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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】脊柱変形矯正固定手術補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/00 20060101AFI20240329BHJP
   A61G 13/12 20060101ALI20240329BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61G13/00 R
A61G13/12 B
A61B17/70
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020549459
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038256
(87)【国際公開番号】W WO2020067470
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】P 2018181791
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000193612
【氏名又は名称】ミズホ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】江原 宗平
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/183632(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0319706(US,A1)
【文献】特表2007-508073(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/00
A61G 13/12
A61B 17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術室における手術台上に載置され、マスクや気管内挿管を行った全身麻酔下の患者の脊柱変形に対する外科的な脊柱変形矯正固定手術の開始直前あるいは該脊柱変形矯正固定手術中に、脊柱変形を矯正してその状態に保持して脊柱変形矯正固定手術を容易ならしめる脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、
患者の頭尾方向と直交する左右方向に沿って、互いに近接・離間すべく移動自在で、且つ任意の位置で固定可能に構成される一対の胸部押圧体と、
患者の頭尾方向と直交する左右方向に沿って、互いに近接・離間すべく移動自在で、且つ任意の位置で固定可能に構成される一対の腰部押圧体と、
前記一対の胸部押圧体と、前記一対の腰部押圧体とを、患者の頭尾方向において互いに近接・離間すべく移動自在で、且つ任意の位置で固定可能にする固定手段と、を備え、
前記一対の腰部押圧体により患者の腰部及びその付近を左右方向両側から押圧すると共に、前記一対の胸部押圧体により患者の胸部及びその付近を左右方向両側から押圧した状態で、前記一対の胸部押圧体と前記一対の腰部押圧体とが互いに離間することにより、
変形した脊柱に対して引張荷重が頭尾方向に沿って付与され、
脊柱を、外科的な脊柱変形矯正固定手術による矯正率に近づくように矯正した状態で保持可能に構成されており、
前記胸部押圧体を、操作者によるスライドスイッチの操作に連動して、任意の位置に固定、または移動可能に解放する胸部押圧体固定手段と、
前記腰部押圧体を、操作者によるスライドスイッチの操作に連動して、任意の位置に固定、または移動可能に解放する腰部押圧体固定手段と、
前記固定手段として、前記一対の胸部押圧体を含む胸部押圧ユニットを、操作者によるスライドスイッチの操作に連動して、患者の頭尾方向の任意の位置に固定、または移動可能に解放する胸部押圧ユニット固定手段と、
前記固定手段として、前記一対の腰部押圧体を含む腰部押圧ユニットを、操作者によるスライドスイッチの操作に連動して、患者の頭尾方向の任意の位置に固定、または移動可能に解放する腰部押圧ユニット固定手段と、を備え
前記胸部押圧ユニット固定手段のスライドスイッチによる前記胸部押圧ユニットのロックは頭部側へのスライド操作であり、
前記腰部押圧ユニット固定手段のスライドスイッチによる前記腰部押圧ユニットのロックは脚部側へのスライド操作であることを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置。
【請求項2】
前記胸部押圧体固定手段のスライドスイッチによる前記胸部押圧体のロックは頭部側へのスライド操作であり、
前記腰部押圧体固定手段のスライドスイッチによる前記腰部押圧体のロックは脚部側へのスライド操作であることを特徴とする請求項1に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置。
【請求項3】
前記脊柱変形矯正固定手術補助装置を、手術台に着脱自在に連結する連結手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置。
【請求項4】
前記一対の胸部押圧体は、患者の頭尾方向と直交する左右方向に延びる胸部用支持体に着脱自在にそれぞれ装着され、
前記一対の腰部押圧体は、患者の頭尾方向と直交する左右方向に延びる腰部用支持体に着脱自在にそれぞれ装着されることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置。
【請求項5】
前記脊柱変形矯正固定手術補助装置は、外科的な脊柱変形矯正固定手術としての後方矯正固定術専用であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置。
【請求項6】
患者の頭部を所定高さに支持すると共に、前記一対の胸部押圧体と連結される頭部支持体を備え、
該頭部支持体は、患者の顔面を包むように支持する凹部を有する頭部支持部と、該頭部支持部の凹部内に配置されるクッション部と、を有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置。
【請求項7】
前記頭部支持体には、患者の目及び口が位置する部分に開口部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術室における手術台上に載置され、マスクや気管内挿管を行った全身麻酔下の患者の脊柱側彎症等の脊柱変形に対する外科的な脊柱変形矯正固定手術(手術療法)の開始直前あるいは該脊柱変形矯正固定手術中に、脊柱変形を出来る限り矯正してその状態に保持して脊柱変形矯正固定手術を容易ならしめる脊柱変形矯正固定手術補助装置(Supporting Device for correction and fusion surgery for spinal deformity)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、脊柱側彎症等の脊柱変形の治療に際しては、「装具療法」または「手術療法」が適用される。例えば、側彎症の初期のカーブが軽い時期(Cobb角が25度程度)で、さらにカーブの進行が予測される場合には、「装具療法」が選択されることもある。一方、側彎症のカーブ、すなわちCobb角が大きく、脊柱変形のカーブが進行して悪化している場合には、「手術療法」が一般的な選択肢となる。この外科的な脊柱変形矯正固定手術である「手術療法」には、「後方矯正固定術」または「前方矯正固定術」が適用される。
【0003】
すなわち、「後方矯正固定術」は、マスクや気管内挿管を行った全身麻酔下の患者を手術台上に腹臥位にて位置決めして、患者の背中の正中に手術創、または低侵襲である経皮的手術創をおいて、脊柱の後方の要素を展開する。続いて、図18に示すように、脊柱の後方から椎弓根を介して複数の椎体に向かってスクリュー210をそれぞれねじ込み固定すると共に、脊柱の複数の横突起等にフック部材220をそれぞれ引っ掛けて、これらスクリュー210及びフック部材220のトップオープン溝部にロッド230を装着することで、脊柱変形を3次元的に矯正して、その状態で固定する術式である。一方、「前方矯正固定術」は、マスクや気管内挿管を行った全身麻酔下の患者を手術台上に側臥位にて位置決めして、患者の側方に手術創をおいて、または低侵襲であるわきの下を2箇所程小切開して、脊柱の前方の要素である、矯正が必要な複数の椎体を展開する。続いて(状況により内視鏡サポートを用いながら)、展開された各椎体にスクリューをそれぞれねじ込み固定して、これらスクリューのトップオープン溝部またはサイドオープン溝部にロッドを装着することで、脊柱変形を3次元的に矯正して、その状態で固定する術式である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-169064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した、「後方矯正固定術」及び「前方矯正固定術」においては、脊柱変形を、ねじれを含む3次元的に矯正するために、その手術手技として、ロッドを多数のスクリュー及び各フック部材に装着する操作、各スクリュー及び各フック部材に対して頭尾方向に沿って圧縮荷重や引張荷重を付与する操作、及びロッドを回旋する操作等が必要である。これらの脊柱変形矯正固定手術では、脊柱変形が重症、すなわちCobb角が大きいほど、その手術手技(手術操作)が非常に難しく煩雑となり、その結果として、ロッド、スクリュー及びフック部材等のインプラント(体内埋没材)による、効果的な矯正率を得ることが困難となる場合がある。しかも、特に、重症の患者においては、その手術手技が非常に難しく煩雑であるために手術時間が長くなり、患者への負担が増大する懸念もある。
【0006】
そして、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、術者(外科医)による、脊柱変形を治療するための外科的な脊柱変形矯正固定手術の手術手技を簡易化させ、手術時間を短縮して患者への負担を軽くしたうえで、外科的な脊柱変形矯正固定手術(インプラントを用いた)による、より効果的な矯正率を得ることが可能な脊柱変形矯正固定手術補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の態様)
以下に示す発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項分けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0008】
(1)手術室における手術台上に載置され、マスクや気管内挿管を行った全身麻酔下の患者の脊柱変形に対する外科的な脊柱変形矯正固定手術の開始直前あるいは該脊柱変形矯正固定手術中に、脊柱変形を矯正してその状態に保持して脊柱変形矯正固定手術を容易ならしめる脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、患者の頭尾方向と直交する左右方向に沿って、互いに近接・離間すべく移動自在で、且つ任意の位置で固定可能に構成される一対の胸部押圧体と、患者の頭尾方向と直交する左右方向に沿って、互いに近接・離間すべく移動自在で、且つ任意の位置で固定可能に構成される一対の腰部押圧体と、前記一対の胸部押圧体と、前記一対の腰部押圧体とを、患者の頭尾方向において互いに近接・離間すべく移動自在で、且つ任意の位置で固定可能にする固定手段と、を備え、前記一対の腰部押圧体により患者の腰部及びその付近を左右方向両側から押圧すると共に、前記一対の胸部押圧体により患者の胸部及びその付近を左右方向両側から押圧した状態で、前記一対の胸部押圧体と前記一対の腰部押圧体とが互いに離間することにより、変形した脊柱に対して引張荷重が頭尾方向に沿って付与され、脊柱を、外科的な脊柱変形矯正固定手術による矯正率に近づくように矯正した状態で保持可能に構成されており、前記胸部押圧体を、操作者によるスライドスイッチの操作に連動して、任意の位置に固定、または移動可能に解放する胸部押圧体固定手段と、前記腰部押圧体を、操作者によるスライドスイッチの操作に連動して、任意の位置に固定、または移動可能に解放する腰部押圧体固定手段と、前記固定手段として、前記一対の胸部押圧体を含む胸部押圧ユニットを、操作者によるスライドスイッチの操作に連動して、患者の頭尾方向の任意の位置に固定、または移動可能に解放する胸部押圧ユニット固定手段と、前記固定手段として、前記一対の腰部押圧体を含む腰部押圧ユニットを、操作者によるスライドスイッチの操作に連動して、患者の頭尾方向の任意の位置に固定、または移動可能に解放する腰部押圧ユニット固定手段と、を備え、前記胸部押圧ユニット固定手段のスライドスイッチによる前記胸部押圧ユニットのロックは頭部側へのスライド操作であり、前記腰部押圧ユニット固定手段のスライドスイッチによる前記腰部押圧ユニットのロックは脚部側へのスライド操作であることを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置(請求項1の発明に相当)。
