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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-15
(45)【発行日】2024-04-23
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240416BHJP
   H01L 23/48 20060101ALI20240416BHJP
【FI】
H01L21/60 321E
H01L21/60 301B
H01L23/48 P
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2020055780
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021158180
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】河野 弘匡
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-127100(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0009295(US,A1)
【文献】特開2010-056181(JP,A)
【文献】特開2013-004943(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150553(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/084127(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子主面、および前記素子主面に形成された主面側駆動電極を有している半導体素子と、
前記主面側駆動電極と対面する接続裏面を有しており、前記主面側駆動電極に接続されている板状の導電部材と、
前記主面側駆動電極と前記接続裏面との間に介在しており、前記主面側駆動電極と前記導電部材とを接続する導電性接合材と、
を備えており、
前記接続裏面には、複数の溝が形成されており、
前記導電部材は、前記導電部材の厚さ方向において前記導電部材を貫通する貫通孔を有しており、
前記貫通孔は、前記複数の溝の配列方向において、前記複数の溝に跨って形成されている
半導体装置。
【請求項2】
前記半導体装置は、駆動パッドを備えており、
前記導電部材は、前記駆動パッドに接続されたパッド側導電部を有しており、
記半導体素子の厚さ方向から視て、前記半導体素子と前記駆動パッドとの配列方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向とすると、
前記複数の溝は、前記第2方向に配列された状態で前記第1方向に向けて延びており、
前記複数の溝の前記第1方向の両端部は開口している
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記溝の延びる方向を溝の長さ方向とし、前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記溝の長さ方向と直交する方向の前記溝の大きさを溝の幅とすると、
前記溝の長さ方向の一方から他方に向かうにつれて、前記溝の幅が大きくなる
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記溝の長さ方向において、前記溝の一方の端縁から他方の端縁に向かうにつれて、前記溝の幅が徐々に大きくなる
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記導電部材は、前記導電部材の重心が前記駆動電極と重なるように設けられている
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体素子の厚さ方向における前記導電部材の前記接続裏面と前記半導体素子の前記素子主面との間の距離は、前記主面側駆動電極から前記駆動パッドに向かうにつれて大きくなるように、前記導電部材が前記半導体素子に対して傾いて配置されている
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記第2方向の前記溝の大きさを溝の幅とすると、
前記溝は、前記第1方向のうち前記主面側駆動電極から前記駆動パッドに向かうにつれて前記溝の幅が大きくなる
請求項5または6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記第2方向の前記溝の大きさを溝の幅とすると、
前記第1方向における前記溝の両端縁のうち前記第1方向のうち前記主面側駆動電極に近い方の端縁から前記駆動パッドに近い方の端縁に向かうにつれて前記溝の幅が徐々に大きくなる
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記半導体装置の前記第1方向および前記第2方向の大きさがそれぞれ2mmであり、
前記溝の幅の最小値の範囲は、0.05mm以上0.5mm以下であり、
前記溝の幅の最大値の範囲は、0.01mm以上1.0mm以下である
請求項7または8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体装置の前記第1方向および前記第2方向の大きさがそれぞれ2mmであり、
前記溝の幅の最小値の範囲は、0.05mm以上0.1mm以下であり、
前記溝の幅の最大値の範囲は、0.01mm以上0.2mm以下である
請求項7または8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記導電部材は、前記主面側駆動電極に向けて突出する突出部を有しており、
前記突出部において前記主面側駆動電極と対面する部分が前記接続裏面を構成している
請求項1~10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記溝は、前記接続裏面から凹むように形成されており、かつ、
前記半導体素子の厚さ方向において前記主面側駆動電極から遠い端面となる底面と、
前記接続裏面と前記底面とを接続する側面と、
を有しており、
前記接続裏面は、前記導電部材において前記半導体素子と前記半導体素子の厚さ方向に対面する領域のうち前記接続裏面以外の面である裏面よりも前記主面側駆動電極の近くに位置している
請求項1~11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記導電部材は、前記素子主面と同じ方向を向く表面と、前記表面から前記主面側駆動電極に向けて凹む凹部と、を有している
請求項1~12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記溝は、前記接続裏面から凹むように形成されており、かつ、
前記半導体素子の厚さ方向において前記主面側駆動電極から遠い端面となる底面と、
前記接続裏面と前記底面とを接続する側面と、
を有しており、
前記底面は、前記導電部材において前記半導体素子と前記半導体素子の厚さ方向に対面する領域のうち前記接続裏面以外の面である裏面よりも前記主面側駆動電極の近くに位置している
請求項1~13のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記溝の延びる方向を溝の長さ方向とすると、
前記溝の長さ方向において、前記溝は、前記主面側駆動電極よりも短い
請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記溝の長さ方向における前記溝の両端部は、前記溝の長さ方向に開口している
請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記溝の延びる方向を溝の長さ方向とすると、
前記溝の長さ方向において、前記溝は、前記主面側駆動電極よりも長い
請求項1~14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記溝の長さ方向における前記溝の両端部は、前記主面側駆動電極に向けて開口している
請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
記溝の延びる方向を溝の長さ方向とし、前記溝の長さ方向と直交し、複数の前記溝が配列する方向を溝の配列方向とすると、
前記溝が形成される領域における前記溝の配列方向の大きさは、前記溝が形成される領域における前記溝の長さ方向の大きさよりも大きい
請求項1~1のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記半導体装置は、駆動パッドを備えており、
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記導電部材は、
前記半導体素子と接続する電極側導電部と、
前記駆動パッドと接続するパッド側導電部と、
前記電極側導電部と前記パッド側導電部とを連結する連結部と、
を備えており、
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記半導体素子と前記駆動パッドとの配列方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向とすると、
前記第2方向における前記電極側導電部の大きさは、前記パッド側導電部および前記連結部の大きさよりも大きい
請求項1~19のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記半導体素子は、前記素子主面に形成された制御電極を有しており、
前記半導体装置は、
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記半導体素子および前記駆動パッドにそれぞれ隣り合うように配置された制御パッドと、
前記制御電極と前記制御パッドとを接続するワイヤと、
を有しており、
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記制御電極は、前記連結部と隣り合うように配置されている
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記第2方向において、前記駆動パッドは、前記制御パッドよりも大きい
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記半導体素子は、前記半導体素子の厚さ方向において前記素子主面とは反対側を向く素子裏面、および前記素子裏面に形成された裏面側駆動電極を有しており、
前記半導体装置は、前記半導体素子が搭載される導電板を備えており、
前記導電板は、前記半導体素子の厚さ方向において前記裏面側駆動電極と対面しており、前記裏面側駆動電極と接続された導電主面を有している
請求項1~2のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記半導体素子および前記導電板を封止する封止樹脂を備えており、
前記導電板は、前記半導体素子の厚さ方向において前記導電主面とは反対側を向く導電裏面を有しており、
前記導電裏面は、前記封止樹脂から露出している
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記導電部材は、Cuからなる
請求項1~2のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項26】
前記半導体装置は、前記半導体素子が搭載された導電板を備えており、
前記導電板は、Cuからなる
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項27】
前記導電性接合材は、はんだまたはAgペーストからなる
請求項1~2のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記半導体装置の一例として、基板上に実装された半導体素子と、駆動パッドと、半導体素子と駆動パッドとを接続する帯状の導電部材と、を備える半導体装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。導電部材は、半導体素子のうち基板とは反対側の素子主面にはんだによって接合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-125354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、半導体素子の温度が過度に上昇することを抑制するため、半導体素子から導電部材への放熱性能の向上が望まれている。
本開示の目的は、半導体素子から導電部材への放熱性能を向上できる半導体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する半導体装置は、素子主面、および前記素子主面に形成された主面側駆動電極を有している半導体素子と、前記主面側駆動電極と対面する接続裏面を有しており、前記主面側駆動電極に接続されている板状の導電部材と、前記主面側駆動電極と前記接続裏面との間に介在しており、前記主面側駆動電極と前記導電部材とを接続する導電性接合材と、を備えており、前記接続裏面には、溝が形成されている。
【0006】
この構成によれば、溝に導電性接合材が入り込むことによって、接続部材と導電性接合材との接合面積は、溝が形成されていない接続部材と導電性接合材との接合面積よりも大きくなる。これにより、半導体素子の熱から導電性接合材を介して接続部材に移動しやすくなるため、半導体素子から導電部材への放熱性能を向上できる。
【発明の効果】
【0007】
上記半導体装置によれば、半導体素子から導電部材への放熱性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の半導体装置の斜視図。
図2図1の半導体装置の内部構造を示す平面図。
図3図1の半導体装置の裏面図。
図4図2の4-4線の断面図。
図5図2の半導体装置から導電部材を取り除いた状態の平面図。
図6】導電部材の斜視図。
図7図6の導電部材を図6とは異なる方向から視た斜視図。
図8】導電部材の裏面図。
図9図8の導電部材の一部の拡大図。
