(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-25
(45)【発行日】2024-05-08
(54)【発明の名称】二次電池検査装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240426BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240426BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20240426BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240426BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240426BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H01M10/44 P
H02J7/34 B
H02J7/10 P
H02M3/155 H
(21)【出願番号】P 2020161063
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 智昭
【審査官】佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/145805(WO,A1)
【文献】特開2013-192395(JP,A)
【文献】特開2011-229315(JP,A)
【文献】特開平10-091258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/10
H02J 7/34
H02M 3/155
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個(ただし、Nは2以上の整数)の二次電池を充放電させることにより該N個の二次電池を同時並行的に検査する二次電池検査装置であって、
前記N個の二次電池のうちの1つに接続されるチョッパ回路部をN個含んだチョッパ回路群と、
所定の離散量だけ離散した幅のパルス信号を出力することにより前記N個のチョッパ回路部のそれぞれを個別に制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記N個のチョッパ回路部のそれぞれの制御において、前記二次電池の充放電電流を外部から与えられた設定値に一致させるために最も適した最適パルス信号の幅を求め、前記最適パルス信号の幅が前記離散した幅と異なる場合に、前記最適パルス信号の幅よりも信号幅が狭い少なくとも1つの小パルス信号と、信号幅が広い少なくとも1つの大パルス信号とを時間的に並べることによりパルス信号列を生成し、
また、前記制御部は、前記パルス信号列における前記小パルス信号および前記大パルス信号の数および並びを予め用意しておいたテーブルを参照することにより決定
し、
また、前記制御部は、前記最適パルス信号の幅を前記離散量で割ったときの余りに基づいて、前記テーブルから、前記パルス信号列に含めるべき前記小パルス信号および前記大パルス信号の数および並びに関する情報を得る
ことを特徴とする二次電池検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記最適パルス信号の幅よりも狭く、かつ当該最適パルス信号の幅に最も近い幅の前記パルス信号を前記小パルス信号とするとともに、前記最適パルス信号の幅よりも広く、かつ当該最適パルス信号の幅に最も近い幅の前記パルス信号を前記大パルス信号として前記パルス信号列を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数個の二次電池を充放電させることにより該複数個の二次電池を同時並行的に検査する二次電池検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数個の二次電池を充放電させることにより該複数個の二次電池を同時並行的に検査する二次電池検査装置が知られている。
図8に示すように、この種の二次電池検査装置100は、三相交流電源Pに接続される双方向AC/DC変換部101と、これに接続された絶縁型双方向DC/DC変換部102と、これに接続されたチョッパ回路群103と、これを制御する制御部104とを備えている。チョッパ回路群103は、検査対象であるN個(ただし、Nは2以上の整数)の二次電池B-1~B-Nと同数のチョッパ回路部103-1~103-Nを含んでいる。
【0003】
