(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】治療装置に対するフィードバック検出
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
A61N5/067
(21)【出願番号】P 2020570880
(86)(22)【出願日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 US2019038348
(87)【国際公開番号】W WO2019246469
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-02
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520204630
【氏名又は名称】アヴァヴァ、 インク.
【氏名又は名称原語表記】AVAVA, INC.
【住所又は居所原語表記】275 2nd Avenue, 3rd Floor, Waltham, Massachusetts 02451, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】バーウォルカー、 ジャヤント
(72)【発明者】
【氏名】ドレッサー、 チャールス、 ホーランド
(72)【発明者】
【氏名】カトカム、 ラジェンドラ
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-539665(JP,A)
【文献】特表2007-532225(JP,A)
【文献】特表2020-503119(JP,A)
【文献】特表2020-503108(JP,A)
【文献】特開2008-100057(JP,A)
【文献】特表2010-525556(JP,A)
【文献】特表2007-531558(JP,A)
【文献】特開2008-284382(JP,A)
【文献】特開2016-190090(JP,A)
【文献】特開2015-134228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0130969(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0217691(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/067
A61N 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
組織に所望の効果をもたらす治療放射線を生成するよう構成された放射線源と
、
前記治療放射線
として電磁放射(EMR)ビームを焦点領域に集束させ、前記焦点領域で前記治療放射線がプラズマを発生するように構成された焦点光学系と、
窓材料で構成され、組織表面と接触するように構成された窓であって、光軸に沿って前記焦点領域と前記焦点光学系との間で、前記焦点領域から離隔して所定の深さに位置する窓と、
前記焦点領域をスキャンするよう構成されたスキャナと、
前記プラズマから発する信号放射を受け、前記組織ではなく前記窓材料を代表する波長を中心とするスペクトルピークを持つフィルタ済信号放射のみを透過させるよう構成されたフィルタと、
前記フィルタの背後に位置し、前記フィルタ済信号放射を検出するように構成された検出器と、
前記検出器によって検出された前記フィルタ済信号放射に基づいて前記プラズマが前記窓内に少なくとも部分的に位置することを決定し、当該決定に基づいて前記治療放射線の1つ以上のパラメータを調整するように構成されたコントローラと、
を含む、システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記プラズマの1つ以上の特性を決定するよう構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記プラズマの1つ以上の特性は、プラズマの存在、プラズマの強度、プラズマのスペクトル含有量、およびプラズマの位置、の少なくとも1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記決定に基づき、前記治療放射線を停止するようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記治療放射線の1つ以上のパラメータは、パルスあたりのエネルギー、反復速度、焦点領域の位置、および焦点領域のサイズ、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
組織に対する前記所望の効果は、発色団の存在下でのプラズマの生成を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記信号放射の特性を記録するようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラは、
第1位置で第1プラズマから発する第1信号放射の第1の特性を記録し、
前記第1位置に対する座標に前記第1の特性をマッピングし、
第2位置で第2プラズマから発する第2信号放射の第2の特性を記録し、
前記第2位置に対する座標に前記第2の特性をマッピングする、
ようにさらに構成された、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記信号放射の強度に基づいて、前記プラズマが前記窓内に少なくとも部分的に位置することを決定するようにさらに構成された、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記プラズマが前記窓内に少なくとも部分的に位置することを決定することは、前記信号放射のスペクトル成分に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
治療装置の動作方法であって、
放射線源が、組織に所望の効果をもたらす治療放射線
として電磁放射(EMR)ビームを生成するステップと、
窓材料を含む窓が、前記組織の表面に接触するステップと、
焦点光学系が、
前記治療放射線を焦点領域に集束させることにより、前記焦点領域で前記治療放射線がプラズマを発生するステップ
であって、前記窓が、光軸に沿って前記焦点領域と前記焦点光学系との間で、前記焦点領域から離隔して所定の深さに配置されているステップと、
スキャナが、前記焦点領域をスキャンするステップと、
フィルタが、前記プラズマから発する信号放射をフィルタリングし、前記組織ではなく前記窓材料を代表する波長を中心とするスペクトルピークを持つフィルタ済信号放射のみを透過させるステップと、
前記フィルタの背後に位置する検出器が、前記フィルタ済信号放射を検出するステップと、
コントローラが、検出された前記フィルタ済信号放射に基づいて前記プラズマが前記窓内に少なくとも部分的に位置することを決定するステップと、
前記コントローラが、前記決定に基づいて前記治療放射線の1つ以上のパラメータを調整するステップと、
を含む、方法。
【請求項12】
前記コントローラが、前記プラズマの1つ以上の特性を決定するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プラズマの1つ以上の特性は、プラズマの存在、プラズマの強度、プラズマのスペクトル含有量、およびプラズマの位置、の少なくとも1つを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コントローラが、前記決定に基づき、前記治療放射線を停止するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記治療放射線の1つ以上のパラメータは、パルスあたりのエネルギー、反復速度、焦点領域の位置、および焦点領域のサイズ、の少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
組織に対する前記所望の効果は、発色団の存在下でのプラズマの生成を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記コントローラが、前記信号放射の特性を記録するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記コントローラが、
第1位置で第1プラズマから発する第1信号放射の第1の特性を記録するステップと、
前記第1位置に対する座標に前記第1の特性をマッピングするステップと、
第2位置で第2プラズマから発する第2信号放射の第2の特性を記録するステップと、
前記第2位置に対する座標に前記第2の特性をマッピングするステップと、
をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プラズマが前記窓内に少なくとも部分的に位置することを決定することは、前記信号放射の強度に基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記プラズマが前記窓内に少なくとも部分的に位置することを決定することは、前記信号放射のスペクトル成分に基づく、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年6月22日に出願された「治療装置に対する色素検出(Pigment Detection for a Therapeutic Device)」と題する米国仮出願第62/688,940号、2018年6月22日に出願された「EMRベースの組織治療のための回折光学(Diffractive Optics for EMR-Based Tissue Treatment)」と題する米国仮出願第62/688,913号、2018年6月22日に出願された「組織治療のための選択的プラズマ生成(Selective Plasma Generation for Tissue Treatment)」と題する米国仮出願第62/688,855号の利点を主張する。これらの各出願の全体が参照として含まれる。
【背景技術】
【0002】
肝斑又は褐色斑(妊娠性肝斑)は、顔の黄褐色から濃厚な灰褐色の不規則で境界のはっきりした斑点(macules)及び斑紋(patches)を特徴とする一般的な皮膚状態である。斑点は、角質細胞(上皮黒皮症(epidermal melanosis))に吸収されるか、真皮(真皮黒皮症(dermal melanosis)、メラノファージ(melanophages))に沈着するメラニンの過剰生産が原因であると考えられる。肝斑の色素沈着は、妊娠、日光露出、特定の薬物(例えば、経口避妊薬)、ホルモンレベル、及び遺伝的要因などのいくつかの条件によってさらに悪化することがある。この状態は、過剰メラニンの位置に応じて、表皮、真皮、又は混合状態に分類することができる。肝斑の典型的な症状には、主に上頬、鼻、上唇、及び額に見られる、暗くて不規則な形の斑紋又斑点が含まれる。このような斑紋は、時間の経過とともに徐々に症状が現れる。
【0003】
肝斑は、かなりの当惑や苦痛を引き起こす可能性がある。これは、肌の色の濃い女性にとって特に問題になり、東南アジアの女性の最大30%、及び多くのラテンアメリカの女性に影響を及ぼす。人口調査では、影響を受けた4人に1人から20人に1人だけが男性である。米国皮膚科学会によると、米国では約600万人の女性が肝斑に対処している。世界的に肝斑を罹患している人々の数は、アジア/太平洋地域で1億5700万人、ラテンアメリカで5800万人、ヨーロッパで300万人と推算される。肝斑は、一般に20~40歳の間に現れる。肝斑の治療法は存在しないため、肝斑の治療を受けている米国の患者は、現在、様々な種類の治療を試みている。米国の患者の79%が局所薬、37%が口腔治療、そして25%がレーザを使用している。
【0004】
皮膚の表皮領域(即ち、組織表面又はその近く)に通常存在する他の色素構造とは異なり真皮(又は深部)肝斑は、多くの場合、下層真皮の一部にメラニンとメラノファージが広範囲に存在することを特徴とする。従って、真皮肝斑の治療(例えば、色素沈着した暗い領域の外観の淡色化)は、皮膚内のより深い位置にあるそのような色素沈着細胞及び構造にアクセスして影響を与えることが非常に困難であるため、特に困難な場合がある。従って、主に上部表皮に影響を与える(多くの場合、肝斑治療の最初の過程)フェイスピール(レーザ又は化学物質)、皮膚切除術、局所剤などのような従来の皮膚若返り治療は、真皮肝斑治療に効果的でないこともある。
【0005】
さらに、肝斑患者の最大50%が他の色素沈着過剰の問題も経験している。全ての色素沈着症状の中で、肝斑は最も多くの患者が皮膚科を訪問する可能性が高い疾患である。病因、慢性性、及び再発率に対する不完全な理解を考えると、この障害の管理は依然として困難である。治療後に肝斑が再発することがあり、治療前よりも悪化することがよくある。そして、表皮肝斑の治療に効果があり得る局所治療は、真皮又は混合肝斑を効果的に治療することができない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の波長の光又は光エネルギーの適用は、色素沈着細胞(pigmented cell)によって強く吸収され、それによってそれらに損傷を与え得ることが観察された。しかし、光エネルギーを利用した真皮肝斑の効果的な治療は、いくつかの障害を招く。例えば、真皮の色素沈着細胞は、細胞を破壊又は損傷させるのに適切な波長の十分な光エネルギーを標的にしなければならず、これは色素沈着(pigmentation)の一部を放出又は破壊して色素沈着を低減し得る。しかし、このようなエネルギーは、表皮及び上部真皮などの上にある皮膚組織中の色素(例えば、発色団)によって吸収され得る。このような表面近くの吸収は、皮膚の外側部分の過剰な損傷を招き、より深い真皮へその内部の色素沈着細胞に影響を与えるためのエネルギー伝達が不充分となる。さらに、表皮の基底層に位置するメラニン含有のメラニン細胞に対する中程度の熱的損傷は、メラニン生成の増加(例えば、色素沈着過剰)を誘発する可能性があり、メラニン細胞に対する深刻な熱的損傷は、メラニン生成の減少を誘発する可能性がある(例えば、色素沈着低下)。
【0007】
色素異常症学会(Pigmentary Disorders Academy)(PDA)は、治療に対する合意した意見を得るために、様々な種類の肝斑治療の臨床的有効性を評価した。それらの努力は、M.Rendonらによる「肝斑の治療」という題名で、2006年5月に米国皮膚科学会の機関誌に掲載された。Rendonらは、20年前の肝斑治療に関する文献を検討して、それらの検討に基づいて決定を下した。Rendonらは、「肝斑に対する第一選択療法は、主に固定されたトリプルコンビネーションの効果的な局所療法で構成されるべきであるというグループの総意である」と決定した。そして、「肝斑治療にレーザを使用することはめったになく、適用する場合は、皮膚のタイプを考慮しなければならない」と決定した。
【0008】
肝斑治療に対するRendonらの包括的な報告に対する批判は、2006年に発表された日付である可能性がある。M.Sadeghpourらの最近の記事が「肝斑治療における進歩」という題名で2018年の美容成形の発展に掲載され、現在の肝斑治療のあり方を見直そうと検討している。Sadeghpourらは、同様に「局所療法は、広域スペクトルの紫外線遮断剤とハイドロキノン4%のクリーム、トレチノイン、又はトリプルコンビネーションクリームのいずれかを使用した肝斑に対する第一選択療法のゴールドスタンダードのままである」と結論付けている。Sadeghpourらは、「これらのメラノソームの破壊は、多くの場合、深刻な炎症を伴い、それがさらにメラニン形成を刺激するためである」として、真皮肝斑の治療は、さらに困難であると指摘した。
【0009】
従って、肝斑及びその他の色素障害を治療することが難しい治療法について、より効果的で安全な治療に対する満たされていない要求が多い。
【0010】
治癒を促進するために健康な組織によって分離された皮膚上の小さな個別の治療位置に光エネルギーを適用するアプローチ方式が開発された。治療位置(例えば、表皮層(epidermal layer))周辺の健康な組織に対する損傷を回避しながら、望ましい特異性で治療位置(例えば、真皮層(dermal layer)に位置)を正確に標的にすることは、困難な場合がある。これは、例えば、レーザビームを治療位置に集束させるための高開口数(NA)を備えた光学システムを必要とする。高NAの光学システムは、表皮に十分に低い焦点外フルエンスを維持しながら、真皮に十分に高い焦点フルエンス(即ち、エネルギー密度)を伝達する。「真皮肝斑を治療するための方法及び装置」と題する米国特許出願公開第2016/0199132号は、この技術が研究環境で肝斑を含む皮膚色素沈着の治療に有利であることを示している。
【0011】
しかし、この技術は、高NAの光学システムによって形成された焦点領域が標的組織内の深さに正確(例えば、約±25μmの許容誤差内)に位置する必要がある。例えば、メラニン細胞は、一般に表皮の基底層内の深さ約100μmに位置する。深部肝斑の原因となる真皮メラノファージは、表皮の基底層の真下(例えば、50μm下)の上部真皮に存在する可能性がある。従って、数十マイクロメートルの焦点領域の深さの違いは、真皮の色素沈着を効果的に治療することと、メラニン細胞を不注意に損傷し、潜在的に衰弱させる美容結果(例えば、色素沈着)を誘発することとの間の違いになる可能性がある。このような理由の一部として、皮膚の色素沈着を効果的に治療するEMR基幹システムは、まだ市販されていない。
【0012】
従って、数十マイクロメートルの公差内(例えば、約±100μm、約±10μm、約±1μmなど)で焦点領域を所定の深さに確実に位置させるEMRベースの治療システムを開発することが望ましい。また、EMRベースの治療システムは、例えば、既知の深さを有する参照(reference)に焦点領域を周期的に配置して較正によって部分的にこの性能を達成することが望ましい場合がある。また、較正中に使用される参照が治療中に使用されることが望ましい場合がある。例えば、参照は、治療領域との強力な接触を確立して治療領域を安定化する境界面(interface)を含むことができる。
【0013】
Andersonらによって概説されたもののような皮膚色素治療のためのいくつかの開発されたアプローチは、治療の手段として選択的熱電子プラズマ生成を使用することができる。この場合、真皮内の焦点領域でのレーザフルエンスは、熱電子プラズマ閾値(例えば、109W/cm2)より高いが、光学的破壊閾値(例えば、1012W/cm2)より低い。これは、真皮内の色素組織(例えば、メラニン)に位置する場合、焦点領域が真皮内の無色素組織又は焦点領域上の色素性表皮組織でプラズマを生成せずに、選択的にプラズマ形成を引き起こす。選択的に形成された熱電子プラズマは、色素と周辺組織を破壊又は損傷させる。この破壊は、最終的に真皮色素を除去する。従って、治療される組織内治療中のプラズマの存在は、いくつかの実施形態における効果的な治療を示し得る。レーザベースの皮膚治療のためのパラメータ選択は、皮膚の類型に依存することが多く、個々の患者によって異なるため、プラズマの存在は、正しい治療パラメータが達成されたことを示すものとして使用できる。従って、このようなフィードバックは、一般にレーザベースの治療では充分に機能しない集団(例えば、より暗い肌タイプの集団)において、肝斑などの状態の治療を成功させるために望ましい。
【0014】
あるいは、場合によっては、検出されたプラズマの特性は、治療が副作用を有することを示している可能性がある。例えば、いくつかの実施形態では、透過性窓は、皮膚を参照として、治療中に皮膚が動かないようにするために、治療される皮膚上に配置される。レーザビームが窓をエッチングすると、治療が失敗する可能性がある。窓のエッチングは、組織へのレーザのさらなる効率的な伝達を妨げ、窓自体の非常に明るいプラズマ形成と一致することがよくある。エッチングされた窓で治療を継続すれば、窓内の熱蓄積が皮膚の表皮に損傷を与える可能性がある(例えば、火傷や水ぶくれ)。従って、フィードバックを使用して窓内のプラズマ形成を検出し、それが発生したときに治療を停止することが有利である。
【0015】
前述したことから、治療中のプラズマ形成は、治療にとって有利かつ有害になる可能性があることが理解され得る。従って、プラズマ検出を提供するシステム及び方法は、プラズマの特性を検出し、組織治療に有益なプラズマと組織治療に有害なプラズマをリアルタイムで持続的に区分することができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、治療装置の観点で治療される組織を画像化して、医師が見ることができるようにこの視野(view)をスクリーンに投影することが望ましい場合がある。一態様では、治療装置の配置は、通常、治療する組織に対する医師の視野を遮る。従って、組織画像化は、患部組織を標的とするための治療装置の正確な配置を容易にすることができる。さらに、多くの色素沈着症状治療の目標が美容(例えば、皮膚外観改善)であるため、画像化中に繰り返し可能な画像化条件下(例えば、照明及び距離)で皮膚画像を持続的に取得することができ、治療結果が確認される。
【0017】
肝斑などの色素沈着症状に苦しむ人々は、彼らの状態に対するEMRベースの治療が広く利用可能になることを永らく希望してきた。従って、以下でより詳細に論じられるように、標的組織内の焦点領域の繰り返し可能な深さ位置を提供するEMRベースの治療システムが提供される。開示されたシステム及び方法はまた、治療の安全性及び有効性を文書化及び追跡し、治療された組織を画像化してEMRを治療領域に正確に伝達するために、プラズマイベントを検出及び記録することができる。このような機能は、現在の皮膚色素沈着及びその他のEMR基幹システムで治療することが困難な皮膚状態の広範囲の成功した治療を妨げている多くの技術的問題を解決する。
【0018】
一実施形態では、システムが提供される。システムには、焦点光学系(focus optic)、検出器、コントローラ、及び窓を含むことができる。焦点光学系は、電磁放射(EMR)ビームを光軸に沿って配置された焦点領域に集束するように構成してもよい。検出器は、光軸に沿った所定の位置から発する信号放射を検出するように構成してもよい。コントローラは、検出器によって検出された信号放射に部分的に基づいて、EMRビームのパラメータを調整するように構成してもよい。窓は、焦点領域と光軸に沿った焦点光学系との間で焦点領域から離れた所定の深さに配置してもよい。窓は、組織表面と接触するように構成してもよい。
