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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】電極付きバンド、及び、生体装着機器
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/256 20210101AFI20240416BHJP
   A61B 5/28 20210101ALI20240416BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
A61B5/256 210
A61B5/28
A61B5/02 310V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020040669
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021141955
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 麗二
(72)【発明者】
【氏名】川端 康大
(72)【発明者】
【氏名】藤井 健司
(72)【発明者】
【氏名】松村 直美
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 晃人
(72)【発明者】
【氏名】阪口 裕暉
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-128550(JP,A)
【文献】特開2014-018357(JP,A)
【文献】特開2013-085575(JP,A)
【文献】特開2008-054795(JP,A)
【文献】特開2013-085574(JP,A)
【文献】特開2014-073146(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/25-5/297
A61B 5/02-5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状で、長手方向に沿って延びる第1バンド部と、
前記第1バンド部に対して前記長手方向に沿う第1方向に設けられ、前記長手方向に沿って延びる第2バンド部と
を備え、前記第2バンド部は、
第1面及び前記第1面とは反対側の第2面を有する帯状で、前記長手方向に沿って第1伸縮性を有する、電気絶縁性を有する第1伸縮部と、
前記第1伸縮部の前記第1面に設けられた導電性の電極と、
前記第1伸縮部の前記第2面の側で前記第1伸縮部と重ねられ、帯状で、前記第1伸縮部の前記第1伸縮性よりも単位長さあたり前記長手方向に沿って大きく伸縮する第2伸縮性を有する第2伸縮部と、
前記第2バンド部の前記長手方向に沿うバンド端となる位置に設けられ、前記第1バンド部と繋がれ得るリング状のリング部材と、
前記第1伸縮部と前記第2伸縮部との間に設けられ、前記第1伸縮部と前記第2伸縮部とが重なるように前記リング部材において折り返される折返部と、
前記第1伸縮部の前記第2面と前記第2伸縮部とを接合する接合部と、
を有する、電極付きバンド。
【請求項2】
前記第1伸縮部は、
前記第1伸縮性よりも前記長手方向に沿って大きく伸縮する第3伸縮性を有し、前記第面を形成する基部と、
前記基部に固定され、前記第3伸縮性よりも前記長手方向に沿って伸縮し難い第4伸縮性を有し、前記長手方向に沿う前記第1伸縮部の伸縮性を前記第1伸縮部が前記第1伸縮性を有する状態に調整し、前記第面を形成する伸縮性調整部材と
を有する、請求項1に記載の電極付きバンド。
【請求項3】
前記第1伸縮部は、前記長手方向に沿って難伸縮性又は非伸縮性を有する、請求項1又は請求項2に記載の電極付きバンド。
【請求項4】
前記折返部は、前記長手方向に前記第1伸縮性を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電極付きバンド。
【請求項5】
前記折返部は、前記長手方向に前記第2伸縮性を有する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の電極付きバンド。
【請求項6】
前記第1バンド部は、前記第1バンド部の外側となる位置に向かって前記リング部材で折り返され前記第1バンド部の長さが調整されるとともに、前記第1バンド部の前記外側に着脱可能な接続部を有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電極付きバンド。
【請求項7】
前記第2バンド部の前記第1伸縮部は、前記電極と前記電極付きバンドに設けられる本体部とを電気的に接続する配線を含む、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の電極付きバンド。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の電極付きバンドと、
前記電極付きバンドの前記第1バンド部と前記第2バンド部との間に設けられ、前記電極と電気的に接続された制御基板を内蔵する本体部と
を有する、生体装着機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極付きバンド、及び、生体装着機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1の心拍計測装置は、バンドにより胸部に巻かれた状態で心電信号を検出する。心拍計測装置を環状にするとき、伸縮性を有するストラップと、電極が配置される非伸縮性ベルトとが金具を用いてバンドの周方向に連結される。胸部での心電信号検出では心臓を挟んで電極を配置することで大きな電位差を得ることができるため、非伸縮性ベルトにおける電極間隔は比較的短くてよい。そのため伸縮部を比較的長く設けることができ、ストラップの長さを容易に調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5441977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
心拍計測装置などの生体装着機器は、バンドを用いて、四肢(上肢又は下肢)に取り付けられる場合がある。その際に、より微小な電位差を検出するためにバンドに配置される電極の数を多くし又は各電極の面積を大きくすると、バンドの周方向に伸縮性を有する部位を組み込むことが難しくなる場合がある。この場合、生体装着機器をバンドによってユーザに取り付けた後、生体装着機器を取り付けた部位の径(周長)の増加にバンドの長さが追従しないことにより、ユーザに不快感を生じさせる可能性がある。
【0005】
この発明は、適宜の位置に取りつけた状態で、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能な、電極付きバンド、及び、生体装着機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用し得る。
【0007】
電極付きバンドは、帯状で、長手方向に沿って延びる第1バンド部と、第1バンド部に対して長手方向に沿う第1方向に設けられ、長手方向に沿って延びる第2バンド部とを備える。第2バンド部は、電気絶縁性を有する第1伸縮部と、導電性の電極と、第2伸縮部と、リング状のリング部材と、折返部と、接合部とを有する。第1伸縮部は、第1面及び第1面とは反対側の第2面を有する帯状で、長手方向に沿って第1伸縮性を有する。電極は第1伸縮部の第1面に設けられている。第2伸縮部は、第1伸縮部の第2面の側で第1伸縮部と重ねられ、帯状で、第1伸縮部の第1伸縮性よりも単位長さあたり長手方向に沿って大きく伸縮する第2伸縮性を有する。リング部材は、第2バンド部の長手方向に沿うバンド端となる位置に設けられ、第1バンド部と繋がれ得る。折返部は、第1伸縮部と第2伸縮部との間に設けられ、第1伸縮部と第2伸縮部とが重なるようにリング部材において折り返される。接合部は、第1伸縮部の第2面と第2伸縮部とを接合する。
