(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-22
(45)【発行日】2024-05-01
(54)【発明の名称】通信装置、通信装置の制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 12/44 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
H04L12/44 200
(21)【出願番号】P 2022082802
(22)【出願日】2022-05-20
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大崇
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-154992(JP,A)
【文献】特開2013-255086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ONU機能部と、制御部と、無線LAN機能部を含み、
前記制御部は、OLTにより発行された送信時間要求を受け取ると、所定の時間が経過した後に前記ONU機能部に送信許可を送信し、
前記ONU機能部が光信号の通信を行っている期間の間、前記制御部が、前記無線LAN機能部に対し、前記光信号に干渉しないよう無線機能の制御を行い、
前記制御部は、前記期間の経過後に、前記ONU機能部に送信停止を送信する、
通信装置。
【請求項2】
前記無線機能の制御は、前記無線LAN機能部の無線機能の停止を行うことを含む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記無線機能の制御は、前記期間の経過後、前記無線LAN機能部の無線機能の許可を行うことを含む、請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記無線機能の制御は、前記無線LAN機能部が無線通信を行う無線チャネル又は無線周波数を、前記光信号に干渉しない無線チャネル又は無線周波数へ切替えることを含む、請求項1に記載の、通信装置。
【請求項5】
前記無線LAN機能部は、無線通信を行う複数のアンテナを含み、
前記無線機能の制御は、前記無線LAN機能部の複数の前記アンテナのうち、前記光信号に干渉する無線通信を行うアンテナの無線機能の停止を行うことを含む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項6】
前記期間は、OLTにより発行される送信時間要求に含まれる情報に従って、開始し、及び終了する、請求項1に記載の通信装置。
【請求項7】
ONU機能部と、制御部と、無線LAN機能部を含む通信装置において、
前記制御部が、OLTにより発行された送信時間要求を受け取ると、所定の時間が経過した後に前記ONU機能部に送信許可を送信するステップと、
前記ONU機能部が光信号の通信を行っている期間の間、前記制御部が、前記無線LAN機能部に対し、前記光信号に干渉しないよう無線機能の制御を行うステップと、
前記制御部が、前記期間の経過後に、前記ONU機能部に送信停止を送信するステップを含む、通信装置の制御方法。
【請求項8】
前記無線機能の制御を行うステップは、前記無線LAN機能部の無線機能の停止を行い、前記期間の経過後、前記無線LAN機能部の無線機能の許可を行うことを含む、請求項7に記載の通信装置の制御方法。
【請求項9】
ONU機能部と無線LAN機能部を含む通信装置に搭載されたコンピュータに、
OLTにより発行された送信時間要求を受け取ると、所定の時間が経過した後に前記ONU機能部に送信許可を送信する処理と、
前記ONU機能部が光信号の通信を行っている期間の間、前記無線LAN機能部に対し、前記光信号に干渉しないよう無線機能の制御を行う処理と、
前記期間の経過後に、前記ONU機能部に送信停止を送信する処理を実行させる、プログラム。
【請求項10】
前記無線機能の制御を行う処理は、前記無線LAN機能部の無線機能の停止を行い、前記期間の経過後、前記無線LAN機能部の無線機能の許可を行うことを含む、請求項9に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家庭でインターネットをはじめとする通信を行うために通信事業者と家庭を光のケーブルでつなぎ、光の信号で情報を伝達するFTTH(Fiber To The Home)が多く利用されている。FTTHで通信するためには、PC(パーソナルコンピュータ)や携帯電話といったネットワーク機器を接続するために必要なHGW(ホームゲートウェイ、Home Gate Way)と、光回線の加入側の終端装置であるONU(光回線終端装置、Optical Network Unit)が必要となる。ホームゲートウェイ(HGW)とONUは、従来、それぞれが独立した機器として設置され、互いにその役割を担ってきた。ホームゲートウェイは、ひかり電話や無線/有線LAN(ローカルエリアネットワーク)の親機として家庭内の通信端末機器のデータをネットワークと結ぶ役割があり、ONUは電気信号をFTTHの光信号へと変換する役割がある。
