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特許7466002データ処理方法、データ処理装置、コンピュータ機器、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-03
(45)【発行日】2024-04-11
(54)【発明の名称】データ処理方法、データ処理装置、コンピュータ機器、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/12 20200101AFI20240404BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20240404BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20240404BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240404BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240404BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240404BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20240404BHJP
【FI】
B60W30/12
B60W40/04
B60W30/095
G08G1/16 D
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/30
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022566630
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2021116118
(87)【国際公開番号】W WO2022057630
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】202010979552.7
(32)【優先日】2020-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514187420
【氏名又は名称】テンセント・テクノロジー・(シェンジェン)・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ユー,チャンシー
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-61792(JP,A)
【文献】特開2015-174494(JP,A)
【文献】国際公開第2007/123176(WO,A1)
【文献】特開2016-7954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G05D 1/00- 1/87
B62D 6/00- 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ機器が実行するデータ処理方法であって、
現在の車線に位置するターゲット乗り物の走行パラメータを取得し、前記走行パラメータに基づいて、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成するステップと、
前記ターゲット乗り物の現在位置情報、予測車線変更時間長、及び前記初期予測車線変更加速度に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応するターゲット予測位置情報を生成するステップであって、前記予測車線変更時間長は、推定された、前記ターゲット乗り物が前記現在の車線からターゲット車線へ車線を変更するのにかかる時間長である、ステップと、
前記ターゲット予測位置情報に基づいて、ターゲット車線において前記ターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物を決定するステップであって、前記ターゲット車線は、前記ターゲット乗り物の予期車線変更の変更先車線であり、前記ターゲット障害乗り物は、前記ターゲット車線における、予期車線変更後のターゲット乗り物に隣接する乗り物である、ステップと、
前記ターゲット障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、前記現在の車線から前記ターゲット車線への車線変更を前記ターゲット乗り物に指示するためのターゲット予測車線変更加速度を決定するステップと、
前記ターゲット予測車線変更加速度に基づいて、前記現在の車線から前記ターゲット車線へ変換するように前記ターゲット乗り物を制御するステップと、
を含み、
前記現在の車線に位置するターゲット乗り物の走行パラメータを取得し、前記走行パラメータに基づいて、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成するステップは、
ターゲット乗り物に対応する走行パラメータを取得するステップであって、前記走行パラメータは、ターゲット車線最大速度、誘導乗り物、及び通行道路距離を含み、前記ターゲット車線最大速度は、前記ターゲット車線の規定された最大速度を指し、前記誘導乗り物は、前記現在の車線で前記ターゲット乗り物の前方を走行しておりかつ距離が最も近い、前記ターゲット乗り物に対して走行ルートを誘導する乗り物を指し、前記通行道路距離は、前記ターゲット乗り物の前記現在の車線における通行可能な道路の長さを指す、ステップと、
前記ターゲット車線最大速度、前記誘導乗り物、及び前記通行道路距離に基づいて、ターゲット乗り物に対応する前記初期予測車線変更加速度を生成するステップと、を含む、
データ処理方法。
【請求項2】
前記ターゲット車線最大速度、前記誘導乗り物、及び前記通行道路距離に基づいて、ターゲット乗り物に対応する前記初期予測車線変更加速度を生成するステップは、
前記ターゲット乗り物の現在の走行速度v1と、前記ターゲット車線のターゲット車線最大速度とを取得し、前記走行速度v1及び前記ターゲット車線最大速度に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第1制限加速度を決定するステップと、
前記走行速度v1及び前記通行道路距離に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応するブレーキ加速度を生成し、前記ブレーキ加速度に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第2制限加速度を決定するステップと、
前記誘導乗り物の走行速度v2に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第1安全制動距離を決定し、前記第1安全制動距離、前記走行速度v1、ターゲット追従速度、及び推定追従時間長に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第3制限加速度を決定するステップであって、前記ターゲット追従速度は、前記ターゲット車線最大速度及び前記走行速度v2のうちの小さい値を指す、ステップと、
前記第1制限加速度、前記第2制限加速度、及び前記第3制限加速度のうちの最小値を、前記ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度として決定するステップと、を含む、
請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項3】
前記走行速度v1及び前記通行道路距離に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応するブレーキ加速度を生成するステップは、
前記ターゲット乗り物の前記現在の車線における道路終点速度を取得し、前記走行速度v1と前記道路終点速度の平方差を取得するステップであって、前記道路終点速度は、前記ターゲット乗り物が前記現在の車線の終点に到達する際の最低速度を指す、ステップと、
前記平方差と前記通行道路距離との比に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応するブレーキ加速度を決定するステップと、を含む、
請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項4】
前記誘導乗り物の走行速度v2に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第1安全制動距離を決定するステップは、
前記ターゲット乗り物と前記誘導乗り物との間の第1追従時間距離を取得し、前記ターゲット追従速度及び第1追従時間距離に基づいて、ターゲット追従距離を決定するステップであって、前記第1追従時間距離は、予め設定された、前記ターゲット乗り物が現在の走行速度v1で前記誘導乗り物との最短安全距離を保持する時間長を示すためのものである、ステップと、
前記ターゲット乗り物と前記誘導乗り物との間隔距離l1を取得し、前記間隔距離l1と前記ターゲット追従距離との差を前記第1安全制動距離として決定するステップと、を含む、
請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項5】
前記ターゲット予測位置情報に基づいて、ターゲット車線において前記ターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物を決定するステップは、
前記ターゲット車線において参照距離範囲内のN個(Nは、正の整数)の交通車両のそれぞれに対応する車両走行速度を取得し、前記車両走行速度及び前記予測車線変更時間長に基づいて、前記N個の交通車両のそれぞれに対応する予測位置情報を決定するステップと、
前記ターゲット予測位置情報と、前記N個の交通車両のそれぞれに対応する予測位置情報とに基づいて、前記ターゲット乗り物と前記N個の交通車両のそれぞれとの間の予測距離を取得するステップと、
前記ターゲット乗り物との間の予測距離が最短となる1つ又は複数の交通車両を、前記ターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物として決定するステップと、を含む、
請求項1乃至のいずれか1項に記載のデータ処理方法。
【請求項6】
前記ターゲット障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、前記現在の車線から前記ターゲット車線への車線変更を前記ターゲット乗り物に指示するためのターゲット予測車線変更加速度を決定するステップは、
前記ターゲット障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する候補加速度を決定するステップと、
前記候補加速度、前記第2制限加速度、及び前記第3制限加速度のうちの最小値を、前記ターゲット乗り物に対応するターゲット予測車線変更加速度として決定するステップと、を含む、
請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項7】
前記ターゲット障害乗り物の数は1つであり、
前記ターゲット障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する候補加速度を決定するステップは、
