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特許7462730排出ガスを後処理するための装置及び方法、並びにその利用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-28
(45)【発行日】2024-04-05
(54)【発明の名称】排出ガスを後処理するための装置及び方法、並びにその利用
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/10 20060101AFI20240329BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240329BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20240329BHJP
   F01N 3/36 20060101ALI20240329BHJP
   F01N 3/30 20060101ALI20240329BHJP
   F01N 3/18 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
F01N3/10
F01N3/08 B
F01N3/28 P
F01N3/36 J
F01N3/36 M
F01N3/30 C
F01N3/18 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022502514
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2020070017
(87)【国際公開番号】W WO2021009240
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】102019210413.4
(32)【優先日】2019-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500242786
【氏名又は名称】フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ローベルト・スツォラク
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ズスドルフ
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン・リュメレ
【審査官】木原 裕二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/082308(WO,A1)
【文献】特開2010-248943(JP,A)
【文献】特開2011-064069(JP,A)
【文献】特開2009-013932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/10
F01N 3/08
F01N 3/28
F01N 3/36
F01N 3/30
F01N 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出ガスを後処理するための方法であって、
a)窒素酸化物を含有する生排出ガスを準備するステップと、
b)前記窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器に導入するステップと、
c)変換された燃料を得るために、前記触媒蒸発器に燃料を導入するステップと、
d)尿素を変換された燃料と混合するステップであって、前記変換された燃料が、H、CO、及び1~10個の炭素原子を有する炭化水素をし、前記変換された燃料の前記炭化水素の大部分が、1~5個の炭素原子を有する炭化水素である、前記ステップと、
e)ステップd)によって得られた混合体を排出ガス後処理システムに供給するステップと、
を含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
ステップc)において、酸化剤が、前記触媒蒸発器にさらに導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記排出ガス後処理システムが、加水分解装置と選択的触媒還元装置とを備えていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記尿素が、尿素溶液の形態で利用されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記尿素と変換された燃料との混合が、排出ガスシステムの上流で又は前記排出ガスシステムの一部分の内部で実施されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
