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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】便器装置及び便器素地の鋳込み成形方法
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/13 20060101AFI20240328BHJP
   E03D 11/02 20060101ALI20240328BHJP
   B28B 1/26 20060101ALI20240328BHJP
【FI】
E03D11/13
E03D11/02 Z
B28B1/26 101
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019238636
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107624
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昭範
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-267025(JP,A)
【文献】特開平11-061951(JP,A)
【文献】特開2016-176255(JP,A)
【文献】特開平09-041467(JP,A)
【文献】特開平07-324367(JP,A)
【文献】特開平08-142020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 11/13
E03D 11/02
B28B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便鉢部を有する便器本体と、
前記便鉢部の底部に接続される排水管路と、
前記排水管路に設けられ、封水貯留部が設けられる管路構成部材と、
前記管路構成部材に設けられ、配管部材が接続される配管接続部と、
前記配管接続部の内側に設けられ、前記封水貯留部の水路形成面の頂部と、を備え、
前記頂部の内下面には、前記配管接続部の内側において、前記封水貯留部に貯留される封水の最高水位を定める溢れ縁が設けられ
記管路構成部材及び前記配管部材の内部には前記便鉢部内から排出される水が通る内部水路が形成され、
前記頂部には、前記内部水路において下流側に向かって低くなる水落とし部が設けられ
前記水落とし部は、前記管路構成部材を構成する前記便器本体により構成される便器装置。
【請求項2】
便鉢部を有する便器本体と、
前記便鉢部の底部に接続される排水管路と、
前記排水管路に設けられ、封水貯留部が設けられる管路構成部材と、
前記管路構成部材に設けられ、配管部材が接続される配管接続部と、
前記配管接続部の内側に設けられ、前記封水貯留部の水路形成面の頂部と、を備え、
前記頂部を通る流れ方向に直交する断面において、前記水路形成面の軸芯は、前記配管接続部の外周面の軸芯に対して上側に偏心している便器装置。
【請求項3】
便鉢部を有する便器本体と、
前記便鉢部の底部に接続される排水管路と、
前記排水管路に設けられ、封水貯留部が設けられる管路構成部材と、
前記管路構成部材に設けられ、配管部材が接続される配管接続部と、
前記配管接続部の内側に設けられ、前記封水貯留部の水路形成面の頂部と、を備え、
前記頂部には、前記配管接続部の内側において、前記封水貯留部に貯留される封水の最高水位を定める溢れ縁が設けられ
記配管接続部の内側には、前記頂部を通る流れ方向に直交する断面において、前記水路形成面の下方に中空部が設けられ、
前記中空部は、前記排水管路に設けられる便器装置。
【請求項4】
前記管路構成部材は、便器排水路が設けられる便器本体であり、
前記中空部は、前記便器排水路の下流側端部に設けられる請求項3に記載の便器装置。
【請求項5】
前記頂部には、前記頂部を通る流れ方向に直交する断面において、水平面と平行な平坦面が設けられる請求項1から4のいずれか1項に記載の便器装置。
【請求項6】
前記配管接続部の外周面は、円形状である請求項5に記載の便器装置。
【請求項7】
記頂部には、前記内部水路において下流側に向かって段階的に低くなる前記水落とし部が設けられる請求項1に記載の便器装置。
【請求項8】
便鉢部を有する便器本体と、
前記便鉢部の底部に接続される排水管路と、
前記排水管路に設けられ、封水貯留部が設けられる管路構成部材と、
前記管路構成部材に設けられ、配管部材が接続される配管接続部と、
前記配管接続部の内側に設けられ、前記封水貯留部の水路形成面の頂部と、を備え、
前記頂部には、前記配管接続部の内側において、前記封水貯留部に貯留される封水の最高水位を定める溢れ縁が設けられ
記頂部の最頂箇所は、前記配管接続部の下流側端面よりも前記排水管路の上流側に設けられる便器装置。
【請求項9】
請求項3に記載の便器本体を構成する便器素地の鋳込み成形方法であって、
複数の型を型合わせすることによって、前記便器素地を成形するための型空間を形成する工程を含み、
前記複数の型には、前記便器素地の後方に配置される後型が含まれ、
前記後型は、前記配管接続部を成形する成形凹部と、前記中空部を成形する成形凸部とを備える便器素地の鋳込み成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器装置は、通常、便鉢部を有する便器本体と、便鉢部の底部に接続される排水管路と、を備える。排水管路は、通常、封水貯留部が設けられる管路構成部材を備え、管路構成部材は、配管部材が接続される配管接続部を備える。特許文献1の便器装置では、配管接続部の内側より上流側にて封水貯留部の水路形成面の頂部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第3054061号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、便器装置の小型化を図るうえで、特許文献1の開示技術に関して、改良の余地があるとの認識を得た。
【0005】
本開示の目的の1つは、便器装置の小型化を図れる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するための本開示のある態様は便器装置である。ある態様の便器装置は、便鉢部を有する便器本体と、前記便鉢部の底部に接続される排水管路と、前記排水管路に設けられ、封水貯留部が設けられる管路構成部材と、前記管路構成部材に設けられ、配管部材が接続される配管接続部と、前記配管接続部の内側に設けられ、前記封水貯留部の水路形成面の頂部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の便器装置の側面図である。
図2】第1実施形態の便器装置の一部を示す側面断面図である。
図3】第1実施形態の便器本体を周辺構造の一部とともに示す側面断面図である。
図4図3の便器本体を周辺構造の一部とともに示す平面図である。
図5】第1実施形態の便器本体を周辺構造とともに示す背面図である。
図6】第1実施形態の便器装置の一部を示す構成図である。
図7図2のB-B断面の一部を示す図である。
図8】第1実施形態の便器本体を機能装置とともに示す平面図である。
図9】第1実施形態の高位領域及び低位領域を示す平面図である。
図10A】第1実施形態のバキュームブレーカの断面図である。
図10B】第1実施形態のバキュームブレーカの他の断面図である。
図11】第1実施形態の分割領域の説明図である。
図12図3の一部の拡大図である。
図13図12のD-D断面図である。
図14A】第1変形例の第2管路構成部材の断面図である。
図14B】第1実施形態の第2管路構成部材の断面図である。
図15】第1実施形態の便器素地を示す側面断面図である。
図16】第1実施形態の鋳込み成形の途中状態を示す側面断面図である。
図17】第1実施形態の相手機器が右側に配置された状態を模式的に示す平面図である。
図18図17の状態にある便器装置の一部を示す側面断面図である。
図19図17の状態にある便器装置を示す背面図である。
図20図17の状態にある便器装置の一部を示す平面図である。
図21図19の一部の拡大図である。
図22図21のE-E断面図である。
図23】第1実施形態の便器排水路から排水ソケットを取り外した状態を示す平面図である。
図24】第1実施形態の基準方向の説明図である。
図25】第1実施形態の相手機器が左側に配置された状態を模式的に示す平面図である。
図26図25の状態にある便器装置を示す背面図である。
図27】第2実施形態の便器装置の一部を示す側面断面図である。
図28図27のF-F断面の一部を示す図である。
図29】第2実施形態の便器装置の一部を示す構成図である。
図30】第2変形例の便器装置の側面断面図である。
図31】第3変形例の便器装置の側面断面図である。
図32】第4変形例の便器装置の側面断面図である。
図33】第5変形例の便器装置を図28と同様の視点から見た図である。
図34】第5変形例の便器装置の一部を示す構成図である。
図35】第6変形例の便器装置の一部を示す平面図である。
図36】第6変形例の便器装置の背面図である。
図37】第7変形例の便器装置の一部を示す平面図である。
図38A】第8変形例の高位領域及び低位領域を示す平面図である。
図38B】第9変形例の高位領域及び低位領域を示す平面図である。
図39】第10変形例の分割領域の説明図である。
図40】第11変形例の第2配管接続部周りの構成を示す断面図である。
図41】第12変形例の排水ソケット周りの構成を示す断面図である。
図42】第13変形例の便器装置を模式的に示す背面図である。
図43】第14変形例の便器装置の一部を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小したりする。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書での「固定」、「接続」、「当てる」とは、特に明示がない限り、言及している条件を二者が直接的に満たす場合の他に、他の部材を介して満たす場合も含む。
【0009】
(第1実施形態)第1実施形態の便器装置10の第1の工夫点を説明する。図1図2を参照する。便器装置10は、便鉢部12を有する便器本体14と、便鉢部12に接続される排水管路16と、便器本体14に液体を供給する液体供給装置18と、便器本体14に取り付けられる便座20及び便蓋22とを備える。
【0010】
以下、便器装置10の構成要素の位置関係に関して、互いに直交する三つの方向を用いて説明する。この方向とは、前後方向X、左右方向Y及び上下方向Zである。前後方向X、左右方向Yは水平方向であり、便座20に通常の姿勢で座る着座者の前後左右と対応する。上下方向Zは鉛直方向である。
【0011】
図3図5を参照する。本実施形態の便器本体14は陶器を素材とする。便器本体14の素材は特に限られず、たとえば、樹脂等でもよい。便器本体14は洋風大便器であり、汚物を受けるための便鉢部12の他に、便鉢部12の上端開口部が開口する上面部24を備える。本実施形態の便器本体14は、トイレ室の床面F上に配置される床置き式であり、床面Fに固定される。
【0012】
本実施形態の便器装置10は、便鉢部12を取り囲む外周壁部26を備える。本実施形態の外周壁部26は便器本体14の一部として便器本体14に設けられる。本実施形態の外周壁部26は、排水管路16及び液体供給装置18も取り囲んでおり、その取り囲んでいる対象(例えば、便鉢部12等)を外部から隠蔽する。外周壁部26は、トイレ室に便器本体14を固定する前の状態にあるとき、外部空間に露出する。
【0013】
外周壁部26は、便鉢部12の前方から便鉢部12の左右両側を経由して便鉢部12よりも後方に延びるように設けられる。本実施形態の外周壁部26は、便器本体14の上面部24の外周縁部に連続している。本実施形態の便器装置10は、床面F上に便器装置10の外周壁部26を載置することで床面Fに支持される。
【0014】
便器装置10は、便鉢部12の後方に設けられる第1空洞部28を備える。第1空洞部28は、左右に間を置いて配置されるとともに外部空間に露出する一対の外側壁部30の内側に設けられる。一対の外側壁部30は、外周壁部26が構成している。第1空洞部28は、外周壁部26の内側に設けられるとも捉えられる。一対の外側壁部30は、便器本体14に一体化されている。本実施形態の第1空洞部28は、後述する隔壁部材32によって上下に仕切られている。
【0015】
本実施形態の第1空洞部28は、一対の外側壁部30、及び、第1空洞部28の下壁部を構成する第1隔壁部34が構成する。この他に、第1空洞部28は、一対の外側壁部30の内側に設けられる一対の第1内壁部36、及び、便器本体14の上面部24から垂下する第2内壁部38が構成する。第1内壁部36の上端部は外側壁部30に接続される。第1内壁部36の下端部は第1隔壁部34に接続される。第1内壁部36の前端部は第2内壁部38に接続される。
【0016】
便器装置10は、便鉢部12の下方に設けられる第2空洞部40を備える。第2空洞部40は、便器装置10の外周壁部26及び第1隔壁部34の他に、便鉢部12の下面から垂下する第2内壁部42が構成する。第2内壁部42の下端部は、外周壁部26に接続される。
【0017】
図2に戻る。排水管路16は、建物に設置される排水管44に接続される。本実施形態の排水管44は、トイレ室の床面Fに埋め込まれている。排水管路16は、便器本体14に設けられる便器排水路46を備える。本実施形態の排水管路16は、更に、便器排水路46と排水管44を接続する排水ソケット48と、便器排水路46と排水ソケット48を接続する接続配管50と、を備える。
【0018】
排水管路16には、封水貯留部52を構成する上昇管路54が設けられる。上昇管路54は、下流側に向かうにつれて上昇するとともに後方に延びており、本実施形態では便器排水路46に設けられる。封水貯留部52には、排水管路16内での空気の流れを遮断する封水56が貯留される。
【0019】
排水管路16には、上昇管路54よりも下流側において下流側に向かうに連れて下降する下降管路58が設けられる。本実施形態の下降管路58は、下流側に向かうに連れて鉛直下向きに延びており、排水ソケット48に設けられる。
【0020】
排水管路16には、上昇管路54と下降管路58を接続する接続管路60が設けられる。本実施形態の接続管路60は、下流側に向かうにつれて後向きに直線的に延びており、接続配管50に設けられる。
【0021】
排水管路16は、排水管路16を構成する第1管路構成部材62を備える。本実施形態の第1管路構成部材62は接続配管50である。第1管路構成部材62は、第1管路構成部材62の下流側端部に設けられる筒状の第1配管接続部66を備える。第1配管接続部66は、第1配管部材64に接続される。第1配管部材64は、第1管路構成部材62よりも下流側に配置される。本実施形態の第1配管部材64は排水ソケット48である。第1配管接続部66は、第1配管部材64の上流側端部(後述する上流側接続部68)の内側に差し込まれることで、第1配管部材64に接続される。
【0022】
排水管路16の第1配管接続部66は後向きに延びている(図3も参照)。これにより、便器本体14を前後方向Xに移動させることで、便器装置10の配置予定位置に予め配置されている第1配管部材64に対して第1配管接続部66を抜き差し可能となる。つまり、このように便器本体14を移動させることで、予め配置されている第1配管部材64に対して第1配管接続部66を接続可能となる。よって、予め配置されている第1配管部材64に対して第1配管接続部66を接続する作業において、床面Fから便器本体14を大きく持ち上げずに済む。この結果、良好な作業性が得られる。
【0023】
排水ソケット48は、第1管路構成部材62の第1配管接続部66が接続される上流側接続部68と、排水管44に接続される下流側接続部70とを備える。本実施形態の排水ソケット48は、上流側接続部68が設けられる上流側配管72と、下流側接続部70が設けられる下流側配管74と、上流側配管72と下流側配管74を接続するアジャスタ管76とを備える。
【0024】
上流側接続部68には、第1管路構成部材62の第1配管接続部66が差し込まれる差込口68aが形成される。本実施形態の差込口68aは、上流側接続部68に設けられる弾性部材69に形成される。弾性部材69は弾性体を用いて構成される。第1管路構成部材62の第1配管接続部66は、弾性部材69を介して、排水ソケット48の上流側接続部68に水密に接続される。
【0025】
排水ソケット48は、便器装置10の第1空洞部28及び第2空洞部40のそれぞれに収容される。本実施形態では、排水ソケット48の上流側配管72が第1空洞部28に収容され、排水ソケット48のアジャスタ管76及び下流側配管74が第2空洞部40に収容される。
【0026】
アジャスタ管76には、前後方向Xに延びる直管部76aが設けられる。アジャスタ管76は、下流側配管74に直管部76aを差し込むことで接続される。排水ソケット48は、上流側接続部68と下流側接続部70の前後方向での相対位置を変化させるように、その前後方向での長さを調整可能である。これは、本実施形態では、アジャスタ管76の直管部76aの一部を切断して、その直管部76aの前後寸法を調整することで実現される。これにより、便器本体14と排水管44の位置に合わせて、上流側接続部68と下流側接続部70の相対位置を調整することで、対応可能な排水芯の範囲を広げることができる。ここでの「排水芯」とは、トイレ室の床面Fから立ち上がる壁部W(以下、トイレ室壁部Wという)から排水管44の上流端開口部の中心線CL1までの距離をいう。
【0027】
便器装置10は、排水管路16の下流側に向けてジェット口80aから水を吐き出すジェット吐出部80を備える。ジェット吐出部80は、排水管路16の内壁面に開口するジェット口80aから後向きに水を吐き出す。
【0028】
