(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-24
(45)【発行日】2024-05-07
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
F01N 3/08 20060101AFI20240425BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20240425BHJP
【FI】
F01N3/08 B
E02F9/00 D
(21)【出願番号】P 2020192429
(22)【出願日】2020-11-19
【審査請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長南 悠太
(72)【発明者】
【氏名】野井 剛志
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智之
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/192318(WO,A1)
【文献】特開2012-225304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0026306(US,A1)
【文献】特開2016-131166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に配置され、尿素水を貯える尿素水タンクと、
前記尿素水タンク内に挿入されたセンサユニットとを備え、
前記センサユニットは、
前記尿素水タンク内から尿素水を吸い上げるための尿素水供給管と、
前記尿素水タンク内の尿素水を温める加温部材と、
前記尿素水の状態を検出する状態検出センサと、
前記尿素水供給管の吸込み側となる上流端側、および、前記加温部材を囲むカバー部材とを有する建設機械において、
前記加温部材は、水平方向に延びる拡張部を有しており、
前記尿素水供給管の上流端側とフィルタとは、可撓性を有するホースによって接続されており、
前記カバー部材は、前記加温部材の前記拡張部および前記フィルタを上側から覆う覆い部と、前記覆い部の下側に位置して上下方向に開閉可能に設けられ、前記フィルタを下側から支持する開閉部とを有していることを特徴とする建設機械。
【請求項2】
前記カバー部材の前記覆い部は、前記センサユニットの前記尿素水供給管および前記加温部材が上下方向に通過する切り欠きが設けられた上面部と、上面部から下側に向けて延びる側面部とにより形成されており、
前記カバー部材の前記開閉部は、前記側面部に設けられたピンにより回転可能に前記側面部に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記覆い部の前記上面部に設けられた固定具によって、前記上面部の前記切り欠きを通過する前記尿素水供給管または前記加温部材に固定されていることを特徴とする請求項2に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば、油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ等の建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械の代表例としての油圧ショベルは、走行可能な車体と、車体に設けられたエンジンと、エンジンからの排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置とを備えている。排気ガス浄化装置としては、例えば、ディーゼルエンジンの排気ガス中の窒素酸化物(Nox)を浄化する尿素SCRシステムが採用されている(SCR:Selective Catalytic Reduction)。
【0003】
この場合、例えば、特許文献1,2に記載されているように、排気ガス浄化装置は、エンジンの排気管に接続され排気ガス中の窒素酸化物を除去する尿素選択還元触媒と、液体還元剤である尿素水を尿素選択還元触媒の上流側に噴射する尿素水噴射弁と、尿素水噴射弁に供給される尿素水を貯える尿素水タンクと、尿素水タンク内の尿素水を温める発熱部材(加温部材)と、尿素水タンク内の尿素水の状態(例えば、品質、温度等)を測定するセンサとを備えている。発熱部材は、尿素水が凍結したときに、尿素水の解凍を行う。センサは、センサに気泡が付着することを抑制し、尿素水の検出精度を確保できるように、覆い部材(カバー部材)で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-161255号公報(特許第6212411号公報)
【文献】特開2019-143504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に記載された従来技術によれば、尿素水タンク内から尿素水を吸込むための吸込み管(還元剤吸込配管5)の上流端側(吸込部51)は、発熱部材(折り返し配管32)と共に覆い部材(覆部材4)で覆われている。ここで、吸込み管の吸込み口のなる上流端側に、尿素水中の異物を分離するためのフィルタを設けることを考える。この場合、フィルタも発熱部材と共に覆い部材で覆われる構成となり、そのままでは、フィルタの交換作業が面倒になる可能性がある。
【0006】
