(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/42 20060101AFI20240426BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240426BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/41
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019112051
(22)【出願日】2019-06-17
【審査請求日】2022-05-26
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000186588
【氏名又は名称】小林製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(72)【発明者】
【氏名】井上 喬允
【審査官】池田 周士郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-031116(JP,A)
【文献】特開2012-031068(JP,A)
【文献】特開2010-270029(JP,A)
【文献】特開2011-256292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 31/00-31/80
A61P 17/00-17/18
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)パントテン酸、パンテノール
、パントテニルエチルエーテル、パンテテインパントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ベンゾイルパントテニルエチルエーテル、ジカルボエトキシパントテン酸エチルエステル、パンテテイン、パンテチン、ホスホパンテテイン、及び/又はそれらの塩、並びに(B)ウフェナマートを含有し、
前記(A)成分を0.5~2重量%、前記(B)成分を5重量%含む、外用組成物(但し、
[i]ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、塩基により中和されてアニオン界面活性剤として機能する脂肪酸石鹸を構成する脂肪酸、及び前記塩基を含む水中油型乳化組成物
、[ii]ポリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル、アニオン界面活性剤、及びグリセリン脂肪酸エステルを含む水中油型乳化組成物、並びに[iii]紫外線吸収用皮膚外用組成物を除く)。
【請求項2】
前記(A)成分がパンテノールである、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
前記(A)成分1重量部当たり、前記(B)成分が
5~
10重量部の比率で含まれる、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
乳化組成物である、請求項1~3のいずれかに記載の外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛穴の開きを改善できる外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スキンケアへの意識は老若男女問わず向上しており、その中でも、毛穴の開きは改善したい肌の悩みの上位に常に挙げられている。毛穴は、毛穴の開口部がすり鉢状に形態を変化させることで開いて目立つことが知られており、特に頬部で顕著に視認される。
【0003】
そこで、毛穴の開きを目立たなくさせることを目的とした外用組成物として、サンキライ、シャゼンシ、ボウイ、ボウフウ、マオウ、コンズランゴ、グレープフルーツ、ブクリョウ、ブドウ、マンネンロウ、ローマカミツレ及びセイヨウネズからなる群から選ばれる1種以上の植物若しくはその抽出物、トサカ抽出物及び/又はトレハロースを含有するケラチノサイト収縮促進剤(特許文献1)、ホウセンカ抽出物を有効成分とする毛穴収縮剤(特許文献2)、ガゴメコンブ(Kjellmaniella crassifolia)等の海藻抽出物を有効成分とする毛穴収縮剤(特許文献3)、ナデシコ科ナデシコ属(Dianthus)の抽出物を有効成分とする毛穴目立ち予防・改善剤(特許文献4)等が知られている。
【0004】
一方、パンテノールは、細胞賦活化作用、毛髪保護作用、保湿作用等、様々な効果を有する成分として外用組成物に配合して用いられている。例えば、パンテノールをコハク酸及びキレート剤と組み合わせることにより、パンテノールによる毛髪保護作用が向上され、キューティクルの剥離が抑制されること(特許文献5)が知られている。また、ニコチン酸アミドをパンテノール及び塩酸ピリドキシンと組み合わせることにより、ニコチン酸アミドによる色素沈着防止効果が向上しシミに対する治療効果が得られること(特許文献6)が知られている。
【0005】
また、ウフェナマートは、非ステロイド系抗炎症剤として、医薬品又は医薬部外品の皮膚外用剤に配合して用いられている。例えば、特許文献7には、ウフェナマート等の非ステロイド系抗炎症剤と、特定のアミド誘導体とを含む皮膚外用剤が、薬効の持続性に優れるだけでなく、肌自身にうるおいを与え、皮膚刺激性が低く、肌荒れ改善効果に優れ、しかも使用感が良好であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-161666号公報
【文献】特開2009-173598号公報
【文献】特開2015-030675号公報
【文献】特開2016-222564号公報
【文献】特開2017-88574号公報
【文献】特開2007-176810号公報
【文献】特開平11-302198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~5に記載の毛穴の開きを目立たなくさせることを目的とした外用組成物は植物エキスを有効成分としている。しかし、植物エキスには特有の蛋白質又は糖蛋白質等のアレルゲンが含まれていたり、外用組成物基剤に溶解することで不安定となったりすることで、肌質によっては、アレルギーや炎症を起こすことも考えられる。
【0008】
