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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-26
(45)【発行日】2024-04-03
(54)【発明の名称】チップインダクタおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20240327BHJP
   H01F 27/29 20060101ALI20240327BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240327BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20240327BHJP
【FI】
H01F17/00 B
H01F27/29 123
H01F17/04 A
H01F41/04 C
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022152547
(22)【出願日】2022-09-26
(62)【分割の表示】P 2018015350の分割
【原出願日】2018-01-31
(65)【公開番号】P2022174321
(43)【公開日】2022-11-22
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】P 2017068593
(32)【優先日】2017-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017070627
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下市 拓真
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-174306(JP,A)
【文献】特開2015-079958(JP,A)
【文献】特開2008-177254(JP,A)
【文献】特開2013-098378(JP,A)
【文献】特開2008-258467(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106486267(CN,A)
【文献】特開2017-092447(JP,A)
【文献】特開2002-270428(JP,A)
【文献】特開2017-011044(JP,A)
【文献】特開2016-018812(JP,A)
【文献】特開2010-245185(JP,A)
【文献】特開2017-073536(JP,A)
【文献】特開2009-043777(JP,A)
【文献】特開2002-134321(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0110236(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0287516(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0086719(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0189840(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 17/00
H01F 27/29
H01F 17/04
H01F 41/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装面を有する封止体と、
前記封止体の内部に封止されたコイル導体と、を含み、
前記封止体は、絶縁樹脂で形成された複数枚の樹脂層が積層された積層構造を有し、
前記複数枚の樹脂層は、積層方向の両側に配置される絶縁樹脂のみで形成されるベース樹脂層と、両側の前記ベース樹脂層の間に挟まれるように積層される第1螺旋部用樹脂層、接続部用樹脂層、および第2螺旋部用樹脂層とを含み、
前記第1螺旋部用樹脂層は、絶縁樹脂で形成された所定の厚みを有する樹脂層と、前記コイル導体の一部を構成する一端および他端を有し、積層方向に見て、前記樹脂層の厚み方向に交差する方向に螺旋状に引き回された第1螺旋部、第1末端、並びに第2末端とを有し、
前記第1螺旋部、前記第1末端および前記第2末端は、前記樹脂層の厚み方向に貫通して埋設され、かつ、前記第1末端は前記第1螺旋部の前記一端と接続されて前記樹脂層の一端縁から露出するように設けられ、前記第2末端は前記第1螺旋部とは分離されて前記樹脂層の他端縁から露出するように設けられ、
前記第2螺旋部用樹脂層は、絶縁樹脂で形成された所定の厚みを有する樹脂層と、前記コイル導体の一部を構成する一端および他端を有し、積層方向に見て、前記樹脂層の厚み方向に交差する方向に螺旋状に引き回された第2螺旋部、第1末端、並びに第2末端とを有し、
前記第2螺旋部、前記第1末端および前記第2末端は、前記樹脂層の厚み方向に貫通して埋設され、かつ、前記第2末端は前記第2螺旋部の前記一端と接続されて前記樹脂層の他端縁から露出するように設けられ、前記第1末端は前記第2螺旋部とは分離されて前記樹脂層の一端縁から露出するように設けられ、
前記接続用樹脂層は、絶縁樹脂で形成された所定の厚みを有する樹脂層と、前記第1螺旋部の前記他端および前記第2螺旋部の前記他端を導通させるための接続部、第1末端、並びに第2末端とを有し、
前記接続部、前記第1末端および前記第2末端は、前記樹脂層の厚み方向に貫通して埋設され、かつ、前記第1末端は前記樹脂層の一端縁から露出するように設けられ、前記第2末端は前記樹脂層の他端縁から露出するように設けられ、
前記複数枚の樹脂層が積層された状態において、前記第1螺旋部用樹脂層の前記第1末端、前記接続部用樹脂層の前記第1末端および前記第2螺旋部用樹脂層の前記第1末端は互いに連接されて前記コイル導体の一方電極を形成し、前記第1螺旋部用樹脂層の前記第2末端、前記接続部用樹脂層の前記第2末端および前記第2螺旋部用樹脂層の前記第2末端は互いに連接されて前記コイル導体の他方電極を形成し、
前記形成された前記コイル導体の前記一方電極及び前記他方電極は、前記封止体の前記実装面の一端側および他端側から露出する、チップインダクタ。
【請求項2】
前記第1螺旋部用樹脂層の厚みは、前記第2螺旋部用樹脂層の厚みと等しい、請求項1
に記載のチップインダクタ。
【請求項3】
前記接続用樹脂層の厚みは、前記第1螺旋部用樹脂層の厚みおよび前記第2螺旋部用樹脂層の厚みと等しい、請求項2に記載のチップインダクタ。
【請求項4】
前記接続用樹脂層の厚みは、前記第1螺旋部用樹脂層の厚みおよび前記第2螺旋部用樹脂層の厚みよりも大きい、請求項2に記載のチップインダクタ。
【請求項5】
前記ベース樹脂層の厚みは、前記第1螺旋部用樹脂層の厚み、前記第2螺旋部用樹脂層の厚みおよび前記接続用樹脂層の厚みよりも大きい、請求項2または3に記載のチップインダクタ。
【請求項6】
前記第1螺旋部は、前記第1末端から前記他端に向けて内巻きに巻回されており、前記第2螺旋部は、前記第2末端から前記他端に向けて内巻きに巻回されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のチップインダクタ。
【請求項7】
前記第1螺旋部は、前記第1末端から前記他端に向けて内巻きに巻回されており、前記第2螺旋部は、前記第2末端から前記他端に向けて外巻きに巻回されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のチップインダクタ。
【請求項8】
前記第1螺旋部は、前記第1末端から前記封止体の前記実装面の法線方向に沿って引き出された第1引き出し部を有しており、
前記第2螺旋部は、前記第2末端から前記封止体の前記実装面の法線方向に沿って引き出された第2引き出し部の有している、請求項1~7のいずれか一項に記載のチップインダクタ。
【請求項9】
前記形成された前記コイル導体の前記一方電極は、前記封止体の前記実装面の一端側に位置し、前記実装面から露出する第1底面部分と、前記封止体の前記実装面の前記一端側において、前記実装面と直交する第1側面の下部に位置し、前記第1側面から露出する第1側面部分を含み、前記第1底面部分と前記第1側面部分とは、つながっている、請求項1に記載のチップインダクタ。
【請求項10】
前記形成された前記コイル導体の前記他方電極は、前記封止体の前記実装面の他端側に位置し、前記実装面から露出する第2底面部分と、前記封止体の前記実装面の前記他端側において、前記実装面と直交する第2側面の下部に位置し、前記第2側面から露出する第2側面部分を含み、前記第2底面部分と前記第2側面部分とは、つながっている、請求項9に記載のチップインダクタ。
【請求項11】
前記第1底面部分および第2底面部分は、それぞれ、前記実装面に平行に延びる第1底面延部および第2底面延部と、第1底面延部および第2底面延部から実装面に向かって突出する複数の第1底面凸部および第2底面凸部を含む、請求項10に記載のチップインダクタ。
【請求項12】
前記コイル導体の前記一方電極および他方電極は、前記封止体の前記実装面に沿って互いに間隔を空けて形成された複数の第1底面凸部および第2底面凸部をそれぞれ含み、
前記複数の第1底面凸部および第2底面凸部は、前記封止体の前記実装面から露出する先端部をそれぞれ有している、請求項1に記載のチップインダクタ。
【請求項13】
前記コイル導体の前記一方電極および他方電極は、前記封止体の前記実装面よりも前記封止体の内側の領域において、前記封止体の前記実装面に沿って延びるように形成された第1底面延部および第2底面延部をそれぞれ含み、
前記一方電極および他方電極において、前記複数の第1底面凸部および第2底面凸部は、前記第1底面延部および第2底面延部から前記封止体の前記実装面に向かって突出している、請求項12に記載のチップインダクタ。
【請求項14】
前記封止体の前記実装面に形成された第1外部端子と、
前記封止体の前記実装面に形成された第2外部端子と、をさらに含み、
前記一方電極の前記複数の第1底面凸部は、前記第1外部端子に電気的に接続されており、
前記他方電極の前記複数の第2底面凸部は、前記第2外部端子に電気的に接続されている、請求項13に記載のチップインダクタ。
【請求項15】
前記一方電極の前記複数の第1底面凸部は、前記第1外部端子によって一括して被覆されており、
前記他方電極の前記複数の第2底面凸部は、前記第2外部端子によって一括して被覆されている、請求項14に記載のチップインダクタ。
【請求項16】
前記複数の第1底面凸部および第2底面凸部は、前記封止体の前記実装面の法線方向から見た平面視において、ストライプ状に形成されている、請求項11~15のいずれか一項に記載のチップインダクタ。
【請求項17】
実装面を有する封止体と、前記封止体の内部に封止されたコイル導体と、を含む、チップインダクタの製造方法であって、
主面を有するベース部材を準備する工程と、
前記ベース部材の主面の上に前記封止体の一部となる絶縁樹脂のベース樹脂層を積層する工程と、
前記ベース樹脂層の上に前記封止体の一部となる第1螺旋用樹脂層を積層する工程と、
前記第1螺旋用樹脂層に前記コイル導体の一部を構成する一端および他端を有し、積層方向に見て、前記第1螺旋部用樹脂層の厚み方向に交差する方向に螺旋状に引き回された第1螺旋部、第1末端、並びに第2末端を埋設する凹部を前記第1螺旋用樹脂層の厚み方向に貫通して形成する工程と、
前記第1螺旋用樹脂層の前記凹部が導電体で充填されるように導電体を埋め込む工程と、
前記第1螺旋用樹脂層の上に前記封止体の一部となる接続部用樹脂層を積層する工程と、
前記接続用樹脂層に前記コイル導体の一部を構成する接続部、第1末端および第2末端を埋設する凹部を前記接続用樹脂層の厚み方向に貫通して形成する工程と、
前記接続用樹脂層の前記凹部が導電体で充填されるように導電体を埋め込む工程と、
前記接続用樹脂層の上に前記封止体の一部となる第2螺旋部用樹脂層を積層する工程と、
前記第2螺旋部用樹脂層に前記コイル導体の一部を構成する一端および他端を有し、積層方向に見て、前記第2螺旋部用樹脂層の厚み方向に交差する方向に螺旋状に引き回された第2螺旋部、第1末端、並びに第2末端を埋設する凹部を前記第2螺旋部用樹脂層の厚み方向に貫通して形成する工程と、
前記第2螺旋用樹脂層の前記凹部が導電体で充填されるように導電体を埋め込む工程と、
前記第2螺旋用樹脂層の上に前記封止体の一部となる絶縁樹脂のベース樹脂層を積層する工程と、
を含む、チップインダクタの製造方法。
【請求項18】
前記第2螺旋用樹脂層の上に前記封止体の一部となる絶縁樹脂のベース樹脂層を積層する工程の後、前記積層されたベース樹脂層、第1螺旋用樹脂層、接続用樹脂層、第2螺旋部用樹脂層およびベース樹脂層を含む積層構造体を、前記ベース部材から分離する工程をさらに含む、請求項17に記載のチップインダクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップインダクタおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、チップインダクタが開示されている。このチップインダクタは、絶縁性基板を含む。絶縁性基板の表面には、内側端部および外側端部を有する螺旋状の導体パターンが形成されている。導体パターンの外側端部には、第1の端子電極が電気的に接続されている。導体パターンの内側端部には、第2の端子電極が電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-199365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チップインダクタの特性を表す一つのパラメータとして、Q値(Quality Factor)が知られている。チップインダクタの特性は、Q値が高い程、優れている。チップインダクタのQ値は、理想的には「Q=2πfL/R」の式によって表される。この式において、「f」はコイル導体に付与される周波数であり、「L」はコイル導体のインダクタンス成分であり、「R」はコイル導体の抵抗成分である。
【0005】
インダクタンス成分は、コイル導体の巻回数の増加によって増加し得る。抵抗成分は、コイル導体の断面積の増加によって低減し得る。これらは、コイル導体を大型化することによって、高いQ値が得られることを意味している。
特許文献1に開示されたような構造のチップインダクタでは、基板の表面に沿ってコイル導体が形成される。したがって、コイル導体の大型化を図る場合、基板の表面の面積を増加せざるを得ない。その結果、チップインダクタが大型化するから、実装基板等の接続対象物に対するチップインダクタの専有面積が増加する。
【0006】
つまり、特許文献1に開示されたような構造のチップインダクタは、コイル導体の大型化を図ると、実装基板等の接続対象物の表面に対する基板の専有面積が2次元的に増加するという構造上の問題がある。このような問題は、チップインダクタのQ値の増加の妨げになっていると同時に、実装基板のシュリンク化や、実装基板への高密度実装化の妨げにもなっている。
【0007】
そこで、本発明の一実施形態は、実装基板等の接続対象物に対する専有面積の増加を抑制でき、かつ、Q値を向上できるチップインダクタおよびその製造方法を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、実装面を有する封止体と、前記封止体の内部に封止されたコイル導体と、を含み、前記封止体は、絶縁樹脂で形成された複数枚の樹脂層が積層された積層構造を有し、前記複数枚の樹脂層は、積層方向の両側に配置される絶縁樹脂のみで形成されるベース樹脂層と、両側の前記ベース樹脂層の間に挟まれるように積層される第1螺旋部用樹脂層、接続部用樹脂層、および第2螺旋部用樹脂層とを含み、前記第1螺旋部用樹脂層は、絶縁樹脂で形成された所定の厚みを有する樹脂層と、前記コイル導体の一部を構成する一端および他端を有する第1螺旋部、第1末端、並びに第2末端とを有し、前記第1螺旋部、前記第1末端および前記第2末端は、前記樹脂層の厚み方向に貫通して埋設され、かつ、前記第1末端は前記第1螺旋部の前記一端と接続されて前記樹脂層の一端縁から露出するように設けられ、前記第2末端は前記第1螺旋部とは分離されて前記樹脂層の他端縁から露出するように設けられ、前記第2螺旋部用樹脂層は、絶縁樹脂で形成された所定の厚みを有する樹脂層と、前記コイル導体の一部を構成する一端および他端を有する第2螺旋部、第1末端、並びに第2末端とを有し、前記第2螺旋部、前記第1末端および前記第2末端は、前記樹脂層の厚み方向に貫通して埋設され、かつ、前記第2末端は前記第2螺旋部の前記一端と接続されて前記樹脂層の他端縁から露出するように設けられ、前記第1末端は前記第2螺旋部とは分離されて前記樹脂層の一端縁から露出するように設けられ、前記接続用樹脂層は、絶縁樹脂で形成された所定の厚みを有する樹脂層と、前記第1螺旋部の前記他端と前記第2螺旋部の前記他端とを導通させるための接続部、第1末端、並びに第2末端とを有し、前記接続部、前記第1末端および前記第2末端は、前記樹脂層の厚み方向に貫通して埋設され、かつ、前記第1末端は前記樹脂層の一端縁から露出するように設けられ、前記第2末端は前記樹脂層の他端縁から露出するように設けられ、前記複数枚の樹脂層が積層された状態において、前記第1螺旋部用樹脂層の前記第1末端、前記接続部用樹脂層の前記第1末端および前記第2螺旋部用樹脂層の前記第1末端は互いに連接されて前記コイル導体の一方電極を形成し、前記第1螺旋部用樹脂層の前記第2末端、前記接続部用樹脂層の前記第2末端および前記第2螺旋部用樹脂層の前記第2末端は互いに連接されて前記コイル導体の他方電極を形成し、前記形成された前記コイル導体の前記一方電極及び前記他方電極は、前記封止体の前記実装面の一端側および他端側から露出する、チップインダクタを提供する。
【0009】
このチップインダクタによれば、コイル導体の巻き数や断面積を大きくする場合、封止体の実装面の法線方向に沿って3次元的にコイル導体を大型化できる。これにより、封止体の実装面に沿って2次元的にコイル導体が大型化するのを抑制できる。
その結果、実装基板等の接続対象物の表面に対する封止体の専有面積が2次元的に増加するのを抑制できる。よって、実装基板等の接続対象物に対する専有面積の増加を抑制でき、かつ、Q値を向上できるチップインダクタを提供できる。
【0010】
本発明の一実施形態は、実装面を有する封止体と、前記封止体の内部に封止されたコイル導体と、を含む、チップインダクタの製造方法であって、主面を有するベース部材を準備する工程と、前記ベース部材の主面の上に前記封止体の一部となる絶縁樹脂のベース樹脂層を積層する工程と、前記ベース樹脂層の上に前記封止体の一部となる第1螺旋用樹脂層を積層する工程と、前記第1螺旋用樹脂層に前記コイル導体の一部を構成する一端および他端を有する第1螺旋部、第1末端、並びに第2末端を埋設する凹部を前記第1螺旋用樹脂層の厚み方向に貫通して形成する工程と、前記第1螺旋用樹脂層の前記凹部が導電体で充填されるように導電体を埋め込む工程と、前記第1螺旋用樹脂層の上に前記封止体の一部となる接続部用樹脂層を積層する工程と、前記接続用樹脂層に前記コイル導体の一部を構成する接続部、第1末端および第2末端を埋設する凹部を前記接続用樹脂層の厚み方向に貫通して形成する工程と、前記接続用樹脂層の前記凹部が導電体で充填されるように導電体を埋め込む工程と、前記接続用樹脂層の上に前記封止体の一部となる第2螺旋部用樹脂層を積層する工程と、前記第2螺旋部用樹脂層に前記コイル導体の一部を構成する一端および他端を有する第2螺旋部、第1末端、並びに第2末端を埋設する凹部を前記第2螺旋部用樹脂層の厚み方向に貫通して形成する工程と、前記第2螺旋用樹脂層の前記凹部が導電体で充填されるように導電体を埋め込む工程と、前記第2螺旋用樹脂層の上に前記封止体の一部となる絶縁樹脂のベース樹脂層を積層する工程と、を含む、チップインダクタの製造方法を提供する。
【0011】
このチップインダクタの製造方法によれば、封止体の実装面の法線方向に沿って引き回された螺旋状の螺旋部を含むチップインダクタを製造できる。したがって、コイル導体の巻き数や断面積を大きくする場合、封止体の実装面の法線方向に沿って3次元的にコイル導体を大型化できる。これにより、封止体の実装面に沿って2次元的にコイル導体が大型化するのを抑制できる。
【0012】
その結果、実装基板等の接続対象物の表面に対する封止体の専有面積が2次元的に増加するのを抑制できる。よって、実装基板等の接続対象物に対する専有面積の増加を抑制でき、かつ、Q値を向上できるチップインダクタを製造し、提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るチップインダクタの斜視図である。
図2図2は、図1に示すチップインダクタの正面図である。
図3図3は、図1に示すチップインダクタの上面図である。
図4図4は、図1に示すチップインダクタの第1側面図である。
図5図5は、図1に示すチップインダクタの第2側面図である。
図6図6は、図1に示すチップインダクタの底面図である。
図7図7は、図1に示すチップインダクタの内部構造を示す斜視図である。
図8図8は、図1に示すチップインダクタの底面図であって、第1コイル末端および第2コイル末端の平面視形状を説明するための図である。
図9図9は、図1に示すチップインダクタの第1側面図であって、第1コイル末端の側面視形状を説明するための図である。
図10図10は、図1に示すチップインダクタの第2側面図であって、第2コイル末端の側面視形状を説明するための図である。
図11図11は、図1に示すチップインダクタの分解斜視図である。
図12図12は、図7に示す第1螺旋部用樹脂層の平面図である。
図13図13は、図7に示す接続部用樹脂層の平面図である。
図14図14は、図7に示す第2螺旋部用樹脂層の平面図である。
図15図15は、図1に示すチップインダクタのQ値(Quality Factor)をシミュレーションにより求めたグラフである。
図16A図16Aは、図1に示すチップインダクタの製造方法を説明するための図である。
図16B図16Bは、図16Aの後の工程を説明するための図である。
図16C図16Cは、図16Bの後の工程を説明するための図である。
図16D図16Dは、図16Cの後の工程を説明するための図である。
図16E図16Eは、図16Dの後の工程を説明するための図である。
図16F図16Fは、図16Eの後の工程を説明するための図である。
図16G図16Gは、図16Fの後の工程を説明するための図である。
図16H図16Hは、図16Gの後の工程を説明するための図である。
図16I図16Iは、図16Hの後の工程を説明するための図である。
図16J図16Jは、図16Iの後の工程を説明するための図である。
図16K図16Kは、図16Jの後の工程を説明するための図である。
図17図17は、本発明の第2実施形態に係るチップインダクタの斜視図である。
図18図18は、本発明の第3実施形態に係るチップインダクタの斜視図である。
図19図19は、本発明の第4実施形態に係るチップインダクタの斜視図である。
図20図20は、本発明の第5実施形態に係るチップインダクタの分解斜視図である。
図21図21は、本発明の第6実施形態に係るチップインダクタの第1螺旋部用樹脂層の平面図である。
図22図22は、図21に示すチップインダクタの第2螺旋部用樹脂層の平面図である。
図23図23は、図1に示すチップインダクタの底面図であって、第1コイル末端および第2コイル末端の第1変形例を説明するための図である。
図24図24は、図1に示すチップインダクタの底面図であって、第1コイル末端および第2コイル末端の第2変形例を説明するための図である。
図25図25は、図1に示すチップインダクタの底面図であって、第1コイル末端および第2コイル末端の第3変形例を説明するための図である。
図26図26は、図1に示すチップインダクタの斜視図であって、第1コイル末端および第2コイル末端の第4変形例を説明するための図である。
図27図27は、第1変形例に係るチップインダクタを説明するための図である。
図28図28は、第2変形例に係るチップインダクタを説明するための図である。
図29図29は、本発明の第7実施形態に係るチップキャパシタの斜視図である。
図30図30は、図29のチップキャパシタの内部構造を示す平面図である。
図31図31は、図30のXXXI-XXXI線に沿う断面図である。
図32図32は、図30のXXXII-XXXII線に沿う断面図である。
図33図33は、図30のXXXIII-XXXIII線に沿う断面図である。
図34図34は、図30の領域XXXIVの拡大図である。
図35図35は、図34のXXXV-XXXV線に沿う断面図である。
図36A図36Aは、図29のチップキャパシタの製造方法の一例を説明するための断面図である。
図36B図36Bは、図36Aの後の工程を示す断面図である。
図36C図36Cは、図36Bの後の工程を示す断面図である。
図36D図36Dは、図36Cの後の工程を示す断面図である。
図36E図36Eは、図36Dの後の工程を示す断面図である。
図36F図36Fは、図36Eの後の工程を示す断面図である。
図36G図36Gは、図36Fの後の工程を示す断面図である。
図36H図36Hは、図36Gの後の工程を示す断面図である。
図36I図36Iは、図36Hの後の工程を示す断面図である。
図36J図36Jは、図36Iの後の工程を示す断面図である。
図36K図36Kは、図36Jの後の工程を示す断面図である。
図36L図36Lは、図36Kの後の工程を示す断面図である。
図36M図36Mは、図36Lの後の工程を示す断面図である。
図37図37は、本発明の第8実施形態に係るチップキャパシタの斜視図である。
図38図38は、図37のチップキャパシタの内部構造を示す平面図である。
図39図39は、図38のXXXIX-XXXIX線に沿う断面図である。
図40図40は、図38のXL-XL線に沿う断面図である。
図41図41は、図38の領域XLIの拡大図である。
