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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-08
(45)【発行日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/01 20060101AFI20240409BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20240409BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/23
H04N5/64 521P
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020139791
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035455
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】石川 椋一
(72)【発明者】
【氏名】磯部 晃
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-055940(JP,A)
【文献】特開2008-276152(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01
B60K 35/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示光を反射する反射鏡と、
前記反射鏡を支持する反射鏡ホルダと、
前記反射鏡と前記反射鏡ホルダに及ぶ範囲に形成され、前記反射鏡を前記反射鏡ホルダに固定する接着部と、を備え
前記反射鏡ホルダは、前記反射鏡の側面に対向して位置する鏡位置決め部を備え、
前記接着部は、前記鏡位置決め部と前記反射鏡との間を行き来するように前記鏡位置決め部に沿って蛇行して形成されている、
ヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記鏡位置決め部は、前記鏡位置決め部に沿って延び、前記接着部の少なくとも一部が跨ぐ位置に形成されるマーカ部を備える、
請求項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記鏡位置決め部は、
前記接着部が位置する上面を有し、前記反射鏡の前記側面に対向して位置する基礎部と、
前記基礎部の前記上面に設けられ、前記接着部における前記反射鏡から遠い端部が接触する防波堤部と、を備える、
請求項又はに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載のヘッドアップディスプレイ装置は、平面鏡をホルダとカバーの間で挟持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-144369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、平面鏡を保持するためにホルダとカバーが必要となるため、構成が複雑となっていた。
【0005】
本開示は、上記実状を鑑みてなされたものであり、より簡易な構成を実現することができるヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置は、表示光を反射する反射鏡と、前記反射鏡を支持する反射鏡ホルダと、前記反射鏡と前記反射鏡ホルダに及ぶ範囲に形成され、前記反射鏡を前記反射鏡ホルダに固定する接着部と、を備え、前記反射鏡ホルダは、前記反射鏡の側面に対向して位置する鏡位置決め部を備え、前記接着部は、前記鏡位置決め部と前記反射鏡との間を行き来するように前記鏡位置決め部に沿って蛇行して形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ヘッドアップディスプレイ装置において、より簡易な構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置が搭載された車両の概略図である。
図2】本開示の一実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の模式的な断面図である。
図3】本開示の一実施形態に係る反射鏡及び反射鏡ホルダの分解斜視図である。