長手方向は、バンドの延出方向(周方向)に沿う方向である。電極付きバンドは、例えば1つの第2バンド部において、第1面に電極が設けられた第1伸縮部の第2面に、第1伸縮部よりも伸縮性が大きい第2伸縮部を重ねている。第1伸縮部と第2伸縮部との間の折返部で第1伸縮部と第2伸縮部とが連続している。このようなバンドを生体に取り付けた状態において、第2バンド部における第2伸縮部が、バンドを取り付けた位置の生体の動きに応じて長手方向(周方向)に伸縮する。第2伸縮部の伸縮により、折返部とリング部材との相対位置が変化し、バンドの長さを調整する。このため、この電極付きバンドは、ユーザの動きに応じて1つの第2バンド部において伸縮性が調整されることで、適宜の位置に取り付けた状態で、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能である。バンドを取り付ける位置は、四肢(上肢又は下肢)が好適であるが、胸部、腹部、腰部等であってもよい。
電極が第2伸縮部に比べて伸縮し難い第1伸縮部の第1面に設けられているため、バンドを取り付けたユーザに対し、生体と電極との位置関係を固定した状態に維持しながら、電極を用いた信号検出又は電極を用いた治療等が可能である。電極を用いた信号検出は、心拍や、心房及び心室を伝わり波形として書き出されたときに心電図となる電気信号等、生体からの信号を得ることをいう。これは、電極を用いた「検査」である。電極を用いた「治療」は、例えば1200Hz以下の微弱な電流を皮膚表面に流し、その刺激により患部の筋肉のコリの解消を図ることをいう。
【0008】
第1伸縮部は、第1伸縮性よりも長手方向に沿って大きく伸縮する第3伸縮性を有し、第面を形成する基部と、基部に固定され、第3伸縮性よりも長手方向に沿って伸縮し難い第4伸縮性を有し、長手方向に沿う第1伸縮部の伸縮性を第1伸縮部が第1伸縮性を有する状態に調整し、第面を形成する伸縮性調整部材を有することが好適である。
このような構成により、基部と伸縮性調整部材とにより、第2バンド部の第1伸縮部の長手方向の伸縮性を、第1伸縮性を有する状態に調整することができる。
【0009】
第1伸縮部は、長手方向に沿って難伸縮性又は非伸縮性を有することが好適である。
第1伸縮部が伸縮し難く、第1伸縮部に電極を配置した状態で、生体と電極との位置関係をより確実に固定した状態に維持することができる。
【0010】
折返部は、長手方向に第1伸縮性を有することが好適である。
折返部を第1伸縮部と同じ構成として一体的に形成することができる。
折返部は、長手方向に第2伸縮性を有することが好適である。
折返部を第2伸縮部と同じ構成として一体的に形成することができる。
【0011】
第1バンド部は、第1バンド部の外側となる位置に向かってリング部材で折り返され第1バンド部の長さが調整されるとともに、第1バンド部の外側に着脱可能な接続部を有することが好適である。
第1バンド部により、生体に装着する生体装着機器用バンドを取り付ける際のバンドの周長の初期調整を行うことができる。
【0012】
第2バンド部の第1伸縮部は、電極と電極付きバンドに設けられる本体部とを電気的に接続する配線を含むことが好適である。
第2伸縮部よりも伸縮性が低い第1伸縮部に配線があるため、配線の長手方向に負荷がかけられることを抑制することができる。
【0013】
生体装着機器は、電極付きバンドと、バンドの第1バンド部と第2バンド部との間に設けられ、電極と電気的に接続された制御基板を内蔵する本体部とを有する。
このため、適宜の位置に取りつけた状態で、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能な生体装着機器を提供することができる。
例えば電極付きバンドの適宜の位置にセンサ又はトランスデューサ等を有する本体部を取り付けて用いることができる。このため、電極付きバンドに対して、所望の機能を有する本体部を取り付けて用いることができる。例えば、1つのバンドに対して、心拍を測る機能を有する本体部を取り付けて心拍を計測することができる。1つのバンドに対して、心拍を測る機能を有する本体部に代えて、心電信号を検出する本体部を取り付けて心電信号を検出することができる。1つのバンドに対して、低周波治療を行う機能を有する本体部を取り付けて低周波治療を行うことができる。このように、1つのバンドに対して、種々の本体部を取り付けて用いることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、適宜の位置に取りつけた状態で、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能な、電極付きバンド、及び、生体装着機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、第1実施形態に係る生体装着機器を示す概略的な斜視図である。
図2図2は、図1と異なる方向から見た生体装着機器を示す概略的な斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係る生体装着機器を示す概略的なブロック図である。
図4図4は、第1実施形態に係る生体装着機器を示す概略的な上面図である。
図5図5は、図4中の生体装着機器を矢印Vで示す方向から見た概略図である。
図6図6は、図5中の生体装着機器を矢印VIで示す方向から見た概略図である。
図7図7は、図5中の符号VIIで示す位置の拡大図である。
図8図8は、第1実施形態に係る生体装着機器を示す概略図である。
図9図9は、ユーザが解剖学的正位に位置するとき、第1実施形態に係る生体装着機器の本体部がユーザの前を向く状態に取り付けられていることを示す概略図である。
図10図10は、第2実施形態に係る生体装着機器を示す概略的な上面図である。
図11図11は、図10中の生体装着機器を矢印XIで示す方向から見た概略図である。
図12図12は、図11中の生体装着機器を矢印XIIで示す方向から見た概略図である。
図13図13は、第2実施形態に係る生体装着機器を示す概略図である。
図14図14は、第3実施形態に係る生体装着機器を示す概略図である。
図15図15は、第4実施形態に係る生体装着機器用の電極付きバンドを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を用いて、電極68a,68bを含む電極付きバンド12、及び、生体装着機器10の実施形態について説明する。
【0017】
[適用例]
電極68a,68bを含む電極付きバンド12は、ユーザの身体Bの適宜の四肢(上肢又は下肢)、胸部、腹部、腰部等、適宜の位置に取り付けられる。バンド12はユーザの頭部に取り付けられることもあり得る。バンド12は、本体部14と一緒に用いられる。バンド12は、ユーザの取り付け位置にあわせて大きく長さ調整(初期調整)される第1バンド部62と、伸縮性が異なる第1伸縮部112及び第2伸縮部114を重ねて配置する第2バンド部64を有する。バンド12をユーザに取り付けた位置でのユーザの動きに応じて、第1伸縮部112及び第2伸縮部114との間の折返部106及びリング部材110がバンド12の周方向(長手方向)に移動する。このため、バンド12は、第2バンド部64において、ユーザの動きを許容し、阻害することを防止する。バンド12及びバンド12を有する生体装着機器10は、バンド12を取り付けた位置でのユーザの動きを許容することで、ユーザに不快感を生じさせることを抑制する。
【0018】
生体装着機器10には、心拍、心電信号又は筋電等、生体からの信号を検出するように構成される。また、生体装着機器10は、生体に低周波等の電気信号を加えることによって治療を行うように構成されていてもよい。
