(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-27
(45)【発行日】2024-04-04
(54)【発明の名称】光ビームを投射するためのシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20240328BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240328BHJP
F21S 41/153 20180101ALI20240328BHJP
F21S 41/255 20180101ALI20240328BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20240328BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240328BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240328BHJP
F21Y 105/16 20160101ALN20240328BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240328BHJP
【FI】
G02B13/00
F21S41/143
F21S41/153
F21S41/255
F21S41/663
F21W102:13
F21Y115:10
F21Y105:16
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2022537531
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2020087552
(87)【国際公開番号】W WO2021123459
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ピエール、アルボー
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/148764(WO,A1)
【文献】特開2017-162760(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0323671(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0203897(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102012008833(DE,A1)
【文献】特開2019-194697(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225376(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 9/00 - 17/08
G02B 21/02 - 21/04
G02B 25/00 - 25/04
G02B 27/00 - 30/60
F21K 9/00 - 9/90
F21S 2/00 - 45/70
B60Q 1/00 - 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択的に活性化可能な複数の放射素子であって、各放射素子が高さ寸法及び幅寸法を有する矩形形状を有し、前記幅寸法が前記放射素子のすべてに関して同じである、複数の放射素子を具備するピクセル化された光源(1)と、光軸を有し且つ前記放射素子の各々の像(S)を投射するように構成される光学デバイスと、を備える照明システムであって、前記光学デバイスは、前記像(S)が前記光軸から離れるに従って非線形に増大する幅寸法を有するように、構成され
、
照明フィールドの全体の前記幅寸法に沿う軸に沿った前記像(S)の角度位置に対する、前記像(S)の前記幅寸法の関数の一次導関数は、前記光軸においてゼロに等しいことを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記光学デバイスは、前記像(S)が、像(S)の少なくとも1つの周辺グループに関して前記光軸から離れるほど非線形に増大する幅寸法を有するように、構成される請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記光学デバイスは、前記複数の放射素子からの光を受ける入力光学ユニット(2)と、前記入力光学ユニット(2)からの光を受け且つ前記放射素子の各々の前記像(S)を投射する出力光学ユニット(3)と、を備える、請求項1
又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記入力光学ユニット(2)は収束レンズを備え、当該収束レンズは、その出口面において、1.175未満の曲率半径/有用アパーチャ半径比を有する、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記収束レンズは、1.7より大きい屈折率を有する材料で作られる、請求項
4に記載のシステム。
【請求項6】
前記出力光学ユニット(3)は、収束性であり、逆の色特性を示す、請求項
3~
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記出力光学ユニット(3)
の焦点距離は、前記入力光学ユニット(2)の前記焦点距離より大きい、請求項
3~
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記出力光学ユニット(3)は、少なくとも2つのレンズを備える、請求項
3~
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記出力光学ユニット(3)は、回折光学素子を備える、請求項
