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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/23 20240101AFI20240326BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
B60K35/23
G02B27/01
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020532373
(86)(22)【出願日】2019-07-22
(86)【国際出願番号】 JP2019028583
(87)【国際公開番号】W WO2020022243
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】P 2018141590
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】山川 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】白木 慎也
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 祐一
【審査官】鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-129433(JP,A)
【文献】国際公開第2018/101121(WO,A1)
【文献】特開2002-261206(JP,A)
【文献】特開2003-068952(JP,A)
【文献】特開平04-280460(JP,A)
【文献】特開2008-070504(JP,A)
【文献】特開2017-174992(JP,A)
【文献】特開2011-198868(JP,A)
【文献】特開2015-031793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/06
G02B 27/01
G09F 9/00-9/00
G01C 21/00-21/36,
23/00-25/00
G09G 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物に搭載され、画像を表す表示光を透光部材に向けて射出することで前記画像を虚像として表示する表示装置であって、
前記表示光の基となる光を発する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路に電源を供給する電源回路とを有する回路基板と、
前記回路基板の基材と対向する放熱部と、
前記光源を有し、前記表示光を生成する表示器と、を備え、
前記基材は、前記放熱部と対向する対向面を有し、
前記回路基板は、
第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなる第1回路素子群と、
前記第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなるとともに、前記第1回路素子群と前記第1の方向と直交する第2の方向において隣り合う第2回路素子群と、を有し、
前記第1回路素子群及び前記第2回路素子群の集合は、前記駆動回路に含まれる駆動回路素子群と、前記電源回路に含まれる電源回路素子群とから構成され、
前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記対向面の法線方向における高さが略一致し、
前記第2回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記法線方向における高さが略一致するとともに、前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子よりも高さが高く、
前記放熱部は、前記第1回路素子群と当接する第1当接部と、前記第1当接部よりも前記対向面から離れた位置にあるとともに、前記第2回路素子群と当接する第2当接部と、を有し、
前記駆動回路素子群は、前記対向面上の前記電源回路素子群よりも前記表示器が位置する方向側に配設される、
表示装置。
【請求項2】
乗り物に搭載され、画像を表す表示光を透光部材に向けて射出することで前記画像を虚像として表示する表示装置であって、
前記表示光の基となる光を発する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路に電源を供給する電源回路とを有する回路基板と、
前記回路基板の基材と対向する放熱部と、を備え、
前記基材は、前記放熱部と対向する対向面を有し、
前記回路基板は、
第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなる第1回路素子群と、
前記第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなるとともに、前記第1回路素子群と前記第1の方向と直交する第2の方向において隣り合う第2回路素子群と、を有し、
前記第1回路素子群及び前記第2回路素子群の集合は、前記駆動回路に含まれる駆動回路素子群と、前記電源回路に含まれる電源回路素子群とから構成され、
前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記対向面の法線方向における高さが略一致し、
前記第2回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記法線方向における高さが略一致するとともに、前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子よりも高さが高く、
前記放熱部は、前記第1回路素子群と当接する第1当接部と、前記第1当接部よりも前記対向面から離れた位置にあるとともに、前記第2回路素子群と当接する第2当接部と、を有し、
