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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240327BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652N
H01L29/78 652S
H01L29/78 652M
H01L29/78 653C
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020089941
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184443
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠田 智晃
(72)【発明者】
【氏名】片岡 肇
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0296029(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0170286(US,A1)
【文献】特開2011-199109(JP,A)
【文献】特開平11-233765(JP,A)
【文献】特開2008-205439(JP,A)
【文献】特開2008-004772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を有する半導体チップと、
前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域を貫通するように前記主面に形成された第1トレンチに第1絶縁体を挟んで上下方向に埋設された第1上電極および第1下電極を含み、前記第1上電極および前記第1下電極の双方にゲート電位が印加される第1ゲート構造と、
前記ボディ領域を貫通するように前記主面に形成された第2トレンチに第2絶縁体を挟んで上下方向に埋設された第2上電極および第2下電極を含み、前記第2上電極に前記ゲート電位が印加され、前記第2下電極にソース電位が印加される第2ゲート構造と、
前記ボディ領域の表層部において前記第1ゲート構造に沿う領域に形成され、前記ドリフト領域との間で第1チャネルを形成する第1導電型の第1ソース領域と、
前記ボディ領域の表層部において前記第2ゲート構造に沿う領域に形成され、前記ドリフト領域との間で第2チャネルを形成する第1導電型の第2ソース領域と、を含み、
前記第1ゲート構造は、前記主面に沿う一方方向に延び、
前記第2ゲート構造は、前記一方方向に交差する交差方向に延びており、
前記第2ゲート構造は、前記交差方向に前記第1ゲート構造に対向している、半導体装置。
【請求項2】
主面を有する半導体チップと、
前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、
前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のボディ領域と、
前記ボディ領域を貫通するように前記主面に形成された第1トレンチに第1絶縁体を挟んで上下方向に埋設された第1上電極および第1下電極を含み、前記第1上電極および前記第1下電極の双方にゲート電位が印加される第1ゲート構造と、
前記ボディ領域を貫通するように前記主面に形成された第2トレンチに第2絶縁体を挟んで上下方向に埋設された第2上電極および第2下電極を含み、前記第2上電極に前記ゲート電位が印加され、前記第2下電極にソース電位が印加される第2ゲート構造と、
前記ボディ領域の表層部において前記第1ゲート構造に沿う領域に形成され、前記ドリフト領域との間で第1チャネルを形成する第1導電型の第1ソース領域と、
前記ボディ領域の表層部において前記第2ゲート構造に沿う領域に形成され、前記ドリフト領域との間で第2チャネルを形成する第1導電型の第2ソース領域と、を含み、
前記第1ゲート構造は、前記主面に沿う一方方向に延び、
前記第2ゲート構造は、前記一方方向に交差する交差方向に延びており、
前記第2ゲート構造は、前記一方方向に前記第1ゲート構造に対向している、半導体装置。
【請求項3】
前記第1ゲート構造および前記第2ゲート構造を被覆する層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜の上に形成され、平面視において前記第1ゲート構造および前記第2ゲート構造に交差するように延び、前記第1上電極、前記第1下電極および前記第2上電極に電気的に接続されたゲート配線と、
前記ゲート配線から間隔を空けて前記層間絶縁膜の上に形成され、前記第2下電極に電気的に接続されたソースパッドと、をさらに含む、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記層間絶縁膜の上に形成され、前記ゲート配線に接続されたゲートパッドをさらに含む、請求項に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の前記第1ゲート構造を含み、
複数の前記第2ゲート構造を含む、請求項のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記層間絶縁膜に埋設され、前記第1上電極に電気的に接続された第1接続電極と、
前記層間絶縁膜に埋設され、前記第1下電極に電気的に接続された第2接続電極と、
前記層間絶縁膜に埋設され、前記第2上電極に電気的に接続された第3接続電極と、
前記層間絶縁膜に埋設され、前記第2下電極に電気的に接続された第4接続電極と、をさらに含み、
前記ゲート配線は、前記第1接続電極、前記第2接続電極および前記第3接続電極に接続され、
前記ソースパッドは、前記第4接続電極に電気的に接続されている、請求項3または4に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1接続電極は、平面視において前記第1ゲート構造に重なっており、
前記第2接続電極は、平面視において前記第1ゲート構造に重なっており、
前記第3接続電極は、平面視において前記第2ゲート構造に重なっており、
前記第4接続電極は、平面視において前記第2ゲート構造に重なっている、請求項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1ゲート構造は、前記第1下電極の一部からなり、前記第1絶縁体を挟んで前記第1トレンチの開口側に引き出された第1引き出し電極を含み、
前記第2ゲート構造は、前記第2下電極の一部からなり、前記第2絶縁体を挟んで前記第2トレンチの開口側に引き出された第2引き出し電極を含み、
前記第2接続電極は、前記第1引き出し電極に接続され、
前記第4接続電極は、前記第2引き出し電極に接続されている、請求項またはに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単位セルを含む電界効果トランジスタを備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の単位セルを含む電界効果トランジスタの一例としてのトレンチ内ダブルゲート型バーティカルパワーMOSFEET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を備えた半導体装置を開示している。この半導体装置は、具体的には、半導体基板、n型のドリフト領域、p型のチャネル領域(ボディ領域)、複数のトレンチ内ダブルゲート構造、および、n型のソース領域を含む。
【0003】
ドリフト領域は、半導体基板の表層部に形成されている。チャネル領域は、ドリフト領域の表層部に形成されている。複数のトレンチ内ダブルゲート構造は、トレンチ、ゲート電極、フィールドプレート電極、ゲート酸化膜、フィールドプレート周辺絶縁膜、および、フィールドプレート・ゲート間絶縁膜をそれぞれ含む。トレンチは、チャネル領域を貫通するように半導体基板に形成されている。ゲート電極は、トレンチ内の開口側に埋設されている。フィールドプレート電極は、トレンチ内の底壁側に埋設されている。
【0004】
ゲート酸化膜は、トレンチおよびゲート電極の間に介在している。フィールドプレート周辺絶縁膜は、トレンチおよびフィールドプレート電極の間に介在している。フィールドプレート・ゲート間絶縁膜は、ゲート電極およびフィールドプレート電極の間に介在している。ゲート電極およびフィールドプレート電極の双方には、ゲート電位が印加される。複数のソース領域は、チャネル領域の表層部において複数のトレンチ内ダブルゲート構造に沿う領域にそれぞれ形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2011-199109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、複数の単位セルを含む電界効果トランジスタを備えた構造において、消費電力の増加を抑制しながら、スイッチング下降時間を短縮できる半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、半導体チップと、第1オン抵抗成分および第1帰還容量成分を有する第1単位セル、ならびに、前記第1オン抵抗成分に対して並列成分を成し、前記第1オン抵抗成分を超える第2オン抵抗成分、および、前記第1帰還容量成分に対して並列成分を成し、前記第1帰還容量成分未満の第2帰還容量成分を有する第2単位セルによって構成された複数の単位セルを含み、前記半導体チップに形成された電界効果トランジスタと、を含む、半導体装置を提供する。
【0008】
本発明の一実施形態は、主面を有する半導体チップと、前記主面の表層部に形成された第1導電型のドリフト領域と、前記ドリフト領域の表層部に形成された第2導電型のボディ領域と、前記ボディ領域を貫通するように前記主面に形成された第1トレンチに第1絶縁体を挟んで上下方向に埋設された第1上電極および第1下電極を含み、前記第1上電極および前記第1下電極の双方にゲート電位が印加される第1ゲート構造と、前記ボディ領域を貫通するように前記主面に形成された第2トレンチに第2絶縁体を挟んで上下方向に埋設された第2上電極および第2下電極を含み、前記第2上電極に前記ゲート電位が印加され、前記第2下電極にソース電位が印加される第2ゲート構造と、前記ボディ領域の表層部において前記第1ゲート構造に沿う領域に形成され、前記ドリフト領域との間で第1チャネルを形成する第1導電型の第1ソース領域と、前記ボディ領域の表層部において前記第2ゲート構造に沿う領域に形成され、前記ドリフト領域との間で第2チャネルを形成する第1導電型の第2ソース領域と、を含む、半導体装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図2図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。
図3図3は、図1に示す半導体チップの主面の構造を示す平面図である。
図4図4は、図3に示す構造からセル領域の一部を抽出した拡大平面図である。
図5図5は、図4に示すV-V線に沿う断面図である。
図6図6は、図4に示すVI-VI線に沿う断面図である。
図7図7は、図5に示す単位セルの拡大断面図である。
図8図8は、図3に示す構造から第1単位セルを抽出した拡大平面図である。
図9図9は、図8に示すIX-IX線に沿う断面図である。
図10図10は、図3に示す構造から第2単位セルを抽出した拡大平面図である。
図11図11は、図10に示すXI-XI線に沿う断面図である。
図12図12は、第1単位セルおよび第2単位セルの電気的な接続形態を説明するための図である。
図13図13は、第1単位セルおよび第2単位セルの電気的な接続形態を説明するための電気回路図である。
図14図14は、第2ゲート構造の構成比率を調整したときのMISFETのオン抵抗および帰還容量の関係を示すグラフである。