制御部104は、チョッパ回路部103-1に二次電池B-1の充電を実行させるときは、チョッパ回路部103-1の第2スイッチ素子SW2をオフさせたままチョッパ回路部103-1の第1スイッチ素子SW1を所定の周期Tでオン/オフさせる。このとき、制御部104は、一周期あたりの第1スイッチ素子SW1のオン時間、すなわち、第1スイッチ素子SW1に与えるゲート信号のパルス幅を調整することにより、二次電池B-1の充電電流を任意に制御することができる。例えば、制御部104は、
図9に示すように、区間T1において充電電流を0から設定値Itにまで上昇させ、次の区間T2において充電電流を設定値Itに維持し、次の区間T3において充電電流を0にまで下降させることができる。
【0004】
一方、制御部104は、チョッパ回路部103-1に二次電池B-1の放電を実行させるときは、チョッパ回路部103-1の第1スイッチ素子SW2をオンさせたままチョッパ回路部103-1の第1スイッチ素子SW2を所定の周期Tでオン/オフさせる。このとき、制御部104は、一周期あたりの第2スイッチ素子SW2のオン時間、すなわち、第2スイッチ素子SW2に与えるゲート信号のパルス幅を調整することにより、二次電池B-1の放電電流を任意に制御することができる。
【0005】
同様に、制御部104は、他の二次電池B-2~B-Nの充放電電流も任意に制御することができる。
【0006】
ところで、制御部104がディジタル的にゲート信号を生成する場合、ゲート信号のパルス幅は離散的となる。このため、制御部104は、充放電電流を設定値Itに一致させるのに最も適した幅のパルス信号を生成することができない場合があり、この場合、制御部104は、生成可能な1段階広いパルス信号と1段階狭いパルス信号とを組み合わせることにより、充放電電流を設定値It近傍に維持しようとする。例えば、制御部104は、1段階広いパルス信号を5連続で出力(
図10の区間A,C参照)した後に1段階狭いパルス信号を5連続で出力(同図の区間B,D参照)する。このような制御は、充放電電流に比較的大きなΔIのリプルを生じさせてしまう。
【0007】
充放電電流におけるリプル量ΔIを低減させるためには、1段階広いパルス信号と段階狭いパルス信号を1つずつ交互に出力すればよいことが知られている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、このような制御は、特に1つの制御部104で多数のチョッパ回路部103-1~103-Nを制御しなければならない場合に、制御部104の処理負担が過大となる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】“チョッパ回路のリップル電圧”、[online]、Energy Chord、[令和2年9月7日検索]、インターネット<URL http://www.energychord.com/children/energy/pe/dcdc/contents/dcdc_chopper_ripple.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、制御部の処理負担を増大させることなく充放電電流におけるリプル量を従来よりも低減させることが可能な二次電池検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る二次電池検査装置は、N個(ただし、Nは2以上の整数)の二次電池を充放電させることにより該N個の二次電池を同時並行的に検査する装置であって、N個の二次電池のうちの1つに接続されるチョッパ回路部をN個含んだチョッパ回路群と、所定の離散量だけ離散した幅のパルス信号を出力することによりN個のチョッパ回路部のそれぞれを個別に制御する制御部とを備え、制御部は、N個のチョッパ回路部のそれぞれの制御において、二次電池の充放電電流を外部から与えられた設定値に一致させるために最も適した最適パルス信号の幅を求め、前記最適パルス信号の幅が前記離散した幅と異なる場合に、最適パルス信号の幅よりも信号幅が狭い少なくとも1つの小パルス信号と、信号幅が広い少なくとも1つの大パルス信号とを時間的に並べることによりパルス信号列を生成し、また、制御部は、パルス信号列における小パルス信号および大パルス信号の数および並びを予め用意しておいたテーブルを参照することにより決定することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、小パルス信号および大パルス信号で生成されたパルス信号列において、同一のパルス信号がなるべく連続しないように、かつ、やむを得ず同一のパルス信号が連続する場合は連続する数がなるべく少なくなるようにテーブルを構成しておくことで、従来よりも充放電電流におけるリプル量を低減することができる。また、この構成によれば、パルス信号列に含まれる複数のパルス信号の幅をまとめて決定することができるので、従来に比べて制御部の負担が増大することもない。