前記放熱部は、前記第1当接部及び前記第2当接部から受けた熱を放熱する放熱フィンを形成し、
前記放熱フィンは、前記電源回路素子群が配設される領域から、前記駆動回路素子群が配設される領域に向かって、放熱面積を増大する
表示装置。
【請求項3】
乗り物に搭載され、画像を表す表示光を透光部材に向けて射出することで前記画像を虚像として表示する表示装置であって、
前記表示光の基となる光を発する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路に電源を供給する電源回路とを有する回路基板と、
前記回路基板の基材と対向する放熱部と、
前記光源を有し、前記表示光を生成する表示器と、
前記表示光を反射させる反射面を有する反射鏡と、
前記反射鏡を収容する筐体と、を備え、
前記基材は、前記放熱部と対向する対向面を有し、
前記回路基板は、
第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなる第1回路素子群と、
前記第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなるとともに、前記第1回路素子群と前記第1の方向と直交する第2の方向において隣り合う第2回路素子群と、を有し、
前記第1回路素子群及び前記第2回路素子群の集合は、前記駆動回路に含まれる駆動回路素子群と、前記電源回路に含まれる電源回路素子群とから構成され、
前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記対向面の法線方向における高さが略一致し、
前記第2回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記法線方向における高さが略一致するとともに、前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子よりも高さが高く、
前記放熱部は、前記第1回路素子群と当接する第1当接部と、前記第1当接部よりも前記対向面から離れた位置にあるとともに、前記第2回路素子群と当接する第2当接部と、を有し、
前記放熱部は、前記第1当接部と前記第2当接部とを形成する当接部と、前記当接部から延在する脚部と、を形成し、
前記脚部は、前記当接部の端部の内、前記表示器が位置する方向の端部に形成され、前記筐体と一体に形成される
表示装置。
【請求項4】
前記光は、複数の単色光からなり、
前記光源は、それぞれの前記単色光を発する複数の単色光源素子からなる、
請求項1からのいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記光源を有する表示器が発した前記表示光を反射させる反射面を有する反射鏡と、
前記反射鏡を収容する筐体と、を更に備え、
前記回路基板は、前記反射鏡における前記反射面の裏面と間隔を空けて対向し、
前記筐体は、前記反射面で反射する前記表示光が通る第1空間と、前記反射鏡と前記回路基板との間に位置する第2空間と、前記第1空間と前記第2空間との間に位置する開口部と、を有して形成され、
前記開口部が前記反射鏡に覆われていることによって、前記第1空間と前記第2空間とは区切られ、
前記筐体には、前記第2空間に位置するとともに、前記回路基板における前記反射鏡に向く面に実装された前記回路素子と当接する前記放熱部が設けられている、
請求項1または2のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記回路基板は、前記反射鏡における前記反射面の裏面と間隔を空けて対向し、
前記筐体は、前記反射面で反射する前記表示光が通る第1空間と、前記反射鏡と前記回路基板との間に位置する第2空間と、前記第1空間と前記第2空間との間に位置する開口部と、を有して形成され、
前記開口部が前記反射鏡に覆われていることによって、前記第1空間と前記第2空間とは区切られ、
前記筐体には、前記第2空間に位置するとともに、前記回路基板における前記反射鏡に向く面に実装された前記回路素子と当接する前記放熱部が設けられている、
請求項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物に搭載される表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗り物に搭載される表示装置として、例えば特許文献1には、車両に搭載され、表示光が表す画像を虚像として表示するヘッドアップディスプレイ(HUD;Head-Up Display)装置が開示されている。特許文献1に開示された表示装置は、表示光を生成する表示器が発した熱を放つために、放熱部としてヒートシンクが表示器に接続された構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-63223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の表示装置では、表示光の基となる光を発する光源を駆動する駆動回路と、駆動回路に電源を供給する電源回路とに大きな電流が流れ、発熱量が大きくなる場合がある。この場合、各回路を構成する回路素子のうち発熱量が大きいものを効果的に放熱する必要が生じる。しかしながら、各回路を構成する回路素子は、部品毎に高さが異なることが通常であるため、各回路素子に放熱部を当接させようとすると、放熱部の形状が複雑化してしまう。
【0005】
本発明は、回路素子が発した熱を放つ放熱部の複雑化を抑制することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る表示装置は、
乗り物に搭載され、画像を表す表示光を透光部材に向けて射出することで前記画像を虚像として表示する表示装置であって、
前記表示光の基となる光を発する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路に電源を供給する電源回路とを有する回路基板と、
