(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】基板処理装置、洗浄ユニット、および、多連弁洗浄方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240327BHJP
【FI】
H01L21/304 643Z
H01L21/304 643A
H01L21/304 648K
H01L21/304 648G
(21)【出願番号】P 2020218667
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】脇田 明日香
(72)【発明者】
【氏名】野村 高幸
(72)【発明者】
【氏名】藤原 友則
(72)【発明者】
【氏名】小路丸 友則
(72)【発明者】
【氏名】東 克栄
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-135681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0139703(US,A1)
【文献】特開2010-147212(JP,A)
【文献】国際公開第2015/136872(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0014873(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を供給するためのタンクと、
基板を処理するための複数種の処理液が供給され、かつ、複数種の前記処理液のうちの少なくとも1つを選択的に供給可能な多連弁と、
前記多連弁から供給される前記処理液を用いて前記基板を処理するための処理液ノズルとを備え、
前記基板を処理するための基板処理モードと、少なくとも前記多連弁を洗浄するための洗浄モードとで切り替え可能であり、
前記基板処理モードでは、前記処理液ノズルに供給された前記処理液によって前記基板が処理され、
前記洗浄モードでは、前記処理液ノズルを介さずに、前記タンクと前記多連弁とを介する経路である洗浄経路において、前記タンクから前記多連弁へ前記薬液が供給される、
基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であり、
前記薬液が、複数種の前記処理液のうちの1つである、
基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であり、
前記洗浄経路の、前記タンクの下流、かつ、前記多連弁の上流の位置において、
前記薬液が供給される複数の供給配管と、
複数の前記供給配管に跨って接続される少なくとも1つの接続配管とをさらに備える、
基板処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置であり、
前記接続配管は、前記多連弁を収容する筐体内に収容される、
基板処理装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の基板処理装置であり、
前記接続配管は、前記タンクおよび前記多連弁を収容する筐体内に収容される、
基板処理装置。
【請求項6】
請求項3から5のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記多連弁は、複数の前記供給配管のそれぞれを開閉させる複数の選択バルブを備え、
前記洗浄モードでは、複数の前記供給配管のうちの少なくとも1つが、対応する前記選択バルブによって開閉される、
基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記洗浄モードでは、前記洗浄経路において前記薬液が循環する、
基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置であり、
リンス液を供給するためのリンス液供給源と、
前記多連弁内を吸引する吸引部とをさらに備え、
前記洗浄モードでは、前記洗浄経路における前記薬液の循環の後、前記多連弁に前記リンス液が供給され、さらに、前記吸引部によって前記多連弁内が吸引される、
基板処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の基板処理装置であり、
前記洗浄モードでは、前記洗浄経路における前記薬液の循環、前記薬液の循環の後の前記リンス液の供給、および、前記リンス液の供給の後の前記多連弁内の吸引が、複数回繰り返される、
基板処理装置。
【請求項10】
請求項1から7のうちのいずれか1つに記載の基板処理装置であり、
前記洗浄モードでは、前記薬液の供給圧が変動する、
基板処理装置。
【請求項11】
薬液を供給するためのタンクと、
少なくとも多連弁を洗浄するための経路である洗浄経路を形成するための洗浄配管とを備え、
前記多連弁は、複数種の処理液が供給され、かつ、複数種の前記処理液のうちの少なくとも1つを選択的に供給可能であり、
前記洗浄経路は、前記タンクを介し、
前記多連弁は、前記洗浄経路において、前記タンクから供給される前記薬液によって洗浄され、
前記洗浄配管は、前記多連弁に対して着脱可能である、
洗浄ユニット。
【請求項12】
請求項11に記載の洗浄ユニットであり、
前記洗浄経路の、前記タンクの下流、かつ、前記多連弁の上流の位置において、
前記薬液が供給される複数の供給配管と、
複数の前記供給配管に跨って接続される少なくとも1つの接続配管とをさらに備える、
洗浄ユニット。
【請求項13】
請求項12に記載の洗浄ユニットであり、
前記多連弁は、複数の前記供給配管のそれぞれを開閉させる複数の選択バルブを備え、
複数の前記供給配管のうちの少なくとも1つが、対応する前記選択バルブによって開閉される、
洗浄ユニット。
【請求項14】
請求項11から13のうちのいずれか1つに記載の洗浄ユニットであり、
前記洗浄経路において前記薬液が循環する、
洗浄ユニット。
【請求項15】
請求項11から14のうちのいずれか1つに記載の洗浄ユニットであり、
リンス液を供給するためのリンス液供給源と、
前記多連弁内を吸引する吸引部とをさらに備え、
前記洗浄経路における前記薬液の循環の後、前記多連弁に前記リンス液が供給され、さらに、前記吸引部によって前記多連弁内が吸引される、
洗浄ユニット。
【請求項16】
請求項15に記載の洗浄ユニットであり、
前記洗浄経路における前記薬液の循環、前記薬液の循環の後の前記リンス液の供給、および、前記リンス液の供給の後の前記多連弁内の吸引が、複数回繰り返される、
洗浄ユニット。
【請求項17】
基板を処理するための複数種の処理液が供給され、かつ、複数種の前記処理液のうちの少なくとも1つを選択的に供給可能な状態で基板処理装置に接続された多連弁を洗浄する多連弁洗浄方法であり、
前記基板処理装置は、
薬液を供給するためのタンクと、
前記多連弁から供給される前記処理液を用いて前記基板を処理するための処理液ノズルとを備え、
前記基板処理装置は、前記基板を処理するための基板処理モードと、少なくとも前記多連弁を洗浄するための洗浄モードとで切り替え可能であり、
前記基板処理モードでは、前記処理液ノズルに供給された前記処理液によって前記基板が処理され、
前記洗浄モードでは、前記処理液ノズルを介さずに、前記タンクと前記多連弁とを介する経路である洗浄経路において、前記タンクから前記多連弁へ前記薬液が供給され、
前記洗浄モードで、前記多連弁を洗浄する工程を備える、
多連弁洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板処理技術に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置においては、基板の処理で複数種の処理液を用いるために、複数種の処理液のうちの1つを選択的に供給可能なバルブユニットである多連弁が設けられる場合がある(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような多連弁は、上流側に接続された複数の配管からそれぞれ処理液が供給される構造であり、配管接続が集中する箇所であるため汚れが溜まりやすい。一方で、構造が複雑であるため、洗浄は不十分になりやすいという問題がある。
【0005】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、多連弁を効果的に洗浄するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である基板処理装置は、薬液を供給するためのタンクと、基板を処理するための複数種の処理液が供給され、かつ、複数種の前記処理液のうちの少なくとも1つを選択的に供給可能な多連弁と、前記多連弁から供給される前記処理液を用いて前記基板を処理するための処理液ノズルとを備え、前記基板を処理するための基板処理モードと、少なくとも前記多連弁を洗浄するための洗浄モードとで切り替え可能であり、前記基板処理モードでは、前記処理液ノズルに供給された前記処理液によって前記基板が処理され、前記洗浄モードでは、前記処理液ノズルを介さずに、前記タンクと前記多連弁とを介する経路である洗浄経路において、前記タンクから前記多連弁へ前記薬液が供給される。