図42図42は、図41のXLII-XLII線に沿う断面図である。
図43図43は、本発明の第9実施形態に係るチップキャパシタの斜視図である。
図44図44は、図43のチップキャパシタの電気的構造を示す回路図である。
図45図45は、本発明の第10実施形態に係るチップキャパシタの斜視図である。
図46図46は、図45のチップキャパシタの電気的構造を示す回路図である。
図47図47は、本発明の第11実施形態に係るチップキャパシタの内部構造を示す平面図である。
図48図48は、本発明の第12実施形態に係るチップキャパシタの斜視図である。
図49図49は、本発明の第13実施形態に係るチップキャパシタの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るチップインダクタ1の斜視図である。図2は、図1に示すチップインダクタ1の正面図である。図3は、図1に示すチップインダクタ1の上面図である。図4は、図1に示すチップインダクタ1の第1側面図である。図5は、図1に示すチップインダクタ1の第2側面図である。図6は、図1に示すチップインダクタ1の底面図である。
【0015】
図1図6を参照して、チップインダクタ1は、チップ部品と称される微細な電子部品である。チップインダクタ1は、直方体形状の封止体2を含む。封止体2は、機能素子(この形態ではインダクタ)を封止するパッケージでもある。
封止体2は、絶縁体からなる。絶縁体は、酸化シリコン、窒化シリコンまたはセラミックを含む無機系の絶縁体を含んでいてもよい。絶縁体は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の封止樹脂を含む有機系の絶縁体を含んでいてもよい。この形態では、封止体2が、有機系の絶縁体としてのエポキシ樹脂を含む例について説明する。エポキシ樹脂は、ネガティブタイプのフォトレジストでもある。
【0016】
図1図6を参照して、封止体2は、実装面3、実装面3の反対側に位置する非実装面4、ならびに、実装面3および非実装面4を接続する接続面5を含む。実装面3とは、チップインダクタ1が実装基板等の接続対象物に実装される場合に、接続対象物と対向する対向面である。
実装面3および非実装面4は、この形態では、それらの法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において長方形状に形成されている。封止体2の接続面5には、実装面3の短辺に接続された第1接続面5aおよび第2接続面5b、ならびに、実装面3の長辺に接続された第3接続面5cおよび第4接続面5dが含まれる。
【0017】
第1接続面5aおよび第2接続面5bは、この形態では、それらの法線方向から見た側面視(以下、単に「側面視」という。)において、実装面3の法線方向に沿って延びる長方形状に形成されている。第3接続面5cおよび第4接続面5dの各表面積は、第1接続面5aおよび第2接続面5bの各表面積よりも大きい。
封止体2の実装面3は、チップインダクタ1の底面を形成している。封止体2の非実装面4は、チップインダクタ1の上面を形成している。封止体2の第1接続面5aは、チップインダクタ1の第1側面を形成している。
【0018】
封止体2の第2接続面5bは、チップインダクタ1の第2側面を形成している。封止体2の第3接続面5cは、チップインダクタ1の正面を形成している。封止体2の第4接続面5dは、チップインダクタ1の背面を形成している。
封止体2の実装面3の長辺に沿う幅W1は、0.1mm以上1.0mm以下(たとえば0.4mm程度)であってもよい。封止体2の実装面3の短辺に沿う幅W2は、0.05mm以上0.4mm以下(たとえば0.175mm程度)であってもよい。封止体2の第1接続面5aの長辺に沿う幅W3は、0.1mm以上1mm以下(たとえば0.3mm程度)であってもよい。
【0019】
封止体2の外面には、第1外部端子6および第2外部端子7が形成されている。第1外部端子6は、封止体2において実装面3および第1接続面5aを接続する第1角部8の近傍に形成されている。第2外部端子7は、封止体2において実装面3および第2接続面5bを接続する第2角部9の近傍に形成されている。第1外部端子6および第2外部端子7は、封止体2の実装面3の長手方向に沿って互いに対向している。
【0020】
第1外部端子6は、この形態では、第1底面端子10および第1側面端子11を含む。第1底面端子10は、封止体2の実装面3において第1角部8側の端部に形成されている。第1側面端子11は、封止体2の第1接続面5aにおいて第1角部8側の端部に形成されている。
第1底面端子10および第1側面端子11は、第1角部8を挟んで互いに間隔を空けて形成されている。第1底面端子10は、この形態では、平面視四角形状に形成されている。第1側面端子11は、この形態では、側面視四角形状に形成されている。
【0021】
第1底面端子10は、封止体2の外面側からこの順に積層されたニッケル膜、パラジウム膜および金膜を含む積層構造を有していてもよい。第1側面端子11は、封止体2の外面側からこの順に積層されたニッケル膜、パラジウム膜および金膜を含む積層構造を有していてもよい。
第2外部端子7は、この形態では、第2底面端子12および第2側面端子13を含む。第2底面端子12は、封止体2の実装面3において第2角部9側の端部に形成されている。第2側面端子13は、封止体2の第2接続面5bにおいて第2角部9側の端部に形成されている。
【0022】
第2底面端子12および第2側面端子13は、第2角部9を挟んで互いに間隔を空けて形成されている。第2底面端子12は、この形態では、平面視四角形状に形成されている。第2側面端子13は、この形態では、側面視四角形状に形成されている。
第2底面端子12は、封止体2の外面側からこの順に積層されたニッケル膜、パラジウム膜および金膜を含む積層構造を有していてもよい。第2側面端子13は、封止体2の外面側からこの順に積層されたニッケル膜、パラジウム膜および金膜を含む積層構造を有していてもよい。
【0023】
図7は、図1に示すチップインダクタ1の内部構造を示す斜視図である。
図7を参照して、チップインダクタ1は、封止体2の内部に封止されたコイル導体21を含む。コイル導体21は、インダクタを形成している。コイル導体21のインダクタンス成分Lは、たとえば0.1nH以上100nH以下である。
封止体2の内部には、この形態では、コイル導体21だけが封止されている。つまり、封止体2の内部には、コイル導体21以外の導電体およびその他の部材は封止されていない。
【0024】
コイル導体21は、第1コイル末端22、第2コイル末端23および螺旋状の螺旋部24を含む。第1コイル末端22は、封止体2から露出し、第1外部端子6に接続されている。第2コイル末端23は、封止体2から露出し、第2外部端子7に接続されている。第1コイル末端22および第2コイル末端23は、封止体2の実装面3の長手方向に沿って互いに対向している。
【0025】
螺旋部24は、第1コイル末端22および第2コイル末端23に接続されている。螺旋部24は、第1コイル末端22および第2コイル末端23から封止体2の実装面3の法線方向に沿って螺旋状に引き回されている。
螺旋部24は、ライン状の導電体が、所定の巻回軸線AXまわりに螺旋状に複数回巻回された構造を有している。巻回軸線AXは、第3接続面5cおよび第4接続面5dの法線方向に沿い、かつ、螺旋部24の螺旋中心を通る。螺旋部24の巻回数は、任意である。
【0026】
以下では、第1コイル末端22および第2コイル末端23が対向する方向を「第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向X」という。また、以下では、実装面3の法線方向を「実装面3の法線方向Y」という。また、以下では、螺旋部24の巻回軸線AXに沿う方向を「螺旋部24の巻回軸方向Z」という。
第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向Xは、第1外部端子6および第2外部端子7が対向する方向でもある。実装面3の法線方向Yは、第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向Xに直交する方向でもある。また、螺旋部24の巻回軸方向Zは、第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向Xに直交し、かつ、実装面3の法線方向Yに直交する方向でもある。
【0027】
さらに、第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向Xは、第1接続面5aおよび第2接続面5bの法線方向でもある。また、実装面3の法線方向Yは、実装面3および非実装面4の法線方向でもある。また、螺旋部24の巻回軸方向Zは、第3接続面5cおよび第4接続面5dの法線方向でもある。
螺旋部24は、第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向X、ならびに、実装面3の法線方向Yに延びるX-Y平面に対向する螺旋面を有しており、かつ、X-Y平面の法線方向(つまり、螺旋部24の巻回軸方向Z)に沿って巻回されている。
【0028】
螺旋部24の螺旋面は、第3接続面5cおよび第4接続面5dに対向している。螺旋部24の螺旋面とは、螺旋部24の内周縁に設定された任意の2点および巻回軸線AXの間を結ぶ領域に形成される仮想面である。
第1コイル末端22は、この形態では、第1底面部分25および第1側面部分26を含む。第1コイル末端22の第1底面部分25は、封止体2の実装面3から露出し、かつ、第1底面端子10に接続されている。第1コイル末端22の第1側面部分26は、封止体2の第1接続面5aから露出し、かつ、第1側面端子11に接続されている。
【0029】
第1コイル末端22の第1底面部分25は、第1底面延部27および複数の第1底面凸部28を含む。第1底面延部27は、封止体2の実装面3よりも封止体2の内側の領域に形成されている。第1底面延部27は、第1外部端子6側から第2外部端子7側に向けて、封止体2の実装面3に沿って延びている。
複数の第1底面凸部28は、第1底面延部27から封止体2の実装面3に向かって突出している。複数の第1底面凸部28は、封止体2の実装面3から露出する先端部をそれぞれ有している。複数の第1底面凸部28は、第1外部端子6の第1底面端子10によって一括して被覆されている。
【0030】
第1底面凸部28の先端部は、実装面3と面一に形成されていてもよい。第1底面凸部28の先端部は、実装面3よりも外側に突出していてもよい。第1底面凸部28の先端部は、実装面3よりも内側に窪んでいてもよい。
第1コイル末端22の第1側面部分26は、第1側面延部29および複数の第1側面凸部30を含む。第1側面延部29は、封止体2の実装面3よりも封止体2の内側の領域に形成されている。第1側面延部29は、封止体2の第1接続面5aに沿って延びている。
【0031】
複数の第1側面凸部30は、第1側面延部29から封止体2の第1接続面5aに向かって突出している。複数の第1側面凸部30は、封止体2の第1接続面5aから露出する先端部をそれぞれ有している。複数の第1側面凸部30は、第1外部端子6の第1側面端子11によって一括して被覆されている。
第1側面凸部30の先端部は、第1接続面5aと面一に形成されていてもよい。第1側面凸部30の先端部は、第1接続面5aよりも外側に突出していてもよい。第1側面凸部30の先端部は、第1接続面5aよりも内側に窪んでいてもよい。
【0032】
第2コイル末端23は、この形態では、第2底面部分31および第2側面部分32を含む。第2コイル末端23の第2底面部分31は、封止体2の実装面3から露出し、かつ、第2底面端子12に接続されている。第2コイル末端23の第2側面部分32は、封止体2の第2接続面5bから露出し、かつ、第2側面端子13に接続されている。
第2コイル末端23の第2底面部分31は、第2底面延部33および複数の第2底面凸部34を含む。第2底面延部33は、封止体2の実装面3よりも封止体2の内側の領域に形成されている。第2底面延部33は、第2外部端子7側から第1外部端子6側に向けて、封止体2の実装面3に沿って延びている。
【0033】
複数の第2底面凸部34は、第2底面延部33から封止体2の実装面3に向かって突出している。複数の第2底面凸部34は、封止体2の実装面3から露出する先端部をそれぞれ有している。複数の第2底面凸部34は、第2外部端子7の第2底面端子12によって一括して被覆されている。
第2底面凸部34の先端部は、実装面3と面一に形成されていてもよい。第2底面凸部34の先端部は、実装面3よりも外側に突出していてもよい。第2底面凸部34の先端部は、実装面3よりも内側に窪んでいてもよい。
【0034】
第2コイル末端23の第2側面部分32は、第2側面延部35および複数の第2側面凸部36を含む。第2側面延部35は、封止体2の実装面3よりも封止体2の内側の領域に形成されている。第2側面延部35は、封止体2の第2接続面5bに沿って延びている。
複数の第2側面凸部36は、第2側面延部35から封止体2の第2接続面5bに向かって突出している。複数の第2側面凸部36は、封止体2の第2接続面5bから露出する先端部をそれぞれ有している。複数の第2側面凸部36は、第2外部端子7の第2側面端子13によって一括して被覆されている。
【0035】
第2側面凸部36の先端部は、第2接続面5bと面一に形成されていてもよい。第2側面凸部36の先端部は、第2接続面5bよりも外側に突出していてもよい。第2側面凸部36の先端部は、第2接続面5bよりも内側に窪んでいてもよい。
図8は、図1に示すチップインダクタ1の底面図であって、第1コイル末端22および第2コイル末端23の平面視形状を説明するための図である。図9は、図1に示すチップインダクタ1の第1側面図であって、第1コイル末端22の側面視形状を説明するための図である。図10は、図1に示すチップインダクタ1の第2側面図であって、第2コイル末端23の側面視形状を説明するための図である。
【0036】
図8図10では、明瞭化のため、第1外部端子6および第2外部端子7が破線で示されている。
図8を参照して、第1コイル末端22の複数の第1底面凸部28は、第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向Xに沿って互いに間隔を空けて形成されている。複数の第1底面凸部28は、平面視において、螺旋部24の巻回軸方向Zに沿って延びるストライプ状に形成されている。
【0037】
互いに隣り合う2つの第1底面凸部28の間の距離を「D1」とする。最も外側に位置する第1底面凸部28の周縁および第1外部端子6(第1底面端子10)の周縁の間の距離を「D2」とする。「D1」および「D2」の間には、「D1≦2×D2」の式が成立している。
第1外部端子6の形成時において、第1外部端子6の導電材料は、各第1底面凸部28を起点に成長する。「D1≦2×D2」の式が成立する場合、一方の第1底面凸部28を起点に成長する第1外部端子6の導電材料と、他方の第1底面凸部28を起点に成長する第1外部端子6の導電材料とを、それらの間で互いに重ね合わせることができる。これにより、第1外部端子6の形成に必要な導電材料の使用量を削減できる。
【0038】
図9を参照して、第1コイル末端22の複数の第1側面凸部30は、実装面3の法線方向Yに沿って互いに間隔を空けて形成されている。複数の第1側面凸部30は、平面視において、螺旋部24の巻回軸方向Zに沿って延びるストライプ状に形成されている。
互いに隣り合う2つの第1側面凸部30の間の距離を「D3」とする。最も外側に位置する第1側面凸部30の周縁および第1外部端子6(第1側面端子11)の周縁の間の距離を「D4」とする。「D3」および「D4」の間には、「D3≦2×D4」の式が成立している。
【0039】
第1外部端子6の形成時において、第1外部端子6の導電材料は、一つの第1側面凸部30を起点に成長する。「D3≦2×D4」の式が成立する場合、一方の第1側面凸部30を起点に成長する第1外部端子6の導電材料と、他方の第1側面凸部30を起点に成長する第1外部端子6の導電材料とを、それらの間で互いに重ね合わせることができる。これにより、第1外部端子6の形成に必要な導電材料の使用量を削減できる。
【0040】
図8を再度参照して、第2コイル末端23の複数の第2底面凸部34は、第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向Xに沿って互いに間隔を空けて形成されている。複数の第2底面凸部34は、平面視において、螺旋部24の巻回軸方向Zに沿って延びるストライプ状に形成されている。
互いに隣り合う2つの第2底面凸部34の間の距離を「D5」とする。最も外側に位置する第2底面凸部34の周縁および第2外部端子7(第2底面端子12)の周縁の間の距離を「D6」とする。「D5」および「D6」の間には、「D5≦2×D6」の式が成立している。
【0041】
第2外部端子7の形成時において、第2外部端子7の導電材料は、一つの第2底面凸部34を起点に成長する。「D5≦2×D6」の式が成立する場合、一方の第2底面凸部34を起点に成長する第2外部端子7の導電材料と、他方の第2底面凸部34を起点に成長する第2外部端子7の導電材料とを、それらの間で互いに重ね合わせることができる。これにより、第2外部端子7の形成に必要な導電材料の使用量を削減できる。
【0042】
図10を参照して、第2コイル末端23の複数の第2側面凸部36は、実装面3の法線方向Yに沿って互いに間隔を空けて形成されている。複数の第2側面凸部36は、平面視において、螺旋部24の巻回軸方向Zに沿って延びるストライプ状に形成されている。
互いに隣り合う2つの第2側面凸部36の間の距離を「D7」とする。最も外側に位置する第2側面凸部36の周縁および第2外部端子7(第2側面端子13)の周縁の間の距離を「D8」とする。「D7」および「D8」の間には、「D7≦2×D8」の式が成立している。
【0043】
第2外部端子7の形成時において、第2外部端子7の導電材料は、一つの第2側面凸部36を起点に成長する。「D7≦2×D8」の式が成立する場合、一方の第2側面凸部36を起点に成長する第2外部端子7の導電材料と、他方の第2側面凸部36を起点に成長する第2外部端子7の導電材料とを、それらの間で互いに重ね合わせることができる。これにより、第2外部端子7の形成に必要な導電材料の使用量を削減できる。
【0044】
距離D1、距離D3、距離D5および距離D7は、互いに等しい値を有していてもよいし、互いに異なる値を有していてもよい。
図7を再度参照して、コイル導体21の螺旋部24は、第1螺旋部41、第2螺旋部42、ならびに、第1螺旋部41および第2螺旋部42を接続する接続部43を含む。
第1螺旋部41は、螺旋部24の巻回軸方向Zに関して、封止体2の第4接続面5d側に形成されている。第1螺旋部41は、第1コイル末端22から実装面3の法線方向Yに沿って螺旋状に引き回されている。第1螺旋部41は、封止体2の内部に位置する第1コイルサブ末端44を有している。
【0045】
第2螺旋部42は、螺旋部24の巻回軸方向Zに関して、封止体2の第3接続面5c側に形成されている。第2螺旋部42は、第2コイル末端23から実装面3の法線方向Yに沿って螺旋状に引き回されている。第2螺旋部42は、螺旋部24の巻回軸方向Zに第1螺旋部41と対向している。螺旋部24の第2螺旋部42は、封止体2の内部に位置する第2コイルサブ末端45を有している。
【0046】
接続部43は、螺旋部24の巻回軸方向Zに関して、第1螺旋部41および第2螺旋部42の間の領域に形成されている。接続部43は、封止体2の内部において、第1螺旋部41の第1コイルサブ末端44および第2螺旋部42の第2コイルサブ末端45を接続している。
第1螺旋部41の螺旋方向および第2螺旋部42の螺旋方向は、接続部43を介して逆向きになっている。接続部43は、第1螺旋部41の螺旋方向および第2螺旋部42の螺旋方向を切り替える螺旋方向切換部として形成されている。
【0047】
第1螺旋部41の巻回数および第2螺旋部42の巻回数は任意であり、インダクタンス成分Lの増減に寄与するのであれば、必ずしも1以上である必要はない。第1螺旋部41の巻回数は、第2螺旋部42の巻回数と等しくてもよいし、異なっていてもよい。
図11は、図1に示すチップインダクタ1の分解斜視図である。図11では、第1外部端子6および第2外部端子7の図示を省略している。
【0048】
図11を参照して、封止体2は、エポキシ樹脂からなる複数(この形態では5つ)の樹脂層が螺旋部24の巻回軸方向Zに沿って積層された積層構造を有している。樹脂層は、より具体的には、フォトレジスト層である。つまり、封止体2は、複数のフォトレジスト層が積層されたフォトレジスト積層体である。コイル導体21は、これら複数の樹脂層によって封止されている。
【0049】
複数の樹脂層は、この形態では、第1ベース樹脂層51、第1螺旋部用樹脂層52、接続部用樹脂層53、第2螺旋部用樹脂層54および第2ベース樹脂層55を含む。
第1螺旋部用樹脂層52は、第1ベース樹脂層51の上に積層されている。第1螺旋部用樹脂層52は、第1螺旋部41、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部を封止している。
【0050】
接続部用樹脂層53は、第1螺旋部用樹脂層52の上に積層されている。接続部用樹脂層53は、接続部43、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部を封止している。
第2螺旋部用樹脂層54は、接続部用樹脂層53の上に積層されている。第2螺旋部用樹脂層54は、第2螺旋部42、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部を封止している。第2ベース樹脂層55は、第2螺旋部用樹脂層54の上に積層されている。
【0051】
第1ベース樹脂層51および第2ベース樹脂層55は、コイル導体21を封止しない層である。第1ベース樹脂層51および第2ベース樹脂層55は、コイル導体21を保護するための保護層として形成されている。
第1ベース樹脂層51の厚さおよび第2ベース樹脂層55の厚さは、第1螺旋部用樹脂層52の厚さ、第2螺旋部用樹脂層54の厚さおよび接続部用樹脂層53の厚さよりも大きいことが好ましい。
【0052】
第1ベース樹脂層51の厚さは、第2ベース樹脂層55の厚さと等しくてもよい。第1螺旋部用樹脂層52の厚さは、第2螺旋部用樹脂層54の厚さと等しくてもよい。第1螺旋部用樹脂層52の厚さは、接続部用樹脂層53の厚さよりも小さくてもよい。接続部用樹脂層53の厚さは、第1ベース樹脂層51の厚さと等しくてもよい。
第1ベース樹脂層51の厚さおよび第2ベース樹脂層55の厚さは、10μm以上100μm以下(たとえば45μm程度)であってもよい。第1螺旋部用樹脂層52の厚さおよび第2螺旋部用樹脂層54の厚さは、10μm以上50μm以下(この形態では20μm程度)であってもよい。接続部用樹脂層53の厚さは、10μm以上100μm以下(たとえば45μm程度)であってもよい。
【0053】
第1ベース樹脂層51、第1螺旋部用樹脂層52、接続部用樹脂層53、第2螺旋部用樹脂層54および第2ベース樹脂層55の各厚さは任意であり、上記の数値および条件に限定されるものではない。
図12は、図7に示す第1螺旋部用樹脂層52の平面図である。図13は、図7に示す接続部用樹脂層53の平面図である。図14は、図7に示す第2螺旋部用樹脂層54の平面図である。図12図14では、第1外部端子6および第2外部端子7の図示を省略している。
【0054】
図11および図12を参照して、第1螺旋部用樹脂層52には、第1螺旋部41、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部が埋設されている。第1螺旋部41、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部は、螺旋部24の巻回軸方向Zに第1螺旋部用樹脂層52を貫通して形成されている。
第1螺旋部41は、第1コイル末端22から第1コイルサブ末端44に向けて内巻きに巻回されている。第1コイルサブ末端44は、第1螺旋部用樹脂層52の内方領域において任意の領域に形成されている。第1螺旋部41は、第1コイル末端22から実装面3の法線方向Yに引き出された第1引き出し部61を有している。
【0055】
図示はしないが、第1螺旋部41、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部は、第1螺旋部用樹脂層52の表面側からこの順に積層されたチタンシード層および銅めっき層を含む積層構造をそれぞれ有していてもよい。
図11および図13を参照して、接続部用樹脂層53には、接続部43、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部が埋設されている。接続部43、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部は、螺旋部24の巻回軸方向Zに接続部用樹脂層53を貫通して形成されている。
【0056】
接続部43は、螺旋部24の巻回軸方向Zに第1螺旋部41の第1コイルサブ末端44と対向する領域に形成されている。これにより、接続部43は、第1螺旋部41の第1コイルサブ末端44と電気的に接続されている。
図示はしないが、接続部43、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部は、接続部用樹脂層53の表面側からこの順に積層されたチタンシード層および銅めっき層を含む積層構造をそれぞれ有していてもよい。接続部43のチタンシード層は、第1コイルサブ末端44のチタンシード層および銅めっき層に接続されていてもよい。
【0057】
図11および図14を参照して、第2螺旋部用樹脂層54には、第2螺旋部42、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部が埋設されている。第2螺旋部42、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部は、螺旋部24の巻回軸方向Zに第2螺旋部用樹脂層54を貫通して形成されている。
