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特許7461842基板洗浄装置およびそれを備える基板処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】基板洗浄装置およびそれを備える基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240328BHJP
【FI】
H01L21/304 644E
H01L21/304 644C
H01L21/304 644F
H01L21/304 643A
H01L21/304 651B
H01L21/304 648A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020157267
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051026
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】篠原 智之
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉文
(72)【発明者】
【氏名】沖田 展彬
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋
(72)【発明者】
【氏名】篠原 敬
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-152274(JP,A)
【文献】国際公開第2021/053995(WO,A1)
【文献】特開2006-269974(JP,A)
【文献】特許第5904169(JP,B2)
【文献】特開2018-014518(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0126539(US,A1)
【文献】特開2010-130021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を回転させることなく第1の高さ位置で前記基板の外周端部を保持する第1の基板保持部と、
第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で前記基板の下面中央部を吸着保持しつつ上下方向の軸の周りで回転させる第2の基板保持部と、
前記第1の高さ位置と前記第2の高さ位置との間で前記基板を移動させる基板移動部と、
前記基板の下面に接触して前記基板の下面を洗浄する洗浄具と、
前記洗浄具を昇降させることにより、前記洗浄具が前記第1の基板保持部により保持された前記基板の下面に接触する第1の状態と、前記洗浄具が前記第2の基板保持部により保持された前記基板の下面に接触する第2の状態とに前記洗浄具を移行させる洗浄具昇降部と、
前記第1または第2の基板保持部により保持される前記基板の下方の位置で、前記洗浄具を前記基板に対して水平方向に移動させる洗浄具移動部と、
前記基板の下面に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
平面視で前記第2の基板保持部を取り囲むように設けられ、前記第2の基板保持部により吸着保持されつつ回転される前記基板に前記洗浄液供給部から洗浄液が供給される場合に前記基板から飛散する洗浄液を受け止める処理カップとを備え、
前記第1の高さ位置は、前記処理カップの上端部よりも高く、
前記第2の高さ位置は、前記基板が前記第2の基板保持部により保持された状態で前記洗浄具により洗浄されているときに、前記処理カップの上端部よりも低い、基板洗浄装置。
【請求項2】
前記第1の基板保持部、前記第2の基板保持部、前記基板移動部、前記洗浄具昇降部、前記洗浄具移動部および前記洗浄液供給部を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、
前記基板の下面中央部の洗浄時に、前記第1の基板保持部により保持される前記基板の前記下面中央部が前記洗浄具により洗浄されるように、前記第1の基板保持部、前記洗浄具昇降部および前記洗浄液供給部を制御し、
前記基板の前記下面中央部を取り囲む下面外側領域の洗浄時に、前記第2の基板保持部により保持される前記基板の下面に洗浄液が供給されつつ前記下面外側領域が前記洗浄具により洗浄されるように、前記第2の基板保持部、前記洗浄具昇降部、前記洗浄具移動部および前記洗浄液供給部を制御し、
前記第1の基板保持部と前記第2の基板保持部との間で前記基板が移動されるように、前記第1の基板保持部、前記第2の基板保持部および前記基板移動部を制御する、請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄具移動部は、前記第1の基板保持部により保持される前記基板の下面に前記洗浄具が接触する状態および前記第2の基板保持部により保持される前記基板の下面に前記洗浄具が接触する状態のうち少なくとも一方の状態で、前記洗浄具を前記基板に対して水平方向に移動させる、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記第1の基板保持部に保持された前記基板の前記下面に気体を供給することが可能であるとともに、前記第2の基板保持部に保持された前記基板の前記下面に気体を供給することが可能に構成された気体供給部をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
前記洗浄具を上下方向の軸の周りで回転させる洗浄具回転駆動部をさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項6】
前記基板の下面に接触する前記洗浄具の接触部分の面積は、前記基板の下面中央部を吸着保持する前記第2の基板保持部の吸着部分の面積よりも大きい、請求項1~5のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記処理カップの上端部が前記第2の高さ位置よりも高い上カップ位置と、前記処理カップの上端部が前記第2の高さ位置よりも低い下カップ位置との間で前記処理カップを昇降させる処理カップ駆動部をさらに備え、
前記処理カップ駆動部は、前記基板が前記第2の基板保持部により保持された状態で前記洗浄具により洗浄されているときに前記処理カップを前記上カップ位置に保持し、前記第2の基板保持部により保持された前記基板の洗浄前または洗浄後に前記処理カップを前記下カップ位置に保持する、請求項1~6のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の基板洗浄装置と、
基板を保持可能に構成された第1の搬送保持部と前記第1の搬送保持部よりも下方で基板を保持可能に構成された第2の搬送保持部とを含む基板搬送部とを備え、
前記第1の搬送保持部は、前記基板洗浄装置の前記第1の基板保持部に対して基板の受け渡しを行い、
前記第2の搬送保持部は、前記基板洗浄装置の前記第2の基板保持部に対して基板の受け渡しを行う、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に所定の処理を行う基板洗浄装置およびそれを備える基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するためには、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
特許文献1に記載された基板洗浄装置は、ウエハの裏面周縁部を保持する2つの吸着パッド、ウエハの裏面中央部を保持するスピンチャック、およびウエハの裏面を洗浄するブラシを備える。2つの吸着パッドがウエハを保持するとともに横方向に移動する。この状態で、ウエハの裏面中央部がブラシで洗浄される。その後、スピンチャックが吸着パッドからウエハを受け取り、スピンチャックがウエハの裏面中央部を保持しつつ回転する。この状態で、ウエハの裏面周縁部がブラシで洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5904169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クリーンルーム内に占める基板洗浄装置の設置床面積(フットプリント)を低減するために、基板洗浄装置の小型化が求められる。しかしながら、上記の基板洗浄装置においては、ウェハが横方向へ移動する際に、ウェハを取り囲む比較的大型の部材(具体的にはアッパーカップ)も、ウェハとともに横方向へ移動する。そのため、水平方向における基板洗浄装置の小型化が難しい。
【0006】
アッパーカップは、ウエハの洗浄時にウエハから飛散する洗浄液を受け止めるために用いられる。そのため、特許文献1の基板洗浄装置を小型化するためにアッパーカップを取り除くと、汚染物質を含む洗浄液の飛散を防止することができない。この場合、基板洗浄装置の清浄度を高く維持することができない。
【0007】