本発明の目的は、尿素水タンクの吸込み管(尿素水供給管)の吸込み側(上流端側)に設けられるフィルタの交換作業を容易に行うことができる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、車体に配置され、尿素水を貯える尿素水タンクと、前記尿素水タンク内に挿入されたセンサユニットとを備え、前記センサユニットは、前記尿素水タンク内から尿素水を吸い上げるための尿素水供給管と、前記尿素水タンク内の尿素水を温める加温部材と、前記尿素水の状態を検出する状態検出センサと、前記尿素水供給管の吸込み側となる上流端側、および、前記加温部材を囲むカバー部材とを有する建設機械において、前記加温部材は、水平方向に延びる拡張部を有しており、前記尿素水供給管の上流端側とフィルタとは、可撓性を有するホースによって接続されており、前記カバー部材は、前記加温部材の前記拡張部および前記フィルタを上側から覆う覆い部と、前記覆い部の下側に位置して上下方向に開閉可能に設けられ、前記フィルタを下側から支持する開閉部とを有している。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、尿素水供給管の上流端側に設けられるフィルタの交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態による油圧ショベルを示す右側面図である。
【
図2】油圧ショベルの上部旋回体をキャブ、建屋カバー等を省略した状態で示す平面図である。
【
図3】エンジン、尿素水タンク、排気ガス浄化装置等を示す回路図である。
【
図4】センサユニットが取付けられた尿素水タンクを示す斜視図である。
【
図6】尿素水供給管、加温部材(加温管)、カバー部材、固定具等を示す斜視図である。
【
図7】尿素水供給管、加温部材、状態検出センサ、フィルタ等を示す斜視図である。
【
図8】カバー部材、尿素水供給管、加温部材等を示す側面図である。
【
図9】カバー部材の開閉部が開いた状態を示す
図8と同様位置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態による建設機械を、油圧ショベルに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0011】
図1において、建設機械の代表例である油圧ショベル1は、クローラ式の油圧ショベルとして構成されている。即ち、建設機械としての油圧ショベル1は、走行可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に設けられた旋回装置3と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に設けられ掘削作業等を行う多関節構造のフロント作業装置5(以下、作業装置5という)とを備えている。この場合、下部走行体2と上部旋回体4は、油圧ショベル1の車体(油圧ショベル本体)を構成している。
【0012】
下部走行体2は、左,右の履帯2Aを周回駆動させる左,右の走行用油圧モータ(図示せず)を備えている。上部旋回体4は、旋回軸受、旋回用油圧モータ、減速機構等を含んで構成される旋回装置3を介して、下部走行体2上に搭載されている。作業装置5は、例えば、ブーム5A、アーム5B、作業具としてのバケット5Cを備えている。作業装置5は、ブーム5Aを駆動するブームシリンダ5D、アーム5Bを駆動するアームシリンダ5E、バケット5Cを駆動する作業具シリンダとしてのバケットシリンダ5Fを備えている。
【0013】
上部旋回体4は、支持構造体をなす旋回フレーム6と、旋回フレーム6の後側に設けられ、作業装置5との重量バランスをとるカウンタウエイト7と、旋回フレーム6の前部左側に設けられオペレータが搭乗するキャブ8と、カウンタウエイト7の前側に設けられ、内部にエンジン10、熱交換器14、排気ガス浄化装置18等を収容する建屋カバー9とを含んで構成されている。実施の形態では、上部旋回体4は、エンジン10と、排気ガス浄化装置18(尿素選択還元触媒22、尿素水タンク25、センサユニット28等)とを備えている。
【0014】
キャブ8の内部には、オペレータが着席する運転席、油圧ショベル1を操作するための操作装置である走行用レバー・ペダル操作装置および作業用レバー操作装置(いずれも図示せず)等が設けられている。オペレータは、走行用レバー・ペダル操作装置および作業用レバー操作装置を操作することにより、下部走行体2による走行動作、上部旋回体4の旋回動作、作業装置5による掘削作業等を行うことができる。
【0015】
エンジン10は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6上に左,右方向に延びる横置き状態で設けられている。エンジン10は、油圧ショベル1の原動機(駆動源)を構成するものであり、ディーゼルエンジン(内燃機関)によって構成されている。エンジン10の左側には、熱交換器14に冷却風を供給するための冷却ファン10Aが設けられている。エンジン10の右側には、油圧ポンプ15が設けられている。
【0016】
図3に示すように、エンジン10内には、稼働時の温度上昇を抑えるためのエンジン冷却水が流通するウォータジャケット10Bが設けられている。ウォータジャケット10Bの流入側には、エンジン冷却水を循環させる冷却水ポンプ10Cが設けられている。ウォータジャケット10Bの流出側は、熱交換器14(ラジエータ14A)の流入口と冷却水ポンプ10Cの吸込み口とに接続されている。