【0003】
特許文献1は、ONU又はHGWが、ONUの温度情報を検出し、OLTが、ONUとの間の通信量を制御して、ONUの温度上昇を回避する光通信システムに関するものである。
【0004】
特許文献2は、複数の伝送速度のONUが混在して収容されたマルチレートPONシステムにおいて、自然放出光(ASE)雑音の悪影響を抑制することに関するものである。
【0005】
特許文献3は、VoIP通話の状況に応じた無線LAN機能の制御を行うことが可能な無線LANルータに関するものである。
【0006】
特許文献4は、撮像装置外部から得られる等時性通信のサイクルタイミングが一時的に失われた際にも安定的に画像の伝送を行う、撮像装置に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-036096号公報
【文献】特開2013-255086号公報
【文献】特開2012-070108号公報
【文献】特開2000-106646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下の分析は、本発明者によって与えられたものである。
【0009】
これまで、加入者宅内で、ホームゲートウェイ(HGW)とONUは別々の機器として設置されてきた。しかしながら、近年、設置のしやすさや管理のしやすさから、ホームゲートウェイとONUを一つにした一体型装置(ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置)が、普及してきている。この一体型装置の開発において、複数の機能が1つの装置に集約されたために、相互の機能から発生するノイズによって、期待する性能が得ることが難しくなってきている。即ち、装置内で相互のノイズの干渉が増えたため、干渉に対する対策の必要が求められてきている。さらに、装置内の消費電力が増加し、放熱性を向上させるためヒートシンクを追加する必要があるが、ヒートシンクが装置内のノイズを拡散してしまう事がある。このように機能と、発熱と、ノイズのそれぞれが互いに影響し合い、ノイズを抑制することが難しくなってきている。
【0010】
特に、ホームゲートウェイ側の機能である無線LAN機能は、多くの無線周波数を使用し、また多くのアンテナを使用して通信を行うために、ノイズ源となりやすく、ONU機能である光通信に影響を与える(干渉する)ことがある。光通信では、ノイズの影響を受けることで、通信距離の低下や、エラー率の劣化が引き起こされる。このため、ノイズに対してシールドを実装し、及び/又はフィルタ回路を実装して、ノイズの抑制を行う必要があるが、これらの実装によりコストアップとなることが、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置を設計する時の課題となっている。
【0011】
本発明は、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置(以下、通信装置を指すものとする)において、光通信に干渉しないよう無線機能を制御し、干渉を低減させることで、安定した光通信を確保することを可能とすることに貢献する、通信装置、通信装置の制御方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の視点によれば、ONU機能部と、制御部と、無線LAN機能部を含み、
前記制御部は、OLTにより発行された送信時間要求を受け取ると、所定の時間が経過した後に前記ONU機能部に送信許可を送信し、
前記ONU機能部が光信号の通信を行っている期間の間、前記制御部が、前記無線LAN機能部に対し、前記光信号に干渉しないよう無線機能の制御を行い、
前記制御部は、前記期間の経過後に、前記ONU機能部に送信停止を送信する、
通信装置を、提供できる。
【0013】
本発明の第2視点によれば、ONU機能部と、制御部と、無線LAN機能部を含む通信装置において、
前記制御部が、OLTにより発行された送信時間要求を受け取ると、所定の時間が経過した後に前記ONU機能部に送信許可を送信するステップと、
前記ONU機能部が光信号の通信を行っている期間の間、前記制御部が、前記無線LAN機能部に対し、前記光信号に干渉しないよう無線機能の制御を行うステップと、
前記制御部が、前記期間の経過後に、前記ONU機能部に送信停止を送信するステップを含む、通信装置の制御方法を、提供できる。本方法は、通信装置の制御方法を行うコンピュータという、特定の機械に結びつけられている。
【0014】
本発明の第3の視点によれば、ONU機能部と無線LAN機能部を含む通信装置に搭載されたコンピュータに、
OLTにより発行された送信時間要求を受け取ると、所定の時間が経過した後に前記ONU機能部に送信許可を送信する処理と、
