(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-02
(45)【発行日】2024-05-14
(54)【発明の名称】外力により作動される壁エレメントと回動可能なベースエレメントとを備える、収納コンパートメントアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B60R 7/02 20060101AFI20240507BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20240507BHJP
B60R 7/06 20060101ALI20240507BHJP
【FI】
B60R7/02
B60R7/04 S
B60R7/06
B60R7/04 T
(21)【出願番号】P 2020560570
(86)(22)【出願日】2019-01-23
(86)【国際出願番号】 EP2019051563
(87)【国際公開番号】W WO2019145325
(87)【国際公開日】2019-08-01
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】102018201004.8
(32)【優先日】2018-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504344886
【氏名又は名称】ブローズ ファールツォイクタイレ エスエー ウント シーオー. カーゲー, コブルク
【氏名又は名称原語表記】BROSE FAHRZEUGTEILE SE & CO. KG, COBURG
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(72)【発明者】
【氏名】へッペル・ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ランク・ファビアン
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-093641(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01033282(EP,A2)
【文献】欧州特許出願公開第01803608(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第10321988(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016102903(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/02
B60R 7/04
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-支持エレメント(T)と、
-前記支持エレメント(T)の表側(TA)に配置されており、非使用位置と少なくとも1つの使用位置との間で調節可能である壁エレメント(1)であって、前記非使用位置では前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)の輪郭に沿って延在し、前記使用位置では、少なくとも1つの物体の収納空間(A)を形成する目的で、少なくとも部分的に弾性変形すると共に少なくとも一部(10B~10D)が前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)から突出する、壁エレメント(1)と、
-外力の作動で前記壁エレメント(1)を
前記支持エレメント(T)に平行な方向に調節する駆動手段(2)と、
を備える、車両の収納コンパートメントアセンブリ(V)において、さらに、
前記収納コンパ―トメントアセンブリ(V)は、収容時位置と機能時位置との間で調節可能である、前記支持エレメント(T)に回動可能に取り付けられた少なくとも1つのベースエレメント(12)を備えており、前記ベースエレメント(12)は、前記壁エレメント(1)が前記使用位置にあるときには自身の収容時位置から自身の機能時位置へと回動させられて前記収納空間(A)の底部を形成しており、
a)前記ベースエレメント(12)は、前記表側(TA)に形成されたスイベル軸心(S)回りに前記支持エレメント(T)にて回動可能であり、収容時位置において、非使用位置における壁エレメント(1)と支持エレメント(T)との間に形成された隙間に収められており、前記壁エレメント(1)が使用位置にあるとき、前記ベースエレメント(12)は、収容時位置からスイベル軸心(S)回りに外側に回動可能であり、前記壁エレメント(1)は、少なくとも一つの弾性的可撓性の曲げ領域(11A~11D)を介して対で互いに結合している複数のセグメント(10A~10E)から構成されており、または弾性的であるように実現されている、または
b)前記ベースエレメント(12)は、デイスク形状であり、前記支持エレメント(T)の表側(TA)と略平行であるスイベル軸心(S)回りに支持エレメント(T)に回動可能であり、収容時位置において、前記支持エレメント(T)の表側(TA)の裏にある収容領域(61)に収容されており、前記ベースエレメント(12)の機能位置への調整の過程で、目的物が置かれることが可能なベースエレメント(12)がますます大きくなるように、前記ベースエレメント(12)は、収容時位置から機能位置への調整の過程で、スイベル軸心まわりに回転可能であ
り、前記壁エレメント(1)が、当該壁エレメント(1)を当該壁エレメント(1)の非使用位置から当該壁エレメント(1)の使用位置へと調節する目的で前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)の前記輪郭から離れるように外方に曲がることが可能な、少なくとも1つの弾性変形可能な帯体(1.1,1.2)を含む収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、
表側(TA)に形成されたスイベル軸心(S)回りに前記支持エレメント(T)に回動可能である前記ベースエレメント(12)が、機能位置において前記壁エレメント(1)に当接しており、または、前記支持エレメント(T)の表側(TA)にほぼ平行であるスイベル軸心(S)回りに前記支持エレメント(T)に回動可能である前記ベースエレメント(12)が、機能位置において前記壁エレメント(1)から離間していることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記ベースエレメント(12)が、自身の機能位置へ付勢されていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の収納コンパートメントアセンブリ
のうち請求項1のb)に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記ベースエレメント(12)が、収容時位置から自身の機能位置へとガイド・スロットアセンブリ(120,220)により調節可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項5】
請求項1または2に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記壁エレメント(1)は、当該壁エレメント(1)を当該壁エレメント(1)の非使用位置と当該壁エレメント(1)の使用位置との間で調節する目的で、
前記駆動手段(2)により調節可能である第1の部位(10A)と、
第2の部位(10E)と、を有しており、
前記第1の部位(10A)は、前記駆動手段(2)により前記第2の部位(10E)に対して調節可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項6】
請求項5に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記第1の部位(10A)が、前記駆動手段(2)により前記支持エレメント(T)上を並進変位可能であり、前記第2の部位(10E)が、前記支持エレメント(T)に固定されていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記駆動手段(2)により調節可能な前記第1の部位(10A)が、前記複数のセグメント(10A~10E)のうちの第1のセグメントにより形成されており、前記第2の部位が、前記複数のセグメント(10A~10E)のうちの第2のセグメントにより形成されていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項8】
請求項
1または2に記載の収納コンパートメントアセンブリ
のうち請求項1のb)に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記少なくとも1つの弾性変形可能な帯体(1.1,1.2)が、前記壁エレメント(1)の少なくとも一部(10A~10E)で、当該帯体(1.1,1.2)の変形を局所的に阻止する少なくとも1つの補強エレメントと連結していることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項9】
請求項1または2に記載の収納コンパートメントアセンブリ
において、
前記収納コンパートメントアセンブリ(V)は、
