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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-25
(45)【発行日】2024-04-02
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20240326BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240326BHJP
【FI】
H01L21/02 Z
H01L21/302 101G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020183579
(22)【出願日】2020-11-02
(65)【公開番号】P2022073539
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】赤西 勇哉
(72)【発明者】
【氏名】西原 一樹
(72)【発明者】
【氏名】鰍場 真樹
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-174720(JP,A)
【文献】特開平07-106318(JP,A)
【文献】特開昭61-004875(JP,A)
【文献】特開2016-161146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/02
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対してドライ処理を行う基板処理装置であって、
前記基板に対してドライ処理を行う処理空間を形成する複数のチャンバと、
前記複数のチャンバにそれぞれ接続された複数の個別排出管と、
前記複数の個別排出管に接続された共通排出管と、
前記共通排出管に介装された排気ポンプと、
前記複数の個別排出管にそれぞれ介装され、前記複数の個別排出管の流路に繋がる内部空間を有し、前記内部空間の体積を調整する複数のコンダクタンス調整部と、
予め取得された、前記複数のチャンバの処理状態の組み合わせを示す全体処理状態ごとに、前記複数のチャンバの各々と前記排気ポンプとの間のコンダクタンスを示すコンダクタンスデータを記憶する記憶媒体と、
前記基板に対する処理手順を規定した処理レシピに基づいて、前記複数のチャンバの前記全体処理状態を特定し、特定された前記全体処理状態と、前記コンダクタンスデータとに基づいて、前記コンダクタンスの差が低減するように、前記コンダクタンス調整部を制御する制御部と
を備える、基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記処理状態は、前記基板に対するドライ処理を実行する実行状態と、前記基板が搬入されていない待機状態とを含む、基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記複数のチャンバ内にガスを供給するガス供給部と、
前記実行状態は、
前記ガス供給部が前記ガスとして不活性ガスを供給する調圧状態と、
前記ガス供給部が前記ガスとして、前記基板と作用する処理ガス、および、前記不活性ガスを供給する実処理状態とを含む、基板処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記コンダクタンスを測定するコンダクタンス検出部を備え、
前記制御部は、前記コンダクタンス検出部によって測定された前記コンダクタンスを用いて、前記記憶媒体の前記コンダクタンスデータを更新する、基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記コンダクタンスデータは、前記排気ポンプを作動させたときの前記チャンバ内の圧力に関する情報を、前記コンダクタンスとして含む、基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記複数のコンダクタンス調整部の少なくとも一つは、
底部と、
前記底部の周縁に立設される側壁と、
前記底部に対して近接および離間する方向に変位し、前記底部および前記側壁とともに前記内部空間を形成する可動部材と
前記可動部材を変位させて、前記内部空間の体積を調整する駆動機構と
を含む、基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一つに記載の基板処理装置であって、
前記複数のコンダクタンス調整部の少なくとも一つは、
互いに並列に接続された複数の並列管と、
前記複数の並列管にそれぞれ介装された複数のバルブと
を含む、基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置であって、
前記複数の並列管の断面積は互いに相違する、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の処理部において真空でドライ処理を行う基板処理装置が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1では、複数の処理部を共通の排気機構で一括して圧力制御することにより、各処理部の圧力を一括的に制御する。
【0003】
また特許文献2には、複数の処理部で減圧乾燥を行う基板処理装置が開示されている。特許文献2でも、複数の処理部を共通の排気機構で圧力制御することにより、各処理部の圧力を一括的に制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-56442号公報
【文献】特開2016-161146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の処理ユニットのチャンバ内の圧力を共通の排気ポンプで調整する場合、排気ポンプと各チャンバとの間の配管のコンダクタンスの差に起因して、チャンバ内の圧力がばらつく可能性があった。チャンバ内の圧力のばらつきが大きくなると、チャンバ間の処理ばらつきが大きくなる。
【0006】
そこで、本願は、チャンバ間の処理ばらつきを低減できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
基板処理装置の第1の態様は、基板に対してドライ処理を行う基板処理装置であって、前記基板に対してドライ処理を行う処理空間を形成する複数のチャンバと、前記複数のチャンバにそれぞれ接続された複数の個別排出管と、前記複数の個別排出管に接続された共通排出管と、前記共通排出管に介装された排気ポンプと、前記複数の個別排出管にそれぞれ介装され、前記複数の個別排出管の流路に繋がる内部空間を有し、前記内部空間の体積を調整する複数のコンダクタンス調整部と、予め取得された、前記複数のチャンバの処理状態の組み合わせを示す全体処理状態ごとに、前記複数のチャンバの各々と前記排気ポンプとの間のコンダクタンスを示すコンダクタンスデータを記憶する記憶媒体と、前記基板に対する処理手順を規定した処理レシピに基づいて、前記複数のチャンバの前記全体処理状態を特定し、特定された前記全体処理状態と、前記コンダクタンスデータとに基づいて、前記コンダクタンスの差が低減するように、前記コンダクタンス調整部を制御する制御部とを備える。
【0008】
基板処理装置の第2の態様は、第1の態様にかかる基板処理装置であって、前記処理状態は、前記基板に対するドライ処理を実行する実行状態と、前記基板が搬入されていない待機状態とを含む。
【0009】
基板処理装置の第3の態様は、第2の態様にかかる基板処理装置であって、前記複数のチャンバ内にガスを供給するガス供給部と、前記実行状態は、前記ガス供給部が前記ガスとして不活性ガスを供給する調圧状態と、前記ガス供給部が前記ガスとして、前記基板と作用する処理ガス、および、前記不活性ガスを供給する実処理状態とを含む。
【0010】