【0009】
(1)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置は、手術室内の手術台上に載置され、マスクや気管内挿管を行った全身麻酔下の患者の脊柱変形に対する外科的な脊柱変形矯正固定手術を行う際に使用されるものであって、脊柱変形矯正固定手術時、脊柱変形に対して、脊柱変形矯正固定手術(インプラントを用いた)によるより効果的な矯正率に近づくように予め矯正した状態で保持することができる
具体的には、当該脊柱変形矯正固定手術補助装置は、手術室内の手術台上に載置されて、当該脊柱変形矯正固定手術補助装置上に、マスクや気管内挿管を行った全身麻酔下の患者が腹臥位にて載せられる。続いて、一対の腰部押圧体を互いに近接するようにして移動させ、患者の腰部及びその付近を左右方向両側から押圧して、また一対の胸部押圧体を互いに近接するようにして移動させ、患者の胸部及びその付近を左右方向両側から押圧して、その状態で保持する。その結果、患者の左右方向の体幹バランスが整えられ、脊柱全体の左右方向の位置を矯正して、保持することができる。続いて、操作者が患者の両上肢及び両下肢を頭尾方向に引っ張りつつ、一対の胸部押圧体と、一対の腰部押圧体とを互いに離間させるように移動させて、特に、患者の胸部及びその付近と、腰部及びその付近とを頭尾方向において引っ張ることで、脊柱変形に対して引張荷重を付与して、固定手段によりその状態で保持する。その結果、脊柱変形、すなわち側彎変形、後彎変形及び前彎変形、回旋変形を矯正して、保持することができる。
【0010】
そして、当該脊柱変形矯正固定手術補助装置により、脊柱変形に対して、脊柱変形矯正固定手術による矯正率に近づくように予め矯正して保持した状態で、術者による外科的な脊柱変形矯正固定手術が行われる。要するに、当該脊柱変形矯正固定手術補助装置は、インプラントによる外科的な脊柱変形矯正固定手術を、サポートあるいはアシストする機能を備えたものである。
なお、外科的な脊柱変形矯正固定手術後における効果的な矯正率は、矯正率略100%まで矯正することが最も好ましいが、手術前、患者の両上肢及び両下肢を頭尾方向に牽引して、その体幹を頭尾方向に牽引した状態のX線写真(図16(b)参照)における脊柱変形のCobb角に対して少なくともその1/2以上、出来る限り矯正することを目標としている(カーブの固さにもよる)。
また、(1)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置では、胸部押圧体固定手段と、腰部押圧体固定手段と、胸部押圧ユニット固定手段と、腰部押圧ユニット固定手段とを備えているので、操作者によって、当該脊柱変形矯正固定手術補助装置による脊柱変形の矯正操作を容易に行うことができる。しかも、脊柱変形矯正固定手術の最中においても、容易に、脊柱変形に対して外部(患者の外表面)から引張荷重を付与して、脊柱変形をさらに矯正することができ、また、容易に、患者の胸部及びその付近と、腰部及びその付近とを左右方向両側から押圧して、体幹バランスをさらに整えることができる。
なお、(1)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置において、前記胸部押圧体固定手段のスライドスイッチによる前記胸部押圧体のロックは頭部側へのスライド操作であり、前記腰部押圧体固定手段のスライドスイッチによる前記腰部押圧体のロックは脚部側へのスライド操作であること(請求項2の発明に相当)が好ましい。
【0011】
(2)(1)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、前記脊柱変形矯正固定手術補助装置の各構成部材は、X線を透過する材質で構成されることを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置
(2)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置では、脊柱変形矯正固定手術中を含む適宜タイミングにて、X線透視撮影装置、CT装置、例えば多軸CT様画像作成装置等により、脊柱変形の矯正具合や、スクリューのねじ込み状態及びフック部材の装着状態等のインプラントの装着具合を確認することができる。
【0012】
(3)(1)項または(2)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、前記脊柱変形矯正固定手術補助装置を、手術台に着脱自在に連結する連結手段を備えることを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置(請求項3の発明に相当)。
(3)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置では、脊柱変形矯正固定手術時、手術台に対する脊柱変形矯正固定手術補助装置の移動を抑制することができ、脊柱変形矯正固定手術による矯正率、矯正効果、及び脊柱変形矯正固定手術の安全性を向上させることができる。しかも、脊柱変形矯正固定手術時、脊柱変形矯正固定手術補助装置を手術台の動きに追従させることが可能である。
【0013】
(4)(1)項~(3)項いずれか一項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、前記一対の胸部押圧体は、患者の頭尾方向と直交する左右方向に延びる胸部用支持体に着脱自在にそれぞれ装着され、前記一対の腰部押圧体は、患者の頭尾方向と直交する左右方向に延びる腰部用支持体に着脱自在にそれぞれ装着されることを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置(請求項4の発明に相当)。
(4)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置では、必要に応じて、一対の胸部押圧体を胸部用支持体から、また一対の腰部押圧体を腰部用支持体から取り外すことができる。この結果、患者の、脊柱変形矯正固定手術補助装置上への載せ替え等を容易に行うことができる。
【0014】
(5)(1)項~(4)項いずれか一項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、前記脊柱変形矯正固定手術補助装置は、外科的な脊柱変形矯正固定手術としての後方矯正固定術専用であることを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置(請求項5の発明に相当)。
(5)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置は、脊柱変形に対する外科的な脊柱変形矯正固定手術として、上述した「後方矯正固定術」を行う際に、特に、有効である。
【0016】
)(1)項~()項いずれか一項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、患者の頭部を所定高さに支持すると共に、前記一対の胸部押圧体と連結される頭部支持体を備え、該頭部支持体は、患者の顔面を包むように支持する凹部を有する頭部支持部と、該頭部支持部の凹部内に配置されるクッション部と、を有することを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置(請求項の発明に相当)。
)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置では、頭部支持体により、脊柱変形矯正固定手術中、患者の頭部を容易に支持、保護することができる。また、頭部支持体は、クッション部を備えているので、脊柱変形矯正固定手術中、顔面への負担を最小限に抑えることができ、安定したポジショニングが可能となる。
【0017】
)()項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、前記頭部支持体には、患者の目及び口が位置する部分に開口部が形成されることを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置(請求項の発明に相当)。
)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置では、頭部支持体において、患者の目が位置する部分が開口されているので、脊柱変形矯正固定手術中における患者の眼球などへの圧迫を抑制することができる。また、頭部支持体において、患者の口部が位置する部分が開口されているので、患者の口部からの気管内挿管チューブを容易にこの開口を経由して外部に延出させることができる。
【0018】
)()項または()項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、前記頭部支持体を含む頭部支持ユニットは、前記胸部用支持体に中間支持体によって連結されており、該中間支持体は、前記胸部用支持体から所定高さの位置に配置されていることを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置。
)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置では、中間支持体により、患者の胸部の、頭側前面を所定高さに支持することができ、患者を脊柱変形矯正固定手術補助装置上に載せた際、患者の頭部を胸部より下方に位置させることができる。
【0019】
)()項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、前記中間支持体の前記頭部支持ユニット側に、凹状逃げ部を形成することを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置。
)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置では、脊柱変形矯正固定手術補助装置を操作して、患者の脊柱を矯正した後、患者の体が頭尾方向に縮小することで頭部を頭部支持体と共に尾側に移動させても、この凹状逃げ部により、頭部支持体の尾側への移動が妨げられることはない。
【0020】
10)(1)項~()項いずれか一項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、前記一対の胸部押圧体、前記一対の腰部押圧体、前記一対の胸部押圧体を含む胸部押圧ユニット及び前記一対の胸部押圧体を含む胸部押圧ユニットは、それぞれ電動モータの駆動により移動することを特徴とする脊柱変形矯正固定手術補助装置。
10)項に記載の脊柱変形矯正固定手術補助装置では、操作者によって、脊柱変形矯正固定手術補助装置を操作する際の労力を軽減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置により、脊柱変形に対して、脊柱変形矯正固定手術による矯正率に近づくように矯正して保持した状態で、術者による外科的な脊柱変形矯正固定手術を行うことができる。これにより、術者により、外科的な脊柱変形矯正固定手術を行う際、その手術手技を簡易化させることができ、その結果、手術時間を短縮でき、患者への負担を軽くすることができる。しかも、外科的な脊柱変形矯正固定手術(インプラントを用いた)による、より効果的な矯正率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置上に、患者を腹臥位にて載せた状態を示す斜視図である。
図2図2は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置が、手術台に連結された状態を示す斜視図である。
図3図3は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、各種パッドを除いた斜視図である。
