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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】経口組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240326BHJP
   A61K 36/49 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 36/15 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 31/198 20060101ALI20240326BHJP
   A61K 38/05 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240326BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240326BHJP
   A23L 33/175 20160101ALI20240326BHJP
   A61K 31/353 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/49
A61K36/15
A61P21/00
A61P9/00
A61K31/198
A61K38/05
A61P43/00 121
A61P11/00
A23L33/175
A61K31/353
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019051599
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020150826
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 雄気
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0216245(US,A1)
【文献】特開2005-097273(JP,A)
【文献】特表2013-530985(JP,A)
【文献】スイス・ホーファー社ナラの木由来の特許素材「ロブビット」の供給へ,食品と開発,2017年09月12日,https://www.kenko-media.com/food_devlp/archives/2035,[検索日2023年1月26日]
【文献】Robuvit and endurance in triathlon: improvements in training performance, recovery and oxidative stress,PubMed,https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26488613/,[検索日2023年1月26日], Minerva Cardio and Angiology, 2015, 63(5), 403-409の要約
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L,A61K,A61P
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)プロアントシアニジンを含む植物抽出物、(B)ブナ科植物抽出物、(C)アルギニン、シトルリン、オルニチン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン酸ジペプチドからなる群より選択されるアルギニン源、並びに、(D)バリン、ロイシン、及びイソロイシンからなる群より選択される分岐鎖アミノ酸を含み、
前記(A)成分1重量部に対し、前記(B)成分が0.15重量部以上含まれ、
筋肉不快感の低減又は予防に用いられる、経口組成物。
【請求項2】
前記(A)成分が松樹皮抽出物である、請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
前記(B)成分が、ヨーロッパナラ抽出物である、請求項1又は2に記載の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持久力を向上させる経口組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
プロアントシアニジンは、ポリフェノール類の一種で、フランス海岸松樹皮抽出物等に含まれる強力な抗酸化作用を有する物質である。プロアントシアニジンの生理活性作用としては、血中脂質改善効果、抗高血圧効果、血糖値上昇抑制効果、血管保護効果、ビタミンCの利用効率向上効果、血液流動性改善効果等が挙げられる。さらに、プロアントシアニジンによる生理活性作用を増強させるための処方が種々提案されており、例えば、特許文献1には、プロアントシアニジンに3,4,5-トリヒドロキシフェニル基を有するカテキン類を組み合わせることで、プロアントシアニジンが有する血中の脂質改善効果、脂質代謝改善効果、血糖値上昇抑制効果、抗高血圧効果、血流改善効果、美肌効果などの生理活性を顕著に増強することが記載されている。
【0003】