前記ONU機能部が光信号の通信を行っている期間の間、前記無線LAN機能部に対し、前記光信号に干渉しないよう無線機能の制御を行う処理と、
前記期間の経過後に、前記ONU機能部に送信停止を送信する処理を実行させる、プログラム、を提供できる。
【0015】
なお、これらのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録することができる。記憶媒体は、半導体メモリ、ハードディスク、磁気記録媒体、光記録媒体等の非トランジェント(non-transient)なものとすることができる。本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置(通信装置)において、光通信に干渉しないよう無線機能を制御し、干渉を低減させることで、安定した光通信を確保することを可能とすることに貢献する、通信装置、通信装置の制御方法、及び、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態のホームゲートウェイ装置(通信装置)の構成の一例を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置(通信装置)の接続の構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置(通信装置)の構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置(通信装置)の動作の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態のホームゲートウェイ装置(通信装置)の動作の一例を示す図である。
【
図6】本発明の第3の実施形態のホームゲートウェイ装置(通信装置)の構成の一例を示す図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態のホームゲートウェイ装置(通信装置)の動作の一例を示す図である。
【
図8】本発明のホームゲートウェイ装置(通信装置)を構成するコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
はじめに、本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態のホームゲートウェイ装置(以下、通信装置を指すものとする)の構成の一例を示す図である。
図1を参照すると、ホームゲートウェイ装置10は、ONU機能部125と、制御部121と、無線LAN機能部122と、無線LAN機能部122のアンテナ123を含む。無線LAN機能部122は、無線LAN16を介して、スマートフォン等と通信を行う。制御部121は、OLTにより発行された送信時間要求を受け取ると、所定の時間が経過した後にONU機能部125に送信許可を送信する。ONU機能部125が、光ケーブル19を介して光信号の通信を行っている期間の間、制御部121が、無線LAN機能部122に対し、光信号に干渉しないよう無線機能の制御を行う。また、制御部121は、上記期間の経過後に、ONU機能部125に送信停止を送信する。
【0020】
制御部121による無線LAN機能部122の無線機能の制御は、無線LAN機能部122の無線機能の停止を行うことを含む。無線機能の停止には、無線LAN機能部122の全体の動作の停止、又は無線LAN機能部122のアンテナ123からの無線信号の送信の停止等の方法があり、また、光信号に干渉を与えるノイズを無線LAN機能部122により発生させない方法、又は無線LAN機能部122により発生される光信号に干渉を与えるノイズを低減する方法であれば、いずれの方法を用いてもよい。
【0021】
また、無線機能の制御は、ONU機能部125が光信号の通信を行っている期間の経過後、無線LAN機能部122の無線機能の許可を行うことを含む。無線機能の許可により、停止されていた無線LAN機能部122の全体の動作、停止されていた無線LAN機能部122のアンテナ123からの無線信号の送信等を再開して、無線LAN機能部122によるスマートフォン等との無線通信が可能となる。また、他の、光信号に干渉を与えるノイズを無線LAN機能部122により発生させない方法、又は無線LAN機能部122により発生される光信号に干渉を与えるノイズを低減する方法等が行われていた場合には、それらの方法が解除され、無線LAN機能部122によるスマートフォン等との無線通信が、無線機能の制御が行われる前と同様に可能となる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置において、光通信によって送信するタイミングでノイズ源となる無線機能を制御しノイズを低減させることで、安定した光による通信を確保することが可能となる。
【0023】
従って、本発明の一実施形態によれば、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置において、光通信に干渉しないよう無線機能を制御し、干渉を低減させることで、安定した光通信を確保することを可能とすることに貢献する、ホームゲートウェイ装置を提供することができる。