ステップd)において得られた混合体が、加水分解装置に供給された後に、得られた生成物が、選択的触媒還元装置に供給されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
排出ガス後処理が、約170℃以上の温度で実施されることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
排出ガス後処理装置において、
触媒蒸発器と、
前記触媒蒸発器に至る生排出ガス供給配管であって、窒素酸化物を含有する生排出ガスを前記触媒蒸発器に導入するように構成されている前記生排出ガス供給配管と、
前記触媒蒸発器に至る燃料供給配管であって、燃料を前記触媒蒸発器に導入するように構成されている前記燃料供給配管と、
前記触媒蒸発器からの排出配管であって、蒸発された燃料を前記触媒蒸発器から排出するように構成されている前記排出配管と、
排出ガス後処理システムと、
を含んでおり、
前記触媒蒸発器が、変換された燃料を前記排出ガス後処理装置に供給するように構成されており、前記変換された燃料が、H、CO、及び1~10個の炭素原子を有する炭化水素をし、前記変換された燃料の前記炭化水素の大部分が、1~5個の炭素原子を有する炭化水素であることを特徴とする排出ガス後処理装置。
【請求項9】
前記排出ガス後処理装置が、尿素リザーバと、前記触媒蒸発器で得られた変換された燃料と尿素とを混合するための混合空間に接続されている尿素供給配管とを含んでいることを特徴とする請求項に記載の排出ガス後処理装置。
【請求項10】
前記排出ガス後処理システムが、加水分解装置と選択的触媒還元装置とを備えていることを特徴とする請求項又はに記載の排出ガス後処理装置。
【請求項11】
前記加水分解装置と前記選択的触媒還元装置とが、互いから分離されたハウジングの内部に設けられていることを特徴とする請求項10による排出ガス後処理装置。
【請求項12】
混合空間が、排出配管及び排出ガスシステムのうちいずれかであることを特徴とする請求項11のいずれか一項に記載の排出ガス後処理装置。
【請求項13】
前記排出ガス後処理装置が、前記触媒蒸発器に至る酸化剤供給配管であって、酸化剤を前記触媒蒸発器に導入するように構成されている前記酸化剤供給管を有していることを特徴とする請求項12のいずれか一項に記載の排出ガス後処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排出ガスを後処理するための方法、当該方法における触媒蒸発器の使用、特に本発明における方法を実施するように構成されている、排出ガスを後処理するための装置、当該排出ガス後処理のための装置の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
排出ガス後処理は、燃焼ガスが内燃機関の燃焼室から出た後に当該燃焼ガスを機械的方法、触媒的方法又は化学的方法で清浄化するための方法に用いられる用語である。選択的触媒還元(SCR)技術を介して窒素酸化物(NOx)を還元するために、例えばアンモニアのような触媒や還元剤が利用される。窒素酸化物(NOx)を還元するために、尿素水溶液が注入され、さらに排出ガス管を通じて輸送される過程において、熱分解や加水分解によって、当該尿素溶液からアンモニアが生成される。炭化水素及び一酸化炭素を還元するためには、三元触媒が利用される。
【0003】
触媒式排出ガス後処理の効果すなわち変換効率は、他の要因にも依存するが、動作温度に大きく依存する。約250℃を下回ると、事実上、何の反応も起こらない。これにより、現代の自動車両であっても、コールドスタート後の汚染物質排出量が多くなる。このような運転状態では、触媒が依然として動作温度に到達していないので、触媒による排出汚染物質の変換が不十分となる。
【0004】
排出ガスの温度を急速に上昇させるための方法が幾つか存在する。例えば、触媒は、排出ガスシステムの内部の内燃機関の近傍に配設される。しかしながら、少なくともガソリンエンジンの場合には、このような配置は、例えば定格出力の近傍のような他の運転状態において温度が過剰に高くなるという危険を伴う。1000℃の温度によって触媒が損なわれるからである。400℃~800℃の温度において、良好な変換効率と長い耐用年数とが得られる。代替的には、電気ヒータ又はやポスト噴射によって、内燃機関の内部及び/又は排出ガスシステムの内部において、排出ガスの温度を上昇させることができる。
