(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20240509BHJP
G06Q 50/14 20120101ALI20240509BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20240509BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G06Q50/14
G09B29/10 A
G09B29/00 A
(21)【出願番号】P 2020196746
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】神谷 和宏
(72)【発明者】
【氏名】谷野 亘
(72)【発明者】
【氏名】小森 瑞巴
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/167946(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/085383(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G06Q 10/00 - 10/30
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地を取得する目的地取得手段と、
複数のユーザを対象として各ユーザが移動を共にするグループのグループ属性を取得する属性取得手段と、
前記複数のユーザの内から目的地が共通するとともに移動を共にするグループのグループ属性が共通する複数のユーザを特定するユーザ特定手段と、
前記ユーザ特定手段により特定された複数のユーザ間で共有対象となる情報の提供を行う共有情報提供手段と、を有する情報提供システム。
【請求項2】
前記ユーザ特定手段は、前記複数のユーザの内から前記目的地とグループ属性に加えて、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況についても共通する複数のユーザを特定する請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記共有情報提供手段は、ユーザによる映像情報、ユーザによるテキスト情報又はユーザによる音声情報の内の少なくとも一つを前記共有対象となる情報として提供する請求項1又は請求項2に記載の情報提供システム。
【請求項4】
前記共有情報提供手段は、前記ユーザ特定手段により特定された複数のユーザ単位で、該複数のユーザの共通するグループ属性に応じた内容の情報の提供を行う請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の情報提供システム。
【請求項5】
前記グループ属性は、グループに含まれるメンバーの人数、グループに含まれるメンバー間の関係性、グループに含まれるメンバーの性別、グループに含まれるメンバーの年代の内の少なくとも一つに基づいて決定する請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザに対して情報を提供する情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ユーザが目的地への移動を行う場合において、目的地の場所を案内したり、目的地までの経路の案内を行うことによって、ユーザが所望の目的地に容易に到着できるようにした各種端末について提供されている。このような端末としては、車両に搭載されたナビゲーション装置に加えて、近年は携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
更に近年において上記端末では、目的地の場所や目的地への経路の案内を行う以外に、目的地への移動を考えているユーザや移動を開始したユーザにとって有益と思われる各種情報を提供することも行われている。また、ユーザに対して情報を提供する形態としては、一ユーザ毎に情報を提供することも可能であるが、複数のユーザ間で共有可能な形で情報を提供することも可能である。例えば特開2015-133651号公報には、同じ目的地に向かうユーザでグループを構成し、グループに属する各ユーザの所持する通信端末を介して、同じグループに属するユーザ間で目的地に関する情報や交通情報などの情報を共有させる技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-133651号公報(第6-7頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように複数のユーザをグルーピングした場合には、面識のないユーザ同士が同じグループにグルーピングされる場合も多い。その場合において、立場や状況が大きく異なるユーザ同士ではコミュニケーションを取るのが困難となると予想される。また、立場や状況が異なるユーザであれば興味のある情報や必要とする情報も異なると予想される。以上の理由から情報の共有を適切に行うことができない問題があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、目的地が共通するとともに立場や状況が類似する複数のユーザをマッチングして、マッチングされたユーザ間で各種情報を共有させることによって、ユーザにとって興味のある情報や必要とする情報を効果的に提供することを可能にした情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る情報提供システムは、複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地を取得する目的地取得手段と、複数のユーザを対象として各ユーザが移動を共にするグループのグループ属性を取得する属性取得手段と、前記複数のユーザの内から目的地が共通するとともに移動を共にするグループのグループ属性が共通する複数のユーザを特定するユーザ特定手段と、前記ユーザ特定手段により特定された複数のユーザ間で共有対象となる情報の提供を行う共有情報提供手段と、を有する。
尚、「目的地」は実世界の目的地であっても良いし、VR(virtual reality)により構築された仮想空間上の目的地であっても良い。
また、「グループ属性」の一つには、ユーザがグループに属していない(即ち単独で移動している)ことを含む。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る情報提供システムによれば、目的地が共通するとともに立場や状況が類似する複数のユーザをマッチングして、マッチングされたユーザ間で各種情報を共有させる。その結果、マッチングされたユーザ間のコミュニケーションを円滑に行わせることができ、また興味のある情報や必要とする情報が共通するユーザをマッチングすることが可能となることから、ユーザにとって興味のある情報や必要とする情報を効果的に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る情報提供システムを示した概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る情報提供システムの構成を示したブロック図である。