【0019】
[第1実施形態]
図1から図9を用いて、生体装着機器10及び生体装着機器10とともに用いる電極付きバンド12について説明する。本実施形態では、生体装着機器10が心拍及び心電信号を測定する場合を例にして説明する。
【0020】
図1及び図2に示すように、生体装着機器10は、生体装着機器10用の電極付きバンド(ベルト)12と、バンド12に設けられた本体部14とを有する。
【0021】
生体装着機器10は、本体部14にバンド12が固定されている。バンド12及び本体部14を含む生体装着機器10は、バンド12により、ユーザ(生体)の例えば四肢(上肢又は下肢)に巻き付けられて取り付けられる。バンド12は、ユーザの四肢に取り付けられる長さに形成される。生体装着機器10は、バンド12によりユーザの四肢に取り付けられた状態でユーザが容易に動作可能な大きさ及び重量に形成される。生体装着機器10が胸部、腰部、又は、頭部に取り付けられるものである場合、バンド12は、ユーザの胸部、腰部、又は、頭部に取り付けられる長さに形成される。ここでは、生体装着機器10がユーザの左上腕に取り付けられるものとして説明する。
【0022】
本体部14は、フレーム(外装体)22と、フレーム22に設けられた操作部24と、フレーム22に設けられた表示部26と、フレーム22に設けられた1対の支持部28a,28bと、フレーム22に設けられた第1本体電極(生体信号検出部)30と、支持部28aに設けられた第2本体電極(生体信号検出部)32と、支持部28bに設けられた第3本体電極(生体信号検出部)34とを有する。
【0023】
フレーム22は、電気絶縁性を有する素材で形成されている。生体装着機器10をユーザの左上腕に取り付けた状態で、支持部28a,28bはフレーム22に対して生体側(裏面側)にあり、操作部24はユーザの手の指等で操作可能な位置にあり、表示部26は、ユーザが視認可能な位置、すなわち、生体とは反対側(表面側)にある。
【0024】
支持部28a,28bは、例えば略楔形に形成されている。支持部28a,28bは、フレーム22の裏面に対して突出し、フレーム22及びバンド12と協働して生体の左上腕に取り付けるときの環状体の一部を形成する。支持部28a,28bは、バンド12の長手方向に離間する。長手方向は、バンド12の本体部14に対する延出方向(周方向)に沿う方向である。本実施形態では、本体部14から後述する第1バンド部(長手バンド)62が延びる方向を第1方向D1とし、本体部14から後述する第2バンド部(短手バンド)64が延びる方向を第2方向D2とする。支持部28a,28b間のフレーム22の裏面は、平面状である。支持部28a,28bは、生体の左上腕に接触しやすいようにフレーム22の裏面に対して傾斜する。支持部28a、フレーム22の裏面、及び、支持部28bは、全体として略弧状に形成される。
支持部28a,28bは、ゴム材や樹脂材等、弾性変形可能な柔軟性を有する素材で形成されている。
【0025】
本体部14のフレーム22の裏面には、第1本体電極30が固定されている。一方の支持部28aには、第2本体電極32が固定されている。他方の支持部28bには、第3本体電極34が固定されている。第1から第3本体電極30,32,34は、電位を検出するセンサ又はトランスデューサとして用いられる。第1本体電極30、第2本体電極32及び第3本体電極34は、例えば導電性を有する金属製のプレート又は導電エラストマで板状に形成され、互いに離間する。ここでは、本体部14が3つの本体電極30,32,34を有する例について説明する。3つの本体電極30,32,34は、互いに電気的に接続され、1つの電極として同視し得るように形成され、又は、1つのプレート状の電極として形成されていてもよい。
【0026】
図3に示すように、本体部14は、制御部42と、心電図情報生成部44と、心電図生成部46と、通信部48、バッテリ50とを有する。本体部14は、さらに、投光部52と、受光部54と、心拍情報生成部56とを有する。制御部42、心電図情報生成部44、心電図生成部46、通信部48、バッテリ50、投光部52、受光部54、及び、心拍情報生成部56は、フレーム22に内蔵された制御基板40に設けられている。制御基板40には、さらに、操作部24及び表示部26が設けられている。制御部42には、操作部24、表示部26、第1本体電極30、第2本体電極32、第3本体電極34、心電図情報生成部44、心電図生成部46、通信部48、投光部52、受光部54、及び、心拍情報生成部56が例えば電気的に接続されている。制御部42は、後述する第1から第4バンド電極(生体信号検出部)66a,66b,68a,68bと電気的に接続されている。制御部42は、操作部24、表示部26、第1本体電極30、第2本体電極32、第3本体電極34、心電図情報生成部44、心電図生成部46、通信部48、投光部52、受光部54、心拍情報生成部56、及び、第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bをそれぞれ制御可能である。
【0027】
制御部42は、バッテリ50からの電力に応じて、例えば1又は複数のプロセッサがROM等のメモリに格納された制御プログラムをRAMに展開して、操作部24、表示部26、第1本体電極30、第2本体電極32、第3本体電極34、心電図情報生成部44、心電図生成部46、通信部48、投光部52、受光部54、心拍情報生成部56、及び、第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bに対する適宜の処理を実行する。又は、制御部42は、例えば1又は複数のプロセッサがネットワークを介してプログラムを読み出し、操作部24、表示部26、第1本体電極30、第2本体電極32、第3本体電極34、心電図情報生成部44、心電図生成部46、通信部48、投光部52、受光部54、心拍情報生成部56、及び、第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bに対する適宜の処理を実行する。制御部42は、操作部24、表示部26、第1本体電極30、第2本体電極32、第3本体電極34、心電図情報生成部44、心電図生成部46、通信部48、投光部52、受光部54、心拍情報生成部56、及び、第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bの制御を、1又は複数の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によって実現可能である。
【0028】
操作部24は、本体部14の電源のON/OFF、計測開始、計測停止の操作等の指示が入力される操作ボタンを有する。
【0029】
表示部26は、本体部14の動作状態(制御部42の動作状態)を例えばLED(Light Emitting Diode)の発光によりユーザに認識させる。ユーザは、制御部42で制御される表示部26の発光色、発光パターン等を認識することで、本体部14の動作状態を把握可能である。動作状態は、例えば、操作部24の操作により電源が入っていること、本体部14を用いた計測を行っていることの表示、適宜の信号を計測し通信部48を用いた通信により外部機器に情報が適切に送信されていること等を含む。
表示部26は、心電図生成部46により生成される波形等の心電図情報、及び、心拍情報生成部56により生成された心拍情報を表示する画面として形成されていてもよい。画面の一例は、液晶ディスプレイ、又は、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。
【0030】
なお、操作部24及び表示部26を一体化したタッチパネルとして形成されることも好適である。この場合、操作部24は、ユーザが操作することで、指令を電気信号に変換する。表示部26は、心電図情報、心拍情報、その他、制御部42の動作状態等を表示することができる。
