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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-01
(45)【発行日】2024-05-13
(54)【発明の名称】過電流保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/08 20060101AFI20240502BHJP
   H03K 17/082 20060101ALI20240502BHJP
   H03K 17/695 20060101ALI20240502BHJP
   H03K 17/08 20060101ALN20240502BHJP
【FI】
H02H3/08 A
H03K17/082
H03K17/695
H03K17/08 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020045498
(22)【出願日】2020-03-16
(65)【公開番号】P2021150990
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宅間 徹
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-122216(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0070910(US,A1)
【文献】特開2019-110521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/08 - 3/253
H02H 7/00 - 7/30
H02J 1/00 - 1/16
H03K 17/082
H03K 17/695
H03K 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ素子と、
前記スイッチ素子に流れる出力電流に応じた第1センス電圧及び第2センス電圧をそれぞれ生成する出力電流監視部と、
前記第1センス電圧及び前記第2センス電圧それぞれを監視対象として第1過電流保護信号及び第2過電流保護信号をそれぞれ生成する過電流保護回路と、
前記第1過電流保護信号及び前記第2過電流保護信号に応じて前記出力電流を制限するゲート制御部と、
を備え、
前記出力電流に対する前記第1センス電圧の変化率は、前記第2センス電圧の変化率よりも小さく設定されており、
前記過電流保護回路は、
前記第1センス電圧及び前記第2センス電圧と基準電圧とを比較して前記第1過電流保護信号及び前記第2過電流保護信号それぞれの論理レベルを切り替える過電流検出部と、
前記出力電流が第1過電流制限値に達して前記第1過電流保護信号の論理レベルが切り替わった時点で前記スイッチ素子のヒカップ駆動を開始するとともに前記出力電流の過電流制限値を前記第1過電流制限値からより小さい第2過電流制限値に引き下げるように前記第2過電流保護信号の無効を解除するヒカップ制御部と、
を含む、スイッチ装置。
【請求項2】
前記ヒカップ制御部は、前記出力電流が前記第1過電流制限値に達して前記第1過電流保護信号の論理レベルが切り替わった時点で前記スイッチ素子のオン遷移時における前記出力電流の立上り速度を第1立上り速度からより遅い第2立上り速度に引き下げる、請求項1に記載のスイッチ装置
【請求項3】
前記ヒカップ制御部は、所定のオン期間とオフ期間を繰り返すように前記スイッチ素子の駆動信号を制御する、請求項又はに記載のスイッチ装置
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のスイッチ装置と、
前記スイッチ装置に接続される負荷と、
を有する、電子機器。
【請求項5】
前記負荷は、バルブランプ、リレーコイル、ソレノイド、発光ダイオード、または、モータである、請求項に記載の電子機器。
【請求項6】
請求項又はに記載の電子機器を有する、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、過電流保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
本願出願人は、以前より、車載IPD[intelligent power device]などのスイッチ装置に関して、数多くの新技術を提案している(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2017/187785号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のスイッチ装置では、その過電流保護機能について更なる改善(例えば起動時の瞬時電流確保と出力制限時の安全設計を両立すること)の余地があった。
【0005】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者らにより見出された上記の課題に鑑み、起動時の瞬時電流確保と出力制限時の安全設計を両立することのできる過電流保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されている過電流保護回路は、スイッチ素子に流れる出力電流が第1過電流制限値に達したことを検出して、前記出力電流の過電流制限値を前記第1過電流制限値からより小さい第2過電流制限値に引き下げる構成(第1の構成)とされている。
【0007】
なお、上記第1の構成から成る過電流保護回路は、前記出力電流が前記第1過電流制限値に達したことを検出して、前記スイッチ素子のオン遷移時における前記出力電流の立上り速度を第1立上り速度からより遅い第2立上り速度に引き下げる構成(第2の構成)にしてもよい。
【0008】
また、上記第1または第2の構成から成る過電流保護回路は、前記出力電流が前記第1過電流制限値に達したことを検出して、前記スイッチ素子のヒカップ駆動を開始する構成(第3の構成)にしてもよい。
【0009】
また、上記第3の構成から成る過電流保護回路は、前記出力電流が前記過電流制限値よりも大きいか否かを検出して前記出力電流を前記過電流制限値以下に制限する過電流検出部と、前記過電流検出部の検出結果に基づいて前記スイッチ素子をヒカップ駆動するヒカップ制御部と、を有する構成(第4の構成)にしてもよい。
【0010】
また、上記第4の構成から成る過電流保護回路において、前記過電流検出部は、前記出力電流と前記過電流制限値との比較結果に応じて前記スイッチ素子の駆動信号を制御する構成(第5の構成)にしてもよい。
【0011】
また、上記第4または第5の構成から成る過電流保護回路において、前記ヒカップ制御部は、所定のオン期間とオフ期間を繰り返すように前記スイッチ素子の駆動信号を制御する構成(第6の構成)にしてもよい。
【0012】
また、本明細書中に開示されているスイッチ装置は、スイッチ素子と、上記第1~第6いずれかの構成から成り、前記スイッチ素子に流れる出力電流を監視対象とする過電流保護回路と、を有する構成(第7の構成)とされている。
【0013】
また、本明細書中に開示されている電子機器は、上記第7の構成から成るスイッチ装置と、前記スイッチ装置に接続される負荷と、を有する構成(第8の構成)とされている。
【0014】
また、上記第8の構成から成る電子機器において、前記負荷は、バルブランプ、リレーコイル、ソレノイド、発光ダイオード、または、モータである構成(第9の構成)にしてもよい。
【0015】
また、本明細書中に開示されている車両は、上記第8または第9の構成から成る電子機器を有する構成(第10の構成)とされている。
【発明の効果】
【0016】
本明細書中に開示されている発明によれば、起動時の瞬時電流確保と出力制限時の安全設計を両立することのできる過電流保護回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】半導体集積回路装置の基本構成を示す図
