(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】混練装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/75 20220101AFI20240327BHJP
B01F 27/72 20220101ALI20240327BHJP
B29B 7/20 20060101ALI20240327BHJP
B29B 7/26 20060101ALI20240327BHJP
B29B 7/42 20060101ALI20240327BHJP
B29B 7/48 20060101ALI20240327BHJP
B29B 7/58 20060101ALI20240327BHJP
B29B 7/80 20060101ALI20240327BHJP
B29C 31/00 20060101ALI20240327BHJP
B29C 48/37 20190101ALI20240327BHJP
B29C 48/695 20190101ALI20240327BHJP
【FI】
B01F35/75
B01F27/72
B29B7/20
B29B7/26
B29B7/42
B29B7/48
B29B7/58
B29B7/80
B29C31/00
B29C48/37
B29C48/695
(21)【出願番号】P 2020191588
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2022-11-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100178582
【氏名又は名称】行武 孝
(72)【発明者】
【氏名】原野 孝也
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 伸
(72)【発明者】
【氏名】山口 和郎
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-020412(JP,A)
【文献】実開平05-026316(JP,U)
【文献】特開2011-245790(JP,A)
【文献】特開2015-093446(JP,A)
【文献】特開2010-162692(JP,A)
【文献】実開昭60-008011(JP,U)
【文献】国際公開第2010/126126(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 35/00-35/95
B01F 27/00-27/96
B29B 7/00- 7/94
B29C 31/00-31/10
B29C 48/00-48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂材料を混練するとともに所定の搬送経路に沿って搬送する混練装置であって、
内部空間が形成されているバレルと、
前記バレルの前記内部空間に回転可能に収容され、回転することによって樹脂材料を混
練する混練ロータと、
前記混練ロータよりも前記搬送経路の下流側に配置され、前記混練ロータから樹脂材料を受け取るとともに、当該樹脂材料を前記搬送経路の更に下流側に搬送する単一のギヤポンプと、
前記混練ロータと単一の前記ギヤポンプとの間において前記搬送経路から分岐し、前記混練ロータによって混練された樹脂材料の一部をスタートアップ時に排出することが可能な分岐排出路と、
封止状態と排出状態との間で切換可能な切換機構と、を備え、
前記切替機構は前記封止状態においては
混練された樹脂材料が前記搬送経路から前記分岐排出路に排出されることを阻止し、前記排出状態においては
混練された樹脂材料が前記搬送経路から前記分岐排出路に排出されることを許容するとともに前記分岐排出路の開口面積を調整することで前記分岐排出路に排出される樹脂材料の流量を調整
し、
前記搬送経路のうち前記混練ロータよりも下流側かつ前記ギヤポンプよりも上流側における圧力を検知可能な圧力検知部と、
前記圧力検知部の検知結果に応じて前記分岐排出路に排出される樹脂材料の流量を調整するように前記切換機構を制御する切換制御部と、をさらに備え、
前記切換制御部は、前記スタートアップ時に前記圧力検知部によって検知される圧力が予め設定された設定圧力範囲を下回った場合に、前記分岐排出路に排出される樹脂材料の流量が小さくなるように前記切換機構を制御する、混練装置。
【請求項2】
前記混練装置は、樹脂混練機、単軸押出機又は2軸押出機である、請求項1に記載の混練装置。
【請求項3】
前記圧力検知部によって検知される圧力が予め設定されたギヤポンプ用圧力範囲を下回った場合に、前記ギヤポンプの回転数を低下させるように、前記ギヤポンプを制御するギヤポンプ制御部を更に備え、
前記圧力検知部によって検知される圧力が
前記スタートアップ時に前記ギヤポンプ用圧力範囲を下回らないように、前記設定圧力範囲が前記ギヤポンプ用圧力範囲に対応して設定されている、請求項
1または2に記載の混練装置。
【請求項4】
前記切換制御部は、前記圧力検知部によって検知される圧力が予め設定された
前記設定圧力範囲を上回った場合に、前記分岐排出路に排出される樹脂材料の流量が大きくなるように前記切換機構を制御する、請求項
1または2に記載の混練装置。
【請求項5】
前記圧力検知部によって検知される圧力が予め設定されたギヤポンプ用圧力範囲を上回った場合に、前記ギヤポンプの回転数を増加させるように、前記ギヤポンプを制御するギヤポンプ制御部を更に備え、
前記圧力検知部によって検知される圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を上回らないように、前記設定圧力範囲が前記ギヤポンプ用圧力範囲に対応して設定されている、請求項
4に記載の混練装置。
【請求項6】
前記切換機構は、前記分岐排出路の所定の位置における、前記樹脂
材料の流れの方向と直交する断面の断面積である開口面積を変化させることが可能であり、
前記切換制御部は、前記分岐排出路の前記開口面積に対応する特性値を検知することが可能な開口検知部を更に備える、請求項
1乃至5の何れか1項に記載の混練装置。
【請求項7】
前記切換機構は、前記分岐排出路の前記開口面積を保持することが可能な開口保持部を更に備える、請求項