図4】本開示の一実施形態に係る反射鏡及び反射鏡ホルダの斜視図である。
図5】本開示の一実施形態に係る反射鏡及び反射鏡ホルダの斜視図である。
図6】本開示の一実施形態に係る反射鏡及び反射鏡ホルダの一部を拡大した平面図である。
図7図6の一部を拡大した図である。
図8図7のA-A線の断面図である。
図9】本開示の一実施形態に係る反射鏡ホルダの一部を拡大した斜視図である。
図10】本開示の変形例に係る反射鏡及び反射鏡ホルダの一部を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係るヘッドアップディスプレイ装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両5のダッシュボード内に搭載されている。ヘッドアップディスプレイ装置100は、車両5の被投射部材の一例であるフロントガラス6に向けて画像を表す表示光Lを出射する。表示光Lはフロントガラス6で反射して視認者1(主に車両5の運転者)に到達する。これにより、ヘッドアップディスプレイ装置100は、視認者1により視認可能に車両情報を含む虚像Vを表示する。
【0010】
図2に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示ユニット10と、反射鏡20と、反射鏡ホルダ40と、凹面鏡30と、凹面鏡ホルダ35と、筐体60と、ミラー駆動ユニット78と、制御基板70と、接着部91,92と、を備える。
【0011】
表示ユニット10は、制御基板70による制御のもと、像を表す表示光Lを出射する。表示ユニット10は、例えば、TFT(Thin Film Transistor)型の液晶表示パネル(図示略)と、液晶表示パネルを照明するバックライト(図示略)と、を備える。
【0012】
反射鏡20は、表示ユニット10からの表示光Lを凹面鏡30に向けて反射させる平面鏡である。例えば、反射鏡20は、車幅方向に長い長方形の板状をなす。反射鏡20は、光を反射する反射面21と、反射面21の反対側の裏面22と、を備える。なお、反射鏡20は凹面鏡であってもよい。
反射鏡ホルダ40は、樹脂により形成され、反射鏡20の反射面21を露出させた状態で反射鏡20を保持する。反射鏡ホルダ40の具体的な構成については後述する。
【0013】
図2に示すように、凹面鏡30は、反射鏡20で反射した表示光Lをフロントガラス6(図1参照)に向けて拡大させつつ反射させる。凹面鏡ホルダ35は、樹脂により形成され、回転軸Axを中心に回転可能に凹面鏡30を支持する。
【0014】
ミラー駆動ユニット78は、制御基板70による制御のもと、凹面鏡ホルダ35を介して回転軸Axを中心に凹面鏡30を回転させる。凹面鏡30が回転軸Axを中心に回転することにより視認者1に対する表示光Lの投射位置が高さ方向に変化する。
【0015】
図2に示すように、筐体60は、樹脂等の遮光性部材により箱状に形成されている。筐体60内には、ヘッドアップディスプレイ装置100の各構成が収納されている。
詳しくは、筐体60は、上ケース61と、下ケース68と、基板カバー67と、を備える。
【0016】
下ケース68は、上方向に向けて開口した箱状をなす。
下ケース68内には、反射鏡20を支持する反射鏡ホルダ40、凹面鏡30を支持する凹面鏡ホルダ35が収容されている。下ケース68の外底面には制御基板70、基板カバー67及び表示ユニット10が装着されている。下ケース68には、表示ユニット10が出射した表示光Lが通過する光通過孔68aが形成されている。
上ケース61は、下ケース68を塞ぐように下ケース68の蓋として機能する。上ケース61には、フロントガラス6(図1参照)に対向する位置に開口部61hが形成されている。上ケース61は、開口部61hを塞ぐ湾曲板状の窓部50を備える。窓部50は、表示光Lが透過するアクリル樹脂等の透光性部材からなる。
【0017】
次に、反射鏡ホルダ40の具体的な構成について説明する。
図3に示すように、反射鏡ホルダ40は、鏡支持部41と、光通過筒部42と、本体板部43と、側壁部44,45と、ホルダ固定部46と、液だれ防止壁47と、を備える。
光通過筒部42は、下ケース68の光通過孔68a(図2参照)に対向して位置し、表示ユニット10からの表示光Lが通過可能な筒状をなす。
本体板部43は、光通過筒部42の上端に位置し、光通過筒部42に対して傾斜する方向に延びる。側壁部44,45は、反射鏡20にて反射した図4の破線で示す表示光Lを挟み込むように互いに対面するように形成される。側壁部44,45は、本体板部43の両縁部に沿って本体板部43に交わる上方向に延びる。