図2】ゲート制御部の一構成例を示す図
図3】過電流保護動作の第1例(電流制限動作)を示す図
図4】過電流保護動作の第2例(ヒカップ動作)を示す図
図5】過電流保護動作の第3例(オフラッチ動作)を示す図
図6】ヒカップ動作時にピーク電流が生じる様子を示す図
図7】複数の半導体集積回路装置を用いた電子機器の一構成例を示す図
図8】新規な過電流保護動作の一例を示す図
図9】半導体集積回路装置の要部構成を示す図
図10】過電流保護回路の一構成例を示す図
図11】過電流制限値の一設定例を示す図
図12】レベルシフタの一構成例を示す図
図13】ゲートドライバの一構成例を示す図
図14】可変電流源の一構成例を示す図
図15】本構成例における過電流保護動作の一例を示す図
図16】車両の外観を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<半導体集積回路装置(基本構成)>
図1は、半導体集積回路装置の基本構成を示す図である。本構成例の半導体集積回路装置1は、ECU[electronic control unit]2からの指示に応じて電源電圧VBBの印加端と負荷3との間を導通/遮断する車載用ハイサイドスイッチLSI(=車載IPDの一種)である。
【0019】
なお、半導体集積回路装置1は、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、外部端子T1~T4を備えている。外部端子T1は、不図示のバッテリから電源電圧VBB(例えば12V)の供給を受け付けるための電源端子(VBBピン)である。外部端子T2は、負荷3(バルブランプ、リレーコイル、ソレノイド、発光ダイオード、または、モータなど)を外部接続するための負荷接続端子ないしは出力端子(OUTピン)である。外部端子T3は、ECU2から外部制御信号Siの外部入力を受け付けるための信号入力端子(INピン)である。外部端子T4は、ECU2に状態報知信号Soを外部出力するための信号出力端子(SENSEピン)である。なお、外部端子T4と接地端との間には、外部センス抵抗4が外付けされている。
【0020】
また、半導体集積回路装置1は、NMOSFET10と、出力電流監視部20と、ゲート制御部30と、制御ロジック部40と、信号入力部50と、内部電源部60と、異常保護部70と、出力電流検出部80と、信号出力部90と、を集積化して成る。
【0021】
NMOSFET10は、ドレインが外部端子T1に接続されてソースが外部端子T2に接続された高耐圧(例えば42V耐圧)のパワートランジスタである。このように接続されたNMOSFET10は、電源電圧VBBの印加端から負荷3を介して接地端に至る電流経路を導通/遮断するためのスイッチ素子(ハイサイドスイッチ)として機能する。なお、NMOSFET10は、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート駆動信号G1がローレベルであるときにオフする。
【0022】
また、NMOSFET10は、オン抵抗Ronが数十mΩとなるように素子を設計すればよい。ただし、NMOSFET10のオン抵抗Ronが低いほど、外部端子T2の地絡(=接地端ないしはこれに準ずる低電位端への短絡異常)が発生したときに過電流が流れやすくなり、異常発熱を生じやすくなる。従って、NMOSFET10のオン抵抗Ronを下げるほど、後述する過電流保護回路71や温度保護回路73の重要性が高くなる。
【0023】
出力電流監視部20は、NMOSFET21及び22と、センス抵抗23とを含み、NMOSFET10に流れる出力電流Ioに応じたセンス電圧Vs(=センス信号に相当)を生成する。
【0024】
NMOSFET21及び22は、いずれもNMOSFET10に対して並列に接続されたミラートランジスタであり、出力電流Ioに応じたセンス電流Is及びIs2を生成する。NMOSFET10とNMOSFET21及び22とのサイズ比は、m:1(ただしm>1)である。従って、センス電流Is及びIs2は、出力電流Ioを1/mに減じた大きさとなる。なお、NMOSFET21及び22は、NMOSFET10と同様、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート電圧G1がローレベルであるときにオフする。
【0025】
センス抵抗23(抵抗値:Rs)は、NMOSFET21のソースと外部端子T2との間に接続されており、センス電流Isに応じたセンス電圧Vs(=Is×Rs+Vo、ただし、Voは外部端子T2に現れる出力電圧)を生成する電流/電圧変換素子である。
【0026】
ゲート制御部30は、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成してNMOSFET10(並びにNMOSFET21及び22)のゲートに出力することにより、NMOSFET10のオン/オフ制御を行う。なお、ゲート制御部30は、過電流保護信号S71に応じて出力電流Ioを制限するようにNMOSFET10を制御する機能を備えている。
【0027】
制御ロジック部40は、内部電源電圧Vregの供給を受けてゲート制御信号S1を生成する。例えば、外部制御信号Siがハイレベル(=NMOSFET10をオンさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部60から内部電源電圧Vregが供給されるので、制御ロジック部40が動作状態となり、ゲート制御信号S1がハイレベル(=Vreg)となる。一方、外部制御信号Siがローレベル(=NMOSFET10をオフさせるときの論理レベル)であるときには、内部電源部60から内部電源電圧Vregが供給されないので、制御ロジック部40が非動作状態となり、ゲート制御信号S1がローレベル(=GND)となる。また、制御ロジック部40は、各種の異常保護信号(過電流保護信号S71、オープン保護信号S72、温度保護信号S73、及び、減電圧保護信号S74)を監視している。なお、制御ロジック部40は、上記した異常保護信号のうち、過電流保護信号S71、オープン保護信号S72、及び、温度保護信号S73の監視結果に応じて出力切替信号S2を生成する機能も備えている。
【0028】
信号入力部50は、外部端子T3から外部制御信号Siの入力を受け付けて制御ロジック部40や内部電源部60に伝達するシュミットトリガである。なお、外部制御信号Siは、例えば、NMOSFET10をオンさせるときにハイレベルとなり、NMOSFET10をオフさせるときにローレベルとなる。
【0029】
内部電源部60は、電源電圧VBBから所定の内部電源電圧Vregを生成して半導体集積回路装置1の各部に供給する。なお、内部電源部60の動作可否は、外部制御信号Siに応じて制御される。より具体的に述べると、内部電源部60は、外部制御信号Siがハイレベルであるときに動作状態となり、外部制御信号Siがローレベルであるときに非動作状態となる。
【0030】
異常保護部70は、半導体集積回路装置1の各種異常を検出する回路ブロックであり、過電流保護回路71と、オープン保護回路72と、温度保護回路73と、減電圧保護回路74と、を含む。
【0031】
過電流保護回路71は、センス電圧Vsの監視結果(=出力電流Ioの過電流異常が生じているか否か)に応じた過電流保護信号S71を生成する。なお、過電流保護信号S71は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
【0032】
オープン保護回路72は、出力電圧Voの監視結果(=負荷3のオープン異常が生じているか否か)に応じたオープン保護信号S72を生成する。なお、オープン保護信号S72は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
【0033】
