(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-10
(45)【発行日】2024-04-18
(54)【発明の名称】インクジェットヘッドと制御基板との接続構造及びそれを用いた印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240411BHJP
【FI】
B41J2/14 611
(21)【出願番号】P 2020138685
(22)【出願日】2020-08-19
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】馬越 昌一
(72)【発明者】
【氏名】浅田 和彦
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-045157(JP,U)
【文献】実開平03-037776(JP,U)
【文献】特開2014-004767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを操作するための電気信号を出力する制御基板とを電気的に接続するインクジェットヘッドと制御基板との接続構造において、
前記制御基板に取り付けられた基板コネクタと、
前記基板コネクタと接続可能であって、前記インクジェットヘッドに取り付けられたヘッドコネクタと、
板状を呈し、前記制御基板の面に沿って取り付けられたガイドプレートと、
を備え、
前記ガイドプレートは、前記ヘッドコネクタが前記基板コネクタに対して接続されるときに移動される挿抜方向から見た場合に、前記基板コネクタの外形を囲うように形成され、前記ヘッドコネクタが前記基板コネクタに対して接続されることを許容するガイド開口を備えていることを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板との接続構造。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェットヘッドと制御基板との接続構造において、
前記ガイドプレートは、前記制御基板に取り付けられた状態で、前記ガイド開口の周囲であって、前記制御基板とは反対側の面の高さが、前記基板コネクタの高さより高いことを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板との接続構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェットヘッドと制御基板との接続構造において、
前記ガイド開口は、前記ヘッドコネクタが前記ガイド開口を進退する際に、前記ヘッドコネクタが、前記基板コネクタに対して前記挿抜方向に沿ってのみ進退を許容するように構成されていることを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板の接続構造。
【請求項4】
請求項3に記載のインクジェットヘッドと制御基板との接続構造において、
前記ガイドプレートは、前記ガイド開口の縁部だけを、前記基板コネクタ側へ突出させて形成され、前記ガイド開口にて前記ヘッドコネクタが前記挿抜方向に進退される際に、前記挿抜方向とは直交する方向への傾斜を抑制するガイド部を備えていることを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板の接続構造。
【請求項5】
請求項3に記載のインクジェットヘッドと制御基板との接続構造において、
前記ガイドプレートは、前記ガイド開口にて前記ヘッドコネクタが前記挿抜方向に進退される際に、前記挿抜方向とは直交する方向への傾斜を抑制できる厚さを有することを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板の接続構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のインクジェットヘッドと制御基板との接続構造において、
前記制御基板は、前記挿抜方向に沿って立設された複数本のアライメントピンを備え、
前記ガイドプレートは、前記複数本のアライメントピンの外径に対応した内径を有する複数個のアライメント穴を備え、
前記ガイドプレートは、前記複数個のアライメント穴に前記複数本のアライメントピンを挿通させて前記制御基板に対向配置されることを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板の接続構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のインクジェットヘッドと制御基板の接続構造において、
前記ガイドプレートは、伝熱性の材料で構成されていることを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板の接続構造。
【請求項8】
請求項7に記載のインクジェットヘッドと制御基板の接続構造において、
前記ガイドプレートは、前記制御基板に臨む面に、伝熱性かつ絶縁性の材料からなる放熱ブロックを備えていることを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板の接続構造。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載のインクジェットヘッドと制御基板の接続構造において、
前記インクジェットヘッドは、インクジェットヘッド本体と、前記インクジェットヘッド本体に一端側が接続されて延出された配線と、を備え、
前記ヘッドコネクタは、前記配線の他端側に接続されていることを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板の接続構造。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のインクジェットヘッドと制御基板の接続構造において、