前記壁エレメント(1)の周辺領域にある物体を検出することが可能であり、少なくとも1つの信号を生成することが可能な、少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)であって、前記少なくとも1つの信号に応じて、前記駆動手段(2)による前記壁エレメント(1)の調節が制御可能である、少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)、を備えることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項10】
請求項
9に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)により、前記壁エレメント(1)が自身の使用位置にあるときの前記収納空間(A)内の物体が検出可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項11】
請求項
10に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記収納空間(A)内に物体が検出された場合に、使用位置にある前記壁エレメント(1)を当該壁エレメント(1)の非使用位置の方向に調節することで、非使用位置の方向に調節される当該壁エレメント(1)によって前記収納空間(A)内に前記物体を挟持固定するように構成された電子制御部が設けられていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項12】
請求項
10に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)により前記収納空間(A)内に物体が検出された場合に、使用位置にある前記壁エレメント(1)が当該壁エレメント(1)の非使用位置まで調節されるのを阻止するように構成された電子制御部が設けられていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項13】
請求項
9に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)により、前記壁エレメント(1)の前方にある物体が検出可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項14】
請求項
13に記載の収納コンパートメン
トアセンブリにおいて、前記少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)により、前記非使用位置及び/又は前記使用位置への前記壁エレメント(1)の調節をトリガする作動イベントが非接触で検出可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
【請求項15】
請求項1または2に記載の収納コンパートメントアセンブリを備える車両。
【請求項16】
請求項
15に記載の車両において、前記収納コンパートメントアセンブリ(V)が、車両ドア、トランク、背もたれの後側、または当該車両のダッシュボードに設けられていることを特徴とする、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
提案の解決手段は、詳細には、支持エレメントと、当該支持エレメントの表側に調節可能に配置されており、収納コンパートメントを形成する目的で弾性変形可能であるほか、使用位置へ移行させられることが可能な壁エレメントと、を備える、車両の収納コンパートメントアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1等から、支持エレメントと、当該支持エレメントの表側に配置されていて非使用位置と少なくとも1つの使用位置との間で調節可能である壁エレメントと、を備える収納コンパートメントアセンブリが知られている。この場合の壁エレメントは、非使用位置では支持エレメントの表側の輪郭に沿って延在し、使用位置では支持エレメントの表側の輪郭から離れるように外方に曲がることで当該支持エレメントの当該表側から突出する、細長い弾性曲げエレメントによって形成されている。非使用位置と使用位置との間の調節のために、駆動モータを含む駆動手段が設けられている。このような収納コンパートメントアセンブリにより、壁エレメントを非使用位置に後退させてスペースを節約し、支持エレメント(例えば、車両の内装トリム)前側から可能な限り又は全く突出しないように出来る。壁エレメントが外方に曲げられた使用位置では、当該使用位置にある当該壁エレメントを介してアクセスすることが可能な収納空間を利用することで物体を収容することができる。前記特許文献1では、壁エレメントが使用位置になることで、既に存在している収納コンパートメントにアクセス出来るようになるという点が特に強調されている。つまり、外方に曲がった使用位置の壁エレメントにより、収納コンパートメントへのアクセスを可能にする開口が形成されるのである。非使用位置では、収納コンパートメント又は対応する当該開口が閉じられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102016102903号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
提案の解決手段は、調節可能な壁エレメントによりもたらされる収納空間の使い易さ及び有用性が特に向上した収納コンパートメントアセンブリを提供するという目的に基づいたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の収納コンパートメントアセンブリ、請求項14に記載の収納コンパートメントアセンブリ、および請求項20に記載の方法のいずれによっても達成される。
【0006】
第1の態様で提案するのは、支持エレメント、当該支持エレメントの表側に配置されていて非使用位置と少なくとも1つの使用位置との間で調節可能である壁エレメント、および外力の作動で当該壁エレメントを調節する駆動手段に加えて、収容時位置と機能時位置との間で調節可能である、回動可能に取り付けられた少なくとも1つのベースエレメントを備え、当該ベースエレメントは、前記壁エレメントが前記使用位置にあるときには自身の収容時位置から自身の機能時位置へと回動させられて使用位置の前記壁エレメントにより形成された前記収納空間の底部を形成している、車両の収納コンパートメントアセンブリである。
【0007】
つまり、提案の収納コンパートメントアセンブリは、収納空間を形成するのに、前記壁エレメントが使用位置にあるときに当該収納空間内に物体を載置することが可能となる底部を具備した、回動可能な(したがって、例えば折り広げ可能な)別体のベースエレメントを提供する。よって、具体的に述べると、前記収納空間を形成する収納コンパートメントは、前記壁エレメントの少なくとも1つの使用位置にて、当該壁エレメントにより形成される少なくとも1つの側壁、および底部を有している。前記壁エレメントを非使用位置へ調節すると、前記ベースエレメントが折り畳まれると共に、前記壁エレメントが前記支持エレメントの前記表側の前記輪郭に沿って延在せしめられる(すなわち、例えば当該輪郭と平行に延在せしめられる)。このようにして、前記壁エレメントと後退後又は折畳み後の前記ベースエレメントとが前記支持エレメントにコンパクトに収納される。
【0008】
前記収納空間の前記底部を形成する前記ベースエレメントは、当該ベースエレメント上に物体が安全に載置されるのを可能にするように、原則として耐屈曲の剛体(biegesteif)とされ得る。
【0009】
一実施態様において、前記ベースエレメントは、前記支持エレメントに回動可能(schwenkbar)に取り付けられている。つまり、前記収容時位置と前記機能時位置との間で回動可能である前記ベースエレメントが、前記支持エレメント自体に回動可能に取り付けられている。具体的に述べると、この構成には、前記支持エレメントにて前記ベースエレメントが当該支持エレメントの前記表側に形成された回動軸心回りに回動可能とされる実施態様が含まれる。例えば、前記ベースエレメントは、ヒンジを用いて回動可能に取り付けられている。
【0010】
代替的な一実施態様では、前記ベースエレメントが、前記支持エレメントの前記表側と略平行な回動軸心回りに回動可能とされる。具体的に述べると、このような回動軸心は、前記収納コンパートメントアセンブリが意図どおり設置されているとき、鉛直方向に略沿って延びているものであり得る。一変形例では、前記ベースエレメントが、前記壁エレメントの下方にて、前記支持エレメントの前記表側と平行に延びる前記回動軸心によって収容時位置から機能時位置へと進展可能とされる。例えば、この場合の前記ベースエレメントは、調節時に前記壁エレメント下方の前記収容時位置から機能時位置へと回転する。この調節運動時には、前記ベースエレメントのうちの物体を載置することが可能な部分が徐々に進展して増加する。そして、前記機能時位置では、前記ベースエレメントの進展が済んで例えば載置面積が最大限になる。
【0011】
一実施態様において、前記ベースエレメントは、自身の収容時位置にて、非使用位置にある前記壁エレメントと前記支持エレメントとの間に形成された隙間に収められている。具体的に述べると、この場合の前記ベースエレメントは、前記壁エレメントと前記支持エレメントとの間に全体が配され得て且つ/或いは挟み込まれ得る。例えば、前記ベースエレメントは板状の部材として実現されて、自身の収容時位置に折り畳まれると、非使用位置にある後退後の前記壁エレメントの内側に対向する。よって、前記壁エレメントが前記支持エレメント上の非使用位置にあるとき、前記収納コンパートメントアセンブリは極めて扁平な構造を実現する。