3又は
7に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の放射素子は、矩形マトリックスアレイを形成し、前記矩形マトリックスアレイ
の長い寸法は、前記幅寸法に沿って方向づけられる、請求項1~
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記幅寸法は、地平線に沿って方向づけられる、請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記放射素子は、同一の高さ寸法を有する、請求項1~
11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
隣り合う放射素子のグループを非活性化することによって投射されるビームにおいて少なくとも1つの暗領域を生成するように構成される、前記放射素子の各々の活性化を駆動するための
駆動ユニットを備え、前記駆動ユニットは、前記暗領域に対応する隣り合う放射素子のグループの放射素子数を、前記放射素子の前記幅寸法に応じて決定するように構成される、請求項1~
12のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明及び/又は信号の分野と、それに寄与するユニット、特に光学ユニット、とに関する。それは特に動力車両の分野に有利に適用できる。
【発明の概要】
【0002】
先行技術
自動車部門において、一般的に法規制に対応した照明機能及び/又は信号機能とも呼ばれる光線を発することが可能なデバイスが知られている。
【0003】
近年、高度な照明機能を実現するために、ピクセル化されたビームとも呼ばれるセグメント化されたビームを生成することを可能にする技術が開発されている。これは特に「補充ビーム」照明機能の場合であり、当該「補充ビーム」照明機能は、一般に、各々が1つの発光ダイオードを備える複数の照明ユニットに基づいており、当該ダイオードは個別に駆動されることができる。このビームは、特にすれ違いビーム(dipped beam)によって提供される照明を補うために使用され、駆動照明を形成する。
【0004】
各ダイオードによって生成される様々なビームセグメントからもたらされるビームは、一般的に1つ以上のレンズを備える投射光学系によって投射される。例えば、ロービーム機能のために使用されるタイプの水平カットオフラインの下に全体的に又は少なくともメインで投射される基本ビームに関連づけられる補充ビームを生成することが可能であり、補充ビームは、カットオフラインの上でそれを完成するように、基本ビームに追加され;有利には、このハイビームは適応的であり、すなわち例えばアンチグレア機能のために、投射される全体ビームのある部分がオン又はオフされうる。このタイプの機能のために(Adaptive Driving Beamに関する)頭字語ADBが使われる。
【0005】
本説明において、ビームの投影がビームセグメントで構成される像を形成するようなビームであって、各セグメントが独立して点灯させられることができるビームは、セグメント化されたビームと呼ばれる。これらのセグメントを形成するためにピクセル化された光源が採用されうる。そのような源は、選択的に活性化可能な複数の放射素子を備える。それらの放射素子は、通常、キャリアにおいてあるピッチでお互いのそばに配置される。
【0006】
理想的な状況において、大きな光強度を持ちながら広い視野をカバーすることが可能であるように、光源の解像度(つまりピクセル数)は無限である。特に、あるパワーの複数のピクセルを持つ光源に関しては、視野を広げるためにピクセル数を増やすことで十分である。
【0007】
実際には、複雑さ及び価格を制限することに関する理由が、できるだけ小さな光源が得られるように要求する。同時に、十分な解像度の目的と、(規制によりごく一般的に定められている)ターゲットにされる光強度とは、ピクセル数を大きく減らすことを許容せず、それ故に、そのような技術のコストを低減することを許容しない。
【0008】
したがって本発明の1つの目的は、制御されたサイズのピクセル化された光源で、十分に広い視野のために満足な光強度を可能にすることによって、この問題の解決を提案することである。
【0009】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の説明及び添付の図面を検討することにより明らかになるであろう。他の利点が組み込まれてもよいことが理解される。
概要
この目的を達成するために、一実施形態によれば、高さ寸法及び幅寸法を有する矩形形状を各々が有する選択的に活性化可能な複数の放射素子を装備するピクセル化された光源であって、当該幅寸法が前記放射素子のすべてに関して同じである光源と、光軸を有し且つ放射素子の各々の像を投射するように構成される光学デバイスと、を備え、光軸から離れる方向にいくほど非線形に増大する幅寸法を像が有するように光学デバイスが構成されることを特徴とする照明システムが提供される。
【0010】
したがってこれは、複数の放射素子から得られる光投射からもたらされるセグメント化されたビームであって、放射素子の各々によって生成される像の面の広がりの及び強度の空間的変調を有するセグメント化されたビームを生み出す。
【0011】
像の広がりは、像が光軸から離れるほど、その少なくとも1つの幅寸法が増大することを意味するものと理解される。したがって、像の幅は、中心部におけるよりも、すなわち光軸上及びその近傍においてよりも、周辺部においてより大きい。この構成は、ピクセル、つまり放射素子、の数を減らしながら、定められた視野を得ることを可能にする。像の寸法の増大は、その数の減少を補うことを可能にする。
【0012】