前記回路基板の基材と対向する放熱部と、
前記光源を有し、前記表示光を生成する表示器と、を備え、
前記基材は、前記放熱部と対向する対向面を有し、
前記回路基板は、
第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなる第1回路素子群と、
前記第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなるとともに、前記第1回路素子群と前記第1の方向と直交する第2の方向において隣り合う第2回路素子群と、を有し、
前記第1回路素子群及び前記第2回路素子群の集合は、前記駆動回路に含まれる駆動回路素子群と、前記電源回路に含まれる電源回路素子群とから構成され、
前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記対向面の法線方向における高さが略一致し、
前記第2回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記法線方向における高さが略一致するとともに、前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子よりも高さが高く、
前記放熱部は、前記第1回路素子群と当接する第1当接部と、前記第1当接部よりも前記対向面から離れた位置にあるとともに、前記第2回路素子群と当接する第2当接部と、を有し、
前記駆動回路素子群は、前記対向面上の前記電源回路素子群よりも前記表示器が位置する方向側に配設される
た別の観点においては、上記目的を達成するため、本発明に係る表示装置は、
乗り物に搭載され、画像を表す表示光を透光部材に向けて射出することで前記画像を虚像として表示する表示装置であって、
前記表示光の基となる光を発する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路に電源を供給する電源回路とを有する回路基板と、
前記回路基板の基材と対向する放熱部と、を備え、
前記基材は、前記放熱部と対向する対向面を有し、
前記回路基板は、
第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなる第1回路素子群と、
前記第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなるとともに、前記第1回路素子群と前記第1の方向と直交する第2の方向において隣り合う第2回路素子群と、を有し、
前記第1回路素子群及び前記第2回路素子群の集合は、前記駆動回路に含まれる駆動回路素子群と、前記電源回路に含まれる電源回路素子群とから構成され、
前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記対向面の法線方向における高さが略一致し、
前記第2回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記法線方向における高さが略一致するとともに、前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子よりも高さが高く、
前記放熱部は、前記第1回路素子群と当接する第1当接部と、前記第1当接部よりも前記対向面から離れた位置にあるとともに、前記第2回路素子群と当接する第2当接部と、を有し、
前記放熱部は、前記第1当接部及び前記第2当接部から受けた熱を放熱する放熱フィンを形成し
前記放熱フィンは、前記電源回路素子群が配設される領域から、前記駆動回路素子群が配設される領域に向かって、放熱面積を増大する。
また別の観点においては、上記目的を達成するため、本発明に係る表示装置は、
乗り物に搭載され、画像を表す表示光を透光部材に向けて射出することで前記画像を虚像として表示する表示装置であって、
前記表示光の基となる光を発する光源を駆動する駆動回路と、前記駆動回路に電源を供給する電源回路とを有する回路基板と、
前記回路基板の基材と対向する放熱部と、
前記光源を有し、前記表示光を生成する表示器と、
前記表示光を反射させる反射鏡と、
前記反射鏡を収容する筐体と、を備え、
前記基材は、前記放熱部と対向する対向面を有し、
前記回路基板は、
第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなる第1回路素子群と、
前記第1の方向に沿って前記対向面上に配設された複数の回路素子からなるとともに、前記第1回路素子群と前記第1の方向と直交する第2の方向において隣り合う第2回路素子群と、を有し、
前記第1回路素子群及び前記第2回路素子群の集合は、前記駆動回路に含まれる駆動回路素子群と、前記電源回路に含まれる電源回路素子群とから構成され、
前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記対向面の法線方向における高さが略一致し、
前記第2回路素子群を構成する複数の回路素子は、前記法線方向における高さが略一致するとともに、前記第1回路素子群を構成する複数の回路素子よりも高さが高く、
前記放熱部は、前記第1回路素子群と当接する第1当接部と、前記第1当接部よりも前記対向面から離れた位置にあるとともに、前記第2回路素子群と当接する第2当接部と、を有し、
前記放熱部は、前記第1当接部と前記第2当接部とを形成する当接部と、前記当接部から延在する脚部と、を形成し、
前記脚部は、前記当接部の端部の内、前記表示器が位置する方向の端部に形成され、前記筐体と一体に形成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回路素子が発した熱を放つ放熱部の複雑化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ(HUD)装置の表示 態様を説明するための図である。