【0024】
また、本発明の一実施形態によれば、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置から光信号を送信する際に、光信号の送信と同期してノイズとなる無線機能の通信を停止させる制御を行うので、光信号に干渉を与えるノイズを発生させないようにすることができ、これにより、ノイズを抑制するためのシールドとフィルタ回路を設ける必要が無くなる。従って、シールドやフィルタ回路の実装によるコストアップを防止することも可能となる。
【0025】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置(以下、通信装置を指すものとする)について、図面を参照して説明する。
図2は、本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置の接続の構成の一例を示す図である。
図2において、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ(HGW)装置10は、加入者宅100の宅内に配置され、スマートフォン13等と無線LAN16で接続され、パーソナルコンピュータ(PC)12等と有線LAN17で接続され、電話機14と回線18で接続されている。ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置10は、光ケーブル19によって通信局側(事業者側)の設備であるOLT(光回線終端装置、Optical Line Terminal)11と接続されている。OLT11は、IP網15とつながっており、IP網15との情報のやり取りを、OLT11が光信号によってONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置10へ伝搬し、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置10により、光信号から電気信号に変換し、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置10の有線LAN17に接続されたPC12等と、無線LAN16に接続されたスマートフォン13等と、回線18に接続された電話機14と、音声や画像等のデータのやり取りを行う。
【0026】
図3は、本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置の構成の一例を示す図である。
図3を参照すると、ホームゲートウェイ装置10は、ONU機能とホームゲートウェイ(HGW)の機能全体を制御する制御部として動作するCPU(Central ProceSing Unit)21と、スマートフォン13等との無線通信を実現する無線LAN機能部として動作する無線LAN回路部22と、PC12等との有線通信を実現する有線LAN回路部23、電話機14との音声通信を実現する光電話回路部24と、これらの通信を、光信号に変換するONU機能部として動作するONU回路部25を含む。CPU21は、無線LAN回路部22、有線LAN回路部23、光電話回路部24及び、ONU回路部25のそれぞれについてのデータ及び送信の許可、停止を制御することができる。
【0027】
また、ONU回路部25及びCPU21は、事業者側の光通信の設備であるOLT11と同期している。OLT11は、ONU回路部25を含むホームゲートウェイ装置10へ、OLT11に対してデータを送信するタイミング(送信時間)を要求する。その要求(送信時間要求)に従って、CPU21は、ONU回路部25に対し、送信するタイミングに合わせて送信有効信号を送り、ONU回路部25は、送信有効信号に従って、光信号によりOLT11にデータを送信する。
【0028】
次に、OLT11と、ONU回路部25を含むホームゲートウェイ装置10の動作について図面を参照して説明する。
図4は、本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置の動作の一例を示す図である。縦軸については、矢印40の向きが時間の経過を示す。
【0029】
まず、OLT11が、ONU回路部25を含むホームゲートウェイ装置10に対し、送信時間要求を発行する(ステップS30)。送信時間要求はONU回路部25を含むホームゲートウェイ装置10が、OLT11に対し、xx秒後にyy時間の送信をすることができることを示す情報が含まれている。この情報を受け取ったONU回路部25は、CPU21へ、この情報を含む送信時間要求を通知し(ステップS31)、CPU21は、現時点41から、送信可能となるまで、ONU回路部25によるOLT11に対する通信を停止して待機する(ステップS32)。決められた所定の時間(xx秒)が経過した後、送信時間42となった時点で、CPU21はONU回路部25に対して、送信許可を発行する(ステップS33)。送信許可を受け取ったONU回路部25は、OLT11に対して光信号によるデータの送信を開始し、以後停止が通知されるまで、データ送信を行うことが可能である(ステップS34-1からS34-2)。