図6を参照する。便器装置10は、給液源から供給された液体を便器本体14に供給する給液路90と、給液路90に設けられた開閉弁92と、開閉弁92よりも上流側にて給液路90に設けられた逆止弁94とを備える。便器装置10は、開閉弁92よりも上流側にて給液路90から分岐する分岐路96と、給液路90に分岐路96を介して接続される蓄圧装置98と、開閉弁92よりも下流側にて給液路90に設けられるバキュームブレーカ100とを備える。バキュームブレーカ100の詳細は後述する。
【0029】
本実施形態の給液源は上水道である。給液路90には、液体として、便器本体14を洗浄する水(以下、洗浄水という)が供給される。開閉弁92は、電磁弁、電動弁等の電気駆動弁であり、不図示の制御部による制御のもとで給液路90を開閉可能である。
【0030】
蓄圧装置98は、便器本体14に液体を供給する液体供給装置18の一例となる。本実施形態の液体供給装置18は、給液路90から供給される液体を貯留し、自らに貯留した液体を便器本体14に供給可能である。液体供給装置18は、液体として、便器洗浄用の洗浄水を貯留する。液体供給装置18は、長尺状の本体102(図5も参照)を備え、本体102の長軸は直線状に延びている。本体102は、給液路90から供給される液体を貯留するタンクとなる。蓄圧装置98は、本体102内を主室104と副室106に区画するダイヤフラム等の区画部材108と、区画部材108を主室104の容積が小さくなる方向に付勢するコイルスプリング等の付勢部材110と、を備える。
【0031】
蓄圧装置98の主室104には、開閉弁92が閉弁状態にあるとき、給液路90から分岐路96を介して液体が流入可能である。蓄圧装置98は、主室104に流入する液体の静水圧によって、付勢部材110の付勢力に抗して区画部材108が動くことで主室104内での液体貯留量を徐々に大きくできる。蓄圧装置98は、付勢部材110の付勢力によって主室104内の液体を蓄圧可能である。蓄圧装置98は、開閉弁92が開弁状態にあるとき、付勢部材110の付勢力によって区画部材108を動かすことで、蓄圧された状態の液体を主室104から給液路90を介して便器本体14に供給可能である。これにより、給液源から供給された液体に蓄圧装置98によって蓄圧された液体が合流し、給液路90を通して大圧力の液体を便器本体14に供給できる。
【0032】
図2図5図7を参照する。図5では、液体供給装置18の上方にある排水管路16の一部のみを二点鎖線で示す。側面視において、上昇管路54の後方で上昇管路54と前後方向Xに重なる位置で、かつ、排水管路16の下方で排水管路16と上下方向Zに重なる位置には、第1配置空間112が設けられる。第1配置空間112には、液体供給装置18の本体102の少なくとも一部が配置される。ここでの「側面視」とは、図2の視点から見ること、つまり、左右方向Yから見ることと同義である。このように特定の視点を言及するとき、外部構造及び内部構造に関わりなく、その視点から見たときの各構成要素の位置関係を言及しているものとする。本実施形態の第1配置空間112は、便器装置10の第1空洞部28の内側に設けられる。
【0033】
第1配置空間112は、排水管路16の水路頂部314(後述する)の下方に設けられる。第1配置空間112は、側面視において、上昇管路54と下降管路58の間に設けられる。
【0034】
排水管路16の内部水路306(後述する)において、封水貯留部52の内上面の最深箇所をP1とし、その最深箇所P1の真下の箇所をP2とし、箇所P1と箇所P2の上下方向での中央箇所をP3という。液体供給装置18の本体102は、側面視において、内部水路306の前述の中央位置P3よりも上方に少なくとも一部があるように設けられる。本体102の少なくとも一部は、側面視において、ジェット口80aの下端位置P4よりも上方にあるように設けられる。本体102の少なくとも一部は、側面視において、排水管路16の封水貯留部52の下端位置P5よりも上方にあるように設けられる。
【0035】
液体供給装置18の本体102は、第1配置空間112から左右方向Yの両側に突き出るように設けられる。本体102は、背面視において、排水管路16と上下方向Zに重なる箇所から左右方向Yに突き出るように設けられるともいえる。本体102は、左右方向Yの少なくとも片側に突き出ていればよい。
【0036】
液体供給装置18の本体102は、自らの長手方向を左右方向Yに向けて配置される。この条件は、左右方向Yの方向軸線に対して長手方向の方向軸線のなす角度が30°以下となるように本体102を配置した場合に満たされるとする。これにより、排水管路16の上昇管路54(図2参照)の流れ方向に本体102の長手方向を合わせて配置する場合と比べ、便器装置10において本体102が占める箇所の上下寸法及び前後寸法を小型化できる。これに伴い、便器装置10の前後寸法及び上下寸法の小型化を図ることができる。
【0037】
以上の第1工夫点に関する効果を説明する。
【0038】
(A1)上昇管路54の後方の第1配置空間112は、通常、便器装置10を構成する他の構成機器を配置し難いデッドスペースとなり易い。上昇管路54と下降管路58の間に第1配置空間112が設けられる場合、その第1配置空間112は、特にデッドスペースとなり易い。このようなデッドスペースになり易い第1配置空間112に液体供給装置18を配置するため、液体供給装置18を他の位置に配置する場合と比べ、便器装置10の小型化を図ることができる。
【0039】
液体供給装置18の配置位置として、便器排水路46よりも下側を避けた空間であって、便器本体14の便鉢部12の上部よりも後方の第3配置空間116(図5参照)が考えられる。本実施形態によれば、このような第3配置空間116に液体供給装置18を配置せずに済むため、その液体供給装置18との干渉を避けるために他の構成機器(たとえば、後述する機能部品152)の位置を上下にずらさずに済む。これに伴い、便器装置10全体の上下寸法の小型化を図ることができる。
【0040】
液体供給装置18の配置位置として、排水管路16の封水貯留部52の底部52a(図2参照)の下方が考えられる。本実施形態によれば、このような排水管路16の底部52aの下方に液体供給装置18を配置せずに済むため、そこに排水管路16の一部を配置でき、排水管路16の配置位置に関する自由度が向上する。
【0041】
第1配置空間112に対して左右方向両側の箇所は、通常、便器装置10を構成する他の構成機器を配置し難いデッドスペースとなり易い。本実施形態の液体供給装置18は、第1配置空間112から左右方向Yに突き出るように設けられ、このようなデッドスペースになり易い箇所に配置される。よって、液体供給装置18を他の位置に配置する場合と比べ、便器装置10の小型化を図ることができる。
【0042】
次に、第1の工夫点に関する他の特徴を説明する。図2を参照する。液体供給装置18の下方には、排水管路16の一部を配置するための第2配置空間118が設けられる。第2配置空間118は、液体供給装置18よりも下方において便器本体14と床面Fの間に設けられる。本実施形態の第2配置空間118は、排水管路16の封水貯留部52の底部52aから後方に向かって広がるように設けられる。本実施形態の第2配置空間118は、便器装置10の第2空洞部40の内側に設けられる。
【0043】
(A2)液体供給装置18の下方に第2配置空間118を設けることによって、その下方に排水管路16を配置する設計を実現できる。ひいては、排水管路16の配置位置に関する自由度が向上する。
【0044】
(A3)本実施形態では、「排水管路16の一部」として、排水ソケット48の一部が第2配置空間118に配置される。よって、排水ソケット48の前後方向での長さの調整代を第2配置空間118の分だけ長くでき、対応可能な排水芯の範囲を広げられる。
【0045】
図2図7を参照する。便器装置10は、第1配置空間112と第2配置空間118を隔てる第1隔壁部34を備える。第1隔壁部34は、便器本体14の一部として便器本体14に設けられる。第1隔壁部34には、第1配置空間112と第2配置空間118を通じさせる貫通孔120が形成され、その貫通孔120には排水管路16の一部が挿通される。ここでの「排水管路16の一部」とは、前述した排水管路16の下降管路58である。本実施形態の貫通孔120は後向きに開放する切欠孔である。第1隔壁部34は、排水管路16の上昇管路54に連なり上昇管路54から下向きに延びる第1壁部分34aと、第1壁部分34aの下端部から後向きに延びる第2壁部分34bとを有する。
【0046】
便器装置10は、液体供給装置18の下側に配置され、液体供給装置18が載置される載置部122を備える。本実施形態の載置部122は、第1隔壁部34によって構成される。本実施形態の載置部122は、便器本体14の一部として便器本体14に設けられる。液体供給装置18は、載置部122に載置した状態で、不図示のねじ等を用いて固定部材126を介して載置部122に固定される。液体供給装置18は、床面Fから間隔を空けた位置に配置され、載置部122を介して便器本体14によって支持される。
【0047】
(A4)これにより、載置部122に液体供給装置18を載置するだけで液体供給装置18を第1配置空間112に配置できる。液体供給装置18の重量を載置部122に預けた状態で液体供給装置18を固定できる。これらが相まって、液体供給装置18の設置時に良好な作業性が得られる。
【0048】
図3を参照する。前述の第1配置空間112は、便器排水路46と第1隔壁部34、つまり、便器排水路46と載置部122の間に設けられる。便器装置10は、第1配置空間112に対して液体供給装置18を水平方向(本実施形態では前後方向X)に出し入れ可能に構成される。本実施形態では、排水管路16から排水ソケット48を取り外したときに、このように液体供給装置18を出し入れ可能となる。ここでの「水平方向に出し入れ可能」とは、液体供給装置18の出し入れ方向が水平方向に沿っていることを意味するのではなく、鉛直方向成分よりも水平方向成分が大きいことを意味する。本実施形態では、液体供給装置18の出し入れ方向が前後方向Xである例を説明する。
【0049】
液体供給装置18は、載置部122に対する摺動を伴い出し入れ可能である。液体供給装置18は、第1空洞部28に設けられる出入口124を通して出し入れ可能となる。この出入口124は、本実施形態において第1配置空間112を後向きに開放しており、第1配置空間112に対して後方から液体供給装置18を入れることができる。出入口124は、便器装置10の第1隔壁部34と隔壁部材32の間にて第1空洞部28に設けられる。出入口124の左右寸法は、液体供給装置18の本体102の長手寸法よりも大きくなる。ここでの左右寸法は、出入口124の左右方向Yに沿った寸法をいい、長手寸法は、本体102の長手方向に沿った寸法をいう。
【0050】
(A5)これにより、便器本体14を床面Fに置いた状態のまま、載置部122に液体供給装置18を載置できる。よって、載置部122に液体供給装置18を載置する場合に、便器本体14を持ち上げたり上下裏返しにしたりせずともよくなり、良好な作業性が得られる。
【0051】
(A6)第1管路構成部材62の第1配管接続部66は、第1配置空間112よりも上方に配置される。第1配管接続部66は、第1配置空間112の後方に設けられる第1配管部材64(本実施形態では排水ソケット48)と接続される。よって、排水管路16から第1配管部材64を取り外したときに、前述のように、液体供給装置18を水平方向に出し入れ可能となる。これにより、第1配置空間112に液体供給装置18を配置する場合に、便器本体14の下側から第1配置空間112に液体供給装置18を配置せずともよくなる。ひいては、良好な作業性が得られる。
【0052】
(A7)第1管路構成部材62と第1配管部材64を接続する箇所は、第1管路構成部材62及び第1配管部材64の他の箇所と比べて大径化し易い。このような箇所にある第1管路構成部材62の第1配管接続部66は、前述の通り、第1配置空間112よりも上方に配置される。よって、第1配置空間112の後方に大径化し易い第1配管接続部66を設けずともよくなる。これに伴い、排水管路16の第1配管接続部66を第1配置空間112の後方に配置する場合と比べ、第1配置空間112を前後方向Xに広げることができる。
【0053】
次に、便器装置10の第2の工夫点を説明する。図2図4図7を参照する。本実施形態の便器装置10は、便器本体14に搭載される機能装置150を備える。機能装置150は、機能部品152と、機能部品152を収容するケーシング154を備える。機能部品152は、便器本体14に付随する所定の機能を発揮するための機器をいう。本実施形態の機能部品152は、前述の給液路90及び分岐路96の一部の他に、開閉弁92、逆止弁94及びバキュームブレーカ100を一体化したバルブユニット153である。図7では、説明の便宜のため、給液路90及び分岐路96を模式的に示す。機能部品152は、この他にも、たとえば、便座に着座する着座者の局部を洗浄する局部洗浄装置、着座者に乾燥風を吹き付けて乾燥させる乾燥装置、便鉢部12内の臭気を吸引して脱臭する脱臭装置、便器本体14に洗浄泡を供給する給泡装置等でもよい。
【0054】
ケーシング154は、便器本体14に固定されるベースプレート155と、ベースプレート155を上方から覆うようにベースプレートに組み付けられるケースカバー156とを備える。機能部品152は、ベースプレート155に固定される。
【0055】
便器装置10は、機能部品152の少なくとも一部が収容される前述の第1空洞部28を備える。第1空洞部28の内部空間は、隔壁部材32によって、機能部品152を収容する第3配置空間116と、排水管路16の一部を収容する第4配置空間117に仕切られる(図5参照)。第4配置空間117は、第3配置空間116よりも下側に設けられ、前述の第1配置空間112を含む。機能部品152としてのバルブユニット153は、ケーシング154のベースプレート155を下向きに貫通しており、その少なくとも一部は、第3配置空間116に配置される。これにより、機能部品152の少なくとも一部が第1空洞部28によって隠蔽され、意匠性の向上を図ることができる。
【0056】
第1空洞部28には、第3配置空間116を上向きに開放する上側開口部160が設けられる。上側開口部160は、便器本体14の上面部24に開口している。本実施形態の機能部品152は、側面視において、上側開口部160を上下に跨がるように設けられる。
【0057】
第1空洞部28には、上側開口部160を後向きに開放する第1後側開口部162が設けられる。第1後側開口部162は、機能部品152が配置される第3配置空間116を後向きに開放する。本実施形態の第1後側開口部162は、排水管路16の一部を収容する第4配置空間117も後向きに開放している。本実施形態の第1後側開口部162は、便器装置10の外周壁部26の後端部、第1内壁部36の後端部、及び、前述の第1隔壁部34の後端部によって構成される。
【0058】
便器装置10は、排水ソケット48を収容する前述の第2空洞部40を備える。第2空洞部40には、その内側の第2配置空間118を下向きに開放する下側開口部164が設けられ、その下側開口部164の内側には、排水ソケット48の一部が配置される。下側開口部164は、便器装置10の外周壁部26の下端部によって構成される。
【0059】
第2空洞部40には、下側開口部164を後向きに開放する第2後側開口部166が設けられる。第2後側開口部166は、排水ソケット48が配置される第2配置空間118を後向きに開放する。本実施形態の第2後側開口部166は、便器装置10の外周壁部26の後端部の他に、前述の第1隔壁部34の後端部によって構成される。第2後側開口部166は、一対の外側壁部30の後端部と、第1隔壁部34の後端部によって構成されるとも捉えられる。
【0060】
第1空洞部28には、第1空洞部28の内部空間(本実施形態では第3配置空間116、第4配置空間117)と外部空間を前後方向Xに隔てる後壁部が設けられていない。第1空洞部28は、背面視において、第1空洞部28に収容される機能部品152及び排水ソケット48の一部を覆うことなく外部に露出するように設けられるともいえる。第2空洞部40には、第2空洞部40の内部空間(本実施形態では第2配置空間118)と外部空間を前後方向Xに隔てる後壁部が設けられていない。第2空洞部40は、第2空洞部40に収容される排水ソケット48の一部を覆うことなく外部に露出するように設けられるともいえる。ここでいう外部空間とは、トイレ室に便器本体14を固定する前の状態にあるとき、言及している空洞部28、40の後方において、便器装置10の外部に設けられる空間をいう。
【0061】
便器本体14は、トイレ室壁部Wに便器装置10の外側壁部30の後端部30aを当てた状態で床面Fに固定される。これを実現するうえで、本実施形態では、次に説明する固定部材170を用いている。
【0062】
図7を参照する。本実施形態では、左右に間隔を空けて一対の固定部材170が配置される。一対の固定部材170は、便器本体14の一対の外側壁部30の内側に配置される。本実施形態の固定部材170は、床面F上に配置される床固定部170aと、床固定部170aから立ち上がる受け部170bとを備え、全体としてL字状をなす。床固定部170aは、第1ねじ部材172によって床面Fに固定される。受け部170bには、便器本体14の外側壁部30を貫通する第2ねじ部材174がねじ込まれる。便器本体14は、固定部材170及びねじ部材172、174を介して床面Fに固定される。
【0063】
図2に戻る。便器装置10の外側壁部30の後端部30aは、本実施形態では、トイレ室壁部Wにクッション材176(図1も参照)を介して当てられる。このクッション材176は、例えば、発泡ポリエチレンフォーム等の樹脂発泡体を用いたシート体である。クッション材176は、トイレ室壁部Wと外側壁部30との間を通る異物の外部空間からの侵入を遮るために用いられる。
【0064】