【0031】
第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bは、例えば電位情報を得るセンサ又はトランスデューサとして用いられる。心電図情報生成部44は、第1から第3本体電極30,32,34及び第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bのうちから複数を選択的に用いて、電位差情報を得て、信号処理により心電図情報を生成する。心電図生成部46は、心電図情報生成部44で生成した心電図情報に基づいて心電図に関する情報を生成する。心電図情報生成部44で生成した心電図情報及び心電図生成部46で生成した心電図に関する情報は、制御部42で制御される通信部48により生体装着機器10の外部機器に伝送され外部機器に記憶される。外部機器は、データサーバ、PC、スマートフォン又はタブレット端末である。心電図情報生成部44で生成した心電図情報及び心電図生成部46で生成した心電図に関する情報は、本体部14内の図示しない記憶部に記憶されることも好適である。
【0032】
投光部52は、フレーム22の図1に示す裏面の第1本体電極30内の窓部22aを通して適宜の波長の光を生体に向けて放出可能である。受光部54は、投光部52から生体に向けて放出された光の反射光を窓部22aを通して受光可能である。投光部52で生体に投光し、受光部54で生体からの反射光を得て光電変換した情報に基づいて、心拍情報生成部56は、適宜に信号を処理し、心拍情報を生成する。心拍情報生成部56で生成した心拍情報は、制御部42で制御される通信部48により生体装着機器10の外部機器に伝送され外部機器に記憶される。心拍情報生成部56で生成した心拍情報は、本体部14内の図示しない記憶部に記憶されることも好適である。
【0033】
図4から図6に示すように、本実施形態では、バンド12は、本体部14から互いに反対方向の2方向D1,D2に延出される。バンド12は、第1バンド部(第1ベルト部)62と、第2バンド部(第2ベルト部)64とを有する。第1バンド部62及び第2バンド部64は、帯状(ストラップ状又はストリップ状)で、長手方向に沿って延びる。第1バンド部62には、2つのバンド電極(第1及び第2バンド電極)66a,66bが固定されている。第1バンド部62に固定される第2バンド電極66bは、第1バンド部62から取り外し可能であってもよい。第1バンド部62に複数の電極66a,66bが配置されることが好適であるが、1つであってもよい。第2バンド部64には、2つのバンド電極(第3及び第4バンド電極)68a,68bが固定されている。第2バンド部64に固定される第4バンド電極68bは、第2バンド部64から取り外し可能であってもよい。第2バンド部64に複数の電極68a,68bが配置されることが好適であるが、1つであってもよい。
なお、第1バンド部62のメンテナンスのため、第2バンド電極66bだけでなく、第1バンド電極66aが取り外し可能であってもよい。同様に、第2バンド部64のメンテナンスのため、第4バンド電極68bだけでなく、第3バンド電極68aが取り外し可能であってもよい。
【0034】
本体部14はバンド12を用いて例えば左上腕の所望の位置に固定される。バンド12の第1バンド部62及び第2バンド部64の長さは、取り付けを想定するユーザにかかわらず一定でもよく、取り付けを想定するユーザに応じて変化させてもよい。例えば、大人、子供、男性、女性等をそれぞれ想定した長さのバンド12をラインナップしてもよい。
バンド12の第1バンド部62及び第2バンド部64の長さは、左上腕など上肢ではなく、下肢に取り付けを想定する場合でも、上肢に取り付ける場合と同じ長さでもよく、取り付けを想定する位置に応じて変化させてもよい。
【0035】
第1バンド部64は、一端72と、他端74と、伸縮部(第1バンド部側伸縮部)76とを有する。第1バンド部62の一端72は、本体部14に支持されている。第1バンド部62は、生体に沿うように、例えば一端72で回動可能であることが好適である。第1バンド部62の他端74は、開放端である。
【0036】
第1バンド部62の伸縮部76は、長手方向に沿って伸縮する第1伸縮性を有する。第1バンド部62の長手方向に沿う第1伸縮性の伸縮部76は、実質的には、長手方向に沿って殆ど伸縮しない難伸縮部又は非伸縮部として形成される。本実施形態において、第1バンド部62の第1伸縮性は、難伸縮性又は非伸縮性と略同じ意である。第1バンド部62の伸縮部76の長手方向に直交する幅方向の伸縮性は、例えば第1伸縮性と略同じである。
【0037】
第1バンド部62は、第1伸縮性よりも長手方向に沿って高い伸縮性を有する基材82と、基材82に固定される伸縮性調整部材84とを有する。
【0038】
基材82は、伸縮部76の第1伸縮性よりも単位長さあたり長手方向に沿って大きく伸縮する。基材82は、例えば布製である。基材82は、例えばポリウレタン、綿、ゴム材等のストレッチ素材を用いることができる。
【0039】
調整部材84は、基材82に比べて長手方向に沿う伸縮性が低い素材が用いられる。調整部材84は、例えば布製である。調整部材84は、実質的に難伸縮性又は非伸縮性を有する素材が用いられる。
【0040】
基材82及び調整部材84は、長手方向に沿って長く形成されている。基材82は、長手方向に沿う一端72及び他端74を規定する。調整部材84の長さは、基材82の長さよりも僅かに短い。調整部材84は、基材82の一端72と他端74との間に固定されている。基材82と調整部材84とは、縫い付けられ、又は、貼り付けられて、固定される。調整部材84の外縁は基材82の外縁の内側にある。基材82は、生体装着機器10が生体に取り付けられるときに生体側となる。調整部材84は、生体に取り付けられるときに生体とは反対側となる。基材82及び調整部材84は可撓性を有する。基材82及び調整部材84は電気絶縁性を有する素材で形成されている。
【0041】
第1バンド部62は、第1バンド部62の全長よりも僅かに短く基材82に比べて伸縮性が低い調整部材84が基材82に固定されることで、全体として基材82の伸縮性に対して伸縮性が低下する。第1バンド部62の長手方向の第1伸縮性は、調整部材84の長手方向の伸縮性と略同じで、実質的に難伸縮性又は非伸縮性を有する。
【0042】
調整部材84には、例えば面ファスナが用いられる。面ファスナは、フックとループとが同一の面に混在しているものが用いられることが好適である。第1バンド部62は、基材82と調整部材84とが重なった適宜の部分で折り返され、調整部材84の面ファスナ同士の当接により接続されて、長さが調整される。このため、第1バンド部62の調整部材84の面ファスナは、第1バンド部62の外側となる位置に向かってリング部材110で折り返され第1バンド部62の長さが調整されるとともに、第1バンド部62の外側に着脱可能な接続部となる。
【0043】
本実施形態では、第1バンド部62の基材82のうち、第2本体電極32に近い位置には、第1バンド電極66aが固定されている。第1バンド部62の基材82のうち、第2本体電極32から第1バンド電極66aよりも離隔した位置には、第2バンド電極66bが固定されている。第1バンド電極66a及び第2バンド電極66bは、長手方向に隣接する。第1バンド電極66a及び第2バンド電極66bは、導電性を有する金属製のプレート又は導電エラストマで板状に形成され、長手方向にほとんど伸びない。第1バンド電極66aは、第1バンド部62に配置される配線67aを通して本体部14の制御基板40の制御部42に電気的に接続されている。第2バンド電極66bは、第1バンド部62に配置される配線67bを通して本体部14の制御基板40の制御部42に電気的に接続されている。
【0044】
図4から図7に示すように、第2バンド部64は、帯状のバンド本体100と、第2バンド部64の長手方向に沿うバンド端となる位置に設けられたリング状のリング部材110とを有する。