【
図3】登録情報DBに記憶されるコンシェルジュ登録情報の一例を示した図である。
【
図4】ユーザ道程DBに記憶されるユーザ道程情報の一例を示した図である。
【
図5】本実施形態に係る通信端末の制御系を模式的に示すブロック図である。
【
図6】本実施形態に係るユーザマッチング処理プログラムのフローチャートである。
【
図7】通信端末のディスプレイに対して表示される目的地入力画面を示した図である。
【
図8】通信端末のディスプレイに対して表示されるユーザ情報登録画面を示した図である。
【
図9】移動する目的地を決定したユーザのその後の行動の推移を時系列に沿って示した図である。
【
図10】移動期間におけるステップの区分方法を示した図である。
【
図11】ユーザのマッチングによるツアーの生成を示した図である。
【
図12】本実施形態に係る情報共有処理プログラムのフローチャートである。
【
図13】ツアーにおける映像情報と音声情報によるユーザ間での情報の共有態様の一例を示した図である。
【
図14】ツアーにおける映像情報とテキスト情報によるユーザ間での情報の共有態様の一例を示した図である。
【
図15】コンシェルジュにより提供される情報の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る情報提供システムについて具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係る情報提供システム1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る情報提供システム1を示した概略構成図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る情報提供システム1は、情報提供センタ2が有する情報提供サーバ3と、コンシェルジュ(情報提供者)4が所持する通信端末5と、複数のユーザ6が夫々所持する通信端末7と、を基本的に有する。また、情報提供サーバ3と通信端末5、7とは通信ネットワーク網8を介して互いに電子データを送受信可能に構成されている。尚、通信端末5、7としては例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、車載器であるナビゲーション装置等がある。また、ユーザ6は車両で移動していても良いし、徒歩で移動しても良い。また、複数のユーザ6はそれぞれ異なる移動手段で移動していても良いし、同じ移動手段(例えばバス、電車)で移動していても良い。また、ユーザは単独で移動する場合と、グループで移動している場合とがある。
【0012】
ここで、情報提供サーバ3は、情報提供システム1における情報の送受信や共有を管理するサーバ装置である。具体的に情報提供サーバ3は通信端末7との間で通信を行うことによってユーザ6が目的地への移動を希望する場合に、ユーザ6が移動することを希望する目的地を取得する。更に、複数のユーザ6の内から目的地が共通し、目的地への移動の進捗状況が共通し、且つユーザ6が移動を共にするグループのグループ属性が共通する複数のユーザを特定し、特定された複数のユーザ6のマッチングを行う。尚、「目的地が共通する」とは必ずしも目的地の地理的な位置が同一である必要はなく、例えば同じジャンルを目的地とする場合であっても良いし、更に同じグループのフランチャイズ等のチェーンストア、同じオーナーや親会社によって運営される店舗群、関連のあるグループ会社、親会社(本店)とその子会社(支店、営業所)、同じ宗派の寺院等を目的地とする場合であっても良い。また、「グループ属性が共通する」とは、例えばユーザが移動を共にするグループに含まれるメンバーの人数が同じ場合、グループに含まれるメンバー間の関係性(例えばファミリー、恋人同士、友達同士)が同じ場合、グループに含まれるメンバーの性別(例えば男性のみ、女性のみ、混合)が同じ場合、グループに含まれるメンバーの年代(例えば、20未満、30~50代、60以上)が同じ場合、グループに属さない(単独で移動する)ユーザ同士の場合等が該当する。また、マッチングされるユーザ6は同じ移動手段で移動する顔見知りのユーザ同士である必要はなく、異なる移動手段で移動する面識のないユーザ同士であっても良い。
【0013】
そして、情報提供サーバ3は、マッチングされた複数のユーザ6が所持する通信端末7に対して、ユーザ6による映像情報、ユーザ6によるテキスト情報又はユーザ6による音声情報の内の少なくとも一つを配信することにより、複数のユーザ6間でユーザ6による映像情報、ユーザ6によるテキスト情報又はユーザ6による音声情報を共有させる。
【0014】
ここで、「ユーザ6による映像情報」は、ユーザ6が撮像した映像情報であっても良いし、ユーザを撮像した映像情報であっても良いし、ユーザによって提供(配信)された映像情報であっても良い。また、「ユーザ6によるテキスト情報」は、ユーザによってテキスト化された電子メールやチャットなどのテキスト情報であっても良いし、ユーザの発言をテキスト化したテキスト情報であっても良いし、ユーザ情報(例えばユーザのプロフィール)をテキスト化したテキスト情報であっても良いし、ユーザによって提供(配信)されたテキスト情報であっても良い。また、「ユーザによる音声情報」は、ユーザが発した音声の音声情報であっても良いし、ユーザに向けて発せられた音声の音声情報であっても良いし、ユーザ情報(例えばユーザのプロフィール)を音声化した音声情報であっても良いし、ユーザによって提供(配信)された音声情報であっても良い。特に本実施形態ではマッチングされたユーザ6を撮像した映像情報と、マッチングされたユーザ6間、或いはユーザ6とコンシェルジュ4との間で行われた文章のやり取りのテキスト情報と、マッチングされたユーザ6間、或いはユーザ6とコンシェルジュ4との間で行われた会話の音声情報とを共有する。
【0015】
また、コンシェルジュ4は、自然人であり本実施形態の情報提供システム1においてユーザ6に対して情報を提供する情報提供者である。コンシェルジュ4は、情報提供センタ2の従業員でも良いし、目的地となる店舗や施設の従業員でも良いし、情報に精通した第3者であって情報提供センタ2と契約を交わした者であっても良い。情報提供サーバ3は、上述のように目的地やグループ属性が共通する複数のユーザ6をマッチングした場合に、マッチングされた複数のユーザ6に対していずれかのコンシェルジュ4(基本的には一人)を選択して担当させる。尚、コンシェルジュ4の選択は予め登録された情報に基づいてユーザ6が向かう目的地に精通した者が情報提供サーバ3によって選択される。選択されたコンシェルジュ4は、例えば通信端末5を介してユーザ6からの質問に回答したり、ユーザ6に有益となる情報の提供を行う。また、ユーザ6への対応を行ったコンシェルジュ4に対しては情報提供センタ2から相当の対価が支払われる。
