(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4166 20060101AFI20240408BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20240408BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240408BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240408BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240408BHJP
A61K 31/17 20060101ALI20240408BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240408BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20240408BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240408BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240408BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240408BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A61K31/4166
A61K8/40
A61K8/44
A61K8/49
A61K9/08
A61K31/17
A61K47/18
A61P17/04
A61P29/00
A61P31/04
A61P43/00 107
A61P43/00 121
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019117409
(22)【出願日】2019-06-25
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】金本 美穂
(72)【発明者】
【氏名】宅見 信哉
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-014709(JP,A)
【文献】特開2019-019077(JP,A)
【文献】特開2014-111563(JP,A)
【文献】特開2014-133733(JP,A)
【文献】特開昭63-159317(JP,A)
【文献】特開2001-114688(JP,A)
【文献】特開昭56-156211(JP,A)
【文献】特開昭52-109487(JP,A)
【文献】特開昭51-048441(JP,A)
【文献】国際公開第2020/251017(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A61Q
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アラントイン、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、及びアラントインクロルヒドロキシアルミニウムよりなる群から選択される少なくとも1種、(B)5~20重量%の尿素、(C)グリシン、並びに(D)アラニンを含有する、外用組成物
(但し、下記(i)~(iii)に示すいずれかの成分を含む場合を除く:
(i)下記一般式(1)に表される化合物、その
立体異性体及び/又はそれらの薬理学的に許容される塩
【化1】
[R
1は、カルボキシル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基又は炭素数1~4のアルキル鎖を有するカルボン酸エステル基により置換された炭素数1~4の直鎖若しくは分岐のアルキル基を表し、R
2及びR
3は、それぞれ独立に、炭素数1~4の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。]
(ii)D-パントテニルアルコール
(iii)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、又はベタメタゾン吉草酸エステル)。
【請求項2】
前記(A)成分がアラントインである、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
更に、水を含む、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アラントイン及び/又はその誘導体、並びに尿素を含み、アラントイン及び/又はその誘導体の分解が抑制され、優れた保存安定性を有する外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アラントインには、組織修復賦活作用、抗炎症作用、鎮痒作用等があり、外用組成物に使用されている。また、尿素には、角質中での水分保持、細胞賦活作用、抗菌作用、鎮痒作用等があり、皮膚外用医薬品や化粧料等の外用組成物に使用されている。
【0003】
近年、外用組成物に対する機能性の向上が強く求められるようになっており、アラントイン及び/又はその誘導体、並びに尿素の機能性に着目し、これらの成分を併用することにより機能性を向上させた外用組成物についても提案されている。例えば、特許文献1には、所定量のアラントイン、尿素、1,3-ブチレングリコール、ポリグリセリン、及び海洋深層水を含む外用組成物が、アトピー性皮膚炎の予防や治療などに有効であることが開示されている。