【0019】
他の実施形態では、EMRビームは、光軸に沿った所定の位置でプラズマを生成するように構成してもよい。信号放射は、プラズマから発せられてもよい。
【0020】
他の実施形態では、信号放射は、EMRビームと窓との間の相互作用から発することができる。
【0021】
他の実施形態では、焦点光学系は、検出器によって検出された信号放射を画像化するようにさらに構成してもよい。
【0022】
他の実施形態では、システムは、組織内の第1領域から組織内の第2領域まで焦点領域を走査するように構成されたスキャナをさらに備えることができる。
【0023】
他の実施形態では、EMRビームは、焦点領域に熱電子プラズマを生成するようにさらに構成してもよい。
【0024】
他の実施形態では、窓はEMRビームを透過するようにさらに構成してもよい。他の実施形態では、焦点光学系は、EMRビームを少なくとも0.3の開口数(NA)に集束するようにさらに構成してもよい。
【0025】
他の実施形態では、EMRビームのパラメータは、パルスエネルギー、反復速度、パルス持続時間、焦点領域の位置、焦点領域のサイズ、波長、又は電力のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0026】
他の実施形態では、信号放射は、可視光、赤外線、音響信号、超音波信号、無線信号、又は温度のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0027】
一実施形態では、方法が提供される。この方法は、窓を使用して、組織表面に接触するステップを含むことができる。この方法はまた、焦点光学系を使用して電磁放射(EMR)ビームを光軸に沿って配置された焦点領域に集束させるステップを含むことができる。この方法は、検出器を使用して、光軸に沿った位置から発する信号放射を検出するステップをさらに含むことができる。この方法は、コントローラを使用して、検出された信号放射に部分的に基づいてEMRビームのパラメータを調整するステップをさらに含むことができる。この方法はまた、組織内の焦点領域を組織表面から所定の距離に配置するステップを含むことができる。
【0028】
他の実施形態では、方法は、EMRビームを使用して、光軸に沿った位置でプラズマを生成するステップをさらに含むことができる。信号放射は、プラズマから発することができる。
【0029】
他の実施形態では、方法は、窓上に入射する集束EMRビームを指向させるステップをさらに含むことができる。信号放射は、EMRビームと窓の間の相互作用から発することができる。
【0030】
他の実施形態では、方法は、焦点光学系を使用して、検出器に入射する信号放射を画像化するステップをさらに含む。
【0031】
他の実施形態では、方法は、スキャナを使用して、組織内の第1領域から組織内の第2領域への焦点領域を走査するステップをさらに含む。
【0032】
他の実施形態では、方法は、EMRビームを使用して、焦点領域に熱電子プラズマを生成するステップをさらに含む。
【0033】
他の実施形態では、方法は、EMRビームを、窓を通って伝えるステップをさらに含む。
【0034】
他の実施形態では、焦点光学系は、EMRビームを少なくとも0.3の開口数(NA)に集束するようにさらに構成される。
【0035】
他の実施形態では、EMRビームのパラメータは、パルスエネルギー、反復速度、パルス持続時間、焦点領域の位置、焦点領域のサイズ、波長、又は電力のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0036】
他の実施形態では、信号放射は、可視光、赤外線、音響信号、超音波信号、無線信号、又は温度のうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
一実施形態では、システムが提供される。システムは、焦点光学系、窓、光学検出器、コントローラ、及びステージを含むことができる。焦点光学系は、電磁放射(EMR)ビームを光軸に沿って配置された焦点領域に集束させるように構成してもよい。窓は、光軸と交差することができ、組織表面と接触するように構成してもよい。光学検出器は、EMRビームと窓の相互作用から発する信号放射を検出するように構成してもよい。コントローラは、焦点領域の一部が窓の表面と実質的に一致する参照位置を決定するように構成してもよい。ステージは、焦点領域を参照位置から所定の距離に配置された治療位置に変換するように構成してもよい。
【0038】
他の実施形態では、焦点光学系及びステージは、組織内に治療位置を配置するように構成してもよい。
【0039】
他の実施形態では、治療位置は、真皮組織内に配置されてもよい。
【0040】
他の実施形態では、EMRビームは、焦点領域に熱電子プラズマを生成するように構成してもよい。
【0041】
他の実施形態では、EMRビームは、少なくとも1ピコ秒のパルス持続時間を有するパルスを含むことができる。
【0042】
他の実施形態では、焦点光学系は、検出器に入射する信号放射を画像化するようにさらに構成してもよい。
【0043】
他の実施形態では、コントローラは、信号放射に基づいて窓の表面に入射するEMRビームの横幅を決定し、横幅が最小値を有するときまで焦点領域を変換させることによって、参照位置を決定するようにさらに構成してもよい。
【0044】
他の実施形態では、検出器は、信号放射の強度を検出するようにさらに構成してもよく、コントローラは、信号放射の強度が最大値を有するときまで焦点領域を変換させることによって参照位置を決定するようにさらに構成してもよい。
【0045】
他の実施形態では、焦点光学系は、第2EMRビームを第2焦点領域に集束するようにさらに構成してもよい。第2EMRビームは、EMRビームの波長と同一の波長又はEMRビームの波長と異なる波長のうちの少なくとも1つを有してもよい。第2EMRビームは、組織に所望の変化をもたらすように構成してもよい。
【0046】
他の実施形態では、ステージは、焦点光学系、1つ以上の光学素子、及び窓のうちの少なくとも1つを変換することによって焦点領域を変換させるように構成してもよい。
【0047】
一実施形態では、焦点光学系を使用して、電磁放射(EMR)ビームを光軸に沿って配置された焦点領域に集束させるステップを含む方法が提供される。この方法はまた、検出器を使用してEMRビームと光軸を交差する窓の相互作用から発する信号放射を検出するステップを含むことができる。方法は、コントローラを使用して、検出された信号放射に基づいて光軸に沿って参照位置を決定するステップをさらに含むことができる。参照位置では、焦点領域の一部は、窓の表面と実質的に一致し得る。方法は、焦点領域を参照位置から所定の距離に配置された治療位置に変換するステップをさらに含んでもよい。
【0048】
他の実施形態では、方法は、治療位置が組織内に配置され得るように、窓を使用して組織表面に接触するステップをさらに含むことができる。
【0049】
他の実施形態では、所定の距離は、真皮組織内の治療位置を特定するように構成してもよい。
【0050】
他の実施形態では、EMRビームは、焦点領域に熱電子プラズマを生成するように構成してもよい。
【0051】
他の実施形態では、EMRビームは、少なくとも1ピコ秒のパルス持続時間を有するパルスを含むことができる。
【0052】
他の実施形態では、信号放射を検出するステップは、焦点光学系を使用して検出器に入射する信号放射を画像化するステップをさらに含むことができる。
【0053】
他の実施形態では、参照位置を決定するステップは、信号放射に基づいて、コントローラを使用して窓の表面に入射するEMRビームの横幅を決定するステップ、及び横幅が最小値を有するときまで光軸に沿って焦点領域を変換させるステップをさらに含むことができる。
【0054】
他の実施形態では、参照位置を決定するステップは、検出器を使用して信号放射の強度を検出するステップ、及び信号放射の強度が最大値になるときまで焦点領域を変換させるステップを含むことができる。
【0055】
他の実施形態では、方法は、焦点光学系を使用して第2EMRビームを第2焦点領域に集束させるステップをさらに含むことができる。第2EMRビームは、EMRビームの波長と同一の波長又はEMRビームの波長と異なる波長のうちの少なくとも1つを有することができる。第2EMRビームは、組織に所望の変化をもたらすように構成してもよい。
【0056】
他の実施形態では、焦点領域を変換させるステップは、焦点光学系、1つ以上の光学素子、及び窓のうちの少なくとも1つを変換するステップをさらに含むことができる。
【0057】
一実施形態では、システムが提供され、放射線源、窓、焦点光学系、スキャナ、探知器、及びコントローラを含むことができる。放射線源は、組織に所望の変化をもたらすように構成された治療放射線を生成するように構成してもよい。窓は、組織表面と接触するように構成してもよい。焦点光学系は、焦点領域でプラズマを生成するように構成された焦点領域に治療放射線を集束させるように構成することができる。スキャナは、焦点領域を走査するように構成してもよい。検出器は、プラズマから発する信号放射を検出するように構成してもよい。コントローラは、検出された信号放射に基づいて、プラズマが窓内に少なくとも部分的に位置するかどうかを決定し、決定に基づいて治療放射線の1つ以上のパラメータを制御するように構成してもよい。
【0058】
他の実施形態では、コントローラは、プラズマの1つ以上の特性を決定するようにさらに構成してもよい。他の実施形態では、プラズマの1つ以上の特性は、プラズマの存在、プラズマの強度、プラズマのスペクトル含有量、及びプラズマの位置のうちの少なくとも1つを含むことができる。他の実施形態では、コントローラは、決定に基づいて治療放射線を終了するようにさらに構成してもよい。
【0059】
他の実施形態では、治療放射線の1つ以上のパラメータは、パルスあたりのエネルギー、反復速度、焦点領域の位置及び焦点領域のサイズのうちの少なくとも1つを含むことができる。他の実施形態では、組織における所望の変化は、発色団の存在下での選択的熱電子プラズマの生成を含むことができる。他の実施形態では、コントローラは、信号放射の特性を記録するようにさらに構成してもよい。
【0060】
他の実施形態では、コントローラは、第1位置で第1プラズマから発する第1信号放射の第1の特性を記録し、第1位置に対する座標に第1の特性をマッピングして、第2信号の第2の特性を記録するようにさらに構成してもよい。第2位置で第2プラズマから発する信号放射を生成して、第2の特性を第2位置の座標にマッピングする。
【0061】
他の実施形態では、コントローラは、信号放射の強度に基づいてプラズマが窓内に少なくとも部分的に位置するかどうかを決定するようにさらに構成することができる。
【0062】
他の実施形態では、コントローラは、信号放射のスペクトル成分に基づいて、プラズマが窓内に少なくとも部分的に位置するかどうかを決定するようにさらに構成することができる。
【0063】
一実施形態では、方法が提供される。方法は、放射線源を使用して組織に所望の変化をもたらすように構成された治療放射線を生成するステップを含むことができる。方法はまた、窓を使用して組織表面に接触するステップを含むことができる。方法は、焦点光学系を使用して治療放射線を焦点領域に集束させるステップをさらに含むことができる。方法は、さらに焦点領域をスキャナで走査するステップを含むことができる。方法は、治療放射線を用いて焦点領域でプラズマを生成するステップをさらに含むことができる。方法はまた、検出器を使用してプラズマから発する信号放射を検出するステップを含むことができる。方法は、検出された信号放射に基づいてプラズマが窓内に少なくとも部分的に位置するかどうかをコントローラを使用して決定するステップをさらに含むことができる。方法は、コントローラを使用して、決定に基づいて治療放射線の1つ以上のパラメータを制御するステップをさらに含むことができる。
【0064】
他の実施形態では、方法は、コントローラを使用して、プラズマの1つ以上の特性を決定するステップをさらに含むことができる。
【0065】
他の実施形態では、プラズマの1つ以上の特性は、プラズマの存在、プラズマの強度、プラズマのスペクトル含有量、及びプラズマの位置のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0066】
他の実施形態では、方法は、コントローラを使用して、決定に基づいて治療放射線を終了するステップをさらに含むことができる。
【0067】
他の実施形態では、治療放射線の1つ以上のパラメータは、パルスあたりのエネルギー、反復速度、焦点領域の位置、及び焦点領域のサイズのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0068】
また他の実施形態では、組織の所望する変化は、発色団の存在下で選択的熱電子プラズマが生成されることもあり得る。
【0069】
他の実施形態では、方法は、コントローラを使用して信号放射の特性を記録することを含むことができる。
【0070】
他の実施形態では、この方法は、コントローラを使用して、第1位置で第1プラズマから発する第1信号放射の第1の特性を記録するステップ、第1位置に対する座標に第1の特性をマッピングするステップ、データ取得装置を使用して、第2位置で第2プラズマから発する第2信号放射の第2の特性を記録するステップ、及び第2位置の座標にマッピングするステップをさらに含むことができる。他の実施形態では、プラズマが窓内に少なくとも部分的に位置するかどうかを決定するステップは、信号放射の強度に基づいてもよい。
【0071】
他の実施形態では、プラズマが窓内に少なくとも部分的に位置するかどうかを決定するステップは、信号放射のスペクトル成分に基づいてもよい。
【0072】
一実施形態では、システムが提供され、放射線源、焦点光学系、検出器、及び治療放射線を含むことができる。放射線源は、画像化放射線で組織を照射するように構成してもよい。焦点光学系は、組織の視野を画像化するように構成してもよい。検出器は、組織の視野画像を検出するように構成してもよい。治療放射線は、焦点光学系を使用して、画像に部分的に基づいて指定された標的治療領域内の焦点領域に集束させるように構成することができる。
【0073】
システムは、組織の第2領域まで視野を走査するように構成されたスキャナをさらに備えることができる。焦点光学系は、組織の第2領域からの視野の第2画像を画像化するようにさらに構成してもよい。検出器は、第2画像を検出するようにさらに構成してもよい。他の実施形態では、スキャナは、標的治療領域内の焦点領域を走査するようにさらに構成してもよい。
【0074】
他の実施形態では、システムは、画像及び第2画像をマップに差し込むように構成されたコントローラをさらに含むことができる。マップは、診断、治療計画、及び治療放射線の治療パラメータのうちの少なくとも1つの決定に使用されるように構成することができる。
【0075】
他の実施形態では、システムは、焦点領域が組織表面から所定の深さに位置するように、組織表面と接触するように構成された窓をさらに含むことができる。他の実施形態では、システムは、画像を記録するように構成されたコントローラをさらに含むことができる。他の実施形態では、システムは、画像に部分的に基づいて治療放射線のパラメータを制御するように構成されたコントローラをさらに含むことができる。
【0076】
他の実施形態では、治療放射線は、焦点領域に近接した発色団でプラズマを選択的に生成するように構成してもよい。
【0077】
他の実施形態では、焦点光学系は、顕微鏡画像化、広視野画像化、及び反射型共焦点画像化のうちの少なくとも1つをS使用して第1画像を画像化するようにさらに構成してもよい。
【0078】
他の実施形態では、システムは、画像を表示するように構成されたディスプレイをさらに含んでもよい。
【0079】
一実施形態では、方法が提供される。方法は、放射線源を使用して、画像化放射線で組織を照射するステップを含むことができる。方法はまた、焦点光学系を使用して組織の視野画像を画像化するステップを含むことができる。方法は、検出器を使用して画像を検出するステップをさらに含むことができる。方法はまた、画像に部分的に基づいて組織の標的治療領域を指定するステップを含むことができる。方法は、焦点光学系を使用して、治療放射線を標的治療領域内の焦点領域に集束させるステップをさらに含むことができる。
【0080】
他の実施形態では、方法は、スキャナを使用して組織の第2領域に対する視野を走査するステップ、焦点光学系を使用して組織の第2領域で視野の第2画像を画像化するステップ、及び検出器を使用して第2画像を検出するステップをさらに含むことができる。
【0081】
他の実施形態では、方法は、スキャナを使用して標的治療領域内の焦点領域を走査するステップをさらに含むことができる。
【0082】
他の実施形態では、方法は、画像と第2画像を一緒にマップに差し込むステップをさらに含むことができる。
【0083】
他の実施形態では、方法は、診断、治療計画、及び治療放射線の治療パラメータのうちの少なくとも1つをマップから決定するステップをさらに含むことができる。
【0084】
他の実施形態では、方法は、焦点領域が組織表面から所定の深さに位置するように、窓を使用して組織表面に接触するステップをさらに含むことができる。
【0085】
他の実施形態では、方法は、コントローラを使用して画像を記録するステップをさらに含むことができる。
【0086】
他の実施形態では、方法は、コントローラを使用して、画像に部分的に基づいて治療放射線のパラメータを制御するステップをさらに含むことができる。
【0087】
他の実施形態では、治療放射線は、焦点領域に近接した発色団でプラズマを選択的に生成するように構成してもよい。
【0088】
他の実施形態では、第1画像を画像化するステップは、顕微鏡画像化、広視野画像化、又は反射型共焦点画像化のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0089】
他の実施形態では、方法は、ディスプレイを使用して画像を表示するステップをさらに含むことができる。
【0090】
本開示内容の実施形態は、添付された図面と共に、後の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【
図1】いくつかの実施形態による、治療システムの例示的な実施形態を示す。
【
図2】皮膚の真皮層の色素沈着領域に集束させた電磁放射(EMR)ビームの概略図である。
【
図3A】メラニンの例示的な吸光度スペクトルのグラフである。
【
図3B】ヘモグロビンの例示的な吸光度スペクトルのグラフである。
【
図4】メラニン及び静脈血の吸収係数、及び皮膚における光の散乱係数対波長のプロットを示す。
【
図5】いくつかの実施形態による、治療システムの概略図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、光学システムの概略図である。
【
図7】いくつかの実施形態による、顕微鏡アタッチメントを有する光学システムの概略図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、ファイバカプラアタッチメントを有する光学システムの概略図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、プラズマ検出方法のフローチャートを示す。
【
図10】いくつかの実施形態による、プラズマ検出システムの概略図を示す。
【
図11A】いくつかの実施形態による、治療光学システムの概略図である。
【
図11B】メラニンタトゥーを有する皮膚サンプルの部分の組織像を示す。
【
図12】いくつかの実施形態による、メラニンタトゥーで生成されたプラズマからの放射線、及び素肌で生成された非プラズマからの放射線に関連するスペクトルを示す。
【
図13】いくつかの実施形態による、カーボンタトゥーで生成されたプラズマからの放射線、及び素肌で生成された非プラズマからの放射線に関連するスペクトルを示す。
【
図14】いくつかの実施形態による、皮膚サンプル中のプラズマによって生成された放射線のスペクトルを示す。
【
図15】いくつかの実施形態による、サファイア窓を使用して形成されたプラズマからの放射スペクトルを示す。
【
図16A】いくつかの実施形態による、プラズマ検出システムの例示的なバージョンの正面図を示す。
【
図16B】いくつかの実施形態による、プラズマ検出システムの例示的なバージョンの断面図を示す。
【
図16C】いくつかの実施形態による、プラズマ検出システムの例示的なバージョンの詳細図を示す。
【
図17】いくつかの実施形態による、窓参照のフローチャートを示す。
【
図18A】いくつかの実施形態による、窓参照システムの概略図を示す。
【
図18B】いくつかの実施形態による、窓参照システムの性能を示す。
【
図19】いくつかの実施形態による、共焦点画像化のための例示的なベンチプロトタイプを示す。
【
図20】いくつかの実施形態による、最大放射線強度測定を示す。
【
図21A】いくつかの実施形態による、着脱可能な窓参照システムが取り付けられていない治療システムの例示的なバージョンの正面図を示す。
【
図21B】いくつかの実施形態による、着脱可能な窓参照システムが取り付けされた治療システムの例示的なバージョンの正面図を示す。
【
図21C】いくつかの実施形態による、着脱可能な窓参照システムが取り付けられた治療システムの例示的なバージョンの断面図を示す。
【
図22A】いくつかの実施形態による、窓参照システムが取り付けられていない治療システムの例示的なバージョンの正面図を示す。
【
図22B】いくつかの実施形態による、窓参照システムが取り付けられた治療システムの例示的なバージョンの正面図を示す。
【
図22C】いくつかの実施形態による、窓参照システムが取り付けられた治療システムの例示的なバージョンの断面図を示す。
【
図23】いくつかの実施形態による、画像化及び放射線ベースの治療方法のフローチャートを示す。
【
図24】いくつかの実施形態による、画像化及び放射線ベースの治療システムの概略図を示す。
【
図25】いくつかの実施形態による、差し込み画像を概略的に示す図である。