クッション材176は、本実施形態において、外側壁部30の上下方向の全範囲のうち、後述の切欠部178を避けた範囲に設けられる。クッション材176は、便器装置10の外側壁部30とトイレ室壁部Wとの間に少なくとも配置される。クッション材176は、例えば、第1空洞部28、第2空洞部40の内部空間に対して後方にも配置される。この他にも、クッション材176は、ケーシング154に対して後方にも配置される。しかしながら、クッション材176は、これらの後方に配置されていなくともよい。
【0065】
本実施形態の便器装置10の設置手順を説明する。まず、予め配置される排水管44に排水ソケット48を接続する。次に、便器本体14を移動させることで、便器本体14と一体化されている第1配管接続部66を排水ソケット48に接続する。
【0066】
ここで、図3に示すように、本実施形態の便器本体14の第2空洞部40には下側開口部164を後向きに開放する第2後側開口部166が設けられる。よって、便器本体14を後向きに移動させることで、便器本体14の第2後側開口部166を通して下側開口部164内に排水ソケット48が配置できる。この作業を行ううえで、床面Fに近い箇所で便器本体14を移動させるだけで済む。よって、床面Fから便器本体14を大きく持ち上げずに済み、良好な作業性が得られる。
【0067】
以上の第2工夫点に関する効果を説明する。
【0068】
(B1)第1空洞部28には上向きに開放する上側開口部160が設けられる。よって、便器本体14の上面部24上に機能部品152を配置する場合と比べ、床置き式の便器装置10全体の上下寸法の小型化を図ることができる。
【0069】
仮に、機能部品152の後方において第1空洞部28に後壁部を設けた場合、成形工程での乾燥に伴う収縮の影響を受けて、その位置に大きなばらつきが生じ易くなる。特に、この問題は、陶器製の便器本体14に第1空洞部28を設ける場合に生じ易くなる。このため、第1空洞部28の後壁部の位置のばらつきを吸収するため、第1空洞部28の後壁部と機能部品152の間には余計な空間(以下、ばらつき吸収空間という)を確保する必要があり、その分、便器装置10全体の前後寸法の大型化を招く。
【0070】
(B1)この点、本実施形態によれば、第1空洞部28には上側開口部160を後向きに開放する第1後側開口部162が設けられる。よって、機能部品152の後方にばらつき吸収空間を設けずに済むうえ、第1空洞部28の後壁部を設けずにも済む。よって、第1空洞部28の後壁部及びばらつき吸収空間の分だけ、床置き式の便器装置10の前後寸法の小型化を図ることができる。
【0071】
(B2)便器本体14は、便器装置10の外側壁部30をトイレ室壁部Wに当てた状態で固定される。よって、便器装置10の外側壁部30とトイレ室壁部Wの間を通るゴミの外部空間からの侵入を防げるようになる。これに伴い、便器装置10とトイレ室壁部Wの間にゴミが溜まり難くなる。ひいては、それらの間を清潔な状態に維持し易くなる。
【0072】
仮に、便器装置10の外側壁部30をトイレ室壁部Wに当てない場合、それらの間にゴミが溜まり易くなる。よって、それらの間を清潔な状態に維持するうえでは、清掃用具を差し込めるだけの前後寸法を確保しなければならず、トイレ室壁部Wから便器装置10の前端部までの前出寸法の大型化を招く。
【0073】
この点、本実施形態によれば、便器装置10とトイレ室壁部Wの間を清潔な状態に維持するうえで、それらの間に清掃用具を差し込む必要がないため、それらの間の寸法を確保する必要がない。これに伴い、便器装置10とトイレ室壁部Wとの間を清潔な状態に維持するうえで、便器装置10の前出寸法の小型化を図ることができる。
【0074】
このように、便器装置10の外側壁部30をトイレ室壁部Wに当てる場合、トイレ室壁部Wに対する便器本体14の前後方向での位置を大きく変えられない。このため、排水芯の前後方向での位置がばらついたとしても、便器本体14の位置を変えることで、そのばらつきに対応できない。この点、本実施形態の便器装置10は排水ソケット48を備える。よって、そのように便器本体14の位置を変えることができない場合でも、排水ソケット48を用いることで、排水芯の位置のばらつきに対応できる。この対応は、前述したような、排水ソケット48の前後方向での長さを調整することによって実現できる。この他にも、この対応は、排水ソケット48の上流側接続部68に対する第1管路構成部材62の第1配管接続部66の差込量を調整することによって実現できる。
【0075】
便器装置10の外側壁部30の後端部30aは、トイレ室壁部Wにクッション材176を介して当てられる。よって、トイレ室壁部Wに対する便器装置10の外側壁部30の位置がばらついたとしても、そのばらつきをクッション材176によって吸収でき、便器装置10の位置のばらつきに対応できるようになる。ここでの便器装置10の位置のばらつきとは、たとえば、トイレ室壁部Wに対して便器装置10の外側壁部30の後端面が平行とならずに斜めになるような場合をいう。
【0076】
次に、第2の工夫点に関する他の特徴を説明する。図2を参照する。便器装置10の外側壁部30の後端部30aは、側面視において、機能装置150の後端部150aと前後方向に揃えた位置に設けられる。本実施形態では機能装置150の後端部150aはケーシング154が構成する。
【0077】
これにより、便器装置10の外側壁部30の後端部30aをトイレ室壁部Wに当てるうえで、機能装置150のみがトイレ室壁部Wと先に接触する事態を避けられ、機能装置150の保護を図ることができる。同様の効果を得るうえで、外側壁部30の後端部30aは、側面視において、機能装置150の後端部150aよりも後方の位置に設けられてもよい。
【0078】
図1図2を参照する。外側壁部30の後端部30aには、本便器装置10の内部空間(第2配置空間118)と外部空間を通じさせる切欠部178が形成される。切欠部178は後向きに開放している。本実施形態の切欠部178は、左右の外側壁部30の下側部分514(後述する)それぞれの後端部に形成される。本実施形態の切欠部178は、外側壁部30の下端部に形成され、下向きにも開放している。
【0079】
この切欠部178は、便器装置10の内部空間と外部空間に跨がるように配置される被挿通物180を挿通するスペースとして利用できる。ここでの被挿通物180とは、本実施形態では、トイレ室壁部Wに固定される物体、詳しくは幅木である。本実施形態では、トイレ室壁部Wに便器装置10を当てるとき、便器装置10を後向きに動かすことで、その切欠部178の内側に被挿通物180を容易に挿通できる利点がある。この他にも、この被挿通物180は、たとえば、給水管及び給電ケーブルの何れかでもよい。
【0080】
図2図7を参照する。本実施形態の便器装置10は、排水管路16と機能部品152との間に配置される第2隔壁部182を備える。本実施形態の第2隔壁部182は、便器本体14とは別体に設けられる板状の隔壁部材32が構成する。隔壁部材32の左右方向の両端部には隔壁部材32の一部を折り曲げて構成される被固定部32aが設けられる。被固定部32aは、便器本体14の第1空洞部28を構成する壁部(本実施形態では第1内壁部36)に当てられ、ねじ部材等の締結具によって共締めすることで便器本体14と一体化される。
【0081】
第2隔壁部182は、第1空洞部28の内部において、排水管路16が配置される第4配置空間117と機能部品152が配置される第3配置空間116を上下に隔てている。第2隔壁部182には、左右方向の中間部にて上向きに凹む第1凹部182aが設けられる。第1凹部182aの内側には、排水管路16の一部、本実施形態では、排水ソケット48の上流側配管72が配置される。第1凹部182aの左右両側には下向きに凹む第2凹部182bが形成される。第2凹部182bの内側には機能部品152の一部が配置される。機能部品152は、平面視において、排水管路16に対して左右方向Yに重なる位置に配置されることになる。
【0082】
この第2隔壁部182によって、機能部品152と排水管路16の接触に伴い排水管路16に外力が加わる事態を避けられ、排水管路16が排水管44から外れる事態を回避できる。これと併せて、機能部品152に余計な外力が加わる事態を避けられ、機能部品152の保護を図ることができる。
【0083】
図3図5を参照する。便器装置10の外周壁部26には、上側開口部160から下側開口部164まで連続する連続開口部186が形成される。連続開口部186は、第1後側開口部162及び第2後側開口部166のそれぞれと、貫通孔120を後向きに開放する開放口とを構成する。ここでの「連続する」とは、連続開口部186の左側縁部186a及び右側縁部186bのそれぞれが、上側開口部160から下側開口部164まで単数の部材で連続していることを意味する。ここでの「単数の部材」は、本実施形態では便器本体14である。連続開口部186には、第1隔壁部34よりも上方に第1後側開口部162が設けられ、第1隔壁部34よりも下方に第2後側開口部166が設けられる。
【0084】
これにより、便器本体14の上下方向の全長に亘る範囲で、連続開口部186の後方にばらつき吸収空間を設けずに済むうえ、便器本体14の後壁部を設けずに済む。よって、便器本体14の上下方向の全長に亘る範囲で、床置き式の便器装置10の前後寸法の小型化を図ることができる。
【0085】
このような効果を得るうえで、連続開口部186の左側縁部186aを構成する単数の部材は、連続開口部186の右側縁部186bを構成する単数の部材とは別体でもよい。たとえば、左側縁部186aは便器本体14によって構成し、右側縁部186bはカバー部材190(後述する)によって構成してもよい。
【0086】
便器装置10の第3の工夫点を説明する。図2図4図8を参照する。便器本体14は、便鉢部12よりも後方に後方空間220を形成する。本実施形態の後方空間220は、前述の第1空洞部28の内部に形成される第3配置空間116である。後方空間220は、トイレ室に便器本体14のみを固定した状態にあるとき、上方に開放している。
【0087】
本実施形態において、後方空間220には機能部品152が配置される。後方空間220に配置される機能部品152は、電子部品を搭載した電装部品204である。本実施形態での電装部品204とは、電子部品として開閉弁92を搭載したバルブユニット153である。この他にも、電装部品204は、たとえば、局部洗浄装置、乾燥装置、脱臭装置等でもよい。いずれにしても、電装部品204の具体例は特に限られない。
【0088】
便鉢部12の上端開口部は溢れ縁208を構成する。ここでの溢れ縁208とは、便鉢部12の上端開口縁のうち、便鉢部12内から溢れようとする水が乗り越え可能な箇所をいい、その溢れようとする水が乗り越え不能な特定箇所は含まれない。この特定箇所とは、たとえば、便鉢部12の上端開口縁のうち、機能装置150と上下方向に重なる位置に設けられる箇所S1(図8参照)をいう。本実施形態の溢れ縁208の後端208aは、便鉢部12の上端開口部の後端209よりも前方に設けられることになる。ここで「便鉢部12内から水が溢れる」とは、たとえば、排水管路16に汚物等の物体が詰まった場合を想定している。
【0089】
図3図9を参照する。上面部24は、平面視において、上面部24と後方空間220との境界に設けられる境界部222を備える。本実施形態の境界部222は、前述の第1空洞部28の上側開口部160である。
【0090】
上面部24には、便鉢部12の溢れ縁208が高低差を持つように、互いに高さが異なる高位領域216と低位領域218が設けられる。これにより、溢れ縁208には、溢れ縁208の高さ中心Chよりも下方に低位箇所208bが設けられる。ここでの高位領域216とは、溢れ縁208の高さ中心Chよりも上方の箇所をいい、低位領域218とは、その高さ中心Chよりも下方の箇所をいう。ここでの高さ中心Chとは、溢れ縁208の上下方向範囲S2の中心位置をいう。本実施形態では、高位領域216は、平面視において、溢れ縁208を通るとともに左右方向Yに延びる境界線Lbよりも後方に設けられ、低位領域218は、その境界線Lbよりも前方に設けられる。低位領域218は、溢れ縁208の後端208aよりも前方に設けられるともいえる。本実施形態では、上面部24に傾斜面214を設けることで、上面部24に高位領域216と低位領域218が形成される。
【0091】
本実施形態の低位領域218は、平面視において、上面部24の境界部222に連ならず、便器本体14の上面部24の外周縁部24aに連なるように設けられる。このような低位領域218は、溢れ縁208の低位箇所208bを乗り越えるように溢れる水を、低位領域218上を通して、後方空間220を経由することなく便器本体14の外部に誘導可能である。図9では、溢れ縁208から溢れる水の誘導方向Paを示す。本実施形態のように低位領域218を傾斜面214が構成する場合、低位領域218上を通る水は傾斜面214の勾配に従って下向き(図9では紙面の上向き)に流れるように誘導される。
【0092】
便器本体14の上面部24には前述の傾斜面214が設けられる。傾斜面214は、前方に向かって高さが連続的に低くなるように設けられる。ここでの「高さ」とは、床面Fを通る水平面からの上下方向での距離をいう。本実施形態の傾斜面214は、便器本体14の上面部24の前端部24bから後端部24cにかけての範囲に設けられる。傾斜面214は、上面部24の後端部24cが最も高位置にあり、その前端部24bが最も低位置にあるように傾斜している。傾斜面214は、前後方向Xの全範囲において一様に傾斜している。言い換えると、傾斜面214は、前後方向Xの全範囲において、水平面に対する勾配が同等となるように設けられる。
【0093】
以上の第3工夫点に関する効果を説明する。
【0094】
(C1)便器本体14の低位領域218は、溢れ縁208の低位箇所208bを乗り越えるように溢れる水を、後方空間220を経由することなく、便器本体14の外部に誘導可能である。これにより、便鉢部12から溢れた水が後方空間220に流れ込む事態を避け易くなる。便鉢部12から溢れた水は、低位領域218によって、便器本体14の前方及び側方の何れかの空間に誘導できる。このような空間は、後方空間220と比べて広く、ユーザの身体の一部及び清掃用具を配置し易い。よって、便鉢部12から水が溢れた場合でも、このような清掃し易い箇所に水を誘導することによって、良好な清掃性を得られる。
【0095】
この他に、便鉢部12から溢れた水によって後方空間220に配置される電装部品204が濡れる事態を避け易くなる。ひいては、電装部品204に搭載される電子部品の保護を図ることができる。
【0096】
便器本体14の上面部24には、高位領域216と低位領域218を形成する傾斜面214が設けられる。よって、高位領域216と低位領域218を形成する段差部を設ける場合と比べ、外観に目立ち難くなる。ひいては、良好な意匠性が得られる。
【0097】
便器本体14の傾斜面214は一様に傾斜している。よって、便器本体14の傾斜面214に変曲点が設けられないため、外観がすっきりとなり、良好な意匠性を得られる。便器本体14の便器素地(後述する)及び便器本体14そのものを運搬するとき、便器本体14を上下逆にする場合がある。この場合に、便器本体14の上面部24に接触する受け台の受け面を平坦にでき、受け台を作り易い利点もある。
【0098】
便器本体14の傾斜面214は、その前端部24bが最も低位置にあるように傾斜している。よって、上面部24の前後方向Xの途中位置が最も低位置にあるように傾斜する傾斜面214を設けるよりも外観に目立ち難くなり、良好な意匠性を得られる。
【0099】
第3の工夫点に関する他の特徴を説明する。図1を参照する。便座20には、便座20の下面から下向きに突き出る複数の脚部20aが設けられる。便座20は、便器本体14の傾斜面214に複数の脚部20aを載せることで便器本体14の傾斜面214に支持される。この傾斜面214は一様に傾斜している。よって、便座20が前後方向Xに位置ずれしても、便座20の傾斜面214に対する接触状態が変化し難い。このため、便器本体14の傾斜面214が一様に傾斜していない場合と比べ、その傾斜面214によって安定して便座20を支持できる。
【0100】
次に、バキュームブレーカ100に関する内容を説明する。図6を参照する。バキュームブレーカ100は、開閉弁92よりも下流側にて給液路90に設けられる。バキュームブレーカ100は、バキュームブレーカ100よりも上流側にて給液路90内で負圧が生じたとき、その逆流を防止するために用いられる。
【0101】
図10A図10Bを参照する。図10A図10Bは、図2のバキュームブレーカ100の断面図であり、図4のC-C断面図でもある。図10Aは、弁体240が外気遮断位置Pa1にある状態を示し、図10Bは、弁体240が外気取込位置Pa2にある状態を示す。バキュームブレーカ100は、給液路90の一部を内部に形成する本体230を備える。本体230は、上流側から洗浄水が流入する流入路232と、流入路232から流入した洗浄水が流出する流出路234と、流出路234の内部空間と本体230の外部空間を通じさせる通気孔236とを備える。流入路232は、上下方向に延びるように設けられる。流出路234の上流側部分は、水平方向に延びるように設けられる。
【0102】
本体230は、更に、流出路234の内下面から上向きに突き出るとともに流入路232の一部を内部に形成する筒状部230aと、筒状部230aの上端部に開口する流入路232の流入口232aとを備える。筒状部230aの上端部には流入口232aの周縁部を構成する弁座238が設けられる。
【0103】
バキュームブレーカ100は、本体230に収容される弁体240を備える。弁体240は、本体230に対して上下動可能に支持される。弁体240は、本体230に対して上下動することにより、外気遮断位置Pa1(図10A参照)と外気取込位置Pa2(図10B参照)との間を移動可能である。弁体240は、流入路232から洗浄水が供給されるとき、流入路232から流入する洗浄水によって押し上げられることで、外気取込位置Pa2から外気遮断位置Pa1に移動する。弁体240は、流入路232から洗浄水が供給されないとき、自重によって下向きに動くことで、外気遮断位置Pa1から外気取込位置Pa2に移動する。