6に記載の混練装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練された樹脂材料を抜き取り検査などの目的で排出することが可能な分岐排出路を有する混練装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、汎用ポリオレフィン系樹脂であるポリエチレンやポリプロピレンの製造プラントには、これらの樹脂材料のペレットを造粒する混練造粒装置が設けられている。この混練造粒装置は、上記樹脂材料を混練する連続混練機などの混練装置と、混練装置で混練された樹脂材料を造粒する造粒機で構成されている。
【0003】
例えば、連続混練機は、水平方向に沿って長尺に形成された筒状のバレルと、このバレルの内部に挿入されて材料を混練する混練ロータとを備えている。連続混練機では、上述したバレルの長手方向の一方側に高分子樹脂のペレットや粉状の添加物(リアクタで精製されたパウダ)などの材料を供給するフィード部が設けられており、フィード部に供給された材料は長手方向の中途側に設けられた混練部に送られる。混練部では、混練ロータ間で材料にせん断力を付与しながら混練が行われる。
【0004】
混練後の材料は混練部のさらに下流側に位置する排出部から排出され、ギヤポンプを経由した後、上述した造粒機のペレタイザなどに送られる。
【0005】
なお、連続混練機とは構造が異なるものの、2軸押出機などの混練装置においても、混練された樹脂材料は混練度の調整を行った後で押出部に送られ、押出部からストランドなどの製品として押し出される。
【0006】
上述した連続混練機や押出機といった混練装置では、検査や確認などの為、最終製品に加工する前に抜き出す目的で、ギヤポンプなどに送られる前の樹脂材料の一部をバレル外に抜き出す樹脂排出機構(排出装置)(Diverter valveと言われる場合もある)が設けられる。
【0007】
特許文献1には、混練ロータで混練された樹脂材料の一部をバレル外に排出する樹脂排出機構(排出装置)が開示されている。当該樹脂排出機構は、バレルの内外を連通する樹脂排出路と、樹脂排出路を閉鎖もしくは開放することが可能なスライドバーと、を有する。スライドバーの内部には、冷却流体を用いてスライドバーを冷却する冷却機構が設けられている。冷却機構によってスライドバーの熱膨張が抑制され、スライドバーに齧りや動作不良といった不具合が発生することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載された技術では、樹脂排出機構の更に下流にはギヤポンプが設置されている。ギヤポンプは、材料搬出流路内の圧力を規定圧力値に保つようにその回転数を変化させながら、樹脂を昇圧させ、下流のペレタイザ(ペレタイジング工程)に搬送する。しかしながら、運転開始時に、上記の樹脂排出機構のスライドバーによって樹脂排出路を開放し樹脂の排出および確認を行った後に、樹脂排出路を閉鎖した場合、材料搬出流路の圧力が一時的に大きく低下するため、樹脂排出路の閉鎖後その圧力が再び規定圧力値まで上昇するのに多くの時間が掛かってしまう。この結果、ギヤポンプよりも下流側の工程がスムーズに進まなくなるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、混練された樹脂材料を搬送経路の下流側に搬送するギヤポンプと当該ギヤポンプよりも上流側で樹脂材料の一部を排出可能な分岐排出路とを有する混練装置において、装置のスタートアップ時に樹脂材料の排出によって低下する搬送経路の圧力の復旧時間を短縮化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面に係る混練装置は、樹脂材料を混練するとともに所定の搬送経路に沿って搬送する混練装置であって、内部空間が形成されているバレルと、前記バレルの前記内部空間に回転可能に収容され、回転することによって樹脂材料を混練する混練ロータと、前記混練ロータよりも前記搬送経路の下流側に配置され、前記混練ロータから樹脂材料を受け取るとともに、当該樹脂材料を前記搬送経路の更に下流側に搬送するギヤポンプと、前記混練ロータと前記ギヤポンプとの間において前記搬送経路から分岐し、前記混練ロータによって混練された樹脂材料を排出することが可能な分岐排出路と、封止状態と排出状態との間で切換可能な切換機構であって、前記封止状態は樹脂材料が前記搬送経路から前記分岐排出路に排出されることを阻止する状態であり、前記排出状態は前記樹脂材料の一部が前記搬送経路から前記分岐排出路に排出されることを許容するとともに前記分岐排出路に排出される樹脂材料の流量を調整可能な状態である、切換機構と、を備える。上記の構成において、前記混練装置は、樹脂混練機、単軸押出機又は2軸押出機であることが望ましい。
【0012】
本構成によれば、切換機構によって樹脂材料の流量を調整することによって、混練装置の作動時における搬送経路の圧力低下を最小限に抑制しながら、樹脂材料の一部を分岐排出路に排出することができる。このため、装置のスタートアップ時に搬送経路の圧力が大きく低下することがなく、分岐排出路の封止後、前記圧力の復旧に多くの時間が掛かることが防止される。この結果、樹脂材料の一部の排出が、ギヤポンプよりも下流側の工程の進行に影響を及ぼすことが抑止される。
【0013】
上記の構成において、前記搬送経路のうち前記混練ロータよりも下流側かつ前記ギヤポンプよりも上流側における圧力を検知可能な圧力検知部と、前記圧力検知部の検知結果に応じて前記分岐排出路に排出される樹脂材料の流量を調整するように前記切換機構を制御する切換制御部と、を更に備えることが望ましい。
【0014】
本構成によれば、搬送経路の実際の圧力に応じて、樹脂材料の流量を調整することが可能となるため、圧力検知部の検知結果をフィードバックすることなく搬送経路の圧力を予測して切換機構を制御する場合と比較して、搬送経路の圧力が大きく低下することがなく、装置のスタートアップ時に樹脂材料の排出がギヤポンプよりも下流側の工程の進行に影響を及ぼすことが更に抑止される。
【0015】
上記の構成において、前記切換制御部は、前記圧力検知部によって検知される圧力が予め設定された設定圧力範囲を下回った場合に、前記分岐排出路に排出される樹脂材料の流量が小さくなるように前記切換機構を制御することが望ましい。
【0016】