図15図15は、図3に対応し、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の半導体チップの主面の構造(=第1実施形態に係る半導体装置において第1単位セルの配列および第2単位セルの配列を変更した形態)を示す平面図である。
図16図16は、図3に対応し、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の半導体チップの主面の構造(=第1実施形態に係る半導体装置において複数のセル領域の配置、第1単位セルの配列および第2単位セルの配列を変更した形態)を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置1を示す平面図である。図2は、図1に示すII-II線に沿う断面図である。図3は、図1に示す半導体チップ3の第1主面4の構造を示す平面図である。図4は、図3に示す構造からセル領域12の一部を抽出した拡大平面図である。図5は、図4に示すV-V線に沿う断面図である。図6は、図4に示すVI-VI線に沿う断面図である。図7は、図5に示す単位セル22の拡大断面図である。
【0011】
図8は、図3に示す構造から第1単位セル22Aを抽出した拡大平面図である。図9は、図8に示すIX-IX線に沿う断面図である。図10は、図3に示す構造から第2単位セル22Bを抽出した拡大平面図である。図11は、図10に示すXI-XI線に沿う断面図である。図12は、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bの電気的な接続形態を説明するための図である。図13は、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bの電気的な接続形態を説明するための電気回路図である。
【0012】
図1および図2を参照して、半導体装置1は、この形態(this embodiment)では、電界効果トランジスタの一例としてのトレンチ絶縁ゲート型のMISFET2(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を備えたスイッチングデバイスである。図2では、MISFET2が回路記号によって簡略化して示されている。
半導体装置1は、直方体形状に形成された半導体チップ3を含む。半導体チップ3は、この形態では、シリコン製のSiチップからなる。半導体チップ3は、一方側の第1主面4、他方側の第2主面5、ならびに、第1主面4および第2主面5を接続する第1~第4側面6A~6Dを含む。第1主面4および第2主面5は、それらの法線方向Zから見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状(具体的には長方形状)に形成されている。
【0013】
第1~第4側面6A~6Dは、第1側面6A、第2側面6B、第3側面6Cおよび第4側面6Dを含む。第1側面6Aおよび第2側面6Bは、第1主面4に沿う第1方向Xに延び、第1方向Xに交差する第2方向Yに対向している。第2方向Yは、具体的には、第1方向Xに直交している。第1側面6Aおよび第2側面6Bは、半導体チップ3の短辺を形成している。第3側面6Cおよび第4側面6Dは、第2方向Yに延び、第1方向Xに対向している。第3側面6Cおよび第4側面6Dは、半導体チップ3の長辺を形成している。
【0014】
半導体装置1は、半導体チップ3の第2主面5の表層部に形成されたn型(第1導電型)のドレイン領域7(第1不純物領域)を含む。ドレイン領域7は、MISFET2のドレインを形成している。ドレイン領域7は、第2主面5の表層部の全域に形成され、第2主面5および第1~第4側面6A~6Dから露出している。ドレイン領域7のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。ドレイン領域7は、この形態では、n型の半導体基板(Si基板)によって形成されている。
【0015】
ドレイン領域7の厚さは、10μm以上450μm以下であってもよい。ドレイン領域7の厚さは、10μm以上50μm以下、50μm以上150μm以下、150μm以上250μm以下、250μm以上350μm以下、350μm以上450μm以下であってもよい。ドレイン領域7の厚さは、50μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0016】
半導体装置1は、半導体チップ3の第1主面4の表層部に形成されたn型のドリフト領域8(第2不純物領域)を含む。ドリフト領域8は、ドレイン領域7と共にMISFET2のドレインを形成している。ドリフト領域8は、ドレイン領域7に電気的に接続されるように第1主面4の表層部の全域に形成され、第1主面4および第1~第4側面6A~6Dから露出している。
【0017】
ドリフト領域8は、ドレイン領域7のn型不純物濃度未満のn型不純物濃度を有している。ドリフト領域8のn型不純物濃度は、1×1015cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。ドリフト領域8は、この形態では、n型のエピタキシャル層(Siエピタキシャル層)によって形成されている。
ドリフト領域8は、ドレイン領域7の厚さ未満の厚さを有している。ドリフト領域8の厚さは、5μm以上20μm以下であってもよい。ドリフト領域8の厚さは、5μm以上10μm以下、10μm以上15μm以下、または、15μm以上20μm以下であってもよい。ドリフト領域8の厚さは、5μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0018】
図3図7を参照して、半導体装置1は、第1主面4に設定された活性領域10を含む。活性領域10は、MISFET2が形成される領域である。活性領域10は、この形態では、第1主面4に1つだけ設定されている。つまり、半導体装置1は、この形態では、単一の活性領域10を含むディスクリートデバイスからなる。活性領域10は、第1~第4側面6A~6Dから内方に間隔を空けて第1主面4の中央部に設定されている。活性領域10は、第1~第4側面6A~6Dに平行な4辺を有する多角形状に設定されている。活性領域10は、この形態では、平面視において第1側面6Aに沿う辺の中央部において、第1主面4の内方部に向けて窪んだ凹部11を有している。
【0019】
活性領域10は、少なくとも1つのセル領域12を含む。セル領域12は、MISFET2の最小単位を形成するトランジスタセルが形成される領域である。セル領域12の個数、平面積、配置等は任意であり、特定の形態に制限されない。活性領域10は、この形態では、異なる4つの領域に設定された4つのセル領域12を含む。
4つのセル領域12は、第1セル領域12A、第2セル領域12B、第3セル領域12Cおよび第4セル領域12Dを含む。第1セル領域12Aは、活性領域10の第3側面6C側の領域において凹部11に対して第2側面6B側の領域に設定されている。第1セル領域12Aは、第2方向Yに凹部11に対向している。第2セル領域12Bは、活性領域10の第4側面6D側の領域において凹部11に対して第2側面6B側の領域に設定されている。第2セル領域12Bは、第2方向Yに凹部11に対向している。
【0020】
第3セル領域12Cは、凹部11に対して第3側面6C側の領域に設定され、第1方向Xに凹部11に対向している。第3セル領域12Cは、第1方向Xに関して第1セル領域12Aの幅未満の幅を有している。第4セル領域12Dは、凹部11に対して第4側面6D側の領域に設定され、第1方向Xに凹部11に対向している。第4セル領域12Dは、凹部11を挟んで第3セル領域12Cに対向している。第4セル領域12Dは、第1方向Xに関して第2セル領域12Bの幅未満の幅を有している。
【0021】
半導体装置1は、第1主面4に設定された非活性領域13を含む。非活性領域13は、トランジスタセル(MISFET2)が形成されない領域であり、活性領域10の外側に設定されている。非活性領域13は、環状領域14およびパッド領域15を含む。環状領域14は、平面視において第1~第4側面6A~6Dに沿って帯状に延び、活性領域10を取り囲む環状(具体的には四角環状)に設定されている。パッド領域15は、活性領域10の凹部11に整合するように、環状領域14において第1側面6Aに沿う部分から活性領域10に向かって凸状に突出している。パッド領域15は、後述のゲートパッド電極81を支持する領域である。
【0022】
半導体装置1は、活性領域10においてドリフト領域8の表層部に形成されたp型のボディ領域21を含む。ボディ領域21のp型不純物濃度は、1×1016cm-3以上1×1018cm-3以下であってもよい。ボディ領域21は、活性領域10においてドリフト領域8の表層部全域に形成されている。ボディ領域21は、ドリフト領域8の底部から第1主面4側に間隔を空けて形成されている。
【0023】
半導体装置1は、活性領域10に形成された複数の単位セル22を含む。各単位セル22は、トランジスタセルとしてMISFET2の最小単位を形成している。複数の単位セル22は、第1~第4セル領域12A~12Dにそれぞれ形成されている。第1~第4セル領域12A~12Dに含まれる単位セル22の個数は任意であり、必ずしも全てのセル領域12に単位セル22が形成されている必要はない。ただし、良好なデバイス特性を得る観点から、全てのセル領域12に複数の単位セル22が形成されていることが好ましい。
【0024】
第1セル領域12Aの複数(この形態では21個)の単位セル22は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。つまり、第1セル領域12Aの複数の単位セル22は、全体として第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。第1セル領域12Aの複数の単位セル22は、第3側面6C側から活性領域10の中央部に向けて帯状に延び、第2方向Yに凹部11に対向している。第1セル領域12Aの複数の単位セル22は、第1方向Xに関して第1長さL1を有している。
【0025】
第2セル領域12Bの複数(この形態では21個)の単位セル22は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。つまり、第2セル領域12Bの複数の単位セル22は、全体として第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。第2セル領域12Bの複数の単位セル22は、第4側面6D側から活性領域10の中央部に向けて帯状に延び、第2方向Yに凹部11に対向している。
【0026】
第2セル領域12Bの複数の単位セル22は、第1セル領域12Aの複数の単位セル22から第1方向Xに間隔を空けて形成されている。第2セル領域12Bの複数の単位セル22は、第1方向Xに第1セル領域12Aの複数の単位セル22に対向している。第2セル領域12Bの複数の単位セル22は、具体的には、第1方向Xに第1セル領域12Aの複数の単位セル22に1対1対応の関係で対向している。第2セル領域12Bの複数の単位セル22は、第1方向Xに関して第2長さL2を有している。第2長さL2は、第1長さL1と等しくてもよい。
【0027】
第3セル領域12Cの複数(この形態では5個)の単位セル22は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。つまり、第3セル領域12Cの複数の単位セル22は、全体として第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。第3セル領域12Cの複数の単位セル22は、第3側面6C側から凹部11に向けて帯状に延び、第1方向Xに凹部11に対向している。第3セル領域12Cの複数の単位セル22は、第2方向Yに第1セル領域12Aの複数の単位セル22に対向している。第3セル領域12Cの複数の単位セル22は、第1方向Xに関して第1長さL1未満の第3長さL3を有している。
【0028】