【0104】
図10Aに示すように、弁体240は、外気遮断位置Pa1にあるとき、弁座238から離間することで流入路232の流入口232aを開いており、流入路232と流出路234を連通する。このとき、弁体240は、通気孔236を閉じており、外部空間と流出路234の連通を遮断する。この結果、通気孔236を通して流出路234内に外気が取り込まれることなく、流入路232から流出路234に洗浄水が供給される。
【0105】
図10Bに示すように、弁体240は、外気取込位置Pa2にあるとき、弁座238に接触することで流入路232の流入口232aを閉じており、流入路232と流出路234の連通を遮断する。このとき、弁体240は、通気孔236を開いており、外部空間と流出路234を連通する。この結果、通気孔236を通して流出路234内に外気が取り込まれる。よって、給液路90の流入路232よりも上流側において負圧が生じたときでも、給液路90の流出路234内に外気を取り込むことで、その逆流を防止できる。
【0106】
ここで、図2に示すように、溢れ縁208において便鉢部12内から水が溢れ始めるときに乗り越える箇所の高さをHaとし、バキュームブレーカ100の流入口232aの高さをHbとする。このとき、バキュームブレーカ100の流入口232aの高さHbと溢れ縁208の高さHaの差ΔH1が大きくなるほど、その差分の高さに相当する水頭圧がバキュームブレーカ100の流出路234内の水に作用し、給液路90内での逆流を防止し易くなる。このため、所要の逆流防止性能を確保するため、通常、バキュームブレーカ100の流入口232aは、溢れ縁208に対して所定の距離だけ上方に離れた箇所に配置するように、便器装置10の販売国の法規等によって要請されている。これに起因して、溢れ縁208が高低差を持たない場合、バキュームブレーカ100の上端の位置を低くするにも限界があった。
【0107】
本実施形態の便器装置10においては、溢れ縁208が高低差ΔH2を持つように、上面部24に高位領域216と低位領域218が設けられる。よって、溢れ縁208全体を溢れ縁208の最高高さHcと同じ高さにする場合と比べ、溢れ縁208において便鉢部12内から水が溢れ始めるときに乗り越える箇所の高さをΔH2だけ低くできる。これに伴い、その高さをΔH2だけ低くした分、バキュームブレーカ100の流入口232aの位置を低くできる。この結果、バキュームブレーカ100の上端の位置が低くなるように第1空洞部28内でのバキュームブレーカ100の位置を低くできる。ひいては、便器装置10の上下寸法の小型化を図ることができる。
【0108】
次に、便鉢部12内に洗浄水を吐き出す吐出孔250Aの位置関係を説明する。図3を参照する。便器本体14の上面部24は、前述の通り、便鉢部12の溢れ縁208が高低差を持つように、前後方向Xの一方側となる前側に向かって低くなるように設けられる。便鉢部12は、便鉢部12の上端側部分を構成するリム部242を備える。リム部242の内周面は、便鉢部12の上端開口部から下方に向かう一部の範囲を構成する。
【0109】
図11を参照する。便器装置10は、便鉢部12内を洗浄する洗浄水を便鉢部12内に吐出孔250A、250Bから吐き出す吐出部252A、252Bを備える。本実施形態の吐出部252A、252Bは便器本体14の一部が構成する。他の実施形態における吐出部252A、252Bは、便器本体14とは別体に設けられてもよい。本実施形態の吐出部252A、252Bには、第1吐出孔250Aを備える第1吐出部252Aと、第2吐出孔250Bを備える第2吐出部252Bとが含まれる。第1吐出孔250A及び第2吐出孔250Bは便鉢部12の内周面、詳しくは、リム部242の内周面に開口する。第1吐出孔250A及び第2吐出孔250Bは、周方向の一方側に開放する。ここでの「周方向の一方側」とは、図11の紙面において反時計回りであり、以下、単に「反時計回り」ともいう。
【0110】
本実施形態の吐出部252A、252Bは、便鉢部12の外周側に形成される通水路254を備える。各吐出部252A、252Bは、給液路90から通水路254に供給される洗浄水を反時計回りに吐出孔250A、250Bから吐き出し、便鉢部12内を反時計回りに旋回する旋回流を形成する。この旋回流によって便鉢部12の内周面が洗浄されるとともに、便鉢部12内の汚物が排水管路16を通して排出される。
【0111】
ここで、平面視において、便鉢部12の上端開口部12aの左右寸法Dyを二等分する左右中心線Lc1と、その前後寸法Dxを二等分する前後中心線Lc2と、左右中心線Lc1と前後中心線Lc2の交点Piとを想定する。左右中心線Lc1は、前後方向Xに沿って延びる直線であり、前後中心線Lc2は、左右方向Yに沿って延びる直線である。左右寸法Dyは、便鉢部12の上端開口部12aの内面部分に関する左右方向Yの最大寸法をいう。前後寸法Dxは、便鉢部12の上端開口部12aの内面部分に関する前後方向Xの最大寸法をいう。平面視において、左右中心線Lc1を交点Pi周りの周方向の一方側(本実施形態では反時計回り)に45°回転させた第1基準線Lc3と、左右中心線Lc1を交点Pi周りの周方向の他方側に45°回転させた第2基準線Lc4とを想定する。ここでの「周方向の他方側」とは、図11の紙面において時計回りであり、以下、単に「時計回り」ともいう。
【0112】
便鉢部12に関して、これら左右中心線Lc1、前後中心線Lc2、第1基準線Lc3及び第2基準線Lc4で八つの分割領域Da1~Da8に区分けする。八つの分割領域Da1~Da8は、平面視において、各線Lc1~Lc4を境界として分けられる便鉢部12の別々の部位である。八つの分割領域Da1~Da8のうち、前後中心線Lc2に対して反時計回りに隣り合う前側(本実施形態では前後方向Xの一方側)の分割領域を第1分割領域Da1とする。八つの分割領域Da1~Da8のうち、第1分割領域Da1から反時計回りに順に設けられる残りの分割領域を、それぞれ第2~第8分割領域Da2~Da8とする。
【0113】
このとき、第1吐出孔250Aは、第2基準線Lc4に対して第1分割領域Da1とは反対側の複数の分割領域Da2~Da5の何れかに設けられる。第1吐出孔250Aは、この条件を満たす分割領域として、第3分割領域Da3に設けられる。第2吐出孔250Bは、本実施形態では第6分割領域Da6に設けられる。この利点を説明する。
【0114】
便鉢部12の溢れ縁208が高低差を持つように、前側(本実施形態では前後方向の一方側)に向かって低くなるように便器本体14の上面部24を設ける場合を考える。この場合、通常、リム部242の前側部分よりも後側部分の方が上下方向の範囲が広くなる。
【0115】
(C2)ここで、本実施形態においては、第2基準線Lc4に対して第1分割領域Da1とは反対側の分割領域Da3に第1吐出孔250Aを設けている。よって、第1分割領域Da1及び第8分割領域Da8に第1吐出孔250Aを設けるよりも、リム部242の後側部分に強水勢の洗浄水を届かせ易くなる。これに伴い、リム部242の後側部分のように洗浄すべき上下範囲が広い場合でも、そのリム部242の後側部分を強水勢の洗浄水によって良好に洗浄し易くなる。
【0116】
ここで説明した効果を得るうえでは、第1吐出孔250Aは、第3分割領域Da3の他に、第2分割領域Da2、第4分割領域Da4、第5分割領域Da5に設けられてもよい。第2吐出孔250Bの位置は特に限られないし、なくともよい。
【0117】
便器装置10の第4の工夫点を説明する。図12図13を参照する。排水管路16は、第2管路構成部材300と、第2配管部材302とを備える。本実施形態の第2管路構成部材300は便器本体14であり、第2配管部材302は接続配管50である。
【0118】
第2管路構成部材300には前述の封水貯留部52が設けられる。第2管路構成部材300は、第2配管部材302が接続される筒状の第2配管接続部304を備える。第2配管接続部304は、第2管路構成部材300の排水管路16を構成する箇所の下流側端部、本実施形態では、便器排水路46の下流側端部に設けられる。第2配管接続部304は後向きに延びている。本実施形態において、第2配管接続部304の外周面は、円形状をなすとともに直線的に延びている。このように円形状をなすうえで、第2配管接続部304の外周面は全体として円形状をなしていればよく、その周方向の一部に凸部及び凹部の少なくとも何れかがあってもよい。
【0119】
排水管路16及び排水管44(図示せず)の内部には、便鉢部12内から排出される汚物及び水が通る内部水路306が形成される。第2配管部材302は、第2管路構成部材300よりも内部水路306の下流側に設けられる。第2配管部材302は、その上流側部分の内側に第2管路構成部材300の第2配管接続部304を差し込むことで、第2配管接続部304に接続される。第2管路構成部材300の第2配管接続部304と第2配管部材302との間にはシール部材308が配置される。シール部材308は弾性体である。シール部材308は、本実施形態においてリング状をなす。シール部材308は、第2配管部材302と第2管路構成部材300の間をシールする。
【0120】
排水管路16及び排水管44は、内部水路306を形成する水路形成面310を備える。封水貯留部52の水路形成面310の内下面には、上昇管路54の内側にて、下流側に向かうにつれて連続的に上昇する上り面312が設けられる。封水貯留部52の水路形成面310には封水貯留部52の下流側端部に頂部314(以下、水路頂部314という)が設けられる。水路頂部314の一部は上り面312の上端部が構成する。本実施形態の水路頂部314には排水管路16内で下流側に向かって直線状に延びる直線領域318が設けられる。
【0121】
水路頂部314には、静水状態にある封水56の最高水位を定める溢れ縁316が設けられる。排水管路16内に溢れ縁316を超える水が入り込んだとき、その水が溢れ縁316から下流側に溢れ出ることで、排水管路16内に残る封水56の最高水位が定められる。
【0122】
水路頂部314は第2配管接続部304の内側に設けられる。第2配管接続部304の内側には、排水管路16の上り面312の一部(具体的には下流側端部)及び溢れ縁316が設けられることになる。
【0123】
水路頂部314を通る流れ方向に直交する断面(以下、特定断面という)を考える。ここでの流れ方向とは、排水管路16内を下流側に向かって水が流れる方向をいい、排水管路16の水路形成面310の中心線に沿った方向である。図13は、第2管路構成部材300の特定断面を示す図でもある。
【0124】
第2管路構成部材300は、前述の特定断面において、第2配管接続部304の外周面を構成するとともに外内を隔てる外周壁部320と、水路形成面310の下方に設けられる中空部322と、中空部322の内部空間と水路形成面310を隔てる隔壁部324とを備える。本実施形態において、中空部322及び隔壁部324は、便器排水路46の下流側端部に設けられる。
【0125】
水路形成面310の軸芯C1は、特定断面において、第2配管接続部304の外周面の軸芯C2に対して上側に偏心している。本実施形態の水路形成面310には、特定断面において、第2配管接続部304の外周面の一部と相似状の第1相似面326が設けられる。本明細書での「相似状」とは、言及している両者が全体として相似状であることを意味しており、それらの一部に凸部及び凹部の何れかによる相違点があってもよい。本実施形態の第1相似面326は、水路形成面310の内上面を含み、かつ、水路形成面310の軸芯C1を上下に跨ぐ範囲に設けられる。
【0126】
本実施形態の水路形成面310には、特定断面において、第2配管接続部304の外周面と非相似状の第1非相似面328が設けられる。本実施形態の第1非相似面328は、水路形成面310の内下面に設けられ、第1相似面326の周方向両端部に連なっている。第1非相似面328は、本実施形態において、隔壁部324の上面を構成する。本実施形態の第1非相似面328は、水平面と平行な平坦面330である。水路形成面310の内下面には、水路頂部314を通る特定断面において、水平面と平行な平坦面330が設けられることになる。平坦面330は、特定断面において、水路形成面310のなかで最も低い箇所に設けられる。平坦面330は、前述した直線領域318の流れ方向の全域に亘る範囲に設けられる。本明細書での「平行」とは、幾何学的に厳密に平行に限定されず、ほぼ平行も含まれる。
【0127】
中空部322は、第2配管接続部304の下流側端面304aに開口し、その開口位置から奥側に向かって行き止まりとなる有底状をなす。中空部322には、第2配管接続部304の外周面の一部と相似状の第2相似面332と、その外周面と非相似状の第2非相似面334が設けられる。本実施形態の第2相似面332は、中空部322の内下面に設けられ、第2非相似面334は中空部322の内上面に設けられる。第2非相似面334は、隔壁部324の下面を構成し、隔壁部324の上面を構成する第1非相似面328と相似状に設けられる。本実施形態の第2非相似面334は、第1非相似面328と同様、水平面と平行な平坦面となる。
【0128】
外周壁部26は、第1相似面326の設けられる周方向範囲において同等の厚みを持って軸芯C2周りに延びている。外周壁部26は、第2相似面332の設けられる周方向範囲において同等の厚みを持って軸芯C2周りに延びている。隔壁部324は、特定断面において、外周壁部26と同等の厚みを持って設けられる。
【0129】
以上の第4工夫点に関する効果を説明する。
【0130】
第2管路構成部材300の第2配管接続部304の内側には封水貯留部52の水路頂部314が設けられる。よって、第2管路構成部材300の第2配管接続部304よりも上流側に水路頂部314を設ける場合と比べ、第2管路構成部材300の前後寸法の小型化を図ることができ、ひいては便器装置10の前後寸法の小型化を図ることができる。
【0131】
水路形成面310の軸芯C1は、封水貯留部52の水路頂部314を通る特定断面において、第2配管接続部304の外周面の軸芯C2に対して上側に偏心している。よって、第2配管接続部304の外周面と水路形成面310全体を相似形状にする場合と比べ、水路形成面310の内下面の形状に関する設計の自由度を高められる。これに伴い、第2配管接続部304の外周面は第2配管部材302との接続に適した形状にしつつ、第2配管接続部304の外周面と相似形状にする場合とは異なる水の流れ方を実現するように水路形成面310の内下面の形状を設計できる。
【0132】
本実施形態では、このように異なる水の流れ方を実現するうえで、水路形成面310の内下面に水平面と平行な平坦面330を設けている。この利点を図14A図14Bを参照に詳述する。図14Aは、第1変形例の第2管路構成部材300の特定断面を図13と同じ視点から見た断面図である。第1変形例の第2管路構成部材300では、水路頂部314を通る特定断面において、水路形成面310の内下面に第2配管接続部304の外周面と相似状の凹曲面が設けられる。
【0133】
図14A図14Bに示すように、第1変形例の第2管路構成部材300と第1実施形態の第2管路構成部材300において、水路頂部314を通る特定断面において、所定の高さH0の分だけ水位が上昇した場合を考える。この場合に、本実施形態によれば、第1変形例と比べ、水路頂部314を超えようとする水の流量を大きくできる。これは、図14Aのハッチングで示す箇所よりも図14Bのハッチングで示す箇所の面積が大きいことからも把握できる。よって、本実施形態によれば、水路頂部314を超えようとする水の水位が低い場合に、大きい排水流量を確保し易くなる。ここでの排水流量とは、排水管路16を流れる水の流量をいう。
【0134】
第2管路構成部材300の第2配管接続部304の外周面は、前述した「第2配管部材302との接続に適した形状」として円形状をなす。これにより、第2配管接続部304の外周面が多角形状の場合と比べ、第2配管部材302と第2管路構成部材300の間に配置されるシール部材308の弾性変形量が周方向位置によらず安定し易くなる。これに伴い、シール部材308のシール性能が周方向位置によらず安定する。ひいては、第2配管部材302と第2管路構成部材300の間で安定したシール性能を確保し易くなる。
【0135】
第2配管接続部304の内側には、特定断面において、水路形成面310の下方に中空部322が設けられる。これにより、第2配管接続部304の内側の中空部322の箇所が中実構造になる場合と比べ、中空部322がある分、軽量化を図ることができる。この他にも、このような場合と比べ、第2配管接続部304の中空部322周りの部位において駄肉が抑えられる。これに伴い、駄肉に起因するヒケ等の影響を抑えることによって、第2配管接続部304の形状の安定化が図ることができる。
【0136】
この中空部322は、便器排水路46の下流側端部に設けられる。これにより、後述する便器素地の鋳込み成形時において、便器本体14の中空部322に対応する箇所に後型366の一部(図16を参照)を配置することで、この中空部322を容易に成形できる。
【0137】
次に、第4の工夫点に関する他の特徴を説明する。図12を参照する。第2管路構成部材300の水路頂部314には、内部水路306において下流側に向かって段階的に低くなる水落とし部340が設けられる。ここでの「段階的」とは、水落とし部340を境界として、内部水路306において不連続な高低差があることをいう。本実施形態の水落とし部340は、第2配管部材302の内下面と水路頂部314との間で不連続な高低差を形成するように設けられる。水落とし部340は、これらの間で段差部を形成するように設けられるとも捉えることができる。本実施形態の水落とし部340は、第2管路構成部材300の下流側端面が構成しており、水路頂部314との間に角部342を形成している。水落とし部340は、水路頂部314を乗り越える水を重力を用いて落とすことができる。