本発明の目的は、フットプリントの増加を低減しつつ基板の下面全体を洗浄することが可能であるとともに清浄度を高く維持することが可能な基板洗浄装置およびそれを備える基板処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)第1の発明に係る基板洗浄装置は、基板を回転させることなく第1の高さ位置で基板の外周端部を保持する第1の基板保持部と、第1の高さ位置よりも下方の第2の高さ位置で基板の下面中央部を吸着保持しつつ上下方向の軸の周りで回転させる第2の基板保持部と、第1の高さ位置と第2の高さ位置との間で基板を移動させる基板移動部と、基板の下面に接触して基板の下面を洗浄する洗浄具と、洗浄具を昇降させることにより、洗浄具が第1の基板保持部により保持された基板の下面に接触する第1の状態と、洗浄具が第2の基板保持部により保持された基板の下面に接触する第2の状態とに洗浄具を移行させる洗浄具昇降部と、第1または第2の基板保持部により保持される基板の下方の位置で、洗浄具を基板に対して水平方向に移動させる洗浄具移動部と、基板の下面に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、平面視で第2の基板保持部を取り囲むように設けられ、第2の基板保持部により吸着保持されつつ回転される基板に洗浄液供給部から洗浄液が供給される場合に基板から飛散する洗浄液を受け止める処理カップとを備え、第1の高さ位置は、処理カップの上端部よりも高く、第2の高さ位置は、基板が第2の基板保持部により保持された状態で洗浄具により洗浄されているときに、処理カップの上端部よりも低い。
【0009】
その基板洗浄装置においては、基板移動部により、基板が第1の高さ位置と第2の高さ位置との間で移動する。基板が第1の高さ位置にある状態で、第1の基板保持部により基板の外周端部が保持される。洗浄具昇降部が洗浄具を昇降させることにより、洗浄具が第1の状態に移行する。基板の下面に洗浄液が供給される。
【0010】
ここで、第1の高さ位置は、処理カップの上端部よりも高い。このような場合でも、基板が第1の基板保持部により保持される状態では、基板が回転しないので、基板に供給される洗浄液は基板の外方に飛散しにくい。それにより、第1の基板保持部と処理カップとの干渉を防止しつつ、第1の基板保持部により保持された基板の下面中央部を洗浄液の飛散を低減しつつ洗浄具で洗浄することができる。
【0011】
一方、基板が第2の高さ位置にある状態で、第2の基板保持部により基板の下面中央部が吸着保持され、基板が回転する。第2の基板保持部により保持される基板の中心は、第1の高さ位置で第1の基板保持部により保持されるときの基板の下方に位置する。洗浄具昇降部が洗浄具を昇降させることにより、洗浄具が第2の状態に移行する。基板の下面に洗浄液が供給される。
【0012】
ここで、処理カップの上端部よりも第2の高さ位置が低いので、基板が第2の高さ位置で第2の基板保持部により保持されつつ回転する状態で、基板に供給されて基板から飛散する洗浄液が処理カップにより受け止められる。それにより、基板から飛散する洗浄液に起因する基板洗浄装置の清浄度の低下を抑制しつつ、第2の基板保持部により吸着保持された基板の下面外側領域を洗浄具で洗浄することができる。
【0013】
上記のように、本発明に係る基板洗浄装置によれば、基板の下面中央部と下面外側領域とをそれぞれ洗浄するために、基板の水平方向への移動を要しない。また、基板の下面中央部および下面外側領域の洗浄時に、基板の下面に供給される洗浄液が基板の外方に飛散することが低減される。これらの結果、フットプリントの増加を低減しつつ基板の下面全体を洗浄することが可能であるとともに清浄度を高く維持することが可能な基板洗浄装置が実現される。
【0014】
(2)基板洗浄装置は、第1の基板保持部、第2の基板保持部、基板移動部、洗浄具昇降部、洗浄具移動部および洗浄液供給部を制御する制御部をさらに備え、制御部は、基板の下面中央部の洗浄時に、第1の基板保持部により保持される基板の下面中央部が洗浄具により洗浄されるように、第1の基板保持部、洗浄具昇降部および洗浄液供給部を制御し、基板の下面中央部を取り囲む下面外側領域の洗浄時に、第2の基板保持部により保持される基板の下面に洗浄液が供給されつつ下面外側領域が洗浄具により洗浄されるように、第2の基板保持部、洗浄具昇降部、洗浄具移動部および洗浄液供給部を制御し、第1の基板保持部と第2の基板保持部との間で基板が移動されるように、第1の基板保持部、第2の基板保持部および基板移動部を制御してもよい。
【0015】
この場合、第1の基板保持部により保持された基板の下面中央部が洗浄具により洗浄される。また、第2の基板保持部により保持された基板の下面外側領域が洗浄具により洗浄される。第1の基板保持部と第2の基板保持部との間では、基板移動部により基板が移動される。これにより、基板の下面全体が円滑に洗浄される。
【0016】
(3)洗浄具移動部は、第1の基板保持部により保持される基板の下面に洗浄具が接触する状態および第2の基板保持部により保持される基板の下面に洗浄具が接触する状態のうち少なくとも一方の状態で、洗浄具を基板に対して水平方向に移動させてもよい。
【0017】
この構成によれば、第1の基板保持部により保持される基板の下面に洗浄具が接触する状態、および第2の基板保持部により保持される基板の下面に洗浄具が接触する状態のうち少なくとも一方の状態で、基板の下面における洗浄可能な領域が拡大される。
【0018】
(4)基板洗浄装置は、第1の基板保持部に保持された基板の下面に気体を供給することが可能であるとともに、第2の基板保持部に保持された基板の下面に気体を供給することが可能に構成された気体供給部をさらに備えてもよい。
【0019】
この場合、第1の基板保持部により保持された基板の下面の洗浄後および第2の基板保持部により保持された基板の下面の洗浄後に、気体供給部から基板に供給される気体により基板の下面が乾燥する。
【0020】
(5)基板洗浄装置は、洗浄具を上下方向の軸の周りで回転させる洗浄具回転駆動部をさらに備えてもよい。
【0021】
この場合、基板の下面に接触する状態で洗浄具が回転することにより、その洗浄具を水平方向に移動させることなく、基板の下面に付着する汚染物質を物理的に除去することができる。
【0022】
(6)基板の下面に接触する洗浄具の接触部分の面積は、基板の下面中央部を吸着保持する第2の基板保持部の吸着部分の面積よりも大きくてもよい。
【0023】
この場合、基板が第1の基板保持部により保持される状態で、基板の下面のうち第2の基板保持部が吸着保持する部分をカバーするように洗浄具を基板の下面に接触させることができる。それにより、洗浄具を水平方向に移動させることなく、第2の基板保持部により吸着保持される基板の部分を洗浄することができる。
【0024】
(7)基板洗浄装置は、処理カップの上端部が第2の高さ位置よりも高い上カップ位置と、処理カップの上端部が第2の高さ位置よりも低い下カップ位置との間で処理カップを昇降させる処理カップ駆動部をさらに備え、処理カップ駆動部は、基板が第2の基板保持部により保持された状態で洗浄具により洗浄されているときに処理カップを上カップ位置に保持し、第2の基板保持部により保持された基板の洗浄前または洗浄後に処理カップを下カップ位置に保持してもよい。
【0025】
この場合、第2の基板保持部により保持された基板の洗浄時に処理カップが上カップ位置に保持される。それにより、基板から飛散する洗浄液が処理カップにより受け止められる。一方、第2の基板保持部により保持された基板の洗浄前又は洗浄後に、処理カップが下カップ位置に保持される。それにより、第2の基板保持部に対して水平方向のアクセスが可能になる。したがって、基板洗浄装置の外部から第2の基板保持部に対する基板の受け渡しが可能になる。
【0026】
(8)第2の発明に係る基板処理装置は、上記の基板洗浄装置と、基板を保持可能に構成された第1の搬送保持部と第1の搬送保持部よりも下方で基板を保持可能に構成された第2の搬送保持部とを含む基板搬送部とを備え、第1の搬送保持部は、基板洗浄装置の第1の基板保持部に対して基板の受け渡しを行い、第2の搬送保持部は、基板洗浄装置の第2の基板保持部に対して基板の受け渡しを行う。
【0027】
この場合、互いに対応する第1の搬送保持部と第1の基板保持部との間で、基板の受け渡し(以下、第1の受け渡しと呼ぶ。)が行われる。このとき、第1の搬送保持部は、第1の高さ位置に移動する必要がある。
【0028】
また、互いに対応する第2の搬送保持部と第2の基板保持部との間で、基板の受け渡し(以下、第2の受け渡しと呼ぶ。)が行われる。このとき、第2の搬送保持部は、第2の高さ位置に移動する必要がある。
【0029】
上記のように、第1および第2の搬送保持部は、第1および第2の基板保持部にそれぞれ対応し、間隔をおいて上下に並ぶように配置されている。そのため、第1の受け渡しと第2の受け渡しとが互いに異なる高さ位置で行われる場合には、各搬送保持部の上下方向の移動に要する時間が短縮される。したがって、基板処理装置における基板処理のスループットが向上する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、フットプリントの増加を低減しつつ基板の下面全体を洗浄することが可能であるとともに清浄度を高く維持することが可能な基板洗浄装置およびそれを備える基板処理装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。
図2図1の基板洗浄装置の内部構成を示す外観斜視図である。
図3】本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図4図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図5図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図6図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図7図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図8図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図9図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図10図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図11図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図12図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図13図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図14図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図15図1の基板洗浄装置の動作の一例を説明するための模式図である。