そこで、本発明は、毛穴の開きを目立たなくさせることを目的とした外用組成物の新たな製剤処方を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、これまで毛穴の開きに対する改善効果が知られていない、パントテン酸、パントテン酸誘導体、及び/又はそれらの塩とウフェナマートとを組み合わせることで、毛穴の開きを目立たなくさせる効果が備わることを見出した。本発明は、この知見に基づいて更に検討を重ねることにより完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. (A)パントテン酸、パントテン酸誘導体、及び/又はそれらの塩、並びに(B)ウフェナマートを含有する、外用組成物。
項2. 前記(A)成分がパンテノールである、項1に記載の外用組成物。
項3. 前記(A)成分を0.1~3重量%含む、項1又は2に記載の外用組成物。
項4. 前記(B)成分を1~20重量%含む、項1~3のいずれかに記載の外用組成物。
項5. 前記(A)成分1重量部当たり、前記(B)成分が0.3~200重量部の比率で含まれる、項1~4のいずれかに記載の外用組成物。
項6. 乳化組成物である、項1~5のいずれかに記載の外用組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明の外用組成物によると、毛穴の開きを改善することができる。つまり、本発明の外用組成物によると、毛穴を収縮させることで毛穴の開きを目立たなくし、更に視認できる毛穴の数を減らすことが可能になる。このため、毛穴の開きが特に顕著である頬部に対しても効果的に毛穴の開きを目立たなくさせることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
外用組成物
本発明の外用組成物は、(A)パントテン酸、パントテン酸誘導体、及び/又はそれらの塩(以下、「(A)成分」とも記載する)、並びに(B)ウフェナマート(以下、「(B)成分」とも記載する)、を含有することを特徴とする。以下、本発明の外用組成物について詳述する。
【0013】
(A)パントテン酸、パントテン酸誘導体、及び/又はそれらの塩
本発明の外用組成物は、(A)成分としてパントテン酸、パントテン酸誘導体、及び/又はそれらの塩を含有する。パントテン酸は、N-(2,4-ジヒドロキシ-3,3-ジメチルブチリル)-β-アラニンとも称され、ビタミンB群に含まれる化合物として公知の成分である。
【0014】
パントテン酸の誘導体としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、パンテノール、パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、パンテテインパントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ベンゾイルパントテニルエチルエーテル、ジカルボエトキシパントテン酸エチルエステル、パンテテイン、パンテチン、ホスホパンテテイン等が挙げられる。これらのパントテン酸の誘導体は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0015】
パントテン酸又はパントテン酸誘導体の塩としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらのパントテン酸又はパントテン酸誘導体の塩は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0016】
本発明においては、(A)成分として、パントテン酸、パントテン酸誘導体、及びそれらの塩の中から、1種のみを単独で使用することもでき、また2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0017】
上記の(A)成分の中でも、より優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、パントテン酸誘導体又はその塩が挙げられ、より好ましくはパントテン酸誘導体が挙げられ、更に好ましくはパンテノールが挙げられる。
【0018】
本発明の外用組成物中の(A)成分の含有量としては特に限定されないが、総量で、例えば0.1~3重量%、好ましくは0.1~2重量%、より好ましくは0.5~2重量%が挙げられる。
【0019】
(B)ウフェナマート
本発明の外用組成物は、(B)成分としてウフェナマートを含有する。ウフェナマートは、フルフェナム酸ブチルとも称され、水難溶性の非ステロイド性抗炎症薬として公知の成分である。
【0020】
本発明の外用組成物において、(B)成分の含有量については特に限定されないが、例えば1~20重量%、好ましくは2~10重量%が挙げられる。より優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、(B)成分の含有量としては、好ましくは3~10重量%、より好ましくは3~7重量%が挙げられる。
【0021】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の比率については、(A)成分及び(B)成分の各含有量に応じて定まるが、より優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、例えば、(A)成分1重量部当たりの(B)成分の含有量として、0.3~200重量部、好ましくは0.3~40重量部、更に好ましくは1~40重量部が挙げられる。更に優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、(A)成分1重量部当たりの(B)成分の含有量として、好ましくは5~20重量部、より好ましくは5~10重量部が挙げられる。
【0022】
油分
本発明の外用組成物は、さらに、油分を含有することができる。油分は、製剤形態等に応じて適宜使用することができ、例えば、本発明の外用組成物が乳化組成物である場合の油相として、又は、本発明の外用組成物が油性ゲル状組成物である場合の基剤として使用される。
【0023】
本発明で使用される油分については、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、液状油、固形油、高級アルコール等が挙げられる。これらの油分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