図2】HUD装置の概略構成図である。
図3図2に示すQ部の詳細構成を示す図である。
図4】HUD装置が備える第1ユニットにおける一部構成を除いた斜視図である。
図5】(a)及び(b)は、回路基板の概略平面図である。
図6】電源回路における主要な回路素子の機能を説明するための概略回路図である。
図7】駆動回路における主要な回路素子の機能を説明するための概略回路図である。
図8】(a)は、本発明の一実施形態に係る放熱部を示す模式図であり、(b)は、変形例に係る放熱部を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
本実施形態に係る表示装置は、図1に示すヘッドアップディスプレイ(HUD)装置1である。HUD装置1は、車両2のダッシュボードに配設され、図2に模式的に示す画像Mを表す表示光Pをウインドシールド3(フロントガラス)に向けて射出する。ウインドシールド3で反射した表示光Pは、ウインドシールド3の前方に画像Mの虚像Vとして観察者4(主に、車両2の運転者)に視認される。このようにして、HUD装置1は、車両2の前方の景色に重ねて、虚像Vとして視認される画像Mを表示する。画像Mは、例えば、車速、エンジン回転数、ナビゲーション情報などの車両2に関する車両情報を報知するための画像である。なお、車両情報は、車両2自体の情報だけでなく、車両2の外部の情報も含んでいてもよい。
【0011】
HUD装置1は、図2に示すように、表示光Pを生成する第1ユニット5Aと、第1ユニット5Aにより生成された表示光Pをウインドシールド3へと導く第2ユニット5Bとを備える。
【0012】
第1ユニット5Aは、プロジェクタ10と、反射鏡21,22を有する第1光学リレー20と、スクリーン30と、制御部40と、第1筐体50と、シールド部材Sと、蓋部60とを備える。
【0013】
プロジェクタ10は、フィールドシーケンシャル方式によってスクリーン30に画像を表示するべく、反射鏡21に向けて表示光Pを射出する。
【0014】
プロジェクタ10は、光源部10aと、反射型表示素子10bと、投影レンズ10cとを備える。
光源部10aは、LED(Light Emitting Diode)群101と、光合成部102とを備える。LED群101は、赤色光を発するR-LEDと、緑色光を発するG-LEDと、青色光を発するB-LEDとから構成される。LED群101の各々は、制御部40によってフィールドシーケンシャル方式で駆動され、所定の強度及びタイミングで発光する。光合成部102は、ダイクロックミラー及び反射ミラーからなり、LED群101が発したR,G,B各色の光を合成する。
反射型表示素子10bは、光合成部102からの合成光を受けて表示光Pを生成し、その表示光Pを投影レンズ10cに向けて射出する。反射型表示素子10bは、例えば、可動式の複数のマイクロミラーを有するDMD(Digital Micro-mirror Device)からなり、制御部40の制御により、各ミラーがオンとオフとのいずれかの状態で制御されることで、光合成部102からの合成光を空間光変調して表示光Pを生成し、射出する。
投写レンズ10cは、スクリーン30に合わせて表示光Pを拡大する。なお、適宜の図に示した表示光Pは、表示光Pの主光線を例示したものである。
【0015】
第1光学リレー20における反射鏡21は、例えば平面鏡からなり、プロジェクタ10からの表示光Pを反射鏡22に向けて反射させる。
【0016】
反射鏡22は、例えば平面鏡からなり、反射鏡21からの表示光Pをスクリーン30に向けて反射させる反射面22aを有する。反射面22aで反射した表示光Pは、スクリーン30へと向かう。
【0017】
スクリーン30は、プロジェクタ10から射出され、反射鏡22で反射した表示光Pを受ける。スクリーン30は、例えば、平面視で矩形状に形成されている。スクリーン30は、ホログラフィックディフューザ、マイクロレンズアレイ、拡散板等から構成される透過型スクリーンであり、表示光Pを背面(図2における下面)で受光し、前面(図2における上面)に画像Mを表示する。これにより、画像Mを表す表示光Pが後述の反射鏡71に向けて射出される。
【0018】
制御部40は、HUD装置1の動作を制御するものであり、図示しない主制御部と、図5(a)に示す駆動回路41及び電源回路42とを備える。
主制御部は、例えばマイクロコンピュータ(マイコン)からなり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える。CPUは、ROMに予め記憶された動作プログラムを読み出して実行することで、HUD装置1の全体動作を制御する。なお、主制御部は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)から構成されていてもよい。主制御部は、車両2に搭載されたECU(Electronic Control Unit)からの車両情報に基づき、車両情報を示す画像Mを表示するための画像データを生成する。また、主制御部は、生成した画像データに基づき、反射型表示素子10bを駆動制御するとともに、駆動回路41を介してLED群101を駆動制御する。電源回路42は、駆動回路41に電源を供給する。
【0019】
図2において模式的に示した制御部40は、図3に示す回路基板CBに実装されている。なお、図3は、図2に示すQ部の詳細構成を示す図である。
【0020】
回路基板CBは、絶縁性を有する板状の基材Baに導体の配線が形成されてなるプリント配線板に、後述の各回路素子が実装されて構成されている。回路基板CBは、図3図4に示すように、反射鏡22における反射面22aの裏面と間隔を空けて設けられている。なお、第1ユニット5Aにおける一部構成(第1筐体50の一部や、シールド部材S)を除いた斜視図である。回路基板CBは、例えば、第1筐体50に対して固定されている。なお、制御部40においては、少なくとも駆動回路41及び電源回路42が回路基板CBに形成されていればよく、主制御部は回路基板CBとは別の回路基板(図示せず)に実装されていてもよい。