第2螺旋部42は、第2コイル末端23から実装面3の法線方向Yに引き出された第2引き出し部62を有している。第2螺旋部42は、第2コイル末端23から第2コイルサブ末端45に向けて内巻きに巻回されている。
【0058】
第2螺旋部42は、第2コイルサブ末端45を起点にすると、第2コイルサブ末端45から第2コイル末端23に向けて外巻きに巻回されている。このようにして、第2螺旋部42は、第2コイルサブ末端45および第2コイル末端23の間の領域において、螺旋部24の巻回軸方向Zまわりに連続的な螺旋状に引き回されている。
第2コイルサブ末端45は、螺旋部24の巻回軸方向Zに接続部43と対向する領域に形成されている。つまり、接続部43は、第1コイルサブ末端44および第2コイルサブ末端45の間の領域に介在している。
【0059】
第2コイルサブ末端45は、接続部43を介して第1コイルサブ末端44と電気的に接続されている。これにより、第2螺旋部42は、接続部43を介して第1螺旋部41と電気的に接続されている。
図示はしないが、第2螺旋部42、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部は、第2螺旋部用樹脂層54の表面側からこの順に積層されたチタンシード層および銅めっき層を含む積層構造をそれぞれ有していてもよい。第2螺旋部42のチタンシード層は、接続部43のチタンシード層および銅めっき層に接続されていてもよい。
【0060】
この形態では、第1コイル末端22の第1底面延部27および第1側面延部29が、第1螺旋部用樹脂層52、接続部用樹脂層53および第2螺旋部用樹脂層54に亘って形成された例を示した。
しかし、第1コイル末端22の第1底面延部27は、第1螺旋部用樹脂層52、接続部用樹脂層53および第2螺旋部用樹脂層54のうちの少なくも一層に形成されていてもよい。同様に、第1コイル末端22の第1側面延部29は、第1螺旋部用樹脂層52、接続部用樹脂層53および第2螺旋部用樹脂層54のうちの少なくも一層に形成されていてもよい。
【0061】
また、この形態では、第2コイル末端23の第2底面延部33および第2側面延部35が、第1螺旋部用樹脂層52、接続部用樹脂層53および第2螺旋部用樹脂層54に亘って形成された例を示した。
しかし、第1コイル末端22の第2底面延部33は、第1螺旋部用樹脂層52、接続部用樹脂層53および第2螺旋部用樹脂層54のうちの少なくも一層に形成されていてもよい。同様に、第2コイル末端23の第2側面延部35は、第1螺旋部用樹脂層52、接続部用樹脂層53および第2螺旋部用樹脂層54のうちの少なくも一層に形成されていてもよい。
【0062】
図15は、図1に示すチップインダクタ1のQ値(Quality Factor)をシミュレーションにより求めたグラフである。図15において、縦軸は、Q値であり、横軸は、周波数f[Hz]である。
ここでは、封止体2の幅W1は0.4mm程度である。また、封止体2の幅W2は0.175mm程度である。また、封止体2の幅W3は0.3mm程度である。また、コイル導体21のインダクタンス成分Lは、3.0nH程度である。
【0063】
図15には、曲線Aが示されている。曲線Aは、コイル導体21を流れる電流の周波数fを0Hzから10GHzまで増加させた場合のチップインダクタ1のQ値を表している。
曲線Aを参照して、チップインダクタ1のQ値は、低周波域から高周波域に向けて単調に増加していることがわかる。より具体的には、周波数fが1GHz以上のときのQ値は、25以上である。また、周波数fが2GHz以上のときのQ値は、40以上である。また、周波数fが3GHz以上のときのQ値は、60以上である。
【0064】
この形態に係るチップインダクタ1は、高周波域でのQ値の減衰が小さいことから、高周波用インダクタンスとして優れた特性を有していることが分かった。
以上のように、この形態に係るチップインダクタ1によれば、コイル導体21が、第1コイル末端22および第2コイル末端23から実装面3の法線方向Yに沿って螺旋状に引き回された螺旋部24を含む。コイル導体21の巻き数や断面積を大きくする場合、封止体2の実装面3の法線方向Yに沿って3次元的にコイル導体21を大型化できる。
【0065】
これにより、封止体2の実装面3に沿って2次元的にコイル導体21が大型化するのを抑制できる。よって、実装基板等の接続対象物の表面に対する封止体2の専有面積が2次元的に増加するのを抑制できる。その結果、実装基板等の接続対象物に対する専有面積の増加を抑制でき、かつ、Q値を向上できるチップインダクタ1を提供できる。
また、この形態に係るチップインダクタ1によれば、第1外部端子6は、第1底面端子10および第1側面端子11を含み、第2外部端子7は、第2底面端子12および第2側面端子13を含む。
【0066】
実装基板等の接続対象物に実装した場合には、封止体2の実装面3側、第1接続面5a側および第2接続面5b側からチップインダクタ1を固定できる。これにより、実装基板等の接続対象物に対するチップインダクタ1の接続強度を向上できる。
図16A図16Kは、図1に示すチップインダクタ1の製造方法を説明するための図である。チップインダクタ1の製造工程では、複数のチップインダクタ1が同時に製造されるが、図16A図16Kでは、説明の便宜上、4つのチップインダクタ1が形成される領域のみが示されている。
【0067】
まず、図16Aを参照して、ベース部材71が準備される。ベース部材71は、チップインダクタ1の製造用の土台として使用されるものであり、製造途中で除去される。チップインダクタ1の製造途中で除去可能な材料であれば、あらゆる材料が、ベース部材71の材料として使用され得る。
ベース部材71は、半導体ウエハ、金属基板、樹脂製テープ等であってもよい。シリコン基板や窒化物半導体基板等が、半導体ウエハとして例示され得る。銅基板やステンレス基板等が、金属基板として例示され得る。ここでは、ベース部材71がシリコン基板(半導体ウエハ)からなる例について説明する。
【0068】
次に、図16Bを参照して、第1ベース樹脂層51となるフィルム状の第1フォトレジスト層72がベース部材71に貼付される。第1フォトレジスト層72は、この形態では、エポキシ樹脂を含むネガティブタイプのフォトレジスト層である。第1フォトレジスト層72の厚さは、たとえば45μmである。
次に、第1フォトレジスト層72に対して、チップインダクタ1を形成するためのチップ形成領域73が複数設定される。また、第1フォトレジスト層72に対して、複数のチップ形成領域73の間の領域を区画する境界領域74が設定される。
【0069】
複数のチップ形成領域73は、任意の第1方向U1、および、第1方向U1に交差(直交)する第2方向U2に沿って間隔を空けて設定されてもよい。ここでは、平面視において、複数のチップ形成領域73が第1フォトレジスト層72に行列状に設定され、境界領域74が第1フォトレジスト層72に格子状に設定された例について説明する。
次に、第1フォトレジスト層72において複数のチップ形成領域73が設定された領域が選択的に露光される。次に、第1フォトレジスト層72が、現像液への浸漬を経て、現像される。これにより、チップ形成領域73を画定する複数の第1ベース樹脂層51が、ベース部材71の上に形成される。
【0070】
次に、図16Cを参照して、第1螺旋部用樹脂層52となるフィルム状の第2フォトレジスト層75(第1絶縁体層)がベース部材71に貼付される。第2フォトレジスト層75は、複数の第1ベース樹脂層51を被覆する。第2フォトレジスト層75は、この形態では、エポキシ樹脂を含むネガティブタイプのフォトレジスト層である。第2フォトレジスト層75の厚さは、たとえば20μmである。
【0071】
次に、第2フォトレジスト層75において第1ベース樹脂層51の上に位置する領域が選択的に露光される。この工程では、第1螺旋部41、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部に対応するパターンで第2フォトレジスト層75が露光される。
次に、第2フォトレジスト層75が、現像液への浸漬を経て、現像される。これにより、複数の第1ベース樹脂層51の上に、第1螺旋部用樹脂層52がそれぞれ形成される。また、これにより、各第1螺旋部用樹脂層52に、第1螺旋部41、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部に対応するパターンの開口76が形成される。
【0072】
次に、図16Dを参照して、第1螺旋部用樹脂層52の表面を被覆するチタンシード層(図示せず)および銅シード層(図示せず)がこの順に形成される。チタンシード層および銅シード層は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。チタンシード層および銅シード層は、一方表面および他方表面が、第1螺旋部用樹脂層52の表面および開口76の内壁に沿うように形成される。
【0073】
次に、たとえば電解めっき法によって、銅シード層の上に銅めっき層が形成される。銅めっき層は、開口76を埋めて第1螺旋部用樹脂層52の表面を被覆するように形成される。
次に、第1螺旋部用樹脂層52の表面の上に形成されたチタンシード層、銅シード層および銅めっき層の不要な部分が除去される。これにより、第1螺旋部41、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部が、第1螺旋部用樹脂層52の開口76に埋め込まれる。
【0074】
次に、図16Eを参照して、接続部用樹脂層53となるフィルム状の第3フォトレジスト層77(第2絶縁体層)がベース部材71に貼付される。第3フォトレジスト層77は、複数の第1螺旋部用樹脂層52を被覆する。第3フォトレジスト層77は、この形態では、エポキシ樹脂を含むネガティブタイプのフォトレジスト層である。第3フォトレジスト層77の厚さは、たとえば40μmである。
【0075】
次に、第3フォトレジスト層77において第1螺旋部用樹脂層52の上に位置する領域が選択的に露光される。この工程では、接続部43、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部に対応するパターンで第3フォトレジスト層77が露光される。
次に、第3フォトレジスト層77が、現像液への浸漬を経て、現像される。これにより、複数の第1螺旋部用樹脂層52の上に、接続部用樹脂層53がそれぞれ形成される。また、各接続部用樹脂層53に、接続部43、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部に対応するパターンの開口78が形成される。
【0076】
次に、図16Fを参照して、接続部用樹脂層53の表面を被覆するチタンシード層(図示せず)および銅シード層(図示せず)がこの順に形成される。チタンシード層および銅シード層は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。チタンシード層および銅シード層は、一方表面および他方表面が、接続部用樹脂層53の表面および開口78の内壁に沿うように形成される。
【0077】
次に、たとえば電解めっき法によって、銅シード層の上に銅めっき層が形成される。銅めっき層は、開口78を埋めて接続部用樹脂層53の表面を被覆するように形成される。
次に、接続部用樹脂層53の表面の上に形成されたチタンシード層、銅シード層および銅めっき層の不要な部分が除去される。これにより、接続部43、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部が、接続部用樹脂層53の開口78に埋め込まれる。
【0078】
次に、図16Gを参照して、第2螺旋部用樹脂層54となるフィルム状の第4フォトレジスト層79(第3絶縁体層)がベース部材71に貼付される。第4フォトレジスト層79は、複数の接続部用樹脂層53を被覆する。第4フォトレジスト層79は、この形態では、エポキシ樹脂を含むネガティブタイプのフォトレジスト層である。第4フォトレジスト層79の厚さは、たとえば20μmである。
【0079】
次に、第4フォトレジスト層79において接続部用樹脂層53の上に位置する領域が選択的に露光される。この工程では、第2螺旋部42、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部に対応するパターンで第4フォトレジスト層79が露光される。
次に、第4フォトレジスト層79が、現像液への浸漬を経て、現像される。これにより、複数の接続部用樹脂層53の上に、第2螺旋部用樹脂層54がそれぞれ形成される。また、これにより、各第2螺旋部用樹脂層54に、第2螺旋部42、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部に対応するパターンの開口80が形成される。
【0080】
次に、図16Hを参照して、第2螺旋部用樹脂層54の表面を被覆するチタンシード層(図示せず)および銅シード層(図示せず)がこの順に形成される。チタンシード層および銅シード層は、スパッタ法によってそれぞれ形成されてもよい。チタンシード層および銅シード層は、一方表面および他方表面が、第2螺旋部用樹脂層54の表面および第2螺旋部用樹脂層54の開口80の内壁に沿うように形成される。
【0081】
次に、たとえば電解めっき法によって、銅シード層の上に銅めっき層が形成される。銅めっき層は、開口80を埋めて第2螺旋部用樹脂層54の表面を被覆するように形成される。
次に、第2螺旋部用樹脂層54の表面の上に形成されたチタンシード層、銅シード層および銅めっき層の不要な部分が除去される。これにより、第2螺旋部用樹脂層54の開口80に、第2螺旋部42、第1コイル末端22の一部および第2コイル末端23の一部が埋め込まれる。
【0082】
次に、図16Iを参照して、第2ベース樹脂層55となるフィルム状の第5フォトレジスト層81がベース部材71に貼付される。第5フォトレジスト層81は、複数の第2螺旋部用樹脂層54を被覆する。第5フォトレジスト層81は、この形態では、エポキシ樹脂を含むネガティブタイプのフォトレジスト層である。第5フォトレジスト層81の厚さは、たとえば40μmである。
【0083】
次に、第5フォトレジスト層81において第2螺旋部用樹脂層54の上に位置する領域が選択的に露光される。次に、第5フォトレジスト層81が、現像液への浸漬を経て、現像される。これにより、複数の第2螺旋部用樹脂層54の上に、第2ベース樹脂層55がそれぞれ形成される。
このようにして、第1フォトレジスト層72、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79および第5フォトレジスト層81が積層されたフォトレジスト積層体からなる複数の封止体2が形成される。この封止体2の外面には、コイル導体21の第1コイル末端22および第2コイル末端23が露出している。
【0084】
次に、図16Jを参照して、たとえば電解めっき法によって、各封止体2の第1コイル末端22および第2コイル末端23を起点にして、ニッケル層、パラジウム層、金層が順に形成される。これにより、第1外部端子6および第2外部端子7が、複数の封止体2の外面にそれぞれ形成される。
次に、図16Kを参照して、ベース部材71から複数の封止体2が分離される。ベース部材71からチップインダクタ1を分離する工程は、ベース部材71から複数の封止体2を剥離する工程を含んでいてもよい。また、ベース部材71から複数の封止体2を分離する工程は、ベース部材71を除去する工程を含んでいてもよい。
【0085】
ベース部材71を除去する工程は、たとえば研削によってベース部材71を除去する工程であってもよい。ベース部材71を除去する工程は、エッチング法によってベース部材71を除去する工程であってもよい。ベース部材71を除去する工程は、たとえば剥離によってベース部材71を除去する工程であってもよい。以上の工程を経て、複数のチップインダクタ1が製造される。
【0086】
図17は、本発明の第2実施形態に係るチップインダクタ91の斜視図である。チップインダクタ91において、チップインダクタ1の構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
第1外部端子6は、この形態では、第1側面端子11を含まず、第1底面端子10だけを有している。同様に、第2外部端子7は、第2側面端子13を含まず、第2底面端子12だけを有している。
【0087】
図示はしないが、第1コイル末端22は、第1側面部分26を含まず、第1底面部分25だけを有している。同様に、第2コイル末端23は、第2側面部分32を含まず、第2底面部分31だけを有している。
チップインダクタ91は、前述の図16A図16Kの工程において、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79の各露光パターンを変更することにより製造できる。
【0088】
以上、チップインダクタ91によっても、チップインダクタ1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
チップインダクタ91では、封止体2の第1接続面5a側および第2接続面5b側に第1側面端子11および第2側面端子13が形成されていない。したがって、実装基板等の接続対象物に実装した場合には、チップインダクタ91の側方に半田等の接合部材が濡れ拡がるのを抑制できる。
【0089】
よって、半田等の濡れ拡がる領域の拡大を抑制できる分だけ、チップインダクタ91に対して他の電子部品を近接配置できる。その結果、実装基板等の接続対象物の高密実装化に寄与できるチップインダクタ91を提供できる。
図18は、本発明の第3実施形態に係るチップインダクタ92の斜視図である。チップインダクタ92において、チップインダクタ1の構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0090】
この形態では、第1外部端子6は、第1底面端子10および第1側面端子11に加えて、第1角部8を被覆する第1角部端子93を含む。第1角部端子93は、第1底面端子10および第1側面端子11と一体的に形成されている。
同様に、第2外部端子7は、第2底面端子12および第2側面端子13に加えて、第2角部9を被覆する第2角部端子94を含む。第2角部端子94は、第2底面端子12および第2側面端子13と一体的に形成されている。
【0091】
チップインダクタ92は、前述の図16A図16Kの工程において、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79の各露光パターンを変更することにより製造できる。
以上、この形態に係るチップインダクタ92によっても、チップインダクタ91に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
【0092】
図19は、本発明の第4実施形態に係るチップインダクタ95の斜視図である。チップインダクタ95において、チップインダクタ1の構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
チップインダクタ95は、第1外部端子6および第2外部端子7に代えて、第1コイル末端22が第1外部端子6として形成され、かつ、第2コイル末端23が第2外部端子7として形成されている。
【0093】
より具体的には、第1コイル末端22では、第1底面部分25および第1側面部分26が、第1外部端子6として形成されている。同様に、第2コイル末端23では、第2底面部分31および第2側面部分32が、第2外部端子7として形成されている。
チップインダクタ95は、前述の図16Jの工程において第1外部端子6および第2外部端子7を形成する工程を省くことにより製造できる。
【0094】
以上、チップインダクタ95によっても、チップインダクタ1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
チップインダクタ95において、第1側面部分26を有さず、第1底面部分25だけを含む第1コイル末端22が採用されてもよい。同様に、第2側面部分32を有さず、第2底面部分31だけを含む第2コイル末端23が採用されてもよい。
【0095】
図20は、本発明の第5実施形態に係るチップインダクタ96の分解斜視図である。図20では、第1外部端子6および第2外部端子7の図示を省略している。チップインダクタ96において、チップインダクタ1の構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
チップインダクタ96では、第1螺旋部41の第1コイルサブ末端44および第2螺旋部42の第2コイルサブ末端45が、螺旋部24の巻回軸方向Zに互いに対向しない領域に形成されている。接続部43は、この形態では、第1接続部97、第2接続部98、ならびに、第1接続部97および第2接続部98の間の領域を延びる延部99を含む。
【0096】
接続部43の第1接続部97は、螺旋部24の巻回軸方向Zに第1螺旋部41の第1コイルサブ末端44と対向している。接続部43の第1接続部97は、第1螺旋部41の第1コイルサブ末端44と電気的に接続されている。
接続部43の第2接続部98は、螺旋部24の巻回軸方向Zに第2螺旋部42の第2コイルサブ末端45と対向している。接続部43の第2接続部98は、第2螺旋部42の第2コイルサブ末端45と電気的に接続されている。
【0097】
接続部43の延部99は、第1接続部97から第2接続部98に向けてライン状に引き回されている。接続部43の延部99は、この形態では、第1接続部97および第2接続部98の間の領域を螺旋部24の巻回方向に沿って延びている。これにより、第1螺旋部41および第2螺旋部42が連続的に巻回方向に巻回されている。
チップインダクタ96は、前述の図16Eの工程において第3フォトレジスト層77の露光パターンを変更することにより製造できる。
【0098】
以上、チップインダクタ96によっても、チップインダクタ1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。チップインダクタ96のような構造は、前述の第2~第4実施形態にも適用可能である。
図21は、本発明の第6実施形態に係るチップインダクタ100の第1螺旋部用樹脂層52の平面図である。図22は、図21に示すチップインダクタ100の第2螺旋部用樹脂層54の平面図である。チップインダクタ100において、チップインダクタ1の構成に対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0099】
図21を参照して、第1螺旋部41の第1引き出し部61は、この形態では、第1延部101および第2延部102を有している。第1引き出し部61の第1延部101は、実装面3に沿って第1コイル末端22から第2コイル末端23側に向けて延びている。
第1引き出し部61の第1延部101は、第1コイル末端22に接続された一端部および第2コイル末端23側に位置する他端部を有している。第1引き出し部61の第2延部102は、第1延部101の他端部から実装面3の法線方向Yに沿って延びている。
【0100】
図22を参照して、第2螺旋部42の第2引き出し部62は、この形態では、第3延部103および第4延部104を有している。第2引き出し部62の第3延部103は、実装面3に沿って第2コイル末端23から第1コイル末端22側に向けて延びている。
第2引き出し部62の第3延部103は、第2コイル末端23に接続された一端部および第1コイル末端22側に位置する他端部を有している。第2引き出し部62の第4延部104は、第3延部103の他端部から実装面3の法線方向Yに沿って延びている。
【0101】
チップインダクタ100は、前述の図16Cの工程において第2フォトレジスト層75の露光パターンを変更し、かつ、図16Gの工程において第4フォトレジスト層79の露光パターンを変更することにより製造できる。
以上、チップインダクタ100によっても、チップインダクタ1に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。チップインダクタ100のような構造は、前述の第2~第5実施形態にも適用可能である。
【0102】
以上、本発明の第1実施形態~第6実施形態について説明したが、本発明は、第1実施形態~第6実施形態以外の形態で実施することもできる。
前述の各実施形態では、第1フォトレジスト層72、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79および第5フォトレジスト層81(ここでは、単に「複数の樹脂層」という。)が、ネガティブタイプのフォトレジスト層である例について説明した。
【0103】
しかし、複数の樹脂層は、ポジティブタイプのフォトレジスト層であってもよい。むろん、複数の樹脂層のうちの少なくとも1つがポジティブタイプのフォトレジスト層であり、残りがネガティブタイプのフォトレジスト層であってもよい。
前述の各実施形態では、複数の樹脂層が、チップ形成領域73の形状にパターニングされた例について説明した。しかし、複数の樹脂層は、チップ形成領域73の形状にパターニングされずに、そのまま積層されてもよい。
【0104】
この場合、複数の樹脂層の積層体の内部において、複数のチップ形成領域73に対応する領域にコイル導体21をそれぞれ作り込んだ後、ダイシングブレードによって積層体から複数のチップインダクタ1の個片を切り出してもよい。
前述の各実施形態では、複数の樹脂層がフィルム状のフォトレジスト層である例について説明した。しかし、複数の樹脂層は、たとえば液状の樹脂を硬化させたフォトレジスト層を含んでいてもよい。この場合、たとえばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法による平坦化処理が、複数の樹脂層の各表面に施されていてもよい。