同時に、特に光軸上及びその近傍において形成される主要な関心領域において、システムによって生成される照明のレベルを不利にしないように、像の光強度も変調される。特に、この領域では、車両の前方に投射されるビームの中心に向かって、高輝度を有することが一般的に最も有用である。これを達成するために、像は光軸近傍においてより小さい寸法を有し、それによってそこに光を集中させて明るさを許容レベルに保つ。
【0013】
像及びピクセルのこの拡大を達成するために用いられる一つの手段は、歪曲を作り出すことを含み、好ましくは視野のエッジに向かって非線形な拡大をもたらす。歪曲は 一般的には光学系の欠陥として認識されるが、ここではそれが、像のサイズ及び光強度を調節するために意図的に使用される。
【0014】
任意で、全照明フィールドの大きな幅に平行な軸に沿った像の角度位置に関する像の幅寸法の関数の一次導関数は、光軸上でゼロに等しい。
【0015】
このオプションの構成によって、光軸上及びその近傍における光強度は高レベルに保たれうる。
【0016】
有利には、ある像角度(又は幅座標)から開始して、像の少なくとも1つの周辺グループに関して光軸から離れる方向に進むにつれて、非線形に、場合によっては線形増大よりも大きいやり方で、増大する幅寸法を像が有するように、光学デバイスは構成される。
【0017】
この態様が実施される場合、少なくとも幅方向における像のある座標を起点として直線的に増大する場合よりも、像の幅方向の寸法の増大が大きい。この構成は、少なくとも、投射されたビームの周辺部に位置する部分にわたって、すなわちビームの輪郭まで延びる領域にわたって、実装されうる。そのため、大きな広がりを生み出すために且つしたがってビームに関するより大きな画角を生み出すために、像のサイズを素早く大きくすることが可能である。この構成は、オプションとして、光軸からビーム全体にわたって使用されることができる。ただし、その増大は好ましくは中心部(光軸上)からより小さく、それによってそこで小さな像サイズを維持し、したがって高い光強度を維持する。この目的のために、その増大は、小さい像幅導関数(例えば、線形変化よりも遅く、場合によっては中心でゼロ微分係数値から始まる)を有する(光軸から始まる)最初において非常に緩やかであってもよく、その後、線形増大よりも大きい微分係数に達するように、光軸から遠ざかるほうにいくにつれて増大しうる。
【0018】
他の態様は、システムにおいて使用されることが可能な光学デバイスに関する。光軸を有し、ピクセル化された光源の各放射素子の像を投射するように構成される光学デバイスが与えられうるものであり、光学デバイスは、有利には、光軸から離れる方向にいくにつれて非線形に増大する幅寸法を像が有するように構成される。
【0019】
光学デバイスは、一実施形態において、入力光学ユニット及び出力光学ユニットを備えうる。1つの好ましいケースにおいて、入力光学ユニットは、光ビームの歪曲を生じさせ、特に、大きな半径成分を有する光線の強い空間分散を生じさせるように、凸状に、好ましくは球状に、高い曲率で形成された、このユニットのレンズ出口面を用いることが可能である。
【0020】
出力光学ユニットは、より小さい光出力であってもよい。
【0021】
別の態様は、少なくとも1つのシステム及び/又は少なくとも1つの光学デバイスを装備する動力車両に関する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
発明の目的、対象、特徴及び利点は、後者の一実施形態の詳細な説明からより明確になるが、その実施形態は以下の添付図面によって示され、当該図面において:
【
図1】
図1は、ピクセル化された源の像の光強度及び広がりの分布を有する平面における光ビームの投射の一例を示す。
【
図2】
図2は、光軸からのそれらの距離に応じた像の幅寸法及び光強度の展開を示す。
【
図6】
図6は、光学デバイスの他の実施形態を示す。
【0023】
図面は例のつもりで与えられ、発明を限定しない。それらは、発明の理解を容易にすることを意図された概略的な概念図であり、必ずしも実用的な規模で描かれていない。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
発明の実施形態の詳細なレビューを開始する前に、任意的な特徴が以下に説明され、当該任意的な特徴は、それと組み合わせされてオプションで用いられうる又はそれに代えてオプションで用いられうる:
- 光学デバイスは、複数の放射素子からの光を受ける入力光学ユニット2と、入力光学ユニット2からの光を受けて各放射素子の像Sを投射する出力光学ユニット3と、を備える。
【0025】
- 入力光学ユニット2は収束レンズを備え、当該収束レンズは、その光出口面において1.175よりも小さい曲率半径/有用アパーチャ半径比を有する。
【0026】
- 収束レンズは、波長587.56nmにおいて1.7より大きい屈折率を有する材料で作られる。
【0027】
- 出力光学ユニット3は収束性であり且つ反転した色特性を示し、すなわち波長に応じた光軸上の焦点の位置が、単純な収束(屈折)レンズの場合にそれが示すものに対し、反対方向に変わる。当該ユニット3は軸方向色特性に関して過大補正される。
【0028】
- 出力光学ユニット3の焦点距離は、入力光学ユニット2の焦点距離よりも大きい。
【0029】
- 出力光学ユニット3は、少なくとも2つのレンズを含む。
【0030】
- 出力光学ユニット3は回折光学素子を含む。
【0031】
- 複数の放射素子は矩形マトリックスアレイを形成し、前記矩形マトリックスアレイの長い寸法は、幅寸法に沿って方向づけられる。その幅寸法はビームの幅に対応する。
【0032】
- 幅寸法は地平線に沿うように方向づけられる。
【0033】
- 放射素子は同じ高さ寸法を有する。任意で、その高さ寸法は幅寸法と等しく、放射素子が正方形断面を有することを意味する。
【0034】