【0007】
本願明細書に開示される技術の第2の態様である基板処理装置は、第1の態様である基板処理装置に関連し、前記薬液が、複数種の前記処理液のうちの1つである。
【0008】
本願明細書に開示される技術の第3の態様である基板処理装置は、第1または2の態様である基板処理装置に関連し、前記洗浄経路の、前記タンクの下流、かつ、前記多連弁の上流の位置において、前記薬液が供給される複数の供給配管と、複数の前記供給配管に跨って接続される少なくとも1つの接続配管とをさらに備える。
【0009】
本願明細書に開示される技術の第4の態様である基板処理装置は、第3の態様である基板処理装置に関連し、前記接続配管は、前記多連弁を収容する筐体内に収容される。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第5の態様である基板処理装置は、第3または4の態様である基板処理装置に関連し、前記接続配管は、前記タンクおよび前記多連弁を収容する筐体内に収容される。
【0011】
本願明細書に開示される技術の第6の態様である基板処理装置は、第3から5のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、前記多連弁は、複数の前記供給配管のそれぞれを開閉させる複数の選択バルブを備え、前記洗浄モードでは、複数の前記供給配管のうちの少なくとも1つが、対応する前記選択バルブによって開閉される。
【0012】
本願明細書に開示される技術の第7の態様である基板処理装置は、第1から6のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、前記洗浄モードでは、前記洗浄経路において前記薬液が循環する。
【0013】
本願明細書に開示される技術の第8の態様である基板処理装置は、第7の態様である基板処理装置に関連し、リンス液を供給するためのリンス液供給源と、前記多連弁内を吸引する吸引部とをさらに備え、前記洗浄モードでは、前記洗浄経路における前記薬液の循環の後、前記多連弁に前記リンス液が供給され、さらに、前記吸引部によって前記多連弁内が吸引される。
【0014】
本願明細書に開示される技術の第9の態様である基板処理装置は、第8の態様である基板処理装置に関連し、前記洗浄モードでは、前記洗浄経路における前記薬液の循環、前記薬液の循環の後の前記リンス液の供給、および、前記リンス液の供給の後の前記多連弁内の吸引が、複数回繰り返される。
【0015】
本願明細書に開示される技術の第10の態様である基板処理装置は、第1から7のうちのいずれか1つの態様である基板処理装置に関連し、前記洗浄モードでは、前記薬液の供給圧が変動する。
【0016】
本願明細書に開示される技術の第11の態様である洗浄ユニットは、薬液を供給するためのタンクと、少なくとも多連弁を洗浄するための経路である洗浄経路を形成するための洗浄配管とを備え、前記多連弁は、複数種の処理液が供給され、かつ、複数種の前記処理液のうちの少なくとも1つを選択的に供給可能であり、前記洗浄経路は、前記タンクを介し、前記多連弁は、前記洗浄経路において、前記タンクから供給される前記薬液によって洗浄され、前記洗浄配管は、前記多連弁に対して着脱可能である。
【0017】
本願明細書に開示される技術の第12の態様である洗浄ユニットは、第11の態様である洗浄ユニットに関連し、前記洗浄経路の、前記タンクの下流、かつ、前記多連弁の上流の位置において、前記薬液が供給される複数の供給配管と、複数の前記供給配管に跨って接続される少なくとも1つの接続配管とをさらに備える。
【0018】
本願明細書に開示される技術の第13の態様である洗浄ユニットは、第12の態様である洗浄ユニットに関連し、前記多連弁は、複数の前記供給配管のそれぞれを開閉させる複数の選択バルブを備え、複数の前記供給配管のうちの少なくとも1つが、対応する前記選択バルブによって開閉される。
【0019】
本願明細書に開示される技術の第14の態様である洗浄ユニットは、第11から13のうちのいずれか1つの態様である洗浄ユニットに関連し、前記洗浄経路において前記薬液が循環する。
【0020】
本願明細書に開示される技術の第15の態様である洗浄ユニットは、第11から14のうちのいずれか1つの態様である洗浄ユニットに関連し、リンス液を供給するためのリンス液供給源と、前記多連弁内を吸引する吸引部とをさらに備え、前記洗浄経路における前記薬液の循環の後、前記多連弁に前記リンス液が供給され、さらに、前記吸引部によって前記多連弁内が吸引される。
【0021】
本願明細書に開示される技術の第16の態様である洗浄ユニットは、第15の態様である洗浄ユニットに関連し、前記洗浄経路における前記薬液の循環、前記薬液の循環の後の前記リンス液の供給、および、前記リンス液の供給の後の前記多連弁内の吸引が、複数回繰り返される。
【0022】
本願明細書に開示される技術の第17の態様である多連弁洗浄方法は、基板を処理するための複数種の処理液が供給され、かつ、複数種の前記処理液のうちの少なくとも1つを選択的に供給可能な状態で基板処理装置に接続された多連弁を洗浄する多連弁洗浄方法であり、前記基板処理装置は、薬液を供給するためのタンクと、前記多連弁から供給される前記処理液を用いて前記基板を処理するための処理液ノズルとを備え、前記基板処理装置は、前記基板を処理するための基板処理モードと、少なくとも前記多連弁を洗浄するための洗浄モードとで切り替え可能であり、前記基板処理モードでは、前記処理液ノズルに供給された前記処理液によって前記基板が処理され、前記洗浄モードでは、前記処理液ノズルを介さずに、前記タンクと前記多連弁とを介する経路である洗浄経路において、前記タンクから前記多連弁へ前記薬液が供給され、前記洗浄モードで、前記多連弁を洗浄する工程を備える。
【発明の効果】
【0023】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1、11、17の態様によれば、処理液ノズルを介さない洗浄経路に薬液を供給することによって、多連弁を効果的に洗浄することができる。
【0024】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施の形態に関する、基板処理装置の構成の例を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1に例が示された制御部の構成の例を示す図である。
【
図3】実施の形態に関する基板処理装置の構成のうち、それぞれの処理ユニットに配管を介して接続される構造の例を示す図である。
【
図5】実施の形態に関する基板処理装置の構成のうち、それぞれの処理ユニットに配管を介して接続される構造の変形例を示す図である。
【
図6】実施の形態に関する基板処理装置の構成のうち、それぞれの処理ユニットに配管を介して接続される構造の他の変形例を示す図である。
【
図7】洗浄モードにおいて取り外された多連弁を収容するように構成された、キャビネットの構成の例を示す図である。
【
図8】多連弁を収容するように構成された、洗浄ユニットの構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0027】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化が図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0028】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0029】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0030】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、これらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0031】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が用いられる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上用いられるものであり、実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0032】
また、本願明細書に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「甲の上面に設けられる乙」と記載される場合、甲と乙との間に別の構成要素「丙」が介在することを妨げるものではない。
【0033】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置、および、洗浄ユニットについて説明する。
【0034】
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置1の構成の例を概略的に示す平面図である。基板処理装置1は、ロードポート601と、インデクサロボット602と、センターロボット603と、制御部90と、少なくとも1つの処理ユニット600(
図1においては4つの処理ユニット)とを備える。