【0012】
これに代えて又はこれに加えて、前記ベースエレメントは、自身の機能時位置にて、前記壁エレメントに当接するものとされてよい。つまり、この場合の前記ベースエレメントは、機能時位置になると、使用位置にある前記壁エレメントと接することになる。この構成は、前記収納空間を形成する前記収納コンパートメントの補強を実現するのに用いられ得る。この場合の前記ベースエレメントは、機能時位置にて、前記支持エレメントの内側から使用位置にある前記壁エレメントの内側まで進展させられた状態となり得る。よって、当該ベースエレメントにより、前記壁エレメントは、外部から(例えば、人間が)加えた力によって前記支持エレメント側に変位しないよう阻止される。
【0013】
一実施態様において、前記ベースエレメントは、収容時位置にて、前記壁エレメントと前記支持エレメントとの間の隙間に収められるのではなく、前記支持エレメントの前記表側の背後に位置した収容領域に収められている。このような収容領域は、例えば、前記支持エレメント(当該支持エレメントの裏側)に設けられたハウジングにより形成され得る。そして、対応する収容領域から、前記ベースエレメントが例えば機能時位置へと進展させられ得る。例えば、さらなる改良形態では、前記支持エレメントの前記表側にあるスロット又は隙間から、扁平な例えばデイスク形状のベースエレメントが進展させられ得る。
【0014】
具体的に述べると、このような実施態様では、前記ベースエレメントが、自身の機能時位置にて、前記壁エレメントから離間しているものとされ得る。つまり、例えば、使用位置にある前記壁エレメントの下縁部と機能時位置にある前記ベースエレメントとの間に隙間が存在し得る。
【0015】
一実施態様において、前記ベースエレメントは、自身の機能時位置へ付勢されている(特には、弾性的に付勢されている)。つまり、前記ベースエレメントには、当該ベースエレメントを機能時位置へと自動的に調節する付勢力が付加されており、前記壁エレメントがこのような調節を妨げることなく、使用位置へ動かされる。つまり、この方法では、例えば、前記壁エレメントを前記非使用位置と少なくとも1つの使用位置との間で外力の作動により調節する前記駆動手段が、当該壁エレメントにだけ接続されている。前記壁エレメントが前記使用位置に移行させられる結果、前記ベースエレメントは、付加された前記付勢力の働きで移動可能となって自身の収容時位置から自身の機能時位置へと自動的に移動する。そして、この場合の前記ベースエレメントは、例えば前記壁エレメントを前記付勢力に抗して当該ベースエレメントに作用させることによって前記収容時位置へ戻る。つまり、この場合、前記非使用位置の方向への前記壁エレメントの調節(特には、前記駆動手段による外力作動で制御される前記壁エレメントの調節)時に(適宜、前記使用位置から前記非使用位置の方向へと所定の最小限の調節距離を移動した後)、当該壁エレメントが前記ベースエレメントに作用し且つ当該壁エレメントがなおいっそう変位することで前記ベースエレメントが収容時位置の方向に移動する(特には、前記ベースエレメントが収容時位置の方向に押し込まれる)というように、前記壁エレメントと前記ベースエレメントとが協働する。
【0016】
一実施態様において、前記ベースエレメントは、収容時位置から自身の機能時位置へとゲート(Kulissenfuehrung)により調節可能である。このようなゲートは、例えば、少なくとも1つのガイド・スロットと当該少なくとも1つのガイド・スロットでスライド案内される少なくとも1つのガイドエレメントとを含む。この場合のガイド・スロット又はガイドエレメントは、前記ベースエレメントに設けられ得る。例えば、前記ベースエレメントのガイドエレメントが、駆動機構により調節することが可能なガイド・スロットに係合する。具体的に述べると、この構成には、前記壁エレメントと前記ベースエレメントの両方が前記駆動手段による外力で作動される(つまり、モータにより調節可能である)構成が含まれる。この場合の前記駆動手段は、例えば調節されたガイド・スロットを介して、前記ベースエレメントのガイドエレメントに作用する。つまり、ガイドリンクを直線調節(並進調節)することにより、当該ガイドリンク上をスライドするガイドエレメントに、前記ベースエレメントを前記回動軸心回りに調節させるような経路が付与される。つまり、前記ガイド・スロットを直線調節することにより、前記ベースエレメントの前記回動軸心回りの調節運動が生じる。このように、前記ゲートにより、前記駆動手段の駆動エレメントの並進調節運動が前記ベースエレメントの回転運動又は回動運動に変換される。
【0017】
一実施態様において、前記壁エレメントは、当該壁エレメントを当該壁エレメントの非使用位置と使用位置との間で調節する目的で、前記駆動手段により調節可能である第1の(端部)部位と、第2の(端部)部位とを有しており、前記第1の部位は、前記駆動手段により前記第2の(端部)部位に対して調節可能である。前記第1の部位は前記駆動手段で調節可能であるのに対し、前記第2の部位は前記支持エレメントに対して静止している(特には、前記支持エレメントに固定されている)ものとされ得る。つまり、前記駆動手段は、前記第1の部位を定位置の前記第2の部位に対して移動させることで前記壁エレメントの弾性変形を制御するように、前記壁エレメントのうちの前記第1の部位にのみ接続されている。つまり、この場合には、前記駆動手段により前記第1の部位が定位置の前記第2の部位に対して調節されることで前記壁エレメントの弾性変形が制御され、当該壁エレメントが前記支持エレメントの前記表側から離れるように外方に(なおいっそう)曲がることによって使用位置となり得る。
【0018】
また、代替的な一実施態様では、前記駆動手段により、前記壁エレメントの第1の部位と第2の部位の両方が、例えば(使用位置を取る目的で)互いに向かうように且つ(前記非使用位置を取る目的で)互いに遠ざかるように調節可能とされ得る。
【0019】
原則として、前記壁エレメントは、細長いもの(特には、帯体の形態で実現されたもの)であり得る。よって、細長い壁エレメントのうちの前記駆動手段に接続される端部部位は、当該壁エレメントの長手方向端部に設けられる。
【0020】
例示的な一実施形態では、前記壁エレメントのうちの、前記駆動手段により調節可能である第1の部位が、前記支持エレメント上を並進変位可能とされる。例えば、前記駆動手段は、前記第1の部位を並進調節するリニアガイドを含んでいる。このようなリニアガイドは、例えばスピンドル式駆動部を具備している。
【0021】
一実施態様では、前記駆動手段の少なくとも一部が、前記支持エレメントのうちの前記表側とは反対側である裏側に設けられている(特には、当該裏側に固定されている)。つまり、例えば、前記駆動手段のうちの、前記壁エレメントの前記第1の部位を調節するリニアガイドが、前記支持エレメントの前記裏側に設けられ得る。そして、前記壁エレメントのうちの、前記支持エレメントの前記表側に配置された前記第1の部位が、前記支持エレメントの少なくとも1つの貫通開口部を通って前記駆動手段の駆動エレメントに接続され得る。これにより、この駆動エレメントを調節すると、前記壁エレメントの当該部位も同時に駆動される。
【0022】
一実施態様において、前記壁エレメントは、複数のセグメントを含んでいる。そして、これらのセグメントは、例えば、前記壁エレメントの長手方向の延在方向に沿って順々に並んでいる。一実施態様では、前記壁エレメントの当該セグメント同士が、一対ずつ少なくとも1つの弾性的に撓み可能な曲げ領域を介して互いに繋がっている。つまり、この場合の前記壁エレメントの当該セグメントは、当該壁エレメントを使用位置へと移行させるのに前記弾性的に撓み可能な曲げ領域でのみ当該壁エレメントの変形が選択的に可能となるように、高剛性又は少なくとも当該弾性的に撓み可能な曲げ領域よりも高剛性に構成され得る。これにより、前記壁エレメントを前記弾性的に撓み可能な曲げ領域によって、前記非使用位置から使用位置へと変化させる目的で選択的に調節したり局所的に弾性変形させたりすることが可能となる。
【0023】
原則として、前記壁エレメントのうちの、前記駆動手段により調節可能な(第1又は第2の)各部位は、複数のセグメントを含む壁エレメントのうちの一つのセグメントにより形成されたものであり得る。この場合、例えば、前記壁エレメントのうちの、前記駆動手段に接続されている第1のセグメント/第1の(端部)部位には、当該壁エレメントの長手方向の延在方向で、弾性変形可能な曲げ領域が隣接した後、さらに、当該壁エレメントのうちの別の(高剛性)セグメントが隣接することになる。
【0024】
一実施態様において、前記壁エレメントは、当該壁エレメントを当該壁エレメントの非使用位置から使用位置へと調節する目的で前記支持エレメントの前記表側の前記輪郭から離れるように外方に曲がる(好ましくは、前記駆動手段により曲がらせる)ことが可能な、少なくとも1つの弾性変形可能な帯体からなる。この場合、帯体のうちの一端部が前記壁エレメントのうちの調節可能な第1の(端部)部位の一部とされ得て、かつ、当該帯体のうちの第2の別の端部が前記壁エレメントのうちの前記支持エレメントに固定された第2の(端部)部位の一部とされ得る。そして、弾性変形可能な帯体は、例えば、前記壁エレメントのうちの、当該帯体に少なくとも部分的に重なるか又は当該帯体を少なくとも部分的に覆う装飾部材又はトリム部材と連結したものとされ得る。また、さらなる改良形態では、前記壁エレメントが、互いに平行で且つそれぞれ弾性変形可能な複数の(少なくとも2つの)帯体からなるものとされ得る。
【0025】