発明によるシステムは、隣り合う放射素子のグループを非活性化することによって投射ビームにおいて少なくとも1つの暗領域を生成するように構成された、放射素子の各々の活性化を駆動するためのユニットを備え、駆動ユニットは、暗領域に対応する隣り合う放射素子のグループの放射素子数を放射素子の幅寸法に応じて決定するように構成される。
【0035】
好ましくは非一時的なメモリに格納される、コンピュータプログラム製品は命令を含み、当該命令は、それらがプロセッサによって実行される場合に、特に決定されるエリアの少なくとも1つの暗領域(その中で素子は活性化されない)を得るために、素子の像の可変領域を考慮して、活性化される放射素子を決定することを可能にする。
【0036】
以下に説明される特徴において、垂直、水平及び横断(或いは横方向)、又はその同等に関する用語は、照明システムが車両に装着されることを意図される位置に関して理解されるものとする。本説明において「垂直」及び「水平」という用語は、「垂直」という用語に関しては、(システムの高さに対応する)水平の平面に垂直な方向性を有する方向を示すように、また「水平」という用語に関しては、水平の平面に平行な方向性を有する方向を示すように、使用される。それらは、車両におけるデバイスの作動の条件下で考えられるものとする。これらの言葉の使用は、垂直方向及び水平方向についてのわずかな違いが発明から除外されることを意味するものではない。例えば、約+10°又は約-10°のこれらの方向に対する傾きは、2つの好ましい方向に対して軽微な違いであると考えられる。水平面に関し、その傾きは、原則-5°~+4°であり、それは横方向には-6°~+7.5°である。
【0037】
一般的には、値が例として与えられる屈折率は、波長587.56nm(ナトリウムD線)で測定されるであろう値に対応する。
【0038】
動力車両ヘッドランプは、ヘッドランプからの出力において1つ又は複数の照明ビーム及び/又は信号ビームを得るように、アウターレンズによって閉じられるハウジングに配置される1つ又は複数の照明システムを装備してもよい。
【0039】
発明は、車両前方のシーンを広域にわたって、しかもかなりの距離、典型的には200m程度、にわたって、照らすことを目的とするドライビングビーム機能に貢献しうる。この光ビームは、その照明機能のため、主に地平線より上に位置する。それは、例えばやや上向きに傾斜した照明光軸を有していてもよい。特に、それは、近接場ビームによって生成されるものに加えてドライビングビームの一部をさらに形成する「補充ビーム」照明機能を生成するために使用されてもよく、補充ドライビングビームは地平線の上方を全体的に、又は少なくともほとんどを、照らそうとするのに対し、(ロービームの特定の特徴を有しうる)近接場ビームは地平線の下方を全体的に、又は少なくともほとんどを、照らそうとする。
【0040】
またそのデバイスは、アダプティブビームに関連して上述したものを介して、又はそれらとは別に、他の照明機能を形成するために使われうる。
【0041】
本発明との関連で、「像」という用語は、発明の光学デバイスを介した放射素子からの光の少なくとも一部から、光学デバイスの下流側に所定距離だけ離れて位置し且つその光軸に垂直な平面において生じる投射を意味すると理解されることが明記される。通常、そのような平面は、動力車両の前方(場合によっては後方)において、当該車両から所定の距離で垂直方向を有する。光学デバイスから所定の距離における像の寸法の変化は、ビームの角度広がり及び光強度をビームの領域に応じて変調することを可能にする。
【0042】
複数の放射素子が選択的に活性化されるように制御されてもよいことに留意されるべきである。これは、必ずしもすべての放射素子が同時にアクティブになる、すなわち発光する、ものではないことを意味する。この機能は、発生したビームの形状が変調されるのを可能にする。放射素子が活性化されないと、光学デバイスによって投射されるようなその像は存在しないことになる。そして、それは結果として生じる全体のビームにおいて照明真空を形成する。この真空は、源での結合現象及び光学系の寄生光の影響をカウントしていないものと理解される。
【0043】
源1は、好ましくは、キャリアを含み、当該キャリアの一方の面は、以下に詳細に説明するように、例えばLED技術に基づいて、選択的に活性化可能な放出素子11を支持する。
【0044】
図3Aに概略的に示されるように、光源1は、有利には、ここではレンズのグループによって表される光学デバイス3の光軸に中心が合わされ且つ当該光軸に対して垂直に配置される。光軸は、実質的に水平方向に方向づけられてもよい。
【0045】
光源1は、特に、放射素子のマトリックスアレイの形態で設けられてもよく、当該放射素子の活性化は、放射素子の任意の1つをスイッチオフしたりスイッチオンしたりするように、個別に駆動されてもよい。そのため、結果としてもたらされるビームの形状は、非常大きな程度の柔軟性をもって変えられうる。純粋に例示として、例えば28行且つ88列である、行及び列において、例えば2464ピクセル又はそれ以上を形成する、放射素子のマトリックスアレイを実装することが可能である。ピクセルの像を広げるための光学パラメータ、特に歪曲パラメータ、に依存して、例えば28行且つ132列のマトリックスアレイを持つ源のものと同等の視覚効果を得ることが可能である。
【0046】
それ自体既知のやり方において、本発明は、光源として発光ダイオード(一般にLEDとも呼ばれる)を使用してもよい。これらは、1つ又は複数の有機LEDである可能性があってもよい。これらのLEDは、特に、半導体技術を用いた少なくとも1つのチップとともに設けられてもよく、光を発することができる。さらに、光源という表現は、ここでは、発明のモジュールの出力において少なくとも1つの光ビームの生成につながる束を生成することができるLEDなどの少なくとも1つの素子源のセットを意味すると理解される。1つの有利な実施形態において、源の出口面は矩形断面であり、これはLEDチップに関して典型的である。