第4セル領域12Dの複数(この形態では5個)の単位セル22は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。つまり、第4セル領域12Dの複数の単位セル22は、全体として第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。第4セル領域12Dの複数の単位セル22は、第4側面6D側から凹部11に向けて帯状に延び、第1方向Xに凹部11に対向している。
【0029】
第4セル領域12Dの複数の単位セル22は、凹部11を挟んで第3セル領域12Cの複数の単位セル22に対向している。第4セル領域12Dの複数の単位セル22は、具体的には、第1方向Xに第3セル領域12Cの複数の単位セル22に1対1対応の関係で対向している。また、第4セル領域12Dの複数の単位セル22は、第2方向Yに第2セル領域12Bの複数の単位セル22に対向している。第4セル領域12Dの複数の単位セル22は、第1方向Xに関して第2長さL2未満の第4長さL4を有している。
【0030】
図4図7を参照して、複数の単位セル22は、ゲート構造23およびチャネルセル24をそれぞれ含む。ゲート構造23は、具体的には、トレンチ25、上絶縁膜26、下絶縁膜27、上電極28、下電極29および中間絶縁膜30を含むマルチ電極構造を有している。上絶縁膜26、下絶縁膜27および中間絶縁膜30は、一体となって1つの絶縁体31を構成している。これにより、上電極28および下電極29は、絶縁体31によって上下方向に絶縁分離されるようにトレンチ25内に埋設されている。
【0031】
トレンチ25は、第1主面4から第2主面5に向けて掘り下がっている。トレンチ25は、ドリフト領域8に至るようにボディ領域21を貫通して形成されている。トレンチ25は、第1方向Xに延びる帯状に形成されている。複数の単位セル22の第1~第4長さL1~L1は、トレンチ25(ゲート構造23)の第1方向Xの長さによって定義されている。
【0032】
トレンチ25は、第1側壁25a、第2側壁25b、第3側壁25c、第4側壁25dおよび底壁25eを有している。第1側壁25aおよび第2側壁25bは、第1方向Xに延びる長手側壁である。第3側壁25cおよび第4側壁25dは、第2方向Yに延びる短手側壁である。第3側壁25cは、第1主面4の外方側に位置する短手側壁である。第4側壁25dは、第1主面4の内方側に位置する短手側壁である。
【0033】
底壁25eは、第1方向Xに延びる帯状に形成され、第1側壁25a、第2側壁25b、第3側壁25cおよび第4側壁25dを接続している。トレンチ25は、第1方向Xに関して、一端部25fおよび他端部25gを有している。トレンチ25の一端部25fは、第1主面4の外方側の端部である。トレンチ25の他端部25gは、第1主面4の内方側の端部である。
【0034】
トレンチ25は、この形態では、開口から底壁25eに向けて開口幅が狭まる先細り形状に形成されている。トレンチ25は、具体的には、開口側の第1トレンチ部32および底壁25e側の第2トレンチ部33を含む。第1トレンチ部32は、トレンチ25においてボディ領域21の露出部に形成され、第2方向Yに関して第1トレンチ幅W1を有している。
【0035】
第2トレンチ部33は、トレンチ25においてドリフト領域8の露出部に形成され、第2方向Yに関して第1トレンチ幅W1未満の第2トレンチ幅W2を有している。第2トレンチ部33は、トレンチ25において第1トレンチ部32および底壁25eの間の領域に形成されている。第2トレンチ部33の上端部は、ボディ領域21の露出部に形成されていてもよし、ボディ領域21の底部から間隔を空けてドリフト領域8に形成されていてもよい。
【0036】
トレンチ25は、トレンチ幅Wおよびトレンチ深さDを有している。トレンチ幅Wは、第1トレンチ幅W1によって定義される。トレンチ幅Wは、0.5μm以上3μm以下であってもよい。0.5μm以上1μm以下、1μm以上2μm以下、または、2μm以上3μm以下であってもよい。トレンチ幅Wは、0.5μm以上2μm以下であることが好ましい。トレンチ深さDは、1μm以上10μm以下であってもよい。トレンチ深さDは、1μm以上2.5μm以下、2.5μm以上5μm以下、5μm以上7.5μm以下、または、7.5μm以上10μm以下であってもよい。トレンチ深さDは、2μm以上6μm以下であることが好ましい。
【0037】
トレンチ25のアスペクト比D/Wは、1を超えて5以下であってもよい。アスペクト比D/Wは、トレンチ幅Wに対するトレンチ深さDの比である。アスペクト比D/Wは、2以上であることが特に好ましい。トレンチ25の底壁25eは、ドリフト領域8の底部に対して1μm以上10μm以下の間隔を空けて形成されていることが好ましい。トレンチ25の底壁25eは、ドリフト領域8の底部に対して1μm以上5μm以下の間隔を空けて形成されていることが特に好ましい。これにより、トレンチ25は、ドリフト領域8の一部を挟んでドレイン領域7に対向している。
【0038】
上絶縁膜26は、トレンチ25の上壁面を被覆している。上絶縁膜26は、具体的には、ボディ領域21の底部に対してトレンチ25の開口側の領域に位置する上壁面を被覆している。つまり、上絶縁膜26は、第1トレンチ部32を被覆している。上絶縁膜26の下方部は、ドリフト領域8およびボディ領域21の境界を横切っている。上絶縁膜26は、ボディ領域21を被覆する部分、および、ドリフト領域8を被覆する部分を有している。ボディ領域21に対する上絶縁膜26の被覆面積は、ドリフト領域8に対する上絶縁膜26の被覆面積よりも大きい。上絶縁膜26は、この形態では、酸化シリコンを含む。上絶縁膜26は、ゲート絶縁膜として形成されている。
【0039】
上絶縁膜26は、第1厚さT1を有している。第1厚さT1は、トレンチ25の壁面の法線方向に沿う上絶縁膜26の厚さである。第1厚さT1は、0.01μm以上0.05μm以下であってもよい。第1厚さT1は、0.01μm以上0.02μm以下、0.02μm以上0.03μm以下、0.03μm以上0.04μm以下、または、0.04μm以上0.05μm以下であってもよい。第1厚さT1は、0.02μm以上0.04μm以下であることが好ましい。
【0040】
下絶縁膜27は、トレンチ25の下壁面を被覆している。下絶縁膜27は、具体的には、ボディ領域21の底部に対してトレンチ25の底壁25e側の領域に位置する下壁面を被覆している。つまり、下絶縁膜27は、第2トレンチ部33を被覆している。下絶縁膜27は、トレンチ25の底壁25e側の領域においてU字状のリセス空間を区画している。下絶縁膜27は、ドリフト領域8に接している。下絶縁膜27は、この形態では、酸化シリコンを含む。下絶縁膜27は、フィールド絶縁膜として形成されている。
【0041】
下絶縁膜27は、上絶縁膜26の第1厚さT1を超える第2厚さT2(T1<T2)を有している。第2厚さT2は、トレンチ25の壁面の法線方向に沿う下絶縁膜27の厚さである。第2厚さT2は、0.1μm以上1μm以下であってもよい。第2厚さT2は、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、または、0.75μm以上1μm以下であってもよい。第2厚さT2は、0.15μm以上0.65μm以下であることが好ましい。
【0042】
上電極28は、上絶縁膜26を挟んでトレンチ25内の開口側に埋設されている。上電極28は、平面視において第1方向Xに延びる帯状(長方形状)に形成されている。上電極28は、上絶縁膜26を挟んでボディ領域21およびドリフト領域8に対向している。上電極28は、第1対向面積でドリフト領域8に対向している。
上電極28は、第1主面4に対してトレンチ25の底壁25e側に位置する上端部を有している。上電極28の上端部は、トレンチ25の底壁25eに向かう湾曲状に形成されていてもよい。上電極28の上端部は、トレンチ25の第1~第4側壁25a~25dとの間で底壁25e側に向かって窪んだリセス34を区画している。上電極28は、平坦な下端部を有している。上電極28は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。上電極28は、ゲート電極として形成されている。
【0043】
下電極29は、下絶縁膜27を挟んでトレンチ25内の底壁25e側に埋設されている。下電極29は、平面視において第1方向Xに延びる帯状(長方形状)に形成されている。下電極29は、下絶縁膜27を挟んでドリフト領域8に対向している。下電極29は、上電極28からトレンチ25の底壁25e側に間隔を空けて形成され、法線方向Zに上電極28に対向している。下電極29は、第1対向面積を超える第2対向面積でドリフト領域8に対向している。下電極29は、この形態では、導電性ポリシリコンを含む。下電極29は、ゲート電極またはソース電極(つまりフィールド電極)として形成されている。
【0044】
中間絶縁膜30は、上電極28および下電極29の間に介在し、上電極28および下電極29を電気的に絶縁させている。中間絶縁膜30は、上絶縁膜26および下絶縁膜27に連なっている。中間絶縁膜30は、この形態では、酸化シリコンを含む。中間絶縁膜30は、法線方向Zに関して、上絶縁膜26の第1厚さT1を超える第3厚さT3(T1<T3)を有している。第3厚さT3は、下絶縁膜27の第2厚さT2と等しくてもよい。第3厚さT3は、第2厚さT2を超えていてもよいし、第2厚さT2未満であってもよい。
【0045】
第3厚さT3は、0.1μm以上1μm以下であってもよい。第3厚さT3は、0.1μm以上0.25μm以下、0.25μm以上0.5μm以下、0.5μm以上0.75μm以下、または、0.75μm以上1μm以下であってもよい。第3厚さT3は、0.15μm以上0.65μm以下であることが好ましい。
ゲート構造23は、下電極29の一部からなり、絶縁体31(具体的には下絶縁膜27および中間絶縁膜30)を挟んでトレンチ25の開口側に引き出された1つまたは複数(この形態では2つ)の引き出し電極35を含む。複数の引き出し電極35は、この形態では、トレンチ25の一端部25f側および他端部25g側に形成されている。
【0046】
複数のゲート構造23について見ると、複数の引き出し電極35は、平面視において第1方向Xおよび第2方向Yに一列に配列されている。引き出し電極35の配置および個数は任意であり、トレンチ25の長さや配線レイアウトに応じて適宜調整される。たとえば、トレンチ25が延びる方向に沿って複数の引き出し電極35が形成されていてもよい。また、3つの引き出し電極35が、トレンチ25の一端部25f、他端部25gおよび中央部に形成されていてもよい。
【0047】
ゲート構造23は、この形態では、トレンチ25のリセス34に埋め込まれた埋設絶縁体36をさらに含む。埋設絶縁体36は、トレンチ25内において上電極28の上端部を被覆している。埋設絶縁体36は、この形態では、酸化シリコンを含む。
チャネルセル24は、ゲート構造23に隣接し、当該ゲート構造23によって電流経路の開閉が制御される領域である。単位セル22は、この形態では、ゲート構造23の両サイドに形成された一対のチャネルセル24を含む。一対のチャネルセル24は、具体的には、トレンチ25の第1側壁25a側に形成された第1サイドのチャネルセル24、および、トレンチ25の第2側壁25b側に形成された第2サイドのチャネルセル24を含む。単位セル22は、トレンチ25の第3側壁25c側および第4側壁25d側においてチャネルセル24を有していない。
【0048】
各チャネルセル24は、ボディ領域21の表層部に形成されたn型のソース領域37を含む。全てのチャネルセル24に形成されたソース領域37によって、MISFET2のソースが形成されている。各チャネルセル24は、ソース領域37によって形成されていると見なしてもよい。ソース領域37は、ドリフト領域8のn型不純物濃度を超えるn型不純物濃度を有している。ソース領域37のn型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。各チャネルセル24において、ソース領域37は、ボディ領域21の底部から第1主面4側に間隔を空けて形成され、ドリフト領域8との間で単位セル22のチャネル38を画定している。
【0049】