【0016】
一方、通信端末7は、ユーザ6が所持し、周辺を撮像する機能やナビ機能や後述のユーザ6間で情報を共有する機能等を備えた情報端末が用いられ、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等が該当する。特に通信端末7がスマートフォン等のアプリケーションを実行可能な端末である場合には、アプリケーションの一つとして目的地を入力することによって共通の目的地へと向かう他のユーザ6との間で情報を共有する為のアプリケーションプログラムがインストールされている。尚、これらのユーザ6間で情報を共有する機能は、目的地までの移動案内を行うナビ機能の一部としても良いし、ナビ機能とは異なるアプリケーションプログラムにより実行されても良い。
【0017】
ここで、ユーザ6間で情報を共有する機能は、より具体的にはユーザ6が今後に移動することを希望する目的地や現在移動中の目的地を登録する機能や、登録された目的地やグループ属性が共通する他のユーザ6との間で情報を送信したり受信する機能や、コンシェルジュ4との間で情報を送信したり受信する機能等を有する。詳細については後述する。尚、上記機能の全てを通信端末7が備えている必要はない。
【0018】
また、通信ネットワーク網8は全国各地に配置された多数の基地局と、各基地局を管理及び制御する通信会社とを含み、基地局及び通信会社を有線(光ファイバー、ISDN等)又は無線で互いに接続することにより構成されている。ここで、基地局は通信端末5、7との通信をするトランシーバー(送受信機)とアンテナを有する。そして、基地局は通信会社の間で無線通信を行う一方、通信ネットワーク網8の末端となり、基地局の電波が届く範囲(セル)にある通信端末5、7の通信を情報提供サーバ3との間で中継する役割を持つ。
【0019】
続いて、情報提供システム1における情報提供サーバ3の構成について
図2を用いてより詳細に説明する。情報提供サーバ3は、
図2に示すようにサーバ制御部11と、サーバ制御部11に接続された情報記録手段としての登録情報DB12と、ユーザ道程DB13と、地図情報DB14と、サーバ側通信装置15とを備える。
【0020】
サーバ制御部11は、情報提供サーバ3の全体の制御を行う制御ユニット(MCU、MPU等)であり、演算装置及び制御装置としてのCPU21、並びにCPU21が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるRAM22、制御用のプログラムのほか、後述のユーザマッチング処理プログラム(
図6)及び情報共有処理プログラム(
図12)等が記録されたROM23、ROM23から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ24等の内部記憶装置を備えている。尚、サーバ制御部11は、後述の通信端末7の制御部とともに処理アルゴリズムとしての各種手段を有する。例えば、目的地取得手段は、複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地を取得する。属性取得手段は、複数のユーザを対象として各ユーザが移動を共にするグループのグループ属性を取得する。ユーザ特定手段は、複数のユーザの内から目的地が共通するとともに移動を共にするグループのグループ属性が共通する複数のユーザを特定する。共有情報提供手段は、ユーザ特定手段により特定された複数のユーザ間で共有対象となる情報の提供を行う。
【0021】
また、登録情報DB12は、情報提供サーバ3に対して予め登録された“コンシェルジュ4に関する情報”を記憶する記憶手段である。ここで、コンシェルジュ4は、情報提供センタ2の従業員でも良いし、目的地となる店舗や施設の従業員でも良いし、情報に精通した第3者であって情報提供センタ2と契約を交わした者であっても良いが、以下の説明では情報に精通した第3者であって情報提供センタ2と契約を交わした者とする。登録情報DB12には登録されたコンシェルジュ4毎に性別、情報に精通している地域や分野(ジャンル)、対応可能な曜日や時間帯等が記憶される。例えば
図3は登録情報DB12に記憶されるコンシェルジュ4の登録情報の一例を示した図である。
【0022】
図3に示す例では例えば『ID:0001』のコンシェルジュ4は、男性であってユーザに対して情報を提供可能なエリア(対応エリア)として『関東』、ユーザに対して情報を提供可能な分野(対応分野)として『アウトドア、テーマパーク』、対応可能な時間帯として『平日の9時から18時』が登録されている。他のコンシェルジュ4についても同様に登録されている。尚、対応エリアは、地方や都道府県単位でも良いし、より狭い市区町村単位としても良い。また、コンシェルジュ4の登録情報として、他に年齢、対応可能な言語等について登録しても良い。
【0023】
そして、情報提供サーバ3は目的地が共通する複数のユーザのマッチングを行った際に、登録情報DB12に登録された情報に基づいてマッチングされた複数のユーザ6を対応させるコンシェルジュ4を選択する。具体的には、他のユーザ6への対応を行っていない空き状態にあるコンシェルジュ4の内、現時刻が対応可能な時間帯内に含まれ、且つマッチングされたユーザ6の目的地にできる限り精通するコンシェルジュ4を選択する。
【0024】
一方、ユーザ道程DB13は、情報提供サーバ3と通信可能に接続された通信端末7を所持する各ユーザ6の“目的地への道程に関する情報”を記憶する記憶手段である。具体的には、ユーザ6が目的地への移動を開始する移動開始地点の座標、目的地への移動を開始する日時、ユーザ6がこれから移動することを希望する目的地(或いは現在移動中の目的地)に関する情報が記憶され、特に目的地の位置座標、名称、ジャンル等が記憶される。更に、ユーザが移動を共にするグループのグループ属性についても記憶される。また、通信端末7において目的地までの移動経路が設定されている場合には、設定された移動経路についても今後のユーザの行動を示すものとしてユーザに紐づけられてユーザ道程DB13に記憶される。例えば
図4はユーザ道程DB13に記憶されるユーザ道程情報の一例を示した図である。
【0025】