基板処理装置の第4の態様は、第1から第3のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記コンダクタンスを測定するコンダクタンス検出部を備え、前記制御部は、前記コンダクタンス検出部によって測定された前記コンダクタンスを用いて、前記記憶媒体の前記コンダクタンスデータを更新する。
【0011】
基板処理装置の第5の態様は、第1から第4のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記コンダクタンスデータは、前記排気ポンプを作動させたときの前記チャンバ内の圧力に関する情報を、前記コンダクタンスとして含む。
【0012】
基板処理装置の第6の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記複数のコンダクタンス調整部の少なくとも一つは、底部と、前記底部の周縁に立設される側壁と、前記底部に対して近接および離間する方向に変位し、前記底部および前記側壁とともに前記内部空間を形成する可動部材と前記可動部材を変位させて、前記内部空間の体積を調整する駆動機構とを含む。
【0013】
基板処理装置の第7の態様は、第1から第5のいずれか一つの態様にかかる基板処理装置であって、前記複数のコンダクタンス調整部の少なくとも一つは、互いに並列に接続された複数の並列管と、前記複数の並列管にそれぞれ介装された複数のバルブとを含む。
【0014】
基板処理装置の第8の態様は、第7の態様にかかる基板処理装置であって、前記複数の並列管の断面積は互いに相違する。
【発明の効果】
【0015】
基板処理装置の第1および第2の態様によれば、全体処理状態に応じてコンダクタンスの差が低減するように、コンダクタンス調整部を制御する。よって、チャンバ間の処理ばらつきを低減させることができる。
【0016】
基板処理装置の第3の態様によれば、処理状態をより細かく分類しているので、処理のばらつきをさらに低減させることができる。
【0017】
基板処理装置の第4の態様によれば、経時変化によるコンダクタンスのばらつきも低減させることができる。
【0018】
基板処理装置の第5の態様によれば、コンダクタンスを簡単に得ることができる。例えば圧力センサにより、圧力を測定できる。
【0019】
基板処理装置の第6の態様によれば、コンダクタンスを細かく調整できる。
【0020】
基板処理装置の第7の態様によれば、簡単な構造でコンダクタンスを調整できる。
【0021】
基板処理装置の第8の態様によれば、並列管の断面積が互いに同じ場合に比べて、コンダクタンスをより多くの階調で調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】基板処理装置の構成の一例を概略的に示す側断面図である。
図2】コンダクタンス調整部の構成の一例を概略的に示す側断面図である。
図3】制御部の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図4】基板処理装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図5】チャンバ内の圧力の時間変化の一例を模式的に示すグラフである。
図6】コンダクタンスの取得処理の一例を示すフローチャートである。
図7】コンダクタンスの取得処理の一例を示すフローチャートである。
図8】基板処理の一例を示すフローチャートである。
図9】基板処理装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
図10】コンダクタンス調整部の構成の一例を概略的に示す側断面図である。
図11】コンダクタンス調整部の構成の一例を概略的に示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略および構成の簡略化がなされるものである。また、図面に示される構成の大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0024】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0025】
また、以下に記載される説明において、「第1」または「第2」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0026】
相対的または絶対的な位置関係を示す表現(例えば「一方向に」「一方向に沿って」「平行」「直交」「中心」「同心」「同軸」など)は、特に断らない限り、その位置関係を厳密に表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる範囲で相対的に角度または距離に関して変位された状態も表すものとする。等しい状態であることを示す表現(例えば「同一」「等しい」「均質」など)は、特に断らない限り、定量的に厳密に等しい状態を表すのみならず、公差もしくは同程度の機能が得られる差が存在する状態も表すものとする。形状を示す表現(例えば、「四角形状」または「円筒形状」など)は、特に断らない限り、幾何学的に厳密にその形状を表すのみならず、同程度の効果が得られる範囲で、例えば凹凸や面取りなどを有する形状も表すものとする。一の構成要素を「備える」「具える」「具備する」「含む」または「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的表現ではない。「A,BおよびCの少なくともいずれか一つ」という表現は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A,BおよびCのうち任意の2つ、ならびに、A,BおよびCの全てを含む。
【0027】
<第1の実施の形態>
<基板処理装置の概要>
図1は、基板処理装置100の構成の一例を概略的に示す側面図である。基板処理装置100は、処理対象である基板Wを1枚ずつ処理する枚葉式の処理装置である。基板処理装置100は基板Wに対してドライ処理を行う。基板Wは例えば半導体基板であってもよく、その他の基板であってもよい。基板Wは、例えば、液晶ディスプレイ基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL(Electro-Luminescence)用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板または太陽電池用基板であってもよい。
【0028】
図1に示すように、基板処理装置100は複数の処理ユニット20とガス排出部40と制御部80とを含んでいる。
【0029】
図1の例では、複数の処理ユニット20として、3つの処理ユニット20A、処理ユニット20Bおよび処理ユニット20Cが設けられている。なお、処理ユニット20の数は特に制限されず、適宜に変更し得る。
【0030】
各処理ユニット20は、基板Wに対して1枚ずつドライ処理を行う枚葉式のドライ処理ユニットである。各処理ユニット20はチャンバ21と基板保持部22とを含む。チャンバ21は中空形状を有しており、チャンバ21の内部空間は、基板Wに対するドライ処理を行うための処理空間となる。言い換えれば、チャンバ21は処理空間を形成する。チャンバ21は例えば真空チャンバである。
【0031】
基板保持部22はチャンバ21内に設けられ、基板Wを水平姿勢で保持する。ここでいう水平姿勢とは、基板Wの上面が水平面に平行な姿勢をいう。なお、基板保持部22は基板Wを載置する載置台を含んでいてもよい。この場合、基板Wは載置台によって支持される。
【0032】
ガス排出部40は各処理ユニット20のチャンバ21内のガスを吸引して、当該ガスを外部に排出する。これにより、チャンバ21内の圧力を低下させることができる。ガス排出部40はチャンバ21からのガスの排気流量を調整する機能を有しており、排気流量を調整することでチャンバ21内の圧力を調整することができる。チャンバ21内の圧力は例えば数Pa(例えば5Pa)程度に制御される。