前記ガイドプレートは、前記ヘッドコネクタを、前記制御基板から前記挿抜方向に離れるように取り外す接続解除機構を備えていることを特徴とするインクジェットヘッドと制御基板の接続構造。
【請求項11】
インク滴を吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを操作するための電気信号を出力する制御基板とを、請求項1から10のいずれかに記載のインクジェットヘッドと制御基板の接続構造で接続して構成された印刷ヘッドと、
印刷媒体を搬送する搬送機構と、
前記印刷ヘッドにより前記印刷媒体に印刷可能なように、前記印刷ヘッドを取り付けられたフレームと、
を備え、
前記フレームは、前記ガイド開口がメンテナンス作業時に目視困難な状態で前記印刷ヘッドを取り付けられていることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴を吐出するインクジェットヘッドと、インクジェットヘッドを操作するための電気信号を出力する制御基板とを電気的に接続するインクジェットヘッドと制御基板との接続構造及びそれを用いた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷装置は、インクジェットヘッドを備えている。インクジェットヘッドは、インク滴を吐出して印刷媒体に対して印刷を行う。インクジェットヘッドは、インク滴を吐出する。そのため、インクジェットヘッドは、電気信号が制御基板から与えられる。インクジェットヘッドと制御基板とは、いずれか一方が故障して交換作業が必要になった場合に備えた構成を採用している。具体的には、インクジェットヘッドと制御基板とは、コネクタで着脱自在に接続されている。
【0003】
コネクタは、プラグ(いわゆる雄コネクタ)と、ソケット(いわゆる雌コネクタ)とから構成されている。プラグとソケットは、それぞれハウジング内にコンタクトを備えている。コンタクトは、電気信号を伝えるために、導電性の金属で構成されている。例えば、上述した例では、プラグが制御基板側に取り付けられている。また、ソケットがインクジェットヘッド側に取り付けられている。インクジェットヘッドと制御基板の電気的接続を図る際には、インクジェットヘッドのソケットと制御基板のプラグとを接続する。
【0004】
しかしながら、インクジェットヘッドと制御基板とは、一般的に狭い空間に配置されている。これは、インクジェット印刷装置の筐体に対する小型化の要望が多いことに起因する。そのため、作業者は、制御基板のプラグを目視することが困難であり、インクジェットヘッドのソケットを制御基板のプラグに手探りで接続することになる。その際には、ソケットとプラグが対向する姿勢となるように、ソケットを制御基板上において手探りで移動させる。そのため、ソケットのハウジングでプラグのコンタクトや制御基板の回路を損傷させる恐れがある。
【0005】
このような不都合を解消するため、コネクタを容易に接続できるように、従来、各種の接続構造が提案されている。
【0006】
第1の装置として、コネクタのプラグまたはソケットの一方にガイドピンを設け、他方が取り付けられた部材にガイド穴を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
第2の装置として、コネクタのプラグまたはソケットが取り付けられた部材の一方にガイドピンを設け、他方が取り付けられた部材にガイド穴を設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
第3の装置として、コネクタのプラグとソケットとの接続作業性を向上するコネクタ接続用補助具がある(例えば、特許文献3参照)。この第3の装置では、接続するプラグとソケットとをコネクタ接続用補助具に載置する。そして、ソケットまたはプラグの一方を他方に向けてスライドさせる。これにより、コネクタ接続用補助具の上にてソケットとプラグとを接続できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2008-010592号公報
【文献】特開2002-329535号公報
【文献】特開2014-4063706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の第1の装置及び第2の装置では、ガイドピンとガイド穴とをほぼ正確に位置合わせでき、円滑にガイドピンをガイド穴に挿入できる良好な作業条件が整っている場合には問題がない。ところが、目視困難な狭い空間での接続作業が強いられる印刷装置では、そのような良好な作業条件で作業を行うことができない。そのため、ガイドピンがコネクタのコンタクトや回路に誤って接触し、コネクタのコンタクトや回路を損傷させる恐れがある。さらに、第1の装置では、コネクタに対してガイドピンを付加する改造が必要となるので、コネクタのサイズが大きくなる。したがって、小型化や高密度化に不利となる。その上、市販されている標準的なコネクタとは異なる特殊なコネクタとなるので、コネクタのコストが高くなる。
【0011】
第2の装置では、制御基板にガイドピンやガイド穴を形成する必要がある。そのため、制御基板の設計変更を伴う。また、同じだけの部品を配置するために制御基板を大きくする必要が生じる。そのため、制御基板のコストが高くなる。
【0012】