【0035】
処理ユニット600は、基板処理に用いることができる枚葉式の装置であり、具体的には、基板Wに付着している有機物を除去する処理を行う装置である。基板Wに付着している有機物は、たとえば、使用済のレジスト膜である。当該レジスト膜は、たとえば、イオン注入工程用の注入マスクとして用いられたものである。
【0036】
なお、処理ユニット600は、チャンバ180を有することができる。その場合、チャンバ180内の雰囲気を制御部90によって制御することで、処理ユニット600は、所望の雰囲気中における基板処理を行うことができる。
【0037】
制御部90は、基板処理装置1におけるそれぞれの構成の動作を制御することができる。キャリアCは、基板Wを収容する収容器である。また、ロードポート601は、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボット602は、ロードポート601と基板載置部604との間で基板Wを搬送することができる。センターロボット603は、基板載置部604および処理ユニット600間で基板Wを搬送することができる。
【0038】
以上の構成によって、インデクサロボット602、基板載置部604およびセンターロボット603は、それぞれの処理ユニット600とロードポート601との間で基板Wを搬送する搬送機構として機能する。
【0039】
未処理の基板WはキャリアCからインデクサロボット602によって取り出される。そして、未処理の基板Wは、基板載置部604を介してセンターロボット603に受け渡される。
【0040】
センターロボット603は、当該未処理の基板Wを処理ユニット600に搬入する。そして、処理ユニット600は基板Wに対して処理を行う。
【0041】
処理ユニット600において処理済みの基板Wは、センターロボット603によって処理ユニット600から取り出される。そして、処理済みの基板Wは、必要に応じて他の処理ユニット600を経由した後、基板載置部604を介してインデクサロボット602に受け渡される。インデクサロボット602は、処理済みの基板WをキャリアCに搬入する。以上によって、基板Wに対する処理が行われる。
【0042】
図2は、
図1に例が示された制御部90の構成の例を示す図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)91、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)92、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)93、記録装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互に接続するバスライン95とを備える。
【0043】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記録装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性記録装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、ユーザーから処理レシピなどの入力設定指示を受ける。表示部97は、たとえば、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU91の制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、local area network(LAN)などを介してのデータ通信機能を有する。
【0044】
記録装置94には、
図1の基板処理装置1におけるそれぞれの構成の制御についての複数のモードがあらかじめ設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記の複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードでそれぞれの構成が制御される。なお、処理プログラム94Pは、外部の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また、制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0045】
図3は、本実施の形態に関する基板処理装置1の構成のうち、それぞれの処理ユニット600に配管を介して接続される構造の例を示す図である。
【0046】
図3に例が示されるように、基板処理装置1は、キャビネット30と、キャビネット40と、キャビネット50と、流体ボックス60と、流体ボックス70と、処理ユニット600Aと、処理ユニット600Bとを備える。なお、キャビネットの数は、
図3に示される数に限られるものではない。また、流体ボックスは、1つの処理ユニットに対して1つ備えられていればよい。また、処理ユニット600Aおよび処理ユニット600Bは、
図1に示された処理ユニット600と同等のものである。
【0047】
キャビネット30は、薬液タンク32と、バルブ34と、ポンプ36と、フィルター38とを備える。薬液タンク32には、基板Wの処理に用いられる薬液(たとえば、H2O2、NH4OH、O3またはIPAなどの有機溶剤など)、後述の多連弁の洗浄に用いられる薬液、または、それらに兼用される薬液が貯留されている。バルブ34、ポンプ36およびフィルター38は、薬液タンク32に接続される配管である供給配管39にそれぞれ設けられる。
【0048】
薬液タンク32に貯留されている薬液は、制御部90の制御によって開閉が調整されるバルブ34が開いている状態で、同様に制御部90の制御によって動作するポンプ36によってフィルター38を通過しつつ供給配管39内を流れ、下流の流体ボックス60、さらには、処理ユニット600Aなどへ流れる。
【0049】
キャビネット40は、薬液タンク42と、バルブ44と、ポンプ46と、フィルター48とを備える。薬液タンク42には、基板Wの処理に用いられる薬液、後述の多連弁の洗浄に用いられる薬液、または、それらに兼用される薬液が貯留されている。バルブ44、ポンプ46およびフィルター48は、薬液タンク42に接続される配管である供給配管49にそれぞれ設けられる。
【0050】
薬液タンク42に貯留されている薬液は、制御部90の制御によって開閉が調整されるバルブ44が開いている状態で、同様に制御部90の制御によって動作するポンプ46によってフィルター48を通過しつつ供給配管49内を流れ、下流の流体ボックス60、さらには、処理ユニット600Aなどへ流れる。
【0051】
キャビネット50は、薬液タンク52と、バルブ54と、ポンプ56と、フィルター58とを備える。薬液タンク52には、基板Wの処理に用いられる薬液、後述の多連弁の洗浄に用いられる薬液、または、それらに兼用される薬液が貯留されている。バルブ54、ポンプ56およびフィルター58は、薬液タンク52に接続される配管である供給配管59にそれぞれ設けられる。
【0052】
薬液タンク52に貯留されている薬液は、制御部90の制御によって開閉が調整されるバルブ54が開いている状態で、同様に制御部90の制御によって動作するポンプ56によってフィルター58を通過しつつ供給配管59内を流れ、下流の流体ボックス60、さらには、処理ユニット600Aなどへ流れる。
【0053】
また、純水供給源から供給されるリンス液としての純水も、純水供給源に接続される供給配管100内を流れ、下流の流体ボックス60、さらには、処理ユニット600Aなどへ流れる。
【0054】
供給配管39は、流体ボックス60以外の流体ボックス(たとえば、流体ボックス70または図示しない他の流体ボックス)へも接続され、それぞれの流体ボックスへ薬液タンク32内の薬液を流す。
【0055】
供給配管49は、流体ボックス60以外の流体ボックス(たとえば、流体ボックス70または図示しない他の流体ボックス)へも接続され、それぞれの流体ボックスへ薬液タンク32内の薬液を流す。
【0056】
供給配管59は、流体ボックス60以外の流体ボックス(たとえば、流体ボックス70または図示しない他の流体ボックス)へも接続され、それぞれの流体ボックスへ薬液タンク32内の薬液を流す。
【0057】
供給配管100は、流体ボックス60以外の流体ボックス(たとえば、流体ボックス70または図示しない他の流体ボックス)へも接続され、それぞれの流体ボックスへリンス液としての純水を流す。
【0058】
流体ボックス60は、供給バルブ62A、供給バルブ62B、供給バルブ62Cおよび供給バルブ62Dと、接続配管64Eと、接続配管64Fと、接続配管64Gと、接続バルブ66Eと、接続バルブ66Fと、接続バルブ66Gと、多連弁68と、開放バルブ65と、供給バルブ67と、排液バルブ69とを備える。
【0059】
供給バルブ62A、供給バルブ62B、供給バルブ62Cおよび供給バルブ62Dは、上流側から接続するそれぞれの配管(たとえば、供給配管39、供給配管49、供給配管59および供給配管100)に設けられるバルブである。
【0060】
接続配管64Eは、供給バルブ62Aおよび供給バルブ62Bの下流において、供給バルブ62Aが設けられる配管と供給バルブ62Bが設けられる配管とに跨る配管である。