図10図2の10-10線の断面図。
図11】一実施形態の半導体装置の製造方法について、製造工程の一工程の一例を示す説明図。
図12】半導体装置の製造方法について、製造工程の一工程の一例を示す説明図。
図13】半導体装置の製造方法について、製造工程の一工程の一例を示す説明図。
図14】半導体装置の製造方法について、製造工程の一工程の一例を示す説明図。
図15】半導体装置の製造方法について、製造工程の一工程の一例を示す説明図。
図16】半導体装置の製造方法について、製造工程の一工程の一例を示す説明図。
図17】半導体装置の製造方法について、製造工程の一工程の一例を示す説明図。
図18】作用を説明するための半導体装置の模式的な断面図。
図19図18の一部の拡大図。
図20】作用を説明するための導電部材の一部を示す模式的な斜視図。
図21】変更例の半導体装置について、導電部材を裏面側から視た斜視図。
図22】変更例の半導体装置の断面図。
図23】変更例の半導体装置について、導電部材を裏面側から視た斜視図。
図24図23の導電部材を半導体素子に接合した状態において図23の24-24線で切った場合の半導体装置の断面図。
図25】変更例の半導体装置の断面図。
図26】変更例の半導体装置について、導電部材の裏面図であって複数の溝およびその周辺を拡大した拡大図。
図27】変更例の半導体装置について、導電部材の裏面図であって複数の溝およびその周辺を拡大した拡大図。
図28】変更例の半導体装置について、導電部材の裏面図であって複数の溝およびその周辺を拡大した拡大図。
図29】変更例の半導体装置について、導電部材の裏面図であって複数の溝およびその周辺を拡大した拡大図。
図30】変更例の半導体装置について、導電部材の裏面図であって複数の溝およびその周辺を拡大した拡大図。
図31】変更例の半導体装置について、導電部材の裏面図であって複数の溝およびその周辺を拡大した拡大図。
図32】変更例の半導体装置について、その内部構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、半導体装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0010】
本明細書において、「部材Aが部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bとが物理的に直接的に接続される場合、ならびに、部材Aおよび部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
【0011】
[実施形態]
(半導体装置の構成)
図1図10を参照して、本実施形態の半導体装置1の構成について説明する。
【0012】
図1に示すように、半導体装置1は、たとえば直方体状である。半導体装置1の平面視において、一辺に沿う方向をx方向とし、x方向と直交する方向をy方向とする。x方向およびy方向と直交する方向をz方向とする。本実施形態においては、半導体装置1のx方向のサイズは2.0mm程度であり、半導体装置1のy方向のサイズは2.0mm程度である。つまり、本実施形態では、z方向から視た半導体装置1の形状は正方形である。なお、半導体装置1のx方向のサイズおよびy方向のサイズはそれぞれ任意に変更可能である。またz方向から視た半導体装置1の形状は任意に変更可能である。
【0013】
半導体装置1は、導電板10と、駆動パッド20と、制御パッド30と、半導体素子40と、導電部材50と、ワイヤWと、封止樹脂60と、を備えている。図1に示すとおり、本実施形態では、z方向において、導電板10と、駆動パッド20と、制御パッド30とは、互いに揃った位置となるように配置されている。
【0014】
封止樹脂60は、半導体装置1のパッケージを構成するものであり、導電板10の一部と、駆動パッド20の一部と、制御パッド30の一部と、半導体素子40と、導電部材50と、ワイヤWとを封止している。封止樹脂60は、電気絶縁性を有する樹脂材料からなり、本実施形態では黒色のエポキシ樹脂からなる。
【0015】
封止樹脂60は、z方向において互いに反対側を向く樹脂主面60sおよび樹脂裏面60rと、z方向において樹脂主面60sと樹脂裏面60rとの間に設けられる樹脂側面61~64と、を有している。
【0016】
本実施形態では、樹脂主面60sおよび樹脂裏面60rはそれぞれ、z方向に直交する平坦面からなる。なお、以下の説明において、便宜上、樹脂裏面60rから樹脂主面60sに向かう方向を上方といい、樹脂主面60sから樹脂裏面60rに向かう方向を下方という場合がある。
【0017】
樹脂側面61および樹脂側面62は、y方向において互いに反対側を向く面である。樹脂側面61,62はそれぞれ、x方向に沿って延びている。樹脂側面63および樹脂側面64は、x方向において互いに反対側を向く面である。樹脂側面63,64はそれぞれ、y方向に沿って延びている。
【0018】
導電板10は、半導体素子40が搭載される部品であって、半導体装置1の外部の配線基板と電気的に接続される外部端子となる部品である。つまり、半導体素子40は、導電板10を介して配線基板と電気的に接続される。
【0019】
図2に示すように、導電板10は、y方向において封止樹脂60のうち樹脂側面61寄りに配置されている。上方から視て、導電板10のy方向のサイズは封止樹脂60のx方向のサイズの1/2よりも大きく、導電板10のx方向のサイズは封止樹脂60のy方向のサイズと概ね等しい(より詳細には、導電板10のx方向のサイズは封止樹脂60のy方向のサイズよりも僅かに小さい)。このため、上方から視た導電板10の形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる略矩形状である。つまり、導電板10は、矩形板状に形成されている。導電板10は、導電性を有する材料からなり、たとえば金属材料からなる。本実施形態では、導電板10は、Cu(銅)からなる。
【0020】
図4に示すように、導電板10は、z方向において互いに反対側を向く導電主面10sおよび導電裏面10rを有している。このように、本実施形態では、z方向は、導電板10の厚さ方向であるともいえる。導電主面10sは樹脂主面60sと同じ側を向き、導電裏面10rは樹脂裏面60rと同じ側を向いている。
【0021】
導電主面10sには、半導体素子40が搭載されている。より詳細には、導電主面10sには、はんだやAg(銀)ペースト等の導電性接合材によって半導体素子40が実装されている。本実施形態では、半導体素子40は、導電性接合材として、Sn(錫)系のPb(鉛)を含むはんだペーストであるはんだSDによって導電主面10sに実装されている。このはんだSDの一例として、Sn-Pb-Agのはんだが用いられている。また、はんだSDとして、Pbを含まないはんだを用いてもよい。このはんだSDの一例として、Sn-Ag-Cuのはんだが用いられている。
【0022】
半導体素子40は、たとえばスイッチング素子であり、本実施形態ではMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)が用いられている。MOSFETとしては、Si(シリコン)やSiC(炭化シリコン)からなるもの、GaN(窒化ガリウム)からなるもの等であってもよい。半導体素子40としてSiCからなるMOSFETが用いられる場合、1kHz以上かつ数百kHz以下の周波数の駆動信号に応答した高速スイッチング、好ましくは、1kHz以上かつ100kHz以下の周波数の駆動信号に応答した高速スイッチングが可能となる。なお、半導体素子40は、MOSFETに代えて、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)や他のバイポーラトランジスタ等のトランジスタであってもよい。
【0023】
図4および図5に示すように、半導体素子40は、矩形平板状からなる。図4に示すように、上方から視た半導体素子40の形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状である。半導体素子40は、導電主面10sの大部分を覆うようなサイズとして設けられている。
【0024】
本実施形態では、半導体素子40は、導電主面10sのx方向およびy方向の中央に配置されている。より詳細には、半導体素子40のx方向およびy方向の中心位置と、導電主面10sのx方向およびy方向の中心位置とが一致するように、半導体素子40が導電主面10sに配置されている。ここで、半導体素子40のx方向およびy方向の中心位置と、導電主面10sのうち後述する導電板本体部11のx方向およびy方向の中心位置とのずれ量がたとえば半導体素子40のx方向の長さまたはy方向の長さの5%以内であれば、半導体素子40のx方向およびy方向の中心位置と、導電主面10sのx方向およびy方向の中心位置とが一致しているといえる。
【0025】
なお、導電主面10sに対する半導体素子40の配置位置は任意に変更可能である。一例では、半導体素子40は、導電主面10sのうちの樹脂側面62寄りに配置されてもよい。これにより、ワイヤWや導電部材50の長さを短くできるため、ワイヤWや導電部材50の長さに起因するインダクタンスを低減できる。
【0026】
図4に示すように、半導体素子40は、z方向において互いに反対側を向く素子主面40sおよび素子裏面40rを有している。このように、本実施形態では、z方向は、半導体素子40の厚さ方向であるともいえる。素子主面40sは導電主面10sと同じ側を向き、素子裏面40rは導電裏面10rと同じ側を向いている。
【0027】
図5に示すように、素子主面40sには、主面側駆動電極41および制御電極43が形成されている。
主面側駆動電極41は、素子主面40sの大部分にわたり形成されている。主面側駆動電極41の一例は、半導体素子40のソース電極である。主面側駆動電極41のうち樹脂側面62かつ樹脂側面64の近くの部分には窪み部41aが形成されている。
【0028】
制御電極43は、素子主面40sの四隅のうちの1つに形成されている。制御電極43の一例は、半導体素子40のゲート電極である。制御電極43は、その一部が主面側駆動電極41の窪み部41aに入り込むように形成されている。つまり、制御電極43は、素子主面40sの四隅のうち樹脂側面62かつ樹脂側面64の近くの隅に形成されている。
【0029】
図4に示すように、素子裏面40rは、はんだSDが接合される面となる。素子裏面40rには、裏面側駆動電極42が形成されている。本実施形態では、裏面側駆動電極42は、素子裏面40rの全体にわたり形成されている。裏面側駆動電極42の一例は、半導体素子40のドレイン電極である。
【0030】
図5に示すように、導電板10は、半導体素子40が搭載される導電板本体部11と、導電板本体部11からy方向に突出する複数(本実施形態では4個)の突出端子12と、導電板本体部11からx方向に突出する複数(本実施形態では2個)の吊りリード部13と、を有している。本実施形態では、導電板10は、導電板本体部11、複数の突出端子12および複数の吊りリード部13が一体に形成された単一部品である。
【0031】
導電板本体部11は、導電板10のうち大部分を占める部分である。上方から視た導電板本体部11の形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状である。上方から視て、導電板本体部11のx方向のサイズは、封止樹脂60のx方向のサイズよりも僅かに小さい。上方から視て、導電板本体部11のy方向のサイズは、封止樹脂60のy方向のサイズの1/2よりも大きい。
【0032】
複数の突出端子12はそれぞれ、導電板本体部11のy方向の両端部のうち樹脂側面61に近い方の端部からy方向に沿って延びている。複数の突出端子12は、y方向において互いに揃った状態でx方向において互いに離間して配列されている。各突出端子12の先端面は、樹脂側面61から露出している。なお、複数の突出端子12の個数は任意に変更可能である。また、複数の突出端子12を省略してもよい。
【0033】
複数の吊りリード部13は、導電板本体部11のx方向の両端部からx方向に沿って延びている。上方から視て、複数の吊りリード部13は、導電板本体部11のy方向の中央よりも樹脂側面62寄りに配置されている。導電板本体部11のx方向の両端部のうち樹脂側面63に近い方の端部に形成された吊りリード部13の先端面は、樹脂側面63から露出している。導電板本体部11のx方向の両端部のうち樹脂側面64に近い方の端部に形成された吊りリード部13の先端面は、樹脂側面64から露出している。なお、複数の吊りリード部13の個数は任意に変更可能である。また複数の吊りリード部13のy方向の位置は任意に変更可能である。
【0034】
図3および図4に示すように、導電板10は、導電裏面10rから導電主面10sに向けて窪んだハーフ絶縁部14を有している。ハーフ絶縁部14は、導電板本体部11の外周部に形成されている。より詳細には、導電板本体部11の外周部のうち樹脂側面63の近くのハーフ絶縁部14、および樹脂側面64の近くのハーフ絶縁部14はそれぞれ、導電板本体部11のy方向の全体にわたり形成されている。複数の吊りリード部13は、導電板本体部11の外周部のうち樹脂側面63,64のハーフ絶縁部14と一体に形成されている。導電板本体部11の外周部のうち樹脂側面62の近くのハーフ絶縁部14は、導電板本体部11のx方向の全体にわたり形成されている。導電板本体部11の外周部のうち樹脂側面61の近くのハーフ絶縁部14は、複数の突出端子12を避けるようにして、x方向において離間して複数形成されている。
【0035】
図4に示すように、ハーフ絶縁部14には、封止樹脂60が入り込んでいる。つまり、ハーフ絶縁部14のうち導電裏面10r側に向く面である絶縁裏面14rは、封止樹脂60によって覆われている。このため、図3に示すとおり、ハーフ絶縁部14は、下方から視て、封止樹脂60の樹脂裏面60rから露出していない。また、下方から視て、複数の吊りリード部13は、封止樹脂60の樹脂裏面60rから露出していない。
【0036】
一方、図3に示すとおり、導電板10のうちハーフ絶縁部14以外の部分は、封止樹脂60の樹脂裏面60rから露出している。つまり、導電板10の導電裏面10rは、樹脂裏面60rから露出している。下方から視て、樹脂裏面60rから露出している導電裏面10rのy方向の両端部のうち樹脂側面61に近い方の端部は、複数の突出端子12が露出することによって櫛歯状に形成されている。