【0105】
また、前述の各実施形態において、複数の樹脂層に代えて、たとえばCVD(Chemical
Vapor Deposition:化学気相成長)法によって複数の絶縁体層が形成されてもよい。この場合、複数の絶縁体層の各パターニングは、マスクを介するエッチング法により行われてもよい。また、この場合、たとえばCMP法による平坦化処理が、各絶縁体層の表面に施されていてもよい。
【0106】
前述の各実施形態において、コイル導体21の螺旋部24は、n(nは2以上の自然数)層からなる複数の螺旋部を有していてもよい。つまり、複数の螺旋部は、第1螺旋部41、第2螺旋部42、第3螺旋部、・・・第n螺旋部を含んでいてもよい。また、コイル導体21の螺旋部24は、第(n-1)螺旋部および第n螺旋部の間において、第(n-1)螺旋部および第n螺旋部を接続する第(n-1)接続部を有していてもよい。
【0107】
この場合、封止体2は、第n螺旋部の積層数に応じて、第n螺旋部用の第n螺旋部用樹脂層を有していてもよい。さらに、封止体2は、第(n-1)螺旋部用樹脂層および第n螺旋部用樹脂層の間において、第(n-1)接続部用の第(n-1)接続部用樹脂層を有していてもよい。
前述の各実施形態において、第1外部端子6が、第1底面端子10を含まず、第1側面端子11だけを有している構造が採用されてもよい。この場合、第1コイル末端22は、第1底面部分25を含まず、第1側面部分26だけを有している。
【0108】
このような構造の第1外部端子6は、前述の図16A図16Kの工程において、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79の各露光パターンを変更することにより製造できる。
前述の各実施形態において、第2外部端子7が、第2底面端子12を含まず、第2側面端子13だけを有している構造が採用されてもよい。この場合、第2コイル末端23は、第2底面部分31を含まず、第2側面部分32だけを有している。
【0109】
このような構造の第2外部端子7は、前述の図16A図16Kの工程において、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79の各露光パターンを変更することにより製造できる。
図23は、図1に示すチップインダクタ1の底面図であって、第1コイル末端22および第2コイル末端23の第1変形例を説明するための図である。図23において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0110】
本変形例のように、実装面3から露出する複数の第1底面凸部28は、平面視千鳥状に形成されていてもよい。つまり、接続部用樹脂層53に形成された複数の第1底面凸部28は、第1螺旋部用樹脂層52に形成された複数の第1底面凸部28に対して第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向Xにずれていてもよい。
同様に、実装面3から露出する複数の第2底面凸部34は、平面視千鳥状に形成されていてもよい。つまり、接続部用樹脂層53に形成された複数の第2底面凸部34は、第1螺旋部用樹脂層52に形成された複数の第2底面凸部34に対して第1コイル末端22および第2コイル末端23の対向方向Xにずれていてもよい。
【0111】
複数の第1底面凸部28と同様に、複数の第1側面凸部30も、側面視千鳥状に形成されていてもよい。複数の第2底面凸部34と同様に、複数の第2側面凸部36も、側面視千鳥状に形成されていてもよい。
このような構造の第1コイル末端22および第2コイル末端23は、前述の図16A図16Kの工程において、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79の各露光パターンを変更することにより製造できる。
【0112】
このような構造の第1コイル末端22および第2コイル末端23が形成されていてもよい。本変形例に係る第1コイル末端22および第2コイル末端23は、第2実施形態~第6実施形態にも適用可能である。
図24は、図1に示すチップインダクタ1の底面図であって、第1コイル末端22および第2コイル末端23の第2変形例を説明するための図である。図24において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0113】
本変形例のように、第1コイル末端22の第1底面部分25は、複数の第1底面凸部28に代えて1つの幅広の第1底面凸部28を含んでいてもよい。同様に、第2コイル末端23の第2底面部分31は、複数の第2底面凸部34に代えて1つの幅広の第2底面凸部34を含んでいてもよい。
第1底面部分25と同様に、第1コイル末端22の第1側面部分26は、複数の第1側面凸部30に代えて1つの幅広の第1側面凸部30を含んでいてもよい。また、第2底面部分31と同様に、第2コイル末端23の第2側面部分32は、複数の第2側面凸部36に代えて1つの幅広の第2側面凸部36を含んでいてもよい。
【0114】
このような構造の第1コイル末端22および第2コイル末端23は、前述の図16A図16Kの工程において、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79の各露光パターンを変更することにより製造できる。
このような構造の第1コイル末端22および第2コイル末端23が形成されていてもよい。本変形例に係る第1コイル末端22および第2コイル末端23は、第2実施形態~第6実施形態にも適用可能である。
【0115】
図25は、図1に示すチップインダクタ1の底面図であって、第1コイル末端22および第2コイル末端23の第3変形例を説明するための図である。図25において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
本変形例のように、第1コイル末端22において、接続部用樹脂層53だけに幅広の第1底面凸部28が形成されていてもよい。同様に、第2コイル末端23において、接続部用樹脂層53だけに幅広の第2底面凸部34が形成されていてもよい。
【0116】
むろん、第1コイル末端22において、接続部用樹脂層53に代えてまたはこれに加えて、第1螺旋部用樹脂層52に幅広の第1底面凸部28が形成されていてもよい。また、第1コイル末端22において、接続部用樹脂層53に代えてまたはこれに加えて、第2螺旋部用樹脂層54に幅広の第1底面凸部28が形成されていてもよい。
また、第1コイル末端22において、接続部用樹脂層53に複数の第1底面凸部28が形成されている一方で、第1螺旋部用樹脂層52および第2螺旋部用樹脂層54に幅広の第1底面凸部28が形成されていてもよい。
【0117】
同様に、第2コイル末端23において、接続部用樹脂層53に代えてまたはこれに加えて、第1螺旋部用樹脂層52に幅広の第2底面凸部34が形成されていてもよい。また、第2コイル末端23において、接続部用樹脂層53に代えてまたはこれに加えて、第2螺旋部用樹脂層54に幅広の第2底面凸部34が形成されていてもよい。
また、第2コイル末端23において、接続部用樹脂層53に複数の第2底面凸部34が形成されている一方で、第1螺旋部用樹脂層52および第2螺旋部用樹脂層54に幅広の第2底面凸部34が形成されていてもよい。
【0118】
このような構造の第1コイル末端22および第2コイル末端23は、前述の図16A図16Kの工程において、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79の各露光パターンを変更することにより製造できる。
このような構造の第1コイル末端22および第2コイル末端23が形成されていてもよい。本変形例に係る第1コイル末端22および第2コイル末端23は、第2実施形態~第6実施形態にも適用可能である。
【0119】
図26は、図1に示すチップインダクタ1の斜視図であって、第1コイル末端22および第2コイル末端23の第4変形例を説明するための図である。図26では、第1外部端子6および第2外部端子7の図示を省略している。図26において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
本変形例では、第1コイル末端22の第1底面部分25は、複数の第1底面凸部28に代えて1つの幅広の第1底面凸部28を含む。同様に、第2コイル末端23の第2底面部分31は、複数の第2底面凸部34に代えて1つの幅広の第2底面凸部34を含む。本変形例のように、第1コイル末端22において、第1底面凸部28および第1側面凸部30は、一体的に形成されていてもよい。
【0120】
本変形例では、第1コイル末端22の第1側面部分26は、複数の第1側面凸部30に代えて1つの幅広の第1側面凸部30を含む。同様に、第2コイル末端23の第2側面部分32は、複数の第2側面凸部36に代えて1つの幅広の第2側面凸部36を含む。本変形例のように、第2コイル末端23において、第2底面凸部34および第2側面凸部36は、一体的に形成されていてもよい。
【0121】
このような構造の第1コイル末端22および第2コイル末端23が形成されていてもよい。本変形例に係る第1コイル末端22および第2コイル末端23は、第2実施形態~第6実施形態にも適用可能である。
図27は、第1変形例に係るチップインダクタ111を説明するための図である。図27において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0122】
本変形例に係るチップインダクタ111は、螺旋部24が形成されたインダクタ形成領域112に加えて、キャパシタ部113が形成されたキャパシタ形成領域114を含む。本変形例に係るチップインダクタ111では、キャパシタ形成領域114およびインダクタ形成領域112が、実装面3の法線方向Yに互いに積層配置されている。
キャパシタ形成領域114は、本変形例では、実装面3およびインダクタ形成領域112の間の領域に形成されている。キャパシタ形成領域114は、非実装面4およびインダクタ形成領域112の間の領域に形成されていてもよい。
【0123】
キャパシタ部113は、誘電体115を挟んで互いに対向する第1導体116および第2導体117を含む。誘電体115は、封止体2の一部(複数の樹脂層)を利用して形成されていてもよい。誘電体115は、封止体2とは異なる絶縁体によって形成されていてもよい。
第1導体116は、第1螺旋部41の巻回軸方向Zに沿って延びる板状に形成されていてもよい。第1導体116は、コイル導体21(螺旋部24)と同一材料によって形成されていてもよい。第1導体116は、コイル導体21(螺旋部24)とは異なる導電体によって形成されていてもよい。
【0124】
第2導体117は、第1螺旋部41の巻回軸方向Zに沿って延びる板状に形成されていてもよい。第2導体117は、コイル導体21(螺旋部24)と同一材料によって形成されていてもよい。第2導体117は、コイル導体21(螺旋部24)とは異なる導電体によって形成されていてもよい。
キャパシタ部113は、コイル導体21に対して並列に接続されていてもよい。つまり、第1導体116は、第1配線118を介して第1コイル末端22に電気的に接続されていてもよい。また、第2導体117は、第2配線119を介して第2コイル末端23に電気的に接続されていてもよい。
【0125】
キャパシタ部113は、コイル導体21に対して直列に接続されていてもよい。つまり、キャパシタ部113は、第1外部端子6およびコイル導体21の間、および/または、第2外部端子7およびコイル導体21の間に介装されてもよい。
チップインダクタ111は、前述の図16A図16Kの工程において、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79の各露光パターンを変更することにより製造できる。
【0126】
以上、本変形例に係るチップインダクタ111によっても前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。キャパシタ部113が形成された構造は、第2実施形態~第6実施形態にも適用可能である。
図28は、第2変形例に係るチップインダクタ121を説明するための図である。図28において、前述の第1実施形態において述べた構成と同様の構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0127】
本変形例に係るチップインダクタ121は、螺旋部24が形成されたインダクタ形成領域112に加えて、抵抗部122が形成された抵抗形成領域123を含む。本変形例に係るチップインダクタ121では、インダクタ形成領域112および抵抗形成領域123が、実装面3の法線方向Yに互いに積層配置されている。
抵抗形成領域123は、本変形例では、実装面3および抵抗形成領域123の間の領域に形成されている。抵抗形成領域123は、非実装面4および抵抗形成領域123の間の領域に形成されていてもよい。
【0128】
抵抗部122は、コイル導体21の抵抗率よりも高い抵抗率を有する導電体(たとえばチタンや窒化チタン等)を含む。抵抗部122は、コイル導体21に対して並列に接続されていてもよい。つまり、抵抗部122は、第1コイル末端22および第2コイル末端23に電気的に接続されていてもよい。
抵抗部122は、コイル導体21に対して直列に接続されていてもよい。つまり、抵抗部122は、第1外部端子6およびコイル導体21の間、および/または、第2外部端子7およびコイル導体21の間に介装されてもよい。
【0129】
チップインダクタ111は、前述の図16A図16Kの工程において、第2フォトレジスト層75、第3フォトレジスト層77、第4フォトレジスト層79の各露光パターンを変更し、コイル導体21の抵抗率よりも高い抵抗率を選択的に埋め込むことにより製造できる。
以上、変形例に係るチップインダクタ121によっても前述の第1実施形態において述べた効果と同様の効果を奏することができる。抵抗部122が形成された構造は、第2実施形態~第6実施形態にも適用可能である。
【0130】
図27および図28の構造が組み合わされて、キャパシタ部113および抵抗部122の両方を含む構造が、第2実施形態~第6実施形態に適用されてもよい。むろん、実装面3の法線方向Yに沿って引き回されたキャパシタ部113だけを含むチップ部品(チップキャパシタ)も製造可能である。
また、実装面3の法線方向Yに沿って引き回された抵抗部122だけを含むチップ部品(チップ抵抗)も製造可能である。また、実装面3の法線方向Yに沿って引き回されたキャパシタ部113および抵抗部122だけを含むチップ部品も製造可能である。
【0131】
図29は、本発明の第7実施形態に係るチップキャパシタ301の斜視図である。
チップキャパシタ301は、0603(0.6mm×0.3mm)チップ、0402(0.4mm×0.2mm)チップ、03015(0.3mm×0.15mm)チップ等と称されるチップ部品である。
図29を参照して、チップキャパシタ301は、直方体形状のチップ本体302を含む。チップ本体302は、第1主面303、第1主面303の反対側に位置する第2主面304、ならびに、第1主面303および第2主面304を接続する側面305を含む。第1主面303および第2主面304は、それらの法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において、長辺および短辺を有する長方形状に形成されている。
【0132】
前述の「0603」、「0402」、「03015」等は、チップ本体302の長辺の長さおよびチップ本体302の短辺の長さによって定義される。チップ本体302の厚さは、100μm以上300μm以下(たとえば150μm程度)であってもよい。
チップ本体302は、基板306を含む。基板306は、直方体形状に形成されている。基板306は、第1主面307、第1主面307の反対側に位置する第2主面308、ならびに、第1主面307および第2主面308を接続する側面309を含む。
【0133】
第1主面307および第2主面308は、平面視において長辺および短辺を有する長方形状に形成されている。基板306の第2主面308は、チップ本体302の第2主面308を形成している。基板306の側面309は、チップ本体302の側面305の一部を形成している。
基板306は、0.5MΩ・cm以上1.5MΩ・cm以下(たとえば1.0MΩ・cm程度)の抵抗率を有する高抵抗基板であってもよい。基板306の厚さは、50μm以上250μm以下(たとえば100μm程度)であってもよい。
【0134】
チップ本体302は、基板306の第1主面307の上に形成された表面絶縁膜310を含む。表面絶縁膜310は、基板306の第1主面307の全域を被覆している。表面絶縁膜310は、チップ本体302の側面305の一部を形成している。表面絶縁膜310は、酸化シリコンを含んでいてもよい。表面絶縁膜310の厚さは、たとえば0.1μm以上5μm以下である。
【0135】
チップ本体302は、表面絶縁膜310の上に形成された絶縁層311を含む。絶縁層311は、直方体形状に形成されている。絶縁層311は、一方側の第1主面312、他方側の第2主面313、ならびに、第1主面312および第2主面313を接続する側面314を含む。第1主面312および第2主面313は、平面視において長辺および短辺を有する長方形状に形成されている。
【0136】
絶縁層311の第1主面312は、チップ本体302の第1主面303を形成している。絶縁層311の第2主面313は、表面絶縁膜310に接続されている。絶縁層311の側面314は、チップ本体302の側面305の一部を形成している。
絶縁層311の側面314は、基板306の側面309から内方領域に間隔を空けて形成されている。絶縁層311の側面314および基板306の側面309の間の領域には、段部315が形成されている。段部315からは、表面絶縁膜310の周縁部が露出している。
【0137】
絶縁層311の側面314および基板306の側面309は、ほぼ面一に形成されていてもよい。つまり、絶縁層311の側面314および基板306の側面309の間の領域に段部315が形成されていない構造を有するチップ本体302が採用されてもよい。
絶縁層311は、絶縁体からなる。絶縁体は、酸化シリコン、窒化シリコンまたはセラミックを含む無機系の絶縁体を含んでいてもよい。絶縁体は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の封止樹脂を含む有機系の絶縁体を含んでいてもよい。
【0138】
絶縁層311は、この形態では、樹脂層の単層構造からなる。樹脂層は、有機系の絶縁体としてのエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂は、ネガティブタイプのフォトレジストでもある。絶縁層311は、この形態では、フォトレジスト層からなる。
絶縁層311の厚さは、表面絶縁膜310の厚さよりも大きい。絶縁層311の厚さは、この形態では、10μm以上200μm以下(たとえば50μm程度)である。この厚さの絶縁層311によれば、絶縁層311の第1主面312および基板306の第1主面307の間の領域に形成される寄生容量を低減できる。
【0139】
チップ本体302の第1主面303の上には、第1外部端子316および第2外部端子317が、チップ本体302の長手方向に沿って互いに間隔を空けて形成されている。
第1外部端子316は、チップ本体302の一端部側に形成されている。第1外部端子316は、平面視においてチップ本体302の短手方向に沿って延びる長方形状に形成されている。
【0140】
第2外部端子317は、チップ本体302の他端部側に形成されている。第2外部端子317は、平面視においてチップ本体302の短手方向に沿って延びる長方形状に形成されている。
図30は、図29のチップキャパシタ301の内部構造を示す平面図である。図31は、図30のXXXI-XXXI線に沿う断面図である。図32は、図30のXXXII-XXXII線に沿う断面図である。図33は、図30のXXXIII-XXXIII線に沿う断面図である。図30は、基板306の第1主面307よりも上の構造を取り除いた平面図でもある。
【0141】
図30図33を参照して、基板306の第1主面307には、第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323、第2キャパシタ電極324および誘電体325が埋め込まれている。
図30図32を参照して、第1パッド電極321は、基板306の第1主面307の一端部側に埋め込まれている。より具体的には、第1パッド電極321は、基板306の第1主面307において、第1パッド電極321に対応するパターンで形成された第1パッドトレンチ326に埋め込まれている。
【0142】
第1パッド電極321は、第1外部端子316の直下の領域に形成されている。第1パッド電極321は、基板306の第1主面307の法線方向に、第1外部端子316と対向している。第1パッド電極321は、平面視において基板306の短手方向に沿って延びる長方形状に形成されている。
第1パッド電極321は、基板306側からこの順に積層された第1パッド電極層327および第2パッド電極層328を含む積層構造を有している。第1パッド電極321の第1パッド電極層327は、第1パッドトレンチ326の内壁面に沿って膜状に形成されている。
【0143】
第1パッド電極321の第1パッド電極層327は、第1パッドトレンチ326の内部で凹状の空間を区画している。第1パッド電極321の第2パッド電極層328は、第1パッドトレンチ326の内部に区画された凹状の空間に埋め込まれている。
第1パッド電極321の第1パッド電極層327は、チタンシード層および銅シード層を含んでいてもよい。第1パッド電極321の第2パッド電極層328は、銅を主成分とするめっき層を含んでいてもよい。第1パッド電極321の第2パッド電極層328は、銅を主成分とするめっき層に代えて、埋め込み性に優れたタングステン層を含んでいてもよい。
【0144】
銅を主成分とするめっき層とは、第1パッド電極321の第2パッド電極層328を構成する銅の質量比率(質量%)が、他の成分に対して最も高い金属のことをいう。銅を主成分とするめっき層は、純銅、アルミニウム-銅合金またはアルミニウム-シリコン-銅合金のうちの少なくとも一種を含んでいてもよい。
図30図32を参照して、第2パッド電極322は、第1パッド電極321から間隔を空けて基板306の第1主面307の他端部側に埋め込まれている。より具体的には、第2パッド電極322は、基板306の第1主面307において、第2パッド電極322に対応するパターンで形成された第2パッドトレンチ329に埋め込まれている。
【0145】
第2パッド電極322は、第2外部端子317の直下の領域に形成されている。第2パッド電極322は、基板306の第1主面307の法線方向に、第2外部端子317と対向している。第2パッド電極322は、平面視において基板306の短手方向に沿って延びる長方形状に形成されている。
第2パッド電極322は、基板306の長手方向に沿って第1パッド電極321と対向している。以下では、第1パッド電極321および第2パッド電極322が対向する方向を、単に「対向方向XX」という。また、対向方向XXに直交し、かつ、基板306の第1主面307の法線方向に直交する方向を、単に「直交方向YY」という。
【0146】
第2パッド電極322は、基板306側からこの順に積層された第1パッド電極層330および第2パッド電極層331を含む積層構造を有している。第2パッド電極322の第1パッド電極層330は、第2パッドトレンチ329の内壁面に沿って膜状に形成されている。
第2パッド電極322の第1パッド電極層330は、第2パッドトレンチ329の内部で凹状の空間を区画している。第2パッド電極322の第2パッド電極層331は、第2パッドトレンチ329の内部に区画された凹状の空間に埋め込まれている。
【0147】
第2パッド電極322の第1パッド電極層330は、第1パッド電極321の第1パッド電極層327と同一の材料種によって形成されていてもよい。第2パッド電極322の第1パッド電極層330の厚さは、第1パッド電極321の第1パッド電極層327の厚さとほぼ等しくてもよい。
第2パッド電極322の第2パッド電極層331は、第1パッド電極321の第2パッド電極層328と同一の材料種によって形成されていてもよい。第2パッド電極322の第2パッド電極層331の厚さは、第1パッド電極321の第2パッド電極層328の厚さとほぼ等しくてもよい。
【0148】
図30および図31を参照して、第1キャパシタ電極323は、平面視において第1パッド電極321および第2パッド電極322の間の領域に埋め込まれている。より具体的には、第1キャパシタ電極323は、基板306の第1主面307において、第1キャパシタ電極323に対応するパターンで形成された第1キャパシタトレンチ332に埋め込まれている。
【0149】
第1キャパシタ電極323は、対向方向XXに沿って延びる帯状に形成されている。第1キャパシタ電極323は、この形態では、基板306の厚さ方向に沿って延びる矩形状に形成されている。第1キャパシタ電極323は、対向方向XXに沿って延びる壁状に埋め込まれている。
第1キャパシタ電極323は、第1パッド電極321側に位置する一端部および第2パッド電極322側に位置する他端部を有している。第1キャパシタ電極323の一端部は、第1パッド電極321に接続されている。第1キャパシタ電極323の他端部は、第2パッド電極322に対して第1パッド電極321側に間隔を空けた位置に形成されている。
【0150】
これにより、第1キャパシタ電極323は、第1パッド電極321から引き出されている。また、第1キャパシタ電極323は、第2パッド電極322から絶縁されている。
この形態では、複数の第1キャパシタ電極323が、直交方向YYに沿って間隔を空けて形成されている。これにより、複数の第1キャパシタ電極323が対向方向XXに沿って延びるストライプ状に形成されている。
【0151】