本構成によれば、設定圧力範囲を設けていない場合と比較して、切換機構の制御遅れが発生することが抑止され、装置のスタートアップ時に樹脂材料の排出がギヤポンプよりも下流側の工程の進行に影響を及ぼすことが更に抑止される。
【0017】
上記の構成において、前記圧力検知部によって検知される圧力が予め設定されたギヤポンプ用圧力範囲を下回った場合に、前記ギヤポンプの回転数を低下させるように、前記ギヤポンプを制御するギヤポンプ制御部を更に備え、前記圧力検知部によって検知される圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を下回らないように、前記設定圧力範囲が前記ギヤポンプ用圧力範囲に対応して設定されていることが望ましい。
【0018】
本構成によれば、ギヤポンプの制御のために設定されたギヤポンプ用圧力範囲と設定圧力範囲とが互いに関連付けられることで、装置のスタートアップ時に樹脂材料の排出によってギヤポンプの回転数が低下することやギヤポンプが停止することが抑止される。
【0019】
上記の構成において、前記切換制御部は、前記圧力検知部によって検知される圧力が予め設定された設定圧力範囲を上回った場合に、前記分岐排出路に排出される樹脂材料の流量が大きくなるように前記切換機構を制御することが望ましい。
【0020】
本構成によれば、切換機構を利用して排出される樹脂材料の流量を増やすことで、前記圧力を低下させることができる。
【0021】
上記の構成において、前記圧力検知部によって検知される圧力が予め設定されたギヤポンプ用圧力範囲を上回った場合に、前記ギヤポンプの回転数を増加させるように、前記ギヤポンプを制御するギヤポンプ制御部を更に備え、前記圧力検知部によって検知される圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を上回らないように、前記設定圧力範囲が前記ギヤポンプ用圧力範囲に対応して設定されていることが望ましい。
【0022】
本構成によれば、ギヤポンプの制御のために設定されたギヤポンプ用圧力範囲と設定圧力範囲とが互いに関連付けられることで、搬送経路の圧力が上昇しすぎた場合にギヤポンプの回転数が増加することやギヤポンプが停止することが抑止される。
【0023】
上記の構成において、前記切換機構は、前記分岐排出路の所定の位置における、前記樹脂の流れの方向と直交する断面の断面積である開口面積を変化させることが可能であり、前記切換制御部は、前記分岐排出路の前記開口面積を調整することで前記分岐排出路に排出される樹脂材料の流量を調整し、前記分岐排出路の前記開口面積に対応する特性値を検知することが可能な開口検知部を更に備えることが望ましい。
【0024】
本構成によれば、開口検知部の検知結果によって、分岐排出路の開口面積の変化を把握することができるため、当該開口面積に基づいたフィードバック制御によって切換制御部が切換機構を更に精度良く制御することが可能となる。また、切換機構の誤作動によって分岐排出路の開口面積が過剰に大きくなることを防止することができる。
【0025】
上記の構成において、前記切換機構は、前記分岐排出路の前記開口面積を保持することが可能な開口保持部を更に備えることが望ましい。
【0026】
本構成によれば、分岐排出路の開口面積を安定して維持することが可能となり、搬送経路の圧力を安定させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、混練された樹脂材料を搬送経路の下流側に搬送するギヤポンプと当該ギヤポンプよりも上流側で樹脂材料の一部を排出可能な分岐排出路とを有する混練装置において、装置のスタートアップ時に樹脂材料の排出によって低下する搬送経路の圧力の復旧時間を短縮化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る混練装置の断面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る混練装置の断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る混練装置の切換機構の正断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る混練装置のブロック図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る混練装置の切換機構の正断面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る混練装置の排出装置の正断面図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る混練装置の排出装置の正断面図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係る混練装置の排出装置の水平断面図である。
【
図9】本発明の第3実施形態に係る混練装置の排出装置の水平断面図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係る混練装置の排出装置の正断面図である。
【
図11】本発明の第4実施形態に係る混練装置の排出装置の正断面図である。
【
図12】本発明の第4実施形態に係る混練装置の排出装置の水平断面図である。
【
図13】本発明の第4実施形態に係る混練装置の排出装置の水平断面図である。
【
図14】本発明の第5実施形態に係る混練装置の排出装置の正断面図である。
【
図15】本発明の第5実施形態に係る混練装置の排出装置の正断面図である。
【
図16】本発明の第6実施形態に係る混練装置の排出装置の駆動部の底面図である。
【
図17】本発明の第6実施形態に係る混練装置の排出装置の駆動部の底面図である。
【
図18】本発明の第7実施形態に係る混練装置の排出装置の正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の第1実施形態に係る混練装置1を、各図面に基づき詳しく説明する。
図1および
図2は、本実施形態に係る混練装置1の断面図である。
図1は、主に混練装置1の連続混練機1Aを示す断面図であって、
図2は、混練装置1の連続混練機1Aの下流側部分および処理機1Bを示す断面図である。なお、
図2は、