図4図4は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置のベースユニットを示す斜視図である。
図5図5は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、胸部押圧体に胸部押圧体固定手段及び滑り止め用突出部が一体的に連結された状態を示す斜視図である。
図6図6は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、胸部押圧体に胸部押圧体固定手段及び滑り止め用突出部を組み付ける様子を示す斜視図である。
図7図7は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置の胸部押圧体固定手段の分解斜視図である。
図8図8は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置の胸部用支持体の斜視図である。
図9図9は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置の胸部押圧ユニット固定手段の斜視図である。
図10図10は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置の胸部押圧ユニット固定手段の分解斜視図である。
図11図11は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、胸部押圧ユニットの胸部用支持体と頭部支持ユニットとが一体的に連結された斜視図である。
図12図12は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置であって、腰部押圧体に腰部押圧体固定手段及び滑り止め用突出部が一体的に連結された状態を示す斜視図である。
図13図13は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置の腰部用支持体を示す斜視図である。
図14図14は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置による作用を説明するための図である。
図15図15は、本脊柱変形矯正固定手術補助装置の胸部前面支持パッド上及び腰部前面支持パッド上に複数枚のクッション部材を重ねて、その上に側彎症、後側彎症及び後彎症等の患者を腹臥位にて位置決めして、後彎変形が矯正された状態の側面図である。
図16図16(a)は、術前における側彎症患者の立位での正面X線写真であり、(b)は、術前における患者を頭尾方向に引っ張った状態での正面X線写真である。
図17図17(a)は、図16に示す患者において、本脊柱変形矯正固定手術補助装置により、胸部及びその付近と、腰部及びその付近とを左右方向両側から押圧した状態での腹臥位X線写真であり、(b)は、(a)の状態から患者を頭尾方向に引っ張った状態での腹臥位X線写真であり、(c)は、外科的な脊柱変形矯正固定手術である「後方矯正固定術」を行った後の腹臥位X線写真である。
図18図18は、脊柱変形に対する外科的な脊柱変形矯正固定手術である「後方矯正固定術」を行った後の複数のインプラントによる矯正固定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を図1図18に基づいて詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1は、患者の脊柱側彎症や、後彎症(前彎症)等の脊柱変形を矯正してその状態に保持するものである。本脊柱変形矯正固定手術補助装置1は、脊柱変形に対する外科的な脊柱変形矯正固定手術、すなわち上述した「後方矯正固定術」を行う(図18参照)際に使用される。言い換えれば、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1は、「後方矯正固定術」専用である。本脊柱変形矯正固定手術補助装置1は、術者(外科医)による外科的な脊柱変形矯正固定手術である「後方矯正固定術」の開始直前に、予め、脊柱変形矯正固定手術による矯正率に近づくように脊柱変形を矯正して、術者により「後方矯正固定術」を行う際、その矯正した状態を保持するものである。なお、これに限らず、脊柱変形矯正固定手術中に、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1をさらに操作(さらなる患者への押圧操作)することにより、脊柱変形をさらに矯正する方向に導くことも可能である。要するに、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1は、マスクや気管内挿管を行った全身麻酔下の患者の脊柱側彎症等の脊柱変形に対する外科的な脊柱変形矯正固定手術の開始直前、あるいは該脊柱変形矯正固定手術中に、脊柱変形を矯正してその状態に保持して当該脊柱変形矯正固定手術を容易ならしめるものである。
【0024】
以下に、本発明の実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1を図1図18に基づいて詳細に説明する。
本脊柱変形矯正固定手術補助装置1は、図1及び図2に示すように、手術台10に一体的に連結されるベースユニット4と、該ベースユニット4に一体的に連結され、一対の胸部押圧体31、31を含む胸部押圧ユニット5と、ベースユニット4に一体的に連結され、一対の腰部押圧体160、160を含む腰部押圧ユニット6と、胸部押圧ユニット5と一体的に連結され、頭部支持体136を含む頭部支持ユニット7と、を備えている。以下の説明においては、患者の頭尾方向と直交する方向を左右方向と称する。また、以下の説明において、頭部側を頭側と称し、脚部側を尾側と称する。
【0025】
ベースユニット4は、図4も参照して、左右方向に間隔を開けて配置され、頭尾方向に沿って延びる一対のレール部材14、14と、該一対のレール部材14、14の尾側端部を連結する第1連結部材15と、一対のレール部材14、14の長手方向略中央部を連結する第2連結部材16と、を備えている。これら、ベースユニット4を構成する、一対のレール部材14、14、第1連結部材15及び第2連結部材16は、X線を透過できる材質で構成される。例えば、X線を透過できる材質として、合成樹脂が採用される。本実施形態では、スーパエンジニアプラスチックであるPEEKが採用されている。レール部材14は、頭尾方向に沿って細長い板状に形成される。レール部材14には、その頭側の左右方向外側の面に胸部押圧ユニット5を頭尾方向の任意の位置に固定するための胸部ユニットロック用凹凸部19が所定長さで延びている。
【0026】
また、レール部材14には、その尾側の左右方向外側の面に腰部押圧ユニット6を頭尾方向の任意の位置に固定するための腰部ユニットロック用凹凸部20が所定長さで延びている。各レール部材14の上面には、腰部押圧ユニット6の頭尾方向に沿う初期位置を示す基準線L1と、胸部押圧ユニット5の頭尾方向に沿う初期位置を示す基準線L2~L5とが設けられている。なお、基準線L1は、腰部押圧ユニット6における頭部側への移動を規制する位置となる。基準線L2は、身長が150cm程度の患者に対応するものであり、基準線L3は160cm程度、基準線L4は170cm程度、基準線L5は180cm程度の患者に対応するものである。これら基準線L1~L5は、あくまでも目安となる線である。なお、本実施形態では、胸部ユニットロック用凹凸部19と、腰部ユニットロック用凹凸部20との間に間隔が設けられているが、胸部ユニットロック用凹凸部19と、腰部ユニットロック用凹凸部20とを連続するように接続してもよい。これにより、胸部押圧ユニット5及び腰部押圧ユニット6の、一対のレール部材14、14に沿う移動範囲を増大させることができる。なお、各レール部材14の上面に、胸部押圧ユニット5及び腰部押圧ユニット6の頭尾方向に沿う位置や移動距離を把握するための目盛りを併せて設けるようにしてもよい。
【0027】
レール部材14の長手方向(頭尾方向)両端部には、左右方向の幅長が他の部位より幅広である幅広部24がそれぞれ形成されている。レール部材14の幅広部24には、その上面及び外側面を開放する連結凹部25が形成される。該連結凹部25に、手術台10の天板11とレール部材14とを着脱自在に連結する連結手段であるクランプ部材27が嵌合される。クランプ部材27は、正面視コ字状に形成される。クランプ部材27は、その上側壁部を上下方向に貫通する雌ねじ部(図示略)を有している。この雌ねじ部に固定ねじ28が螺合される。第1連結部材15は、板状であって、頭側に突出する平面視略コ字状に形成される。第2連結部材16は、左右方向に延びる板状に形成される。なお、本実施形態では、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1と手術台10との連結手段として、詳しくはベースユニット4の一対のレール部材14、14と、手術台10の天板11とを一体的に連結する連結手段としてクランプ部材27を採用したが、これに限らず、手術台10の側面から、間隔を置いて長手方向に沿って既設されているサイドレール(図示略)を利用して、ベースユニット4の一対のレール部材14、14を、手術台10の天板11に一体的に連結するように構成してもよい。
【0028】
図2及び図3に示すように、胸部押圧ユニット5は、左右方向に間隔を置いて配置される一対の胸部押圧体31、31と、一対の胸部押圧体31、31を互いに近接・離間可能に支持する胸部用支持体32と、胸部押圧体31に一体的に連結され、胸部押圧体31を胸部用支持体32に対して、操作者によるスイッチ部71のスライド操作に連動して、任意の位置に固定、または移動可能に解放する胸部押圧体固定手段33と、を備えている。一対の胸部押圧体31、31、及び胸部押圧体固定手段33の構成部材は、X線を透過できる材質で構成される。例えば、X線を透過できる材質として、合成樹脂が採用される。本実施形態では、スーパエンジニアプラスチックであるPEEKが採用されている。
【0029】
図5及び図6も参照して、胸部押圧体31は板状に形成される。胸部押圧体31は、全体として側面視略矩形状に形成されているが、頭側に、その頂部から頭側に向かって次第にその高さが低くなる(その幅長が大きくなる)切欠き部35が形成される。この切欠き部35により、胸部押圧体31によって、患者の胸部及びその付近を左右方向側面から押圧する際、胸部押圧体31が患者のわきの下付近に接触して押圧することのないようになっている。言い換えれば、この切欠き部35により、胸部押圧体31が患者のわきの下付近を押圧することによる、腋下神経の圧迫を防ぐ、あるいは圧迫が生じないようにしている。また、胸部押圧体31は、患者のわきの下付近への接触を避けるために、上側の幅長W1と下側の幅長W2との差が約65mm~75mmの範囲内となるように形成されている。本実施形態では、胸部押圧体31の上側の幅長W1と下側の幅長W2との差が約70mmに設定されている。胸部押圧体31は、図1を参照して、患者が、腹臥位にて本脊柱変形矯正固定手術補助装置1上に載せられた状態で、少なくとも患者の背面よりも高くなるようにその高さH1が設定されている。なお、胸部押圧体31は、幅長(W1及びW2)が大小の2種類が用意されている。これら大小の胸部押圧体31は、患者の側彎症のカーブの位置によって任意に使い分けることができる。例えば、胸椎カーブまたは胸腰椎カーブであれば、幅長(W1、W2)が大である胸部押圧体31が選択され、腰椎カーブであれば、幅長(W1、W2)が小である胸部押圧体31が選択される。
【0030】
胸部押圧体31には、切欠き部35から尾側の内面全域に滑り抑制手段としての滑り止め用突出部37が連結されている。滑り止め用突出部37は、底面39及び傾斜面40を有する板状に形成される。滑り止め用突出部37は、その幅長(底面39の幅長)W3が胸部押圧体31の幅長W1と略同じであり、その高さH2が胸部押圧体31の高さH1より若干低く形成されている。そして、滑り止め用突出部37の底面39が、胸部押圧体31の内面にそれぞれの上端が略一致するように当接され、この底面39に対して、尾側端部が最も高く頭側に向かって次第にその高さが低くなる傾斜面40が患者の体表面側に位置するように連結される。なお、滑り止め用突出部37の底面39に対する傾斜面40の傾斜角度αは、5~45°の範囲内で設定される。この傾斜角度αは、患者の体の大きさ(体格)によって設定するほうが好ましい。また、本実施形態では、滑り止め用突出部37の高さH2は、胸部押圧体31の高さH1より若干低く設定されているが、その高さH2を後述する胸部側面支持パッド42の高さH3と略同じに形成してもよい。この実施形態の場合には、滑り止め用突出部37は、胸部押圧体31の上部に前述したように連結される。これにより、一対の胸部押圧体31、31が互いに近接する方向に移動する際、滑り止め用突出部37が後述する胸部前面支持パッド94、94と干渉することはなく、一対の胸部押圧体31、31により患者の胸部及びその付近を両側方から容易に押圧することができる。