【0021】
第1筐体50は、プロジェクタ10、第1光学リレー20、スクリーン30及び回路基板CBを、上述の機能を充足する適宜の位置に配設するとともに収納する。第1筐体50は、連結部Cを介して、第2ユニット5Bの後述する第2筐体80と接続されている。
【0022】
第1筐体50は、図3に示すように、第1空間S1と、第2空間S2と、開口部50aとを有して形成されている。
第1空間S1は、反射鏡22の反射面22a側に形成されるとともに、反射面22aで反射する表示光P(反射面22aに入射する表示光P及び反射面22aで反射した表示光P)が通る空間である。第2空間S2は、反射鏡22の裏面(反射面22aとは反対側の面)側に形成されるとともに、反射鏡22と回路基板CBとの間に位置する空間である。開口部50aは、第1空間S1と第2空間S2との間に位置する。
【0023】
反射鏡22は、開口部50aを下側(第2空間S2側)から覆う態様で、第1筐体50に設けられている。このように、開口部50aに反射鏡22が設けられることによって、第1空間S1と第2空間S2とは区切られる。
【0024】
シールド部材Sは、開口部50aを下側(第2空間S2側)から覆う態様で、反射鏡22の裏面側に設けられている。シールド部材Sは、金属からなる板状部材であり、例えば鉄やアルミニウム合金から形成されている。例えば、シールド部材Sは、図示しないグランド端子(例えば、回路基板CBのグランドパターン)と電気的に接続され、接地されている。
【0025】
図3に示すように、第1筐体50には、回路基板CBにおける反射鏡22に向く面に実装された所定の回路素子(詳しくは後述する)と当接する放熱部51が設けられている。
【0026】
放熱部51は、回路基板CBの基材Baと対向して設けられ、ヒートシンク510と、熱伝導シート511とを有する。
【0027】
ヒートシンク510は、第1筐体50と一体に形成されている。第1筐体50及びヒートシンク510は、例えばマグネシウム合金などの金属から形成されている。ヒートシンク510は、図3に示すように、開口部50aの外周部から回路基板CBに向かって形成され、開口部50aから回路基板CBに向かって末広がりとなって側面視で概ねL字状に形成されている。そして、ヒートシンク510の底部が回路基板CBと接近する格好となる。
【0028】
熱伝導シート511は、ヒートシンク510の底部に設けられている。熱伝導シート511は、例えばTIM(Thermal Interface Material)からなり、熱伝導性が良好な弾性体により形成されている。この熱伝導シート511が、放熱部51のうち所定の回路素子と当接する。
これにより、回路基板CBの所定の回路素子で発生した熱を、熱伝導シート511、ヒートシンク510(第1筐体50)を介して、効果的に放つことができる。
【0029】
ここで、回路基板CBの基材Baにおける放熱部51と対向する面(具体的には、ヒートシンク510の底部又は熱伝導シート511と対向する面)を「対向面」と呼ぶ。そして、以下の説明の理解を容易とするため、対向面の法線方向に延びる軸をZ軸とした、XYZ直交座標系を導入する。この場合、X-Y平面は、基材Baの対向面と平行となる。また、図においてX,Y,Zの各軸を示す矢印が向く方向を、当該矢印が示す軸の「+」方向とし、その反対方向を「-」方向とする。
【0030】
図8(a)は、回路基板CBにおける所定の回路素子が放熱部51と当接する箇所を-Y方向から見た場合の模式図である。図8(a)に示すように、ヒートシンク510は、効果的に放熱するための放熱フィン510aを有している。
【0031】
蓋部60は、図3に示すように、回路基板CBを裏側(-Z方向側)から覆うように、第1筐体50に取りつけられている。蓋部60は、例えば、金属からなり、具体的には、鉄やアルミニウム合金から形成されている。
【0032】
図2に戻って、第2ユニット5Bは、反射鏡71及び凹面鏡72を有する第2光学リレー70と、第2筐体80と、を備える。
【0033】
第2光学リレー70における反射鏡71は、例えば平面鏡からなり、スクリーン30からの表示光Pを凹面鏡72に向けて反射させる。また、凹面鏡72は、反射鏡71からの表示光Pをウインドシールド3に向けて反射させる。これにより、観察者4に虚像Vとして視認される画像Mは、スクリーン30に表示された画像Mよりも拡大されたものとなる。
【0034】
第2筐体80は、第2光学リレー70を、上述の機能を充足する適宜の位置に配設するとともに収納する。第2筐体80には、開口部が形成され、この開口部には透光板81が設けられている。透光板81は、アクリル等の透光性樹脂からなり、凹面鏡72からの表示光Pを透過させる。
【0035】
HUD装置1が虚像Vを表示する機構を簡潔に述べる。プロジェクタ10が射出した表示光Pは、第1光学リレー20を介して、スクリーン30に画像Mとして投影される。スクリーン30に表示された画像Mを表す表示光Pは、第2光学リレー70を介して、ウインドシールド3へ射出される。このようにしてHUD装置1から射出された表示光Pがウインドシールド3で反射することで、ウインドシールド3の前方に画像Mが虚像Vとして表示される。
【0036】
(回路基板CBの回路素子について)
続いて、回路基板CBの回路素子について説明する。回路基板CBは、図5(a)に示すように、各種の回路素子を含んで構成される駆動回路41及び電源回路42を有する。図5(a)及び(b)は、回路基板CBを+Z方向から見た場合の概略平面図である。
【0037】
なお、以下では、図5(a)及び(b)に示された回路素子について主に説明するとともに、当該回路素子の機能を適宜図6図7を参照して簡潔に説明する。図6は、電源回路42における主要な回路素子の機能を説明するための概略回路図であり、図7は、駆動回路41における主要な回路素子の機能を説明するための概略回路図である。
【0038】