【0047】
発光源は、好ましくは、モノリシックマトリクスアレイとも呼ばれる、放射素子の少なくとも1つのモノリシックマトリクスアレイを備える。モノリシックマトリクスアレイにおいて、発光素子は共通の基板から成長するか又はそこに転写されており、発光素子の個別又はサブセットを選択的に活性化できるように電気的に接続される。基板は、主に半導体材料によって作られうる。基板は1つ又は複数の他の材料を含んでもよく、当該1つ又は複数の他の材料は例えば非半導体である。各発光素子又は発光素子のグループは、このように発光ピクセルを形成することができ、その又はそれらの材料に電力が供給されると光を発することができる。そのようなモノリシックマトリクスアレイの構成は、プリント基板上にはんだ付けされることが意図される従来の発光ダイオードと比較して、選択的に活性化可能なピクセルを互いに対して非常に近接して配置することを可能にする。発明の意味におけるモノリシックマトリクスアレイは、発光素子を含み、その伸長の主な寸法、特に高さ、は、共通の基板に対して実質的に垂直であり、この高さは最大でも1マイクロメートルに等しい。
【0048】
有利には、光線を発することができる1つ以上のモノリシックマトリクスアレイは、ピクセル化された源の発光を制御するための制御ユニットに連結されてもよい。このように制御ユニットは、照明装置によるピクセル化された光ビームの生成及び/又は投射を制御(これを駆動と呼ぶこともある)しうる。制御ユニットは、照明デバイスに組み込まれていてもよい。制御ユニットは、1つ又は複数のマトリックスアレイに取り付けられてもよく、それによりそのアセンブリは照明モジュールを形成する。制御ユニットは、コンピュータプログラムを格納するメモリに連結された中央処理装置を備えてもよく、当該コンピュータプログラムは、光源を制御するための信号を生成するステップをプロセッサに実行させることを可能にする命令を含む。このため、制御ユニットは、例えば、マトリクスアレイの各ピクセルの発光を個別に制御しうる。さらに、複数の発光素子によって得られる輝度は、少なくとも60Cd/mm2であり、好ましくは少なくとも80Cd/mm2である。
【0049】
制御ユニットは、発光素子を制御することができる電子デバイスを形成してもよい。制御ユニットは、集積回路であってもよい。集積回路は、電子チップとも呼ばれ、1つ又は複数の電子機能を再現する電子部品であり、例えば限られた体積(すなわちウェーハ)において、いくつかのタイプの基本電子部品を集積することができる。これにより、回路の実装が容易になる。集積回路は、例えばASICやASSPであってもよい。ASIC(application-specific integrated circuitの頭字語)は、少なくとも1つの特定のアプリケーション(すなわち一顧客)のために開発された集積回路である。したがってASICは特殊な(マイクロエレクトロニクス)集積回路である。一般的に、それは多数の独自機能又はオーダーメイドの機能を一緒にグループ化する。ASSP(application-specific Standard Productの頭字語)は、一般的に標準化されたアプリケーションを満たすために、多くの機能を一緒にまとめた集積(マイクロエレクトロニクス)電子回路である。ASICは、ASSPよりも特殊な(特定の)ニーズに合わせて設計される。モノリシックマトリクスアレイは、電子デバイスを介して電力が供給され、それは、それ自体、例えば電力源にそれを接続する少なくとも1つのコネクタを用いて電力が供給される。電力源は、発明によるデバイスの内部であっても外部であってもよい。電子デバイスは、光源に電力を供給する。このように、電子デバイスは光源を制御することができる。
【0050】
発明によれば、光源は、好ましくは、少なくとも1つのモノリシックマトリクスアレイを備え、当該少なくとも1つのモノリシックマトリクスアレイの発光素子は共通の基板から突出して延びる。複数の素子のこのような配置は、基板における成長からもたらされうるものであり、それらが当該基板からそれぞれ成長し、或いは、任意の他の製造方法から、例えば転写技術を使って素子を転写することで、もたらされうるものである。発光素子が、共通の基板に実質的に垂直な伸長のそれらの主要な寸法の1つを有するという条件、及び、電気的に一緒にグループ化される1以上の発光素子によって形成されるピクセル間のスペースが、プリント回路基板にハンダ付けされる概して平坦な四角形チップの既知の配置において与えられるスペースに比べ、小さいという条件の下で、発光素子の様々な配置がモノリシックマトリクスアレイのこの定義を満たすことができる。
【0051】
特に、発明の一態様による光源は、互いに異なる複数の発光素子を含み、それらは基板から個別に成長される一方で、場合によってはロッドが同時に活性化されうるサブセットによって、選択的に活性化可能であるように電気的に接続される。
【0052】
表されていない一実施形態によれば、モノリシックマトリクスアレイは、サブミリメートル寸法の又は10μm未満の寸法の複数の発光素子を備え、当該複数の発光素子は、特に六角形の断面を有するロッドを形成するように基板から突出して配置される。発光ロッドは、光源がハウジングにおける適切な位置にある場合に、照明モジュールの光軸と平行に延びる。
【0053】
これらの発光ロッドは、特に各セットに固有の電気的接続を介して、選択的に活性化可能な複数のセグメントにグループ化されている。発光ロッドは、基板の第1の面を起点とする。各発光ロッドは、ここでは窒化ガリウム(GaN)を用いて形成され、基板、ここではシリコンにより作られる基板、に対して垂直に又は実質的に垂直に延び、それによって基板から突出するが、炭化ケイ素などの他の材料が、発明の状況から逸脱することなく使われてもよい。例えば、発光ロッドは、窒化アルミニウムの及び窒化ガリウムの合金(AlGaN)又はアルミニウム、インジウム及びガリウムのリン化物の合金(AlInGaP)から作られうる。各発光ロッドは、その高さを定める伸長の軸に沿って延び、各ロッドの基部は、基板の上面の平面において配置される。