温度保護回路73は、半導体集積回路装置1(特にNMOSFET10周辺)の異常発熱を検出する温度検出素子(不図示)を含み、その検出結果(=異常発熱が生じているか否か)に応じた温度保護信号S73を生成する。なお、温度保護信号S73は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
【0034】
減電圧保護回路74は、電源電圧VBBないしは内部電源電圧Vregの監視結果(=減電圧異常が生じているか否か)に応じた減電圧保護信号S74を生成する。なお、減電圧保護信号S74は、例えば、異常未検出時にローレベルとなり、異常検出時にハイレベルとなる。
【0035】
出力電流検出部80は、不図示のバイアス手段を用いて、NMOSFET22のソース電圧と出力電圧Voとを一致させることにより、出力電流Ioに応じたセンス電流Is2(=Io/m)を生成して信号出力部90に出力する。
【0036】
信号出力部90は、出力切替信号S2に基づいてセンス電流Is2(=出力電流Ioの検出結果に相当)と固定電圧V90(=異常フラグに相当、本図では明示せず)の一方を外部端子T4に選択出力する。センス電流Is2が選択出力された場合には、状態報知信号Soとして、センス電流Is2を外部センス抵抗4(抵抗値:R4)で電流/電圧変換した出力検出電圧V80(=Is2×R4)がECU2に伝達される。出力検出電圧V80は、出力電流Ioが大きいほど高くなり、出力電流Ioが小さいほど低くなる。一方、固定電圧V90が選択出力された場合には、状態報知信号Soとして、固定電圧V90がECU2に伝達される。なお、状態報知信号Soから出力電流Ioの電流値を読み取る場合には、状態報知信号SoをA/D[analog-to-digital]変換してやればよい。一方、状態報知信号Soから異常フラグを読み取る場合には、固定電圧V90よりもやや低い閾値を用いて状態報知信号Soの論理レベルを判定してやればよい。
【0037】
<ゲート制御部>
図2は、ゲート制御部30の一構成例を示す図である。本図のゲート制御部30は、ゲートドライバ31と、オシレータ32と、チャージポンプ33と、クランパ34と、NMOSFET35と、抵抗36(抵抗値:R36)と、キャパシタ37(容量値:C37)と、ツェナダイオード38と、を含む。
【0038】
ゲートドライバ31は、チャージポンプ33の出力端(=昇圧電圧VGの印加端)と外部端子T2(=出力電圧Voの印加端)との間に接続されており、ゲート制御信号S1の電流能力を高めたゲート駆動信号G1を生成する。なお、ゲート駆動信号G1は、ゲート制御信号S1がハイレベルであるときにハイレベル(=VG)となり、ゲート制御信号S1がローレベルであるときにローレベル(=Vo)となる。
【0039】
オシレータ32は、所定周波数のクロック信号CLKを生成してチャージポンプ33に出力する。なお、オシレータ32の動作可否は、制御ロジック部40からのイネーブル信号SAに応じて制御される。
【0040】
チャージポンプ33は、クロック信号CLKを用いてフライングキャパシタを駆動することにより、電源電圧VBBよりも高い昇圧電圧VGを生成してゲートドライバ31に供給する昇圧部の一例である。なお、チャージポンプ33の動作可否は、制御ロジック部40からのイネーブル信号SBに応じて制御される。
【0041】
クランパ34は、外部端子T1(=電源電圧VBBの印加端)とNMOSFET10のゲートとの間に接続されている。外部端子T2に誘導性の負荷3が接続されるアプリケーションでは、NMOSFET10をオンからオフへ切り替える際、負荷3の逆起電力により、出力電圧Voが負電圧(<GND)となる。そのため、エネルギー吸収用にクランパ34(いわゆるアクティブクランプ回路)が設けられている。
【0042】
NMOSFET35のドレインは、NMOSFET10のゲートに接続されている。NMOSFET35のソースは、外部端子T2に接続されている。NMOSFET35のゲートは、過電流保護信号S71の印加端に接続されている。また、NMOSFET35のドレイン・ゲート間には、抵抗36とキャパシタ37が直列に接続されている。
【0043】
ツェナダイオード38のカソードは、NMOSFET10のゲートに接続されている。ツェナダイオード38のアノードは、NMOSFET10のソースに接続されている。このように接続されたツェナダイオード38は、NMOSFET10のゲート・ソース間電圧(=VG-Vo)を所定値以下に制限するクランプ素子として機能する。
【0044】
本構成例のゲート制御部30において、過電流保護信号S71がハイレベルに立ち上げられると、ゲート駆動信号G1が定常時のハイレベル(=VG)から所定の時定数τ(=R36×C37)で引き下げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に低下していくので、出力電流Ioに制限が掛けられる。一方、過電流保護信号S71がローレベルに立ち下げられると、ゲート駆動信号G1が所定の時定数τで引き上げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に上昇していくので、出力電流Ioの制限が解除される。
【0045】
このように、本構成例のゲート制御部30は、過電流保護信号S71に応じて出力電流Ioを制限するようにゲート駆動信号G1を制御する機能を備えている。
【0046】
<過電流保護動作に関する考察>
一般に、過電流保護動作は、(1)電流制限動作、(2)ヒカップ動作、及び、(3)オフラッチ動作の3種類に大別することができる。
【0047】
図3は、過電流保護動作の第1例(電流制限動作)を示す図である。本図で示したように、電流制限動作では、出力電流Ioが過電流状態となったときに、NMOSFET10のオン抵抗Ronが引き上げられることにより、出力電流Ioが所定の過電流制限値Iocd以下に制限される。
【0048】
図4は、過電流保護動作の第2例(ヒカップ動作)を示す図である。本図で示したように、ヒカップ動作では、出力電流Ioが過電流状態となったときに、所定のオン期間tonとオフ期間toffを繰り返すように、NMOSFET10がヒカップ駆動(=オン状態とオフ状態が周期的に切り替わる間欠駆動)される。このヒカップ動作は、特に、誘導性の負荷3(=ソレノイドコイルやリレーコイルなど)が接続される場合に有効である。
【0049】
図5は、過電流保護動作の第3例(オフラッチ動作)を示す図である。本図で示したように、オフラッチ動作では、出力電流Ioが過電流状態となったときに、NMOSFET10が強制的にオフされる。なお、一旦オフラッチ動作が掛かると、半導体集積回路装置1が再起動されるまで、NMOSFET10がオフ状態に保持される。
【0050】
上記した3種類の過電流保護動作のうち、出力電流Ioを周期的にオン/オフさせるヒカップ動作(図4)は、出力電流Ioを流し続ける電流制限動作(図3)と比べて、過電流保護動作中における半導体集積回路装置1(特にNMOSFET10)の温度上昇を抑えることができる。
【0051】
特に、車両の基幹部(=高温状態となるエンジンやトランスミッションなど)での使用が想定される半導体集積回路装置1では、過電流保護動作中に過熱状態とならないように上記のヒカップ動作が好まれている。
【0052】
ところで、従来のヒカップ動作では、過電流制限値Iocdが一意に固定されていた。例えば、過電流制限値Iocdを大きい値(半導体集積回路装置1の最大定格電流など)に設定した場合には、NMOSFET10に流すことのできる出力電流Ioが大きくなるので、容量性負荷(バルブランプなど)の起動時に流れる突入電流を許容することができる。ただし、通常時の出力電流Ioと過電流制限値Iocdとの乖離が大きいので、必ずしも安全設計とは言い難い。特に、上記のヒカップ動作は、出力電流Ioの過電流状態が解消されない限り継続される。そのため、NMOSFET10のオン抵抗Ronやパッケージの熱抵抗によっては、ヒカップ動作を行っても過熱状態に陥るおそれがあった。