【0138】
これにより、水路頂部314を乗り超えた水を水落とし部340よりも下流側にて重力を用いて方向Pbに落とすことで、排水管路16の内部水路306内で下流側に水を流し易くなる。これに伴い、水路頂部314に水落とし部340がない場合と比べ、排水管路16内を流れる水の抵抗を小さくできる。ひいては、排水流量を確保し易くなる。
【0139】
次に、便器素地の鋳込み成形方法を説明する。図15を参照する。便器素地は、陶器製の便器本体14を得るために必要な半製品であり、鋳込み成形によって得られる。便器本体14の便器素地350は、便器本体14の上面部24の少なくとも一部を含む上面側部分352と、便鉢部12の大部分を含むとともに上面側部分352よりも下側の便鉢側部分354とを備える。上面側部分352及び便鉢側部分354は、便器本体14を上下に分割した形状である。便鉢側部分354には、前述の便器排水路46及び第2配管接続部304が設けられる。
【0140】
便器本体14は、上面側部分352及び便鉢側部分354それぞれの便器素地を鋳込み成形によって成形し、これらを接着等によって接合した後、焼成工程を経ることで得られる。以下、便鉢側部分354の便器素地を鋳込み成形によって得る方法を主に説明する。
【0141】
図16を参照する。鋳込み成形には、複数の型360、362、364、366が用いられる。複数の型360、362、364、366は、石膏等の吸水性を持つ素材によって構成される。本実施形態の型360、362、364、366には、便器素地の上下に配置される上型360、下型362と、便器素地の前後に配置される前型364、後型366とが含まれる。前型364は、左右一対の分割型(不図示)によって構成される。前型364、後型366は、便鉢側部分354の外観面を成形する。
【0142】
後型366は、便鉢側部分354の後方に面する部位の少なくとも一部を成形する。後型366は、便器排水路46の第2配管接続部304を成形する成形凹部370と、中空部322を成形する成形凸部372とを備える。成形凹部370は、後型366の前面部に形成されるとともに後向きに凹んでいる。成形凸部372は、成形凹部370の底部から前向きに突き出ている。
【0143】
鋳込み成形には、次の工程が含まれる。まず、複数の型360、362、364、366を型合わせすることによって、便器素地を成形するための型空間374を形成する工程を行う。この後、型空間374内に未硬化状態の泥しょう376を注入する工程を行う。この工程を経ることで、各型360、362、364、366の表面に沿って泥しょう376が硬化し、その泥しょう376の硬化部分によって便器素地が成形される。この後、泥しょうの硬化部分の内部に残る未硬化状態の泥しょう376を排出する工程を行う。この後、各型360、362、364、366を便器素地から脱型する工程を行う。この工程では、便器素地に対して後型366を前後方向に相対移動させることで、便器素地350の中空部322から後型366の成形凸部372を抜き出す。
【0144】
後型366の成形凹部370は、便器排水路46の内部空間を下流側から閉塞する閉塞壁378を便器素地350に成形する。便器素地350の閉塞壁378は、前述の脱型工程の後、焼成前の便器素地が柔らかい状態にあるうちに、手指、工具等を用いて切除する。
【0145】
このように、成形凹部370と成形凸部372を備える後型366を用いることで、第2配管接続部304の内側かつ水路形成面310の下方に中空部322が設けられた便器本体14を容易に得られる。
【0146】
便器装置10の第5の工夫点を説明する。図17を参照する。便器装置10は、便器本体14に付属する付属機器500と、外部の相手機器502と付属機器500を接続する索状部材504と、を備える。
【0147】
本実施形態の付属機器500は、便器本体14に搭載される。本実施形態の便器本体14にケーシング154を介して搭載されるバルブユニット153(図2等参照)である。本実施形態の付属機器500は、電力によって駆動する動力源を用いて動作する電動機械である。本実施形態のバルブユニット153の動力源は、電力によって駆動する開閉弁92(電磁弁)のソレノイドである。動力源は、この他にも、例えば、モータ等でもよい。電動機械は、バルブユニット153に限定されず、例えば、局部洗浄装置、脱臭装置、乾燥装置、給泡装置等でもよい。
【0148】
付属機器500は、便器本体14の左右中心位置Pxに対して左右方向の一方側(本実施形態では左側)に配置される。この条件は、付属機器500に対する索状部材504の一端部の接続箇所において少なくとも満たしていればよい。ここでの左右中心位置Pxとは、平面視において、便器本体14の外面部分に関する左右方向Yの最大寸法を二等分する前後方向Xに沿って延びる平面上にある位置をいう。
【0149】
相手機器502は、付属機器500の接続相手となる。本実施形態の相手機器502は、トイレ室内において便器装置10の外部に配置される。本実施形態の相手機器502は、給液路90上に設けられる止水栓である(図6参照)。相手機器502は、便器本体14の左右中心位置Pxに対して左右方向Yの他方側(本実施形態では右側)に配置される。本実施形態の相手機器502は、便器装置10と前後方向Xに重なる位置に対して左右方向Yの外側に配置される。
【0150】
図18図20を参照する。図20では隔壁部材32を省略する。本実施形態の付属機器500の少なくとも一部は、便器装置10の内部に設けられる装置内空間506に配置される。装置内空間506は、外周壁部26の内側に設けられる。本実施形態の装置内空間506は、前述の第1配置空間112、第2配置空間118、第3配置空間116及び第4配置空間117の他に、後述する中空部520の内部空間を含む。本実施形態の付属機器500の少なくとも一部は、第1空洞部28の内側の第3配置空間116に配置される。本実施形態の付属機器500は、排水管路16と左右方向Yに重なる位置に配置される。
【0151】
付属機器500の少なくとも一部は、側面視において、排水管路16の水路頂部314よりも上方に設けられる。この条件を満たすうえで、排水管路16の水路頂部314と付属機器500との前後方向Xでの相対位置は問わない。本実施形態の付属機器500は、平面視において、排水ソケット48と重ならない位置に配置される。この条件は、第3配置空間116において少なくとも満たされる。
【0152】
索状部材504は可とう性を持つとともに索状に長い物体である。索状部材504は全体として索状をなしていればよく、単数部材及び複数部材の何れによって構成されてもよい。本実施形態の索状部材504はホースによって構成され、相手機器502としての止水栓から付属機器500内の給液路90に水を供給する。索状部材504は、便器装置10の外周壁部26の内側を通るように配置される。索状部材504の一端部504aは、便器装置10の装置内空間506に配置され、付属機器500に機械的に接続される。索状部材504の他端部は、便器装置10の外部に配置され、相手機器502に機械的に接続される。
【0153】
索状部材504は、排水管路16よりも下方において、排水管路16と上下方向に重なる重なり位置Pcを左右方向Yに横切るように配置される。索状部材504は、重なり位置Pcに設けられる前述の第1配置空間112を左右方向Yに横切るように配置されることになる。本実施形態の索状部材504は、排水管路16の下降管路58に対して前方にて、下降管路58と前後方向Xに重なる位置を横切るように配置される。本実施形態の索状部材504は、排水管路16の下降管路58と液体供給装置18の間を左右方向Yに横切るように配置される。本実施形態の索状部材504は、前述の第2配置空間118に配置される排水ソケット48の一部よりも上方に位置するように配置される。ここでの排水ソケット48の一部とは、アジャスタ管76、下流側配管74である。
【0154】
本実施形態の索状部材504は、排水管路16の全体よりも後方を経由しないように配置される。索状部材504の直交断面の少なくとも一部は、便器本体14と前後方向Xに重なる箇所の全域において、便器装置10の外周壁部26の後端26aから前方に位置するように設けられる。ここでの直交断面とは、索状部材504の軸線方向に直交する断面をいう。索状部材504の直交断面の全体は、便器本体14の前後方向Xに重なる箇所の全域において、便器装置10の外周壁部26の後端26aよりも後方に位置しないように設けられるとも捉えることができる。
【0155】
索状部材504は、前述の重なり位置Pcに対して左右方向の一方側(本実施形態では左側)において、付属機器500に接続される。索状部材504は、便器装置10の載置部122に載置した状態で、前述の重なり位置Pcを横切るように配置される。索状部材504は、前述の重なり位置Pcに対して左右方向の他方側(本実施形態では右側)において、外周壁部26の内側から引出孔516(後述する)を通して外部に引き出される。
【0156】
索状部材504は、固定具508を用いて載置部122に固定される。本実施形態の固定具508は、索状部材504を挟持するクランプ508aと、クランプ508aを着脱可能に便器本体14に固定するボルト508bとを備える。
【0157】
索状部材504は、引出孔516から外部に引き出される位置と同様、重なり位置Pcに対して左右方向の他方側(本実施形態では右側)において、固定具508を用いて便器本体14に固定される。これにより、便器本体14の外部において索状部材504が動いたとしても、便器本体14の内部での索状部材504の大きな動きを抑えることができる。本実施形態の索状部材504は、この他にも、重なり位置Pcに対して左右方向の一方側(本実施形態では左側)において、固定具508を用いて便器本体14に固定される
【0158】
同様の観点から、索状部材504は、引出孔516の近傍において、固定具508を用いて便器本体14に固定される。ここでの近傍とは、例えば、引出孔516から10cm以内の距離にあることをいう。この他に、引出孔516に対する索状部材504の通過位置から固定具508による索状部材504の固定位置までの間で、これらの他に索状部材504に引っ掛かる部位が設けられていない。
【0159】
図19を参照する。外周壁部26は、外周壁部26の下部に設けられる下向きの段差部510を備える。ここでの外周壁部26の下部とは、外周壁部26の上下方向Zの全長をLhとしたとき、外周壁部26の下端位置からLh×0.5となる位置Pdまでの範囲をいう。本実施形態の段差部510は、外周壁部26の下端部に設けられる。ここでの外周壁部26の下端部とは、外周壁部26の下端位置からLh×0.2となる位置Peまでの範囲をいう。本実施形態の段差部510は、外周壁部26が構成する一対の外側壁部30それぞれの前端部から後端部までの範囲に設けられる。
【0160】
外周壁部26は、段差部510の外周縁部510aから上向きに延びる上側部分512と、段差部510よりも下側に設けられる下側部分514とを備える。段差部510は、外周壁部26の上側部分512と下側部分514との間で水平方向(本実施形態では左右方向Y)に沿った外形寸法に差を持たせるように設けられる。
【0161】
図21を参照する。段差部510は、段差部510の外周縁部510aに連なる下面510bと、下面510bに対して上向きに凹む凹部510cと、装置内空間506と外部空間を隔てる壁部510dを備える。本実施形態の壁部510dは、凹部510cの底部に設けられる。
【0162】
便器装置10は、外周壁部26に形成される引出孔516を備える。索状部材504は、前述の通り、引出孔516を通して外部に引き出される。引出孔516は、外周壁部26において段差部510から下方の範囲に形成される。この条件は、引出孔516の少なくとも一部が満たしていればよい。本実施形態の引出孔516は、段差部510の壁部510dに形成される。
【0163】
引出孔516は、上側部分512の外面を避けるように形成される。引出孔516は、上側部分512の外面には形成されないということである。引出孔516は、下側部分514の外面を避けるように形成される。引出孔516は、下側部分514の外面には形成されないということである。
【0164】
図19図21を参照する。便器本体14は、付属機器500を収容する前述の第1空洞部28の他に、第1空洞部28と外周壁部26との間にて段差部510の上方に設けられる中空部520(図4も参照)を備える。中空部520の内部空間は、鋳込み成形において型が配置されない箇所となる。この中空部520の内部空間は、鋳込み成形において、成形品の形状に応じた形状となるように泥しょうが硬化したとき、未硬化状態の泥しょうが残る箇所となる。中空部520は、中空部520の内部空間を後方から覆う後壁部520aを備える。
【0165】
便器装置10は、第1空洞部28の内部空間と中空部520の内部空間を隔てる前述の第1内壁部36と、第1内壁部36に形成される挿通孔522とを備える。第1空洞部28は、内底面28aと、内底面28aから立ち上がる内側面28bと、内底面28a及び内側面28bが交わる内隅部28cとを備える。本実施形態の挿通孔522は、内隅部28cに形成される。
【0166】
索状部材504は、第1空洞部28、挿通孔522、中空部520を経由して引出孔516から外部に引き出される。索状部材504は、段差部510に対して水平方向内側に設けられる第2空洞部40を経由せずに引出孔516から外部に引き出されることになる。
【0167】
図19図22を参照する。引出孔516は、引出孔516内に配置される索状部材504の一部分の軸線方向と交差する方向に開放する開放口526を備える。ここでの「交差する方向」とは、本実施形態では、水平方向、詳しくは、後方向である。本実施形態の開放口526は、引出孔516の他に、中空部520の後壁部520a及び挿通孔522に連続しており、これらも外部空間に向かって開放している。索状部材504の軸線方向の途中部分は、引出孔516と外部空間との間で開放口526を通して方向Pfに出し入れ可能である。この方向Pfは、引出孔516内に配置される索状部材504の一部分の軸線方向と交差する方向となる。
【0168】
本実施形態の索状部材504は、前述の隔壁部材32に形成される貫通孔528に挿通されている。貫通孔528にも、貫通孔528内に配置される索状部材504の一部分の軸線方向と交差する方向に開放する開放口530が形成される。
【0169】
図23を参照する。本実施形態において、次の状態にあるとき、引出孔516(不図示)と外部空間との間で開放口526を通して方向Pfに索状部材504を出し入れ可能となる。この状態とは、便器排水路46から排水ソケット48を取り外した状態であって、トイレ室に便器本体14を固定する前の状態である。このとき、索状部材504が接続される付属機器500とともに、索状部材504を便器本体14に対して相対移動させる。本実施形態では付属機器500が固定される機能装置150のケーシング154(不図示)とともに付属機器500を便器本体14に対して相対移動させることになる。
【0170】
以上の第5工夫点に関する効果を説明する。
【0171】
索状部材504は、排水管路16と上下方向に重なる位置を左右方向に横切るように配置される。よって、便器本体14の左右中心位置Pxに対して左右両側に付属機器500及び相手機器502が配置される場合でも、排水管路16の後方に索状部材504の配置スペースを確保せずに済む。これに伴い、トイレ室壁部Wに便器本体14を近づけることができ、便器装置10の前出寸法の小型化を実現できる。この他に、排水ソケット48をトイレ室壁部Wにできるだけ近づけることができ、その分、対応可能な排水芯の範囲を広げることができる。
【0172】
索状部材504は、排水管路16よりも下方において、排水管路16に対して上下方向に重なる位置を横切るように配置される。よって、排水管路16の上方に索状部材504の配置スペースが不要となり、そこを便器装置10の他の付属機器の配置スペースとして活用できる。この他にも、排水管路16の下方のデッドスペースになり易い箇所を索状部材504の配置スペースに活用できる。よって、省スペース化を通じて便器装置10の小型化に寄与できる。
【0173】
索状部材504は、排水管路16の下降管路58に対して前方にて、下降管路58と前後方向Xに重なる位置を横切るように配置される。排水管路16が下降管路58を備える場合、下降管路58の前方はデッドスペースに更になり易い。本実施形態によれば、このデッドスペースになり易い箇所を索状部材504の配置スペースに活用できる。よって、省スペース化を通じて便器装置10の更なる小型化に寄与できる。
【0174】
(F)引出孔516は、外周壁部26において下向きの段差部510から下方の範囲に形成される。外周壁部26において上下方向に段差なく滑らかに連続する箇所(例えば、上側部分512)に引出孔516を形成する場合を考える。この場合と比べ、外周壁部26の上側部分512によって隠れることで、便器装置10を外部から観察したときに引出孔516を視認し難くなる。この効果は、外周壁部26の段差部510に引出孔516を形成する場合に、特に有効に得られる。これに伴い、便器装置10の外観がすっきりとし易くなり、便器装置10の意匠性を高めることができる。
【0175】
引出孔516は、外周壁部26の下部に形成される。よって、外周壁部26の上部に引出孔516を形成する場合と比べ、立位姿勢にあるユーザにより視認し難くなる。これに伴い、引出孔516から外部に引き出される索状部材504も視認し難くでき、良好な意匠性を得られる。
【0176】
索状部材504の一部には、索状部材504より外径寸法が大きい付属部材が取り付けられる場合がある。この付属部材は、たとえば、索状部材504がホースの場合はコネクタである。付属部材は、索状部材504がケーブルの場合はコンセントである。付属部材の大きさによっては、引出孔516の周辺部に付属部材が引っ掛かってしまう。よって、付属部材の大きさによっては、索状部材504の端部から索状部材504を引出孔516内に挿通できないケースが生じる。