【0018】
鏡支持部41は、光通過筒部42に対向して位置し、反射鏡20を支持する。鏡支持部41は、側壁部44,45それぞれの上端の間に設けられ、反射鏡20の外周に沿う長方形の枠状をなす。鏡支持部41は、反射鏡20の反射面21の外周側を支持する。
【0019】
図5に示すように、鏡支持部41は、反射鏡20が設置される設置面41aと、設置面41aに設置された反射鏡20を位置決めする鏡位置決め部48,49と、を備える。鏡位置決め部48,49は、それぞれ反射鏡20の両側面に対向して位置する。
鏡位置決め部48,49は、それぞれ、鏡支持部41における反射鏡20が設置される設置面41aに凸状に形成される。鏡位置決め部48は、反射鏡20の短手方向に沿う2つの側面のうち第1側面25aに対向して位置する。鏡位置決め部48は第1側面25aの全域に沿って延びる。
鏡位置決め部49は、反射鏡20の短手方向に沿う2つの側面のうち第2側面25bに対向して位置する。鏡位置決め部49は、第2側面25bの一部に沿って延びる。第2側面25bにおけるホルダ固定部46に対向する部位には鏡位置決め部49が形成されていない。
【0020】
図9に示すように、鏡位置決め部48は、基礎部48aと、防波堤部48bと、マーカ部48dと、複数の接触部48eと、を備える。
基礎部48aは、鏡支持部41の設置面41aに設けられ、鏡位置決め部48に沿って延びる直方体の柱状をなす。
図8に示すように、防波堤部48bは、基礎部48aの上面における反射鏡20から遠い縁部に設けられる。防波堤部48bは、反射鏡20の短手方向に沿って延びる。防波堤部48bは、接着部91の塗布領域を規定する。防波堤部48bは、硬化することにより接着部91となる接着剤が鏡位置決め部48の外側に到達することを抑制する。防波堤部48bは、接着部91に接触する傾斜面48cを備える。傾斜面48cは、防波堤部48bの上面と基礎部48aの上面の間を連結するスロープとして形成されている。防波堤部48bの高さD1は、接着部91の最大の高さD2よりも大きく形成されている。高さD1,D2は、反射鏡20の厚さ方向に沿う長さである。接着部91の最大の高さD2は、接着部91の半径に対応する長さである。
【0021】
図8及び図9に示すように、マーカ部48dは、基礎部48aの上面に防波堤部48bに沿って線状に形成されている。マーカ部48dは、基礎部48aの上面に凹状に形成されている。マーカ部48dは、接着部91の塗布範囲を確認するために形成されている。マーカ部48dは、図7に示すように、接着部91の複数の第1頂点部P1を通過するように形成される。
【0022】
複数、本例では2つの接触部48eは、反射鏡20の第1側面25aに接触する。接触部48eは、基礎部48aにおける反射鏡20に対向する面に設けられている。2つの接触部48eの一方は反射鏡20の第1側面25aの上部に接触し、2つの接触部48eの他方は反射鏡20の第1側面25aの下部に接触する。
鏡位置決め部49は、鏡位置決め部48と同様に、基礎部、防波堤部、マーカ部及び複数の接触部を備える。
【0023】
図4に示すように、ホルダ固定部46は、反射鏡ホルダ40を下ケース68に固定するための部位である。ホルダ固定部46は、鏡支持部41の周辺に設けられる。本例では、ホルダ固定部46は、側壁部45の外面に設けられている。ホルダ固定部46は、側壁部45の外面に直交する方向に延びる矩形板状をなす。ホルダ固定部46には、ピン通孔46aとビス通孔46bが形成されている。ピン通孔46aは、図示しない位置決めピンが通過する円形の貫通孔である。この位置決めピンは、下ケース68の一部として形成される。ピン通孔46aは、ビス通孔46bよりも鏡支持部41の近くに設けられる。
ビス通孔46bは、図示しないビスが通過する円形の貫通孔である。このビスは、下ケース68の図示しないネジ孔に螺合することにより、ホルダ固定部46を下ケース68に固定する。
【0024】
液だれ防止壁47は、ホルダ固定部46における鏡支持部41に近い面に形成され、ピン通孔46aの周囲に設けられる。液だれ防止壁47は、ピン通孔46aの周囲における接着部92側にC字状に形成される。液だれ防止壁47は、硬化することにより接着部92となる接着剤を塗布する際に、接着剤がピン通孔46a内に進入することを抑制する。
【0025】