【0053】
一方、過電流制限値Iocdを小さい値に設定した場合には、セットの安全性を高めることができる反面、起動時の突入電流などを許容することができない。そのため、半導体集積回路装置1に接続することのできる負荷3の種類が制限されるので、半導体集積回路装置1の汎用性が損なわれる。
【0054】
また、出力電流Ioの制限動作(例えば上記のヒカップ動作)を行うときには、過渡的なピーク電流Ipeakについても考慮する必要がある。
【0055】
図6は、ヒカップ動作時にピーク電流Ipeakが生じる様子を示す図である。本図で示すように、過電流保護回路71による過電流保護動作(本図ではヒカップ動作)では、出力電流Ioとして過電流制限値Iocdよりも大きいピーク電流Ipeakを過渡的に生じる場合がある。なお、ピーク電流Ipeakの大きさは、例えば、過電流制限値Iocdの大きさ、回路の応答性、出力電流Ioの立上り速度(スルーレート)、ないしは、NMOSFET10に付随するインピーダンス成分やインダクタンス成分に依存する。
【0056】
特に、外部端子T2の地絡時など、出力電流Ioが急峻に増大するときには、ピーク電流Ipeakが大きくなり易い。過電流制限値Iocdに対してピーク電流Iocdが大きいほど、単位時間当たりの電流変化が大きくなる。このような電流変化は、ノイズ成分としてセット各部に悪影響を及ぼし得る。
【0057】
図7は、複数の半導体集積回路装置を用いた電子機器の一構成例を示す図である。本構成例の電子機器100は、半導体集積回路装置(本図ではハイサイドスイッチLSI)111~113と、負荷121~123と、半導体集積回路装置(例えば電源IC)130と、を有する。
【0058】
半導体集積回路装置111~113は、それぞれ、負荷121~123と電源端との間を導通/遮断する出力トランジスタと、各出力トランジスタに流れる出力電流Io1~Io3を過電流制限値Iocd以下に制限する過電流保護回路と、を備えている。
【0059】
本構成例の電子機器100において、例えば、本図で示したように、負荷121の両端間ショートが生じた場合には、半導体集積回路装置111に設けられた過電流保護回路の働きにより、出力電流Io1が過電流制限値Iocd以下に制限される。ただし、出力電流Io1の制限時には、先にも述べた通り、過大なピーク電流Ipeakが生じ得る(先出の図6を参照)。
【0060】
なお、負荷121~123及び半導体集積回路装置130それぞれに共通接続されたパワー系の接地ライン(=パワー系の接地電位PGNDに繋がる配線)には、インピーダンス成分やインダクタンス成分が少なからず付随している。そのため、上記のピーク電流Ipeakが大きい場合には、パワー系の接地電位PGNDに意図しない変動が生じ得る。
【0061】
一方、半導体集積回路装置111~113及び130それぞれに接続された制御系の接地ライン(=制御系の接地電位GNDに繋がる配線)は、パワー系の接地ラインから電気的に分離されている。そのため、制御系の接地電位GNDは、上記のピーク電流Ipeakに依らず、比較的安定した状態に保たれる。
【0062】
その結果、ピーク電流Ipeakが大きい場合には、パワー系の接地電位PGNDと制御系の接地電位GNDのうち、パワー系の接地電位PGNDだけが変動することになる。このような状況に陥ると、半導体集積回路装置112及び113の誤動作(出力オープンの誤検知など)、若しくは、半導体集積回路装置130の誤動作を生じるおそれがある。
【0063】
上記考察に鑑み、以下では、起動時の瞬時電流確保と出力制限時の安全設計を両立することのできる新規な過電流保護動作(及びこれを実現する新規な回路構成)を提案する。
【0064】
<新規な過電流保護動作>
図8は、過電流保護回路71による新規な過電流保護動作の一例を示す図である。本図で示したように、過電流保護回路71は、出力電流Ioが第1過電流制限値IocdAに達したことを検出して、NMOSFET10のヒカップ駆動を開始する。この点については、先出の図6と変わらない。
【0065】
ただし、先出の図6と異なり、過電流保護回路71は、NMOSFET10に流れる出力電流Ioが第1過電流制限値IocdAに達したことを検出して、出力電流Ioの過電流制限値Iocdを第1過電流制限値IocdAからより小さい第2過電流制限値IocdBに引き下げる。
【0066】
なお、第1過電流制限値IocdAは、例えば、容量性負荷の起動時に許容すべき出力電流Io(=突入電流)を考慮して適切な大きさに設定しておけばよい。一方、第2過電流制限値IocdBは、通常時に流れる出力電流Ioを考慮して適切な大きさに設定しておけばよい。
【0067】
このような過電流保護動作によれば、例えば、本図で示したように、NMOSFET10のヒカップ動作における第1発目のオン期間には、過電流制限値Iocdを第1過電流制限値IocdAに設定する一方、第2発目以降のオン期間には、過電流制限値Iocdを第2過電流制限値IocdBに切り替えることができる。その結果、容量性負荷の起動時に流れる突入電流を許容しつつ、通常時における出力電流Ioと過電流制限値Iocd(=IocdB)との乖離を抑えてセットの安全性を高めることが可能となる。
【0068】
また、過電流保護回路71は、出力電流Ioが第1過電流制限値IocdAに達したことを検出して、NMOSFET10のオン遷移時における出力電流Ioの立上り速度ΔIoを第1立上り速度ΔIoAからより遅い第2立上り速度ΔIoBに引き下げる。
【0069】
このような過電流保護動作によれば、例えば、本図で示したように、NMOSFET10のヒカップ動作における第1発目のオン期間には、立上り速度ΔIoを第1立上り速度ΔIoAに設定する一方、第2発目以降のオン期間には、立上り速度ΔIoを第2立上り速度ΔIoBに切り替えることができる。その結果、容量性負荷の起動時に流れる突入電流を許容しつつ、通常時におけるピーク電流Ipeak(延いては他の回路に対する悪影響)を抑制することが可能となる。
【0070】
なお、出力電流Ioが第1過電流制限値IocdAに達してNMOSFET10が強制オフされた後の挙動については、必ずしもヒカップ駆動を必須とせず、例えば、第2過電流制限値IocdB及び第2立上り速度ΔIoBの設定下において、先述の電流制限動作(図3を参照)を行うものであっても構わない。
【0071】
<半導体集積回路装置(要部構成)>
図9は、半導体集積回路装置1の要部構成(=先述の新規な過電流保護動作を実現するための新規な回路構成)を示す図である。
【0072】
本構成例の半導体集積回路装置1において、出力電流監視部20は、先出の図1を基本としつつ、先出のNMOSFET21並びにセンス抵抗23に相当する構成要素として、NMOSFET21A及び21B並びにセンス抵抗23A及び23Bを含み、出力電流Ioに応じたセンス電圧VsA及びVsBを生成する。
【0073】
NMOSFET21A及び21Bは、いずれもNMOSFET10に対して並列に接続されたミラートランジスタであり、出力電流Ioに応じたセンス電流IsA及びIsBを生成する。NMOSFET10とNMOSFET21A及び21Bとのサイズ比は、m:1(ただしm>1)である。従って、センス電流IsA及びIsBは、出力電流Ioを1/mに減じた大きさとなる。なお、NMOSFET21A及び21Bは、NMOSFET10と同様、ゲート駆動信号G1がハイレベルであるときにオンし、ゲート電圧G1がローレベルであるときにオフする。
【0074】
センス抵抗23A(抵抗値:RsA)は、NMOSFET21Aのソースと外部端子T2との間に接続されており、センス電流IsAに応じたセンス電圧VsA(=IsA×RsA+Vo)を生成する電流/電圧変換素子である。
【0075】
センス抵抗23B(抵抗値:RsB)は、NMOSFET21Bのソースと外部端子T2との間に接続されており、センス電流IsBに応じたセンス電圧VsB(=IsB×RsB+Vo)を生成する電流/電圧変換素子である。