【0054】
図示されていない別の実施形態によれば、モノリシックマトリクスアレイは、単一の基板上におけるエピタキシャル発光素子の層によって、特にnドープGaNの第1の層とpドープGaNの第2の層によって、形成された発光素子を備えてもよく、単一の基板は例えば炭化ケイ素で作られ、それは(研削及び/又はアブレーション(ablation)によって)スライスされて1つの同じ基板からそれぞれ生じる複数のピクセルを形成する。そのようなデザインの結果は、1つの同じ基板からすべてが生じる複数の発光ブロックであって、互いに選択的に活性化できるように電気的に接続される複数の発光ブロックである。
【0055】
この他の実施形態による1つの例示的な実装において、モノリシックマトリクスアレイの基板は、100μm~800μmの厚さ、特に200μmに等しい厚さを有してもよく;各ブロックは長さと幅を有してもよく、各々が50μm~500μmであり、好ましくは100μm~200μmである。一変形において、その長さ及び幅は等しい。各ブロックの高さは、500μmより小さく、好ましくは300μmより小さい。最後に、各ブロックの出口面は、基板を介してそのエピタキシー(epitaxy)と反対側において形成されてもよい。連続するピクセルを分離する距離は、1μmより小さくてもよく、特に500μmより小さく、それは好ましくは200μmより小さい。
【0056】
図示しない別の実施形態によれば、上述のように、1つの同じ基板からそれぞれ突出して延びる発光ロッドと、1つの同じ基板に重ねられた発光層をスライスすることによって得られる発光ブロックとの両方において、モノリシックマトリクスアレイは、発光素子が少なくとも部分的に埋め込まれたポリマー材料の層をさらに含んでいてもよい。これによりその層は、基板の全範囲にわたって延びていてもよいし、或いは発光素子の所定のグループの周囲にのみ延びていてもよい。特にシリコーンベースとしうるポリマーは、光線の拡散を妨げることなく発光素子が保護されることを可能にする保護層を形成する。さらに、このポリマー材料の層に、素子のうちの1つによって発せられる光線の少なくとも一部を吸収することができる波長変換手段であって、前記吸収された励起光の少なくとも一部を、励起光の波長とは異なる波長を有する発光光に変換することができる波長変換手段、例えば発光団(luminophores)、を、組み込むことが可能である。発光団は、ポリマー材料の塊に埋め込まれたり、さもなければこのポリマー材料の層の表面に配置されたりするように、区別なく設けられうる。また、ポリマー層を伴うことなく、半導体チップ上に蛍光体(phosphors)を真空蒸着することも可能である。光源は、さらに、ピクセル化された光源の出口面に向かって光線を偏向させるために、反射材料のコーティングを含んでいてもよい。
【0057】
サブミリメーター寸法の発光素子は、基板と実質的に平行な面において、所定の出口面を定める。この出口面の形状は、それを形成する発光素子の数や配置に応じて定められることが、理解されるべきである。したがって発光面の実質的に矩形の形状を定めることが可能であるが、後者が、発明の趣旨から逸脱することなく、変わりうること及び任意の形状を採用しうることが理解される。
【0058】
選択的に活性化可能な放射素子が二次光源であることは排除されない。
【0059】
図1は、発明により得られる投影の一例を示す。図示されるケースにおいて、これは、光軸に垂直な面において、光学デバイスから所定の距離で、ここでは25mで、市松模様(checkerboard pattern)の投射(4ピクセルのうち1ピクセルがオン:各スイッチオン行及び2つのスイッチオン行のうちの1つの行において2つのうちの1つ、ただしスイッチオン行は、直近で隣り合うスイッチオン行に関して1ピクセル分水平方向にオフセットされ、それによって4つのピクセルのうちの1つのピクセルが各列においてスイッチオンされる)を伴う。投射からもたらされるビームは、投射面において、それが放射素子の光によって各々がもたらされる複数の像によって形成されるという意味で、分割される。参照Sは、これらの像のうちの1つを示す。
【0060】
得られたその投射は、源のピクセルのものに対応する像分布を持つ。この例において、それが矩形の形状を持つ源も伴うため、その輪郭は実質的に矩形となる。長い寸法は、好ましくは水平に方向づけられている。像の高さは、垂直に対応する。これらの2つの寸法間の比率は、約3、例えば3.15、としうる;それは、LEDの2つの並置されるブロックであって、例えば各々が1.6の比率を有するLEDの2つの並置されるブロックの比率によってもたらされうる。
【0061】
この投射は、デバイスの光軸を中心とされており、それの投射平面との交点を点Oで表している。
【0062】
一つの可能性によれば、生成されたビームの視野によってカバーされる角度セクターは、25°より大きく、あるいは30°より大きいか等しい。
【0063】
点Oに近い像ほど明るく、そこから遠ざかるほど明るさが減ることがすぐにわかる。同時に、像の輪郭は点Oに近いほど縮小し、そこから離れるほどシャープさが失われつつ拡大する。
【0064】
一例として、源1のピクセルのマトリクスアレイは、その最大寸法と最小寸法との間に少なくとも3のアスペクト比を有する矩形形状を有しうる。この細長い配置において、水平方向に巧妙に配置されているため、この水平方向で歪曲効果が強調され、他の垂直方向ではより小さく、あるいは無視できるほどになる。