【0012】
上記二次電池検査装置の制御部は、最適パルス信号の幅よりも狭く、かつ当該最適パルス信号の幅に最も近い幅のパルス信号を小パルス信号とするとともに、最適パルス信号の幅よりも広く、かつ当該最適パルス信号の幅に最も近い幅のパルス信号を大パルス信号としてパルス信号列を生成することが好ましい。
【0013】
また、上記二次電池検査装置の制御部は、例えば、最適パルス信号の幅を離散量で割ったときの余りに基づいて、前記テーブルから、パルス信号列に含めるべき小パルス信号および大パルス信号の数および並びに関する情報を得るとの構成を有していてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、制御部の処理負担を増大させることなく充放電電流におけるリプル量を従来よりも低減させることが可能な二次電池検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例に係る二次電池検査装置のブロック図である。
【
図2】実施例に係る二次電池検査装置で使用されるテーブルを示す図である。
【
図3】実施例に係る二次電池検査装置の制御部が出力するパルス信号列(ゲート信号)の一例を示す図である。
【
図4】実施例に係る二次電池検査装置の制御部が出力するパルス信号列(ゲート信号)の別の一例を示す図である。
【
図5】実施例に係る二次電池検査装置の制御部が出力するパルス信号列(ゲート信号)のさらに別の一例を示す図である。
【
図6】(A)実施例に係る二次電池検査装置による充電電流の波形図、および(B)従来の二次電池検査装置が出力する充電電流の波形図である。
【
図7】本発明の変形例に係る二次電池検査装置で使用されるテーブルを示す図である。
【
図8】従来の二次電池検査装置のブロック図である。
【
図9】従来の二次電池検査装置による充電電流の変化の一例を示す図である。
【
図10】従来の二次電池検査装置の制御部が出力するゲート信号および充放電電流の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る二次電池検査装置の実施例について説明する。
【0017】
[実施例]
図1に、本発明の実施例に係る二次電池検査装置10を示す。同図に示すように、二次電池検査装置10は、N個(ただし、Nは2以上の整数。本実施例では16)の二次電池B-1~B-Nを同時並行的に検査するためのものであって、双方向AC/DC変換部11と、絶縁型双方向DC/DC変換部12と、N個のチョッパ回路部13-1~13-Nを含んだチョッパ回路群13と、制御部14とを備えている。
【0018】
双方向AC/DC変換部11は、3つのレグを構成する6個の半導体スイッチ素子からなるブリッジ回路を含んでいる。双方向AC/DC変換部11は、三相交流電源Pに接続されるAC側入出力端と、絶縁型双方向DC/DC変換部12に接続されたDC側入出力端とを有している。
【0019】
絶縁型双方向DC/DC変換部12は、2つのレグを構成する4個の半導体スイッチ素子からなる第1ブリッジ回路と、2つのレグを構成する4個の半導体スイッチ素子からなる第2ブリッジ回路と、これらの間に設けられた絶縁トランスとを含んでいる。絶縁型双方向DC/DC変換部12の第1ブリッジ回路は、双方向AC/DC変換部11に接続されている。また、絶縁型双方向DC/DC変換部12の第2ブリッジ回路は、チョッパ回路群13に接続されている。
【0020】
N個のチョッパ回路部13-1~13-Nは、それぞれ、第1スイッチ素子SW1および第2スイッチ素子SW2を有する双方向昇降圧チョッパ回路である。チョッパ回路部13-1~13-Nは、それぞれ、絶縁型双方向DC/DC変換部12に接続された第1入出力端と、二次電池B-1~B-Nのうちの1つに接続される第2入出力端とを有している。
図1に示すように、チョッパ回路部13-1の第2入出力端は二次電池B-1に接続され、チョッパ回路部13-2の第2入出力端は二次電池B-2に接続され、・・・、チョッパ回路部13-Nの第2入出力端は二次電池B-Nに接続される。
【0021】
制御部14は、外部から与えられた設定値Itに応じて、ディジタル的に生成したゲート信号によりチョッパ回路部13-1~13-Nを個別に制御するよう構成されている。
【0022】
例えば、制御部14は、チョッパ回路部13-1に二次電池B-1の充電を実行させるときは、チョッパ回路部13-1の第2スイッチ素子SW2をオフさせたままチョッパ回路部13-1の第1スイッチ素子SW1を所定の周期Tでオン/オフさせる。一方、制御部14は、チョッパ回路部13-1に二次電池B-1の放電を実行させるときは、チョッパ回路部13-1の第1スイッチ素子SW2をオンさせたままチョッパ回路部13-1の第1スイッチ素子SW2を所定の周期Tでオン/オフさせる。