図16図1の基板洗浄装置を備える基板処理装置の一例を示す模式的平面図である。
図17図16のメインロボットによる基板洗浄装置に対する基板の搬入および搬出の具体例を説明するための図である。
図18】気体噴出部の他の構成例を説明するための図である。
図19】気体噴出部のさらに他の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態に係る基板洗浄装置およびそれを備える基板処理装置について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板(ウエハ)、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態では、基板の上面が回路形成面(表面)であり、基板の下面が回路形成面と反対側の面(裏面)である。また、本実施の形態では、基板は、ノッチを除いて円形状を有する。
【0033】
[1]基板洗浄装置の構成
図1は本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図であり、図2図1の基板洗浄装置1の内部構成を示す外観斜視図である。本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。図1および図2以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0034】
図1に示すように、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90を備える。これらの構成要素は、ユニット筐体2内に設けられる。図2では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0035】
ユニット筐体2は、矩形の底面部2aと、底面部2aの4辺から上方に延びる4つの側壁部2b,2c,2d,2eとを有する。側壁部2b,2cが互いに対向し、側壁部2d,2eが互いに対向する。側壁部2bの中央部には、矩形の開口が形成されている。この開口は、基板Wの搬入搬出口2xであり、ユニット筐体2に対する基板Wの搬入時および搬出時に用いられる。図2では、搬入搬出口2xが太い点線で示される。以下の説明においては、Y方向のうちユニット筐体2の内部から搬入搬出口2xを通してユニット筐体2の外方に向く方向(側壁部2cから側壁部2bを向く方向)を前方と呼び、その逆の方向(側壁部2bから側壁部2cを向く方向)を後方と呼ぶ。
【0036】
側壁部2bにおける搬入搬出口2xの形成部分およびその近傍の領域には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、搬入搬出口2xを開閉可能に構成されたシャッタ91と、シャッタ91を駆動するシャッタ駆動部92とを含む。図2では、シャッタ91が太い二点鎖線で示される。シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入時および搬出時に搬入搬出口2xを開放するようにシャッタ91を駆動する。また、シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1における基板Wの洗浄処理時に搬入搬出口2xを閉塞するようにシャッタ91を駆動する。
【0037】
底面部2aの中央部には、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31、可動台座32および台座駆動部33を含む。リニアガイド31は、2本のレールを含み、平面視で側壁部2bの近傍から側壁部2cの近傍までY方向に延びるように設けられている。可動台座32は、リニアガイド31の2本のレール上でY方向に移動可能に設けられている。台座駆動部33は、例えばパルスモータを含み、リニアガイド31上で可動台座32をY方向に移動させる。
【0038】
可動台座32上には、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、吸着保持部21および吸着保持駆動部22を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形の吸着面を有し、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。図1では、下側保持装置20により吸着保持された基板Wの外形が二点鎖線で示される。以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着すべき領域を下面中央部と呼ぶ。一方、基板Wの下面のうち下面中央部を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0039】
吸着保持駆動部22は、モータを含む。吸着保持駆動部22のモータは、回転軸が上方に向かって突出するように可動台座32上に設けられている。吸着保持部21は、吸着保持駆動部22の回転軸の上端部に取り付けられる。また、吸着保持駆動部22の回転軸には、吸着保持部21において基板Wを吸着保持するための吸引経路が形成されている。その吸引経路は、図示しない吸気装置に接続されている。吸着保持駆動部22は、吸着保持部21を上記の回転軸の周りで回転させる。
【0040】
可動台座32上には、下側保持装置20の近傍にさらに受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、複数(本例では3本)の支持ピン41、ピン連結部材42およびピン昇降駆動部43を含む。ピン連結部材42は、平面視で吸着保持部21を取り囲むように形成され、複数の支持ピン41を連結する。複数の支持ピン41は、ピン連結部材42により互いに連結された状態で、ピン連結部材42から一定長さ上方に延びる。ピン昇降駆動部43は、可動台座32上でピン連結部材42を昇降させる。これにより、複数の支持ピン41が吸着保持部21に対して相対的に昇降する。
【0041】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの液ノズル52、気体噴出部53、昇降支持部54、移動支持部55、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55bおよび下面ブラシ移動駆動部55cを含む。移動支持部55は、可動台座32上の一定領域内で下側保持装置20に対してY方向に移動可能に設けられている。図2に示すように、移動支持部55上に、昇降支持部54が昇降可能に設けられている。昇降支持部54は、吸着保持部21から遠ざかる方向(本例では後方)において斜め下方に傾斜する上面54uを有する。
【0042】
図1に示すように、下面ブラシ51は、例えばPVA(ポリビニールアルコール)スポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成され、基板Wの下面に接触可能な円形の洗浄面を有する。また、下面ブラシ51は、洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。下面ブラシ51の洗浄面の面積は、吸着保持部21の吸着面の面積よりも大きい。
【0043】
2つの液ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。液ノズル52には、下面洗浄液供給部56(図3)が接続されている。下面洗浄液供給部56は、液ノズル52に洗浄液を供給する。液ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、下面洗浄液供給部56から供給される洗浄液を基板Wの下面に供給する。本実施の形態では、液ノズル52に供給される洗浄液として純水(脱イオン水)が用いられる。なお、液ノズル52に供給される洗浄液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、電解イオン水、SC1(アンモニアと過酸化水素水との混合溶液)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることもできる。
【0044】
気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ気体噴射口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。気体噴出部53には、噴出気体供給部57(図3)が接続されている。噴出気体供給部57は、気体噴出部53に気体を供給する。本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガスが用いられる。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給部57から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。この場合、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。気体噴出部53に供給される気体としては、窒素ガスに代えて、アルゴンガスまたはヘリウムガス等の不活性ガスを用いることもできる。
【0045】