【
図26A】いくつかの実施形態による、画像化及び放射線ベースの治療システムの例示的なバージョンの正面図を示す。
【
図26B】いくつかの実施形態による、画像化及び放射線ベースの治療システムの例示的なバージョンを示す。
【
図27A】いくつかの実施形態による、画像化及び放射線ベースの治療システムの例示的なバージョンを使用して撮影された白黒画像を示す。
【
図27B】いくつかの実施形態による、例示的なバージョンの画像化及び放射線ベースの治療システムを使用して撮影された多重画像を含む差し込み白黒画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0092】
図面は、必ずしも縮尺の通りではないことに留意されたい。図面は、本明細書で開示された主題の典型的な態様のみを示すことを意図しており、従って、本開示の範囲を制限するものと見なされるべきではない。本明細書に具体的に説明され、添付の図面に示されるシステム、装置、及び方法が非限定的な例示的実施形態である。
【0093】
本明細書に開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全般的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態がここに説明される。これらの実施形態の1つ以上の例が添付の図面に示されている。当業者は、本明細書で具体的に説明され、添付の図面に示される装置及び方法が非限定的な例示的実施形態であり、本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態と関連して図示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。そのような修正及び変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0094】
本発明の実施形態は、このような色素沈着症状(pigmentary condition)の外観を改善するために、肝斑などの皮膚の色素沈着症状の治療に関して以下で詳細に論じる。しかしながら、開示された実施様態は、他の色素沈着及び非色素沈着症状、並びに他の組織及び非組織標的の治療のために制限なく使用されてもよい。色素沈着症状の例は、炎症後の色素沈着(hyperpigmentation)、目の周囲の色黒の皮膚、黒目、カフェオレ斑(cafe au lait patches)、ベッカー母斑(Becker’s nevi)、太田母斑(Nevus of Ota)、先天性色素細胞性母斑(congenital melanocytic nevi)、雀卵斑(ephelides)(小斑点(freckles))、及び黒子(lentigo)を含む組織を含むことができるが、これらに制限されることはない。治療できる色素組織、及び構造の追加例は、ヘモシデリンが豊富な構造、色素胆石、タトゥーを含む組織、及びルテイン、ゼアキサンチン、ロドプシン、カロチノイド、ビリベルジン、ビリルビン、及びヘモグロビンが豊富な構造を含むが、これらに限定されない。非色素性構造、組織及び状態の治療のための標的の例には、毛嚢、毛幹、血管病変、感染状態、皮脂腺、にきびなどを含み得るが、これらに限定されない。
【0095】
美容目的のための様々な皮膚状態を治療する方法は、本明細書に記載のシステムを使用して実行され得る。このような方法は、医師によって実施され得るが、美容師、及びその他の適切に訓練された要員などの非医師は、医師の監督の有無に関わらず、様々な皮膚状態を治療するために本明細書に記載のシステムを使用できることが理解される。
【0096】
さらに、本開示では、実施形態の同様の名称の構成要素は、一般に同様の特徴を有し、特定の実施形態内では、それぞれ同様の名前の構成要素の各特徴は、必ずしも完全に記述されているわけではない。また、開示されたシステム、装置、及び方法の説明において、直線又は円形の寸法が使用される限り、そのような寸法は、そのようなシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用できる形態の類型を制限すること意図しない。当業者は、そのような直線及び円形の寸法と同等の寸法が任意の幾何学的形態に対して容易に決定され得ることを認識するであろう。システム及び装置、並びにそれらの構成要素のサイズ及び形状は、システム及び装置が使用される構成要素のサイズ及び形、システム及び装置が使用される方法及び手続は、システム及び装置が使用される対象の解剖学的構造に少なくとも依存し得る。
【0097】
一般に、電磁放射(EMR)(例えば、レーザビーム)を組織の治療領域に集束させることができる高開口数(NA)光学治療システムが記述されている。別に言及されない限り、EMR、EMRビーム、及びレーザビームという用語は、本明細書で相互交換的に使用される。集束レーザビームは、周辺組織を損傷することなく治療領域に光エネルギーを伝達することができる。伝達された光エネルギーは、影響を受けない非標的領域(例えば、上皮層、真皮層の他の部分など)に囲まれた皮膚又は組織の周辺領域又は他の色素沈着標的領域に影響を及ぼすことなく、例えば皮膚の真皮層の治療領域で色素沈着発色団(chromophores)及び/又は標的を破壊することができる。他の実施形態では、伝達された光エネルギーは、タトゥーの除去又は変更、又はヘモグロビン関連の治療を誘発することができる。
【0098】
光又は光エネルギーで皮膚状態を治療するための例示的な方法及び装置は、「真皮肝斑を治療するための方法及び装置」と題する米国特許出願公開第2016/0199132号、及び「真皮肝斑の選択的治療のための方法および装置」と題する米国仮出願第62/438,818号に開示されており、これらの各々は、その全体が参照として本明細書に組み込まれている。
【0099】
一般に、組織の色素沈着症状の治療のためのシステム及び対応する方法が提供される。以下でより詳細に論じられるように、開示されるシステム及び方法は、レーザビームなどの電磁放射(EMR)を使用して、所定の量のエネルギーを標的組織に伝達する。EMRは、焦点領域に集束させることができ、焦点領域は標的組織に対して任意の方向に変換又は回転し得る。所定の量の放射線は、色素沈着症状を示す組織の部分を熱的に破壊又は損傷するように構成され得る。このようにして、所定の量のエネルギーは、その外観を改善するための色素沈着症状の治療のために標的組織内の任意の位置に伝達され得る。
【0100】
図1は、治療システム10の例示的な一実施形態を示す。図に示すように、治療システム10は、取付けプラットホーム12、エミッタ14、及びコントローラ16を含む。取付けプラットホーム12は、1つ以上のマニピュレータ又はアーム20を含むことができる。アーム20は、対象24の標的組織22に対して様々な治療を実行するためにエミッタ14に結合し得る。取付けプラットホーム12及びエミッタ14の作動は、ユーザによって、手動で又はコントローラ16を使用して(例えば、ユーザインタフェースを介して)指示されてもよい。特定の実施形態(図示せず)で、エミッタは、ハンドヘルド形状因子を有することができ、取付けプラットホーム12は、省略されてもよい。
【0101】
エミッタ14とコントローラ16(及び任意に取付けプラットホーム12)は、通信リンク26を介して通信することができ、これは、任意の適切な通信プロトコルによって任意の適切なタイプの信号(例えば、電気、光学、赤外線など)を伝達する任意の適切なタイプの有線及び/又は無線通信リンクであり得る。
【0102】
コントローラ16の実施形態は、エミッタ14の動作を制御するように構成してもよい。一態様では、コントローラ16は、EMR30の移動を制御することができる。以下で詳細に説明するように、エミッタ14は、EMR30の放出のための源32とEMR30の操作のための走査システム34を含むことができる。例として、走査システム34は、EMR30を焦点領域に集束させ、この焦点領域を空間内で移動及び/又は回転させるように構成してもよい。コントローラ16は、通信リンク26を介して源32に、波長、電力、反復速度、パルス持続時間、パルスエネルギー、集束特性(例えば、焦点体積、レイリー長など)の1つ以上の選択された特性を有するEMR30を放出するように命令するために、信号を源32に送信することができる。他の態様では、コントローラ16は、通信リンク26を介して走査システム34が1つ以上の変換及び/又は回転動作で標的組織22に対してEMR30の焦点領域を移動するように命令するために、走査システム34に信号を送信することができる。
【0103】
治療システム10及び方法の実施形態は、真皮層などの皮膚組織内の標的と関連して本明細書で説明される。しかしながら、開示された実施形態は、制限されることなく対象の任意の場所の任意の組織の治療のために使用され得る。非皮膚組織の例には、粘膜組織、生殖器組織、内臓組織、及び胃腸管組織表面領域及び表面下領域を含むことができるが、これらに制限されない。
【0104】
図2は、皮膚組織で真皮層の色素沈着領域に集束されたレーザビームの例示的な概略図である。皮膚組織は、皮膚表面100及び上部表皮層110、又は表皮を含み、これらは、例えば、顔面領域において約30から120μmの厚さであり得る。表皮110は、身体の他の部分では、わずかに厚くなることもある。例えば、一般に表皮の厚さは、約30μm(例えば、まぶた)から約1500μm(例えば、手のひら又は足の裏)の範囲であり得る。このような表皮は、皮膚の特定の状態、例えば乾癬により、上記の例よりも薄い又は厚い場合もある。下部真皮層120又は真皮は、表皮110の下からより深い皮下脂肪層(図示せず)まで延びる。深部又は真皮の肝斑を示す皮膚は、過剰な量のメラニンを含む色素沈着細胞又は領域130の集団を含むことができる。電磁放射(EMR)150(例えば、レーザビーム)は、真皮120又は表皮110内に位置し得る1つ以上の焦点領域160に集束することができる。EMR150は、メラニンによって吸収される1つ以上の適切な波長で提供されてもよい。EMR波長は、以下で説明する1つ以上の基準に基づいて選択されてもよい。
【0105】
[治療放射線の特性]
色素沈着症状及び非色素沈着症状などの特定の皮膚状態の治療に望ましい波長の決定は、例えば皮膚に存在する様々な競合する発色団(例えば、発色団、ヘモグロビン、タトゥーのインクなど)の波長依存吸収係数に依存することができる。
図3Aは、メラニンの例示的な吸光度スペクトルのグラフである。メラニンによるEMRの吸収は、約350nmの波長でピーク値に到達した後、波長の増加とともに減少することが観察されている。メラニンによるEMRの吸収は、メラニン含有領域130の加熱及び/又は破壊を促進するが、非常に高いメラニン吸光度は、表皮110における色素による高い吸収をもたらし、EMRの真皮120又は表皮110への浸透を低減させることができる。
図3Aに示すように、メラニン吸収は、約500nm未満のEMR波長で相対的に高い。従って、約500nm未満の波長は、真皮120内に十分に浸透して、その内部の着色領域130を加熱及び損傷させたり破壊したりするのに適していない可能性がある。より小さい波長でのそのような増強され吸収は、表皮110及び真皮120の上部(表層)部分に望まない損傷をもたらす可能性があり、吸収されていないEMRが組織を通過して真皮120のより深い部分に入ることは相対的に少ない。
【0106】
図3Bは、酸素化又は脱酸素化ヘモグロビンの例示的な吸光度スペクトルのグラフである。ヘモグロビンは、皮膚組織の血管に存在し、酸素化(HbO
2)又は脱酸素化(Hb)される。ヘモグロビンの各形態は、わずかに異なるEMR吸収性を示す場合がある。
図3Bに示すように、Hb及びHbO
2の両方の例示的な吸収スペクトルは、約600nm未満のEMR波長でHb及びHbO
2の両方の吸収係数が高く、より高い波長では、吸光度が大幅に減少することを示している。ヘモグロビン(Hb及び/又はHbO
2)によって皮膚組織に向けられたEMRの強い吸収は、ヘモグロビンを含む血管の加熱をもたらし、希望する治療がメラニンの豊富な組織又は構造である場合、これらの血管構造への不要な損傷を引き起こし、メラニンによる吸収に利用できるEMRが少なくなり得る。
【0107】
EMRに適切な波長の選択は、EMRと相互作用する組織の波長依存散乱プロファイルにも依存することができる。
図4は、波長に対するメラニン及び静脈(脱酸素化)血液の吸収係数のプロットを示している。
図4は、皮膚における光の散乱係数と波長のプロットも示している。メラニンの吸収は、波長によって単調に減少する。メラニンが色素沈着症状の治療の対象である場合、メラニンの吸収率が高い波長が望ましい。これは、光の波長が短いほど治療の効率が上がることを示唆している。しかし、血液による吸収は、800nmよりも短い波長で増加するため、意図しない血管の標的化のリスクが増加する。さらに、意図した標的が皮膚表面の下に位置することがあるため、皮膚(例えば、真皮層)による散乱の役割が重要になり得る。散乱は、意図した対象に到達する光の量を減らす。散乱係数は、波長の増加とともに単調に減少する。従って、より短い波長はメラニンによる吸収に有利に働くことができ、より長い波長は散乱が減少するため、より深い浸透に有利に働くことができる。同様に、長い波長は血液による吸収が低いため、血管を保存するのに適している。
【0108】
上記の考慮事項を念頭に置いて、波長は、約400nmから約4000nm、より具体的には約500nmから約2500nmの範囲であり得、真皮中の特定の構造(例えば、メラニン)を任意に標的化するのに使用され得る。特に、約800nm及び約1064nmの波長は、このような治療に有用であり得る。800nm波長は、この波長のレーザダイオードが安価で容易に利用できるため、魅力的である。しかし、1064nmは、この波長での散乱が少ないため、より深い病変を標的とする場合に役立ち得る。1064nmの波長は、表皮メラニンが大量にある色黒の皮膚のタイプにも適合し得る。このような個体では、表皮のメラニンによる低波長EMR(例えば、約800nm)の吸収が高いほど、皮膚への熱的損傷の可能性が高くなる。従って、1064nmは、一部個人の特定の治療のための治療放射線のさらに適切な波長であり得る。
【0109】
EMR生成には、様々なレーザ源を使用することができる。例えば、1064nm EMRを提供するネオジム(Nd)を含むレーザ源は容易に利用可能である。このようなレーザ源は、約1Hzから100KHzの範囲の反復速度で、パルスモードで動作することができる。QスイッチNdレーザ源は、1ナノ秒未満のパルス持続期間を有するレーザパルスを提供し得る。他のNdレーザ源は、1ミリより長いパルス持続期間を有するパルスを提供し得る。1060nm波長EMRを提供する例示的なレーザ源は、米国、コネチカット州のイーストグランビー(East Granby)に所在のNUFERN社の20W NuQファイバレーザである。20W NuQファイバレーザは、約20KHzから約100KHzの範囲の反復速度で約100nsのパルス持続期間を有するパルスを提供する。他のレーザ源は、フランス、レジュリス(Les Ulis)に所在のクァンテル社(Quantel)のNd:YAG Q-smart850である。Q-smart850は、最大約850mJのパルスエネルギーと、約6nsのパルス持続期間を最大約10Hzの反復速度で有するパルスを提供する。
【0110】
本明細書に説明されたシステムは、EMRを非常に集束性の高いビームに集束させるように構成することができる。例えば、システムは、約0.3から1(例えば、約0.5から約0.9)から選択される開口数(NA)を有する焦点又は集束レンズ配列を含むことができる。EMRの対応する大きい集束角は(皮膚内に配置可能)レンズの焦点領域で高いフルエンス及び強度を提供し、焦点領域上の上部組織では低いフルエンスを提供できる。このような焦点幾何構造は、色素沈着した皮膚領域上の上部組織の望ましくない加熱及び熱的損傷を低減するのに役立つ。例示的な光学的配列は、EMRを放出配列から焦点レンズ配列に向けるように構成されたコリメートレンズ配列をさらに含んでもよい。
【0111】
例示的な光学治療システムは、約500μm未満、例えば、約100μm未満、又は約50μm未満、例えば、約1μmと小さい幅又はスポットサイズを有する焦点領域にEMRを集束するように構成してもよい。例えば、スポットサイズは、約1μmから約50μm、約50μmから約100μm、及び約100μmから約500μmの範囲を有することができる。焦点領域のスポットサイズは、例えば空気中で決定されてもよい。このようなスポットサイズは、焦点領域でEMRの高いフルエンス又は強度を提供するのに十分に小さく(真皮の色素構造を効果的に照射するために)、適切な治療時間で皮膚組織の大きい領域/ボリュームの照射を容易にするのに十分な大きさに選択されてもよい。
【0112】
高NAの光学システムは、光軸に沿って互いに異なる深さに互いに異なるエネルギー密度を提供する。例えば、約0.5のNAを有する光学システムは、焦点で約2μm直径の焦点領域幅(即ち、ウエスト)に放射線を集束させる。焦点領域は、約1J/cm2の焦点でフルエンス(即ち、エネルギー密度)を有する。高いNA(即ち、速い)光学システムにより、焦点外の10μmの位置では、放射線のエネルギー密度は0.03J/cm2又は焦点エネルギー密度の3%になる。焦点外の30μmの放射線のエネルギー密度は、焦点外のエネルギー密度の0.4%(0.004J/cm2)に過ぎない。光軸に沿ったエネルギー密度のこのような急激な変化により、深さの選択的な組織治療が可能になる。しかし、それはまた、標的組織内の焦点領域の正確な深さ位置決め(例えば、数十マイクロメートル以内)を必要とする。
【0113】
例示的な光学的配列は、EMRの焦点領域を皮膚表面下の深さ、例えば約30μmから約2000μmの範囲(例えば、約150μmから約500μmの間)にある真皮組織内の位置に向けるように構成することもできる。このような例示的な深度範囲は、真皮肝斑又は他の目的の標的を示す皮膚の色素沈着領域の典型的な観察された深度に対応することができる。この焦点深度は、皮膚表面と接触するように構成された装置の下面と焦点領域の位置との間の光軸に沿った距離に対応することができる。さらに、いくつかの実施形態は、表皮内の標的を治療するために構成することができる。例えば、光学的配列は、EMRの焦点領域を表皮組織内の位置(例えば、皮膚表面下の約5μmから約2000μm)に向けるよう構成してもよい。さらに他の実施形態は、真皮の深い標的を治療するように構成してもよい。例えば、タトゥーアーティストは、通常、タトゥーガンを調整して皮膚表面の下約1mmから約2mmの深さまで皮膚を貫通する。従って、いくつかの実施形態では、光学的配列は、皮膚表面の下の約0.4mmから2mmの範囲の真皮組織内の場所にEMRの焦点領域を向けるように構成してもよい。
【0114】
組織治療のための治療システムは、標的組織内の治療領域を特定できることが望ましい場合がある。(例えば、画像化による:色素、標的組織の真皮層と表皮層との間の境界面、細胞膜など)。EMRと標的組織との間の相互作用(例えば、組織内のプラズマ生成)を監視/検出することも望ましい場合がある。さらに、検出に基づいて、治療システムは治療プロセスを変更することができる(例えば、標的組織内の焦点領域の強度、サイズ/位置の変更など)。以下、治療システムの様々な実施形態が説明される。
【0115】
さらに要約するために、いくつかの例示的な実施形態に対するパラメータ範囲を含む表が下に提示される。
【表1】
【0116】
ここで焦点領域の深さは組織内の深さであり(例えば、焦点領域の深さ=0は、組織表面近くにあり得る)、M2は、EMRビームの品質を特徴付けるパラメータである。
【0117】
[フィードバック検出及びEMRベースの治療]
図5は、治療システム500の概略図である。治療システム500は、光学システム502、EMR検出システム504、及びコントローラ506を含むことができる。光学システム502は、源(例えば、レーザ)によって生成されたEMR510を標的組織550の焦点領域552に向けるための光学素子(例えば、鏡、ビームスプリッタ、対物レンズのうちの1つ以上)を含むことができる。EMR510は、標的組織550(例えば、皮膚)の真皮及び/又は表皮層を画像化するための画像化放射線を含むことができる。EMR510はまた、標的組織の領域(例えば、標的組織550の領域522)を治療するための治療放射線を含むことができる。いくつかの実装形態では、EMR510は、与えられた期間内に画像化放射線及び治療放射線のうちの1つだけを含むことができる。例えば、EMR510は、第1期間の治療放射線及び第2期間の画像化放射線を含むことができる。他の実施形態では、EMR510は、与えられた期間内の画像化及び治療放射線の両方を同時に含むことができる。いくつかの実施形態によれば、画像化放射線は、治療放射線の波長と概ね等しい波長であり、そして、画像化放射線は、治療放射線よりも少ない電力を有する。他の実施形態によれば、画像化放射線は、治療放射線を提供する源以外の画像化放射線源によって提供され、画像化放射線は、治療放射線とは異なる波長を有する。
【0118】
EMR検出システム504(例えば、フォトダイオード、電荷結合素子(CCD;charged-coupled-device)、分光計、光子増倍管など)は、EMR510及び/又は標的組織によって反射されたEMR510の一部との相互作用のために標的組織550によって生成される信号放射512を検出することができる。例えば、閾値(例えば、治療放射線)以上の強度を有するEMR510は、標的組織にプラズマを生成してもよい。プラズマは、例えばEMR510との相互作用により信号放射512を生成することができる。信号放射512は、プラズマの特性(例えば、プラズマの存在、プラズマの温度、プラズマのサイズ、プラズマの成分など)を示すことができる。
【0119】
いくつかの実装形態では、閾値(例えば、画像化放射線)未満の強度を有するEMR510は、標的組織550を著しく乱すことなく(例えば、標的組織550を損傷することなく標的組織550内にプラズマを生成)、標的組織と相互作用することができる。このような相互作用から生成された信号放射512は、標的組織550(例えば、EMR510の焦点領域における標的組織550の一部)を画像化するのに使用されてもよい。この信号放射512は、標的組織550で色素(例えば、標的組織の焦点領域に位置する色素)を検出するために使用されてもよい。いくつかの実施形態によれば、非色素組織(non-pigmented tissue)が画像化される。例えば、画像化放射線(例えば、EMR510)が異なる屈折率を有する細胞構造を通過するとき、光は信号放射512として反射される。