【0023】
制御部14のさらに詳細な動作について、チョッパ回路部13-1に二次電池B-1の充電を実行させる場合を例に挙げて説明する。
【0024】
制御部14は、二次電池B-1の充電電流に関する設定値Itとしての「4100mA」が与えられると、それを内部での演算処理に適した値に変換する。制御部14は、この変換を計算式「設定値It/3.5」を用いて行う。この計算結果である「1171.4285・・・」が、「4100mA」に対応した、演算処理に適した値である。
【0025】
制御部14は、一周期あたりの第1スイッチ素子SW1のオン時間、すなわち、第1スイッチ素子SW1に与えるゲート信号のパルス幅を・・・「1120」、「1140」、「1160」、「1180」、「1200」、「1220」・・・といった具合に「20」刻みで調整することができる。パルス幅「1120」は、充電電流を「3920mA(=1120×3.5)」に維持するのに最適なパルス幅である。すなわち、制御部14が、第1スイッチ素子SW1のゲート信号として「1120」の幅を有するパルス信号を周期Tで連続して出力すると、充電電流は「3920mA」となる。同様に、制御部14が、「1140」、「1160」、「1180」、「1200」、「1220」の幅を有するパルス信号を周期Tで連続して出力すると、充電電流は「3990mA」、「4060mA」、「4130mA」、「4200mA」、「4270mA」となる。
【0026】
上記のとおり、ゲート信号のパルス幅は基本的には充電電流に関する設定値Itに基づき決定されるが、充電電流は二次電池の電圧値や抵抗値等で変化する。このため、実際上は、個々の二次電池に流れる充電電流を検出し、検出した充電電流をフィードバック制御して所定の充電電流になるようにパルス幅が調整される。
【0027】
なお、上記の刻み「20」は、制御部14が出力可能なパルス信号の幅の離散量であると言える。
【0028】
図2に、制御部14に格納されたテーブル15を示す。テーブル15には、充電電流を設定値Itに一致させるのに最も適したパルス信号(以下、「最適パルス信号」という)の幅を離散量で割ったときの余りと、後述する小パルス信号および大パルス信号の並びとの対応関係が記述されている。ここで、小パルス信号とは、信号幅が最適パルス信号よりも1段階狭いパルス信号を意味し、大パルス信号とは、信号幅が最適パルス信号よりも1段階広いパルス信号を意味する。ただし、制御部14が最適パルス信号を出力することができる場合は、最適パルス信号が小パルス信号となる。
【0029】
制御部14は、二次電池B-1の充電電流に関する設定値Itとしての「4100mA」が与えられると、これを計算式「設定値It/3.5」によって「1171.4285・・・」に変換する。
【0030】
続いて、制御部14は、「1171.4285・・・」の整数部分「1171」を離散量「20」で割ることにより、余り「11」を得る。
【0031】
次に、制御部14は、
図2に示したテーブル15の余り「11」の列を参照することにより、これから出力するゲート信号(パルス信号列)に含めるべき小パルス信号および大パルス信号の数および並びに関する情報「10101011010101011010」を得る。ここで、「1」は大パルス信号を指し、「0」は小パルス信号を指す。
【0032】
設定値Itが「4100mA(=1171.4285・・・)」なので、小パルス信号のパルス幅は「1160」となり、大パルス信号のパルス幅は「1180」となる。すなわち、最適パルス信号の幅よりも狭く、かつ当該最適パルス信号の幅に最も近い幅のパルス信号が小パルス信号となる。最適パルス信号の幅が1171.4285・・・であることから、離散量20だけ離散した幅のパルス信号・・・「1120」、「1140」、「1160」、「1180」、「1200」、「1220」・・・のうち、「1160」が小パルス信号のパルス幅となる。一方、最適パルス信号の幅よりも広く、かつ当該最適パルス信号の幅に最も近い幅のパルス信号が大パルス信号となる。最適パルス信号の幅が1171.4285・・・であることから、離散量20だけ離散した幅のパルス信号・・・「1120」、「1140」、「1160」、「1180」、「1200」、「1220」・・・のうち、「1180」が大パルス信号のパルス幅となる。
【0033】
また、テーブル15を参照することにより得た並びは、「10101011010101011010」である。これらのことから、制御部14は、
図3に示したパルス信号列をゲート信号として出力する。このパルス信号列は、「4060mA」に対応した幅(1160)の9個の小パルス信号と「4130mA」に対応した幅(1180)の11個の大パルス信号とを周期Tで並べたものとなっている。