【0033】
図1の例では、基板処理装置100にはガス供給部60も設けられている。ガス供給部60は各処理ユニット20のチャンバ21内に種々のガスを供給する。当該ガスは、処理ガスおよび不活性ガスを含む。処理ガスは、基板Wに作用するガスである。例えば、基板Wのエッチング対象膜をエッチングする場合、処理ガスとしてはエッチングガスを採用できる。不活性ガスは基板Wと反応しにくいガスであり、例えば、アルゴンガスなどの希ガスおよび窒素ガスの少なくともいずれかを採用できる。この不活性ガスはキャリアガスとも呼ばれ得る。
【0034】
<処理ユニット20の具体例>
図1の例では、処理ユニット20はヒータ23および整流板24をさらに含んでいる。ヒータ23はチャンバ21内に設けられている。ヒータ23は制御部80によって制御され、基板保持部22によって保持された基板Wを加熱する。ヒータ23は例えば電熱線を含んだ電気抵抗式のヒータでもよく、あるいは、基板Wに加熱用の光(例えば赤外線)を照射する光源を含んだ光学式のヒータであってもよい。図1の例では、ヒータ23は基板保持部22に内蔵されている。ヒータ23は基板Wの温度が処理に適した温度範囲内となるように、基板Wを加熱する。
【0035】
整流板24はチャンバ21内において、基板保持部22よりもガスの供給側(ここでは上側)に設けられる。整流板24は、ガス供給部60によってチャンバ21内に供給されたガスを整流する。整流板24は例えば板状の形状を有しており、その厚み方向が鉛直方向に沿う姿勢で設けられる。図1の例では、整流板24の周縁部がチャンバ21の内周面に連結されている。整流板24には、厚み方向に整流板24を貫通する複数の貫通孔24aが形成される。複数の貫通孔24aは平面視において2次元的に分散して配列され、例えばマトリクス状に配列される。チャンバ21内に供給されたガスは複数の貫通孔24aを通過することで整流される。整流されたガスは、基板保持部22によって保持された基板Wの上面に供給される。これにより、当該ガスに含まれた処理ガスが基板Wの上面に作用する。
【0036】
例えば処理ガスがエッチングガスを含む場合、基板Wの上面のエッチング対象膜がエッチングガスによってエッチングされる。具体的な一例として、処理ガスとしてフッ化水素ガスおよび水蒸気の両方を採用してもよい。この場合、基板Wの上面に形成されたシリコン酸化膜を処理ガスによってエッチングすることができる。
【0037】
<ガス供給部60>
ガス供給部60は複数のガス給気系統61を含んでいる。複数のガス給気系統61は複数の処理ユニット20に対応して設けられている。図1の例では、3つの処理ユニット20が設けられているので、3つのガス給気系統61が設けられる。各ガス給気系統61はガス供給管62を含んでおり、ガス供給管62の下流口は、対応するチャンバ21の内部空間において開口している。図1の例では、ガス供給管62はチャンバ21の天井部に接続される。ガス供給部60は、各ガス供給管62を通じて種々のガスを各チャンバ21内に供給することができる。ガス供給管62を通じてチャンバ21内に流出したガスは整流板24を経由して基板Wの上面に向かって流れる。
【0038】
図1の例では、各ガス供給管62は処理ガス管621とキャリアガス管622と共通管623とを含んでいる。共通管623の下流端はガス供給管62の下流端であり、チャンバ21に接続される。共通管623の上流端は処理ガス管621の下流端およびキャリアガス管622の下流端に共通して接続される。処理ガス管621の上流端は不図示の処理ガス供給源に接続され、キャリアガス管622の上流端は不図示のキャリアガス供給源に接続される。
【0039】
処理ガス管621にはバルブ631が介装されている。バルブ631は制御部80によって制御される。バルブ631が開くことにより、処理ガス供給源からの処理ガスが処理ガス管621および共通管623を通じてチャンバ21内に供給される。バルブ631が閉じることにより、チャンバ21への処理ガスの供給が停止する。
【0040】
キャリアガス管622にはバルブ632が介装されている。バルブ632は制御部80によって制御される。バルブ632が開くことにより、キャリアガス供給源からのキャリアガスがキャリアガス管622および共通管623を通じてチャンバ21内に供給される。バルブ632が閉じることにより、チャンバ21へのキャリアガスの供給が停止する。
【0041】
図1の例では、処理ガス管621には流量調整部641が介装されている。流量調整部641は制御部80によって制御される。流量調整部641は、処理ガス管621を流れる処理ガスの流量を調整する。流量調整部641は例えばマスフローコントローラ(MFC)である。
【0042】
図1の例では、キャリアガス管622には流量調整部642が介装されている。流量調整部642は制御部80によって制御される。流量調整部642は、キャリアガス管622を流れるキャリアガスの流量を調整する。流量調整部642は例えばマスフローコントローラである。
【0043】
<ガス排出部40>
ガス排出部40は複数の個別排出管41と共通排出管42と排気ポンプ43と複数のコンダクタンス調整部44とを含んでいる。
【0044】
複数の個別排出管41は複数の処理ユニット20に対応して設けられている。図1の例では、3つの処理ユニット20が設けられているので、3つの個別排出管41が設けられる。各個別排出管41の上流口は、対応するチャンバ21の内部空間において開口する。図1の例では、個別排出管41はチャンバ21の底部に接続される。各個別排出管41の下流端は共通排出管42に接続される。
【0045】
共通排出管42には、排気ポンプ43が設けられている。排気ポンプ43はいわゆる真空ポンプである。排気ポンプ43は制御部80によって制御され、共通排出管42内のガスを吸引する。これにより、各チャンバ21内のガスが各個別排出管41および共通排出管42を通じて排気ポンプ43に吸引される。
【0046】
このような構成では、単一の排気ポンプ43によって複数のチャンバ21内のガスを排気することができる。よって、製造コストを低減させることができ、ガス排出部40の構成を簡易化させることができる。
【0047】
その一方で、チャンバ21内の圧力は、各チャンバ21と排気ポンプ43との間の配管のコンダクタンスに応じてばらつき得る。このコンダクタンスのばらつきについては後に詳述する。チャンバ21内の圧力が複数のチャンバ21の間でばらつくと、各処理ユニット20による処理にもばらつきが生じ得る。
【0048】
そこで、図1の例では、複数のコンダクタンス調整部44が設けられている。複数のコンダクタンス調整部44は複数の個別排出管41に対応して設けられる。図1の例では、3つの個別排出管41が設けられているので、3つのコンダクタンス調整部44が設けられる。各コンダクタンス調整部44は、対応する個別排出管41に介装されており、個別排出管41の内部空間(流路)に繋がる可変の内部空間を有している。このコンダクタンス調整部44の内部空間は個別排出管41の流路の一部を構成する。
【0049】
図2は、コンダクタンス調整部44の構成の一例を概略的に示す側断面図である。コンダクタンス調整部44は筐体45と可動部材46と駆動機構47とを含んでいる。図2の例では、筐体45は底部451および側壁452を含んでいる。底部451は例えば板状の形状を有しており、側壁452は底部451の周縁部の全周に立設される。可動部材46は例えば板状の形状を有しており、その周縁が側壁452の内周面の全周に密着しており、筐体45と可動部材46とによって密閉空間を形成している。当該密閉空間がコンダクタンス調整部44の内部空間に相当する。可動部材46は当該内部空間の体積が可変となるように変位可能に設けられている。
【0050】