【0017】
熱交換器14(ラジエータ14A)の流出口と冷却水ポンプ10Cの吸込み口との間には、サーモスタット10Dが設けられている。エンジン冷却水は、冷却水ポンプ10Cの駆動によりウォータジャケット10B内を循環する。エンジン冷却水の温度が高くなると、サーモスタット10Dが開弁する。これにより、エンジン冷却水が熱交換器14(ラジエータ14A)側に流れ、エンジン冷却水の温度を適温に維持することができる。
【0018】
このように、実施の形態では、エンジン冷却水の温度を適温に維持するためのエンジン冷却システム11を備えている。エンジン冷却システム11は、ウォータジャケット10Bと、冷却水ポンプ10Cと、熱交換器14(ラジエータ14A)と、これらを接続する冷却管路12とにより構成されている。冷却管路12は、例えば、ウォータジャケット10Bの流出口とラジエータ14Aの流入口とを接続するラジエータ接続管路12Aと、ウォータジャケット10Bの流出口と冷却水ポンプ10Cの吸込み口とを接続する戻り管路12Bと、ラジエータ14Aの流出口と冷却水ポンプ10Cの吸込み口とを接続するラジエータ側戻り管路12Cと備えている。
【0019】
後述するように、エンジン10を冷却して温度上昇したエンジン冷却水(温水)の一部は、尿素水タンク25内の尿素水の温め(加温)にも用いられる。即ち、エンジン冷却水は、エンジン10を冷却する冷却流体(冷媒)として用いられることに加えて、尿素水タンク25内の尿素水を温める加温流体(熱媒)としても用いられる。このため、実施の形態では、尿素水タンク25内の尿素水を温める尿素水加温システム33を備えている。尿素水加温システム33の加温管路34は、エンジン冷却システム11の冷却管路12と接続されている。
【0020】
図2に示すように、エンジン10には、排気ガスを排出するための排気管13が接続されている。排気管13は、エンジン10の前側を左,右方向に延びる金属製の排気管路として形成されている。排気管13は、エンジン10から排出された高温の排気ガスを排気ガス後処理装置19へと導く。
【0021】
熱交換器14は、エンジン10の左側に配設されている。熱交換器14は、エンジン10の冷却ファン10Aに対面して設けられている。熱交換器14は、例えば、エンジン10のウォータジャケット10B内を流通して加温された冷却水を冷却するラジエータ14A、作動油を冷却するオイルクーラ、エンジン10が吸込む空気を冷却するインタクーラ(いずれも図示せず)等により構成されている。
【0022】
油圧ポンプ15は、エンジン10の右側に設けられている。油圧ポンプ15は、エンジン10によって駆動されることにより、作動油タンク16に貯溜された作動油を圧油として吐出する。油圧ポンプ15から吐出された圧油は、コントロールバルブ装置(図示せず)を介して油圧アクチュエータ(例えば、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5F、旋回用油圧モータ、走行用油圧モータ)に供給される。
【0023】
作動油タンク16は、油圧ポンプ15の前側に位置して旋回フレーム6の右側に設けられている。作動油タンク16は、油圧アクチュエータを駆動するための作動油を貯える。燃料タンク17は、作動油タンク16の前側に位置して旋回フレーム6に設けられている。
【0024】
コントロールバルブ装置は、複数の方向制御弁からなる制御弁群である。コントロールバルブ装置は、油圧ポンプ15から吐出された圧油を、キャブ8内の走行用レバー・ペダル操作装置および作業用レバー操作装置の操作に応じて、油圧アクチュエータに分配する。即ち、コントロールバルブ装置は、オペレータによる走行用レバー・ペダル操作装置および作業用レバー操作装置のレバー操作、ペダル操作に応じて、油圧ポンプ15から吐出された圧油を油圧アクチュエータに供給または排出する。
【0025】
次に、排気ガス浄化装置18について説明する。
【0026】
排気ガス浄化装置18は、エンジン10からの排気ガスを浄化する。排気ガス浄化装置18は、例えば、エンジン10の右側で油圧ポンプ15の上側に配設されている。排気ガス浄化装置18は、エンジン10から排出される排気ガス中の有害物質を除去する。排気ガス浄化装置18は、排気ガスの騒音を低減するための消音機構を備えている。排気ガス浄化装置18は、尿素選択還元触媒22および尿素水噴射弁24を有する排気ガス後処理装置19、尿素水タンク25、尿素水管路26、尿素水供給装置27、センサユニット28を備えている。
【0027】
排気ガス後処理装置19は、排気管13の出口側に接続されている。排気ガス後処理装置19は、例えば前,後方向に延びる円筒状の筒体20と、筒体20内に設けられた第1酸化触媒21、尿素選択還元触媒22、第2酸化触媒23および尿素水噴射弁24とを含んで構成されている。
【0028】
筒体20は、両端が閉塞された密閉容器として形成され、上流側となる前側部位には排気管13が接続されている。筒体20には、下流側となる後側部位に位置して尾管20Aが設けられている。筒体20内には、第1酸化触媒21、尿素選択還元触媒22および第2酸化触媒23が長さ方向に間隔をもって配置されている。筒体20には、第1酸化触媒21と尿素選択還元触媒22との間に位置して尿素水噴射弁24が取付けられている。