下面ブラシ回転駆動部55aは、モータを含み、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に下面ブラシ51を回転させる。下面ブラシ昇降駆動部55bは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、移動支持部55に対して昇降支持部54を昇降させる。下面ブラシ移動駆動部55cは、モータを含み、可動台座32上で移動支持部55をY方向に移動させる。ここで、可動台座32における下側保持装置20の位置は固定されている。そのため、下面ブラシ移動駆動部55cによる移動支持部55のY方向の移動時には、移動支持部55が下側保持装置20に対して相対的に移動する。以下の説明では、可動台座32上で下側保持装置20に最も近づくときの下面洗浄装置50の位置を接近位置と呼び、可動台座32上で下側保持装置20から最も離れたときの下面洗浄装置50の位置を離間位置と呼ぶ。
【0046】
底面部2aの中央部には、さらにカップ装置60が設けられている。カップ装置60は、処理カップ61およびカップ駆動部62を含む。処理カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。図2においては、処理カップ61が点線で示される。カップ駆動部62は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じて処理カップ61を下カップ位置と上カップ位置との間で移動させる。下カップ位置は処理カップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方に位置する高さ位置である。また、上カップ位置は処理カップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方に位置する高さ位置である。
【0047】
処理カップ61よりも上方の高さ位置には、平面視で台座装置30を挟んで対向するように一対の上側保持装置10A,10Bが設けられている。上側保持装置10Aは、下チャック11A、上チャック12A、下チャック駆動部13Aおよび上チャック駆動部14Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11B、上チャック12B、下チャック駆動部13Bおよび上チャック駆動部14Bを含む。
【0048】
下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、基板Wの下面周縁部を基板Wの下方から支持可能な2本の支持片を有する。下チャック駆動部13A,13Bは、下チャック11A,11Bが互いに近づくように、または下チャック11A,11Bが互いに遠ざかるように、下チャック11A,11Bを移動させる。
【0049】
上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、基板Wの外周端部の2つの部分に当接して基板Wの外周端部を保持可能に構成された2本の保持片を有する。上チャック駆動部14A,14Bは、上チャック12A,12Bが互いに近づくように、または上チャック12A,12Bが互いに遠ざかるように、上チャック12A,12Bを移動させる。
【0050】
図1に示すように、処理カップ61の一側方においては、平面視で上側保持装置10Bの近傍に位置するように、上面洗浄装置70が設けられている。上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72、スプレーノズル73および上面洗浄駆動部74を含む。
【0051】
回転支持軸71は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に上面洗浄駆動部74により支持される。アーム72は、図2に示すように、上側保持装置10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0052】
スプレーノズル73には、上面洗浄流体供給部75(図3)が接続される。上面洗浄流体供給部75は、スプレーノズル73に洗浄液および気体を供給する。本実施の形態では、スプレーノズル73に供給される洗浄液として純水が用いられ、スプレーノズル73に供給される気体として窒素ガスが用いられる。スプレーノズル73は、基板Wの上面の洗浄時に、上面洗浄流体供給部75から供給される洗浄液と気体とを混合して混合流体を生成し、生成された混合流体を下方に噴射する。
【0053】
なお、スプレーノズル73に供給される洗浄液としては、純水に代えて、炭酸水、オゾン水、水素水、電解イオン水、SC1(アンモニアと過酸化水素水との混合溶液)またはTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)等を用いることもできる。また、スプレーノズル73に供給される気体としては、窒素ガスに代えてアルゴンガスまたはヘリウムガス等の不活性ガスを用いることもできる。
【0054】
上面洗浄駆動部74は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸71を昇降させるとともに、回転支持軸71を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの上面上で、スプレーノズル73を円弧状に移動させることにより、基板Wの上面全体を洗浄することができる。
【0055】
図1に示すように、処理カップ61の他側方においては、平面視で上側保持装置10Aの近傍に位置するように、端部洗浄装置80が設けられている。端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82、ベベルブラシ83およびベベルブラシ駆動部84を含む。
【0056】
回転支持軸81は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能にベベルブラシ駆動部84により支持される。アーム82は、図2に示すように、上側保持装置10Aよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0057】
ベベルブラシ83は、例えばPVAスポンジまたは砥粒が分散されたPVAスポンジにより形成され、上半部が逆円錐台形状を有するとともに下半部が円錐台形状を有する。このベベルブラシ83によれば、外周面の上下方向における中央部分で基板Wの外周端部を洗浄することができる。
【0058】
ベベルブラシ駆動部84は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸81を昇降させるとともに、回転支持軸81を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの外周端部にベベルブラシ83の外周面の中央部分を接触させることにより、基板Wの外周端部全体を洗浄することができる。
【0059】
ここで、ベベルブラシ駆動部84は、さらにアーム82に内蔵されるモータを含む。そのモータは、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83を上下方向の軸の周りで回転させる。したがって、基板Wの外周端部の洗浄時に、ベベルブラシ83が回転することにより、基板Wの外周端部におけるベベルブラシ83の洗浄力が向上する。
【0060】
図3は本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置1の制御系統の構成を示すブロック図である。図3の制御部9は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、システムプログラムを記憶する。記憶装置は、制御プログラムを記憶する。CPUが記憶装置に記憶された基板洗浄プログラムをRAM上で実行することにより基板洗浄装置1の各部の動作が制御される。
【0061】
図3に示すように、制御部9は、主として、基板洗浄装置1に搬入される基板Wを受け取り、吸着保持部21の上方の位置で保持するために、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御する。また、制御部9は、主として、吸着保持部21により基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転させるために、吸着保持駆動部22を制御する。
【0062】
また、制御部9は、主として、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wに対して可動台座32を移動させるために、台座駆動部33を制御する。また、制御部9は、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置と、吸着保持部21により保持される基板Wの高さ位置との間で基板Wを移動させるために、ピン昇降駆動部43を制御する。
【0063】
また、制御部9は、基板Wの下面を洗浄するために、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55c、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部57を制御する。また、制御部9は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの洗浄時に基板Wから飛散する洗浄液を処理カップ61で受け止めるために、カップ駆動部62を制御する。
【0064】