ブナ科植物抽出物は、エラジタンニンを含むことで知られている。エラジタンニンもポリフェノール類の一種であり、医薬や健康増進を目的とした利用が期待されている、例えば、特許文献2には、ブナ科の植物エキスから得られるエラジタンニンリッチな抽出物組成物が、男女の性的適応度または性的機能の改善方法、男性の精力増強方法、男女の性的脈管系の性的機能不全および健康の治療方法または予防方法において使用されることが記載されている。また、特許文献3には、ブナ科の植物エキスから得られるエラジタンニンリッチな抽出物からなる組成物が、被験者における気分を改善し、ストレスを低下させ、エネルギーを向上させて、疲労、不安および睡眠障害の予防方法または治療方法において使用されることが記載されている。
【0004】
アルギニンは、一酸化窒素(NO)合成酵素の直接的な基質となるアミノ酸として、肝臓における尿素回路の中間体として、及び成長ホルモン分泌作用を有する物質として知られている。アルギニンの生理活性作用としては、血管拡張、血圧上昇抑、性的機能改善、筋肉合成、創傷治癒、アンモニア解毒、免疫賦活、インスリン分泌、ポリアミン合成作用が挙げられる。さらに、アルギニンによる生理活性作用をより有効に得るための処方が提案されており、特許文献4には、シトルリンまたはその塩およびアルギニンまたはその塩を有効成分として含有する、即効性血中アルギニン濃度上昇型経口剤が、経口摂取後速やかに血中のアルギニン濃度を上昇できることが記載されている。
【0005】
バリン、ロイシン、イソロイシンは、分岐鎖アミノ酸(BCAA)と呼ばれ、その3種アミノ酸の混合物には筋肉疲労回復効果があることが知られている。また、特許文献5には、それぞれ所定量の、ロイシン、イソロイシン、バリン、グルタミン及びホエイ蛋白質分解物のみを含有し、且つ1日1回運動直後に経口投与される、運動後の筋肉蛋白分解の持続的抑制剤によって、筋肉疲労回復の効果を持続的に得ることができることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-060338号公報
【文献】特表2015-502170号公報
【文献】特表2015-511212号公報
【文献】国際公開第2009048148号
【文献】特開2004-182630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、プロアントシアニジンを含む植物抽出物、ブナ科植物抽出物、アルギニン、及び分岐鎖アミノ酸は、様々な生理活性作用を利用した経口組成物に用いられている。これらの成分による生理活性は多種多様であり、それに応じて経口組成物の用途も多種多様である。そして、多くの用途への有効性が知られているにも関わらず、これらの成分のすべてにおいて共通又は関連する用途は無い。このため、これらの成分の全てを含む経口組成物は知られていない。
【0008】
また、上記の成分は多くの生理活性が知られているにも関わらず、持久力を向上させる作用については一切知られていない。持久力には、心肺持久力ともいわれる全身持久力が挙げられ、全身持久力は、長時間にわたって全身を動かせる能力をいう。全身持久力は、例えば、長距離ランニング、水泳、自転車といった持久系スポーツのパフォーマンスに代表される。
【0009】
そこで、本発明は、持久力を向上させることができる経口組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討を行ったところ、プロアントシアニジンを含む植物抽出物、ブナ科植物抽出物、及びアルギニン源(アルギニン及び体内でアルギニンに転換される成分を含む)を組み合わせた経口組成物が、驚くべきことに、これまで知られていなかった持久力向上作用を発揮することを見出した。更に驚くべきことに、プロアントシアニジンを含む植物抽出物、ブナ科植物抽出物、及びアルギニン源(アルギニン及び体内でアルギニンに転換される成分を含む)を組み合わせた経口組成物に、分岐鎖アミノ酸を組み合わせることで、持久力向上作用が更に向上することも見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0011】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)プロアントシアニジンを含む植物抽出物、(B)ブナ科植物抽出物、(C)アルギニン、シトルリン、オルニチン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン酸ジペプチドからなる群より選択されるアルギニン源、並びに、(D)バリン、ロイシン、及びイソロイシンからなる群より選択される分岐鎖アミノ酸を含む、経口組成物。
項2. 前記(A)成分が松樹皮抽出物である、項1に記載の経口組成物。
項3. 前記(B)成分が、ヨーロッパナラ抽出物である、項1又は2に記載の経口組成物。
項4. 前記(A)成分1重量部に対し、前記(B)成分が0.15重量部以上含まれる、項1~3のいずれかに記載の経口組成物。
項5. 持久力の向上に用いられる、項1~4のいずれかに記載の経口組成物。
項6. 前記持久力が、全身持久力である、項5に記載の経口組成物。