前記ターゲット障害乗り物に対応する走行速度v3と、前記ターゲット障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間隔距離l2とを取得するステップと、
前記間隔距離l2に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離を決定するステップと、
前記走行速度v1、前記第2安全制動距離、及び前記走行速度v3に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する前記候補加速度を決定するステップと、を含む、
請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項8】
前記間隔距離l2に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離を決定するステップは、
前記予期車線変更後のターゲット乗り物の追従安全距離及び第2追従時間距離を取得するステップであって、前記第2追従時間距離は、予め設定された定数パラメータであり、前記ターゲット乗り物が現在の走行速度v1を持っているという前提で前記ターゲット障害乗り物との最短安全距離を保持する時間長を示すためのものである、ステップと、
前記予期車線変更後のターゲット乗り物の前部と、前記ターゲット障害乗り物の後部との位置が隣接する場合、前記走行速度v1、前記第2追従時間距離、前記追従安全距離、及び前記間隔距離l2に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離を決定するステップと、
前記ターゲット障害乗り物の前部と、前記予期車線変更後のターゲット乗り物の後部との位置が隣接する場合、前記走行速度v3、前記第2追従時間距離、前記追従安全距離、及び前記間隔距離l2に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離を決定するステップと、を含む、
請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項9】
前記ターゲット障害乗り物は、第1障害乗り物及び第2障害乗り物を含み、前記第1障害乗り物の後部と、前記予期車線変更後のターゲット乗り物の前部との位置が隣接し、前記第2障害乗り物の前部と、前記予期車線変更後のターゲット乗り物の後部との位置が隣接し、
前記ターゲット障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する候補加速度を決定するステップは、
前記第1障害乗り物と前記第2障害乗り物との間隔距離l3を取得し、前記間隔距離l3と、前記ターゲット乗り物の車両長とに基づいて、前記予期車線変更後のターゲット乗り物と前記第1障害乗り物との間の推定安全距離を決定するステップと、
前記ターゲット乗り物と前記第1障害乗り物との間隔距離l4を取得し、前記間隔距離l4及び前記推定安全距離に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する第3安全制動距離を決定するステップと、
前記第1障害乗り物の走行速度v4を取得し、前記走行速度v1、前記第3安全制動距離、及び前記走行速度v4に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応する前記候補加速度を決定するステップと、を含む、
請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項10】
前記間隔距離l3と、前記ターゲット乗り物の車両長とに基づいて、前記予期車線変更後のターゲット乗り物と前記第1障害乗り物との間の推定安全距離を決定するステップは、
前記予期車線変更後のターゲット乗り物の追従安全距離及び第2追従時間距離を取得し、前記第2障害乗り物に対応する走行速度v5を取得するステップと、
前記走行速度v1、前記追従安全距離、及び前記第2追従時間距離に基づいて、前記第1障害乗り物と前記ターゲット乗り物との第1予期間隔距離を決定するステップと、
前記走行速度v5、前記追従安全距離、及び前記第2追従時間距離に基づいて、前記第2障害乗り物と前記ターゲット乗り物との第2予期間隔距離を決定するステップと、
前記間隔距離l3が第1区分パラメータ以上である場合、前記間隔距離l4及び前記第1予期間隔距離に基づいて、前記推定安全距離を決定するステップであって、前記第1区分パラメータは、前記第1予期間隔距離、前記第2予期間隔距離、及び前記車両長の総和を指す、ステップと、
前記間隔距離l3が前記第1区分パラメータ未満であり、かつ、前記間隔距離l3が第2区分パラメータ以上である場合、前記第1障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間のデフォルト安全距離、前記間隔距離l3、前記第2予期間隔距離、及び前記車両長に基づいて、前記推定安全距離を決定するステップであって、前記第2区分パラメータは、前記第1障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間のデフォルト安全距離、前記第2障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間のデフォルト安全距離、及び前記車両長の総和を指す、ステップと、
前記間隔距離l3が前記第2区分パラメータ未満である場合、前記第1障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間のデフォルト安全距離を前記推定安全距離として決定するステップと、を含む、
請求項に記載のデータ処理方法。
【請求項11】
データ処理装置であって、
現在の車線に位置するターゲット乗り物の走行パラメータを取得し、前記走行パラメータに基づいて、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成する初期加速度決定モジュールと、
前記ターゲット乗り物の現在位置情報、予測車線変更時間長、及び前記初期予測車線変更加速度に基づいて、前記ターゲット乗り物に対応するターゲット予測位置情報を生成する位置予測モジュールであって、前記予測車線変更時間長は、推定された、前記ターゲット乗り物が前記現在の車線からターゲット車線へ車線を変更するのにかかる時間長である、位置予測モジュールと、
前記ターゲット予測位置情報に基づいて、ターゲット車線において前記ターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物を決定するターゲット障害物決定モジュールであって、前記ターゲット車線は、前記ターゲット乗り物の予期車線変更の変更先車線であり、前記ターゲット障害乗り物は、前記ターゲット車線における、予期車線変更後のターゲット乗り物に隣接する乗り物である、ターゲット障害物決定モジュールと、
前記ターゲット障害乗り物と前記ターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、前記現在の車線から前記ターゲット車線への車線変更を前記ターゲット乗り物に指示するためのターゲット予測車線変更加速度を決定し、前記ターゲット予測車線変更加速度に基づいて、前記現在の車線から前記ターゲット車線へ変換するように前記ターゲット乗り物を制御するターゲット加速度決定モジュールと、
を含み、
前記初期加速度決定モジュールは、
ターゲット乗り物に対応する走行パラメータを取得することであって、前記走行パラメータは、ターゲット車線最大速度、誘導乗り物、及び通行道路距離を含み、前記ターゲット車線最大速度は、前記ターゲット車線の規定された最大速度を指し、前記誘導乗り物は、前記現在の車線で前記ターゲット乗り物の前方を走行しておりかつ距離が最も近い、前記ターゲット乗り物に対して走行ルートを誘導する乗り物を指し、前記通行道路距離は、前記ターゲット乗り物の前記現在の車線における通行可能な道路の長さを指す、ことと、
前記ターゲット車線最大速度、前記誘導乗り物、及び前記通行道路距離に基づいて、ターゲット乗り物に対応する前記初期予測車線変更加速度を生成することと、を行う、
データ処理装置。
【請求項12】
コンピュータ機器であって、
メモリとプロセッサとを備え、
前記メモリには、コンピュータプログラムが記憶されており、前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサは、請求項1乃至1のいずれか1項に記載のデータ処理方法を実行する、コンピュータ機器。
【請求項13】
請求項1乃至1のいずれか1項に記載のデータ処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年9月17日に中国特許庁に提出された、出願番号が202010979552.7であり、発明の名称が「乗り物に基づくデータ処理方法、装置、機器、及び媒体」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全ての内容は参照することにより本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、スマート運転の技術分野に関し、特にデータ処理方法、装置、機器、及び媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
無人運転車は、車載センシングシステムを通じて道路環境を感知し、自動的に走行ルートを計画し、所定の目標に到達するように車両を制御するスマートな自動車であり、車内のコンピュータシステムを中心としたスマートパイロットによって無人運転の目的を達成することができる。
【0004】
関連技術において、無人運転車両が車線を変更しようとする場合には、通常、環境車両の協力、譲りなどが必要となり、そうしてこそ、十分な車線変更スペースを確保し、無人運転車両の安全的な車線変更を実現することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、渋滞のシナリオでは、周囲の環境車両が該無人運転車両に協力できず、該無人運転車両に道を譲ることができないことで、無人運転車両が適切な車線変更の機会を見つけることができず、さらに無人運転車両の車線変更の失敗につながる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施例では、コンピュータ機器が実行するデータ処理方法が提供されている。前記方法は、
現在の車線に位置するターゲット乗り物の走行パラメータを取得し、走行パラメータに基づいて、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成するステップと、
ターゲット乗り物の現在位置情報、予測車線変更時間長、及び初期予測車線変更加速度に基づいて、ターゲット乗り物に対応するターゲット予測位置情報を生成するステップであって、前記予測車線変更時間長は、推定された、前記ターゲット乗り物が前記現在の車線からターゲット車線へ車線を変更するのにかかる時間長である、ステップと、
ターゲット予測位置情報に基づいて、ターゲット車線においてターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物を決定するステップであって、ターゲット車線は、ターゲット乗り物の予期車線変更の変更先車線であり、ターゲット障害乗り物は、ターゲット車線における、予期車線変更後のターゲット乗り物に隣接する乗り物である、ステップと、
ターゲット障害乗り物とターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、現在の車線からターゲット車線への車線変更をターゲット乗り物に指示するためのターゲット予測車線変更加速度を決定するステップと、