また、制御部9は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面を洗浄するために、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御する。また、制御部9は、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの外周端部を洗浄するために、ベベルブラシ駆動部84を制御する。さらに、制御部9は、基板洗浄装置1における基板Wの搬入時および搬出時にユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するために、シャッタ駆動部92を制御する。
【0065】
[2]基板洗浄装置1の動作
図4図15は、図1の基板洗浄装置1の動作の一例を説明するための模式図である。図4図15の各々においては、上段に基板洗浄装置1の平面図が示される。また、中段にY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示され、下段にX方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示される。中段の側面図は図1のA-A線側面図に対応し、下段の側面図は図1のB-B線側面図に対応する。なお、基板洗浄装置1における各構成要素の形状および動作状態の理解を容易にするために、上段の平面図と中段および下段の側面図との間では、一部の構成要素の拡縮率が異なる。また、図4図15では、処理カップ61が二点鎖線で示されるとともに、基板Wの外形が太い一点鎖線で示される。
【0066】
基板洗浄装置1に基板Wが搬入される前の初期状態においては、開閉装置90のシャッタ91が搬入搬出口2xを閉塞している。また、図1に示されるように、下チャック11A,11Bは、下チャック11A,11B間の距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、上チャック12A,12Bも、上チャック12A,12B間の距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、台座装置30の可動台座32は、平面視で吸着保持部21の中心が処理カップ61の中心に位置するように配置されている。また、可動台座32上で下面洗浄装置50は、接近位置に配置されている。また、下面洗浄装置50の昇降支持部54は、下面ブラシ51の洗浄面(上端部)が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。また、受渡装置40は、複数の支持ピン41が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。さらに、カップ装置60においては、処理カップ61は下カップ位置にある。以下の説明では、平面視における処理カップ61の中心位置を平面基準位置rpと呼ぶ。また、平面視で吸着保持部21の中心が平面基準位置rpにあるときの底面部2a上の可動台座32の位置を第1の水平位置と呼ぶ。
【0067】
基板洗浄装置1のユニット筐体2内に基板Wが搬入される。具体的には、基板Wの搬入の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、図4に太い実線の矢印a1で示すように、図示しない基板搬送ロボットのハンド(基板保持部)RHが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2内の略中央の位置に基板Wを搬入する。このとき、ハンドRHにより保持される基板Wは、図4に示すように、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間に位置する。
【0068】
次に、図5に太い実線の矢印a2で示すように、下チャック11A,11Bの複数の支持片が基板Wの下面周縁部の下方に位置するように、下チャック11A,11Bが互いに近づく。この状態で、ハンドRHが下降し、搬入搬出口2xから退出する。それにより、ハンドRHに保持された基板Wの下面周縁部の複数の部分が、下チャック11A,11Bの複数の支持片により支持される。ハンドRHの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0069】
次に、図6に太い実線の矢印a3で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部に当接するように、上チャック12A,12Bが互いに近づく。上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部の複数の部分に当接することにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが上チャック12A,12Bによりさらに保持される。このようにして、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの中心は、平面視で平面基準位置rpに重なるかほぼ重なる。このとき、図6の中段の側面図に示すように、上チャック12A,12Bにより保持される基板Wの高さ位置は、本発明の第1の高さ位置に相当する。また、図6に太い実線の矢印a4で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpから所定距離ずれるとともに下面ブラシ51の中心が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が第1の水平位置から前方に移動する。このとき、底面部2a上に位置する可動台座32の位置を第2の水平位置と呼ぶ。
【0070】
次に、図7に太い実線の矢印a5で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央部に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、図7に太い実線の矢印a6で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの下面中央部に付着する汚染物質が下面ブラシ51により物理的に剥離される。
【0071】
図7の下段には、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する部分の拡大側面図が吹き出し内に示される。その吹き出し内に示されるように、下面ブラシ51が基板Wに接触する状態で、液ノズル52および気体噴出部53は、基板Wの下面に近接する位置に保持される。このとき、液ノズル52は、白抜きの矢印a51で示すように、下面ブラシ51の近傍の位置で基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出する。これにより、液ノズル52から基板Wの下面に供給された洗浄液が下面ブラシ51と基板Wとの接触部に導かれることにより、下面ブラシ51により基板Wの裏面から除去された汚染物質が洗浄液により洗い流される。このように、下面洗浄装置50においては、液ノズル52が下面ブラシ51とともに昇降支持部54に取り付けられている。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄部分に効率よく洗浄液を供給することができる。したがって、洗浄液の消費量が低減されるとともに洗浄液の過剰な飛散が抑制される。
【0072】
なお、基板Wの下面を洗浄する際の下面ブラシ51の回転速度は、液ノズル52から基板Wの下面に供給される洗浄液が下面ブラシ51の側方に飛散しない程度の速度に維持される。
【0073】
ここで、昇降支持部54の上面54uは、吸着保持部21から遠ざかる方向において斜め下方に傾斜している。この場合、基板Wの下面から汚染物質を含む洗浄液が昇降支持部54上に落下する場合に、上面54uによって受け止められた洗浄液が吸着保持部21から遠ざかる方向に導かれる。
【0074】
また、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時には、気体噴出部53が、図7の吹き出し内に白抜きの矢印a52で示すように、下面ブラシ51と吸着保持部21との間の位置で基板Wの下面に向かって気体を噴射する。本実施の形態においては、気体噴出部53は、気体噴射口がX方向に延びるように昇降支持部54上に取り付けられている。この場合、気体噴出部53から基板Wの下面に気体が噴射される際には、下面ブラシ51と吸着保持部21との間でX方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。したがって、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着することが防止され、吸着保持部21の吸着面が清浄に保たれる。
【0075】
なお、図7の例においては、気体噴出部53は、白抜きの矢印a52で示すように、気体噴出部53から下面ブラシ51に向かって斜め上方に気体を噴射するが、本発明はこれに限定されない。気体噴出部53は、気体噴出部53から基板Wの下面に向かってZ方向に沿うように気体を噴射してもよい。
【0076】
次に、図7の状態で、基板Wの下面中央部の洗浄が完了すると、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離(0mmよりも大きく10mm以下、例えば5mm程度)離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出が停止される。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射は継続される。
【0077】
その後、図8に太い実線の矢印a7で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が後方に移動する。すなわち、可動台座32は、第2の水平位置から第1の水平位置に移動する。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が継続されることにより、基板Wの下面中央部が気体カーテンにより順次乾燥される。