【0045】
バンド本体100は、一端102と、他端104と、折返部106と、固定部(接合部)108とを有する。バンド本体100の一端102と他端104との間は連続する。バンド本体100の一端102は、本体部14に支持されている。第2バンド部64は、生体に沿うように、例えば一端102で回動可能であることが好適である。第2バンド部64のバンド端は、長手方向の第2方向D2に沿ってバンド本体100の一端102に対して最も遠位の位置にある。バンド本体100は、第2バンド部64のバンド端となる位置のリング部材110において、折返部106で折り返されている。折返部106は、長手方向の第2方向D2に沿って第2バンド部64の一端102に対して最も遠位の位置にある。第2バンド部64の他端104は、長手方向に沿って、一端102と折返部106との間にある。第2バンド部64の他端104には、固定部108が設けられている。固定部108は、長手方向に沿って折返部106よりも本体部14に近位の位置にある。
【0046】
バンド本体100の一端102と折返部106との間は、第1伸縮部(第1伸縮領域)112として形成されている。バンド本体100の折返部106と他端104との間は、第2伸縮部(第2伸縮領域)114として形成されている。第1伸縮部112及び第2伸縮部114は帯状(ストラップ状又はストリップ状)である。第1伸縮部112と第2伸縮部114との間には、折返部106が設けられている。第2バンド部64の内層(内側)には第1伸縮部112があり、第1伸縮部112の外層(外側)には第2伸縮部114がある。
【0047】
第1伸縮部112は、第1面112aと、第1面112aとは反対側の第2面112bとを有する。第2伸縮部114は、第1面114aと、第1面114aとは反対側の第2面114bとを有する。第1伸縮部112は、第2バンド部64の一端102に近い位置に連続して形成されている。第1伸縮部112のうち、一端102から長手方向に沿って最も遠位の遠位端(境界)113aと、固定部108との間の経路には、折返部106及び第2伸縮部(第2伸縮領域)114がある。第1伸縮部112及び折返部106は、境界113aにより連続する。折返部106及び第2伸縮部114は、境界113bにより連続する。本実施形態の境界113bは、明確に区別できるものではない。
【0048】
第2バンド部64は、折返部106により2つの伸縮部112,114が連続した状態に形成され、2つの伸縮部112,114が重ねられている。具体的には、第1伸縮部112の第2面112b側で、第2伸縮部114が第1伸縮部112と重ねられている。このため、第1伸縮部112の第2面112bと第2伸縮部114の第2面114bとが対向又は接触する。固定部108は、第1伸縮部112の第2面112bと第2伸縮部114の第2面114bとの間を固定する。
【0049】
第1伸縮部112は、本体部14に対して長手方向に沿う第2方向D2に位置する。第1伸縮部112は、長手方向に沿って第1伸縮性を有することが好適である。第1伸縮性は、上述したように、難伸縮性又は非伸縮性であり、実質的に伸縮しない。第1伸縮部112の第1面112aには、第3及び第4バンド電極68a,68bが設けられている。
【0050】
第3及び第4バンド電極68a,68bは、導電性を有する金属製のプレート又は導電エラストマで板状に形成され、長手方向及び長手方向に直交する方向にほとんど伸縮しない。第3バンド電極68aは、第2バンド部64に配置される配線69aを通して本体部14の制御基板40の制御部42に電気的に接続されている。第4バンド電極68bは、第2バンド部64の第1伸縮部112に配置される配線69bを通して本体部14の制御基板40の制御部42に電気的に接続されている。配線69a,69bは、例えば第1伸縮部112の第1面112aと第2面112bとの間に設けられている。配線69a,69bは、第1伸縮部112の外側に露出しないことが好適である。
【0051】
折返部106は、リング部材110において、バンド本体100を折り返す。このため、バンド本体100は、折返部106により折り返されることで、第1伸縮部112及び第2伸縮部114が重ねられる。折返部106は、第1伸縮部112に対して長手方向に沿う第2方向D2側にある。折返部106は、第1伸縮部112の第1伸縮性よりも単位長さあたり長手方向に沿って大きく伸縮する第2伸縮性を有する。折返部106は、電極68bから一定の距離を空けた位置にある。折返部106と電極68bとの間には、境界113aがある。
【0052】
第2バンド部64の第1伸縮部112の長手方向に直交する幅方向の伸縮性、及び、第2伸縮部114の長手方向に直交する幅方向の伸縮性は、例えば第1伸縮性と略同じである。
【0053】
第2バンド部64は、生体の左上腕に取り付けられるときに左上腕側(生体側)となる基材(基部)122と、左上腕から離れた外側にある伸縮性調整部材124とを有する。基材122及び調整部材124は、長手方向に沿って長く形成されている。基材122及び調整部材124は可撓性を有する。基材122及び調整部材124は電気絶縁性を有する素材で形成されている。基材122と調整部材124とは、縫い付けられ、又は、貼り付けられて、固定される。調整部材124の外縁は基材122の外縁の内側にある。基材122は、例えば布製である。基材122は、例えばポリウレタン、綿、ゴム材等のストレッチ素材を用いることができる。基材122は、第1伸縮性よりも長手方向に沿って大きく伸縮する第3伸縮性を有する。調整部材124は、基材122に比べて長手方向に沿う伸縮性が低い素材が用いられる。調整部材124は例えば布製である。調整部材124は、第3伸縮性よりも長手方向に沿って伸縮し難い第4伸縮性を有する。第4伸縮性は、例えば第1伸縮性と同じように、難伸縮性又は非伸縮性である。
【0054】
調整部材124は、基材122の長手方向に沿って一端102と折返部106となる位置との間にある。調整部材124は、折返部106となる位置には配置されていない。
【0055】
第3伸縮性を有する基材122に第4伸縮性を有する調整部材124が固定されている領域の長手方向の伸縮性は、調整部材124の長手方向の第4伸縮性と略同じとなる。第4伸縮性は第1伸縮性と略同じとなる。したがって、長手方向に沿って伸縮性が低い調整部材124が基材122に固定されている領域は、第1伸縮性を有する第1伸縮部112として形成される。このように、基材122と調整部材124とが縫い付けられ、又は、互いに貼り付けられることにより、第2バンド部64の第1伸縮部112の長手方向の伸縮性が第1伸縮性を有する状態に調整される。
【0056】
基材122に調整部材124が固定されていない領域の長手方向の伸縮性は、基材122の長手方向の第3伸縮性と略同じとなる。第3伸縮性は第2伸縮性と略同じとなる。したがって、長手方向に沿って基材122に調整部材124が固定されていない領域は、第2伸縮性を有する第2伸縮部114として形成されている。
【0057】
第2バンド部64の折返部106は、第1伸縮性よりも長手方向に沿って高い伸縮性を有する第2伸縮部114(基材122)と同様に形成されている。折返部106には、調整部材124がない。このため、折返部106は、第2伸縮部114と同様に、第1伸縮部112よりも長手方向に伸縮可能である。
【0058】
固定部108は、第2バンド部64の例えば他端104を含む第2伸縮部114の第2面114bと第2バンド部64の第1伸縮部112の外側の第2面112bとを接合する。このため、固定部108は、本体部14に対して長手方向に沿って第2方向D2側の折返部106よりも本体部14に近位の位置で、第1伸縮部112と第2伸縮部114との間を接合する。
【0059】