項7. (A)プロアントシアニジンを含む植物抽出物、(B)ブナ科植物抽出物、並びに、(C)アルギニン、シトルリン、オルニチン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン酸ジペプチドからなる群より選択されるアルギニン源を含む、持久力の向上に用いられる経口組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明の経口組成物によれば、持久力を向上させることができる。従って、例えば持久系スポーツのパフォーマンスを向上させたり、運動中又は運動終了時において生じる筋肉不快感を低減させたりすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の経口組成物は、(A)プロアントシアニジンを含む植物抽出物(以下において、「(A)成分」とも記載する)、(B)ブナ科植物抽出物(以下において、「(B)成分」とも記載する)、(C)アルギニン、シトルリン、オルニチン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン酸ジペプチドからなる群より選択されるアルギニン源(以下において、「(C)成分」とも記載する)、及び(D)バリン、ロイシン、及びイソロイシンからなる群より選択される分岐鎖アミノ酸(以下において、「(D)成分」とも記載する)を含むことを特徴とする。以下、本発明の経口組成物について詳述する。
【0014】
(A)プロアントシアニジンを含む植物抽出物
本発明の経口組成物は、(A)成分としてプロアントシアニジンを含む植物抽出物を含む。プロアントシアニジンは、ポリフェノール類の一種であり、フラバノール骨格を有する縮合型タンニンである。プロアントシアニジンは、血中脂質改善効果、抗高血圧効果、血糖値上昇抑制効果、血管保護効果、ビタミンCの利用効率向上効果、血液流動性改善効果等を有する公知の成分である。
【0015】
プロアントシアニジンを含む植物抽出物の由来元となる植物としては特に限定されないが、例えば、松樹皮、ブドウ種子、ブドウ果皮、イチョウ葉、落花生種皮、カカオ豆、タマリンド、スグリ(クロフサスグリ)、アーモンド、リンゴ、ラズベリー、クランベリー、ブルーベリー、茶葉等の抽出物が挙げられる。これらの中でも、より好ましい持久力向上効果を得る観点から、好ましくは松樹皮が挙げられる。松樹皮の由来元となる松としては、例えば、フランス海岸松(Pinus pinaster)、フィンランド産松、ニュージーランド産松が挙げられる。これらの中でも、より一層好ましい持久力向上効果を得る観点から、好ましくはフランス海岸松が挙げられる。
【0016】
(A)成分としては、これらの植物の抽出物から、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの植物の抽出物としては、公知の抽出方法により自ら調製したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。フランス海岸松樹皮抽出物の市販品としては、例えば商品名「ピクノジェノール」(スイス、ホファー・リサーチ社製)、商品名「フラバンジェノール」((株)東洋新薬販売)が挙げられる。フィンランド産松樹皮抽出物の市販品としては、例えば商品名「フィンジェノール」が挙げられる。ニュージーランド産松樹皮抽出物の市販品としては、例えば商品名「エンゾジノール」が挙げられる。
【0017】
プロアントシアニジンを含む植物抽出物としては、具体的には、搾汁、溶媒抽出物、溶媒抽出物のプロアントシアニジンを含む分画物等が挙げられる。また、抽出物の具体的態様としては、非濃縮エキス(濃縮処理されていないもの)、軟エキス(つまり液状濃縮物)及びエキス末(つまり乾燥物)が挙げられる。また、濃縮率としては、抽出物重量に対する原料乾燥重量の比率(原料乾燥重量/抽出物重量)が、500~1500倍、好ましくは800~1200倍が挙げられる。
【0018】
プロアントシアニジンを含む植物抽出物を得るための抽出溶媒としては、水、有機溶媒(メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の炭素数1~4の低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル等のエステル類;キシレン、ベンゼン、クロロホルム等)、これらの混合物が挙げられる。これらの抽出溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくは、水、低級アルコール、これらの混合物が挙げられ、より好ましくは、含水低級アルコールが挙げられ、さらに好ましくは、含水エタノールが挙げられる。
【0019】
本発明の経口組成物において、(A)~(D)成分の総量100重量%に対する(A)成分の含有比率については、付与すべき効能に応じ適宜設定すればよく、特に限定されないが、乾燥重量換算で、例えば、0.2~55重量%が挙げられる。より好ましい持久力向上効果を得る観点から、(A)成分の含有比率としては、好ましくは0.5~55重量%、より好ましくは0.9~55重量%が挙げられる。また、本発明の経口組成物は持久力向上効果に優れているため、(A)成分が少量であっても効果的に持久力を向上させることができる。この観点から、(A)成分の含有比率の好ましい例として、0.9~17重量%、好ましくは0.9~10重量%、より好ましくは0.9~5重量%、さらにより好ましくは0.9~3重量%、一層好ましくは0.9~2重量%が挙げられる。
【0020】
本発明の経口組成物において、(A)~(C)成分の総量100重量%に対する(A)成分の含有比率については、付与すべき効能に応じ適宜設定すればよく、特に限定されないが、乾燥重量換算で、例えば、0.5~71重量%が挙げられる。より好ましい持久力向上効果を得る観点から、(A)成分の含有比率としては、好ましくは1~71重量%、より好ましくは4~71重量%が挙げられる。また、本発明の経口組成物は持久力向上効果に優れているため、(A)成分が少量であっても効果的に持久力を向上させることができる。この観点から、(A)成分の含有比率の好ましい例として、4~50重量%、好ましくは4~20重量%、より好ましくは4~10重量%、さらに好ましくは4~9重量%、一層好ましくは4~7重量%が挙げられる。