考えられ得るさらなる改良形態において、前記少なくとも1つの弾性変形可能な帯体は、前記壁エレメントの少なくとも一部で、当該帯体の変形を局所的に阻止する少なくとも1つの補強エレメントと連結している。前記帯体の変形を局所的に阻止する(したがって、例えば前記帯体を局所的に補強する)少なくとも1つの補強エレメントに前記帯体を連結することにより、最終的な前記収納空間の形状を予め定められた特定の形状にすると共に、これに関係して前記壁エレメントを弾性的に撓み可能な曲げ領域と高剛性セグメントとに区分化することが可能となる。この場合、前記壁エレメントの弾性的に撓み可能な曲げ領域は、例えば、前記弾性変形可能な帯体が補強エレメントで補強されていない領域に形成される。よって、補強エレメントが設けられているため前記帯体が容易に変形可能でない(特には、容易に曲がらない)領域には、前記壁エレメントのうちの(高剛性)セグメントが生じる。
【0026】
提案の収納コンパートメントアセンブリの使い易さを向上させる、提案の解決手段の他の態様は、前記壁エレメントの周辺領域にある物体を検出することが可能であり且つ少なくとも1つの信号を生成することが可能な少なくとも1つのセンサ手段であって、前記少なくとも1つの信号に応じて、前記駆動手段による前記壁エレメントの調節が制御可能である少なくとも1つのセンサ手段を設けるという構成に関する。
【0027】
前記少なくとも1つのセンサ手段及び当該少なくとも1つのセンサ手段により生成される前記信号により、例えば前記収納空間内の物体の存在、前記壁エレメントの調節経路における物体の存在等を知らせることが可能となる。これに代えて又はこれに加えて、前記信号により、例えば、ユーザのジェスチャなどの形態の所定の作動イベントを検出することが可能である。当然ながら、センサ手段を設けるというこの場合の構成は、収容時位置と機能時位置との間で調節可能である、回動可能に取り付けられた少なくとも1つのベースエレメントを収納コンパートメントアセンブリに備え付けるという構成と独立したものである。しかしながら、両方の構成を組み合わせるのも容易に可能であることは明らかである。
【0028】
少なくとも1つのセンサ手段が備え付けられた収納コンパートメントアセンブリの一実施態様では、前記少なくとも1つのセンサ手段により、例えば、前記壁エレメントが使用位置にあるときの前記収納空間内の物体が検出可能である。つまり、例えば、前記少なくとも1つのセンサ手段により、非使用位置までの前記壁エレメントの調節が前記収納空間内に位置した物体で阻止されているか否かが少なくとも検出可能である。つまり、この場合には、前記少なくとも1つのセンサ手段で前記壁エレメントの変位経路において障害物が検出できず前記壁エレメントの前記使用位置にて形成された前記収納コンパートメントの前記収納空間が空である場合にのみ、外力の作動による前記非使用位置までの調節が可能とされる。
【0029】
また、さらなる改良形態では、前記壁エレメントが使用位置にあるときの前記収納空間内の物体をセンサ手段により検出できるという基本的概念に基づいたうえで、上記の構成に代えて又は上記の構成に加えて、前記壁エレメントを非使用位置の方向に意図的に調節する(但し、非使用位置までは調節しない)ことにより、前記収納空間内に位置した物体を当該収納空間内に挟持固定するという構成もあり得る。この構成に関連して、前記収納コンパートメントアセンブリは、例えば、使用位置にある前記壁エレメントを当該壁エレメントの非使用位置の方向に調節することで前記収納空間内に位置した物体を挟持するように構成された電子制御部を設け得る。これにより、前記収納空間内に物体が検出された際には、前記壁エレメントが非使用位置の方向に動かされることで前記収納空間内に当該物体が自動的に挟持固定され、それによって当該物体を確実に保持することが可能となる。つまり、この場合には、少なくとも一部が弾性変形可能である壁エレメントが前記駆動手段により(なおいっそう)緊張させられることで、前記収納空間内に少なくとも1つの物体を挟持することが可能となる。前記駆動手段は、例えば、前記壁エレメントを前記非使用位置の方向に少なくとも若干調節する、つまり、前記非使用位置に達するまでの調節経路の一部ぶんだけ前記壁エレメントを調節するように制御され得る。
【0030】
例えば、この構成に基づく一実施態様では、前記壁エレメントが始めに非使用位置から使用位置に移行させられ得る。その結果生じる前記収納空間に物体が載置されると、少なくとも1つのセンサ手段により当該収納空間への当該物体の載置が識別され、これに応答して前記壁エレメントが当該壁エレメントの非使用位置の方向に少し動かされる。この場合の前記壁エレメントは、前記収納空間内に位置した前記物体に当接して当該物体を当該壁エレメントの内側と前記支持エレメントの前記表側との間に自動的に挟持し得る。
【0031】
前記少なくとも1つのセンシング装置による物体の検出のために、当該少なくとも1つのセンシング装置は、例えば、静電容量式又は電磁誘導式のセンサを含み得る。
【0032】
具体的に述べると、前記収納コンパートメントアセンブリの電子制御部は、例えば、前記少なくとも1つのセンサ手段により前記収納空間内に物体が検出された場合に、使用位置にある前記壁エレメントが当該壁エレメントの非使用位置まで(完全に)調節されるのを阻止するように構成され得る。つまり、この場合の前記壁エレメントは、前記少なくとも1つのセンサ手段により、外力の作動によって非使用位置まで移行しないように阻止されているので、例えば、当該壁エレメントの後退で人間の身体の一部が引っ掛かったり前記収納空間内に位置した物体が損傷したりすることが防がれる。前述の実施態様に基づくと、前記非使用位置の方向への調節をトリガして、前記収納空間内に検出された物体を前記壁エレメントによって当該収納空間内に挟持固定することが可能である。ただし、非使用位置への前記壁エレメントの完全な調節は阻止される。
【0033】
上記の構成に代えて又は上記の構成に加えて、少なくとも1つのセンサ手段により、前記壁エレメントの前方にある物体が検出可能である。すなわち、前記少なくとも1つのセンサ手段により、前記収納空間外の例えば前記壁エレメントで画定される当該壁エレメント外側の近傍にある物体が検出可能とされる。つまり、例えば、前記少なくとも1つのセンサ手段により、進展中の(したがって、使用位置の方向に調節されている)前記壁エレメントの調節経路における障害物を検出することが可能となる。
【0034】
このような実施態様では、上記の構成に代えて又は上記の構成に加えて、前記壁エレメントの調節が少なくとも1つのセンサ手段によってのみトリガされることが可能とされてもよい。つまり、例えば、前記少なくとも1つのセンサ手段により、前記非使用位置及び/又は使用位置への前記壁エレメントの調節をトリガする作動イベント(特には、前記壁エレメントの前方でユーザが意図的に行うジェスチャ)が非接触で検出され得る。例えば、前記少なくとも1つのセンサ手段及び当該少なくとも1つのセンサ手段に接続された前記電子制御部により、前記壁エレメントの前方でユーザが手で行うジェスチャ(例えば、スワイプするジェスチャ等)を検出し得るほか、これが進展(したがって、使用位置への前記壁エレメントの調節)をトリガするのかそれとも逆に後退(したがって、非使用位置への前記壁エレメントの調節)をトリガするのかという趣旨の評価を行うことが可能である。
【0035】
提案の解決手段のさらなる他の態様は、外力の作動によって収納コンパートメントアセンブリの壁エレメントを調節する方法に関する。
【0036】
この場合についても、前記壁エレメントは、支持エレメントの表側に配置されていて、非使用位置と少なくとも1つの使用位置との間で調節可能である。前記壁エレメントは、前記非使用位置では前記支持エレメントの前記表側の輪郭に沿って延在するのに対し、使用位置では、少なくとも1つの物体の収納空間を形成する目的で、少なくとも一部が弾性変形すると共に少なくとも一部が前記支持エレメントの前記表側から突出する。例えば、使用位置での前記壁エレメントは、前記表側の前記輪郭から離れるように外方に曲がっている。提案の方法では、さらに、前記壁エレメントの調節が、当該壁エレメントの周辺領域にある物体を検出することが可能な少なくとも1つのセンサ手段の少なくとも1つの信号に応じて行われる。つまり、この場合において前記駆動手段による前記壁エレメントの調節は、前記収納空間内の物体の存在および/または前記壁エレメントの調節経路における物体の存在および/または所定の例えばジェスチャ等の形態の作動イベントの非接触識別に応じて結果的に行われ得る。したがって、少なくとも1つのセンサ手段が備え付けられた収納コンパートメントアセンブリの対応する実施態様に関して既述した構成や利点および後述する構成や利点は、提案の方法の実施態様にも当てはまり、その逆も然りである。
【0037】
提案の収納コンパートメントアセンブリは、車両において例えば車両ドア、トランク、背もたれの後側、当該車両のダッシュボード等に設けられ得る。具体的に述べると、この構成との関連で、支持エレメントは、前記車両ドアのトリム部材、前記トランクのトリム部材、前記背もたれ、または前記車両の前記ダッシュボードにより形成され得る。
【0038】
添付の図面には、提案の解決手段の考えられ得る実施態様が例示されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1A】提案の収納コンパートメントアセンブリの一実施態様を示す図であり、非使用位置にある壁エレメントが支持エレメントの表側に当接している。
【
図1B】