【0004】
一方、アラントインはpH6以上になると分解され易いという欠点がある。また、尿素は、僅かでも分解するとアルカリ性を呈し、アラントインを分解させ易くするという特性がある。そのため、アラントイン及び/又はその誘導体、並びに尿素を含む外用組成物では、アラントインの分解を抑制し、保存安定性を高める製剤技術が要求されるが、従来、このような製剤技術については十分な検討がなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、アラントイン及び/又はその誘導体、並びに尿素を含む外用組成物を開発すべく種々検討を行ったところ、アラントイン及び/又はその誘導体、並びに尿素を含む外用組成物では、保存によりpHが上昇してアラントインが分解されるため、保存安定性が著しく悪いという知見を得た。
【0007】
そこで、本発明の目的は、アラントイン及び/又はその誘導体、並びに尿素を含む外用組成物において、アラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制でき、保存安定性を向上させる製剤技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、アラントイン及び/又はその誘導体、並びに尿素と共に、グリシン及びアラニンを含有させた外用組成物は、アラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制でき、アラントイン及び/又はその誘導体の保存安定性が格段に向上することを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0009】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)アラントイン及び/又はその誘導体、(B)尿素、(C)グリシン、並びに(D)アラニンを含有する、外用組成物。
項2. 前記(A)成分がアラントインである、項1に記載の外用組成物。
項3. 更に、水を含む、項1又は2に記載の外用組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明の外用組成物によれば、アラントイン及び/又はその誘導体、並びに尿素を含んでいながらも、アラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制でき、格段に優れた保存安定性を備えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.外用組成物
本発明の外用組成物は、アラントイン及び/又はその誘導体((A)成分と表記することもある)、尿素((B)成分と表記することもある)、グリシン((C)成分と表記することもある)、並びにアラニン((D)成分と表記することもある)を含有することを特徴とする。以下、本発明の外用組成物について詳述する。
【0012】
(A)アラントイン及び/又はその誘導体
本発明の外用組成物は、アラントイン及び/又はその誘導体を含有する。アラントインは、5-ウレイドヒダントインとも称される化合物であり、組織修復賦活作用、抗炎症作用、鎮痒作用等を有することが知られている公知の成分である。
【0013】
アラントインの誘導体としては、薬学的又は香粧学的に許容できることを限度として特に制限されないが、具体的には、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム等が挙げられる。これらのアラントインの誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
本発明の外用組成物では、(A)成分として、アラントイン又はその誘導体のいずれか一方のみを使用してもよく、またこれらを組み合わせて使用してもよい。(A)成分の中でも、その安定化効果をより一層向上させるという観点から、好ましくはアラントインが挙げられる。
【0015】
本発明の外用組成物における(A)成分の含有量については、特に制限されず、付与すべき薬効、外用組成物の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば0.05~2重量%、好ましくは0.1~2重量%、更に好ましくは0.2~1.5重量%が挙げられる。
【0016】
[(B)尿素]
本発明の外用組成物は、尿素を含有する。尿素は、保湿作用、細胞賦活作用、抗菌作用、鎮痒作用等を有することが知られている公知の成分である。
【0017】
本発明の外用組成物における(B)成分の含有量については、付与すべき薬効、外用組成物の形態等に応じて適宜設定されるが、1~30重量%、好ましくは2.5~25重量%、更に好ましくは5~20重量%が挙げられる。
【0018】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の比率については、これらの成分の各含有量に応じて定まるが、例えば、(A)成分1重量部当たり、(B)成分が0.5~600重量部、好ましくは1.5~250重量部、更に好ましくは5~200重量部が挙げられる。
【0019】
[(C)グリシン及び(D)アラニン]
本発明の外用組成物は、グリシン及びアラニンを含有する。アラントイン又はその誘導体、並びに尿素を含む外用組成物では、保存によりアラントイン及び/又はその誘導体の分解が生じ、保存安定性が悪くなるが、本発明の外用組成物では、これらの成分に加えてグリシン及びアラニンを含むことにより、アラントイン及び/又はその誘導体の分解を抑制でき、保存安定性を格段に向上させることが可能なる。グリシン及びアラニンは、アミノ酸として公知の成分である。
