッテリ240は、バッテリ240に着脱自在な充電器400によって充電される。
【0028】
バッテリ管理部230は、バッテリ240の状態を管理する。より具体的には、バッテリ管理部230は、バッテリ240の現時点におけるSOC(State Of Charge:バッテリの残電力量)と、バッテリ240の現時点におけるSOH(State Of Health:バッテリの劣化度)とを管理する。
【0029】
通信部210は、通信可能な他の機器と通信する。他の機器には、サーバ100が含まれる。通信部210は、例えば、サーバ100から送信された配送計画(後述)を受信する。また、通信部210は、例えば、サーバ100からのリクエストに応じて、バッテリ管理部230により管理されるSOCとSOHとをサーバ100に送信する。通信部210は、例えば、無線通信機を備え、無線を利用して他の機器と通信するとしてもよい。
【0030】
自動走行制御部220は、移動体200の自動走行を制御する。自動走行制御部220は、例えば、通信部210により配送計画が受信された場合には、その配送計画に沿って移動体200の自動走行を制御する。自動走行制御部220は、例えば、専用ハードウエアにより実現されてもよいし、例えば、プロセッサとメモリとを備え、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することで実現されてもよい。
【0031】
なお、前述したように、移動体200は、搭乗する運転手が手動で操縦するタイプの移動体であってもよい。この場合には、移動体200は、例えば、自動走行制御部220の替わりに、移動体200を手動で操縦するための操縦部と、サーバ100から送信された配送計画の内容を表示する表示部とを含む構成であってもよい。この場合には、運転手は、表示部に表示された配送計画の内容に合わせて操縦部を操作して移動体200を操縦し、移動体200を配送計画に沿って走行させる。
【0032】
端末300は、情報処理システム1を利用するユーザが所有する端末である。端末300は、通信部310と、表示部320とを含んで構成される。
【0033】
通信部310は、通信可能な他の機器と通信する。他の機器には、サーバ100が含まれる。通信部310は、例えば、サーバ100から送信された配送計画と充電計画(後述)とを受信する。通信部310は、例えば、無線通信機を備え、無線を利用して他の機器と通信するとしてもよい。
【0034】
表示部320は、端末300を利用するユーザに対して、画像を表示する。表示部320は、例えば、通信部310により配送計画又は充電計画が受信された場合には、それら配送計画又は充電計画の内容を示す画像を表示する。表示部320は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示デバイスを備え、表示デバイスに画像を表示するとしてもよい。
【0035】
充電器400は、バッテリ240を充電する。充電器400は、通信部410と、充電制御部420と、充電モジュール430とを含んで構成される。
【0036】
充電モジュール430は、バッテリ240に着脱自在な充電回路を含み、バッテリ240を充電する。
【0037】
通信部410は、通信可能な他の機器と通信する。他の機器には、サーバ100が含まれる。通信部410は、例えば、サーバ100から送信された充電計画を受信する。通信部410は、例えば、無線通信機を備え、無線を利用して他の機器と通信するとしてもよい。
【0038】
充電制御部420は、充電モジュール430によるバッテリ240への充電を制御する。充電制御部420は、例えば、通信部410により充電計画が受信された場合には、その充電計画に沿って、充電モジュール430によるバッテリ240への充電を制御する。充電制御部420は、例えば、専用ハードウエアにより実現されてもよいし、例えば、プロセッサとメモリとを備え、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することで実現されてもよい。
【0039】
サーバ100は、情報処理システム1を運用する運用会社(例えば、宅配業者)が利用するサーバである。サーバ100は、通信部110と、制約算出部120と、配送計画作成部130と、消費電力算出部140と、第1判定部150と、充電量算出部160と、充電計画作成部170と、第2判定部180と、出力部190とを含んで構成される。サーバ100は、例えば、プロセッサとメモリとを備えるコンピュータであって、プロセッサがメモリに記憶されるプログラムを実行することで、各種機能を実現してもよい。
【0040】