第1サイドのチャネルセル24において、ソース領域37は、平面視においてゲート構造23の第1側壁25aに沿って延びる帯状に形成されている。第1サイドのチャネルセル24において、ソース領域37は、埋設絶縁体36を被覆し、上絶縁膜26を挟んで上電極28に対向している。同様に、第2サイドのチャネルセル24において、ソース領域37は、平面視においてゲート構造23の第2側壁25bに沿って延びる帯状に形成されている。第2サイドのチャネルセル24において、ソース領域37は、埋設絶縁体36を被覆し、上絶縁膜26を挟んで上電極28に対向している。
【0050】
複数の単位セル22は、複数のゲート構造23が第2方向Yに間隔を空けて一列に並んで配列されるように形成されている。つまり、複数のゲート構造23は、平面視において第1~第4セル領域12A~12Dにおいて、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。活性領域10において近接する一対のゲート構造23の間の領域には、第1方向Xに延びる台地状のメサ部39がそれぞれ区画されている。
【0051】
つまり、複数のゲート構造23は、1つのメサ部39を挟み込む態様で、第2方向Yに複数のメサ部39と交互に形成されている。複数の単位セル22は、一対のチャネルセル24が両サイドのメサ部39に位置するようにそれぞれ形成されている。複数の単位セル22は、この形態では、近接する一対のメサ部39の中央部の間の領域によってそれぞれ形成されている。
【0052】
図3および図8図13を参照して、複数の単位セル22は、第1電気信号が印加される少なくとも1つの第1単位セル22A、および、第1電気信号とは異なる第2電気信号が印加される少なくとも1つの第2単位セル22Bによって構成されている。つまり、半導体装置1は、単一の活性領域10に集約して形成された少なくとも1つの第1単位セル22Aおよび少なくとも1つの第2単位セル22Bを含む。第2単位セル22Bは、第1単位セル22Aに並列接続されている。第2単位セル22Bは、具体的には、ドレインコモン、ソースコモンおよびゲートコモンとなる態様で、第1単位セル22Aに並列接続されている。
【0053】
第1単位セル22Aは、複数の単位セル22の集合体から選択される任意の1つまたは複数の単位セル22からなればよく、その配置(選択後のレイアウト)は任意である。同様に、第2単位セル22Bは、複数の単位セル22の集合体から選択される任意の1つまたは複数の単位セル22からなればよく、その配置(選択後のレイアウト)は任意である。第2単位セル22Bは、具体的には、第1単位セル22A以外の単位セル22によって構成される。
【0054】
複数の単位セル22に占める第1単位セル22Aの第1構成比率R1、および、複数の単位セル22に占める第2単位セル22Bの第2構成比率R2は任意である。第1構成比率R1および第2構成比率R2は、等しくてもよい(R1=R2)。つまり、複数の単位セル22は、第1個数からなる第1単位セル22A、および、第1個数と等しい第2個数からなる第2単位セル22Bを有していてもよい。
【0055】
第2構成比率R2は、第1構成比率R1未満(R1>R2)であってもよい。つまり、複数の単位セル22は、第1個数からなる第1単位セル22A、および、第1個数未満の第2個数からなる第2単位セル22Bを有していてもよい。第2構成比率R2は、第1構成比率R1を超えていてもよい(R1<R2)。つまり、複数の単位セル22は、第1個数からなる第1単位セル22A、および、第1個数を超える第2個数からなる第2単位セル22Bを有していてもよい。
【0056】
この形態では、複数(ここでは21個)の第1単位セル22Aの群からなる第1グループ41が第1セル領域12Aに形成されている。また、複数(ここでは21個)の第2単位セル22Bの群からなる第2グループ42が第2セル領域12Bに形成されている。また、複数(ここでは5個)の第1単位セル22Aの群からなる第3グループ43が第3セル領域12Cに形成されている。
【0057】
また、複数(ここでは5個)の第2単位セル22Bの群からなる第4グループ44が第4セル領域12Dに形成されている。つまり、第1セル領域12Aおよび第3セル領域12Cに第1個数(ここでは26個)の第1単位セル22Aが形成され、第2セル領域12Bおよび第4セル領域12Dに第1個数と等しい第2個数(ここでは26個)の第2単位セル22Bが形成されている。
【0058】
第2単位セル22Bに印加される電気信号は、第1単位セル22Aに印加される電気信号と異なるが、第2単位セル22Bは、第1単位セル22Aの構造と実質的に同一の構造を有している。つまり、第2単位セル22Bは、第1単位セル22Aの構成要素と同じ構成要素を有している。
以下では、第1単位セル22Aの構成要素を第2単位セル22Bの構成要素から区別するため、第1単位セル22Aのゲート構造23およびチャネルセル24を「第1ゲート構造23A」および「第1チャネルセル24A」という。「第1ゲート構造23A」は、第1トレンチ25A、第1上絶縁膜26A、第1下絶縁膜27A、第1上電極28A、第1下電極29A、第1中間絶縁膜30A、第1引き出し電極35Aおよび第1埋設絶縁体36Aを含む。第1上絶縁膜26A、第1下絶縁膜27Aおよび第1中間絶縁膜30Aは、一体となって1つの第1絶縁体31Aを構成している。「第1チャネルセル24A」は、第1ソース領域37Aおよび第1チャネル38Aを含む。
【0059】
また、第2単位セル22Bの構成要素を第1単位セル22Aの構成要素から区別するため、第2単位セル22Bのゲート構造23およびチャネルセル24を「第2ゲート構造23B」および「第2チャネルセル24B」という。「第2ゲート構造23B」は、第2トレンチ25B、第2上絶縁膜26B、第2下絶縁膜27B、第2上電極28B、第2下電極29B、第2中間絶縁膜30B、第2引き出し電極35Bおよび第2埋設絶縁体36Bを含む。第2上絶縁膜26B、第2下絶縁膜27Bおよび第2中間絶縁膜30Bは、一体となって1つの第2絶縁体31Bを構成している。「第2チャネルセル24B」は、第2ソース領域37Bおよび第2チャネル38Bを含む。
【0060】
図12および図13を参照して、第1単位セル22Aでは、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aの双方にゲート電位が印加される。これにより、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aは、ゲート電極として機能している。第1単位セル22Aでは、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aにゲート電位が印加されるため、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aの間の電圧降下は抑制されている。したがって、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aの間の電界集中が抑制されている。
【0061】
ゲート電位が第1下電極29Aに印加された場合、ドリフト領域8中の電荷(具体的には多数キャリアの電子)が第1ゲート構造23Aの近傍に引き寄せられる。したがって、第1単位セル22Aでは、ドリフト領域8中の抵抗値が低下する。これにより、第1単位セル22Aは、比較的低い第1オン抵抗成分Ron1を有している。第1オン抵抗成分Ron1は、MISFET2のオン抵抗Ronの一要素である。
【0062】
第1単位セル22Aは、第1上電極28Aおよびドリフト領域8の間の第1容量成分C1、ならびに、第1下電極29Aおよびドリフト領域8の間の第2容量成分C2を有している。第1下電極29Aおよびドリフト領域8の間の第2対向面積は、第1上電極28Aおよびドリフト領域8の間の第1対向面積を超えている。第2容量成分C2は、第1容量成分C1を超えている(C1<C2)。
【0063】
第1単位セル22Aでは、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aの双方にゲート電位が印加される。したがって、第2容量成分C2は、ゲート・ドレイン間において第1容量成分C1に対して並列成分を成す。これにより、第1単位セル22Aは、第1容量成分C1および第2容量成分C2の合成容量からなる比較的高い第1帰還容量成分Crss1(=C1+C2)を有している。第1帰還容量成分Crss1は、MISFET2の帰還容量Crssの一要素である。帰還容量Crssは、MISFET2のゲート・ドレイン間容量Cgdであり、逆伝達容量とも称される。
【0064】
一方、第2単位セル22Bでは、第2上電極28Bにゲート電位が印加される一方、第2下電極29Bにソース電位が印加される。これにより、第2上電極28Bがゲート電極として機能する一方、第2下電極29Bがソース電極(つまりフィールド電極)として機能している。したがって、第2単位セル22Bは、第2下電極29Bの機能によって第2ゲート構造23Bの近傍に電荷を引き寄せる性質を有していないため、第1オン抵抗成分Ron1よりも高い第2オン抵抗成分Ron2を有している。第2オン抵抗成分Ron2は、第1オン抵抗成分Ron1に対して並列成分を成している。第2オン抵抗成分Ron2は、MISFET2のオン抵抗Ronの一要素である。
【0065】
第2単位セル22Bは、第2上電極28Bおよびドリフト領域8の間の第1容量成分C1、ならびに、第2下電極29Bおよびドリフト領域8の間の第2容量成分C2を有している。第2単位セル22Bでは、第2上電極28Bにゲート電位が印加され、第2下電極29Bにソース電位が印加される。したがって、第2単位セル22Bでは、第1容量成分C1がゲート・ドレイン間容量となり、第2容量成分C2(C1<C2)がソース・ドレイン間容量となる。
【0066】
つまり、第2単位セル22Bは、第1容量成分C1からなる第2帰還容量成分Crss2(=C1)を有している。第2帰還容量成分Crss2(=C1)は、第1帰還容量成分Crss1(=C1+C2)未満(Crss2<Crss1)である。第2帰還容量成分Crss2は、第1帰還容量成分Crss1に対して並列成分を成す。第2帰還容量成分Crss2は、MISFET2の帰還容量Crssの一要素である。
【0067】
MISFET2のオン抵抗Ronは、複数の第1単位セル22Aの第1オン抵抗成分Ron1、および、複数の第2単位セル22Bの第2オン抵抗成分Ron2の合成抵抗によって定まる。MISFET2の帰還容量Crssは、複数の第1単位セル22Aの第1帰還容量成分Crss1、および、複数の第2単位セル22Bの第2帰還容量成分Crss2の合成容量によって定まる。
【0068】
図4図11を参照して、半導体装置1は、第1主面4において複数の単位セル22の側方にそれぞれ形成された複数のコンタクト孔51を含む。複数のコンタクト孔51は、具体的には、第1主面4において近接する一対の単位セル22(ゲート構造23)の間の領域にそれぞれ形成されている。各コンタクト孔51は、第1主面4から第2主面5に向けて掘り下がっており、一方側に位置する単位セル22のソース領域37、および、他方側に位置する単位セル22のソース領域37を露出させている。
【0069】
各コンタクト孔51は、第2方向Yに各ゲート構造23の上電極28に対向する深さまで形成されている。各コンタクト孔51は、ボディ領域21の底部から第1主面4側に間隔を空けて形成された底壁を有している。各コンタクト孔51の底壁は、この形態では、ボディ領域21の底部およびソース領域37の底部の間の深さ位置に形成されている。各コンタクト孔51は、ゲート構造23(単位セル22)に沿って延びる帯状に形成されている。つまり、複数のコンタクト孔51は、1つのゲート構造23を挟み込む態様で、複数のゲート構造23と第2方向Yに交互に形成されている。第1方向Xに関してコンタクト孔51の長さは、ゲート構造23の長さ未満であることが好ましい。
【0070】
