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特許7466654二次電池、電池モジュール及び二次電池を電源として用いる装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-04
(45)【発行日】2024-04-12
(54)【発明の名称】二次電池、電池モジュール及び二次電池を電源として用いる装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/107 20210101AFI20240405BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20240405BHJP
   H01M 50/169 20210101ALI20240405BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20240405BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20240405BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20240405BHJP
【FI】
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/169
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/591
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022541791
(86)(22)【出願日】2020-08-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-09
(86)【国際出願番号】 CN2020108249
(87)【国際公開番号】W WO2021237944
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】202020916363.0
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼承友
(72)【発明者】
【氏名】梁成都
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼▲寧▼生
(72)【発明者】
【氏名】康文▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】王▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】李全坤
(72)【発明者】
【氏名】姜玲燕
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022586(JP,A)
【文献】特開2001-185099(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110729421(CN,A)
【文献】中国実用新案第201017917(CN,Y)
【文献】特開2008-159536(JP,A)
【文献】特開2015-032513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0258740(US,A1)
【文献】国際公開第2017/047787(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられた端部を有するケースと、
前記開口から前記ケース内に挿入される挿入部を有し、前記ケースの前記開口を覆うトップカバーと、を備え、
前記ケースの前記端部の内面又は前記ケースに臨む前記挿入部の側壁に複数の切り欠きを有し、
前記ケース内に取り付けられた電極組立体と、前記トップカバーに取り付けられ、前記トップカバーと前記電極組立体とを離隔する絶縁部材と、をさらに備え、
前記開口の軸方向に沿って前記トップカバーから突出する前記絶縁部材の最小厚さは、隣接する各前記切り欠き間の最大距離よりも大きく、及び/又は、前記開口の軸方向に沿って前記トップカバーから突出する前記絶縁部材の最小厚さは、前記開口の軸方向における前記挿入部の最大厚さよりも大きい、二次電池。
【請求項2】
前記絶縁部材は、前記挿入部の縁部の周りに設けられたリング部を備え、
前記電極組立体を被覆する絶縁シートをさらに備え、前記絶縁シートは前記リング部と前記ケースとの間へ延在する、請求項に記載の二次電池。
【請求項3】
前記挿入部の前記側壁の少なくとも一部は、前記開口の中心に向かって傾斜する斜面である、請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
各前記切り欠きの形状は、同一である、請求項1~のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