【0061】
接続配管64Fは、供給バルブ62Bおよび供給バルブ62Cの下流において、供給バルブ62Bが設けられる配管と供給バルブ62Cが設けられる配管とに跨る配管である。
【0062】
接続配管64Gは、供給バルブ62Cおよび供給バルブ62Dの下流において、供給バルブ62Cが設けられる配管と供給バルブ62Dが設けられる配管とに跨る配管である。
【0063】
接続バルブ66Eは、接続配管64Eに設けられるバルブである。接続バルブ66Fは、接続配管64Fに設けられるバルブである。接続バルブ66Gは、接続配管64Gに設けられるバルブである。
【0064】
多連弁68は、供給バルブ62A、供給バルブ62B、供給バルブ62Cおよび供給バルブ62Dそれぞれに対応する複数の配管に接続され、かつ、当該複数の配管のうちの少なくとも1つを選択して下流の供給配管61へ流すことができる弁である。
【0065】
開放バルブ65は、供給バルブが設けられたいずれかの配管における接続バルブの下流、かつ、多連弁68の上流で、分岐する配管に設けられるバルブである。開放バルブ65は、配管内に空気または不活性ガス(たとえば、窒素)を導入する、または、配管内を吸引する(すなわち、配管内を排気する)ためのバルブである。
【0066】
供給バルブ67は、多連弁68の下流の供給配管61に設けられるバルブである。供給バルブ67が制御部90の制御によって開いている状態で、多連弁68から供給された処理液が、処理ユニット600Aへ供給される。
【0067】
排液バルブ69は、供給配管61における多連弁68の下流、かつ、供給バルブ67の上流で、分岐する配管に設けられるバルブである。排液バルブ69は、配管内の処理液を排出するためのバルブである。
【0068】
ここで、処理液とは、薬液タンク32、薬液タンク42および薬液タンク52に貯留されている薬液に限られず、たとえば、純水(DIW)などのリンス液、または、これらの混合液も含むものである。
【0069】
流体ボックス70は、供給バルブ72A、供給バルブ72B、供給バルブ72Cおよび供給バルブ72Dと、接続配管74Eと、接続配管74Fと、接続配管74Gと、接続バルブ76Eと、接続バルブ76Fと、接続バルブ76Gと、多連弁78と、開放バルブ75と、供給バルブ77と、排液バルブ79とを備える。
【0070】
供給バルブ72A、供給バルブ72B、供給バルブ72Cおよび供給バルブ72Dは、上流側から接続するそれぞれの配管に設けられるバルブである。
【0071】
接続配管74Eは、供給バルブ72Aおよび供給バルブ72Bの下流において、供給バルブ72Aが設けられる配管と供給バルブ72Bが設けられる配管とに跨る配管である。
【0072】
接続配管74Fは、供給バルブ72Bおよび供給バルブ72Cの下流において、供給バルブ72Bが設けられる配管と供給バルブ72Cが設けられる配管とに跨る配管である。
【0073】
接続配管74Gは、供給バルブ72Cおよび供給バルブ72Dの下流において、供給バルブ72Cが設けられる配管と供給バルブ72Dが設けられる配管とに跨る配管である。
【0074】
接続バルブ76Eは、接続配管74Eに設けられるバルブである。接続バルブ76Fは、接続配管74Fに設けられるバルブである。接続バルブ76Gは、接続配管74Gに設けられるバルブである。
【0075】
多連弁78は、供給バルブ72A、供給バルブ72B、供給バルブ72Cおよび供給バルブ72Dそれぞれに対応する複数の配管に接続され、かつ、当該複数の配管のうちの少なくとも1つを選択して下流の供給配管71へ流すことができる弁である。
【0076】
開放バルブ75は、供給バルブが設けられたいずれかの配管における接続バルブの下流、かつ、多連弁78の上流で、分岐する配管に設けられるバルブである。開放バルブ75は、配管内に空気または不活性ガス(たとえば、窒素)を導入する、または、配管内を吸引するためのバルブである。
【0077】
供給バルブ77は、多連弁78の下流の供給配管71に設けられるバルブである。供給バルブ77が制御部90の制御によって開いている状態で、多連弁78から供給された処理液が、処理ユニット600Bへ供給される。
【0078】
排液バルブ79は、供給配管71における多連弁78の下流、かつ、供給バルブ77の上流で、分岐する配管に設けられるバルブである。排液バルブ79は、配管内の処理液を排出するためのバルブである。
【0079】
多連弁68は、上流側から接続する複数の配管(たとえば、供給配管39、供給配管49、供給配管59および供給配管100)に跨って接続される接続部68Aと、接続部68Aの上流側において、複数の配管それぞれに設けられる選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68Dおよび選択バルブ68Eと、接続部68Aの下流側において、接続部68Aに接続される供給配管61に設けられる選択バルブ68Fとを備える。
【0080】
多連弁68における、選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68Dおよび選択バルブ68Eのうちの少なくとも1つ、および、選択バルブ68Fが開いている状態で、上流側から供給された処理液が、多連弁68を介して処理ユニット600Aへ供給される。
【0081】
多連弁78は、上流側から接続する複数の配管に跨って接続される接続部78Aと、接続部78Aの上流側において、複数の配管それぞれに設けられる選択バルブ78B、選択バルブ78C、選択バルブ78Dおよび選択バルブ78Eと、接続部78Aの下流側において、接続部78Aに接続される供給配管71に設けられる選択バルブ78Fとを備える。
【0082】
多連弁78における、選択バルブ78B、選択バルブ78C、選択バルブ78Dおよび選択バルブ78Eのうちの少なくとも1つ、および、選択バルブ78Fが開いている状態で、上流側から供給された処理液が、多連弁78を介して処理ユニット600Bへ供給される。ここで、多連弁68が、複数の選択バルブ(すなわち、選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68Dおよび選択バルブ68E)が鉛直方向に沿って並ぶように配置される場合、選択バルブ68Eに純水供給源からの純水(DIW)が供給されることが望ましい。
【0083】
制御部90は、それぞれのキャビネットにおけるバルブの開閉およびポンプの出力を制御することによって、流体ボックスへ処理液を供給させる。そして、制御部90は、流体ボックスにおけるそれぞれのバルブの開閉および多連弁68に設けられるそれぞれのバルブの開閉を制御することによって、多連弁68に供給されるそれぞれの処理液の流量を調整して、対応する処理ユニット600へ処理液を供給させる。
【0084】
<処理ユニットについて>
図4は、処理ユニット600の構成の例を示す図である。
図4に例が示されるように、処理ユニット600は、1枚の基板Wを略水平姿勢で保持しつつ、基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線Z1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック10と、基板Wに処理液を吐出する処理液ノズル20と、処理液ノズル20が端部に取り付けられたノズルアーム22と、基板Wの回転軸線Z1まわりにスピンチャック10を取り囲む筒状の処理カップ12とを備える。
【0085】
処理液ノズル20は、複数種の処理液が想定される場合には、それぞれの処理液に対応して複数設けられていてもよい。処理液ノズル20は、基板Wの上面に処理液を吐出する。
【0086】
スピンチャック10は、略水平姿勢の基板Wの下面を真空吸着する円板状のスピンベース10Aと、スピンベース10Aの中央部から下方に延びる回転軸10Cと、回転軸10Cを回転させることによって、スピンベース10Aに吸着されている基板Wを回転させるスピンモータ10Dとを備える。なお、スピンチャック10の代わりに、スピンベースの上面外周部から上方に突出する複数のチャックピンを備え、当該チャックピンによって基板Wの周縁部を挟持する挟持式のチャックが用いられてもよい。
【0087】
ノズルアーム22は、アーム部22Aと、軸体22Bと、アクチュエータ22Cとを備える。アクチュエータ22Cは、軸体22Bの軸周りの角度を調整する。アーム部22Aの一方の端部は軸体22Bに固定されており、アーム部22Aの他方の端部は軸体22Bの軸から離れて配置される。また、アーム部22Aの他方の端部には、処理液ノズル20が取り付けられている。そうすることによって、処理液ノズル20は、基板Wの半径方向に揺動可能に構成される。なお、揺動による処理液ノズル20の移動方向は、基板Wの半径方向の成分を有していればよく、基板Wの半径方向に厳密に平行である必要はない。ここで、ノズルアーム22は、図示しないモータなどによって、鉛直方向に昇降可能であってもよい。その場合、ノズルアーム22の端部に取り付けられた処理液ノズル20と基板Wの上面との間の距離を、ノズルアーム22の昇降によって調整可能である。
【0088】
制御部90は、スピンモータ10Dの回転数を制御しつつ、処理液ノズル20から処理液を基板Wの上面に吐出させる。また、制御部90は、アクチュエータ22Cの駆動を制御することによって、処理液ノズル20を基板Wの上面において揺動させる。