また、第3の装置では、作業を行う際には、コネクタの形状に応じた特殊なガイド形状を備えたコネクタ接続用補助具を準備しなければならない。また、作業時には、コネクタ接続用補助具にプラグとソケットとを載置するために、作業者が直接的に目視しながらの作業が必要である。そのため、狭い空間での作業には現実的ではない問題がある。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、作業条件にかかわらず、接続時に損傷を防止でき、制御基板の小型化を阻害せず、コストアップを抑制できるインクジェットヘッドと制御基板との接続構造及びそれを用いた印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、インク滴を吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを操作するための電気信号を出力する制御基板とを電気的に接続するインクジェットヘッドと制御基板との接続構造において、前記制御基板に取り付けられた基板コネクタと、前記基板コネクタと接続可能であって、前記インクジェットヘッドに取り付けられたヘッドコネクタと、板状を呈し、前記制御基板の面に沿って取り付けられたガイドプレートと、を備え、前記ガイドプレートは、前記ヘッドコネクタが前記基板コネクタに対して接続されるときに移動される挿抜方向から見た場合に、前記基板コネクタの外形を囲うように形成され、前記ヘッドコネクタが前記基板コネクタに対して接続されることを許容するガイド開口を備えていることを特徴とするものである。
【0015】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、作業者は、ガイドプレートの面に沿ってヘッドコネクタを摺動させる。ヘッドコネクタがガイド開口の位置にくると、ヘッドコネクタをガイド開口に押し込むことができる。したがって、作業者が基板コネクタを目視できない手探りの作業条件であっても、接続時に基板コネクタやヘッドコネクタの損傷を防止できる。しかも、ガイドプレートを制御基板に取り付けるだけである。そのため、基板コネクタの外形が大きくなることがない。したがって、制御基板の小型化を阻害することがない。さらに、制御基板やコネクタに改造が不要である。したがって、コストアップを抑制できる。
【0016】
また、本発明において、前記ガイドプレートは、前記制御基板に取り付けられた状態で、前記ガイド開口の周囲であって、前記制御基板とは反対側の面の高さが、前記基板コネクタの高さより高いことが好ましい(請求項2)。
【0017】
基板コネクタは、ガイドプレートから突出していない。したがって、作業者がガイドプレートの面に沿ってヘッドコネクタを摺動させても、ヘッドコネクタと基板コネクタとが接触しない。そのため、ヘッドコネクタと基板コネクタの損傷を防止できる。
【0018】
また、本発明において、前記ガイド開口は、前記ヘッドコネクタが前記ガイド開口を進退する際に、前記ヘッドコネクタが、前記基板コネクタに対して前記挿抜方向に沿ってのみ進退を許容するように構成されていることが好ましい(請求項3)。
【0019】
基板コネクタに対して挿抜方向に沿ってのみヘッドコネクタが進退できるようにガイド開口が構成されている。したがって、ヘッドコネクタが挿抜方向から離れないようにできる。その結果、ヘッドコネクタが基板コネクタに対して斜めに挿抜されることがない。よって、ヘッドコネクタと基板コネクタとが正常な挿抜方向からずれて接触することがなく、損傷を防止できる。
【0020】
また、本発明において、前記ガイドプレートは、前記ガイド開口の縁部だけを、前記基板コネクタ側へ突出させて形成され、前記ガイド開口にて前記ヘッドコネクタが前記挿抜方向に進退される際に、前記挿抜方向とは直交する方向への傾斜を抑制するガイド部を備えていることが好ましい(請求項4)。
【0021】
ガイド部により、ヘッドコネクタが挿抜方向とは直交する方向へ傾斜することを抑制できる。その結果、挿抜時の傾斜に伴う基板コネクタとヘッドコネクタとの損傷を抑制できる。また、ガイド部を除いたガイドプレートを薄くできるので、軽量化を図ることができる。
【0022】
また、本発明において、前記ガイドプレートは、前記ガイド開口にて前記ヘッドコネクタが前記挿抜方向に進退される際に、前記挿抜方向とは直交する方向への傾斜を抑制できる厚さを有することが好ましい(請求項5)。
【0023】
ガイドプレートの厚さにより、ヘッドコネクタが挿抜方向とは直交する方向へ傾斜することを抑制できる。その結果、挿抜時の傾斜に伴う基板コネクタとヘッドコネクタとの損傷を抑制できる。
【0024】
また、本発明において、前記制御基板は、前記挿抜方向に沿って立設された複数本のアライメントピンを備え、前記ガイドプレートは、前記複数本のアライメントピンの外径に対応した内径を有する複数個のアライメント穴を備え、前記ガイドプレートは、前記複数個のアライメント穴に前記複数本のアライメントピンを挿通させて前記制御基板に対向配置されることが好ましい(請求項6)。
【0025】
アライメントピンとアライメント穴とによってガイドプレートを制御基板に対向配置させる。したがって、ガイド開口と基板コネクタとの位置を正確に合わせることができる。その結果、ガイド開口と基板コネクタとの位置ズレに起因する接続不良を防止できる。
【0026】
また、本発明において、前記ガイドプレートは、伝熱性の材料で構成されていることが好ましい(請求項7)。
【0027】
制御基板は、インクジェットヘッドを操作する電気的動作に伴って発熱する。しかし、ガイドプレートが伝熱性の材料で構成されていると、ガイドプレートを介して制御基板に発生した熱の放出を促進できる。
【0028】
また、本発明において、前記ガイドプレートは、前記制御基板に臨む面に、伝熱性かつ絶縁性の材料からなる放熱ブロックを備えていることが好ましい(請求項8)。
【0029】
放熱ブロックにより、制御基板の放熱を促進できる。放熱ブロックは絶縁性であるので、制御基板の回路に悪影響を与えることがない。
【0030】
また、本発明において、前記インクジェットヘッドは、インクジェットヘッド本体と、前記インクジェットヘッド本体に一端側が接続されて延出された配線と、を備え、前記ヘッドコネクタは、前記配線の他端側に接続されていることが好ましい(請求項9)。