図4に示す例では例えば『ID:10001』のユーザ6は、20代の女性の友人3人のグループで『○○モール(ジャンル:ショッピングモール)』を目的地としており、2020年の11月21日の12時半に(x1,y1)から移動を開始する予定、或いは移動を開始したことを示している。また、『ID:10403』のユーザ6は、一人で『○×ホテル(ジャンル:ホテル)』を目的地としており、2020年の11月21日の13時に(x21,y21)から移動を開始する予定、或いは移動を開始したことを示している。同様に他のユーザの目的地までの道程に関する情報についても記憶されている。ここで、グループ属性としては、例えばユーザが移動を共にするグループに含まれるメンバーの人数、グループに含まれるメンバー間の関係性(例えばファミリー、恋人同士、友達同士)、グループに含まれるメンバーの性別(例えば男性のみ、女性のみ、混合)、グループに含まれるメンバーの年代(例えば、20未満、30~50代、60以上)がある。また、グループに属さない(単独で移動する)こともグループの属性の一つとする。尚、ユーザ6がこれから移動することを希望する目的地(或いは現在移動中の目的地)やグループ属性は、後述のように通信端末7のディスプレイに表示された目的地入力画面51(
図7参照)において必要事項を入力することによって登録することが可能であり、登録された内容は通信端末7から情報提供サーバ3へと適宜送信され、更にユーザに紐づけられてユーザ道程DB13に格納される。移動開始地点、移動開始日時、移動経路についても同様に通信端末7から取得される。
【0026】
そして、ユーザ道程DB13に記憶されたユーザ道程情報は、ユーザが移動する目的地、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況、及びユーザが移動を共にするグループのグループ属性を特定することに用いられる。特定された目的地、目的地への進捗状況及びグループ属性は情報提供を行うユーザのマッチングに用いられる。
【0027】
また、地図情報DB14は、地図情報が記憶される記憶手段である。地図情報は、道路網を始めとして経路探索、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、各交差点に関する交差点データ、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等からなる。
【0028】
そして、サーバ制御部11は、通信端末7から経路探索要求を受信した場合には、上記地図情報DB14に格納された地図情報を用いて出発地から目的地までの経路探索を行うことも可能である。具体的には、通信端末7において目的地が設定された場合に、通信端末7から情報提供サーバ3へと出発地や目的地等の経路探索に必要な情報が経路探索要求とともに送信される。そして経路探索要求を受信した情報提供サーバ3は、情報提供サーバ3の有する地図情報を用いて経路探索を行い、出発地から目的地までの推奨経路を特定する。その後、特定された推奨経路を要求元の通信端末7へと送信する。そして、通信端末7は受信した推奨経路を案内経路に設定し、案内経路に従って移動案内を行う。それによって、経路探索時点において通信端末7が有する地図情報が古いバージョンの地図情報であったり、通信端末7が地図情報自体を有さない場合であっても、情報提供サーバ3が有する最新バージョンの地図情報に基づいて適切な案内経路を設定することが可能となる。
【0029】
但し、通信端末7が地図情報を有する場合には上記経路探索処理を情報提供サーバ3でなく通信端末7で行うことも可能である。また、上記経路探索処理は情報提供サーバ3ではなく、地図情報を備える他のサーバで行うようにしても良い。その場合には情報提供サーバ3において地図情報DB14は必ずしも必要でない。
【0030】
一方、サーバ側通信装置15は情報の送受信対象となる通信端末5、7と通信ネットワーク網8を介して通信を行う為の通信装置である。また、通信端末5、7以外にインターネット網等に対する通信も可能である。
【0031】
次に、ユーザ6が所有する通信端末7の概略構成について
図5を用いて説明する。
図5は本実施形態に係る通信端末7の制御系を模式的に示すブロック図である。尚、以下では特に通信端末7がスマートフォンである場合を例に挙げて説明する。
【0032】
図5に示すように通信端末7はデータバスBUSに、CPU31と、通信端末7を所持するユーザ6に関するユーザ情報(ユーザID等)やウェブの閲覧履歴やユーザの移動履歴等が記憶されたメモリ32と、通信ネットワーク網8の基地局との間で信号の送受信を行う送受信回路部(RF)33と、送受信回路部33において受信したRF(Radio Frequency)信号をベースバンド信号に変換するとともにベースバンド信号をRF信号に変換するベースバンド処理部34と、マイクロホン35及びスピーカ36等とのインターフェイスである入出力部37と、液晶表示パネル等で構成されたディスプレイ38と、タッチパネルやハードボタン等から構成される入力操作部39と、GPS40と、カメラ41とが接続されることにより構成されている。
【0033】
ここで、通信端末7に内蔵されるCPU31は、メモリ32に格納されている動作プログラムに従って種々の動作を実行する通信端末7の制御手段であり、メモリ32とともに通信端末制御部42を構成する。また、通信端末制御部42の各種処理内容は必要に応じてディスプレイ38に表示される。
【0034】
また、メモリ32は通信端末7を所持するユーザ6に関するユーザ情報(ユーザID等)、ユーザによるウェブの閲覧履歴、GPS40やその他のセンサに基づいて検出された位置情報の履歴であるユーザの移動履歴、スケジュール情報等が記憶された記憶媒体である。また、後述のユーザマッチング処理プログラム(
図6)及び情報共有処理プログラム(
図12)を含む各種アプリケーションプログラムについても記憶される。また、メモリ32は、ハードディスク、メモリーカード等により構成しても良い。
【0035】
また、スピーカ36は、通話の音声出力以外に、通信端末制御部42からの指示に基づいて案内経路(ユーザの移動予定経路)に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。特に本実施形態では後述のように情報提供サーバ3から配信された音声情報を出力する際にも用いられる。
【0036】
また、ディスプレイ38は、筐体の一面に配設されており、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等が用いられる。そして、通信端末7にインストールされている各種アプリケーションを実行する為のトップ画面や、実行されたアプリケーションに係る画面(インターネット画面、メール画面、ナビ画面等)や、画像、動画等の各種情報が表示される。特に本実施形態では後述のように情報提供サーバ3から配信された映像情報やテキスト情報を出力する際にも用いられる。
【0037】
また、入力操作部39は、ディスプレイ38の前面に設けられたタッチパネルや筐体に配置されたハードボタン等によって構成されている。そして、通信端末制御部42は、タッチパネルやハードボタンの押下等により出力される電気信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。また、本実施形態では、ユーザの目的地やグループ属性を入力する際にも操作される。尚、入力操作部39は、番号/文字入力キー、表示された内容を選択するためのカーソルを動かすカーソルキー、選択を確定する決定キー等の各種キー等により構成することもできる。