各前記切り欠きは、前記開口の周方向に沿って前記挿入部又は前記ケースの端部に均一に分布されている、請求項1~のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記トップカバーは、皿体部をさらに備え、前記挿入部は前記皿体部の端面から突出し、前記皿体部の外縁は前記挿入部から延在し、前記端部に接続固定されている、請求項1~のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記挿入部は、前記皿体部に接続される環状面を有し、前記環状面の前記皿体部から離れた側に前記切り欠きが設けられており、前記開口の径方向に沿って、前記端部の端面の正投影が前記環状面内に位置する、請求項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記皿体部は、前記ケースの前記端部に密閉に接続されている、請求項又はに記載の二次電池。
【請求項9】
前記皿体部と前記ケースの前記端部とは、溶接により接続固定されている、請求項のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項10】
前記端部の内面に前記切り欠きが設けられており、前記開口の軸方向における前記切り欠きのサイズが前記開口内に挿入された前記挿入部の厚さよりも小さい、請求項1~のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項11】
筐体と、
前記筐体内に設けられている請求項1~10のいずれか一項に記載の二次電池と、
を備える、電池モジュール。
【請求項12】
二次電池を電源として用いる装置であって、
電気エネルギーを供給するための請求項1~10のいずれか一項に記載の二次電池を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年5月27日に提出された「二次電池、電池モジュール及び二次電池を電源として用いる装置」という名称の中国特許出願202020916363.0の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、特に二次電池、電池モジュール及び二次電池を電源として用いる装置に関する。
【背景技術】
【0003】
科学技術の発展に伴い、充放電可能な二次電池の適用分野は、ますます広くなり、例えば二次電池は、自動車、電動自転車又は無線電動ツール等に適用することができる。二次電池は、ハウジングと、ハウジング内に封入された電極組立体とを備える。複数の二次電池は、筐体に収容されるが、二次電池の使用過程において二次電池の短絡問題が発生し、二次電池の使用安全性に影響を与えている。
【発明の概要】
【0004】
本願は、二次電池、電池モジュール及び二次電池を電源として用いる装置を提供する。二次電池は、電極組立体の短絡する可能性を低減し、二次電池の使用安全性を向上させることができる。
【0005】
一つの態様では、本願は、ケースとケースに接続されるトップカバーとを備える二次電池を提供する。ケースは、開口が設けられた端部を有する。トップカバーは、ケースの開口を覆う。トップカバーは、開口からケース内に挿入される挿入部を備える。ここで、ケースの端部の内面又はケースに臨む挿入部の側壁に複数の切り欠きを有する。
【0006】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、二次電池は、ケース内に取り付けられた電極組立体と絶縁部材とをさらに備え、絶縁部材はトップカバーに取り付けられ、トップカバーと電極組立体とを離隔し、
開口の軸方向に沿ってトップカバーから突出する絶縁部材の最小厚さは、隣接する各切り欠き間の最大距離よりも大きく、及び/又は、開口の軸方向に沿ってトップカバーから突出する絶縁部材の最小厚さは、開口の軸方向における挿入部の最大厚さよりも大きい。
【0007】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、絶縁部材は、挿入部の縁部の周りに設けられたリング部を備え、二次電池は電極組立体を被覆する絶縁シートをさらに含み、絶縁シートはリング部とケースとの間へ延在する。
【0008】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、挿入部の側壁の少なくとも一部は、滑らかな曲面である、又は開口の中心に向かって傾斜する斜面である。
【0009】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、各切り欠きの形状は、同一である。
【0010】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、各切り欠きは、開口の周方向に沿って挿入部又はケースの端部に均一に分布されている。
【0011】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、トップカバーは皿体部をさらに備え、挿入部は皿体部の端面から突起し、皿体部の外縁は挿入部から延在し、端部に接続固定されている。
【0012】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、挿入部は、皿体部に接続される環状面を有し、環状面の皿体部から離れた側に切り欠きが設けられており、開口の径方向に沿って、端部の端面の正投影は環状面内に位置する。