本発明の外用組成物に油分を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、5~60重量%、好ましくは10~40重量%、より好ましくは20~30重量%が挙げられる。
【0025】
(液状油)
液状油とは、25℃において液状の形態を保つ油である。本発明で使用される液状油としては、化粧料や外用医薬品等に通常用いられるものであればよく、例えば、;オレイン酸、インステアリン酸等の脂肪酸;エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ2-エチルへキサン酸グリセリル、オレイン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジバラメトキシケイヒ酸-モノエチルへキサン酸グリセリル等のエステル油;ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジエンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のシリコーン油;流動パラフィン、スクワレン、スクワラン等の液状炭化水素油等が挙げられる。
【0026】
これらの液状油の中でも、より一層優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、好ましくは、エステル油、液状炭化水素油が挙げられ、より好ましくはミリスチン酸イソプロピル、流動パラフィンが挙げられる。
【0027】
これらの液状油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0028】
本発明の外用組成物に液状油を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.01~30重量%、好ましくは0.1~30重量%、より好ましくは1~20重量%、さらに好ましくは10~18重量%が挙げられる。
【0029】
(固形油)
固形油とは、25℃において固形の形態を保つ油である。本発明で使用される固形油としては、通常化粧料や外用医薬品等に用いられるものであればよく、例えば、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ミツロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリン、セラックロウ、オゾケライト、セレシン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、パルミチン酸デキストリン、ステアリン酸イヌリン、水素添加ホホバ油、セレシンワックス、固形パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス等の固形油が挙げられる。
【0030】
これらの固形油の中でも、より一層優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、好ましくは、ワセリンが挙げられる。
【0031】
これらの固形油は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0032】
本発明の外用組成物に固形油を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~30重量%、好ましくは1~20重量%、更に好ましくは3~10重量%が挙げられる。
【0033】
(高級アルコール)
高級アルコールとは、1分子中の炭素原子数が6個以上の1価アルコールである。本発明で使用される高級アルコールにおける1分子中の炭素原子数について、6以上であればよいが、好ましくは6~34、更に好ましくは14~22が挙げられる。
【0034】
本発明で使用される高級アルコールとしては、通常化粧料や外用医薬品等に用いられるものであればよく、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0035】
これらの高級アルコールの中でも、より一層優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、好ましくは、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコールが挙げられる。
【0036】
これらの高級アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0037】
本発明の乳化組成物に高級アルコールを含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、乳化組成物の乳化タイプ、形態、用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、0.1~50重量%、好ましくは1~30重量%、より好ましくは2~15重量%、更に好ましくは3~10重量%が挙げられる。
【0038】
界面活性剤
本発明の外用組成物は、さらに、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤は製剤形態等に応じて適宜使用することができ、例えば、本発明の外用組成物が乳化組成物である場合は、乳化状態とするために使用される。界面活性剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、より一層優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、好ましくはノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0039】