半導体装置1は、ボディ領域21の表層部において複数のコンタクト孔51に沿う領域に形成された複数のp型のコンタクト領域52を含む。コンタクト領域52は、ボディ領域21のp型不純物濃度を超えるp型不純物濃度を有している。コンタクト領域52のp型不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下であってもよい。
コンタクト領域52は、具体的には、ボディ領域21の表層部においてコンタクト孔51の底壁に沿う領域にそれぞれ形成されている。各コンタクト領域52は、ボディ領域21の底部から各コンタクト孔51の底壁側に間隔を空けて形成されている。各コンタクト領域52は、各コンタクト孔51の底壁の全域を被覆している。各コンタクト領域52は、各コンタクト孔51の側壁を被覆していてもよい。各コンタクト領域52は、複数のソース領域37に電気的に接続されている。
【0071】
半導体装置1は、複数のコンタクト孔51に埋設された複数の埋設電極53を含む。各埋設電極53は、各コンタクト孔51内においてソース領域37およびコンタクト領域52に電気的に接続されている。各埋設電極53は、この形態では、半導体チップ3側からこの順に積層された第1電極膜54および第2電極膜55を含む積層構造を有している。第1電極膜54は、コンタクト孔51の内壁に膜状に形成されている。第1電極膜54は、チタン膜および窒化チタン膜のうちの少なくとも1つを含む。第2電極膜55は、第1電極膜54を挟んでコンタクト孔51に埋設されている。第2電極膜55は、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含む。
【0072】
半導体装置1は、第1主面4を被覆する層間絶縁膜61を含む。層間絶縁膜61は、複数の絶縁膜が積層された積層構造を有していてもよいし、単一の絶縁膜からなる単層構造を有していてもよい。層間絶縁膜61は、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。層間絶縁膜61は、第1主面4の上で複数の単位セル22を一括して被覆している。層間絶縁膜61は、さらに第1主面4の上からトレンチ25のリセス34に入り込んでいる。つまり、前述の埋設絶縁体36は、この形態では、層間絶縁膜61のうちリセス34内に位置する部分によって形成されている。
【0073】
層間絶縁膜61は、第1主面4において近接する一対のゲート構造23の間の領域をそれぞれ露出させる複数のソース開口62を有している。各ソース開口62は、具体的には、断面視においてメサ部39の全域を露出させている。つまり、各ソース開口62は、断面視においてソース領域37の全域および埋設電極53の全域を露出させている。
図3図8および図9を参照して、半導体装置1は、層間絶縁膜61に埋設された複数の第1接続電極71および複数の第2接続電極72を含む。複数の第1接続電極71は、複数の第1ゲート構造23Aの一端部25f側(第1主面4の外方側)の領域にそれぞれ形成され、複数の第1ゲート構造23Aの他端部25g側(第1主面4の内方側)の領域には形成されていない。複数の第2接続電極72は、複数の第1ゲート構造23Aの一端部25f側(第1主面4の外方側)の領域にそれぞれ形成され、複数の第1ゲート構造23Aの他端部25g側(第1主面4の内方側)の領域には形成されていない。
【0074】
複数の第1接続電極71は、層間絶縁膜61を貫通し、複数の第1ゲート構造23Aの第1上電極28Aにそれぞれ電気的に接続されている。つまり、複数の第1接続電極71は、法線方向Zに関して、複数の第1ゲート構造23Aに重なっている。これにより、第1接続電極71および第1ゲート構造23Aの間の配線抵抗を低減できる。複数の第1接続電極71は、この形態では、複数の第1上電極28Aに対して1対1対応の関係で接続されている。複数の第1接続電極71は、平面視において第2方向Yに一列に配列されている。
【0075】
複数の第2接続電極72は、層間絶縁膜61を貫通し、複数の第1ゲート構造23Aの第1下電極29Aにそれぞれ電気的に接続されている。複数の第2接続電極72は、具体的には、複数の第1引き出し電極35Aに対して1対1対応の関係で接続されている。つまり、複数の第2接続電極72は、法線方向Zに関して、複数の第1ゲート構造23Aに重なっている。これにより、第2接続電極72および第1ゲート構造23Aの間の配線抵抗を低減できる。複数の第2接続電極72は、平面視において第2方向Yに一列に配列され、第1方向Xに複数の第1接続電極71に対向している。
【0076】
図3図10および図11を参照して、半導体装置1は、層間絶縁膜61に埋設された複数の第3接続電極73および複数の第4接続電極74を含む。複数の第3接続電極73は、複数の第2ゲート構造23Bの一端部25f側(第1主面4の外方側)の領域にそれぞれ形成され、複数の第2ゲート構造23Bの他端部25g側(第1主面4の内方側)の領域には形成されていない。複数の第4接続電極74は、複数の第2ゲート構造23Bの他端部25g側(第1主面4の内方側)の領域に形成され、複数の第2ゲート構造23Bの一端部25f側(第1主面4の外方側)の領域には形成されていない。
【0077】
複数の第3接続電極73は、層間絶縁膜61を貫通し、複数の第2ゲート構造23Bの第2上電極28Bにそれぞれ電気的に接続されている。つまり、複数の第3接続電極73は、法線方向Zに関して、複数の第2ゲート構造23Bに重なっている。これにより、第3接続電極73および第2ゲート構造23Bの間の配線抵抗を低減できる。複数の第3接続電極73は、この形態では、複数の第2上電極28Bに対して1対1対応の関係で接続されている。複数の第3接続電極73は、平面視において第2方向Yに一列に配列され、第1方向Xに複数の第1接続電極71および複数の第2接続電極72に対向している。
【0078】
複数の第4接続電極74は、層間絶縁膜61を貫通し、複数の第2ゲート構造23Bの第2下電極29Bにそれぞれ電気的に接続されている。複数の第4接続電極74は、具体的には、複数の第2引き出し電極35Bに対して1対1対応の関係で接続されている。つまり、複数の第4接続電極74は、法線方向Zに関して、複数の第2ゲート構造23Bに重なっている。これにより、第4接続電極74および第2ゲート構造23Bの間の配線抵抗を低減できる。複数の第4接続電極74は、平面視において第2方向Yに一列に配列され、第1方向Xに複数の第1接続電極71、複数の第2接続電極72および複数の第3接続電極73に対向している。
【0079】
第1~第4接続電極71~74は、この形態では、半導体チップ3側からこの順に積層された第1電極膜75および第2電極膜76を含む積層構造を有している。第1電極膜75は、第1~第4接続電極71~74用の開口の内壁に膜状に形成されている。第1電極膜75は、チタン膜および窒化チタン膜のうちの少なくとも1つを含む。第2電極膜76は、第1電極膜75を挟んで第1~第4接続電極71~74用の開口に埋設されている。第2電極膜76は、銅、アルミニウムおよびタングステンのうちの少なくとも1つを含む。
【0080】
半導体装置1は、層間絶縁膜61の上に形成されたゲートパッド電極81(ゲートパッド)、ゲート配線電極82(ゲート配線)およびソースパッド電極83(ソースパッド)を含む。ゲートパッド電極81は導線(たとえばボンディングワイヤ)に外部接続される外部端子であり、ゲートパッド電極81にはゲート電位が印加される。ゲートパッド電極81は、層間絶縁膜61において非活性領域13を被覆する部分の上に配置されている。
【0081】
ゲートパッド電極81は、具体的には、パッド領域15の上に配置されている。ゲートパッド電極81は、層間絶縁膜61を挟んでパッド領域15に対向している。ゲートパッド電極81は、パッド領域15の平面積未満の平面積を有していることが好ましい。ゲートパッド電極81は、平面視において複数の単位セル22(ゲート構造23)に対向していない。ゲートパッド電極81は、この形態では、平面視において四角形状に形成されている。
【0082】
ゲート配線電極82は、ゲートパッド電極81から層間絶縁膜61の上に引き出されている。ゲート配線電極82は、ゲートパッド電極81に印加されたゲート電位を他の領域に伝達する。ゲート配線電極82は、平面視において第1主面4の内方を複数方向から区画するように、第1主面4の周縁に沿って帯状に延びている。ゲート配線電極82は、この形態では、平面視において第1主面4の内方を4方向から区画するように、第1~第4側面6A~6Dに沿って帯状(具体的には四角環状)に延びている。ゲート配線電極82は、平面視において第1主面4の内方を3方向から区画するように、第1側面6A、第3側面6Cおよび第4側面6Dに沿って帯状に延びていてもよい。
【0083】
ゲート配線電極82は、平面視において複数の単位セル22に交差(具体的には直交)するように帯状に延びている。ゲート配線電極82は、具体的には、平面視において複数の第1ゲート構造23Aの一端部25fおよび複数の第2ゲート構造23Bの一端部25fに交差(具体的には直交)している。ゲート配線電極82は、層間絶縁膜61の上において複数の第1接続電極71、複数の第2接続電極72および複数の第3接続電極73に電気的に接続されている。
【0084】
ゲート配線電極82は、層間絶縁膜61を挟んで、複数の第2引き出し電極35Bに対向している。したがって、ゲート配線電極82は、複数の第2下電極29B(第2引き出し電極35B)から電気的に分離されている。これにより、ゲートパッド電極81に印加されたゲート電位が、複数の第1ゲート構造23Aの第1上電極28Aおよび第1下電極29A、ならびに、複数の第2ゲート構造23Bの第2上電極28Bに伝達される。
【0085】
ソースパッド電極83は導線(たとえばボンディングワイヤ)に外部接続される外部端子であり、ソースパッド電極83にはソース電位が印加される。ソースパッド電極83は、層間絶縁膜61においてゲートパッド電極81およびゲート配線電極82によって区画された領域に配置され、活性領域10に対向している。ソースパッド電極83は、この形態では、平面視においてゲートパッド電極81に整合するように、第1側面6Aに沿う辺の中央部から内方部に向けて窪んだ凹部84を有している。ソースパッド電極83は、複数の第1単位セル22Aの全ておよび複数の第2単位セル22Bの全てに対向している。
【0086】
ソースパッド電極83は、層間絶縁膜61の上から複数のソース開口62内に入り込んでいる。ソースパッド電極83は、複数のソース開口62内において複数のソース領域37および複数の埋設電極53に電気的に接続されている。また、ソースパッド電極83は、層間絶縁膜61の上において複数の第4接続電極74に電気的に接続されている。
ソースパッド電極83は、層間絶縁膜61を挟んで、複数の第1上電極28A、複数の第1引き出し電極35Aおよび複数の第2上電極28Bに対向している。したがって、ソースパッド電極83は、複数の第1上電極28A、複数の第1下電極29A(第1引き出し電極35A)および複数の第2上電極28Bから電気的に分離されている。これにより、ソースパッド電極83に印加されたソース電位が、複数のソース領域37および複数の埋設電極53、ならびに、複数の第2ゲート構造23Bの第2下電極29Bに伝達される。
【0087】
ゲートパッド電極81、ゲート配線電極82およびソースパッド電極83は、この形態では、半導体チップ3側からこの順に積層された第1電極膜85および第2電極膜86を含む積層構造をそれぞれ有している。第1電極膜85は、層間絶縁膜61の外面に沿うように膜状に形成されている。第1電極膜85は、チタン膜および窒化チタン膜のうちの少なくとも1つを含む。第2電極膜86は、第1電極膜85の上に膜状に形成されている。第2電極膜86は、純Al膜、純Cu膜、AlCu合金膜、AlSiCu合金膜およびAlSi合金膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0088】
半導体装置1は、半導体チップ3の第2主面5を被覆するドレイン電極87を含む。ドレイン電極87は外部接続される外部端子であり、ドレイン電極87にはドレイン電位が印加される。ドレイン電極87は、ドレイン領域7とオーミック接触を形成している。ドレイン電極87は、Ti膜、Ni膜、Au膜、Ag膜およびAl膜のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ドレイン電極87は、Ti膜、Ni膜、Au膜、Ag膜およびAl膜のうちの少なくとも2つを任意の順序で積層させた積層構造を有していてもよい。