【0037】
図2に示すように、駆動パッド20は、半導体素子40の主面側駆動電極41と電気的に接続される部品であって、半導体装置1の外部の配線基板と電気的に接続される外部端子となる部品である。つまり、半導体素子40の主面側駆動電極41は、駆動パッド20を介して配線基板と電気的に接続される。駆動パッド20は、導電性を有する材料からなり、たとえば金属材料からなる。本実施形態では、駆動パッド20は、Cuからなる。
【0038】
駆動パッド20は、y方向において、導電板10よりも樹脂側面62の近くに配置されている。つまり、導電板10および駆動パッド20は、y方向において配列されている。このため、導電板10および駆動パッド20の配列方向であるy方向は第1方向であるともいえる。そして、y方向と直交するx方向は第2方向であるともいえる。また、駆動パッド20は、x方向において、樹脂側面63寄りに配置されている。
【0039】
駆動パッド20のx方向のサイズは、封止樹脂60のx方向のサイズの1/2よりも大きい。上方から視た駆動パッド20の形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる略矩形状である。
【0040】
図2および図3に示すように、駆動パッド20は、z方向において互いに反対側を向く駆動パッド主面20sおよび駆動パッド裏面20rを有している。駆動パッド主面20sは導電主面10sと同じ側を向き、駆動パッド裏面20rは導電裏面10rと同じ側を向いている。
【0041】
駆動パッド20は、パッド本体部21と、パッド本体部21からy方向に突出する複数(本実施形態では3個)の突出端子22と、パッド本体部21からx方向に突出する吊りリード部23と、を有している。本実施形態では、駆動パッド20は、パッド本体部21、複数の突出端子22および吊りリード部23が一体に形成された単一部品である。
【0042】
パッド本体部21は、導電部材50が接続される部分である。上方から視たパッド本体部21の形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状である。本実施形態では、パッド本体部21のx方向のサイズは、導電部材50の後述する第2接続部52のx方向のサイズよりも大きい。
【0043】
複数の突出端子22はそれぞれ、パッド本体部21のy方向の両端部のうち樹脂側面62に近い方の端部からy方向に沿って延びている。複数の突出端子22は、y方向において互いに揃った状態でx方向において互いに離間して配列されている。各突出端子22の先端面は、樹脂側面62から露出している。なお、複数の突出端子22の個数は任意に変更可能である。
【0044】
吊りリード部23は、パッド本体部21のx方向の両端部のうち樹脂側面63に近い方の端部からx方向に沿って延びている。吊りリード部23の先端面は、樹脂側面63から露出している。
【0045】
図3に示すように、駆動パッド20のうち複数の突出端子22のそれぞれを含む3個の矩形状部が駆動パッド裏面20rとして樹脂裏面60rから露出している。これら駆動パッド裏面20rは、各突出端子22よりもy方向に延びている。本実施形態では、駆動パッド裏面20rは、y方向において、突出端子22からパッド本体部21のy方向の両端部のうち導電板10に近い方の端部までにわたり形成されている。
【0046】
また、駆動パッド20は、駆動パッド裏面20rから駆動パッド主面20sに向けて窪んだハーフ絶縁部24を有している。図4に示すように、ハーフ絶縁部24には、封止樹脂60が入り込んでいる。つまり、ハーフ絶縁部24のうち導電裏面10r側に向く面である絶縁裏面24rは、封止樹脂60によって覆われている。このため、図3に示すとおり、ハーフ絶縁部24は、下方から視て、封止樹脂60の樹脂裏面60rから露出していない。つまり、ハーフ絶縁部24は、樹脂裏面60rから露出した駆動パッド裏面20r以外の部分となる。このため、吊りリード部23は、ハーフ絶縁部24に含まれており、下方から視て、樹脂裏面60rから露出していない。ハーフ絶縁部24は、x方向において互いに離間して形成されている第1部分と、これら第1部分をつなぐ第2部分と、を有している。第2部分は、ハーフ絶縁部24のy方向の両端部のうち導電板10に近い方の端部に形成されている。
【0047】
図2に示すように、制御パッド30は、半導体素子40の制御電極43と電気的に接続される部品であって、半導体装置1の外部の配線基板と電気的に接続される外部端子となる部品である。つまり、半導体素子40の制御電極43は、制御パッド30を介して配線基板と電気的に接続される。制御パッド30は、導電性を有する材料からなり、たとえば金属材料からなる。本実施形態では、制御パッド30は、Cuからなる。このように、導電板10、駆動パッド20および制御パッド30は、同じ材料からなる。
【0048】
制御パッド30は、y方向において、導電板10よりも樹脂側面62の近くに配置されている。制御パッド30は、封止樹脂60のx方向の中央よりも樹脂側面64の近くに配置されている。つまり、制御パッド30は、制御電極43の近くに配置されている。これにより、ワイヤWの長さを短くできる。
【0049】
制御パッド30は、y方向において駆動パッド20と揃った状態でx方向において駆動パッド20から離間して配列されている。このように、z方向から視て、制御パッド30は、導電板10および駆動パッド20にそれぞれ隣り合うように配置されている。制御パッド30のx方向のサイズは、駆動パッド20のx方向のサイズよりも小さい。換言すると、x方向において、駆動パッド20は、制御パッド30よりも大きい。上方から視た制御パッド30の形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる略矩形状である。
【0050】
制御パッド30は、パッド本体部31と、パッド本体部31からy方向に突出する突出端子32と、パッド本体部31からx方向に突出する吊りリード部33と、を有している。本実施形態では、制御パッド30は、パッド本体部31と突出端子32と吊りリード部33とが一体に形成された単一部品である。
【0051】
y方向から視て、パッド本体部31は、制御電極43と重なる位置に配置されている。より詳細には、パッド本体部31は、x方向において、半導体素子40の制御電極43と揃った位置に配置されている。上方から視たパッド本体部31の形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状である。
【0052】
半導体素子40の制御電極43とパッド本体部31とは、ワイヤWによって接続されている。ワイヤWは、導電性の材料からなり、Au、Cu、Al等からなる。本実施形態では、ワイヤWは、ワイヤボンディングによって形成されている。このため、半導体装置1が配線基板に実装される場合、半導体素子40の制御電極43は、ワイヤWおよび制御パッド30を介して配線基板と電気的に接続される。
【0053】
突出端子32は、パッド本体部31のy方向の両端部のうち樹脂側面62に近い方の端部からy方向に沿って延びている。突出端子32の先端面は、樹脂側面62から露出している。
【0054】
吊りリード部33は、パッド本体部31のx方向の両端部のうち樹脂側面64に近い方の端部からx方向に沿って延びている。吊りリード部33の先端面は、樹脂側面64から露出している。
【0055】
図3に示すように、制御パッド30のうち突出端子32を含む矩形状部が制御パッド裏面30rとして樹脂裏面60rから露出している。制御パッド裏面30rは、突出端子32よりもy方向に延びている。本実施形態では、制御パッド裏面30rは、y方向において、突出端子32からパッド本体部31のy方向の両端部のうち導電板10に近い方の端部までにわたり形成されている。
【0056】
また、制御パッド30は、制御パッド裏面30rから制御パッド主面30sに向けて窪んだハーフ絶縁部34を有している。ハーフ絶縁部34には、封止樹脂60が入り込んでいる。つまり、ハーフ絶縁部34のうち導電裏面10r側に向く面である絶縁裏面34rは、封止樹脂60によって覆われている。このため、図3に示すとおり、ハーフ絶縁部34は、下方から視て、封止樹脂60の樹脂裏面60rから露出していない。つまり、ハーフ絶縁部34は、樹脂裏面60rから露出した制御パッド裏面30r以外の部分となる。このため、吊りリード部33は、ハーフ絶縁部34に含まれており、樹脂裏面60rから露出していない。
【0057】
図3に示す樹脂裏面60rには、導電板10の導電裏面10r、駆動パッド20の駆動パッド裏面20rおよび制御パッド30の制御パッド裏面30rがそれぞれ露出しており、半導体装置1が配線基板に実装される場合に導電裏面10r、駆動パッド裏面20rおよび制御パッド裏面30rがそれぞれ導電性接合材によって配線基板の配線に接合される。このように、本実施形態の半導体装置1は、表面実装型のパッケージである。
【0058】
図2に示すように、半導体素子40の主面側駆動電極41と駆動パッド20とは、帯状の導電部材50によって接続されている。これにより、半導体装置1が配線基板に実装される場合、半導体素子40の主面側駆動電極41は、導電部材50および駆動パッド20を介して配線基板と電気的に接続される。
【0059】
導電部材50は、導電性の材料からなり、本実施形態ではCuからなる。換言すると、導電部材50は、Cuクリップからなる。導電部材50は、たとえばCuからなる金属板をプレス加工することによって形成されている。図4に示すように、本実施形態では、導電部材50の厚さHCは、導電板10の厚さHBの厚さよりも薄く、導電板10のうちハーフ絶縁部14が形成された部分の厚さHBHの厚さよりも厚い。
【0060】
なお、導電部材50の材料は、導電性の材料であれば、Cuに限られない。一例では、導電部材50の材料は、Al(アルミニウム)であってもよい。導電部材50の厚さHCは任意に変更可能である。一例では、導電部材50の厚さHCは、導電板10の厚さHBと等しくてもよいし、導電板10の厚さHBよりも厚くてもよいし、導電板10のうちハーフ絶縁部14が形成された部分の厚さHBHの厚さと等しくてもよいし、厚さHBHよりも薄くてもよい。
【0061】
図2に示すように、上方から視て、導電部材50は、半導体素子40の素子主面40sの大部分を覆っている。導電部材50は、半導体素子40の主面側駆動電極41の全体を覆っている。導電部材50が素子主面40sを覆う面積は、主面側駆動電極41の面積よりも大きい。上方から視て、導電部材50は、主面側駆動電極41よりもx方向およびy方向にはみ出す領域を有している。
【0062】
図2に示すとおり、上方から視て、導電部材50の大部分は、半導体素子40の素子主面40sを覆っている。つまり、上方から視て、導電部材50のうち素子主面40sを覆う部分の面積は、導電部材50のうち素子主面40sからはみ出す部分の面積よりも大きい。このため、導電部材50は、上方から視て、導電部材50の重心が半導体素子40と重なるように配置されている。本実施形態では、導電部材50は、上方から視て、導電部材50の重心が半導体素子40の主面側駆動電極41に重なるように配置されている。
【0063】
図6に示すように、導電部材50は、半導体素子40(図2参照)と接続する電極側導電部の一例である第1接続部51と、駆動パッド20(図2参照)と接続するパッド側導電部の一例である第2接続部52と、第1接続部51および第2接続部52を連結する連結部53と、を有している。本実施形態では、導電部材50は、第1接続部51、第2接続部52および連結部53が一体に形成された単一部品である。図2に示すように、導電部材50には、半導体素子40の制御電極43が露出するように切欠部54が設けられている。切欠部54は、第1接続部51および連結部53にわたり形成されている。このため、上方から視た導電部材50の形状は、略L字状である。第1接続部51のx方向の大きさは、第2接続部52のx方向の大きさおよび連結部53のx方向の大きさよりも大きい。
【0064】
図4に示すように、導電部材50は、半導体素子40を覆う部分において素子主面40sと同じ方向を向く表面50sと、素子裏面40rと同じ側を向く裏面50rと、を有している。
【0065】
導電部材50の裏面50rのうち半導体素子40の主面側駆動電極41と対面する部分である接続裏面50raと半導体素子40の素子主面40sとの間には、はんだやAgペースト等の導電性接合材が介在している。つまり、導電部材50と半導体素子40とは、導電性接合材によって接合されている。本実施形態では、導電性接合材として、はんだSDが用いられている。はんだSDは、導電部材50と半導体素子40の主面側駆動電極41とを接続している。
【0066】
図6に示すように、第1接続部51は、半導体素子40の主面側駆動電極41(図5参照)と接続する部分であり、上方から主面側駆動電極41の全体を覆うように設けられている。第1接続部51は、表面50sから下方に向けて、すなわち表面50sから素子主面40sに向けて凹む凹部55が形成されている。本実施形態では、図2に示すとおり、上方から視た凹部55の形状は、上方から視た主面側駆動電極41の形状と概ね相似状となる。上方から視て、凹部55は、導電部材50の切欠部54に対応した窪み部55aが形成されている。図4に示すように、凹部55には、封止樹脂60が入り込んでいる。
【0067】
図2に示すように、連結部53は、第1接続部51のy方向の両端部のうち樹脂側面62に近い方の端部から樹脂側面62に向けて延びている部分である。上方から視て、連結部53は、半導体素子40の素子主面40sのx方向の両端部のうち樹脂側面62に近い方の端部を覆っている。上方から視て、連結部53は、半導体素子40よりも樹脂側面62に向けて延びている。
【0068】
図1および図4に示すように、第2接続部52は、連結部53のy方向の両端部のうち樹脂側面62に近い方の端部から下方に向けて屈曲し、駆動パッド20に向けて延びている部分である。第2接続部52は、樹脂側面62に向かうにつれて下方に向かって斜めに延びている。図4に示すように、第2接続部52の先端部は、はんだやAgペースト等のペースト状の導電性接合材によって駆動パッド20に接合されている。本実施形態では、導電性接合材として、はんだSDが用いられている。これにより、導電部材50と駆動パッド20とが電気的に接続されている。
【0069】
次に、第1接続部51の裏面50r側の構成について説明する。