【0021】
(B)ブナ科植物抽出物
本発明の経口組成物は、(B)成分としてブナ科植物抽出物を含む。ブナ科植物抽出物はポリフェノール類の一種であるエラジタンニンを含む。ブナ科植物抽出物は、男女の性的適応度または性的機能の改善、男性の精力増強、男女の性的脈管系の性的機能改善又は低下予防効果、気分改善、ストレス低下、エネルギー向上、並びに、疲労、不安および睡眠障害の予防又は治療効果等を有する公知の成分である。
【0022】
エラジタンニンは、様々な加水分解性タンニンを含有しており、エラジタンニンに含まれる成分としては、ロブリン、ベスカラギン、カスタラギン、グランジニン、ベスカリン、カスタリン等が挙げられ、好ましくは、ロブリン、べスカラギン、カスタラギン、グランジニンが挙げられる。また、ロブリンには、ロブリンA、ロブリンB、ロブリンC、ロブリンD、ロブリンEより選択される1種又は複数種、好ましくはロブリンA、ロブリンB、ロブリンC、ロブリンD、及びロブリンEの全てが含まれる。
【0023】
ブナ科植物抽出物には、エラジタンニンの他、フェノール酸を含んでいることが好ましい。フェノール酸としては、没食子酸、エラグ酸が挙げられる。
【0024】
ブナ科植物抽出物の由来元となるブナ科植物としては特に限定されないが、例えば、オーク、コルクガシ等が挙げられる。より好ましい持久力向上効果を得る観点から、好ましくはオークが挙げられる。オークとしては、ヨーロッパナラ(Quercus robur)、フユナラ(Quercus petraea)、アルバオーク(Quercus alba)等が挙げられ、より一層好ましい持久力向上効果を得る観点から、好ましくはヨーロッパナラが挙げられる。これらのブナ科植物としては、国有林事務局(National Forest Office)の管轄下の木を、樹液が落ちるときの10月~4月に伐採したものを用いることが好ましい。
【0025】
(B)成分としては、これらのブナ科植物の抽出物から、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらのブナ科植物の抽出物としては、公知の抽出方法により自ら調製したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。ヨーロッパナラ抽出物の市販品としては、例えば商品名「ロブビット」(スイス、ホファー・リサーチ社製)が挙げられる。
【0026】
ブナ科植物抽出物としては、具体的には、搾汁、溶媒抽出物、溶媒抽出物のエラジタンニンを含む分画物等が挙げられる。また、抽出物の具体的態様としては、非濃縮エキス(濃縮処理されていないもの)、軟エキス(つまり液状濃縮物)及びエキス末(つまり乾燥物)が挙げられる。また、濃縮率としては、抽出物重量に対する原料乾燥重量の比率(原料乾燥重量/抽出物重量)が、30~70倍、好ましくは40~60倍が挙げられる。
【0027】
ブナ科植物抽出物を得るための抽出溶媒としては、水、有機溶媒(メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の炭素数1~4の低級アルコール;プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等のケトン類;ジエチルエーテル、ジオキサン、アセトニトリル、酢酸エチルエステル等のエステル類;キシレン、ベンゼン、クロロホルム等)、これらの混合物が挙げられる。これらの抽出溶媒は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの抽出溶媒の中でも、好ましくは、好ましくは、水、低級アルコール、これらの混合物が挙げられ、より好ましくは、水が挙げられる。
【0028】
本発明の経口組成物において、(A)~(D)成分の総量100重量%に対する(B)成分の含有比率については、付与すべき効能に応じ適宜設定すればよく、特に限定されないが、乾燥重量換算で、例えば、0.02~10重量%が挙げられる。より好ましい持久力向上効果を得る観点から、(B)成分の含有比率としては、好ましくは0.02~9重量%、より好ましくは0.08~9重量%、さらに好ましくは0.1~9重量%、一層好ましくは0.15~9重量%が挙げられる。また、(B)成分の含有比率のさらなる例としては、0.08~2重量%、0.08~1重量%、0.08~0.8重量%、又は0.08~0.3重量%が挙げられる。
【0029】
本発明の経口組成物において、(A)~(C)成分の総量100重量%に対する(B)成分の含有比率については、付与すべき効能に応じ適宜設定すればよく、特に限定されないが、乾燥重量換算で、例えば、0.04~20重量%が挙げられる。より好ましい持久力向上効果を得る観点から、(B)成分の含有比率としては、好ましくは0.04~16重量%、より好ましくは0.4~16重量%、さらに好ましくは0.5~16重量%、一層好ましくは0.6~16重量%、より一層好ましくは0.7~16重量%、特に好ましくは0.75~16重量%が挙げられる。また、(B)成分の含有比率のさらなる例としては、0.4~10重量%、0.4~5重量%、0.4~1重量%、又は0.4~0.9重量%が挙げられる。
【0030】
本発明の経口組成物において、(A)成分と(B)成分との比率については、上記各成分の含有量により決定されるが、好ましくは、(A)成分1重量部に対する(B)成分の比率として、0.002重量部以上、好ましくは0.004重量部以上、より好ましくは0.008重量部以上、さらに好ましくは0.04重量部以上、一層好ましくは0.08重量部以上、より一層好ましくは0.13重量部以上、特に好ましくは0.15重量部以上、最も好ましくは0.16重量部以上が挙げられる。当該(B)成分の比率の範囲の上限としては、例えば、3.5重量部以下、3.3重量部以下、2重量部以下、1重量部以下、0.5重量部以下、又は0.3重量部以下が挙げられる。