【0020】
本発明の外用組成物において、(C)成分と(D)成分の比率については、特に制限されないが、例えば、(C)成分1重量部当たり、(D)成分が0.05~20重量部、好ましくは0.1~20重量部、更に好ましくは0.5~10重量部が挙げられる。
【0021】
本発明の外用組成物における(C)成分の含有量については、外用組成物の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば0.5~10重量%、好ましくは1~10重量%、更に好ましくは1~5重量%が挙げられる。また、本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(C)成分の比率については、これらの成分の各含有量に応じて定まるが、例えば、(A)成分1重量部当たり、(C)成分が0.25~200重量部、好ましくは0.6~100重量部、更に好ましくは0.6~50重量部が挙げられる。
【0022】
本発明の外用組成物における(D)成分の含有量については、外用組成物の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば0.5~10重量%、好ましくは1~10重量%、更に好ましくは1~5重量%が挙げられる。また、本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(D)成分の比率については、これらの成分の各含有量に応じて定まるが、例えば、(A)成分1重量部当たり、(D)成分が0.25~200重量部、好ましくは0.6~100重量部、更に好ましくは0.6~50重量部が挙げられる。
【0023】
[水]
本発明の外用組成物は、基剤等として水が含まれていてもよい。アラントイン又はその誘導体、並びに尿素と共に、水を含む外用組成物では、保存によりアラントイン及び/又はその誘導体の分解が顕著になる傾向があるが、本発明の外用組成物では、基剤等として水が含まれていても、アラントイン及び/又はその誘導体の分解を効果的に抑制することができる。
【0024】
本発明の外用組成物において、水を含有させる場合、その含有量については、外用組成物の形態等に応じて適宜設定されるが、例えば25~97.95重量%、好ましくは30~90重量%、更に好ましくは35~85重量%が挙げられる。
【0025】
[多価アルコール]
本発明の外用組成物は、保湿作用の増強等を目的として、必要に応じて、多価アルコールが含まれていてもよい。
【0026】
多価アルコールとしては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。これらの多価アルコールの中でも、好ましくはプロピレングリコール、グリセリンが挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
本発明の外用組成物において、多価アルコールを含有させる場合、その含有量については、使用する多価アルコールの種類、外用組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば1~20重量%、好ましくは1.5~15重量%、更に好ましくは2~10重量%が挙げられる。
【0028】
[増粘剤]
本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、粘性の調節等のために、必要に応じて、増粘剤が含まれていてもよい。
【0029】
増粘剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウムベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン等が挙げられる。これらの増粘剤の中でも、好ましくはカルボキシビニルポリマーが挙げられる。これらの増粘剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0030】
本発明の外用組成物において、増粘剤を含有させる場合、その含有量については、使用する増粘剤の種類、付与すべき粘性、外用組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01~1.5重量%、好ましくは0.05~1重量%、更に好ましくは0.1~1.0重量%が挙げられる。
【0031】
[キレート剤]
本発明の外用組成物には、前述する成分の他に、必要に応じて、キレート剤を含んでいてもよい。
【0032】
キレート剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、エデト酸、クエン酸、コハク酸、及びこれら塩等が挙げられる。塩の形態としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩等が挙げられる。これらのキレート剤の中でも、好ましくはエデト酸及びその塩、より好ましくはエデト酸ナトリウムが挙げられる。これらのキレート剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0033】
本発明の外用組成物にキレート剤を含有させる場合、その含有量については、使用するキレート剤の種類、外用組成物の形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.01~2重量%、好ましくは0.01~1重量%、更に好ましくは0.02~0.5重量%が挙げられる。
【0034】