前記ターゲット予測車線変更加速度に基づいて、現在の車線から前記ターゲット車線へ変換するように前記ターゲット乗り物を制御するステップと、を含む。
【0007】
本願の実施例では、データ処理装置が提供されている。前記装置は、
現在の車線に位置するターゲット乗り物の走行パラメータを取得し、走行パラメータに基づいて、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成する初期加速度決定モジュールと、
ターゲット乗り物の現在位置情報、予測車線変更時間長、及び初期予測車線変更加速度に基づいて、ターゲット乗り物に対応するターゲット予測位置情報を生成する位置予測モジュールであって、前記予測車線変更時間長は、推定された、前記ターゲット乗り物が前記現在の車線からターゲット車線へ車線を変更するのにかかる時間長である、位置予測モジュールと、
ターゲット予測位置情報に基づいて、ターゲット車線においてターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物を決定するターゲット障害物決定モジュールであって、ターゲット車線は、ターゲット乗り物の予期車線変更の変更先車線であり、ターゲット障害乗り物は、ターゲット車線における、予期車線変更後のターゲット乗り物に隣接する乗り物である、ターゲット障害物決定モジュールと、
ターゲット障害乗り物とターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、現在の車線からターゲット車線への車線変更をターゲット乗り物に指示するためのターゲット予測車線変更加速度を決定し、前記ターゲット予測車線変更加速度に基づいて、前記現在の車線から前記ターゲット車線へ変換するように前記ターゲット乗り物を制御するターゲット加速度決定モジュールと、を含む。
【0008】
本願の実施例の一態様では、メモリとプロセッサとを備えるコンピュータ機器が提供されている。メモリには、コンピュータプログラムが記憶され、コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、本願の実施例の一態様における方法のステップをプロセッサに実行させる。
【0009】
本願の実施例の一態様では、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体が提供されている。コンピュータプログラムにプログラム命令が含まれ、プログラム命令は、プロセッサによって実行されると、本願の実施例の一態様における方法のステップを実行させる。
【0010】
本願の実施例の一態様によれば、コンピュータ命令を含むコンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムが提供されている。該コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶される。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体から該コンピュータ命令を読み取り、プロセッサが該コンピュータ命令を実行すると、該コンピュータ機器に上記の一態様の各種の実施形態で提供される方法を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本願の実施例又は関連技術の構成をより明確に説明するために、以下に、実施例又は関連技術の説明に必要な図面を簡単に紹介する。明らかに、以下の説明における図面は本願のいくつかの実施例を示しているに過ぎず、当業者であれば、創造的な労働をすることなく、これらの図面から他の図面を得ることもできる。
図1a】本願の実施例で提供されるデータ処理方法が適用可能なシステムアーキテクチャ図である。
図1b】本願の実施例で提供されるスマート運転システムの構成の模式図である。
図2a】本願の実施例で提供される無人運転車両の車線変更シナリオの模式図である。
図2b】本願の実施例で提供される無人運転車両の車線変更シナリオの模式図である。
図3】本願の実施例で提供されるデータ処理方法のフローの模式図である。
図4】本願の実施例で提供されるターゲット障害乗り物決定の模式図である。
図5a】本願の実施例で提供される乗り物の車線変更シナリオの模式図である。
図5b】本願の実施例で提供される乗り物の車線変更シナリオの模式図である。
図6】本願の実施例で提供される乗り物の車線変更シナリオの模式図である。
図7】本願の実施例で提供されるデータ処理装置の構成の模式図である。
図8】本願の実施例で提供されるコンピュータ機器の構成の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の実施例の図面を参照しながら、本願の実施例の構成を明確かつ完全に説明する。明らかなように、説明する実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。当業者が創造的な労働をせずに本願の実施例から得る全ての他の実施例は、本願の保護範囲に属する。
【0013】
本願は、スマート運転技術における無人運転車両(車輪付き移動ロボット又は自動運転車とも呼ばれる)に関する。無人運転車は、車載センシングシステムを通じて道路環境を感知し、自動的に走行ルートを計画し、所定の目標に到達するように車両を制御するスマートな自動車である。それは、車載センサを使用して車両の周囲環境を感知し、感知された道路、車両位置、及び障害物情報に基づいて、車両の旋回及び速度を制御し、車両が安全で確実に道路を走行できるようにすることができる。無人運転車両は、自動制御、アーキテクチャ、人工知能、ビジュアルコンピューティングなどの多くの技術を一体に統合し、コンピュータサイエンス、パターン認識、及びスマート制御技術が高度に発達した産物である。
【0014】
道路渋滞のシナリオでは、周囲の環境車両が無人運転車両に協力できず、無人運転車両に道を譲ることができない場合、無人運転車両が適切な車線変更の機会を見つけることができず、さらに無人運転車両の車線変更の失敗につながる。これに基づき、本願の実施例は、乗り物の車線変更の成功率を向上させることができる乗り物の車線変更方法、装置、機器、及び媒体を提供する。
【0015】
図1aは、本願の実施例で提供される乗り物の車線変更方法が適用可能なシステムアーキテクチャ100である。図1aに示すように、システムアーキテクチャ100は、端末機器101及び102のうちの1つ又は複数と、ネットワーク104と、サーバ105と、を含んでもよい。ネットワーク104は、端末機器101、102と、サーバ105との間で通信リンクの媒体を提供する。ネットワーク104は、例えば、有線、無線の通信リンク、又は光ファイバケーブルなどの様々な接続タイプを含んでもよい。端末機器101、102は、従来の自動車に追加又は配置された、ディスプレイを有する様々なコンピューティングデバイスであってもよく、コンピュータ、スマートフォン、及びタブレットコンピュータなどを含むが、これらに限定されない。実現の必要に応じて、任意数の端末機器、ネットワーク、及びサーバを有してもよい。例えば、サーバ105は、複数のサーバからなるサーバクラスターなどであってもよい。
【0016】
本願の実施例で提供される乗り物の車線変更方法は、一般的に、端末機器101、102によって実行される。しかしながら、当業者は、本願の実施例で提供される乗り物の車線変更方法がサーバ105によっても実行され得ることを容易に理解することができる。この例示的な実施例では、これを特に限定しない。
【0017】
図1bを参照する。図1bは、本願の実施例で提供されるスマート運転システムの構成の模式図である。図1bに示すように、スマート運転システムは、通常、従来の自動車への追加によってシステム全体を構築する。該スマート運転システムは、ハードウェア部分及びソフトウェア部分を含んでもよい。そのうち、ハードウェア部分は、センサ、信号通信モジュール、及び制動器などを含んでもよく、ソフトウェア部分は、感知モジュール、計画モジュール、及び制御モジュールなどを含んでもよく、図1aに示された端末機器101又は端末機器102にインストールされてもよい。
【0018】
センサは、周囲の環境の大量の情報、例えば、障害物(ここでの障害物は、無人運転車両の周囲の他の車両、歩行者、コーン、ガードレールなどを指すことができる)の位置、速度、及び可能な行動、走行可能な領域、交通ルールなどの情報を取得するために使用することができる。センサは、カメラ(Camera)、ライダー(Lidar)、ミリ波レーダー(Millimeter Wave Radar)を含んでもよいが、これらに限定されない。カメラは、画像情報を取得するために使用することができる。ソフトウェア部分の感知モジュールは、画像情報から歩行者、車、木、信号機、標識などを識別することができ、即ち、画像情報に基づいて障害物や交通信号を検出することができる。ライダーは、レーザスキャン反射データを取得するために使用することができる。感知モジュールは、レーザスキャン反射データから歩行者、車、木などの障害物を識別することができ、即ち、レーザスキャン反射データに基づいて障害物を検出することができる。ミリ波レーダーは、反射データを取得するために使用することができる。反射データに基づいて、障害物の識別や距離の測定ができ、障害物の回避を支援する目的を達成することができる。言い換えれば、スマート運転システムは、センサで取得されたデータに基づいて、無人運転車両の周囲の環境をリアルタイムに感知することができる。
【0019】
ある目標を達成するために、計画モジュールは、無人運転車両に対して目的を持った意思決定を行うことができる。無人運転車両の場合、この目標は、通常、出発地から目的地に到達するとともに障害物を回避し、乗客の安全及び快適を保証するために運転軌跡及び行動を絶えずに最適化することを指す。計画は、タスク計画、行動計画、及び動き計画を含んでもよい。経路計画は、ルーティング計画(routing)とも呼ばれる。タスク計画の役割は、簡単的にスマート運転システム内部のナビゲーションと理解されてもよく、即ち、出発点から目的地点に到達することを実現するために無人運転車両がどのような道路を走行するかをマクロレベルで指導することである。行動計画は、意思決定(Decision Making)とも呼ばれる。行動計画は、経路計画の目標、及び現在の局部の状況(例えば、他の車両や歩行者の位置及び行動、現在の交通ルールなど)に応じて、無人運転車両が次に実行すべき決定を決定することを担うことができる。行動計画は、車両の運転助手と理解されてもよく、目標及び現在の交通状況に応じて、追従するかそれとも追い越すか、停車して歩行者の通過を待つかそれとも歩行者を避けて通るかなどについて運転者を指揮する。動き計画は、経路計画(path planning)及び速度計画(speed planning)を含んでもよい。動き計画の役割は、小さな時間空間領域内で、無人運転車両が点Aから点Bまでどのように走行するかという問題を具体的に解決することと理解されてもよい。例えば、短い時間t内で点Aから点Bまでの中間経路点について、どのような具体的な経路点を通るのか、それぞれの経路点に到達する際の無人車の速度、向き、加速度などの選択を含めて計画することができる。
【0020】
制御モジュールは、スマート運転システムの最下層であり、上記の計画された行動(例えば、障害物の回避、車線変更など)を実現するために使用することができる。制御モジュールは、ハードウェア部分の制動器に実行命令を送信し、無人運転車両のパワー(アクセル及びギア)、シャーシ(旋回及び制動)、及び電子電気などのシステムの実行を制御し、無人運転の速度及び方向の制御を実現することができる。