【0029】
第1酸化触媒21は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数個の貫通孔が形成され、内面に貴金属等がコーティングされている。第1酸化触媒21は、所定の温度下で各貫通孔に排気ガスを流通させることにより、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去する。第1酸化触媒21は、必要に応じて粒子状物質(PM)も燃焼除去する。
【0030】
尿素選択還元触媒22は、例えばセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。尿素選択還元触媒22は、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する。即ち、尿素選択還元触媒22は、エンジン10から排出される排気ガスに含まれる窒素酸化物を、尿素水(尿素水溶液)から生成されたアンモニアによって選択的に還元反応させ、窒素と水に分解する。
【0031】
第2酸化触媒23は、第1酸化触媒21とほぼ同様に、セラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に貴金属がコーティングされている。第2酸化触媒23は、尿素選択還元触媒22で窒素酸化物を還元した後に残った残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離する。
【0032】
尿素水噴射弁24は、第1酸化触媒21と尿素選択還元触媒22との間に位置して筒体20に取付けられている。尿素水噴射弁24は、筒体20内を流通する排気ガスに向けて尿素水溶液を噴射する。即ち、尿素水噴射弁24は、尿素水管路26を介して尿素水タンク25に接続され、液体還元剤である尿素水を尿素選択還元触媒22よりも上流側に位置して筒体20内に噴射する。
【0033】
尿素水タンク25は、尿素選択還元触媒22の還元剤(液体還元剤)である尿素水を貯える。
図2に示すように、尿素水タンク25は、設置場所の一例として、燃料タンク17よりも前側に位置して旋回フレーム6に設けられている。即ち、尿素水タンク25は、車体(上部旋回体4)、具体的には、旋回フレーム6の前側で、かつ、作業装置5を挟んでキャブ8とは車体(車両)の左,右方向の反対側に配置されている。
図3に示すように、尿素水タンク25は、尿素水管路26および尿素水供給装置27を介して尿素水噴射弁24に接続されている。尿素水タンク25内の尿素水は、尿素水供給装置27の駆動により尿素水管路26内を流通して尿素水噴射弁24に供給される。
【0034】
尿素水管路26は、尿素水タンク25と尿素水噴射弁24との間を接続する。尿素水管路26は、例えば金属製または樹脂製の管体等からなり、尿素水タンク25内に貯えられた尿素水を尿素水噴射弁24に向けて流通させる。尿素水管路26は、尿素水タンク25と尿素水供給装置27との間を接続する上流側尿素水供給管路26Aと、尿素水供給装置27と尿素水噴射弁24との間を接続する下流側尿素水供給管路26Bと、尿素水供給装置27と尿素水タンク25とを接続する尿素水戻り管路26Cとを備えている。尿素水タンク25の尿素水は、上流側尿素水供給管路26A、尿素水供給装置27、下流側尿素水供給管路26Bを通じて尿素水噴射弁24に供給される。尿素水供給装置27で余剰となった尿素水は、尿素水戻り管路26Cを通じて尿素水タンク25に戻される。
【0035】
尿素水供給装置27は、尿素水管路26の途中、即ち、上流側尿素水供給管路26Aと下流側尿素水供給管路26Bとの間に設けられている。尿素水供給装置27は、尿素水タンク25から尿素水噴射弁24に向けて尿素水を供給する。尿素水供給装置27は、例えば、ポンプ、切換弁、コントローラ等により構成され、運転状況(例えば排気ガスの排出量等)に応じて尿素水噴射弁24に所望の尿素水を供給する。尿素水供給装置27は、尿素水タンク25から上流側尿素水供給管路26Aを通じて尿素水タンク25内の尿素水を吸込み、吸込んだ尿素水のうちからその時点の運転状況に応じた噴霧すべき尿素水を、下流側尿素水供給管路26Bを通じて尿素水噴射弁24に供給する。尿素水供給装置27で余剰となった尿素水は、尿素水供給装置27から尿素水戻り管路26Cを通じて尿素水タンク25に戻される。
【0036】
次に、尿素水タンク25およびセンサユニット28について説明する。
【0037】
図3に示すように、尿素水タンク25は尿素水Wを貯える。
図4に示すように、尿素水タンク25は、タンク本体25Aと、キャップ25Bとを含んで構成されている。タンク本体25Aは、例えば、鋼板等の金属板にプレス加工等を施すことにより、または、合成樹脂をブロー成形、射出成形することにより、横断面形状が略矩形の中空なボックス体として形成されている。タンク本体25Aの上側の角部には、給水口25A1が設けられている。キャップ25Bは、タンク本体25Aの給水口25A1に着脱可能に取付けられている。
【0038】
タンク本体25Aの上側の中央部には、センサユニット28が取付けられるセンサユニット取付孔25A2が設けられている。センサユニット取付孔25A2は、上,下方向に貫通する貫通孔(開口)としてタンク本体25Aの上面側に形成されている。センサユニット取付孔25A2は、センサユニット28の蓋体28Aによって塞がれる。
【0039】