【0120】
光学システム502及びEMR検出システム504は、コントローラ506に通信可能に結合することができる。コントローラ506は(例えば、光学システム502の動作を制御することによって)治療システム500の動作パラメータを変更することができる。例えば、コントローラ506は、標的組織550内のEMR510の焦点領域552を移動することができる。以下でより詳細に論じられるように、これは、例えば、焦点領域552の位置を変更するために、標的組織550に対して光学システム502を移動させることによって、及び/又は光学システム502内で光学素子を移動させることによって(例えば、光学素子に結合されたアクチュエータを制御することによって)実行されてもよい。コントローラ506は、EMR検出システム504から信号放射512の光学的検出を特徴付けるデータを受信することができる。
【0121】
コントローラ506は、EMR510の特性を制御してもよい。例えば、コントローラ506は、EMR510の特性(例えば、強度、反復速度、パルスあたりのエネルギー、平均電力など)を変更するようにEMR510の源(例えば、レーザ源)に指示することができる。いくつかの実装形態では、コントローラ506は、EMRの経路で光学素子(例えば、対物レンズ、回折光学素子など)を配置/制御することによって、EMR510の光学特性(例えば、焦点領域の位置、ビームサイズなど)を変更することができる。例えば、コントローラ506は、EMR510の経路に対物レンズを配置し、及び/又はEMR510の経路に沿って対物レンズを移動させてEMR510の焦点領域のサイズを変更することができる。
【0122】
コントローラ506は、EMR検出システム504からの信号放射512の検出に基づいて標的組織550の様々な特性及び/又はEMR510と標的組織550との間の相互作用(例えば、標的組織550におけるプラズマ生成)を決定することができる。治療システム500の一実施形態では、コントローラ506は、標的組織550における色素の分布、真皮表皮層接合部の組織分布のうちの1つ以上を決定することができる。さらに、コントローラ506は、標的組織550の上述した特性のうちの1つ以上の検出された分布を示すマップを生成するように構成してもよい。このような分布の決定及び/又は分布マップの生成は、本明細書では画像化ということができる。
【0123】
特定の実施形態では、標的組織550。例えば、デカルト座標系では、標的は1つ以上の軸(例えば、x軸、y軸、z軸、又はこれらの組み合わせに沿って)走査されてもよい。代替の実施形態では、他の座標系(例えば、円筒座標、球面座標など)に従って走査を行ってもよい。走査は、画像化ビーム(例えば、閾値未満の強度を有するEMR510)を使用して実行されてもよく、画像化ビームの経路における標的組織550の様々な領域に対応する信号放射512は、EMR検出システム504によって検出されてもよい。信号放射512の特性(例えば、強度)は、画像化ビームと相互作用する標的組織550の部分の色素(例えば、画像化ビームの焦点領域552内の色素)に基づいて変化し得る。コントローラ506は、信号放射512の検出された特性(例えば、強度)を特徴付けるデータを含むことができ、EMR検出システム504から信号を受信することができる。コントローラ506は、受信データを分析(例えば、受信データをデータベース内で検出された信号放射512の所定の特性値と比較)して標的組織550の色素の存在/特性を決定することができる。
【0124】
いくつかの実装形態では、コントローラ506は、信号放射512に基づいて治療される標的組織550の一部(「標的治療領域」)の位置を決定することができる。例えば、標的組織550の表面から所定の深さに位置する標的組織550内の層(例えば、皮膚組織内の真皮層)を治療することが望ましい場合がある。光学システム502は、焦点領域552が標的組織550の表面に入射するように(例えば、光学システム502を標的組織550の表面から所望する距離に配置することによって)調整してもよい。これは、例えば、信号放射512がEMR510と標的組織550の表面との間の相互作用を示す所定の特性を示す時までz方向に沿って光学システム502を走査することによって実行されてもよい。例えば、界面材料(例えば、光学スラブ、ゲルなど)を標的組織550の表面に配置してもよく、焦点領域552が標的組織550から界面材料に移行するときに、信号放射512の特性が変化し得る。これは、組織表面又はその近くにあるEMR510の焦点領域552の位置を示すことができる。光学システム502がEMR510の焦点領域552が標的組織550の表面又はその近くにあるように配置されると、光学システム502は、焦点領域552が標的組織550の表面の下の所定の深さにあるように(例えば、z方向に沿って)移動し得る。
【0125】
コントローラ506は、信号放射512の検出された特性を特徴付けるデータを含むEMR検出システム504から受信された信号に基づいて、治療システム500の動作パラメータを変更することができる。例えば、EMR検出システム504のいくつかの実施形態は、標的組織550における真皮表皮(DE)接合部(dermis-epidermis(DE)junction)の深さを検出することができ、コントローラ506は、DE接合の深さに応じて焦点領域552の深さを調整することができる。このようにして、DE接合は、真皮内の焦点領域552の深さを決定するための参照として使用することができる。また、EMR検出システム540のいくつかの実施形態は、(例えば、分光光度計を使用して)皮膚の表皮層に存在するメラニンの割合を定量化し得る。メラニンの割合に基づいて、コントローラ506は、指定された担当者(例えば、臨床医)にレーザパラメータの1つ以上の変更を提案することができる。いくつかの実施形態によれば、レーザパラメータの変化は、検出されたメラニンの割合に反比例するパルスあたりのエネルギー変化、メラニンの割合増加に係る焦点角の増加、メラニンの割合に基づく焦点領域552の深さ変更のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0126】
いくつかの実装形態では、音響センサ530(例えば、音響センサ)は、標的組織550に結合されてもよく、音響センサ530は、EMR510と標的組織550との間の相互作用特性を検出することができる。例えば、音響センサは、標的組織550(例えば、焦点領域552で生成されたプラズマ)でプラズマの生成によって生成された圧力波552を検出することができる。音響センサ530の例には、圧電変換器、容量型変換器、超音波変換器、ファブリペロー干渉計、及び圧電膜が含まれ得る。
【0127】
一態様では、圧力波532は衝撃波であってもよく、圧力の急激な変化は、その媒体(例えば、空気)を介して音速より速い速度で伝播する。他の態様では、圧力波532は、その媒体の音速とほぼ等しい速度で媒体を介して伝播する音響波(acoustic wave)であってもよい。
【0128】
光音響画像化は、光音響効果に基づく生体医学画像化の様式である。光音響画像化では、非イオン化レーザパルスは、生体組織に伝達される(無線周波数パルスが使用される場合、この技術は熱音響画像化と呼ばれる)。伝達されたエネルギーの一部は、吸収されて熱に変換され、一時的な熱弾性膨張を起こして広帯域(即ち、MHz)超音波を放出する。
【0129】
音響センサ530からのセンサ測定データは、コントローラ506に送信することができる。コントローラ506は、信号放射512を介した色素検出の検証のために、このデータを使用することができる。いくつかの実施形態によれば、治療は、衝撃波532の検出を通じて確認される。圧力波532の存在及び/又は強度は、生成されるプラズマ及び実行されるプラズマ媒介治療と相関する。さらに、焦点領域の圧力波532が検出されるマッピングによって、治療された組織の包括的なマップが生成され、文書化され得る。
【0130】
図6は、光学システム600の例示的な一実施形態を示す図である。光学システム600は、EMRビーム602をEMR源605から標的組織650に導くことができる。EMR源605は、レーザ(例えば、450mJのパルスエネルギー、6ナノ秒[nS]のパルス持続時間、及び1064nmの波長又は1064nmの高調波を有するクァンテル社(Quantel)のQスマート450レーザ)であってもよい。いくつかの実施形態によれば、EMRビーム602は、アダプタ610を介して光学システム600に導入されてもよい。アダプタは、EMRビーム602を生成するEMR源を関節型アーム、例えば、
図1の取付けプラットホーム12のアーム20に固定するように構成してもよい。
【0131】
いくつかの実施形態によれば、回折光学素子(DOE)620(例えば、ビームスプリッタ、多焦点光学系など)は、EMRビーム602の経路に配置されてもよい。DOE620は、EMRビーム602の特性を変更して、第2EMRビーム604を透過することができる。例えば、DOE620は、互いに異なる焦点領域に集束される多重サブビームを生成することができる。標的組織の治療のための具現及びDOEの使用は、「EMRベースの組織治療のための回折光学」と題する米国仮出願62/656,639でさらに詳しく論じられており、その全体が本明細書に参照として含まれる。DOE620によって透過した第2EMRビーム604(例えば、DOE620によって生成された多重サブビーム)は、ビームスプリッタ640(例えば、二色性ビームスプリッタ)によって標的組織650に向けることができる。二色性ビームスプリッタの例としては、約950nmの遮断波長、約420nmから約900nmの間の透過帯域、及び約990から約1600nmの間の反射帯域(Thorlabs PN DMSP950R)を有する短距離の二色性ミラー/ビームスプリッタを含むことができる。第2EMRビーム604は、ビームスプリッタ640によって反射され、対物レンズ(objective)660に向けることができる。対物レンズ660は、窓645を介して標的組織650の焦点領域652にEMRビーム604を集束させることができる。対物レンズ662の例は、直径約25ミリメートル(mm)、開口数(NA)が約0.83、近赤外線(NIR)コーティング、及び約15mmの有効焦点距離を有するエドモンド・オプティクス社(Edmunds Optics)のPN67-259非球面レンズである。窓645は、標的組織650を所定の位置に保持するのに使用されてもよい。
【0132】
いくつかの実装形態では、EMRビーム602,604は、EMRビーム602,604の経路に配置されたビームエクスパンダ(図示せず)によって拡張されてもよい。ビーム拡張は、光学システム600の望ましいNA値を許容することができる。例えば、Q-smart450レーザで生成されたレーザビームは、約6.5mmのビーム直径を有することができ、レーザビームを直径の2倍に拡張できるビームエクスパンダが必要になることもある。拡張されたEMRビーム602,604は、十分に高いNA(例えば、0.3超過)でEMRビーム602,604を集束させるために、約15mmのEFLレンズを使用して集束させることができる。
【0133】
光学システム600は、EMRビーム604の焦点領域652が標的組織650の表皮の下に位置するように配置されてもよい。これは、例えば、光学システム600を標的組織650に対して移動させることによって、及び/又はEMR604のビームの経路に沿って対物レンズ660を移動させることによって実行されてもよい。一実施形態では、光学システム600において、光学システム600/光学素子の位置は、コントローラ(例えば、コントローラ506)によって移動してもよい。焦点領域652を表皮の下(例えば、真皮表皮(DE)接合部の下)に配置することは、表皮における色素沈着過剰又は色素沈着低下につながり得る表皮の望ましくない熱生成を低減又は実質的に抑制することができる。これはまた、熱及び/又はプラズマ生成のために真皮内の領域を標的にすることを可能にできる。
【0134】
第2EMRビーム604と標的組織650との間の相互作用は、信号放射606の生成につながる可能性がある。上記にて説明したように、信号放射606は、標的組織650内のプラズマによって生成された放射線(「組織放射線(tissue radiation)」)を含むことができる。組織放射線は、ビームスプリッタ640の透過帯域にある波長を有することができる。結果として、組織放射線は、ビームスプリッタ640によって大部分が透過され得る。信号放射606はまた、第2EMRビーム604の波長と類似の波長を有する放射線(「システム放射線(system radiation)」)を含むことができる。システム放射線の波長は、ビームスプリッタ640の反射帯域内にあることができる。結果として、システム放射線のごく一部(例えば、10%)がビームスプリッタ640によって透過される。
【0135】
ビームスプリッタ640によって透過した信号放射608は、組織放射線及びシステム放射線(又はその一部)の両方を含むことができる。信号放射608の一部は、EMR検出器690によって捕捉されてもよい。EMR検出器690は、信号放射608(又はその一部)の検出を特徴付けるデータをコントローラ(例えば、コントローラ506)に伝達することができる。例えば、コントローラは、検出(例えば、透過した信号放射608の強度)に基づいて、源605の動作を変更することができる(例えば、源605をオフにする)。
【0136】
一実施形態では、光学システム600は、共焦点顕微鏡として使用されてもよい。これは、例えば、開口680から上流に第2対物レンズ(図示せず)を配置することによって実行されてもよい。開口は、開口680を含む焦点面に集束させることによって、信号放射606を再画像化することができる。開口680は、信号放射608の望ましくない空間周波数をフィルタリング(例えば、遮断)することができる。このような構成は、標的組織650の異なる領域(例えば、組織表面654に対して異なる深さにある標的組織の領域)と関連する信号放射のフィルタリングを可能にすることができる。画像化開口部680と標的組織650との間の距離を変更する(例えば、信号放射608の経路に沿って画像化開口部680を移動させる)ことによって、標的組織の異なる深さが画像化されてもよい。いくつかの実装形態では、コントローラ(例えば、コントローラ506)は、命令をアクチュエータに送信することによって、画像化開口部680を動かすことができる。コントローラ506は、検出データを分析して、標的組織650内のプラズマの存在、標的組織内の色素分布などを決定することができる。光学システム600は、窓645の損傷を検出するのに使用されてもよい。窓645に対する損傷は、第2EMRビーム604と窓645との間の相互作用(例えば、EMRビームの強度が高い場合、EMRビーム604との長時間の相互作用など)によって引き起こされ得る。窓645での損傷の検出は、窓645の損傷による信号放射の強度の変化を決定することによって実現されてもよい。これは、例えば、窓645に入射する焦点領域652を(例えば、窓645の表面近くに、窓645の表面に、窓645の内部に)位置させて信号放射606の強度を検出する(例えば、EMR検出器690として光検出器を使用する)ことによって行うことができる。この強度は、焦点領域652が損傷を受けていていない窓645の同等の位置にあるとき以前に測定された強度と比較してもよい。このような比較に基づいて、窓645の損傷が決定されてもよい。
【0137】
図7は、光学システム700の一実施形態の例示である。光学システム700は、接眼鏡(eyepiece)790を有する顕微鏡アタッチメント770を含むことができる。顕微鏡アタッチメント770は、ビームスプリッタ640によって透過した信号放射608(又はその一部)を捕捉することができる。信号放射608は、鏡筒750(例えば、エドモンド・オプティクス社のPN49-665 25mm直径×50mmEFL 非球面無彩色レンズ)によって再画像化されてもよい。鏡筒750は、信号放射608を接眼鏡790の瞳面(pupil plane)720(例えば、エドモンド・オプティクス社のPN35-689 10X DIN接眼鏡)に再び画像化することができる。
【0138】
上述したように、信号放射608は、組織放射線及びシステム放射線の両方を含むことができる。波長の違いにより、組織放射線の画像とシステム放射線の画像が異なる位置(例えば、異なる平面)で生成される。結果として、接眼鏡790がシステム放射線によって生成された画像を捕捉するように配置されている場合、組織放射線に関連する画像を正確に捕捉できないこともある。しかし、接眼鏡790は、システム放射線の焦点領域でシステム放射線とは異なる波長を有する信号放射を捕捉するように較正されてもよい。較正の1つの方法は、標的組織650の屈折率と類似の屈折率を有する材料をファントム(phantom)(例えば、アクリル)として使用することである。接眼鏡790の較正は、第2EMRビーム604をファントムに集束させて(例えば、対物レンズ660によって)、第2EMRビーム604の焦点領域で破壊(例えば、レーザ誘起光学破壊)を誘導することを含み得る。これに続いて、所定の波長を有する第2EMR放射線をファントムに(例えば、斜めの角度で)衝突させ、接眼鏡790で所定の波長を有するEMR放射線の強度を測定することができる。接眼鏡790の軸方向の位置は、第2EMR源から検出された放射線の強度を最大化するように(例えば、z軸に沿って)調整することができる。特定の実施形態では、接眼鏡790の代わりにセンサを使用してもよい。センサの例には、CMOS及びCCDイメージャーがある。センサは、センサ面での放射線に応じてデジタル画像を生成する。デジタル画像は、焦点領域652の画像を示す。
【0139】
図8は、ファイバカプラアタッチメント(fiber coupler attachment)802を有する光学システム800の実施形態の図である。ファイバカプラアタッチメント802は、上述したように対物レンズ660及びビームスプリッタ640からの光を画像化できる鏡筒810を含む。鏡筒810は、瞳面815(例えば、x-y軸に平行でコリメートレンズ(collimating lens)820を含む平面)で信号放射608を集束させることができる。集束された信号放射608は、コリメートレンズ820を使用して所望のサイズにコリメートすることができ、カップリングレンズ830に向けることができる。カップリングレンズ830は、ファイバコネクタ840に取り付けられたファイバへの結合に望ましいNAで信号放射608を集束させることができる。繊維は、1つ以上のEMR検出器(例えば、検出器504)に光学的に接続されてもよい。いくつかの実施形態によれば、カプラアタッチメント802は、瞳面815に位置する画像化開口部850をさらに含むことができる。開口は、焦点領域652から発せられていない信号放射608の部分をフィルタリングすることができる。いくつかの実施形態によれば、検出機器(例えば、フォトダイオード、分光計など)は、光ファイバ又は関連する光学系なしに画像化開口部850の直後に配置され得る。鏡筒810に対する画像化開口部850の較正は、接眼鏡790の較正と関連して上述したのと同様のプロセスで達成してもよい。
【0140】
フィードバック検出は、EMRベースの治療と組み合わせて、様々な方法で使用することができる。フィードバック情報に基づくEMR治療(EMR-treatment)を実施できるいくつかの方法を説明するために、例示的な応用を以下に説明する。大まかに言えば、以下で説明する例は、フィードバック情報に基づいてEMR治療が3種に分類され得る。この3種は、1)プラズマを検出し、2)焦点領域の位置を参照し、そして3)組織を画像化する。これらの3種の使用カテゴリは、フィードバック情報に基づくEMRベースの治療のための全体(又は相互に排他的な)アプリケーションのリストを意図するものではない。
【0141】
[プラズマフィードバックの例]
いくつかの治療は、治療中のプラズマ形成(例えば、熱電子プラズマ又は光学的破壊)を含む。いくつかの実施形態では、検出されたプラズマの特性は、治療の潜在的な効果を示す。例えば、皮膚色素沈着症状の治療では、焦点領域が皮膚の奥深くに位置するため、治療中に走査される皮膚色素と一致する。焦点領域が皮膚上で走査されると、レーザ源がパルスレーザを照射し、焦点領域と真皮色素が一致する場所に熱電子プラズマが形成される。熱電子プラズマの形成は、1)色素が皮膚内に存在し、2)プラズマ形成の瞬間の色素が焦点領域(例えば、X-Y座標及び深さ)と併置され、及び3)この位置の色素が治療されている(例えば、色素が破壊されている)ことを示す。
【0142】
他の状況において、プラズマ形成は、システムメンテナンスの必要性を示すことができる。例えば、いくつかのシステムは、治療中の組織と接触する窓を含む。この窓は、接触冷却、組織の安定化、組織に対する深さ参照(depth reference)の提供、及び圧力による組織からの血液又はその他の液体の排出など、多くの機能を提供することができる。放射線(例えば、レーザビーム)もまた、下の治療領域を治療するために窓を通過する。場合によっては、放射線が、窓内又は窓の表面で破損を引き起こし、プラズマの生成及び窓のエッチングを招く可能性がある。窓でプラズマが生成された後にもシステムが放射線を照射し続けると、窓に直接接触している組織の燃焼又は熱的損傷が生じることがよくある。
【0143】
図9は、いくつかの実施形態による放射線ベースの組織治療中のプラズマ検出方法900のフローチャートを示す。最初に、組織表面が窓を使用して接触する(906)。窓は、組織の外面と接触する。窓は、治療放射線を透過するように構成される。典型的には、窓は、組織表面が窓と接触するように配置して組織の外面を効果的に参照するように基準表面(datum surface)を提供する。いくつかの実施形態によれば、窓は、治療中の組織の動きの防止、治療中の組織の接触冷却、圧縮による組織内の血液(又は他の競合する発色団)の排出を含むがこれらに限定されない追加の機能を提供する。
【0144】