【0177】
この点、本実施形態の索状部材504の途中部分は、引出孔516の開放口526を通して出し入れ可能である。このため、付属部材の大きさにかかわらず、引出孔516内に索状部材504を配置できるようになる。
【0178】
仮に、外周壁部26の後壁部に段差部510を設け、その段差部510に引出孔516を形成した場合を考える。この場合、外周壁部26とトイレ室壁部Wの間に、引出孔516から引き出された索状部材504の配置スペースを要する。
【0179】
この点、本実施形態においては、外周壁部26の外側壁部30に段差部510を設け、その段差部510に引出孔516を形成している。よって、外周壁部26に後壁部を設けずに済む。これに伴い、第2空洞部40の後壁部の分だけ、排水ソケット48によって対応可能な排水芯の範囲を広げることができる。
【0180】
引出孔516は、上側部分512の外面を避けるように形成される。よって、便器装置10を外部から観察したときに引出孔516を更に視認し難くなる。これに伴い、便器装置10の意匠性を更に高めることができる。
【0181】
便器本体14の中空部520は、通常、鋳込み成形において型が配置されない箇所となり、デッドスペースになり易い。本実施形態においては、この中空部520を経由して引出孔516から外部に索状部材504を引き出している。よって、デッドスペースになり易い箇所を索状部材504の配置スペースに活用できる。このため、省スペース化を通じて便器装置10の小型化に寄与できる。
【0182】
第5の工夫点に関する他の特徴を説明する。図24を参照する。前後方向X及び左右方向Yのうちの一方を特定方向という。本実施形態の特定方向とは左右方向Yである。外周壁部26は、特定方向(本実施形態では左右方向Y)の外側を向く外壁部532として前述の外側壁部30を備える。外壁部532は、装置内空間506と外部空間を特定方向に隔てている。
【0183】
引出孔516を通るように特定方向(本実施形態では左右方向Y)に沿って切断した断面を特定切断面という。図24は特定切断面を示す。この特定切断面において、水平面Phに対して60°の角度をなす基準面Psに沿った下向きの方向を基準方向Pgという。この基準面Psは、特定方向の内側に向かうに連れて下向きに延びる面となる。この基準方向Pgはユーザの視線方向を想定している。この基準面Psが段差部510の外周縁部510aに接するとき、外壁部532の上側部分512よりも内側であって、基準面Psよりも上方の範囲は、外壁部532の上側部分512によって隠れた位置に配置されることを意味する。
【0184】
このとき、引出孔516は、この特定切断面において、基準方向Pgから見て、外壁部532の上側部分512によって隠れた位置に配置される。引出孔516は、特定切断面において、基準方向Pgから見て、視認不能な位置に配置されるともいえる。これにより、便器装置10を外部から観察したおきに引出孔516を更に視認し難くなる。これに伴い、便器装置10の意匠性を更に高めることができる。
【0185】
この基準方向Pgは次の考え方に基づき設定している。便器本体14に対して側方にあるトイレ室壁部Wと便器本体14との間には側方空間534が形成される。便器本体14の左右中心位置Pxからトイレ室壁部Wまでの間隔は、通常、大きくとも435mmとなる。この側方空間534を作業空間として、一般的な体格の成人女性が膝をついて前屈みの姿勢で清掃する場合を考える。この成人女性の身長は160cmであり、その視点は床面Fから上方に40cm(160cm×0.25)だけ間隔を空けた位置にあると想定する。この場合に、外壁部532の下端部に形成される引出孔516を最も視認し易くなる位置は、この視点Vpがトイレ室壁部W上にある場合となる。
【0186】
ここに視点Vpがあると想定した場合、この視点Vpを通るとともに段差部510の外周縁部510aに接する基準面をPs’とすると、この基準面Ps’の水平面Phに対する角度θ0は、例えば、56.5°となる。このとき、この基準面Ps’より上方の範囲は、この視点Vpから視たときに、外壁部532の上側部分512によって隠れた位置に配置されることになる。言い換えると、外壁部532の上側部分512よりも内側であって、この基準面Ps’よりも上方に位置していれば、一般的な体格の成人が清掃する場合に、引出孔516を視認不能になることになる。
【0187】
この考えをもとに、角度θ0よりも視認し難くなる角度として60°を設定し、その角度から設定した概念が前述の基準方向Pgとなる。この基準方向Pgから視て、引出孔516が視認不能な位置に配置される場合、一般的な体格の成人が清掃する場合に、引出孔516を視認不能になると捉えることができる。この清掃箇所は、便器本体14に対して側方の側方空間534を想定した。この他にも、この側方空間534よりも狭隘となる、便器本体14に対して後方の空間の場合も同様の効果を得られる。
【0188】
この他に、第2ねじ部材174は、この特定切断面において、基準方向Pgから見て、外壁部532の上側部分512によって隠れた位置に配置される。同様に、外壁部523の下側部分514は、この特定切断面において、基準方向Pgから見て、外壁部532の上側部分512によって隠れた位置に配置される。
【0189】
相手機器502の配置位置は、便器装置10の設置場所によって変化する。図17は、便器本体14の左右中心位置Pxに対して左右方向Yの他方側(本実施形態では右側)に相手機器502が配置される例を示す。図25は、便器本体14の左右中心位置Pxに対して左右方向Yの一方側(本実施形態では左側)に相手機器502が配置される例を示す。以下、この例に対応するための構造を説明する。
【0190】
図19図26を参照する。引出孔516は、便器本体14の左右中心位置Pxに対して左右両側に個別に設けられる。本実施形態において、中空部520及び挿通孔522も、左右中心位置Pxに対して左右両側に個別に設けられる。図17の位置に相手機器502が配置される場合、索状部材504は、右側の引出孔516の他に、右側の中空部520の内部空間及び挿通孔522を通るように配置される。図25の位置に相手機器502が配置される場合、索状部材504は、左側の引出孔516の他に、左側の中空部520の内部空間及び挿通孔522を通るように配置される。いずれの場合も、付属機器500は、左右中心位置Pxに対して左右方向の一方側(本実施形態では左側)に配置されたままとなる。これにより、相手機器502の左右方向での配置位置によらず、装置内空間506から外部に索状部材504を引き出せるようになる。
【0191】
火災時において機能部品152を保護する観点からは、機能部品152を収容する第3配置空間116に対する火炎の侵入を避けることができると好ましい。このような観点からは次の構成を採用すると好ましい。
【0192】
隔壁部材32は、一定の形状を保持できる程度の硬さを持つ不燃材料を用いて構成される。隔壁部材32は、この一例として、鉄等の金属、陶器等を用いて構成される。クッション材176は、不燃材料を用いて構成されてもよい。クッション材176は、この一例として、グラスウール、ロックウール等の不燃性繊維材を用いて構成されてもよい。引出孔516、挿通孔522及び貫通孔528のうちの少なくとも一つは、不燃性とともに柔軟性を持つ蓋材によって塞がれていてもよい。これを実現するうえで、蓋材は、たとえば、付属機器500と隔壁部材32の間に挟み付けられいてもよい(図19の範囲S3参照)。この蓋材の一例として、クッション材176と同様の繊維材が用いられてもよい。付属機器500において蓋材を挟み付ける箇所は、隔壁部材32と同様、一定の形状を保持できる程度の硬さを持つ不燃材料を用いて構成されてもよい。
【0193】
(第2実施形態)図27図29を参照する。本実施形態の便器装置10は、主に、前述の第1の工夫点に関連する。本実施形態の液体供給装置18は、タンク400を備えるタンク装置402である。タンク装置402は、便器本体14に供給される液体Lを貯留するタンク400の他に、タンク400に通じる液路上に設けられるタンク用ユニット404A、404Bを備える。本実施形態のタンク用ユニット404A、404Bは、第1タンク用ユニットとしてのバルブユニット404Aと、第2タンク用ユニットとしてのポンプユニット404Bを含む。
【0194】
バルブユニット404Aは、タンク400に通じる液路として、給液源からタンク400に液体を供給する第1液路406A上に設けられる。本実施形態の給液源は、第1実施形態と同様に上水道であり、液体Lとして水を供給する。バルブユニット404Aは、開閉弁408と、第1液路の下流側端部を構成する第1配管部410Aとを備える。開閉弁408は、電磁弁等の電気駆動弁であり、不図示の制御部による制御のもと、第1液路406Aを開閉可能である。開閉弁408が開弁状態にあるとき、第1配管部410Aを通してタンク400に液体Lが流入する。
【0195】
ポンプユニット404Bは、タンク400に通じる液路として、タンク400から便器本体14に液体Lを供給する第2液路406B上に設けられる。ポンプユニット404Bは、ポンプ412と、第2液路406Bの上流側端部を構成する第2配管部410Bとを備える。ポンプ412は、不図示の制御部による制御のもと、第2液路406Bを通して、タンク400から吸い込んだ液体を送り出すことができる。
【0196】
以上のタンク装置402に関連する便器装置10の動作の一例を説明する。便器装置10は、タンク400内に貯留される液体Lの液位が設定液位を超えたか否かを検知するフロートスイッチ(不図示)を備える。制御部は、フロートスイッチの検知結果に基づき、タンク400内の液位が設定液位以下であることを判別すると、開閉弁408を閉弁状態から開弁状態に切り換える。これにより、タンク400内に第1液路406Aを通して液体Lが供給される。
【0197】
制御部は、フロートスイッチの検知結果に基づき、タンク400内の液位が設定液位を超えたことを判別すると、開閉弁408を開弁状態から閉弁状態に切り換える。これにより、タンク400内への第1液路406Aを通した液体Lの供給が停止する。以上の一連の動作を経ることによって、タンク400内に設定量の液体Lが貯留される。
【0198】
制御部は、所定の開始条件を満たすと、ポンプ412の駆動を開始する。この開始条件は、たとえば、不図示のスイッチ等に対する操作を通じて、液体供給開始信号が入力されることである。ポンプ412が駆動すると、タンク400内の液体Lが第2液路406Bを通して供給される。制御部は、ポンプ412の駆動を開始してから所定の時間を経過すると、ポンプ412の駆動を停止する。以上の一連の動作を経ることで、タンク400から設定量の液体Lが供給される。
【0199】
タンク400に関して詳述する。タンク400は、便器本体14の便鉢部12及び便器排水路46から間隔を空けた位置に配置される。便器本体14は、成形工程での乾燥に伴う収縮に起因して、その形状にばらつきが生じ得る。このため、仮に、便器本体14の便鉢部12及び便器排水路46に接触する位置にタンク400を配置する場合、便鉢部12等の形状のばらつきが大きいと、タンク400を目標位置に配置することが困難になり得る。この点、本実施形態によれば、これらから間隔を空けた位置にタンク400が配置されるため、便鉢部12等の形状に関するばらつきの影響を排除できる。
【0200】
タンク400は、便器本体14の便鉢部12及び便器排水路46と同様、便器装置10の外周壁部26によって外部から隠蔽される。仮に、便器本体14の便鉢部12及び便器排水路46と、タンク400との少なくとも何れかを防露材により覆った場合を考える。この場合でも、便器装置10の外周壁部26によって防露材を隠蔽でき、良好な意匠性と防露対策の両立を図ることができる。
【0201】
タンク400は、第1実施形態において説明した第1配置空間112に少なくとも一部が配置される。タンク400は、第1配置空間112に配置される第1貯留部420を備える。この他に、タンク400は、第1貯留部420に対して左右方向Yの少なくとも片側に配置される第2貯留部422を備える。この条件を満たすうえで、第2貯留部422は、第1配置空間112に対して前後方向Xにずれた位置に配置されてもよい。本実施形態の第2貯留部422は、側面視において、第1配置空間112に対して前後方向Xに重なる位置に配置される。この条件は必須ではないということである。タンク400の内部には、液体Lを貯留する貯留室424が形成される。貯留室424は、第1貯留部420及び第2貯留部422の内部に一続きに形成される。
【0202】
本実施形態の第2貯留部422は、第1貯留部420の上面部よりも上方に突き出るように設けられ、排水管路16に対して左右方向Yに重なる位置に配置される。第2貯留部422の上部は、第1貯留部420の上方に設けられる排水管路16の一部に対して左右方向Yに重なる位置に配置される。第2貯留部422の一部は、第1貯留部420よりも上方に設けられることになる。本実施形態の第2貯留部422は、排水管路16に対して左右方向Yの両側に個別に配置される。
【0203】
第1貯留部420の少なくとも一部は、排水管路16の内部水路306の前述した中央位置P3よりも上方にあるように設けられる。タンク400の貯留室424も、この条件を満たすように設けられる。タンク400内に貯留される液体Lの液面Lsも、この条件を満たすように設けられる。これらは、前述した下端位置P4及び下端位置P5との関係でも同様の条件を満たすように設けられる。
【0204】
タンク400は、第1配置空間112から左右方向Yに突き出るように設けられる。タンク400は、背面視において、排水管路16と上下方向Zに重なる箇所から左右方向Yに突き出るように設けられるともいえる。本実施形態のタンク400は、第1配置空間112から左右方向Yの両側に突き出るように設けられる。
【0205】
以上の便器装置10の効果を説明する。
【0206】
(E1)タンク400は、前述のように、デッドスペースになり易い上昇管路54の後方の第1配置空間112に配置される。本実施形態のタンク400は、特にデッドスペースになり易い上昇管路54と下降管路58の間の第1配置空間112に配置される。よって、前述の(A1)と同様、タンク400を他の位置に配置する場合と比べ、便器装置10の小型化を図ることができる。ここでの「他の位置」とは、前述した第3配置空間116を想定している。
【0207】
(E2)タンク400は、第1配置空間112から左右方向Yに突き出るように設けられる。よって、前述のように、デッドスペースになり易い第1配置空間112に対して左右方向Yにずれた箇所にタンク400の一部が配置される。このため、便器装置10の大型化を招くことなく、タンク400の容量の増大を図ることができる。このような効果との関係で、タンク400は、第1配置空間112の少なくとも片側に突き出ていればよい。
【0208】
(E3)タンク400は、第1貯留部420の他に第2貯留部422を備える。よって、第2貯留部422の分だけ、タンク400の容量の増大が図ることができる。
【0209】
(E4)第2貯留部422は、排水管路16に対して左右方向Yの両側に個別に配置される。よって、個別の第2貯留部422の分だけ、タンク400の容量の増大が図ることができる。
【0210】
本実施形態の便器装置10に関する他の特徴を説明する。タンク400の下方には、第1実施形態と同様、排水管路16の一部を配置するための第2配置空間118が設けられる。これにより、前述の(A2)と同様、タンク400の下方に排水管路16を配置する設計を実現できる。ひいては、排水管路16の配置位置に関する自由度が向上する。
【0211】
本実施形態でも、「排水管路16の一部」として、排水ソケット48の一部が第2配置空間118に配置される。よって、前述の(A3)と同様、排水ソケット48の前後方向Xでの長さの調整代を第2配置空間118の分だけ長くでき、対応可能な排水芯の範囲を広げられる。
【0212】
(E5)本実施形態のタンク400は、第1実施形態と同様、便器装置10の載置部122に載置される。タンク400は、載置部122に載置した状態で、不図示のねじ等を用いて便器本体14に固定される。タンク400は、床面Fから間隔を空けた位置に配置され、便器本体14によって支持される。これにより、前述の(A4)と同様、タンク400の設置時に良好な作業性が得られる。
【0213】
第1管路構成部材62の第1配管接続部66は、第1配置空間112よりも上方に配置される。第1配管接続部66は、第1配置空間112の後方に設けられる第1配管部材64(本実施形態では排水ソケット48)と接続される。よって、前述の(A6)と同様、第1配置空間112にタンク400を配置する場合に、便器本体14の下側から第1配置空間112に液体供給装置18を配置せずともよくなる。この他に、前述の(A7)と同様、排水管路16の第1配管接続部66を第1配置空間112の後方に配置する場合と比べ、第1配置空間112を前後方向Xに広げることができる。
【0214】
(E6)便器装置10は、第1実施形態と同様、第1配置空間112に対してタンク400を水平方向に出し入れ可能に構成される。これにより、前述の(A5)と同様、タンク400を載置部122に載置する場合に、便器本体14を持ち上げたり上下裏返しにしたりせずともよくなり、良好な作業性が得られる。
【0215】
タンク用ユニット404A、404Bの少なくとも一部は、タンク400よりも上方に配置される。タンク400は、タンク用ユニット404A、404Bの配管部410A、410Bが差し込まれる筒状の配管受け部426A、426Bを備える。配管受け部426A、426Bは、第1配管部410Aが差し込まれる第1配管受け部426Aと、第2配管部410Bが差し込まれる第2配管受け部426Bとを含む。配管部410A、410Bと配管受け部426A、426Bとの間にはシール部材428が配置される。シール部材428は、Oリング等の弾性体であり、配管部410A、410Bと配管受け部426A、426Bの間をシールする。配管受け部426A、426Bには、配管部410A、410Bがシール部材428を介して液密に接続される。