【0031】
そして、滑り止め用突出部37により、胸部押圧ユニット5を頭側にスライドさせる場合や、患者が尾側に引っ張られた場合でも、一対の胸部押圧体31、31が患者の胸部の左右両側面から頭尾方向に沿って滑ることなく、一対の胸部押圧体31、31を、後述の胸部側面支持パッド42、42を介して患者の胸部及びその付近に一体的に密着させることができる。なお、本実施形態では、滑り抑制手段として、底面39及び傾斜面40を有する板状の滑り止め用突出部37を採用したが、滑り止め用突出部37において、傾斜面40に代わって、内方に凹設される弯曲凹部を形成してもよい。また、滑り抑制手段として、胸部押圧体31を、レール部材14の延在方向に対する垂直方向を回転軸としてその回転軸を中心に回動自在にレール部材14に取り付ける。そして、一対の胸部押圧体31を、平面視でハ字状を呈する位置、すなわち一対の胸部押圧体31間の距離が尾側に向かって次第に小さくなるようにそれぞれ回動させて、その位置に固定するように構成してもよい。
【0032】
図1図2及び図6に示すように、滑り止め用突出部37を含む胸部押圧体31と、患者の体表面との間には、柔軟性に富む胸部側面支持パッド42が配置される。該胸部側面支持パッド42は、ブロック状に形成され、胸部押圧体31(滑り止め用突出部37)の上部に着脱自在に装着される。当該胸部側面支持パッド42は、X線を透過する材質にて構成される。胸部側面支持パッド42は、袋体内に軟質のウレタンマットが充填されて構成されている。当該胸部側面支持パッド42を使用することで、胸部押圧体31により、患者の胸部及びその付近を押圧しても、患者の体表面への褥瘡を抑制することができる。なお、胸部側面支持パッド42は、一対の胸部押圧体31、31が、胸部側面支持パッド42、42と共に互いに近接する方向に移動する際に、後述する胸部前面支持パッド94、94と干渉することのないようにその高さH3が設定されている。胸部側面支持パッド42の幅長W4は、滑り止め用突出部37の幅長W3と略同じである。
【0033】
図5図7に示すように、胸部押圧体31の外面の下端に、胸部押圧体固定手段33が一体的に連結される。胸部押圧体固定手段33は、平面視略矩形状の支持プレート50と、該支持プレート50内に収容され、支持プレート50の下面から出没する一対の凹凸部64、64を有するロック部材51と、該支持プレート50に対して長手方向に沿ってスライド自在であり、ロック部材51を下方に向けて押圧する、スライドスイッチとしてのスイッチ部材52と、これらロック部材51及びスイッチ部材52を支持プレート50との間に収容するカバー部材53と、支持プレート50の長手方向両端面に連結される一対の補強リブ54、54と、を備えている。図7から解るように、支持プレート50には、上下方向に貫通する貫通部58、58が長手方向に間隔を置いて2箇所形成されている。該各貫通部58、58の周りには、ロック部材51を上下方向に移動可能に支持する第1収容凹部59が形成される。該第1収容凹部59の周りには、スイッチ部材52を長手方向にスライド可能に支持する第2収容凹部60が形成される。
【0034】
ロック部材51は、板状のロック本体部63と、該ロック本体部63の下面から下方に向けて一体的に突設される一対の凹凸部64、64と、ロック本体部63の上面から上方に向かって一体的に突設される複数のカム部65、65と、を備えている。ロック本体部63は、板状であって、平面視略矩形状に形成される。ロック本体部63は、支持プレート50の第1収容凹部59内に収容される。凹凸部64、64は長手方向に沿って間隔を置いて一対形成される。凹凸部64、64はロック本体部63の短手方向に沿って延びている。これら一対の凹凸部64、64が支持プレート50の各貫通部58、58に挿通して、支持プレート50の下面から出没自在となる。カム部65、65は、一対の凹凸部64、64に対応するように長手方向に間隔を置いて一対形成される。このカム部65、65は、短手方向に沿って分割されている。
【0035】
スイッチ部材(スライドスイッチ)52は、板状のスイッチ本体部70と、スイッチ本体部70の上面から一体的に上方に突設されるスイッチ部71と、を備えている。スイッチ本体部70の下面には、長手方向に間隔を置いて一対の押圧部72、72が突設されている。スイッチ本体部70が、支持プレート50の第2収容凹部60に長手方向に沿って移動自在に収容される。スイッチ部71は、角柱状に形成されている。カバー部材53には、スイッチ部材52のスイッチ部71が、頭尾方向(長手方向)にスライド自在に挿通される長孔75が形成される。カバー部材53は、支持プレート50との間にロック部材51及びスイッチ部材52を収容した状態で、支持プレート50に連結される。
【0036】
支持プレート50の両側面には、一対の補強リブ54、54がそれぞれ連結されている。補強リブ54は、支持プレート50の長手方向端面に固定される支持本体部78と、該支持本体部78の上面から胸部押圧体31に向かって延び、先端が胸部押圧体31に連結される補強アーム79と、支持本体部78の下端から支持プレート50側に突設され、支持プレート50の下面との間に隙間を設ける受け部80と、を備えている。そして、胸部押圧体固定手段33においては、カバー部材53の長孔75から上方に突出されるスイッチ部材52のスイッチ部71を、長孔75の長手方向に沿ってロック方向にスライドさせると、スイッチ部材52が長手方向に沿ってロック方向にスライドして、スイッチ本体部70の一対の押圧部72、72が、ロック部材51の一対のカム部65、65を上方から押圧する。その結果、ロック部材51が下方に移動しつつ、一対の凹凸部64、64が、支持プレート50の各貫通部58、58から下方に突出して、その状態が保持される。なお、胸部押圧体固定手段33におけるスイッチ部材52のスライド部71のロック方向は、頭部に向かう方向(頭側)となる。
【0037】
一方、スイッチ部材52のスイッチ部71を、カバー部材53の長孔75の長手方向に沿ってアンロック方向にスライドさせると、スイッチ本体部70の一対の押圧部72、72がロック部材51の一対のカム部65、65を押圧不能になるので、ロック部材51が上下方向に移動自在、すなわちフリーの状態になる。なお、胸部押圧体固定手段33におけるスイッチ部材52のスライド部71のアンロック方向は、脚部に向かう方向(尾側)となる。また、胸部押圧体31の外面の下端に、胸部押圧体固定手段33が一体的に連結されるが、具体的には、胸部押圧体31の外面に、胸部押圧体固定手段33のカバー部材53が連結されると共に、一対の補強リブ54、54の補強アーム79、79の先端が連結されて、両者31、33が一体的に連結される。また、図3及び図5から解るように、胸部押圧体31の外面の下端部と、頭側の補強リブ54とが、平面視三角状の補強プレート82により連結される。
【0038】
これら補強アーム79、79及び補強プレート82により、一対の胸部押圧体31、31により患者の胸部及びその付近を左右方向両側から押圧する際、その反力により、一対の胸部押圧体31、31が外側に傾倒することなく、一対の胸部押圧体31、31からの押圧力を、適切に患者の胸部及びその付近に伝達することができる。図3に示すように、胸部押圧体固定手段33が一体化された胸部押圧体31は、左右方向に延びる胸部用支持体32に着脱自在に装着される。
【0039】
胸部用支持体32の以下に説明する各構成部材は、X線を透過できる材質で構成される。例えば、X線を透過できる材質として、合成樹脂が採用される。本実施形態では、フェノール樹脂(ベークライト(商標))が採用されている。図3及び図8に示すように、胸部用支持体32は、左右方向に延びるベースプレート85と、該ベースプレート85上でその左右方向両端部にそれぞれ連結される一対のロック用プレート86、86と、一対のロック用プレート86、86の内側にそれぞれ配置される一対のスライドプレート87、87と、を備えている。ベースプレート85は、その左右方向両端部に、一対のロック用プレート86、86がそれぞれ連結される平面視略矩形状の主プレート部90と、該主プレート部90から頭側に突設され、平面視略矩形状で、主プレート部90より左右方向の長さ(幅長)が短い副プレート部91と、を備えている。副プレート部91の左右方向両端に四角柱部材142、142がそれぞれ連結される。
【0040】
ロック用プレート86は、平面視略矩形状に形成される。ロック用プレート86の左右方向端部が、ベースプレート85(主プレート部90)の左右方向端部の上面に連結される。ロック用プレート86の上面には、ロック用凹凸部93、93が左右方向に沿って延びる。該ロック用凹凸部93、93は、頭尾方向に沿って間隔を置いて一対設けられる。なお、ロック用プレート86には、その上面でその頭尾方向両端に、胸部押圧体31の位置を計測するための目盛りがそれぞれ設けられている。一対のスライドプレート87、87は、ベースプレート85に互いに近接・離間可能に支持されている。スライドプレート87及びロック用プレート86の幅長(頭尾方向の長さ)は略同一であり、ベースプレート85の主プレート部90の幅長(頭尾方向の長さ)より若干小さく設定される。
【0041】
一対のスライドプレート87、87上には、患者の胸部前面を支持する胸部前面支持パッド94、94が着脱自在にそれぞれ装着される。胸部前面支持パッド94は、ブロック状に形成され、その上面が左右方向一端部から他端部に向かってその高さが次第に低くなる傾斜面94Aに形成される。胸部前面支持パッド94は、X線を透過する材質にて構成される。胸部前面支持パッド94は、袋体内に硬質のウレタンマットが充填されて構成されている。そして、各胸部前面支持パッド94、94は、一対のスライドプレート87、87上に、各傾斜面94A、94Aにより、全体として正面視V字状を呈するように装着される。なお、図2から解るように、これら胸部前面支持パッド94、94は、一対の胸部押圧体31、31が、胸部側面支持パッド42、42と共に近接する方向に移動する際に、胸部側面支持パッド42、42と干渉することはない。なお、本実施形態では、一対のスライドプレート87、87は、ベースプレート85上に互いに近接・離間可能に支持されているが、必ずしも、ベースプレート85上をスライドさせる必要はない。要するに、一対のスライドプレート87、87が、ベースプレート85上を互いに近接・離間可能に支持されている場合、後述するように本脊柱変形矯正固定手術補助装置1が作用すると、患者の胸部前面の皮膚を左右方向中央に向かって引っ張る力が作用して該皮膚への影響が大きくなる虞があり、その懸念がある場合には、一対のスライドプレート87、87を設ける必要はない。
【0042】
そして、図1図3に示すように、胸部用支持体32のロック用プレート86を胸部押圧体固定手段33の支持プレート50と、一対の補強リブ54、54の受け部80、80との間に挟み込むようにして、胸部押圧体固定手段33を含む胸部押圧体31が、胸部用支持体32に対して配置される。その結果、胸部押圧体固定手段33のスイッチ部71を長孔75の長手方向に沿ってアンロック方向にスライドさせた状態では、ロック部材51が上下方向にフリーの状態になるので、胸部押圧体固定手段33を含む胸部押圧体31がロック用プレート86に沿って左右方向に移動自在になる。
【0043】
一方、胸部押圧体31をロック用プレート86の左右方向に沿う任意の位置に固定する際には、胸部押圧体固定手段33のスイッチ部71を長孔75の長手方向に沿ってロック方向にスライドさせれば、上述したように、スイッチ部材52が長手方向にスライドしつつ、スイッチ本体部70の一対の押圧部72、72がロック部材51の一対のカム部65、65を上方から押圧する。その結果、ロック部材51が下方に移動しつつ、ロック部材51の一対の凹凸部64、64が支持プレート50の各貫通部58、58から下方に突出して、胸部用支持体32のロック用プレート86の一対のロック用凹凸部93、93に嵌合して、その位置で固定される。なお、上述したように、一対の胸部押圧体31、31は、各胸部押圧体固定手段33、33の作用により、胸部用支持体32に対してそれぞれ独立して移動可能である。
【0044】