図1Aの収納コンパートメントアセンブリを示す図であり、壁エレメントが使用位置にあり、物体を収容する収納空間を有した収納コンパートメントが当該壁エレメントと折り広げられたベースエレメントとにより形成されている。
【
図2】収納コンパートメントアセンブリの裏側を示す斜視図であり、壁エレメントを調節する駆動手段が設けられている。
【
図3A】壁エレメントが非使用位置にあるときの収納コンパートメントアセンブリを示す図である。
【
図3B】壁エレメントが非使用位置にあるときの収納コンパートメントアセンブリを示す他の図である。
【
図3C】壁エレメントが非使用位置にあるときの収納コンパートメントアセンブリを示すさらなる他の図である。
【
図4A】壁エレメントが非使用位置から使用位置へと移行する途中の収納コンパートメントアセンブリを示す、
図3Aに対応した図である。
【
図4B】壁エレメントが非使用位置から使用位置へと移行する途中の収納コンパートメントアセンブリを示す、
図3Bに対応した図である。
【
図4C】壁エレメントが非使用位置から使用位置へと移行する途中の収納コンパートメントアセンブリを示す、
図3Cに対応した図である。
【
図5A】壁エレメントが使用位置にあるときの収納コンパートメントアセンブリを示す、
図3Aに対応した図である。
【
図5B】壁エレメントが使用位置にあるときの収納コンパートメントアセンブリを示す、
図3Bに対応した図である。
【
図5C】壁エレメントが使用位置にあるときの収納コンパートメントアセンブリを示す、
図3Cに対応した図である。
【
図6】収納コンパートメントアセンブリのさらなる実施態様を示す、
図1Bに対応した図である。
【
図7A】提案の収納コンパートメントアセンブリのさらなる実施態様の場合において、壁エレメントを使用位置へと且つベースエレメントを機能時位置へと調節する際の一段階を示す上方斜視図である。
【
図7B】提案の収納コンパートメントアセンブリのさらなる実施態様の場合において、壁エレメントを使用位置へと且つベースエレメントを機能時位置へと調節する際の他の段階を示す上方斜視図である。
【
図7C】提案の収納コンパートメントアセンブリのさらなる実施態様の場合において、壁エレメントを使用位置へと且つベースエレメントを機能時位置へと調節する際のさらなる他の段階を示す上方斜視図である。
【
図8】設置前の状態の
図7A~
図7Cの収納コンパートメントアセンブリのハウジングの細部を、後退後の(したがって、当該ハウジングへの収容時位置にある)ベースエレメントの下側からみた図である。
【
図9】ベースエレメントを外したハウジングの図である。
【
図10A】
図7A~
図9の収納コンパートメントアセンブリのベースエレメントを調節するゲートを含む調節機構の、当該ベースエレメントを機能時位置へと調節する際の細部を示す図である。
【
図10B】
図7A~
図9の収納コンパートメントアセンブリのベースエレメントを調節するゲートを含む調節機構の、当該ベースエレメントを機能時位置へと調節する際の細部を示す他の図である。
【
図10C】
図7A~
図9の収納コンパートメントアセンブリのベースエレメントを調節するゲートを含む調節機構の、当該ベースエレメントを機能時位置へと調節する際の細部を示すさらなる他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1A~
図5Cに、収納コンパートメントアセンブリVの壁エレメント1の様々な図および位置を示す。細長い壁エレメント1の調節により、支持エレメントTに収納コンパートメントを必要に応じて形成することが可能である。
図1A~
図5Cでは、支持エレメントTがフラットな部材として描かれている。これは、例えば、車両ドアの内装トリム部材であり得る。しかしながら、前記支持エレメントは、トランクの内張りの一部、背もたれの後側の一部、または車両のダッシュボードの一部であってもよい。
【0041】
支持エレメントTの表側TAは、例えば車両の内部や車両の収納空間に面する側である。細長い壁エレメント1は、この表側TAに配置されている。この場合の壁エレメント1は、
図1に示す非使用位置にて、支持エレメントTの表側TAの輪郭に沿って延在している(本例では、表側TAと平行である)。壁エレメント1は、帯体の形態で実現されており、非使用位置では支持エレメントTの表側TAから僅かしか突出していない。
【0042】
本例の壁エレメント1は、一対ずつ弾性的に撓み可能な領域11A,11B,11C,11Dを介して互いに繋がった複数のセグメント10A,10B,10C,10D,10Eで構成されている。壁エレメント1の第1の長手方向端部にある、当該壁エレメント1の第1のセグメント10Aは、支持エレメントTの裏側TBに配置された駆動手段2に接続されている。壁エレメント1の他方の長手方向端部を形成する第2のセグメント10Eは、支持エレメントTの表側TAに移動不能に固定されている。壁エレメント1は、
図1Aに示す扁平な非使用位置から
図1Bに示す使用位置へと調節されることが可能であるように、少なくとも一部が特には弾性的に撓み可能な曲げ領域11A,11B,11C,11Dで弾性変形可能である。この使用位置では、壁エレメント1の中間セグメント10B,10C,10Dが、支持エレメントTの表側TAの前記輪郭から離れるように外方に曲がって自身と支持エレメントTの表側TAとの間に、物体を載置することが可能な収納空間Aを形成している。
【0043】
外力の作動で壁エレメント1を前記非使用位置から使用位置へと及びその逆に調節する目的で、第1のセグメント10Aは、支持エレメントT上で変位自在に案内され且つ駆動手段2により並進変位させられることが可能である。第1のセグメント10Aが駆動手段2により壁エレメント1のうちの定位置の第2の(端部)セグメント10Dの方向へ駆動方向R1に沿って調節されると、壁エレメント1の中間セグメント10B~10Dが、駆動方向R1と支持エレメントTの表側TAとに直交する調節方向R2に略沿って自動的に外方に曲がる。
【0044】
支持エレメントT上で第1のセグメント10Aを案内する目的で、当該支持エレメントTには、相互に平行なスロットS1,S2の形態の2つの貫通開口部が設けられている。これらのスロットS1,S2には、第1のセグメント10Aを駆動エレメントに接続する接続エレメントが係合している。当該駆動エレメントは、駆動手段2のうちの変位可能に案内されるスライド21の形態である(特に
図2を参照のこと)。セグメント10AがスロットS1,S2に沿って定位置のセグメント10Dに向かって変位したり、定位置のセグメント10Dから遠ざかるように変位したりする結果、壁エレメント1が進展または後退し得る。前記収納コンパートメントの収納空間Aが物体を収める必要がない場合、壁エレメント1は
図1Aに示す前記非使用位置に戻されてスペースを節約し得る。
【0045】
収納コンパートメントアセンブリVは、壁エレメント1が前記使用位置にあるときに収納空間A内に物体を容易に載置出来るように、回動可能に取り付けられた耐屈曲の剛体である板状のベースエレメント12を備える。このベースエレメント12は、支持エレメントTに例えば少なくとも1つのヒンジを用いて回動軸心S回りに回動可能に取り付けられている。壁エレメント1が
図1に示す前記非使用位置にあるとき、ベースエレメント12は、支持エレメントTの表側TAの方向に折り畳まれて当該表側TAと非使用位置にある後退後の壁エレメント1との間の隙間に収まっている。本例では、ベースエレメント12の全体が壁エレメント1で覆われる。壁エレメント1が
図1Bに示す使用位置に移行することで、ベースエレメント12は、当該ベースエレメント12の上記のようにして定まる収容時位置から回動軸心S回りに回動方向R3に沿って外方に自動的に折り広がり得る。壁エレメント1が使用位置に移行することで、当該壁エレメント1による回動方向R3に沿った回動阻止がなくなったベースエレメント12は、自身の機能時位置の方向に自動的に折り広がる。そして、機能時位置となったベースエレメント12は、物体を載置することが可能な収納空間Aの基盤を形成する。
【0046】
壁エレメント1とベースエレメント12は、当該ベースエレメント12が収容時位置から前記機能時位置へと折り広げる(Umklappen)ために、例えば少なくとも1つの可撓性の牽引手段等によって連結されたものとされ得る。これにより、壁エレメント1が使用位置の方向に調節される際、使用位置の方向へ調節中の当該壁エレメント1によってベースエレメント12に牽引力が加わることで、当該ベースエレメント12が収容時位置から前記機能時位置へとおり広げられ得る。これに代えて又はこれに加えて、ベースエレメント12は、壁エレメント1が使用位置に折曲がる際に自身の重みのもとで自動的に前記収容時位置から前記機能時位置へと折り広がるものとされてもよい。また、必要に応じて、ベースエレメント12は、例えば少なくとも1つのばねエレメントによって自身の機能時位置へ弾性的に付勢されているものとされてもよい。この場合、ベースエレメント12を弾性的に付勢するばねエレメントは、例えば、一方が前記支持エレメントに支持されて他方がベースエレメント12に支持されたものとされ得る。折り広げられた前記機能時位置でのベースエレメント12は、壁エレメント1の内側に当接することにより、当該壁エレメント1で形成された前記収納コンパートメントを補強する。
【0047】