折返部106には、例えば環状のリング部材110が支持されている。リング部材110は、第1バンド部62と第2バンド部64との間を繋ぐときに用いられる。リング部材110は、例えば矩形の環状に形成されている。リング部材110は、例えば電気絶縁性を有する素材で形成されることが好適である。リング部材110は第2伸縮部114の第2伸縮性により長手方向に沿って移動可能である。
【0060】
生体装着機器10の作用について、生体装着機器10を生体の左上腕UAに取り付ける場合を例にして説明する。
【0061】
図1図2及び図8に示すように、ユーザは、第1バンド部62の他端74を、第2バンド部64の折返部106で支持されたリング部材110の内側から外側に向かって通し、バンド12及び本体部14で環状にする。ユーザは、本体部14の第1から第3本体電極30,32,34、第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bを、ユーザの左上腕UAの皮膚に直接的に接触させる。この状態で、ユーザは、左上腕UAに対する本体部14の電極30,32,34、第1バンド部62の電極66a,66b、第2バンド部64の電極68a,68bの位置を決める。
【0062】
図9に示すように、ユーザの左上腕UAに対する生体装着機器10の取り付け位置は、例えばユーザの身体Bが解剖学的正位に位置したとき、本体部14がユーザの前(anterior)を向くことが好適である。
【0063】
左上腕UAへの生体装着機器10の適応周長の最小値及び最大値は、予め決定されている。ユーザは、左上腕UAの外周長さに応じて第1バンド部62の伸縮部76の長さを調整し、リング部材110に対する折返部76aの位置を調整する。すなわち、ユーザは、第1バンド部62の折返部76a及び端部74の位置の調整により、左上腕UAにバンド12を取り付ける際のバンド12の周長の初期調整を行う。第1バンド部62とリング部材110とが所望の位置で、第1バンド部62を折り返し、面ファスナの伸縮性調整部材(接続部)84同士を留める。このため、ユーザの左上腕UAに対する第1バンド部62の位置が固定される。ユーザは、第1バンド部62の折返部76a及び端部74の位置について、ユーザが解剖学的正位に位置したとき、バンド12の固定状態が自身で緩すぎず、きつすぎないと感じる状態で固定する。本実施形態では、第2バンド部64は固定部108により予め初期長さが規定されているため、生体装着機器10は、ユーザの左上腕UAに取り付けられた状態で維持される。
【0064】
ユーザが第1バンド部62をリング部材110を介して固定し、生体装着機器10が環状体となることで、第2及び第3本体電極32,34が左上腕UAの皮膚(肌)に押され、支持部28a,28bが弾性変形する。このため、電極32,34は、左上腕UAの皮膚に密着する。第1本体電極30は、第2及び第3本体電極32,34の間にあり、第2及び第3本体電極32,34が左上腕UAの皮膚に押され密着するとともに、左上腕UAの皮膚に密着する。
【0065】
同様に、可撓性を有する第1バンド部62に設けられた第1及び第2バンド電極66a,66bが左上腕UAの皮膚に密着するとともに、可撓性を有する第2バンド部64に設けられた第3及び第4バンド電極68a,68bが左上腕UAの皮膚に密着する。
【0066】
図8中の符号Lは、第1バンド部62の電極66bとリング部材110との間の周長である。長さLは、ユーザの左上腕UAの太さ又は取り付け部位によって変化する。例えばユーザの左上腕UAの外径が比較的小さく、長さLが短い場合、電極66b,68bが離間した状態で近接し、電極30,32,34,66a,66b,68a,68bによってユーザの左上腕UAをほぼ覆うように、電極30,32,34,66a,66b,68a,68bが皮膚の表面に接触する。このとき、電極66bから本体部14を通して電極68bに至る経路に比べて、電極66bからリング部材110を通して電極68bに至る経路の方が短い。一例として、生体装着機器10に対するユーザの左上腕UAの接触面のうち、電極30,32,34,66a,66b,68a,68bを合わせた接触面積が、第1バンド部62及び第2バンド部64自体がユーザの左上腕UAに接触する接触面積よりも大きくなり得る。
L=0となるときの左上腕UAの取り付け位置の外径は、生体装着機器10の適用周長の最小値となる。
【0067】
ユーザの左上腕UAの外径が大きく、長さLが大きい場合、電極66b,68bが離間する。このとき、電極66bから本体部14を通して電極68bに至る経路の方が、電極66bからリング部材110を通して電極68bに至る経路よりも短くなることがある。
【0068】
ユーザは生体装着機器10をユーザの左上腕UAに適切に取り付けた状態で、操作部24を適宜に操作する。本体部14の電源が入れられると、制御部42は、通信部48で外部機器と通信を開始する。
【0069】
本体部14は、制御部42により、第1から第3本体電極30,32,34、及び、第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bにより、上腕UAの皮膚の表面の電位に応じた信号(心電信号)を検出する。第1から第3本体電極30,32,34、及び、第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bは、電位に応じた信号を心電図情報生成部44に出力する。心電図情報生成部44は、第1から第3本体電極30,32,34、及び、第1から第4バンド電極66a,66b,68a,68bから選択された1つを基準電極とし、この基準電極の検出電位と残りの複数の電極の検出電位との電位差を算出し、算出結果のうちの負の最大値及び正の最大値に基づいて、心電信号に関する情報を生成する。心電図情報生成部44は、選択した電極の検出電位に基づいて、心電信号に関する情報を得る。心電図情報生成部44は、1つの電極対(対となる電極)だけでなく、複数の電極対から情報を得ることができる。一般に、対となる電極間距離が大きいほど電位差が大きくなる。対となる電極間距離は腕の太さ(周長)によって変わるため、電位差が大きくなる対となる電極の組合せを都度選択する。心電図情報生成部44は、複数の電極対から得た信号のうち、より強い信号を用いて心電信号を生成する。心電図生成部46は、心電図情報生成部44で得た情報に基づいて、心電図波形を生成する。
【0070】
心拍情報生成部56は、投光部52から左上腕UAへの投光及び左上腕UAからの反射光の検出状態に基づいて心拍情報を得る。
【0071】
このように、生体装着機器10の本体部14は、ユーザの心電信号の測定及び心拍測定を行い、それぞれの情報を得る。ユーザは通信部48で接続されたPC、スマートフォン又はタブレット端末等の表示画面を見ることによって、簡単に自身の心臓の状態を認識することが可能となる。
【0072】
心電信号の測定及び心拍測定は、数時間にわたって適宜の時間が経過するまで行われることが好適な場合がある。数時間にわたって心電信号の測定及び心拍測定を行う一例は、例えば活動時間中や、睡眠中である。
【0073】
生体装着機器10が取り付けられたユーザが左腕の曲げ伸ばしなど、左腕を動かすと、左腕の動きに応じて左上腕UAの外周の大きさ(周長)が変動し得る。一般に、ユーザは、腕を伸ばすと周長が比較的小さくなり、腕を曲げると周長が腕を伸ばした状態よりも大きくなる。
【0074】
電極付きバンド12は、1つの第2バンド部64において、第1伸縮部112と、第1伸縮部112よりも伸縮性が大きい第2伸縮部114と、第1伸縮部112と第2伸縮部114との間の折返部106とを有する。第2バンド部64は、第1伸縮部112と折返部106との境界113aから固定部108に至る連続する領域が第2伸縮性を有する。第2伸縮部114は、バンド12を取り付ける位置の左上腕(生体)UAの動きに応じて、長手方向(周方向)に伸縮するとともに、第2伸縮部114に連続し第2伸縮性を有する折返部106が長手方向に伸縮する。第2伸縮部114及び折返部106の長手方向の伸縮に応じて、折返部106とリング部材110との相対位置が変化する。このため、第2バンド部64により、バンド12の周長が調整される。