【0031】
(C)アルギニン源
本発明の経口組成物は、(C)成分としてアルギニン、シトルリン、オルニチン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン酸ジペプチドからなる群より選択されるアルギニン源を含む。
【0032】
アルギニンは、血管拡張、血圧上昇抑、性的機能改善、筋肉合成、創傷治癒、アンモニア解毒、免疫賦活、インスリン分泌、ポリアミン合成作用を有する公知の成分である。また、シトルリン、オルニチン、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩及び/又はアスパラギン酸ジペプチドは、アルギニンに生合成されるアルギニン前駆体であり、経口摂取することによって体内でアルギニンに変換され、血中のアルギニンレベルを効率良く上昇させることができる。
【0033】
アスパラギン酸塩としては、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等が挙げられる。酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、α-ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩、カプリル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩等が挙げられる。アンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の塩が挙げられる。有機アミン付加塩としては、モルホリン、ピペリジン等の塩が挙げられる。アミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の塩が挙げられる。
【0034】
(C)成分は、L-体、D-体およびDL-体のいずれであってもよいが、好ましくはL-体である。
【0035】
これらのアルギニン源は、食品添加物、食品素材などとして市販されており、本発明の口腔用組成物においては、市販のアルギニン源をいずれも利用することができる。
【0036】
(C)成分としては、上述のアルギニン源から、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
本発明の経口組成物において、(A)~(D)成分の総量100重量%に対する(C)成分の含有比率については、付与すべき効能に応じ適宜設定すればよく、特に限定されないが、乾燥重量換算で、例えば、5~95重量%が挙げられる。より好ましい持久力向上効果を得る観点から、(C)成分の含有比率としては、好ましくは5~91重量%、より好ましくは10~91重量%、さらに好ましくは15~91重量%、一層好ましくは19~91重量%が挙げられる。また、(C)成分の含有比率のさらなる例としては、19~70重量%、19~50重量%、19~30重量%、又は19~25重量%が挙げられる。
【0038】
本発明の経口組成物において、(A)~(C)成分の総量100重量%に対する(C)成分の含有比率については、付与すべき効能に応じ適宜設定すればよく、特に限定されないが、乾燥重量換算で、例えば、27~99.5重量%が挙げられる。より好ましい持久力向上効果を得る観点から、(C)成分の含有比率としては、好ましくは27~99.4重量%、より好ましくは29~99.4重量%、さらに好ましくは40~99.4重量%、一層好ましくは80~99.4重量%、より一層好ましくは90~99.4重量%が挙げられる。また、(C)成分の含有比率のさらなる例としては、90~97重量%が挙げられる。
【0039】
(D)分岐鎖アミノ酸
本発明の経口組成物は、(D)成分としてバリン、ロイシン、及びイソロイシンからなる群より選択される分岐鎖アミノ酸を含む。(D)成分は、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分と共に組み合わされることによって、上記(A)成分~(C)成分の組み合わせにより奏される持久力向上効果を、より一層向上させることができる。
【0040】
これらの分岐鎖アミノ酸は、食品添加物、食品素材などとして市販されており、本発明の口腔用組成物においては、市販の分岐鎖アミノ酸をいずれも利用することができる。
【0041】
(D)成分は、L-体、D-体およびDL-体のいずれであってもよいが、好ましくはL-体である。
【0042】
(D)成分としては、ロイシン、イソロイシン及びバリンの中から1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。好ましくは、2種以上の組み合わせ、最も好ましくは、3種すべての組み合わせが挙げられる。
【0043】
ロイシン:イソロイシン:バリンの重量比としては、例えば2:1:1~8:1:2、好ましくは2:1:1~4:1:2、より好ましくは2:1:1~2:1:2が挙げられる。
【0044】