駆動手段2により第1のセグメント10Aが定位置の第2のセグメント10Eから遠ざかるように調節されて且つそれによって壁エレメント1が自身の非使用位置の方向に調節されると、当該壁エレメント1、特には当該壁エレメント1の中央セグメント10Cが、支持エレメントTの表側TAの方向へと調節方向R4に沿って調節される。この場合、壁エレメント1がベースエレメント12に作用し当該壁エレメント1によって当該ベースエレメント12が支持エレメントTの表側TAの方向に押し込まれることで、当該ベースエレメント12は自身の回動軸心S回りに回動して前記収容時位置に戻る。つまり、壁エレメント1を進展させる駆動方向R1とは逆の駆動方向R5へと第1のセグメント10Aが駆動手段2により調節されると、ベースエレメント12も自身の収容時位置へと自動的に折り畳まれる。壁エレメント1が
図1に示す前記非使用位置に完全に移行することで、ベースエレメント12は再び支持エレメントTの表側TAと壁エレメント1との間にサンドイッチされる。
【0048】
壁エレメント1は、原則として、帯状の弾性変形可能な帯体(Bandelement)により形成されたものとされ得る。弾性変形可能な帯体は、例えばばね鋼等から製作されたものである。このような帯体には、補強セグメント10A~10Fを形成するために補強エレメントが連結していると共に、壁エレメント1の外側と支持エレメントTの表側TAの外観をマッチさせるように例えば装飾部材、トリム部材等が設けられている。前記補強エレメントは前記帯体に対して局所的にしか取り付けられていないので、2つの隣合うセグメント対10A/10B,10B/10C,10C/10D,10D/10E間には、補強されていない自由な領域が生じる。これらの領域は、弾性変形可能な曲げ領域11A~11Dとして、壁エレメント1が前記使用位置になったときの前記収納コンパートメントの形状を決まった形状にすると共に、当該壁エレメント1が使用位置へと外方に曲がることができるようにする。
【0049】
図2に示すように、駆動手段2は支持エレメントTの裏側TBに固定されている。図示の実施態様では、駆動手段2が、スピンドル式駆動部を具備したリニアガイドを含んでいる。この場合の支持エレメントTの裏側TBには、支持フレーム20が固定されている。支持フレーム20は、変位可能に取り付けられたスライド21の形態の駆動エレメント用のスライドガイド200を形成している。スライド21は、壁エレメント1の第1のセグメント10Aに接続固定されており、当該スライド21が支持フレーム20に沿って変位すると、これに直接対応するかたちで第1の端部セグメント10Aが壁エレメント1の定位置の第2の端部セグメント10Eに対して変位する。
【0050】
この場合のスライド21の調節は、当該スライド21のスピンドルナットに噛み合ったスピンドル201により駆動され得る。この場合のスピンドル201は、例えば当該スピンドル201をスピンドル軸回りに回転させる目的の電気モータ等で駆動させられて、当該スピンドル201の回転方向に応じてスライド21を駆動方向R1に沿って又は駆動方向R5に沿って位置決めし得る。
【0051】
【0052】
扁平な非使用位置から使用位置になって支持エレメントTの表側TAから突出するまでの壁エレメント1の進展は、例えば、駆動手段2に接続された電子制御部5により制御され得る。この電子制御部5は、
図1Aに示すセンサ手段4.1,4.2,4.3に接続されたものであり得る。このようなセンサ手段4.1,4.2,4.3は、例えば、壁エレメント1の周辺領域にある物体の非接触検出を可能にする少なくとも1つの静電容量式又は電磁誘導式のセンサを含む。
【0053】
図1Aの実施態様の場合、複数のセンサ手段4.1,4.2,4.3は、壁エレメント1の別々の(本例では中間)セグメント10B,10C,10Dに設けられている(特には、当該セグメント10B,10C,10Dに組み込まれている)。センサ手段4.1,4.2,4.3は、少なくとも1つの(センサ)信号を生成することが可能である。壁エレメント1の調節は、当該少なくとも1つの(センサ)信号に応じて電子制御部5により駆動手段2を用いて制御される。この場合、センサ手段4.1~4.3の少なくとも1つの信号は、例えば、(壁エレメント1の進展後では)収納空間A内の物体の存在や、(壁エレメント1の使用位置への移行中又は移行前では)当該壁エレメント1の調節経路における物体の存在等を知らせるのに用いられ得る。これに代えて又はこれに加えて、センサ手段4.1~4.3の少なくとも1つの信号により、例えば、壁エレメント1の調節をトリガする作動イベントが非接触で検出され得る。
【0054】
つまり、例えば、一実施態様では、壁エレメント1が使用位置に移動した後、形成された前記収納コンパートメントの収納空間A内に物体が載置されたか否かが少なくとも1つのセンサ手段4.1,4.2,4.3で検出可能となり得る。収納空間A内への物体の載置がセンサで検出されると、壁エレメント1が自身の非使用位置の方向に自動的に移動させられる(但し、非使用位置までは移動させられない)。これにより、一部が弾性変形可能である壁エレメント1が緊張すると共に、当該壁エレメント1の中間セグメント10B~10Dが支持エレメントTの表側TAの方向に変位する。結果として、収納空間A内に位置した物体が壁エレメント1によって表側TAに押し付けられて収納空間A内に挟持される。これにより、当該物体は、収納空間Aから誤って落下することがないよう保護される。
【0055】
上記の構成に代えて又は上記の構成に加えて、少なくとも1つのセンサ手段4.1,4.2,4.3は、ユーザによりトリガされる非使用位置への壁エレメント1の調節で各物体を損傷させないために収納空間A内の物体を検出するように用いられてもよい。収納空間A内に物体が検出された場合、電子制御部5は、壁エレメント1が非使用位置まで(完全に)調節されるのを阻止する。したがって、この場合の少なくとも1つのセンサ手段4.1,4.2,4.3は、電子制御部5が構成する、挟み締め付け保護装置の一部となる。
【0056】
上記の構成に代えて又は上記の構成に加えて、センサ手段4.1,4.2または4.3(またはセンサ手段4.1,4.2および4.3の複数)により、壁エレメント1を調節する作動イベントが検出可能であり得る。例えば、前記非使用位置にある前記壁エレメントの前方でユーザにより行われるジェスチャが検出可能であり、前記収納コンパートメントを進展させる作動イベントとしての評価が行われ得る。つまり、許可出来る作動イベントであることが電子制御子部5により識別されると、駆動手段2が駆動されて壁エレメント1が進展し、ベースエレメント12が折り広がることで、前記収納コンパートメントに収納空間Aが設けられる。同じく、前記収納コンパートメントが進展している状態では、使用位置にある壁エレメント1の前方で行われるジェスチャが検出可能であり得る。その結果、壁エレメント1が外力の作動によって自身の非使用位置に戻される(したがって、後退させられる)。
【0057】
弾性変形可能な連続した帯体に局所的な補強体を備え付けて壁エレメント1を構築するという構成が必須でないことは、
図6に例示するように明白である。
図6に示す実施態様の場合、壁エレメント1には、複数の互いに平行で且つ弾性変形可能な帯体1,1,1.2が設けられている。これらの帯体1.1,1.2が、弾性的に撓み可能な曲げ領域11A~11Dを形成する。壁エレメント1の補強セグメント10A~10Eは、帯体1.1,1.2の弾性変形を阻止する扁平な補強体の領域に形成される。
【0058】
図7A~
図7C、
図8、
図9及び
図10A~
図10Cに、回動可能に取り付けられたベースエレメント12が収容時位置と機能時位置との間で調節されることで、帯状の壁エレメント1が使用位置にあるときの収納空間Aのベースが形成され得る、提案の収納コンパートメントアセンブリのさらなる実施態様を示す。
図7A~
図10Cの収納コンパートメントアセンブリの壁エレメント1の調節に関しても、少なくとも1つのセンサ手段4.1,4.2,4.3が、当該壁エレメント1の周辺領域にある物体を検出するように設けられ得る。一例として、
図7A~
図7Cの実施態様の壁エレメント1は、可撓性の帯体(例えば、ばね鋼の帯体)として実現される。可撓性の壁エレメント1の少なくとも一部には、例えば装飾及び/又は被覆が施され得る(特には、当該壁エレメント1と一緒に変位可能な追加のトリム部材による被覆が施されている)。
【0059】
図7A~
図10Cの収納コンパートメントアセンブリは、ベースエレメント12が当該ベースエレメント12の前記機能時位置を形成する進展状態になっているときに、先述の実施態様と異なり、前記使用位置にある壁エレメント1に対して間隔を設けている。さらに、
図7A~
図10Cのベースエレメント12の回動軸心Sは、
図1A~
図6の実施態様の回動軸心Sからみて略直交に延びている。つまり、
図7A~
図10Cの実施態様の回動軸心Sは、前記収納コンパートメントアセンブリが意図どおり設置されたときに鉛直方向に沿って延びている。この場合のベースエレメント12は、必ずしも支持エレメント1の表側TAに回動可能に取り付けられている必要はない。ベースエレメント12は、前記収容時位置から自身の機能時位置への調節時に回動軸心S周りで回転し得る。機能時位置へのベースエレメント12のこの調節運動時には、当該ベースエレメント12のうちの物体を載置することが可能な部分が徐々に進展して増加する。つまり、この調節運動時には、ベースエレメント12の上側12Oが支持エレメントTの表側TAで徐々に進展させられる。
【0060】
図7A~
図10Cの実施態様のベースエレメント12は、デイスク形状であり、本例では半円状の断面を有している。このベースエレメント12が支持エレメントTの表側TAの裏側に完全に隠されるように収容された収容時位置から、最大限の可能性のある置き表面エリアがベースエレメント12の上側12Oによって備えられる機能位置へと、ベースエレメント12の調節の間、機能位置において、支持エレメントTの表側TAから壁エレメント1の下方に最大限に突出するまで、このデイスク形状のベースエレメント12は、支持エレメントT外に回転する。図示の実施態様では、ベースエレメント12が支持エレメントTのスロットから進展させられ得る。