【0089】
<基板処理装置の動作について>
次に、
図1から
図4を参照しつつ、本実施の形態に関する基板処理装置1の動作を説明する。
【0090】
インデクサロボット602は、ロードポート601におけるキャリアCから基板載置部604に基板Wを搬送する。センターロボット603は、基板載置部604から1つの処理ユニット600に基板Wを搬送する。処理ユニット600は、基板Wを処理する。センターロボット603は、処理ユニット600から基板載置部604に基板Wを搬送する。インデクサロボット602は、基板載置部604からロードポート601におけるキャリアCに基板Wを搬送する。
【0091】
上記の基板Wの処理は、基板処理装置1が基板処理モードに設定された状態で行われる。基板処理モードでは、まず、制御部90の制御によって、キャビネット30、キャビネット40、キャビネット50および図示しない処理液(純水を含む)の供給源の少なくとも1つから、基板Wの処理に用いられる処理液を供給する。
【0092】
次に、制御部90の制御によって、基板Wの処理を行う処理ユニット600(ここでは、処理ユニット600Aとする)に対応する流体ボックス(ここでは、流体ボックス60とする)において、供給される処理液が流れる少なくとも1つの配管に設けられているバルブ(すなわち、供給バルブ62A、供給バルブ62B、供給バルブ62Cおよび供給バルブ62Dのうちの少なくとも1つ)が開けられ、処理液が多連弁68に供給される。
【0093】
この際、接続配管64Eに設けられた接続バルブ66E、接続配管64Fに設けられた接続バルブ66F、接続配管64Gに設けられた接続バルブ66G、および、開放バルブ65は、それぞれ閉じられている。ただし、開放バルブ65は、必要に応じて、配管内に空気または不活性ガスを導入する。
【0094】
次に、制御部90の制御によって、選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68D、選択バルブ68Eおよび選択バルブ68Fのうちの少なくとも1つの開閉を調整して、接続部68Aを介して、処理液を多連弁68の下流側へ供給する。
【0095】
次に、制御部90の制御によって、供給バルブ67が開けられ、処理液が対応する処理ユニット600Aへ供給される。ただし、排液バルブ69は、基板Wの処理に用いられる処理液を調整するため、必要に応じて、配管内の処理液を排出する。
【0096】
一方で、基板処理装置1は、多連弁68を含む配管構造などを洗浄するためのモードである洗浄モードに切り替え可能である。当該切り替えは、以下に示されるように、主に配管構造におけるバルブの開閉によって行われる。
【0097】
洗浄モードでは、まず、制御部90の制御によって、キャビネット30、キャビネット40、キャビネット50および図示しない処理液(純水を含む)の供給源の少なくとも1つから、多連弁68を含む配管構造の洗浄に用いられる処理液を供給する。
【0098】
次に、制御部90の制御によって、洗浄の対象となる流体ボックス(ここでは、流体ボックス60とする)において、供給される処理液が流れる少なくとも1つの配管に設けられているバルブ(すなわち、供給バルブ62A、供給バルブ62B、供給バルブ62Cおよび供給バルブ62Dのうちの少なくとも1つ)が開けられ、処理液が多連弁68に供給される。
【0099】
この際、接続配管64Eに設けられた接続バルブ66E、接続配管64Fに設けられた接続バルブ66Fおよび接続配管64Gに設けられた接続バルブ66Gは、それぞれ開けられている。よって、流体ボックス60に供給された処理液は、多連弁68の選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68Dおよび選択バルブ68Eに、同時に供給可能である。
【0100】
なお、接続バルブ66E、接続バルブ66Fおよび接続配管64Gのうちの少なくとも1つを閉じることによって、多連弁68の選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68Dおよび選択バルブ68Eのうちの一部のみを洗浄することも可能である。
【0101】
また、制御部90の制御によって、選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68D、選択バルブ68Eおよび選択バルブ68Fのうちの少なくとも1つの開閉を調整して、接続部68Aを介して、処理液を多連弁68の下流側へ供給する。
【0102】
ここで、接続部68Aの上流側に位置する選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68Dおよび選択バルブ68Eのうちの少なくとも1つにおいて、(たとえば、2秒間隔で繰り返される)開閉動作によって急激な流速の変化が生じると、管内の圧力変動によって配管を震わせるウォーターハンマーが生じる場合がある。また、管内の圧力変動によって発泡するキャビテーションが生じる場合がある。
【0103】
これらの現象は、洗浄モードにおいては洗浄対象に物理的な衝撃を与え得るものであり、洗浄効果を高め得る。
【0104】
また、制御部90の制御によって、供給バルブ67が閉じられ、かつ、排液バルブ69が開けられて、多連弁68の洗浄に用いられた処理液が排出される。
【0105】
なお、排液バルブ69に流された処理液を、同種の処理液が貯留される薬液タンクまたは図示しない供給源へ循環させてもよい。この場合には、洗浄モードで使用される処理液の量を減らすことができる。
【0106】
また、上記のような洗浄モードでの洗浄を、まず薬液を用いて行い、さらに、用いる処理液を純水(DIW)に変更して洗浄を行って、最後に、開放バルブ65を用いて多連弁68を含む配管内を吸引する方法を用いてもよい。さらに、薬液供給の後にリンス液(純水)供給し、さらに、配管内を吸引するサイクルを、複数回繰り返してもよい。
【0107】
このような方法によれば、薬液および純水によって、配管内に残存する洗浄対象の物質を洗い流し、さらに、洗浄対象の物質を含み得る薬液および純水を吸引することによって、洗浄効果を高めることができる。なお、発明者らの実験によれば、薬液および純水によって洗浄を行った後に吸引をする場合には、吸引を行わずに薬液および純水による洗浄を長時間(たとえば、24時間)行う場合よりも、薬液および純水を用いる洗浄を短時間(例えば2時間から6時間)行い、その都度、洗浄後に吸引を行ったほうが、洗浄効果が高いことが分かっている。
【0108】
以上のように、基板処理装置1は、洗浄モードにおいて、多連弁68を含む配管構造を洗浄することができる。よって、配管内に残存する洗浄対象の物質を除去して、基板処理モードにおいて、処理液における不純物が少ない状態を維持しつつ、基板処理を行うことができる。
【0109】
ここで、洗浄モードにおいて形成される処理液が供給される経路を洗浄経路と称する。上記の場合では、洗浄経路は、いずれかの薬液タンクから供給配管を介して流体ボックス内の多連弁に至り、さらに、多連弁の下流に位置する排液バルブ69(または排液バルブ79)が設けられる配管に至るまでの経路に相当する。供給バルブ67が閉じられることによって、薬液タンクから多連弁に至る洗浄経路が、処理液ノズル20を含まない経路として形成される。
【0110】
また、洗浄モードにおいて配管構造を洗浄するために用いられる処理液を貯留する薬液タンクは、基板処理に用いられる処理液を貯留する薬液タンクと兼用可能である。そのため、配管構造を洗浄するために用いられる処理液を貯留する薬液タンクを別途設ける必要がない。また、複数の薬液タンクを備えていれば、洗浄対象となる物質に応じて複数の薬液を使い分けて洗浄を行うことができる。
【0111】
また、複数の流体ボックスにおける多連弁68を同時に洗浄することも可能である。これにより、洗浄時間を短縮することが可能となる。また、それぞれ異なる薬液を流体ボックスに供給することによって、洗浄対象に対する薬液の効果の比較などを効率的に行うことができる。
【0112】
また、一部の流体ボックスのみに限定すれば、他の流体ボックスでは基板処理モードで基板処理を行うことができるため、基板処理装置1全体としては、基板処理を中断せずに洗浄を行うことができる。
【0113】
また、洗浄モードにおける薬液の供給圧を、キャビネットにおけるポンプの出力調整、バルブの開閉調整、選択バルブの開閉調整などによって変動させてもよい。
【0114】
なお、洗浄モードでは、処理液ノズル20が基板Wの上方から退避するように、アクチュエータ22Cの駆動によって処理液ノズル20を移動させておいてもよいが、処理液ノズル20が基板Wの上方に位置するままであってもよい。洗浄モードでは、供給バルブ67が閉じられるため、洗浄モードで使用される処理液が処理ユニット600へ到達することがない。よって、処理液ノズル20が基板Wの上方に位置するままであっても、処理液によって基板Wが汚染されることがない。
【0115】
<基板処理装置の構成の変形例について>
図5は、本実施の形態に関する基板処理装置1Aの構成のうち、それぞれの処理ユニット600に配管を介して接続される構造の変形例を示す図である。
【0116】