第2バンド部64の難伸縮性又は非伸縮性を有する第1伸縮部112と、適宜の伸縮性を有する折返部106との境界113aは、ユーザの左上腕UAに密着する側にある。そして、ユーザの左上腕UA側の境界113aから折返部106を通して第2バンド部64の他端104の近傍の固定部108に至るまで、連続的に第2伸縮性を有する領域として形成できる。上述したように、固定部108は、長手方向に沿って折返部106よりも本体部14に近位の位置にある。このため、第2伸縮部114の長手方向に沿う長さを比較的長く取ることができる。このため、第2バンド部64は、伸縮領域を長手方向に沿って比較的大きく取ることができる。
【0075】
このため、左腕の動きに合わせて、折返部106及び第2伸縮部114がバンド12の長手方向に沿って伸縮する。このように、第2バンド部64の折返部106の長手方向(周方向)に沿う伸縮性により、バンド12は、左上腕UAの動きに追従しやすくなる。このため、生体装着機器10をユーザの左上腕UAに取り付けた状態において、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能である。
【0076】
第1バンド部62において、電極66a,66bは、第1伸縮性を有する部位に設けられている。すなわち、第1バンド部62において、電極66a,66bが第2バンド部64の第2伸縮部114に比べて伸縮し難い難伸縮性又は非伸縮性を有する第1バンド部62に設けられている。第2バンド部64において、電極68a,68bは本体部14に隣接し第1伸縮性を有する第1伸縮部112に設けられている。すなわち、第2バンド部64において、電極68a,68bが第2バンド部64の第2伸縮部114に比べて伸縮し難い難伸縮性又は非伸縮性を有する第1伸縮部112に設けられている。このため、バンド12を取り付けたユーザに対し、生体装着機器10は、左上腕UAと電極66a,66b,68a,68bとの位置関係を固定した状態に維持する。ユーザが適宜に左腕を動かした後、ユーザが解剖学的正位に位置したとき、本体部14はユーザの前(anterior)を向く。ユーザが左腕を動かすとき、電極30,32,34,66a,66b,68a,68bがユーザの左上腕UAに当接した状態が維持される。したがって、生体装着機器10は、電極66a,66b,68a,68bを用いた安定した心電信号の検出、並びに、投光部52及び受光部54を用いた心拍信号の検出が可能である。
【0077】
なお、第1バンド部62のうち、電極66a,66bと制御部42とを接続する配線67a,67bが収容される部位は難伸縮性又は非伸縮性を有する素材で形成されている。同様に、第2バンド部64のうち、電極68a,68bと制御部42とを接続する配線69a,69bが収容される部位は難伸縮性又は非伸縮性を有する素材で形成されている。このため、ユーザが適宜に左腕を動かしても、配線67a,67b,69a,69bには、配線67a,67b,69a,69bが伸長するような力が加わりにくい。
【0078】
制御部42は、例えば予め設定した時間、心電図情報及び心拍情報を得た後、自動的に心電信号に関する情報及び心拍情報の検出を終了する。制御部42は、心電信号に関する情報及び心拍情報の検出を終了した後、自動的に本体部14の電源をOFFにする。その後、ユーザは、生体装着機器10の第1バンド部62の固定を解除し、左上腕UAから生体装着機器10を取り外す。
【0079】
生体装着機器10は、心電信号に関する情報及び心拍情報の検出の開始から終了まで、左腕の動作にあわせて周長が変化しながら、取り外されることなく維持される。このとき、各電極30,32,34,66a,66b,68a,68bが左上腕UAの皮膚に接触した状態が維持される。左上腕UAを適宜に動かした後、ユーザが解剖学的正位に位置したとき、本体部14はいずれもユーザの前(anterior)を向く。このため、生体装着機器10は、ユーザに生体装着機器10を取り付けた後、ユーザの心電図及び心拍の検査の開始から終了まで安定して心電信号に関する情報及び心拍情報の検出を行うことができる。
【0080】
生体装着機器10は、このように使用される。
【0081】
生体装着機器10は、例えば睡眠中や、活動中など数時間単位の比較的長時間の計測に用いるだけでなく、1分以内であったり、数分であったりする場合など、比較的短時間の計測にも用いることができる。このため、バンド12は、例えば数分以内の比較的短時間に本体部14を生体に取り付けた状態を維持する場合にも用いることができる。
【0082】
生体装着機器10は、ユーザの左上腕UAに装着する例について説明した。生体装着機器10は、例えばユーザの手首又は下肢に装着されてもよい。下肢は、大腿部、下腿部、及び、足首等を含む。
【0083】
生体装着機器10は、四肢に取り付け、心電信号に関する情報のほか、筋電情報等、生体情報を得るための生体装着機器10に対して、バンド12を用いることができる。生体信号の検出を行う場合、例えば電極30、又は、投光部52及び受光部54の代わりに、脈派センサを用いてもよい。この場合、生体装着機器10は、心電信号に関する情報のR波ピーク時間と脈波センサを用いた脈波情報の立ち上がり点との時間差から脈波伝播時間(PTT)を算出し、血圧を推定する。
【0084】
生体装着機器10は、電極(トランスデューサ)30,32,34,66a,66b,68a,68bを電位検出に用いる例について説明したが、例えば低周波治療機器用のパッドや、微弱電流治療機器用のパッドとして用いることも好適である。このため、本実施形態に係る生体装着機器10は、生体信号を検出するだけでなく、生体を治療するために生体に取り付けられることも好適である。すなわち、バンド12は、生体を治療する機能を有する本体部14を生体に取り付けた状態を維持することに用いることができる。
【0085】
ユーザは、上述したバンド12の第1バンド部62及び第2バンド部64の長さ及び第2伸縮部114の第2伸縮性を適宜に調整することで、生体装着機器10を胸部、腹部、又は、腰部に取り付けてもよい。
【0086】
第1バンド部62の伸縮部76は、難伸縮性又は非伸縮性を有する場合よりも高い伸縮性を有していてもよい。このとき、第1バンド部62の伸縮部76の伸縮性は、第2バンド部64の第2伸縮部114の長手方向に沿う第2伸縮性よりも低い。同様に、第2バンド部64の第1伸縮部112の第1伸縮性は、第2伸縮部114の第2伸縮性よりも低い。このため、第1伸縮性は、難伸縮性又は非伸縮性に限られない場合がある。
【0087】
以上説明したように、本実施形態によれば、適宜の位置に取りつけた状態で、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能な電極付きバンド12、及び、生体装着機器10を提供することができる。
【0088】
なお、本実施形態において、第2バンド部64の第2伸縮部114の構造を第1バンド部62の電極66bとリング部材110との間に適用できる。
【0089】
[第2実施形態]
図10から図13を用いて第2実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態の変形例であり、第1実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0090】