可動部材46の変位は駆動機構47によって制御される。例えば可動部材46は連結部材461を介して駆動機構47に連結される。駆動機構47は例えばリニアモータ、ボールねじ機構またはエアシリンダを含む。駆動機構47は可動部材46を変位させることにより、コンダクタンス調整部44の内部空間の体積を調整する。図2の例では、可動部材46は底部451に近接および離間する方向に移動することができる。可動部材46が底部451に近づくことにより、コンダクタンス調整部44の内部空間の体積を低減させることができ、可動部材46が底部451から遠ざかることにより、当該内部空間の体積を増加させることができる。駆動機構47は制御部80によって制御される。
【0051】
図2の例では、筐体45の側壁452のうち互いに向かい合う壁部が個別排出管41に接続されている。より具体的には、個別排出管41のうちコンダクタンス調整部44よりも上流側の配管の下流端、および、コンダクタンス調整部44よりも下流側の配管の上流端が、側壁452に接続される。コンダクタンス調整部44の内部空間は個別排出管41の流路の一部を構成するので、コンダクタンス調整部44が内部空間の体積を調整することにより、個別排出管41のコンダクタンスを調整することができる。
【0052】
例えば、可動部材46が底部451に近づくことにより、コンダクタンス調整部44における流路の断面積を低減させることができる。つまり、コンダクタンスを低下させることができる。可動部材46が底部451から遠ざかることにより、コンダクタンス調整部44における流路の断面積を増加させることができる。つまり、コンダクタンスを高めることができる。
【0053】
このようなコンダクタンス調整部44によれば、可動部材46の変位量を実質的に連続的に調整できるので、コンダクタンスを細かく調整することができる。
【0054】
以下では、処理ユニット20Aに接続される個別排出管41に介装されたコンダクタンス調整部44をコンダクタンス調整部44Aとも呼ぶことがある。同様に、処理ユニット20B,20Cに対応して設けられたコンダクタンス調整部44を、それぞれ、コンダクタンス調整部44B,44Cとも呼ぶことがある。
【0055】
図1の例では、ガス排出部40はヒータ441を含んでいる。ヒータ441は制御部80によって制御され、コンダクタンス調整部44を加熱する。ヒータ441はコンダクタンス調整部44の外周面に設けられてもよく、コンダクタンス調整部44に内蔵されてもよい。ヒータ441は例えば電気抵抗式のヒータであってもよく、光学式のヒータであってもよい。コンダクタンス調整部44が加熱されることにより、コンダクタンス調整部44の内壁へのガスの付着を抑制することができる。
【0056】
<制御部>
図3は、制御部80の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。制御部80は電子回路機器であって、例えばデータ処理装置81および記憶媒体82を有していてもよい。データ処理装置81は例えばCPU(Central Processor Unit)などの演算処理装置であってもよい。記憶媒体82は非一時的な記憶媒体821(例えばROM(Read Only Memory)またはハードディスク)および一時的な記憶媒体822(例えばRAM(Random Access Memory))を有していてもよい。非一時的な記憶媒体821には、例えば制御部80が実行する処理を規定するプログラムが記憶されていてもよい。データ処理装置81がこのプログラムを実行することにより、制御部80が、プログラムに規定された処理を実行することができる。もちろん、制御部80が実行する処理の一部または全部が、論理回路などのハードウェア回路によって実行されてもよい。
【0057】
制御部80は基板処理装置100内の各種の構成要素を制御して、各処理ユニット20に基板Wに対してドライ処理を行わせることができる。具体的には、ヒータ23を制御して基板Wの温度を制御し、ガス排出部40を制御してチャンバ21内の圧力を低下させ、ガス供給部60を制御してチャンバ21内に処理ガスおよびキャリアガスを供給させる。これにより、処理ガスが基板Wに対して作用し、基板Wに対するドライ処理が行われる。
【0058】
制御部80には、基板Wに対する処理手順を示した処理レシピ情報が入力される。処理レシピ情報は、例えばより上流の装置から制御部80に送信されてもよく、作業員が、不図示の入力デバイスを用いて処理レシピ情報を制御部80に入力してもよい。入力デバイスは、例えば、マウス、キーボードおよびタッチパネルなどのデバイスを含む。
【0059】
制御部80は、入力された処理レシピ情報に基づいて基板処理装置100を制御して、複数の処理ユニット20に基板Wを1枚ずつ順に処理させる。具体的には、制御部80は不図示の基板搬送部に対して各処理ユニット20へ順に基板Wを搬入させ、ガス排出部40にチャンバ21内の圧力を低下させた減圧状態で、ガス供給部60に処理ガスおよび不活性ガスをチャンバ21内へ供給させる。これにより、チャンバ21内において処理ガスが基板Wに作用し、基板Wに対するドライ処理が行われる。
【0060】
図4は、基板処理装置100の動作の一例を示すタイミングチャートである。図4では、簡単のために、3枚の基板Wを処理する場合の一例が示されている。図4の例では、処理ユニット20A、処理ユニット20Bおよび処理ユニット20Cがそれぞれ1枚の基板Wに対してドライ処理を行う。図4では、各処理ユニット20の処理状態(チャンバ21の処理状態)として、ドライ処理の実行状態と待機状態とがそれぞれ「実行」および「待機」で示されている。待機状態は、チャンバ21に基板Wが搬入されていない状態を含む。
【0061】
図4の例では、まず時刻t1において基板Wが処理ユニット20Aに搬入される。処理ユニット20Aは、基板Wの搬入後に速やかに基板Wに対するドライ処理を開始する。図4の例では、時刻t1よりも後の時刻t2において、基板Wが処理ユニット20Bに搬入される。処理ユニット20Bは、基板Wの搬入後に速やかに基板Wに対するドライ処理を開始する。図4の例では、時刻t2よりも後の時刻t3において、基板Wが処理ユニット20Cに搬入される。処理ユニット20Cは、基板Wの搬入後に速やかに基板Wに対するドライ処理を開始する。
【0062】
図4の例では、時刻t3よりも後の時刻t4において、処理ユニット20Aがドライ処理を終了し、処理済みの基板Wが処理ユニット20Aから搬出される。また、時刻t4よりも後の時刻t5において、処理ユニット20Bがドライ処理を終了し、処理済みの基板Wが処理ユニット20Bから搬出される。また、時刻t5よりも後の時刻t6において、処理ユニット20Cがドライ処理を終了し、処理済みの基板Wが処理ユニット20Cから搬出される。
【0063】
なお、上述の例では、処理ユニット20Aから処理ユニット20Cの全てが基板Wに対するドライ処理を行っているが、いくつかの処理ユニット20が稼働しない場合もある。具体的な一例として、異常が生じた処理ユニット20は基板Wの処理に用いられない。
【0064】
<配管のコンダクタンスのばらつき>
次に、各チャンバ21と排気ポンプ43との間の配管のコンダクタンスのばらつきについて説明する。
【0065】
個別排出管41の形状は互いに相違し得る。例えば、個別排出管41の長さは互いに相違し得る。よって、チャンバ21と排気ポンプ43との間の配管のコンダクタンスは、複数のチャンバ21の間で互いに相違し得る。つまり、配管のコンダクタンスは複数のチャンバ21の間でばらつく。
【0066】
しかも図1の例では、複数の処理ユニット20は鉛直方向において並んで配置されている。つまり、処理ユニット20が鉛直方向において多段に積層される。このような配置によれば、チャンバ21の高さ位置は互いに相違し、個別排出管41の上流端の高さ位置も互いに相違する。このように配管の高さが相違すると、配管のコンダクタンスのばらつきはより大きくなる。
【0067】
また、個別排出管41および共通排出管42を流れるガスの圧力分布は、処理ユニット20の処理状態に応じても変化する。例えば図4を参照して、時刻t1から時刻t2までの期間T1において、処理ユニット20Aのみがドライ処理を実行する。よって、処理ユニット20Aのチャンバ21のみにガスが供給される。また処理ユニット20Aのチャンバ21からガスが排出される。つまり、期間T1において処理ユニット20Aが稼働している。