【0031】
インクジェット本体から延出された配線の他端側をガイドプレートに沿って摺動させる際に自由度を高くできる。したがって、ヘッドコネクタをガイドプレートの面に沿って摺動させる際に作業性を向上できる。
【0032】
また、本発明において、前記ガイドプレートは、前記ヘッドコネクタを、前記制御基板から前記挿抜方向に離れるように取り外す接続解除機構を備えていることが好ましい(請求項10)。
【0033】
ヘッドコネクタを基板コネクタに接続した状態では、ガイドプレートのガイド開口にヘッドコネクタが埋没している。したがって、ヘッドコネクタを取り外すことは容易ではない。そこで、接続解除機構によって、ガイド開口に埋没したヘッドコネクタを容易に取り外すことができる。
【0034】
また、本発明において、インク滴を吐出するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドを操作するための電気信号を出力する制御基板とを、請求項1から10のいずれかに記載のインクジェットヘッドと制御基板の接続構造で接続して構成された印刷ヘッドと、印刷媒体を搬送する搬送機構と、前記印刷ヘッドにより前記印刷媒体に印刷可能なように、前記印刷ヘッドを取り付けられたフレームと、を備え、前記フレームは、前記ガイド開口がメンテナンス作業時に目視困難な状態で前記印刷ヘッドを取り付けられていることを特徴とすることが好ましい(請求項11)。
【0035】
搬送機構が搬送する印刷媒体に印刷する印刷ヘッドは、フレームに対してガイド開口がメンテナンス作業時に目視困難な状態で取り付けられている。作業者は、ガイドプレートの面に沿ってヘッドコネクタを摺動させ、ヘッドコネクタがガイド開口の位置にくると、ヘッドコネクタをガイド開口に押し込むことができる。したがって、作業者がガイド開口を目視できない作業条件であっても、接続時に基板コネクタやヘッドコネクタの損傷を防止できる。しかも、ガイドプレートを制御基板に取り付けるだけである。そのため、基板コネクタの外形が大きくなることがない。したがって、制御基板の小型化を阻害することがない。さらに、制御基板やコネクタに改造が不要である。したがって、コストアップを抑制できる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るインクジェットヘッドと制御基板との接続構造によれば、作業者は、ガイドプレートの面に沿ってヘッドコネクタを摺動させる。ヘッドコネクタがガイド開口の位置にくると、ヘッドコネクタをガイド開口に押し込むことができる。したがって、作業者が基板コネクタを目視できない手探りの作業条件であっても、接続時に基板コネクタやヘッドコネクタの損傷を防止できる。しかも、ガイドプレートを制御基板に取り付けるだけである。そのため、基板コネクタの外形が大きくなることがない。したがって、制御基板の小型化を阻害することがない。さらに、制御基板やコネクタに改造が不要である。したがって、コストアップを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】実施例に係るインクジェットヘッドと制御基板との接続構造の概略構成を示す正面図である。
【
図3】ガイドプレートを制御基板に取り付ける前の状態を示す100-100矢視断面図である。
【
図4】ガイドプレートを制御基板に取り付けた状態を示す100-100矢視断面図である。
【
図5】コネクタのプラグとソケットとを対向配置した状態を側方から見た図である。
【
図6】コネクタを接続する動作説明に供する101-101矢視断面図である。
【
図7】コネクタを接続する動作説明に供する101-101矢視断面図である。
【
図8】コネクタを接続する動作説明に供する101-101矢視断面図である。
【
図9】コネクタを接続する動作説明に供する101-101矢視断面図である。
【
図10】ガイドプレートの変形例を示す断面図である。
【
図14】インクジェット印刷装置の全体構成及びその一部拡大図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
<接続構造>
【0039】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
【0040】
図1は、実施例に係るインクジェットヘッドと制御基板との接続構造の概略構成を示す正面図である。
図2は、ガイドプレートの一例を示す平面図である。
図3は、ガイドプレートを制御基板に取り付ける前の状態を示す100-100矢視断面図である。
図4は、ガイドプレートを制御基板に取り付けた状態を示す100-100矢視断面図である。
図5は、コネクタのプラグとソケットとを対向配置した状態を側方から見た図である。
【0041】
印刷ヘッド1は、インク滴を吐出して図示しない印刷媒体(例えば、紙やフィルムなど)に印刷を行う。印刷ヘッド1は、インクジェットヘッド3と、制御ボックス5とを備えている。インクジェットヘッド3は、印刷を行うためのインク滴を吐出する。制御ボックス5は、インクジェットヘッド3を操作するための電気信号をインクジェットヘッド3に対して出力する。制御ボックス5は、図示しない制御部から印刷データに応じた電気信号を与えられる。制御ボックス5は、その電気信号をインクジェットヘッド3に応じて変換し、インクジェットヘッド3を操作するための電気信号を出力する。なお、以下の説明においては、制御基板27の長手方向をZ方向とし、Z方向と直交する方向をY方向とし、Z方向とY方向とに直交する図面の奥手前方向をX方向とする。
【0042】