【0216】
配管受け部426A、426Bは、タンク400の外側に向けて突き出るのではなく、タンク400の貯留室424側に向けて突き出る。配管受け部426A、426Bは、タンク400の配管受け部426A、426Bの周囲に設けられる周囲壁部430に対して外側に突き出るのではなく、その周囲壁部430に対して内側に突き出るともいえる。
【0217】
(E7)これにより、タンク400の外側に向けて配管受け部426A、426Bが突き出る場合と比べ、タンク400の周辺の構造物と配管受け部426A、426Bが干渉し難くなる。ここでの「構造物」とは、本実施形態において、隔壁部材32である。これに伴い、タンク400の周囲壁部430をその構造物に近づけることができる。ひいては、タンク400をその構造物の近傍に配置する場合に、タンク400の容量の増大を図ることができる。
【0218】
各構成要素の他の変形例を説明する。
【0219】
便器本体14は、トイレ室の床面Fではなく、トイレ室壁部Wに固定されてもよい。便座20は、ケーシング154を介して便器本体14に取り付けられてもよいし、便器本体14に直接に取り付けられてもよい。
【0220】
排水管路16は、排水ソケット48を備えなくともよい。排水管路16は、上昇管路54よりも下流側に下降管路58が設けられていなくともよい。これは、たとえば、トイレ室壁部Wに埋め込まれる排水管44に便器排水路46を接続する場合を想定している。
【0221】
液体供給装置18は便器本体14に液体を供給できればよく、その具体例は特に限られない。液体の具体例は洗浄水に限定されず、たとえば、液体洗剤等でもよい。液体供給装置18に貯留される液体の用途は特に限定されない。この液体は、たとえば、局部洗浄装置の他に、除菌等を目的として、便鉢部12内に散布するスプレー装置に用いられてもよい。
【0222】
液体供給装置18の液体供給先は便器本体14であればよく、その具体例は特に限定されない。たとえば、便器本体14の便鉢部12の他に、排水管路16等に液体を供給してもよい。
【0223】
排水ソケット48の前後方向での長さを調整可能にするための具体的構造は特に限定されない。たとえば、排水ソケット48の一部に前後方向に伸縮可能な蛇腹構造を設けてもよい。
【0224】
第1配置空間112には、液体供給装置18の代替として、回路基板等が配置されていてもよい。
【0225】
(第1の工夫点に関して)液体供給装置18は、第1配置空間112から左右方向Yに突き出ないように設けられてもよいし、上昇管路54の流れ方向に沿うように設けられてもよい。第1配置空間112には、実施形態とは異なり、液体供給装置18の他の部位が配置されていてもよい。
【0226】
液体供給装置18の下方には排水管路16の一部を配置するための第2配置空間118が設けられていなくともよい。第2配置空間118には、実施形態とは異なり、排水管路16の便器排水路46が配置されてもよい。
【0227】
第1配管部材64は、実施形態とは異なり、たとえば、排水管44でもよい。
【0228】
便器装置10は、第1隔壁部34及び第2隔壁部182(隔壁部材32)を備えなくともよい。第1隔壁部34は、便器本体14とは別体に設けられてもよい。第2隔壁部182は、便器本体14の一部として便器本体14に設けられてもよい。
【0229】
便器本体14は、載置部122を備えていなくともよい。液体供給装置18は、たとえば、便器本体14に吊り下げ支持された状態で固定されてもよい。
【0230】
便器装置10は、第1配置空間112に対して液体供給装置18を水平方向に出し入れ可能に構成されていなくともよい。液体供給装置18は、第1配置空間112に対して下側から出し入れ可能でもよいということである。
【0231】
(A5)の効果を得るうえで、液体供給装置18の出し入れ方向は、実施形態とは異なり、左右方向Yでもよい。カバー部材190を用いる場合、液体供給装置18の出し入れ方向は、左右方向Y及び前後方向Xの何れでもよい。(A5)の効果を得るうえで、便器装置10は、便器本体14の一部として載置部122を備えなくともよい。載置部122は、便器本体14とは別体に設けられてもよいということである。
【0232】
タンク400は、第1配置空間112に配置される第1貯留部420を備えていればよく、第2貯留部422は備えなくともよい。タンク400は、第1配置空間112に少なくとも一部が配置されていればよく、具体的な配置位置及び形状は特に限られない。
【0233】
タンク400の配管受け部426A、426Bは、タンク400の外側に向けて突き出てもよい。
【0234】
タンク400の周囲壁部430の近傍に配置される構造物は特に限定されない。たとえば、機能装置150のケーシング154、便器本体14等でもよい。
【0235】
タンク用ユニット404A、404Bは、機能装置150のケーシング154に固定されてもよいし、ケーシング154とは別の箇所に固定されてもよい。ここでの「別の箇所」とは、たとえば、隔壁部材32である。ケーシング154とは別の箇所にタンク用ユニット404A、404Bが固定される場合、タンク用ユニット404A、404Bと機能装置150を分けて取り扱うことができる。
【0236】
図30を参照する。図2の実施形態では、排水管路16の下降管路58は排水ソケット48に設けられ、第1配置空間112は便器排水路46と排水ソケット48の間に設けられた。この他にも、第1配置空間112は、便器排水路46の上昇管路54と下降管路58の間に設けられてもよい。この変形例では、排水管路16の下降管路58の上流側部分は便器排水路46に設けられ、その下降管路58の下流側部分が排水ソケット48に設けられる。
【0237】
図31を参照する。本変形例では、図2の実施形態と比べ、便器本体14が壁掛け式である点で相違する。壁掛け式の便器本体14は、トイレ室壁部Wに掛けた状態でトイレ室壁部Wに固定される。便器本体14は、床面Fから間を空けた位置に配置される。本変形例の便器本体14にもジェット吐出部80が設けられる。
【0238】
本変形例の排水管路16にも、上昇管路54の他に下降管路58が設けられる。本変形例の下降管路58は、下流側に向かうに連れて下降するとともに後方に延びている。本例の排水管路16には、下降管路58よりも下流側において下流側に向かうに連れて後方に直線的に延びるとともに排水管44に接続される後側管路78が設けられる。これら下降管路58及び後側管路78は排水ソケット48に設けられる。
【0239】
排水ソケット48は、第1実施形態と同様、便器排水路46が接続される上流側接続部68と、排水管44に接続される下流側接続部70とを備える。本実施形態の排水ソケット48の上流側接続部68は、第1実施形態と異なり、便器排水路46の下流側端部に直接に接続される。
【0240】
本変形例の第1管路構成部材62も、第1配管部材64に接続される第1配管接続部66を備える。本変形例の第1管路構成部材62は便器本体14であり、第1配管部材64は排水ソケット48である。本変形例の第1配管接続部66も後向きに延びている。
【0241】
第1実施形態と同様、第1配置空間112には、液体供給装置18の本体102の少なくとも一部が配置される。本実施形態の第1配置空間112は、第1実施形態と同様、側面視において、上昇管路54と下降管路58の間に設けられる。第1実施形態と異なり、液体供給装置18の下方の第2配置空間118には排水管路16の一部が配置されない。
【0242】
このように、排水管路16の上昇管路54と下降管路58の間に第1配置空間112を設けるうえで、下降管路58の具体例は特に限られない。第1配置空間112の後方には下降管路58が設けられていなくともよい、
【0243】
図32を参照する。本変形例は、図27の実施形態と比べ、便器本体14が壁掛け式である点で相違する。本変形例の排水管路16も、図31の例と同様の構成である。本変形例のタンク400も、図27の実施形態と同様、第1配置空間112に配置される。タンク400は、図27の変形例と同様、第1貯留部420及び第2貯留部422(図示せず)を備える。
【0244】
本例においても、前述の(E1)~(E7)で説明した構成要素を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
【0245】
図33図34を参照する。本変形例は、図28図29の実施形態と比べ、複数のタンク装置402を備える点で相違する。複数のタンク装置402は、第1タンク装置402Aと第2タンク装置402Bを含む。第1タンク装置402Aは、タンク400(以下、第1タンク400Aという)の他、第2実施形態と同様、バルブユニット404A、ポンプユニット404Bを備える。第2タンク装置402Bは、タンク400(以下、第2タンク400Bという)の他、第2実施形態と同様、バルブユニット404A、ポンプユニット404Bを備える。図33では、第1タンク装置402Aのポンプユニット404B、第2タンク装置402Bのバルブユニット404Aは図示していない。第1タンク400Aと第2タンク400Bの何れも、便器装置10の第1空洞部28内に配置される。
【0246】
第1タンク400Aと第2タンク400Bには異なる用途の液体Lが貯留される。本実施形態において、第1タンク400Aには、液体Lとして、便器洗浄用の洗浄水が貯留され、第2タンク400Bには、液体Lとして、局部洗浄装置用の水が貯留される。便器洗浄用の洗浄水は、便器本体14の便鉢部12に供給されることによって、便鉢部12内の汚物を排出するとともに便鉢部12内を洗浄することができる。局部洗浄装置用の水は、便器本体14の便鉢部12内に局部洗浄装置を介して供給される。
【0247】
第1タンク400Aは、第1配置空間112に配置される第1貯留部420の他に、第1貯留部420に対して左右方向Yの片側に配置される単数の第2貯留部422とを備える。
【0248】
第2タンク400Bは、第2実施形態と異なり、第1配置空間112には配置されず、第1タンク400Aの第1貯留部420に対して第2貯留部422とは左右方向Yの反対側に配置される。第2タンク400Bの上部は、排水管路16に対して第1タンク400Aの第2貯留部422とは左右方向Yの反対側に配置される。
【0249】
本例においても、前述の(E1)~(E3)、(E5)~(E7)で説明した構成要素を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。この他に、異なる用途の液体Lを複数のタンク400に貯留する場合に、一つのタンク400は、第1配置空間112に配置される分、その容量の増大を図ることができる。
【0250】
複数のタンク400に貯留される液体Lの具体例は特に限定されない。たとえば、いずれかのタンク400には、前述のスプレー装置用の液体Lが貯留されてもよい。この液体Lとして、上水道から供給される洗浄水の他に、濾材等の改質材を用いて洗浄水を浄化した浄水が用いられてもよい。浄水を用いた場合、便器本体14に付着する水垢成分を浄水によって除去できる利点がある。この他にも、液体Lとして、液体洗剤が用いられてもよい。この液体洗剤は、たとえば、便器本体14の便鉢部12内に供給されることによって、便鉢部12内を洗浄する役割を持つ。局部洗浄装置用の水は、予め加熱することによって温水としてタンク400に貯留されていてもよい。これにより、局部洗浄装置から噴射される温水の大流量化を図ることができる。
【0251】
ポンプユニット404Bは、実施形態とは異なり、局部洗浄装置、スプレー装置等の機械装置を介して、便器本体14に液体Lを供給してもよい。この場合、このような機械装置が前述の第2液路406B上に設けられることになる。
【0252】
(第2の工夫点に関して)第1空洞部28、第2空洞部40は、各空洞部28、40の内部空間と外部空間を前後方向に隔てる後壁部を備えてもよい。この場合にも、第1空洞部28に第1後側開口部162を設けてもよいし、第2空洞部40に第2後側開口部166を設けてもよい。
【0253】
外側壁部30の後端部30aは、トイレ室壁部Wにクッション材176を介さずに直接に当てられてもよい。外側壁部30の後端部30aには切欠部178が形成されていなくともよい。切欠部178は、外側壁部30の下端部以外の箇所に形成されていてもよい。
【0254】
前述した(B1)の効果を得るうえで、便器装置10は、トイレ室壁部Wに便器装置10の外側壁部30の後端部を当てない状態で固定されてもよい。これは、トイレ室壁部Wと便器装置10の外側壁部30との間に隙間がある場合を想定している。
【0255】
前述した(B2)の効果を得るうえで、便器装置10の第1空洞部28には、上側開口部160及び第1後側開口部162が設けられていなくともよい。
【0256】
前述した(B1)及び(B2)の効果を得るうえで、液体供給装置18の配置位置は特に限られない。液体供給装置18は、第1空洞部28の第3配置空間116及び第2空洞部40に配置されていてもよいということである。液体供給装置18はなくともよい。
【0257】
図35図36を参照する。本変形例の便器装置10は、便器本体14の連続開口部186を覆い塞ぐ防水用のカバー部材188を備える。これにより、便器本体14の連続開口部186を通して便器本体14の内部に水等が入り込む事態を避けられる。これに伴い、便器本体14の内部に配置される電装部品204等の保護を図ることができる。本変形例のカバー部材188は、便器本体14の外側壁部30の後端部30aと前後方向Xに揃えた位置に設けられる。この他にも、カバー部材188は、便器本体14の外側壁部30の後端部30aよりも前方に設けられてもよい。
【0258】
本例の便器本体14も、便器装置10の外側壁部30をトイレ室壁部Wに当てた状態で固定される。これにより、前述した(B2)の効果を得られる。
【0259】
第1後側開口部162と第2後側開口部166は、実施形態とは異なり、互いに連続していなくともよい。
【0260】
この他にも、壁掛け式の便器本体14を用いる場合、第1空洞部28の内部空間を下側から覆い塞ぐカバー部材が用いられてもよい。このカバー部材は、例えば、便器本体14の貫通孔120(図3参照)を覆い塞ぐ場合を想定している。
【0261】
図37を参照する。本変形例の外側壁部30の一部は、便器本体14とは別体に設けられるカバー部材190が構成する。本変形例において、一対の外側壁部30それぞれの一部を一対のカバー部材190が構成している。カバー部材190は、外側壁部30の後端部30aから前後方向Xに亘る一部の範囲において外側壁部30を構成する。本変形例のカバー部材190は、第1空洞部28の一部を構成している。
【0262】
カバー部材190は、便器本体14に留め具192を介して着脱可能に固定される。便器本体14には、カバー部材190を固定する複数の被固定部191が前後方向Xに間隔を空けて設けられる。本変形例の留め具192は、便器本体14及びカバー部材190の左右方向Yに対向する位置に取り付けられる一対の面ファスナーが構成する。留め具192は、便器本体14に対するカバー部材190の前後方向Xでの相対位置を調整可能に便器本体14にカバー部材190を固定する。この条件を満たす留め具192の具体例は特に限られない。この具体例として、この他にも留め具192は、ボルトと長孔の組み合わせ、磁石等が構成してもよい。
【0263】
これにより、トイレ室壁部Wに対する便器本体14の前後方向Xの位置を調整しつつ、カバー部材190が構成する外側壁部30の後端部30aをトイレ室壁部Wに当てることができる。このように便器本体14の前後方向Xの位置を調整することで、排水管路16の位置も調整でき、排水芯の前後方向Xでの位置のばらつきに対応できる。つまり、便器装置10の外側壁部30をトイレ室壁部Wに当てる場合でも、便器本体14の前後方向Xの位置を変えることによって、排水芯の位置のばらつきに対応できることになる。
【0264】
カバー部材190は、図37の変形例とは異なり、外側壁部30の全体を構成していてもよい。このようにカバー部材190は、外側壁部30の少なくとも一部を構成していればよい。
【0265】
ここでのカバー部材190は、外側壁部30における上下方向Zの全範囲を構成する例を説明した。この他にも、外側壁部30における上下方向Zの一部の範囲をカバー部材によって構成していてもよい。この場合、外側壁部30における上下方向Zの他の範囲は便器本体14によって構成される。この場合、カバー部材において外側壁部30の後端部30aを構成する部分と、便器本体14において外側壁部30の後端部30aを構成する部分とは面一に設けられてもよい。この場合、カバー部材は、前述の留め具192を用いて便器本体14及び機能装置150のケーシング154の何れかに固定されてもよい。
【0266】
(第3の工夫点に関して)後方空間220は、第1空洞部28の内側の第3配置空間116である例を説明した。便器装置10が第1空洞部28を備えない場合、後方空間220は、トイレ室壁部Wと便器本体14の間に形成されていてもよい。後方空間220には機能部品152が配置されていなくともよい。
【0267】
便器本体14の上面部24の高位領域216と低位領域218は傾斜面214ではなく段差部が形成してもよい。この段差部は、たとえば、前方に向かって高さが段階的に低くなるように設けられる。
【0268】
前述した(C1)の効果を得るうえで、便器本体14の上面部24の低位領域218の位置は特に限定されない。たとえば、図38Aに示すように、低位領域218は、平面視において、溢れ縁208と左右方向Yに重なる前後方向Xの範囲の一部にのみ設けられてもよい。この他にも、図38Bに示すように、低位領域218は、平面視において、溢れ縁208と前後方向Xに重なる左右方向Yの範囲の一部にのみ設けられてもよい。いずれにしても、低位領域218は、溢れ縁208の低位箇所208bを乗り越える水を後方空間220を経由することなく便器本体14の外部に誘導可能であればよい。低位領域218は、溢れ縁208の低位箇所208bを乗り越える水を便器本体14の前方及び側方の何れかに誘導可能でもよいと捉えられる。図38A図38Bの何れの例も、便器本体14の上面部24の高位領域216は水平面と平行に設けられる。