【0089】
図14は、第2ゲート構造23Bの第2構成比率R2を調整したときのMISFET2のオン抵抗Ronおよび帰還容量Crssの関係を示すグラフである。図14の右側縦軸は、MISFET2のオン抵抗Ronの変化率[%]を示している。図14の左側縦軸は、MISFET2の帰還容量Crssの変化率[%]を示している。図14の横軸は、第2単位セル22Bの第2構成比率R2[%]を示している。
【0090】
図14には、第1折れ線BL1(細線)および第2折れ線BL2(太線)が示されている。第1折れ線BL1は第2構成比率R2に対するオン抵抗Ronの変化率を示し、第2折れ線BL2は第2構成比率R2に対する帰還容量Crssの変化率を示している。
第1折れ線BL1を参照して、第2構成比率R2を増加させると、オン抵抗Ronは増加した。これは、第2単位セル22Bの第2オン抵抗成分Ron2が、第1単位セル22Aの第1オン抵抗成分Ron1を超えているためである。一方、第2折れ線BL2を参照して、第2構成比率R2を増加させると、帰還容量Crssは減少した。これは、第2単位セル22Bの第2帰還容量成分Crss2が、第1単位セル22Aの第1帰還容量成分Crss1未満のためである。
【0091】
第1折れ線BL1および第2折れ線BL2を参照して、オン抵抗Ronの変化率は最大で8%程度である一方、帰還容量Crssの変化率は最大で82%程度であった。つまり、第2構成比率R2の変化に起因する帰還容量Crssの変化率は、第2構成比率R2の変化に起因するオン抵抗Ronの変化率よりも極めて大きいことが分かった。
図14の結果から、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bの混在構造によれば、オン抵抗Ronの増加を抑制しながら、帰還容量Crssを低減できることが分かった。また、第2単位セル22Bの第2構成比率R2を調整することによって、オン抵抗Ronの増加を抑制しながら、帰還容量Crssを比較的広い範囲で調整できることが分かった。
【0092】
MISFET2のオン抵抗Ronおよび帰還容量Crssは、半導体チップ3内の半導体領域(たとえばドリフト領域8、ボディ領域21、ソース領域37等)の不純物濃度を調整することによって調整できる。また、MISFET2のオン抵抗Ronおよび帰還容量Crssは、ゲート構造23に含まれる上絶縁膜26、下絶縁膜27、上電極28、下電極29および中間絶縁膜30の厚さ等を調整することによっても調整できる。しかし、これらの場合、不純物濃度やゲート構造23の設計値の変更に伴って、既存の製造方法の大幅な設計変更を余儀なくされる。
【0093】
そこで、この形態では、半導体チップ3、n型のドリフト領域8、p型のボディ領域21、第1ゲート構造23A、第1ソース領域37A、第2ゲート構造23Bおよび第2ソース領域37Bを含む半導体装置1を採用した。半導体チップ3は、第1主面4を有している。ドリフト領域8は、第1主面4の表層部に形成されている。ボディ領域21は、ドリフト領域8の表層部に形成されている。
【0094】
第1ゲート構造23Aは、ボディ領域21を貫通するように第1主面4に形成された第1トレンチ25Aに第1絶縁体31Aを挟んで上下方向に埋設された第1上電極28Aおよび第1下電極29Aを含む。第1ゲート構造23Aにおいて第1上電極28Aおよび第1下電極29Aには、ゲート電位がそれぞれ印加される。第1ソース領域37Aは、ボディ領域21の表層部において第1ゲート構造23Aに沿う領域に形成され、ドリフト領域8との間で第1チャネル38Aを形成している。
【0095】
第2ゲート構造23Bは、ボディ領域21を貫通するように第1主面4に形成された第2トレンチ25Bに第2絶縁体31Bを挟んで上下方向に埋設された第2上電極28Bおよび第2下電極29Bを含む。第2ゲート構造23Bにおいて第1上電極28Aにはゲート電位が印加される一方、第1下電極29Aにはソース電位が印加される。第2ソース領域37Bは、ボディ領域21の表層部において第2ゲート構造23Bに沿う領域に形成され、ドリフト領域8との間で第2チャネル38Bを形成している。つまり、第2ゲート構造23Bの基本的な構造は、第1ゲート構造23Aの基本的な構造とほぼ同一である。
【0096】
半導体装置1では、第1ゲート構造23Aおよび第1チャネル38Aを含む第1単位セル22Aが構成され、第2ゲート構造23Bおよび第2チャネル38Bを含む第2単位セル22Bが構成されている。第2単位セル22Bの基本的な構造は、第1単位セル22Aの基本的な構造とほぼ同一である。
第1単位セル22Aでは、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aの双方にゲート電位が印加される。これにより、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aは、ゲート電極として機能している。第1単位セル22Aでは、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aにゲート電位が印加されるため、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aの間の電圧降下は抑制されている。したがって、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aの間の電界集中が抑制されている。
【0097】
ゲート電位が第1下電極29Aに印加された場合、ドリフト領域8中の電荷(具体的には多数キャリアの電子)が第1ゲート構造23Aの近傍に引き寄せられる。したがって、ドリフト領域8中の抵抗値が低下する。これにより、第1単位セル22Aは、比較的低い第1オン抵抗成分Ron1を有している。第1オン抵抗成分Ron1は、MISFET2のオン抵抗Ronの一要素である。
【0098】
この一方、第1単位セル22Aは、第1上電極28Aおよびドリフト領域8の間の第1容量成分C1、ならびに、第1下電極29Aおよびドリフト領域8の間の第2容量成分C2を有している。第2容量成分C2は、第1容量成分C1を超えている(C1<C2)。第1単位セル22Aでは、第1上電極28Aおよび第1下電極29Aの双方にゲート電位が印加される。
【0099】
したがって、第2容量成分C2は、第1容量成分C1に対して並列成分を成す。第1単位セル22Aは、第1容量成分C1および第2容量成分C2の合成容量からなる第1帰還容量成分Crss1(=C1+C2)を有している。第1帰還容量成分Crss1は、MISFET2の帰還容量Crssの一要素である。帰還容量Crssは、MISFET2のゲート・ドレイン間容量Cgdである。
【0100】
一方、第2単位セル22Bでは、第2上電極28Bにゲート電位が印加される一方、第2下電極29Bにソース電位が印加される。これにより、第2上電極28Bがゲート電極として機能する一方、第2下電極29Bがソース電極(フィールド電極)として機能している。つまり、複数の単位セル22は、互いに異なる電気信号が印加される第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bを含む複合構造を有している。
【0101】
第2単位セル22Bは、第2下電極29Bの機能によって第2ゲート構造23Bの近傍に電荷を引き寄せる性質を有していないため、第1オン抵抗成分Ron1よりも高い第2オン抵抗成分Ron2を有している。第2オン抵抗成分Ron2は、第1オン抵抗成分Ron1に対して並列成分を成している。第2オン抵抗成分Ron2は、MISFET2のオン抵抗Ronの一要素である。
【0102】
この一方、第2単位セル22Bは、第2上電極28Bおよびドリフト領域8の間の第1容量成分C1、ならびに、第2下電極29Bおよびドリフト領域8の間の第2容量成分C2を有している。第2単位セル22Bでは、第2上電極28Bにゲート電位が印加され、第2下電極29Bにソース電位が印加される。したがって、第2単位セル22Bでは、第1容量成分C1がゲート・ドレイン間容量となり、第2容量成分C2がソース・ドレイン間容量となる。
【0103】
つまり、第2単位セル22Bは、第1容量成分C1からなる第2帰還容量成分Crss2(=C1)を有している。第2帰還容量成分Crss2(=C1)は、第1帰還容量成分Crss1(=C1+C2)未満(Crss2<Crss1)である。第2帰還容量成分Crss2は、第1帰還容量成分Crss1に対して並列成分を成す。第2帰還容量成分Crss2は、MISFET2の帰還容量Crssの一要素である。
【0104】
別の見方をすると、図12および図13を参照して、半導体装置1は、半導体チップ3に形成されたMISFET2を含む。MISFET2は、複数の単位セル22の集合体によって構成されている。複数の単位セル22は、具体的には、少なくとも1つの第1単位セル22A、および、少なくとも1つの第2単位セル22Bを含む。
第1単位セル22Aは、第1オン抵抗成分Ron1および第1帰還容量成分Crss1を有している。第2単位セル22Bは、第2オン抵抗成分Ron2および第2帰還容量成分Crss2を有している。第2オン抵抗成分Ron2は、第1オン抵抗成分Ron1に対して並列成分を成し、第1オン抵抗成分Ron1を超える値を有している。第2帰還容量成分Crss2は、第1帰還容量成分Crss1に対して並列成分を成し、前記第1帰還容量成分Crss1未満の値を有している。
【0105】
第2単位セル22Bの第2オン抵抗成分Ron2は、第1単位セル22Aの第1オン抵抗成分Ron1を超えている。たとえば、1つの第1単位セル22Aおよび1つの第2単位セル22Bによって構成されたMISFET2のオン抵抗Ronは、2つの第1単位セル22Aのみによって構成されたMISFET2のオン抵抗Ronよりも増加する。しかし、第2オン抵抗成分Ron2は、第1オン抵抗成分Ron1に対して並列成分を成している。したがって、第1オン抵抗成分Ron1および第2オン抵抗成分Ron2の合成抵抗は、理論上、第1オン抵抗成分Ron1未満の値になるため、オン抵抗Ronの大幅な増加は抑制される。
【0106】
一方、第2単位セル22Bの第2帰還容量成分Crss2は、第1単位セル22Aの第1帰還容量成分Crss1未満である。第2帰還容量成分Crss2は、第1帰還容量成分Crss1に対して並列成分を成している。たとえば、1つの第1単位セル22Aおよび1つの第2単位セル22Bによって構成されたMISFET2の帰還容量Crssは、理論上、2つの第1単位セル22Aのみによって構成されたMISFET2の帰還容量Crssよりも、第1帰還容量成分Crss1および第2帰還容量成分Crss2の差分だけ低下する。
【0107】
これにより、オン抵抗Ronの増加を抑制しながら、帰還容量Crssを低下させることができる(図14の第1~第2折れ線BL1~BL2も併せて参照)。よって、半導体装置1によれば、消費電力の増加を抑制しながら、スイッチング下降時間を短縮できる。また、既存の製造方法を大幅に変更することなく、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bの混在構造を有するMISFET2を含む半導体装置1を提供できる。
【0108】
半導体装置1は、半導体チップ3に設定された活性領域10を含む。この構造において、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bは、活性領域10に形成されている。つまり、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bの混在構造が、共通の活性領域10に作り込まれている。したがって、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bを別々の領域に形成する必要がないので、半導体装置1のシュリンク化(微細化)に寄与できる。また、これによって、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bに対する配線距離を短縮できるので、配線抵抗(オン抵抗Ron)の増加を適切に抑制できる。