図5では
図3における場合と異なり、流体ボックス160内には、供給バルブ62D以外の供給バルブ、接続配管、および、接続バルブが設けられていない。同様に、流体ボックス170内には、供給バルブ72D以外の供給バルブ、および、接続バルブが設けられていない。なお、供給バルブ62Dおよび供給バルブ72Dが、対応する流体ボックスよりも上流側に設けられていてもよい。
【0117】
その代わり、それぞれのキャビネットの下流、かつ、流体ボックスの上流に、対応する配管およびバルブが設けられている。
【0118】
すなわち、キャビネットの下流、かつ、流体ボックスの上流の供給配管39において、供給バルブ162Aが設けられ、キャビネットの下流、かつ、流体ボックスの上流の供給配管49において、供給バルブ162Bが設けられ、キャビネットの下流、かつ、流体ボックスの上流の供給配管59において、供給バルブ162Cが設けられる。
【0119】
また、接続配管164Eが、供給バルブ162Aおよび供給バルブ162Bの下流において、供給バルブ162Aが設けられる配管と供給バルブ162Bが設けられる配管とに跨って設けられる。
【0120】
また、接続配管164Fが、供給バルブ162Bおよび供給バルブ162Cの下流において、供給バルブ162Bが設けられる配管と供給バルブ162Cが設けられる配管とに跨って設けられる。
【0121】
また、接続配管164Gが、供給バルブ162Cの下流において、供給バルブ162Cが設けられる配管と供給配管100とに跨って設けられる。
【0122】
また、接続バルブ166Eが、接続配管164Eに設けられる。また、接続バルブ166Fが、接続配管164Fに設けられる。接続バルブ166Gが、接続配管164Gに設けられる。
【0123】
このような構成において、
図3における場合と同様に、基板処理モードと洗浄モードとが切り替えられつつ、処理が行われる。
【0124】
具体的には、基板処理モードにおいては、制御部90の制御によって、基板Wの処理に用いられる処理液を貯留するキャビネット(ここでは、キャビネット30とする)に対応するバルブ(すなわち、供給バルブ162A)が開けられ、処理液が流体ボックス160に供給される。
【0125】
この際、接続バルブ166E、接続バルブ166Fおよび接続バルブ166Gは、それぞれ閉じられている。
【0126】
次に、制御部90の制御によって、供給バルブ67が開けられ、処理液が対応する処理ユニット600Aへ供給される。
【0127】
一方で、洗浄モードにおいては、制御部90の制御によって、多連弁68を含む配管構造の洗浄に用いられる処理液を貯留するキャビネット(ここでは、キャビネット30とする)に対応するバルブ(すなわち、供給バルブ162A)が開けられ、処理液が流体ボックス160に供給される。
【0128】
この際、接続バルブ166E、接続バルブ166Fおよび接続バルブ166Gは、それぞれ開けられている。よって、流体ボックス160に供給された処理液は、多連弁68の選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68Dおよび選択バルブ68Eに、同時に供給可能である。
【0129】
次に、制御部90の制御によって、供給バルブ67が閉じられ、かつ、排液バルブ69が開けられて、多連弁68の洗浄に用いられた処理液が排出される。
【0130】
以上のように、基板処理装置1Aは、洗浄モードにおいて、多連弁68を含む配管構造を洗浄することができる。
【0131】
また、
図3に示された基板処理装置によって奏される効果に加えて、接続配管および接続バルブをそれぞれの流体ボックスよりも上流側に設けることによって、それぞれの流体ボックス内でこれらの構成を設ける場合に比べて、構成を簡易化することができる。
【0132】
図6は、本実施の形態に関する基板処理装置1Bの構成のうち、それぞれの処理ユニット600に配管を介して接続される構造の他の変形例を示す図である。なお、
図6においては、
図3に示された構成と同様の構成について、一部図示が省略されている。
【0133】
図6では
図3における場合と異なり、流体ボックス260におけるいずれかの供給バルブ(すなわち、供給バルブ62A、供給バルブ62B、供給バルブ62Cおよび供給バルブ62Dのうちのいずれか)が設けられる配管の下流において、配管構造の洗浄のために用いられる薬液を供給するための供給配管239が接続されている。同様に、流体ボックス270におけるいずれかの供給バルブ(すなわち、供給バルブ72A、供給バルブ72B、供給バルブ72Cおよび供給バルブ72Dのうちのいずれか)が設けられる配管の下流において、配管構造の洗浄のために用いられる薬液を供給するための供給配管239が接続されている。なお、供給配管239は、それぞれの流体ボックスよりも上流の位置で接続される配管であってもよい。
【0134】
そして、供給配管239は、上流側において洗浄キャビネット230に接続される。洗浄キャビネット230は、薬液タンク232と、バルブ234と、ポンプ236と、フィルター238とを備える。薬液タンク232には、多連弁を含む配管構造の洗浄に用いられる薬液が貯留されている。バルブ234、ポンプ236およびフィルター238は、薬液タンク232に接続される配管である供給配管239にそれぞれ設けられる。
【0135】
薬液タンク232に貯留されている薬液は、制御部90の制御によって開閉が調整されるバルブ234が開いている状態で、同様に制御部90の制御によって動作するポンプ236によってフィルター238を通過しつつ供給配管239内を流れ、下流の流体ボックス260へ流れる。さらに、流体ボックス260における供給バルブ240(または、流体ボックス270における供給バルブ241)を開けることによって、多連弁68(または多連弁78)に薬液が供給される。
【0136】
なお、流体ボックス260には、排液バルブ69が設けられる配管からさらに分岐する配管である、循環配管264が設けられる。循環配管264には循環バルブ262が設けられており、制御部90の制御によって排液バルブ69および循環バルブ262の開閉動作を制御することによって、洗浄に用いられた薬液を排液するか循環させるかを選択することができる。
【0137】
同様に、流体ボックス270には、排液バルブ79が設けられる配管からさらに分岐する配管である、循環配管274が設けられる。循環配管274には循環バルブ272が設けられており、制御部90の制御によって排液バルブ79および循環バルブ272の開閉動作を制御することによって、洗浄に用いられた薬液を排液するか循環させるかを選択することができる。
【0138】
以上のように、基板処理装置1Bは、洗浄モードにおいて、多連弁68を含む配管構造を洗浄することができる。
【0139】
また、
図3に示された基板処理装置によって奏される効果に加えて、多連弁を含む配管構造を洗浄するための薬液を貯留する専用の薬液タンク232を備えていることによって、洗浄に用いる薬液の種類および濃度などが、基板処理に依存しない。よって、供給される薬液の自由度が高まる。
【0140】
ここで、上記の洗浄モードにおいては、洗浄対象である多連弁が流体ボックス内から取り外され、別の箇所において洗浄されてもよい。
【0141】
図7は、洗浄モードにおいて取り外された多連弁68を収容するように構成された、キャビネット330の構成の例を示す図である。
【0142】
図7に例が示されるように、キャビネット330は、薬液タンク332と、バルブ331と、バルブ333と、バルブ334と、バルブ335と、ポンプ336と、開放バルブ337と、フィルター338と、供給配管339と、循環配管402と、供給配管404と、供給配管406と、供給配管408と、供給配管410と、供給配管414と、接続配管412とを備える。
【0143】
薬液タンク332には、基板Wの処理に用いられる薬液、多連弁68の洗浄に用いられる薬液、または、多連弁68の洗浄に用いられる純水が貯留されている。薬液は、バルブ331が開かれることで薬液供給源から供給され、純水は、バルブ333が開かれることで純水供給源から供給される。
【0144】
バルブ335、開放バルブ337、ポンプ336およびフィルター338は、薬液タンク332から多連弁68に接続される供給配管414にそれぞれ設けられる。また、バルブ334は、バルブ335の上流において供給配管414から分岐する循環配管402に設けられる。循環配管402は、供給配管414を流れる薬液を、薬液タンク332へ循環させる。
【0145】
搭載される多連弁68の上流側には、供給配管414からそれぞれ分岐する供給配管404、供給配管406、供給配管408および供給配管410が接続され、また、供給配管404、供給配管406、供給配管408および供給配管410に跨って接続配管412が設けられる。
【0146】
また、搭載される多連弁68の下流側には、多連弁68の洗浄に用いられた処理液を排液する、または、循環させるための配管340が接続されている。
【0147】
基板処理モードにおいては、バルブ335が閉じられ、かつ、バルブ334が開けられた状態で、基板Wの処理に用いられる薬液が、薬液タンク332から供給配管414、循環配管402および供給配管339を介して、下流の流体ボックスに供給される。この際、多連弁68は、下流の流体ボックス内に搭載されている。