通信部110は、通信可能な他の機器と通信する。他の機器には、移動体200と、端末300と、充電器400とが含まれる。通信部110は、例えば、各移動体200に対して、SOCとSOHとの送信要求を示すリクエストを送信する。通信部110は、例えば、通信部110が送信したリクエストに応じて各移動体200から送信されたSOCとSOHとを受信する。通信部110は、例えば、出力部190から配送計画が出力されると、その配送計画を、各移動体200と、各端末300とに送信する。通信部110は、例えば、出力部190から充電計画が出力されると、その充電計画を、各端末300と、各充電器400とに送信する。通信部110は、例えば、外部機器である他のサーバ(図示されず。)から、配送対象となる配送物の配送リストを受信する。
【0041】
制約算出部120は、複数の移動体200それぞれについての移動に関する制約を算出する。制約算出部120は、例えば、移動体200それぞれについて、バッテリ240の劣化が抑制される充電量を算出し、算出した充電量から制約を算出するとしてもよい。より具体的には、制約算出部120は、例えば、移動体200それぞれについて、通信部110により受信された、バッテリ240の劣化度である現時点におけるSOHを取得し、取得した現時点におけるSOHから特定される所定の劣化促進度の範囲内(例えば、0.01%以内)に収まるバッテリの充電量に基づいて、使用可能な電力量を算出し、算出した利用可能な電力量に基づいて制約を算出するとしてもよい。ここで、制約算出部120は、例えば、利用可能な電力量と平均電費とから走行距離上限を制約として算出してもよい。また、制約算出部120は、例えば、移動体200それぞれについて、通信部110により受信された現時点におけるSOHに一定値の充電量を加えた充電量を算出し、算出した充電量と平均電流とから走行距離上限を制約として算出してもよい。また、制約算出部120は、例えば、移動体200それぞれについて、走行開始から終了までの時間の上限を制約として算出してもよい。また、制約算出部120は、例えば、移動体200それぞれについて、走行開始から終了までの消費電力量の上限を制約として算出してもよい。また、制約算出部120は、例えば、これらの組み合わせにより制約を算出するとしてもよい。
【0042】
配送計画作成部130は、制約算出部120によって算出された、複数の移動体200それぞれについての移動に関する制約に基づいて、複数の移動体200による配送物の配送計画(移動体200毎の荷物割り当て、移動体200毎の配送ルート、未割当荷物リスト等)を作成する。配送計画作成部130は、例えば、さらに、通信部110により受信された配送リストと、予め記憶する複数の移動体200の移動体リストとに基づいて、配送計画を作成してもよい。配送計画作成部130は、例えば、複数の移動体200の総走行距離が最小化されるように、配送計画を作成してもよい。配送計画作成部130は、例えば、複数の移動体200のバッテリ240の総劣化量が最小化されるように、配送計画を作成してもよい。配送計画作成部130は、例えば、複数の移動体200の総消費電力量が最小化されるように、配送計画を作成してもよい。配送計画作成部130は、例えば、複数の移動体200の総配送所要時間が最小化されるように、配送計画を作成してもよい。配送計画作成部130は、例えば、これらの組み合わせにより配送計画を作成してもよい。
【0043】
また、配送計画作成部130は、例えば、移動体200が配送中に電欠してしまう可能性を低減するために、予備分の電力量を残すように配送計画を作成してもよい。また、配送計画作成部130は、例えば、移動体200が回生電力を利用することで走行距離が延びることを考慮して配送計画を作成してもよい。
【0044】
消費電力算出部140は、配送計画作成部130によって作成された配送計画に基づいて、複数の移動体200それぞれについての消費電力を算出する。
【0045】
第1判定部150は、複数の移動体200それぞれについて、残電力量が所定の閾値を下回るか否かを判定する。具体的には、第1判定部150は、算出された消費電力量と走行前の電力量とから残電力量を算出する。第1判定部150は、算出された残電力量と所定の閾値とを比較することにより、複数の移動体200それぞれについて、電欠するか否かを判定する。ここで、所定の閾値は、例えば、移動体200が電欠状態となる電力量であってもよい。
【0046】
第1判定部150は、制約算出部120に、残電力量が所定の閾値を下回ると判定された移動体200それぞれについての制約を強めさせて、複数の移動体それぞれについての移動に関する制約を再度算出させる。この場合において、第1判定部150は、例えば、制約算出部120に、さらに、残電力量が所定の閾値を下回らないと判定された移動体200それぞれについての制約を弱めさせて、複数の移動体200それぞれについての制約を再度算出させてもよい。
【0047】
第1判定部150は、例えば、移動体200が配送中に電欠してしまう可能性を低減するために、予備分の電力量を考慮して上記判定を行ってもよい。第1判定部150は、例えば、移動体200が回生電力を利用することで走行距離が延びることを考慮して上記判定を行ってもよい。