【0076】
また、本構成例の半導体集積回路装置1において、ゲート制御部30は、先出の図2を基本としつつ、先出のNMOSFET35、抵抗36、並びに、キャパシタ37に相当する構成要素として、NMOSFET35A及び35B、抵抗36A及び36B、並びに、キャパシタ37A及び37Bを含み、ゲート駆動信号G1を生成してNMOSFET10のオン/オフ制御を行う。
【0077】
NMOSFET35A及び35Bそれぞれのドレインは、いずれもNMOSFET10のゲートに接続されている。NMOSFET35A及び35Bそれぞれのソースは、いずれも外部端子T2に接続されている。NMOSFET35A及び35Bそれぞれのゲートは、過電流保護信号S71A及びS71Bそれぞれの印加端に接続されている。また、NMOSFET35Aのドレイン・ゲート間には、抵抗36Aとキャパシタ37Aが直列に接続されている。同様に、NMOSFET35Bのドレイン・ゲート間には、抵抗36Bとキャパシタ37Bが直列に接続されている。
【0078】
本構成例のゲート制御部30において、過電流保護信号S71A又はS71Bがハイレベルに立ち上げられると、ゲート駆動信号G1が定常時のハイレベル(=VG)から所定の時定数τ(=R36A×C37AまたはR36B×C37B)で引き下げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に低下していくので、出力電流Ioに制限が掛けられる。一方、過電流保護信号S71A又はS71Bがローレベルに立ち下げられると、ゲート駆動信号G1が所定の時定数τで引き上げられていく。その結果、NMOSFET10の導通度が徐々に上昇していくので、出力電流Ioの制限が解除される。
【0079】
このように、本構成例のゲート制御部30は、過電流保護信号S71A又はS71Bに応じて出力電流Ioを制限するようにゲート駆動信号G1を制御する機能を備えている。
【0080】
さらに、ゲート制御部30(特にゲートドライバ31)は、間欠制御信号PWMに応じてNMOSFET10のヒカップ駆動を行う機能と、過電流検出信号OCDに応じて出力電流Ioの立上り速度ΔIoを調整する機能も備えている(詳細は後述)。
【0081】
また、本構成例の半導体集積回路装置1において、過電流保護回路71は、過電流検出部71xとヒカップ制御部71yを含む。
【0082】
過電流検出部71xは、センス電圧VsA及びVsB(延いては出力電流Io)を監視して、過電流保護信号S71A及びS71Bを生成する。例えば、過電流保護信号S71Aは、過電流検出時(Io>IocdA)にハイレベルとなり、過電流未検出時(Io<IocdA)にローレベルとなる。また、例えば、過電流保護信号S71Bは、過電流検出時(Io>IocdB)にハイレベルとなり、過電流未検出時(Io<IocdB)にローレベルとなる。
【0083】
なお、過電流保護信号S71A及びS71Bは、NMOSFET35A及び35Bそれぞれのゲートに出力されている。従って、ゲート駆動信号G1が過電流保護信号S71A又はS71Bに応じて制御されるので、出力電流Ioを過電流制限値Iocd(=IocdA又はIocdB)以下に制限することが可能となる。また、過電流保護信号S71A及びS71Bは、ヒカップ制御部71yにも出力されている。
【0084】
ヒカップ制御部71yは、過電流保護信号S71A及びS71B(=過電流検出部71xの検出結果に相当)に基づいて、間欠制御信号PWMと過電流検出信号OCDを生成する(詳細は後述)。なお、間欠制御信号PWMと過電流検出信号OCDは、いずれもゲート制御部30(特にゲートドライバ31)に出力されている。また、過電流検出信号OCDは、過電流検出部71xにも出力されている。
【0085】
図10は、過電流保護回路71の一構成例を示す図である。本構成例の過電流保護回路71において、過電流検出部71xは、PMOSFETx1~x4と、NMOSFETx5~x8と、抵抗x9と、電流源x10と、インバータx11と、を含む。
【0086】
PMOSFETx1~x4それぞれのソースは、いずれも昇圧電圧VGの印加端に接続されている。PMOSFETx1~x4それぞれのゲートは、いずれもPMOSFETx1のドレインに接続されている。PMOSFETx1のドレインは、電流源x10(=基準電流Irefの供給源)に接続されている。
【0087】
このように接続されたPMOSFETx1~x4は、PMOSFETx1のドレインに入力される基準電流IrefをミラーしてPMOSFETx2~x4それぞれのドレインから出力するカレントミラーを形成している。
【0088】
PMOSFETx2のドレインは、NMOSFETx5のドレインに接続されている。PMOSFETx3のドレインは、NMOSFETx6のドレインと過電流保護信号S71Aの出力端に接続されている。PMOSFETx4のドレインは、NMOSFETx7及びx8それぞれのドレインと過電流保護信号S71Bの出力端に接続されている。NMOSFETx5~x7それぞれのゲートは、いずれもNMOSFETx5のドレインに接続されている。
【0089】
NMOSFETx5のソースは、抵抗x9(抵抗値Rref)の第1端に接続されている。抵抗x9の第2端とNMOSFETx8のソースは、いずれも出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)に接続されている。NMOSFETx6のソースは、センス電圧VsAの印加端に接続されている。NMOSFETx7のソースは、センス電圧VsBの印加端に接続されている。
【0090】
NMOSFETx8のゲートは、インバータx11の出力端(=反転過電流検出信号OCDBの印加端)に接続されている。インバータx11の入力端は、過電流検出信号OCDの印加端に接続されている。インバータx11は、過電流検出信号OCDの論理レベルを反転させて反転過電流検出信号OCDBを生成する。
【0091】
上記構成から成る過電流検出部71xにおいて、NMOSFETx5のソースには、基準電圧Vref(=Iref×Rref+Vo)が印加される。一方、NMOSFETx6のソースには、センス電流IsA(延いては出力電流Io)に応じたセンス電圧VsA(=IsA×RsA+Vo)が印加される。また、NMOSFETx7のソースには、センス電流IsB(延いては出力電流Io)に応じたセンス電圧VsB(=IsB×RsB+Vo)が印加される。
【0092】
従って、NMOSFETx6のドレインから引き出されている過電流保護信号S71Aは、センス電圧VsAが基準電圧Vrefよりも低いときにローレベル(=出力電流Ioの非制限時における論理レベル)となり、センス電圧VsAが基準電圧Vrefよりも高いときにハイレベル(=出力電流Ioの制限時における論理レベル)となる。
【0093】
同様に、NMOSFETx7のドレインから引き出されている過電流保護信号S71Bは、センス電圧VsBが基準電圧Vrefよりも低いときにローレベル(=出力電流Ioの非制限時における論理レベル)となり、センス電圧VsBが基準電圧Vrefよりも高いときにハイレベル(=出力電流Ioの制限時における論理レベル)となる。
【0094】
図11は、第1過電流制限値IocdA及び第2過電流制限値IocdBの一設定例を示す図である。
【0095】
本図では、出力電流Ioに対するセンス電圧VsAの変化率(=ΔVsA/ΔIo)がセンス電圧VsBの変化率(=ΔVsB/ΔIo)よりも小さく設定されている(例えばRsA<RsB)。この場合には、VsA=Vrefでの出力電流Ioが第1過電流制限値IocdAに相当し、VsB=Vrefでの出力電流Ioが第2過電流制限値IocdB(<IocdA)に相当する。
【0096】
このように、センス電圧VsA及びVsBと基準電圧Vrefとを比較することは、出力電流Ioと過電流制限値Iocd(=IocdA及びIocdB)とを比較することに他ならない。