【0013】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、皿体部はケースの端部に密閉に接続されている。
【0014】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、皿体部とケースの端部とは溶接により接続固定されている。
【0015】
本願の一つの態様に係る一つの実施例によると、端部の内面に切り欠きが設けられており、開口の軸方向における切り欠きのサイズが、開口内に挿入された挿入部の厚さよりも小さい。
【0016】
本願の実施例に係る二次電池によると、ケースの端部の内面又はトップカバーの挿入部におけるケースに臨む側壁に切り欠きが設けられるため、トップカバーの挿入部とケースの端部とは切り欠きで互いに接触しにくく、それによりトップカバーの挿入部とケースの端部とが接触して擦れる領域は小さくなる。トップカバーとケースとを組み立てる過程において、トップカバーの挿入部とケースの端部との間が接触領域で擦れる場合、トップカバーの挿入部又はケースから脱落して形成された糸状金属屑のサイズが小さい、又はサイズが大きい糸状金属屑を発生する可能性を効果的に低減する。このように、ケースとトップカバーとの組立過程において、数が少ないか又はサイズが小さい糸状金属屑を発生することにより、二次電池の第1の電極シートと第2の電極シートが糸状金属屑の重ね継ぎにより短絡が発生する可能性を効果的に低減し、二次電池の使用安全性を向上させる。
【0017】
別の態様では、本願は電池モジュールを提供し、それは、
筐体と、
筐体内に設けられている上記の二次電池と、を備える。
【0018】
さらに別の態様では、本願は、二次電池を電源として用いる装置を提供し、それは電気エネルギーを供給するための上記の二次電池を備える。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、図面を参照して本願の例示的な実施例の特徴、利点及び技術的効果を説明する。図面において、図面は必ずしも実際の比率に応じて描画されていない。
図1】本願の一つの実施例に開示された車両の構造概略図である。
図2】本願の一つの実施例に開示された電池モジュールの構造概略図である。
図3図2に示す実施例の電池モジュールの分解構造概略図である。
図4】本願の一つの実施例に開示された二次電池の分解構造概略図である。
図5】本願の一つの実施例に開示されたケースの構造概略図である。
図6図5におけるA箇所の拡大図である。
図7】本願の実施例に開示されたトップカバーの構造概略図である。
図8】本願の一つの実施例に開示された二次電池の断面構造概略図である。
図9図8におけるB箇所の拡大図である。
図10図9におけるC箇所の拡大図である。
図11】本願の別の実施例に開示された二次電池の部分断面構造概略図である。
【符号の説明】
【0020】
1 車両
10 電池モジュール
20 筐体
30 二次電池
31 ケース
31a 収容孔
31b 開口
311 端部
311a 端面
32 トップカバー
321 挿入部
3211 側壁
3212 環状面
322 皿体部
33 電極組立体
34 電極端子
35 中継部材
36 絶縁部材
361 リング部
37 絶縁シート
40 絶縁スペーサ
50 上部カバー
60 下部カバー
99 切り欠き
X 軸方向
Y 周方向
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面及び実施例を参照しながら本願の実施形態をさらに詳細に説明する。以下の実施例の詳細な説明及び図面は本願の原理を例示的に説明するために用いられるが、本願の範囲を限定するものではない。すなわち、本願は説明された実施例に限定されるものではない。
【0022】
なお、本願の説明において、別に説明がない限り、「複数」の意味は二つ以上である。用語「上」、「下」、「左」、「右」、「内」、「外」等の指示された方位又は位置関係は本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、指定された装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位で構成され操作されなければならないことを指示するか又は暗示するものではなく、したがって本願を限定するものと理解すべきではない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」等は単に対象を説明するために用いられるが、相対的な重要性を指示するか又は暗示すると理解されるべきではない。「垂直」は厳密な意味での垂直ではなく、誤差許容範囲内にある。「平行」は厳密な意味での平行ではなく、誤差許容範囲内にある。
【0023】
下記説明に現れる方位語はいずれも図に示された方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、さらに説明すべきこととして、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、取り外し可能に接続されてもよく、又は一体的に接続されてもよい。直接的に接続されてもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて本願における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0024】