【0038】
また、GPS40は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、通信端末7(即ちユーザ6)の現在位置及び現在日時を検出可能とする。また、GPS40以外にも通信端末7の現在位置や方位を検出する為の他の装置(例えばジャイロセンサ等)を備える構成としても良い。
【0039】
また、カメラ41は、例えばCCD等の固体撮像素子を用いたカメラにより構成される小型の撮像装置であり、通信端末7の背面側に内蔵される。そして、専用のアプリケーションプログラムが起動された状態で、ユーザが入力操作部39を操作することによって周辺を撮像することが可能となる。また、本実施形態では、ユーザの映像についてもカメラ41で撮像され、目的地やグループ属性が共通する他のユーザとの間で共有される。尚、カメラ41で撮像された撮像画像は、メモリ32に格納される。
【0040】
尚、コンシェルジュ4が所持する通信端末5の詳細については省略するが、上述のユーザ6が所持する通信端末7と同様の構成であっても良いし、一般的な通信機能を備えたパーソナルコンピュータであっても良い。但し、ユーザ6との間で音声のやり取りを行う為のマイクとスピーカについては少なくとも備えるものとする。
【0041】
続いて、前記構成を有する情報提供システム1において、情報提供サーバ3及び通信端末7が実行するユーザマッチング処理プログラムについて
図6に基づき説明する。
図6は本実施形態に係るユーザマッチング処理プログラムのフローチャートである。ここで、ユーザマッチング処理プログラムは、通信端末7において複数のユーザ間で情報共有を行う為の所定のアプリケーションプログラムが起動された後に実行され、複数のユーザの内から目的地が共通する複数のユーザを特定し、特定された複数のユーザのマッチング(グループ分け)を行うプログラムである。尚、以下の
図6及び
図12にフローチャートで示されるプログラムは、情報提供サーバ3や通信端末7が備えているRAMやROMに記憶されており、CPU21或いはCPU31により実行される。
【0042】
先ず、
図6に基づいて通信端末7のCPU31が実行するユーザマッチング処理プログラムについて説明する。ステップ(以下、Sと略記する)1においてCPU31は、複数のユーザ間で情報共有を行う為の所定のアプリケーションプログラム(以下、情報共有アプリという)を起動する。尚、情報共有アプリの起動についてはユーザ6が通信端末7で所定の操作を行う以外に、例えば目的地の候補となる施設のポスターやパンフレットに記載されている二次元コードを通信端末7で読み取ることによっても起動することが可能である。また、情報共有アプリを起動するタイミングはユーザが目的地への移動を開始する前でも可能であるし、目的地への移動を開始した後でも可能である。情報共有アプリは予め情報提供サーバ3等からダウンロードされて通信端末7にインストールされていることを前提とする。
【0043】
ここで、通信端末7において情報共有アプリが起動されると、ディスプレイ38には
図7に示す目的地入力画面51が表示される。目的地入力画面51では目的地を検索する為のキーワードを入力する検索スペース52や、ユーザの目的地の候補となる候補地点の一覧53が表示される。尚、目的地入力画面51に表示される候補地点の一覧53は、例えばユーザの現在位置周辺にあって目的地として選ばれ易い地点を抽出しても良いし、ユーザが過去に目的地に設定した地点から抽出しても良い。また、情報共有アプリがポスターやパンフレットに記載されている二次元コードを通信端末7で読み取ることによって起動された場合には、ポスターやパンフレットに掲載されている地点を表示するのが望ましい。
【0044】
そして、ユーザが目的地入力画面51においていずれかの地点を目的地として選択すると、ディスプレイ38には続いて目的地確認画面54が表示される。
図7に示すように目的地確認画面54では現在選択されている地点の詳細情報(移動に必要な所要時間、住所、営業時間等)に加えて周辺の地図画像についても表示される。そして、ユーザは目的地確認画面54の表示内容を確認した上で、確認ボタン55を押下すると目的地の入力が完了し、ユーザが移動する目的地が決定される。
【0045】
その後、ディスプレイ38には続いてユーザ情報登録画面56が表示される。
図8に示すようにユーザ情報登録画面56では今回の目的地への移動を行う自ユーザに関するユーザ情報(ユーザが移動を共にするグループのグループ属性を含む)を登録することが可能であり、例えばパーティー名(情報を共有する際に自ユーザを識別するニックネーム)、ユーザが移動を共にするグループに含まれるメンバーの人数、グループに含まれるメンバー間の関係性(例えばファミリー、恋人同士、友達同士)、グループに含まれるメンバーの性別、グループに含まれるメンバーの年代等を登録することが可能である。そして、ユーザはユーザ情報登録画面56において必要事項を入力した上で、登録ボタン57を押下するとユーザ情報の登録が完了する。但し、これらの情報の登録については必須ではない。
【0046】
そして、S2においてCPU31は、通信端末7において上述のように受け付けたユーザの操作に基づいて目的地の入力やユーザ情報(ユーザが移動を共にするグループのグループ属性を含む)の登録を行う。尚、上記目的地の入力とユーザ情報の登録については必ずしも同時に行う必要は無い。また上記目的地の入力とユーザ情報の登録については、目的地の移動開始と同時である必要は無く、目的地の移動を開始する前であっても、目的地への移動を開始した後であっても良い。例えば、目的地への移動を開始する数日前や数時間前に目的地の入力やユーザ情報の登録を予め行うことも可能であるし、目的地への移動を開始して目的地にある程度近づいたタイミングで目的地の入力やユーザ情報の登録を行うことも可能である。前記S2で入力された目的地やユーザ情報はメモリ32に一旦格納される。
【0047】
その後、S3においてCPU31は、前記S2で入力された“ユーザが移動する目的地”と“ユーザ情報(ユーザが移動を共にするグループのグループ属性を含む)”を特定する目的地情報を情報提供サーバ3へと送信する。ここで、目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末7を特定する端末IDと、前記S2で入力された“ユーザが移動する目的地”及び“ユーザ情報”を特定する情報(例えば目的地の座標、ID、施設名、グループ属性など)と、ユーザが目的地への移動を開始する(或いは開始した)地点と日時が含まれている。尚、ユーザが目的地への移動を開始する(或いは開始した)地点と日時については、ユーザが入力しても良いし、登録されたスケジュールやユーザの移動履歴に基づいて通信端末7側で判定しても良い。また、前記S2の目的地の入力やユーザ情報の登録をユーザが目的地への移動開始前に行う場合については、ユーザが目的地への移動を開始するタイミングでディスプレイ38に表示された出発ボタン(図示せず)を操作するようにしても良い。それによって、出発ボタンを押した時点の通信端末7の位置が“ユーザが目的地への移動を開始する地点”として特定され、出発ボタンを押した日時が“ユーザが目的地への移動を開始する日時”として特定される。その後、特定された“ユーザが目的地への移動を開始する地点”と“ユーザが目的地への移動を開始する日時”とを情報提供サーバ3へと送信するようにしても良い。