【0021】
信号通信モジュールには、V2V通信(vehicle-to-vehicle communication)が含まれてもよい。V2V通信は、自動車間の無線に基づくデータ伝送を指す。V2V通信は、事故防止のため、専用のネットワークを介して、車両位置及び速度情報を他の車両に送信するものである。信号通信モジュールと感知モジュールは、データやり取りを行うことができる。感知モジュールによって、他の車両の車両位置及び速度情報をリアルタイムに感知することができる。これと同時に、信号通信モジュールによって、現在の無人運転車両の車両位置及び速度情報を他の車両に伝送することもできる。無人運転車両の感知モジュールは、受信した情報に基づいて、制動減速のような自律的な措置を講じることができる。
【0022】
本願は、スマート運転システムにおける行動計画に関し、主に、無人運転の渋滞シナリオにおける車線変更時の速度計画の問題に関する。
【0023】
図2a及び図2bを併せて参照する。図2a及び図2bは、本願の実施例で提供される無人運転車両の車線変更シナリオの模式図である。無人運転車両が高速道路や幹線道路に合流するシナリオを例にすると、図2aに示された車両10aは、無人運転車両である。該車両10aが高速道路や幹線道路の入口に位置する場合、車両10aは、高速道路や幹線道路に合流するために車線を変更せざるを得ない。図2aに示された車両10bは、車両10aと同一車線を走行しており、かつ車両10aの前方に位置する誘導車両を指し(車両10bと車両10aは、現在の車線における隣接車両である)、車両10c、車両10d、及び車両10eは、それぞれ、ターゲット車線を走行している車両である。車線を変更しようとする車両10aにとっては、車両10c、車両10d、及び車両10eは、いずれも障害物である。
【0024】
図2aに示すように、車両10aの現在の車線における走行可能な領域は領域L1であり、即ち、車両10aは、衝突を回避するために、領域L1の終点に到達する前に車線をターゲット車線に変更する必要がある。車線変更中、車両10aは、現在の車線における領域L1の長さ、車両10a自身の走行速度、車両10bの走行速度、並びに、ターゲット車線における走行中の車両の速度及び位置(例えば、車両10c、車両10d、及び車両10eのターゲット車線における位置及び速度)に基づいて、ターゲット車線において車線変更の間隙を合理的に選択し、即ち、ターゲット車線におけるどの2台の車の間に割り込むかを選択することができる。図2aに示すように、ターゲット車線には、車両10aが選択可能な間隙が4つあり、この4つの間隙は、それぞれ、車両10cの前方領域、車両10cと車両10dとの間の領域L2、車両10dと車両10eとの間の領域L3、及び車両10eの後方領域L4である。
【0025】
車両10aが車線変更しようとする間隙として領域L2を選択した場合、車両10aは、車両10cと車両10dとの間の間隔距離、車両と車両との間の安全距離、並びに、車両10c及び車両10dのそれぞれに対応する走行速度などの情報に基づいて、さらに速度計画を行う必要もあり、車両10aの速度を変更することにより、現在の車線からターゲット車線への安全的な車線変更を実現する。
【0026】
無人運転車両が高速道路や幹線道路の出口に位置する場合、図2bに示された車両20aは、高速道路や幹線道路から車線変更しようとする無人運転車両であり、即ち、車両20aは、高速道路や幹線道路から離れる目的を達成するために、現在の車線からターゲット車線へ車線を変更する必要がある。図2bに示すように、車両20bは、車両20aと同一車線を走行しており、かつ車両20aの前方に位置する誘導車両を指し(車両20bと車両20aは、現在の車線における隣接車両である)、車両20c及び車両20dは、それぞれ、ターゲット車線を走行している車両である。車線を変更しようとする車両20aにとっては、車両20c及び車両20dは、いずれも障害物である。
【0027】
車線変更プロセスにおいて、車両20aは、まず、ターゲット車線から車線変更の間隙を合理的に選択し、即ち、ターゲット車線におけるどの2台の車の間に割り込むかを選択する必要がある。車両20aは、自車の走行速度、車両20bの走行速度、車両20cの走行速度、及び車両20dの走行速度などの情報に基づいて、ターゲット車線から車線変更の間隙を合理的に選択してもよい。図2bに示すように、ターゲット車線には、車両20aが選択可能な間隙が3つあり、この3つの間隙は、それぞれ、車両20cの前方領域L6(実際の応用では、ここでの車両20cが既に高速道路や幹線道路から完全に離れ、ターゲット車線を走行しているので、ここでの領域L6は考慮しなくてもよい)、車両20cと車両20dとの間の領域L5、車両20dの後方領域L7である。
【0028】
車両20aが車線変更しようとする間隙として領域L5を選択した場合、車両20aは、車両20cと車両20dとの間の間隔距離、車両と車両との間の安全距離、並びに、車両20c及び車両20dのそれぞれに対応する走行速度などの情報に基づいて、さらに速度計画を行う必要もあり、車両20aの速度を変更することにより、現在の車線からターゲット車線への安全的な車線変更を実現する。
【0029】
ここで、車両10a及び車両20aに対する速度計画の具体的なフローは、以下の図3から図6に対応する実施例を参照すればよい。
【0030】
さらに、図3を参照する。図3は、本願の実施例で提供されるデータ処理方法のフローの模式図である。該方法は、コンピュータ機器によって実行され、該コンピュータ機器は、図1aに示された端末機器であってもよく、図1aにおけるサーバ105であってもよい。図3に示すように、該データ処理方法は、以下のステップを含んでもよい。
【0031】
ステップS101では、現在の車線に位置するターゲット乗り物の走行パラメータを取得し、走行パラメータに基づいて、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成する。
【0032】
具体的には、スマート運転システムは、ターゲット乗り物(即ち、車線を変更する必要がある無人運転車両であり、例えば、上記の図2aに対応する実施例における車両10aであり、Ego carと呼ぶことができる)の走行パラメータ(ターゲット乗り物の位置する環境条件とも呼ばれる)に基づいて、速度粗計画を行い、即ち、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成してもよい。ここで、上記走行パラメータは、ターゲット車線最大速度vm、誘導乗り物(Leading carであり、又はLeaderとも呼ばれる)、及び通行道路距離Lm(メートル)を含んでもよい。ターゲット車線最大速度vmは、ターゲット車線の規定された最大速度を指し、ターゲット車線は、ターゲット乗り物の予期車線変更の変更先車線を指す。例えば、ターゲット車線が高速道路における車線である場合、ターゲット車線最大速度vmは、高速道路の規定された最大速度120m/s(メートル/秒)であってもよい。誘導乗り物は、現在の車線でターゲット乗り物に対して走行ルートを誘導する乗り物、即ち、現在の車線でターゲット乗り物の前方を走行しておりかつ距離が最も近い環境車両を指す。通行道路距離Lmは、ターゲット乗り物の現在の車線における通行可能な道路の長さを指し、例えば、上記の図2aに対応する実施例における領域L1の長さである。
【0033】
さらに、スマート運転システムは、ターゲット乗り物の現在の走行速度v1を取得してもよく、走行速度v1及びターゲット車線最大速度vmに基づいて、ターゲット乗り物に対応する第1制限加速度a1を決定することができる。該第1制限加速度a1は、
【0034】
【数1】
と表すことができる。
【0035】
ここで、amaxは、ターゲット乗り物の設計された最大加速度を表す。即ち、第1制限加速度a1の最大値は、amaxである。数式1は、第1制限加速度a1に対する区分関数表現である。数式1で考慮される要因は、ターゲット車線の現在の車の流れの速度である。ターゲット乗り物の走行速度v1がターゲット車線最大速度vmと2.0との差未満である場合、第1制限加速度a1を最大加速度amax(m/s、即ちメートル/平方秒)に設計してもよく、ターゲット乗り物の走行速度v1がターゲット車線最大速度vmと0.5との差未満であってかつターゲット車線最大速度vmと2.0との差以上である場合、第1制限加速度a1を0.5m/sに設計してもよく、ターゲット乗り物の走行速度v1がターゲット車線最大速度vmと0.5との和未満であってかつターゲット車線最大速度vmと0.5との差以上である場合、第1制限加速度a1を0に設計し、即ち、走行速度v1を保持したまま等速運動を行ってもよく、ターゲット乗り物の走行速度v1がターゲット車線最大速度vmと0.5との和以上である場合、第1制限加速度a1を-(v1-vm)/3.0に設計してもよい。
【0036】
説明すべきものとして、本願の実施例に係る全ての走行速度は、瞬時速度であってもよく、単位がいずれもm/s(メートル/秒)であり、本願の実施例に係る全ての加速度の単位は、m/s(メートル/平方秒)であり、本願の実施例に係る全ての距離の単位は、m(メートル)であるが、以下ではこれ以上の説明を省略する。
【0037】
いくつかの実施例において、車線変更シナリオで、スマート運転システムは、通行道路距離Lmの影響を考慮する必要もある。ターゲット乗り物が適切な車線変更のタイミングを探している間、該ターゲット乗り物は、依然として現在の車線で走行している状態を保持する。ターゲット乗り物が適切な車線変更の機会を見つけられず、現在の車線の終点に次第に近づいている場合、スマート運転システムは、該ターゲット乗り物を減速させるように制御する必要がある。このため、スマート運転システムは、走行速度v1及び通行道路距離Lmに基づいて、ターゲット乗り物に対応するブレーキ加速度arを生成してもよく、ブレーキ加速度arに基づいて、ターゲット乗り物に対応する第2制限加速度a2を決定することができる。
【0038】
ここで、ブレーキ加速度arは、ターゲット乗り物が減速時に用いる加速度を指すことができる。スマート運転システムは、ターゲット乗り物の現在の車線における道路終点速度vminを取得し、走行速度v1と道路終点速度vminの平方差を取得してもよく、さらに、平方差と通行道路距離Lmとの比に基づいて、ターゲット乗り物に対応するブレーキ加速度arを決定してもよい。該道路終点速度vminは、ターゲット乗り物が現在の車線の終点に到達する際の最低速度である。例えば、道路終点速度は、ターゲット乗り物が高速道路や幹線道路の入口に位置して高速道路や幹線道路に合流する必要がある場合、ターゲット乗り物が現在の車線の終点に到達する際の最低速度であってもよく、又は、例えば、道路終点速度は、ターゲット乗り物が高速道路や幹線道路から出る場合、ターゲット乗り物が現在の道路で出口に到達する際の最低速度であってもよい(例えば、道路終点速度vminは3.0m/sであってもよく、又は、道路終点速度vminは0であってもよい。道路終点速度vminは、予め設定された定数パラメータであってもよい)。該ブレーキ加速度arは、
【0039】
【数2】
と表すことができる。
【0040】
上記の数式2によって、ブレーキ加速度arを算出することができる。上記第2制限加速度a2は、
【0041】
【数3】
と表すことができる。
【0042】