第1キャパシタ電極323は、基板306側からこの順に積層された第1キャパシタ電極層333および第2キャパシタ電極層334を含む積層構造を有している。
第1キャパシタ電極323の第1キャパシタ電極層333は、第1キャパシタトレンチ332の内壁面に沿って膜状に形成されている。第1キャパシタ電極323の第1キャパシタ電極層333は、第1キャパシタトレンチ332の内部で凹状の空間を区画している。第1キャパシタ電極層333は、第1パッド電極321の第1パッド電極層327と一体的に形成されている。
【0152】
第1キャパシタ電極層333の厚さは、第1パッド電極321の第1パッド電極層327の厚さとほぼ等しくてもよい。第1キャパシタ電極層333は、第1パッド電極321の第1パッド電極層327と同一の材料種によって形成されていてもよい。
第1キャパシタ電極323の第2キャパシタ電極層334は、第1キャパシタトレンチ332の内部に区画された凹状の空間に埋め込まれている。第2キャパシタ電極層334は、第1パッド電極321の第2パッド電極層328と一体的に形成されている。
【0153】
第2キャパシタ電極層334の厚さは、第1パッド電極321の第2パッド電極層328の厚さとほぼ等しくてもよい。第2キャパシタ電極層334は、第1パッド電極321の第2パッド電極層328と同一の材料種によって形成されていてもよい。
図30および図32を参照して、第2キャパシタ電極324は、平面視において第1パッド電極321および第2パッド電極322の間の領域に埋め込まれている。より具体的には、第2キャパシタ電極324は、基板306の第1主面307において、第2キャパシタ電極324に対応するパターンで形成された第2キャパシタトレンチ335に埋め込まれている。
【0154】
第2キャパシタ電極324は、対向方向XXに沿って延びる帯状に形成されている。第2キャパシタ電極324は、この形態では、基板306の厚さ方向に沿って延びる矩形状に形成されている。第2キャパシタ電極324は、対向方向XXに沿って延びる壁状に埋め込まれている。
第2キャパシタ電極324は、第1キャパシタ電極323から直交方向YYに間隔を空けて形成されている。第2キャパシタ電極324は、直交方向YYに沿って第1キャパシタ電極323と対向している。
【0155】
第2キャパシタ電極324は、第2パッド電極322側に位置する一端部および第1パッド電極321側に位置する他端部を有している。第2キャパシタ電極324の一端部は、第2パッド電極322に接続されている。第2キャパシタ電極324の他端部は、第1パッド電極321に対して第2パッド電極322側に間隔を空けた位置に形成されている。
【0156】
これにより、第2キャパシタ電極324は、第2パッド電極322から引き出されている。また、第2キャパシタ電極324は、第1パッド電極321から絶縁されている。
複数の第2キャパシタ電極324は、この形態では、対向方向XXに直交する方向に沿って間隔を空けて形成されている。これにより、複数の第2キャパシタ電極324が対向方向XXに沿って延びるストライプ状に形成されている。
【0157】
複数の第1キャパシタ電極323および複数の第2キャパシタ電極324は、直交方向YYに沿って交互に形成されている。複数の第1キャパシタ電極323および複数の第2キャパシタ電極324は、平面視において互いに噛合う櫛歯状に形成されている。
第2キャパシタ電極324は、基板306側からこの順に積層された第1電極層336および第2電極層337を含む積層構造を有している。第2キャパシタ電極324の第1電極層336は、第2キャパシタトレンチ335の内壁面に沿って膜状に形成されている。
【0158】
第2キャパシタ電極324の第1電極層336は、第2キャパシタトレンチ335の内部で凹状の空間を区画している。第1電極層336は、第2パッド電極322の第1パッド電極層330と一体的に形成されている。
第1電極層336の厚さは、第2パッド電極322の第1パッド電極層330の厚さとほぼ等しくてもよい。第1電極層336は、第2パッド電極322の第1パッド電極層330と同一の材料種によって形成されていてもよい。
【0159】
第2キャパシタ電極324の第2電極層337は、第2キャパシタトレンチ335の内部に区画された凹状の空間に埋め込まれている。第2電極層337は、第2パッド電極322の第2パッド電極層331と一体的に形成されている。
第2電極層337の厚さは、第2パッド電極322の第2パッド電極層331の厚さとほぼ等しくてもよい。第2電極層337は、第2パッド電極322の第2パッド電極層331と同一の材料種によって形成されていてもよい。
【0160】
図31図33を参照して、第1パッドトレンチ326の内壁面、第2パッドトレンチ329の内壁面、第1キャパシタトレンチ332の内壁面および第2キャパシタトレンチ335の内壁面には、膜状の内壁絶縁膜338が形成されている。内壁絶縁膜338は、基板306の第1主面307を被覆する表面絶縁膜310と一体的に形成されている。
第1パッド電極321は、内壁絶縁膜338を介して第1パッドトレンチ326に埋め込まれている。第2パッド電極322は、内壁絶縁膜338を介して第2パッドトレンチ329に埋め込まれている。
【0161】
第1キャパシタ電極323は、内壁絶縁膜338を介して第1キャパシタトレンチ332に埋め込まれている。第2キャパシタ電極324は、内壁絶縁膜338を介して第2キャパシタトレンチ335に埋め込まれている。
内壁絶縁膜338は、この形態では、基板306に対して酸化処理(たとえば熱酸化処理)を施すことによって形成した酸化膜を含む。図33を参照して、この形態では、基板306において第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324の間の領域が完全に絶縁化(酸化)されている。
【0162】
つまり、第1キャパシタトレンチ332側の内壁絶縁膜338および第2キャパシタトレンチ335側の内壁絶縁膜338は、基板306において第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335の間の領域で互いに重なり合っている。
これにより、誘電体325は、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324の間の領域に形成された内壁絶縁膜338によって形成されている。また、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324は、誘電体325だけを挟んで互いに対向している。
【0163】
誘電体325を挟んで互いに対向する第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324により、1つのキャパシタ要素が形成されている。第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324の対向面積を調節することにより、および/または、キャパシタ要素の個数を調節することにより、チップキャパシタ301の容量値を任意の値に設定できる。
【0164】
図31および図32を参照して、絶縁層311には、第1パッド開口341および第2パッド開口342が形成されている。
第1パッド開口341は、この形態では、第1パッド電極321の一部の領域を露出させている。第1パッド開口341は、第1パッド電極321のほぼ全域を露出させていてもよい。
【0165】
第1パッド開口341の開口端は、この形態では、第1パッド開口341内に向かう凸湾曲状に形成されている。第1パッド開口341の開口端は、絶縁層311の第1主面312および第1パッド開口341の内壁を接続する部分である。
第2パッド開口342は、この形態では、第2パッド電極322の一部の領域を露出させている。第2パッド開口342は、第2パッド電極322のほぼ全域を露出させていてもよい。
【0166】
第2パッド開口342の開口端は、この形態では、第2パッド開口342内に向かう凸湾曲状に形成されている。第2パッド開口342の開口端は、絶縁層311の第1主面312および第2パッド開口342の内壁を接続する部分である。
第1外部端子316は、第1パッド開口341内に形成されている。第1外部端子316は、絶縁層311の第1主面312から第1パッド開口341に入り込んでいる。第1外部端子316は、第1パッド開口341内において第1パッド電極321に直接接続された接続部316aを含む。
【0167】
第1外部端子316は、基板306の第1主面307側からこの順に積層された第1電極層343、第2電極層344および第3電極層345を含む積層構造を有している。
第1外部端子316の第1電極層343は、基板306の第1主面307側からこの順に積層されたチタンシード層および銅シード層を含んでいてもよい。第1外部端子316の第2電極層344は、銅めっき層を含んでいてもよい。第2電極層344により、第1外部端子316の本体が形成されている。
【0168】
第1外部端子316の第3電極層345は、第1外部端子316の第2電極層344側からこの順に積層されたニッケル層346、パラジウム層347および金層348を含む積層構造を有していてもよい。第3電極層345を有さない第1外部端子316が採用されてもよい。
第2外部端子317は、第2パッド開口342内に形成されている。第2外部端子317は、絶縁層311の第1主面312から第2パッド開口342に入り込んでいる。第2外部端子317は、第2パッド開口342内において第2パッド電極322に直接接続された接続部317aを含む。
【0169】
第2外部端子317は、基板306の第1主面307側からこの順に積層された第1電極層349、第2電極層350および第3電極層351を含む積層構造を有している。
第2外部端子317の第1電極層349は、基板306の第1主面307側からこの順に積層されたチタンシード層および銅シード層を含んでいてもよい。第2外部端子317の第2電極層350は、銅めっき層を含んでいてもよい。第2電極層350により、第2外部端子317の本体が形成されている。
【0170】
第2外部端子317の第3電極層351は、第2外部端子317の第2電極層350側からこの順に積層されたニッケル層352、パラジウム層353および金層354を含む積層構造を有していてもよい。第3電極層351を有さない第1外部端子316が採用されてもよい。
次に、図30に加えて、図34および図35を参照して、第1パッドトレンチ326および第2パッドトレンチ329の構造について具体的に説明する。図34は、図30の領域XXXIVの拡大図である。図35は、図34のXXXV-XXXV線に沿う断面図である。図34では、明瞭化のため、第1パッド電極321、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324にクロスハッチングが付されている。
【0171】
第2パッドトレンチ329は、第1パッドトレンチ326と同様の構造を有している。ここでは、第1パッドトレンチ326側の構造についてのみ説明する。第2パッドトレンチ329側の構造については、図30において第1パッドトレンチ326側の構造と対応する部分に同一の参照符号を付して説明を省略する。
図34を参照して、第1パッドトレンチ326には、柱状部361が形成されている。この形態では、複数の柱状部361が第1パッドトレンチ326に形成されている。複数の柱状部361は、平面視において対向方向XXおよび直交方向YYに沿って間隔を空けて行列状に形成されている。
【0172】
複数の柱状部361は、第1パッドトレンチ326の側壁から内側の領域に間隔を空けて形成されていてもよい。複数の柱状部361のうちの少なくとも1つが、第1パッドトレンチ326の側壁と一体的に形成されていてもよい。また、複数の柱状部361のうちの少なくとも2つが、互いに一体的に形成されていてもよい。
各柱状部361は、この形態では、四角柱状に形成されている。各柱状部361は、三角柱状、六角柱状等の四角柱状以外の多角柱状に形成されていてもよい。また、各柱状部361は、円柱状や楕円柱状に形成されていてもよい。
【0173】
図35を参照して、各柱状部361は、基板306の一部からなる。各柱状部361は、第1パッドトレンチ326の底壁からトレンチ開口に向けて立設されている。各柱状部361の壁面は、前述の内壁絶縁膜338によって被覆されている。各柱状部361は、内壁絶縁膜338によって、その全域が絶縁化(酸化)されていてもよい。
この形態では、第1パッドトレンチ326、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335は、ほぼ等しい深さD301を有している。第1パッドトレンチ326は、対向方向XXに沿う幅W301を有している。第1キャパシタトレンチ332は、直交方向YYに沿う幅W302を有している。第2キャパシタトレンチ335は、直交方向YYに沿う幅W303を有している。
【0174】
対向方向XXに沿って互いに隣り合う一対の柱状部361は、対向方向XXに沿って幅W304だけ間隔を空けて形成されている。直交方向YYに沿って互いに隣り合う一対の柱状部361は、直交方向YYに沿って幅W305だけ間隔を空けて形成されている。また、各柱状部361は、第1パッドトレンチ326の内壁から、幅W306だけ間隔を空けて形成されている。
【0175】
第1パッドトレンチ326のアスペクト比D301/W301は、第1キャパシタトレンチ332のアスペクト比D301/W302よりも小さい(比D301/W301<比D301/W302)。
第1パッドトレンチ326のアスペクト比D301/W301は、第2キャパシタトレンチ335のアスペクト比D301/W303よりも小さい(比D301/W301<比D301/W303)。
【0176】
第1パッドトレンチ326のアスペクト比D301/W301は、対向方向XXに沿って互いに隣り合う一対の柱状部361の間のアスペクト比D301/W304よりも小さい(比D301/W301<比D301/W304)。
第1パッドトレンチ326のアスペクト比D301/W301は、直交方向YYに沿って互いに隣り合う一対の柱状部361の間のアスペクト比D301/W305よりも小さい(比D301/W301<比D301/W305)。
【0177】
第1パッドトレンチ326のアスペクト比D301/W301は、第1パッドトレンチ326の内壁および各柱状部361の間のアスペクト比D301/W306よりも小さい(比D301/W301<比D301/W306)。
対向方向XXに沿って互いに隣り合う一対の柱状部361の間のアスペクト比D301/W304は、第1キャパシタトレンチ332のアスペクト比D301/W302とほぼ等しいことが好ましい(比D301/W304≒比D301/W302または比D301/W304=比D301/W302)。
【0178】
対向方向XXに沿って互いに隣り合う一対の柱状部361の間のアスペクト比D301/W304は、第2キャパシタトレンチ335のアスペクト比D301/W303とほぼ等しいことが好ましい(比D301/W304≒比D301/W303または比D301/W304=比D301/W303)。
直交方向YYに沿って互いに隣り合う一対の柱状部361の間のアスペクト比D301/W305は、第1キャパシタトレンチ332のアスペクト比D301/W302とほぼ等しいことが好ましい(比D301/W305≒比D301/W302または比D301/W305=比D301/W302)。
【0179】
直交方向YYに沿って互いに隣り合う一対の柱状部361の間のアスペクト比D301/W305は、第2キャパシタトレンチ335のアスペクト比D301/W303とほぼ等しいことが好ましい(比D301/W305≒比D301/W303または比D301/W305=比D301/W303)。
第1パッドトレンチ326の内壁および各柱状部361の間のアスペクト比D301/W306は、第1キャパシタトレンチ332のアスペクト比D301/W302とほぼ等しいことが好ましい(比D301/W306≒比D301/W302または比D301/W306=比D301/W302)。
【0180】
第1パッドトレンチ326の内壁および各柱状部361の間のアスペクト比D301/W306は、第2キャパシタトレンチ335のアスペクト比D301/W303とほぼ等しいことが好ましい(比D301/W306≒比D301/W303または比D301/W306=比D301/W303)。
第1キャパシタトレンチ332のアスペクト比D301/W302は、第2キャパシタトレンチ335のアスペクト比D301/W303とほぼ等しいことが好ましい(比D301/W302≒比D301/W303または比D301/W302=比D301/W303)。
【0181】
第1パッドトレンチ326に柱状部361が形成されていない場合について考える。この場合、第1キャパシタトレンチ332よりも幅広の第1パッドトレンチ326に第1パッド電極321を埋め込まなければならない。
第1パッド電極321および第1キャパシタ電極323を同時に埋め込む場合には、第1キャパシタ電極323が第1キャパシタトレンチ332に満たされる一方で、第1パッドトレンチ326側では、第1パッド電極321に不足分が生じる。
【0182】
これに対して、この形態に係る第1パッドトレンチ326は、アスペクト比D301/W301を有しているが、複数の柱状部361によって、実質的にはアスペクト比D301/W304およびアスペクト比D301/W305で形成されている。アスペクト比D301/W304およびアスペクト比D301/W305は、いずれもアスペクト比D301/W301よりも大きい。
【0183】
これにより、第1パッド電極321および第1キャパシタ電極323を同時に埋め込む場合には、第1パッド電極321および第1キャパシタ電極323の間で導電材料の過不足が生じるのを抑制できる。
アスペクト比D301/W302、アスペクト比D301/W303、アスペクト比D301/W304およびアスペクト比D301/W305は、ほぼ等しい値に設定されていることが好ましい。
【0184】
この場合には、ほぼ等しい速度および割合で、第1パッド電極321および第1キャパシタ電極323を第1パッドトレンチ326および第1キャパシタトレンチ332に埋め込むことができる。よって、第1パッド電極321および第1キャパシタ電極323の間で導電材料の過不足が生じるのを確実に抑制できる。
複数の柱状部361は、第1パッドトレンチ326のアスペクト比D301/W301の調整により、第1パッド電極321の埋め込み性を向上させるために形成されている。複数の柱状部361の位置、大きさ、および/または、第1パッドトレンチ326内に占める割合は、適宜変更可能である。
【0185】
また、アスペクト比D301/W301、アスペクト比D301/W302、アスペクト比D301/W303、アスペクト比D301/W304、アスペクト比D301/W305およびアスペクト比D301/W306は上記の関係および条件に拘束されるものではなく、任意の値に設定され得る。
以上、この形態に係るチップキャパシタ301では、第1キャパシタ電極323、第2キャパシタ電極324および誘電体325が基板306の第1主面307に埋め込まれている。これにより、第1キャパシタ電極323、第2キャパシタ電極324および誘電体325を基板306の第1主面307の法線方向に沿って積層しなくて済む。
【0186】
とりわけ、この形態に係るチップキャパシタ301では、第1パッド電極321および第2パッド電極322も基板306の第1主面307に埋め込まれている。したがって、基板306の第1主面307の上に形成されるべき電極層を削減できる。
これにより、チップキャパシタ301が基板306の第1主面307の法線方向に沿って大型化するのを確実に抑制できる。よって、小型化を図ることができるチップキャパシタ301を提供できる。
【0187】
図36A図36Mは、図29のチップキャパシタ301の製造方法の一例を説明するための断面図である。チップキャパシタ301の製造工程では、複数のチップキャパシタ301が同時に製造されるが、図36A図36Mでは、説明の便宜上、1つのチップキャパシタ301が形成される領域、および、その周辺の領域のみが示されている。
まず、図36Aを参照して、ベース基板370が準備される。ベース基板370は、第1主面371および第2主面372を有している。ベース基板370の第1主面371は、基板306の第1主面307に対応している。ベース基板370の第2主面372は、基板306の第2主面308に対応している。
【0188】
ベース基板370の厚さは、500μm以上1000μm以下(たとえば700μm程度)であってもよい。ベース基板370には、チップキャパシタ301に対応する複数のチップ形成領域373および複数のチップ形成領域373を区画する境界領域374が設定される。
次に、図36Bを参照して、ベース基板370の第1主面371を被覆する第1絶縁膜375が形成される。また、ベース基板370の第2主面372を被覆する第2絶縁膜376が形成される。
【0189】
第1絶縁膜375および第2絶縁膜376は、ベース基板370に対して酸化処理(たとえば熱酸化処理)を施すことによって形成したシリコン酸化膜であってもよい。第1絶縁膜375および第2絶縁膜376は、CVD(chemical vapor deposition:化学気相成長)法によって形成したシリコン酸化膜であってもよい。
第1絶縁膜375および第2絶縁膜376は、互いに等しい厚さで形成される。これにより、第1絶縁膜375および第2絶縁膜376の形成工程において、ベース基板370の第1主面371側で生じる応力と、ベース基板370の第2主面372側で生じる応力とがほぼ等しくなる。したがって、ベース基板370の反りを抑制できる。
【0190】
次に、図36Cを参照して、第1絶縁膜375の上に、所定パターンを有するマスク377が形成される。マスク377は、第1パッドトレンチ326、第2パッドトレンチ329、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335を形成すべき領域を露出させる開口378を有している。
次に、マスク377を介するエッチング法により、第1絶縁膜375の不要な部分が除去される。エッチング法は、異方性エッチング(たとえば反応性イオンエッチング)法であってもよい。これにより、マスク377の開口378に整合する開口379が、第1絶縁膜375に形成される。その後、マスク377は除去される。
【0191】
次に、図36Dを参照して、第1絶縁膜375をマスクとするエッチング法により、ベース基板370の不要な部分が除去される。エッチング法は、異方性エッチング(たとえば反応性イオンエッチング)法であってもよい。
これにより、ベース基板370の第1主面371に、第1パッドトレンチ326、第2パッドトレンチ329、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335が同時に形成される。その後、マスク377は除去される。
【0192】
第1パッドトレンチ326、第2パッドトレンチ329、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335は、それぞれ異なる工程を経て形成されてもよい。たとえば第1パッドトレンチ326および第1キャパシタトレンチ332を同時に形成した後、または、これに先立って、第2パッドトレンチ329および第2キャパシタトレンチ335を同時に形成してもよい。
【0193】
次に、図36Eを参照して、たとえばエッチング法によって、第1絶縁膜375および第2絶縁膜376が除去される。エッチング法は、等方性エッチング(たとえばウェットエッチング)法であってもよい。
次に、図36Fを参照して、ベース基板370の第1主面371を被覆する第1絶縁膜380が形成される。また、ベース基板370を被覆する第2主面372に第2絶縁膜381が形成される。
【0194】
第1絶縁膜380および第2絶縁膜381は、ベース基板370に対して酸化処理(たとえば熱酸化処理)を施すことによって形成したシリコン酸化膜であってもよい。
第1絶縁膜380および第2絶縁膜381は、互いに等しい厚さで形成される。これにより、第1絶縁膜380および第2絶縁膜381の形成工程において、ベース基板370の第1主面371側で生じる応力と、ベース基板370の第2主面372側で生じる応力とがほぼ等しくなる。したがって、ベース基板370の反りを抑制できる。
【0195】
第1絶縁膜380のうちのベース基板370の第1主面371を被覆する部分は、表面絶縁膜310となる。また、第1絶縁膜380のうちの第1パッドトレンチ326の内部、第2パッドトレンチ329の内部、第1キャパシタトレンチ332の内部および第2キャパシタトレンチ335の内部に位置する部分が内壁絶縁膜338となる。
この工程では、ベース基板370の第1主面371において、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335の間の領域が、完全に絶縁化(酸化)される。つまり、第1キャパシタトレンチ332側の内壁絶縁膜338および第2キャパシタトレンチ335側の内壁絶縁膜338は、ベース基板370において第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335の間の領域で一体化する。
【0196】
これにより、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335の間の領域に誘電体325が形成される。
次に、図36Gを参照して、ベース基板370の第1主面371の上に第1電極層382が形成される。第1電極層382は、第1パッド電極321の第1パッド電極層327、第2パッド電極322の第1パッド電極層330、第1キャパシタ電極323の第1キャパシタ電極層333および第2キャパシタ電極324の第1電極層336のベースとなる層である。第1電極層382の厚さは、たとえば1000Å以上2000Å以下であってもよい。