【0068】
一方、処理ユニット20Bおよび処理ユニット20Cは期間T1において稼働しない。つまり、期間T1においては、処理ユニット20Bおよび処理ユニット20Cのチャンバ21にはガスが供給されない。処理ユニット20Bおよび処理ユニット20Cのチャンバ21からのガスの排出は期間T1において行われてもよく、行われなくてもよい。ここでは一例としてガスの排出を行わないものと仮定する。各チャンバ21からのガスの排出および停止の切り替えは、例えば、コンダクタンス調整部44によって実現されてもよく、あるいは、各個別排出管41に別途のバルブを設け、当該バルブの開閉の切り替えによって実現されてもよい。
【0069】
図4の例では、時刻t2から時刻t3までの期間T2では、処理ユニット20Aおよび処理ユニット20Bがドライ処理を実行し、処理ユニット20Cはドライ処理を実行しない。
【0070】
ここで、ドライ処理の実行状態および待機状態をそれぞれ「1」および「0」で表現しつつ、処理ユニット20Aから処理ユニット20Cの処理状態をこの順で並べて記載すると、期間T1における全処理ユニット20の処理状態の組み合わせを(100)で表すことができる。なお以下では、全処理ユニット20の処理状態の組み合わせを全体処理状態とも呼ぶ。図4の例では、期間T2の全体処理状態は(110)であり、時刻t3から時刻t4までの期間T3の全体処理状態は(111)であり、時刻t4から時刻t5までの期間T4の全体処理状態は(011)であり、時刻t5から時刻t6までの期間T5の全体処理状態は(001)である。
【0071】
以上のように、処理ユニット20の全体処理状態は期間T1~T5の間で相違し、その全体処理状態に応じてガスの給排気も相違する。よって、処理ユニット20の全体処理状態の変化に伴って、個別排出管41および共通排出管42内のガスの圧力分布が変化し、配管のコンダクタンスが変化する。
【0072】
図4の例では、3つの処理ユニット20の全てが基板Wを処理する場合が示されているものの、例えば異常等の諸要因により処理ユニット20Bが稼働しない場合もある。この場合、処理ユニット20Aおよび処理ユニット20Cが稼働し、処理ユニット20Bが稼働しない場合もある。つまり、全体処理状態が(101)となることもあり得る。
【0073】
以上のように、配管のコンダクタンスは、個別排出管41の形状および処理ユニット20の処理状態等の諸要因に応じて変化する。以下では、まず、配管形状の相違によるコンダクタンスのばらつきを低減させる実施例について説明した後に、処理状態によるコンダクタンスのばらつきをも低減させる実施例について説明する。
【0074】
<配管形状の相違によるコンダクタンスのばらつき>
本実施の形態では、配管のコンダクタンスを示すコンダクタンスデータを、処理ユニット20ごとに、予め実験またはシミュレーションによって取得する(コンダクタンス取得処理)。ここでは一例として実験によりコンダクタンスデータを取得するものとする。
【0075】
当該実験は、排気ポンプ43に吸引動作を行わせて処理ユニット20からガスを排出させることで行われる。排気ポンプ43が吸引動作を開始すると、チャンバ21内の圧力は時間の経過とともに低下する。この圧力値の時間に対する変化はコンダクタンスの差に応じて処理ユニット20A~20Cの間で相違する。
【0076】
図5は、チャンバ21内の圧力の時間変化(圧力カーブとも呼ぶ)の一例を模式的に示すグラフである。図5は、コンダクタンスが高いときの圧力カーブを実線の曲線で示しており、コンダクタンスが低いときの圧力カーブを破線の曲線で示している。
【0077】
図5から理解できる通り、コンダクタンスが高いほど圧力の低下速度は高い。つまり、コンダクタンスが高いほど、圧力が収束値に収束するまでの時間は短い。なお以下では、圧力の収束値を到達真空度とも呼ぶ。この到達真空度はコンダクタンスが高いほど低い。
【0078】
以上のように、排気ポンプ43を作動させたときのチャンバ21内の圧力に関する情報は、配管のコンダクタンスに相関しており、コンダクタンスの高低を示す指標となる。例えば、圧力カーブを、コンダクタンスを示す指標として採用することができる。より具体的な例として、圧力の到達真空度、圧力の低下速度および圧力が到達真空度に収束するまでの時間の少なくともいずれか一つを当該指標に採用できる。圧力の低下速度としては、例えばガスの排気開始時点を基準として、同じタイミングでの瞬時値を採用してもよく、あるいは、同じ期間における低下速度の統計値(例えば平均値および最大値)を採用してもよい。
【0079】
図1の例では、各処理ユニット20に対応するコンダクタンスを検出するためのコンダクタンス検出部25の一例として、圧力センサ251が設けられている。圧力センサ251は複数の処理ユニット20に対応して設けられる。各圧力センサ251は、対応するチャンバ21内の圧力を測定し、その測定値を示す圧力情報を制御部80に出力する。
【0080】
以上のように、排気ポンプ43を作動させた状態で圧力センサ251が圧力を測定することによって、コンダクタンス値を得ることができる。そこで、例えば基板処理装置100の据え付け時に、作業員は、コンダクタンス値を取得する取得処理を基板処理装置100に行わせる。具体的には、作業員は入力デバイスに取得処理の指示を入力し、制御部80は当該指示に応じて、コンダクタンス値の取得処理を行う。
【0081】
図6は、コンダクタンス値の取得処理の一例を示すフローチャートである。まず、ガス排出部40は処理ユニット20Aのチャンバ21のみからガスを排出する(ステップS21)。つまり、ガス排出部40は処理ユニット20Bおよび処理ユニット20Cのチャンバ21からはガスを排出しない。そして、コンダクタンス検出部25が処理ユニット20Aに対応するコンダクタンスを測定する(ステップS22)。具体的には、圧力センサ251が処理ユニット20Aのチャンバ21内の圧力を測定し、制御部80に出力する。制御部80は当該圧力に関する情報(例えば到達真空度)を処理ユニット20Aに対応するコンダクタンス値として把握する。
【0082】
次に、ガス排出部40は処理ユニット20Bのチャンバ21のみからガスを排出する(ステップS23)。つまり、ガス排出部40は処理ユニット20Aおよび処理ユニット20Cのチャンバ21からはガスを排出しない。そして、コンダクタンス検出部25が処理ユニット20Bに対応するコンダクタンスを測定する(ステップS24)。具体的には、圧力センサ251が処理ユニット20Bのチャンバ21内の圧力を測定し、制御部80に出力する。制御部80は当該圧力に関する情報(例えば到達真空度)を処理ユニット20Bに対応するコンダクタンス値として把握する。
【0083】
次に、ガス排出部40は処理ユニット20Cのチャンバ21のみからガスを排出する(ステップS25)。つまり、ガス排出部40は処理ユニット20Aおよび処理ユニット20Bのチャンバ21からはガスを排出しない。そして、コンダクタンス検出部25が処理ユニット20Cに対応するコンダクタンスを測定する(ステップS26)。具体的には、圧力センサ251が処理ユニット20Cのチャンバ21内の圧力を測定し、制御部80に出力する。制御部80は当該圧力に関する情報(例えば到達真空度)を処理ユニット20Cに対応するコンダクタンス値として把握する。
【0084】
制御部80は各コンダクタンス値をコンダクタンスデータとして記憶媒体821に記憶させる。これにより、記憶媒体821には、個別排出管41の配管形状に応じたコンダクタンスのばらつきを反映したコンダクタンスデータが記憶される。このコンダクタンスデータには、チャンバ21内の圧力に関する情報がコンダクタンス値として含まれることとなる。
【0085】