ここで、数式3は、第2制限加速度a2に対する区分関数表現である。ブレーキ加速度arが-1.0m/s未満である場合、第2制限加速度a2を-1.0m/sに設計してもよく、ブレーキ加速度arが-0.5m/s未満であってかつ-1.0m/s以上である場合、第2制限加速度a2を-0.5m/sに設計してもよく、ブレーキ加速度arが0未満であってかつ-0.5m/s以上である場合、第2制限加速度a2を0に設計し、即ち、走行速度v1を保持したまま等速運動を行ってもよく、ブレーキ加速度arが0以上である場合、第2制限加速度a2をamaxに設計してもよい。
【0043】
いくつかの実施例において、車線変更シナリオで、スマート運転システムは、現在の車線における誘導乗り物の影響を考慮する必要もある。現在の車線にターゲット乗り物の誘導乗り物が存在する場合、ターゲット乗り物は、車線変更を実現するために、急進的な措置を取って(例えば、誘導乗り物との追従距離を短縮して)加速的な車線変更をせざるを得ない場合がある。このため、スマート運転システムは、誘導乗り物の走行速度v2を取得し、走行速度v2に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第1安全制動距離Lb1を決定してもよく、さらに、第1安全制動距離Lb1、走行速度v1、ターゲット追従速度vf、及び推定追従時間長tfに基づいて、ターゲット乗り物に対応する第3制限加速度a3を決定してもよい。ここで、ターゲット追従速度vfは、ターゲット車線最大速度vm及び走行速度v2のうちの小さい値、即ち、vf=min(v2,vm)であり、推定追従時間長tfは、予め設定された定数パラメータであり(例えば、tf=3~4秒)、ターゲット乗り物が現在の車線で誘導乗り物の後に付く時間長を推定するためのものであり、第1安全制動距離Lb1は、ターゲット乗り物が誘導乗り物との安全追従距離を保持しながら現在の車線を走行できる距離を示すために使用することができる。
【0044】
ここで、第1安全制動距離Lb1の決定プロセスは、スマート運転システムが、ターゲット乗り物と誘導乗り物との間の第1追従時間距離th1(第1追従時間距離th1は、予め設定された定数パラメータであってもよく、ターゲット乗り物が現在の走行速度v1で誘導乗り物との最短安全距離を保持する時間長を示すためのものであり、例えば、th1=0.5~0.8秒である)を取得し、ターゲット追従速度vf及び第1追従時間距離th1に基づいて、ターゲット追従距離を決定するステップと、ターゲット乗り物と誘導乗り物との間隔距離l1(現在の時刻での間隔距離)を取得し、間隔距離l1とターゲット追従距離との差を第1安全制動距離Lb1として決定するステップと、を含んでもよい。該第1安全制動距離Lb1は、
【0045】
【数4】
と表すことができる。
【0046】
上記の数式4によって、第1安全制動距離Lb1を算出することができ、この場合の第3制限加速度a3は、
【0047】
【数5】
と表すことができる。
【0048】
スマート運転システムは、上記第1制限加速度a1、第2制限加速度a2、及び第3制限加速度a3を取得した後、第1制限加速度a1、第2制限加速度a2、及び第3制限加速度a3のうちの最小値を、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度
(外1)
として決定し、即ち、
(外2)
にしてもよい。
【0049】
ステップS102では、ターゲット乗り物の現在位置情報、予測車線変更時間長、及び初期予測車線変更加速度に基づいて、ターゲット乗り物に対応するターゲット予測位置情報を生成する。
【0050】
具体的には、スマート運転システムは、初期予測車線変更加速度
(外3)
に基づいて、将来の一定時間(例えば3~5秒)後にターゲット乗り物と周囲の障害乗り物との相対的な位置関係を推定してもよく、相対的な位置関係に基づいて、適切な車線変更の間隙を選択して車線変更準備を行うことができる。説明すべきものとして、上記3~5秒は、予測車線変更時間長、即ち、想定された、ターゲット乗り物が現在の車線からターゲット車線へ車線を変更するのにかかる時間長と表すことができる。スマート運転システムは、ターゲット乗り物の現在位置情報を取得してもよく、現在位置情報、予測車線変更時間長、及び初期予測車線変更加速度
(外4)
に基づいて、ターゲット乗り物の予測車線変更時間長後のターゲット予測位置情報を決定することができる。ターゲット予測位置情報は、
【0051】
【数6】
と表すことができる。
【0052】
ここで、上記の数式6におけるs(tp)は、ターゲット乗り物に対応するターゲット予測位置情報を表し、s(t0)は、ターゲット乗り物の現在位置情報を表し、tpは、予測車線変更時間長を表す。
【0053】
説明すべきものとして、本願の実施例に係る位置情報(現在位置情報、ターゲット予測位置情報、及び後述する障害乗り物の予測位置情報などを含む)は、デカルト座標系で表す座標情報を指すことができるし、Frenet座標系で表す座標情報を指すこともできる。ここで、Frenet座標系は、従来のx,yのデカルト座標系よりも直感的に道路の位置を表す方式である。Frenet座標系では、変数sとdを使用して道路における車両の位置を記述することができ、s座標は道路に沿った距離を表し(縦方向位置とも呼ばれる)、d座標は道路における左右位置を表す(横方向位置とも呼ばれる)。本願の実施例は、いずれも、Frenet座標系を例として、ターゲット乗り物及び障害乗り物の位置情報を記述する。本願の実施例における位置情報は、Frenet座標系における縦方向位置情報、即ち、道路に沿った距離を指すことができる。
【0054】
ステップS103では、ターゲット予測位置情報に基づいて、ターゲット車線においてターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物を決定し、ターゲット障害乗り物は、ターゲット車線における、予期車線変更後のターゲット乗り物に隣接する乗り物である。
【0055】
具体的には、スマート運転システムは、ターゲット乗り物の周囲環境における障害乗り物を取得して、予測車線変更時間長tpを推定した後、障害乗り物とターゲット乗り物との間の予測距離を決定し、さらに、ターゲット車線においてターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物を決定してもよい。ターゲット障害乗り物は、ターゲット車線における、予期車線変更後のターゲット乗り物に隣接する乗り物を指すことができる。
【0056】
さらに、スマート運転システムは、ターゲット車線において参照距離範囲内のN個(Nは、正の整数)の交通車両のそれぞれに対応する車両走行速度を取得し、車両走行速度及び予測車線変更時間長に基づいて、N個の交通車両のそれぞれに対応する予測位置情報を決定してもよく、さらに、ターゲット予測位置情報と、N個の交通車両のそれぞれに対応する予測位置情報とに基づいて、ターゲット乗り物とN個の交通車両のそれぞれとの間の予測距離を取得し、前記ターゲット乗り物との間の予測距離が最短となる1つ又は複数の交通車両を、ターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物として決定してもよい。理解できるように、スマート運転システムによる障害乗り物の予測位置情報の取得は、適切な車線変更の間隙を選択することを目的とする。ターゲット乗り物は現在の車線からターゲット車線へ車線を変更する必要があるため、スマート運転システムは、ターゲット車線の参照距離範囲内のN個の交通車両に関する情報(走行速度、現在位置、及び予測車線変更時間長後の予測位置などを含む)のみを取得してもよい。ここでの参照距離範囲は、ターゲット障害乗り物の決定範囲を指すことができる。例えば、参照距離範囲は、ターゲット乗り物の現在位置情報から前後100メートル離れた範囲などであってもよい。ターゲット車線におけるN個の乗り物は、予測車線変更時間長内で等速運動すると見なすことができる。この場合、ターゲット車線における各交通車両の予測位置情報は、いずれも、交通車両の現在位置に、予測車線変更時間長内で等速走行する距離を加えたものと表すことができる。ターゲット乗り物と各々の交通車両との間の予測距離を計算することにより、ターゲット予測位置情報s(tp)に最も近い前方障害物及び後方障害物をターゲット障害乗り物として選択することができる。
【0057】
図4を併せて参照する。図4は、本願の実施例で提供されるターゲット障害乗り物決定の模式図である。図4に示された車両30aは、車線を変更する必要がある無人運転車両である。現在の時刻(即ち、時刻t0)での車両30aの位置は、現在の車線の位置Aである。位置AのFrenet座標系における縦方向位置は、s(t0)で表すことができる。上記の算出された初期予測車線変更加速度
(外5)
、予測車線変更時間長tp、及び車両30aの現在の走行速度v1に基づいて、車両30aのターゲット予測位置情報s(tp)を算出することができる。即ち、車両30aは、予測車線変更時間長tp内で、現在の車線における位置Aから位置Bまで走行することができる。位置Bに対応する縦方向位置は、s(tp)である。この場合のs(tp)は、車両30aの予測車線変更時間長tp後のターゲット予測位置情報である。
【0058】
スマート運転システムは、ターゲット車線において参照距離範囲内の車両30b、車両30c、及び車両30dを取得することができる。時刻t0において、車両30bはターゲット車線における位置Gにあり、車両30cはターゲット車線における位置Dにあり、車両30dはターゲット車線における位置Cにある。車両30b、車両30c、及び車両30dのそれぞれの時刻t0での走行速度を取得し、それぞれの時刻t0での走行速度と予測車線変更時間長tpとに基づいて、予測車線変更時間長tp後の車両30b、車両30c、及び車両30dのそれぞれに対応する予測位置情報を決定することができる(ここでは、車両30b、車両30c、及び車両30dが予測車線変更時間長tp内で等速運動することをデフォルトとする)。図4に示すように、車両30cは、予測車線変更時間長tp内で、ターゲット車線の位置Dから位置Fまで走行し、位置Fに対応する縦方向位置は、s3(即ち、車両30cに対応する予測位置情報)であり、車両30dは、予測車線変更時間長tp内で、ターゲット車線の位置Cから位置Eまで走行し、位置Eに対応する縦方向位置は、s2(即ち、車両30dに対応する予測位置情報)である。縦方向位置s(tp)と、車両30b、車両30c、及び車両30dのそれぞれに対応する予測位置情報との間の予測距離を計算することにより、縦方向位置s2と縦方向位置s(tp)との間の距離が最小でありかつ縦方向位置s2が縦方向位置s(tp)よりも小さいことを決定することができるので、縦方向位置s2に対応する車両30dを、車両30aに対応するターゲット障害乗り物として決定してもよく(予測車線変更時間長tp後、車両30dが車両30aの後に位置する)、さらに、車両30cを、車両30aに対応するターゲット障害乗り物として決定してもよい(予測車線変更時間長tp後、車両30cは、車両30aの前方にある、距離が最も近い車両である)。
【0059】
ステップS104では、ターゲット障害乗り物とターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、現在の車線からターゲット車線への車線変更をターゲット乗り物に指示するためのターゲット予測車線変更加速度を決定する。
【0060】
ステップS105では、前記ターゲット予測車線変更加速度に基づいて、前記現在の車線から前記ターゲット車線へ変換するように前記ターゲット乗り物を制御する。
【0061】
本願の実施例の乗り物の車線変更方法がサーバによって実行される場合、サーバは、ターゲット乗り物におけるスマート運転システムに制御命令を送信することにより、スマート運転システムに、前記現在の車線から前記ターゲット車線へ変換するように前記ターゲット乗り物を制御させる。