【0097】
すなわち、過電流検出部71xは、出力電流Ioと過電流制限値Iocd(=IocdA及びIocdB)との比較結果に応じて、過電流保護信号S71A及びS71Bを生成することにより、出力電流Ioを過電流制限値Iocd(=IocdA及びIocdB)以下に制限するように、NMOSFET10のゲート駆動信号G1を制御する。
【0098】
図10に戻り、過電流保護回路71の回路構成について説明を続ける。本構成例の過電流保護回路71において、ヒカップ制御部71yは、レベルシフタy1と、ロジック部y2と、を含む。
【0099】
レベルシフタy1は、過電流保護信号S71A及びS71Bそれぞれの信号レベル(VG-Vo)をレベルシフトさせることにより、ロジック部y2の入力ダイナミックレンジに適合した信号レベル(VBB-GND)の過電流保護信号S71A_LVS及びS71B_LVSを生成する。
【0100】
ロジック部y2は、レベルシフタy1から入力されるレベルシフト済みの過電流保護信号S71A_LVS及びS71B_LVSに基づいて、間欠制御信号PWM及び過電流検出信号OCDをそれぞれ生成する。
【0101】
間欠制御信号PWMは、過電流保護信号S71Aがハイレベルに立ち上がったことを受けて、NMOSFET10をヒカップ駆動するために生成されるパルス信号である。具体的に述べると、間欠制御信号PWMは、NMOSFET10のヒカップ駆動中、所定のハイレベル期間(=NMOSFET10のオン期間tonに相当)とローレベル期間(=NMOSFET10のオフ期間toffに相当)を繰り返すようにパルス駆動される。
【0102】
過電流検出信号OCDは、過電流保護信号S71Aがハイレベルに立ち上がったときにローレベルからハイレベルにラッチされる。すなわち、過電流検出信号OCDは、出力電流Ioが第1過電流制限値IocdAを上回った時点でローレベルからハイレベルに立ち上がり、それ以降、出力電流Ioが第1過電流制限値IocdAを下回ってもハイレベルに維持されたままとなる。
【0103】
なお、過電流検出信号OCDがローレベルであるとき(延いては反転過電流検出信号OCDBがハイレベルであるとき)には、NMOSFETx8がオンするので、過電流保護信号S71Bがローレベル(=Vo)に固定される。言い換えれば、過電流保護信号S71A及びS71Bのうち、過電流保護信号S71Bが無効となる。この状態は、過電流制限値Iocdが第1過電流制限値IocdAに設定された状態に相当する。
【0104】
一方、過電流検出信号OCDがハイレベルであるとき(延いては反転過電流検出信号OCDBがローレベルであるとき)には、NMOSFETx8がオフするので、過電流保護信号S71Bのローレベル固定が解除される。この状態は、過電流制限値Iocdが第2過電流制限値IocdB(<IocdA)に設定された状態に相当する。なぜなら、出力電流Ioは、その増大時において、第1過電流制限値IocdAに達する前(=過電流保護信号S71Aがハイレベルに立ち上がる前)に、必ず第2過電流設定値IocdBに達する(=過電流保護信号S71Bがハイレベルに立ち上がる)からである。
【0105】
図12は、レベルシフタy1の一構成例を示す図である。本構成例のレベルシフタy1は、PMOSFETy1A及びy1Bと、PMOSFETy2A及びy2Bと、NMOSFETy3A及びy3Bと、NMOSFETy4A及びy4B(デプレッション型)と、NMOSFETy5A及びy5B(デプレッション型)と、ツェナダイオードy6A及びy6Bと、を含む。
【0106】
PMOSFETy1A及びy2Aそれぞれのソースは、いずれも電源電圧VBBの印加端に接続されている。PMOSFETy1A及びy2Aそれぞれのゲートは、いずれもPMOSFETy1Aのドレインに接続されている。PMOSFETy1Aのドレインは、NMOSFETy3Aのドレインに接続されている。NMOSFETy3Aのゲートは、過電流保護信号S71Aの入力端に接続されている。NMOSFETy3Aのソースは、NMOSFETy4Aのドレインに接続されている。NMOSFETy4Aのソース及びゲートは、いずれも出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)に接続されている。PMOSFETy2A及びNMOSFETy5Aそれぞれのドレインとツェナダイオードy6Aのカソードは、いずれもレベルシフト済みの過電流保護信号S71A_LVSの出力端に接続されている。NMOSFETy5Aのソース及びバックゲートとツェナダイオードy6Aのアノードは、いずれも接地端GNDに接続されている。
【0107】
PMOSFETy1B及びy2Bそれぞれのソースは、いずれも電源電圧VBBの印加端に接続されている。PMOSFETy1B及びy2Bそれぞれのゲートは、いずれもPMOSFETy1Bのドレインに接続されている。PMOSFETy1Bのドレインは、NMOSFETy3Bのドレインに接続されている。NMOSFETy3Bのゲートは、過電流保護信号S71Bの入力端に接続されている。NMOSFETy3Bのソースは、NMOSFETy4Bのドレインに接続されている。NMOSFETy4Bのソース及びゲートは、いずれも出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)に接続されている。PMOSFETy2B及びNMOSFETy5Bそれぞれのドレインとツェナダイオードy6Bのカソードは、いずれもレベルシフト済みの過電流保護信号S71B_LVSの出力端に接続されている。NMOSFETy5Bのソース及びバックゲートとツェナダイオードy6Bのアノードは、いずれも接地端GNDに接続されている。
【0108】
本構成例のレベルシフタy1によれば、過電流保護信号S71A及びS71Bそれぞれの信号レベル(VG-Vo)をレベルシフトさせることにより、ロジック部y2の入力ダイナミックレンジに適合した信号レベル(VBB-GND)の過電流保護信号S71A_LVS及びS71B_LVSを生成することができる。
【0109】
図13は、ゲートドライバ31の一構成例を示す図である。本構成例のゲートドライバ31は、PMOSFET311~315と、NMOSFET316及び317(デプレッション型)と、NMOSFET318と、インバータ319と、可変電流源31Aと、ANDゲート31Bと、を含む。
【0110】
PMOSFET311~313それぞれのソースは、いずれも昇圧電圧VGの印加端に接続されている。PMOSFET311~313それぞれのゲートは、いずれもPMOSFET311のドレインに接続されている。PMOSFET311のドレインは、可変電流源31A(=過電流検出信号OCDに応じて電流値が切り替えられる可変電流IAの供給源)に接続されている。
【0111】
このように接続されたPMOSFET311~313は、PMOSFET311のドレインに入力される可変電流IAをミラーしてPMOSFET312及び313それぞれのドレインから出力するカレントミラーを形成している。
【0112】
特に、PMOSFET313のドレインに流れるミラー電流は、NMOSFET10のオン遷移時にゲート駆動信号G1をハイレベルに立ち上げるための充電電流Ichg(=NMOSFET10のゲート容量を充電するための電流)に相当する。従って、充電電流Ichgは、可変電流IAに依存した電流値を持つ。
【0113】
PMOSFET312のドレインは、PMOSFET315のゲート、NMOSFET316のドレイン及びインバータ319の入力端に接続されている。PMOSFET313のドレインは、PMOSFET315のソース、NMOSFET317のドレイン及びゲート駆動信号G1の出力端に接続されている。NMOSFET317のソース及びゲートは、いずれもNMOSFET318のドレインに接続されている。NMOSFET318のゲートは、インバータ319の出力端に接続されている。NMOSFET315のドレイン、NMOSFET316のソース及びゲート、NMOSFET317のバックゲート、並びに、NMOSFET318のソース及びバックゲートは、いずれも出力電圧Voの印加端(=外部端子T2)に接続されている。