制御部80はコンダクタンス値のばらつきが小さくなるように、コンダクタンス調整部44のコンダクタンス制御量を求める。ここでいうコンダクタンス制御量とは、コンダクタンス調整部44の可動部材46の位置(または変位量)を示す制御量である。コンダクタンス値とコンダクタンス制御量との関係は例えば実験またはシミュレーションにより予め設定される。
【0086】
制御部80は当該コンダクタンス制御量に基づいて、コンダクタンス調整部44を制御する。これにより、個別排出管41の形状的な相違に起因したコンダクタンスのばらつきを低減させることができる。
【0087】
制御部80はコンダクタンス調整部44をコンダクタンス制御量に基づいて制御した上で、処理レシピに基づいて基板処理装置100を制御する。これにより、コンダクタンスのばらつきを低減させた状態で、基板処理装置100が基板Wを順次に処理する。したがって、基板Wに対する処理ユニット20間の処理ばらつきを低減させることができる。特に図1のように処理ユニット20が鉛直方向において並んでいる場合には、配管形状に起因したコンダクタンスのばらつきが非常に大きくなるので、コンダクタンス調整部44による調整は特に有益である。
【0088】
<処理状態によるコンダクタンスのばらつき>
次に、全体処理状態の変化によるコンダクタンスの変化も考慮した実施例について述べる。コンダクタンスは上述のように全体処理状態によって変動するので、その全体処理状態に応じたコンダクタンスを把握するために、事前のコンダクタンス値の取得処理において、全体処理状態に応じたコンダクタンスデータを取得する。
【0089】
図7は、コンダクタンス値の取得処理の一例を示すフローチャートである。この取得処理も例えば基板処理装置100の据え付け時に行われる。まず、制御部80は全体処理状態を一つ選択する(ステップS11)。
【0090】
次に制御部80は、選択された全体処理状態で基板処理装置100を制御しつつ、その全体処理状態でのコンダクタンス値をコンダクタンス検出部25によって取得する(ステップS12)。初期的には、例えば(100)を全体処理状態として採用する。これにより、制御部80は全体処理状態(100)における各処理ユニット20に対応するコンダクタンス値を取得することができる。
【0091】
なお、取得処理では実際に基板Wを処理する必要はない。つまり、基板Wの搬出入を行わなくてもよい。また、取得処理では、ガスの給排気の状態が各全体処理状態とある程度同様であればよいので、必ずしも処理ガスおよびキャリアガスの両方を供給する必要はなく、いずれか一方のみでもよい。
【0092】
次に制御部80は、全ての全体処理状態でのコンダクタンス値を取得したか否かを判断する(ステップS13)。全ての全体処理状態でのコンダクタンス値を未だ取得していないときには、制御部80はステップS11にて別の全体処理状態を選択し、ステップS12,S13を順に実行する。全ての全体処理状態でのコンダクタンス値を取得したときには、制御部80は全体処理状態ごと、かつ、処理ユニット20ごとのコンダクタンス値を含むコンダクタンスデータを非一時的な記憶媒体821に記憶させる。
【0093】
下表は、図7の取得処理によって取得されたコンダクタンスデータを示す表である。
【0094】
【表1】
【0095】
表1には、コンダクタンス値PA1~PA4,PB1~PB4,PC1~PC4が示されている。例えば、コンダクタンス値PA1は、処理状態(100)における処理ユニット20Aについてのコンダクタンスを示すデータであり、例えば、到達真空度である。
【0096】
<基板処理装置の動作>
図8は、基板処理の一例を示すフローチャートであり、基板処理装置100の動作を、コンダクタンス調整部44の制御を中心に説明するためのフローチャートである。まず、制御部80は処理レシピに基づいて、各期間の全処理ユニット20の処理状態を特定する(ステップS1)。つまり、制御部80は処理状態のタイムスケジュールを特定する。図4の例に即して説明すると、制御部80は期間T1~T5における全体処理状態を処理レシピに基づいて、それぞれ(100)、(110)、(111)、(011)および(001)と特定する。
【0097】
次に、制御部80は、ステップS1において特定した各期間の全体処理状態と、記憶媒体821に記憶されたコンダクタンスデータとに基づいて、コンダクタンスのばらつきが低減するように、各期間におけるコンダクタンス調整部44を制御する。例えば、制御部80は各期間におけるコンダクタンス制御量をコンダクタンスデータに基づいて求める。ここでいうコンダクタンス制御量とは、コンダクタンス調整部44の可動部材46の位置(または変位量)を示す制御量である。
【0098】
期間T1における処理状態は(100)であるので、制御部80は期間T1におけるコンダクタンス調整部44Aのコンダクタンス制御量を、コンダクタンス値PA1に基づいて求める。同様に、期間T2における処理状態は(110)であるので、制御部80は、期間T2におけるコンダクタンス調整部44A,44Bのコンダクタンス制御量を、それぞれ、コンダクタンス値PA2,PB2に基づいて求める。同様にして、制御部80は、期間T3におけるコンダクタンス調整部44A~44Cのコンダクタンス制御量を、それぞれ、コンダクタンス値PA4~PC4に基づいて求め、期間T4におけるコンダクタンス調整部44B,44Cのコンダクタンス制御量を、それぞれ、コンダクタンス値PB3,PC2に基づいて求め、期間T5におけるコンダクタンス調整部44Cのコンダクタンス制御量を、コンダクタンス値PC3に基づいて求める。各コンダクタンス値とコンダクタンス制御量との関係は予め実験またはシミュレーションにより設定されてもよい。
【0099】
次に、制御部80は、ステップS1で特定したタイムスケジュールおよびステップS2で求めたコンダクタンス制御量に基づいて、基板Wを各処理ユニット20に順次に搬送させつつ、各処理ユニット20に基板Wに対するドライ処理を行わせる(ステップS3)。これにより、制御部80は期間T1において、コンダクタンス値PA1に基づいたコンダクタンス制御量でコンダクタンス調整部44Aを制御しつつ、処理ユニット20Aにドライ処理を行わせる。また制御部80は期間T2において、コンダクタンス値PA2,PB2に基づいた制御量でコンダクタンス調整部44A,44Bをそれぞれ制御しつつ、処理ユニット20A,20Bにドライ処理を行わせる。以下、同様にして、制御部80は期間T3~T5についてコンダクタンス調整部44を制御しつつ、各処理ユニット20にドライ処理を行わせる。
【0100】
以上のように、制御部80はフィードフォワード制御により、処理ユニット20の全体処理状態に応じてコンダクタンス調整部44を制御している。これにより、各期間T1~T5において、コンダクタンスのばらつきを全体処理状態に応じて適切に低減させることができる。したがって、チャンバ21内の圧力の処理ユニット20間のばらつきをさらに低減させることができ、基板Wに対する処理ユニット20間の処理ばらつきもさらに低減させることができる。
【0101】
<コンダクタンスデータの更新>
各処理ユニット20に対する配管のコンダクタンスは経時的に変化し得る。例えば排気ポンプ43の排気能力が経時的に劣化したり、あるいは、ドライ処理により生じる各排出配管の経時変化(反応生成物の堆積等)などの諸要因によって、コンダクタンスは変動し得る。
【0102】
そこで、制御部80はコンダクタンスデータの取得処理(図6または図7)を例えば所定時間ごとに行うことで、記憶媒体821に格納されたコンダクタンスデータを更新してもよい。つまり、制御部80は最新の取得処理によって測定されたコンダクタンス値を用いて、記憶媒体821のコンダクタンスデータを更新してもよい。これによれば、経時変化に対応した最新のコンダクタンスデータを得ることができる。よって、制御部80が最新のコンダクタンスデータを用いてコンダクタンス調整部44を制御することができ、経時変化によるコンダクタンスのばらつきも低減させることができる。よって、経時変化が生じても、処理ユニット20の間の処理ばらつきを適切に低減させることができる。