【0148】
一方で、洗浄モードにおいては、バルブ334が閉じられ、かつ、バルブ335が開けられた状態で、多連弁68の洗浄に用いられる薬液が、薬液タンク332から供給配管414、接続配管412、供給配管404、供給配管406、供給配管408および供給配管410を介して多連弁68に供給される。その後、多連弁68の下流に接続された配管340から、薬液が排液または回収される。
【0149】
さらに、洗浄モードにおいては、バルブ334が閉じられ、かつ、バルブ335が開けられた状態で、多連弁68の洗浄に用いられる純水が、薬液タンク332から供給配管414、接続配管412、供給配管404、供給配管406、供給配管408および供給配管410を介して多連弁68に供給されてもよい。さらにその後、開放バルブ337を用いて多連弁68を含む配管内が吸引されてもよい。
【0150】
以上のように、洗浄モードのキャビネット330内において、多連弁68を含む配管構造を洗浄することができる。
【0151】
また、
図3に示された基板処理装置によって奏される効果に加えて、多連弁68を取り外して薬液タンク332の近傍に配置することによって、基板処理装置の構成を流用しつつも、洗浄するための配管構造が短く簡易となり、洗浄のための時間を短縮することができる。
【0152】
ここで、多連弁を洗浄するための専用ユニットである洗浄ユニットが、基板処理装置とは別に設けられていてもよい。
【0153】
図8は、多連弁68を収容するように構成された、洗浄ユニット80の構成の例を示す図である。
【0154】
図8に例が示されるように、洗浄ユニット80は、薬液タンク82と、バルブ81と、バルブ83と、バルブ84と、バルブ85と、ポンプ86と、開放バルブ87と、フィルター88と、開放バルブ89と、供給配管502と、循環配管514と、供給配管506と、供給配管508と、供給配管510と、供給配管512と、接続配管504と、排液配管516とを備える。
【0155】
薬液タンク82には、多連弁68の洗浄に用いられる薬液が貯留されている。薬液は、バルブ81が開かれることで多連弁68に供給される。なお、純水は、バルブ83が開かれることで純水供給源から多連弁68に供給される。
【0156】
開放バルブ87、ポンプ86およびフィルター88は、搭載される多連弁68に薬液または純水を供給する供給配管502にそれぞれ設けられる。ここで、開放バルブ87は、配管内の吸引のために用いられる。
【0157】
搭載される多連弁68の上流側には、供給配管502からそれぞれ分岐する供給配管506、供給配管508、供給配管510および供給配管512が接続され、また、供給配管506、供給配管508、供給配管510および供給配管512に跨って接続配管504が設けられる。
【0158】
また、搭載される多連弁68の下流では、多連弁68の洗浄に用いられた処理液を排液するための排液配管516にバルブ85が設けられ、多連弁68の洗浄に用いられた薬液を薬液タンク82へ循環させるための循環配管514にバルブ84が設けられる。ここで、開放バルブ89は、多連弁68の下流の配管内の吸引のために用いられる。
【0159】
洗浄ユニット80においては、搭載される多連弁68を洗浄するための洗浄経路が、洗浄配管によって形成される。ここで、洗浄配管は、
図8の例では、薬液タンク82から下流側へ、供給配管502、さらに、供給配管506、供給配管508、供給配管510および供給配管512に至る配管と、薬液タンク82から上流側へ、循環配管514および排液配管516に至る配管とを含む。洗浄配管は、多連弁68に対して着脱可能に構成される。
【0160】
また、搭載される多連弁68の下流では、多連弁68の洗浄に用いられた処理液を排液するための排液配管516にバルブ85が設けられ、多連弁68の洗浄に用いられた薬液を薬液タンク82へ循環させるための循環配管514にバルブ84が設けられる。ここで、開放バルブ89は、多連弁68の下流の配管内の吸引のために用いられる。
【0161】
洗浄ユニット80を用いて多連弁68を洗浄する場合には、薬液タンク82から薬液、さらに、必要に応じて純水が多連弁68に供給される。そして、洗浄に用いられた薬液を薬液タンク82へ循環させる場合には、バルブ84を開き、かつ、バルブ85を閉じる。一方で、洗浄に用いられた薬液または純水を排液する場合には、バルブ84を閉じ、かつ、バルブ85を開く。
【0162】
特に、薬液による洗浄の後、さらに、純水による洗浄が行われた後には、開放バルブ87および開放バルブ89によって多連弁68の上流側および下流側の双方において配管内の吸引を行い、洗浄対象の物質を含み得る薬液および純水を吸引することによって、洗浄効果を高めることができる。また、当該サイクルを複数回繰り返すことによって、洗浄効果を高めることができる。
【0163】
以上のように、洗浄ユニット80を用いて、多連弁68を含む配管構造を洗浄することができる。
【0164】
また、
図3に示された基板処理装置によって奏される効果に加えて、多連弁68を取り外して多連弁68の洗浄用に設けられた洗浄ユニット80において洗浄を行うので、洗浄に用いる薬液の種類および濃度などが、基板処理に依存しない。よって、供給される薬液の自由度が高まる。
【0165】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0166】
以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、薬液を供給するためのタンクと、多連弁68(または、多連弁78)と、処理液ノズル20とを備える。ここで、タンクは、たとえば、薬液タンク32、薬液タンク42、薬液タンク52、薬液タンク232、薬液タンク332などのうちの少なくとも1つに対応するものである。多連弁68は、基板Wを処理するための複数種の処理液が供給される。また、多連弁68は、複数種の処理液のうちの少なくとも1つを選択的に供給する。処理液ノズル20は、多連弁68から供給される処理液を用いて基板Wを処理する。ここで、基板処理装置は、基板Wを処理するための基板処理モードと、少なくとも多連弁68を洗浄するための洗浄モードとで切り替え可能である。基板処理モードでは、処理液ノズル20に供給された処理液によって基板Wが処理される。洗浄モードでは、処理液ノズル20を介さずに、薬液タンク32と多連弁68とを介する経路である洗浄経路において、薬液タンク32から多連弁68へ薬液が供給される。
【0167】
このような構成によれば、処理液ノズル20を介さない洗浄経路に薬液を供給することによって、多連弁68を効果的に洗浄することができる。また、当該洗浄経路には処理液ノズル20が含まれないため、洗浄モードにおいては処理液ノズル20から薬液が吐出されることがなく、基板Wが当該薬液によって汚染されることがない。
【0168】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0169】
また、以上に記載された実施の形態によれば、薬液が、複数種の処理液のうちの1つである。このような構成によれば、基板Wの処理に用いられる薬液タンクから供給される薬液を、多連弁68の洗浄に流用することができるため、多連弁68の洗浄のために別途薬液タンクを用意する必要がなくなる。
【0170】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、洗浄経路の、薬液タンク32の下流、かつ、多連弁68の上流の位置において、薬液が供給される複数の供給配管と、複数の供給配管に跨って接続される少なくとも1つの接続配管とを備える。ここで、供給配管は、たとえば、供給配管39、供給配管49、供給配管59、供給配管100、供給配管404、供給配管406、供給配管408、供給配管410などに対応する。また、接続配管は、たとえば、接続配管64E、接続配管64F、接続配管64G、接続配管74E、接続配管74F、接続配管74G、接続配管164E、接続配管164F、接続配管164G、接続配管412などに対応する。このような構成によれば、多連弁68に接続される複数の供給配管に対し、接続配管を介して同時に薬液を供給することができる。よって、多連弁68に接続される複数の供給配管を同時に洗浄して、洗浄時間を短縮することができる。
【0171】
また、以上に記載された実施の形態によれば、接続配管は、多連弁68を収容する筐体(たとえば、流体ボックス60、流体ボックス70、キャビネット330など)内に収容される。このような構成によれば、流体ボックス60ごとに、基板処理モードと洗浄モードとを切り替えて処理を実行することができる。よって、基板処理装置1全体としては、基板処理の中断時間を短縮することができる。
【0172】
また、以上に記載された実施の形態によれば、接続配管412は、薬液タンク332および多連弁68を収容するキャビネット330内に収容される。このような構成によれば、キャビネット330内に、多連弁68、薬液タンク332および接続配管412が収容されることによって、基板処理装置の構成を流用しつつも、洗浄するための配管構造が短く簡易となり、洗浄のための時間を短縮することができる。
【0173】