【0197】
第1電極層382は、ベース基板370の第1主面371、第1パッドトレンチ326の内壁、第2パッドトレンチ329の内壁、第1キャパシタトレンチ332の内壁および第2キャパシタトレンチ335の内壁に沿う膜状に形成される。
第1電極層382は、ベース基板370の第1主面371側からこの順に形成されたチタンシード層および銅シード層を含む。チタンシード層は、たとえばスパッタ法によって形成される。銅シード層は、たとえばスパッタ法によって形成される。
【0198】
次に、図36Hを参照して、第2電極層383が形成される。第2電極層383は、第1パッド電極321の第2パッド電極層328、第2パッド電極322の第2パッド電極層331、第1キャパシタ電極323の第2キャパシタ電極層334および第2キャパシタ電極324の第2電極層337のベースとなる層である。第2電極層383の厚さは、たとえば10000Å以上20000Å以下であってもよい。
【0199】
第2電極層383は、銅めっき層を含む。銅めっき層は、たとえば電解めっき法により形成される。第2電極層383は、第1パッドトレンチ326、第2パッドトレンチ329、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335を埋めてベース基板370の第1主面371を被覆する。
次に、図36Iを参照して、第1電極層382の不要な部分および第2電極層383の不要な部分が除去される。第1電極層382の不要な部分および第2電極層383の不要な部分は、エッチング法によって除去されてもよい。
【0200】
エッチング法は、等方性エッチング(たとえばウェットエッチング)法であってもよい。これにより、第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324が同時に形成される。
第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324は、それぞれ異なる工程を経て形成されてもよい。たとえば第1パッド電極321および第2パッド電極322を同時に形成した後、または、これに先立って、第2パッド電極322および第2キャパシタ電極324を同時に形成してもよい。
【0201】
次に、図36Jを参照して、絶縁層311となるフィルム状のフォトレジスト層384が、ベース基板370の第1主面371の上に貼付される。フォトレジスト層384は、この形態では、ネガティブタイプのエポキシ樹脂を含む。フォトレジスト層384の厚さは、10μm以上200μm以下(たとえば40μm程度)であってもよい。
次に、フォトレジスト層384において複数のチップ形成領域373に対応する領域が選択的に露光される。より具体的には、フォトレジスト層384において第1パッド開口341および第2パッド開口342を形成すべき領域外の領域、ならびに、境界領域374外の領域が選択的に露光される。
【0202】
次に、フォトレジスト層384が、現像液への浸漬を経て、現像される。現像後、必要に応じて、フォトレジスト層384をキュアするための熱処理が行われてもよい。これにより、フォトレジスト層384に、第1パッド開口341および第2パッド開口342、ならびに、境界領域374を露出させる開口385が形成される。このようにして、フォトレジスト層384からなる絶縁層311が形成される。
【0203】
次に、図36Kを参照して、第1外部端子316および第2外部端子317が形成される。
この工程では、まず、絶縁層311の第1主面312の上に、第1電極層386が形成される。第1電極層386は、第1外部端子316の第1電極層343および第2外部端子317の第1電極層349のベースとなる。
【0204】
第1電極層386は、絶縁層311の第1主面312側からこの順に形成されたチタンシード層および銅シード層を含む。チタンシード層は、たとえばスパッタ法によって形成される。銅シード層は、たとえばスパッタ法によって形成される。
次に、第1電極層386の上に、所定のパターンを有するレジストマスク387が形成される。レジストマスク387は、第1外部端子316および第2外部端子317を形成すべき領域を選択的に露出させる開口388を有している。
【0205】
次に、レジストマスク387の開口388から露出する第1電極層386の上に、第1外部端子316の第2電極層344および第2外部端子317の第2電極層350が形成される。
第1外部端子316の第2電極層344および第2外部端子317の第2電極層350は、それぞれ銅めっき層を含む。銅めっき層は、たとえば電解めっき法により形成される。その後、レジストマスク387が除去される。
【0206】
次に、第1外部端子316の第2電極層344および第2外部端子317の第2電極層350をマスクとするエッチング法により、第1電極層386の不要な部分が除去される。これにより、第1電極層386が、第1外部端子316の第1電極層343および第2外部端子317の第1電極層349に分断される。
次に、第1外部端子316の第3電極層345および第2外部端子317の第3電極層351が形成される。
【0207】
第1外部端子316の第3電極層345は、第1外部端子316の第2電極層344側からこの順に積層されたニッケル層346、パラジウム層347および金層348を含む。ニッケル層346、パラジウム層347および金層348は、たとえば電解めっき法によってそれぞれ形成される。
第2外部端子317の第3電極層351は、第2外部端子317の第2電極層350側からこの順に積層されたニッケル層352、パラジウム層353および金層354を含む。ニッケル層352、パラジウム層353および金層354は、たとえば電解めっき法によってそれぞれ形成される。
【0208】
このようにして、第1外部端子316および第2外部端子317が形成される。第1外部端子316および第2外部端子317は、共通の工程を経て同時に形成される。
第1外部端子316および第2外部端子317は、異なる工程を経て形成されてもよい。たとえば、第2外部端子317は、第1外部端子316の形成後、またはこれに先立って形成されてもよい。
【0209】
次に、図36Lを参照して、境界領域374に沿う溝389が、ベース基板370の第1主面371に形成される。溝389は、この形態では、ダイシングブレードDBによるハーフダイシングによって形成される。
ダイシングブレードDBは、ベース基板370の第1主面371側から境界領域374に沿って進出される。ベース基板370は、ダイシングブレードDBによって厚さ方向途中部まで研削される。
【0210】
ダイシングブレードDBは、境界領域374を露出させる開口385において、絶縁層311の側面314よりも内側の領域に進出される。これにより、絶縁層311の側面314および溝389の内壁面の間に段部315が形成される。
溝389は、ダイシングブレードDBに代えて、絶縁層311をマスクとするエッチング法によって形成されてもよい。この場合、エッチング法は異方性エッチング(たとえば反応性イオンエッチング)法であってもよい。エッチング法によって溝389を形成する場合には、絶縁層311の側面314および溝389の内壁面をほぼ面一に形成することができる。
【0211】
次に、図36Mを参照して、ベース基板370の第1主面371側に、ベース基板370を支持するための支持テープ390が貼付される。次に、たとえばCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)法によって、ベース基板370の第2主面372が研削される。
この研削工程は、ベース基板370の第2主面372が溝389に連通するまで行われる。研削工程後のベース基板370の厚さは、50μm以上150μm以下(たとえば100μm程度)であってもよい。その後、支持テープ390は除去される。このようにして、ベース基板370から複数のチップキャパシタ301が切り出される。
【0212】
以上の工程を経て、チップキャパシタ301が製造される。
図37は、本発明の第8実施形態に係るチップキャパシタ401の斜視図である。チップキャパシタ401においてチップキャパシタ301の構成と対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
チップキャパシタ401は、0603(0.6mm×0.3mm)チップ、0402(0.4mm×0.2mm)チップ、03015(0.3mm×0.15mm)チップ等と称される複数(この形態では2つ)のチップ部品が一体的に形成された構造を有する複合型のチップ部品である。
【0213】
図37を参照して、チップキャパシタ401は、直方体形状のチップ本体402を含む。チップ本体402は、第1主面403、第1主面403の反対側に位置する第2主面404、ならびに、第1主面403および第2主面404、を接続する側面405を含む。第1主面403および第2主面404は、それらの法線方向から見た平面視(以下、単に「平面視」という。)において四角形状に形成されている。
【0214】
チップ本体402において所定の第1方向AAに沿う一辺の長さは、たとえば0.6mm以上1.2mm以下である。チップ本体402において、チップ本体402の第1主面403の法線方向に直交し、かつ、第1方向AAに直交する第2方向BBに沿う一辺の長さは、たとえば0.6mm以上1.2mm以下である。チップ本体402の厚さは、100μm以上300μm以下(たとえば150μm程度)であってもよい。
【0215】
チップ本体402は、基板406を含む。基板406は、直方体形状に形成されている。基板406は、一方側の第1主面407、他方側の第2主面408、ならびに、第1主面407および第2主面408を接続する側面409を含む。
第1主面407および第2主面408は、平面視において四角形状に形成されている。基板406の第2主面408は、チップ本体402の第2主面404を形成している。基板406の側面409は、チップ本体402の側面405の一部を形成している。
【0216】
基板406は、0.5MΩ・cm以上1.5MΩ・cm以下(たとえば1.0MΩ・cm程度)の抵抗率を有する高抵抗基板であってもよい。基板406の厚さは、50μm以上250μm以下(たとえば100μm程度)であってもよい。
チップ本体402は、基板406の第1主面407の上に形成された表面絶縁膜410を含む。表面絶縁膜410は、基板406の第1主面407の全域を被覆している。表面絶縁膜410は、チップ本体402の側面405の一部を形成している。表面絶縁膜410の厚さは、たとえば0.1μm以上10μm以下である。
【0217】
チップ本体402は、表面絶縁膜410の上に形成された絶縁層411を含む。絶縁層411は、直方体形状に形成されている。絶縁層411は、一方側の第1主面412、他方側の第2主面413、ならびに、第1主面412および第2主面413を接続する側面414を含む。第1主面412および第2主面413は、平面視において四角形状に形成されている。
【0218】
絶縁層411の第1主面412は、チップ本体402の第1主面403を形成している。絶縁層411の第2主面413は、表面絶縁膜410に接続されている。絶縁層411の側面414は、チップ本体402の側面405の一部を形成している。
絶縁層411の側面414は、基板406の側面409よりも基板406の内方領域側に間隔を空けて形成されている。これにより、絶縁層411の側面414および基板406の側面409の間の領域には、段部415が形成されている。この段部415からは、表面絶縁膜410の周縁部が露出している。
【0219】
絶縁層411の側面414および基板406の側面409は、ほぼ面一に形成されていてもよい。つまり、絶縁層411の側面414および基板406の側面409の間の領域に段部415が形成されていない構造のチップ本体402が採用されてもよい。
絶縁層411は、絶縁体からなる。絶縁体は、酸化シリコン、窒化シリコンまたはセラミックを含む無機系の絶縁体を含んでいてもよい。絶縁体は、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等の封止樹脂を含む有機系の絶縁体を含んでいてもよい。
【0220】
絶縁層411は、この形態では、樹脂層の単層構造からなる。樹脂層は、有機系の絶縁体としてのエポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂は、ネガティブタイプのフォトレジストでもある。絶縁層411は、この形態では、フォトレジスト層からなる。
絶縁層411の厚さは、表面絶縁膜410の厚さよりも大きい。絶縁層411の厚さは、10μm以上200μm以下(たとえば50μm程度)であってもよい。この厚さの絶縁層411によれば、絶縁層411の第1主面412および基板406の第1主面407の間の領域に形成される寄生容量を低減できる。
【0221】
チップ本体402には、キャパシタCCが形成されるキャパシタ形成領域416、および、インダクタLLが形成されるインダクタ形成領域417が画定されている。
キャパシタ形成領域416およびインダクタ形成領域417は、この形態では、チップ本体402を2等分する分割線DLによって分割された二つの領域に、それぞれ画定されている。分割線DLは、第1方向AAに沿って延び、かつ、チップ本体402を第2方向BBに沿って2等分している。分割線DLは、図37において二点鎖線によって示されている。
【0222】
キャパシタ形成領域416は、チップ本体402において第2方向BBの一端部側に画定されている。インダクタ形成領域417は、チップ本体402において第2方向BBの他端部側に画定されている。これにより、キャパシタ形成領域416およびインダクタ形成領域417は、第2方向BBに沿って互いに対向している。
キャパシタ形成領域416において、チップ本体402の第1主面403の上には、第1外部端子418および第2外部端子419が形成されている。第1外部端子418および第2外部端子419は、第1方向AAに沿って互いに間隔を空けて形成されている。
【0223】
第1外部端子418は、第1主面403において第1方向AAの一端部側に形成されている。第1外部端子418は、平面視において第2方向BBに沿って延びる長方形状に形成されている。
第2外部端子419は、第1主面403において第1方向AAの他端部側に形成されている。第2外部端子419は、平面視において第2方向BBに沿って延びる長方形状に形成されている。
【0224】
インダクタ形成領域417において、チップ本体402の第1主面403の上には、第3外部端子420および第4外部端子421が形成されている。第3外部端子420および第4外部端子421は、第1方向AAに沿って互いに間隔を空けて形成されている。
第3外部端子420は、第1主面403において第1方向AAの一端部側に形成されている。第3外部端子420は、第2方向BBに沿って第1外部端子418から間隔を空けて形成されている。
【0225】
第3外部端子420は、第2方向BBに沿って第1外部端子418と対向している。第3外部端子420は、平面視において第2方向BBに沿って延びる長方形状に形成されている。
第4外部端子421は、第1主面403において第1方向AAの他端部側に形成されている。第4外部端子421は、第2方向BBに沿って第2外部端子419から間隔を空けて形成されている。
【0226】
第4外部端子421は、第2方向BBに沿って第2外部端子419と対向している。第4外部端子421は、平面視において第2方向BBに沿って延びる長方形状に形成されている。
第1方向AAは、第1外部端子418および第2外部端子419が対向する方向、および/または、第3外部端子420および第4外部端子421が対向する方向によって定義されてもよい。
【0227】
第2方向BBは、チップ本体402の第1主面403の法線方向に直交し、かつ、第1外部端子418および第2外部端子419の対向方向に直交する方向、および/または、第3外部端子420および第4外部端子421の対向方向に直交する方向によって定義されてもよい。
図38は、図37のチップキャパシタ401の内部構造を示す平面図である。図39は、図38のXXXIX-XXXIX線に沿う断面図である。図40は、図38のXL-XL線に沿う断面図である。
【0228】
図38および図39を参照して、キャパシタ形成領域416において、基板406の第1主面407には、第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323、第2キャパシタ電極324および誘電体325(内壁絶縁膜338)が埋め込まれている。
第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323、第2キャパシタ電極324および誘電体325の各構造は、前述の第7実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0229】
図38および図40を参照して、インダクタ形成領域417において、基板406の第1主面407には、第3パッド電極431、第4パッド電極432およびコイル電極433が埋め込まれている。
第3パッド電極431は、基板406の第1主面407において第1方向AAの一端部側に埋め込まれている。より具体的には、第3パッド電極431は、基板406の第1主面407において、第3パッド電極431に対応するパターンで形成された第3パッドトレンチ434に埋め込まれている。
【0230】
第3パッド電極431は、第3外部端子420の直下の領域に形成されている。第3パッド電極431は、基板406の第1主面407の法線方向に、第3外部端子420と対向している。第3パッド電極431は、平面視において第2方向BBに沿って延びる長方形状に形成されている。
第3パッド電極431は、基板406側からこの順に積層された第1パッド電極層435および第2パッド電極層436を含む積層構造を有している。第3パッド電極431の第1パッド電極層435は、第3パッドトレンチ434の内壁面に沿って膜状に形成されている。
【0231】
第3パッド電極431の第1パッド電極層435は、第3パッドトレンチ434の内部で凹状の空間を区画している。第3パッド電極431の第2パッド電極層436は、第3パッドトレンチ434の内部に区画された凹状の空間に埋め込まれている。
第3パッド電極431の第1パッド電極層435は、第1パッド電極321の第1パッド電極層327と同一の材料種によって形成されていてもよい。第3パッド電極431の第1パッド電極層435の厚さは、第1パッド電極321の第1パッド電極層327の厚さとほぼ等しくてもよい。
【0232】
第3パッド電極431の第2パッド電極層436は、第1パッド電極321の第2パッド電極層328と同一の材料種によって形成されていてもよい。第3パッド電極431の第2パッド電極層436の厚さは、第1パッド電極321の第2パッド電極層328の厚さとほぼ等しくてもよい。
第4パッド電極432は、第3パッド電極431から間隔を空けて、基板406の第1主面407の第1方向AAの他端部側に埋め込まれている。より具体的には、第4パッド電極432は、基板406の第1主面407において、第4パッド電極432に対応するパターンで形成された第4パッドトレンチ437に埋め込まれている。
【0233】
第4パッド電極432は、第4外部端子421の直下の領域に形成されている。第4パッド電極432は、基板406の第1主面407の法線方向に、第4外部端子421と対向している。第4パッド電極432は、平面視において第2方向BBに沿って延びる長方形状に形成されている。
第4パッド電極432は、基板406側からこの順に積層された第1パッド電極層438および第2パッド電極層439を含む積層構造を有している。第4パッド電極432の第1パッド電極層438は、第4パッドトレンチ437の内壁面に沿って膜状に形成されている。
【0234】
第4パッド電極432の第1パッド電極層438は、第4パッドトレンチ437の内部で凹状の空間を区画している。第4パッド電極432の第2パッド電極層439は、第4パッドトレンチ437の内部に区画された凹状の空間に埋め込まれている。
第4パッド電極432の第1パッド電極層438は、第1パッド電極321の第1パッド電極層327と同一の材料種によって形成されていてもよい。第4パッド電極432の第1パッド電極層438の厚さは、第1パッド電極321の第1パッド電極層327の厚さとほぼ等しくてもよい。
【0235】
第4パッド電極432の第2パッド電極層439は、第1パッド電極321の第2パッド電極層328と同一の材料種によって形成されていてもよい。第4パッド電極432の第2パッド電極層439の厚さは、第1パッド電極321の第2パッド電極層328の厚さとほぼ等しくてもよい。
コイル電極433は、基板406の第1主面407に平面視螺旋状に埋め込まれている。より具体的には、コイル電極433は、基板406の第1主面407において、コイル電極433に対応する平面視螺旋状のパターンで形成されたコイルトレンチ440に埋め込まれている。コイル電極433は、この形態では、基板406の厚さ方向に沿って延びる矩形状に形成されている。
【0236】
コイル電極433は、第3外部端子420の直下の領域、第4外部端子421の直下の領域、ならびに、第3外部端子420および第4外部端子421の間の領域に引き回されている。
コイル電極433は、第3パッド電極431に接続された内側末端441、第4パッド電極432に接続された外側末端442、および、内側末端441および外側末端442を接続する平面視螺旋状の螺旋部443を含む。
【0237】
コイル電極433の螺旋部443は、平面視において内側末端441から外側末端442に向けて外巻きに巻回されている。つまり、コイル電極433の螺旋部443は、内側末端441を取り囲むように巻回されている。コイル電極433の巻回数は任意である。
コイル電極433の螺旋部443は、巻回方向に沿って第3パッド電極431側から第4パッド電極432側に向けて延び、かつ、第3外部端子420および第4外部端子421の間の領域に位置する第1領域444を含む。
【0238】
コイル電極433の螺旋部443は、巻回方向に沿って第4パッド電極432側から第3パッド電極431側に向けて延び、かつ、第3外部端子420および第4外部端子421の間の領域に位置する第2領域445を含む。
コイル電極433の螺旋部443は、巻回方向に沿って第2領域445から第1領域444に向けて延び、かつ、第3外部端子420の直下の領域に位置する第3領域446を含む。
【0239】
コイル電極433の螺旋部443は、巻回方向に沿って第1領域444から第2領域445に向けて延び、かつ、第4外部端子421の直下の領域に位置する第4領域447を含む。
このように、この形態では、コイル電極433が、基板406の第1主面407に第3外部端子420および第4外部端子421の間の領域に加えて、第3外部端子420の直下の領域、第4外部端子421の直下の領域に引き回されている。
【0240】
したがって、コイル電極433の巻回数の増加およびコイル電極433の面積の増加を図ることができる。これにより、コイル電極433の抵抗成分の低減およびコイル電極433のインダクタンス成分の増加を図ることができる。つまり、基板406の第1主面407という限られた面積の中において、微細化を図りながら、コイル電極433のQ値(Quality Factor)の向上を図ることができる。
【0241】
コイル電極433は、基板406側からこの順に積層された第1コイル電極層448および第2コイル電極層449を含む積層構造を有している。
コイル電極433の第1コイル電極層448は、コイルトレンチ440の内壁面に沿って膜状に形成されている。第1コイル電極層448は、コイルトレンチ440の内部で凹状の空間を区画している。
【0242】
第1コイル電極層448は、第3パッド電極431の第1パッド電極層435および第4パッド電極432の第1パッド電極層438と一体的に形成されている。第1コイル電極層448の厚さは、第3パッド電極431の第1パッド電極層435の厚さおよび第4パッド電極432の第1パッド電極層438の厚さとほぼ等しくてもよい。
コイル電極433の第1コイル電極層448は、第1パッド電極321の第1パッド電極層327と同一の材料種によって形成されていてもよい。第1コイル電極層448の厚さは、第1パッド電極321の第1パッド電極層327の厚さとほぼ等しくてもよい。
【0243】
コイル電極433の第2コイル電極層449は、コイルトレンチ440の内部に区画された凹状の空間に埋め込まれている。第2コイル電極層449は、第3パッド電極431の第2パッド電極層436および第4パッド電極432の第2パッド電極層439と一体的に形成されている。
第2コイル電極層449の厚さは、第3パッド電極431の第2パッド電極層436の厚さおよび第4パッド電極432の第2パッド電極層439の厚さとほぼ等しくてもよい。第2コイル電極層449は、第1パッド電極321の第2パッド電極層328と同一の材料種によって形成されていてもよい。第2コイル電極層449の厚さは、第1パッド電極321の第2パッド電極層328の厚さとほぼ等しくてもよい。
【0244】
図39を参照して、インダクタ形成領域417において、前述の内壁絶縁膜338は、コイルトレンチ440の内壁面にも形成されている。内壁絶縁膜338は、インダクタ形成領域417では、基板406の第1主面407を被覆する表面絶縁膜410と一体的に形成されている。コイル電極433は、内壁絶縁膜338を介してコイルトレンチ440に埋め込まれている。
【0245】
図39では、断面視において、基板406において互いに隣り合うコイルトレンチ440の間の領域が完全には絶縁化(酸化)されていない例を示している。断面視において、基板406において互いに隣り合うコイルトレンチ440の間の領域が完全に絶縁化(酸化)された構造が採用されてもよい。
図38図40を参照して、絶縁層411には、第1パッド開口451、第2パッド開口452、第3パッド開口453および第4パッド開口454が形成されている。