【0005】
しかしながら、これら手段は、コールドスタート後の燃料消費量をさらに増大させ、さらなる排出物を発生させるという弊害を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】ドイツ国特許出願公開第102015120106号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、先行技術を端緒として、本発明は、低温で触媒変換を可能とする選択的触媒還元を含む場合がある排出ガス後処理を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、排出ガスを後処理するための方法、特に窒素酸化物を除去するための方法が提案されており、当該方法は、
a)窒素酸化物を含有する生排出ガスを提供するステップと、
b)窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器に導入するステップと、
c)変換された燃料を得るために、燃料を触媒蒸発器に導入するステップと、
d)尿素を変換された燃料と混合するステップと、
e)ステップd)に従って得られた混合体を排出ガス後処理システムに供給するステップと、
を含んでいる。
【0009】
ステップc)の燃料の蒸発により、燃料の組成が変化する。特に、H及び/又はCO及び/又は炭化水素、例えば1~10個の炭素原子を有する短鎖炭化水素が生成され、本発明の幾つかの実施例では、1~5個の炭素原子を有する成分が主要部分(>66%)を構成している。
【0010】
優位には、ステップe)において、尿素を蒸発及び変換(熱分解及び加水分解)するために、触媒蒸発の熱が利用される。当該方法は、特に排出ガスが窒素酸化物を含有する場合に利用される。この点において、制御システムが想定される。より多くの窒素酸化物が排出ガスに含まれている内燃機関マップポイント(engine map points)において、当該制御システムが接続されている。燃焼によって生成される窒素酸化物がほとんど存在しないか,又は許容量のである他の内燃機関マップポイントでは、当該制御システムは作動しない。当該制御システムが動作停止している場合には、空気及び排出ガスの供給が停止される。
【0011】
窒素酸化物を含有する生排出ガスは、未処理の生排出ガスである場合がある。また、窒素酸化物を含有する生排出ガスは、例えば粒子フィルタ及び/又はディーゼル酸化触媒で処理された処理済の生排出ガスである場合もある。
【0012】
ステップb)及びc)は、同時に実施可能とされる。ステップe)では、混合体は、排出ガス後処理システムに直接供給されるか、又は内燃機関から排出ガス後処理システムに至る排出ガス配管に当該還元剤を導入することによって排出ガス後処理システムに供給される。
【0013】
本発明における方法は、それ自体既知の触媒蒸発技術に基づいて開発された。当該方法は、内燃機関からの窒素酸化物を含有する生排出ガス、液体燃料、及び尿素溶液を利用する。触媒蒸発器の内部において燃料を触媒変換することによって、当該排出ガス後処理システムにおいて熱が発生する。このように、エンジンの運転に依存しないシステムになっている。このようにして、内燃機関の動作、特に排出ガスの温度及び排出ガスの流量に依存しないで、尿素水溶液から還元剤が生成可能となる。さらに、本発明における方法は、適用された燃料から水素と例えばエテンのような炭化水素とを生成する。これらは、EGTのSCRシステムのための付加反応物すなわち還元剤として利用される。
【0014】
尿素溶液及び燃料の供給量は、それ自体既知の触媒蒸発器の運転で利用される通常量である。
【0015】
触媒蒸発器に適用される窒素酸化物を含有する生排出ガスは、通常の内燃機関の排出ガスの一部である。すなわち、内燃機関の排出ガス流の一部は、ステップa)において、触媒蒸発器に導入される窒素酸化物を含有する生排出ガスとして、分岐され提供される。このような分割は、排出ガス配管の内部の適宜駆動可能なフラップ又はスライドによって実現される。また、生排出ガスは、内燃機関から直接排出され、触媒蒸発器に供給される場合もある。
【0016】