図10から図13に示すように、固定部(接合部)108は、第1固定部材(接合部)108aと、第2固定部材(接合部)108bとを有する。第1固定部材108aは、本実施形態では、第2バンド部64のバンド本体100の一端102と折返部106との間の第1伸縮部112の外側の第2面112bに固定されている。第2固定部材108bは、第2バンド部64の他端104の第2伸縮部114の第2面114bに固定されている。第1固定部材108aは、例えば面ファスナのフック面又はループ面である。第2固定部材108bは、第1固定部材108aが面ファスナのフック面であるとすると、面ファスナのループ面である。第2固定部材108bは、第1固定部材108aが面ファスナのループ面であるとすると、面ファスナのフック面である。第1固定部材108a及び第2固定部材108bの面ファスナは、フックとループとが同一の面に混在しているものが用いられることも好適である。このため、ユーザは、第1固定部材108aと第2固定部材108bとを着脱可能である。
【0091】
第1固定部材108a及び第2固定部材108bの固定位置(固定状態)は、第1固定部材108a及び第2固定部材108bの長手方向の長さの範囲で調整可能である。第1固定部材108aと第2固定部材108bとの相対位置の調整により、バンド本体100の折返部106の位置が調整される。このため、第2バンド部64の長さも、第1バンド部62の長さ調整に比べると僅かな量であるが、調整可能である。
【0092】
ユーザが例えばユーザの左上腕UAに生体装着機器10を取り付ける場合、例えば第2バンド部64の第1固定部材108aと第2固定部材108bとを仮位置で固定した状態で、第1実施形態で説明したように、第1バンド部62を固定する。その後、ユーザは、必要に応じて、第2バンド部64の第1固定部材108aと第2固定部材108bとを左腕を動かしたときにより心地よい状態に固定し直す。
【0093】
第2バンド部64の一端102に対して第2バンド部64の第2方向D2に最も遠位の位置の折返部106及びリング部材110の位置は、第1固定部材108aと第2固定部材108bとの関係により変動する。このため、第1バンド部62の長さ調整範囲に比べれば僅かであるが、生体装着機器10をユーザに取り付ける際に、第2バンド部64により、生体装着機器10の周長を調整することができる。折返部106は、難伸縮性又は非伸縮性の第1伸縮部112よりも伸縮性が高いため、左腕を曲げ伸ばしするなど、動かしたときに、追従して伸縮する。このとき、第2バンド部64の長手方向の長さを調整することができるので、ユーザに対する生体装着機器10の好適な取り付け状態を維持しつつ、第1実施形態で説明した場合に比べて、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能である。
【0094】
本実施形態によれば、適宜の位置に取りつけた状態で、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能な電極付きバンド12及び生体装着機器10を提供することができる。
【0095】
[第3実施形態]
図14を用いて第3実施形態について説明する。第3実施形態は第1実施形態及び第2実施形態の変形例である。第1実施形態及び第2実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0096】
図14に示すように、本実施形態の折返部106は、第1伸縮部112と同じ構成である。このため、本実施形態に係る折返部106は、第1伸縮性を有する。
【0097】
例えばユーザの左上腕UAに生体装着機器10を取り付けた状態で、ユーザが左腕を伸ばすと左腕の周長が比較的小さくなり、左腕を曲げると左腕の周長が腕を伸ばした状態よりも大きくなる。
【0098】
ユーザが左腕を曲げ、左腕の周長が大きくなるとき、折返部106と固定部108との間の経路のうち、第2伸縮部114が長手方向に延びる。第2伸縮部114が延びることにより、第2バンド部64の一端102と他端104とのバンド本体100の経路長が延びる。このため、折返部106に対するリング部材110の相対的な位置関係がずれ、第2バンド部64の一端102と折返部106との間の距離が延びる。
【0099】
このように、折返部106は、第1伸縮性を有していてもよい。
【0100】
[第4実施形態]
図15を用いて第4実施形態について説明する。第4実施形態は第1実施形態から第3実施形態の変形例である。第1実施形態から第3実施形態で説明した部材と同一の部材又は同一の機能を有する部材には極力同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0101】
本実施形態では、生体装着機器10のバンド12の第1バンド部62と第2バンド部64とが連続する。本体部14は、バンド12に対して着脱可能である。
【0102】
第1実施形態から第3実施形態で説明した第1バンド部62の一端72は存在しない。同様に、第2バンド部64の一端102は存在しない。第1バンド部62の基材82及び第2バンド部64の基材122は、本実施形態では、例えば1つの基材(基部)142として形成されている。基材142は、第1バンド部62の他端74に対応する第1端部144と、第2バンド部64の他端104に対応する第1端部146とを有する。
【0103】
第4実施形態の第2バンド部64の固定部108は、第2実施形態で説明した第1固定部材108a及び第2固定部材108bを有する構造でも良い。
【0104】
例えばバンド12の符号14で示す破線で示す位置には、本体部が着脱可能である。本体部14は、第1実施形態で説明したような適宜の検査機能を有するもの、適宜の治療機能を有するもの、又は、検査機能及び治療機能を組み合わせたものを用いることができる。本体部14には、医療機器のほか、医療機器でない一般機器を用いることができる。
【0105】
本実施形態によれば、第1実施形態から第3実施形態で説明したのと同様に、適宜の位置に取りつけた状態で、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能な電極付きバンド12を提供することができる。
【0106】
例えば電極付きバンド12は、配線67a,67b,69a,69b及び電極66a,66b,68a,68bを取り外すことができる構造であることが好適である。この場合、バンド12から配線67a,67b,69a,69b及び電極66a,66b,68a,68bを取り外した状態で、バンド12は、洗浄、消毒等を行うことができる。
【0107】
第4実施形態では、バンド12と本体部14とが着脱可能である例について説明した。生体装着機器10は、第1バンド部62と第2バンド部64とが一体化した状態で、かつ、本体部14が、バンド12から容易に取り外しできないように構成されていてもよい。
【0108】
本実施形態によれば、第1実施形態から第3実施形態で説明したのと同様に、適宜の位置に取りつけた状態で、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能な生体装着機器10及び電極付きバンド12を提供することができる。
【0109】
以上説明したように、上述した第1実施形態から第4実施形態によれば、適宜の位置に取りつけた状態で、ユーザに不快感を生じさせることを抑制可能な電極付きバンド12及び生体装着機器10を提供することができる。
【0110】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0111】
10…生体装着機器、
12…電極付きバンド、
14…本体部、
22…フレーム、
30…第1本体電極、
32…第2本体電極、
34…第3本体電極、
62…第1バンド部、
64…第2バンド部、
66a…第1バンド電極、
66b…第2バンド電極、
68a…第3バンド電極、
68b…第4バンド電極、
76…伸縮部、
76a…折返部、
82…基材、
84…伸縮性調整部材
100…バンド本体部、
106…折返部、
108…固定部(接合部)、
110…リング部材、
112…第1伸縮部、
114…第2伸縮部、
122…基材、
124…伸縮性調整部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15