【0246】
図39を参照して、第1パッド開口451は、この形態では、第1パッド電極321の一部の領域を露出させている。第1パッド開口451は、第1パッド電極321のほぼ全域を露出させていてもよい。
第1パッド開口451の開口端は、この形態では、第1パッド開口451内に向かう凸湾曲状に形成されている。第1パッド開口451の開口端は、絶縁層411の第1主面412および第1パッド開口451の内壁を接続する部分である。
【0247】
第2パッド開口452は、この形態では、第2パッド電極322の一部の領域を露出させている。第2パッド開口452は、第2パッド電極322のほぼ全域を露出させていてもよい。
第2パッド開口452の開口端は、この形態では、第2パッド開口452内に向かう凸湾曲状に形成されている。第2パッド開口452の開口端は、絶縁層411の第1主面412および第1パッド開口451の内壁を接続する部分である。
【0248】
図40を参照して、第3パッド開口453は、この形態では、第3パッド電極431のほぼ全域を露出させている。第3パッド開口453は、第3パッド電極431の一部の領域を露出させていてもよい。
第3パッド開口453の開口端は、この形態では、第3パッド開口453内に向かう凸湾曲状に形成されている。第3パッド開口453の開口端は、絶縁層411の第1主面412および第3パッド開口453の内壁を接続する部分である。
【0249】
第4パッド開口454は、この形態では、第4パッド電極432のほぼ全域を露出させている。第4パッド開口454は、第4パッド電極432の一部の領域を露出させていてもよい。
第4パッド開口454の開口端は、この形態では、第4パッド開口454内に向かう凸湾曲状に形成されている。第4パッド開口454の開口端は、絶縁層411の第1主面412および第4パッド開口454の内壁を接続する部分である。
【0250】
図39を参照して、第1外部端子418は、第1パッド開口451内に形成されている。第1外部端子418は、絶縁層411の第1主面412から第1パッド開口451に入り込んでいる。第1外部端子418は、第1パッド開口451内において第1パッド電極321に直接接続された接続部418aを含む。
第1外部端子418は、基板406の第1主面407側からこの順に積層された第1電極層455、第2電極層456および第3電極層457を含む積層構造を有している。
【0251】
第1外部端子418の第1電極層455は、基板406の第1主面407側からこの順に積層されたチタンシード層および銅シード層を含んでいてもよい。第1外部端子418の第2電極層456は、銅めっき層を含んでいてもよい。第2電極層456により、第1外部端子418の本体が形成されている。
第1外部端子418の第3電極層457は、第1外部端子418の第2電極層456側からこの順に積層されたニッケル層458、パラジウム層459および金層460を含む積層構造を有していてもよい。第3電極層457を有さない第1外部端子418が採用されてもよい。
【0252】
第2外部端子419は、第2パッド開口452内に形成されている。第2外部端子419は、絶縁層411の第1主面412から第2パッド開口452に入り込んでいる。第2外部端子419は、第2パッド開口452内において第2パッド電極322に直接接続された接続部419aを含む。
第2外部端子419は、基板406の第1主面407側からこの順に積層された第1電極層461、第2電極層462および第3電極層463を含む積層構造を有している。
【0253】
第2外部端子419の第1電極層461は、基板406の第1主面407側からこの順に積層されたチタンシード層および銅シード層を含んでいてもよい。第2外部端子419の第2電極層462は、銅めっき層を含んでいてもよい。第2電極層462により、第2外部端子419の本体が形成されている。
第2外部端子419の第3電極層463は、第2外部端子419の第2電極層462側からこの順に積層されたニッケル層464、パラジウム層465および金層466を含む積層構造を有していてもよい。第3電極層463を有さない第2外部端子419が採用されてもよい。
【0254】
図40を参照して、第3外部端子420は、第3パッド開口453内に形成されている。第3外部端子420は、絶縁層411の第1主面412から第3パッド開口453に入り込んでいる。第3外部端子420は、第3パッド開口453内において第3パッド電極431に直接接続された接続部420aを含む。
第3外部端子420は、基板406の第1主面407側からこの順に積層された第1電極層467、第2電極層468および第3電極層469を含む積層構造を有している。
【0255】
第3外部端子420の第1電極層467は、基板406の第1主面407側からこの順に積層されたチタンシード層および銅シード層を含んでいてもよい。第3外部端子420の第2電極層468は、銅めっき層を含んでいてもよい。第2電極層468により、第3外部端子420の本体が形成されている。
第3外部端子420の第3電極層469は、第3外部端子420の第2電極層468側からこの順に積層されたニッケル層470、パラジウム層471および金層472を含む積層構造を有していてもよい。第3電極層469を有さない第3外部端子420が採用されてもよい。
【0256】
第4外部端子421は、第4パッド開口454内に形成されている。第4外部端子421は、絶縁層411の第1主面412から第4パッド開口454に入り込んでいる。第4外部端子421は、第4パッド開口454内において第4パッド電極432に直接接続された接続部421aを含む。
第4外部端子421は、基板406の第1主面407側からこの順に積層された第1電極層473、第2電極層474および第3電極層475を含む積層構造を有している。
【0257】
第4外部端子421の第1電極層473は、基板406の第1主面407側からこの順に積層されたチタンシード層および銅シード層を含んでいてもよい。第4外部端子421の第2電極層474は、銅めっき層を含んでいてもよい。第2電極層474により、第4外部端子421の本体が形成されている。
第4外部端子421の第3電極層475は、第4外部端子421の第2電極層474側からこの順に積層されたニッケル層476、パラジウム層477および金層478を含む積層構造を有していてもよい。第3電極層475を有さない第4外部端子421が採用されてもよい。
【0258】
次に、図38に加えて、図41および図42を参照して、第3パッドトレンチ434および第4パッドトレンチ437の構造について具体的に説明する。図41は、図38の領域XLIの拡大図である。図42は、図41のXLII-XLII線に沿う断面図である。図41では、明瞭化のため、第3パッド電極431およびコイル電極433にクロスハッチングが付されている。
【0259】
第4パッドトレンチ437は、第3パッドトレンチ434と同様の構造を有している。ここでは、第3パッドトレンチ434側の構造についてのみ説明する。第4パッドトレンチ437側の構造については、図38において第3パッドトレンチ434側の構造と対応する部分に同一の参照符号を付して説明を省略する。
図41を参照して、第3パッドトレンチ434には、柱状部480が形成されている。この形態では、複数の柱状部480が第3パッドトレンチ434に形成されている。複数の柱状部480は第1方向AAおよび第2方向BBに沿って間隔を空けて行列状に形成されている。
【0260】
複数の柱状部480は、第3パッドトレンチ434の内壁から内側の領域に間隔を空けて形成されていてもよい。複数の柱状部480のうちの少なくとも1つが第3パッドトレンチ434の側壁と一体的に形成されていてもよい。また、複数の柱状部480のうちの少なくとも2つが、互いに一体的に形成されていてもよい。
各柱状部480は、この形態では、四角柱状に形成されている。各柱状部480は、三角柱状、六角柱状等の四角柱状以外の多角柱状に形成されていてもよい。また、各柱状部480は、円柱状や楕円柱状に形成されていてもよい。
【0261】
図42を参照して、各柱状部480は、基板406の一部からなる。各柱状部480は、第3パッドトレンチ434の底壁からトレンチ開口に向けて立設されている。各柱状部480の壁面は、前述の内壁絶縁膜338によって被覆されている。各柱状部480は、その全域が絶縁化(酸化)されていてもよい。
第3パッドトレンチ434およびコイルトレンチ440は、この形態では、ほぼ等しい深さD302を有している。第3パッドトレンチ434は、第1方向AAに沿う幅W307を有している。コイルトレンチ440は、コイル電極433が延びる方向に直交する方向に沿う幅W308を有している。
【0262】
第1方向AAに沿って互いに隣り合う一対の柱状部480は、第1方向AAに沿って幅W309だけ間隔を空けて形成されている。第2方向BBに沿って互いに隣り合う一対の柱状部480は、第2方向BBに沿って幅W310だけ間隔を空けて形成されている。また、各柱状部480は、第3パッドトレンチ434の内壁から、幅W311だけ間隔を空けて形成されている。
【0263】
第3パッドトレンチ434のアスペクト比D302/W307は、コイルトレンチ440のアスペクト比D302/W308よりも小さい(比D302/W307<比D302/W308)。
第3パッドトレンチ434のアスペクト比D302/W307は、第1方向AAに沿って互いに隣り合う一対の柱状部480の間のアスペクト比D302/W309よりも小さい(比D302/W307<比D302/W309)。
【0264】
第3パッドトレンチ434のアスペクト比D302/W307は、第2方向BBに沿って互いに隣り合う一対の柱状部480の間のアスペクト比D302/W310よりも小さい(比D302/W307<比D302/W310)。
第3パッドトレンチ434のアスペクト比D302/W307は、第3パッドトレンチ434の内壁および各柱状部480の間のアスペクト比D302/W311よりも小さい(比D302/W307<比D302/W311)。
【0265】
第1方向AAに沿って互いに隣り合う一対の柱状部480の間のアスペクト比D302/W309は、コイルトレンチ440のアスペクト比D302/W308とほぼ等しいことが好ましい(比D302/W309≒比D302/W308または比D302/W309=比D302/W308)。
第2方向BBに沿って互いに隣り合う一対の柱状部480の間のアスペクト比D302/W310は、コイルトレンチ440のアスペクト比D302/W308とほぼ等しいことが好ましい(比D302/W310≒比D302/W308または比D302/W310=比D302/W308)。
【0266】
第3パッドトレンチ434の内壁および各柱状部480の間のアスペクト比D302/W311は、コイルトレンチ440のアスペクト比D302/W308とほぼ等しいことが好ましい(比D302/W311≒比D302/W308または比D302/W311=比D302/W308)。
第3パッドトレンチ434に柱状部480が形成されていない場合について考える。この場合、コイルトレンチ440よりも幅広の第3パッドトレンチ434に第3パッド電極431を埋め込まなければならない。
【0267】
第3パッド電極431およびコイル電極433を同時に埋め込む場合には、コイル電極433がコイルトレンチ440に満たされる一方で、第3パッドトレンチ434側では、第3パッド電極431に不足分が生じる。
これに対して、第3パッドトレンチ434は、アスペクト比D302/W307を有しているが、複数の柱状部480によって、実質的にはアスペクト比D302/W304およびアスペクト比D302/W305で形成されている。アスペクト比D302/W304およびアスペクト比D302/W305は、アスペクト比D302/W307よりも大きい。
【0268】
これにより、第3パッド電極431およびコイル電極433を同時に埋め込む場合には、第3パッドトレンチ434に埋め込まれる第3パッド電極431およびコイルトレンチ440に埋め込まれるコイル電極433の間で導電材料の過不足が生じるのを抑制できる。
アスペクト比D302/W308、アスペクト比D302/W309およびアスペクト比D302/W310は、ほぼ等しい値に設定されていることが好ましい。この場合には、第3パッド電極431およびコイル電極433の間で導電材料の過不足が生じるのを確実に抑制できる。
【0269】
複数の柱状部480は、第3パッドトレンチ434のアスペクト比D302/W307の調整により、第3パッド電極431の埋め込み性を向上させるために形成されている。複数の柱状部480の位置、大きさ、および/または、第3パッドトレンチ434内に占める割合は、適宜変更可能である。
アスペクト比D302/W307、アスペクト比D302/W308、アスペクト比D302/W309、アスペクト比D302/W310、アスペクト比D302/W311、アスペクト比D301/W301、アスペクト比D301/W302、アスペクト比D301/W303、アスペクト比D301/W304、アスペクト比D301/W305およびアスペクト比D301/W306が、ほぼ等しい値に設定されることが好ましい。
【0270】
さらに、第1パッドトレンチ326、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335の各深さD301、ならびに、第3パッドトレンチ434およびコイルトレンチ440の各深さD302は、ほぼ等しい値に設定されることが好ましい。
これにより、インダクタ形成領域417の第3パッド電極431、第4パッド電極432およびコイル電極433、ならびに、キャパシタ形成領域416の第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324を共通の工程を経て、同時に作り込むことができる。
【0271】
以上、チップキャパシタ401によれば、キャパシタ形成領域416において基板406の第1主面407には、第1キャパシタ電極323、第2キャパシタ電極324および誘電体325が埋め込まれている。また、インダクタ形成領域417において基板406の第1主面407には、コイル電極433が埋め込まれている。
これにより、第1キャパシタ電極323、第2キャパシタ電極324および誘電体325、ならびに、コイル電極433を基板406の第1主面407の法線方向に沿って積層しなくて済む。
【0272】
とりわけ、チップキャパシタ401によれば、第1パッド電極321および第2パッド電極322が、キャパシタ形成領域416において基板406の第1主面407に埋め込まれている。また、第3パッド電極431および第4パッド電極432が、インダクタ形成領域417において基板406の第1主面407に埋め込まれている。
したがって、基板406の第1主面407の上に形成されるべき電極層を削減できる。これにより、チップキャパシタ401が基板406の第1主面407の法線方向に沿って大型化するのを抑制できる。よって、小型化を図ることができるチップキャパシタ401を提供できる。
【0273】
このようなチップキャパシタ401は、図36A図36Mの工程と同様の工程を経て製造される。以下では、図36A図36Mを再度参照しながら、チップキャパシタ401の製造方法を説明する。図36A図36Mと共通の工程については、具体的な説明を省略する。
まず、図36Aを参照して、ベース基板370が準備される。ベース基板370の第1主面371は、基板406の第1主面407に対応しており、ベース基板370の第2主面372は、基板406の第2主面408に対応している。
【0274】
ベース基板370には、チップキャパシタ401に対応する複数のチップ形成領域373および複数のチップ形成領域373を区画する境界領域374が設定される。複数のチップ形成領域373には、キャパシタCCが形成されるキャパシタ形成領域416、および、インダクタLLが形成されるインダクタ形成領域417がそれぞれ設定される。
次に、図36Bを参照して、ベース基板370の第1主面371を被覆する第1絶縁膜375が形成される。また、ベース基板370の第2主面372を被覆する第2絶縁膜376が形成される。
【0275】
次に、図36Cを参照して、第1絶縁膜375の上に、所定のパターンを有するマスク377が形成される。マスク377は、キャパシタ形成領域416では、第1パッドトレンチ326、第2パッドトレンチ329、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335を形成すべき領域を露出させる開口378を有している。
マスク377は、インダクタ形成領域417では、第3パッドトレンチ434、第4パッドトレンチ437およびコイルトレンチ440を形成すべき領域を露出させる開口378を有している。
【0276】
次に、マスク377を介するエッチング法により、第1絶縁膜375の不要な部分が除去される。これにより、マスク377の開口378に整合する開口379が、第1絶縁膜375に形成される。その後、マスク377は除去される。
次に、図36Dを参照して、第1絶縁膜375をマスクとするエッチング法により、ベース基板370の不要な部分が除去される。
【0277】
これにより、キャパシタ形成領域416では、ベース基板370の第1主面371に、第1パッドトレンチ326、第2パッドトレンチ329、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335が形成される。
また、インダクタ形成領域417では、ベース基板370の第1主面371に、第3パッドトレンチ434、第4パッドトレンチ437およびコイルトレンチ440が形成される。
【0278】
第3パッドトレンチ434、第4パッドトレンチ437およびコイルトレンチ440は、異なる工程を経て形成されてもよい。たとえば、コイルトレンチ440は、第3パッドトレンチ434および第4パッドトレンチ437の形成後、またはこれに先立って形成されてもよい。
さらに、第3パッドトレンチ434、第4パッドトレンチ437およびコイルトレンチ440は、第1パッドトレンチ326、第2パッドトレンチ329、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335とは異なる工程を経て形成されてもよい。
【0279】
たとえば、第3パッドトレンチ434、第4パッドトレンチ437およびコイルトレンチ440は、第1パッドトレンチ326、第2パッドトレンチ329、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335の形成後、またはこれに先立って形成されてもよい。
次に、図36Eを参照して、第1絶縁膜375および第2絶縁膜376が除去される。
【0280】
次に、図36Fを参照して、ベース基板370の第1主面371を被覆する第1絶縁膜380が形成される。第1絶縁膜380のうちのベース基板370の第1主面371を被覆する部分は、表面絶縁膜410となる。
キャパシタ形成領域416では、第1絶縁膜380のうちの第1パッドトレンチ326の内部、第2パッドトレンチ329の内部、第1キャパシタトレンチ332の内部および第2キャパシタトレンチ335の内部に位置する部分が内壁絶縁膜338となる。
【0281】
インダクタ形成領域417では、第1絶縁膜380のうちの第3パッドトレンチ434の内部、第4パッドトレンチ437の内部およびコイルトレンチ440の内部に位置する部分が内壁絶縁膜338となる。
次に、図36Gを参照して、ベース基板370の第1主面371の上に第1電極層382が形成される。
【0282】
第1電極層382は、キャパシタ形成領域416では、第1パッド電極層327、第1パッド電極層330、第1キャパシタ電極層333および第1電極層336のベースとなる層である。
第1電極層382は、キャパシタ形成領域416では、ベース基板370の第1主面371、第1パッドトレンチ326の内壁、第2パッドトレンチ329の内壁、第1キャパシタトレンチ332の内壁および第2キャパシタトレンチ335の内壁に沿う膜状に形成される。
【0283】
第1電極層382は、インダクタ形成領域417では、第3パッド電極431の第1パッド電極層435、第4パッド電極432の第1パッド電極層438およびコイル電極433の第1コイル電極層448のベースとなる層である。
第1電極層382は、インダクタ形成領域417では、ベース基板370の第1主面371、第3パッドトレンチ434の内壁、第4パッドトレンチ437の内壁およびコイルトレンチ440の内壁に沿う膜状に形成される。
【0284】
次に、図36Hを参照して、第1電極層382の上に第2電極層383が形成される。第2電極層383は、キャパシタ形成領域416では、第2パッド電極層328、第2パッド電極層331、第2キャパシタ電極層334および第2電極層337のベースとなる層である。
第2電極層383は、キャパシタ形成領域416では、第1パッドトレンチ326、第2パッドトレンチ329、第1キャパシタトレンチ332および第2キャパシタトレンチ335を埋めてベース基板370の第1主面371を被覆する。
【0285】
第2電極層383は、インダクタ形成領域417では、第3パッド電極431の第2パッド電極層436、第4パッド電極432の第2パッド電極層439およびコイル電極433の第2コイル電極層449のベースとなる層である。
第2電極層383は、インダクタ形成領域417では、第3パッドトレンチ434、第4パッドトレンチ437およびコイルトレンチ440を埋めてベース基板370の第1主面371を被覆する。
【0286】
次に、図36Iを参照して、第1電極層382および第2電極層383の不要な部分が除去される。これにより、キャパシタ形成領域416では、第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324が形成される。また、インダクタ形成領域417では、第3パッド電極431、第4パッド電極432およびコイル電極433が形成される。
【0287】
第3パッド電極431、第4パッド電極432およびコイル電極433は、第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324とは異なる工程を経て形成されてもよい。
たとえば、第3パッド電極431、第4パッド電極432およびコイル電極433は、第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324の形成後に形成されてもよい。
【0288】
また、第3パッド電極431、第4パッド電極432およびコイル電極433は、第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323および第2キャパシタ電極324の形成に先立って形成されてもよい。
次に、図36Jを参照して、絶縁層411となるフィルム状のフォトレジスト層384が、ベース基板370の第1主面371の上に貼付される。
【0289】
次に、フォトレジスト層384において複数のチップ形成領域373に対応する領域が選択的に露光される。より具体的には、フォトレジスト層384において第1パッド開口451、第2パッド開口452、第3パッド開口453および第4パッド開口454を形成すべき領域外の領域、ならびに、境界領域374外の領域が選択的に露光される。
次に、フォトレジスト層384が、現像液への浸漬を経て、現像される。これにより、フォトレジスト層384に、第1パッド開口451、第2パッド開口452、第3パッド開口453および第4パッド開口454、ならびに、境界領域374を露出させる開口385が形成される。このようにして、フォトレジスト層384からなる絶縁層411が形成される。
【0290】
次に、図36Kを参照して、第1外部端子316および第2外部端子317に代えて、第1外部端子418、第2外部端子419、第3外部端子420および第4外部端子421が形成される。
この工程では、まず、絶縁層311の第1主面312の上に、第1電極層386が形成される。第1電極層386は、第1外部端子418の第1電極層455、第2外部端子419の第1電極層461、第3外部端子420の第1電極層467および第4外部端子421の第1電極層473のベースとなる。
【0291】
第1電極層386は、絶縁層311の第1主面312側からこの順に形成されたチタンシード層および銅シード層を含む。チタンシード層は、たとえばスパッタ法によって形成される。銅シード層は、たとえばスパッタ法によって形成される。
次に、第1電極層386の上に、所定のパターンを有するレジストマスク387が形成される。レジストマスク387は、第1外部端子418、第2外部端子419、第3外部端子420および第4外部端子421を形成すべき領域を選択的に露出させる開口388を有している。
【0292】
次に、レジストマスク387の開口388から露出する第1電極層386の上に、第1外部端子418の第2電極層456、第2外部端子419の第2電極層462、第3外部端子420の第2電極層468および第4外部端子421の第2電極層474が形成される。
第1外部端子418の第2電極層456、第2外部端子419の第2電極層462、第3外部端子420の第2電極層468および第4外部端子421の第2電極層474は、それぞれ銅めっき層を含む。銅めっき層は、たとえば電解めっき法により形成される。
【0293】
第1外部端子418の第2電極層456、第2外部端子419の第2電極層462、第3外部端子420の第2電極層468および第4外部端子421の第2電極層474が形成された後、レジストマスク387が除去される。
次に、第1外部端子418の第2電極層456、第2外部端子419の第2電極層462、第3外部端子420の第2電極層468および第4外部端子421の第2電極層474をマスクとするエッチング法により、絶縁層311の第1主面312の上に形成された第1電極層386の不要な部分が除去される。
【0294】
これにより、第1電極層386が、第1外部端子418の第1電極層455、第2外部端子419の第1電極層461、第3外部端子420の第1電極層467および第4外部端子421の第1電極層473に分断される。