本発明における方法では、先行技術に基づく排出ガス流全体の加熱とは対照的に、優位には、窒素酸化物を含有する生排出ガスの小さい部分流のみを加熱すれば良い。また、燃料の変換によって、電気的に導入する必要がない熱をさらに発生させることができる。触媒変換では、触媒のみを加熱すれば良い。反応は、反応物の流れを変化させることによって制御可能とされる。
【0017】
本発明における方法では、先行技術としてそれ自体既知の触媒蒸発器が利用可能とされる。当該既知の触媒蒸発器の動作原理は、当業者には既知である。本発明における方法で利用可能な触媒蒸発器は、詳細設計及び動作モードの全体に関して参照されている特許文献1に例示されている。
【0018】
本発明における方法で利用される触媒蒸発器は、支持体に適用可能とされる触媒を有している。触媒を具備する支持体は、反応容器の内面と触媒表面との間に中間空間が形成されるように、反応容器の内部に配置されている。
【0019】
触媒蒸発器の動作中には、例えば空気のような酸化剤を触媒側に供給しつつ、例えば液体燃料を触媒蒸発器の反応壁の内面に適用することができる。燃料の極一部が触媒を覆うように酸化し、当該過程で発生した熱によって燃料が完全に蒸発される。熱は、主に高温の触媒表面から燃料の表面に至る熱放射によって伝達される。ここで、燃料が適用された反応炉の壁の温度は、燃料自体の温度より低い。堆積物や付着物は形成されない。
【0020】
ステップa)において供給される窒素酸化物を含有する生排出ガスは、残留酸素を含んでいる。生排出ガス中に占める残留酸素の濃度が十分である場合には、当該残留酸素は、触媒蒸発器を動作させるための酸化剤として十分である。窒素酸化物を含有する生排出ガス中に占める残留酸素の濃度が低すぎる場合には、一の実施例では、ステップc)においてさらに酸化剤を触媒蒸発器に導入可能とされる。当該酸化剤は、生排出ガス中の残留酸素に対する追加の酸化剤である。このような酸化剤は、酸素又は酸素を含有する媒体、特に空気とされる。本発明では、酸化剤の量は、触媒蒸発器の内部に通常の酸化剤の量を実現するように選択される。空気は、外部環境からのものであり、任意には過給機によって充填される。
【0021】
ステップd)に従って形成された混合体は、還元剤として水素(H)を含んでいる。さらに、NH、CO、及び例えばエテンのような炭化水素、並びにこれらの混合体を付加的に含んでいる場合がある。
【0022】
反応物流れ、すなわち燃料、尿素溶液、及び窒素酸化物を含有する生排出ガス、並びに任意には酸化剤を変えることによって、内燃機関マップの動作点に従って還元剤それぞれを提供することができる。本発明における方法では、このような還元剤の提供が、SCRシステムの活性を高めるので、内燃機関の排出ガス中の窒素酸化物の還元を増加させる。当該利点は、低温の排出ガス後処理システムのコールドスタート時に、及び他の動作点において発揮される。
【0023】
一の実施例では、排出ガス後処理システムは、例えば加水分解触媒のような熱分解及び加水分解装置と、選択的触媒還元(SCR)のための装置とを備えている。このようなタイプの装置は、それ自体既知であるので、当業者には、その構造及び動作方法は知られている。本発明における方法については、熱分解及び加水分解装置とSCRのための装置とを互いに別々のハウジングに据え付けることが優位であると判明した。このようにして、これら装置、特に加水分解装置は、本発明における方法において特に適切なポイントで利用可能となる。熱分解及び加水分解装置(加水分解触媒)は、部分排出ガス流又は主排出ガス流の中に配置されている。
【0024】
幾つかの実施例では、尿素は、例えば尿素水溶液のような尿素溶液、特に32.5%の尿素溶液の形態で利用可能とされる。当該尿素溶液は、排出ガス後処理システムに特に適している。
【0025】
一の実施例では、排気システムの上流又は排気システムの内部において、尿素溶液が蒸発された燃料と混合される。本発明における方法では、ステップd)からの混合体が、排出ガス後処理システムに導入される。このことは、内燃機関を排出ガス後処理システムに接続している排気システムに当該混合体を導入することによって実施される。場合によっては蒸発されている尿素溶液は、排出ガスシステムへの供給の前に、及び/又は排出ガスシステムにおいて、蒸発燃料と混合される。
【0026】
さらなる実施例では、ステップd)からの混合体が、最初に加水分解装置に供給された後に、当該加水分解装置から得られた生成物が、SCR装置に供給される。
【0027】