次に、治療放射線が生成される(908)。治療放射線は、典型的には、放射線源によって生成される。治療放射線は、組織で効果をもたらすように構成され、これは、改善かつ所望する外観の変化をもたらし得る。特定の実施形態では、組織効果は、美容的であり得る。他の実施形態では、組織効果は治療的であり得る。いくつかの実施形態によれば、組織効果は、発色団の存在下における選択的熱電子プラズマの生成を含む。治療放射線のパラメータ選択は、実行されている治療と組織の類型及び個々の患者によって異なる。治療放射線の生成900及び組織で効果(例えば、美容効果)を生成するための関連するパラメータ選択に関する細部事項は、上記にて詳細に説明されている。
【0145】
治療放射線は、焦点領域910に集束させる。典型的には、治療放射線は、焦点光学系によって集束させる(910)。いくつかの実施形態によれば、焦点領域は、約1mm、約0.1mm、約0.01mm、又は約0.001mmよりも小さい幅を有する。焦点領域は、第1領域に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、第1領域は、特に治療される場所の組織内に位置する。場合によっては、第1領域は、組織の外部、例えば、組織と接触する窓内に意図的に又は意図せずに配置されてもよい。
【0146】
焦点領域は、典型的には、走査システム(例えば、スキャナ)によって走査される(912)。走査の例には、焦点領域のチップ/チルト、焦点領域の回転、及び焦点領域の変換が含まれる。関連する走査手段のさらなる説明は、全体が本明細書に参照として含まれた、Dresserらの米国特許出願第16/219,809号の「電磁放射ビーム走査システム及び方法」に記載されている。いくつかの実施形態によれば、治療放射線はパルス化され、焦点領域が走査されるときに治療放射線がほぼ送達されないように(例えば、第1領域に対して第2領域に移動)する。焦点領域は、連続的に走査され得る。この場合、治療放射線パルスのタイミングと走査パラメータは、第1領域と第2領域の位置を制御する。
【0147】
プラズマは、治療放射線によって生成される(914)。フルエンスが焦点領域内で最大であるため、プラズマは、典型的に焦点領域内又は近くで生成される。いくつかの実施形態によれば、プラズマは、熱電子プラズマ生成によって、任意に色素沈着領域914が生成される。代替的に、プラズマは、非選択的によって生成され得る(914)。
【0148】
次に、プラズマが検出される(916)。検出器は、通常、プラズマから発する信号放射を検出する(916)。信号放射検出の例には、光学検出、音響検出、レーザ誘起破壊の分光検出(例えば、レーザ誘起ブレークダウン分光法)、プラズマ生成衝撃波(PGSW)検出、プラズマ発光検出、プラズマ(プルーム)遮蔽検出(plasma(plume)shielding detection)、及びプラズマ写真が含まれる。いくつかの実施形態では、プラズマの特性は、プラズマの検出(916)に基づいて決定される。プラズマの特性の例には、プラズマの存在、プラズマの強度、プラズマのスペクトル含有量、及びプラズマの位置が含まれる。いくつかの実施形態によれば、信号放射の特性は、例えば、コントローラによって記録及び保存される。
【0149】
いくつかの実施形態では、検出されたプラズマに基づいて、プラズマが窓内に少なくとも部分的に配置されているかが決定される(918)。例えば、いくつかの実施形態では、組織ではなく窓にある物質を代表するものと知られているスペクトル成分を含む光学信号放射は、プラズマが部分的に窓内にあることを示すものとして検出され得る。別のバージョンでは、光信号放射の強度は、プラズマが窓内に少なくとも部分的にあることを意味する既知の閾値を超過し得る。
【0150】
治療放射線に関連するパラメータは、部分的に検出されたプラズマに基づいて制御される(920)(例えば、プラズマが窓内に部分的に位置するかどうかを決定(918))。治療放射線に関連するパラメータの例には、パルスあたりのエネルギー、反復速度、焦点領域の位置、又は焦点領域のサイズを含むことができるが、これらに限定されない。これらの治療放射線パラメータは、単独で、又は互いに又は他の治療放射線パラメータと制限なく組み合わせて使用してもよい。例えば、プラズマが部分的に窓内に位置しているという決定は、治療放射線を停止するためのトリガーイベントとして使用され得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、例えばコントローラによって位置にマッピングされた特性マトリックスを含むことができるマップが生成される。例えば、マップには、第1位置で第1プラズマから発する第1信号放射の第1の特性である、第1位置の座標にマッピングすることと、第2位置で第2プラズマから発する第2信号放射の第2の特性である、第2位置の座標にマッピングすることとが含まれ得る。例示的なマップは、焦点領域の位置に関連する3つの直交軸、及びプラズマの1つ以上の特性に関連する第4軸を有する4次元マトリックスを含むことができる。いくつかのバージョンでは、マップは、個々の治療効果の指標として使用されてもよい。上述したプラズマ検出方法を実行するのに適したシステムは、以下にて詳細に説明する。
【0152】
図10を参照すると、いくつかの実施形態による、プラズマ検出及び治療システム1000の概略図が示されている。いくつかの実施形態では、窓1006は、組織1008の表面、例えば、組織1008の外面に接触するように構成される。窓1006は、EMRビームを透過するように構成された光学材料として、例えば、ガラス、透明ポリマー(例えば、ポリカーボネート)、石英、サファイア、ダイヤモンド、セレン化亜鉛、又は硫化亜鉛を含む。
【0153】
画像化及び治療システム1000は、焦点光学系1010を含む。焦点光学系1010(例えば、対物レンズ)は、電磁放射(EMR)ビーム1011を集束させて、組織1008内にプラズマ1012を生成するように構成される。プラズマは、熱電子発電によって、組織1008内の発色団で選択的に生成されてもよい。他の実施形態では、プラズマ1012は、光学的破壊によって、非選択的に生成される。EMRビーム1011は、放射線源(図示せず)を使用して生成されてもよい。EMRビーム1011は、コリメート光又は非コリメート光、及びコヒーレント光及びインコヒーレント光のいずれかを含んでもよい。
【0154】
検出器1014は、プラズマ1012を検出するように構成される。プラズマ検出器1014の例は、フォトダイオード、及び画像センサなどの光センサと、弾性表面波センサ、圧電膜、振動計、及びエタロンなどの音響センサと、分光計、分光光度計、及びプラズマ輝度(又は遮蔽)光学プローブなどのより専門化された検出器とを含む。
【0155】
図示の実施形態では、プラズマ検出器は、プラズマ1012から発する可視光1016(例えば、信号放射)を検出する光検出器(例えば、フォトダイオード)を含む。いくつかの実施形態によれば、鏡筒1018は、検出器1014に入射する可視光1016を指向して集束させるため、焦点光学系1010と共に使用される。検出器1014は、検出されたプラズマと関連するデータがコントローラ1015に入力されるようにコントローラ1015と通信する。
【0156】
スキャナ1022は、EMRビーム1011の焦点領域を走査するように構成される。スキャナは、通常1つ以上の次元で焦点領域を走査する。そして、いくつかの実施形態では、スキャナ1022は、3次元全てで焦点領域を走査する。
図10を参照すると、スキャナ1022は、組織1008の第1領域1024から第2領域1026まで左側から右側に焦点領域を走査することが示されている。
【0157】
スキャナ1022が焦点領域を走査するとき、第1プラズマが第1領域1024で生成され、次に第2プラズマが第2領域1026で生成されて、EMRビーム1011がパルス化され得る。第1プラズマ及び第2プラズマは、両方とも検出器1014によって検出される。いくつかの実施形態では、第1の検出されたプラズマ及び第2の検出されたプラズマに関連するデータは、コントローラ1015に入力される。いくつかの実施形態では、1つ以上のプラズマイベントに関連するデータは、EMRビーム1011及びスキャナ1022のうちの少なくとも1つに関連するパラメータを制御するためにコントローラによって使用される。
【0158】
いくつかの実施形態では、コントローラ1015は、プラズマ1012が窓1008内に少なくとも部分的に位置するかどうかの決定に基づいて、EMRビーム1011を制御するように構成される(例えば、EMRビーム1011を終了する)。いくつかのバージョンでは、コントローラ1015は、プラズマ1012から発せられる信号放射1016の強度に基づいて、プラズマ1012が窓1006内に少なくとも部分的に位置するかどうかを決定する。信号放射1016の強度は、光センサ(例えば、フォトダイオード)を使用して検出されてもよい。別のバージョンによれば、コントローラ1015は、信号放射1016のスペクトル成分に基づいて、プラズマ1012が窓1006内に少なくとも部分的に位置するかどうかを決定する。例えば、いくつかの実施形態によれば、窓1006は、アルミニウムを含むサファイアを含むことができる。アルミニウムに対応するスペクトルピークは、約396nmに集束される。皮膚には、通常アルミニウムは含まれていない。従って、信号放射(レーザパルス[例えば、10μs]の後に正確な時間を取る)が約396nmに集束させたスペクトルピークを含む場合、プラズマ1012は少なくとも部分的に窓1006内に位置する可能性がある。いくつかの実施形態によれば、スペクトルフィルタ(例えば、ノッチフィルタ)と光センサは、信号放射のスペクトルコンテンツを検出するのに使用される。他の実施形態によれば、分光計又は分光光度計は、信号放射のスペクトルコンテンツを検出するのに使用される。
【0159】
コントローラ1015は、プラズマ1012の1つ以上の検出された特性を記録するように構成してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ1015は、プラズマ1012の検出された特性のマトリックス(又はマップ)を記録するように構成される。例えば、コントローラ1015は、第1位置1024で第1プラズマ1012から発する第1信号放射の第1の特性を記録して、第1の特性を第1位置1024に対する座標にマッピングし、第2位置1026で第2プラズマから発する第2信号放射の第2の特性を記録して、第2の特性を第2位置1026の座標にマッピングするように構成してもよい。
【0160】
EMR治療装置におけるプラズマ検出をさらに説明するために、個々の実施形態が以下に提供される。
【0161】
[プラズマフィードバックの例1]
第1プラズマフィードバックの例は、プラズマの存在を示す相対的なプラズマ光強度の変化を定量化するインビトロ研究を説明する。インビトロ研究は、色黒の皮膚のために選択された雌のユカタン豚の皮膚を使用して行われる。約1060nmの波長を有する10WのNUFERN社のファイバレーザは、インビトロ研究でレーザ源として使用される。
【0162】
図11Aは、インビトロ研究に使用された治療光学システム1100の概略図である。治療光学システム1100は、コリメートされたレーザビーム1112を受光するように構成されたビームコンバイナ1110を含む。ビームコンバイナ1110は、入射するレーザビーム1112を反射する反射鏡1114を含む。反射鏡1114は、所定の波長範囲を有する光を反射するように選択される。現在のインビトロ研究では、レーザビーム1112は1060nmの波長を有し、反射鏡は1047から1064nmの波長範囲にわたって99.5%反射するソーラボ社(Thorlabs)のNB1-K14である。反射されたレーザビーム1112は、焦点光学系1116によって画像化され、集束される。インビトロ研究で使用される焦点光学系1116は、ソーラボ社(Thorlabs)のC240TME-Cであり、これは、0.5のNA、及び有効焦点距離が8mmを有する回折限界性能が可能な非球面レンズである。レーザビーム1112は、皮膚サンプル1118内のウエスト(例えば、焦点体積)に集束される。レーザビーム1112のウエストでは、プラズマプルーム(plasma plume)1120が皮膚サンプル1118内に生成される。プラズマプルーム1120から生成された放射線1124は、焦点光学系1116によって画像化され、反射鏡1114を透過する。反射鏡1114を透過した後、放射線1124は、ファイバカプラ1122によって光ファイバ(図示せず)の第1端部に画像化される。インビトロ研究で使用されるファイバカプラは、ソーラボ社(Thorlabs)のPAF-SMA-7-Aである。光ファイバの第2端部は、オーシャンオプティクス社(Ocean Optics)のHR2000+ESである分光計(図示せず)に接続される。インビトロ研究のまた別の実施形態 では、ノッチフィルタ(図示せず)が反射鏡1114とファイバカプラ1122との間に設けられ、レーザビーム1112の波長と同様の波長を有する放射線1124の一部が光ファイバに入るのを遮断する。皮膚サンプル1118は、モーター駆動ステージ1130に装着される。皮膚サンプル1118と焦点光学系1116との間の作動距離は、皮膚サンプル1118内のレーザビーム1112のウエストの深さを制御するために保持される。
【0163】
インビトロ研究のまた別の実施形態では、メラニンタトゥーを有する皮膚サンプル1118は、レーザビーム1112のウエストがサンプル1118内の約0.2mmの深さに位置するように、モーター駆動ステージ1130上に配置される。メラニンタトゥーに使用されているメラニン色素は、イカスミ(例えば、セピアインク)からのものである。メラニンタトゥーは、皮膚サンプルの真皮の約1/4mmから1mmの深さにある。皮膚内タトゥー色素の深さは、皮膚組織学的サンプルによって確認される。
【0164】
図11Bは、メラニンタトゥーを有する皮膚サンプル1118の組織学的サンプルの走査を示している。皮膚表面1150は、組織学の上部に表示される。表皮-真皮接合部(epidermis-dermis junction)1152は、皮膚の表皮層と真皮層を区分する。真皮に存在するメラニン小球体1154は、メラニンタトゥーを構成する。レーザは、20KHz、100nsのパルス持続時間、及び0.5mJ/パルスで動作する。サンプルは、100mm/sの速度でレーザ照射中に走査される。分光計は、5000ms期間にわたって光を捕捉し、レーザ照射に応じて捕捉をトリガーするように調整される。
【0165】
図12は、メラニンタトゥー及び素肌からの放射線に関連するスペクトルを示している。横軸は、サンプル皮膚1118からの放射線の波長を示し、縦軸は、放射線の相対強度を示す。
図12は、メラニンタトゥースペクトル(例えば、約600nmを中心とする)、及び皮膚1118がレーザビーム1112で照射されたときに生成される素肌皮膚スペクトル(例えば、約1060nmを中心とするスペクトルを有する)を示す。メラニンタトゥースペクトルは、メラニンタトゥー位置でのサンプルの照射中に取られた測定値を示す(例えば、入力レーザビーム1112のウエスト/焦点体積がメラニンタトゥーを有する皮膚の部分を照射するとき)。素肌スペクトルは、メラニンタトゥーを含まないサンプル皮膚1118の領域の照射中に取られた測定値を示す。メラニンタトゥースペクトルは、可視スペクトル(例えば、400nmから800nmの間)の放射線を含む広域スペクトル光の存在を示す。広域スペクトル光は、メラニンタトゥーの照射中のプラズマ形成を示す。素肌スペクトルは、一般に可視スペクトル成分がないか非常に少ない。素肌スペクトルで可視光成分がないのは、一般に素肌の照射中にプラズマが形成されなかったことを示している。
【0166】
カーボンタトゥー(例えば、墨汁(India ink))を有するまた他の皮膚サンプル1118は、レーザビームの焦点ウエストが皮膚サンプル1118の表面から約0.2mm下に位置するように焦点光学系1116の下のモーター駆動ステージ1130に配置される。カーボンタトゥーは、皮膚サンプル1118の真皮の約1/4mmから1mmの深さに位置する。レーザは、20KHz、100nsのパルス持続時間、及び0.5mJ/パルスで動作する。サンプルは、100mm/sの速度でレーザ照射中に走査される。分光計は、5000msの期間にわたって光を捕捉し、レーザ照射に応じて捕捉をトリガーするように調整される。
【0167】
図13は、カーボンタトゥー及び素肌からの放射線に関連するスペクトルを示している。横軸は、サンプル皮膚1118からの放射線の波長を示し、縦軸は、放射線の相対強度を示す。
図13は、皮膚1118がレーザビーム1112で照射されたときに生成されるカーボンタトゥースペクトル及び素肌スペクトルを示す。カーボンタトゥースペクトルは、カーボンタトゥーの位置でのサンプルの照射中に取られた測定値を示す(例えば、入力されたレーザビーム1112のウエスト/焦点体積がカーボンタトゥーを有する皮膚の部分を照射するとき)。素肌スペクトルは、カーボンタトゥーを含まないサンプル皮膚1118の領域の照射中に取られた測定値を示す。カーボンタトゥースペクトルは、可視スペクトル(例えば、400nmから800nmの間)の放射線を含む広域スペクトル光の存在を示す。広域スペクトル光は、カーボンタトゥーの照射中のプラズマ形成を示す。素肌スペクトルには、一般に可視スペクトル成分がない。光の不足は、一般に素肌の照射中にプラズマが形成されていないことを示す。
【0168】
上記の試験で捕捉された広域スペクトルは、レーザビーム1112の反復速度である20KHzの速度で、多くの場所でプラズマが生成された結果であることに留意されたい。分光計の積分時間は、1ms以上に設定される。これは、レーザビーム1112の複数のパルスにわたって生成されたプラズマのスペクトル情報の特性化を可能にする。入射レーザパルス(レーザビーム1112の)とプラズマとの間の相互作用の後、プラズマは冷却され始め、電子はエネルギーレベルを低下させ、それによって狭いスペクトル帯域にわたって光を放出する。上記の分光計の測定値は、複数のパルスにわたって統合されているため、この例では、これらの狭い帯域は観察されていないことを理解する必要がある。狭いスペクトル帯域が検出された第2の例を以下に説明する。
【0169】
[プラズマフィードバックの例2]
第2の例では、皮膚サンプル1118のプラズマによって生成された放射線1124の狭いスペクトル帯域が試験的に観察される。この検出に使用される光学システムは、
図11Aに説明されている。光学システムには、光学システムと、オーシャンオプティクス社のスペクトロメーターのモデル番号HR2000+ESとの間の光通信を可能にする光ファイバが含まれている。光学システムは、QスイッチNd:YAGレーザのレーザビームがシステムに向けられるように関節アームが供えられたQスイッチNd:YAGレーザ(クァンテル社のQ-Smart450)と光学的に通信する。
【0170】
皮膚サンプル1118は、一般にレーザビームの焦点領域に平行するように配置される。焦点領域はまず皮膚サンプル1118の表面の真下に配置される。複数のレーザパルスが、各レーザパルスの直後に行われた分光計測定と共に、サンプル皮膚1118に向けられる。それぞれのレーザパルスは、皮膚サンプル1118でプラズマの生成をもたらす光学的破壊を生成するのに十分なピーク電力を有する。プラズマからの放射線1124は、
図11Aを参照して説明したように、捕捉されて分光計に伝達される。
【0171】
図14は、皮膚サンプル1118内のプラズマによって生成された放射線1124のスペクトルを示している。各レーザパルスの後にプラズマから捕捉されたスペクトルの結果が平均化された。平均スペクトルは、
図14に示されたチャート1400に示されている。チャート1400は、縦軸に沿って任意の単位で相対強度を有し、横軸に沿ってナノメートルで波長を有する。平均スペクトルには、約589nm及び766nmのスペクトルピークが含まれる。平均スペクトルには、約422nm、約455nm、約493nm、約521nm、約553nm、約614nm、及び約649nmのマイナースペクトルピークも含まれる。
【0172】
試験中に、サファイア窓は、レーザビーム1112の経路において、皮膚サンプル1118と焦点光学系1116との間に配置される。レーザビーム1112は、サファイア窓を介して皮膚の表面から約0.5mm下に位置するウエスト/焦点領域に向かう。
図15は、組織と接触しているサファイア窓を使用して形成されたプラズマからの放射線スペクトルを示すチャート1500を含む。チャート1500は、縦軸に沿って任意の単位で相対強度を有し横軸に沿ってナノメートルで波長を有する。
図15では、約589nmと約766nmに主要なピークが存在することがわかる。また、さらに大きなピークが約396nmにある。測定後、サファイア窓が内部に形成されているプラズマと一致する方式で損傷している(例えば、エッチングされている)ことが発見された。396nmのピークは、サファイア窓が存在する状態で繰り返し発生し、サファイア窓が存在する場合にのみ発生する。そして、サファイア窓は、プラズマ形成によって損傷したように見える。この観察結果は、約396nmのこのピークがサファイア窓内のプラズマ形成の指標として使用できることを示している。
【0173】
いくつかの実施形態によれば、プラズマの材料成分は、スペクトル分析によって決定され、レーザビームの1つ以上のパラメータは、プラズマの材料成分に基づいて調整される。例えば、いくつかの実施形態によれば、コントローラは、スペクトルデータから、治療されている物質以外の物質がプラズマによって影響を受けていると判断し、レーザパラメータを調整するか、又はレーザ源を非活性化する。第2の例は、プラズマのスペクトル含有量を検出するために分光計を使用するが、いくつかの実施形態は、代替的の方法によってプラズマのスペクトル含有量を決定する。例えば、フォトダイオードが396nmの光のみ検出するように、いくつかのバージョンでは、約396nmの光のみを通過させる狭帯域フィルタがフォトダイオードの上に配置される。フォトダイオードは、EMRパルス後の瞬間(例えば、10μS)を収集するようにトリガーされる。また、コントローラは、プラズマがサファイア窓に影響を与える場合にのみ相対的に高い値が発生するため、フォトダイオードが相対的に高い値を検出したときにEMR源の起動を停止するように構成される。
【0174】
[プラズマフィードバックの例3]