【0030】
さらに、CPU21は、ONU回路部25に送信許可を発行(ステップS33)するのと同時に、無線LAN回路部22に対して、無線機能の停止を発行する(ステップS35)。無線機能の停止が無線LAN回路部22に入力されることにより、無線LAN回路部22の無線機能が停止し、無線LAN回路部22から放射されるノイズが低下するので、ONU回路部25から送信される信号は、無線LAN回路部22からのノイズの影響(干渉)を受けずに、安定してOLT11と光信号を用いて通信することができる。
【0031】
また、CPU21は、OLT11から通知された送信可能な期間が満了した(yy時間が経過した)場合には、ONU回路部25に対して、送信停止(ステップS36)の命令を発行し、ONU回路部25にOLT11に対するデータの送信を停止させる。また、同時に、無線LAN回路部22に対して無線機能の許可(ステップS37)を発行し、無線LAN回路部22とスマートフォン13等との間の無線通信を可能とする。
【0032】
なお、本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置10は、OLT11からの送信時間要求の情報に基づいて、OLT11との通信を行う間、無線通信を動的に無効にすることで、OLT11との通信を阻害するノイズを抑制することができ、また、OLT11からの送信時間要求の情報に基づいて、OLT11との通信を行っていない間、無線通信を動的に有効にすることで、無線通信の停止時間を短くすることができる。
【0033】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態によれば、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置において、光通信に干渉しないよう無線機能を制御し、干渉を低減させることで、安定した光通信を確保することを可能とすることに貢献する、ホームゲートウェイ装置を提供することができる。
【0034】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。本発明の第2の実施形態のホームゲートウェイ装置(以下、通信装置を指すものとする)10の構成の一例は、
図3に示す本発明の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置10の構成の一例と同一であるので、その構成の説明を省略する。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態のホームゲートウェイ装置の動作について、図面を参照して説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態のホームゲートウェイ装置10の動作の一例を示す図である。
図5において、
図4と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとし、その説明を省略する。
【0036】
本発明の第1の実施形態では、ホームゲートウェイ装置10のONU回路部25とOLT11との通信時に、無線LAN回路部22による無線通信を一旦停止させるため、無線通信が、切断されたり、又は、接続されたりすることにより、不安定な状態となってしまう。本発明の第2の実施形態のホームゲートウェイ装置10は、無線LAN回路部22による無線通信を停止することなく、光通信への干渉を低減させることで、無線通信を安定な状態に維持しながら、安定した光通信を確保することを可能とすることに貢献するものである。
【0037】
なお、本発明の第2の実施形態では、無線機能が光通信へどのような影響を与えるのかを、事前に検証する必要がある。以下の本発明の第2の実施形態では、光通信に影響(干渉)しない無線チャネルや周波数が、事前に検証されているものとして、説明する。なお、光通信に影響(干渉)しない無線チャネルや周波数を事前に検証する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、光通信のエラー率を測定して検証する方法等が、考えられる。
【0038】
無線LANであるWi-Fiには、電波状態の良好な無線チャネルへ、自動的に切り替える機能(オートチャネルセレクト)や混雑していない無線周波数帯域に自動的に切り替える機能(バンドステアリング)を有している。通常は、ユーザは、これらの機能を使用して、電波状態の良好な無線チャネルや混雑していない周波数帯域で無線LANを使用している。
【0039】
本発明の第2の実施形態では、ホームゲートウェイ装置10が、OLT11と光信号の通信を行うときに、CPU21は、ONU回路部25に送信許可を出す(ステップS33)と同時に、