また、図8に示すように、胸部用支持体32の各ロック用プレート86の左右方向端部の下面に、胸部押圧ユニット固定手段96が一体的に連結されている。当該胸部押圧ユニット固定手段96は、胸部押圧ユニット5を、一対のレール部材14、14に対して、操作者によるスイッチ部124のスライド操作に連動して、頭尾方向の任意の位置に固定、または移動可能に解放するものである。胸部押圧ユニット固定手段96の以下に説明する各構成部材は、X線を透過できる材質で構成される。例えば、X線を透過できる材質として、合成樹脂が採用される。本実施形態では、スーパエンジニアプラスチックであるPEEKが採用されている。図9及び図10に示すように、胸部押圧ユニット固定手段96は、ベースユニット4のレール部材14に沿ってスライドするスライダー98と、スライダー98内に収容されるロック部材99と、スライダー98に対して頭尾方向にスライド自在であり、ロック部材99を押圧する、スライドスイッチとしてのスイッチ部材100と、これらロック部材99及びスイッチ部材100をスライダー98との間に収容するカバー部材101と、を備えている。
【0045】
スライダー98の下面には、頭尾方向に沿って、レール部材14を収容する正面視コ字状の収容凹部105が形成される。この収容凹部105内で、カバー部材101側とは反対側の壁面に、レール部材14に当接されて、該レール部材14を案内する円筒状の案内部106、106が頭尾方向に沿って一対突設されている(図9には1個のみ図示されている)。当該スライダー98の上面が、胸部用支持体32のロック用プレート86の左右方向端部に連結される。
【0046】
スライダー98の左右方向外側面には、棒状のスイッチ部材100を頭尾方向に沿って移動自在に支持する支持凹部107が形成される。該支持凹部107の底部には、収容凹部105に連通する貫通長孔部108が形成される。貫通長孔部108は、頭尾方向に沿って長い貫通孔で構成される。ロック部材99は、板状のロック本体部112と、該ロック本体部112からスライダー98に向かって一体的に突設される凹凸部113と、ロック本体部112からカバー部材101に向かって一体的に突設される複数のカム部114、114と、を備えている。ロック本体部112は、板状であって、カバー部材101側の面には、頭尾方向に沿って延びる支持溝部118が形成される。この支持溝部118を介して上下側に一対の壁部119、119が形成される。
【0047】
ロック本体部112の一対の壁部119、119で、そのカバー部材101側の面にカム部114、114がそれぞれ突設される。これらのカム部114、114は、頭尾方向(長手方向)に間隔を置いて一対形成される。凹凸部113は、ロック本体部112のスライダー98側の面に頭尾方向に沿って延びている。この凹凸部113が、スライダー98の貫通長孔部108から収容凹部105内に出没自在となる。そして、ロック部材99は、スライダー98の貫通長孔部108内に、レール部材14に向かって近接・離間自在に支持される。
【0048】
スイッチ部材(スライドスイッチ)100は、角柱状で頭尾方向に延びるスイッチ本体部123と、スイッチ本体部123の長手方向両端部に一体的に固定される一対のスイッチ部124、124と、を備えている。スイッチ本体部123には、上面、下面及びスライダー98側の面を開放する平面視コ字状の凹部127が形成される。この凹部127の底部には、上下方向中央部に頭尾方向に沿って延び、ロック部材99に設けた支持溝部118に嵌合される細長い凸部128が形成される。この凸部128を境に、その凹部127の上下の底部から頭尾方向に間隔を置いて一対の押圧部130、130が突設される。このスイッチ本体部123は、その細長い凸部128がロック部材99の支持溝部118に嵌合すると共に、スライダー98の支持凹部107に、スライダー98に対してその頭尾方向に移動自在に収容される。
【0049】
カバー部材101は、スライダー98との間にロック部材99及びスイッチ部材100を収容した状態で、スライダー98と連結される。そして、胸部押圧ユニット固定手段96においては、スイッチ部材100のいずれか一方のスイッチ部124を頭尾方向に沿ってロック方向にスライドさせると、スイッチ部材100が頭尾方向に沿ってロック方向にスライドして、スイッチ本体部123の一対の押圧部130、130が、ロック部材99の一対のカム部114、114を押圧する。その結果、ロック部材99がスライダー98側に移動しつつ、凹凸部113がスライダー98の各貫通長孔部108から収容凹部105内に突出して、その状態が保持される。なお、胸部押圧ユニット固定手段96のスイッチ部材100によるロック方向は、頭部に向かう方向(頭側)となる。一方、スイッチ部材100のいずれか他方のスイッチ部124を頭尾方向に沿ってアンロック方向にスライドさせると、スイッチ本体部123が頭尾方向に沿ってアンロック方向にスライドして、スイッチ本体部123の一対の押圧部130、130が、ロック部材99の一対のカム部114、114を押圧不能になり、ロック部材99が左右方向に移動自在、すなわちフリーの状態となる。なお、胸部押圧ユニット固定手段96のスイッチ部材100によるアンロック方向は、脚部に向かう方向(尾側)となる。
【0050】
そして、図1図3に示すように、胸部用支持体32の各ロック用プレート86の左右方向端部の下面に胸部押圧ユニット固定手段96が一体的にそれぞれ連結され、一対の胸部押圧ユニット固定手段96の収容凹部105に、一対のレール部材14、14がそれぞれ嵌合される。そして、一対の胸部押圧ユニット固定手段96のスイッチ部124(スイッチ部材100)をいずれもアンロック方向にスライドさせた状態では、胸部押圧ユニット固定手段96のロック部材99がフリーの状態になり、胸部押圧ユニット固定手段96を含む胸部押圧ユニット5が、一対のレール部材14、14に沿って移動自在になる。
【0051】
一方、胸部押圧ユニット5を一対のレール部材14、14(胸部ユニットロック用凹凸部19が形成される範囲)の頭尾方向に沿う任意の位置に固定する際には、一対の胸部押圧ユニット固定手段96のスイッチ部124(スイッチ部材100)をいずれも頭尾方向に沿ってロック方向にスライドさせれば、上述したように、スイッチ部材100が頭尾方向に沿ってロック方向にスライドして、スイッチ本体部123の一対の押圧部130、130が、ロック部材99の一対のカム部114、114を押圧する。その結果、ロック部材99がスライダー98側に移動しつつ、その凹凸部113がスライダー98の各貫通長孔部108から収容凹部105内に突出して、一対のレール部材14、14の胸部ユニットロック用凹凸部19に嵌合し、その位置で固定される。このように、胸部押圧ユニット5は、胸部押圧ユニット固定手段96の操作により、レール部材14に沿って移動自在であり、レール部材14に設けた胸部ユニットロック用凹凸部19の範囲内の任意位置に固定することができる。
【0052】
また、図11に示すように、頭部支持ユニット7は、胸部押圧ユニット5の胸部用支持体32と一体的に連結されている。詳しくは、頭部支持ユニット7は、胸部用支持体32と一体的に連結されている支持板ユニット135と、支持板ユニット135に支持される頭部支持体136と、を備えている。支持板ユニット135の以下に説明する各構成部材は、X線を透過できる材質で構成される。例えば、X線を透過できる材質として、合成樹脂が採用される。本実施形態では、フェノール樹脂(ベークライト(商標)が採用されている。
【0053】
当該支持板ユニット135は、患者の頭部の下方に延在する頭部支持板138と、胸部用支持体32の副プレート部91及び頭部支持板138に一体的に連結され、頭部支持板138及び胸部用支持体32から所定高さの位置に配置される中間支持板139と、を備えている。頭部支持板138は、頭尾方向に沿って長い略矩形状に形成される。なお、上述したように、胸部用支持体32の副プレート部91の左右方向両端部に四角柱部材142、142(図8も参照)がそれぞれ連結される。頭部支持板138の尾側端部における左右方向両端部にも、四角柱部材143、143がそれぞれ連結される。
【0054】
中間支持板139は、その頭側が頭部支持板138の幅長(左右方向の長さ)と略同じであり、その頭側に弯曲凹部145が形成される。なお、本実施形態では、中間支持板139の幅長(左右方向の長さ)は、頭部支持板138の幅長(左右方向の長さ)と略同じであるが、患者のわきの下との接触具合を考慮して、中間支持板139の幅長を頭部支持板138の幅長よりも短く設定してもよい。弯曲凹部145が逃げ凹部に相当する。そして、後述のように本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を操作して、患者の脊柱変形を矯正した後、患者の体に頭尾方向に縮小しようとする力が働いた場合、頭部を頭部支持体136と共に尾側に移動させる際、弯曲凹部145により、頭部支持体136の尾側への移動が妨げられることはない。中間支持板139の尾側は、胸部用支持体32の副プレート部91の幅長と略同じであり、略矩形状で突設されている。そして、中間支持板139は、その尾側の左右方向両端部が、胸部用支持体32の副プレート部91から上方に突設される各四角柱部材142、142にそれぞれ連結される。一方、中間支持板139の頭側で、弯曲凹部145を境とした左右方向の両部位が、頭部支持板138から上方に突設される各四角柱部材143、143にそれぞれ連結される。
【0055】
中間支持板139の尾側上面で、その左右方向両側に一対の胸部前面支持パッド146、146が着脱自在にそれぞれ装着される。胸部前面支持パッド146は、ブロック状に形成され、その上面が左右方向一端部から他端部に向かってその高さが次第に低くなる傾斜面146Aに形成される。胸部前面支持パッド146は、X線を透過する材質にて構成される。胸部前面支持パッド146は、袋体内に硬質のウレタンマットが充填されて構成されている。そして、一対の胸部前面支持パッド146、146は、中間支持板139の尾側上面でその左右方向両側に、各傾斜面146A、146Aにより、全体として正面視V字状を呈するように装着される。
【0056】
頭部支持ユニット7の頭部支持板138上に鏡部材148が配置される。鏡部材148の上方に、所定高さの複数の支持柱部149、149を介して頭部支持体136が支持される。頭部支持体136は、その下面に支持柱部149、149が連結されている。操作者により、頭部支持体136を、支持柱部149と共に鏡部材148上を移動させることが可能である。なお、支持柱部149の下部にはナット部材150が一体的に連結されており、このナット部材150を回転させることにより、頭部支持体136の高さを調整することができる。頭部支持体136は、各患者の顔面を包むように支持する凹部を有する頭部支持部152と、該頭部支持部152の凹部内に配置される柔軟性を有するクッション部153と、を備えている。各支持柱部149を含む頭部支持部152及びクッション部153は、X線を透過できる材質で構成される。頭部支持部152及びクッション部153には、患者の目及び口が位置する部分に開口部155が形成されている。そして、頭部支持ユニット7は、胸部押圧ユニット5に一体的に連結されているために、胸部押圧ユニット5と共に一対のレール部材14、14に沿って頭尾方向に移動自在に構成される。
【0057】
また、図1図3に示すように、腰部押圧ユニット6は、左右方向に間隔を置いて配置される一対の腰部押圧体160、160と、一対の腰部押圧体160、160を互いに近接・離間可能に支持する腰部用支持体161と、腰部押圧体160に一体的に連結され、腰部押圧体160を腰部用支持体161に対して、操作者によるスイッチ部71のスライド操作に連動して、任意の位置に固定、または移動可能に解放する腰部押圧体固定手段162と、を備えている。図12も参照して、腰部押圧体160は板状に形成される。腰部押圧体160は、全体として側面視略矩形状に形成されているが、その尾側にその頂部から尾側に向かって次第にその高さが低くなる切欠き部165が形成される。なお、本実施形態では、腰部押圧体160にも切欠き部165が設けてあるが、必ずしも設ける必要はない。
【0058】