【0103】
しかも上述の例では、コンダクタンス値として、圧力に関する情報を採用している。これによれば、圧力センサ251によって圧力を測定できるので、コンダクタンス値を簡単に得ることができる。
【0104】
<第2の実施の形態>
第1の実施の形態では、各処理ユニット20の処理状態をドライ処理の実行状態と待機状態との2つで表現した。第2の実施の形態では、ドライ処理の具体的な手順に応じて実行状態をさらに細分化する。
【0105】
ここで、ドライ処理の具体的な手順の一例について述べる。まず、処理ユニット20のチャンバ21内に基板Wが搬入される(搬入工程)。続いて、ガス排出部40はチャンバ21からガスを排出する(高真空工程)。高真空工程では、ガス供給部60によるガスの供給が行われず、チャンバ21内の圧力がベース圧力まで減圧される。これにより、チャンバ21内のガスの大部分が排出され、チャンバ21内の雰囲気の清浄度を向上させることができる。なお、基板Wの搬入はチャンバ21内の圧力がベース圧力となった状態で行われてもよい。
【0106】
次に、ガス供給部60はキャリアガスを含むガスをチャンバ21内に供給する(調圧工程)。調圧工程では、チャンバ21内の圧力がドライ処理に適した処理圧力となるように調整される。次に、ガス供給部60はキャリアガスに加えて処理ガスもチャンバ21内に供給する(実処理工程)。実処理工程では、チャンバ21内の圧力が処理圧力となるように調整されつつ、処理ガスによって基板Wに対する実質的な処理が行われる。
【0107】
基板Wに対する処理が十分に行われると、ガス供給部60はキャリアガスおよび処理ガスの供給を停止してドライ処理を終了させる。これにより、チャンバ21内の圧力が再びベース圧力まで低下する。その後、処理済みの基板Wが基板搬送部によってチャンバ21内から搬出される(搬出工程)。
【0108】
以上のように、ドライ処理において、チャンバ21内の圧力は、一旦、キャリアガスによって調整され、その後、処理ガスが追加的に供給される。そこで、第2の実施の形態では、ドライ処理の実行状態を、キャリアガスのみが供給される調圧状態と、キャリアガスおよび処理ガスの両方が供給される実処理状態とに分けて考える。
【0109】
図9は、基板処理装置100のタイミングチャートの一例を示す図である。図9では、チャンバ21内の圧力の時間変化の一例も模式的に示されている。また、図9では、各処理ユニット20の処理状態として、実処理状態、調圧状態および待機状態がそれぞれ「実処理」、「調圧」および「待機」で示されている。
【0110】
図9の例では、時刻t1において、処理ユニット20Aに基板Wが搬入される。ここでは、基板Wの搬入はチャンバ21内の圧力がベース圧力となった状態で行われる。処理ユニット20Aは基板Wの搬入後に速やかに調圧工程を開始する。処理ユニット20Aのチャンバ21内の圧力が処理圧力に調整されると、時刻t11において、処理ユニット20Aは実処理工程を開始する。
【0111】
図9の例では、時刻t11の後の時刻t2において、処理ユニット20Bのチャンバ21に基板Wが搬入される。処理ユニット20Bは基板Wの搬入後に速やかに調圧工程を開始する。処理ユニット20Bのチャンバ21内の圧力が処理圧力に調整されると、時刻t21において、処理ユニット20Bは実処理工程を開始する。
【0112】
図9の例では、時刻t21の後の時刻t3において、処理ユニット20Cのチャンバ21に基板Wが搬入される。処理ユニット20Cは、基板Wの搬入後に速やかに調圧工程を開始する。処理ユニット20Cのチャンバ21内の圧力が処理圧力に調整されると、時刻t31において、処理ユニット20Cは実処理工程を開始する。
【0113】
図9の例では、時刻t31の後の時刻t4において処理ユニット20Aがドライ処理を終了し、処理済みの基板Wが処理ユニット20Aのチャンバ21から搬出される。また、時刻t4よりも後の時刻t5において、処理ユニット20Bがドライ処理を終了し、処理済みの基板Wが処理ユニット20Bのチャンバ21から搬出される。また、時刻t5よりも後の時刻t6において、処理ユニット20Cがドライ処理を終了し、処理済みの基板Wが処理ユニット20Cのチャンバ21から搬出される。
【0114】
図9の例では、処理ユニット20の全体処理状態が3つの数字の並びで示されている。ここでは、実処理状態、調圧状態および待機状態がそれぞれ「2」、「1」、「0」で表現されている。例えば図9では、時刻t1から時刻t11までの期間における全体処理状態は(100)である。
【0115】
図9の例では、全体処理状態として(100)、(200)、(210)、(220)、(221)、(222)、(022)および(002)が示されている。しかしながら、各工程のタイミングは処理レシピに応じて変化するので、全体処理状態のタイムスケジュールは図8に限らない。つまり、処理レシピによっては、図9に示された数字列以外の数字列も登場し得る。例えば、処理ユニット20Bへ基板Wが搬入される時刻t2が時刻t11よりも早まれば、時刻t2から時刻t11までの期間の全体処理状態は(110)となる。
【0116】
全体処理状態の総組み合わせ数は、次のように算出される。すなわち、処理ユニット20の数(ここでは3)を指数とした処理状態の数(ここでは3)の累乗から1(全てが待機状態である組)を引くことで、総組み合わせ数が算出される。上述の例では、総組み合わせ数は26通りである。
【0117】
第2の実施の形態では、26通りの組み合わせの各々において、各処理ユニット20についてのコンダクタンスを予め取得し、当該コンダクタンスをコンダクタンスデータとして記憶媒体821に予め記憶しておく。コンダクタンスデータの取得処理の一例は図7のフローチャートと同様である。ただし、選択される全体処理状態は26通りある。これにより、処理ユニット20Aに対するコンダクタンス値が26通りの全体処理状態ごとに取得され、処理ユニット20Bに対するコンダクタンス値が26通りの全体処理状態ごとに取得され、処理ユニット20Cに対するコンダクタンス値が26通りの全体処理状態ごとに取得される。そして、これらのコンダクタンス値を含むコンダクタンスデータが記憶媒体821に記憶される。
【0118】
第2の実施の形態における基板処理装置100の動作の一例も図8のフローチャートに示す通りである。まず、制御部80は、処理レシピに基づいて、各期間の処理ユニット20の全体処理状態を特定する(ステップS1)。つまり、制御部80は全体処理状態のタイムスケジュールを特定する。図9の例に即して説明すると、制御部80は各期間における全体処理状態を処理レシピに基づいて、それぞれ(100)、(200)、(210)、(220)、(221)、(222)、(022)および(002)と特定する。
【0119】
次に、制御部80は、ステップS1において特定した各期間の全体処理状態と、記憶媒体821に記憶されたコンダクタンスデータとに基づいて、各期間においてコンダクタンスのばらつきが低減するように、各期間におけるコンダクタンス調整部44のコンダクタンス制御量を求める。コンダクタンス制御量の求め方は第1の実施の形態と同様である。ここでは一例として、時刻t2から時刻t21までの期間に着目して説明しておく。当該期間おける全体処理状態は(210)である。よって、制御部80は、記憶媒体821に記憶されたコンダクタンスデータから、(210)の全体処理状態における処理ユニット20Aおよび処理ユニット20Bのコンダクタンス値を特定し、当該コンダクタンス値に基づいてそれぞれ、コンダクタンス調整部44Aおよびコンダクタンス調整部44Bのコンダクタンス制御量を求める。
【0120】
次に、制御部80は、ステップS1で特定したタイムスケジュールおよびステップS2で求めたコンダクタンス制御量に基づいて、基板Wを各処理ユニット20に順次に搬送させつつ、各処理ユニット20に基板Wに対するドライ処理を行わせる(ステップS3)。
【0121】