従来の技術において、二次電池に短絡問題が存在する場合、出願人は二次電池の各構造を研究して分析し、二次電池の組み立てが完了した後、内部に糸状金属屑が残留することを発見した。糸状金属屑は、二次電池の短絡の原因となる。出願人は二次電池の各部品の加工製造工程及び組立環境を最適化することにより、金属屑が発生する可能性を低減させることを期した。しかしながら、二次電池に短絡現象が依然として存在し、かつ問題が発生する二次電池の比率が明らかに減少しなかった。出願人はさらに二次電池の組立工程について分析研究を行った。最終的に、出願人は二次電池のトップカバー及びケースが組立過程において糸状金属屑を生成しやすいことを発見した。トップカバーとケースとを組み立てる過程において、トップカバーがケース内壁を擦る状況、及び/又はケースがトップカバーの外壁を擦る状況が存在し、両者が擦れる時に、糸状金属屑が発生する。糸状金属屑のサイズが長いため、組み立てられた後の二次電池の短絡を引き起こしやすい。
【0025】
出願人が発見した上記問題に基づいて、出願人は二次電池の構造を改善し、以下に本願の実施例をさらに説明する。
【0026】
本願をよりよく理解するために、以下に図1図11を参照して本願を説明する。
【0027】
図1に示すように、本願の実施例は、電池モジュールを電源として用いる装置を提供する。該装置は車両、船舶、航空機又は電動工具等であってもよいが、これらに限定されない。本願の一つの実施例は、車両本体及び電池モジュール10を備える車両1を提供する。電池モジュール10は、車両本体に設けられている。ここで、車両1は純電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車又は航続距離延長型自動車であってもよい。車両本体には、電池モジュール10と電気的に接続された駆動モータが設けられている。電池モジュール10は駆動モータに電気エネルギーを供給する。駆動モータは伝動機構により車両本体上の車輪に接続され、それにより自動車が走行するように駆動する。必要に応じて、電池モジュール10は車両本体の底部に水平に設けられてもよい。
【0028】
本願の一つの実施例において、図2及び図3に示すように、電池モジュール10は、筐体20、二次電池30、絶縁スペーサ40、上部カバー50及び下部カバー60を備える。筐体20内に設けられる二次電池30の数は、複数であってもよい。複数の二次電池30の間は、バスバーを介して互いに直列または並列に接続されている。筐体20は筒状構造を呈し、対向する二つの開口を有する。二次電池30は、一方の開口を介して筐体20内に収容されている。上部カバー50及び下部カバー60は、筐体20の対向する両端にそれぞれ設けられ、対応する開口を閉塞する。上部カバー50と二次電池30との間、および/または、下部カバー60と二次電池30との間には、絶縁スペーサ40が設けられている。必要に応じて、上部カバー50と二次電池30との間及び下部カバー60と二次電池30との間に絶縁スペーサ40が設けられている。二つの絶縁スペーサ40は、二次電池30の軸方向において離間して設けられている。二つの絶縁スペーサ40はそれぞれ二次電池30の二つの端部に対応して設けられかつ端部により軸方向に沿って二次電池30を押し付けることができ、それにより二次電池30が軸方向において位置移動することを制限する。絶縁スペーサ40は、二次電池30及び他の隣接する構造部材、例えばバスバー、回路基板又はワイヤハーネス等を絶縁離隔することができ、二次電池30の使用安全性を向上させることができる。一例において、絶縁スペーサ40は一体射出成形構造である。図2に示すように、本願の実施例の筐体20は四角形構造又は他の形状である。筐体20は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金又はプラスチック等の材料で製造することができる。
【0029】
図4に示すように、二次電池30は、ケース31、ケース31内に設けられた電極組立体33、ケース31に密閉に接続されたトップカバー32、トップカバー32に設けられた電極端子34及び中継部材35を備える。
【0030】
図5に示すように、本願の一つの実施例のケース31は電極組立体33を収容する収容孔31a及び収容孔31aに連通する開口31bを有する。ケース31は、対向して設けられた両端部311を有する。ケース31の開口31bは、端部311に設けられている。一例において、ケース31は、一端が開口した円筒形構造又は両端が開口した円筒形構造である。理解できるように、ケース31は四角形又は他の形状であってもよい。ケース31は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の材料で製造することができる。
【0031】