本発明の経口組成物において、(A)~(D)成分の総量100重量%に対する(D)成分の含有比率については、付与すべき効能に応じ適宜設定すればよく、特に限定されないが、乾燥重量換算で、例えば、7~95重量%が挙げられる。より好ましい持久力向上効果を得る観点から、(D)成分の含有比率としては、好ましくは7~93重量%、より好ましくは8~91重量%、さらに好ましくは40~91重量%、一層好ましくは60~91重量%、より一層好ましくは65~91重量%、特に好ましくは70~91重量%、最も好ましくは75~91重量%が挙げられる。また、(C)成分の含有比率のさらなる例としては、75~85重量%が挙げられる。
が挙げられる。
【0045】
本発明の経口組成物において、(A)~(C)成分の総量100重量%に対する(D)成分の含有比率については、付与すべき効能に応じ適宜設定すればよく、特に限定されないが、乾燥重量換算で、例えば、7~1400重量%が挙げられる。より好ましい持久力向上効果を得る観点から、(C)成分の含有比率としては、好ましくは9~1400重量%、より好ましくは28~1400重量%が挙げられる。また、(D)成分の含有比率の他の例としては、75~1400重量%、好ましくは90~1400重量%、さらに好ましくは200~500重量%、一層好ましくは300~500重量%、より一層好ましくは350~500重量%が挙げられる。
【0046】
その他の成分
本発明の経口組成物は、前記(A)~(C)成分又は前記(A)~(D)成分の他に、必要に応じて、他の栄養成分や薬理成分を含有していてもよい。このような栄養成分や薬理成分としては、飲食品や医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、リコペン等のビタミン類;塩酸ベタイン、塩化カルニチン、塩化ベタネコール等の健胃剤;カルシウム、イオウ、マグネシウム、亜鉛、セレン、鉄等のミネラル類;大豆タンパク、卵白粉末、乳清タンパク等のタンパク質;グリシン、アラニン、シスチン、フェニルアラニン、タウリン、トリプトファン等の、上記(C)成分及び(D)成分以外のアミノ酸;リノール酸、γ-リノレン酸、α-リノレン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸等の脂肪酸類;カラメル色素、クチナシ色素、アントシアニン色素、アナトー色素、パプリカ色素、紅花色素、紅麹色素、フラボノイド色素、コチニール色素、アマランス、エリスロシン、アルラレッドAC、ニューコクシン、フロキシン、ローズベンガル、アシッドレッド、タートラジン、サンセットイエローFCF、ファストグリーンFCF、ブリリアントブルーFCF、インジゴカルミン等の色素;各種フルーツのフレーバーやエッセンス等の香料;クエン酸及びその塩、リンゴ酸及びその塩、酒石酸及びその塩、酢酸及びその塩、乳酸及びその塩、食塩、グルタミン酸及びその塩、みりん、食酢、天然果汁、上記(A)成分及び(B)成分以外の植物抽出エキス、果実・海産物等の裁断物又は粉末化物等の調味剤;アガリクス、シイタケエキス、レイシ、ヤマブシタケ等のキノコ類又はそのエキス;食物繊維、ローヤルゼリー、プロポリス、ハチミツ、コンドロイチン硫酸、グルコサミン、セラミド、ヒアルロン酸等のその他機能性素材等が挙げられる。これらの添加成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの添加成分の含有量については、使用する添加成分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0047】
更に、本発明の経口組成物は、所望の製剤形態に調製するために、必要に応じて、基剤や添加剤等が含まれていてもよい。このような基剤及び添加剤としては、食品や医薬品に使用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、水、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル類、水溶性高分子、界面活性剤、金属石鹸、低級アルコール類、多価アルコール、pH調整剤、緩衝剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、防腐剤、香料、粉体、増粘剤、色素、キレート剤等が挙げられる。これらの添加成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの基剤や添加剤の含有量については、使用する添加成分の種類や経口組成物の用途等に応じて適宜設定される。
【0048】
製造方法
本発明細胞内の抗酸化機能亢進剤の製造方法は、上記の前記(A)~(C)成分又は前記(A)~(D)成分と、必要に応じて配合されるその他の成分とを用いて、各種製剤形態及び性状、並びに使用目的に応じ、従来公知の通常の製剤手順に従えばよい。
【0049】
剤型・製剤形態
本発明の経口組成物の剤型については、経口摂取又は経口投与が可能であることを限度として特に制限されず、固体状、半固体状、又は液体状のいずれであってもよく、該経口組成物の種類や用途に応じて適宜設定すればよい。
【0050】
本発明の経口組成物の製剤形態については、経口摂取又は経口投与が可能であることを限度として特に制限されないが、具体的には、飲食品及び内服用医薬品が挙げられ、好ましくは飲食品が挙げられる。
【0051】