図7に示すように、第1接続部51は、凹部55(図6参照)と対応する部分には、裏面50rから突出する突出部56が設けられている。下方から視た突出部56の外郭形状は、上方から視た凹部55の外郭形状と同じである。突出部56のうち主面側駆動電極41(図5参照)と対面する面は、接続裏面50raを構成している。
【0070】
図7および図8に示すように、突出部56には、複数(本実施形態では9個)の溝57が形成されている。換言すると、接続裏面50raには、複数の溝57が形成されている。複数の溝57はそれぞれ、半導体素子40と駆動パッド20との配列方向であるy方向に延びている。複数の溝57は、z方向から視て、半導体素子40と駆動パッド20との配列方向と直交する方向であるx方向において互いに離間して配列されている。本実施形態では、z方向から視て、複数の溝57が形成される領域は、突出部56と等しい。つまり、複数の溝57は、y方向において突出部56の全体にわたり形成されている。このため、本実施形態では、各溝57のy方向の両端部57d,57eはそれぞれ、y方向に向けて開口している。ここで、両端部57d,57eは、第1端部57dおよび第2端部57eとも称する。第1端部57dは、y方向において各溝57のうち第2接続部52に近い方の端部である。第2端部57eは、y方向において各溝57のうち第1端部57dとは反対側の端部である。
【0071】
複数の溝57は、z方向に向けて開口している。図4に示すように、導電部材50が半導体素子40の主面側駆動電極41に接続されている状態では、複数の溝57のそれぞれは、下方に向けて開口している。換言すると、複数の溝57のそれぞれは、主面側駆動電極41に向けて開口している。
【0072】
図7および図8に示すように、凹部55および突出部56は、プレス加工によって形成されている。複数の溝57は、エッチングやプレス加工によって形成されている。一例では、複数の溝57をエッチングによって形成した後、プレス加工によって凹部55および突出部56を形成する。また一例では、プレス加工によって凹部55および突出部56を形成した後、プレス加工によって複数の溝57を形成する。また一例では、プレス加工によって凹部55、突出部56および複数の溝57を同時に形成する。
【0073】
図9に示すように、各溝57は、y方向の一方から他方に向かうにつれて溝57の幅Wdが大きくなる。ここで、溝57の幅Wdは、z方向から視て溝57が延びる方向であるy方向と直交するx方向の溝57の大きさである。一例では、各溝57は、第2端部57eから第1端部57dに向かうにつれて溝57の幅Wdが徐々に大きくなる。より詳細には、各溝57は、y方向の一方の端縁から他方の端縁に向かうにつれて溝57の幅Wdが徐々に大きくなる。つまり、各溝57は、y方向の全体にわたり溝57の幅Wdが徐々に変化するように形成されている。本実施形態では、各溝57は、溝57のy方向の両端縁のうち樹脂側面63(図2参照)の近くの端縁から樹脂側面64(図2参照)の近くの端面に向かうにつれて溝57の幅Wdが徐々に大きくなる。つまり、各溝57は、x方向のうち主面側駆動電極41から駆動パッド20に向かうにつれて、溝57の幅Wdが徐々に大きくなる。
【0074】
本実施形態では、z方向から視て、突出部56は、突出部56のx方向の大きさが突出部56のy方向の大きさよりも大きくなるように形成されている。換言すると、本実施形態では、z方向から視て、複数の溝57が形成される領域は、その領域のx方向の大きさが同領域のy方向の大きさよりも大きくなるように形成されている。
【0075】
突出部56は、y方向のサイズが大きい第1突出領域56Aと、y方向のサイズが小さい第2突出領域56Bとに区分できる。本実施形態では、第1突出領域56Aには6個の溝57が形成されており、第2突出領域56Bには3個の溝57が形成されている。
【0076】
本実施形態では、x方向の両端の溝57を除く7個の溝57において、溝57の幅Wdの最小値Wd1は、互いに等しい。ここで、上記7個の溝57の幅Wdの最小値Wd1のずれ量が所定の溝57の幅Wdの最小値Wd1の10%以内であれば、上記7個の溝57における溝57の幅Wdの最小値Wd1が互いに等しいといえる。
【0077】
上記7個の溝57における溝57の幅Wdの最小値Wd1は、たとえば0.05mm以上0.5mm以下の範囲である。好ましくは、上記7個の溝57における溝57の幅Wdの最小値Wd1は、0.05mm以上0.1mm以下の範囲である。
【0078】
第1突出領域56Aの6個の溝57のうち第2突出領域56Bと隣り合う溝57以外の5個の溝57において、溝57の幅Wdの最大値Wd2は、互いに等しい。ここで、上記5個の溝57の幅Wdの最大値Wd2のずれ量が所定の溝57の幅Wdの最大値Wd2の10%以内であれば、上記5個の溝57における溝57の幅Wdの最大値Wd2が互いに等しいといえる。
【0079】
上記5個の溝57における溝57の幅Wdの最大値Wd2は、たとえば0.01mm以上1.0mm以下の範囲である。好ましくは、上記5個の溝57における溝57の幅Wdの最大値Wd2は、0.01mm以上0.2mm以下である。
【0080】
第1突出領域56Aの6個の溝57のうち第2突出領域56Bと隣り合う溝57は、第1突出領域56Aのうち第2突出領域56Bの近くの端縁を含むため、その溝57における溝57の幅Wdの最大値Wd2は、第1突出領域56Aの他の溝57における溝57の幅Wdの最大値Wd2よりも小さくなる。
【0081】
第2突出領域56Bの3個の溝57のx方向の長さは、第1突出領域56Aの6個の溝57のx方向の長さよりも短い。このため、第2突出領域56Bの各溝57における溝57の幅Wdの最大値Wd2は、第1突出領域56Aの各溝57における溝57の幅Wdの最大値Wd2よりも小さくなる。
【0082】
本実施形態では、z方向から視た突出部56のサイズは、z方向から視た半導体素子40の主面側駆動電極41のサイズ(図9の二点鎖線)を一回り小さくしたサイズとなる。このため、本実施形態では、各溝57が延びる方向である各溝57のy方向の長さは、主面側駆動電極41のy方向の長さよりも短くなる。
【0083】
図9から分かるとおり、z方向から視て、突出部56は、主面側駆動電極41の内側に配置されている。つまり、z方向から視て、各溝57は、主面側駆動電極41からy方向にはみ出さず、主面側駆動電極41内に形成されている。このため、各溝57の両端部57d,57eはそれぞれ、主面側駆動電極41に向けて開口している。本実施形態では、各溝57の両端部57d,57eはそれぞれ、y方向に開口するとともに主面側駆動電極41に向けて開口している。
【0084】
図10に示すように、溝57は、z方向において主面側駆動電極41から遠い端面となる底面57bと、底面57bから接続裏面50raに向けてz方向に延びている側面57cと、を有している。本実施形態では、溝57の底面57bは、導電部材50の裏面50rよりも主面側駆動電極41の近くに位置している。また図9に示すように、本実施形態では、各溝57の一対の側面57cのテーパ角度は、互いに等しい。
【0085】
突出部56には、z方向において半導体素子40の主面側駆動電極41に近い端面となり、x方向において隣り合う溝57の間の面である対向面57aが形成されている。対向面57aは、突出部56のうち主面側駆動電極41と対面する面としての接続裏面50raを構成している。つまり、各溝57は、接続裏面50ra(対向面57a)から導電部材50の表面50sに向けて凹んでいる。
【0086】
図10に示すとおり、溝57の深さは、突出部56のz方向のサイズよりも浅い(小さい)。一例では、溝57の深さは、突出部56のz方向のサイズの1/2よりも浅い。また一例では、溝57の深さは、第1接続部51のうち突出部56以外の部分のz方向のサイズの1/2よりも浅い。なお、溝57の深さは、突出部56のz方向のサイズの約1/2であってもよいし、突出部56のz方向のサイズの1/2よりも深くてもよい。溝57の深さは、第1接続部51のうち突出部56以外の部分のz方向のサイズの約1/2であってもよいし、第1接続部51のうち突出部56以外の部分のz方向のサイズの1/2よりも深くてもよい。
【0087】
このように、溝57の深さは任意に変更可能である。つまり、z方向において、溝57の底面57bが導電部材50の裏面50rと同じ位置であってもよいし、溝57の底面57bが導電部材50の裏面50rよりも表面50sの近くに位置していてもよい。ここで、溝57の深さは、対向面57aから底面57bまでのz方向のサイズである。突出部56のz方向のサイズは、導電部材50の接続裏面50ra(対向面57a)から裏面50rまでのz方向のサイズである。
【0088】
導電部材50と半導体素子40との間に介在するはんだSDは、各溝57に入り込んでいる。このため、はんだSDは、突出部56の接続裏面50ra(対向面57a)、各溝57の底面57bおよび側面57cにそれぞれ接触している。
【0089】
(半導体装置の製造方法)
図11図17を参照して、本実施形態の半導体装置1の製造方法について説明する。
図11に示すように、半導体装置1の製造方法は、金属板からなる基材800を用意する工程を備えている。基材800は、図1の導電板10、駆動パッド20および制御パッド30を構成する部材である。本実施形態では、基材800は、Cuからなる。
【0090】
基材800には、たとえばプレス加工によって基板部810、駆動パッド部820および制御パッド部830がそれぞれ形成されている。基板部810、駆動パッド部820および制御パッド部830はそれぞれ、吊りリード813,823,833および突出端子812,822,832によって基材800の枠801に繋がっている。
【0091】
基板部810は、導電板10を構成する部分である。基板部810を枠801に繋ぐ突出端子812および吊りリード813はそれぞれ、図2の突出端子12および吊りリード部13を構成する部分である。駆動パッド部820は、駆動パッド20を構成する部分である。駆動パッド部820を枠801に繋ぐ突出端子822および吊りリード823はそれぞれ、図2の突出端子22および吊りリード部23を構成する部分である。制御パッド部830は、制御パッド30を構成する部分である。制御パッド部830を枠801に繋ぐ突出端子832および吊りリード833はそれぞれ、図2の突出端子32および吊りリード部33を構成する部分である。
【0092】
図12は、基材800の裏面を示している。図12に示すように、基材800を用意する工程では、基材800の裏面には、ハーフ絶縁部814,824,834が形成される。ハーフ絶縁部814は基板部810に形成されており、ハーフ絶縁部824は駆動パッド部820に形成されており、ハーフ絶縁部834は制御パッド部830に形成されている。つまり、ハーフ絶縁部814は導電板10のハーフ絶縁部14を構成する部分であり、ハーフ絶縁部824は駆動パッド20のハーフ絶縁部24を構成する部分であり、ハーフ絶縁部834は制御パッド30のハーフ絶縁部34を構成する部分である。
【0093】
図13に示すように、半導体装置1の製造方法は、半導体素子40を実装する工程を備えている。半導体素子40の実装は、フリップチップボンディング(FCB:Flip Chip Bonding)によって行う。一例では、まず、基板部810における半導体素子40が実装される部分にはんだSDが塗布される。次に、たとえばフリップチップボンダを用いて半導体素子40を基板部810のはんだSD上に載置する。この場合、半導体素子40の裏面側駆動電極42(図10参照)がはんだSDに接触するように、半導体素子40をはんだSD上に載置する。これにより、半導体素子40ははんだSDに仮付けされる。
【0094】
図14に示すように、半導体装置1の製造方法は、導電部材50を半導体素子40および駆動パッド部820に実装する工程を備えている。導電部材50の実装は、フリップチップボンディングによって行う。一例では、まず、半導体素子40の主面側駆動電極41および駆動パッド部820における導電部材50が載置される部分のそれぞれにはんだSDが塗布される。次に、たとえばフリップチップボンダを用いて導電部材50を主面側駆動電極41のはんだSD上および駆動パッド部820のはんだSD上に載置する。これにより、導電部材50は、半導体素子40および駆動パッド部820に仮付けされる。
【0095】
次に、リフロー処理によって、各はんだSDをそれぞれ液相状態とした後、冷却によって各はんだSDを固化する。これにより、半導体素子40と基板部810とが接続され、導電部材50と半導体素子40および駆動パッド部820とが接続される。
【0096】
図15に示すように、半導体装置1の製造方法は、ワイヤWを形成する工程を備えている。ワイヤWは、導電性を有する材料からなり、たとえばAu、Cu、Alなどからなる。ワイヤWは、たとえばワイヤボンディングによって形成される。ワイヤボンディング装置を用いて、たとえば半導体素子40の制御電極43にまずワイヤWの第1端部を接続し、次に制御パッド部830にワイヤWの第2端部を接続する。
【0097】
図16に示すように、半導体装置1の製造方法は、樹脂層860を形成する工程を備えている。樹脂層860は、図1に示す封止樹脂60となる部材である。樹脂層860は、たとえば黒色のエポキシ樹脂からなる。たとえば、トランスファ成型によって樹脂層860を形成する。
【0098】
図17に示すように、半導体装置1の製造方法は、基板部810、駆動パッド部820、制御パッド部830および樹脂層860を切断する工程を備えている。一例では、樹脂層860にダイシングテープ(図示略)を貼付し、図17に示す切断線CLに沿ってたとえばダイシングブレードによって基板部810、駆動パッド部820、制御パッド部830および樹脂層860を切断する。これにより、導電板10、駆動パッド20、制御パッド30および封止樹脂60が形成される。この場合、導電板10の突出端子12の先端面が樹脂側面61から露出し、吊りリード部13の先端面が樹脂側面63,64から露出する。駆動パッド20の突出端子22の先端面が樹脂側面62から露出し、吊りリード部23の先端面が樹脂側面63から露出する。制御パッド30の突出端子32の先端面が樹脂側面62から露出し、吊りリード部33の先端面が樹脂側面64から露出する。以上の工程を経て、半導体装置1が製造される。
【0099】
(作用)
図18図20を参照して、本実施形態の半導体装置1の作用について説明する。