本願の実施例の電極組立体33は、第1の電極シート、第2の電極シート及び第1の電極シートと第2の電極シートとの間に位置するセパレータを共に巻回することにより本体部を形成することができ、ここで、セパレータは、第1の電極シートと第2の電極シートとの間に介在する絶縁体である。本実施例において、例示的に第1の電極シートを正極シートとし、第2の電極シートを負極シートとして説明する。正極シート活物質は、正極シートの塗布領域に塗布され、負極シート活物質は負極シートの塗布領域に塗布される。本体部の塗布領域から延在する複数の未塗布領域が積層されてタブとされている。電極組立体33は二つのタブ、すなわち正極タブ及び負極タブを備える。正極タブは正極シートの塗布領域から延在し、負極タブは負極シートの塗布領域から延在する。本願の実施例において、本体部の両端にそれぞれタブが延在する。同極性のタブと電極端子34とは、中継部材35を介して接続されている。
【0032】
本願の実施例のトップカバー32は、ケース31の開口31bを覆うために用いられる。図7に示すように、トップカバー32は、ケース31の開口31bからケース31内に挿入するための挿入部321を備える。トップカバー32とケース31とを組み立てる時、トップカバー32の挿入部321をケース31内に挿入する必要がある。挿入部321は、ケース31の内壁を向く側壁3211を有する。トップカバー32は、電極引出孔(図示せず)を有する。電極端子34は、電極引出孔を覆うとともにトップカバー32に接続されている。本願の実施例において、図6に示すように、ケース31の端部311の内面に複数の切り欠き99を有する。又は、図7に示すように、トップカバー32の挿入部321におけるケース31に臨む側壁3211は複数の切り欠き99を有する。このように、ケース31の端部311の内面縁部又はトップカバー32の挿入部321の縁部を不連続な歯状縁部構造にする。隣り合う二つの切り欠き99の間に一つの歯部が形成される。
【0033】
本願の実施例の二次電池30では、ケース31の端部311の内面又はトップカバー32の挿入部321におけるケース31に臨む側壁3211に切り欠き99が設けられるため、トップカバー32の挿入部321とケース31の端部311が切り欠き99で互いに接触しにくく、それによりトップカバー32の挿入部321とケース31の端部311とが接触して擦れる領域は小さくなる。トップカバー32とケース31との組立過程において、トップカバー32の挿入部321とケース31の端部311との間に接触領域で擦れが発生した場合、トップカバー32の挿入部321又はケース31に脱落して形成された糸状金属屑のサイズが小さいか又は、サイズが大きい糸状金属屑が発生する可能性を効果的に減少する。このように、ケース31とトップカバー32との組立過程で数が少ないか又はサイズが小さい糸状金属屑を発生し、二次電池30の第1の電極シートと第2の電極シートとが糸状金属屑の重ね継ぎにより短絡する可能性を効果的に減少し、二次電池30の使用安全性を向上させる。
【0034】
一つの実施例において、図7に示すように、挿入部321の少なくとも一部の側壁3211は滑らかな曲面であるか又は開口31bの中心に向かって傾斜する斜面であり、それにより挿入部321の少なくとも一部の側壁3211の鋭さを低減させることができ、挿入部321の側壁3211がケース31の内壁を擦る応力を減少させることに役立ち、挿入部321とケース31との間が接触し擦れて糸状金属屑を発生する可能性を低減させる。
【0035】
一つの実施例において、各切り欠き99の形状が同じであり、それにより切り欠き99の加工利便性及び加工工程の一致性を向上させ、トップカバー32又はケース31の加工製造の難しさを低減させることに役立つ。各切り欠き99は、開口31bの周方向Yに沿って、挿入部321またはケース31の端部311に均一に分布されている。
【0036】
一つの実施例において、図4図8及び図9に示すように、二次電池30は、さらに絶縁部材36を備える。絶縁部材36は、トップカバー32に取り付けられ、トップカバー32と電極組立体33とを離隔するために用いられる。絶縁部材36のトップカバー32から離れた一端は電極組立体33に当接され、それにより電極組立体33の位置を限定することができ、電極組立体33がケース31の開口31bの軸方向Xに沿ってケース31内で移動することを減少することができる。開口31bの軸方向Xは、収容孔31aの軸方向と同じである。必要に応じて、絶縁部材36の材料はゴム又はプラスチック等の絶縁材料である。一例において、各隣接する切り欠き99の間の最大距離は、糸状金属屑の最大サイズを決定する。各隣り合う切り欠き99の間の最大距離は、開口31bの周方向Yに沿って計測した最大サイズであってもよい。絶縁部材36の開口31bの軸方向Xに沿ってトップカバー32から突出する最小厚さは各隣接する切り欠き99の間の最大距離よりも大きく、それにより絶縁部材36の開口31bの軸方向Xに沿ってトップカバー32から突出する最小厚さはトップカバー32とケース31との間に発生可能な糸状金属屑の最大サイズよりも大きく、さらに糸状金属屑が絶縁部材36と電極組立体33との間に入りにくく、したがって電極組立体33の第1の電極シートと第2の電極シートへの糸状金属屑の重ね継ぎにより第1の電極シートと第2の電極シートが短絡する可能性を低減する。別の例では、挿入部321の開口31bの軸方向Xに沿う最大厚さは、糸状金属屑の開口31bの軸方向Xに沿う最大サイズを決定する。絶縁部材36の開口31bの軸方向Xに沿ってトップカバー32から突出する最小厚さはトップカバー32の挿入部321の開口31bの軸方向Xに沿った最大厚さより大きく、それにより絶縁部材36の開口31bの軸方向Xに沿ってトップカバー32から突出する最小厚さは、トップカバー32とケース31との間に発生可能な糸状金属屑の開口31bの軸方向Xに沿った最大サイズよりも大きく、さらに糸状金属屑が絶縁部材36と電極組立体33との間に入りにくく、したがって電極組立体33の第1の電極シートと第2の電極シートへの糸状金属屑の重ね継ぎにより第1の電極シートと第2の電極シートが短絡する可能性を低減させる。好ましくは、絶縁部材36の開口31bの軸方向Xに沿ってトップカバー32から突出する最小厚さは、各隣接する切り欠き99の間の最大距離よりも大きく、かつ絶縁部材36の開口31bの軸方向Xに沿ってトップカバー32から突出する最小厚さは、トップカバー32の挿入部321の開口31bの軸方向Xに沿った最大厚さよりも大きい。