センサユニット28は、尿素水タンク25内に挿入されている。センサユニット28は、尿素水の状態(温度、品質等)の検出を行うことに加えて、尿素水の給水(吸込み、吸い上げ)、尿素水の排水(戻し)、および、尿素水の加温(温め)も行うユニット、即ち、「尿素水の検出・給水・排水・加温ユニット」として構成されている。このために、センサユニット28は、尿素水供給管29と、尿素水戻し管30と、加温部材としての加温管31と、状態検出センサ32(
図7,9参照)とを備えている。後述するように、センサユニット28は、フィルタ41(
図7,9参照)と、カバー部材51とを備えている。
【0040】
ここで、センサユニット28は、尿素水供給管29と尿素水戻し管30と加温管31と状態検出センサ32とを一体的に組立ててなる組立体(アッセンブリ)として構成されている。このために、センサユニット28は、センサユニット取付孔25A2を閉塞する蓋体28Aを備えている。蓋体28Aには、尿素水供給管29、尿素水戻し管30、加温管31および状態検出センサ32(の接続ラインとなる電線)が貫通して設けられている。
【0041】
尿素水供給管29は、尿素水タンク25内から尿素水を吸い上げる。即ち、尿素水供給管29は、尿素水タンク25内に貯溜されている尿素水を尿素水供給装置27(尿素水噴射弁24)に供給(給水)する供給管である。尿素水供給管29は、例えば、金属製または樹脂製の管体等により形成することができる。尿素水供給管29は、尿素水管路26(上流側尿素水供給管路26A)の上流端を構成している。尿素水供給管29は、蓋体28Aを貫通してタンク本体25A内の底部付近まで延びている。後述するように、尿素水供給管29の吸込み口を備える上流端側は、加温管31の拡張部31Aとほぼ同様の深さ位置まで延びると共に、可撓性を有するホース42を介してフィルタ41と接続されている(
図7参照)。
【0042】
尿素水戻し管30は、尿素水供給装置27から尿素水噴射弁24に供給されなかった尿素水、即ち、尿素水供給装置27で余剰となった尿素水を尿素水タンク25内に戻す排水管である。尿素水戻し管30は、例えば、金属管または樹脂製の管体等により形成することができる。尿素水戻し管30は、尿素水管路26(尿素水戻り管路26C)の下流端を構成している。尿素水戻し管30は、蓋体28Aを貫通してタンク本体25A内に延びている。尿素水戻し管30の吐出口を備える下流端側は、例えば、後述のカバー部材51の覆い部52とほぼ同様の深さ位置まで延びている。
【0043】
加温管31は、尿素水タンク25内に配設されている。加温管31は、エンジン冷却水が流通することにより、尿素水タンク25内の尿素水を温めるエンジン冷却水管として構成されている。加温管31は、例えば、金属管により形成することができる。加温管31は、後述の尿素水加温システム33を構成している。加温管31は、蓋体28Aの下側で上下方向に中空状に巻回(1周)しており、かつ、タンク本体25Aの底部側で水平方向に中空状に巻回(2周)している。即ち、加温管31は、拡張部31Aを有している。拡張部31Aは、尿素水タンク25内の底部側(タンク本体25Aの底部側)に位置して水平方向に延びると共に、上下方向に貫通する開口が形成されている。
【0044】
このように、加温管31は、タンク本体25Aの底部側で水平方向に延びる拡張部31Aを設けることにより、この拡張部31Aによって水平方向に広い範囲を加温できるように構成している。これにより、センサユニット28は、尿素水タンク25内に挿入された状態で、尿素水タンク25内の下側に位置するユニット下部部位28B(拡張部31A)の横断面形状(横断面積)がユニット下部部位28Bよりも上側に位置するユニット上部部位28Cの横断面形状よりも大きく構成されている。即ち、センサユニット28の下側(ユニット下部部位28B)は、加温管31の拡張部31Aによって他の部分(ユニット上部部位28C)よりも横断面形状が大きくなっている。
【0045】
状態検出センサ32は、尿素水の状態(例えば、尿素水の品質、温度等)を検出する検出センサ(品質センサ)である。状態検出センサ32は、例えば、尿素水の濃度を検出する濃度センサ、尿素水の温度を検出する温度センサ、尿素水の液面の位置を検出する液面センサ、尿素水タンク25内の液体を識別する識別センサ、尿素水の品質を検出する超音波センサ等により構成されている。この場合、状態検出センサ32は、尿素水の状態を検出する複数種類のセンサの組み合わせとして構成してもよいし、複数種類のセンサのうちのいずれかのセンサ(例えば、温度センサ)を単体で用いてもよい。
【0046】
尿素水加温システム33は、尿素水タンク25内の尿素水を温める。実施の形態では、尿素水加温システム33は、エンジン10で加熱されたエンジン冷却水を用いて尿素水タンク25内の尿素水を温める。このために、尿素水加温システム33は、エンジン冷却システム11との間でエンジン冷却水の流通を可能にエンジン冷却システム11と接続されている。尿素水加温システム33は、センサユニット28の加温管31を用いて尿素水タンク25内の尿素水を温める。
【0047】
尿素水加温システム33は、加温管路34と、切換弁35と、加温管31とを備えている。加温管路34は、エンジン冷却システム11の戻り管路12Bの上流側と加温管31とを接続する上流側加温管路34Aと、加温管31と戻り管路12Bの下流側とを接続する下流側加温管路34Bとを備えている。