さらなる実施例では、場合によっては選択的触媒還元処理を含んでいる排出ガス後処理は、約170℃、約180℃、約190℃、又は約200℃の温度で既に動作可能となっている。従って、このことは、本発明における方法では、排出ガス後処理が、既に開始可能とされ、先行技術に基づく温度より顕著に低い温度で実施可能とされることを意味する。
【0028】
本発明における方法は、NOx排出物を還元するためのSCRシステムで動作する任意のタイプの内燃機関のSCRシステムについて、窒素酸化物を変換させるために利用可能とされる。
【0029】
さらに、本発明の主題は、詳細に上述した本発明における方法において、同様に詳細に上述した触媒蒸発器を利用することである。
【0030】
さらに、本発明における方法によって得られる還元剤が提供される。製造方法及び組成物に関しては、上述の説明を参照されたい。特に、還元剤は、水素、特にエテンのような炭化水素、アンモニア、及び/又は一酸化炭素を含んでいる。
【0031】
さらに、例えばSCRを含んでいる、排出ガスを後処理するための装置について記載されており、当該装置は、
-触媒蒸発器、
-触媒蒸発器に至る生排出ガス供給配管であって、窒素酸化物を含有する生排出ガスを触媒蒸発器に導入するように構成されている生排出ガス供給配管、
-触媒蒸発器に至る燃料供給配管であって、燃料を触媒蒸発器に導入するように構成されている燃料供給配管、
-触媒蒸発器からの排出配管であって、蒸発された燃料を触媒蒸発器から排出するように構成されている排出配管、
-必要に応じて、尿素リザーバ、及び触媒蒸発器で得られた蒸発された燃料と尿素とを混合するための空間に接続されている尿素供給配管、並びに
-排出ガス後処理システム、
を備えている。
【0032】
上記で使用した“構成されている(adapted)”との用語は、対応する配管が、当該対応する配管に供給される物質が悪影響を受けることなく案内されるように、すなわち、当該対応する配管が案内される物質に対して不活性であるように構成されていることを示している。さらに、“構成されている”との用語は、対応する配管が、供給されるべき物質を含むリザーバに接続されていることを示している。
【0033】
本発明における装置は、本発明における上述の方法を実施するのに特に適している。従って、当該装置の設計の詳細及び動作も、本発明における方法の上記説明から理解されるものである。
【0034】
一の実施例では、排出ガス後処理システムは、それ自体既知の加水分解装置と選択的触媒還元装置とを備えている。加水分解装置は、例えば加水分解触媒を備えている。選択的触媒還元装置は、例えば、選択的触媒還元触媒を備えている。この点において、加水分解装置と選択的触媒還元装置とは、互いに異なるハウジングに設けることができる。これにより、当該装置を本発明における装置の異なる位置に互いから独立して据え付けることができるが、依然として一貫した排出ガス処理を実施することができる。加水分解装置は、部分排出ガス流又は主排出ガス流の中に配置させることができる。
【0035】
一の実施例では、本発明における装置は、尿素溶液を蒸発された燃料と混合する前に尿素溶液を蒸発させるように構成されている尿素蒸発器をさらに備えている。尿素溶液の蒸発及び触媒燃料の蒸発の利点は、機能の分離にある。このことは、尿素の蒸発について最先端技術を利用可能であることを意味する。これらが適合される必要は無いが、改良された還元剤が(尿素からの)NH及び(燃料からの)H/CO/エテンによって製造される。
【0036】
一の実施例では、混合のための空間は、排出配管及び/又は排出ガスシステムとされる。
【0037】
本発明における装置の一の実施例では、当該装置は、酸化剤を触媒蒸発器に導入するように構成されている触媒蒸発器に至る酸化剤供給配管をさらに備えている。例えば酸素や空気のような酸化剤のこのような供給は、生排出ガスが必要な残留酸素濃度を有していない場合に必要とされる。
【0038】
さらに、本発明の主題は、選択的触媒還元を含む排出ガス後処理のための上述の装置を利用することである。
【0039】
上述した装置は、簡便且つ費用対効果に優れた方法で、本発明における方法によって得られる利点を実現することができる。
【0040】
本発明について、本発明の一般的概念を限定することなく、図面を参照しつつ、以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A】本発明における排出ガス後処理システムの一の実施例についての概略図である。
図1B】本発明における排出ガス後処理システムの一の実施例についての概略図である。