図1において与えられる符号は、文字“l”を使って像の幅寸法を示し、文字“h”を使って像の高さ寸法を示す。
【0065】
図2は、活性化されたピクセル(ここでは
図1のような市松模様の与えられた例における2つのうち1つ)の像の幅寸法(mmで与えられる)の変化及びそれらの光強度の変化を、この図では水平に点Oから右方向に離れていくように示す。像は横軸の原点でより狭く、その幅が徐々に大きくなることに気付くべきである。同時に、光強度(縦軸に任意の目盛りで与えられる)が減少し、より広い像領域にわたって光が広がっていることがわかる。
【0066】
従来の源を使用する目的では、放射素子はすべて同じ形状を有し且つ同じ縦横の寸法を有することが有利である。しかし、この選択は限定的ではない。特に、垂直方向の歪曲の影響を少なくとも部分的に補償するために、放射素子の高さ寸法は光軸から離れるに従って徐々に減少させられうる。この寸法縮小は、光学デバイスによって生成される歪曲関数のものと等しいが逆である関数に従いうる。
【0067】
光学デバイスは、好ましくは、所望の光強度変調及び必要な視野を得るために、像の寸法の成長関数を調整することを可能にする。
【0068】
源のマトリックスアレイの任意の点に関して、投射光学系の知識から、投射平面に形成されるスポットと、この像スポットの質量中心(centroid)と、を計算することが可能である。したがって、源マトリクスアレイにおける各点を像の点(前述の質量中心)、又はこれは投射面からの距離が無限大になる場合は投射フィールドにおける方向(2つの角度)に等しい、に結びつけることが可能である。さらに、対象となる源の点の周りに任意の小さな矩形の発光体を想像すれば、投射像を計算し、倍率(仮想的な源の辺のサイズに対する投射像の辺のサイズの比)を定めることが可能である。ここで源のマトリックスアレイの最大の辺に平行な線であって投射システムの光軸に合致する線に沿って位置する点のみを考慮すると、各点に関してRで2つの量:考慮される源の線の投射に沿った質量中心の位置(したがって、無限大では、投射角、実際には水平面における角度)及び対応する倍率、を決定することが可能である。源のマトリックスアレイで検討中の線のどの点においても実行されうるこれらの計算から、投射フィールドにおける角度(実際には水平)を倍率に結びつけるRでのRのガンマ関数が推定される。この関数は、明らかに源のピクセルの像のサイズの計算に適用される。その一次微分は、フィールドにおける前記ピクセルの倍率の増大を与える。発明に従って製造される光学部品に関し、増大の微分(ガンマの2次微分)は、投射光学部品の光軸上の点に対応する角度0についてゼロである。
【0069】
投射システムの一実施形態は、
図3A及び
図3Bを参照して提供される。
図3Aは、右から左へ、特に放射素子のマトリクスアレイの形態の上述したタイプでありうる光源1と、入力ユニット2と呼ばれる第1光学ユニットと、出力ユニット3と呼ばれる第2ユニットとを示す。源1は、有利には、光学デバイスの光軸上に中心が配置される。
【0070】
ユニット2は、その入口面21を介して源1から光を受けるように構成されることが理解される。ユニット2を出た光は、好ましくは直接的に、ユニット3に入る。それは、車両の周囲の空間に、好ましくは直接的に、投射されるために、ユニット3の出口面を通ってそこから現れる。
【0071】
好ましい一実施形態において、入力ユニット2は、レンズを含み、好ましくはレンズから成る。有利には、歪曲を与えるのはこの部分である。図示のケースにおいて、それはメニスカスレンズであり、凹部を有する入口面21を有する。入口面は、任意で、完全に平坦としてもよい。出口ジオプター(diopter)を形成する反対面は、凸状であり、高い曲率を有し、それは、特に、とりわけレンズの光学的に有用な面の周辺に向かう、出口ジオプターに入射するある光線の面の法線に対する大きな傾斜を介して、歪曲を誘発する。これは球面であってもよく、それによって複雑でそれ故に高価な形状を使用する必要を回避する。
【0072】
有利には、出口面の曲率半径とその有用アパーチャ(クリアアパーチャともいう)(出口面の基部の断面の半径)との間の比率は、1.175未満である。典型的に、非常に近い寸法の出口ジオプターの曲率半径及びレンズ半径を選択することが可能であり、それにより最大限の曲率半径を確保する。
【0073】
有利には、それは、光学デバイス全体の中で最も大きな曲率を持つこのジオプターである。好ましくは、この曲率は、光学デバイスの他のすべての曲率よりも少なくとも1.25倍大きい。
【0074】
ユニット2のレンズには、ハイインデックス材料(high-index material)を用いることが望ましい。好ましくは、その屈折率は1.7よりも大きくなる。そのアッベ数は、好ましくは、40~55の範囲内で選択される。特に、LAK10、LAK21、LAK43のレファレンスを持つSchott(登録商標)AGからのレンズ又は他のガラスメーカーからそれらと同等なものとして示されるレンズは、満足のいくものである。
【0075】
そして
図3Aは、出力ユニット3の例示的な一実施形態を提供する。このユニットの光学パワーは、ユニット2の光学パワーよりも小さく、ユニット2に関してよりも焦点距離が大きいことが望ましい。有利には、入力ユニット2と出力ユニット3の光パワーの間の比率は、1.6より大きく及び/又は2.2より小さい。ユニット3の色特性は反転している(複数の波長の光に対応する焦点位置の相対位置が、収束型屈折レンズの場合のものと逆である)ことがより有利である。これは、場合によっては