【0048】
切換弁35は、上流側加温管路34Aの途中に設けられている。即ち、切換弁35は、加温管31にエンジン冷却水を供給する加温管路34の途中に設けられている。切換弁35は、加温管31にエンジン冷却水を供給するか否かを切換える切換弁である。切換弁35は、例えば2ポート2位置の電磁切換弁により構成されている。
【0049】
切換弁35は、加温管31にエンジン冷却水を供給する連通位置と、加温管31に対するエンジン冷却水の供給を停止する遮断位置との2つの切換位置を有している。切換弁35は、例えば、尿素水タンク25内の尿素水の温度に応じて連通位置または遮断位置に自動的に切換わる構成とすることができる。切換弁35は、例えば、キャブ8の運転席の近傍に設けられた切換スイッチの操作に基づいて手動での切換えを可能に構成することができる。
【0050】
加温管31は、センサユニット28に一体的に設けられている。加温管31の上流側は、上流側加温管路34Aに接続されており、加温管31の下流側は、下流側加温管路34Bに接続されている。加温管31は、切換弁35が開位置のときにエンジン冷却水が流通する。これにより、尿素水タンク25内の尿素水を温めることができる。
【0051】
ところで、尿素水タンク25内から尿素水供給装置27に清浄な尿素水を供給できるように、尿素水供給管29の上流端側(吸込み口)に、尿素水中の異物を分離するためのフィルタ41を設けることが考えられる。この場合に、状態検出センサ32の検出部(測定部)に気泡が付着することを抑制し、尿素水の検出精度を確保できるように、尿素水供給管29の上流端側とフィルタ41とを加温管31の拡張部31Aと共にカバー部材51で覆うことが考えられる。しかし、カバー部材51を設けることによって、フィルタ41の交換作業が面倒になることは好ましくない。
【0052】
そこで、実施の形態では、フィルタ41に容易にアクセスすることができ、フィルタ41の着脱を容易に行うことができるように、次の構成を採用している。即ち、
図7に示すように、実施の形態では、尿素水供給管29の上流端側とフィルタ41との間を、可撓性を有するホース42によって接続している。
図8および
図9に示すように、実施の形態では、カバー部材51は、開閉自在で、かつ、閉じているときにフィルタ41を下側から支持する開閉部53を有する構成としている。
【0053】
これにより、フィルタ41の交換を行うときは、カバー部材51の開閉部53を開くことにより、容易にフィルタ41にアクセスすることができる。フィルタ41は、ホース42を介して尿素水供給管29の上流端側と接続されているため、開閉部53を開いた状態で、フィルタ41を着脱しやすい位置へ移動することができる。油圧ショベル1が稼働しているときは、カバー部材51の開閉部53が閉まっており、開閉部53によりフィルタ41が下側から支持される。このため,実施の形態では、フィルタ41の機能を確保しつつフィルタ41の交換を容易に行うことができる。
【0054】
以下、カバー部材51の構成等について、詳しく説明する。
【0055】
図4に示すように、尿素水タンク25は、センサユニット28と共に、尿素水タンクアセンブリを構成している。
図5ないし
図9に示すように、センサユニット28は、尿素水供給管29と、尿素水戻し管30と、加温管31と、状態検出センサ32と、フィルタ41と、カバー部材51とを備えている。カバー部材51は、尿素水供給管29の吸込み側となる上流端側、および、加温管31を囲んでいる。この場合、加温管31は、尿素水タンク25内の底部側に他の部分よりも水平方向に広がった拡張部31Aを有しており、カバー部材51は、加温管31の拡張部31Aを覆っている。
【0056】
加温管31の拡張部31Aは、水平方向に延びている。これと共に、拡張部31Aは、上下方向に貫通する開口が形成されている。即ち、拡張部31Aは、加温管31の途中部分を水平方向に2周させることにより、直線部を有する長円状の巻回部(周回部)となっている。拡張部31Aの内側には、フィルタ41が配置されている。フィルタ41は、尿素水供給管29の上流端側とホース42によって連結されている。ホース42は、例えば、樹脂製、ゴム製または塩化ビニール製のホースである。
【0057】
即ち、
図7に示すように、尿素水供給管29の吸込み側(入口側)となる上流端側は、可撓性を有するホース42によって、加温管31の拡張部31Aの内側に配置されたフィルタ41に接続されている。これにより、加温管31の拡張部31Aは、フィルタ41およびホース42の一部を取り囲むように配置されている。加温管31の拡張部31Aには、状態検出センサ32(例えば、温度センサ、超音波センサ)が配置されている。センサユニット28は、状態検出センサ32により尿素水の温度、品質を検出することができ、加温管31に対するエンジン冷却水の供給により尿素水の解凍を行うことができる。
【0058】
カバー部材51は、覆い部52と、開閉部53とを有している。カバー部材51は、ピン54と、締結ボルト55(
図8)と、締結片56(
図9)とを有している。カバー部材51(覆い部52、開閉部53)は、例えば、金属製の板体を折り曲げ形成することにより形成されている。覆い部52は、加温管31の拡張部31Aおよびフィルタ41を上側から覆う。覆い部52は、センサユニット28の尿素水供給管29および加温管31が上下方向に通過する切り欠き52A1が設けられた四角形状の上面部52Aと、上面部52Aの4辺のうちの3辺からそれぞれ下側に向けて延びる3つの側面部52Bとにより箱状に形成されている。