【0048】
充電量算出部160は、複数の移動体200それぞれについて、消費電力算出部140によって算出された消費電力と残電力量とから充電量を算出する。充電量算出部160は、例えば、複数の移動体200それぞれについて、過充電又は過放電によるバッテリ240の劣化を抑制するように充電量を算出してもよい。充電量算出部160は、例えば、複数の移動体200それぞれについて、最低使用可能充電量(例えば20%)に、配送計画から求まる消費電力量を加算した値を充電量として算出してもよい。充電量算出部160は、例えば、複数の移動体200それぞれについて、中心充電量(例えば50%)に、配送計画から求まる消費電力量の半分の値を加算した値を充電量として算出してもよい。
【0049】
充電計画作成部170は、充電量算出部160によって算出された、複数の移動体200それぞれの充電量から、複数の移動体200の充電計画(バッテリ240毎の充電目標SOC、バッテリ240毎の充電開始終了時刻等)を作成する。ここで、充電計画作成部170が作成する充電計画は、例えば、バッテリ240の劣化が抑制される充電計画を含むとしてもよい。より具体的には、充電計画作成部170は、例えば、複数の移動体200それぞれのバッテリ240の劣化を最小化するように充電計画を作成してもよい。
【0050】
第2判定部180は、配送計画作成部130によって作成された配送計画と、充電計画作成部170によって作成された充電計画とから、複数の移動体200の充電が配送開始までに完了するか否かを判定する。
【0051】
第2判定部180は、制約算出部120に、配送開始までに充電が完了しないと判定された移動体200についての制約を強めさせて、複数の移動体200それぞれについての移動に関する制約を再度算出させる。この場合、第2判定部180は、例えば、配送開始までに充電が完了しないと判定された移動体200それぞれについての不足する充電量を算出し、制約算出部120に、配送開始までに充電が完了しないと判定された移動体200それぞれについての制約を、不足する充電量に応じて強めさせて、複数の移動体200それぞれについての移動に関する制約を再度算出させてもよい。ここで、制約が走行距離の上限である場合には、第2判定部180は、制約算出部120に、配送開始までに充電が完了しない移動体200それぞれについての走行距離の上限を引き下げさせるとしてもよい。また、第2判定部180は、例えば、制約算出部120に、配送開始までに充電が完了すると判定された移動体200についての制約を弱めさせて、複数の移動体200それぞれについての移動に関する制約を再度算出させるとしてもよい。
【0052】
出力部190は、第2判定部180によって、複数の移動体200の充電が配送開始までに完了すると判定された場合に、配送計画作成部130によって作成された配送計画と、充電計画作成部170によって作成された充電計画とを通信部110に出力する。
【0053】
[2.情報処理システムの動作]
上記構成の情報処理システム1は、複数の移動体200による配送物の配送計画を作成する第1配送計画作成処理を行う。
【0054】
以下、図面を用いて、情報処理システム1が行う第1配送計画作成処理の一例について説明する。
【0055】
図2は、第1配送計画作成処理のフローチャートである。
【0056】
第1配送計画作成処理は、例えば、情報処理システム1を利用するユーザが、サーバ100に対して、第1配送計画作成処理を開始する旨の操作を行うことで開始される。
【0057】
第1配送計画作成処理が開始されると、通信部110は、各移動体200に対して、バッテリ240の現時点におけるSOCとSOHとの送信要求を示すリクエストを送信する。そして、通信部110は、各移動体200から、バッテリ240の現時点におけるSOCとSOHとを受信する。
【0058】
通信部110によって各移動体200からバッテリ240の現時点におけるSOCとSOHとが受信されると、制約算出部120は、複数の移動体200それぞれについての移動に関する制約を算出する(ステップS100)。より具体的には、制約算出部120は、移動体200それぞれについて、通信部110により受信されたバッテリ240の現時点におけるSOHから特定される所定の劣化促進度の範囲内に収まるバッテリの充電量に基づいて、使用可能な電力量を算出し、算出した利用可能な電力量と平均電費とから走行距離上限を制約として算出する。
【0059】
制約算出部120によって制約が算出されると、配送計画作成部130は、算出された複数の移動体200それぞれについての移動に関する制約に基づいて、複数の移動体200による配送物の配送計画を作成する(ステップS105)。より具体的には、配送計画作成部130は、制約が満たされる範囲内において、複数の移動体200の総走行距離が最小化されるように、配送計画を作成する。