【0034】
別の例として、制御部14は、二次電池B-1の充電電流に関する設定値Itとしての「4200mA」が与えられると、これを「1200」に変換するとともに余り「0」を得る。この場合、小パルス信号のパルス幅は「1200」となり、大パルス信号のパルス幅は「1220」となる。また、余り「0」に対応する並びは、「00000000000000000000」である(
図2参照)。これらのことから、制御部14は、
図4に示したパルス信号列をゲート信号として出力する。このパルス信号列は、「4200mA」に対応した幅の20個の小パルス信号を周期Tで並べたものとなっている。
【0035】
さらに別の例として、制御部14は、二次電池B-1の充電電流に関する設定値Itとしての「4190mA」が与えられると、これを「1197.1428・・・」に変換するとともに余り「17」を得る。この場合、小パルス信号のパルス幅は「1180」となり、大パルス信号のパルス幅は「1200」となる。また、余り「17」に対応する並びは、「10111111011111011111」である(
図2参照)。これらのことから、制御部14は、
図5に示したパルス信号列をゲート信号として出力する。このパルス信号列は、「4130mA」に対応した幅の3個の小パルス信号と「4200mA」に対応した幅の17個の大パルス信号とを周期Tで並べたものとなっている。
【0036】
図2から理解されるように、テーブル15は、同一のパルス信号がなるべく連続しないように、かつ、やむを得ず同一のパルス信号が連続する場合は連続する数がなるべく少なくなるように構成されている。このため、本実施例に係る二次電池検査装置10によれば、
図9に示した従来例に比べて、充電電流におけるリプル量を低減することができる。例えば、本実施例に係る二次電池検査装置10によれば、従来は18mA
p-pであったリプル量を8mA
p-pにまで低減することができる(
図6参照)。
【0037】
また、本実施例に係る二次電池検査装置10では、テーブル15を参照することにより、20周期分のパルス幅をまとめて決定することができる。このため、本実施例に係る二次電池検査装置10によれば、制御部14の処理負担が増大することもない。
【0038】
なお、本実施例に係る二次電池検査装置10の制御部14は、同様の制御によりチョッパ回路部13-1に二次電池B-1の放電を実行させることもできる。この場合、制御部14は、放電用のテーブルを参照してもよいし、充放電に共通するテーブルを参照してもよい。当然ながら、本実施例に係る二次電池検査装置10の制御部14は、同様の制御により他のチョッパ回路部13-2~13-Nに二次電池B-2~B-Nの充放電を実行させることもできる。
【0039】
[変形例]
以上、本発明に係る二次電池検査装置の実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれに限定されるものではない。
【0040】
例えば、テーブル15は、計30個の大/小パルス信号を含むパルス信号列を決定することができるように構成されていてもよい(
図7参照)。この構成によれば、制御部14の処理負担がさらに軽減される。なお、設定値Itが頻繁に変更される場合は、1つのパルス信号列に含める大/小パルス信号をあまり多くしない方がよい。設定値Itに対する追従性が低下するからである。
【0041】
また、テーブル15の列数は、制御部14が出力可能なパルス信号の幅の離散量に応じて変更することができる。例えば、離散量が「10」の場合は、10以上の余りが生じることはないので、余りが0~9である場合についてのみテーブル15を用意しておけばよい。
【0042】
また、チョッパ回路部13-1~13-Nの回路構成は、適宜変更することができる。例えば、チョッパ回路部13-1~13-Nは、二次電池B-1~B-Nを充電するだけの降圧チョッパ回路であってもよいし、二次電池B-1~B-Nを放電させるだけの昇圧チョッパ回路であってもよい。
【0043】
また、設定値Itを内部での演算処理に適した値に変換するための計算式は、「設定値It/3.5」に限定されない。
【0044】
また、制御部14が出力可能なパルス信号の幅の離散量は、「20」に限定されない。つまり、本発明では、制御部14が出力可能なパルス信号の幅が、連続的ではなく離散的であればよい。
【符号の説明】
【0045】
10 二次電池検査装置
11 双方向AC/DC変換部
12 絶縁型双方向DC/DC変換部
13 チョッパ回路群
13-1~13-N チョッパ回路部
14 制御部
15 テーブル
B-1~B-N 二次電池
P 三相交流電源
SW1 第1スイッチ素子
SW2 第2スイッチ素子