[その他の成分]
本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤、1価低級アルコール、植物油、動物油、鉱物油、脂肪酸アルキルエステル、脂肪酸、高級アルコール、pH調節剤、緩衝剤、可溶化剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、香料、着色料等が挙げられる。本発明の外用組成物において、これらの添加剤を含有させる場合、その含有量については、使用する添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
【0035】
本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、薬理成分が含まれていてもよい。このような薬理成分としては、例えば、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、局所麻酔剤、アラントイン及びその誘導体以外の抗炎症剤、尿素以外の保湿剤、殺菌剤、抗菌剤、鎮痒剤、皮膚保護剤、血行促進成分、ビタミン類、ムコ多糖類等が挙げられる。これらの薬理成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の外用組成物において、これらの薬理成分を含有させる場合、その濃度については、使用する薬理成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0036】
[pH]
本発明の外用組成物のpHとしては、アラントイン及び/又はその誘導体が安定に保持される範囲であればよいが、例えば2~9、好ましくは3~8、更に好ましくは4~7.5、調整直後であれば2~5.5が挙げられる。
【0037】
[剤型・製剤形態]
本発明の外用組成物の剤型については、経皮適用可能であることを限度として特に制限されず、液状、半固形状(クリーム状、ゲル状、軟膏状、ペースト状)、固形状等のいずれであってもよいが、好ましくは液状又は半固形状が挙げられる。また、本発明の外用組成物は、水中油型乳化製剤、油中水型乳化製剤等の乳化製剤であってもよく、また可溶化型製剤、水性軟膏等の非乳化製剤であってもよい。
【0038】
また、本発明の外用組成物は、皮膚に適用されるものである限り、皮膚外用医薬品(医薬部外品を含む)、化粧料、皮膚洗浄料等のいずれの製剤形態であってもよい。
【0039】
本発明の外用組成物の製剤形態として、具体的には、クリーム剤、ローション剤、ジェル剤、乳液剤、液剤、パップ剤、貼付剤、リニメント剤、エアゾール剤、水性軟膏剤、パック剤等の皮膚外用医薬品;水性軟膏、クリーム、乳液、化粧水、ローション、パック、ゲル等の化粧料;ボディーシャンプー、ヘアシャンプー、リンス等の皮膚洗浄料等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは皮膚外用医薬品が挙げられる。
【0040】
本発明の外用組成物は、(A)成分に基づいて、組織修復賦活作用、抗炎症作用、鎮痒作用等を発揮でき、更に含有する(B)成分に基づいて、保湿作用、細胞賦活作用、抗菌作用、鎮痒作用等を発揮できるので、保湿、肌荒れ改善、乾燥性皮膚疾患、炎症性皮膚疾患、肥厚性瘢痕、ケロイド等の予防又は治療等の目的で好適に使用される。
【0041】
2.アラントイン及び/又はその誘導体の安定化方法
本発明は、更に、アラントイン及び/又はその誘導体、並びに尿素を含む外用組成物におけるアラントイン及び/又はその誘導体の安定化方法であって、外用組成物中に、(A)アラントイン及び/又はその誘導体、並びに(B)尿素と共に、(C)グリシン、及び(D)アラニンを配合することを特徴とする、安定化方法を提供する。
【0042】
本発明の安定化方法において、使用する(A)~(D)の種類や配合量、配合される他の成分の種類や含有量、外用組成物の製剤形態等については、前記「1.外用組成物」の場合と同様である。
【実施例】
【0043】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0044】
試験例1
表1に示す成分を配合して外用組成物(液剤)を調製した。得られた外用組成物を、遮光条件下で、50℃で2週間、又は50℃で1カ月間保存した。製造直後と保存後の外用組成物について、pH及びアラントイン含量を測定した。pHの測定はpHメーター(「HORIBA」、株式会社堀場製作所)を用いて行った。アラントイン含量は高速液体クロマトグラフィーにて測定した。測定されたアラントイン含量の値から、アラントイン含有率(仕込み量を100%とした場合の相対値)(%)を算出した。
【0045】
得られた結果を表1に示す。アラントイン及び尿素を含む場合(比較例1及び2)には、保存によりpHの向上とアラントイン残存率の低下が著しかった。また、アラントイン及び尿素に加えてグリシンを含む場合(比較例3及び4)には、比較例1及び2に比べて、保存後のpHの上昇が抑えられ、アラントイン残存率の向上が認められた。これに対して、アラントイン及び尿素に加えてグリシン及びアラニンを含む場合(実施例1)には、保存後のpHは比較例4と同程度であったものの、比較例4に比べてアラントイン残存率は格段に高くなっていた。
【0046】
【0047】
処方例
表2及び3に示す組成の外用組成物(処方例1~6はゲル剤、処方例7は液剤、処方例8は水中油型乳化製剤)を調製した。得られた外用組成物を前記試験例1と同様の方法で保存安定性を評価したところ、いずれも保存後のアラントイン残存率が高く、優れた保存安定性を有していた。
【0048】
【0049】