図18に示すように、半導体装置1の製造方法のうち導電部材50を半導体素子40の主面側駆動電極41および駆動パッド部820に接続する工程において、はんだSDによって導電部材50を駆動パッド20および主面側駆動電極41に仮付けする場合、導電部材50の自重によって第2接続部52とはんだSD(または駆動パッド20)との接触点を支点として第1接続部51が下方に移動するように傾く。より詳細には、導電部材50の重心が主面側駆動電極41と重なる位置となるため、導電部材50の自重に起因して第1接続部51が下方、すなわち第1接続部51のy方向の先端部が主面側駆動電極41に向かうようなモーメントが生じる。
【0100】
そして導電部材50の第1接続部51がはんだSDを介して半導体素子40のy方向の両端部のうち樹脂側面61に近い方の端部を下方に押すため、半導体素子40のy方向の両端部のうち樹脂側面61に近い方の端部が導電板10に向けて移動する。つまり、半導体素子40は、樹脂側面62から樹脂側面61に向かうにつれて導電板10に近づくように傾いて配置される。
【0101】
また図18に示すように、本実施形態では、導電部材50の傾きが半導体素子40の傾きよりも大きいため、導電部材50と半導体素子40とのz方向の間の距離は、樹脂側面61から樹脂側面62に向かうにつれて大きくなる。
【0102】
一方、図19に示すように、リフロー処理によって、はんだSDには気泡Sbvが発生することがある。この気泡Sbvは、ボイドの原因となるため、はんだSDから外部に放出させる必要がある。このため、はんだSDに気泡Sbvが発生した場合、気泡SbvははんだSDのうち樹脂側面62の近くの端部から放出されることが好ましい。また、気泡Sbvは、浮力によってはんだSD内において上方に移動することが知られている。
【0103】
このような点に鑑みて、本実施形態では、導電部材50の接続裏面50raには、y方向に延びる複数の溝57が形成されている。各溝57の幅Wdは、y方向において第1接続部51のうち駆動パッド20とは反対側の部分から駆動パッド20に向かうにつれて大きくなる。これにより、図20に示すように、気泡Sbvが浮力によって上方に向かう場合に、矢印Y1で示すように、各溝57によって溝57の幅Wdが広くなる方に向けて気泡Sbvを移動させる。つまり、気泡Sbvの浮力を各溝57によって溝57の幅Wdが広くなる方(溝57が延びる方向)に向けて移動する力に変換する。これにより、気泡Sbvは溝57の第1端部57d(図19参照)に向けて移動する。溝57の第1端部57dは、y方向に開口しているため、図19に示すように、気泡Sbvは、溝57の第1端部57dのy方向の端縁から駆動パッド20に向けて放出される。これにより、主面側駆動電極41と導電部材50との間のボイドの発生を抑制できる。
【0104】
(効果)
本実施形態の半導体装置1によれば、以下の効果が得られる。
(1)半導体装置1は、半導体素子40の素子主面40sに形成された主面側駆動電極41に、はんだSDによって接続された帯状の導電部材50を備えている。導電部材50は、主面側駆動電極41と対面する接続裏面50raを有している。接続裏面50raには、複数の溝57が形成されている。この構成によれば、複数の溝57にはんだSDが入り込むことによって、導電部材50とはんだSDとの接合面積が複数の溝57が形成されていない導電部材とはんだSDとの接合面積よりも大きくなる。これにより、半導体素子40の熱からはんだSDを介して導電部材50に移動しやすくなるため、半導体素子40から導電部材50への放熱性能を向上できる。
【0105】
(2)複数の溝57は、x方向において互いに離間して配列されており、y方向に沿って延びている。各溝57の両端部57d,57eはy方向において開口している。この構成によれば、はんだSDに発生した気泡Sbvが複数の溝57によってy方向に向けて移動し、開口している両端部57d,57eから放出される。これにより、はんだSDのうち主面側駆動電極41と導電部材50との間のボイドの発生を抑制できるため、半導体素子40から導電部材50への放熱性能の低下および半導体素子40と導電部材50との接合強度の低下をそれぞれ抑制できる。
【0106】
(3)複数の溝57の幅Wdは、溝57の延びる方向である溝57の長さ方向の一方(溝57の第2端部57e側)から他方(溝57の第1端部57d側)に向かうにつれて大きくなる。この構成によれば、はんだSDに発生した気泡Sbvを溝57の長さ方向の一方(溝57の第2端部57e側)から他方(溝57の第1端部57d側)に向けて移動させることができる。したがって、気泡Sbvを特定方向に案内することができる。
【0107】
(4)複数の溝57の幅Wdは、溝57の長さ方向の一方(溝57の第2端部57e側)の端縁から他方(溝57の第1端部57d側)の端縁に向かうにつれて徐々に大きくなる。この構成によれば、はんだSDに発生した気泡Sbvが溝57の長さ方向のどの位置に位置していても、その気泡Sbvを溝57の長さ方向の他方(溝57の第1端部57d側)の端縁に移動させることができる。
【0108】
(5)上方から視て、導電部材50は、導電部材50の重心が半導体素子40の主面側駆動電極41と重なるように設けられている。この構成によれば、上記作用において説明したとおり、導電部材50の第1接続部51が下方に向けて傾くため、導電部材50と主面側駆動電極41とのz方向の間の距離が樹脂側面62に向けて大きくなる。このため、導電部材50を半導体素子40および駆動パッド部820に実装する工程において、導電部材50と主面側駆動電極41との間のはんだSDに発生する気泡Sbvは、はんだSDのうち駆動パッド部820に向けて移動しやすくなる。そして、各溝57は、気泡SbvをはんだSDのうち駆動パッド部820の近くに移動させるように構成されているため、開口している第1端部57dから気泡Sbvを効率よく放出できる。
【0109】
加えて、たとえば溝57の幅Wdよりも小さい気泡Sbvが溝57に入り込んだとしても、溝57の底面57bに接触した気泡Sbvの浮力が底面57bの延びる方向のうち駆動パッド部820に向けて移動する力に変換されるため、気泡Sbvを駆動パッド部820の近くに移動しやすくなる。
【0110】
(6)複数の溝57の幅Wdは、y方向において樹脂側面61から樹脂側面62に向かうにつれて大きくなる。つまり、複数の溝57の幅Wdは、y方向において溝57の第2端部57e側から第1端部57d側に向かうにつれて大きくなる。この構成によれば、導電部材50を半導体素子40および駆動パッド部820に実装する工程において、はんだSDに発生した気泡Sbvは、溝57の第2端部57e側から第1端部57d側(駆動パッド部820側)に向けて移動する。そして、第1端部57dに移動した気泡Sbvは、第1端部57dがy方向に開口しているため、第1端部57dから駆動パッド部820に向けて放出されやすくなる。したがって、はんだSDのうち接続裏面50raと主面側駆動電極41との間のボイドの発生を抑制できる。
【0111】
(7)複数の溝57の幅Wdは、複数の溝57のy方向の両端縁のうち樹脂側面61に近い方の端縁から樹脂側面62に近い方の端縁に向かうにつれて大きくなる。つまり、複数の溝57の幅Wdは、y方向において溝57の第2端部57eの端縁から第1端部57dの端縁に向かうにつれて徐々に大きくなる。この構成によれば、導電部材50を半導体素子40および駆動パッド部820に実装する工程において、溝57のうちy方向のどの位置に気泡Sbvが位置していても、その気泡Sbvは溝57の第2端部57e側から第1端部57d側(駆動パッド部820側)に向けて移動する。そして、第1端部57dの端縁に移動した気泡Sbvは、第1端部57dがy方向に開口しているため、第1端部57dから駆動パッド部820に向けて放出される。したがって、はんだSDのうち接続裏面50raと主面側駆動電極41との間のボイドの発生を抑制できる。
【0112】
(8)複数の溝57の幅Wdの最小値Wd1の範囲は、0.05mm以上0.5mm以下であり、複数の溝57の幅Wdの最大値Wd2の範囲は、0.01mm以上1.0mm以下である。この構成によれば、はんだSDに発生した気泡Sbvを溝57の第1端部57d側(駆動パッド部820側)に移動させやすくなる。そして各溝57の第1端部57dがy方向に開口していることによって、気泡Sbvが第1端部57dから駆動パッド部820に向けて放出される。したがって、はんだSDのうち接続裏面50raと主面側駆動電極41との間のボイドの発生を抑制できる。
【0113】
(9)複数の溝57の幅Wdの最小値Wd1の範囲は、0.05mm以上0.1mm以下であり、複数の溝57の幅Wdの最大値Wd2の範囲は、0.01mm以上0.2mm以下である。この構成によれば、はんだSDに発生した気泡Sbvを溝57の第1端部57d側(駆動パッド部820側)に一層移動させやすくなる。そして各溝57の第1端部57dがy方向に開口していることによって、気泡Sbvが第1端部57dから駆動パッド部820に向けて放出される。したがって、はんだSDのうち接続裏面50raと主面側駆動電極41との間のボイドの発生を抑制できる。
【0114】
(10)突出部56の接続裏面50ra(対向面57a)は、導電部材50の裏面50rよりも半導体素子40の主面側駆動電極41の近くに位置している。この構成によれば、各溝57と主面側駆動電極41とが近接した場合でも各溝57のy方向の端縁がy方向に開口する。このため、はんだSDに発生した気泡Sbvが溝57によって樹脂側面62に向けて移動した場合に各溝57の端縁において気泡Sbvの移動が妨げられることを抑制でき、各溝57の端縁から樹脂側面62に向けて放出される。したがって、導電部材50を半導体素子40および駆動パッド部820に実装する工程において、はんだSDのうち接続裏面50raと主面側駆動電極41との間のボイドの発生を抑制できる。
【0115】
(11)各溝57の底面57bは、導電部材50の裏面50rよりも半導体素子40の主面側駆動電極41の近くに位置している。この構成によれば、各溝57と主面側駆動電極41とが近接した場合でも各溝57のy方向の端縁がz方向の全体にわたりy方向に開口する。このため、導電部材50を半導体素子40および駆動パッド部820に実装する工程において、はんだSDに発生した気泡Sbvが溝57によって駆動パッド部820に向けて移動した場合に各溝57の端縁において気泡Sbvの移動が妨げられることを一層抑制でき、各溝57の端縁から駆動パッド部820に向けて放出される。したがって、導電部材50を半導体素子40および駆動パッド部820に実装する工程において、はんだSDのうち接続裏面50raと主面側駆動電極41との間のボイドの発生を抑制できる。
【0116】
(12)導電部材50は、導電部材50の表面50sから半導体素子40の主面側駆動電極41に向けて凹む凹部55を有している。この構成によれば、凹部55を有していない導電部材と比較して、導電部材50と封止樹脂60との接合面積が増加するため、導電部材50と封止樹脂60とが剥離しにくくなる。
【0117】
(13)各溝57のy方向の長さは、半導体素子40の主面側駆動電極41のy方向の長さよりも短い。この構成によれば、はんだSDの体積が小さくなるため、気泡Sbvの発生を抑制できる、または気泡Sbvの数を低減できる。
【0118】
(14)導電部材50の第1接続部51のx方向の大きさは、第2接続部52および連結部53のx方向の大きさよりも大きい。この構成によれば、第1接続部51は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる主面側駆動電極41の全体を覆うことができる。このため、第1接続部51の接続裏面50raがはんだSDによって主面側駆動電極41の大部分と接合できる。したがって、半導体素子40から導電部材50への放熱性能を向上できる。
【0119】
(15)駆動パッド20のx方向の大きさは、制御パッド30のx方向の大きさよりも大きい。この構成によれば、導電部材50の第2接続部52のx方向の大きさを大きくすることができる。したがって、半導体素子40の主面側駆動電極41と駆動パッド20との間の導電経路のインダクタンスを低減できる。
【0120】
(16)導電部材50は、Cuからなる。この構成によれば、導電部材50をAlから構成される場合や金属粉を混合した樹脂材料から構成される場合と比較して、導電部材50自体の熱伝導率が高くなる。したがって、半導体素子40から導電部材50への放熱性能を向上できる。
【0121】
(17)導電板10は、Cuからなる。この構成によれば、導電板10をAlから構成される場合や金属粉を混合した樹脂材料から構成される場合と比較して、導電板10自体の熱伝導率が高くなる。したがって、半導体素子40から導電板10への放熱性能を向上できる。
【0122】
(18)はんだSDは、製造においてはんだペーストが使用されることが多く、線はんだと比較して、リフロー処理時において気泡Sbvが発生しやすい。このような状況において、本実施形態の導電部材50を用いることによって、気泡Sbvを溝57の第1端部57dから効率的に放出できるため、はんだSDとしてはんだペーストを用いたとしても、半導体素子40から導電部材50への放熱性能の低下を抑制できる。
【0123】
(19)複数の溝57が形成される領域は、複数の溝57の配列方向であるx方向の大きさが溝57の長さ方向であるy方向の大きさよりも大きくなるように形成されている。この構成によれば、溝57の数を多くすることができるため、気泡Sbvが溝57によって第1端部57dから放出する可能性が高くなる。
【0124】
(20)導電板10の導電裏面10rは、封止樹脂60の樹脂裏面60rから露出している。この構成によれば、半導体素子40の熱が導電板10を介して半導体装置1の外部に放出しやすくなる。したがって、半導体素子40の温度が過度に高くなることを抑制できる。
【0125】
[変更例]
上記実施形態は本開示に関する半導体装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に関する半導体装置は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、上記実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または上記実施形態に新たな構成を付加した形態である。また、以下の各変更例は、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わせることができる。以下の各変更例において、上記実施形態と共通する部分については、上記実施形態と同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。