【0060】
配送計画作成部130によって配送計画が作成されると、消費電力算出部140は、作成された配送計画に基づいて、複数の移動体200それぞれについての消費電力を算出する(ステップS110)。
【0061】
消費電力算出部140によって、複数の移動体200それぞれについての消費電力が算出されると、第1判定部150は、複数の移動体200それぞれについて、残電力量が所定の閾値を下回るか否かを判定する(ステップS115)。ここで、所定の閾値は、より具体的には、移動体200が電欠状態となる電力量である。
【0062】
ステップS115の処理において、残電力量が所定の閾値を下回る移動体200があると判定した場合には(ステップS115:Yes)、制約算出部120は、残電力量が所定の閾値を下回ると判定された移動体200それぞれについての制約を強めて、複数の移動体200それぞれについての制約を再度算出する(ステップS130)。
【0063】
制約算出部120によって制約が再度算出されると、配送計画作成部130は、再度算出された制約に基づいて、複数の移動体200による配送物の配送計画を再作成する(ステップS135)。ステップS135の処理が終了すると、第1配送計画作成処理は、再びステップS110の処理へ進む。
【0064】
ステップS115の処理において、残電力量が所定の閾値を下回る移動体200がないと判定した場合には(ステップS115:No)、充電量算出部160は、複数の移動体200それぞれについて、消費電力算出部140によって算出された消費電力と残電力量とから充電量を算出する(ステップS120)。
【0065】
充電量算出部160によって充電量が算出されると、充電計画作成部170は、算出された複数の移動体200それぞれの充電量から、複数の移動体200の充電計画を作成する(ステップS125)。より具体的には、充電計画作成部170は、複数の移動体200それぞれのバッテリ240の劣化を最小化するように充電計画を作成する。
【0066】
充電計画作成部170によって充電計画が作成されると、第2判定部180は、配送計画作成部130によって作成された配送計画と、充電計画作成部170によって作成された充電計画とから、複数の移動体200の充電が配送開始までに完了するか否かを判定する(ステップS140)。
【0067】
ステップS140の処理において、複数の移動体200の充電が配送開始までに完了しないと判定した場合、すなわち、配送開始までに充電が完了しない移動体200があると判定した場合には(ステップS140:No)、第2判定部180は、配送開始までに充電が完了しないと判定された移動体200それぞれについての不足する充電量を算出する(ステップS150)。
【0068】
第2判定部180によって、配送開始までに充電が完了しないと判定された移動体200それぞれについての不足する充電量が算出されると、制約算出部120は、配送開始までに充電が完了しないと判定された移動体200それぞれについての制約を、不足する充電量に応じて強めて、複数の移動体200それぞれについての移動に関する制約を再度算出する(ステップS155)。
【0069】
制約算出部120によって制約が再度算出されると、配送計画作成部130は、再度算出された制約に基づいて、複数の移動体200による配送物の配送計画を再作成する(ステップS160)。ステップS160の処理が終了すると、第1配送計画作成処理は、再びステップS110の処理へ進む。
【0070】
ステップS140の処理において、複数の移動体200の充電が配送開始までに完了すると判定した場合、すなわち、配送開始までに充電が完了しない移動体200がないと判定した場合には(ステップS140:Yes)、出力部190は、配送計画作成部130によって作成された配送計画と、充電計画作成部170によって作成された充電計画とを通信部110に出力する(ステップS145)。
【0071】
ステップS145の処理が終了すると、情報処理システム1は、その第1配送計画作成処理を終了する。
【0072】
[3.考察]
上記構成の情報処理システム1によると、一旦作成した配送計画において、配送開始までに充電が完了しない移動体200がある場合には、配送開始までに充電が完了しない移動体200それぞれの制約を強めて配送計画を再作成する。このため、上記構成の情報処理システム1によると、充電計画と整合が取れた配送計画を作成することができる。
【0073】
(補足)
以上、本開示の一態様に係る情報処理システムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、本実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0074】