本発明の経口組成物を飲食品の製剤形態にする場合、前記(A)~(C)成分又は前記(A)~(D)成分を、そのまま又は他の食品素材や添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような飲食品としては、一般の飲食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性表示食品、病者用食品等が挙げられる。これらの飲食品の形態として、特に制限されないが、具体的にはカプセル剤(ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤)、錠剤、顆粒剤、散剤、ゼリー剤等のサプリメント;栄養ドリンク、果汁飲料、炭酸飲料、乳酸飲料等の飲料;団子、アイス、シャーベット、グミ、キャンディー等の嗜好品等が例示される。これらの飲食品の中でも、好ましくはサプリメント、より好ましくはカプセル剤、錠剤、顆粒剤、散剤が挙げられる。持久力の向上効果をより良好に得る観点から、更に好ましくは顆粒剤、散剤、特に好ましくは顆粒剤が挙げられる。
【0052】
本発明の経口組成物を内服用の医薬品の製剤形態にする場合、前記(A)~(C)成分又は前記(A)~(D)成分を、そのまま又は他の添加成分と組み合わせて所望の形態に調製すればよい。このような内服用の医薬品としては、具体的には、カプセル剤(ソフトカプセル剤、ハードカプセル剤)、錠剤、顆粒剤、散剤、ゼリー剤、シロップ剤等が挙げられる。
【0053】
用途
本発明の経口組成物は、優れた持久力向上効果を有する。従って、本発明の経口組成物は、持久力向上の用途で用いることができ、特に全身持久力向上の用途で用いることができる。全身持久力は、心肺持久力ともいい、全身及び心肺を長時間動かし続けられる力をいう。全身持久力は、主に内臓の力を必要とする。全身持久力の評価は、初期クーパーテストによって行うことができる。初期クーパーテストは、被験者に12分間陸上トラックをランニングさせ、12分の時点での総移動距離を測り、走行距離から被験者それぞれの最大酸素摂取量(VO2max)を概算予測し、VO2maxと持久力との相対関係に基づいて持久力を評価するというものである。
【0054】
このような持久力を要する運動としては、家事、歩き仕事、ウォーキング等の日常的な運動のみならず、マラソン、水泳、テニス、サッカー、バスケットボール、ラグビー、スキー、トライアスロン、ロードレース等の持久系スポーツが挙げられる。このような運動において持久力を向上させることによって、身体能力を向上させ、それによって運動のパフォーマンスを向上させることができる。例えば持久系スポーツにおいては、走行時のスタミナが向上するため、走行距離の向上、長距離走行タイムの短縮、走行時における身体の良好な動作等のスポーツパフォーマンスの向上が期待できる。従って、本発明の経口組成物は、好ましくは、スポーツパフォーマンスの向上の用途に用いることができる。
【0055】
また、本発明の経口組成物は、筋肉不快感の低減又は予防等の用途で用いることもできる。筋肉不快感としては、例えば、筋持久力が低下している状態が挙げられる。筋持久力が不足している場合の状態としては、運動開始時、運動中、運動終了時における筋肉痛(急性筋肉痛)、筋痙攣等の筋肉不快感が挙げられる。ここで、筋持久力も、上述の全身持久力と同様に持久力の一形態であり、一部分の筋肉を長時間動かし続けられる力をいう。筋持久力の向上は、例えば、上記のスポーツパフォーマンスの向上のうち、走行時における身体の良好な動作の向上にも寄与する。つまり、本発明の経口組成物は、筋持久力の向上を伴って筋肉不快感を総合的に低減又は予防する用途で用いることができる。
【0056】
本発明の経口組成物を投与する対象としては、持久力向上を求める対象であればよく、老若男女を問わず、ヒト以外の哺乳動物であってもよい。好ましくは、ヒトが挙げられる。また、本発明の経口組成物を投与する対象としては、スポーツ以外で日常的に体を動かす人であってもよいし、アスリートであってもよい。好ましくは、アスリートが挙げられる。また、アスリートの中でも、持久力の向上効果をより良好に得る観点から、アマチュアアスリートが好ましい。
【0057】
用量・用法
本発明の経口組成物の摂取又は服用量については、特に限定されず、前記経口組成物の製剤形態、用途、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分の含有量等に応じて適宜設定されるが、例えば、成人の場合、1日あたり500~13,500mg、好ましくは1000~13,500mg、より好ましくは1,200~13,500mg、さらに好ましくは1,700~13,500mg、一層好ましくは3,000~9,000mgが挙げられる。1日当たりの摂取又は服用回数としては、例えば1~5回、好ましくは2~4回が挙げられる。
【0058】
本発明の経口組成物を摂取するタイミングとしては特に限定されず、食前、食間、食後、運動前、運動後のいずれであってもよい。持久力の向上効果をより良好に得る観点から、運動前の摂取が好ましい。また、本発明の経口組成物が、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、粉剤、ゼリー剤等の固体である場合は、そのままで、又は水と共に摂取又は服用することができる。また、本発明の経口組成物が、顆粒剤又は粉剤である場合、水に溶解又は分散させてスポーツドリンクとして調製したものを飲用することで摂取又は服用することもできる。
【0059】
持久力の向上効果をより良好に得るために、本発明の経口組成物を継続的に摂取することが好ましい。継続期間としては、例えば3週間以上が挙げられる。また、持久力の向上効果をより良好に得るために、摂取期間中も運動を行うことが好ましい。
【実施例
【0060】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
試験例
経口組成物の調製