また、以上に記載された実施の形態によれば、多連弁68は、複数の供給配管のそれぞれを開閉させる複数の選択バルブを備える。ここで、選択バルブは、たとえば、選択バルブ68B、選択バルブ68C、選択バルブ68D、選択バルブ68E、選択バルブ68F、選択バルブ78B、選択バルブ78C、選択バルブ78D、選択バルブ78E、選択バルブ78Fなどのうちの少なくとも1つに対応するものである。
【0174】
洗浄モードでは、複数の供給配管のうちの少なくとも1つが、対応する選択バルブによって開閉される。このような構成によれば、選択バルブの開閉動作によって急激な流速の変化が生じると、管内の圧力変動によって配管を震わせるウォーターハンマーが生じる場合がある。また、管内の圧力変動によって発泡するキャビテーションが生じる場合がある。これらの現象によって、洗浄対象に物理的な衝撃を与えて、洗浄効果を高めることができる。
【0175】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄モードでは、洗浄経路において薬液が循環する。このような構成によれば、洗浄のために使用される薬液の量を減らすことができる。
【0176】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板処理装置は、リンス液を供給するためのリンス液供給源(たとえば、純水供給源)と、多連弁68内を吸引する吸引部とを備える。ここで、吸引部は、たとえば、開放バルブ65、開放バルブ75、開放バルブ337などのうちの少なくとも1つに対応するものである。洗浄モードでは、洗浄経路における薬液の循環の後、多連弁68にリンス液が供給され、さらに、開放バルブ65によって多連弁68内が吸引される。このような構成によれば、薬液および純水によって、配管内に残存する洗浄対象の物質を洗い流し、さらに、洗浄対象の物質を含み得る薬液および純水を吸引することによって、洗浄効果を高めることができる。
【0177】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄モードでは、洗浄経路における薬液の循環、薬液の循環の後のリンス液の供給、および、リンス液の供給の後の多連弁68内の吸引が、複数回繰り返される。このような構成によれば、薬液および純水によって、配管内に残存する洗浄対象の物質を洗い流し、さらに、洗浄対象の物質を含み得る薬液および純水を吸引するサイクルを繰り返すことによって、洗浄効果を高めることができる。
【0178】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄モードでは、薬液の供給圧が変動する。このような構成によれば、急激な流速の変化が生じると、管内の圧力変動によって配管を震わせるウォーターハンマーが生じる場合がある。また、管内の圧力変動によって発泡するキャビテーションが生じる場合がある。これらの現象によって、洗浄対象に物理的な衝撃を与えて、洗浄効果を高めることができる。
【0179】
以上に記載された実施の形態によれば、洗浄ユニットは、薬液を供給するためのタンクと、洗浄配管とを備える。ここで、タンクは、たとえば、薬液タンク82などに対応するものである。洗浄配管は、少なくとも多連弁68を洗浄するための経路である洗浄経路を形成する。洗浄経路は、薬液タンク82を介する。多連弁68は、洗浄経路において、薬液タンク82から供給される薬液によって洗浄される。また、洗浄配管は、多連弁68に対して着脱可能である。
【0180】
このような構成によれば、洗浄経路に薬液を供給することによって、多連弁68を効果的に洗浄することができる。また、多連弁68を取り外して多連弁68の洗浄用に設けられた洗浄ユニット80において洗浄を行うので、洗浄に用いる薬液の種類および濃度などが、基板処理に依存しない。よって、供給される薬液の自由度が高まる。
【0181】
なお、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
【0182】
また、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0183】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄ユニットは、洗浄経路の、薬液タンク82の下流、かつ、多連弁68の上流の位置において、薬液が供給される複数の供給配管506(または、供給配管508、供給配管510、供給配管512)と、複数の供給配管に跨って接続される少なくとも1つの接続配管504とを備える。このような構成によれば、多連弁68に接続される複数の供給配管に対し、接続配管を介して同時に薬液を供給することができる。よって、多連弁68に接続される複数の供給配管を同時に洗浄して、洗浄時間を短縮することができる。
【0184】
また、以上に記載された実施の形態によれば、多連弁68は、複数の供給配管のそれぞれを開閉させる複数の選択バルブを備える。そして、複数の供給配管のうちの少なくとも1つが、対応する選択バルブによって開閉される。このような構成によれば、選択バルブの開閉動作によって急激な流速の変化が生じると、管内の圧力変動によって配管を震わせるウォーターハンマーが生じる場合がある。また、管内の圧力変動によって発泡するキャビテーションが生じる場合がある。これらの現象によって、洗浄対象に物理的な衝撃を与えて、洗浄効果を高めることができる。
【0185】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄経路において薬液が循環する。このような構成によれば、洗浄のために使用される薬液の量を減らすことができる。
【0186】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄ユニットは、リンス液を供給するためのリンス液供給源(たとえば、純水供給源)と、多連弁68内を吸引する吸引部とを備える。ここで、吸引部は、たとえば、開放バルブ87、開放バルブ89などのうちの少なくとも1つに対応するものである。洗浄経路における薬液の循環の後、多連弁68にリンス液が供給され、さらに、開放バルブ87によって多連弁68内が吸引される。このような構成によれば、薬液および純水によって、配管内に残存する洗浄対象の物質を洗い流し、さらに、洗浄対象の物質を含み得る薬液および純水を吸引することによって、洗浄効果を高めることができる。
【0187】
また、以上に記載された実施の形態によれば、洗浄経路における薬液の循環、薬液の循環の後のリンス液の供給、および、リンス液の供給の後の多連弁68内の吸引が、複数回繰り返される。このような構成によれば、薬液および純水によって、配管内に残存する洗浄対象の物質を洗い流し、さらに、洗浄対象の物質を含み得る薬液および純水を吸引するサイクルを繰り返すことによって、洗浄効果を高めることができる。
【0188】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0189】
したがって、例が示されていない無数の変形例、および、均等物が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0190】
また、以上に記載された実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0191】
1,1A,1B 基板処理装置
10 スピンチャック
10A スピンベース
10C 回転軸
10D スピンモータ
12 処理カップ
20 処理液ノズル
22 ノズルアーム
22A アーム部
22B 軸体
22C アクチュエータ
30,40,50,330 キャビネット
32,42,52,82,232,332 薬液タンク
34,44,54,81,83,84,85,234,331,333,334,335 バルブ
36,46,56,86,236,336 ポンプ
38,48,58,88,238,338 フィルター
39,49,59,61,71,100,239,339,404,406,408,410,414,502,506,508,510,512 供給配管
60,70,160,170,260,270 流体ボックス
62A,62B,62C,62D,67,72A,72B,72C,72D,77,162A,162B,162C,240,241 供給バルブ
64E,64F,64G,74E,74F,74G,164E,164F,164G,412,504 接続配管
65,75,87,89,337 開放バルブ
66E,66F,66G,76E,76F,76G,166E,166F,166G 接続バルブ
68,78 多連弁
68A,78A 接続部
68B,68C,68D,68E,68F,78B,78C,78D,78E,78F 選択バルブ
69,79 排液バルブ
80 洗浄ユニット
90 制御部
91 CPU
92 ROM
93 RAM
94 記録装置
94P 処理プログラム
95 バスライン
96 入力部
97 表示部
98 通信部
180 チャンバ
230 洗浄キャビネット
262,272 循環バルブ
264,274,402,514 循環配管
340 配管
516 排液配管
600,600A,600B 処理ユニット
601 ロードポート
602 インデクサロボット
603 センターロボット
604 基板載置部