インクジェットヘッド3は、インクジェットヘッド本体9と、配線11とを備えている。インクジェットヘッド本体9は、図示しないフレームを備え、そのフレームの下面にヘッドモジュール13を備えている。インクジェットヘッド本体9は、ヘッドモジュール13が下面に露出するように取り付けられ、ヘッドモジュール13とインクジェットヘッド本体9とが電気的に接続されている。ヘッドモジュール13は、その下面に、インク滴を吐出するための吐出孔が複数個形成されている。インクジェットヘッド本体9には、配線11の一端側が電気的に接続されている。配線11の他端側は、制御ボックス5に電気的に接続されている。本実施例では、配線11が、例えば、フレキシブル基板(フレキシブルプリント配線板とも呼ばれる)により構成されていることが好ましい。配線11は、電気信号を伝達するための信号線を複数本備えているのが一般的である。そのため、フレキシブル基板のように複数本の信号線が同一の部材にまとめられ、しかも柔軟性を備えていると取り扱いが容易にできるからである。
【0043】
図3に示すように、配線11の他端側には、例えば、コネクタ15のソケット17が接続されている。ソケット17は、ソケットハウジング19を備えている。ソケットハウジング19は、凹部を備えている。ソケットハウジング19は、その凹部にコンタクト21を備えている。コンタクト21は、電極である。
【0044】
なお、上述したコネクタ15が本発明における「ヘッドコネクタ」に相当する。
【0045】
制御ボックス5は、ケース23と、冷却ジャケット25と、制御基板27と、ガイドプレート29とを備えている。
【0046】
ケース23は、有底の容器である。ケース23は、例えば、放熱性を考慮して金属(例えば、アルミニウム)で構成されている。冷却ジャケット25は、制御基板27を冷却する。冷却ジャケット25は、例えば、図示しないインレットから冷却媒体を注入される。冷却ジャケット25は、例えば、一端側がインレットに連通された図示しない蛇行配管を備えている。蛇行配管は、他端側にアウトレットが連通接続されている。アウトレットからは、制御基板27の熱を吸収した冷却媒体が排出される。ケース23は、複数本(例えば、4本)の基板スペーサ31が底面に取り付けられている。基板スペーサ31の先端部には、図示しないネジ穴が形成されている。基板スペーサ31は、制御基板27の高さ方向(
図4におけるX方向)に対する位置を固定する。
【0047】
冷却ジャケット25の上部には、制御基板27が配置されている。制御基板27には、電子回路33が形成されている。電子回路33は、インクジェットヘッド3を操作するための電気信号を生成する。電子回路33には、コネクタ35のプラグ37が取り付けられている。プラグ37は、プラグハウジング39を備えている。プラグハウジング39は、上述したソケットハウジング19に挿入可能である。プラグハウジング39は、ソケットハウジング19の凹部に対応する凸部を有する。プラグハウジング39は、その凸部にコンタクト41を備えている。コンタクト41は、電極である。
【0048】
なお、上述したコネクタ35が本発明における「基板コネクタ」に相当する。
【0049】
制御基板27には、アライメントピン43が立設されている。本実施例では、例えば、4本のアライメントピン43が設けられている。アライメントピン43は、制御基板27の面方向(
図3及び
図4におけるY方向)に対するガイドプレート29の位置決めを行う。したがって、少なくとも2本のアライメントピン43を設ければよい。アライメントピン43は、基板スペーサ31より高さ方向(
図3及び
図4におけるX方向)の長さが長く形成されている。
【0050】
図2に示すように、ガイドプレート29は、基板スペーサ31に対応した位置にタップ穴45が形成されている。ガイドプレート29は、伝熱性(熱伝導性)の材料であることが好ましい。具体的には、ガイドプレート29は、例えば、ステンレス鋼板(SUS)で構成されている。基板スペーサ31が取り付けられている位置は、ケース23の縁に近い外側である。これにより、ケース23の縁から遠い中央寄りに基板スペーサ31を設けるよりも、制御基板27を強固にケース23に取り付けることができる。ガイドプレート29は、アライメントピン43に対応した位置にアライメント穴47が形成されている。アライメント穴47は、アライメントピン43の外径に対応した内径を有する。詳細には、アライメント穴47は、アライメントピン43の外径より僅かに大きい程度の内径である。これにより、ガイドプレート29を取り付けた状態では、ガイドプレート29が面方向への全く移動できないようにできる。ガイドプレート29は、中央部にガイド開口49が形成されている。ガイド開口49は、制御基板27のコネクタ35に対応した位置に形成されている。
【0051】
アライメントピン43は、コネクタ35とガイド開口49との水平方向における相対的な位置を精密に決めるために用いられている。基板スペーサ31により、ガイドプレート29の水平方向の位置が精度高く決められる場合には、アライメントピン43は不要である。しかし、一般的に基板スペーサ31は、制御基板27の位置を精度良く固定できるものの、その上部に取り付けられるものの水平方向の位置を精度高く固定することはできない。そのため、アライメントピン43及びアライメント穴47により精度高くガイドプレート29を固定できる。
【0052】
ガイド開口49は、コネクタ35にコネクタ15が接続される際に、コネクタ15が移動される挿抜方向(
図1、
図3~
図5のX方向)にから見た場合に、コネクタ15,35の外形を囲うように形成されている。つまり、ガイド開口49は、コネクタ15のソケットハウジング19より若干外側へガイド開口49の側壁が位置するように形成されている。ガイド開口49は、コネクタ15がコネクタ35に対して接続されることを許容するように開口が形成されている。好ましくは、ガイド開口49は、コネクタ15がその挿抜方向にのみ進退が許容されるように構成されている。つまり、ガイド開口49は、コネクタ15をコネクタ35に対して挿抜する際には、コネクタ15が挿抜方向からガイドプレート29の面方向へ極力ずれないように形成されていることが好ましい。具体的には、ガイドプレート29の厚さは、