表1の組成を有する経口組成物(「フィットネスドリンク」(FD))を調製した。経口組成物は、表1の組成の粉末組成物を水に溶かして全量300mLとして用いた。表1に示す量は、1日の摂取量である。表1で用いられた各成分の詳細は以下の通りである。
・松樹皮抽出物:フランス松樹皮抽出物Pycnogenol(登録商標)、濃縮率1000倍
・ヨーロッパナラ抽出物:Robuvit(登録商標)、濃縮率50倍
・アルギニン:L-アルギニン
・ロイシン:L-ロイシン
・バリン:L-バリン
・イソロイシン:L-イソロイシン
【0062】
試験対象の選定
試験対象は以下の通りである。
・年齢30~45歳
・プロでないアスリート
・FD摂取前の2週間以内に、スポーツドリンク、エネルギー製品、トレーニング用製品、ビタミン製品、薬物について非摂取である者
・FD摂取前の3カ月以内における心電図が正常であり;FD摂取前の3年間にいかなる種類の臨床的問題もなく;医学的処置または薬物処置を必要とするいかなる疾患も有さず;糖尿病患者でなく;過体重でない健常者
【0063】
試験方法
(試験環境)
試験は、平均気温が18~22℃である4~6月の間に行った。
(第1のクーパーテスト:摂取前の走行距離測定)
FDの摂取前に、初期クーパーテスト(以下、単にクーパーテストと記載する)を行った。クーパーテストでは、平坦な走路での12分間における走行距離を測定した。
(FD摂取方法)
3週間毎日、表1に記載のFDを摂取させた。具体的には、表1に記載の量を1日の用量として、1日に4回(8時、12時、18時、20時)に分けて飲用させた。
(対照)
FDを摂取しない対照には、水と電解質溶液(Cool Blue、Gatorade)とを同体積の割合で含む、FDと同量の対照飲料を飲用させた。
(群分け)
クーパーテストでの結果の測定値の変動(標準状態での平均の個体内変動>3%、及び個体間変動<4%)を考慮し、試験群は、1種類のFDにつき、30名の被験者で構成した。対照群は、30名の対照で構成した。1群につき、25%以上の女性被験者を含む。
(トレーニング)
すべての被験者は、適切な専門管理の下、アスレチック用品(特に、シューズおよび服装)を使用してトレーニングを行った。FD又は対照飲料の摂取期間中、毎日、1日当たり2回トレーニングを行った。具体的には、10時と12時の間と、18時と20時との間にトレーニングを行った。1回のトレーニングには30分を要し、その内訳としては、15分間のウォーミングアップ及びストレッチング、オリンピック標準陸上競技場(Stadio Adriatico、Pescara)でのランニングであるクーパーテスト(CT)1回、リラックス、及び5分間の無理のないランニングである。
(第2のクーパーテスト:3週間摂取後の走行距離測定)
3週間のトレーニング期間終了時に、クーパーテストを行った。
【0064】
評価方法
(評価項目1-全身持久力)
クーパーテストにおいては、12分間の走行距離(d12)から最大酸素摂取量VO2maxを予測することができる。最大酸素摂取量VO2max(ml/分/kg)は、次の式:
VO2max=(d12-505)/45
で表され、12分間の走行距離d12と相関することが知られている。つまり、走行距離と持久力レベルとは相関しており、具体的には、走行距離が20%増加すると持久力レベルが向上したことが認められる。これに基づいて、FD摂取前に比べてFD3週間摂取後における走行距離が20%以上増加した被験者の人数を、評価項目1の評点とした。結果を表1に示す。
【0065】
(評価項目2-筋肉不快感)
運動開始時の筋肉痛、運動中及び運動終了時の筋肉痛、及び筋痙攣を含む筋肉不快感の程度について、それぞれアナログスケールラインを用いて0点~5点(5点が最も筋肉不快感が大きい)でスコア化した。運動開始時の筋肉痛、運動中及び運動終了時の筋肉痛、及び筋痙攣は、いずれも筋持久力が低下した状態であり、これらの状態の改善(つまり筋持久力の向上)効果の寄与によって、総合的に筋肉不快感の低減効果が得られる。FD摂取前に比べてFD3週間摂取後における総スコアが50%以上減少した人数を、評価項目2の評点とした。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
表1から明らかなとおり、松樹皮抽出物、ヨーロッパナラ抽出物、アルギニン、及び分岐鎖アミノ酸(ロイシン、バリン、イソロイシンのうちの少なくともいずれか)を単独で含む経口組成物(比較例1~6)や、アルギニン及び分岐鎖アミノ酸を組み合わせた口腔組成物(比較例7)では持久力の効果的な向上は認められなかったが、松樹皮抽出物、ヨーロッパナラ抽出物及びアルギニンを含む経口組成物(参考例1)と、松樹皮抽出物、ヨーロッパナラ抽出物及びアルギニンに加えて、分岐鎖アミノ酸(ロイシン、バリン、イソロイシン)を含む経口組成物(実施例1,2)によると、優れた持久力の向上効果が認められた。さらに、分岐鎖アミノ酸の有無を除いて同じ組成の実施例2と参考例との対比から、松樹皮抽出物、ヨーロッパナラ抽出物及びアルギニンに、分岐鎖アミノ酸を加えることで、持久力の向上効果がより一層向上することが認められた。なお、評価項目2において用いた3週間後のスコアについて、試験群と対照群とを対比すると、統計的有意差(p<0.05)をもって、筋肉不快感が低減したことも認められた。
【0068】
処方例
処方例1~27に示す散剤の経口組成物、及び処方例28~30に示す顆粒剤の経口組成物を調製した。いずれの経口組成物も、経口摂取により全身持久力が向上し筋肉不快感が低減した。
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】