第3の例は、EMRベースの治療用ハンドピース(EMR-based treatment hand piece)に組み込まれたプラズマを検出するプラズマ検出システムを示す。
【0175】
図16A~16Cは、組織治療及びプラズマ検出の第3の例に係る面を示す。組織治療及びプラズマ検出システム1600は、
図16A~16Cに示されている。
図16Aは、システム1600の正面図を示す。
図16Bは、
図16AのB-B断面線に沿って見たシステム1600の断面図を示す。そして
図16Cは、
図16BのC詳細円内で取られた詳細図を示す。
【0176】
ファイバレーザ1610は、治療放射線を出力するように構成される。ファイバレーザ1610の例は、中国、上海に所在するファイバーレーザーテクノロジー社(Feibo Laser Technologies Co.,Ltd.)のファイバ1060nm、40W、20kHzのファイバレーザである。治療放射線は、光学システムによって焦点光学系1620に向かう。焦点光学系の例は、ソーラボ社(Thorlabs)の部品番号:A240である。焦点光学系1620は、窓1622を介して組織(図示せず)の焦点領域に治療放射線を集束させるように構成される。光学システムは、焦点光学系1620が3次元の全てで走査されるように構成される。これにより、治療放射線の焦点領域が、組織内の3次元の全てで走査される。走査は、それぞれが単一軸を担当する3つの別々のステージによって実現される。Xステージ1625は、X軸で焦点光学系を走査する。Xステージ1625に装着されたYステージ1626は、Y軸で焦点光学系を走査する。そして、Yステージ1626に装着されたZステージ1627は、Z軸で(例えば、一般に焦点光学系の光軸に沿って)焦点光学系を走査する。代表的なXステージは、米国、マサチューセッツ州のボックスボロー(Boxborough)に所在するDover Motion社で製造したDover MMX 50で、イスラエルのペタク・チクヴァ(Petach-Tikva)に所在するELMOモーションコントロール社(Elmo Motion Controller Ltd.)のELMO DCホイッスルゴールドコントローラ(Elmo DC whistle Gold controller)で制御される。例示的なYステージは、米国、マサチューセッツ州のオーバーン(Auburn)に所在するPhysik Instrumente社(Physik Instrumente L.P.)のE873コントローラで制御されるQ545.140ステージである。例示的なZステージは、米国、ニューヨーク州ビクター(Victor)に所在するニュースケールテクノロージー社(New Scale Technologies,Inc.)のNew Scale 3M-FSである。
【0177】
プリント回路基板(PCB)1640は、Zステージ1627に取り付けられて窓1622に対向する。PCB1640は、複数の電子部品と4つのフォトダイオード1642とを含む。例示的なフォトダイオードは、ドイツ、ミュンヘンに所在するオスラム社(OSRAM GmbH)のCsram CHIPLEDの部品番号SFH 2711である。また別のフォトダイオードの例は、オーストリア、ウィーンに所在するRoithner Lasertechnik社(Roithner Lasertechnik GmbH)の窒化ガリウムベースのセンサ、GUVA-S12SDである。二種類の例示的なフォトダイオードは、近赤外線(NIR)より紫外線(UV)及び可視光スペクトルで光をさらに敏感に検出するため、いくつかの実施形態では有利になり得る。このような理由により、これらのフォトダイオードの例では、プラズマからの光を検出するが、反射又は散乱の少ない治療放射線(例えば、1060nmのレーザビーム)は、少なく検出する。他の実施形態では、フォトダイオードは、治療波長の検出を防止するために光学コーティング(例えば、干渉ノッチフィルタコーティング)でコーティングされてもよい。さらに、他の実施形態では、フォトダイオードは、治療波長の検出を防止するためにスペクトルフィルタ(例えば、干渉ノッチフィルタ膜)の後ろに配置され得る。
【0178】
プラズマからの光は、1つ以上のフォトダイオード1642によって小さい電流に変換される。電流は、トランスインピーダンス増幅器によって電圧に変換される。その次に電圧は、1つ以上の増幅器によって増幅され、マイクロコントローラによってサンプリングされる。マイクロコントローラは、アナログ-デジタルコンバータ(ADC)及び比較器のうちの1つ以上を使用して電圧をサンプリングする。
【0179】
いくつかのバージョンでは、比較器が電圧を閾値と比較し、電圧が閾値を超過するとタイマ(例えば、32678Hz)をトリガーする。マイクロコントローラは、電圧が定義された期間(例えば、タイマの3ティック(tick))の間に閾値以上で保持されると、プラズマを検出する。いくつかの実施形態では、閾値は、組織内治療で発生するプラズマが閾値を超過しないように高く設定されるが、光学窓内ではさらに近くかつ明るいプラズマが可能であろう。この場合、プラズマ検出器は、患者又はシステムに損傷を与える可能性のある周辺組織又は光学窓内のプラズマなどの望まないプラズマを検出するのに使用されてもよい。プラズマが検出されると、信号を別のコントローラー(レーザーコントローラーなど)に送信して、プラズマ検出をログに記録したり、検出に基づいて治療を変更したり(治療放射線を停止したり)することができる。
【0180】
いくつかの実施形態によれば、ADCは、組織内のプラズマ(例えば、治療と一致するプラズマ)を検出するのに使用され得る。ADCは、1つ以上の光検出器からの電圧に基づいてプラズマ強度を示すデジタル値を割り当てる。場合によっては、デジタル値は、Xステージ1625、Yステージ1626、及びZステージ1627のうちの1つ以上に対する現在の位置値と共に記録される。この場合、焦点領域の位置に対するデジタル値のログ化(logging)は、マトリックス(例えば、マップ)で形式化されてもよい。マトリックスは、治療の効果又は組織内の発色団の存在を示すために使用されてもよい。
【0181】
いくつかの実施形態では、第1の深さ(例えば、比較的浅い)でのプラズマの存在は、システムへの損傷又は副作用を示すことができ、一方、第2の深さ(例えば、組織内の比較的深い)でのプラズマの存在は、効果的な治療を示すことができる。従って、いくつかの実施形態では、EMRビームの焦点領域が所望の焦点深度に位置することを確実にすることが重要である。
【0182】
[焦点深度参照例]
上述したように、いくつかの実施形態では、組織内の焦点領域の深さは、厳密に制御される必要がある(例えば、±20μm)。例えば、真皮色素の治療は、焦点領域が組織内の真皮色素の深さとほぼ同じ深さに配置されることを必要とする。焦点領域が真皮色素下の深すぎる場合、治療は効果的でない。焦点領域が浅すぎる場合、基底層のメラニン細胞が照射されて、潜在的に有害事象(例えば、色素沈着過剰又は色素沈着低下)を誘発する可能性がある。
【0183】
図17を参照すると、いくつかの実施形態による焦点深度参照方法1700に対するフローチャート1700が示されている。最初に、電磁放射(EMR)ビームは、光軸に沿って焦点領域に集束される(1710)。多くの場合、EMRビームは、EMR源(例えば、レーザ)によって生成される。光学窓は、光軸と交差するように配置される。いくつかのバージョンでは、窓の表面は、実質的に光軸に直交する。EMRビームは、光学窓の少なくとも1つの表面に衝突して信号放射が生成される。いくつかの実施形態における信号放射は、窓の表面で反射されるEMRビームの反射部分を含む。いくつかの実施形態では、窓は、組織に接触するように構成される。窓の表面は、窓の窓材料と窓の表面に近接する隣接材料(例えば、空気又は組織)との間の光学界面(optical interface)として光学的に理解され得る。いくつかの例では、窓材料と隣接材料との間の屈折率の差によってEMRビームの反射部分が反射する。いくつかの実施形態によれば、信号放射は、窓でのEMRビームの一部の散乱又は透過によって生成される。
【0184】
信号放射が検出される(1712)。いくつかの実施形態によれば、信号放射は、画像化システムによって画像化される。場合によっては、信号放射の画像は、画像化システムによってセンサで形成される。センサの例には、光センサと画像センサが含まれる。いくつかのバージョンでは、検出器が画像の幅を検出して測定する。一般に、画像の幅は、窓の表面に入射するEMRビームのビーム幅に比例する。画像化システムの倍率は、通常、窓に入射するEMRビームの幅に対する画像の幅の比例関係を決定する。いくつかの実施形態によれば、検出器は、信号放射の強度を検出及び測定する。
【0185】
信号放射に基づいて、参照焦点位置が決定される(1714)。例えば、いくつかのバージョンでは、窓の表面に入射するEMRビームのビーム幅が測定され、ビーム幅が測定されると、焦点領域の焦点位置が光軸に沿って移動する。参照位置は、ビーム幅が最小に決定された場所に見つかる。別の例として、いくつかのバージョンでは、焦点領域の焦点位置が光軸に沿って移動するときに、信号放射の強度が検出される。この場合、参照位置は、放射信号強度が最大であることがわかる場所に見つかる。
【0186】
参照焦点位置が決定されると、焦点領域は、治療焦点位置に変換される(1716)。典型的に、治療焦点位置は、光軸に沿って参照焦点位置から所定の距離離れている。いくつかの実施形態によれば、焦点領域は、光学素子(例えば、対物レンズ)を光軸に沿って移動させることによって変換される。他の実施形態では、焦点領域は、EMRビームの発散を調整することによって、例えば、光学素子の光電力を調整することによって変換される。最終的に、窓は、標的組織と接触して配置され、結果として、焦点領域が標的組織内に配置される。いくつかの実施形態によれば、標的組織は皮膚であり、焦点領域は皮膚の真皮組織内に配置される。組織内の焦点領域の正確な深さの位置決めは、熱電子プラズマ又は熱破壊を通して、以前は治療できなかった色素沈着症状の治療を可能にする。例えば、EMRビームは、表皮の有害な照射の危険を冒すことなく、真皮内に位置する焦点領域で真皮色素沈着症状(例えば、真皮肝斑)の選択的な熱電子プラズマ媒介治療を行うことができる。
【0187】
図18Bを参照すると、いくつかの実施形態では、第2EMRビーム1816Bは、焦点光学系によって、治療位置に位置する第2焦点領域1818Bに集束するように構成される。この場合、第1EMRビーム1816Aは、参照用のためだけに構成されてもよく、(例えば、窓1810の表面に入射する第1焦点領域1818Aを取り出すため)、及び第2EMRビーム1816Bは、組織において所望の効果(例えば、美容効果)を達成するように構成されてもよい。これは、組織効果が非常に高いフルエンス(例えば、10
12W/cm
2)を必要とする実施形態で有利になり、参照中に第1EMRビームが使用された場合、窓1810が損傷する可能性がある。いくつかの実施形態によれば、第2EMRビーム1816Bは、第1EMRビーム1816Aとほぼ等しい波長を有する。他の実施形態では、第2EMRビーム1816Bは、第1EMRビーム1816Aの波長とは異なる波長を有する。この場合、治療位置は、2つの互いに異なる波長での焦点光学系の焦点距離の違いに基づく較正を必要とする場合がある。
【0188】
ここで、
図18A~18bを参照すると、いくつかの実施形態による焦点深度参照及び治療システム1800の概略図が示されている。焦点深度参照システム1800は、標的組織1812と接触するように構成された窓1810を含む。光学システム(例えば、対物レンズ又は焦点光学系)は、電磁放射(EMR)ビーム1816を光軸1820に沿って焦点領域1818に集束させるように構成される。光軸1820は、窓1810と交差する。光学検出器1822は、信号放射1824を検出するように構成される。いくつかの実施形態によれば、信号放射1824は、EMRビーム1820と窓1810との間の相互作用によって生成される。いくつかのバージョンでは、EMRビーム1820と窓1810との間の相互作用は、窓1810の表面とEMRビームとの間の相互作用である。EMRビーム1820と窓1810との間の相互作用は、通常、反射、透過及び散乱のうちの少なくとも1つである。
【0189】
コントローラ1826は、光学検出器1822からの入力を受け取り、光軸1820に沿って焦点領域1818の焦点位置を変換するように構成される。光学検出器1822からのフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、コントローラ1826は、焦点領域1818の一部が窓1810の表面と実質的に一致する参照位置1828を決定する。
【0190】
信号放射1824は、窓1810の表面に入射するEMRビーム1816の反射から発せられ(部分的に)焦点光学系1814を使用して画像センサ1822に入射して画像化され得る。いくつかの実施形態によれば、コントローラ1826は、信号放射に基づいて窓の表面に入射するEMRビーム1816の横幅を決定することによって参照位置を決定し、そして、横幅が最小値になるまで焦点領域を変換する。他の実施形態によれば、信号放射は、窓1810の表面でEMRビーム1816の反射から発せられ、検出器1822は、信号放射の強度を検出するように構成される。この場合、コントローラは、信号放射の強度が最大値になるまで焦点領域を変換することによって、参照位置を決定してもよい。
【0191】
最後に、コントローラ1826は、焦点領域1818を参照位置1828から所定の距離1830の治療位置に変換する。一般に、参照位置1828から遠くに焦点領域1818を変換させることは、光軸1820に沿って正の方向に(即ち、光学システム1814から離れて)実行される。いくつかの実施形態では、治療位置は、組織内に位置するように構成される。例えば、所定の距離は、皮膚の真皮組織内の治療位置を特定するように構成することができる。ステージ1832は、焦点領域を変換するために、1つ以上の光学素子(例えば、焦点光学系)を変換するのに使用されてもよい。EMRビーム1816は、典型的には、治療位置に位置する焦点領域で又はその近くで組織内の効果(例えば、美容効果)を実行するように構成される。組織効果の例は、組織1812の選択的熱電子プラズマ媒介治療である。
【0192】
いくつかの実施形態では、第2EMRビームは、焦点光学系によって治療位置に位置する第2焦点領域に集束するように構成される。この場合、第1EMRビームは、参照用のためだけに構成されてもよく、第2EMRビームは、組織効果を実行するように構成してもよい。これは、組織効果が非常に高いフルエンス(例えば、1012W/cm2)を必要とし、窓1810が参照中に損傷を受ける可能性が高い実施形態において有利である可能性がある。いくつかの実施形態によれば、第2EMRビームは、第1EMRビームと同一の波長を有する。他の実施形態では、第2EMRビームは、第1EMRビームの波長とは異なる波長を有する。この場合、治療位置は、2つの異なる波長での焦点光学系の焦点距離の違いに基づいて較正する必要がある。いくつかの実施形態では、窓参照及び治療システム1800を使用して、1つ以上の参照位置1828を測定する。
【0193】
例えば、いくつかの実施形態によれば、窓参照及び治療システム1800はまた、走査システムを含む。走査システムは、少なくとも1つの走査軸で焦点領域1818及び光軸1820を移動させるように構成される。場合によっては、走査軸は、一般に光軸1820に垂直であってもよい。
【0194】
窓と走査軸との間の平行度測定は、複数の走査位置で複数の参照位置1828の測定によって決定されてもよい。例えば、参照システム1800は、最初に、第1走査位置での第1参照位置を決定するために使用される。次に、走査システムは、光軸1818を第1走査位置から走査軸に沿った距離だけ離れた第2走査位置に再配置する。次に、参照システム1800は、第2参照位置を決定する。第1及び第2参照位置の間の差を走査軸に沿った距離で割ったものは、窓と走査軸との間の非並行性の傾きを示す。EMR治療装置における焦点深度の参照をさらに説明するために、個々の実施形態が以下に提供される。
【0195】
[焦点深度参照例1]
第1焦点深度参照の例は、以下に説明される。第1焦点深度参照の例は、共焦点顕微鏡のようなフィードバックシステムを使用する。このような構成は、外部組織表面及び窓の表面をだけでなく組織内の表面を参照するのに使用できるため、いくつかの実施形態では有利である。例えば、いくつかの実施形態によれば、焦点領域は、皮膚内の真皮表皮(DE)接合部に対して参照される。これは、表皮(又は表皮の基底層のメラニン)と真皮との間の屈折率の差によって、いくつかの実施形態で達成可能である。
【0196】
図19は、共焦点画像化及びプラズマ媒介療法のためのベンチプロトタイプ1900を示している。コリメートされたレーザビーム1901は、入口開口1902を通ってプロトタイプ1900に入り、反射鏡1904上に投射される。反射鏡1904は、レーザビーム1901を対物レンズ1906に向けて折り曲げる。対物レンズ1906は、レーザビーム1901を焦点領域1907に集束させる。集束レーザビーム1901は、サンプルホルダ1908に向けられる。サンプルホルダ1908は、窓1910と、窓1910から光学的に下流に位置するサンプルとを含む。
図19に示されたサンプルは、表皮1912から光学的に下流に位置する表皮1912及び真皮1914を含む皮膚である。フォーム1916などの適合性材料は、サンプルを窓1910に押し付け、窓をサンプルホルダ1908の着点に押し付けるのに使用される。サンプルホルダは、X-Yステージ1918X及び1918Yの上にある。プロトタイプ1900は、レーザビームを基準としてサンプルを走査する。Zステージ1920は、対物レンズ1906とサンプルホルダ1908との間の距離を調整することを可能にする。マイクロメートルのネジゲージにより、Zステージ1920の動きを厳密に制御することができる。対物レンズ1906は、焦点領域1907から反射した光1922をコリメートする。放射線1922は、反射鏡1904を介して少なくとも部分的に透過する。いくつかの実施形態によれば、放射線1922は、特定の波長範囲を有する放射線1922の一部だけが受容されるようにフィルタ1923(例えば、ノッチフィルタ)を通過する。放射線1922は、鏡筒1924によって開口1926に集束される。開口1926は、焦点1907(例えば、50μm未満)で発生する光線だけを受容するように大きさが調整される。最後に、放射線1922は、フォトダイオード1928に投射される。
【0197】
一実施形態では、光学システム1900は、共焦点顕微鏡として使用される。これは、例えば、第2対物レンズ1924を開口1926から上流に配置することによって実行されてもよい。開口1926は、開口1926を含む焦点面に信号放射を集束させることによって信号放射1922を再画像化することができる。開口1926は、信号放射1922の望ましくない空間周波数をフィルタリング(例えば、遮断)することができる。このような構成は、標的組織1912及び1914の異なる領域(例えば、組織表面に対して異なる深さにある標的組織の領域)と関連する信号放射のフィルタリングを可能にすることができる。画像化開口部1926と標的組織1912及び1914の間の距離を変更(例えば、信号放射1922の経路に沿って画像化開口部1926を移動)することにより、アクチュエータに命令を送信して標的組織の他の深さを画像化することができる(1926)。コントローラ506は、検出データを分析し、標的組織1912及び1914におけるプラズマの存在、標的組織における色素分布などを決定してもよい。
【0198】
表面下の所定の深さにレーザビームを集束させるには、表面に対して焦点領域1907を正確に配置する必要である。従って、いくつかの実施形態では、サンプルの表面(例えば、対物レンズ1906に面するサンプルの表面)に対する対物レンズ1916の位置を決定することが有利である。これは、焦点領域1907をサンプルの表面で参照することにより実行されてもよい。上記のベンチプロトタイプを使用して、焦点領域が窓1910の上面及び下面、並びに豚の皮膚サンプルの上面に対してどこに位置するかを決定するために試験が実行される。
【0199】
1060nmの波長で動作するNUFERN社の30Wのファイバレーザは、直径が約7.5mmであるレーザビーム1901を提供するのに使用される。反射鏡1904は、レーザビーム1901の90%以上を反射し、1060nmの波長で10%未満しか透過しない二色性鏡である。対物レンズの有効焦点距離は約8mmである。鏡筒1924は約30mmの有効焦点距離で反射光1922を集束させる。開口1926は、約30マイクロメートルの幅である。ファイバレーザは、0.1%(1mJ/パルス)の電力レベルと30KHzの反復速度で動作する。フォトダイオード1928からの信号がオシロスコープに表示される。ファイバレーザがオンになると、Zステージ1920は、オシロスコープで最大信号を捕捉するまでゆっくりと走査される。
【0200】
図20は、最大放射線強度測定を示している。強度は、任意の単位で縦軸に表示され、時間は、横軸に沿って表示される。最大放射強度信号2002は、焦点領域1907が窓1910の上面に配置されたときに生成される。Zステージ1920マイクロメートルは、最大信号2002が観察される0.487mmの相対位置を報告した。0.458mm及び0.519mmの相対的なZステージ位置では、検出可能な信号は観察されない。
【0201】
上記の例では、焦点領域の位置は、境界面での反射が最大である窓境界面(window interface)であり、参照された。材料間の屈折率の違いにより、2つの材料(例えば、空気と窓など)の間の境界面で反射が発生する。屈折率の不一致から生じる反射は、フレネル反射として理解されることがある。フレネル反射は、入射角と光の偏光によって変わる。簡単にするために、一般入射角(偏光に依存しない)でのフレネル反射を例として示す。屈折率が異なる材質間の境界で発生する通常のフレネル反射は、一般に次のように動作する。
【数1】
【0202】