電源回路42は、例えば、昇圧と降圧とが共に可能なSEPIC(Single Ended Primary Inductor Converter)コンバータであって、DC/DCコンバータ(DC:Direct Current)として構成されている。例えば、電源回路42は、車両2に搭載されたバッテリ2aからの電圧(例えば12V)を降圧し、降圧後の電圧(例えば8V)を駆動回路41へ出力する。
【0039】
電源回路42は、図5(a)に示すように、基材Baのうち放熱部51と対向する対向面に実装された主な回路素子として、コイルL1,L2(インダクタ)と、FET(Field Effect Transistor)42a,42bと、を備える。また、電源回路42は、回路基板CBの適宜の位置(例えば、基材Baにおける対向面の裏面)に実装されたコンバータIC(Integrated Circuit)420を備える。コンバータIC420は、例えば、パワー素子非内蔵型のものである。
【0040】
図6に概略を示すように、コイルL1,L2は、バッテリ2aからのパワーラインと電気的に接続されている。コイルL1は電源回路42の入力側に位置し、コイルL2は電源回路42のグランド側に位置する。コイルL1,L2は、昇圧時と降圧時のいずれでも供給された電流エネルギーを蓄える。電源回路42の一次側のFET42aと二次側のFET42bとは、コンバータIC420の制御によりスイッチング動作を行い、昇圧時と降圧時のいずれでも動作する。FET42aはNチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)からなり、FET42bはPチャネル型のMOSFETからなる。なお、二次側のFET42bに代えてダイオードを設けてもよい。
【0041】
駆動回路41は、光源部10aにおけるLED群101を構成する赤、緑、青色の各色LEDを、フィールドシーケンシャル方式で駆動する。駆動回路41は、電源回路42からの電源供給(降圧後の電源電圧)により動作する。
【0042】
駆動回路41は、図5(a)に示すように、基材Baのうち放熱部51と対向する対向面に実装された主な回路素子として、定電流駆動のためのコイルL3(インダクタ)、FET41a及びダイオードDと、LED群101への電流供給タイミングを制御するためのFET群411と、を備える。また、駆動回路41は、回路基板CBの適宜の位置(例えば、基材Baにおける対向面の裏面)に実装されたドライバIC410を備える。ドライバIC410は、定電流制御を行うためのものであり、例えば、パワー素子非内蔵型のものである。
【0043】
図7に概略を示すように、主に、駆動回路41は、電源電圧の入力側から、ドライバIC410の制御によりスイッチング動作を行うFET41a、ダイオードD、及びコイルL3の順で構成された回路を有している。そして、当該回路の後段に、FET群411が設けられている。なお、FET41aはPチャネル型のMOSFETからなり、ダイオードDはツェナーダイオードからなる。
【0044】
FET群411は、ドライバIC410の制御によりスイッチング動作を行う、6つのFET411a~411fから構成されている。6つのFET411a~411fは、各々、Nチャネル型のMOSFETからなる。FET411a,411bは、LED群101を構成するR,G,B-LEDへ所望の電流を安定して供給するためのものであり、R,G,B-LEDの消灯時(ブランキング状態)における電流供給を調整する。FET411cは、予め定められた設定輝度より低い低輝度時にのみイネーブルとなる低輝度用FETである。FET411cは、R,G,B-LEDの各点灯期間を低減させることで、表示光Pを低輝度とする。FET411dはR-LEDを、FET411eはG-LEDを、FET411fはB-LEDを所望のタイミングで点灯させる。FET411d、411e、411fの各々のゲートは、主制御部と電気的に接続され、各々のドレイン側はLED群101と電気的に接続されている。FET411dのゲートには主制御部からR-LEDの発光タイミングを制御するためのイネーブル信号(R-EN)が供給される。FET411eのゲートには主制御部からG-LEDの発光タイミングを制御するためのイネーブル信号(G-EN)が供給される。FET411fのゲートには主制御部からB-LEDの発光タイミングを制御するためのイネーブル信号(B-EN)が供給される。これにより、LED群101を構成するR,G,B各色のLEDは、フィールドシーケンシャル方式で駆動される。
【0045】
図5(b)に示すように、以上に説明した各種回路素子のうち、駆動回路41のFET群411と、電源回路42のFET42a,42bとは、第1回路素子群6Lを構成する。また、駆動回路41のダイオードD、FET41a及びコイルL3と、電源回路42のコイルL2とは、第2回路素子群6Hを構成する。
第1回路素子群6Lは、図5(b)に示すように、Y方向(第1の方向の一例)に沿って配設されている。また、第1回路素子群6Lを構成する複数の回路素子は、図8(a)に示すように、Z方向(対向面の法線方向)における高さが略一致する。
第2回路素子群6Hは、図5(b)に示すように、Y方向に沿って配列されているとともに、第1回路素子群6LとX方向(第2の方向の一例)において隣り合っている。また、第2回路素子群6Hを構成する複数の回路素子は、図8(a)に示すように、Z方向における高さが略一致するとともに、第1回路素子群6Lを構成する複数の回路素子よりも高さが高く設定されている。
【0046】
また、図8(a)に示すように、放熱部51は、第1回路素子群6Lと当接する第1当接部7aと、第1当接部7aよりも対向面から離れた位置にあるとともに、第2回路素子群6Hと当接する第2当接部7bと、を有する。具体的には、図8(a)に示す構成では、ヒートシンク510の底面が、回路基板CBの基材Baの対向面と平行になるように形成されている。そして、当該底面に接着などの公知の手法で固定された熱伝導シート511が、第1当接部7a及び第2当接部7bを構成する。熱伝導シート511は、そのZ方向における厚みが、第1当接部7aのほうが第2当接部7bよりも厚くなるように形成されており、これにより、第1回路素子群6Lと当接する第1当接部7aと、第2回路素子群6Hと当接する第2当接部7bとが実現されている。