【0061】
円盤状のベースエレメント12は、自身の収容位置にて、前記収納コンパートメントアセンブリのうちの
図8及び
図9に示すハウジング6の収容領域61に収められている。この収容領域61は、例えば、ハウジング6のハウジング壁における凹所61により実現される。これにより、後退後の収容時位置にあるベースエレメント12は、保護された配置状態になる。さらに、ベースエレメント12の上側12Oとは反対側の、当該ベースエレメント12の下側12Uは、ハウジング6のうちの凹所61を有するハウジング壁と同一平面上に(特には、面一に)なり得る。
【0062】
ベースエレメント12は、自身の収容時位置にて、駆動手段2による外力の作動によって当該ベースエレメント12も調節可能とするための伝動機構の駆動体22を完全に覆っている。この場合の駆動体22は、当該伝動機構のうちの細長い接続帯片23の形態の接続エレメントに固定されている(例えば、当該接続エレメントに形成されている)。接続帯片23は、駆動手段2により、支持エレメントTの裏側TBに沿って直線状に調節可能である。駆動手段2でモータ駆動される接続帯片23の直線調節運動時には、駆動体22も同時に駆動されて且つこれによって長手方向に同じく調節される。
【0063】
調節時に駆動体22は、ベースエレメント12の下側12Uに突設されたガイドピン120を、当該駆動体22に形成されたガイド・スロット220でガイドエレメントとして付随駆動する。調節の逐次段階である
図10A、
図10B及び
図10Cに示すように、駆動体22が長手方向に変位すると、ガイド・スロット220で変位自在に案内されるガイドピン120には、回動軸心S回りの回動運動が付与される。結果として、ガイドピン120に回転固定で連結しているベースエレメント12も、回動軸心S回りに回転する。接続帯片23がモータで駆動方向R1に調節されるのか駆動方向R5で調節されるのかに応じて、ベースエレメント12が支持エレメントTの表側TAで進展又は後退する。つまり、駆動体22のガイド・スロット220とベースエレメント12のガイドピン120は、当該ベースエレメント12を自身の収容時位置から自身の機能時位置へと調節したり逆に当該ベースエレメント12を自身の機能時位置から自身の収容時位置へと調節したりするのを可能にするゲートを協働で形成している。
【0064】
したがって、
図7A~
図10Cに示す実施態様では、駆動手段2が、壁エレメント1とベースエレメント12の両方を駆動する。つまり、例えば駆動手段2のスライド21が、接続帯片23及び駆動体22を特に含む前記伝動機構によって壁エレメント1とベースエレメント12の両方を駆動する。したがって、駆動手段2によりモータで生成されて直線状に働く調節力が、前記収納コンパートメントアセンブリのこれら両コンポーネントを調節するように利用される。
【0065】
図示の(例えば、
図9の)実施態様では、接続帯片23から垂直に傾いた板状の駆動体22が設けられている。駆動体22は、ハウジング6のうちのベースエレメント12が回転可能に取り付けられているハウジング壁の、凹所62の形態の収容領域に案内される。つまり、接続帯片23が支持エレメントTの裏側TBとハウジング6との間の隙間にて長手方向に変位可能に案内され得ると共に、ここから離れるように傾いた駆動体22と共に
ハウジング6の凹所62内に突出し得る。凹所62には、ガイド・スロット220を有する駆動体22が変位可能に取り付けられる。凹所62の長手方向範囲(厳密には、凹所62のうちの、この長手方向範囲を定める互いに対向する内壁同士)により、支持エレメントTに沿った駆動体22(したがって、接続帯片23)の調節可能経路が決まる。駆動体22は、凹所62のうちの2つの互いに対向する前記内壁のどちらも越えて調節することができない。よって、ベースエレメント12の末端位置は、凹所62で予め決まっていることになる。
【0066】
本例では、駆動体22用の凹所62が、ベースエレメント12用の凹所61内に設けられているものの、当該凹所61のうちのベースエレメント12に面する支承面からみて下がっている。これにより、駆動体22を前記ハウジング壁とベースエレメント12との間に配置することができ、前記収納コンパートメントアセンブリのコンパクトな設計に役立つ。
【0067】
提案の解決手段により、非使用時に表面が扁平になる(適宜、支持エレメントTの内側TAと平行になる)という、収納コンパートメントの省スペース、かつ見た目のよい配置構成が可能となる。当該収納コンパートメントは、少なくとも一部が弾性変形可能である壁エレメント1を外力の作動によって必要なときだけ(すなわち、ユーザが望むときに)外方に曲げることにより利用可能になり得る。この場合の前記収納コンパートメントは、
折り広げられたベースエレメント12による収納コンパートメントベースを有している。当該ベースにより、結果として生じる収納空間A内に載置された物体は落下することがないよう阻止される。ベースエレメント12の折り広がりにより、提供の前記収納コンパートメントの補強も同時に行われる。結果として、これにより、使用が極めて簡便な変形自在の収納コンパートメントがもたらされる。この場合、少なくとも1つのセンサ手段4.1,4.2,4.3を用いることにより、収納空間A内に載置された物体を自動的に定位置に確実に固定したり、かつ/あるいは、身体の一部が誤って引っ掛からないよう阻止したり、かつ/あるいは、壁エレメント1の調節を非接触で制御したりするという動作上のさらなる簡便性がもたらされ得る。
以下、本発明に含まれる態様を記す。
〔態様1〕 -支持エレメント(T)と、
-前記支持エレメント(T)の表側(TA)に配置されており、非使用位置と少なくとも1つの使用位置との間で調節可能である壁エレメント(1)であって、前記非使用位置では前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)の輪郭に沿って延在し、前記使用位置では、少なくとも1つの物体の収納空間(A)を形成する目的で、少なくとも部分的に弾性変形すると共に少なくとも一部(10B~10D)が前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)から突出する、壁エレメント(1)と、
-外力の作動で前記壁エレメント(1)を調節する駆動手段(2)と、
を備える、車両の収納コンパートメントアセンブリ(V)において、さらに、
収容時位置と機能時位置との間で調節可能である、回動可能に取り付けられた少なくとも1つのベースエレメント(12)であって、前記壁エレメント(1)が前記使用位置にあるときには自身の収容時位置から自身の機能時位置へと回動させられて前記収納空間(A)の底部を形成している、少なくとも1つのベースエレメント(12)、
を備えることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様2〕態様1に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記ベースエレメント(12)が、前記支持エレメント(T)に回動可能に取り付けられていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様3〕態様2に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記ベースエレメント(12)が、前記支持エレメント(T)にて、当該支持エレメント(T)の前記表側(TA)に形成されたスイベル軸心(S)回りに又は当該表側(TA)と略平行なスイベル軸心(S)回りに、回動可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様4〕態様1から3のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記ベースエレメント(12)は、自身の収容時位置にて、非使用位置にある前記壁エレメント(1)と前記支持エレメント(T)との間に形成された隙間に収められているか、または前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)の裏側にある収容領域(61)に収められていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様5〕態様1から4のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記ベースエレメント(12)は、自身の機能時位置にて、前記壁エレメント(1)に当接しているか、または前記壁エレメント(1)から離間していることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様6〕態様1から5のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記ベースエレメント(12)が、自身の機能時位置へ付勢されていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様7〕態様1から6のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記ベースエレメント(12)が、収容時位置から自身の機能時位置へとゲート(120,220)により調節可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様8〕態様1から7のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記壁エレメント(1)は、当該壁エレメント(1)を当該壁エレメント(1)の非使用位置と当該壁エレメント(1)の使用位置との間で調節する目的で、