【0114】
このように接続されたPMOSFET315、NMOSFET316~318及びインバータ319は、NMOSFET10のオフ遷移時にゲート駆動信号G1をローレベルに立ち下げるための放電電流Idchg(=NMOSFET10のゲート容量を放電するための電流)を生成する放電電流生成部として機能する。なお、放電電流Idchgは、充電電流Ichgと異なり、可変電流IAに対する依存性を持たない。
【0115】
ANDゲート31Bは、ゲート制御信号S1と間欠制御信号PWMとの論理積信号SBを生成し、これをPMOSFET314のゲートに出力する。論理積信号SBは、ゲート制御信号S1と間欠制御信号PWMの少なくとも一方がローレベルであるときにローレベルとなり、ゲート制御信号S1と間欠制御信号PWMの双方がハイレベルであるときにハイレベルとなる。
【0116】
PMOSFET314のソースは、昇圧電圧VGの印加端に接続されている。PMOSFET314のドレインは、PMOSFET311のドレインに接続されている。PMOSFET314のゲートは、ANDゲート31Bの出力端(=論理積信号SBの印加端)に接続されている。
【0117】
上記のPMOSFET314は、論理積信号SBがハイレベルであるときにオフする。PMOSFET314がオフしているときには、PMOSFET311~313から成るカレントミラーが有効となる。従って、PMOSFET313のドレインからゲート駆動信号G1の出力端に向けて、充電電流Ichg(∝IA)が流し出される。また、上記のカレントミラーが有効であるときには、PMOSFET312のドレインにミラー電流が流れるので、PMOSFET315のゲート電位がハイレベルとなり、さらには、NMOSFET318のゲート電位がローレベルとなる。その結果、PMOSFET315及びNMOSFET318がいずれもオフするので、放電電流Idchgが流れなくなる。
【0118】
一方、PMOSFET314は、論理積信号SBがローレベルであるときにオンする。PMOSFET314がオンしているときには、PMOSFET311~313から成るカレントミラーが無効となるので、充電電流Ichg(∝IA)の出力が停止される。また、上記のカレントミラーが無効であるときには、PMOSFET312のドレインにミラー電流が流れなくなるので、PMOSFET315のゲート電位がローレベルとなり、さらには、NMOSFET318のゲート電位がハイレベルとなる。その結果、PMOSFET315及びNMOSFET318がいずれもオンするので、ゲート駆動信号G1の出力端からPMOSFET315及びNMOSFET317に向けて、放電電流Idchgが引き込まれる。
【0119】
図14は、可変電流源31Aの一構成例を示す図である。本構成例の可変電流源31Aは、PMOSFETA1~A3と、NMOSFETA4~A9と、オペアンプA10と、抵抗A11と、を含む。
【0120】
PMOSFETA1~A3それぞれのソースは、いずれも昇圧電圧VGの印加端に接続されている。PMOSFETA1~A3それぞれのゲートは、いずれもPMOSFETA1のドレインに接続されている。PMOSFETA1のドレインは、NMOSFETA4のドレイン(=基準電流IA0の出力端)に接続されている。
【0121】
このように接続されたPMOSFETA1~A3は、PMOSFETA1のドレインに入力される基準電流IA0をミラーしてPMOSFETA2及びA3それぞれのドレインから出力するカレントミラーを形成している。
【0122】
オペアンプA10の出力端は、NMOSFETA4のゲートに接続されている。オペアンプA10の非反転入力端(+)は、基準電圧VA0の印加端に接続されている。オペアンプA10の反転入力端(-)は、NMOSFETA4のソースに接続されている。NMOSFETA4のソースと接地端GNDとの間には、抵抗A11(抵抗値:RA0)が接続されている。
【0123】
このように接続されたオペアンプA10は、非反転入力端(+)と反転入力端(-)がイマジナリショートするように、NMOSFETA4のゲート制御を行う。その結果、抵抗A11には、基準電圧VA0と抵抗値RA0に応じた基準電流IA0(=VA0/RA0)が流れる。すなわち、基準電流IA0は、抵抗値RA0が高いほど大きくなり、抵抗値RA0が低いほど小さくなる。従って、抵抗A11を外付けのディスクリート素子とすれば、基準電流IA0を任意に調整することができる。また、オペアンプA10内部の差動段をカスコード回路とすれば、基準電流IA0の設定精度を高めることが可能となる。
【0124】
PMOSFETA2のドレインは、NMOSFETA5のドレインに接続されている。NMOSFETA5及びA6それぞれのゲートは、いずれもNMOSFETA5のドレインに接続されている。NMOSFETA5及びA6それぞれのソースは、いずれも接地端GNDに接続されている。NMOSFETA6のドレインは、可変電流IAの出力端に接続されている。
【0125】
このように接続されたNMOSFETA5及びA6は、PMOSFETA2のドレインに流れるミラー電流(=基準電流IA0)をさらにミラーして、PMOSFETA6のドレインに流れる第1電流IA1を生成するカレントミラーを形成している。
【0126】
PMOSFETA3のドレインは、NMOSFETA7のドレインに接続されている。NMOSFETA7及びA8それぞれのゲートは、いずれもNMOSFETA7のドレインに接続されている。NMOSFETA7及びA8それぞれのソースは、いずれも接地端GNDに接続されている。NMOSFETA8のドレインは、可変電流IAの出力端に接続されている。
【0127】
このように接続されたNMOSFETA7及びA8は、PMOSFETA3のドレインに流れるミラー電流(=基準電流IA0)をさらにミラーして、PMOSFETA8のドレインに流れる第2電流IA2を生成するカレントミラーを形成している。
【0128】
NMOSFETA9のドレインは、NMOSFETA7のドレインに接続されている。NMOSFETA9のソースは、接地端GNDに接続されている。NMOSFETA9のゲートは、過電流検出信号OCDの印加端に接続されている。
【0129】
上記のNMOSFETA9は、過電流検出信号OCDがローレベルであるときにオフする。NMOSFETA9がオフしているときには、NMOSFETA7及びA8から成るカレントミラーが有効となるので、NMOSFETA8のドレインに第2電流IA2が流れる。その結果、可変電流IAとして、第1電流IA1と第2電流IA2を足し合わせた電流(=IA1+IA2)が流れる状態となる。
【0130】
この状態は、先出の充電電流Ichg(図13を参照)が引き上げられた状態、すなわち、出力電流Ioの立上り速度ΔIoが第1立上り速度ΔIoAに設定された状態(図8を参照)に相当する。
【0131】
一方、NMOSFETA9は、過電流検出信号OCDがハイレベルであるときにオンする。NMOSFETA9がオンしているときには、NMOSFETA7及びA8から成るカレントミラーが有効となるので、NMOSFETA8のドレインに第2電流IA2が流れなくなる。その結果、可変電流IAとして、第1電流IA1のみが流れる状態となる。
【0132】
この状態は、先出の充電電流Ichg(図13を参照)が引き下げられた状態、すなわち、出力電流Ioの立上り速度ΔIoが第1立上り速度ΔIoAよりも遅い第2立上り速度ΔIoBに引き下げられた状態(図8を参照)に相当する。
【0133】
図15は、本構成例における過電流保護動作の一例を示す図であり、上から順に、出力電流Io、過電流保護信号S71A及びS71B、過電流検出信号OCD、並びに、間欠制御信号PWMが描写されている。
【0134】