【0269】
便器本体14の傾斜面214は一様に傾斜していなくともよい。傾斜面214の勾配は前後方向の位置によって異なっていてもよいということである。たとえば、高位領域216を形成する傾斜面と、低位領域218を形成する傾斜面とは異なる勾配でもよい。
【0270】
傾斜面214は、実施形態と異なり、上面部24の前後方向の途中位置が最も低位置にあるように傾斜してもよい。傾斜面214は、実施形態と異なり、上面部24の前後方向の途中位置が最も高位置にあるように傾斜してもよい。たとえば、便器本体14の便鉢部12よりも後方において傾斜面214の最も高位置があり、上面部24の前端部24bにおいて傾斜面214の最も低位置があってもよい。この条件を満たす傾斜面214が一様に傾斜していてもよい。
【0271】
便座20は、便器本体14の上面部24の傾斜面214以外の箇所で支持されてもよい。
【0272】
第1吐出孔250Aの吐出方向となる「周方向の一方側」が反時計回りであり、「周方向の他方側」が時計回りである例を説明した。この他にも、第1吐出孔250Aの吐出方向となる「周方向の一方側」は時計回りであり、「周方向の他方側」が反時計回りであってもよい。この場合、実施形態の「反時計回り」及び「時計回り」の文言は、それぞれ、「時計回り」及び「反時計回り」の文言に置き換えて捉えればよい。
【0273】
便器本体14の上面部24の高低差に関して、「前後方向の一方側」に向かって低くなる例を説明するうえで、この「前後方向の一方側」が前側である例を説明した。この他にも、「前後方向の一方側」は後側でもよい。つまり、便器本体14の上面部24は、溢れ縁208が高低差を持つように、後側(つまり、前後方向の一方側)に向かって低くなるように設けられてもよい。この場合、通常、リム部242の後側部分よりも前側部分の方が上下方向の範囲が広くなる。
【0274】
図39を参照する。この場合、第1分割領域Da1は、前後中心線Lc2に対して周方向の一方側(図示では反時計回り)に隣り合う後側(つまり、前後方向の一方側)の分割領域に設けられ、残りの分割領域は、第1分割領域Da1から周方向の一方側に順に設けられる。この場合、前述の(C2)の効果を得るうえでは、前述した内容と同様、第2基準線Lc4に対して第1分割領域Da1とは反対側の複数の分割領域Da2~Da5の何れかに第1吐出孔250Aを設けるとよい。これにより、リム部242の前側部分において洗浄すべき上下方向の範囲が広い場合でも、リム部242の前側部分を強水勢の洗浄水によって良好に洗浄し易くなる。
【0275】
(第4の工夫点に関して)第2管路構成部材300は、実施形態とは異なり、接続配管50等でもよい。第2配管部材302は、実施形態とは異なり、排水管44、排水ソケット48等でもよい。
【0276】
水路形成面310の軸芯C1は、水路頂部314を通る特定断面において、第2配管接続部304の軸芯C2と同芯に設けられてもよい。
【0277】
水路形成面310の軸芯C1は、水路頂部314を通る特定断面において、第2配管接続部304の軸芯C2に対して上側に偏心させるうえで、水路形成面310の内下面に平坦面330を設けなくともよい。たとえば、水路形成面310の内下面に上向きに凸となる円弧面等を設けてもよい。
【0278】
水路形成面310の内下面に平坦面330を設ける場合、平坦面330は第2管路構成部材300が構成する例を説明した。平坦面330は、第2管路構成部材300とは別部材、たとえば、第2配管部材302が構成してもよい。
【0279】
第2配管接続部304の内側には水路形成面310の下方に中空部322が設けられていなくともよい。第2配管接続部304の外周面は、円形状でなくともよく、たとえば、多角形状等でもよい
【0280】
溢れ縁316は、排水管路16内で下流側に向かって円弧状に延びる円弧状領域の頂点が構成してもよい。
【0281】
水路頂部314には水落とし部340が設けられていなくともよい。たとえば、水路頂部314には、下流側に向かって連続的に低くなる曲面が設けられてもよい。
【0282】
図40を参照する。本変形例は、図12の実施形態と比べて、第2管路構成部材300の第2配管接続部304周りの構造が相違する。本変形例において、第2管路構成部材300は、図12の実施形態と同様、便器本体14である。これに対して、第2配管部材302は、図12の実施形態と異なり、排水ソケット48である。
【0283】
本変形例の水路頂部314には、下流側に向かって直線状に延びる直線領域318(図12参照)が設けられていない。水路頂部314の下流端は上り面312の下流端が構成しているとも捉えることができる。
【0284】
水路頂部314の最頂箇所314aは、第2配管接続部304の下流側端面304aよりも排水管路16の上流側に設けられる。本変形例の水路頂部314には、図12の実施形態と同様、内部水路306において下流側に向かって段階的に低くなる水落とし部340が設けられる。本変形例の水落とし部340は、第2配管接続部304の内下面と水路頂部314との間で不連続な高低差を形成するように設けられる。本変形例の水落とし部340は、排水管路16の下降管路58の内部空間よりも上流側において、第2配管接続部304の内部に設けられる。
【0285】
これにより、水路頂部314の最頂箇所314aを第2配管接続部304の下流側端面304aと合わせた位置に配置する場合と比べ、水路頂部314の最頂箇所314aよりも下流側において内部水路306に広い空間380を確保できる。この空間380は、水路頂部314に対して封水56とは水平方向反対側において、第2配管部材302と水路頂部314の間に形成される。このため、水路頂部314を乗り越えた水を内部水路306において下流側に向けて流し易くなり、大きい排水流量を確保し易くなる。特に、水路頂部314の下流側端面304aに対して近い箇所に第2配管部材302の内壁面が位置する場合、水路頂部314の最頂箇所314aよりも下流側において内部水路306において空間380を広くし難い。このような場合でも、ここで説明した効果を有効に得られる。
【0286】
この他にも、第2配管接続部304の下流側端面304aを水路頂部314の最頂箇所314aと合わせた位置に配置する場合と比べ、第2配管接続部304を内部水路306の流れ方向に長くできる。これに伴い、第2配管接続部304と第2配管接続部304との間のシール性の確保に必要な第2配管接続部304の長さを確保できる。
【0287】
図41を参照する。本変形例においても、図40の変形例と同様、第2管路構成部材300の水路頂部314に水落とし部340が設けられる。本変形例は、図40の変形例と比べて、排水ソケット48の構造が相違する。本変形例において、排水ソケット48は、下降管路58に設けられる斜め管路部382と、下降管路58に設けられる第1直管部384と、を備える。
【0288】
斜め管路部382は、第1配置空間112に対して後方にて第1配置空間112と前後方向に重なる位置に設けられる。斜め管路部382は、下流側に向かうに連れて、斜め下向き、詳しくは、後方かつ下向きに延びるように設けられる。斜め管路部382の内周面の管軸方向に直交する断面の断面積は、下流側に向かうに連れて、徐々に小さくなるように設けられる。第1直管部384は、斜め管路部382の下流側に連なり、下流側に向かうに連れて鉛直下向きに延びている。斜め管路部382と第1直管部384の境界部分386は、第1配置空間112に対して後方にて第1配置空間112と前後方向に重なる位置に設けられる。
【0289】
排水ソケット48の上流側接続部68は、直線的に延びるとともに弾性部材69が取り付けられる第2直管部388を備える。第2直管部388の下流側には斜め管路部382が連なる。第2直管部388の中心軸線CL2に対して斜め管路部382の上流側端部の中心軸線CL3がなす鋭角側の角度θ1は30°以上となるように設定される。
【0290】
この利点を説明する。水路頂部314の水落とし部314から落としたトイレットペーパー等の物体が斜め管路部382の内下面に載った場合を考える。この場合に、斜め管路部382が斜め下向きに延びるように設けられるため、その内下面上の物体を下流側に流し易くなる。よって、排水ソケット48の第2直管部388が広い範囲に設けられる場合と比べ、水落とし部314から落とした物体が詰まり難くなる。これとともに、排水ソケット48に斜め管路部382がない場合と比べ、第1配置空間112を前後方向に広げることができる。よって、第1配置空間112に配置される液体供給装置18の大型化を図ることができる。
【0291】
この効果を得る観点からは次に説明する条件を満たすと好ましい。一回の洗浄動作において、水落とし部340から流れ落ちる水流の最大流量をLmax(リットル/sec)という。ここでの一回の洗浄動作とは、便鉢部12の洗浄のために、不図示の給水装置から所定量の水を供給する動作をいう。斜め管路部382の内下面の上流端382aは、水落とし部314から最大流量Lmaxの水流が放物線状に流れ落ちたとき、その水流に当たらない位置に設けられる。
【0292】
この他にも、前述の効果を得る観点から、斜め管路部382の上流端382aは、次の条件を満たすと好ましい。詳しくは、斜め管路部382の上流端382aは、水路頂部314の最頂箇所314aに対して、水路頂部314の下流側かつ水平方向に20mm以内の範囲内に設けられると好ましく、10mm以内の範囲内に設けられるとより好ましい。
【0293】
(第5の工夫点に関して)付属機器500は、便器本体14に付属する機器であればよく、その具体例は特に限られない。付属機器500は、例えば、バルブユニット153以外の機能部品でもよいし、前述した液体供給装置18でもよい。
【0294】
相手機器502は、実施形態とは異なり、便器装置10の装置内空間506に配置されてもよい。この場合、索状部材504は装置内空間506のみに配置され、装置内空間506から外部に引き出されない。この装置内空間506に配置される相手機器502は、例えば、便器排水路46内の水の凍結を防ぐ凍結防止ヒータ、水を加熱して温水を生成する温水ヒータ等でもよい。この他にも、装置内空間506に配置される相手機器502は、例えば、局部洗浄装置、脱臭装置等に用いられるモータ等の動力源でもよい。
【0295】
索状部材504の具体例は特に限られない。索状部材504は、排水管路16よりも上方において、排水管路16に対して上下方向に重なる位置に配置されてもよい。排水管路16は、下降管路58を備えなくともよい。索状部材504は、下降管路58に対して前方に配置されていなくともよいということである。
【0296】
引出孔516は、外周壁部26の後壁部に設けられた段差部510に形成してもよい。引出孔516は、実施形態とは異なり、上側部分512の外面に部分的に形成されてもよい。引出孔516は、実施形態とは異なり、下側部分514の外面に部分的に形成されてもよい。引出孔516は、実施形態とは異なり、便器本体14の左右中心位置Pxに対して左右片側にのみ形成されていてもよい。引出孔516は、開放口526を備えなくともよい。
【0297】
本実施形態の外周壁部26は、便器本体14の一部を構成する。外周壁部26の全体及び一部の何れかは、便器本体14とは別体に設けられてもよい。
【0298】
便器本体14は、中空部520を備えなくともよい。索状部材504は、便器本体14の中空部520を経由せずに引出孔516から外部に引き出されてもよい。
【0299】
外周壁部26は、外周壁部26の内部空間(装置内空間506)と外部空間を前後方向Xに隔てる後壁部を備えてもよい。前述の特定方向を前後方向Xと捉える場合、前述の特定方向の外側を向く外壁部532は、この外周壁部26の後壁部が該当する。この場合、この外壁部532(後壁部)に段差部510を形成し、その段差部510から下方の範囲に引出孔516を設けてもよい。この場合、前述の特定切断面において、基準方向Pgから見て、外壁部532によって隠れた位置に引出孔516が配置されてもよい。
【0300】
図42を参照する。相手機器502は、第1相手機器502Aと、第2相手機器502Bを含む。第1相手機器502Aは、図17の実施形態と同様、止水栓である。第2相手機器502Bは、商用電力を供給する外部電源となるコンセントである。各相手機器502A、502Bは、図17の実施形態と同様、便器本体14の左右中心位置Pxに対して左右方向Yの他方側(本変形例では右側)に配置される。
【0301】
索状部材504は、付属機器500と第1相手機器502Aを接続する第1索状部材504Aと、付属機器500と第2相手機器502Bを接続する第2索状部材504Bとを含む。第1索状部材504Aは、図17の実施形態と同様、水を供給するホースである。第2索状部材504Bは、電力を伝送するケーブルである。第2索状部材504Bは、第2相手機器502Bとしてのコンセントから付属機器500に搭載される電源回路(不図示)に電力を供給する。電源回路は、外部電源から供給される電力を他の付属機器に供給する。
【0302】
複数の索状部材504は、共通の第1挿通孔522Aを経由して共通の第1引出孔516Aから外部に引き出される。よって、複数の索状部材504を個別の引出孔516から引き出す場合と比べ、便器装置10の構造を簡素化できる。
【0303】
複数の索状部材504は、排水管路16と上下方向に重なる重なり位置Pcを左右方向に横切るように配置される。よって、複数の索状部材504がある場合でも、便器本体14の後方に索状部材504の配置スペースを確保せずに済む。これに伴い、複数の索状部材504がある場合でも、前述の通り、便器装置10の前出寸法の小型化を実現できる。
【0304】
このように索状部材504の数は特に限定されない。複数の索状部材504がある場合、少なくとも一つの索状部材504が排水管路16と上下方向に重なる位置を横切るように配置されていればよい。複数の索状部材504は、図42の変形例とは異なり、個別の引出孔516から外部に引き出されてもよい。
【0305】
図43を参照する。引出孔516は、外周壁部26において段差部510よりも下方に形成される。詳しくは、引出孔516は、外周壁部26の下側部分514に形成される。本例の引出孔516も、外周壁部26において段差部510から下方の範囲に形成されることになる。本例の引出孔516は、前述の切欠部178によって構成される。本実施形態の引出孔516は、切欠部178と同様、後向きかつ下向きに開放する開放口526を備える。索状部材504は、第1空洞部28、第2空洞部40を経由して、引出孔516から外部に引き出される。これによっても、前述の(F)の効果と同様、外周壁部26の上側部分512によって隠れることで、便器装置10を外部から観察したときに引出孔516を視認し難くなる。
【0306】
以上、実施形態及び変形例について詳細に説明した。前述した実施形態及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎない。本明細書で言及する形状には、言及している形状に対して寸法誤差、製造誤差等の誤差の分だけずれた形状も当然に含まれる。実施形態及び変形例の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0307】
以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。たとえば、実施形態に対して他の実施形態及び変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。この他にも、変形例に対して実施形態及び他の変形例の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0308】
10…便器装置、12…便鉢部、14…便器本体、16…排水管路、18…液体供給装置、20…便座、24…上面部、26…外周壁部、28…第1空洞部、30…外側壁部、34…第1隔壁部、40…第2空洞部、44…排水管、46…便器排水路、48…排水ソケット、52…封水貯留部、54…上昇管路、56…封水、58…下降管路、62…第1管路構成部材、64…第1配管部材、66…第1配管接続部、98…蓄圧装置、100…バキュームブレーカ、102…本体、112…第1配置空間、118…第2配置空間、122…載置部、124…出入口、150…機能装置、152…機能部品、154…ケーシング、160…上側開口部、162…第1後側開口部、164…下側開口部、166…第2後側開口部、176…クッション材、178…切欠部、182…第2隔壁部、190…カバー部材、204…電装部品、208…溢れ縁、210…中間領域、214…傾斜面、216…高位領域、218…低位領域、220…後方空間、250A…第1吐出孔、252A…第1吐出部、300…第2管路構成部材、302…第2配管部材、304…第2配管接続部、306…内部水路、310…水路形成面、314…頂部、316…溢れ縁、322…中空部、330…平坦面、340…水落とし部、366…後型、370…成形凹部、372…成形凸部、400…タンク、404A、404B…タンク用ユニット、410A、410B…配管部、420…第1貯留部、422…第2貯留部、424…貯留室、426A、426B…配管受け部、428…周囲壁部、500…付属機器、502…相手機器、504…索状部材、510…段差部、512…上側部分、516…引出孔、520…中空部、524…出入口部、Da1~Da8…第1分割領域~第8分割領域、Lc1…左右中心線、Lc2…前後中心線、Lc3…第1基準線、Lc4…第2基準線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38A
図38B
図39
図40
図41
図42
図43