【0109】
この場合、半導体装置1は、単一の活性領域10を含むことが特に好ましい。この構造によれば、単一の活性領域10内に第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bの混在構造が作り込まれるので、活性領域10外の構造物に起因するMISFET2の電気的特性の変動を抑制できる。また、この構造によれば、半導体装置1を、MISFET2を含むディスクリートデバイスとして提供できる。
【0110】
半導体装置1は、層間絶縁膜61、ゲートパッド電極81、ゲート配線電極82およびソースパッド電極83を含む。層間絶縁膜61は、第1主面4の上で第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)および第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)を被覆する。ゲートパッド電極81は、層間絶縁膜61の上に配置されている。ゲート配線電極82は、ゲートパッド電極81から層間絶縁膜61の上に引き出されている。
【0111】
ゲート配線電極82は、平面視において第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)および第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)に交差するように延び、第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)および第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)に電気的に接続されている。ゲート配線電極82は、具体的には、第1ゲート構造23Aの第1上電極28Aおよび第1下電極29A、ならびに、第2ゲート構造23Bの第2上電極28Bに電気的に接続されている。
【0112】
ソースパッド電極83は、ゲートパッド電極81およびゲート配線電極82から間隔を空けて、層間絶縁膜61の上配置されている。ソースパッド電極83は、平面視において全ての第1単位セル22Aおよび全ての第2単位セル22Bの全てに対向している。ソースパッド電極83は、第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)および第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)に電気的に接続されている。ソースパッド電極83は、具体的には、第2ゲート構造23Bの第2下電極29Bに電気的に接続されている。
【0113】
このような構造によれば、複数の単位セル22の形成後、複数の単位セル22に対するソースパッド電極83、ゲートパッド電極81およびゲート配線電極82の接続形態を調節することによって、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bを任意の配列パターンで形成できる。このような構造は、半導体装置1が単一の活性領域10を含む場合に特に有効である。
【0114】
図15は、図3に対応し、本発明の第2実施形態に係る半導体装置91の半導体チップ3の第1主面4の構造(=第1実施形態に係る半導体装置1において第1単位セル22Aの配列および第2単位セル22Bの配列を変更した形態)を示す平面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0115】
前述の第1実施形態では、第1単位セル22Aおよび第2単位セル22Bの配列が任意である旨を説明した。第2実施形態に係る半導体装置91では、第1~第4セル領域12A~12Dのそれぞれに少なくとも1つの第1単位セル22Aおよび少なくとも1つの第2単位セル22Bが形成されている。
第1セル領域12Aには、第1グループ92が形成されている。第1グループ92は、第2方向Yに交互に配列された複数の第1単位セル22Aおよび複数の第2単位セル22Bを含む群からなる。第2セル領域12Bには、第2グループ93が形成されている。第2セル領域12Bは、第2方向Yに交互に配列された複数の第1単位セル22Aおよび複数の第2単位セル22Bを含む群からなる。
【0116】
第3セル領域12Cには、第1グループ94が形成されている。第3セル領域12Cは、第2方向Yに交互に配列された複数の第1単位セル22Aおよび複数の第2単位セル22Bを含む群からなる。第4セル領域12Dには、第2グループ95が形成されている。第4セル領域12Dは、第2方向Yに交互に配列された複数の第1単位セル22Aおよび複数の第2単位セル22Bを含む群からなる。
【0117】
このように、半導体装置91では、第1~第4セル領域12A~12Dのそれぞれにおいて、複数の第1単位セル22Aおよび複数の第2単位セル22Bが、第2方向Yに交互に配列されている。つまり、複数の第2単位セル22Bは、第2方向Yに第1単位セル22Aに対向している。図15では、複数の第2単位セル22Bが、第1方向Xにも複数の第1単位セル22Aに対向している例が示されている。
【0118】
以上、半導体装置91によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図16は、図3に対応し、本発明の第3実施形態に係る半導体装置101の半導体チップ3の第1主面4の構造(=第1実施形態に係る半導体装置1において複数のセル領域12の配置、第1単位セル22Aの配列および第2単位セル22Bの配列を変更した形態)を示す平面図である。以下、半導体装置1に対して述べた構造に対応する構造については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0119】
前述の第1実施形態に係る半導体装置1では、活性領域10が第1~第4セル領域12A~12Dを含む例について説明した。これに対して、第3実施形態に係る半導体装置101では、活性領域10が、第1~第4セル領域12A~12Dに加えて、第5セル領域12Eを含む。第5セル領域12Eは、第1セル領域12Aおよび第2セル領域12Bのいずれか一方または双方に対して第2側面6B側の領域に設定されている。第5セル領域12Eは、この形態では、第1セル領域12Aおよび第2セル領域12Bの双方に対して第2側面6B側の領域に設定されている。
【0120】
複数の単位セル22(ゲート構造23)は、第1~第5セル領域12A~12Eにそれぞれ形成されている。第1セル領域12Aの複数の単位セル22(ゲート構造23)は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。つまり、第1セル領域12Aの複数の単位セル22は、全体として第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。
【0121】
第2セル領域12Bの複数の単位セル22(ゲート構造23)は、第1方向Xに延びる帯状にそれぞれ形成され、第2方向Yに間隔を空けて形成されている。つまり、第2セル領域12Bの複数の単位セル22は、全体として第1方向Xに延びるストライプ状に形成されている。また、第2セル領域12Bの複数の単位セル22は、第1セル領域12Aの複数の単位セル22に1対1対応の関係で対向している。
【0122】
第3セル領域12Cの複数の単位セル22(ゲート構造23)は、この形態では、第1セル領域12Aおよび第2セル領域12Bの複数の単位セル22とは異なる方向に延びている。第3セル領域12Cの複数の単位セル22は、この形態では、第1方向Xに間隔を空けて形成され、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。つまり、第3セル領域12Cの複数の単位セル22は、全体として第2方向Yに延びるストライプ状に形成されている。
【0123】
第4セル領域12Dの複数の単位セル22(ゲート構造23)は、この形態では、第1セル領域12Aおよび第2セル領域12Bの複数の単位セル22とは異なる方向に延びている。第4セル領域12Dの複数の単位セル22は、この形態では、第1方向Xに間隔を空けて形成され、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。つまり、第4セル領域12Dの複数の単位セル22は、全体として第2方向Yに延びるストライプ状に形成されている。また、第4セル領域12Dの複数の単位セル22は、第3セル領域12Cの複数の単位セル22と同一の方向に延びている。
【0124】
第5セル領域12Eの複数の単位セル22(ゲート構造23)は、この形態では、第1セル領域12Aおよび第2セル領域12Bの複数の単位セル22とは異なる方向に延びている。第5セル領域12Eの複数の単位セル22は、この形態では、第1方向Xに間隔を空けて形成され、第2方向Yに延びる帯状にそれぞれ形成されている。つまり、第5セル領域12Eの複数の単位セル22は、全体として第2方向Yに延びるストライプ状に形成されている。また、第5セル領域12Eの複数の単位セル22は、第3セル領域12Cおよび第4セル領域12Dの複数の単位セル22と同一の方向に延びている。
【0125】
第1セル領域12Aには、第1グループ111および第2グループ112が形成されている。第1グループ111は、第1セル領域12Aにおいて第1側面6A側の領域に形成されている。第2グループ112は、第1セル領域12Aにおいて第2側面6B側の領域に形成されている。第1グループ111は、複数(ここでは8個)の第1単位セル22Aの群からなる。第2グループ112は、複数(ここでは8個)の第2単位セル22Bの群からなる。
【0126】
第2セル領域12Bには、第3グループ113、第4グループ114、第5グループ115および第6グループ116が形成されている。第3~第6グループ113~116は、第2セル領域12Bにおいて第1側面6A側から第2側面6B側この順に形成されている。第3グループ113は、複数(ここでは4個)の第1単位セル22Aの群からなる。第4グループ114は、複数(ここでは4個)の第2単位セル22Bの群からなる。第5グループ115は、複数(ここでは4個)の第1単位セル22Aの群からなる。第6グループ116は、複数(ここでは4個)の第2単位セル22Bの群からなる。
【0127】
第3セル領域12Cには、第7グループ117が形成されている。第7グループ117は、複数(ここでは5個)の第1単位セル22Aの群からなる。第4セル領域12Dには、第8グループ118が形成されている。第8グループ118は、複数(ここでは5個)の第2単位セル22Bの群からなる。
第5セル領域12Eには、第9グループ119および第10グループ120が形成されている。第9グループ119は、第5セル領域12Eにおいて第4側面6D側の領域に形成されている。第10グループ120は、第5セル領域12Eにおいて第3側面6C側の領域に形成されている。第9グループ119は、複数(ここでは8個)の第1単位セル22Aの群からなる。第10グループ120は、複数(ここでは8個)の第2単位セル22Bの群からなる。
【0128】
このように、MISFET2は、第1方向Xに延びる複数の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)、第2方向Yに延びる複数の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)、第1方向Xに延びる複数の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)、および、第2方向Yに延びる複数の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)を含む。