次に、第1外部端子418の第3電極層457、第2外部端子419の第3電極層463、第3外部端子420の第3電極層469、第4外部端子421の第3電極層475が形成される。
【0295】
第1外部端子418の第3電極層457は、第1外部端子418の第2電極層456側からこの順に積層されたニッケル層458、パラジウム層459および金層460を含む。ニッケル層458、パラジウム層459および金層460は、たとえば電解めっき法によってそれぞれ形成される。
第2外部端子419の第3電極層463は、第2外部端子419の第2電極層462側からこの順に積層されたニッケル層464、パラジウム層465および金層466を含む。ニッケル層464、パラジウム層465および金層466は、たとえば電解めっき法によってそれぞれ形成される。
【0296】
第3外部端子420の第3電極層469は、第3外部端子420の第2電極層468側からこの順に積層されたニッケル層470、パラジウム層471および金層472を含む。ニッケル層470、パラジウム層471および金層472は、たとえば電解めっき法によってそれぞれ形成される。
第4外部端子421の第3電極層475は、第4外部端子421の第2電極層474側からこの順に積層されたニッケル層476、パラジウム層477および金層478を含む。ニッケル層476、パラジウム層477および金層478は、たとえば電解めっき法によってそれぞれ形成される。
【0297】
このようにして、第1外部端子418、第2外部端子419、第3外部端子420および第4外部端子421が形成される。第1外部端子418、第2外部端子419、第3外部端子420および第4外部端子421は、同時に形成される。
第3外部端子420および第4外部端子421は、異なる工程を経て形成されてもよい。たとえば、第4外部端子421は、第3外部端子420の形成後、またはこれに先立って形成されてもよい。
【0298】
第3外部端子420および第4外部端子421は、第1外部端子418および第2外部端子419の形成後に形成されてもよい。第3外部端子420および第4外部端子421は、第1外部端子418および第2外部端子419の形成に先立って形成されてもよい。
その後、図36L図36Mと同様の工程を経て、ベース基板370から複数のチップキャパシタ401が切り出される。
【0299】
図43は、本発明の第9実施形態に係るチップキャパシタ501の斜視図である。図44は、図43のチップキャパシタ501の電気的構造を示す回路図である。チップキャパシタ501においてチップキャパシタ401の構成と対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
図43を参照して、チップキャパシタ501では、チップ本体402の第1主面403の上に共通外部端子502が形成されている。共通外部端子502は、第1外部端子418および第3外部端子420を一体的に含む。
【0300】
図44を参照して、キャパシタCCの一端およびインダクタLLの一端は、共通外部端子502に電気的に接続されている。キャパシタCCの他端は、第2外部端子419に電気的に接続されている。インダクタLLの他端は、第4外部端子421に電気的に接続されている。
チップキャパシタ501は、前述の第1外部端子418、第2外部端子419、第3外部端子420および第4外部端子421を形成する工程において、レジストマスク387の開口388のパターンを変更することにより製造できる。
【0301】
以上、チップキャパシタ501によっても、チップキャパシタ401に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図45は、本発明の第10実施形態に係るチップキャパシタ511の斜視図である。チップキャパシタ511においてチップキャパシタ401の構成と対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0302】
図45を参照して、チップキャパシタ511では、チップ本体402の第1主面403の上には、第1共通外部端子512および第2共通外部端子513が形成されている。第1共通外部端子512は、第1外部端子418および第3外部端子420を一体的に含む。第2共通外部端子513は、第2外部端子419および第4外部端子421を一体的に含む。
【0303】
図46を参照して、キャパシタCCの一端およびインダクタLLの一端は、第1共通外部端子512に電気的に接続されている。キャパシタCCの他端およびインダクタLLの他端は、第2共通外部端子513に電気的に接続されている。
チップキャパシタ511は、前述の第1外部端子418、第2外部端子419、第3外部端子420および第4外部端子421を形成する工程において、レジストマスク387の開口388のパターンを変更することにより製造できる。
【0304】
以上、チップキャパシタ511によっても、チップキャパシタ401に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
図47は、本発明の第11実施形態に係るチップキャパシタ521の内部構造を示す平面図である。チップキャパシタ521においてチップキャパシタ401の構成と対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0305】
図47を参照して、チップキャパシタ521では、チップ本体402の第1主面403に、第1キャパシタ電極323およびコイル電極433に電気的に接続された共通パッド電極522が形成されている。共通パッド電極522は、第1パッド電極321および第3パッド電極431を一体的に含む。
また、チップキャパシタ521では、絶縁層411に、共通パッド電極522の一部の領域を露出させる共通パッド開口523が形成されている。共通パッド開口523は、共通パッド電極522のほぼ全域を露出させていてもよい。
【0306】
さらに、チップキャパシタ521では、チップ本体402の第1主面403の上に、共通外部端子524が形成されている。共通外部端子524は、第1外部端子418および第3外部端子420を一体的に含む。
共通外部端子524は、絶縁層411の第1主面412から共通パッド開口523に入り込んでいる。共通外部端子524は、共通パッド開口523内において共通パッド電極522に直接接続された接続部524aを含む。
【0307】
以上、チップキャパシタ521によっても、チップキャパシタ401に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。チップキャパシタ521のような構造は、前述の第9実施形態および第10実施形態においても適用できる。
図48は、本発明の第12実施形態に係るチップキャパシタ531の斜視図である。チップキャパシタ531においてチップキャパシタ401の構成と対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0308】
チップキャパシタ531では、チップ本体402が、平面視において長方形状に形成されている。第1外部端子418、第2外部端子419、第3外部端子420および第4外部端子421は、チップ本体402の長手方向に沿って間隔を空けて形成されている。
キャパシタ形成領域416およびインダクタ形成領域417は、この形態では、チップ本体402を2等分する分割線DLによって分割された二つの領域に画定されている。分割線DLは、図48では二点鎖線によって示されている。
【0309】
分割線DLは、チップ本体402の短手方向に沿って延び、かつ、チップ本体402を長手方向に沿って2等分している。分割線DLは、第1外部端子418および第4外部端子421の間の領域をチップ本体402の短手方向に沿って延びている。
これにより、キャパシタ形成領域416およびインダクタ形成領域417は、この形態では、チップ本体402の長手方向に沿って間隔を空けて形成されている。図48では、説明の便宜上、キャパシタCCおよびインダクタLLが破線によって簡略化して示されている。
【0310】
以上、チップキャパシタ521によっても、チップキャパシタ401に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
チップキャパシタ521において、前述の第9実施形態のような設計を適用して、第2外部端子419および第3外部端子420は、一体的に形成されていてもよい。また、チップキャパシタ521において、前述の第11実施形態のような設計を適用して、第2パッド電極322および第3パッド電極431が一体的に形成された構造が採用されてもよい。これらの場合、キャパシタCCおよびインダクタLLが直列接続された構造となる。
【0311】
図49は、本発明の第13実施形態に係るチップキャパシタ541の斜視図である。チップキャパシタ541においてチップキャパシタ401の構成と対応する構成については同一の参照符号を付して説明を省略する。
チップキャパシタ531において、チップ本体402には、キャパシタ形成領域416およびインダクタ形成領域417に加えて、さらに他の機能素子Eが形成される素子形成領域533が画定されている。図49では、説明の便宜上、キャパシタCC、インダクタLLおよび機能素子Eが破線によって簡略化して示されている。
【0312】
素子形成領域533には、キャパシタCCが形成されていてもよい。素子形成領域533には、第1パッド電極321、第2パッド電極322、第1キャパシタ電極323、第2キャパシタ電極324および誘電体325が形成されていてもよい。
素子形成領域533には、キャパシタCCに代えてインダクタLLが形成されていてもよい。素子形成領域533には、第3パッド電極431、第4パッド電極432およびコイル電極433が形成されていてもよい。
【0313】
キャパシタ形成領域416、インダクタ形成領域417および機能素子Eは、この形態では、チップ本体402を3等分する第1分割線DL1および第2分割線DL2によって分割された三つの領域に画定されている。
第1分割線DL1および第2分割線DL2は、図49では二点鎖線によって示されている。第1分割線DL1および第2分割線DL2は、第1方向AAに沿って延び、かつ、チップ本体402を第2方向BBに沿って3等分する線である。
【0314】
キャパシタ形成領域416は、チップ本体402において第2方向BBの一端部側に画定されている。インダクタ形成領域417は、キャパシタ形成領域416に対してチップ本体402の第2方向BBの他端部側に画定されている。素子形成領域533は、インダクタ形成領域417に対してチップ本体402の第2方向BBの他端部側に画定されている。
【0315】
素子形成領域533には、機能素子E用の第5外部端子534および第6外部端子535が形成されている。第5外部端子534および第6外部端子535は、第1方向AAに沿って互いに間隔を空けて形成されている。
第5外部端子534は、第1主面403において第1方向AAの一端部側に形成されている。第5外部端子534は、平面視において第2方向BBに沿って延びる長方形状に形成されている。第5外部端子534は、図示しないパッド開口を介して機能素子Eに電気的に接続されている。
【0316】
第6外部端子535は、第1主面403において第1方向AAの他端部側に形成されている。第6外部端子535は、平面視において第2方向BBに沿って延びる長方形状に形成されている。第6外部端子535図示しないパッド開口を介して機能素子Eに電気的に接続されている。
素子形成領域533側の構造は、キャパシタ形成領域416側の構造またはインダクタ形成領域417側の構造と略同様であるので、具体的な説明は省略する。
【0317】
チップキャパシタ521は、前述の第8実施形態に係る製造方法においてマスクのレイアウトを適宜変更することにより製造できる。
以上、チップキャパシタ521によっても、チップキャパシタ401に対して述べた効果と同様の効果を奏することができる。
以上、本発明の第7実施形態~第13実施形態について説明したが、本発明は、第7実施形態~第13実施形態以外の形態で実施することもできる。
【0318】
前述の第8実施形態~第13実施形態において、インダクタ形成領域417に代えてキャパシタ形成領域416が形成されていてもよい。つまり、チップ本体402には、複数のキャパシタ形成領域416が形成されていてもよい。
むろん、前述の第8実施形態~第13実施形態において、キャパシタ形成領域416に代えてインダクタ形成領域417が形成されていてもよい。つまり、チップ本体402には、複数のインダクタ形成領域417が形成されていてもよい。この場合、チップキャパシタに代えてチップインダクタを提供できる。
【0319】
前述の第7実施形態~第13実施形態において、基板306,406は、半導体装置の形成に利用される半導体基板であってもよい。シリコン基板、窒化物半導体基板、SiC基板、ダイアモンド基板等を、半導体基板として例示できる。半導体基板は、不純物無添加の高抵抗半導体基板であってもよい。基板306,406が半導体基板からなる場合、半導体装置の製造プロセスを利用して基板306,406を容易に加工できる。
【0320】
前述の第7実施形態~第13実施形態において、基板306,406は、絶縁基板であってもよい。ガラス基板、セラミック基板、樹脂基板等を、絶縁基板として例示できる。基板306,406が絶縁基板からなる場合、当該絶縁基板の一部の領域を利用して誘電体325を形成できる。したがって、基板306,406の第1主面303,403の上に表面絶縁膜310,410や内壁絶縁膜338を形成しなくて済む。
【0321】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。この明細書および図面(図29図49)から抽出される特徴の例を以下に示す。
特開2006-347782号公報には、積層セラミックコンデンサが開示されている。積層セラミックコンデンサは、第1の内部電極と、誘電体セラミック層を挟んで第1の内部電極に対向する第2の内部電極と、第1の内部電極に電気的に接続された第1の外部電極と、第2の内部電極に電気的に接続された第2の外部電極とを含む。
【0322】
以下では、小型化を図ることができるチップキャパシタおよびその製造方法の例を示す。
[項1]主面を有する基板と、前記基板の前記主面に埋め込まれた第1パッド電極と、前記第1パッド電極から間隔を空けて前記基板の前記主面に埋め込まれた第2パッド電極と、前記基板の前記主面に埋め込まれ、かつ、前記第1パッド電極から前記第2パッド電極側に向けて引き出された第1キャパシタ電極と、前記基板の前記主面に埋め込まれ、かつ、前記第1パッド電極および前記第2パッド電極の対向方向に交差する交差方向に前記第1キャパシタ電極と対向するように前記第2パッド電極から前記第1パッド電極側に向けて引き出された第2キャパシタ電極と、前記基板の前記主面において、前記第1キャパシタ電極および前記第2キャパシタ電極の間の領域に埋め込まれた誘電体と、を含む、チップキャパシタ。
【0323】
このチップキャパシタによれば、第1キャパシタ電極、第2キャパシタ電極および誘電体が基板の主面に埋め込まれている。これにより、第1キャパシタ電極、第2キャパシタ電極および誘電体を基板の主面の法線方向に沿って積層しなくて済む。
また、このチップキャパシタでは、第1パッド電極および第2パッド電極も基板の主面に埋め込まれているので、基板の主面の上に形成されるべき電極層を削減できる。これにより、基板の主面の法線方向に沿ってチップキャパシタが大型化するのを抑制できる。よって、小型化を図ることができるチップキャパシタを提供できる。
【0324】
[項2]前記第1パッド電極に接続された第1接続部を有する第1外部端子と、前記第2パッド電極に接続された第2接続部を有する第2外部端子と、をさらに含む、項1に記載のチップキャパシタ。
[項3]前記基板の前記主面を被覆する絶縁層をさらに含み、前記第1外部端子は、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通して前記第1パッド電極に接続されており、前記第2外部端子は、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通して前記第2パッド電極に接続されている、項2に記載のチップキャパシタ。
【0325】
[項4]前記絶縁層は、樹脂層の単層構造からなる、項3に記載のチップキャパシタ。
[項5]前記絶縁層は、ネガティブタイプのフォトレジスト層からなる、項3または4に記載のチップキャパシタ。
[項6]前記絶縁層は、10μm以上の厚さを有している、項3~5のいずれか一項に記載のチップキャパシタ。
【0326】
[項7]主面を有し、キャパシタを含むキャパシタ形成領域およびインダクタを含むインダクタ形成領域を有する基板を含む、チップキャパシタであって、前記キャパシタ形成領域は、前記基板の前記主面に埋め込まれた第1パッド電極と、前記第1パッド電極から間隔を空けて前記基板の前記主面に埋め込まれた第2パッド電極と、前記基板の前記主面に埋め込まれ、かつ、前記第1パッド電極から前記第2パッド電極側に向けて引き出された第1キャパシタ電極と、前記基板の前記主面に埋め込まれ、前記第1パッド電極および前記第2パッド電極の対向方向に交差する交差方向に前記第1キャパシタ電極と対向するように前記第2パッド電極から前記第1パッド電極側に向けて引き出された第2キャパシタ電極と、前記基板の前記主面において、前記第1キャパシタ電極および前記第2キャパシタ電極の間の領域に埋め込まれた誘電体と、を含み、前記インダクタ形成領域は、前記基板の前記主面に埋め込まれた第3パッド電極と、前記第3パッド電極から間隔を空けて前記基板の前記主面に埋め込まれた第4パッド電極と、前記第3パッド電極に接続された一端部、および、前記第4パッド電極に接続された他端部を有し、前記基板の前記主面の法線方向から見た平面視において螺旋状に引き回されるように前記基板の前記主面に埋め込まれたコイル電極と、を含む、チップキャパシタ。
【0327】
このチップキャパシタは、キャパシタ形成領域に加えてインダクタ形成領域を含む複合型のチップ部品として形成されている。キャパシタ形成領域では、第1キャパシタ電極、第2キャパシタ電極および誘電体が基板の主面に埋め込まれており、インダクタ形成領域では、コイル電極が基板の主面に埋め込まれている。
これにより、第1キャパシタ電極、第2キャパシタ電極、誘電体およびコイル電極を基板の主面の法線方向に沿って積層しなくて済む。また、このチップキャパシタでは、第1パッド電極、第2パッド電極第3パッド電極および第4パッド電極も基板の主面に埋め込まれている。
【0328】
したがって、基板の主面の上に形成されるべき電極層を削減できる。これにより、基板の主面の法線方向に沿ってチップキャパシタが大型化するのを抑制できる。よって、小型化を図ることができるチップキャパシタを提供できる。
[項8]前記キャパシタ形成領域は、前記第1パッド電極に接続された第1接続部を有する第1外部端子と、前記第2パッド電極に接続された第2接続部を有する第2外部端子と、をさらに含み、前記インダクタ形成領域は、前記第3パッド電極に接続された第3接続部を有する第3外部端子と、前記第4パッド電極に接続された第4接続部を有する第4外部端子と、をさらに含む、項7に記載のチップキャパシタ。
【0329】
[項9]前記基板の前記主面を被覆する絶縁層をさらに含み、前記第1外部端子は、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通して前記第1パッド電極に接続されており、前記第2外部端子は、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通して前記第2パッド電極に接続されており、前記第3外部端子は、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通して前記第3パッド電極に接続されており、前記第4外部端子は、前記絶縁層の表面から前記絶縁層を貫通して前記第4パッド電極に接続されている、項8に記載のチップキャパシタ。
【0330】
[項10]前記絶縁層は、樹脂層の単層構造からなる、項9に記載のチップキャパシタ。
[項11]前記絶縁層は、ネガティブタイプのフォトレジスト層からなる、項9または10に記載のチップキャパシタ。
[項12]前記絶縁層は、10μm以上の厚さを有している、項9~11のいずれか一項に記載のチップキャパシタ。
【0331】
[項13]主面を有するベース基板を準備する工程と、前記ベース基板の前記主面に、第1パッドトレンチを形成する工程と、前記ベース基板の前記主面に、前記第1パッドトレンチから間隔を空けて第2パッドトレンチを形成する工程と、前記ベース基板の前記主面に、前記第1パッドトレンチから前記第2パッドトレンチ側に引き出されるように第1キャパシタトレンチを形成する工程と、前記ベース基板の前記主面に、前記第1パッドトレンチおよび前記第2パッドトレンチの対向方向に交差する交差方向に前記第1キャパシタトレンチと対向し、かつ、前記第2パッドトレンチから前記第1パッドトレンチ側に引き出されるように第2キャパシタトレンチを形成する工程と、前記第1キャパシタトレンチの内壁面および前記第2キャパシタトレンチの内壁面に沿って誘電体を形成する工程と、前記第1パッドトレンチに導電体を埋めて、第1パッド電極を形成する工程と、前記第2パッドトレンチに導電体を埋めて、第2パッド電極を形成する工程と、前記第1キャパシタトレンチに導電体を埋めて、第1キャパシタ電極を形成する工程と、前記第2キャパシタトレンチに導電体を埋めて、第2キャパシタ電極を形成する工程と、を含む、チップキャパシタの製造方法。
【0332】
このチップキャパシタの製造方法によれば、第1キャパシタ電極、第2キャパシタ電極および誘電体がベース基板の主面に埋め込まれる。これにより、第1キャパシタ電極、第2キャパシタ電極および誘電体を基板の主面の法線方向に沿って積層しなくて済む。
また、このチップキャパシタの製造方法によれば、第1パッド電極および第2パッド電極もベース基板の主面に埋め込まれる。したがって、ベース基板の主面の上に形成されるべき電極層を削減できる。これにより、ベース基板の主面の法線方向に沿ってチップキャパシタが大型化するのを抑制できる。よって、小型化を図ることができるチップキャパシタを製造し、提供できる。
【0333】
[項14]前記ベース基板の前記主面に埋め込まれた前記第1パッド電極、前記第2パッド電極、前記第1キャパシタ電極および前記第2キャパシタ電極を被覆するように、前記ベース基板の前記主面の上に絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層に、前記第1パッド電極を露出させる第1開口を形成する工程と、前記絶縁層に、前記第2パッド電極を露出させる第2開口を形成する工程と、前記絶縁層の前記第1開口に導電体を埋めて、前記第1パッド電極に接続された接続部を有する第1外部端子を形成する工程と、前記絶縁層の前記第2開口に導電体を埋めて、前記第2パッド電極に接続された接続部を有する第2外部端子を形成する工程と、をさらに含む、項13に記載のチップキャパシタの製造方法。
【0334】
[項15]前記絶縁層を形成する工程は、前記ベース基板の前記主面に前記絶縁層としての感光性樹脂からなる樹脂層を形成する工程を含み、前記第1開口を形成する工程において、前記第1開口は、前記樹脂層を選択的に露光した後、現像することにより形成され、前記第2開口を形成する工程において、前記第2開口は、前記樹脂層を選択的に露光した後、現像することにより形成される、項14に記載のチップキャパシタの製造方法。
【0335】
[項16]前記第1パッドトレンチを形成する工程、前記第2パッドトレンチを形成する工程前記、前記第1キャパシタトレンチを形成する工程および前記第2キャパシタトレンチを形成する工程は、同時に実行される、項14または15に記載のチップキャパシタの製造方法。
[項17]前記第1パッド電極を形成する工程、前記第2パッド電極を形成する工程、前記第1キャパシタ電極を形成する工程および前記第2キャパシタ電極を形成する工程は、同時に実行される、項14~16のいずれか一項に記載のチップキャパシタの製造方法。
【符号の説明】
【0336】
1 チップインダクタ
2 封止体
3 封止体の実装面
4 封止体の非実装面
5 封止体の接続面
6 第1外部端子
7 第2外部端子
10 第1外部端子の第1底面端子
11 第1外部端子の第1側面端子
12 第2外部端子の第2底面端子
13 第2外部端子の第2側面端子
21 コイル導体
22 コイル導体の第1コイル末端
23 コイル導体の第2コイル末端
24 コイル導体の螺旋部
25 第1コイル末端の第1底面部分
27 第1底面部分の第1底面延部
28 第1底面部分の第1底面凸部
31 第2コイル末端の第2底面部分
33 第2底面部分の第2底面延部
34 第2底面部分の第2底面凸部
41 螺旋部の第1螺旋部
42 螺旋部の第2螺旋部
43 螺旋部の接続部
44 第1螺旋部の第1コイルサブ末端
45 第2螺旋部の第2コイルサブ末端
61 螺旋部の第1引き出し部
62 螺旋部の第2引き出し部
75 第2フォトレジスト層(第1絶縁体層)
77 第3フォトレジスト層(第2絶縁体層)
79 第4フォトレジスト層(第3絶縁体層)
91 チップインダクタ
92 チップインダクタ
95 チップインダクタ
96 チップインダクタ
100 チップインダクタ
101 第1引き出し部の第1延部
102 第1引き出し部の第2延部
103 第2引き出し部の第3延部
104 第2引き出し部の第4延部
111 チップインダクタ
121 チップインダクタ
A 巻回軸線
Y 法線方向
Z 巻回軸方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図16D
図16E
図16F
図16G
図16H
図16I
図16J
図16K
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