図4及び
図5に示すように、コネクタ15のソケットハウジング19の高さの1/3以上あることが好ましい。この程度の厚みがあると、コネクタ15の挿抜時に、コネクタ15が挿抜方向と直交する方向へコネクタ15が大きく傾斜することを抑制できる。
【0053】
ガイドプレート29は、ネジ31aで基板スペーサ31にネジ止めされた状態において、その上面(制御基板27が配置された面とは反対側の面)の高さが、コネクタ35のプラグハウジング39の高さより高くなるように、その厚さと基板スペーサ31の高さが規定されている。これにより、コネクタ35は、ガイドプレート29の上面から上方へ突出しない。したがって、作業者がガイドプレート29の面に沿ってコネクタ15を摺動させても、接続操作に入るとき以外はコネクタ15とコネクタ35とが接触しない。そのため、コネクタ15をガイドプレート29に沿って手探りで移動させている際にコネクタ15とコネクタ35との損傷を防止できる。
【0054】
図3及び
図4に示すように、ガイドプレート29は、その下面(制御基板27が配置された面)の一部位に、放熱ブロック51を備えている。放熱ブロック51は、例えば、ガイドプレート29側の上層53と、制御基板27側の下層55とから構成されている。具体的には、上層53は、例えば、伝熱性かつ導電性の材料で構成されている。具体的には、上層53は、例えば、ガイドプレート29と同じ材料である。下層55は、例えば、伝熱性かつ絶縁性の材料で構成されている。
【0055】
詳細には、下層55は、例えば、熱伝導性、絶縁性、柔軟性を備えたシリコン樹脂を主成分とした材料が好ましい。より具体的には、シート状熱伝導ゲルが例示される。放熱ブロック51は、ガイドプレート29が取り付けられた状態で、下層55が制御基板27の電子回路33を包み込むような厚みであることが好ましい。ガイドプレート29がケース23に取り付けられると、制御基板27の露出面が減少する。そのため、空気を介した制御基板27からの放熱が悪化する恐れがある。しかしながら、放熱ブロック51を介して電子回路33の一部の熱をガイドプレート29に伝達させることができる。そのため、ガイドプレート29を設けたことにより放熱効率の低下を抑制できる。このように放熱ブロック51を上層53と下層55との二層構造としているので、制御基板27における電子回路33の設計変更が生じた場合に対応しやすい利点がある。つまり、電子回路33の設計変更により、電子回路33を構成する電子部品の配置が大きく変更された結果、電子回路33が放熱ブロック51に接触しなくなる場合がある。そのような場合には、下層55の厚さだけを厚くすることで、放熱性を確保できる。したがって、制御基板27の設計変更があっても、放熱性を確保できる柔軟性を備えることができる。
【0056】
なお、ガイドプレート29の制御基板27側の面のうち、放熱ブロック51の部分を除いた領域には、絶縁性材料を貼り付けておくことが好ましい。これによりガイドプレート29を取り付ける際に制御基板27の電子回路33を短絡させる事態を回避できる。
【0057】
ガイドプレート29は、まず、タップ穴35に基板スペーサ31を対応させ、アライメント穴47にアライメントピン43を対応させて載置される。そして、ガイドプレート29は、タップ穴45にネジ31aをねじ込むことによりケース23に対して固定される。このとき、アライメント穴47にアライメントピン43が挿通され、水平方向の位置が精密に固定される。これにより、ガイドプレート29は、制御基板27に対して所定間隔を空けて対向配置される。
【0058】
ここで、
図6~
図9を参照する。なお、
図6~
図9は、コネクタを接続する動作説明に供する101-101矢視断面図である。
【0059】
例えば、インクジェットヘッド3が故障し、新たなインクジェットヘッド3と交換し、そのインクジェットヘッド3のコネクタ15を制御基板27のコネクタ35に接続する場合の動作について説明する。なお、このときの作業者は、コネクタ35及びガイド開口49を直接的には目視できないものとする。
【0060】
まず、作業者は、ガイド開口49を直接的に目視できないものの、手探りでガイド開口49のおおまかな位置を把握することはできる。そのため、コネクタ15を手探りでガイド開口49の近くに位置させた状態で作業を開始することが好ましい。作業者は、
図6に示すように、コネクタ15をガイドプレート29の上面に当接させる。その状態において、作業者は手探りでガイドプレート29の上面にコネクタ15を付勢しながら、コネクタ15を摺動させつつガイドプレート29の面に沿って移動させる(
図6中の矢付二点鎖線)。なお、このときコネクタ15のソケット17は、コンタクト21がソケットハウジング19内に取り付けられており、外部に露出していない。そのため、この動作によりコネクタ15が損傷することはない。ガイド開口49にコネクタ15のソケットハウジング19が位置すると、コネクタ15のソケットハウジング19の下部がガイド開口49に入り込む。作業者は、この状態になったことを手の感覚で知ることができる。その後、作業者は、コネクタ15をコネクタ35側に向けて強く押し込む。これにより、
図7に示すように、コネクタ15をコネクタ35に接続できる。
【0061】
上述した作業中において、例えば、
図8に示すように、コネクタ15を移動させている際に傾斜姿勢でガイド開口49にコネクタ15が入り込んだとする。この場合、ガイドプレート29は、その厚さが上述したように設定されている。そのため、ガイドプレート29は、ガイド開口49にコネクタ15が傾斜したまま押し込まれることを抑制できる。つまり、
図8の姿勢のコネクタ15をガイド開口49に押し込んだとする。すると、