図2】例示的に利用可能な触媒蒸発器を表わす。
図3図2に表わす触媒蒸発器の動作原理を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1aは、排出ガス後処理のための触媒蒸発器1を具備する装置の概略図である。触媒蒸発器1については、図3及び図4において以下に詳述する。例えばディーゼルエンジンのような内燃機関10は、自動車両を運転するために、通常の方法で利用される。燃料及び空気は、内燃期間に供給される。その結果物である窒素酸化物を含有する生排出ガスが、排出ガスシステム9を通じて、内燃機関10から排出される。内燃機関10からの当該窒素酸化物を含有する生排出ガスは、排出ガス後処理装置8に供給される。排出ガス後処理装置8は、例えば加水分解触媒のような加水分解装置81と、選択的触媒還元装置82とを有している。加水分解装置81と選択的触媒還元装置82とは、別々のハウジングに配置されている。窒素酸化物を含有する生排出ガスの少なくとも一部は、排出ガスシステム9の上流において生排出ガス供給配管2を介して分岐され、触媒蒸発器1に供給される。燃料は、燃料リザーバ4から燃料供給配管3を介して、触媒蒸発器1に供給される。必要に応じて、例えば空気のような酸化剤が、酸化剤供給配管13を介して、触媒蒸発器1に供給される。触媒蒸発器1において蒸発された燃料は、排出配管7を介して、触媒蒸発器1から排出される。尿素溶液は、尿素リザーバ5から尿素供給配管6を介して、排出配管7に導入される。排出配管7は、蒸発燃料と尿素とを混合するための混合空間12として機能する。排出ガス後処理システム8の一部である加水分解装置81は、SCR装置82とは別体とされる。加水分解装置81は、混合空間12の下流に且つ排出ガスシステム9の上流に配置されている一方、SCR装置82は、触媒蒸発器1からの混合体が排出ガスシステム9に供給された後の時点において排出ガスシステム9の下流側に配設されている。
【0043】
図1bは、本発明における装置のさらなる実施例を表わす。当該実施例は、図1aに表わす装置に対応しているが、加水分解装置81が、排出ガスシステム(主排出ガス流)9に配置されている。
【0044】
図2は、本発明における方法で使用される触媒蒸発器1を表わす。触媒蒸発器1は、金属メッシュ113に適用された触媒112を有している。触媒112として利用することができるが、従来技術として知られている金属メッシュ113としても利用することができる。触媒112を具備する金属メッシュ113は、反応容器114の内部に設けられている。全体を見渡すために、図2は、金属メッシュ113を具備する触媒112が反応容器114から引き出された状態を示す。金属メッシュ113を具備する触媒112が反応容器に押し込まれた場合には、中間空間が、反応容器114の内面115と触媒112の表面との間において金属メッシュ113に接触して形成される。
【0045】
図3は、図2に表わす触媒蒸発器の動作モードを示す。燃料が反応容器114の下面に適用される一方、未処理の生排出ガスと必要に応じて付加的な酸化剤とが触媒側に供給される。燃料の極一部は触媒112を覆うように酸化し、当該プロセスで発生した熱は、燃料を完全に蒸発させるために利用される。主に触媒112の高温の表面から燃料膜の表面に向かう熱放射によって、熱は伝達される。本発明では、燃料が適用された反応容器114の壁は、燃料自体よりも低温である。従って、堆積物や包餡物が形成されない。
【0046】
言うまでもなく、本発明は、図面に示された実施例に限定される訳ではない。従って、上述の説明は、限定的ではなく、制限的なものではなく、説明的なものとして捉えるべきである。特許請求の範囲に記載の特徴は、本発明の少なくとも1つの実施例に存在するものであることに留意すべきである。このことが、さらなる特徴の存在を排除することを意味する訳ではない。説明又は特許請求の範囲が“第1の”特徴及び“第2の”特徴を定義している場合には、このことは、順位付けを決定する訳ではなく、2つの類似する特徴を区別するために行われている。
【符号の説明】
【0047】
1 触媒蒸発器
2 生排出ガス供給配管
3 燃料供給配管
4 燃料リザーバ
5 尿素リザーバ
6 尿素供給配管
7 排出配管
8 排出ガス後処理装置
9 排出ガスシステム
10 内燃機関
12 混合空間
13 酸化剤供給配管
81 加水分解装置
82 選択的触媒還元装置(SCR装置)
112 触媒
113 金属メッシュ
114 反応容器
図1a
図1b
図2
図3