図3Aのシステムの2つのユニット2、3に関するケースである。この色特性反転の1つの簡単な説明は、例えばユニット3に関し、「赤」焦点が「青」焦点よりもレンズ31に近いこと及び「緑」焦点がその2つの間に位置していることを述べているに等しい。このようにユニット3は、投射システムにおける光学パワーを高く保ったまま、ユニット2で発生する色収差を補償することを可能にする。実際、特に防眩ハイビーム及びダイナミックベンディングライト機能(dynamic bending light functions;ADB機能)を実装した高性能動力車両照明は、できるだけ広い照射フィールドが必要であり;言い換えれば、源のマトリックスアレイの像ができるだけ大きいことが望ましい。さらに、源のマトリックスアレイのコストは、それらの面積とともに増大し;つまり、源のマトリックスアレイはできるだけ小さいことが望ましい。その結果、大きな照射フィールド及び小さな源を有するためには、投射光学系の焦点距離は小さい必要がある。そのため、投射光学系は高出力を有する必要である。発明の光学系は、必要とされる総パワーよりも小さいパワーの2つの収束素子を組み合わせることで、この条件を実現する。発明によるデバイスの第1光学素子-ユニット2-は、高い歪曲及び大きなアパーチャを有する素子である(小さな源、したがって制限された光束を有する小さな源、によって大きなフィールドを照明しようとするので、できるだけ多くの光束を捕らえることが必要である)。この光学素子を適度な数のレンズ(1枚、場合によっては2枚、好ましくは球面)に限定することで、その色特性を同時に最適化することは不可能である。第2素子-ユニット3-として、色特性補正を行うために、第1素子のものに対して逆の色特性を持つ収束システム(第1素子と共有するパワー)が実装される(投射像において色味がつくのを避けるために不可欠であり、それは完全に望ましくない)。第1素子-ユニット2-は単純な収束レンズのように振る舞うので、第2素子-ユニット3-は収束すべきであり、逆の色特性を持つべきである。
【0076】
図3Aの場合、このユニット3は、光線の経路に沿って互いに追従する3つのレンズを含む。光線の経路をさかのぼると、そこでの第3レンズ33は平凸形状であるが、それは例えば両凸レンズもありえる。それはクラウンガラスから形成されてもよい。その後に、好ましくはフリントガラス又はポリカーボネートで作られる、両凹面レンズ32が続く。レンズ32の有用なアパーチャを制限する停止デバイスは、任意に、その入口面に配置されてもよく、当該面は光源1に向けて方向づけられる。次に、レンズ31は、両凸形状の例であり;それはクラウンガラスで作られてもよい。
【0077】
この場合、以下の実施形態のように、フリントガラスレンズとクラウンガラスレンズを交互にすることが有利であることに留意されるべきである。
【0078】
図3Bは、源1の様々なピクセルからのこの実施形態による光線の経路の一例である。
【0079】
図4A及び
図4Bは、上記の状況の一変形を与える。確かに、入力ユニット2はその一般的な形態に変更はないが、ここでの出力ユニット3は、今回は2つのレンズを含む。レンズ31は両凸の収束レンズであり、有利には高屈折率を有するクラウンガラスで作られる。1.6の屈折率及び60のアッベ数を有するレンズが典型的に使用されうる。
【0080】
他方のレンズ32は、同じく高屈折率を有する発散メニスカスレンズであり、有利にはフリントガラスで作られる。レンズ32の凹面は、その入口面を形成し、源1のほうを向いて方向づけられる。20のアッベ数を有する1.95の屈折率を有する材料が典型的に使用されうる。
【0081】
【0082】
図5A及び
図5Bに示す状況において、出力ユニット3は4つのレンズを含む。そのため、ユニット3はそこで2組のダブレットに編成される。第1の組は、両凸レンズ31と凹面レンズ32を含み、このレンズの凹みはレンズ31に向けて方向づけられる。第2の組のレンズは、凹面レンズ33と凸面レンズ34とを連続して含み、レンズ33の凹みはレンズ34に向けて方向づけられる。このアセンブリは、典型的に、背中合わせに配置された2つのフラウンホーファーダブレット(Fraunhofer doublets)の構造を有する(収束レンズがクラウンガラスで作られ、発散レンズがフリントガラスで作られる);しかしながらダブレットは、ここでは真のフラウンホーファーダブレットのように色特性に関して補正されない。この状況において、レンズ2がユニット3のすぐ近くにあることに注意するべきである。
【0083】
【0084】
第2光学ユニット3に関する他の解決は、
図6に示すように、収束型ブレーズド回折格子(a converging blazed grating)の形態の回折光学素子を使用することである。実際、収束型回折素子は、収束型屈折素子と比較して、逆の軸方向色特性を有する。
【0085】
上記の光源1のユニット2、3を含む光学デバイスとの組み合わせは、
図1に対応する歪曲を示す、結果として得られる分割されたビームを与える。好ましくは、そのシステムは、さらに、これらの素子の像の可変サイズを考慮して、発光素子の選択的な活性化を差動的なやり方で駆動するためのユニットを含む。所定のサイズの領域をカバーするために、点Oに対応する中心付近では、周辺部よりも多くのピクセルが必要となることが理解されるべきである。
【0086】
任意に、光軸周りの各像と光軸上の放射素子の像との間の倍率が、演算に使用されるデータベースを有するように、各放射素子について決定されうるものであり、照明され又はスイッチオフされる領域の面を、この領域をカバーするのに必要かつ十分な放射素子の数(及び身元)に関連して、近似させることを可能にする。そのシステムは、特にプロセッサと、形成されるべきビームに応じて活性化されるべき放射素子及び不活性化されるべき放射素子を決定する操作を可能にするコンピュータプログラム命令を記憶するための不揮発性メモリと、を備えるコンピュータ化された処理手段を含みうる。
【0087】
発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってカバーされるすべての実施形態に及ぶ。