図9に示すように、コネクタ15は、ガイドプレート29のガイド開口49の厚みにより、姿勢がコネクタ35に対して直線的になるように矯正される。したがって、コネクタ15が傾斜姿勢のままコネクタ35に接続されようとして、互いのコンタクト21,41が損傷することを防止できる。
【0062】
本実施例によると、作業者は、ガイドプレート29の面に沿ってコネクタ15を摺動させる。コネクタ15がガイド開口49の位置にくると、コネクタ15をガイド開口49に押し込むことができる。したがって、作業者がコネクタ35を目視できない手探りの作業条件であっても、接続時にコネクタ15,35の損傷を防止できる。しかも、ガイドプレート29を制御基板27に取り付けるだけである。そのため、コネクタ35の外形が大きくなることがない。したがって、制御基板27の小型化を阻害することがない。さらに、制御基板27やコネクタ15,35に改造が不要である。したがって、コストアップを抑制できる。
【0063】
<接続構造の変形例>
【0064】
図10を参照して、上述した接続構造の変形例について説明する。
図10は、ガイドプレートの変形例を示す断面図である。
【0065】
ガイドプレート29Aは、上述したガイドプレート29より全体的な厚さが薄く形成されている。但し、ガイドプレート29Aは、ガイド開口49の制御基板27側の縁部だけが、制御基板27側へ突出してガイド部61が形成されている。このガイド部61は、ガイドプレート29の厚みと同様の効果を奏する。つまり、ガイド部61は、コネクタ15の挿抜方向とは直交する方向へのコネクタ15の傾斜を抑制する。これにより、コネクタ15がコネクタ35に対して斜めに挿抜されることがない。よって、コネクタ15とコネクタ35とが正常な挿抜方向からずれて接触することがなく、コネクタ15,35の損傷を防止できる。
【0066】
また、ガイド部61を除いたガイドプレート29Aの厚さを薄くできるので、軽量化を図ることができる。
【0067】
<接続解除機構>
【0068】
次に、接続解除機構について説明する。ここで、
図11~
図13を参照する。
図11は、接続解除機構の第1の例を示す図である。
図12は、接続解除機構の第2の例を示す図である。
図13は、接続解除機構の第3の例を示す図である。
【0069】
上述した接続構造は、コネクタ15,35の接続時に、ガイドプレート29にコネクタ15が埋没する状態となる。すると、コネクタ15をコネクタ35から取り外す際に作業がし辛くなる。そこで、以下のような構成により、その課題を解決することができる。
【0070】
<第1の例>
【0071】
図11に示すように、接続解除機構71は、二つの貫通口73と、二つの解除ピン75とを備えている。貫通口73は、ガイドプレート29のうち、ガイド開口49に隣接した位置に形成されている。形成されている位置は、コネクタ15の鍔部の下面に臨む位置である。つまり、コネクタ15のうち、側方に張り出した鍔部に対して、挿抜方向において対向する位置である。解除ピン75は、ガイドプレート29の上面からケース23の下面を越える長さを有する。解除ピン75は、コネクタ15側の頂部にピンヘッド77が形成されている。ピンヘッド77は、平面視における直径が貫通口73より大きく形成されている。したがって、解除ピン75は、貫通口73からケース23側へ脱落しない。
【0072】
このように構成された接続解除機構71は、作業者によって次のように操作される。つまり、コネクタ15がコネクタ35に接続された状態で、解除ピン75のうち、ピンヘッド77とは反対側の端部をケース23側に押す。すると、解除ピン75のピンヘッド77がコネクタ15の鍔部を押し上げる。これにより、コネクタ15がコネクタ35から移動され、接続が解除される。作業者は、解除ピン75を押すだけよいので、容易にコネクタ15,35の接続を解除できる。
【0073】
<第2の例>
【0074】
図12に示すように、接続解除機構81は、二つの解除レバー83を備えている。解除レバー83は、
図12のZ方向に幅を有する。その幅は、例えば、挿抜方向から見たコネクタ15の鍔部の幅と同程度である。解除レバー83は、長辺部と短辺部の間に屈曲部を有する。解除レバー83は、その屈曲部を支点部85によって揺動可能に取り付けられている。支点部85は、ガイドプレート29の上面に固定されている。解除レバー83の短辺部は、コネクタ15の鍔部とガイドプレート29の間に挟み込まれている。
【0075】
このように構成された接続解除機構81は、作業者によって次のように操作される。つまり、解除レバー83の長辺部をガイドプレート29側に押す。すると、解除レバー83の短辺部が支点部85を軸にして揺動し、解除レバー83の短辺部がガイドプレート29面から離反するように移動する。これにより、コネクタ15がコネクタ35から移動され、接続が解除される。作業者は、解除レバー83を押すだけよいので、容易にコネクタ15,35の接続を解除できる。
【0076】
<第3の例>
【0077】
図13に示すように、接続解除機構91は、二つの板バネ93を備えている。板バネ93は、
図13のZ方向に幅を有する。その幅は、例えば、挿抜方向から見たコネクタ15の鍔部の幅と同程度である。板バネ93は、二箇所の屈曲部を有する。板バネ部93は、コネクタ15から遠い一端部がガイドプレート29に固定部95で固定されている。ガイド開口49に近いガイドプレート29の上面には、ガイド穴97が形成されている。ガイド穴97は、板バネ93のコネクタ15側が外れることを防止する。ガイド穴97は、板バネ93が伸長する際に、板バネ93のうちコネクタ15側の他端部がコネクタ15の鍔部を押し上げるように案内する。
【0078】