図5に示すステップS351において、無線LAN回路部22に対して無線チャネルや周波数の変更を発行し、無線LAN回路部22が、現在使用している無線チャネルや周波数を、事前に検証された光通信に影響(干渉)しない無線チャネルや周波数の中で、動的に他の無線チャネルや周波数へ切り替える。
【0040】
このように、OLT11へ光信号を送信する場合には、無線LAN回路部22が、現在使用している無線チャネルや周波数から、事前に検証された光通信に干渉しない無線チャネルや周波数の中で、動的に他の無線チャネルや周波数へ切り替えることにより、無線機能を停止せずに、光信号に対する干渉を抑えかつ、光通信を安定して行う事が可能である。また、ONU回路部25からOLT11に光信号を送信していない場合には、無線LAN回路部22は、全無線チャネル及び周波数帯域の中で最適な無線チャネルに戻すことで、より安定した無線通信を確保できる。
【0041】
また、第1の実施形態のホームゲートウェイ装置10と同様に、第2の実施形態のホームゲートウェイ装置10のCPU21は、OLT11から通知された送信可能な期間が満了した(yy時間が経過した)場合には、ONU回路部25に対して、送信停止(ステップS36)の命令を発行し、OLT11に対するデータ送信を停止させる。また、同時に、無線LAN回路部22に対して、最適無線チャネルに戻す指示を発行し(ステップS371)、最適無線チャネルを使用した無線LAN回路部22とスマートフォン13等との間の無線通信を可能とする。
【0042】
以上説明したように、本発明の第2の実施形態によれば、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置において、無線機能を停止することなく、光通信に干渉しないよう無線機能を制御し、干渉を低減させることで、安定した光通信を確保することを可能とすることに貢献する、ホームゲートウェイ装置を提供することができる。
【0043】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
図6は、本発明の第3の実施形態のホームゲートウェイ装置(以下、通信装置を指すものとする)10の構成の一例を示す図である。
図6において、
図3と同一の参照符号を付した構成要素は、同一の構成要素を示すものとする。
【0044】
図6に示す本発明の第3の実施形態のホームゲートウェイ装置の構成の一例は、
図3に記載の第1の実施形態のホームゲートウェイ装置の構成の一例において、無線LAN回路部22に、アンテナ221に加えて、さらに複数のアンテナ222、223、224を設けたホームゲートウェイ装置10の構成の一例である。
【0045】
なお、本発明の第3の実施形態では、本発明の第2の実施形態と同様に、無線機能が光通信へどのような影響を与えるのかを、事前に検証する必要がある。以下の本発明の第3の実施形態では、複数のアンテナのうちどのアンテナが、光通信に影響(干渉)するかが、事前に検証されているものとして、説明する。なお、光通信に影響(干渉)するアンテナを事前に検証する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、光通信のエラー率を測定して検証する方法等が、考えられる。
【0046】
無線LANであるWi-Fiは、2本、4本、8本といった複数のアンテナを使って無線通信を行う方法(MIMO(Multiple InputMultple Output))を利用することが可能であり、MIMOの特定のアンテナがノイズ源となることがある。例えば、
図6に記載の無線LAN回路部22の4つのアンテナ221、222、223、224のうち、4番目のアンテナ224が光通信に対し影響がある(干渉する)と事前に検証されているものとする。
【0047】
図7は、本発明の第3の実施形態のホームゲートウェイ装置10の動作の一例を示す図である。無線LANにおいてMIMOを使用する場合、ONU回路部25を含むホームゲートウェイ装置10が、OLT11へ光信号を送信するときには、
図7に示すように、CPU21は、ONU回路部25に送信許可を発行する(ステップS33)と同時に、無線LAN回路部22に対して、干渉している4番目のアンテナ224のみの無線機能を停止させる指示を発行し(ステップS352)、一方、他のアンテナ221、222、223による無線LAN通信を継続することにより、ノイズを抑えることができる。なお4番目のアンテナ224の無線機能を停止させることによって、MIMOを使用する無線LANの転送レートは低下するが、通信を保持することができる。
【0048】
また、CPU21は、OLT11から通知された送信可能な期間が満了した(yy時間が経過した)場合には、ONU回路部25に対して、送信停止(ステップS36)の命令を発行し、OLT11に対するデータ送信を停止させる。また、同時に、