ノニオン性界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル(ステアリン酸グリセリン)、α,α’-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);グリセリンアルキルエーテル;ステアレス-2;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンイソステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンテトラオレエート等);ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビットモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビットモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビットペンタオレエート、ポリオキシエチレンソルビットモノステアレート等);ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレングリセリンモノイソステアレート、ポリオキシエチレングリセリントリイソステアレート等);ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンモノステアレート(ステアリン酸ポリオキシル)、ポリオキシエチレンジステアレート、ポリオキシエチレンモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);ポリオキシエチレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレン2-オクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類(例えば、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン-セチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン-2-デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン水添ラノリン、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリセリンエーテル等);ステアレス-21等が挙げられる。
【0040】
これらのノニオン性界面活性剤の中でも、より一層優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、好ましくはポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類が挙げられ、より好ましくは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(ポリソルベート60)が挙げられる。
【0041】
これらの界面活性剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0042】
本発明の外用組成物に界面活性剤を含有させる場合、その含有量については、特に制限されず、外用組成物の製剤形態等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.5~7重量%、好ましくは1~5重量%、より好ましくは1.5~3重量%が挙げられる。
【0043】
水
本発明の外用組成物は、水を含有することができる。水は、製剤形態等に応じて適宜使用することができ、例えば、本発明の外用組成物が乳化組成物である場合の水相として、又は、本発明の外用組成物が水性液状組成物や水性ゲル状組成物である場合の基剤として使用される。
【0044】
本発明の外用組成物が水を含有する場合、その含有量については、製剤形態に応じて適宜設定すればよいが、例えば30~99重量%、好ましくは50~90重量%、より好ましくは60~85重量%、更に好ましくは65~80重量%が挙げられる。
【0045】
その他の成分
本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、必要に応じて、通常使用される他の添加剤が含まれていてもよい。このような添加剤としては、例えば、多価アルコール、増粘剤、pH調節剤、緩衝剤、可溶化剤、キレート剤、防腐剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、香料、着色料等が挙げられる。
【0046】
多価アルコールとしては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール(BG)、エチレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価アルコール、マクロゴール4000、マクロゴール6000等のポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0047】
また、増粘剤としては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、デキストラン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウムベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ペクチン等が挙げられ、好ましくはカルボキシビニルポリマーが挙げられる。これらの増粘剤は1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。本発明の外用組成物において、増粘剤を含有させる場合、その含有量については、使用する増粘剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば0.1~3重量%、好ましくは0.1~1重量%、更に好ましくは0.3~0.6重量%が挙げられる。
【0048】
pH調整剤としては、無機酸(塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸、ホウ酸等)、有機酸(乳酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸、フマル酸、プロピオン酸、酢酸、アスパラギン酸、イプシロン-アミノカプロン酸、グルタミン酸、アミノエチルスルホン酸)、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム)、有機塩基(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、リジン等)が挙げられ、好ましくはトリエタノールアミンが挙げられる。