図1の断面位置II-IIにおける断面図に相当する。
図3は、本実施形態に係る混練装置1の排出装置10(切換機構)の正断面図である。更に、
図4は、本実施形態に係る混練装置1のブロック図である。
【0030】
混練装置1は、ゴムやポリオレフィン系樹脂のような熱可塑性の樹脂材料を混練するものである。混練装置1は、樹脂材料を混練するとともに所定の搬送経路1Kに沿って搬送する。混練装置1は、連続混練機1Aと、処理機1Bとを有する。連続混練機1Aと処理機1Bとは連続して配設されている。樹脂材料は、
図1に示すように連続混練機1A内を矢印DA方向に搬送され、
図2に示すように連続混練機1Aの下流側部分および処理機1B内を矢印DB方向に搬送される。なお、各図では、
図1の連続混練機1Aにおいて樹脂材料が搬送される方向を前方向として、前後、上下および左右方向が図示されているが、当該方向は本実施形態に係る混練装置1(連続混練機1A、処理機1B)を説明するために便宜的に示すものであって、本発明に係る混練装置の使用態様、構造を限定するものではない。また、混練装置1は、連続混練機1A(樹脂混練機)に代えて、公知の単軸押出機を有するものでもよいし、公知の2軸押出機を有するものでもよい。
【0031】
図1および
図2に示すように、連続混練機1Aは、バレル1Hと、一対の混練ロータ2と、材料投入部3と、絞り部4と、ギヤポンプ5と、を有する。
【0032】
バレル1Hは、
図1の前後方向(軸方向)に沿って長く延びる筒状の筐体である。バレル1Hの内部には、一対の混練ロータ2が収容される内部空間が形成されている。
図3に示すように、バレル1Hの内部空間は、その軸垂直方向の断面が、2つの円が円周の一部同士を介して互いに重なっためがね形状となっている。当該内部空間は、バレル内周面1T(
図3)によって画定されている。
【0033】
一対の混練ロータ2は、バレル1Hの前記内部空間に回転可能に収容され、回転することによって樹脂材料を混練する。一対の混練ロータ2は、バレル1Hの内部空間において軸心方向に沿ってそれぞれ挿通されている。連続混練機1Aでは、一対の混練ロータ2が互いに異方向に向かって回転される。すなわち、連続混練機1Aでは一対の混練ロータ2の回転に伴い、当該一対の混練ロータ2のそれぞれとバレル1Hとの間で発生するせん断力によって樹脂材料の混練が行なわれる。各混練ロータ2は、それぞれの回転中心がバレル1Hの内部空間をなす上記した2つの円の各中心と一致するように設けられている。各混練ロータ2は、バレル1Hの両端の更に外側でそれぞれ軸受2J(
図1)により支持されている。一対の混練ロータ2は、フィード部2Aと、混練部2Bと、搬送部2Cと、を有する。フィード部2Aは、材料投入部3から投入された樹脂材料を下流側に搬送する。混練部2Bは、一対の混練ロータ2のそれぞれとバレル1Hとの間で樹脂材料を混練する部分である。搬送部2Cは、混練された樹脂材料を更に下流に搬送する。
【0034】
材料投入部3は、バレル1Hの内外を連通するように上方に向かって開口しており、バレル1Hの上側の壁面を上下に貫通するように形成されている。材料投入部3の上方を向く開口からバレル1H内に材料を供給することができる。
【0035】
絞り部4は、混練ロータ2の混練部2Bの下流側に配置され上流における樹脂材料の滞留度合いを変化させて材料の混練度を調整する機能を備えている。
【0036】
ギヤポンプ5は、一対の混練ロータ2よりも搬送経路1Kの下流側に配置され、一対の混練ロータ2から樹脂材料を受け取るとともに、当該樹脂材料を搬送経路1Kの更に下流側に搬送する。ギヤポンプ5は、排出空間1S内の圧力を規定の圧力値に保つようにその回転数を変化させながら、樹脂を昇圧させ、下流のスクリーンチェンジャ6、ペレタイザ7(ペレタイジング工程)に搬送する。ギヤポンプ5は、一対の混練ロータ2との間で排出空間1S(
図1、
図2、
図3)を介して連通している。なお、樹脂材料が搬送される方向は、当該排出空間1Sにおいて、一対の混練ロータ2における搬送方向と直交する方向に変化される。
【0037】
ギヤポンプ5は、水平方向に沿って流れる樹脂材料に対して、当該樹脂材料が流れる向きとは直交する向きに軸心を備えた上下一対の回転ギヤ50(上ギヤ51、下ギヤ52)を有している。これら一対の回転ギヤ50は、互いに噛み合い状態となっており、互いに異方向に回転するようになっている。具体的には、
図2の例では、上ギヤ51は軸心回りを時計方向に回転し、下ギヤ52は軸心回りを反時計方向に回転する。また、これら一対の回転ギヤ50はハウジング5H内に形成された円筒体が重なり合ったような形状の収容部に収容されており、当該収容部は回転ギヤ50の外径よりやや大きな内径を備えていて、回転ギヤ50の歯の凹んだ部分と収容部を画定するハウジング内周面5Sとの間の隙間に入り込んだ樹脂材料が、回転ギヤ50の回転によってギヤポンプ入口側5A側からギヤポンプ出口側5Bに送られることで、樹脂材料が搬送される。このため、
図2では、時計方向に回転する上ギヤ51の周辺では、上ギヤ51とハウジング5Hとの間に案内された樹脂材料が、上ギヤ51の更に上方を通って、上流側から下流側に送られる。また、反時計方向に回転する下ギヤ52の周辺では、下ギヤ52とハウジング5Hとの間に案内された樹脂材料が、下ギヤ52の更に下方を通って、上流側から下流側に送られる。
【0038】
図2に示すように、処理機1Bは、ギヤポンプ5と、スクリーンチェンジャ6と、ペレタイザ7と、を有する。
【0039】
一対の混練ロータ2から排出空間1Sを通じてギヤポンプ5に受け渡された樹脂材料は、ギヤポンプ5によってスクリーンチェンジャ6に圧送される。スクリーンチェンジャ6は、樹脂材料から異物を除去する機能を有する。そして、このスクリーンチェンジャ6で異物が除去された樹脂材料は、ペレタイザ7に送られる。ペレタイザ7では、粒状の樹脂(材料)のペレットが製造される。
【0040】
混練装置1は、一対の混練ロータ2の下流側において、排出空間1Sに連通するように配設された排出装置10を更に備える(
図2、
図3)。なお、
図3は、
図2と比較して、左右方向が反転して示されている。排出装置10は、一対の混練ロータ2で混練された樹脂材料の一部をバレル1H外に排出する(抜き取る)ものである。排出装置10を用いて排出された樹脂材料は、バレル1Hの下側に停車する樹脂材料搬送車(