【0126】
・複数の溝57のy方向の長さ、つまり各溝57が延びる方向における各溝57の長さは任意に変更可能である。要するに、はんだSDに発生した気泡SbvがはんだSDの外側に向けて移動するように各溝57の長さが設定されていればよい。一例では、図21に示すように、第1突出領域56Aの各溝57は、連結部53のy方向の両端部のうち第2接続部52に近い方の端部まで延びていてもよい。これにより、図22に示すように、各溝57のy方向の長さは、半導体素子40の主面側駆動電極41のy方向の長さよりも長くなる。図示された例においては、各溝57の第2端部57eは、主面側駆動電極41のy方向の両端部のうち連結部53から遠い方の端部よりもy方向において連結部53の近くに位置している。各溝57の第1端部57dは、主面側駆動電極41のy方向の両端部のうち連結部53に近い方の端部よりもy方向において連結部53の近くに位置している。このため、はんだSDのy方向の両端部のうち連結部53に近い方の端部は、主面側駆動電極41から各溝57に向かうにつれて広がるように形成されている。
【0127】
この構成によれば、はんだSDによる主面側駆動電極41と各溝57との接合面積が増加するため、主面側駆動電極41と導電部材50との接合強度と、主面側駆動電極41から導電部材50への放熱性能とを向上させることができる。
【0128】
なお、第2突出領域56Bの各溝57の長さについても任意に変更可能である。一例では、第2突出領域56Bの各溝57の第1端部57dは、主面側駆動電極41のy方向の両端部のうち連結部53に近い方の端部よりもy方向において連結部53の近くに位置してもよい。この構成によれば、はんだSDによる主面側駆動電極41と第2突出領域56Bの各溝57との接合面積がさらに増加するため、主面側駆動電極41と導電部材50との接合強度と、主面側駆動電極41から導電部材50への放熱性能とを一層向上させることができる。
【0129】
また、第2突出領域56Bの各溝57は、第1接続部51のy方向の両端縁のうち連結部53に近い方の端縁まで延びていてもよい。この構成によれば、はんだSDによる主面側駆動電極41と第2突出領域56Bの各溝57との接合面積がさらに増加するため、主面側駆動電極41と導電部材50との接合強度と、主面側駆動電極41から導電部材50への放熱性能とを一層向上させることができる。
【0130】
また、各溝57の第2端部57eは、主面側駆動電極41のy方向の両端部のうち連結部53から遠い方の端部よりもy方向において連結部53から遠くに位置してもよい。この構成によれば、はんだSDによる主面側駆動電極41と第1突出領域56Aおよび第2突出領域56Bの各溝57との接合面積がさらに増加するため、主面側駆動電極41と導電部材50との接合強度と、主面側駆動電極41から導電部材50への放熱性能とを一層向上させることができる。
【0131】
また、各溝57は、導電部材50の第1接続部51のy方向の両端縁のうち連結部53とは反対側の端縁まで形成されていてもよい。すなわち、第1突出領域56Aの各溝57は、導電部材50の第1接続部51のy方向の両端縁のうち連結部53とは反対側の端縁から連結部53のy方向の両端部のうち第2接続部52に近い方の端部まで形成されていてもよい。また第2突出領域56Bの各溝57は、第1接続部51のy方向の両端縁のうち連結部53に近い方の端縁まで形成されていてもよい。すなわち、第2突出領域56Bの各溝57は、導電部材50の第1接続部51のy方向の両端縁のうち連結部53とは反対側の端縁から第1接続部51のy方向の両端縁のうち連結部53に近い方の端縁まで形成されていてもよい。
【0132】
・第2突出領域56Bの複数の溝57のうち少なくとも1つの溝57を省略してもよい。第2突出領域56Bの全ての溝57を省略した場合、突出部56のうち第2突出領域56Bに対応する部分を省略してもよい。
【0133】
・各溝57の幅Wdは、y方向の両端部のうち連結部53に近い方の端部に向かうにつれて大きくなっていたが、これに限られず、任意に変更可能である。一例では、各溝57の幅Wdは、y方向の両端部のうち連結部53に近い方の端部から連結部53から遠い方の端部に向かうにつれて大きくなってもよい。また別例では、各溝57の幅Wdは、各溝57が延びる方向(y方向)において一定である。
【0134】
・上記実施形態では、z方向において、複数の溝57の底面57bは、導電部材50の裏面50rよりも半導体素子40の近くに位置していたが、これに限られない。複数の溝57の底面57bのz方向の位置は任意に変更可能である。一例では、図23および図24に示すように、複数の溝57は、導電部材50の裏面50rから導電部材50の表面50sに向けて凹むように形成されていてもよい。この場合、突出部56は省略されている。このため、図24に示すように、導電部材50の裏面50rは、実施形態の導電部材50の裏面50rよりも半導体素子40の主面側駆動電極41に近くなる。また各溝57には、はんだSDが入り込んでいる。図23に示すように、各溝57の幅Wdは、第2端部57eから第1端部57dに向けて大きくなる。各溝57の両端部57d,57eはそれぞれ、y方向に開口していない。一方、各溝57の両端部57d,57eはそれぞれ、z方向に開口している。
【0135】
図25に示すように、導電部材50が半導体素子40の主面側駆動電極41に接続された状態では、各溝57の両端部57d,57eが主面側駆動電極41(素子主面40s)に向けて開口している。各溝57の第1端部57dは、主面側駆動電極41よりもy方向において第2接続部52の近くまで延びている。つまり、第1端部57dは、主面側駆動電極41よりも外方において素子主面40sに向けて開口している。このため、はんだSDは、主面側駆動電極41のy方向の両端縁のうち樹脂側面62に近い方の端縁よりも樹脂側面62の近くにはみ出している。
【0136】
この構成によれば、はんだSDに含まれる気泡Sbv(図示略)は、各溝57によって溝57の第1端部57dに向けて移動する。第1端部57dは主面側駆動電極41よりもy方向において第2接続部52の近くまで延びているため、溝57によってy方向に移動する気泡Sbvは、主面側駆動電極41のy方向の両端縁のうち連結部53に近い方の端縁からy方向において連結部53に近い方まで移動する。そして第1端部57dの端縁まで移動した気泡Sbvは、第1端部57dの端縁から放出される。このため、各溝57が主面側駆動電極41の内側に形成される構成と比較して、はんだSDに含まれる気泡Sbvが主面側駆動電極41の外部に放出されやすい。
【0137】
なお、図23図25の変更例において、各溝57の幅Wdは、各溝57の第1端部57dから第2端部57eに向かうにつれて大きくなってもよい。この場合、各溝57の第2端部57eが主面側駆動電極41よりも連結部53から遠くとなるように各溝57が形成されることが好ましい。一例では、各溝57の第2端部57eが第1接続部51のy方向の両端縁のうち連結部53から遠い方の端縁まで形成されてもよい。また、図23図25の変更例において、各溝57の幅Wdは、溝57の延びる方向(y方向)において一定であってもよい。
【0138】
・導電部材50は、導電部材50の厚さ方向(z方向)において導電部材50を貫通する貫通孔58を有していてもよい。一例では、図26に示すように、貫通孔58は、複数の溝57の配列方向であるx方向において、複数の溝57に跨って形成されている。図26では、上記実施形態の導電部材50に貫通孔58が追加された導電部材50を示している。図示された例においては、貫通孔58は、第1突出領域56Aのy方向の中央に設けられている。
【0139】
第1突出領域56Aの複数の溝57のうち第2端部57eを含む部分は、z方向から視て、貫通孔58に向けて開口する第3端部57fを有している。第3端部57fは、y方向に向けて開口している。また図示していないが、導電部材50が半導体素子40の主面側駆動電極41(ともに図4参照)に接続された状態では、第3端部57fは、主面側駆動電極41に向けて開口している。
【0140】
第1突出領域56Aの複数の溝57のうち第1端部57dを含む部分は、z方向から視て、貫通孔58に向けて開口する第4端部57gを有している。第4端部57gは、y方向に向けて開口している。また図示していないが、導電部材50が半導体素子40の主面側駆動電極41に接続された状態では、第4端部57gは、主面側駆動電極41に向けて開口している。
【0141】
この構成によれば、第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域の各溝57によって、はんだSDに含まれる気泡Sbv(図26では図示略)を第3端部57f(貫通孔58)に向けて移動させる。この各溝57の第3端部57fは、y方向に開口しているため、第3端部57fに移動した気泡Sbvは貫通孔58に移動しやすい。これにより、気泡Sbvは、貫通孔58を介して外部に放出される。また、第1突出領域56Aのうち第1端部57dから第4端部57gまでの領域では、その領域に設けられた各溝57によって、はんだSDに含まれる気泡Sbvを第1端部57dに向けて移動させる。この各溝57の第1端部57dは、y方向に開口しているため、第1端部57dに移動した気泡Sbvは連結部53に移動しやすい。これにより、気泡Sbvは、連結部53に向けて移動して外部に放出される。
【0142】
また別例では、図27に示すように、第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域における各溝57の幅Wdの最小値Wd1が、第1突出領域56Aのうち第1端部57dから第4端部57gまでの領域における各溝57の幅Wdの最大値Wd2よりも小さくてもよい。一例では、第1突出領域56Aのうち第1端部57dから第4端部57gまでの領域における各溝57の幅Wdの最小値Wd1は、第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域における各溝57の幅Wdの最小値Wd1と等しい。
【0143】
なお、第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域における各溝57の幅Wdの最小値Wd1は、任意に変更可能である。第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域における各溝57の幅Wdの最小値Wd1は、第1突出領域56Aのうち第1端部57dから第4端部57gまでの領域における各溝57の幅Wdの最小値Wd1と異なってもよい。つまり、第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域における各溝57の幅Wdの最小値Wd1は、第1突出領域56Aのうち第1端部57dから第4端部57gまでの領域における各溝57の幅Wdの最小値Wd1よりも大きくてもよいし、小さくてもよい。
【0144】
また別例では、図28に示すように、第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域における各溝57の一対の側面57cのテーパ角度と、第1突出領域56Aのうち第1端部57dから第4端部57gまでの領域における各溝57の一対の側面57cのテーパ角度とを互いに異ならせてもよい。一例では、第1突出領域56Aのうち第1端部57dから第4端部57gまでの領域における各溝57の一対の側面57cのテーパ角度は、第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域における各溝57の一対の側面57cのテーパ角度よりも大きい。
【0145】
図26図28の変更例において、貫通孔58のy方向の位置は任意に変更可能である。貫通孔58は、第1突出領域56Aのy方向の中央よりも溝57の第1端部57dに近い領域に設けられてもよいし、第1突出領域56Aのy方向の中央よりも溝57の第2端部57eに近い領域に設けられてもよい。
【0146】
図26図28の変更例において、貫通孔58のx方向の長さは任意に変更可能である。たとえば貫通孔58のx方向の長さが溝57のy方向の中央における幅Wdと等しくてもよい。この場合、複数の溝57のそれぞれに貫通孔58が設けられる。このように、導電部材50は、複数の貫通孔58を有してもよい。
【0147】
・上記実施形態では、全ての溝57の一対の側面57cのテーパ角度は互いに等しくなるように各溝57が形成されていたが、これに限られない。各溝57の一対の側面57cのテーパ角度は個別に変更可能である。一例では、第1突出領域56Aの各溝57の一対の側面57cのテーパ角度が、第2突出領域56Bの各溝57の一対の側面57cのテーパ角度と異なる。たとえば、図示していないが、第2突出領域56Bの各溝57の一対の側面57cのテーパ角度は、第1突出領域56Aの各溝57の一対の側面57cのテーパ角度よりも大きくてもよい。
【0148】
またたとえば、図26図28の変更例において、図29に示すように、第1突出領域56Aの各溝57の一対の側面57cのテーパ角度が、第2突出領域56Bの各溝57の一対の側面57cのテーパ角度よりも大きくてもよい。図示された例においては、第1突出領域56Aのうち貫通孔58よりも連結部53から遠い方の領域における各溝57の一対の側面57cのテーパ角度と、貫通孔58よりも連結部53に近い方の領域における各溝57の一対の側面57cのテーパ角度とは互いに等しい。なお、第1突出領域56Aのうち貫通孔58よりも連結部53から遠い方の領域における各溝57の一対の側面57cのテーパ角度と、貫通孔58よりも連結部53に近い方の領域における各溝57の一対の側面57cのテーパ角度とは互いに異なってもよい。
【0149】
・溝57の個数は、任意に変更可能である。一例では、溝57は、1つであってもよい。
・z方向から視た複数の溝57が形成される領域の形状は、任意に変更可能である。一例では、z方向から視た複数の溝57が形成される領域の形状は、その領域のy方向の大きさがx方向の大きさと等しくてもよいし、x方向の大きさよりも大きくてもよい。
【0150】