腰部押圧体160は、胸部押圧体31とその高さが略同じである。腰部押圧体160は、胸部押圧体31とその厚さが略同じである。腰部押圧体160の幅長は、胸部押圧体31として用意されている幅長(W1、W2)の大小の2種類において、その中間寸法に設定されている。腰部押圧体160の頭側にも、胸部押圧体31と同様に、滑り抑制手段として、底面180及び傾斜面181を有する板状に形成される滑り止め用突出部166が連結されている。該滑り止め用突出部166は、胸部押圧体31に連結された滑り止め用突出部37と同様の形状寸法を有する。そして、滑り止め用突出部166の底面180が、腰部押圧体160の内面にそれぞれの上端が略一致するように当接され、この底面180に対して、頭側端部が最も高く尾側に向かって次第にその高さが低くなる傾斜面181が患者の体表面側に位置するように連結される。なお、滑り止め用突出部166の底面180に対する傾斜面181の傾斜角度βは、5~45°の範囲内で設定される。この傾斜角度βは、患者の体の大きさ(体格)によって設定するほうが好ましい。また、本実施形態では、滑り止め用突出部166の高さは、腰部押圧体160の高さより若干低く設定されているが、滑り止め用突出部166の高さを後述する腰部側面支持パッド167の高さと略同じに形成してもよい。この実施形態の場合には、滑り止め用突出部166は、腰部押圧体160の上部に連結される。これにより、一対の腰部押圧体160、160が互いに近接する方向に移動する際、滑り止め用突出部166、166が後述する腰部前面支持パッド169、169と干渉することはなく、一対の腰部押圧体160、160により患者の腰部及びその付近を両側方から容易に押圧することができる。そして、この滑り止め用突出部166により、腰部押圧ユニット6を尾側にスライドさせる際や、患者が頭側に引っ張られた際でも、一対の腰部押圧体160、160が患者の腰部の左右方向両側面から滑ることなく、一対の腰部押圧体160、160を、後述の腰部側面支持パッド167、167を介して患者の腰部及びその付近に一体的に密着させることができる。
【0059】
図1及び図2に示すように、滑り止め用突出部166を含む腰部押圧体160と、患者の体表面との間には、柔軟性に富む腰部側面支持パッド167が頭尾方向に沿って複数配置される。本実施形態では、腰部側面支持パッド167は、頭尾方向に沿って互いに当接するように2個配置されている。該腰部側面支持パッド167は、ブロック状に形成され、腰部押圧体160(滑り止め用突出部166)の上部に着脱自在に装着される。当該腰部側面支持パッド167は、X線を透過する材質にて構成される。腰部側面支持パッド167は、胸部側面支持パッド42と同様に、袋体内に軟質のウレタンマットが充填されて構成されている。当該腰部側面支持パッド167を使用することで、腰部押圧体160により患者の腰部及びその付近を押圧しても、患者の体表面への褥瘡を抑制することができる。なお、腰部側面支持パッド167は、一対の腰部押圧体160、160が、腰部側面支持パッド167、167と共に互いに近接する方向に移動する際に、後述する腰部前面支持パッド169、169と干渉することのないようにその高さが設定されている。
【0060】
図12に示すように、腰部押圧体160の外面の下端に、腰部押圧体固定手段162が一体的に連結される。腰部押圧体固定手段162の構成は、胸部押圧体固定手段33の構成と同じであるので、ここでの説明を適宜省略する。なお、腰部押圧体160には、その外面の下端部と、頭側の補強リブ54とが補強プレート82により連結され、また、腰部押圧体160の外面の下端部と、尾側の補強リブ54とが補強プレート82により連結される。これら一対の補強アーム79、79及び一対の補強プレート82、82により、一対の腰部押圧体160、160により患者の腰部及びその付近を左右方向両側から押圧する際、その反力により、一対の腰部押圧体160、160が外側に傾倒することなく、一対の腰部押圧体160、160からの押圧力を、適切に患者の腰部及びその付近に伝達することができる。なお、腰部押圧体固定手段162におけるスイッチ部材52のスライド部71のロック方向は、脚部に向かう方向(尾側)となる。一方、腰部押圧体固定手段162におけるスイッチ部材52のスライド部71のアンロック方向は、頭部に向かう方向(頭側)となる。
【0061】
図13に示すように、腰部用支持体161を構成するベースプレート168は、略矩形状に形成される。その他の構成は胸部用支持体32と同じであるので、ここでの説明を省略する。なお、腰部用支持体161の一対のスライドプレート87、87上には、患者の腰部前面を支持する腰部前面支持パッド169、169が着脱自在にそれぞれ装着される。腰部前面支持パッド169は、胸部前面支持パッド94と同様に、ブロック状に形成され、その上面が左右方向一端部から他端部に向かってその高さが次第に低くなる傾斜面169Aに形成される。腰部前面支持パッド169は、X線を透過する材質にて構成される。腰部前面支持パッド169は、袋体内に硬質のウレタンマットが充填されて構成されている。一対の腰部前面支持パッド169、169は、一対のスライドプレート87、87上に、各傾斜面169A、169Aにより、全体として正面視V字状を呈するように装着される。なお、腰部用支持体161においても、ベースプレート168上を互いに近接・離間可能に支持される一対のスライドプレート87、87が設けられているが、後述するように本脊柱変形矯正固定手術補助装置1が作用すると、患者の腰部前面の皮膚を左右方向中央に向かって引っ張る力が作用して該皮膚への影響が大きくなる虞があり、その懸念がある場合には、一対のスライドプレート87、87を設ける必要はない。
【0062】
図2に示すように、この腰部前面支持パッド169は、一対の腰部押圧体160、160が腰部側面支持パッド167、167と共に近接する方向に移動する際に、腰部側面支持パッド167、167と干渉することはない。また、図13に示すように、腰部用支持体161の各ロック用プレート86、86の左右方向端部の下面に、腰部押圧ユニット固定手段170が一体的に連結されている。当該腰部押圧ユニット固定手段170は、腰部押圧ユニット6を、一対のレール部材14、14に対して、操作者によるスイッチ部124のスライド操作に連動して、頭尾方向の任意の位置に固定、または移動可能に解放するものである。腰部押圧ユニット固定手段170は、胸部押圧ユニット固定手段96とその構成が同じであるので、ここでの説明を適宜省略する。腰部押圧ユニット6は、腰部押圧ユニット固定手段170の操作により、レール部材14に沿って移動自在であり、レール部材14に設けた腰部ユニットロック用凹凸部20の範囲内の任意位置に固定することができる。
【0063】
次に、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1の作用を、図14に基づいて、図1図3も参照しながら説明する。なお、図14に示す患者は、側彎症患者であり、図14(a)に示すように、模式的ではあるが、この側彎症は、骨盤の左右方向中央からの垂線CL上から頭部が図中右側にずれ、左右方向の体幹バランスを喪失しており、且つ胸椎にカーブのあるシングルカーブの症例である。
【0064】
まず、脊柱変形矯正固定手術補助装置1を手術台10上に載置して、ベースユニット4の一対のレール部材14、14の各幅広部24、24の外側面と、手術台10の天板11の左右方向両側面とを一致させる。続いて、各レール部材14、14の各幅広部24に設けた連結凹部25の底部と手術台10の天板11とを挟み込むように、クランプ部材27をそれぞれ嵌合させる。その後、各クランプ部材27の固定ねじ28をねじ込み、固定ねじ28の先端を各連結凹部25の底部に当接させて押圧することで、ベースユニット4の一対のレール部材14、14、ひいては本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を手術台10の天板11に固定する。この時、胸部押圧ユニット5における、胸部押圧体固定手段33、33を含む一対の胸部押圧体31、31は、胸部用支持体32から取り外した状態である。また、腰部押圧ユニット6における、腰部押圧体固定手段162、162を含む一対の腰部押圧体160、160も、腰部用支持体161から取り外した状態である。さらに、腰部用支持体161は、一対のレール部材14、14の上面に表示した基準線L1に腰部用支持体161のロック用プレート86、86の頭側端が位置するように一対のレール部材14、14に対して配置される。一方、胸部用支持体32は、一対のレール部材14、14の上面に表示した、患者の身長に対応した基準線L2~L5のいずれかに胸部用支持体32のロック用プレート86、86の頭側端が位置するように一対のレール部材14、14に対して配置される。しかしながら、これら基準線L1~L5は、あくまでも目安であるので、必ずしもその位置にこだわることはない。
【0065】
次に、マスクまたは気管内挿管を行った全身麻酔下の患者は、腹臥位にて、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1の胸部用支持体32(胸部押圧ユニット5)上の一対の胸部前面支持パッド94、94、腰部用支持体161(腰部押圧ユニット6)上の一対の腰部前面支持パッド169、169、及び頭部支持ユニット7の中間支持板139上の一対の胸部前面支持パッド146、146上に載せられる。また患者の頭部は頭部支持ユニット7の頭部支持体136により支持されて保護される。このとき、頭部支持ユニット7の中間支持板139により、患者の胸部の上側前面を所定高さに支持することができ、患者の頭部を胸部より下方に位置させることができる。
【0066】
次に、胸部押圧体31が一体化された胸部押圧体固定手段33の支持プレート50と、一対の補強リブ54、54の受け部80、80との間に、胸部用支持体32のロック用プレート86を挟み込むようにして、一対の、胸部押圧体固定手段33、33を含む胸部押圧体31、31を胸部用支持体32に対してそれぞれ配置する。一方、腰部押圧体160が一体化された腰部押圧体固定手段162の支持プレート50と、一対の補強リブ54、54の受け部80、80との間に、腰部用支持体161のロック用プレート86を挟み込むようにして、一対の、腰部押圧体固定手段162、162を含む腰部押圧体160、160を腰部用支持体161に対してそれぞれ配置する。
【0067】
次に、図14(a)に示すように、図1及び図2も適宜参照して、一対の腰部押圧体160、160において、各腰部押圧体固定手段162、162のスイッチ部71、71をアンロック方向(頭部に向かう方向)にそれぞれスライドさせて(ワンタッチ操作)、一対の、腰部押圧体固定手段162、162を含む腰部押圧体160、160を、腰部用支持体161(ロック用プレート86)に沿って、互いに近接するようにして移動させ、一対の腰部押圧体160、160により、患者の腰部及びその付近を左右方向両側から腰部側面支持パッド167、167を介して押圧する。続いて、その位置において、各腰部押圧体固定手段162、162のスイッチ部71、71をロック方向(脚部に向かう方向)にそれぞれスライドさせる(ワンタッチ操作)ことで、一対の腰部押圧体160、160を腰部用支持体161に対してそれぞれ固定する。このとき、一対の腰部押圧体160、160の近接する方向への移動量を略同じに設定するほうがよい。
【0068】
なお、一対の腰部押圧体160、160において、これら一対の腰部押圧体160、160をほぼ同時に互いに近接する方向に移動させて、それぞれを腰部用支持体161に対して固定してもよいし、一対の腰部押圧体160、160において、予め、一方の腰部押圧体160を腰部用支持体161に対して任意の位置に固定したのち、他方の腰部押圧体160を一方の腰部押圧体160に近接するように移動させて、腰部用支持体161に対して固定してもよい。
【0069】
同様に、図14(a)に示すように、図1及び図2も適宜参照して、一対の胸部押圧体31、31において、各胸部押圧体固定手段33、33のスイッチ部71、71をアンロック方向(脚部に向かう方向)にそれぞれスライドさせて(ワンタッチ操作)、一対の、胸部押圧体固定手段33、33を含む胸部押圧体31、31を、胸部用支持体32(ロック用プレート86)に沿って、互いに近接するようにして移動させ、一対の胸部押圧体31、31により、患者の胸部及びその付近(胸椎にカーブがある場合にはそのカーブの頂部付近)を左右方向両側から胸部側面支持パッド42、42を介して押圧する。このとき、図14(a)に示すように、例えば、患者の骨盤の左右方向中央からの垂線CL(図14(b)参照)を基準として、頭部がその基準よりも図中右側に位置する場合は、図中右側の胸部押圧体31を、図中左側の胸部押圧体31よりもその移動量を大きくして、骨盤からの垂線CL上に頭部が位置するように、一対の胸部押圧体31、31の各移動量を調整するようにしている。
【0070】