図7に示すように、無線LAN回路部22に対して4番目のアンテナ224の無線機能の許可(ステップS372)を発行し、無線LAN回路部22とスマートフォン13等との間の、4つのアンテナ221、222、223、224を使用した無線通信を可能とし、低下した転送レートを回復することができる。
【0049】
以上説明したように、本発明の第3の実施形態によれば、ONU機能を内蔵したホームゲートウェイ装置において、無線機能を停止することなく、光通信に干渉しないよう無線機能を制御し、干渉を低減させることで、安定した光通信を確保することを可能とすることに貢献する、ホームゲートウェイ装置を提供することができる。
【0050】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成、メッセージの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。また、「A及び/又はB」は、A又はBの少なくともいずれかという意味で用いる。
【0051】
また、上記した第1から第3の実施形態に示した手順は、本発明のホームゲートウェイ装置(通信装置)として機能するコンピュータ(
図8の9000)に、ホームゲートウェイ装置(通信装置)としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、
図8のCPU(Central ProceSing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、
図8のCPU9010にて、ホームゲートウェイ装置(通信装置)の制御プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメータの更新処理を実施させればよい。
【0052】
メモリ9030は、RAM(Random AcceS Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。
【0053】
即ち、上記した第1から第3の実施形態に示したホームゲートウェイ装置(通信装置)の各部(処理手段、機能)は、上記コンピュータのプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0054】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による通信装置を参照)
[第2の形態]
第1の形態に記載の通信装置は、前記無線機能の制御は、前記無線LAN機能部の無線機能の停止を行うことを含む、ことが好ましい。
[第3の形態]
第2の形態に記載の通信装置は、前記無線機能の制御は、前記期間の経過後、前記無線LAN機能部の無線機能の許可を行うことを含む、ことが好ましい。
[第4の形態]
第1の形態に記載の通信装置は、前記無線機能の制御は、前記無線LAN機能部が無線通信を行う無線チャネル又は無線周波数を、前記光信号に干渉しない無線チャネル又は無線周波数へ切替えることを含む、ことが好ましい。
[第5の形態]
第1の形態に記載の通信装置は、前記無線LAN機能部は、無線通信を行う複数のアンテナを含み、
前記無線機能の制御は、前記無線LAN機能部の複数の前記アンテナのうち、前記光信号に干渉する無線通信を行うアンテナの無線機能の停止を行うことを含む、ことが好ましい。
[第6の形態]
第1の形態に記載の通信装置は、前記期間は、OLTにより発行される送信時間要求に含まれる情報に従って、開始し、及び終了する、ことが好ましい。
[第7の形態]
(上記第2の視点による通信装置の制御方法を参照)
[第8の形態]
第7の形態に記載の通信装置の制御方法は、前記無線機能の制御を行うステップは、前記無線LAN機能部の無線機能の停止を行い、前記期間の経過後、前記無線LAN機能部の無線機能の許可を行うことを含む、ことが好ましい。
[第9の形態]
(上記第3の視点によるプログラムを参照)
[第10の形態]
第9の形態に記載のプログラムは、前記無線機能の制御を行う処理は、前記無線LAN機能部の無線機能の停止を行い、前記期間の経過後、前記無線LAN機能部の無線機能の許可を行うことを含む、ことが好ましい。
なお、上記第7及び9の形態は、第1の形態と同様に、第2から第6の形態に展開することが可能である。
【0055】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0056】
10 ホームゲートウェイ装置(通信装置)
11 OLT
12 パーソナルコンピュータ(PC)
13 スマートフォン
14 電話機
15 IP網
16 無線LAN
17 有線LAN
18 回線
19 光ケーブル
21 CPU
22 無線LAN回路部
23 有線LAN回路部
24 光電話回路部
25 ONU回路部
100 加入者宅
121 制御部
122 無線LAN機能部
123 アンテナ
125 ONU機能部
221、222、223、224 アンテナ
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置