【0048】
そして、情報提供サーバ3は後述のように通信端末7から送信された目的地情報に基づいて、ユーザのマッチングを行い、目的地への“ツアー”を設定する(S12~S18)。ここで“ツアー”とは、情報提供サーバ3と通信可能な通信端末7を所持する複数のユーザの内、共通する目的地へと移動するユーザであって、且つ目的地への移動に対する進捗状況が共通し、更にユーザが移動を共にするグループのグループ属性も共通するユーザをマッチングした集まり(ユーザの集合)を指す。そして、ツアーに参加するユーザ間で後述のようにユーザによる映像情報、ユーザによるテキスト情報又はユーザによる音声情報の共有が行われる。尚、“ツアー”には目的地の情報に精通したコンシェルジュ4も担当者として対応付けられる。
【0049】
その後、S4においてCPU31は、情報提供サーバ3から配信されたツアー参加確認情報を受信する。ここで、前記S4で受信するツアー参加確認情報には、上記“ツアー”に関する情報が含まれ、例えばユーザと同じツアーに属する他のユーザの数や他のユーザのパーティー名(ニックネーム)やグループ属性や担当のコンシェルジュ4の情報等が含まれる。
【0050】
次に、S5においてCPU31は、前記S4で受信したツアー参加確認情報に基づいてユーザが参加対象となるツアーに関する情報をユーザに対して通知し、ツアーへ参加すること(即ちユーザ間での情報の共有)をユーザが許可したか否かを判定する。尚、S5においてツアーへの参加を拒否した場合であっても、目的地到着までの間であればツアーに改めて参加することも可能である。また、逆にS5においてツアーへの参加を許可した場合であっても、その後にツアーから抜けることも可能である。
【0051】
そして、ツアーへの参加をユーザが選択した場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、ツアーへの参加をユーザが拒否した場合(S5:NO)には、当該ユーザマッチング処理プログラムを終了する。
【0052】
S6においてCPU31は、ユーザがツアーに参加することを示すユーザ参加申請情報を情報提供サーバ3へと送信する。ここで、ユーザ参加申請情報には、ユーザ参加申請情報の送信元の通信端末7を特定する端末IDが含まれている。そして、ツアーに参加したユーザは後述の情報共有処理プログラム(
図12)において同じツアーに参加したユーザ間でユーザによる映像情報、ユーザによるテキスト情報又はユーザによる音声情報の共有が行われる。詳細については後述する。
【0053】
次に、情報提供サーバ3のCPU21が実行するユーザマッチング処理プログラムについて説明する。尚、以下のS11~S21の各処理は、通信端末7からの対応する情報を受信したタイミングで開始される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。
【0054】
先ず、S11においてCPU21は、通信端末7から送信される目的地情報を受信する。尚、目的地情報には、目的地情報の送信元の通信端末7を特定する端末IDと、前記S2で入力された“ユーザが移動する目的地”及び“ユーザ情報(ユーザが移動を共にするグループのグループ属性を含む)”を特定する情報(例えば目的地の座標、ID、施設名、グループ属性など)と、ユーザが目的地への移動を開始する(或いは開始した)地点と日時とが含まれている。
【0055】
次に、S12においてCPU31は、前記S11で受信した情報に基づいてユーザが移動する目的地のジャンルを特定し、目的地や移動開始地点や移動開始日時とともにユーザ道程DB13(
図4)にユーザの“目的地への道程に関する情報”として格納する。また、ユーザが移動を共にするグループのグループ属性についても格納される。グループ属性としては、例えばユーザが移動を共にするグループに含まれるメンバーの人数、グループに含まれるメンバー間の関係性(例えばファミリー、恋人同士、友達同士)、グループに含まれるメンバーの性別(例えば男性のみ、女性のみ、混合)、グループに含まれるメンバーの年代(例えば、20未満、30~50代、60以上)がある。また、グループに属さない(単独で移動する)こともグループの属性の一つとする。更に、通信端末7において目的地までの移動経路が設定されている場合については、その移動経路についても通信端末7から取得してユーザ道程DB13に格納する。
【0056】
その後、S13においてCPU21は、ユーザが目的地までの移動を完了するまで(目的地への移動開始前や、目的地への到着後の一定期間も含む)の道程を時系列に沿って複数のステップ(区間)に区分する。以下にS13の処理の詳細について具体例を挙げて説明する。
【0057】
例えば
図9は移動する目的地を決定したユーザのその後の行動の推移を時系列に沿って示した図である。
図9に示すように移動する目的地を決定したユーザのその後の行動は大きく以下の(1)~(3)に分けることが可能である。
(1)ユーザ6が移動する目的地を決定した後から実際に移動を開始するまでの期間であり、ユーザ6が目的地への移動を行うための“準備期間(準備行程)”。
(2)ユーザ6が目的地への移動を開始した後から目的地への移動が完了するまでの期間であり、ユーザ6が目的地への移動を実際に行う移動期間(移動行程)。
(3)ユーザ6が目的地に到着した後から一定期間経過するまでの到着期間。
【0058】
従って、前記S13においてユーザが目的地までの移動を完了するまでの道程を複数のステップに区分する際には、先ず大きく準備期間と移動期間と到着期間の3つにステップを区分する。更に、移動期間については移動の進捗状況によって更に細かいステップに区分する。具体的に移動期間のステップの区分についてはユーザ毎に異なり、ユーザの目的地までの距離又は目的地までの所要時間によって区分するステップの数が変化する。尚、ユーザの目的地までの距離と目的地までの所要時間についてはユーザの移動開始位置と目的地の位置と目的地までの経路によって算出される。更に、目的地までの経路については通信端末7において目的地までの経路が設定されている場合にはその経路を用い、通信端末7において目的地までの経路が設定されていない場合には情報提供サーバ3が備える地図情報を用いて、目的地までの推奨経路を探索し、ユーザが移動する経路として用いる。