続いて、その位置において、各胸部押圧体固定手段33、33のスイッチ部71、71をロック方向(頭部に向かう方向)にそれぞれスライドさせる(ワンタッチ操作)ことで、一対の胸部押圧体31、31を胸部用支持体32に対してそれぞれ固定する。このとき、一対の胸部押圧体31、31において、これら一対の胸部押圧体31、31をほぼ同時に互いに近接する方向に移動させて、それぞれを胸部用支持体32に対して固定してもよいし、一対の胸部押圧体31、31において、予め、一方の胸部押圧体31を胸部用支持体32に対して任意の位置に固定したのち、他方の胸部押圧体31を一方の胸部押圧体31に近接するように移動させて胸部用支持体32に対して固定してもよい。
【0071】
その結果、図14(b)から解るように、患者の左右方向の体幹バランスが整えられ、脊柱全体の左右方向の位置が矯正(補正)、すなわち、脊柱における、骨盤の左右方向中央からの垂線CL上に頭部が位置する、言い換えれば、第7頸椎の棘突起と第1仙椎の棘突起とを結ぶ延長線上に頭部が位置するように、脊柱全体の左右方向の位置が矯正されて、その状態を保持することができる。特に、成人側彎症においては、大概が患者の左右方向の体幹バランスが乱れていることが多く、この体幹バランスの矯正が大事な要素となる。
【0072】
なお、本実施形態では、一対の腰部押圧体160、160により患者の腰部及びその付近を左右方向両側から押圧した後、一対の胸部押圧体31、31により患者の胸部及びその付近を左右方向両側から押圧しており、これが最良の形態であるが、一対の胸部押圧体31、31により患者の胸部及びその付近を左右方向両側から押圧した後、一対の腰部押圧体160、160により患者の腰部及びその付近を左右方向両側から押圧してもよく、この順序については特に限定されることはない。
【0073】
次に、図1及び図2も適宜参照して、一対の腰部押圧ユニット固定手段170、170のスイッチ部124、124をいずれもアンロック方向(頭部に向かう方向)にスライドさせて(ワンタッチ操作)、腰部押圧ユニット6を一対のレール部材14、14に沿って移動可能の状態にする。また、一対の胸部押圧ユニット固定手段96、96のスイッチ部124、124をいずれもアンロック方向(脚部に向かう方向)にスライドさせて(ワンタッチ操作)、胸部押圧ユニット5を一対のレール部材14、14に沿って移動可能の状態にする。
【0074】
続いて、図14(c)に示すように、図14(b)の状態から、操作者により、患者の両上肢及び両下肢等を把持して、患者の体幹を頭尾方向に沿って引っ張る(牽引する)。その結果、胸部押圧ユニット5の一対の胸部押圧体31、31と、腰部押圧ユニット6の一対の腰部押圧体160、160とが、患者の体の伸長に伴って、互いに離間するように、一対のレール部材14、14に沿って移動する。これと略同時に、図14(d)に示すように、操作者により、腰部押圧ユニット6を一対のレール部材14、14に沿って尾側に向かってさらに移動させ、患者の腰部及びその付近を一体的に尾側にさらに移動させると共に、胸部押圧ユニット5を腰部押圧ユニット6から離間するように一対のレール部材14、14に沿って頭側にさらに移動させ、患者の胸部及びその付近を一体的に頭側にさらに移動させる。このとき、胸部押圧ユニット5は、頭部支持ユニット7と一体的に連結されているので、胸部押圧ユニット5の頭側への移動に伴って、頭部支持ユニット7も頭側に移動でき、患者の頭部を何ら支障なく頭側に移動させることができる。
【0075】
このとき、一対の腰部押圧体160、160に連結された滑り止め用突出部166、166により、一対の腰部押圧体160、160が患者の腰部の左右方向両側面から滑ることなく、患者の腰部及びその付近を一対の腰部押圧体160、160と一体的に尾側に移動させることができる。また、一対の胸部押圧体31、31に連結された滑り止め用突出部37、37により、一対の胸部押圧体31、31が患者の胸部の左右方向両側面から滑ることなく、患者の胸部及びその付近を一対の胸部押圧体31、31と一体的に頭側に移動させることができる。
【0076】
続いて、腰部押圧ユニット6及び胸部押圧ユニット5の一対のレール部材14、14に沿う移動操作を行った後、図14(e)の状態にて、一対の腰部押圧ユニット固定手段170のスイッチ部124、124をいずれもロック方向(脚部に向かう方向)にスライドさせて(ワンタッチ操作)、腰部押圧ユニット6を一対のレール部材14、14に対して固定して、患者の腰部及びその付近を頭尾方向に沿って位置決めする。これとほぼ同時に、一対の胸部押圧ユニット固定手段96、96のスイッチ部124、124をいずれもロック方向(頭部に向かう方向)にスライドさせて(ワンタッチ操作)、胸部押圧ユニット5を一対のレール部材14、14に対して固定して、患者の腰部及びその付近を頭尾方向に沿って位置決めする。
【0077】
そして、上述した、操作者による、患者の頭尾方向への牽引操作、及び胸部押圧ユニット5と腰部押圧ユニット6との離間操作により、患者の胸部及びその付近と、腰部及びその付近とを頭尾方向において引っ張ることで、変形した脊柱に対して引張荷重を頭尾方向に沿って付与することができ、その状態で保持することができる。そして、この操作により、患者の脊柱変形、すなわち側彎変形、後彎変形及び前彎変形を、外科的な脊柱変形矯正固定手術による矯正率に近づくように予め矯正することができ、その状態を保持することができる。また、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1の各構成部材は、X線を透過する材質で構成されているので、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1により予め矯正した矯正程度を、X線透視撮影装置や多軸CT様画像作成装置(図示略)によるX線写真や3Dスキャン画像により確認することができる。
【0078】
なお、X線透視撮影装置(図示略)や多軸CT様画像作成装置(図示略)によるX線写真や3Dスキャン画像により脊柱変形の矯正具合を確認した後、さらなる矯正が必要な場合には、上述したような、一対の胸部押圧体31、31による胸部の左右方向両側からの押圧操作、一対の腰部押圧体160、160による腰部の左右方向両側からの押圧操作や胸部押圧ユニット5と腰部押圧ユニット6との離間操作をさらに行うようにしている。
【0079】
次に、図14(e)に示す、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1により脊柱変形を予め矯正して保持した状態で、図14(f)に示すように、術者により、上述した脊柱変形に対する外科的な脊柱変形矯正固定手術、すなわち「後方矯正固定術」(図18も参照)が行われる。
そして、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1により、患者の脊柱変形を出来る限り、すなわち効果的な矯正率に近づくように、予め矯正されて保持されているので、術者による外科的な脊柱変形矯正固定手術の際、図14(f)及び図18を参照して、ロッド230を各スクリュー210及び各フック部材220に装着する操作、各スクリュー210及び各フック部材220に対して頭尾方向に沿って圧縮荷重や引張荷重を付与する操作や、ロッド230を回旋する操作等、脊柱変形を、ねじれを含む3次元的に矯正するための手術手技を簡易化(容易)させることができ、手術時間を大幅に短縮させることができ、ひいては患者への負担を軽減させることができる。しかも、図14(f)に示す、この外科的な脊柱変形矯正固定手術により、脊柱変形に対して、ロッド230、スクリュー210及びフック部材220等のインプラントによる、より効果的な矯正率を得ることができる。
【0080】
ところで、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を使用する際、図15に示すように、胸部前面支持パッド94、94及び腰部前面支持パッド169、169の上面に、必要に応じて複数のクッション部材185、185を重ねて、患者の後彎変形に対応して、患者の胸部から腰部に至る範囲の高さを調整することも可能である。これにより、図15から解るように、側彎症、後側彎症または後彎症等の患者をクッション部材185の上面に腹臥位にて位置決めした際に、自然に後彎変形が矯正されて、側面バランスを改善することができる。
【0081】
また、外科的な脊柱変形矯正固定手術を行っている最中に脊柱変形矯正固定手術補助装置1を操作することも可能である。例えば、外科的な脊柱変形矯正固定手術を行っている最中に、胸部押圧ユニット5または腰部押圧ユニット6を、一対の胸部押圧ユニット固定手段96、96または一対の腰部押圧ユニット固定手段170、170を操作することで、さらに頭側または尾側に移動させて、さらに脊柱に引張荷重を頭尾方向に沿って付与することも可能である。また脊柱変形矯正固定手術中において、胸部押圧体固定手段33及び腰部押圧体固定手段162を操作することで、一対の胸部押圧体31、31により胸部及びその付近を左右方向両側からさらに押圧することができ、一対の腰部押圧体160、160により腰部及びその付近を左右方向両側からさらに押圧することができ、さらに体幹バランスを矯正することもできる。
【0082】
なお、斯様な本脊柱変形矯正固定手術補助装置1により脊柱変形を矯正している際には、体性感覚誘発電位(SEP)及び運動誘発電位(MEP)を使用して、脊髄神経に障害が発生していないことを確認しながら行う必要がある。
【0083】
次に、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1による脊柱変形の矯正効果を、図16及び図17に基づいて詳細に説明する。
図16(a)は、術前における側彎症患者の立位での正面X線写真であり、これを参照すると、この側彎症は、胸腰椎移行部のシングルカーブの症例であり、Cobb角が約43度程度である。また、左右方向の体幹バランスも若干乱れている、すなわち骨盤の左右方向中央からの垂線上から頭部が図中右側に若干ずれた状態である。また、図16(b)は、図16(a)に示す患者であって、術前における患者を頭尾方向に引っ張った状態での正面X線写真であり、これを参照すると、Cobb角が約20度程度となり、図16(a)の状態に比べて、脊柱変形が改善されていることが解る。
【0084】
そして、図17(a)は、図16に示す患者であって、当該患者を本脊柱変形矯正固定手術補助装置1上に載せ、胸部押圧ユニット5の一対の胸部押圧体31、31により胸部及びその付近を左右方向両側から押圧して、また腰部押圧ユニット6の一対の腰部押圧体160、160により腰部及びその付近を左右方向両側から押圧した状態での腹臥位X線写真である。これを参照すると、骨盤の左右方向中央からの垂線上に頭部が位置しており、体幹バランスが正常に改善されていることが解る。また、Cobb角も約21度程度であり、図16(a)の状態に比べて、脊柱変形も改善されて(矯正率約51%)いることが解る。
【0085】
さらに、図17(b)は、図17(a)の状態から、患者の両上肢及び両下肢を頭尾方向に引っ張り、その体幹を頭尾方向に引っ張りながら、一対の胸部押圧体31、31(胸部押圧ユニット5)と、一対の腰部押圧体160、160(腰部押圧ユニット6)とを互いに離間させることで、脊柱変形に対して頭尾方向に沿って引張荷重を付与した状態での腹臥位X線写真である。これを参照すると、Cobb角が約15度程度であり、脊柱変形が、図16(a)の状態(Cobb角が45°)から大幅に改善されて(矯正率約65%)いることが解る。図17(c)は、引き続き、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1上の患者に対して、外科的な脊柱変形矯正固定手術、すなわち「後方矯正固定術」を行った後の腹臥位X線写真である。これを参照すると、体幹バランスが正常に改善され、しかも、Cobb角も消失して、脊柱変形が矯正率90%以上で改善していることが解る。
【0086】
また、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を用いて、脊柱変形矯正固定手術(後方矯正固定術)を行った症例のうち、無作為に抽出した52例のデータとして、術前立位における脊柱変形のCobb角が、平均40.3(±13.1)度、また術前牽引時(術前に患者を頭尾方向に牽引した状態でX線撮影した時)のCobb角が、平均26.1(±10.6)度であったのに対して、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を使用した後のCobb角は、平均18.7(±8.8)度であり、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を使用することで、脊柱変形が大幅に改善していることが解る。また、術前立位の体幹バランスの喪失は、平均39.8(±27.1)mmであったのに対して、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を使用した後の体幹バランスの喪失は、平均1.6(±5.6)mmとなり、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を使用することで、体幹バランスも大幅に改善していることが解る。