【0062】
具体的には、理解できるように、初期予測車線変更加速度
(外6)
は、ターゲット車線からターゲット障害乗り物を決定するために用いられる。初期予測車線変更加速度
(外7)
の決定プロセスにおいて、ターゲット障害乗り物によるターゲット乗り物の車線変更処理への影響が考慮されていないため、初期予測車線変更加速度
(外8)
でターゲット乗り物の車線変更を行うと、ターゲット障害乗り物を効果的に追跡・回避することができない。そのため、スマート運転システムは、ターゲット障害乗り物に基づいて、ターゲット乗り物の速度を再計画する必要がある。
【0063】
スマート運転システムは、ターゲット障害乗り物とターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、ターゲット乗り物に対応する候補加速度a4を決定してもよい。該候補加速度a4は、ターゲット障害乗り物に基づいて得られた、ターゲット乗り物に対する加速度を指す。ターゲット障害乗り物の数は、1つであってもよく、2つであってもよい。ターゲット障害乗り物の数が1つである場合、ターゲット乗り物は、予期車線変更後に、ターゲット障害乗り物の前方を走行してもよく、ターゲット障害乗り物の後方を走行してもよい。ターゲット障害乗り物の数が2つである場合、ターゲット乗り物は、予期車線変更後に、2つのターゲット障害乗り物の間を走行してもよい。
【0064】
スマート運転システムは、候補加速度a4、第2制限加速度a2、及び第3制限加速度a3の中から最小値を選択して、ターゲット乗り物に対応するターゲット予測車線変更加速度
(外9)
とし、即ち、
(外10)
にしてもよい。ターゲット予測車線変更加速度
(外11)
を取得した後、スマート運転システムは、ターゲット予測車線変更加速度
(外12)
で現在の車線からターゲット車線へ車線を変更するようにターゲット乗り物を制御することができる。理解できるように、ターゲット乗り物の実際の車線変更プロセスにおいて、スマート運転システムがターゲット乗り物に対して車線変更経路を計画することも必要である。車線変更経路を計画した後、計画された経路に沿って、ターゲット予測車線変更加速度
(外13)
に基づいてターゲット乗り物の速度を調整し、ターゲット乗り物の現在の車線からターゲット車線への車線変更を実現する。説明すべきものとして、ターゲット車線にターゲット障害乗り物が存在しない場合は、ターゲット車線の参照距離範囲内に走行している乗り物がないことを表す。この場合のターゲット乗り物は、現在の車線からターゲット車線へ支障なく車線を変更することができる。ターゲット予測車線変更加速度
(外14)
の決定プロセスにおいて、誘導乗り物、通行道路距離、及びターゲット障害乗り物などの要因を同時に考慮することができ、ターゲット予測車線変更加速度
(外15)
の正確度を向上させ、さらに、ターゲット乗り物の車線変更の成功率を向上させることができる。
【0065】
ここで、ターゲット障害乗り物の数が1つである場合、候補加速度a4の決定プロセスは、スマート運転システムが、ターゲット障害乗り物に対応する走行速度v3、及び、ターゲット障害乗り物とターゲット乗り物との間隔距離l2(現在の時刻での間隔距離)を取得し、間隔距離l2に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離Lb2を決定し、さらに、走行速度v1、第2安全制動距離Lb2、及び走行速度v3に基づいて、ターゲット乗り物に対応する候補加速度a4を決定することを含んでもよい。該候補加速度a4は、
【0066】
【数7】
と表すことができる。
【0067】
ここで、taは、調整時間を表し、予め設定された定数パラメータであり(例えば、ta=2~4秒)、ターゲット乗り物が現在の車線からターゲット車線へ車線を変更する調整時間を推定するためのものである。第2安全制動距離Lb2は、予期車線変更後のターゲット乗り物がターゲット障害乗り物との安全距離を保持しながらターゲット車線を走行できる距離を示すために使用することができる。
【0068】
スマート運転システムは、第2安全制動距離Lb2を計算する際に、予期車線変更後のターゲット乗り物の追従安全距離Ls及び第2追従時間距離th2を取得してもよい。ここで、追従安全距離Lsは、予め設定された定数パラメータである。該追従安全距離Lsは、ターゲット車線における隣接する2台の乗り物が衝突を回避するための安全距離を示すためのものであり、例えば、Ls=1.0~3.0メートルである。第2追従時間距離th2は、予め設定された定数パラメータであってもよく、ターゲット乗り物が一定の走行速度を持っているという前提でターゲット障害乗り物との最短安全距離を保持する時間長を示すためのものであり、例えば、th2=0.1~0.5秒であり、その意味が上記第1追従時間距離th1と類似する。
【0069】
図5a及び図5bを併せて参照する。図5a及び図5bは、本願の実施例で提供される乗り物の車線変更シナリオの模式図である。予期車線変更後のターゲット乗り物の前部と、ターゲット障害乗り物の後部との位置が隣接する場合(図5aに示すように、ターゲット乗り物40aは、現在の車線からターゲット車線へ車線を変更しようとし、ターゲット車線には、ターゲット障害乗り物40bのみが含まれる)、スマート運転システムは、走行速度v1、第2追従時間距離th2、追従安全距離Ls、及び間隔距離l2(即ち、ターゲット乗り物40aとターゲット障害乗り物40bとの間隔距離)に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離Lb2を決定することができる。スマート運転システムは、ターゲット乗り物40aとターゲット障害乗り物40bとの最小間隙距離gm1を予め定義してもよい。最小間隙距離gm1は、
【0070】
【数8】
と表すことができる。
【0071】
上記の数式8で定義された最小間隙距離gm1に基づいて、第2安全制動距離Lb2
【0072】
【数9】
であることを決定することができる。
【0073】
上記の数式9から分かるように、ここでの第2安全制動距離Lb2は、ターゲット乗り物40aとターゲット障害乗り物40bとの相対的な位置を示すためのものである。このため、本願の実施例における第2安全制動距離Lb2は、負数であり得る。なお、本願の実施例に係る距離は、いずれも、両者(例えば、2台の乗り物)間の相対的な位置と表すことができるため、算出された距離は、負数であり得る。この場合の負数の結果にも意味があり、これ以上の説明を省略する。上記の数式7、数式8、及び数式9によって、図5aに示された車線変更シナリオにおける候補加速度a4を決定することができる。
【0074】
いくつかの実施例において、ターゲット障害乗り物の前部と、予期車線変更後のターゲット乗り物の後部との位置が隣接する場合(図5bに示すように、ターゲット乗り物40aは、現在の車線からターゲット車線へ車線を変更しようとし、ターゲット車線には、ターゲット障害乗り物40cのみが含まれる)、走行速度v3(即ち、ターゲット障害乗り物40cの現在の時刻での走行速度)、第2追従時間距離th2、追従安全距離Ls、及び間隔距離l2(即ち、ターゲット乗り物40aとターゲット障害乗り物40cとの間隔距離)に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離Lb2を決定する。スマート運転システムは、ターゲット乗り物40aとターゲット障害乗り物40cとの最小間隙距離gm2を予め定義してもよい。最小間隙距離gm2は、
【0075】
【数10】
と表すことができる。
【0076】
上記の数式10で定義された最小間隙距離gm2に基づいて、第2安全制動距離Lb2
【0077】
【数11】
であることを決定することができる。
【0078】
上記の数式7、数式10、及び数式11によって、図5bに示された車線変更シナリオにおける候補加速度a4を決定することができる。
【0079】
いくつかの実施例において、図6を併せて参照する。図6は、本願の実施例で提供される乗り物の車線変更シナリオの模式図である。図6に示すように、ターゲット障害乗り物は、第1障害乗り物50b(推定リーダーと呼ぶことができ、即ち、Putative leader)と、第2障害乗り物50c(推定フォロワーと呼ぶことができ、即ち、Putative follower)とを含んでもよい。また、予期車線変更後のターゲット乗り物50aは、第1障害乗り物50bと第2障害乗り物50cとの間を走行し、即ち、第1障害乗り物の後部と、予期車線変更後のターゲット乗り物の前部との位置が隣接し、第2障害乗り物の前部と、予期車線変更後のターゲット乗り物の後部との位置が隣接し、この場合のターゲット障害乗り物の数は2つである。
【0080】
この場合、候補加速度a4の決定プロセスは、スマート運転システムが、第1障害乗り物50bと第2障害乗り物50cとの間隔距離l3(現在の時刻で)を取得し、間隔距離l3と、ターゲット乗り物50aの車両長l0とに基づいて、予期車線変更後のターゲット乗り物50aと第1障害乗り物50bとの間の推定安全距離Lp(即ち、予期車線変更後のターゲット乗り物50aと第1障害乗り物との最適間隔距離)を決定するステップと、ターゲット乗り物50aと第1障害乗り物50bとの間隔距離l4(現在の時刻で)を取得し、間隔距離l4及び推定安全距離Lpに基づいて、ターゲット乗り物50aに対応する第3安全制動距離Lb3を決定するステップと、スマート運転システムが、第1障害乗り物50bの走行速度v4を取得し、走行速度v1、第3安全制動距離Lb3、及び走行速度v4に基づいて、ターゲット乗り物50aに対応する候補加速度a4を決定するステップと、を含んでもよい。該候補加速度a4は、
【0081】
【数12】
と表すことができる。
【0082】
ここで、第3安全制動距離は、Lb3=l4-Lpと表すことができる。
【0083】
以下、推定安全距離Lpの決定プロセスを説明する。スマート運転システムは、予期車線変更後のターゲット乗り物50aの追従安全距離Ls及び第2追従時間距離th2を取得し、第2障害乗り物50cに対応する走行速度v5を取得してもよく、さらに、走行速度v1、追従安全距離Ls、及び第2追従時間距離th2に基づいて、第1障害乗り物50bとターゲット乗り物50aとの第1予期間隔距離gm3を決定してもよい。該第1予期間隔距離gm3は、上記最小間隙距離gm1と同じ意味を表し、即ち、第1予期間隔距離gm3の表現形式は、上記の数式8に示す通りである。スマート運転システムは、走行速度v5、追従安全距離Ls、及び第2追従時間距離th2に基づいて、第2障害乗り物50cとターゲット乗り物50aとの第2予期間隔距離gm4を決定してもよい。第2予期間隔距離gm4は、
(外16)
と表すことができる。
【0084】
間隔距離l3が第1区分パラメータ以上である場合、間隔距離l4及び第1予期間隔距離gm3に基づいて、推定安全距離Lpを決定してもよい。第1区分パラメータは、第1予期間隔距離gm3、第2予期間隔距離gm4、及び車両長l0の総和を指す。間隔距離l3が第1区分パラメータ未満であり、かつ、間隔距離l3が第2区分パラメータ以上である場合、第1障害乗り物50bとターゲット乗り物50aとの間のデフォルト安全距離Lc1(スマート運転システムで予め設定された定数パラメータを指すことができ、ターゲット乗り物50aと第1障害乗り物50bとの間の最小保持距離を示すために用いられ、例えば、Lc1=0.5~1.5メートルである)、間隔距離l3、第2予期間隔距離gm4、及び車両長l0に基づいて、推定安全距離Lpを決定してもよい。第2区分パラメータは、第1障害乗り物50bとターゲット乗り物50aとの間のデフォルト安全距離Lc1、第2障害乗り物50cとターゲット乗り物50aとの間のデフォルト安全距離Lc2(スマート運転システムで予め設定された定数パラメータを指すことができ、ターゲット乗り物50aと第2障害乗り物50cとの間の最小保持距離を示すために用いられ、例えば、Lc2=0.5~1.5メートルである)、及び車両長l0の総和を指す。間隔距離l3が第2区分パラメータ未満である場合、第1障害乗り物50bとターゲット乗り物50aとの間のデフォルト安全距離Lc1を推定安全距離Lpとして決定する。該推定安全距離Lpは、