図2参照)などに払い出されるが、その一部は樹脂材料の混練状態を確認する抜き取り検査や確認などに使用される。
【0041】
具体的には、上述した連続混練機1Aは、排出空間1Sに連通する分岐排出路1Lを有している。一対の混練ロータ2から排出空間1Sに流入した樹脂材料は、
図3の矢印D1方向に沿ってギヤポンプ5に供給される。一方、分岐排出路1Lは、一対の混練ロータ2とギヤポンプ5との間において排出空間1Sから分岐し、一対の混練ロータ2によって混練された樹脂材料の一部を
図3の矢印D2方向に排出することが可能とされている。具体的には、排出空間1Sの下面部を画定するようにバレル1Hに形成されたバレル内傾斜面1Rから下方に向かって分岐排出路1Lが延設されている。
【0042】
また、排出装置10は、開閉部材110と、駆動部120とを有する。
【0043】
開閉部材110は、分岐排出路1Lの入口部分を開閉可能とする部材(スライドバー)である。本実施形態では、円柱状の開閉部材110の先端部には、バレル内傾斜面1Rと面一となるように傾斜面111が形成されている。開閉部材110は、バレル1Hに左右方向にスライド移動可能に支持されている。
【0044】
駆動部120は、開閉部材110を左右方向にスライド移動させることが可能とされている。本実施形態では、駆動部120は油圧シリンダから構成される。駆動部120は、シリンダ本体121と、連結ロッド122と、ピストン部123とを有する。シリンダ本体121は、筒状の部材であって、内部に作動油を受け入れるとともに作動油を排出する。連結ロッド122の先端部は開閉部材110の基端部に接続されている。また、連結ロッド122の基端部にはピストン部123が接続されている。ピストン部123は、シリンダ本体121の内部をヘッド側油室121Aとロッド側油室121Bとに仕切っている。不図示の油圧源からヘッド側油室121Aに作動油が供給されるとともに、ロッド側油室121Bから作動油が排出されると、連結ロッド122に接続された開閉部材110が
図3の矢印D3方向にスライド移動する。この結果、開閉部材110によって分岐排出路1Lが封止され、樹脂材料が分岐排出路1Lに流入することが阻止される。一方、不図示の油圧源からロッド側油室121Bに作動油が供給されるとともに、ヘッド側油室121Aから作動油が排出されると、連結ロッド122に接続された開閉部材110が
図3の矢印D4方向にスライド移動する。この結果、開閉部材110によって分岐排出路1Lが開放され、樹脂材料が分岐排出路1Lに流入することが許容される。シリンダ本体121に対する作動油の給排量が調整されることで、開閉部材110の位置が調整される。この結果、分岐排出路1Lに流れる樹脂材料の流量が調整される。この際、開閉部材110の位置が変化すると、分岐排出路1Lの所定の位置における開口面積(分岐排出路1Lの所定の位置における、樹脂の流れの方向と直交する断面の断面積)が変化することで、前記流量が調整される。
【0045】
なお、排出装置10の開閉部材110および駆動部120は、本実施形態における切換機構を構成する。当該切換機構は、封止状態と排出状態との間で切換可能とされている。前記封止状態は樹脂材料の一部が搬送経路1Kから分岐排出路1Lに排出されることを阻止する状態であり、前記排出状態は前記樹脂材料の一部が搬送経路1Kから分岐排出路1Lに排出されることを許容するとともに分岐排出路1Lに排出される樹脂材料の流量を調整可能な状態である。
【0046】
更に、連続混練機1Aは、制御部90と、圧力検知部91と、位置検知部92と、を有する(
図4)。
【0047】
制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。また、制御部90には、前述のギヤポンプ5および駆動部120に加え、圧力検知部91および位置検知部92がそれぞれ接続されている(
図4)。
【0048】
圧力検知部91(
図2)は、搬送経路1Kのうち一対の混練ロータ2よりも下流側かつギヤポンプ5よりも上流側の排出空間1S近傍に配置されており、当該排出空間1Sにおける圧力を検知可能とされている。圧力検知部91によって検知された圧力の情報は、制御部90に入力される。
【0049】
位置検知部92(開口検知部)は、
図3の開閉部材110の左右方向における位置を検知可能とされている。一例として、位置検知部92は、バレル1H内において開閉部材110のスライド方向(左右方向)に沿って間隔をおいて配置された複数のリミットスイッチを含む。開閉部材110の先端部が前記複数のリミットスイッチのうちの所定のリミットスイッチによって検知されると、その情報が制御部90に入力されることで、開閉部材110の位置が検知される。なお、当該開閉部材110の位置に関する情報は、分岐排出路1Lの前記開口面積に対応する特性値に相当する。すなわち、開閉部材110が
図3の右方向(矢印D3方向)に位置するほど、分岐排出路1Lの開口面積は小さくなり、開閉部材110が
図3の左方向(矢印D4方向)に位置するほど、分岐排出路1Lの開口面積は大きくなる。
【0050】
なお、
図3において、開閉部材110を左右方向における所定の位置に保持するために、不図示の機械式ブレーキ(開口保持部)が開閉部材110に当接または係合可能とされてもよい。この場合、当該機械式ブレーキは、分岐排出路1Lの前記開口面積を保持することが可能とされるため、駆動部120のシリンダ本体121に対して継続的に作動油を給排する必要が低減される。
【0051】
制御部90は、前記CPUがROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、駆動制御部901、判定部902および記憶部903を備えるように機能する。
【0052】