時刻t1以前には、それまでに一度も過電流が検出されていないので、過電流検出信号OCDがローレベルに維持されている。従って、先に説明したように、出力電流Ioの過電流制限値Iocdが第1過電流制限値IocdA(>IocdB)に設定されており、また、出力電流Ioの立上り速度ΔIoが第1立上り速度ΔIoA(>ΔIoB)に設定されている。
【0135】
時刻t1において、出力電流Ioが第1過電流制限値IocdAに達すると、過電流保護信号S71Aによる電流制限動作が発動する。従って、出力電流Ioは、基本的に、第1過電流制限値IocdA以下に制限される。ただし、過電流の初回検出時には、過渡的なピーク電流Ipeakが生じ得る。
【0136】
また、時刻t1では、過電流保護信号S71Aがハイレベルに立ち上がったことをトリガとして、過電流検出信号OCDがハイレベルにラッチされる。その結果、出力電流Ioの過電流制限値Iocdが第1過電流制限値IocdAからより小さい第2過電流IocdBに引き下げられるとともに、出力電流Ioの立上り速度ΔIoが第1立上り速度ΔIoAからより遅い第2立上り速度ΔIoBに引き下げられる。
【0137】
また、時刻t1では、間欠駆動信号PWMがローレベルに立ち下げられることにより、NMOSFET10が強制オフされて、以降のヒカップ駆動が開始される。
【0138】
時刻t2において、所定のオフ時間toffが経過すると、間欠制御信号PWMがハイレベルに立ち上げられることにより、NMOSFET10の強制オフが解除される。その結果、出力電流Ioが第2立上り速度ΔIoBで緩やかに増大していく。その後、出力電流Ioが第2過電流制限値IocdBに達すると、過電流保護信号S71Bによる電流制限動作が発動する。従って、出力電流Ioは、基本的に、第2過電流制限値IocdB以下に制限される。
【0139】
時刻t3において、所定のオン時間tonが経過すると、間欠制御信号PWMがローレベルに立ち下げられることにより、NMOSFET10が再び強制オフされる。これ以降も、出力電流Ioの過電流状態が解消しない限り、NMOSFET10のヒカップ駆動が継続される(時刻t3~t8を参照)。
【0140】
なお、時刻t8~t9で示したように、NMOSFET10の強制オフが解除されてから、出力電流Ioが第2過電流制限値IocdBに達することなく、所定のオン時間tonが経過すると、過電流検出信号OCDが再びローレベルに立ち下げられる。その結果、時刻t1以前と同様、出力電流Ioの過電流制限値Iocdが第1過電流制限値IocdA(>IocdB)に設定され、また、出力電流Ioの立上り速度ΔIoが第1立上り速度ΔIoA(>ΔIoB)に設定される。
【0141】
上記一連の過電流保護動作によれば、起動時の瞬時電流確保と出力制限時の安全設計を両立することが可能となる。また、出力制限時のピーク電流を抑えることもできるので、セットへの悪影響を抑制することが可能となる。
【0142】
<車両への適用>
図16は、車両の一構成例を示す外観図である。本構成例の車両Xは、バッテリ(本図では不図示)と、バッテリから電力供給を受けて動作する種々の電子機器X11~X18とを搭載している。なお、本図における電子機器X11~X18の搭載位置については、図示の便宜上、実際とは異なる場合がある。
【0143】
電子機器X11は、エンジンに関連する制御(インジェクション制御、電子スロットル制御、アイドリング制御、酸素センサヒータ制御、及び、オートクルーズ制御など)を行うエンジンコントロールユニットである。
【0144】
電子機器X12は、HID[high intensity discharged lamp]やDRL[daytime running lamp]などの点消灯制御を行うランプコントロールユニットである。
【0145】
電子機器X13は、トランスミッションに関連する制御を行うトランスミッションコントロールユニットである。
【0146】
電子機器X14は、車両Xの運動に関連する制御(ABS[anti-lock brake system]制御、EPS[electric power steering]制御、電子サスペンション制御など)を行うボディコントロールユニットである。
【0147】
電子機器X15は、ドアロックや防犯アラームなどの駆動制御を行うセキュリティコントロールユニットである。
【0148】
電子機器X16は、ワイパー、電動ドアミラー、パワーウィンドウ、ダンパー(ショックアブソーバー)、電動サンルーフ、及び、電動シートなど、標準装備品やメーカーオプション品として、工場出荷段階で車両Xに組み込まれている電子機器である。
【0149】
電子機器X17は、車載A/V[audio/visual]機器、カーナビゲーションシステム、及び、ETC[electronic toll collection system]など、ユーザオプション品として任意で車両Xに装着される電子機器である。
【0150】
電子機器X18は、車載ブロア、オイルポンプ、ウォーターポンプ、バッテリ冷却ファンなど、高耐圧系モータを備えた電子機器である。
【0151】
なお、先に説明した半導体集積回路装置1、ECU2、及び、負荷3は、電子機器X11~X18のいずれにも組み込むことが可能である。
【0152】
<その他の変形例>
上記の実施形態では、車載用のハイサイドスイッチLSIを例に挙げたが、本明細書中に開示されている過電流保護回路の適用対象は、何らこれに限定されるものではなく、例えば、その他の車載用IPD(車載用のローサイドスイッチLSI及び電源LSIなど)はもちろん、車載用途以外の半導体集積回路装置(例えば汎用的な電源制御回路)にも広く適用することができる。
【0153】
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本明細書中に開示されている発明は、車載用IPDなどに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0155】
1 半導体集積回路装置(スイッチ装置)
2 ECU
3 負荷
4 外部センス抵抗
10 NMOSFET(スイッチ素子)
20 出力電流監視部
21、21A、21B NMOSFET
22 NMOSFET
23、23A、23B センス抵抗
30 ゲート制御部
31 ゲートドライバ
311、312、313、314、315 PMOSFET
316、317 NMOSFET(デプレッション)
318 NMOSFET
319 インバータ
31A 可変電流源
31B ANDゲート
32 オシレータ
33 チャージポンプ(昇圧部)
34 クランパ
35、35A、35B NMOSFET
36、36A、36B 抵抗
37、37A、37B キャパシタ
38 ツェナダイオード(クランプ素子)
40 制御ロジック部
50 信号入力部
60 内部電源部
70 異常保護部
71 過電流保護回路
71x 過電流検出部
71y ヒカップ制御部
72 オープン保護回路
73 温度保護回路
74 減電圧保護回路
80 出力電流検出部
90 信号出力部
100 電子機器
111、112、113 半導体集積回路装置(スイッチ装置)
121、122、123 負荷
130 半導体集積回路装置(他IC)
A1、A2、A3 PMOSFET
A4、A5、A6、A7、A8 NMOSFET
A9 オペアンプ
A10 抵抗
T1~T4 外部端子
x1、x2、x3、x4 PMOSFET
x5、x6、x7、x8 NMOSFET
x9 抵抗
x10 電流源
x11 インバータ
X 車両
X11~X18 電子機器
y1 レベルシフタ
y1A、y1B PMOSFET
y2A、y2B PMOSFET
y3A、y3B NMOSFET
y4A、y4B NMOSFET(デプレッション)
y5A、y5B NMOSFET(デプレッション)
y6A、y6B ツェナダイオード
y2 ロジック部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16