【0085】
【数13】
と表すことができる。
【0086】
ここで、l5は、現在の時刻でターゲット乗り物50aと第2障害乗り物50cとの間隔距離を表し、gm3+gm4+l0は、上記第1区分パラメータを表し、Lc1+Lc2+l0は、上記第2区分パラメータである。上記の数式12及び数式13によって、図6に示された車線変更シナリオにおける候補加速度a4を決定することができる。
【0087】
本願の実施例において、ターゲット乗り物の走行パラメータによって、該ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を初歩的に計画し、該初期予測車線変更加速度に基づいて、ターゲット車線から適切な車線変更間隙を決定することができる(ターゲット障害乗り物により決定される)。適切な車線変更間隙を決定した後、ターゲット障害乗り物を考慮要因としてもよい(即ち、ターゲット障害乗り物に対する追跡及び回避を考慮する)。2回の速度計画によって、ターゲット乗り物に車線変更のより良い機会を取得させることができ、ターゲット乗り物の車線変更の成功率を向上させることができる。
【0088】
図7を参照する。図7は、本願の実施例で提供されるデータ処理装置の構成の模式図である。図7に示すように、該データ処理装置1は、初期加速度決定モジュール11と、位置予測モジュール12と、ターゲット障害物決定モジュール13と、ターゲット加速度決定モジュール14と、を含んでもよく、
初期加速度決定モジュール11は、現在の車線に位置するターゲット乗り物の走行パラメータを取得し、走行パラメータに基づいて、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成し、
位置予測モジュール12は、ターゲット乗り物の現在位置情報、予測車線変更時間長、及び初期予測車線変更加速度に基づいて、ターゲット乗り物に対応するターゲット予測位置情報を生成し、前記予測車線変更時間長は、推定された、前記ターゲット乗り物が前記現在の車線からターゲット車線へ車線を変更するのにかかる時間長であり、
ターゲット障害物決定モジュール13は、ターゲット予測位置情報に基づいて、ターゲット車線においてターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物を決定し、ターゲット車線は、ターゲット乗り物の予期車線変更の変更先車線であり、ターゲット障害乗り物は、ターゲット車線における、予期車線変更後のターゲット乗り物に隣接する乗り物であり、
ターゲット加速度決定モジュール14は、ターゲット障害乗り物とターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、現在の車線からターゲット車線への車線変更をターゲット乗り物に指示するためのターゲット予測車線変更加速度を決定し、前記ターゲット予測車線変更加速度に基づいて、前記現在の車線から前記ターゲット車線へ変換するように前記ターゲット乗り物を制御する。
【0089】
ここで、初期加速度決定モジュール11、位置予測モジュール12、ターゲット障害物決定モジュール13,ターゲット加速度決定モジュール14の具体的な機能実現方式は、上記図3に対応する実施例におけるステップS101~ステップS104を参照すればよいが、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0090】
図7を併せて参照すると、初期加速度決定モジュール11は、パラメータ取得ユニット111と、加速度生成ユニット112と、を含んでもよく、
パラメータ取得ユニット111は、ターゲット乗り物に対応する走行パラメータを取得し、走行パラメータは、ターゲット車線最大速度、誘導乗り物、及び通行道路距離を含み、ターゲット車線最大速度は、ターゲット車線の規定された最大速度を指し、誘導乗り物は、現在の車線でターゲット乗り物に対して走行ルートを誘導する乗り物を指し、通行道路距離は、ターゲット乗り物の現在の車線における通行可能な道路の長さを指し、
加速度生成ユニット112は、ターゲット車線最大速度、誘導乗り物、及び通行道路距離に基づいて、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成する。
【0091】
ここで、パラメータ取得ユニット111、加速度生成ユニット112の具体的な機能実現方式は、上記図3に対応する実施例におけるステップS101を参照すればよいが、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0092】
図7を併せて参照すると、加速度生成ユニット112は、第1加速度決定サブユニット1121と、第2加速度決定サブユニット1122と、第3加速度決定サブユニット1123と、選択サブユニット1124と、を含んでもよく、
第1加速度決定サブユニット1121は、ターゲット乗り物の走行速度v1と、ターゲット車線のターゲット車線最大速度とを取得し、走行速度v1及びターゲット車線最大速度に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第1制限加速度を決定し、
第2加速度決定サブユニット1122は、走行速度v1及び通行道路距離に基づいて、ターゲット乗り物に対応するブレーキ加速度を生成し、ブレーキ加速度に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第2制限加速度を決定し、
第3加速度決定サブユニット1123は、誘導乗り物の走行速度v2に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第1安全制動距離を決定し、第1安全制動距離、走行速度v1、ターゲット追従速度、及び推定追従時間長に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第3制限加速度を決定し、ターゲット追従速度は、ターゲット車線最大速度及び走行速度v2のうちの小さい値を指し、
選択サブユニット1124は、第1制限加速度、第2制限加速度、及び第3制限加速度のうちの最小値を、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度として決定する。
【0093】
ここで、第2加速度決定サブユニット1122は、具体的には、
ターゲット乗り物の現在の車線における道路終点速度を取得し、走行速度v1と道路終点速度の平方差を取得し、道路終点速度は、ターゲット乗り物が現在の車線の終点に到達する際の最低速度を指し、
平方差と通行道路距離との比に基づいて、ターゲット乗り物に対応するブレーキ加速度を決定する。
【0094】
ここで、第3加速度決定サブユニット1123は、具体的には、
ターゲット乗り物と誘導乗り物との間の第1追従時間距離を取得し、ターゲット追従速度及び第1追従時間距離に基づいて、ターゲット追従距離を決定し、
ターゲット乗り物と誘導乗り物との間隔距離l1を取得し、間隔距離l1とターゲット追従距離との差を第1安全制動距離として決定する。
【0095】
ここで、第1加速度決定サブユニット1121、第2加速度決定サブユニット1122、第3加速度決定サブユニット1123、選択サブユニット1124の具体的な機能実現方式は、上記図3に対応する実施例におけるステップS101を参照すればよいが、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0096】
図7を併せて参照すると、ターゲット障害物決定モジュール13は、障害物位置予測ユニット131と、予測距離取得ユニット132と、交通車両選択ユニット133と、を含んでもよく、
障害物位置予測ユニット131は、ターゲット車線において参照距離範囲内のN個(Nは、正の整数)の交通車両のそれぞれに対応する車両走行速度を取得し、車両走行速度及び予測車線変更時間長に基づいて、N個の交通車両のそれぞれに対応する予測位置情報を決定し、
予測距離取得ユニット132は、ターゲット予測位置情報と、N個の交通車両のそれぞれに対応する予測位置情報とに基づいて、ターゲット乗り物とN個の交通車両のそれぞれとの間の予測距離を取得し、
交通車両選択ユニット133は、前記ターゲット乗り物との間の予測距離が最短となる1つ又は複数の交通車両を、ターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物として決定する。
【0097】
ここで、障害物位置予測ユニット131、予測距離取得ユニット132、交通車両選択ユニット133の具体的な機能実現方式は、上記図3に対応する実施例におけるステップS103を参照すればよいが、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0098】
図7を併せて参照すると、ターゲット加速度決定モジュール14は、候補加速度決定ユニット141と、加速度選択ユニット142と、車線変更ユニット143と、を含んでもよく、
候補加速度決定ユニット141は、ターゲット障害乗り物とターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、ターゲット乗り物に対応する候補加速度を決定し、
加速度選択ユニット142は、候補加速度、第2制限加速度、及び第3制限加速度のうちの最小値を、ターゲット乗り物に対応するターゲット予測車線変更加速度として決定し、
車線変更ユニット143は、ターゲット予測車線変更加速度で現在の車線からターゲット車線へ車線を変更するようにターゲット乗り物を制御する。
【0099】
ここで、候補加速度決定ユニット141、加速度選択ユニット142、車線変更ユニット143の具体的な機能実現方式は、上記図3に対応する実施例におけるステップS104を参照すればよいが、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0100】
図7を併せて参照すると、ターゲット障害乗り物の数は1つであり、
候補加速度決定ユニット141は、間隔距離取得サブユニット1411と、第1制動距離決定サブユニット1412と、第1決定サブユニット1413と、を含んでもよく、
間隔距離取得サブユニット1411は、ターゲット障害乗り物に対応する走行速度v3と、ターゲット障害乗り物とターゲット乗り物との間隔距離l2とを取得し、
第1制動距離決定サブユニット1412は、間隔距離l2に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離を決定し、
第1決定サブユニット1413は、走行速度v1、第2安全制動距離、及び走行速度v3に基づいて、ターゲット乗り物に対応する候補加速度を決定する。
【0101】
ここで、第1制動距離決定サブユニット1412は、具体的には、
予期車線変更後のターゲット乗り物の追従安全距離及び第2追従時間距離を取得し、