【0047】
なお、放熱部51の変形例として、図8(b)に示すように、第1当接部7aと第2当接部7bとを構成する熱伝導シート511の厚みを一定としてもよい。こうした場合、熱伝導シート511の厚みと、第1回路素子群6L及び第2回路素子群6Hの各々の高さとを考慮し、ヒートシンク510の底面が段状になるように形成すればよい。なお、図8(b)では、熱伝導シート511を第1当接部7a及び第2当接部7bの各々に分けて二枚で構成した例を示しているが、一枚で構成してもよい。
【0048】
なお、第1回路素子群6Lを構成する複数の回路素子の高さが略一致するや、第2回路素子群6Hを構成する複数の回路素子の高さが略一致するという表現における「略一致」とは、完全に一致するだけでなく、若干の範囲でバラツキがあってもよい。第1回路素子群6Lと第2回路素子群6Hとの各々と当接する熱伝導シート511は、弾性を有するため、熱伝導シート511の弾性変形で当接可能な範囲(例えば5mm以下の範囲)であれば、各回路素子の高さにバラツキがあってもよい。
【0049】
以上に説明したHUD装置1は、車両2に搭載され、画像Mを表す表示光Pをウインドシールド3(透光部材の一例)に向けて射出することで画像Mを虚像として表示する。
【0050】
(1-1)HUD装置1は、表示光Pの基となる光を発する光源(LED群101を構成する各色LED)を駆動する駆動回路41と、駆動回路41に電源を供給する電源回路42とを有する回路基板CBと、回路基板CBの基材Baと対向する放熱部51と、を備える。基材Baは、放熱部51と対向する対向面を有し、回路基板CBは、Y方向(第1の方向)に沿って対向面上に配設された複数の回路素子からなる第1回路素子群6Lと、Y方向に沿って対向面上に配設された複数の回路素子からなるとともに、第1回路素子群6LとX方向(第2の方向)において隣り合う第2回路素子群6Hと、を有する。第1回路素子群6L及び第2回路素子群6Hの集合は、駆動回路41に含まれる駆動回路素子群(FET群411、ダイオードD、FET41a、コイルL3)と、電源回路42に含まれる電源回路素子群(FET42a,42b、コイルL1,L2)とから構成される。
第1回路素子群6Lを構成する複数の回路素子は、対向面の法線方向(Z方向)における高さが略一致し、第2回路素子群6Hを構成する複数の回路素子は、前記法線方向における高さが略一致するとともに、第1回路素子群6Lを構成する複数の回路素子よりも高さが高い。放熱部51は、第1回路素子群6Lと当接する第1当接部7aと、第1当接部7aよりも対向面から離れた位置にあるとともに、第2回路素子群6Hと当接する第2当接部7bと、を有する。
【0051】
上記(1-1)の構成によれば、第1回路素子群6Lを構成する複数の回路素子の高さを揃え、且つ、第2回路素子群6Hを構成する複数の回路素子の高さを揃え、第1回路素子群6L及び第2回路素子群6Hの各々の高さを考慮して放熱部51を形成すればよいため、回路素子が発した熱を放つ放熱部51の複雑化を抑制することができる。
【0052】
(1-2)また、HUD装置1においては、図5(a)に示すように、駆動回路素子群が配設された領域(駆動回路41の形成領域)と、電源回路素子群が配設された領域(電源回路42の形成領域)とは、Y方向(第1の方向)において隣り合う。
【0053】
上記(1-2)の構成によれば、駆動回路41及び電源回路42の各々のレイアウトを極力変更せずに済むため、ノイズ特性が悪化する等で電気的特性が損ねられてしまうことを防止することができる。
【0054】
(1-3)また、放熱部51は、金属で形成されたヒートシンク510と、ヒートシンク510の対向面側に設けられた熱伝導シート511とを有し、熱伝導シート511が第1当接部7a及び第2当接部7bを有する。
【0055】
上記(1-3)の構成によれば、熱伝導シート511が有する弾性によって回路素子に与えるストレスを軽減することができる。
【0056】
(1-4)また、HUD装置1は、前記光源を有する表示器(プロジェクタ10)が発した表示光Pを反射させる反射鏡22と、反射鏡22を収容する第1筐体50(筐体の一例)とを備え、ヒートシンク510は、第1筐体50と一体に形成されている。
【0057】
上記(1-4)の構成によれば、部品点数の増加を抑制することができるとともに、回路基板CBの回路素子で発生した熱を、熱伝導シート511及びヒートシンク510(第1筐体50)を介して効果的に放つことができる。
【0058】
(2-1)上記(1-1)とは別の観点として、HUD装置1は、表示光Pを生成する表示器(プロジェクタ10)が発した表示光Pを反射させる反射面22aを有する反射鏡22と、反射鏡22を収容する第1筐体50(筐体の一例)と、反射鏡22における反射面22aの裏面と間隔を空けて対向する回路基板CBと、を備える。第1筐体50は、反射面22aで反射する表示光Pが通る第1空間S1と、反射鏡22と回路基板CBとの間に位置する第2空間S2と、第1空間S1と第2空間S2との間に位置する開口部50aと、を有して形成され、開口部50aが反射鏡22に覆われていることによって、第1空間S1と第2空間S2とは区切られている。
第1筐体50には、第2空間S2に位置するとともに、回路基板CBにおける反射鏡22に向く面に実装された回路素子(第1回路素子群6Lや第2回路素子群6Hに含まれる回路素子)と当接する放熱部51が設けられている。
【0059】
上記(2-1)の構成によれば、第1筐体50に放熱部51を設けたため、簡潔な構成で、良好な放熱を実現することができる。
【0060】