【0037】
一例において、図10に示すように、絶縁部材36は、挿入部321の縁部の周りに設けられたリング部361を備える。二次電池30は、電極組立体33を被覆する絶縁シート37を備えている。絶縁シート37は、開口31bの周方向Yに巻回されて筒状構造を形成する。絶縁シート37は、リング部361とケース31との間まで延びている。絶縁シート37のリング部361とケース31との間に位置する部分は、糸状金属屑に対して保護作用を果たすことができ、糸状金属屑が絶縁部材36と電極組立体33との間に入ることを阻止することに役立ち、糸状金属屑が絶縁部材36と電極組立体33との間に入ることにより電極組立体33が短絡する可能性をさらに低減する。
【0038】
一つの実施例において、図7及び図10に示すように、トップカバー32は、さらに皿体部322を備える。挿入部321は、皿体部322の電極組立体33に臨む端面から突出している。皿体部322の直径は、挿入部321の直径よりも大きい。皿体部322の外縁が挿入部321から延在し、ケース31の端部311に接続固定されている。トップカバー32の皿体部322は、ケース31の端部311に密閉に接続されている。一例において、トップカバー32の皿体部322とケース31の端部311は溶接により接続固定される。必要に応じて、溶接方式はレーザ溶接又はホットメルト溶接であってもよい。
【0039】
一つの実施例において、図10に示すように、トップカバー32の挿入部321に切り欠き99が設けられる。挿入部321は、皿体部322に接続された環状面3212を有する。環状面3212の皿体部322から離れた側に切り欠き99が設けられる。開口31bの径方向に沿って、ケース31の端部311は挿入部321の環状面3212の位置に対応する端面311aを有する。開口31bの径方向は、開口31bの軸方向Xに垂直である。開口31bの径方向に沿って、端部311の端面311aの正投影は環状面3212の正投影内に位置する。皿体部322とケース31の端部311がレーザ溶接により接続固定される実施例において、挿入部321における環状面3212に対応する部分はレーザを遮断する作用を果たすことができ、レーザがケース31内に入射されかつ電極組立体33又は他の構造部材に照射されて電極組立体33又は他の構造部材に構造的損傷が発生する可能性を低減することに役立つ。
【0040】
一つの実施例において、図11に示すように、端部311の内面に切り欠き99が設けられる。開口31bの軸方向Xに沿った切り欠き99のサイズは、挿入部321が開口31b内に挿入された厚みよりも小さい。挿入部321がケース31内に挿入された後、挿入部321は切り欠き99全体を覆うことができ、それによりトップカバー32の皿体部322とケース31の端部311が溶接接続される時に発生する金属スラグは切り欠き99からケース31内に落下しにくく、金属スラグが電極組立体33のセパレータを突き破ることにより第1の電極シートと第2の電極シートが短絡する可能性を低減することに役立つ。
【0041】
本願の実施例の二次電池30は、ケース31とケース31に接続固定されたトップカバー32とを備える。ケース31の端部311の内面又はトップカバー32の挿入部321のケース31に臨む側壁3211に、複数の切り欠き99が設けられる。ケース31の端部311の内面又は挿入部321の側壁3211に切り欠き99が設けられるため、トップカバー32とケース31との組立過程において、両者が接触する領域は小さくなり、それにより挿入部321とケース31が擦れる領域は小さくなり、さらにケース31とトップカバー32との組立過程において数が少ないか又はサイズが小さい糸状金属屑を発生し、二次電池30の第1の電極シートと第2の電極シートが糸状金属屑の重ね継ぎにより短絡する可能性を効果的に低減し、二次電池30の使用安全性を向上させる。
【0042】
好ましい実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲から逸脱することなく、それに様々な改良を行うことができかつ等価物でその中の部材を置き換えることができ、特に、構造衝突が存在しない限り、各実施例に言及された各技術的特徴はいずれも任意の方式で組み合わせることができる。本願は、本明細書に開示された特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に陥る全ての技術案を含む。
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図11