【0049】
更に、本発明の外用組成物は、前述する成分の他に、薬学的又は香粧学的な生理機能を発揮できる薬効成分が、必要に応じて含まれていてもよい。このような薬効成分としては、例えば、ステロイド剤(デキサメタゾン、塩酸デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、塩酸ヒドロコルチゾン、吉草酸プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン等)、抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン等)、局所麻酔剤(リドカイン、ジブカイン、プロカイン、テトラカイン、ブピバカイン、メピバカイン、クロロプロカイン、プロパラカイン、メプリルカイン又はこれらの塩)、安息香酸アルキルエステル(例えばアミノ安息香酸エチル、塩酸パラブチルアミノ安息香酸ジエチルアミノエチル)、オルソカイン、オキセサゼイン、オキシポリエントキシデカン、ロートエキス、ペルカミンパーゼ、テシットデシチン等)、抗炎症剤(アラントイン、サリチル酸、サリチル酸グリコール、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ジクロフェナクナトリウム、ロキソプロフェンナトリウム等)、殺菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、アンモニア水、スルファジアジン、乳酸、フェノール等)、鎮痒剤(クロタミトン、チアントール等)、皮膚保護剤(コロジオン、ヒマシ油等)、血行促進成分(ノニル酸ワニリルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、カプサイシン、トウガラシエキス等)、ビタミン類(ビタミンA,B,C,D,E等)、ムコ多糖類(コンドロイチン硫酸ナトリウム、グルコサミン、ヒアルロン酸等)等が挙げられる。これらの薬効成分は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、本発明の外用組成物において、これらの薬効成分を含有させる場合、その含有量については、使用する薬効成分の種類、期待する効果等に応じて適宜設定すればよい。
【0050】
製剤形態・用途
本発明の外用組成物の製剤形態については特に制限されず、例えば、水性液状組成物、水性ゲル状組成物、油性ゲル状組成物、乳化組成物等が挙げられる。より一層優れた毛穴開き改善効果を得る観点から、本発明の外用組成物の製剤形態としては、好ましくは水性ゲル状組成物、油性ゲル状組成物、乳化組成物が挙げられ、より好ましくは乳化組成物が挙げられる。本発明の外用組成物が乳化組成物である場合の乳化タイプについては、水中油型又は油中水型のいずれであってもよいが、好ましくは水中油型が挙げられる。
【0051】
本発明の外用組成物は、毛穴の開きを改善する目的で使用される。具体的には、本発明の外用組成物は、毛穴を収縮させることで毛穴の開きを目立たなくし、それによって視認できる毛穴の数を減らす目的で使用される。
【0052】
また、本発明の外用組成物は、化粧料、外用医薬部外品、外用医薬品等の外用剤として使用することができる。本発明の外用組成物の製品形態については、特に制限されないが、例えば、クリーム剤、軟膏剤、乳液剤、ゲル剤、油剤、ローション剤、リニメント剤、エアゾール剤等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、乳液剤、ローション剤が挙げられ、より好ましくは、ゲル剤、クリーム剤が挙げられる。
【0053】
製造方法
本発明の外用組成物は、製剤形態に応じて、公知の製剤化手法に従って製造することができる。例えば、本発明の外用組成物の製造方法としては、上記(A)成分及び(B)成分、必要に応じて配合される他の成分、薬効成分、添加剤等を所望量混合することにより調製される。本発明の外用組成物が乳化組成物である場合は、乳化タイプに応じて、公知の乳化製剤の製剤化手法に従って製造することができる。例えば、乳化組成物である場合の本発明の外用組成物の製造方法としては、含有させる成分を水溶性成分と油性成分に分けて、水溶性成分を含む水相と、油性成分を含む油相とを調製し、これらを公知の手法に従って乳化させる方法が挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0055】
試験例
表1に示す乳化型の外用組成物を調製した。具体的には、表1に示す(II)の各成分を65~85℃で加熱混合し固形分を溶解させ、更に(A)成分を混合し溶解させて得た水相に、表1に示す(I)の各成分を65~85℃で加熱混合し固形分を溶解させ、更に(
B)成分を混合し溶解させて得た油相を加えて、ホモミキサーを用いて乳化し、35℃まで冷却撹拌することにより、クリーム状の水中油型乳化組成物を製造した。
【0056】
得られた各外用組成物を、5月に、1日1回、1か月間、被験者の頬部に塗布した。塗布前と塗布1か月後における当該頬部表面を、皮膚画像解析装置VISIA(株式会社インテグラル)にて等倍視野で視認できる毛穴の数を測定した。塗布前における視認できる毛穴数から塗布後における視認できる毛穴数を差し引いた値を、「視認できる毛穴数の変化量」として導出した。「視認できる毛穴数の変化量」は毛穴開きの改善の度合いを評価する値であり、小さいほど毛穴開きの改善効果が高いことを示す。結果を表1に示す。
【0057】
【0058】
表1から明らかなように、比較例1では、視認できる毛穴の数が増大し、毛穴開きが悪化し、更に、パンテノールを単独で含む外用組成物(比較例2)及びウフェナマートを単独で含む外用組成物(比較例3)でも毛穴開きの悪化が認められた一方で、パンテノールとウフェナマートとを含む外用組成物(実施例1~5)では、視認できる毛穴の数が減少し、毛穴開きの改善が認められた。また、パンテノール又はパントテン酸と5重量%以上のウフェナマートとを含む外用組成物(実施例3~5)では視認できる毛穴の数が劇減し、毛穴開きの劇的な改善が認められた。
【0059】
処方例
表2に示す処方の乳化型の外用組成物を、上記試験例と同様にして調製した。いずれの処方の外用組成物も、優れた毛穴開きの改善効果が認められた。
【0060】