これらの結果から、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1が、脊柱変形の矯正及び体幹バランスに対して有効であることが解る。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1では、一対の腰部押圧体160、160により患者の腰部及びその付近を左右方向両側から押圧すると共に、一対の胸部押圧体31、31により患者の胸部及びその付近を左右方向両側から押圧することで、患者の左右方向の体幹バランスを整え、脊柱全体の左右方向の位置を矯正して、保持することができる。また、この状態で、患者の体を頭尾方向に引っ張りながら、一対の胸部押圧体31、31と一対の腰部押圧体160、160とを互いに離間させることで、脊柱変形に対して頭尾方向に沿って引張荷重を付与して、脊柱変形、すなわち側彎変形、後彎変形及び前彎変形を矯正して、保持することができる。その結果として、脊柱変形を、外科的な脊柱変形矯正固定手術による矯正率に近づくように予め矯正した状態で保持することができる。
【0088】
そして、脊柱変形矯正固定手術補助装置1により、脊柱変形をできる限り矯正した状態で、術者による外科的な脊柱変形矯正固定手術を行うので、脊柱変形をねじれを含む3次元的に矯正するための手術手技を簡易化させ、手術時間を大幅に短縮させることができ、ひいては患者への負担を軽減することができる。しかも、この外科的な脊柱変形矯正固定手術により、外科的な脊柱変形矯正固定手術(インプラントを用いた)による、効果的な矯正率を得ることができる。
【0089】
また、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1では、各構成部材が、X線を透過する材質で構成されるので、脊柱変形矯正固定手術中を含む適宜タイミングにて、CT装置、例えば、多軸CT様画像作成装置により、脊柱変形の矯正程度や、スクリュー210のねじ込み状態及びフック部材220の装着状態等のインプラントの装着具合を確認することができる。なお、当該脊柱変形矯正固定手術補助装置1が使用される脊柱変形の外科的な脊柱変形矯正固定手術(後方矯正固定術)には、手術開始直前、手術中、手術終了直後等適宜タイミングで多軸CT様画像作成装置を使用する。当該多軸CT様画像作成装置は、8軸を持つアームが回転しながら患者を多角的に撮影して、わずか数秒で3Dスキャン画像得るものである。これにより、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1の各構成部材を、X線を透過できる材質で構成することが、脊柱変形矯正固定手術による矯正率、矯正効果、及び脊柱変形矯正固定手術の安全性等を向上させ、特に重要であり有効となる。
【0090】
さらに、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1では、手術台10に着脱自在に連結される連結手段としてのクランプ部材27を備えているので、脊柱変形矯正固定手術時、すなわちスクリュー210をねじ込む操作時や、ロッド230を回旋する操作時など、術者から患者に対して外部入力が付与されたとき、手術台10に対する本脊柱変形矯正固定手術補助装置1の移動を抑制することができ、脊柱変形矯正固定手術による矯正率、矯正効果、及び脊柱変形矯正固定手術の安全性が向上する。しかも、脊柱変形矯正固定手術時、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を、手術台10の動きに追従させることができる。
【0091】
さらにまた、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1では、一対の胸部押圧体31、31は胸部用支持体32に着脱自在にそれぞれ装着され、一対の腰部押圧体160、160も腰部用支持体161に着脱自在にそれぞれ装着される。これにより、患者を脊柱変形矯正固定手術補助装置1上に載せる際には、一対の胸部押圧体31、31を胸部用支持体32から取り外し、また一対の腰部押圧体160、160を腰部用支持体161から取り外すことができるので、患者の、脊柱変形矯正固定手術補助装置1上への載せ替えを容易に行うことができる。
【0092】
さらにまた、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1では、胸部押圧体31を、操作者によるスイッチ部71のスライド操作に連動して、任意の位置に固定、または移動可能に解放する胸部押圧体固定手段33と、腰部押圧体160を、操作者によるスイッチ部71のスライド操作に連動して、任意の位置に固定、または移動可能に解放する腰部押圧体固定手段162と、胸部押圧ユニット5を、操作者によるスイッチ部124のスライド操作に連動して、頭尾方向の任意の位置に固定、または移動可能に解放する胸部押圧ユニット固定手段96と、腰部押圧ユニット6を、操作者によるスイッチ部124のスライド操作に連動して、頭尾方向の任意の位置に固定、または移動可能に解放する腰部押圧ユニット固定手段170と、を備えている。
【0093】
これにより、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1の操作性が格段に向上する。言い換えれば、このようなスイッチ部71、124のスライド操作(ワンタッチ操作)により脊柱変形矯正固定手術補助装置1を操作することができるので、手術室内の手術台上という特殊な(清潔な)区域でも、容易に本脊柱変形矯正固定手術補助装置1を操作することができる。しかも、脊柱変形矯正固定手術中においても、胸部押圧ユニット固定手段96及び腰部押圧ユニット固定手段170を操作することにより、容易に、脊柱変形に対して外部(患者の外表面)から引張荷重を付与することができる。また脊柱変形矯正固定手術中において、胸部押圧体固定手段33及び腰部押圧体固定手段162を操作することにより、容易に、胸部及びその付近と、腰部及びその付近とを左右方向両側から押圧することができ、体幹バランスをさらに矯正することができ、有効である。
【0094】
さらにまた、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1では、患者の頭部を所定高さに支持する頭部支持体136を備えているので、脊柱変形矯正固定手術中、患者の頭部を容易に支持、保護することができる。また、頭部支持体136は、クッション部153を備えているので、脊柱変形矯正固定手術中、顔面への負担を最小限に抑えることができ、安定したポジショニングが可能となる。また、頭部支持体136は、胸部押圧ユニット5の一対の胸部押圧体31、31と一体的に連結されているので、胸部押圧ユニット5を患者の頭尾方向に沿って移動させる際、頭部支持体136も共に移動するので、移動の最中及び移動後においても、何ら支障なく、頭部支持体136により患者の頭部を保護することができる。
【0095】
さらにまた、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1では、頭部支持体136の、患者の目及び口が位置する部分は開口155されるので、脊柱変形矯正固定手術中における患者の眼球などへの圧迫を抑制することができ、患者の口部から延びる挿管チューブ175を容易に開口部155から外部に延出させることができる。また、頭部支持ユニット7の、頭部支持板138と頭部支持体136との間に鏡部材148が配置されているので、この鏡部材148により、患者の顔面や眼球の状態、気道の圧迫の有無、また挿管チューブ175の状態を視認することができる。
【0096】
なお、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1は、上述した多軸CT様画像作成装置の撮影時の動作に合わせて移動・傾斜することが可能な手術台10の天板11に固定されており、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1は、多軸CT様画像作成装置及び上述の手術台10に加え、リアルタイムで患部の状態、手術器具の位置などをモニタリングしながら脊柱変形矯正固定手術を行うことが可能なナビゲーション装置(図示略)が配備された手術室で使用される。そして、脊柱変形矯正固定手術補助装置1は、上述したように、患者の脊柱変形を外科的な脊柱変形矯正固定手術による矯正率に近づくように予め矯正した状態で保持することができるが、他の作用効果として以下の作用効果を奏することができる。すなわち、本脊柱変形矯正固定手術補助装置1により、患者を所定姿勢にて手術中強固に保持することができるので、ナビゲーション装置(手術直前、あるいは術中に撮影した患者の画像をベースにナビゲーション手術を行う)による、スクリュー210(図18参照)の椎体へのねじ込み位置等の位置精度を向上させることができる。この結果、手術の安全性を高め、手術時間の短縮等、患者への負担を軽減させることができる。
【0097】
ところで、本実施形態に係る脊柱変形矯正固定手術補助装置1では、一対の腰部押圧体160、160により患者の腰部及びその付近を左右方向両側から押圧する操作、一対の胸部押圧体31、31により患者の胸部及びその付近を左右方向両側から押圧する操作、及びこの状態で、胸部押圧ユニット5と腰部押圧ユニット6とを、互いに離間する方向に移動させる操作を、操作者の手動により行っているが、腰部押圧体用電動モータの駆動により、一対の腰部押圧体160、160を互いに近接する方向に移動させて患者の腰部及びその付近の左右方向両側を押圧して、また胸部押圧体用電動モータの駆動により、一対の胸部押圧体31、31を互いに近接する方向に移動させて患者の腰部及びその付近の左右方向両側を押圧するように構成してもよい。さらに胸部ユニット用電動モータ及び腰部ユニット用電動モータの駆動により、胸部押圧ユニット5と腰部押圧ユニット6とを、互いに離間する方向に移動させるように構成してもよい。これにより、操作者は、各電動モータの駆動・停止する際のスイッチ操作のみであるので、その労力を軽減することができる。
【0098】
また、一対の腰部側面支持パッド167、167の表面に腰部用圧力センサーをそれぞれ設置しておき、該各腰部用圧力センサーにより、一対の腰部側面支持パッド167、167から患者の腰部及びその付近へ付与される押圧力を測定して、同様に、一対の胸部側面支持パッド42、42の表面に胸部用圧力センサーをそれぞれ設置しておき、該各胸部用圧力センサーにより、一対の胸部側面支持パッド42、42から患者の胸部及びその付近へ付与される押圧力を測定して、これら各腰部用圧力センサー及び各胸部用圧力センサーからの検知内容を制御装置に伝達する。当該制御装置は、上述した、腰部押圧体用電動モータ、胸部押圧体用電動モータ、胸部ユニット用電動モータ及び腰部ユニット用電動モータに電気的に接続されている。そして、制御装置において、各腰部用圧力センサー及び各胸部用圧力センサーからの検知内容に基づいて、腰部押圧体用電動モータ、胸部押圧体用電動モータ、胸部ユニット用電動モータ及び腰部ユニット用電動モータの駆動を制御するように構成してもよい。これにより、操作者の労力をさらに軽減することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 脊柱変形矯正固定手術補助装置,5 胸部押圧ユニット,6 腰部押圧ユニット,10 手術台,11 天板,27 クランプ部材(連結手段),31 胸部押圧体,32 胸部用支持体,33 胸部押圧体固定手段,52 スイッチ部材(スライドスイッチ),71 スイッチ部,96 胸部押圧ユニット固定手段(固定手段),100 スイッチ部材(スライドスイッチ),124 スイッチ部,136 頭部支持体,152 頭部支持部,153 クッション部,155 開口部,160 腰部押圧体,161 腰部用支持体,162 腰部押圧体固定手段,170 腰部押圧ユニット固定手段(固定手段)
図1
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