(1)実施の形態において、情報処理システム1は、複数の移動体200による配送物の配送計画を作成する処理として、第1配送計画作成処理を行うとして説明した。これに対して、情報処理システム1は、複数の移動体200による配送物の配送計画を作成する処理として、第1配送計画作成処理に替えて、第2配送計画作成処理を行ってもよい。
【0075】
以下、第2配送計画作成処理について、図面を用いて説明する。
【0076】
図3は、第2配送計画作成処理のフローチャートである。
【0077】
図3に示されるように、第2配送計画作成処理は、実施の形態に係る第1配送計画作成処理(
図2参照)に対して、ステップS130の処理がステップS230の処理に変更され、ステップS231の処理が追加され、ステップS155の処理がステップS255の処理に変更され、ステップS256の処理が追加された処理となっている。このため、ここでは、ステップS230の処理~ステップS231の処理、及び、ステップS255の処理~ステップS256の処理を中心に説明する。
【0078】
ステップS115の処理において、残電力量が所定の閾値を下回る移動体200があると判定した場合には(ステップS115:Yes)、制約算出部120は、残電力量が所定の閾値を下回ると判定された移動体200それぞれについての制約を強めて(ステップS230)、さらに、残電力量が所定の閾値を下回らないと判定された移動体200それぞれについての制約を弱めて、複数の移動体200それぞれについての制約を再度算出する(ステップS231)。
【0079】
ステップS231の処理が終了すると、第2配送計画作成処理は、ステップS135の処理に進む。
【0080】
ステップS150の処理が終了すると、制約算出部120は、配送開始までに充電が完了しないと判定された移動体200それぞれについての制約を、不足する充電量に応じて強めて(ステップS255)、さらに、配送開始までに充電が完了すると判定された移動体200それぞれについての制約を弱めて、複数の移動体200それぞれについての移動に関する制約を再度算出する(ステップS256)。
【0081】
ステップS231の処理が終了すると、第2配送計画作成処理は、ステップS160の処理に進む。
【0082】
(2)情報処理システム1は、配送計画作成処理に成功した場合、制約を出力してもよい。具体的には、第2判定部180の処理の後、出力部190が配送計画と充電計画を出力する際に、出力部190は、制約を出力する。出力された制約は、通信部110を介して、端末300等の外部装置に送信される。そして、制約は表示部320等の出力装置により出力される。出力される制約は、更新された制約、言い換えると再算出された制約である。例えば、
図2のステップS145において制約は出力部190により出力される。
【0083】
このように、更新された制約が出力されることにより、次回以降の配送計画処理の制約の初期値が配送計画作成に適した値に近い値になる可能性を高めることができる。したがって、処理量を削減することが可能となる。
【0084】
(3)情報処理システム1が備える構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを含んで構成されるコンピュータシステムである。ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0085】
なお、ここでは、システムLSIとしたが、集積度の違いにより、IC、LSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0086】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0087】
(4)本開示の一態様は、このような情報処理システムだけではなく、情報処理システムに含まれる特徴的な構成部をステップとする情報処理方法であってもよい。また、本開示の一態様は、情報処理方法に含まれる特徴的な各ステップをコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであってもよい。また、本開示の一態様は、そのようなコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示は、配送物の配送計画を作成する装置等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 情報処理システム
100 サーバ
110、210、310、410 通信部
120 制約算出部
130 配送計画算出部
140 消費電力算出部
150 第1判定部
160 充電量算出部
170 充電計画作成部
180 第2判定部
190 出力部
200 移動体
220 自動走行制御部
230 バッテリ管理部
240 バッテリ
300 端末
320 表示部
400 充電器
420 充電制御部
430 充電モジュール