【0078】
次に、図9に太い実線の矢印a8で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が吸着保持部21の吸着面(上端部)よりも下方に位置するように、昇降支持部54が下降する。また、図9に太い実線の矢印a9で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部から離間するように、上チャック12A,12Bが互いに遠ざかる。このとき、基板Wは、下チャック11A,11Bにより支持された状態となる。
【0079】
その後、図9に太い実線の矢印a10で示すように、複数の支持ピン41の上端部が下チャック11A,11Bよりもわずかに上方に位置するように、ピン連結部材42が上昇する。それにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが、複数の支持ピン41により受け取られる。
【0080】
次に、図10に太い実線の矢印a11で示すように、下チャック11A,11Bが互いに遠ざかる。このとき、下チャック11A,11Bは、平面視で複数の支持ピン41により支持される基板Wに重ならない位置まで移動する。それにより、上側保持装置10A,10Bは、ともに初期状態に戻る。
【0081】
次に、図11に太い実線の矢印a12で示すように、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりも下方に位置するように、ピン連結部材42が下降する。それにより、複数の支持ピン41上に支持された基板Wが、吸着保持部21により受け取られる。この状態で、吸着保持部21は、基板Wの下面中央部を吸着保持する。このようにして、下側保持装置20により吸着保持される基板Wの中心は、平面視で平面基準位置rpに重なるかほぼ重なる。このとき、図11の中段および下段の側面図に示すように、吸着保持部21により吸着保持される基板Wの高さ位置は、本発明の第2の高さ位置に相当する。ピン連結部材42の下降と同時かまたはピン連結部材42の下降完了後、図11に太い実線の矢印a13で示すように、処理カップ61が下カップ位置から上カップ位置まで上昇する。それにより、第2の高さ位置にある基板Wは、処理カップ61の上端部よりも下方に位置する。
【0082】
次に、図12に太い実線の矢印a14で示すように、吸着保持部21が上下方向の軸(吸着保持駆動部22の回転軸の軸心)の周りで回転する。それにより、吸着保持部21に吸着保持された基板Wが水平姿勢で回転する。
【0083】
次に、上面洗浄装置70の回転支持軸71が回転し、下降する。それにより、図12に太い実線の矢印a15で示すように、スプレーノズル73が基板Wの上方の位置まで移動し、スプレーノズル73と基板Wとの間の距離が予め定められた距離となるように下降する。この状態で、スプレーノズル73は、基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体を噴射する。また、回転支持軸71が回転する。それにより、図12に太い実線の矢印a16で示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方の位置で移動する。基板Wの上面全体に混合流体が噴射されることにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0084】
また、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、端部洗浄装置80の回転支持軸81も回転し、下降する。それにより、図12に太い実線の矢印a17で示すように、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部の上方の位置まで移動する。また、ベベルブラシ83の外周面の中央部分が基板Wの外周端部に接触するように下降する。この状態で、ベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの外周端部に付着する汚染物質がベベルブラシ83により物理的に剥離される。基板Wの外周端部から剥離された汚染物質は、スプレーノズル73から基板Wに噴射される混合流体の洗浄液により洗い流される。
【0085】
さらに、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、図12に太い実線の矢印a18で示すように、下面ブラシ51が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。さらに、液ノズル52は基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出し、気体噴出部53は基板Wの下面に向かって気体を噴射する。この状態で、さらに図12に太い実線の矢印a19で示すように、移動支持部55が可動台座32上で接近位置と離間位置との間を進退動作する。このように、移動支持部55により下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する状態で水平方向に移動することにより、基板Wの下面における下面ブラシ51による洗浄可能な範囲が拡大される。それにより、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域が全体に渡って下面ブラシ51により洗浄される。
【0086】
次に、基板Wの上面、外周端部および下面外側領域の洗浄が完了すると、スプレーノズル73から基板Wへの混合流体の噴射が停止される。また、図13に太い実線の矢印a20で示すように、スプレーノズル73が処理カップ61の一側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。また、図13に太い実線の矢印a21で示すように、ベベルブラシ83が処理カップ61の他側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。さらに、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出、および気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が停止される。この状態で、吸着保持部21が高速で回転することにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wの全体が乾燥する。
【0087】
次に、図14に太い実線の矢印a22で示すように、処理カップ61が上カップ位置から下カップ位置まで下降する。それにより、第2の高さ位置にある基板Wは、処理カップ61の上端部よりも上方に位置する。また、新たな基板Wがユニット筐体2内に搬入されることに備えて、図14に太い実線の矢印a23で示すように、新たな基板Wを支持可能な位置まで下チャック11A,11Bが互いに近づく。
【0088】
最後に、基板洗浄装置1のユニット筐体2内から基板Wが搬出される。具体的には、基板Wの搬出の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、図15に太い実線の矢印a24で示すように、図示しない基板搬送ロボットのハンド(基板保持部)RHが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2内に進入する。続いて、ハンドRHは、吸着保持部21上の基板Wを受け取り、搬入搬出口2xから退出する。ハンドRHの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0089】
[3]基板洗浄装置1の効果
(1)本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持された状態で、昇降支持部54が下面ブラシ51を昇降させることにより、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する。この状態で、下面ブラシ51が回転し、基板Wの下面に洗浄液が供給される。
【0090】
ここで、上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wの高さ位置は、処理カップ61の上端部よりも高い。このような場合でも、基板Wが上側保持装置10A,10Bにより保持される状態では、基板Wが回転しないので、基板Wに供給される洗浄液は基板Wの外方に飛散しにくい。それにより、上側保持装置10A,10Bと処理カップ61との干渉を防止しつつ、基板Wの下面中央部を洗浄液の飛散を低減しつつ下面ブラシ51で洗浄することができる。
【0091】
一方、基板Wが吸着保持部21により吸着保持された状態で、昇降支持部54が下面ブラシ51を昇降させることにより、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する。この状態で、吸着保持部21とともにさらに基板Wが回転し、基板Wの下面に洗浄液が供給される。
【0092】
ここで、下面ブラシ51による基板Wの下面中央部の洗浄時に吸着保持部21により吸着保持された基板Wの高さ位置は、処理カップ61の上端部よりも低い。そのため、吸着保持部21により回転する基板Wの下面に供給されて、基板Wの外方に飛散する洗浄液は処理カップ61により受け止められる。したがって、飛散する洗浄液に起因する清浄度の低下を抑制しつつ、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの下面外側領域を下面ブラシ51で洗浄することができる。
【0093】