駆動制御部901(切換制御部、ギヤポンプ制御部)は、駆動部120およびギヤポンプ5の作動を制御する。特に、駆動制御部901は、圧力検知部91の検知結果に応じて分岐排出路1Lに排出される樹脂材料の流量を調整するように駆動部120を制御する。より具体的には、駆動制御部901は、後記の判定部902の判定結果に基づいて、圧力検知部91によって検知される圧力が予め設定された設定圧力範囲を下回った場合に、分岐排出路1Lに排出される樹脂材料の流量が小さくなるように駆動部120を制御する(第1の制御)。また、駆動制御部901は、圧力検知部91によって検知される圧力が前記設定圧力範囲を上回った場合に、分岐排出路1Lに排出される樹脂材料の流量が大きくなるように駆動部120を制御する(第2の制御)。また、駆動制御部901は、搬送経路1Kのうち一対の混練ロータ2よりも下流側かつギヤポンプ5よりも上流側の排出空間1Sにおける圧力(圧力検知部91によって検知される圧力)が予め設定されたギヤポンプ用圧力範囲に含まれている場合にギヤポンプ5を作動させたのち、排出空間1Sの圧力を一定に保ちながら樹脂材料をスクリーンチェンジャ6に供給するようにギヤポンプ5を作動させる(第3の制御)。また、駆動制御部901は、搬送経路1Kのうち一対の混練ロータ2よりも下流側かつギヤポンプ5よりも上流側における排出空間1Sの圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を下回った場合または上回った場合に、ギヤポンプ5の作動をそれぞれ変化させるように、ギヤポンプ5を制御する(第4の制御)。具体的に、駆動制御部901は、排出空間1Sの圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を下回った場合に、ギヤポンプ5の回転数を低下させるように、ギヤポンプ5を制御する。また、駆動制御部901は、排出空間1Sの圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を上回った場合に、ギヤポンプ5の回転数を増加させるように、ギヤポンプ5を制御する。このように本実施形態では、駆動制御部901は、圧力検知部91の検知結果を利用して、ギヤポンプ5の作動を制御する。なお、駆動制御部901は、上記の複数の制御(第1~第4の制御)のうちの一部の制御を実行するものでもよい。
【0053】
判定部902は、上記の駆動制御部901の制御に関して、圧力検知部91によって検知された圧力と、設定圧力範囲またはギヤポンプ用圧力範囲との大小関係を判定する。また、記憶部903は、前記設定圧力範囲およびギヤポンプ用圧力範囲をそれぞれ記憶している。一例として、設定圧力範囲の下限値は、ギヤポンプ用圧力範囲の下限値に安全率(1.0以上)を乗じた値に設定されている。すなわち、圧力検知部91によって検知される圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を下回らないように、前記設定圧力範囲が前記ギヤポンプ用圧力範囲に対応して設定されている。同様に、設定圧力範囲の上限値は、ギヤポンプ用圧力範囲の上限値に安全率(1.0以下)を乗じた値に設定されている。すなわち、圧力検知部91によって検知される圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を上回らないように、前記設定圧力範囲が前記ギヤポンプ用圧力範囲に対応して設定されている。
【0054】
以上のように、本実施形態では、分岐排出路1Lに設けられた排出装置10が、排出空間1Sから分岐排出路1Lに排出される樹脂材料の流量を調整可能とされている。このため、前記流量を調整することによって、混練装置1(連続混練機1A)の作動時における搬送経路1K、特に、排出空間1Sの圧力低下を最小限に抑制しながら、樹脂材料の一部を分岐排出路1Lに排出することができる。このため、装置のスタートアップ時に排出空間1Sの圧力が大きく低下することがなく、分岐排出路1Lの封止後、前記圧力の復旧に多くの時間が掛かることが防止される。この結果、樹脂材料の一部の排出が、ギヤポンプ5よりも下流側の工程の進行に影響を及ぼすことが抑止される。また、装置のスタートアップ時に排出空間1Sの圧力が大きく低下することがないため、駆動制御部901によってギヤポンプ5の回転数が低下されることが抑止される。また、前記回転数の低下とともにギヤポンプ5が停止することが抑止される。この結果、ギヤポンプ5の停止によってペレタイザ7における処理工程がスムーズに進まなくなることが抑止される。
【0055】
また、本実施形態では、駆動制御部901が、圧力検知部91の検知結果に応じて分岐排出路1Lに排出される樹脂材料の流量を調整するように排出装置10の駆動部120を制御する。このため、排出空間1Sの実際の圧力に応じて、樹脂材料の流量を調整することが可能となるため、圧力検知部91の検知結果のフィードバック無しに排出空間1Sの圧力を予測して駆動部120を制御する場合と比較して、排出空間1Sの圧力が大きく低下することがなく、装置のスタートアップ時に樹脂材料の排出がギヤポンプ5よりも下流側の工程の進行に影響を及ぼすことが更に抑止されるとともに、ギヤポンプ5の作動に影響を及ぼすことや駆動制御部901によってギヤポンプ5の回転数が低下されることが抑止される。また、前記回転数の低下とともにギヤポンプ5が停止することが抑止される。
【0056】
更に、本実施形態では、駆動制御部901は、圧力検知部91によって検知される圧力が予め設定された設定圧力範囲を下回った場合に、分岐排出路1Lに排出される樹脂材料の流量が小さくなるように排出装置10の駆動部120を制御する。このため、設定圧力範囲を設けていない場合と比較して、排出装置10の制御遅れが発生することが抑止され、装置のスタートアップ時に樹脂材料の排出がギヤポンプ5よりも下流側の工程の進行に影響を及ぼすことが更に抑止されるとともに、ギヤポンプ5の作動に影響を及ぼすことや駆動制御部901によってギヤポンプ5の回転数が低下されることが抑止される。また、前記回転数の低下とともにギヤポンプ5が停止することが抑止される。
【0057】
更に、本実施形態では、前記設定圧力範囲は前記ギヤポンプ用圧力範囲に対応して設定されているため、ギヤポンプ5を制御するために設定されたポンプ用圧力範囲と設定圧力範囲とが互いに関連付けられることで、装置のスタートアップ時に樹脂材料の排出に伴って駆動制御部901によってギヤポンプ5の回転数が低下されることが抑止される。また、前記回転数の低下とともにギヤポンプ5が停止することが抑止される。
【0058】
更に、本実施形態では、駆動制御部901は、圧力検知部91によって検知される圧力が予め設定された設定圧力範囲を上回った場合に、分岐排出路1Lに排出される樹脂材料の流量が大きくなるように排出装置10の駆動部120を制御する。このため、排出空間1Sの圧力が上昇しすぎた場合に、排出装置10を利用して前記圧力を低下させることができる。