・上記実施形態では、複数の溝57が形成される領域は、突出部56と等しかったが、これに限られない。たとえば、z方向から視て、突出部56の一部に複数の溝57が形成されてもよい。換言すると、z方向から視て、複数の溝57が形成される領域は、突出部56の一部であってもよい。
【0151】
・z方向から視た導電部材50の突出部56の形状は任意に変更可能である。たとえばz方向から視た突出部56の形状は、上方から視た半導体素子40の主面側駆動電極41の形状に応じて変更してもよい。
【0152】
・上記実施形態では、上方から視た導電部材50の凹部55の形状は、上方から視た半導体素子40の主面側駆動電極41の形状と略相似形状であったが、これに限られない。上方から視た導電部材50の凹部55の形状は、上方から視た半導体素子40の主面側駆動電極41の形状とは異なる形状、たとえばx方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状であってもよい。
【0153】
・導電部材50から凹部55を省略してもよい。この場合、導電部材50は突出部56を有していてもよい。突出部56は、たとえば導電部材50の裏面50rをエッチングすることによって形成される。
【0154】
図26図28に示す変更例において、第1突出領域56Aにおける複数の溝57のx方向の位置を、第1突出領域56Aのうち第1端部57dから第4端部57gまでの領域と、第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域とで変更してもよい。
【0155】
・複数の溝57の幅Wdは、複数の溝57のy方向の一部において一定となる領域を有していてもよい。一例では、図30に示すように、y方向において第1突出領域56Aの各溝57を、連結部53の近くの領域RAと、連結部53から遠い領域RBとに区分すると、各溝57の領域RBの幅Wdをy方向において一定とする。各溝57の領域RAの幅Wdは、連結部53に向かうにつれて大きくなる。なお、領域RAは、第1突出領域56Aの各溝57のうち第1端部57dを含む領域である。図示された例においては、領域RAは、第1突出領域56Aの各溝57のうち第1端部57dから各溝57のy方向の中央までの領域である。また、領域RBは、第1突出領域56Aの各溝57のうち第2端部57eを含む領域である。図示された例においては、領域RBは、第1突出領域56Aの各溝57のうち第2端部57eから各溝57のy方向の中央までの領域である。
【0156】
また、図26図29に示す変更例において、第1突出領域56Aのうち第2端部57eから第3端部57fまでの領域の各溝57の幅Wdをy方向において一定としてもよい。また、第1突出領域56Aのうち第1端部57dから第4端部57gまでの領域の各溝57の幅Wdをy方向において一定としてもよい。
【0157】
・上記実施形態では、複数の溝57の幅Wdは、溝57の延びる方向である溝57の長さ方向(y方向)の一方から他方に向かうにつれて大きくなっていたがこれに限られない。たとえば、複数の溝57の幅Wdは、溝57の長さ方向において一定であってもよい。
【0158】
・複数の溝57の延びる方向および配列方向は任意に変更可能である。一例では、x方向に延びる複数の溝57がy方向において互いに離間して配列されていてもよい。また、複数の溝57は、x方向またはy方向に沿って延びるものではなく、z方向から視て、x方向およびy方向の両方に交差する方向に延びていてもよい。
【0159】
・複数の溝57は直線状に延びなくてもよい。一例では、図31に示すように、y方向において第1突出領域56Aの各溝57を、連結部53の近くの領域RAと、連結部53から遠い領域RBとに区分すると、各溝57の領域RAを連結部53に向かうにつれてx方向の外方に傾斜するように形成してもよい。
【0160】
・複数の溝57の第2端部57eは、y方向に開口していなくてもよい。また、複数の溝57の第1端部57dは、y方向に開口していなくてもよい。要するに、複数の溝57のy方向(半導体素子40と駆動パッド20との配列方向)の両端部のうち少なくとも一方が開口していればよい。つまり、複数の溝57が延びる方向において、複数の溝57の両端部の少なくとも一方が開口していればよい。
【0161】
・上方から視た導電部材50の形状は任意に変更可能である。一例では、第1接続部51のx方向の大きさが第2接続部52および連結部53のx方向の大きさ以下であってもよい。第2接続部52のx方向の大きさが連結部53のx方向の大きさ以上であってもよい。
【0162】
・上方から視て、半導体素子40のx方向およびy方向のサイズはそれぞれ任意に変更可能である。一例では、上方から視て、半導体素子40は、導電板本体部11のうちハーフ絶縁部14よりも内側に収まるようなサイズであってもよい。また別例では、上方から視て、半導体素子40のx方向およびy方向の一方のみがハーフ絶縁部14よりも内側に収まるようなサイズであってもよい。換言すると、上方から視て、半導体素子40のx方向およびy方向のいずれかがハーフ絶縁部14と重なるようなサイズであってもよい。
【0163】
・導電板10の構成は任意に変更可能である。一例では、導電板10からハーフ絶縁部14を省略してもよい。また、導電板10から突出端子12を省略してもよい。
・上方から視た半導体素子40の形状は任意に変更可能である。一例では、上方から視た半導体素子40の形状は正方形である。
【0164】
・上方から視た半導体素子40の主面側駆動電極41の形状は任意に変更可能である。一例では、上方から視た主面側駆動電極41は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状である。
【0165】
・駆動パッド20の構成は任意に変更可能である。一例では、駆動パッド20からハーフ絶縁部24を省略してもよい。また、駆動パッド20から突出端子22を省略してもよい。
【0166】
・制御パッド30の構成は任意に変更可能である。一例では、制御パッド30からハーフ絶縁部34を省略してもよい。また、制御パッド30から突出端子32を省略してもよい。
【0167】
・半導体素子40と導電板10とは、共晶接合によって接続されてもよい。一例では、半導体素子40の素子裏面40rと導電板10の導電主面10sとの間に共晶接合層が形成されている。共晶接合層は、たとえばAuSn共晶を含む。すなわち、AuSn共晶によって半導体素子40の素子裏面40rと導電板10の導電主面10sとが接続されている。半導体素子40の素子裏面40rにAuめっき層が施されており、導電板10の導電主面10sにSnめっき層が施されてもよい。そして半導体素子40の素子裏面40rと導電主面10sとを接触させた状態で加熱およびz方向に加圧することによって半導体素子40と導電板10とを接合する。
【0168】
・上記実施形態では、導電板10の導電裏面10rが封止樹脂60の樹脂裏面60rから露出していたが、これに限られない。たとえば導電裏面10rが樹脂裏面60rから露出しなくてもよい。つまり、導電板10の全てが封止樹脂60に封止されていてもよい。
【0169】
・半導体装置1は、封止樹脂60の樹脂裏面60rに導電裏面10r、駆動パッド裏面20rおよび制御パッド裏面30rが露出する表面実装型のパッケージ構造であったが、これに限られず、たとえば封止樹脂60の樹脂側面61~64のいずれかからリードが突出するSO(Small Outline)やTO(Transistor Outline)であってもよい。また、半導体装置1は、表面実装型のパッケージ構造に限られず、DIP(Dual Inline Package)といった挿入実装型のパッケージ構造であってもよい。
【0170】
半導体装置1のパッケージ構造がSOやTOの場合、駆動パッド20および制御パッド30のz方向の位置は任意に変更可能である。一例では、駆動パッド20および制御パッド30は、z方向において導電板10よりも上方に位置していてもよい。
【0171】
・半導体素子40として、スイッチング素子に代えて、たとえばダイオードが用いられる場合、半導体装置1から制御パッド30を省略してもよい。この場合、たとえば半導体素子40の素子主面40sから制御電極43が省略され、制御電極43に接続されたワイヤWが省略される。
【0172】
・上記実施形態では、半導体装置1は1つの半導体素子40を備えるディスクリート型の半導体装置であったが、半導体装置1の構成はこれに限られない。たとえば半導体装置1は複数の半導体素子40を備えていてもよい。
【0173】
一例では、図32に示すように、変更例の半導体装置1は、上記実施形態の半導体装置1と比較して、導電板10の構成が主に異なる。より詳細には、変更例の半導体装置1の基板70は、導電板10の一例であり、たとえばDBC(Direct Bonded Copper)基板と呼ばれる構造体である。なお、基板70として、DBCに代えて、DBA(Direct Bonded Aluminum)基板と呼ばれる構造体を用いてもよい。基板70は、絶縁基板71、主面金属層72および裏面金属層(図示略)を有している。
【0174】
絶縁基板71は、電気絶縁性を有している。絶縁基板71の構成材料は、たとえばセラミックスである。なお、絶縁基板71は、絶縁樹脂シートが用いられてもよい。絶縁基板71は、z方向において互いに反対側を向く基板主面71sおよび基板裏面(図示略)を有している。z方向から視た絶縁基板71の形状は、x方向が長辺方向となり、y方向が短辺方向となる矩形状である。
【0175】
基板主面71sには主面金属層72が形成されており、基板裏面には裏面金属層が形成されている。主面金属層72および裏面金属層の構成材料はたとえばCuであり、たとえばエッチングによってパターニングされている。
【0176】
主面金属層72は、複数のパターン電極72A~72Eを有している。
パターン電極72A~72Cは、複数の半導体素子40の駆動電流が流れる大電流用の電極を構成している。パターン電極72Aおよびパターン電極72Bはそれぞれ、複数(図示された例においては3個)の半導体素子40が搭載される電極である。つまり、半導体素子40は、基板70の基板主面71sに実装されているともいえる。パターン電極72Bおよびパターン電極72Cはそれぞれ、各半導体素子40に接続された導電部材50が接続される電極である。つまり、パターン電極72Bおよびパターン電極72Cはそれぞれ、駆動パッドに相当する。
【0177】
パターン電極72A,72B,72Cは、y方向において互いに離間して配列されている。
上方から視たパターン電極72Aの形状は、L字状である。パターン電極72Aには、複数の半導体素子40がはんだSDによって接続されている。複数の半導体素子40は、y方向において互いに揃った状態でx方向において互いに離間して配列されている。各半導体素子40は、裏面側駆動電極42(図32では図示略)がはんだSDに接続されるようにパターン電極72Aに搭載されている。つまり、パターン電極72Aに搭載された複数の半導体素子40は互いに並列接続されている。複数の半導体素子40の主面側駆動電極41(図32では図示略)には、導電部材50が個別に接続されている。導電部材50の第2接続部52は、パターン電極72Bに接続されている。パターン電極72Aには、P端子(図示略)が接続されている。P端子の一部は、封止樹脂60(図32では図示略)から露出している。
【0178】
上記から視たパターン電極72Bの形状は、L字状である。パターン電極72Bは、y方向においてパターン電極72Aとパターン電極72Cとの間に配置されている。パターン電極72Bには、複数の半導体素子40がはんだSDによって接続されている。複数の半導体素子40は、y方向において互いに揃った状態でx方向において互いに離間して配列されている。複数の半導体素子40はそれぞれ、y方向においてパターン電極72Bのうちパターン電極72Cの近くの部分に配置されている。各半導体素子40は、裏面側駆動電極42がはんだSDによって接続されるようにパターン電極72Bに搭載されている。つまり、パターン電極72Bに搭載された複数の半導体素子40は互いに並列接続されている。このように、パターン電極72Aに搭載された複数の半導体素子40とパターン電極72Bに搭載された複数の半導体素子40とは直列接続されている。パターン電極72Bに搭載された複数の半導体素子40の主面側駆動電極41には、導電部材50が個別に接続されている。導電部材50の第2接続部52は、パターン電極72Cに接続されている。
【0179】
パターン電極72Bに搭載された複数の半導体素子40の上方から視た配置方向はそれぞれ、上記実施形態の半導体素子40の上方から視た配置方向と同じである。このため、パターン電極72Bに搭載された各半導体素子40に接続された導電部材50の上方から視た形状は、上記実施形態の導電部材50の上方から視た形状と同じである。
【0180】
一方、図32に示すとおり、パターン電極72Aに搭載された複数の半導体素子40の上方から視た配置方向はそれぞれ、上記実施形態の半導体素子40の上方から視た配置方向と異なる。このため、パターン電極72Aに搭載された各半導体素子40に接続された導電部材50の上方から視た形状は、上記実施形態の導電部材50の上方から視た形状と異なる。具体的には、上方から視た第1接続部51の形状が上記実施形態の導電部材50の第1接続部51の上方から視た形状と異なる。変更例の導電部材50の第1接続部51の切欠部54は、第1接続部51のy方向の両端部のうち連結部53から遠い方の端部に形成されている。これにともない、上方から視た凹部55の形状も上記実施形態の凹部55の形状と異なる。また図示していないが、下方から視た突出部56の形状も上記実施形態の突出部56の下方から視た形状と異なる。なお、突出部56に形成された複数の溝57(図32では図示略)は、上記実施形態の複数の溝57と同じ構成である。
【0181】
上方から視たパターン電極72Cの形状は、略T字状である。パターン電極72Cには、N端子(図示略)が接続されている。N端子の一部は、封止樹脂60から露出している。
【0182】
パターン電極72Dおよびパターン電極72Eは、複数の半導体素子40の制御電流が流れる小電流用の電極を構成している。パターン電極72Dは、ワイヤW1を介して複数の半導体素子40の主面側駆動電極41に接続されており、主面側駆動電極41に流れる電流を検出するための電極である。パターン電極72Eは、ワイヤW2を介して複数の半導体素子40の制御電極43に電気的に接続されており、制御電極43に制御電圧を供給するための電極である。