上側保持装置10A,10Bと吸着保持部21との間では、受渡装置40が基板WをZ方向に沿って昇降させることにより基板Wの受け渡しが行われる。それにより、上側保持装置10A,10Bにより保持される状態にあるときの基板Wと、下側保持装置20により保持される状態にあるときの基板Wとは、平面視で大部分が重なる。このように、基板洗浄装置1においては、基板Wの下面中央部と下面外側領域とをそれぞれ洗浄するために、基板Wの水平方向への移動を要しない。また、基板Wの下面中央部および下面外側領域の洗浄時に、基板Wの下面に供給される洗浄液が基板Wの外方に飛散することが低減される。これらの結果、フットプリントの増加を低減しつつ基板Wの下面全体を洗浄することが可能であるとともに清浄度を高く維持することが可能になる。
【0094】
(2)上記のように、本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、下面ブラシ51の洗浄面の面積が吸着保持部21の吸着面の面積よりも大きい。
【0095】
この場合、可動台座32が第1の水平位置にある状態で、基板Wの下面のうち吸着保持部21が吸着保持する部分をカバーするように下面ブラシ51を基板Wの下面に接触させることができる。それにより、下面ブラシ51を水平方向に移動させることなく、吸着保持部21により吸着保持される基板Wの部分を洗浄することができる。
【0096】
(3)本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、可動台座32上で移動支持部55が下側保持装置20に対して相対的に移動する。それにより、基板Wの下面に接触する下面ブラシ51の接触面積が基板Wの下面外側領域に比べて小さい場合でも、移動支持部55を可動台座32上で水平方向に移動させることにより、広い範囲に渡って基板Wの下面を洗浄することができる。
【0097】
[4]基板洗浄装置1を備える基板処理装置
図16は、図1の基板洗浄装置1を備える基板処理装置の一例を示す模式的平面図である。図16に示すように、本実施の形態に係る基板処理装置100は、インデクサブロック110および処理ブロック120を有する。インデクサブロック110および処理ブロック120は、互いに隣り合うように設けられている。
【0098】
インデクサブロック110は、複数(本例では4つ)のキャリア載置台140および搬送部150を含む。複数のキャリア載置台140は、搬送部150に接続されている。各キャリア載置台140上には、複数枚の基板Wを多段に収納するキャリアCが載置される。搬送部150には、インデクサロボットIRおよび制御部111が設けられている。インデクサロボットIRは、搬送部150内で移動可能に構成されるとともに、鉛直軸の周りで回転可能かつ昇降可能に構成されている。インデクサロボットIRは、基板Wを受け渡すための複数のハンドを有する。複数のハンドは、2つであってもよいし、4つであってもよく、間隔をおいて上下方向に並ぶように支持される。これにより、インデクサロボットIRは、複数のハンドを用いて複数の基板Wを同時に搬送することができる。制御部111は、CPU、ROMおよびRAMを含むコンピュータ等からなり、基板処理装置100内の各構成部を制御する。
【0099】
処理ブロック120は、洗浄部161,162および搬送部163を含む。洗浄部161、搬送部163および洗浄部162は、搬送部150に隣り合うとともにこの順で並ぶように配置されている。洗浄部161,162においては、複数(例えば3つ)の基板洗浄装置1が上下に積層配置されている。
【0100】
搬送部163には、メインロボットMRが設けられている。メインロボットMRは、鉛直軸の周りで回転可能かつ昇降可能に構成されている。メインロボットMRは、基板Wを受け渡すための複数のハンドを有する。このメインロボットMRのハンドは、上記のハンドRHに相当する。
【0101】
インデクサブロック110と処理ブロック120との間には、インデクサロボットIRとメインロボットMRとの間で基板Wの受け渡しを行うための複数(例えば、20程度)の基板載置部PASSが上下に積層配置されている。
【0102】
その基板処理装置100においては、インデクサロボットIRは、複数のキャリア載置台140上に載置された複数のキャリアCのいずれかのキャリアCから未処理の基板Wを取り出す。また、インデクサロボットIRは、取り出した未処理の基板Wを複数の基板載置部PASSのいずれかの基板載置部PASSに載置する。さらに、インデクサロボットIRは、複数の基板載置部PASSのいずれかに載置されている処理済みの基板Wを受け取り、空のキャリアC内に収容する。
【0103】
また、メインロボットMRは、複数の基板載置部PASSのいずれかに載置されている未処理の基板Wを受け取り、洗浄部161,162の複数の基板洗浄装置1のうちいずれかに搬入する。さらに、メインロボットMRは、複数の基板洗浄装置1のいずれかにおいて洗浄処理が終了すると、処理済みの基板Wを当該基板洗浄装置1から搬出し、複数の基板載置部PASSのいずれかに載置する。
【0104】
上記のように、図16の基板処理装置100は、図1の基板洗浄装置1を複数有する。それにより、基板Wを反転させることなく基板Wの上面および下面を一の基板洗浄装置1内で洗浄することができる。したがって、基板Wの洗浄処理のスループットが向上する。また、複数の基板洗浄装置1が設けられることにより、フットプリントの増加が十分に低減される。
【0105】
上記のように、本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置と、下側保持装置20により保持される基板Wの高さ位置とが異なる。そこで、図16のメインロボットMRは、上側保持装置10A,10Bに対応する一のハンド(以下、上ハンドと呼ぶ。)と、下側保持装置20に対応する他のハンド(以下、下ハンドと呼ぶ。)とを備える。
【0106】
図17は、図16のメインロボットMRによる基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入および搬出の具体例を説明するための図である。図17では、基板洗浄装置1に対する基板W1,W2の搬入および搬出動作が、複数の側面図により時系列で示される。各側面図においては、基板洗浄装置1の上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20と、メインロボットMRの上ハンドRH1および下ハンドRH2とが模式的に示される。メインロボットMRにおいては、上ハンドRH1および下ハンドRH2は、搬送移動部RMにより移動される。搬送移動部RMは、上ハンドRH1および下ハンドRH2を移動させるための駆動源として、モータおよびシリンダ等を含む。
【0107】
最上段の側面図に示すように、初期状態では、下側保持装置20に洗浄処理済みの基板W1が保持されているものとする。また、メインロボットMRの上ハンドRH1に未処理の基板W2が保持されているものとする。さらに、初期状態では、下ハンドRH2が下側保持装置20の上端部よりもわずかに下方の位置で下側保持装置20に対向するように配置される。また、上ハンドRH1が上側保持装置10A,10Bの上端部よりもわずかに下方の位置で上側保持装置10A,10Bに対向するように配置される。
【0108】
ここで、上側保持装置10A,10Bにおいて基板が保持される部分の高さ位置と、下側保持装置20において基板が保持される部分の高さ位置との間の距離を、第1の距離D1と呼ぶ。また、上ハンドRH1により保持される基板の高さ位置と下ハンドRH2により保持される基板の高さ位置との間の距離を、第2の距離D2と呼ぶ。第1の距離D1および第2の距離D2はそれぞれ固定値である。
【0109】
まず、下側保持装置20に保持された基板W1が搬出される。この場合、図17の2段目に示すように、最初に下ハンドRH2が下側保持装置20により保持される基板W1の下方の位置まで前進する。
【0110】
次に、図17の3段目に示すように、下ハンドRH2が上昇し、下側保持装置20に保持されている基板W1を受け取る。また、基板W1を受け取った下ハンドRH2が基板洗浄装置1から後退し、図17の4段目に示すように、基板W1を基板洗浄装置1から搬出する。さらに、上ハンドRH1が上側保持装置10A,10Bよりもわずかに上方の位置まで上昇する。
【0111】
次に、図17の5段目に示すように、基板W2が上側保持装置10A,10Bの上方に位置するように、上ハンドRH1が前進する。また、上ハンドRH1が下降し、図17の6段目に示すように、上ハンドRH1に保持されている基板W2が上側保持装置10A,10Bに渡される。その後、基板W2が上側保持装置10A,10Bにより保持され、上ハンドRH1が基板洗浄装置1から後退し、図17の7段目に示すように、基板洗浄装置1から退出する。
【0112】
図17の基板処理装置100においては、互いに対応する上ハンドRH1と上側保持装置10A,10Bとの間で基板W1の受け渡しが行われる。この場合、上ハンドRH1は、上側保持装置10A,10Bとほぼ同じ高さ位置にある必要がある。また、互いに対応する下ハンドRH2と下側保持装置20との間で基板W2の受け渡しが行われる。この場合、下ハンドRH2は、下側保持装置20とほぼ同じ高さ位置にある必要がある。
【0113】
上記のように、上ハンドRH1および下ハンドRH2は、第2の距離D2離間して上下に並ぶように配置されている。そのため、処理済みの基板W1の受け渡しと未処理の基板W2の受け渡しとが互いに異なる高さ位置で行われる場合には、上ハンドRH1および下ハンドRH2の上下方向の移動に要する距離が短縮される。具体的には、上ハンドRH1および下ハンドRH2の上下方向の移動距離が第1の距離D1と第2の距離D2との差分程度に短縮される。それにより、基板洗浄装置1に対する基板W1の搬出および基板W2の搬入に要する時間が短縮される。したがって、基板処理装置100における基板処理のスループットが向上する。