【0059】
また、本実施形態では、駆動制御部901は、圧力検知部91によって検知される圧力が予め設定されたギヤポンプ用圧力範囲を上回った場合に、ギヤポンプ5の回転数を増加させるようにギヤポンプ5を制御する。更に、駆動制御部901は、圧力検知部91によって検知される圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を上回らないように、前記設定圧力範囲が前記ギヤポンプ用圧力範囲に対応して設定されている。なお、駆動制御部901は、圧力検知部91によって検知される圧力が前記ギヤポンプ用圧力範囲を大きく上回った場合には、ギヤポンプ5を停止させる。このような構成によれば、ギヤポンプ5の制御のために設定されたギヤポンプ用圧力範囲と設定圧力範囲とが互いに関連付けられることで、排出空間1Sの圧力が上昇しすぎた場合にギヤポンプ5が停止することが抑止される。
【0060】
また、本実施形態では、排出装置10は、分岐排出路1Lの所定の位置における開口面積を変化させることが可能であり、駆動制御部901は、分岐排出路1Lの前記開口面積を調整することで分岐排出路1Lに排出される樹脂材料の流量を調整する。そして、位置検知部92が、分岐排出路1Lの前記開口面積に対応する特性値を検知することが可能とされている。このため、位置検知部92の検知結果によって、分岐排出路1Lの開口面積の変化を把握することができるため、当該開口面積に基づいたフィードバック制御によって駆動制御部901が排出装置10の駆動部120を更に精度良く制御することが可能となる。また、駆動部120の誤作動によって、分岐排出路1Lの開口面積が過剰に大きくなることを防止することができる。
【0061】
更に、本実施形態では、開閉部材110のスライド移動によって分岐排出路1Lを開放、封止することができる。このため、分岐排出路1Lの開口面積を連続的に調整することが可能となる。
【0062】
更に、本実施形態では、開閉部材110に対して接離可能な機械式ブレーキを有することで、調整された分岐排出路1Lの開口面積を保持することが可能となる。このため、前記開口面積を安定して維持することが可能となる。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態に係る混練装置1について説明する。なお、本実施形態では、上記の第1実施形態との相違点を中心に説明し、共通する点の説明を省略する。以後の実施形態においても同様である。
図5は、本実施形態に係る混練装置1の排出装置10の正断面図である。
【0064】
本実施形態では、先の第1実施形態と比較して駆動部120の構造において相違する。
図5に示すように、駆動部120は、開閉部材110に接続されたラック112と、ピニオンギヤ124と、モーターMとを有する。モーターMは、油圧モーターや電動モーターから構成される。駆動制御部901(
図3)がモーターMを正逆方向にそれぞれ回転させることが可能である。ピニオンギヤ124は、モーターMの出力軸に接続されている。モーターMの回転駆動力によってピニオンギヤ124が矢印D5方向で示すように、正逆方向にそれぞれ回転されると、ピニオンギヤ124とラック112との噛み合いによって、開閉部材110が矢印D3、D4方向にそれぞれスライド移動することができる。このような構成においても、前記流量を調整することによって、混練装置1(連続混練機1A)の作動時における搬送経路1K、特に、排出空間1Sの圧力低下を最小限に抑制しながら、樹脂材料の一部を分岐排出路1Lに排出することができる。このため、排出空間1Sの圧力が大きく低下し駆動制御部901によってギヤポンプ5が停止されることが抑止される。その他の作用効果についても先の第1実施形態と同様である。なお、本実施形態では、モーターMに備えられた不図示のロック機構、電磁ブレーキ(いずれも開口保持部)などによって開閉部材110の位置が保持され、分岐排出路1Lの開口面積が維持されてもよい。
【0065】
次に、本発明の第3実施形態に係る混練装置1について説明する。
図6および
図7は、本実施形態に係る混練装置1の排出装置10の正断面図である。
図8および
図9は、本実施形態に係る混練装置1の排出装置10の水平断面図である。なお、
図8は、
図6の断面位置VIII-VIIIにおける断面図に相当し、
図9は、
図7の断面位置IX-IXにおける断面図に相当する。
【0066】
本実施形態でも、先の第1実施形態と比較して駆動部120の構造において相違する。
図6に示すように、駆動部120は、伝達ギヤ125と、駆動ギヤ126と、モーターMとを有する。また、開閉部材110は、バレル1Hに左右方向に延びる中心軸周りに回転可能に支持されている。また、開閉部材110の傾斜面111には、
図6の紙面と直交する方向に延びる連通孔110Sが形成されている。
【0067】
本実施形態では、
図6および
図8に示される状態では、開閉部材110によって分岐排出路1Lが封止されている。一方、モーターMの回転駆動力が駆動ギヤ126から伝達ギヤ125に伝達されると、伝達ギヤ125に接続された開閉部材110が矢印D6方向に90度回転される。この結果、
図7および
図9に示すように、傾斜面111および連通孔110Sによって分岐排出路1Lが排出空間1Sに連通し、樹脂材料の一部が分岐排出路1Lに流入可能とされる。なお、駆動制御部901がモーターMの回転量を制御することで、開閉部材110の回転角度が調整されると、
図9において傾斜面111および連通孔110Sが分岐排出路1Lを開放する開口面積が調整される。この結果、樹脂材料の排出流量が調整可能となる。
【0068】
次に、本発明の第4実施形態に係る混練装置1について説明する。
図10および
図11は、本実施形態に係る混練装置1の排出装置10の正断面図である。
図12および
図13は、本実施形態に係る混練装置1の排出装置10の水平断面図である。なお、
図12は、
図10の断面位置XII-XIIにおける断面図に相当し、
図13は、
図11の断面位置XIII-XIIIにおける断面図に相当する。
【0069】
本実施形態では、先の第3実施形態と比較して開閉部材110の構造において相違する。
図10に示すように、開閉部材110は、丸棒状の部材であり、バレル1Hに軸方向に延びる回転中心軸周りに回転可能に支持されている。また、開閉部材110の先端部には、