【0183】
パターン電極72D,72Eは、絶縁基板71のy方向の両端部に配置されている。
パターン電極72Aとy方向に隣り合うパターン電極72D,72Eは、パターン電極72Aに搭載された複数の半導体素子40の主面側駆動電極41および制御電極43と電気的に接続されている。
【0184】
パターン電極72Cとy方向に隣り合うパターン電極72D,72Eは、パターン電極72Bに搭載された複数の半導体素子40の主面側駆動電極41および制御電極43と電気的に接続されている。
【0185】
図32では図示していないが、封止樹脂60は、複数の半導体素子40、複数の導電部材50、複数のワイヤW1および複数のワイヤW2をそれぞれ封止している。封止樹脂60は、たとえば黒色のエポキシ樹脂からなる。この構成によれば、上記実施形態の(1)~(14)および(16)~(19)と同様の効果を得ることができる。
【0186】
[付記]
上記実施形態および上記各変更例から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
【0187】
(付記1)素子主面に形成された主面側駆動電極を有する半導体素子の前記主面側駆動電極に導電性接合材を介して接続される板状の導電部材であって、前記導電部材は、前記主面側駆動電極と対面する接続裏面を有しており、前記接続裏面には、溝が形成されている、導電部材。
【0188】
(付記2)前記導電部材は、前記主面側駆動電極に向けて突出する突出部を有しており、前記突出部において前記主面側駆動電極と対面する部分が前記接続裏面を構成している、付記1に記載の導電部材。
【0189】
(付記3)前記導電部材は、前記基板主面と同じ方向を向く表面と、前記表面から前記主面側駆動電極に向けて凹む凹部と、を有している、付記1または2に記載の導電部材。
(付記4)前記溝の延びる方向を溝の長さ方向とし、前記基板の厚さ方向から視て、前記溝の長さ方向と直交する方向の前記溝の大きさを溝の幅の大きさとすると、前記溝の長さ方向の一方から他方に向かうにつれて、前記溝の幅が大きくなる、付記1~3のいずれか1つに記載の導電部材。
【0190】
(付記5)前記溝の長さ方向において、前記溝の一方の端縁から他方の端縁に向かうにつれて、前記溝の幅が徐々に大きくなる、付記4に記載の導電部材。
(付記6)前記溝の延びる方向を溝の長さ方向とすると、前記溝の長さ方向における前記溝の両端部はそれぞれ、前記溝の長さ方向に開口している、付記1~5のいずれか1つに記載の導電部材。
【0191】
(付記7)前記溝は、前記基板の厚さ方向において前記主面側駆動電極から遠い端面となる底面と、前記接続裏面と前記底面とを接続する側面と、を有しており、前記接続裏面は、前記導電部材の裏面よりも前記主面側駆動電極の近くに位置している、付記2に記載の導電部材。
【0192】
(付記8)前記底面は、前記導電部材の裏面よりも前記主面側駆動電極の近くに位置している、付記7に記載の導電部材。
(付記9)前記溝は、複数設けられており、前記導電部材は、前記導電部材の厚さ方向において前記導電部材を貫通する貫通孔を有しており、前記貫通孔は、前記複数の溝の配列方向において、前記複数の溝に跨って形成されている、付記1~8のいずれか1つに記載の導電部材。
【0193】
(付記10)前記導電部材は、Cuからなる、付記1~9のいずれか1つに記載の導電部材。
(付記A1)
素子主面、および前記素子主面に形成された主面側駆動電極を有している半導体素子と、
前記主面側駆動電極と対面する接続裏面を有しており、前記主面側駆動電極に接続されている板状の導電部材と、
前記主面側駆動電極と前記接続裏面との間に介在しており、前記主面側駆動電極と前記導電部材とを接続する導電性接合材と、
を備えており、
前記接続裏面には、溝が形成されている
半導体装置。
(付記A2)
前記半導体装置は、駆動パッドを備えており、
前記導電部材は、前記駆動パッドに接続されたパッド側導電部を有しており、
前記溝は、複数設けられており、
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記半導体素子と前記駆動パッドとの配列方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向とすると、
前記複数の溝は、前記第2方向に配列された状態で前記第1方向に向けて延びており、
前記複数の溝の前記第1方向の両端部は開口している
付記A1に記載の半導体装置。
(付記A3)
前記溝の延びる方向を溝の長さ方向とし、前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記溝の長さ方向と直交する方向の前記溝の大きさを溝の幅とすると、
前記溝の長さ方向の一方から他方に向かうにつれて、前記溝の幅が大きくなる
付記A1またはA2に記載の半導体装置。
(付記A4)
前記溝の長さ方向において、前記溝の一方の端縁から他方の端縁に向かうにつれて、前記溝の幅が徐々に大きくなる
付記A3に記載の半導体装置。
(付記A5)
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記導電部材は、前記導電部材の重心が前記駆動電極と重なるように設けられている
付記A2に記載の半導体装置。
(付記A6)
前記半導体素子の厚さ方向における前記導電部材の前記接続裏面と前記半導体素子の前記素子主面との間の距離は、前記主面側駆動電極から前記駆動パッドに向かうにつれて大きくなるように、前記導電部材が前記半導体素子に対して傾いて配置されている
付記A5に記載の半導体装置。
(付記A7)
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記第2方向の前記溝の大きさを溝の幅とすると、
前記溝は、前記第1方向のうち前記主面側駆動電極から前記駆動パッドに向かうにつれて前記溝の幅が大きくなる
付記A5またはA6に記載の半導体装置。
(付記A8)
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記第2方向の前記溝の大きさを溝の幅とすると、
前記第1方向における前記溝の両端縁のうち前記第1方向のうち前記主面側駆動電極に近い方の端縁から前記駆動パッドに近い方の端縁に向かうにつれて前記溝の幅が徐々に大きくなる
付記A7に記載の半導体装置。
(付記A9)
前記半導体装置の前記第1方向および前記第2方向の大きさがそれぞれ2mmであり、
前記溝の幅の最小値の範囲は、0.05mm以上0.5mm以下であり、
前記溝の幅の最大値の範囲は、0.01mm以上1.0mm以下である
付記A7またはA8に記載の半導体装置。
(付記A10)
前記半導体装置の前記第1方向および前記第2方向の大きさがそれぞれ2mmであり、
前記溝の幅の最小値の範囲は、0.05mm以上0.1mm以下であり、
前記溝の幅の最大値の範囲は、0.01mm以上0.2mm以下である
付記A7またはA8に記載の半導体装置。
(付記A11)
前記導電部材は、前記主面側駆動電極に向けて突出する突出部を有しており、
前記突出部において前記主面側駆動電極と対面する部分が前記接続裏面を構成している
付記A1~A10のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A12)
前記溝は、前記接続裏面から凹むように形成されており、かつ、
前記半導体素子の厚さ方向において前記主面側駆動電極から遠い端面となる底面と、
前記接続裏面と前記底面とを接続する側面と、
を有しており、
前記接続裏面は、前記導電部材において前記半導体素子と前記半導体素子の厚さ方向に対面する領域のうち前記接続裏面以外の面である裏面よりも前記主面側駆動電極の近くに位置している
付記A1~A11のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A13)
前記導電部材は、前記素子主面と同じ方向を向く表面と、前記表面から前記主面側駆動電極に向けて凹む凹部と、を有している
付記A1~A12のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A14)
前記溝は、前記接続裏面から凹むように形成されており、かつ、
前記半導体素子の厚さ方向において前記主面側駆動電極から遠い端面となる底面と、
前記接続裏面と前記底面とを接続する側面と、
を有しており、
前記底面は、前記導電部材において前記半導体素子と前記半導体素子の厚さ方向に対面する領域のうち前記接続裏面以外の面である裏面よりも前記主面側駆動電極の近くに位置している
付記A1~A13のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A15)
前記溝の延びる方向を溝の長さ方向とすると、
前記溝の長さ方向において、前記溝は、前記主面側駆動電極よりも短い
付記A1~A14のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A16)
前記溝の長さ方向における前記溝の両端部は、前記溝の長さ方向に開口している
付記A15に記載の半導体装置。
(付記A17)
前記溝の延びる方向を溝の長さ方向とすると、
前記溝の長さ方向において、前記溝は、前記主面側駆動電極よりも長い
付記A1~A14のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A18)
前記溝の長さ方向における前記溝の両端部は、前記主面側駆動電極に向けて開口している
付記A17に記載の半導体装置。
(付記A19)
前記導電部材は、前記導電部材の厚さ方向において前記導電部材を貫通する貫通孔を有しており、
前記貫通孔は、前記複数の溝の配列方向において、前記複数の溝に跨って形成されている
付記A1~A18のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A20)
前記溝は、複数設けられており、
前記溝の延びる方向を溝の長さ方向とし、前記溝の長さ方向と直交し、複数の前記溝が配列する方向を溝の配列方向とすると、
前記溝が形成される領域における前記溝の配列方向の大きさは、前記溝が形成される領域における前記溝の長さ方向の大きさよりも大きい
付記A1~A19のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A21)
前記半導体装置は、駆動パッドを備えており、
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記導電部材は、
前記半導体素子と接続する電極側導電部と、
前記駆動パッドと接続するパッド側導電部と、
前記電極側導電部と前記パッド側導電部とを連結する連結部と、
を備えており、
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記半導体素子と前記駆動パッドとの配列方向を第1方向とし、前記第1方向と直交する方向を第2方向とすると、
前記第2方向における前記電極側導電部の大きさは、前記パッド側導電部および前記連結部の大きさよりも大きい
付記A1~A20のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A22)
前記半導体素子は、前記素子主面に形成された制御電極を有しており、
前記半導体装置は、
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記半導体素子および前記駆動パッドにそれぞれ隣り合うように配置された制御パッドと、
前記制御電極と前記制御パッドとを接続するワイヤと、
を有しており、
前記半導体素子の厚さ方向から視て、前記制御電極は、前記連結部と隣り合うように配置されている
付記A21に記載の半導体装置。
(付記A23)
前記第2方向において、前記駆動パッドは、前記制御パッドよりも大きい
付記A22に記載の半導体装置。
(付記A24)
前記半導体素子は、前記半導体素子の厚さ方向において前記素子主面とは反対側を向く素子裏面、および前記素子裏面に形成された裏面側駆動電極を有しており、
前記半導体装置は、前記半導体素子が搭載される導電板を備えており、
前記導電板は、前記半導体素子の厚さ方向において前記裏面側駆動電極と対面しており、前記裏面側駆動電極と接続された導電主面を有している
付記A1~A23のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A25)
前記半導体素子および前記導電板を封止する封止樹脂を備えており、
前記導電板は、前記半導体素子の厚さ方向において前記導電主面とは反対側を向く導電裏面を有しており、
前記導電裏面は、前記封止樹脂から露出している
付記A24に記載の半導体装置。
(付記A26)
前記導電部材は、Cuからなる
付記A1~A25のいずれか1つに記載の半導体装置。
(付記A27)
前記半導体装置は、前記半導体素子が搭載された導電板を備えており、
前記導電板は、Cuからなる
付記A26に記載の半導体装置。
(付記A28)
前記導電性接合材は、はんだまたはAgペーストからなる
付記A1~A27のいずれか1つに記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0194】
1…半導体装置
10…導電板
10s…導電主面
10r…導電裏面
20…駆動パッド
30…制御パッド
40…半導体素子
40s…素子主面
40r…素子裏面
41…主面側駆動電極
42…裏面側駆動電極
43…制御電極
50…導電部材
51…第1接続部(電極側導電部)
52…第2接続部(パッド側導電部)
53…連結部
50s…表面
50r…裏面
50ra…接続裏面
55…凹部
56…突出部
57…溝
57b…底面
57c…側面
57d…第1端部
57e…第2端部
58…貫通孔
60…封止樹脂
70…基板(導電板)
72B,72C…パターン電極(駆動パッド)
W…ワイヤ
SD…はんだ(導電性接合材)
Wd…溝の幅
Wd1…溝の幅の最小値
Wd2…溝の幅の最大値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図22
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図30
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図32