ここで、Rは反射率(反射する光の比率)、n1は第1材料の屈折率、n2は第2材料の屈折率である。フレネル反射の良い例は、ダイヤモンドによって提供される。ダイヤモンドは、屈折率が非常に高くなっている(例えば、2.42)。空気は、単位屈折率を有する(例えば、1.00)。空気とダイヤモンドの境界面での垂直な光のフレネル反射率は、約17%である。フレネル反射率は、垂直角で最小になる傾向があり、グレージング角で増加する。従って、ダイヤモンドの場合、光のほぼ1/5が少なくとも空気ダイヤモンドの境界面で反射する。その結果ダイヤモンドが光を発する。
【0203】
皮膚内では、メラニンは光学波長で周辺組織と異なる屈折率を有する(例えば、1064nmでのメラニンの屈折率は約1.78であり、表皮の屈折率は約1.35である)。従って、通常のフレネル反射率は、皮膚とメラニンの境界面で約2%である。表皮の下部の基底層には、メラニン細胞が含まれているため、メラニンが非常に豊富である。基底層の真下では、病理学的な場合(特に真皮肝斑)を除いて、真皮には通常メラニンが含まれていない。従って、いくつかの実施形態では、焦点領域は、皮膚の真皮-表皮接合部(例えば、基底層)で参照される。
【0204】
[焦点深度参照例2]
第2焦点深度参照の例では、画像化(例えば、共焦点)開口の代わりにカメラセンサを使用する。
図21A~21Cは、いくつかの実施形態による例を示している。
図21Aは、放射線(例えば、レーザ)を標的組織に向けて集束させるように構成された治療システム2100を示す。放射線ビームは、光ファイバ2110によって提供され、コリメータ(collimator)2112によってコリメートされる。放射線ビームは、光学システムによってシステム2100を介して集束され、指向される。集束された放射線ビームは、最終的に、システム2100の下部にある窓2114の外に向けられる。窓2114は、集束された放射線ビームの焦点領域が標的組織内に位置するように、治療組織と接触するように構成される。システム2100はまた、ポート2116を含む。ポートは、焦点領域の近くから出る放射線の少なくとも一部が外部に向けられるようにする。従って、ポート2116は、焦点領域の近くからの信号放射が「ピックオフ」されて検出されることを可能にする。信号放射の1つの用途は、部分反射する境界面(例えば、窓2114の表面)に対応する参照焦点位置を決定するための焦点深度の参照である。
【0205】
図21B~21Cは、ポート2116に取り付けられた着脱可能な参照システム2120を有するシステム2100を示す。システム2100の例示的な使用によれば、着脱可能な参照システム2120は、治療の前に設置され、既知の参照(例えば、組織表面又は窓の表面)に対して焦点領域を確実に位置付けるために使用され得る。
図21Cを参照すると、信号放射2129は、一般に光軸2130に沿って伝播する。ビームスプリッタ2132は、信号放射2129の少なくとも一部が窓の参照システム2120に向かって透過するようにする。いくつかの実施形態によれば、ビームスプリッタは、コリメータ2112から出力されるコリメートされた放射線ビーム2134を実質的に反射する。信号放射は、撮像レンズ(imaging lens)2136(例えば、エドモンド・オプティクス社の(Edmund Optics)PN:33-020)によってカメラセンサ2138(Mightex社のPN:SCE-B013-U)に画像化される。システムの制度と有用性を実証するために、第2焦点深度参照の例示的システムで行われた測定値を以下に示す。
【0206】
測定値は、光軸に沿った対物レンズの位置を示し、その結果、対応する焦点領域が窓の表面と併置される。焦点領域と窓の表面の配列は、測定を行う参加者によって決定された。参加者は、信号放射の画像が最小サイズになるようにする対物レンズの位置決めを担当した。測定は、2人の参加者が行った。第1の参加者は、1から3までの番号の全ての測定を行い、第2の参加者は、4から6までの番号の全ての測定を行った。測定は、窓の表面の4隅全て、左上(TL)、右上(TR)、左下(BL)、右下(BR)で行われた。以下の表は、測定結果を要約したのである。
【0207】
例示的なEMRベースの治療及び窓参照システム
【表2】
【0208】
測定結果は、画像の最小サイズが異なる参加者によって主観的に決定された場合でも、例示的な窓参照システムの再現性を示している。このような測定は、ヒト参加者からの判断を使用して部分的に行われたが、いくつかの実施形態では、画像サイズを決定して焦点領域の位置を自動的に制御するために、コントローラが使用される。また、結果から推論できるように、1つ以上の走査軸に対する窓の表面の平行性は、窓参照システムによって実行された測定値から算出されてもよい。例えば、小さな角度の近似を想定した次の式に従って、走査軸と窓の表面との間の角度を近似できる。
【数2】
【0209】
ここで、αは、走査軸と窓の表面との間の角度(ラジアン)である。Z
ref,1は、マイクロメートル単位の第1位置(例えば、窓の表面の第1隅)で測定された深さである。Z
ref,2は、第2位置(例えば、窓の表面の第2隅)で測定された深さ(マイクロメートル)である。d
1-2は、マイクロメートル単位で第1位置と第2位置との間の光軸に一般に垂直な1つ以上の走査軸に沿った距離である。
図18A~18Cのフィードバック及び治療システム2100は、光路(例えば、ビームスプリッタ1832)からの「ピックオフ」を必要とする。いくつかの実施形態によれば、「ピックオフ」は存在しない。
【0210】
[焦点深度参照例3]
図22A~22Cは、いくつかの実施形態による、別の例示的な焦点深度参照及び治療システム2200を示す。
図22Aは、放射線(例えば、レーザ)を標的組織に向けて集束させるように構成された治療システム2200を示す。放射線ビームは、光ファイバ2210によって提供され、コリメータ2212によってコリメートされる。放射線ビームは、光学システムによってシステム2200を介して集束及び指向される。集束された放射線ビームは、最終的にシステム2200の下部にある窓2214の外に向けられる。窓2214は、焦点放射線ビームの焦点領域が標的組織内に位置するように、治療組織に接触するように構成される。本システム2200は、光学システムにポート又は「ピックオフ」を含まない。
【0211】
図22B~22Cは、着脱可能な参照システム2220が取り付けられたシステム2200を示す。システム2200の例示的な使用によれば、着脱可能な参照システム2220は、治療の前に設置され、既知の参照(例えば、窓の表面)に対して焦点領域を確実に位置付けるために使用され得る。着脱可能な参照システム2220は、コリメータ2212の外径に取り付けられる。これにより、参照システム2220の光軸2222が名目上治療システムの光軸2224と平行になるようにする。参照放射線(reference radiation)は、参照放射線源2226(例えば、ソーラボ社(Thorlabs)のダイオードレーザPN:LPS-1064-APC-SP、及びコリメートレンズ[例えば、エドモンド・オプティクス社の(Edmund Optics)PN 33-020])によって生成される。参照放射線は、ビームスプリッタ2232(例えば、ソーラボ社(Thorlabs)の50-50ビームスプリッタPN:BSW4R-1064)によって部分的に反射され、参照システムの光軸2222に沿って指向される。参照放射線は、参照対物レンズ2233(例えば、ソーラボ社(Thorlabs)PN:C240TME-1064)によって集束される。
【0212】
いくつかのバージョンでは、参照対物レンズ(referencing objective)2233は、治療対物レンズ(treatment objective)2234の処方とほぼ等しい処方を有する。参照対物レンズ2233は、参照ステージ2235内にあり、これは、光軸2222に沿って参照対物レンズ2233を変換する。参照対物レンズ2233は、光軸2222に沿って参照焦点領域に参照放射線をもたらす。従って参照ステージ2235は、参照焦点領域及び参照対物レンズ2233を変換する。参照焦点領域が窓2215の表面近くにある場合、参照放射線の一部は、窓2215によって反射する。反射した参照放射線の一部は、参照対物レンズ2233によってコリメートされ、ビームスプリッタ2232を透過し、撮像レンズ2236によってカメラセンサ2238で画像化される。同様に、コリメータ2212からの透過放射線は、治療対物レンズ2234によって集束され、窓2215を透過し、透過した放射線の一部は、参照対物レンズ2233によってコリメートされ、ビームスプリッタ2232を透過し、及び撮像レンズ(imagining lens)2236によってカメラセンサ2238上で画像化される。
【0213】
システム2200の例示的な実施形態によれば、使用中、参照焦点領域は、参照ステージ2235を変換することによって窓2215の外面と一致する参照位置にくる。カメラ2238によって捕捉された参照画像は、参照焦点領域が窓2215の外面と一致する位置を決定するのに使用される。参照画像サイズは、参照焦点領域が窓2215と一致する最小値を有する。この時点で、参照対物レンズ2233は、一般に窓2215の外面と一致する焦点面を有する。次に、治療放射線源がオンになり、透過放射線が生成される。場合によっては、治療放射線源は、治療中の通常よりも低い電力(例えば、10%)で動作する。
【0214】
透過放射線は、治療対物レンズ2234によって集束され、窓2215を通って透過する。透過放射線の一部は、参照対物レンズ2233によってコリメートされ、ビームスプリッタ2232を透過し、撮像レンズ2236によってカメラセンサ2238上に画像化される。参照対物レンズ2233の焦点面(focal plane)(例えば、窓の外面)で透過放射線ビームの幅を示す透過画像がカメラセンサ2238によって検出される。治療ステージ2240は、光軸2224に沿って治療対物レンズ2234を変換させる。透過画像は、透過焦点領域の位置が参照対物レンズ2233の焦点面と一致する最小サイズを有する。参照システムの光軸2222と治療システム2224の光軸は、名目上整列しているが、いくつかのバージョンでは2つの軸が互いにわずかに離れていることが有利である。いくつかの実施形態では、変換ステージ2242を使用して、参照システム光軸2222を変位させる。透過焦点領域が窓の外面と一致するように配置されると、治療ステージをゼロ化して参照システムを除去して治療を行うことができる。
【0215】
上述したフィードバック情報に基づくEMRベースの治療(例えば、治療中の有害で有利なプラズマイベントの検出及び焦点領域の正確な配置)の使用例は、一般に安全で効果的な治療を提供することに関係している。フィードバックに基づくEMRベースの治療の追加の使用は、診断決定を助ける、又は肯定的な治療結果を立証するために、組織画像を捕捉及び文書化などの追加の目的に関連する場合がある。
【0216】
[組織画像化の例]
組織画像フィードバックを介して情報を得たEMRベースの治療は、皮膚及び美容治療に対する広範囲な用途と利点を有する。例えば、いくつかの実施形態によれば、組織画像化は、ユーザがEMRベースの治療中の治療部位を正確に標的化することを可能にする。組織画像化の別の例示的な使用は、時間的な治療結果の文書を提供することにある(例えば、治療前の画像及び治療後の画像)。さらに他の実施形態によれば、組織画像は、治療前の状態に対する診断、又は治療計画を確認したり治療中の終了点を確認したりするのに使用される。多くの例示的なEMRベース皮膚治療目標は、美容である(例えば、皮膚の外観に関する)。これらの場合、治療を受けている皮膚の画像は、治療の利害関係者(患者及び医師)に最も重要なフィードバックを提供する。
【0217】
図23は、本発明の実施形態による画像化及び放射線ベースの治療方法2300に対するフローチャートを示す。方法2300は、画像化放射線で組織を照射することによって始まる(2306)。典型的に、組織の照明は、照明源を使用して部分的に達成される。照明は、次のような様々な方法で実行され得る。画像化放射線が画像化システムに対して実質的に軸上に提供される明視野照明、及び画像化放射線が画像化システムに対して実質的に軸外に提供される暗視野照明。いくつかの実施形態では、画像化放射線は実質的に単色である。他の実施形態では、画像化放射線は、実質的に広帯域である(例えば、白色光)。
【0218】
次に、組織の視野画像が画像化される(2310)。画像化は、焦点光学系(例えば、対物レンズ)を使用して少なくとも部分的に実行される。場合によっては、視野は焦点光学系に関連する焦点領域の視野である。いくつかの実施形態において、画像の画像化(2310)は、焦点光学系と共に1つ以上の追加の光学系を使用することを含む。例えば、焦点光学系は、視野から光を著しくコリメートすることができ、鏡筒を使用してコリメート光から画像を形成してもよい。画像は、画像の平面に形成されてもよい。
【0219】
次に、画像が検出される(2312)。通常、検出器は、画像を検出するために使用される。検出の例には、光検出、共焦点光検出、干渉検出、及び分光検出がある。検出器は、画像の平面で画像を検出してもよい。画像は、画像センサによって検出されてもよい。画像センサの例には、半導体電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)の能動画素センサ、及びN型金属酸化物半導体(NMOS)がある。画像センサは、通常、検出された画像を2次元(2D)マトリックス(例えば、ビットマップ)で出力する。
【0220】
次に、画像が表示される(2314)。通常、画像は電子表示装置によって表示される。ディスプレイの例には、電界発光(EL)ディスプレイ、液晶(LC)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)バックライト液晶(LC)ディスプレイ、発光ダイオード(LED)ディスプレイ(例えば、有機LED(OLED)ディスプレイ、及びアクティブマトリックス有機LED(AMOLED)ディスプレイ)、プラズマディスプレイ、及び量子ドットディスプレイが含まれる。表示された画像は、指定されたユーザ(例えば、臨床医)などによって見られる。場合によっては、画像は、例えばコントローラ2419によって記録及び保存される。いくつかの実施形態によれば、表示された画像は、治療を必要とする組織の領域を標的とするために使用される。
【0221】
次に、組織内で標的治療領域が指定される(2316)。いくつかの実施形態では、標的治療領域は、部分的な画像に基づいて指定される。例えば、標的治療領域は、画像に表示されるように、組織の一部における明らかに過剰な色素(例えば、真皮メラニン)に基づいて指定され得る(2316)。場合によっては、表示された画像を見ている臨床医が標的治療領域を指定する。あるいは、いくつかの実施形態では、コントローラは、画像に基づいて標的治療領域を自動的に指定する。標的治療領域は、通常、画像内に少なくとも部分的に存在する。
【0222】
最後に、治療放射線を治療領域内の焦点領域に集束させる(2318)。典型的には、治療放射線は、焦点光学系を使用して集束され、組織内で効果を行うように構成される(例えば、発色団で熱電子プラズマを選択的に生成し、美容効果を達成)。いくつかの実施形態では、治療放射線に影響を与えるパラメータは、部分的に画像に基づいて制御される。治療放射線治療による影響を与えるパラメータは、上記にて詳細に説明されている。いくつかの実施形態では、焦点領域は、標的治療領域内で走査される。
【0223】
いくつかの実施形態では、視野は、組織の第1領域から第2領域まで走査される。走査の例には、視野のチップ/チルト、視野の回転、及び視野の変換が含まれる。関連する走査手段のさらなる説明は、全体が本明細書に参照として含まれた、Dresserらの米国特許出願第16/219,809号の「電磁放射ビーム走査システム及び方法」に記載されている。いくつかの実施形態では、第1領域に位置する視野は、第2領域に位置する視野と重なる。この場合、組織の一部が第1領域と第2領域の両方に存在する。いくつかの他の実施形態では、第1領域に位置する視野は、第2領域に位置する視野と重ならない。いくつかの実施形態では、視野の走査は、視野の位置に関連するフィードバックを用いて達成される。例えば、場合によっては、2つのリニアステージで焦点光学系を動かすことによって視野が走査される。各リニアステージにあるエンコーダからのフィードバックは、第1領域及び/又は第2領域に位置するときの視野の位置を推測するのに使用されてもよい。
【0224】
第2領域からの視野の第2画像が画像化され得る。通常、第2画像の画像化は、第1画像の画像化と同じ方式で実行され(2310)、視野の位置のみが2つのステップ間で異なる。画像化は、焦点光学系を使用して少なくとも部分的に実行される。場合によっては、視野は、焦点光学系に関する焦点領域の視野である。第2画像が検出される場合がある。通常、第2画像の検出は、第1画像の検出と同じ方式で実行され(2312)、唯一の違いは、第1画像の代わりに第2画像が検出されることである。
【0225】
場合によっては、第1画像と第2画像は共に、差し込み画像(又はマップ)が差し込まれる。差し込み画像には、追加領域に位置する視野で撮影された追加の画像が含まれてもよい。差し込み画像は、組織の治療前の画像又は組織の治療後の画像を文書化するのに使用されてもよい。第1画像、第2画像、及び差し込み画像のいずれかは、治療の前に撮影され、例えば、医療従事者による診断の決定をサポートするために使用されてもよい。同様に、第1画像、第2画像、及び差し込み画像のいずれかは、治療の効果を立証するために、又は治療の終了を示唆できる治療中の終了時点を探すために、治療中又は終了後に撮影してもよい。
【0226】
図24を参照すると、いくつかの実施形態による組織画像化及び治療システム2400についての概略図が示されている。画像化及び治療システム2400は、焦点光学系2410を含む。焦点光学系2410(例えば、対物レンズ)は、組織2413の視野2412を画像化するように構成される。検出器2414は、焦点光学系2410によって少なくとも部分的に形成された画像2416を検出するように構成される。検出器2414は、ディスプレイ2417と通信する。ディスプレイは、指定されたユーザ(例えば、臨床医)に画像を表示するように構成される。いくつかの実施形態によれば、鏡筒2418は、画像2416を形成するために焦点光学系2410と共に使用される。検出器2414は、検出器から検出された画像に関連するデータがコントローラ2419に入力されるように、コントローラ2419と通信する。焦点光学系2410は、画像化だけでなく治療放射線2420の伝達のために使用される。スキャナ2422は、視野2412を走査するように構成される。スキャナは、通常1つ以上の次元で視野を走査する。いくつかの実施形態では、スキャナ2422は、3次元の全てで視野を走査する。
図24を参照すると、スキャナ2422は、組織2413の第1領域2424から第2領域2426まで視野2412を走査することが示されている。
【0227】
スキャナ2422が視野2412を走査するとき、焦点光学系2410は、第1領域2424で第1画像を画像化し、第2領域2426で第2画像を画像化する。第1画像及び第2画像は、両方とも検出器2414によって検出される。そして、第1検出画像及び第2検出画像に関連するデータがコントローラ2419に入力される。いくつかの実施形態では、複数の画像に関連付けられたデータは、コントローラ2419によって一緒に差し込まれ(スティッチされ)、差し込み画像(又はマップ)を生成する。差し込み画像及び/又は1つ以上の画像は、後に見ることができるようにコントローラによって記録及び保存されてもよい。いくつかの実施形態では、1つ以上の画像からのデータを使用して治療領域を決定する。いくつかの実施形態によれば、治療領域の決定は、コントローラによって自動的に行われる。他の実施形態では、治療領域の決定は、1つ以上の画像を見た後、指定されたユーザによって手動で行われる。
【0228】
治療放射線2420は、焦点光学系2410によって焦点領域に集束される。そして焦点領域は、治療領域に向けられている。いくつかの実施形態によれば、スキャナ2422は、治療領域内の焦点領域を走査するように構成される。システム2400のいくつかの実施形態は、組織2413の表面と接触して配置される窓2430を含む。窓2430は、様々な目的に使用され、1つは、組織の外面をデータ化することにある。従って窓2430は、焦点領域が組織2413の表面から所定の深さだけ組織2413内に確実に配置されることを可能にする。
【0229】
図25は、いくつかの実施形態による、差し込み画像(又はマップ)2500を概略的に示す。差し込み画像2500は、複数(例えば、9つ)の個々の画像2510を含む。走査経路2520は、組織を横断する視野がたどった経路を示す。示されている走査経路には、ラスターパターンが含まれているが、他のパターン(例えば、螺旋形)も可能である。個々の画像2510は、走査経路に沿って位置する地点で撮影される。差し込み画像2500は、様々な方式で個々の画像から形成され得る。例えば、視野の位置が個々の画像に対して推定可能である場合(例えば、スキャナフィードバックを介して)、デッドレコニング計算(dead-reckoning calculation)によって差し込み画像2500を構築してもよい。あるいは、差し込み画像2500は、差し込み(スティッチング)のためのマシンビジョンアルゴリズムを使用して構築され得る。画像化スティッチングソフトウェアの第1の例は、ハグインパノラマ(Hugin-Panorama)フォトスティッチャである。ハグイン(Hugin)は、http://hugin.Sourceforge.netでホスティングされているオープンソースプロジェクトである。第2の例のイメージスティッチングソフトウェアは、アドビフォトショップ(Adobe Photoshop)(登録商標)内のフォトマージ(Photomerge)ツールである。特定個々の実施形態は、EMR治療装置における組織画像化をさらに説明するために以下に提供される。
【0230】
[組織画像化の例1]
図26A~26Bは、例示的な組織画像化及び治療システム2600の概略図を示す。
図26Aは、システム2600の正面図を示す。
図26Bは、
図26AのB-B断面線に沿って見たシステム2600の横断図を示す。
【0231】