予期車線変更後のターゲット乗り物の前部と、ターゲット障害乗り物の後部との位置が隣接する場合、走行速度v1、第2追従時間距離、追従安全距離、及び間隔距離l2に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離を決定し、
ターゲット障害乗り物の前部と、予期車線変更後のターゲット乗り物の後部との位置が隣接する場合、走行速度v3、第2追従時間距離、追従安全距離、及び間隔距離l2に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第2安全制動距離を決定するために使用することができる。
【0102】
ここで、間隔距離取得サブユニット1411、第1制動距離決定サブユニット1412、第1決定サブユニット1413の具体的な機能実現方式は、上記図3に対応する実施例におけるステップS104を参照すればよいが、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0103】
ここで、上記ターゲット障害乗り物は、第1障害乗り物及び第2障害乗り物を含み、第1障害乗り物の後部と、予期車線変更後のターゲット乗り物の前部との位置が隣接し、第2障害乗り物の前部と、予期車線変更後のターゲット乗り物の後部との位置が隣接し、
候補加速度決定ユニット141は、推定安全距離決定サブユニット1414と、第2制動距離決定サブユニット1415と、第2決定サブユニット1416と、を含んでもよく、
推定安全距離決定サブユニット1414は、第1障害乗り物と第2障害乗り物との間隔距離l3を取得し、間隔距離l3とターゲット乗り物の車両長とに基づいて、予期車線変更後のターゲット乗り物と第1障害乗り物との間の推定安全距離を決定し、
第2制動距離決定サブユニット1415は、ターゲット乗り物と第1障害乗り物との間隔距離l4を取得し、間隔距離l4及び推定安全距離に基づいて、ターゲット乗り物に対応する第3安全制動距離を決定し、
第2決定サブユニット1416は、第1障害乗り物の走行速度v4を取得し、走行速度v1、第3安全制動距離、及び走行速度v4に基づいて、ターゲット乗り物に対応する候補加速度を決定する。
【0104】
ここで、推定安全距離決定サブユニット1414は、具体的には、
予期車線変更後のターゲット乗り物の追従安全距離及び第2追従時間距離を取得し、第2障害乗り物に対応する走行速度v5を取得し、
走行速度v1、追従安全距離、及び第2追従時間距離に基づいて、第1障害乗り物とターゲット乗り物との第1予期間隔距離を決定し、
走行速度v5、追従安全距離、及び第2追従時間距離に基づいて、第2障害乗り物とターゲット乗り物との第2予期間隔距離を決定し、
間隔距離l3が第1区分パラメータ以上である場合、間隔距離l4及び第1予期間隔距離に基づいて、推定安全距離を決定し、第1区分パラメータは、第1予期間隔距離、第2予期間隔距離、及び車両長の総和を指し、
間隔距離l3が第1区分パラメータ未満であり、かつ、間隔距離l3が第2区分パラメータ以上である場合、第1障害乗り物とターゲット乗り物との間のデフォルト安全距離、間隔距離l3、第2予期間隔距離、及び車両長に基づいて、推定安全距離を決定し、第2区分パラメータは、第1障害乗り物とターゲット乗り物との間のデフォルト安全距離、第2障害乗り物とターゲット乗り物との間のデフォルト安全距離、及び車両長の総和を指し、
間隔距離l3が第2区分パラメータ未満である場合、第1障害乗り物とターゲット乗り物との間のデフォルト安全距離を推定安全距離として決定する。
【0105】
ここで、推定安全距離決定サブユニット1414、第2制動距離決定サブユニット1415、第2決定サブユニット1416の具体的な機能実現方式は、上記図3に対応する実施例におけるステップS104を参照すればよいが、ここではこれ以上の説明を省略する。ここで、間隔距離取得サブユニット1411、第1制動距離決定サブユニット1412、第1決定サブユニット1413が相応の操作を実行する場合、推定安全距離決定サブユニット1414、第2制動距離決定サブユニット1415、第2決定サブユニット1416は、いずれも、操作の実行を一時停止し、推定安全距離決定サブユニット1414、第2制動距離決定サブユニット1415、第2決定サブユニット1416が相応の操作を実行する場合、間隔距離取得サブユニット1411、第1制動距離決定サブユニット1412、第1決定サブユニット1413は、いずれも、操作の実行を一時停止する。
【0106】
本願の実施例において、ターゲット乗り物の走行パラメータによって、該ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を初歩的に計画し、該初期予測車線変更加速度に基づいて、ターゲット車線から適切な車線変更間隙を決定することができる(ターゲット障害乗り物により決定される)。適切な車線変更間隙を決定した後、ターゲット障害乗り物を考慮要因としてもよい(即ち、ターゲット障害乗り物に対する追跡及び回避を考慮する)。2回の速度計画によって、ターゲット乗り物に車線変更のより良い機会を取得させることができ、ターゲット乗り物の車線変更の成功率を向上させることができる。
【0107】
図8を参照する。図8は、本願の実施例で提供されるコンピュータ機器の構成の模式図である。図8に示すように、該コンピュータ機器1000は、プロセッサ1001と、ネットワークインタフェース1004と、メモリ1005と、を備えてもよい。また、上記コンピュータ機器1000は、ユーザインタフェース1003と、少なくとも1つの通信バス1002と、をさらに備えてもよい。ここで、通信バス1002は、これらのコンポーネント間の接続通信を実現する。ここで、ユーザインタフェース1003は、ディスプレイ(Display)、キーボード(Keyboard)を含んでもよい。ユーザインタフェース1003は、標準的な有線インタフェース、無線インタフェースをさらに含んでもよい。いくつかの実施例において、ネットワークインタフェース1004は、標準的な有線インタフェース、無線インタフェース(例えば、WI-FIインタフェース)を含んでもよい。メモリ1005は、高速RAMであってもよいし、不揮発性メモリ(non-volatile memory)、例えば、少なくとも1つのディスク記憶装置であってもよい。いくつかの実施例において、メモリ1005は、前記プロセッサ1001から離間する少なくとも1つの記憶装置であってもよい。図8に示すように、コンピュータ可読記憶媒体であるメモリ1005には、オペレーティングシステム、ネットワーク通信モジュール、ユーザインタフェースモジュール、及び機器制御アプリケーションプログラムが含まれてもよい。
【0108】
図8に示されたコンピュータ機器1000において、ネットワークインタフェース1004は、ネットワーク通信機能を提供することができ、ユーザインタフェース1003は、主に、ユーザに入力インタフェースを提供し、プロセッサ1001は、メモリ1005に記憶された機器制御アプリケーションプログラムを呼び出すことにより、
現在の車線に位置するターゲット乗り物の走行パラメータを取得し、走行パラメータに基づいて、ターゲット乗り物に対応する初期予測車線変更加速度を生成するステップと、
ターゲット乗り物の現在位置情報、予測車線変更時間長、及び初期予測車線変更加速度に基づいて、ターゲット乗り物に対応するターゲット予測位置情報を生成するステップと、
ターゲット予測位置情報に基づいて、ターゲット車線においてターゲット乗り物に対応するターゲット障害乗り物を決定するステップであって、ターゲット車線は、ターゲット乗り物の予期車線変更の変更先車線であり、ターゲット障害乗り物は、ターゲット車線における、予期車線変更後のターゲット乗り物に隣接する乗り物である、ステップと、
ターゲット障害乗り物とターゲット乗り物との間の予測位置関係に基づいて、現在の車線からターゲット車線への車線変更をターゲット乗り物に指示するためのターゲット予測車線変更加速度を決定するステップと、を実現するために使用することができる。
【0109】
理解すべきものとして、本願の実施例で説明されるコンピュータ機器1000は、上記の図3に対応する実施例におけるデータ処理方法の説明を実行することができるし、上記の図7に対応する実施例におけるデータ処理装置1の説明を実行することもできる。ここでは、これ以上の説明を省略する。なお、同様の方法を用いた有益な効果についても、これ以上の説明を省略する。
【0110】
また、ここで指摘すべきものとして、本願の実施例では、上記で言及されたデータ処理装置1によって実行されるコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体がさらに提供されており、コンピュータプログラムには、プログラム命令が含まれ、プロセッサは、プログラム命令を実行すると、上記の図3に対応する実施例におけるデータ処理方法の説明を実行することができる。このため、ここではこれ以上の説明を省略する。なお、同様の方法を用いた有益な効果についても、これ以上の説明を省略する。本願に係るコンピュータ可読記憶媒体の実施例に披露されていない技術的詳細については、本願の方法の実施例の説明を参照する。
【0111】
また、説明すべきものとして、本願の実施例では、コンピュータ命令を含むコンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムがさらに提供されている。該コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。コンピュータ機器のプロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体から該コンピュータ命令を読み取り、プロセッサが該コンピュータ命令を実行すると、該コンピュータ機器に、上記の図3に対応する実施例におけるデータ処理方法の説明を実行させる。このため、ここではこれ以上の説明を省略する。なお、同様の方法を用いた有益な効果についても、これ以上の説明を省略する。本願に係るコンピュータプログラム製品又はコンピュータプログラムの実施例に披露されていない技術的詳細については、本願の方法の実施例の説明を参照する。
【0112】
説明すべきものとして、説明を簡単にするために、前述した各方法実施例が一連の動作の組み合わせとして表現されているが、当業者は、本願によれば、何らかのステップを他の順序で又は同時に実行することができるので、本願が記載された動作の順序によって制限されないことを知っておくべきである。
【0113】
本願の実施例の方法におけるステップは、実際の必要に応じて、順序調整、併合、及び削減を行ってもよい。
【0114】
本願の実施例の装置におけるモジュールは、実際の必要に応じて、併合、分割、及び削減を行ってもよい。
【0115】
当業者であれば理解できるように、上記の実施例の方法におけるフローの全部又は一部は、コンピュータプログラムを介して関連ハードウェアに指示することにより実行されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。このプログラムが実行されると、上記のような各方法の実施例のフローが実行される。ここで、記憶媒体は、磁気ディスク、光ディスク、読み出し専用メモリ(ROM:Read-Only Memory)、又はランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)などであってもよい。
【0116】
上記で掲示されるのは、本願の好ましい実施例に過ぎず、もちろん、これで本願の権利範囲を限定するわけにはいかない。それゆえ、本願の特許請求の範囲に従った同等な変更は、依然として、本願に含まれる範囲に属する。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8