このように構成された接続解除機構91は、次のように操作される。つまり、板バネ93の二箇所の屈曲部のうち、固定部95側をガイドプレート29側へ押す。すると、板バネ93の他端部がコネクタ15の鍔部を押し上げる。これにより、コネクタ15がコネクタ35から移動され、接続が解除される。作業者は、板バネ93を押すだけよいので、容易にコネクタ15,35の接続を解除できる。
【0079】
<印刷装置>
【0080】
ここで、上述した接続構造を用いた印刷装置について説明する。
図14は、インクジェット印刷装置の全体構成及びその一部拡大図を示す図である。
【0081】
実施例に係るインクジェット印刷装置101は、給紙部103と、搬送部105と、印刷部107と、乾燥部109と、排紙部111とを備えている。
【0082】
なお、インクジェット印刷装置101が本発明における「印刷装置」に相当する。
【0083】
給紙部103は、印刷媒体、例えば、連続フィルムWFを搬送部105に供給する。搬送部105は、連続フィルムWFに前処理を施すなどしつつ、印刷部107へ連続フィルムWFを搬送する。印刷部107は、連続フィルムWFに対して印刷処理を行う。乾燥部109は、印刷部107で印刷された連続フィルムWFに対する乾燥処理を行う。排紙部111は、乾燥された連続フィルムWFを巻き取る。
【0084】
印刷部107は、印刷機構113を備えている。印刷機構113は、フレーム115を備えている。フレーム115は、印刷部107に設けられたスライド機構117に搭載されている。フレーム115は、例えば、6個の印刷ヘッド1を備えている。スライド機構117は、
図14のY方向にフレーム115を移動可能に保持する。印刷機構113は、搬送機構119に付設されている。搬送機構119は、印刷ヘッド1により連続フィルムWFに印刷が可能なように、連続フィルムWFを搬送する。印刷機構113は、6個の印刷ヘッド1を備えているが、小型化を図るために連続フィルムWFの搬送方向には狭い間隔でフレーム115に搭載されている。そのため、フレーム115は、上述したコネクタ35及びガイド開口49が側方からは目視困難な状態で印刷ヘッド1が取り付けられている。具体的には、例えば、
図1における印刷ヘッド1の右端部が、
図14におけるY方向の奥側に位置するように、印刷ヘッド1がフレーム115に搭載されている。したがって、フレーム115を手前側に引き出したとしても、各印刷ヘッド1の間の間隔は作業者の手が入るだけの狭い間隔しかない。そのため、作業者は、印刷ヘッド1のコネクタ35及びガイド開口49を直接的に目視することが難しい。
【0085】
しかし、上述したように、印刷ヘッド1がガイドプレート29を備えている。作業者は、ガイドプレート29の面に沿ってコネクタ15を摺動させ、コネクタ15がガイド開口49の位置にくると、コネクタ15をガイド開口49に押し込むことができる。したがって、作業者がガイド開口49を目視できない作業条件であっても、接続時にコネクタ15やコネクタ35の損傷を防止できる。このインクジェット印刷装置101は、このようにインクジェットヘッド3を交換しても素早く電気的な接続を終えることができる。そのため、インクジェット印刷装置101のダウンタイムを短縮できる。その結果、インクジェット印刷装置101の稼働率を向上できる。
【0086】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0087】
(1)上述した実施例では、ガイド開口49の周囲の面の高さが、コネクタ35の高さより高く構成されている。しかしながら、本発明は、このような構成を必須とするものではない。例えば、ガイド開口49の周囲の面の高さをコネクタ35の高さと一致させておいてもよい。
【0088】
(2)上述した実施例では、ガイドプレート29の厚さがコネクタ15の傾斜を抑制する、所定以上の厚さにされている。しかしながら、コネクタ15が傾斜しないようにガイド開口49にコネクタ15を挿抜できるのであれば、ガイドプレート29が所定以上の厚さを備える必要はない。
【0089】
(3)上述した実施例では、ガイドプレート29がアライメント穴47を備えている。しかしながら、ガイドプレート29を制御基板27に対して正確に位置合わせして取り付けることができる場合には、アライメント穴47を設ける必要はない。これにより、ガイドプレート29の構成を簡略化でき、コストを抑制できる。
【0090】
(4)上述した実施例では、ガイドプレート29を伝熱性の材料で構成している。しかしながら、本発明は、伝熱性の材料を必須とするものではない。
【0091】
(5)上述した実施例では、ガイドプレート29が放熱ブロック51を備えている。しかしながら、本発明は、放熱ブロック51を必ずしも備える必要はない。これにより、ガイドプレート29の構成を簡略化でき、コストを抑制できる。
【0092】
(6)上述した実施例では、インクジェットヘッド本体9に一端側が接続されて延出された配線11を備え、コネクタ15が配線11の他端側に接続されている。しかしながら、本発明は、配線11を必須とするものではない。例えば、配線11を備えず、インクジェットヘッド本体9に直接的にコネクタ15が取り付けられている構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上のように、本発明は、インクジェットヘッドと制御基板とを接続する構造に適している。
【符号の説明】
【0094】
1 … 印刷ヘッド
3 … インクジェットヘッド
5 … 制御ボックス
9 … インクジェットヘッド本体
11 … 配線
15 … コネクタ(ヘッドコネクタ)
17 … ソケット
19 … ソケットハウジング
21 … コンタクト
23 … ケース
27 … 制御基板
29 … ガイドプレート
31 … 基板スペーサ
35 … コネクタ(基板コネクタ)
37 … プラグ
39 … プラグハウジング
41 … コンタクト
43 … アライメントピン
45 … タップ穴
47 … アライメント穴
49 … ガイド開口