MISFET2は、同一の方向に延びる複数の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)を含んでいてもよい。MISFET2は、同一の方向に延びる複数の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)を含んでいてもよい。MISFET2は、同一の方向に延びる第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)および第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)を含んでいてもよい。
【0129】
MISFET2は、互いに異なる方向に延びる複数の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)を含んでいてもよい。MISFET2は、互いに異なる方向に延びる複数の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)を含んでいてもよい。MISFET2は、互いに異なる方向に延びる第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)および第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)を含んでいてもよい。
【0130】
MISFET2において、第1主面4に沿う一方方向に延びる1つの第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)から一方方向に間隔を空けて、別の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)が形成されていてもよい。この場合、別の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)は、一方方向または当該一方方向に交差する交差方向に延びていてもよい。さらにこの場合、別の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)は、一方方向に1つの第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)に対向していてもよい。
【0131】
MISFET2において、第1主面4に沿う一方方向に延びる1つの第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)から当該一方方向に交差する交差方向に間隔を空けて、別の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)が形成されていてもよい。この場合、別の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)は、一方方向または交差方向に延びていてもよい。さらにこの場合、別の第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)は、交差方向に1つの第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)に対向していてもよい。
【0132】
MISFET2において、第1主面4に沿う一方方向に延びる1つの第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)から一方方向に間隔を空けて、別の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)が形成されていてもよい。この場合、別の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)は、一方方向または当該一方方向に交差する交差方向に延びていてもよい。さらにこの場合、別の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)は、一方方向に1つの第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)に対向していてもよい。
【0133】
MISFET2において、第1主面4に沿う一方方向に延びる1つの第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)から当該一方方向に交差する交差方向に間隔を空けて、別の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)が形成されていてもよい。この場合、別の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)は、一方方向または交差方向に延びていてもよい。さらにこの場合、別の第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)は、交差方向に1つの第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)に対向していてもよい。
【0134】
MISFET2において、第1主面4に沿う一方方向に延びる第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)から一方方向に間隔を空けて、第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)が形成されていてもよい。この場合、第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)は、一方方向または当該一方方向に交差する交差方向に延びていてもよい。さらにこの場合、第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)は、一方方向に第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)に対向していてもよい。
【0135】
MISFET2において、第1主面4に沿う一方方向に延びる第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)から当該一方方向に交差する交差方向に間隔を空けて、第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)が形成されていてもよい。この場合、第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)は、一方方向または交差方向に延びていてもよい。さらにこの場合、第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)は、交差方向に第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)に対向していてもよい。
【0136】
前記説明において、「交差方向」は、「一方方向」に直交する直交方向であってもよい。前記説明において、「一方方向」が「第1方向X」からなり、「交差方向」が「第2方向Y」からなっていてもよい。前記説明において、「一方方向」が「第2方向Y」からなり、「交差方向」が「第1方向X」からなっていてもよい。
ゲート配線電極82は、平面視において第1方向Xに延びる複数の単位セル22および第2方向Yに延びる複数の単位セル22(第1~第10グループ111~120を形成する複数の単位セル22)に交差(具体的には直交)するように帯状に延びている。つまり、1つのゲート配線電極82が、第1方向Xに延びる第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)、第2方向Yに延びる第1単位セル22A(第1ゲート構造23A)、第1方向Xに延びる第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)、および、第2方向Yに延びる第2単位セル22B(第2ゲート構造23B)に交差(具体的には直交)している。
【0137】
ゲート配線電極82は、平面視において複数の第1ゲート構造23Aの一端部25fおよび複数の第2ゲート構造23Bの一端部25fに交差(具体的には直交)している。ゲート配線電極82は、層間絶縁膜61の上において複数の第1接続電極71、複数の第2接続電極72および複数の第3接続電極73に電気的に接続されている。これにより、ゲートパッド電極81に印加されたゲート電位が、複数の第1ゲート構造23Aの第1上電極28Aおよび第1下電極29A、ならびに、複数の第2ゲート構造23Bの第2上電極28Bに伝達される。
【0138】
以上、半導体装置101によっても、半導体装置1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。セル領域12の個数、セル領域12に含まれるグループ数、グループを構成する単位セル22の種別、セル領域12内における単位セル22の延伸方向等は全て任意であり、図16に示された形態以外の種々の形態を取り得る。
本発明は、さらに他の形態で実施できる。
【0139】
前述の各実施形態では、複数の第1~第3接続電極71~73とは別体からなるゲートパッド電極81(ゲート配線電極82)が形成された例について説明した。しかし、ゲートパッド電極81(ゲート配線電極82)の一部が、複数の第1~第3接続電極71~73として層間絶縁膜61に埋設されていてもよい。この場合、複数の第1~第3接続電極71~73の第1電極膜75および第2電極膜76は、ゲートパッド電極81(ゲート配線電極82)の第1電極膜85および第2電極膜86によって形成される。
【0140】
前述の各実施形態では、複数の第4接続電極74とは別体からなるソースパッド電極83が形成された例について説明した。しかし、ソースパッド電極83の一部が、複数の第4接続電極74として層間絶縁膜61に埋設されていてもよい。この場合、複数の第4接続電極74の第1電極膜75および第2電極膜76は、ソースパッド電極83の第1電極膜85および第2電極膜86によって形成される。
【0141】
前述の各実施形態では、複数の埋設電極53とは別体からなるソースパッド電極83が形成された例について説明した。しかし、ソースパッド電極83の一部が、複数の埋設電極53として複数のコンタクト孔51に埋設されていてもよい。この場合、各埋設電極53の第1電極膜54および第2電極膜55は、ソースパッド電極83の第1電極膜85および第2電極膜86によって形成される。
【0142】
前述の各実施形態において、p型の半導体部分がn型の半導体部分とされ、n型の半導体部分がp型の半導体部分とされてもよい。この場合、前述の各実施形態の説明は、「n型」の部分が「p型」と読み替えられ、「p型」の部分が「n型」と読み替えられる。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によって限定される。
【符号の説明】
【0143】
1 半導体装置
3 半導体チップ
4 第1主面
8 ドリフト領域
10 活性領域
21 ボディ領域
22 単位セル
22A 第1単位セル
22B 第2単位セル
23A 第1ゲート構造
23B 第2ゲート構造
25A 第1トレンチ
25B 第2トレンチ
28A 第1上電極
28B 第2上電極
29A 第1下電極
29B 第2下電極
31A 第1絶縁
31B 第2絶縁体
35 引き出し電極
35A 引き出し電極
35B 引き出し電極
37A 第1ソース領域
37B 第2ソース領域
38A 第1チャネル
38B 第2チャネル
61 層間絶縁膜
71 第1接続電極
72 第2接続電極
73 第3接続電極
74 第4接続電極
81 ゲートパッド電極
82 ゲート配線電極
83 ソースパッド電極
91 半導体装置
101 半導体装置
Crss1 第1帰還容量成分
Crss2 第2帰還容量成分
Ron1 第1オン抵抗成分
Ron2 第2オン抵抗成分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16