システム2600は、ファイバレーザ2610を含む。ファイバレーザ2610は、治療放射線を出力するように構成される。ファイバレーザの例は、中国、上海に所在するファイバーレーザーテクノロジー社に所在するファイバ1060nm、40W、20Khzのファイバレーザである。治療放射線は、光学システムによって窓2622を介して組織内(図示せず)の焦点領域に治療放射線を集束させる焦点光学系2620に向けられる。光学システムは、焦点光学系2620が3次元の全てで走査されるように構成される。これにより、治療放射線の焦点領域が、組織内の3次元の全てで走査される。走査は、それぞれが単一軸を担当する3つの別々のステージによって実現される。Xステージ2625は、X軸で焦点光学系を走査する。Xステージ2625に装着されたYステージ2626は、Y軸で焦点光学系を走査する。そして、Yステージ2626に装着されたZステージは、Z軸で(例えば、一般に焦点光学系の光軸に沿って)焦点光学系を走査する。代表的なXステージは、米国、マサチューセッツ州のボックスボロー(Boxborough)に所在するDover Motion社で製造したDoverMMX 50で、イスラエルのペタク・チクヴァ(Petach-Tikva)に所在するELMOモーションコントロール社(Elmo Motion Controller Ltd.)のELMO DCホイッスルゴールドコントローラ(Elmo DC whistle Gold controller)で制御される。例示的なYステージは、米国、マサチューセッツ州のオーバーン(Auburn)に所在するPhysik Instrumente社(Physik Instrumente L.P.)のE873コントローラで制御されるQ545.140ステージである。例示的なZステージは、米国、ニューヨーク州ビクター(Victor)に所在するニュースケールテクノロージー社(New Scale Technologies,Inc.)のNew Scale 3M-FSである。
【0232】
光学システムは、治療放射線を反射して他の放射線(例えば、可視光)を通過させるように構成されたビームスプリッタ2630を含む。従って、組織からの画像化放射線(例えば、可視光)は、ビームスプリッタ2630を介して焦点光学系2620によって画像化される。ビームスプリッタ2630のダウンビームには、レンズアセンブリ2632が配置される。レンズアセンブリの例は、米国、ニューヨーク州コーニング(Corning)に所在するコーニング社(Corning Inc.)のバリオプティック(VarioOptic)オートフォーカスレンズモジュールの部品番号:C-C-39NO-250である。画像化放射線は、レンズアセンブリによってさらに画像化され、最終的にカメラ2634、特にカメラ内の画像センサによって検出される。カメラの例は、カナダ、オンタリオ州のピクセリンク社(PixelLink)で生産したPL-D755である。PL-D755には、グローバルシャッターを備えたソニー(SONY)のIMX250 CMOS画像センサがある。非常に小さな領域を顕微鏡で画像化するために、表示された画像化システムには、組織の照明を必要とする。
【0233】
フレーム2640は、全体にわたって複数の穴2642を備えることが示されている。穴2642内には、複数の光ファイバ束(図示せず)が配置されている。例示的な照明方式では、直径0.06インチのステンレス鋼管内に収容された12個の光ファイバ束がフレーム2640の周りに位置する穴2642に配置される。光ファイバ束は、遠位端で単一の束に集束される。単一の束は、光源と光通信に配置される。例示的な光源は、米国、コネチカット州のポムフレット(Pomfret)に所在するファイバオプティクステクノロジ社(Fiberoptics Technology Incorporated)のデイライトホワイト6500K38Wライトエンジン部品番号FTIII24015である。穴2642は、窓2622に向かって角度が付けられており、従って光ファイバ束からの光は、束が存在するときに組織に向けられる。焦点光学系の光軸に相対的な角度で光を当てることを暗視野照明と呼ばれることがある。いくつかの実施形態では、暗視野照明は、窓の表面からの鏡面反射が焦点光学系によって(グレアとして)画像化されないために有利である。他の実施形態では、照明は、一般に光軸と同軸に提供される。この照明技術は、明視野照明と呼ばれることがある。明視野照明は、焦点光学系の視野内でより大きな照明密度を提供するため、いくつかの実施形態で有利である。実用性を立証するために、例示的な画像化システムで撮影された画像を説明する。
【0234】
図27Aは、
図26A及びbに示された例示的なシステム2600によって撮影された画像2710を示す。この画像2710は、1951年に空軍の目標物を撮影したものである。この画像2710のような18個の画像が撮影された(9つずつ2行)。18個の画像は、
図27Bに示された差し込み画像2720に共に差し込まれた。差し込み(スティッチング)は、アドビフォトショップ(Adobe Photoshop)のフォトマージ(Photomerge)ツールを使用して自動的に実行された。差し込み画像2720を検討すると、グループ7の要素6が分解可能であることが分かる。グループ7の要素6のライン幅は、約2.2μmである。従って顕微鏡画像化は、
図26A及びbに示された例示的なシステム2600を使用し、実用的である。
【0235】
[追加実施形態]
いくつかの実施形態では、入力レーザビームの反復速度は、標的組織/標的物質内のプラズマの崩壊速度よりも速いことがある。これは、連続的な(例えば、一時的に連続的、空間的に連続的など)プラズマの生成を可能にすることができる。レーザビームの反復速度を変更することにより、治療領域/標的領域(例えば、プラズマが生成される領域)の領域を制御することができる。
【0236】
追加の実施形態は、EMRベースの治療と組み合わせて使用される代替の画像化技術を含む。このような代替画像化技術には、電子顕微鏡画像化、広視野画像化、反射型共焦点画像化、光コヒーレンストモグラフィ画像化、光コヒーレンスエラストグラフィ画像化、コヒーレント反ストークスラマン分光画像化、二光子画像化、光第二高調波画像化、位相共役画像化、光音響画像化、赤外分光画像化、及びハイパースペクトル画像化が含まれる。
【0237】
当業者は、上記の実施形態に基づく本発明のさらなる特徴及び利点を理解するであろう。従って、本発明は、添付の請求の範囲によって示される場合を除いて、特に図示及び説明されたものに制限されない。本明細書で引用されている全ての刊行物及び参考文献は、その全体が本明細書に明示的に参考として含まれる。
【0238】
本明細書に記載の主題は、デジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアで実現することができ、ここには、本明細書に開示された構造的手段及びそれらの構造的均等物、又はこれらの組み合わせが含まれる。本明細書に記載の主題は、データ処理装置によって実行されるか、データ処理装置(例えば、プログラミング可能なプロセッサ、コンピュータ又は様々なコンピュータ)の動作を制御するために情報キャリア(例えば、機械可読記憶装置)に有形的によって実現されるか、又は伝播された信号によって実現された1つ以上のコンピュータプログラムなど、1つ以上のコンピュータプログラム製品で実現され得る。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードともいう)は、コンパイル済み又は解釈済みの言語を含む任意の形式のプログラミング言語で作成されることができ、独立実行型プログラム又はコンピューティング環境で使用するのに適したモジュール、構成要素、サブルーチン、又はその他の装置を含む任意の形式で配布され得る。コンピュータプログラムが必ずしもファイルに該当するわけではない。プログラムは、他のプログラムやデータを保持するファイルの一部、該当プログラム専用の単一ファイル又は複数の調整ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を格納するファイル)に格納されてもよい。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ又は1つのサイトの複数のコンピュータで実行されるように配布されたり、複数のサイトに分散して通信ネットワークで相互接続されたりしてもよい。
【0239】
本明細書に記載の主題の方法のステップを含み、この明細書に記載のプロセス及びロジックフローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行することによって、入力データ及び出力の生成に対して動作することにより、本明細書に記載の主題の機能を実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって実行され得る。プロセス及びロジックフローは、次のように行うこともできる。本明細書に説明された主題の装置は、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)のような特殊な目的の論理回路として実装され得る。
【0240】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例えば、汎用及び特殊目的のマイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般にプロセッサは、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ、あるいはその両方から命令とデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを格納するための1つ以上のメモリデバイスである。一般に、コンピュータはまた、データを格納するための1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気、光磁気ディスク、又は光ディスクからデータを受信するか、データを送信するか、又は両方を含んで動作可能に結合される。コンピュータプログラムの命令及びデータを具体化するのに適した情報媒体には、例えば、半導体記憶装置(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリデバイス)、不揮発性メモリ磁気ディスク(例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、及び光学ディスク(例えば、CD及びDVDディスク)を含む全ての形態の不揮発メモリの形態を含む。プロセッサとメモリは、特殊な目的の論理回路によって補完又は組み込まれ得る。
【0241】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載の主題は、例えば、ユーザに情報を表示するためのCRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ、ユーザが入力を提供できるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)、コンピュータのディスプレイ装置を有するコンピュータ上で実現し得る。他の種類の装置を使用してユーザとの相互作用を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバック)であり、ユーザからの入力は、音響、音声又は触覚入力を含む任意の形態で受信されてもよい。
【0242】
本明細書に記載の技術は、1つ以上のモジュールを使用して実現されてもよい。本明細書で使用される場合、「モジュール」という用語は、コンピューティングソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及び/又はこれらの様々な組み合せを意味する。しかし、少なくとも、モジュールは、ハードウェア、ファームウェアに実装されていない、又は非一時的なプロセッサで読み取り可能記な記録可能な記憶媒体に記録されていないソフトウェアと解釈されるべきではない(即ち、モジュール自体はソフトウェアではない)。実際に、「モジュール」は、プロセッサ又はコンピュータの一部など、少なくとも一部の物理的な非一時的なハードウェアを常に含むと解釈される。2つの異なるモジュールが同じ物理的ハードウェアを共有することができる(例えば、2つの異なるモジュールが同じプロセッサ及びネットワークインタフェースを使用することができる)。本明細書に記載のモジュールは、様々なアプリケーションをサポートするために、結合、統合、分離、及び/又は複製されてもよい。また、特定のモジュールで実行されることによって、本明細書に記載の機能は、1つ以上の他のモジュールで及び/又は特定モジュールで実行される機能の代わりに、又はそれに加えて1つ以上の他の装置によって実行されてもよい。また、モジュールは、様々な装置及び/又は他の構成要素にわたってローカル又はリモートで実現し得る。また、モジュールを1つの装置から移動して他の装置に追加したり、両方の装置に含めたりすることができる。
【0243】
本明細書に記載の主題は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバ)、ミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)、又は、フロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザが本明細書に記載の主題の実装と相互作用することができるグラフィクユーザインタフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)、又はそのようなバックエンド、ミドルウェア、及びフロントエンドコンポーネントの組み合わせを含むコンピューティングシステムで実現され得る。システムの構成要素は、デジタルデータ通信の全ての形態又は媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続されてもよい。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)と広域ネットワーク(「WAN」)(例えば、インターネット)が含まれる。
【0244】
本明細書の明細書及び請求の範囲の全体にかけて使用される近似言語は、関連する基本機能の変更をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修正するために適用され得る。「概略」、「実質的に」、又は「約」は、特に明示されていない、又は文脈から明らかでない限り、(そのような数字が許容可能な値の100%を超過する場合は除く)、いずれの方向であっても、1%の範囲内、又はいくつかの実施形態では5%範囲内、又は一実施形態では10%範囲内の数を含むことができる。従って、「約」、「概略」、又は「実質的に」などの1つ又は複数の用語によって変更された値は、指定された正確な値に制限されるべきではない。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に該当し得る。明細書及び請求の範囲の全体にかけて、範囲の制限は、組み合せ及び/又は相互交換することができ、そのような範囲は識別され、文脈又は言語で別段の指示がない限り、そこに含まれる全ての下位範囲が含まれる。
【0245】
明細書及び請求の範囲で本明細書に使用されたような冠詞「1つ(a及びan)」は、反対に明確に示されない限り、複数の指示対象を含むと理解されるべきである。グループの1つ以上の構成の間に「又は」を含む請求項又は説明は、グループ構成のうちの1つ以上又は全ての構成が、存在して使用されている場合に、満たされているとみなされ、又は反対の指示がないか、又は文脈から明らかでない限り、特定の製品又はプロセスに関連している。本開示は、グループの正確に1つの構成が、所与の製品またはプロセスに存在するか、使用されるか、又はそうでなければ関連する実施形態を含む。本開示はまた、1つ以上または全てのグループ構成が所与の製品又はプロセスに存在するか、使用されるか、又はそうでなければ関連する実施形態を含む。さらに、特に指示されない限り、又は矛盾又は不一致が生じることが当業者に明白でない限り、開示された実施形態は、羅列された請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の制限、要素、節、説明用語などが同一の基本請求項(又は、その他の全ての請求項)に依存する異なる請求項で導入される全ての変形、組み合せ及び順列を提供することを理解しなければならない。本明細書に説明された全ての実施形態は、適切な場合、開示された実施形態の全ての異なる態様に適用可能であることが企図される。また、任意の実施形態又は態様が適切な場合はいつでも、1つ以上の異なるこのような実施形態又は態様と自由に組み合せわせることができることも企図される。要素がリストとして提示される場合(例えば、マーカッシュ群(Markush group)又は類似の形式)、要素の各サブグループも開示され、任意の要素がグループから除去される可能性があることを理解されたい。一般に、開示された実施形態又は開示された実施形態の態様が、特定の要素、特徴などを含むと言及される場合、本開示の特定の実施形態又は本開示の態様は、そのような要素、特徴などで構成されるか、又は本質的にそれらから構成される。簡略化のために、このような実施形態は、全ての場合において、本明細書でそれほど多くの言葉で具体的に説明されていない。特定の除外が明細書に記載されているかに関係なく、本開示の任意の実施形態又は態様を請求の範囲から明示的に除外できることも理解されたい。例えば、任意の1つ以上の活性剤、添加剤、成分、任意の薬剤、有機体の種類、障害、対象、又はこれらの組み合せは、除外することができる。
【0246】
ここに提供される範囲の場合、本開示の実施形態は、エンドポイントが含まれる実施形態、両方のエンドポイントが全て除外された実施形態、及び1つのエンドポイントが含まれ、他方のエンドポイントが除外される実施形態を含む。特に明記されない限り、両方のエンドポイントが全て含まれていると想定する必要がある。さらに、別に表示されるか、当業者の文脈及び理解から特に明らかでない限り、範囲として表された値は、文脈にて特に明示しない限り、範囲の下限単位の10分の1まで本開示の他の実施形態で言及された範囲内の任意の特定値又は下位範囲を仮定できることを理解しなければならない。一連の数値が本明細書に記載されている場合、本開示は、一連の任意の2つの値によって定義される任意の中間値又は範囲に類似して関連する最も低い値が最小値と見なされ、最も大きい値が最大値とみなされ得る実施形態を含む。本明細書に使用された数値は、百分率で表される値が含まれる。
【0247】
反対に明確に表示されない限り、1つ以上の実行を含む本明細書で請求された任意の方法において、方法の行為の順序は、必ずしも方法の行為が引用される順序に制限されることはないが、本開示は、順序がそのように制限される実施形態を含み得ることを理解しなければならない。特別な指示がない、又は文脈から明らかでない限り、本明細書に記載された任意の製品又は組成物は、「分離した」ものと見なされ得ることもまた理解しなければならない。
【0248】
本明細書に使用される場合、「含む又は備える」という用語は、開示された実施形態に必須であるが、必須であるかに関わらず、不特定の要素を含み得る組成物、方法、及びこれらのそれぞれの成分と関連して使用される。
【0249】
本明細書で使用される場合、「本質的に構成される(consisting essentially of)」という用語は、所与の実施形態に必要な要素を指す。この用語は、本発明の実施形態の基本的、及び新規又は機能的な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素の存在を可能にする。
【0250】
「からなる(consisting of)」という用語は、本明細書に記載の組成物、方法、及びそれぞれの構成要素を指し、これらは、実施形態のその説明で引用されていない任意の要素を除く。
【0251】
いくつかの変形が上で詳細に説明されているが、他の修正又は追加が可能である。
【0252】
上記の説明及び請求の範囲において、「少なくとも1つ(at least one of)「又は」1つ以上の(one or more of)」などの句は、要素又は特徴の接続詞のリストが後に続く場合がある。「及び/又は」という用語はまた、2つ以上の要素又は特徴のリストに現れることがある。それが使用される文脈によって暗示的又は明示的に矛盾しない限り、そのような句は、羅列した要素又は特徴のいずれかを個別に、又は引用された要素、又は特徴のいずれかを他の引用された要素又は特徴と組み合わせて意味することを意図する。例えば、「AとBの少なくとも1つ以上」という文で、「AとBのうちの1つ以上」及び「A及び/又はB」は、各々「Aのみ、Bのみ、又は、AとBを共に」を意味することを意図する。同様の解釈は、3つ以上の項目を含むリストにも適用される。例えば、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、及び「A、B、及び/又はC」という文は、各々「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、又は、AとBとCを共に」を意味することを意図する。さらに、上記及び請求の範囲で「に基づく」という用語の使用は、引用されていない特徴又は要素も許容されるように、「少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図する。
【0253】
本明細書に説明された主題は、所望する構成に応じて、システム、装置、方法、及び/又は物品に具体化され得る。上述の説明に記載されている実装は、本明細書に記載されている主題と一致する全ての実装を示すわけではない。代わりに、これらは、説明された主題に関連する態様と一致するいくつかの例に過ぎない。いくつかの変形が上で詳細に説明されているが、他の修正又は追加が可能である。特に、本明細書に説明されたものなどに加えて、さらなる特徴及び/又は変形が提供されてもよい。例えば、上記の実装は、開示された特徴の様々な組み合せ及び下位組み合せ、及び/又は上記にて開示された様々なさらなる特徴の組み合せ及び下位組み合せに関するものであってもよい。また、添付の図に示された及び/又は本明細書に記載のロジックフローは、望ましい結果を達成するために、示される特定の順序又は逐次的な順序を必ずしも必要としない。他の実装は、特許請求の範囲内に存在し得る。