図10の紙面と直交する方向に延びる連通孔110Sが形成されている。分岐排出路1Lは平面視で楕円形状を有するように開口されている。そして、
図12に示すように、当該楕円形状の短径部分の内径(前後方向における内径)は、丸棒状の開閉部材110の外径に対応するように設定されている。また、平面視で開閉部材110の先端部の曲率は、分岐排出路1Lの楕円形状の長径部分の内周面の曲率と合致している。
【0070】
本実施形態では、分岐排出路1Lおよび開閉部材110が上記のような形状を有しているため、
図10および
図12に示される状態では、開閉部材110によって分岐排出路1Lが封止されている。一方、モーターMの回転駆動力が駆動ギヤ126から伝達ギヤ125に伝達されると、伝達ギヤ125に接続された開閉部材110が矢印D6方向に90度回転される。この結果、
図11および
図13に示すように、連通孔110Sによって分岐排出路1Lが排出空間1Sに連通し、樹脂材料の一部が分岐排出路1Lに流入可能とされる。なお、本実施形態においても、駆動制御部901がモーターMの回転量を制御することで、開閉部材110の回転角度が調整されると、
図13において連通孔110Sが分岐排出路1Lを開放する開口面積が調整される。この結果、樹脂材料の排出流量が調整可能となる。
【0071】
次に、本発明の第5実施形態に係る混練装置1について説明する。
図14および
図15は、本実施形態に係る混練装置1の排出装置10の正断面図である。
図14、
図15に示すように、第1実施形態の開閉部材110の形状に代えて、開閉部材110の先端部に封止ブロック110Tを有するものでもよい。この場合、分岐排出路1Lと排出空間1Sとの境界部分は、封止ブロック110Tの大きさに対応する開口部によって互いに連通されればよい。本実施形態においても、先の第1、第2実施形態と同様の駆動部120の駆動力を受けて、封止ブロック110Tが左右方向にスライド移動することで、
図14の封止状態から
図15の排出状態に切り換えることができる。このため、分岐排出路1Lへ流れる樹脂材料の流量を調整することが可能となる。
【0072】
次に、本発明の第6実施形態に係る混練装置1について説明する。
図16および
図17は、本実施形態に係る混練装置1の排出装置10の駆動部120の底面図である。樹脂材料は、
図16の紙面と直交する方向に沿って(紙面奥側から紙面手前側に向かって)、排出空間1S(
図3参照)から分岐排出路1Lに流入し、大気側に排出される。本実施形態では、駆動部120が、回転盤131と、ウォーム132と、モーターMとを有する。駆動制御部901(
図3)がモーターMを制御して、ウォーム132を
図16の矢印のように回転させると、円筒状のウォーム132の外周面に形成された不図示のはすばギヤから回転盤131の外周面に形成されたはすばギヤに回転駆動力が伝達される。この結果、
図16から
図17に示すように、回転盤131が回転軸CL周りに回転することで、分岐排出路1Lが回転盤131によって封止される。
【0073】
このように本実施形態においても、駆動制御部901がモーターMを制御し、回転盤131の回転量を調整すると、分岐排出路1Lの開口面積を調整することができる。このため、本実施形態においても、樹脂材料の流量を調整することによって、混練装置1(連続混練機1A)の作動時における搬送経路1K、特に、排出空間1Sの圧力低下を最小限に抑制しながら、樹脂材料の一部を分岐排出路1Lに排出することができる。なお、
図16のウォーム132の代わりにラックおよびピニオンギヤの構造によって回転盤131が回転されてもよい。
【0074】
次に、本発明の第7実施形態に係る混練装置1について説明する。
図18は、本実施形態に係る混練装置1の排出装置10の正断面図である。
図18に示すように、
図3の開閉部材110に代えて、板状の開閉部材110が左右方向にスライド移動することで、分岐排出路1Lを開放および封止させてもよい。このような構成によれば、シンプルな開閉部材110の構成によって、分岐排出路1Lの排出およびその流量を調整することが可能となる。
【0075】
以上、本発明の各実施形態に係る混練装置1について説明したが、本発明はこれらの態様に限定されるものではなく、以下のような変形実施形態が可能である。
【0076】
(1)上記の実施形態では、本発明の位置検知部(開口検知部)の一例として、リミットスイッチを用いて説明したが、位置検知部は、公知のポテンションメータ、エンコーダ、スケールなどに基づいて、開閉部材110の位置を検知するものでもよい。なお、開閉部材110が回転することで分岐排出路1Lの開口面積を調整する場合には、その回転量が検知されればよい。また、他の駆動伝達機構によって開閉部材110が移動される態様でもよい。
【0077】
(2)上記の実施形態では、開閉部材110を駆動する駆動部として、油圧シリンダやモーターを用いて説明したが、駆動部は他のアクチュエータなどでもよい。また、必要に応じて減速機が備えられてもよい。更に、本発明に係る開口保持部は、機械式ブレーキ、電磁ブレーキなどに限定されず、他の構造からなるものでもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 混練装置
10 排出装置(切換機構)
110 開閉部材
110S 連通孔
110T 封止ブロック
111 傾斜面
112 ラック
120 駆動部
121 シリンダ本体
121A ヘッド側油室
121B ロッド側油室
122 連結ロッド
123 ピストン部
124 ピニオンギヤ
125 伝達ギヤ
126 駆動ギヤ
131 回転盤
132 ウォーム
1A 連続混練機
1B 処理機
1K 搬送経路
1H バレル
1L 分岐排出路
1R バレル内傾斜面
1S 排出空間
1T バレル内周面
2 混練ロータ
2A フィード部
2B 混練部
2C 排出部
3 材料投入部
4 絞り部
5 ギヤポンプ
50 回転ギヤ
51 上ギヤ
52 下ギヤ
5H ハウジング
5S ハウジング内周面
6 スクリーンチェンジャ
7 ペレタイザ
90 制御部
901 駆動制御部(切換制御部、ギヤポンプ制御部)
902 判定部
903 記憶部
91 圧力検知部
92 位置検知部(開口検知部)
M モーター(開口保持部)