図5に示すように、接着部91は反射鏡20を鏡位置決め部48に接着し、接着部92は反射鏡20を鏡位置決め部49に接着する。接着部91,92は接着剤である。接着部91,92は、塗布された液体接着剤を固化させることにより反射鏡20と反射鏡ホルダ40を接着する。液体接着剤は、例えば、ホットメルトなどの熱溶解型の液体接着剤である。また、液体接着剤は、溶液乾燥型、湿気硬化型、硬化剤混合型、UV硬化型、などの室温硬化型の液体接着剤を適用してもよい。
図6に示すように、接着部91は、反射鏡20の裏面22と鏡位置決め部48に及ぶ範囲に形成されている。本例では、接着部91は、鏡位置決め部48に沿って延び、反射鏡20の裏面22と鏡位置決め部48の間で行き来するように蛇行する。接着部91は鏡位置決め部48に沿って延びる正弦波状に形成されている。
【0026】
図7及び図8に示すように、接着部91の防波堤部48bに近い複数の第1頂点部P1は基礎部48aの上面と防波堤部48bの傾斜面48cに位置する。接着部91の第1頂点部P1とは反対側の複数の第2頂点部P2は反射鏡20の裏面22に位置する。図8に示すように、接着部91の横断面は半円状をなし、この半円状の直線部は反射鏡20の裏面22又は鏡位置決め部48に接触する。
【0027】
接着部91の各第1頂点部P1は、マーカ部48dを通過するように形成されている。接着部92は、接着部91と同様の形状であり、反射鏡20の裏面22と鏡位置決め部49の間で行き来するように蛇行する。接着部92は、鏡位置決め部49に沿う長さであり、接着部91よりも短い。
【0028】
次に、反射鏡20を反射鏡ホルダ40に組み立てる方法について説明する。この組み立て作業は、人又は作業ロボットにより行われる。
まず、図3に示すように、反射鏡20を反射鏡ホルダ40の鏡支持部41に設置する。そして、図4に示すように、硬化前の接着部91,92である接着剤を反射鏡20の裏面22と鏡位置決め部48の間に及ぶように正弦波状に塗布する。図7に示すように、この接着剤は、その第1頂点部P1がマーカ部48dを跨ぐように塗布される。マーカ部48dは、接着剤の塗布領域の目印となる。
また、図8に示すように、この接着剤(接着部91)の最大の高さD2が防波堤部48bの高さD1を超えているかが確認される。接着剤の最大の高さD2が防波堤部48bの高さD1を超えることにより、接着剤の塗布量が過少となることが抑制される。
上述のように、接着剤がマーカ部48dを跨いでいるか否か、及び接着剤の最大の高さD2が防波堤部48bの高さD1を超えているか否かの確認は目視、画像解析又は非接触センサ検出により行われる。
接着剤の塗布作業時に、硬化前の接着部91,92である液体接着剤が側壁部45の外面を伝ってホルダ固定部46に到達しても液だれ防止壁47によりピン通孔46a内に進入することが抑制される。よって、ピン通孔46aが接着剤により塞がれることが抑制される。
【0029】
(効果)
以上、説明した一実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ヘッドアップディスプレイ装置100は、表示光Lを反射する反射鏡20と、反射鏡20を支持する反射鏡ホルダ40と、反射鏡20と反射鏡ホルダ40に及ぶ範囲に形成され、反射鏡20を反射鏡ホルダ40に固定する接着部91,92と、を備える。
この構成によれば、接着部91,92により反射鏡ホルダ40に反射鏡20が固定される。よって、反射鏡20を反射鏡ホルダ40との間で挟持するカバーが不要となる。従って、ヘッドアップディスプレイ装置100において、より簡易な構成を実現することができる。
【0030】
(2)反射鏡ホルダ40は、反射鏡20の側面に対向して位置する鏡位置決め部48を備える。接着部91は、鏡位置決め部48と反射鏡20の境界を跨ぐように鏡位置決め部48に沿って蛇行して形成される。
この構成によれば、接着部91を蛇行させることにより、接着部91の幅W1(図7参照)を小さくすることができる。これにより、接着剤の使用量を減らすことができる。
【0031】
(3)接着部91は鏡位置決め部48に沿って延びる波形状に形成される。鏡位置決め部48は、鏡位置決め部48に沿って延び、接着部91の一部が跨ぐ位置に形成されるマーカ部48dを備える。
この構成によれば、硬化前の接着部91である接着剤を塗布した後、接着剤がマーカ部48dを跨いでいるか否かが目視等により確認される。接着剤がマーカ部48dを跨いでいると確認された場合、接着部91の塗布領域が適切であると判断される。よって、接着部91の塗布領域の管理が容易となる。
【0032】