【0059】
そして、移動期間のステップの区分は、ユーザの目的地までの距離又は目的地までの所要時間が長い程、区分するステップの数も増える。従って、ユーザの目的地までの距離又は目的地までの所要時間が特に短い場合には、移動期間のステップを区分せずに1のステップとしても良い。
【0060】
更に、ステップの区分基準は移動期間の全期間で同一ではなく、移動開始地点又は目的地との位置関係で変化する。例えば
図10は移動期間を3つのステップに区分する例を示す。
図10に示すようにユーザが目的地への移動を開始した当初については、ユーザが目的地への移動を開始してからの移動距離又は経過時間に基づいてステップを区分する。例えばユーザが目的地への移動を開始してからの経過時間が30分の時点で区分し、それまでの区間を第1ステップとする。一方で、ユーザが目的地へ近づいた状況では、目的地までの距離又は目的地までの所要時間に基づいてステップを区分する。例えばユーザの目的地までの所要時間が残り30分となった時点で区分し、それまでを第2ステップとし、それ以後を第3ステップとする。
【0061】
尚、
図9及び
図10に示す例では移動期間のみ複数のステップに更に区分しているが、準備期間や到着期間について更に複数のステップに区分することも可能である。また、ユーザが目的地への移動の開始と同時或いは移動開始後に情報共有アプリを起動した場合については準備期間が存在しないので、ユーザが目的地までの移動を完了するまでの道程は移動期間と到着期間のみが対象となる。また、目的地に到着した時点でユーザ間の情報共有を終了するのであれば、ユーザが目的地までの移動を完了するまでの道程から到着期間は除いても良い。
【0062】
続いて、S14においてCPU21は、ユーザが現在位置するステップ、即ち目的地への移動に対する進捗状況を取得する。具体的には情報提供サーバ3は通信端末7から所定間隔でユーザの現在位置情報を取得しており、それらのユーザの現在位置の履歴と前記S13で複数のステップに区分した“ユーザが目的地までの移動を完了するまでの道程”と地図情報とに基づいてユーザが現在位置するステップを取得する。
【0063】
具体的には、ユーザが目的地は登録しているが目的地への移動を開始する前である場合には、準備期間のステップに位置すると判定する。一方で、ユーザが既に目的地に到着している場合には、到着期間のステップに位置すると判定する。また、ユーザが目的地への移動中である場合については、更にユーザが目的地への移動を開始してからの移動距離又は経過時間、或いは目的地までの距離又は目的地までの所要時間を算出し、移動期間のどのステップ(
図10では第1~第3ステップ)に位置するかを判定する。
【0064】
その後、S15においてCPU21は、ユーザに該当するツアーが既に作成済みであるか否かを判定する。ここで“ツアー”とは、基本的に情報提供サーバ3と通信可能な通信端末7を所持する複数のユーザの内、共通する目的地へと移動するユーザであって、目的地への移動に対する進捗状況が共通し、且つユーザが移動を共にするグループのグループ属性についても共通するユーザをマッチングした集まり(ユーザの集合)を指す。即ち前記S15では、目的地情報の送信元のユーザと目的地、目的地への移動に対する進捗状況及び移動を共にするグループのグループ属性が共通する他のユーザがマッチングされたツアーが既に作成済みであるか否かが判定される。
【0065】
尚、「目的地が共通する」とは本実施形態では同じ地理的な位置にある同一地点を目的地とすることを意味するが、地理的な位置が異なっていてもジャンルが同じ目的地である場合も目的地が共通するとしても良い。また、「目的地への移動に対する進捗状況が共通する」とは、前記S14で特定されたステップが同一であることを意味する。例えば
図10に示すように移動期間のステップが区分された場合において、第1ステップ(移動開始から30分以内)に該当する複数のユーザは、目的地への移動に対する進捗状況が共通するユーザとなる。尚、移動期間のステップの区分数がユーザ間で異なる場合の比較については、類似する区分に位置すれば「目的地への移動に対する進捗状況が共通する」とみなすのが望ましい。また、「グループ属性が共通する」とは、例えばユーザが移動を共にするグループに含まれるメンバーの人数が同じ場合、グループに含まれるメンバー間の関係性(例えばファミリー、恋人同士、友達同士)が同じ場合、グループに含まれるメンバーの性別(例えば男性のみ、女性のみ、混合)が同じ場合、グループに含まれるメンバーの年代(例えば、20未満、30~50代、60以上)が同じ場合、グループに属さない(単独で移動する)ユーザ同士の場合等が該当する。これらの条件のいずれか一のみ(例えば人数のみ)をグループ属性が共通する条件としても良いし、複数(例えば、人数と関連性)をグループ属性が共通する条件としても良い。
【0066】
そして、目的地情報の送信元のユーザと目的地、目的地への移動に対する進捗状況及び移動を共にするグループのグループ属性が共通する他のユーザがマッチングされたツアーが既に作成済みであると判定された場合(S15:YES)には、該当するツアーをユーザが参加するツアーとして選択する(S16)。その後、S19へと移行する。
【0067】
それに対して、目的地情報の送信元のユーザと目的地、目的地への移動に対する進捗状況及び移動を共にするグループのグループ属性が共通する他のユーザがマッチングされたツアーが現時点で存在しないと判定された場合(S15:NO)には、S17へと移行する。
【0068】
S17においてCPU21は、ユーザに該当する新たなツアーを作成する。更に、S18においてCPU21は、登録情報DB12(
図3)に登録された情報に基づいてツアーを担当するコンシェルジュ4を選択する。具体的には、他のツアーを担当していない空き状態にあるコンシェルジュ4の内、現時刻が対応可能な時間帯内に含まれ、且つツアーに参加するユーザの共通する目的地にできる限り精通するコンシェルジュ4を選択する。
【0069】
尚、ツアーを作成した時点ではツアーに参加するユーザは1ユーザのみであるが、後に目的地、目的地への移動に対する進捗状況及び移動を共にするグループのグループ属性が共通する他のユーザが出現すれば該当する他のユーザをツアーへと順次参加させる。
【0070】
その後、S19においてCPU21は、目的地情報の送信元の通信端末7へとツアー参加確認情報を受信する。ここで、前記S19で送信するツアー参加確認情報には、前記S16で選択されたツアー或いは前記S17で新たに作成された“ツアー”に関する情報が含まれ、例えばユーザと同じツアーに属する他のユーザの数や他のユーザのパーティー名(ニックネーム)やグループ属性や担当のコンシェルジュ4の情報等が含まれる。
【0071】
その後、S20においてCPU31は、ツアーに参加することを許可したユーザの通信端末7からユーザ参加申請情報を受信する。ここで、ユーザ参加申請情報には、ユーザ参加申請情報の送信元の通信端末7を特定する端末IDが含まれている。