【0059】
図6に示すように、カバー部材51は、覆い部52の上面部52Aに設けられた固定具57によって、上面部52Aの切り欠き52A1を通過する尿素水供給管29または加温管31に固定されている。固定具57は、例えば、尿素水供給管29または加温管31に取付けられている。固定具57の下端側は、カバー部材51の上面部52Aに取付けられている。なお、固定具57は、
図6のみ示しており、
図5等では省略している。
【0060】
図8および
図9に示すように、カバー部材51の開閉部53は、覆い部52の下側に位置して上下方向に開閉可能に設けられている。開閉部53は、
図8に示す閉じた状態で、フィルタ41を下側から支持する。ピン54は、覆い部52と開閉部53との間に設けられており、覆い部52に対して開閉部53を開閉可能に支持する。これにより、開閉部53は、側面部52Bに設けられたピン54によりピン54を中心とする回転を可能に側面部52Bに支持されている。
【0061】
図8に示すように、締結具としての締結ボルト55は、覆い部52に対して開閉部53を閉じた状態で固定する。締結ボルト55は、覆い部52に対して開閉部53を閉じた状態で、覆い部52に設けられた締結片56(
図9参照)のねじ孔に螺着される。
図9に示すように、締結片56から締結ボルト55を外すと、開閉部53を覆い部52に対して開くことができる。
【0062】
このように、実施の形態では、カバー部材51は、覆い部52と開閉部53とがピン54により連結されており、開閉部53が覆い部52に対して開閉可能となっている。開閉部53を覆い部52に対して閉じた状態を維持するために、開閉部53と覆い部52は、締結ボルト55によって互いに締結可能となっている。フィルタ41は、閉じた状態の開閉部53によって支持される。即ち、
図9は、カバー部材51の開閉部53を開いた状態を示しているが、この状態では、開閉部53がフィルタ41を支持しない。この場合、ホース42は、可撓性を有している(変形可能である)ため、フィルタ41を引き出し、ホース42からフィルタ41を取外すことにより、新しいフィルタ41に交換することができる。これにより、フィルタ41としての機能を確保しつつ、フィルタ41の着脱(交換)の容易性を向上できる。
【0063】
実施の形態による油圧ショベル1は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について説明する。
【0064】
オペレータは、キャブ8に搭乗し、エンジン10を起動(始動)させる。エンジン10が起動すると、エンジン10によって油圧ポンプ15が駆動される。油圧ポンプ15から吐出した圧油は、キャブ8内に配置された走行用レバー・ペダル操作装置および作業用レバー操作装置のレバー操作、ペダル操作に応じて、走行用油圧モータ、旋回用油圧モータ、ブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5F等に向けて吐出する。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体4の旋回動作、作業装置5による掘削作業等を行うことができる。
【0065】
エンジン10の運転時に、エンジン10から排出される排気ガスは、排気管13および排気ガス後処理装置19を通過して大気中に排出される。この場合、排気ガス後処理装置19に設けられた第1酸化触媒21によって、排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等が酸化して除去される。必要に応じて粒子状物質(PM)が燃焼して除去される。第1酸化触媒21の下流側では、尿素水噴射弁24から排気ガスに向けて尿素水が噴射され、尿素選択還元触媒22によって窒素酸化物が窒素と水に分解される。さらに、第2酸化触媒23が残留アンモニアを酸化し、窒素と水に分離することにより、十分に浄化された排気ガスを大気中に排出することができる。
【0066】
ここで、エンジン10が駆動しており、かつ、尿素水加温システム33の切換弁35が連通位置に切換えられているときは、尿素水タンク25内の尿素水は、加温管31を流通するエンジン冷却水によって加温される(温められる)。このため、油圧ショベル1を尿素水が凍結するような寒冷地で使用する場合でも、凍結した尿素水をエンジン冷却水によって解凍し、その解凍された尿素水を尿素水噴射弁24に送ることができる。
【0067】
センサユニット28のフィルタ41を交換するときは、カバー部材51の締結ボルト55を取外し、覆い部52に対して開閉部53を開く。この状態で、
図9に示すように、覆い部52の開口側からフィルタ41を引き出す。引き出されたフィルタ41は、ホース42から取外し、新たなフィルタ41をホース42に取付ける。新たなフィルタ41をホース42に取付けたら、フィルタ41を覆い部52内(加温管31の拡張部31Aの内側)に入れ込むと共に、開閉部53を閉じ、締結ボルト55を締結片56に螺着する。この一連の作業により、センサユニット28のフィルタ41を交換することができる。
【0068】