これにより、各期間において、各処理ユニット20についての配管のコンダクタンスのばらつきを低減させることができる。第2の実施の形態では、処理状態をより細かく分類しているので、配管のコンダクタンスのばらつきをさらに低減させることができる。したがって、圧力の処理ユニット20間のばらつきをさらに低減させることができ、基板Wに対する処理ユニット20間の処理ばらつきをさらに低減させることができる。
【0122】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態にかかる基板処理装置100は第1または第2の実施の形態と同様である。第3の実施の形態では、コンダクタンス調整部44の具体的な構成の他の例について述べる。
【0123】
図10は、コンダクタンス調整部44の構成の他の一例を概略的に示す図である。図10の例では、コンダクタンス調整部44はベローズ481と駆動機構482とを含む。ベローズ481は蛇腹状の筒状形状を有しており、伸縮自在である。具体的には、ベローズ481は筒状の中心軸に沿う方向において、伸縮自在である。ベローズ481は個別排出管41に介装されており、ベローズ481の内部空間は個別排出管41の流路の一部を構成する。ベローズ481はその伸縮方向の両端が個別排出管41に接続される。
【0124】
駆動機構482は制御部80によって制御され、ベローズ481の伸縮方向の長さを調整する。駆動機構482は例えばベローズ481の両端に連結され、その両端の間の間隔(つまり、ベローズ481の伸縮方向の長さ)を調整する。駆動機構482は例えばボールねじ機構またはリニアモータを含む。駆動機構482はベローズ481を収縮させることにより、個別排出管41の全体の長さ(配管長)を短くすることができる。つまり、コンダクタンスを高めることができる。駆動機構482がベローズ481を伸長させることにより、個別排出管41の配管長を長くすることができる。つまり、コンダクタンスを低めることができる。
【0125】
図11は、コンダクタンス調整部44の構成の他の一例を概略的に示す図である。図11の例では、コンダクタンス調整部44は複数の並列管491と複数のバルブ492とを含む。複数の並列管491は互いに並列に接続され、個別排出管41に介装される。図10の例では、複数の並列管491として4つの並列管491a~491dが設けられる。各並列管491の内部空間は個別排出管41の流路の一部を構成する。複数の並列管491の断面積は互いに同一でもよく、互いに異なっていてもよい。なお、並列管491にオリフィスが介装される場合、そのオリフィスの開口面積(開口径)が複数の並列管491の間で異なっていてもよい。この構造でも、並列管491の断面積が互いに相違するといえる。
【0126】
複数のバルブ492は複数の並列管491に対応して設けられる。図11の例では、4つの並列管491が設けられているので、4つのバルブ492が設けられている。各バルブ492は、対応する並列管491に介装される。バルブ492は制御部80によって制御され、並列管491の流路の開閉を切り替える。バルブ492は例えばエア作動弁である。
【0127】
複数のバルブ492の開閉状態が個別に切り替えられることにより、個別排出管41の流路となる並列管491の総断面積を調整することができる。ここで、複数の並列管491の断面積が互いに異なる場合について述べる。並列管491a~491dの断面積はこの順で大きいものとする。つまり、並列管491aの断面積が最も大きい。
【0128】
ここでは、4つのバルブ492のいずれか一つのみを開くものとする。例えば並列管491aに介装されたバルブ492のみを開くと、他のバルブ492を開く場合に比べて、個別排出管41のコンダクタンスを最も高くすることができる。また、並列管491bに介装されたバルブ492のみを開くと、コンダクタンスをその次に高くすることができ、並列管491cに介装されたバルブ492のみを開くと、コンダクタンスをその次に高くすることができ、並列管491dに介装されたバルブ492のみを開くと、コンダクタンスを最も低くすることができる。このように断面積の異なる4つの並列管491が設けられていれば、少なくとも4段階でコンダクタンスを調整することができる。
【0129】
複数のバルブ492を同時に開いてもよい。この場合、4つのバルブ492の開閉状態の組み合わせに応じて、より多くの階調でコンダクタンスを調整することができる。またコンダクタンスの調整可能範囲を広くすることもできる。
【0130】
また、このようなコンダクタンス調整部44によれば、簡単な構造でコンダクタンスを調整できる。
【0131】
<変形例>
第1の実施の形態では、処理ユニット20の処理状態として2つの状態(実行状態および待機状態)を採用し、第2の実施の形態では、3つの状態(調圧状態、実処理状態および待機状態)を採用した。しかるに、処理状態はこれらの状態に限らない。要するに、個別排出管41の圧力分布が他の処理状態と異なり得る状態を処理状態の一つとして採用すればよい。例えば、実処理工程において、チャンバ21内の圧力を時間ともに変化させる場合、処理状態として、圧力が低い第1値に調整された低圧処理状態と、圧力がより高い第2値に調整された高圧処理状態とを採用してもよい。
【0132】
また、コンダクタンス調整部44は互いに同じ構造を有していることが望ましいものの、異なる構造を有していてもよい。
【0133】
また、個別排出管41には不図示の圧力調整部が介装され得る。当該圧力調整部は制御部80によって制御され、個別排出管41内のガスの圧力を調整する。圧力調整部は、例えばオートプレッシャーコントローラ(APC)であってもよい。この圧力調整部はガスの圧力が指示値に近づくように圧力を調整することができる。よって、チャンバ21内の圧力を調整することができる。ここで、コンダクタンス調整部44が設けられていない場合を考慮する。この場合、チャンバ21内の圧力の処理ユニット20間のばらつきを低減させるためには、圧力調整部がその開度を大きく調整させる必要がある。よって、圧力が所定の処理圧力となるまでの応答時間が長くなり得る。また、開度の調整可能範囲の広い圧力調整部を採用する必要がある。
【0134】
これに対して、本実施の形態によれば、コンダクタンス調整部44がコンダクタンスのばらつきを低減させることができる。よって、各圧力調整部はより小さい開度の調整量で圧力を処理圧力に調整することができる。したがって、より短時間で圧力を処理圧力に調整することができ、また、調整可能範囲の狭い圧力調整部を採用することもできる。
【0135】
また上述の例では、基板処理装置100は、ドライ処理を行う処理ユニット20を含んでいるものの、ウェット処理を行う処理ユニット(ウェット処理ユニット)が混在していてもよい。ウェット処理ユニットは、例えば基板Wに対する洗浄処理を行う。処理ユニット20とウェット処理ユニットとの間で基板Wを搬送することにより、ドライ処理の前もしくは後に基板Wを洗浄することがきる。
【0136】
以上のように、基板処理装置100は詳細に説明されたが、上記の説明は、全ての局面において、例示であって、この基板処理装置100がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この開示の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施の形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0137】
100 基板処理装置
21 チャンバ
22 基板保持部
25 コンダクタンス検出部
281 記憶媒体
41 個別排出管
42 共通排出管
43 排気ポンプ
44 コンダクタンス調整部
451 底部
452 側壁
46 可動部材
47 駆動機構
491 並列管
492 バルブ
60 ガス供給部
80 制御部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11