前記駆動手段(2)により調節可能である第1の部位(10A)と、
第2の部位(10E)と、を有しており、
前記第1の部位(10A)は、前記駆動手段(2)により前記第2の部位(10E)に対して調節可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様9〕態様8に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記第1の部位(10A)が、前記駆動手段(2)により前記支持エレメント(T)上を並進変位可能であり、前記第2の部位(10E)が、前記支持エレメント(T)に固定されていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様10〕態様1から9のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記壁エレメント(1)が、少なくとも1つの弾性的に撓み可能な曲げ領域(11A~11D)を介して、対で互いに繋がった複数のセグメント(10A~10E)を含み、かつ/あるいは、前記壁エレメント(1)の少なくとも一部が、弾性を有するように実現されていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様11〕態様8又は9に従属する場合の態様10に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記駆動手段(2)により調節可能な前記第1の部位(10A)が、前記複数のセグメント(10A~10E)のうちの第1のセグメントにより形成されており、前記第2の部位が、前記複数のセグメント(10A~10E)のうちの第2のセグメントにより形成されていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様12〕態様1から11のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、
前記壁エレメント(1)が、当該壁エレメント(1)を当該壁エレメント(1)の非使用位置から当該エレメント(1)の使用位置へと調節する目的で前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)の前記輪郭から離れるように外方に曲がることが可能な、少なくとも1つの弾性変形可能な帯体(1.1,1.2)を含むことを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様13〕態様12に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記少なくとも1つの弾性変形可能な帯体(1.1,1.2)が、前記壁エレメント(1)の少なくとも一部(10A~10E)で、当該帯体(1.1,1.2)の変形を局所的に阻止する少なくとも1つの補強エレメントと連結していることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様14〕車両の収納コンパートメントアセンブリ、特には、態様1から13のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリであって、
-支持エレメント(T)と、
-前記支持エレメント(T)の表側(TA)に配置されており、非使用位置と少なくとも1つの使用位置との間で調節可能である壁エレメント(1)であって、前記非使用時位置では、少なくとも1つの物体の収納空間(A)を形成する目的で、少なくとも一部が弾性変形すると共に少なくとも一部(10B~10D)が前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)から突出する、壁エレメント(1)と、
-外力の作動で前記壁エレメント(1)を調節する駆動手段(2)と、
を備える、収納コンパートメントアセンブリ(V)において、さらに、
前記壁エレメント(1)の周辺領域にある物体を検出することが可能であり、少なくとも1つの信号を生成することが可能な、少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)であって、前記少なくとも1つの信号に応じて、前記駆動手段(2)による前記壁エレメント(1)の調節が制御可能である、少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)、を備えることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様15〕態様14に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)により、前記壁エレメント(1)が自身の使用位置にあるときの前記収納空間(A)内の物体が検出可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様16〕態様15に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記収納空間(A)内に物体が検出された場合に、使用位置にある前記壁エレメント(1)を当該壁エレメント(1)の非使用位置の方向に調節することで、非使用位置の方向に調節される当該壁エレメント(1)によって前記収納空間(A)内に前記物体を挟持固定するように構成された電子制御部が設けられていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様17〕態様15または16に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、前記少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)により前記収納空間(A)内に物体が検出された場合に、使用位置にある前記壁エレメント(1)が当該壁エレメント(1)の非使用位置まで調節されるのを阻止するように構成された電子制御部が設けられていることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様18〕態様14から17のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリにおいて、少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)により、前記壁エレメント(1)の前方にある物体が検出可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様19〕態様18に記載の収納コンパートメントアアセンブリにおいて、前記少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)により、前記非使用位置及び/又は前記使用位置への前記壁エレメント(1)の調節をトリガする作動イベントが非接触で検出可能であることを特徴とする、収納コンパートメントアセンブリ。
〔態様20〕収納コンパートメントアセンブリ(V)の壁エレメント(1)を調節する方法であって、前記壁エレメント(1)は、支持エレメント(T)の表側(TA)に配置されていて、非使用位置と少なくとも1つの使用位置との間で調節可能であり、前記非使用位置では前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)の輪郭に沿って延在し、前記使用位置では、少なくとも1つの物体の収納空間(A)を形成する目的で、少なくとも一部が弾性変形すると共に少なくとも一部(10B~10D)が前記支持エレメント(T)の前記表側(TA)から突出する、方法において、
前記壁エレメント(1)の調節が、当該壁エレメント(1)の周辺領域にある物体を検出することが可能な少なくとも1つのセンサ手段(4.1,4.2,4.3)の少なくとも1つの信号に依存して行われることを特徴とする、方法。
〔態様21〕態様1から19のいずれか一態様に記載の収納コンパートメントアセンブリを備える車両。
〔態様22〕 態様21に記載の車両において、前記収納コンパートメントアセンブリ(V)が、車両ドア、トランク、背もたれの後側、または当該車両のダッシュボードに設けられていることを特徴とする、車両。
【符号の説明】
【0068】
1 壁エレメント
1.1,1.2 帯体
10A~10E セグメント
11A~11D 曲げ領域
12 ベースエレメント
120 ガイドピン(ガイドエレメント)
12O 上側
12U 下側
2 駆動手段
20 支持フレーム
200 スライドガイド
201 スピンドル
21 スライド(駆動エレメント)
22 駆動体
220 ガイド・スロット
23 接続帯片(接続エレメント)
4.1,4.2,4.3 センサ手段
5 電子制御部
6 ハウジング
61,62 凹所(収容領域)
A 収納空間
R1,R5 駆動手段
R2,R4 調節方向
R3 回動方向
S 回動軸心
S1,S2 スリット
T 支持エレメント
TA 表側
TB 裏側
V 収納コンパートメントアセンブリ