以上のように、実施の形態によれば、尿素水供給管29の上流端側とフィルタ41とは、ホース42によって接続されている。そして、フィルタ41は、カバー部材51の覆い部52に開閉可能に設けられた開閉部53によって支持されている。このため、フィルタ41を交換するときに、カバー部材51の開閉部53を開くことにより、カバー部材51の覆い部52からフィルタ41を引き出すことができる。即ち、カバー部材51の開閉部53を開くと、フィルタ41に容易にアクセスすることができる。
【0069】
そして、尿素水供給管29の上流端側とフィルタ41とが可撓性を有するホース42によって接続されているため、フィルタ41を着脱(取付け、取外し)し易い位置に移動させることができる。これにより、尿素水供給管29の上流端側に設けられるフィルタ41の交換作業を容易に行うことができる。建設機械である油圧ショベル1の普段の稼働時は、フィルタ41はカバー部材51の開閉部53によって下側から支持されるため、カバー部材51内のフィルタ41を通じて異物が除去された尿素水を安定して吸込むことができる。この結果、フィルタ41としての機能を確保しつつフィルタ41の交換を容易に行うことができる。
【0070】
実施の形態によれば、カバー部材51の開閉部53は、覆い部52に設けられたピン54により回転可能に支持されている。このため、開閉部53は、ピン54を中心に回転させることで、覆い部52に対して容易に開閉させることができる。これにより、この面からも、フィルタ41の交換作業を容易に行うことができる。
【0071】
実施の形態によれば、カバー部材51は、覆い部52の上面部52Aに設けられた固定具57によって尿素水供給管29または加温管31に固定されている。このため、カバー部材51を固定具57によって安定して支持することができ、カバー部材51がセンサユニット28から分離することを阻止できる。
【0072】
なお、実施の形態では、センサユニット28は、尿素水供給管29と尿素水戻し管30と加温管31と状態検出センサ32とを備える構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、センサユニットと尿素水戻し管とを別々に設ける(尿素水戻し管をセンサユニットとは別体に設ける)構成としてもよい。即ち、センサユニットは、尿素水供給管と加温部材と状態検出センサとにより構成してもよい。尿素水戻し管は、例えば、2本設ける構成としてもよい。この場合、例えば、一方の尿素水戻し管をセンサユニットに備える構成とし、かつ、他方の尿素水戻し管をセンサユニットとは別に配置してもよい。両方の尿素水戻し管をセンサユニットとは別に配置してもよい。
【0073】
実施の形態では、上流側加温管路34Aの途中に切換弁35を設ける構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、切換弁を省略してもよい。即ち、エンジン(冷却水ポンプ)が駆動しているときに、供給管路(上流側加温管路)を通じて加温管にエンジン冷却水が常時供給される構成としてもよい。
【0074】
実施の形態では、尿素水加温システム33として、エンジン10で加熱されたエンジン冷却水を用いて尿素水タンク25内の尿素水を温める構成とした場合を例に挙げて説明した。換言すれば、実施の形態では、エンジン冷却水が流通する加温管31を尿素水タンク25の尿素水を温める加温部材とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、尿素水加温システムとして、尿素水タンク内の尿素水を電力で温める構成を採用してもよい。即ち、尿素水タンクの尿素水を温める加温部材とし、電力の供給により発熱する電熱ヒータ(電熱装置、電熱器)を用いてもよい。この場合、電熱ヒータは、尿素水タンク内の底部側に開口が形成された拡張部を有する構成とし、拡張部の内側にフィルタを配置することができる。
【0075】
実施の形態では、尿素水タンク25を燃料タンク17よりも前側、即ち、旋回フレーム6の前側に配置した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、尿素水タンクは、旋回フレームの前側以外の場所、例えば、カウンタウエイトの前側、エンジンの前側等に配置してもよい。
【0076】
実施の形態では、下部走行体2と上部旋回体4とにより車体を構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、旋回体を有しない車体(例えば、前輪を有する前部車体と後輪を有する後部車体とを連結軸を介して屈曲可能に連結してなるアーティキュレート式の車体)としてもよい。
【0077】
実施の形態では、建設機械として、クローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、ホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ、ブルドーザ、ダンプトラック等、各種の建設機械に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 油圧ショベル(建設機械)
2 下部走行体(車体)
4 上部旋回体(車体)
22 尿素選択還元触媒
25 尿素水タンク
28 センサユニット
29 尿素水供給管
31 加温管(加温部材)
31A 拡張部
32 状態検出センサ
41 フィルタ
42 ホース
51 カバー部材
52 覆い部
52A上面部
52A1 切り欠き
52B 側面部
53 開閉部
54 ピン
57 固定具