(4)鏡位置決め部48は、接着部91が位置する上面を有し、反射鏡20の側面に対向して位置する基礎部48aと、基礎部48aの上面に設けられ、接着部91における反射鏡20から遠い端部の一例である第1頂点部P1が接触し、接着部91が鏡位置決め部48を超えることを防ぐ防波堤部48bと、を備える。
この構成によれば、硬化前の接着部91である液体接着剤が防波堤部48bを超えて鏡位置決め部48の外側に流れることが抑制される。これにより、外側に流れた液体接着剤が他の部位を誤って固定することが抑制される。特に、接着部91が蛇行して形成される場合には、接着部91の第1頂点部P1が鏡位置決め部48の外側へはみ出しやすいため、防波堤部48bを設けることは有益である。
【0033】
なお、本開示は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本開示の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0034】
(変形例)
上記実施形態においては、接着部91は反射鏡20の裏面22と鏡位置決め部48の間を往復するように蛇行して形成されていたが、反射鏡20の裏面22と鏡位置決め部48の間に及ぶ形状であればこれに限らない。例えば、図10に示すように、接着部191は直線状に形成されてもよい。接着部191は反射鏡20の裏面22と鏡位置決め部48の境界部分に形成されている。接着部191の横断面は半円状に形成されている。接着部191は、接着部91,92と同様に液体接着剤である。
また、接着部91,92は、正弦波状ではなく、矩形波状又は鋸波状に形成されてもよい。さらに、接着部91と接着部92は互いに異なる形状をなしていてもよい。
【0035】
上記実施形態においては、接着部91,92は、液体接着剤が硬化することにより形成されていたが、樹脂部材であってもよい。この樹脂部材の接着部91,92は、接着剤又は両面テープにより鏡支持部41と反射鏡20の裏面22に接着されてもよい。
【0036】
上記実施形態においては、マーカ部48dは、基礎部48aの上面に凹状に形成されていたが、これに限らず、基礎部48aの上面に凸状に形成されてもよい。また、マーカ部48dは、凹状又は凸状に限らず、基礎部48aの上面に塗布又は印刷されたインクとして形成されてもよい。また、マーカ部48dは省略されてもよい。
【0037】
上記実施形態においては、液だれ防止壁47は、ピン通孔46aの周囲に形成されていたが、これに限らず、ビス通孔46bの周囲に形成されてもよい。また、液だれ防止壁47は省略されてもよい。
また、防波堤部48bは省略されてもよい。
【0038】
上記実施形態においては、鏡位置決め部48,49は、反射鏡20の短手方向に延びる側面に対向して位置していたが、これに限らず、反射鏡20の長手方向に延びる側面に対向して位置していてもよい。この場合、接着部91,92は、反射鏡20の長手方向に沿って延びる。また、鏡位置決め部と接着部は、反射鏡20の側面の全周にわたって形成されてもよい。
【0039】
上記実施形態においては、マーカ部48dは、接着部91の複数の第1頂点部P1を通過するように形成されていたが、これに加えて、又はこれに代えて、接着部91の複数の第2頂点部P2を通過するように形成されてもよい。例えば、図8の破線で示すように、複数の第2頂点部P2を通過するマーカ部22aが形成されてもよい。マーカ部22aは、反射鏡20の裏面22に形成されてもよい。マーカ部22aは、凹状、凸状又はインクの何れで形成されてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 視認者
5 車両
6 フロントガラス
10 表示ユニット
20 反射鏡
21 反射面
22 裏面
22a マーカ部
25a 第1側面
25b 第2側面
30 凹面鏡
35 凹面鏡ホルダ
40 反射鏡ホルダ
41 鏡支持部
41a 設置面
42 光通過筒部
43 本体板部
44,45 側壁部
46 ホルダ固定部
46a ピン通孔
46b ビス通孔
47 液だれ防止壁
48,49 鏡位置決め部
48a 基礎部
48b 防波堤部
48c 傾斜面
48d マーカ部
48e 接触部
50 窓部
60 筐体
61 上ケース
61h 開口部
67 基板カバー
68 下ケース
68a 光通過孔
70 制御基板
78 ミラー駆動ユニット
91,92,191 接着部
100 ヘッドアップディスプレイ装置
L 表示光
P1 第1頂点部
P2 第2頂点部
V 虚像
Ax 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10