【0114】
[5]他の実施の形態
(1)上記実施の形態に係る気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルであり、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に配置されるが、本発明はこれに限定されない。気体噴出部53は、以下の構成を有してもよい。
【0115】
図18は気体噴出部53の他の構成例を説明するための図であり、図19は気体噴出部53のさらに他の構成例を説明するための図である。図18および図19では、気体噴出部53がその周辺部材とともに平面図で示される。
【0116】
図18の気体噴出部53は、下面ブラシ51と吸着保持部21との間で、下面ブラシ51の外周端部に沿って円弧状に延びるように形成されている。この場合、下面ブラシ51の外形に沿うように気体カーテンを形成することができるので、下面ブラシ51から吸着保持部21への汚染物質の飛散をより適切に防止することができる。
【0117】
また、図19の気体噴出部53は、図18の気体噴出部53の中央部分が分断された構成を有する。このような構成においても、下面ブラシ51と吸着保持部21との間の少なくとも一部の領域に気体カーテンを形成することができる。それにより、下面ブラシ51から吸着保持部21への汚染物質の飛散を低減することができる。なお、図19の構成によれば、下面ブラシ51と吸着保持部21とが最も近接する領域に気体噴出部53が存在しない。したがって、下面ブラシ51と吸着保持部21との干渉を抑制しつつ吸着保持部21と下面ブラシ51との間の距離を短くすることができる。
【0118】
(2)上記実施の形態に係る下面洗浄装置50においては、2つの液ノズル52が昇降支持部54の上面54u上で下面ブラシ51の中心よりも前方の位置に設けられる。これに限らず、2つの液ノズル52は、下面ブラシ51の中心よりも後方の位置に設けられてもよい。また、下面洗浄装置50に設けられる液ノズル52の数は、2つに限定されず、1つであってもよいし、3以上であってもよい。
【0119】
さらに、上記実施の形態に係る液ノズル52は、上方を向くように昇降支持部54の上面54u上に取り付けられるが、下面ブラシ51に向かって斜め上方を向くように取り付けられてもよい。
【0120】
(3)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、基板Wの上面がスプレーノズル73から噴射される混合流体により洗浄されるが、本発明はこれに限定されない。基板洗浄装置1は、基板Wの上面をブラシを用いて物理的に洗浄する構成を有してもよい。あるいは、基板洗浄装置1においては、ベベルブラシ83が基板Wの上面を洗浄してもよい。なお、ブラシによる基板Wの洗浄時には、基板Wの上面に洗浄液を供給する洗浄液供給部を設ける必要がある。
【0121】
(4)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、受渡装置40が上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間で基板Wの受け渡しを行うが、本発明はこれに限定されない。上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20のうち少なくとも一方が昇降可能に構成される場合には、受渡装置40は設けられなくてもよい。この場合、上側保持装置10A,10Bおよび下側保持装置20のうち少なくとも一方が昇降することにより、上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間で基板Wの移動を行うことができる。
【0122】
(5)上記実施の形態に係る下面洗浄装置50においては、昇降支持部54の上面54uが水平面に対して傾斜するが、上面54uは水平に構成されてもよい。
【0123】
(6)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、基板Wの下面は、下面中央部および下面外側領域の順で洗浄されるが、本発明はこれに限定されない。
【0124】
基板洗浄装置1においては、基板Wの下面は、下面外側領域および下面中央部の順で洗浄されてもよい。この場合、例えば基板洗浄装置1に搬入される基板は、最初に下側保持装置20により吸着保持された状態で、その下面中央部、外周端部および上面が洗浄される。その後、下側保持装置20により保持された基板Wが上側保持装置10A,10Bにより受け取られ、保持される。この状態で、基板Wの下面中央部が洗浄される。洗浄後の基板Wは、上側保持装置10A,10Bからユニット筐体2の外部に搬出される。
【0125】
(7)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、基板Wの下面中央部の洗浄中に可動台座32および移動支持部55のY方向の移動が停止されているが、本発明はこれに限定されない。可動台座32および移動支持部55のうち少なくとも一方は、基板Wの下面中央部の洗浄中に、Y方向に移動してもよい。この場合、下面ブラシ51による基板Wの下面中央部の洗浄時に、基板Wの下面におけるより広い範囲を洗浄することができる。
【0126】
(8)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wの下面中央部の洗浄時に、処理カップ61は下カップ位置に配置されるが、本発明はこれに限定されない。処理カップ61が上カップ位置にある状態で処理カップ61と上側保持装置10A,10Bとが干渉しないのであれば、基板Wの下面中央部の洗浄時に処理カップ61が上カップ位置に配置されてもよい。
【0127】
(9)上記実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、上側保持装置10A,10Bにより保持された基板Wの下面中央部の洗浄時に、液ノズル52から基板Wの下面に洗浄液が供給されるが、本発明はこれに限定されない。基板Wの下面中央部の洗浄時に液ノズル52から基板Wの下面に洗浄液を供給する代わりに、基板Wの下面中央部の洗浄前に、一定量の洗浄液が含浸されるように液ノズル52から下面ブラシ51に洗浄液が供給されてもよい。この場合、基板Wの下面中央部の洗浄時に基板Wの下面に洗浄液を供給する必要がなくなる。したがって、基板Wの下面中央部の洗浄時に洗浄液が飛散することを防止することができる。
【0128】
[6]請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、上側保持装置10A,10Bが第1の基板保持部の例であり、下側保持装置20が第2の基板保持部の例であり、受渡装置40が基板移動部の例であり、下面ブラシ51が洗浄具の例であり、昇降支持部54が洗浄具昇降部の例である。
【0129】
また、台座装置30、移動支持部55および下面ブラシ移動駆動部55cが洗浄具移動部の例であり、液ノズル52が洗浄液供給部の例であり、処理カップ61が処理カップの例であり、基板洗浄装置1が基板洗浄装置の例である。
【0130】
また、制御部9が制御部の例であり、下面ブラシ回転駆動部55aが洗浄具回転駆動部の例であり、カップ駆動部62が処理カップ駆動部の例であり、メインロボットMRが基板搬送部の例であり、上ハンドRH1が第1の搬送保持部の例であり、下ハンドRH2が第2の搬送保持部の例であり、基板処理装置100が基板処理装置の例である。
【0131】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【符号の説明】
【0132】
1…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2a…底面部,2b,2c,2d,2e…側壁部,2x…搬入搬出口,9,111…制御部,10A,10B…上側保持装置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,13A,13B…下チャック駆動部,14A,14B…上チャック駆動部,20…下側保持装置,21…吸着保持部,22…吸着保持駆動部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,33…台座駆動部,40…受渡装置,41…支持ピン,42…ピン連結部材,43…ピン昇降駆動部,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,52…液ノズル,53…気体噴出部,54…昇降支持部,54u…上面,55…移動支持部,55a…下面ブラシ回転駆動部,55b…下面ブラシ昇降駆動部,55c…下面ブラシ移動駆動部,56…下面洗浄液供給部,57…噴出気体供給部,60…カップ装置,61…処理カップ,62…カップ駆動部,70…上面洗浄装置,71…回転支持軸,72…アーム,73…スプレーノズル,74…上面洗浄駆動部,75…上面洗浄流体供給部,80…端部洗浄装置,81…回転支持軸,82…アーム,83…ベベルブラシ,84…ベベルブラシ駆動部,90…開閉装置,91…シャッタ,92…シャッタ駆動部,100…基板処理装置,110…インデクサブロック,120…処理ブロック,140…キャリア載置台,150…搬送部,161,162…洗浄部,163…搬送部,C…キャリア,D1…第1の距離,D2…第2の距離,IR…インデクサロボット,MR…メインロボット,PASS…基板載置部,RH…ハンド,RH1…上ハンド,RH2…下ハンド,RM…搬送移動部,rp…平面基準位置,W,W1,W2…基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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