(2-2)また、HUD装置1は、反射鏡22の裏面を覆い、金属で形成されたシールド部材Sをさらに備える。
【0061】
上記(2-2)の構成によれば、回路素子が位置する第2空間S2と、表示光Pが通る第1空間S1とを電磁的に遮蔽することができるため、当該回路素子が発するノイズが他のシステムに影響を及ぼさないように、且つ、他のシステムからのノイズが当該回路素子の正常動作に影響を及ぼさないように、電磁両立性(EMC: Electro Magnetic Compatibility)を確保することができる。したがって、簡潔な構成で、良好な放熱と電磁両立性とを実現することができる
【0062】
(2-3)また、放熱部51は、金属で形成されたヒートシンク510を有し、ヒートシンク510は、第1筐体50と一体に形成されている。
【0063】
上記(2-3)の構成によれば、部品点数の増加を抑制することができる。
【0064】
(2-4)また、放熱部51は、ヒートシンク510に設けられた熱伝導シート511を有し、熱伝導シート511が前記回路素子に当接する。
【0065】
上記(2-4)の構成によれば、熱伝導シート511が有する弾性によって回路素子に与えるストレスを軽減することができる。
【0066】
(2-5)HUD装置1においては、回路素子は、複数あり、Y方向(第1の方向の一例)に沿う第1回路素子群6Lと、Y方向に沿うとともに、第1回路素子群6LとX方向(第2の方向の一例)において隣り合う第2回路素子群6Hと、を有する。また、放熱部51は、第1回路素子群6Lと当接する第1当接部7aと、第1当接部7aよりも回路基板CBから離れた位置にあるとともに、第2回路素子群6Hと当接する第2当接部7bと、を有する。
【0067】
上記(2-5)の構成によれば、第1回路素子群6Lを構成する複数の回路素子の高さを揃え、且つ、第2回路素子群6Hを構成する複数の回路素子の高さを揃え、第1回路素子群6L及び第2回路素子群6Hの各々の高さを考慮して放熱部51を形成すればよいため、回路素子が発した熱を放つ放熱部51の複雑化を抑制することができる。
【0068】
本発明は、以上の実施形態、変形例、及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0069】
第1回路素子群6L及び第2回路素子群6Hの各々を構成する回路素子は、任意であり、上記例の回路素子以外の所定のICや抵抗素子などで構成されてもよい。但し、第1回路素子群6L及び第2回路素子群6Hの各々を構成する回路素子は、発熱量が比較的多い、コイルやFETを含んでいることが好ましい。
【0070】
また、第1回路素子群6Lと第2回路素子群6Hとの各々の配列方向である第1の方向は、図3に示すように、車両2の前後方向に沿うY方向に限られず任意である。第1回路素子群6Lが第1の方向に沿って配設され、第2回路素子群6Hが第1の方向に沿って配設されるとともに、第1回路素子群6Lと第1の方向と直交する第2の方向において隣り合っている、という関係を満たす限りにおいては、第1の方向を車両2に対してどの方向に設定してもよい。
【0071】
以上では、第1光学リレー20は、2つの反射鏡21,22を備えた例を示したが、これに限られず、単数又は3つ以上の鏡から構成されてもよい。同様に、第2光学リレー70は、少なくとも凹面鏡72を備えていれば、単数又は3つ以上の鏡から構成されてもよい。また、反射鏡21,22及び反射鏡71は、平面鏡に限られず、少なくともいずれかは画像Mの歪みを補正するための曲面を有する曲面鏡(自由曲面鏡も含む)であってもよい。
【0072】
以上では、スクリーン30を第1ユニット5Aに設けた例を示したが、これに限られず、第2ユニット5Bに設けてもよい。
【0073】
以上では、DMDからなる反射型表示素子10bを備えた方式のプロジェクタ10を説明したが、プロジェクタ10の方式は、これに限られない。例えば、プロジェクタ10は、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)プロジェクタ、GLV(Grating Light Valve)プロジェクタ、CRT(Cathode Ray Tube)プロジェクタ又は液晶プロジェクタ等であってもよい。また、表示器は、プロジェクタ10ではなくともよく、画像Mを表示する液晶ディスプレイや、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイから構成されていてもよい。この場合、スクリーン30を省略することができる。
【0074】
また、HUD装置1が表示光Pを射出する対象である透光部材は、ウインドシールド3に限られない。例えば、透光部材は、ウインドシールド3以外のHUD装置1の専用のコンバイナであってもよい。
【0075】
また、HUD装置1が搭載される乗り物は、車両に限られず、船舶、飛行機などの他の乗り物であってもよい。
【0076】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0077】
1…ヘッドアップディスプレイ(HUD)装置
P…表示光、M…画像、V…虚像
5A…第1ユニット
10…プロジェクタ、101…LED群
22…反射鏡、22a…反射面
S…シールド部材
30…スクリーン
40…制御部
CB…回路基板、Ba…基材
41…駆動回路、410…ドライバIC
42…電源回路、420…コンバータIC
6L…第1回路素子群
411…FET群、42a,42b…FET、L1…コイル
6H…第2回路素子群
41a…FET、D…ダイオード、L2,L3…コイル
50…第1筐体(筐体の一例)
50a…開口部、S1…第1空間、S2…第2空間
51…放熱部
510…ヒートシンク、510a…放熱フィン
511…熱伝導シート
7a…第1当接部
7b…第2当接部
2…車両、2a…バッテリ
3…ウインドシールド(透光部材の一例)
4…観察者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8