【0072】
S21においてCPU21は、ユーザ参加申請情報の送信元のユーザを該当するツアーへと参加させる。その結果、
図11に示すように情報共有アプリを起動する複数のユーザ6の内から目的地が共通し、目的地への移動の進捗状況が共通し、更に移動を共にするグループのグループ属性についても共通する複数のユーザ6をマッチングして、夫々ツアーに参加させることが可能となる。
【0073】
例えば
図11は目的地までの移動期間を前述の
図10に従って第1ステップ、第2ステップ、第3ステップに区分し、グループ属性として特にグループに含まれるメンバー間の関係性(例えばファミリー、恋人同士、友達同士)を対象とした場合について示す。
図11に示す例では共通する目的地へと移動するユーザの内、目的地への移動の進捗状況が第1ステップにあるユーザには、恋人同士のグループで移動するユーザが複数存在する。従って、それらの複数のユーザがマッチングされて同じツアーに参加することとなる。また、目的地への移動の進捗状況が第2ステップにあるユーザには、友達同士のグループで移動するユーザが複数存在する。ファミリーのグループで移動するユーザについても複数存在する。従って、それらのユーザが夫々マッチングされて同じツアーに参加することとなる。また、目的地への移動の進捗状況が第3ステップにあるユーザには、友達同士のグループで移動するユーザが複数存在する。従って、それらのユーザがマッチングされて同じツアーに参加することとなる。
【0074】
尚、ツアーに参加したユーザは後述の情報共有処理プログラム(
図12)において同じツアーに参加するユーザ間でユーザによる映像情報、ユーザによるテキスト情報又はユーザによる音声情報の共有が行われる。
【0075】
続いて、前記構成を有する情報提供システム1において、情報提供サーバ3及び通信端末7が実行する情報共有処理プログラムについて
図12に基づき説明する。
図12は本実施形態に係る情報共有処理プログラムのフローチャートである。ここで、情報共有処理プログラムは、情報共有アプリが起動され且つ前述のユーザマッチング処理プログラム(
図6)によってツアーに参加した状態の通信端末7において実行され、同じツアーに参加したユーザ間でユーザによる映像情報、ユーザによるテキスト情報又はユーザによる音声情報の共有を行うプログラムである。
【0076】
先ず、
図12に基づいて通信端末7のCPU31が実行する情報共有処理プログラムについて説明する。S31においてCPU31は、ツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4と共有する対象となる情報の入力があったか否かを判定する。ここで、共有する対象となる情報は、ユーザ6による映像情報、ユーザ6によるテキスト情報又はユーザ6による音声情報の内の少なくとも一つとする。特に本実施形態ではユーザ6が乗車する車内を撮像した映像情報と、マッチングされたユーザ6間、或いはユーザ6とコンシェルジュ4との間で行われた文章のやり取りのテキスト情報と、マッチングされたユーザ6間、或いはユーザ6とコンシェルジュ4との間で行われた会話の音声情報を共有の対象とする。
【0077】
そして、ツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4と共有する対象となる情報の入力があったと判定された場合(S31:YES)には、入力された情報を取得する(S32)。
【0078】
例えば前記S32においてCPU31は、カメラ41で撮像した撮像画像をユーザ6による映像情報として取得する。尚、通信端末7は車両のインストルメントパネル上に設置されていることを前提としており、内蔵のカメラ41でユーザの乗車する車両内の映像を撮像可能である。尚、ユーザの操作でカメラ41の機能をオフすることも可能であり、その場合には映像情報は取得されない。
【0079】
また、前記S32においてCPU31は、入力操作部39を介してユーザによる文字の入力操作があった場合には、入力された文字列をユーザ6によるテキスト情報として取得する。尚、通信端末7において入力される文字列は例えば同じツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4に対する質問文であったり、他のユーザからの質問に対する回答文である。また、自主的に他のユーザへ提供したい情報(例えば目的地でのユーザが知るお勧めの食事や観光スポット)の場合もある。
【0080】
更に、前記S32においてCPU31は、マイクロホン35を介してユーザの音声入力があった場合には、入力された音声をユーザ6による音声情報として取得する。尚、通信端末7において入力される音声は例えば同じツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4に対する質問内容の発話であったり、他のユーザからの質問に対する回答内容の発話である。また、自主的に他のユーザへ提供したい情報(例えば目的地でのユーザが知るお勧めの食事や観光スポット)の場合もある。
【0081】
一方で、ツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4と共有する対象となる情報の入力がなかったと判定された場合(S31:NO)には、S34へと移行する。
【0082】
その後、S33においてCPU31は、前記S32で取得したユーザ6による映像情報、ユーザ6によるテキスト情報及びユーザ6による音声情報について、情報提供サーバ3へと送信する。尚、送信元の通信端末7を特定する端末IDについても併せて送信する。尚、前記S33において情報提供サーバ3へと送信された情報は、情報提供サーバ3を経由してツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4に対して送信される(S43)。従って、ツアーに参加するユーザは同じツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4へと車内の映像を配信することが可能であり、また、他のユーザやコンシェルジュ4への質問、回答及び情報提供をテキストや音声で行うことが可能である。
【0083】
次に、S34においてCPU31は、情報提供サーバ3を介してツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4から共有する対象となる情報の送信があったか否かを判定する。
【0084】
そして、情報提供サーバ3を介してツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4から共有する対象となる情報の送信があったと判定された場合(S34:YES)には、送信された情報を受信する(S35)。
【0085】
例えば前記S35においてCPU31は、他のユーザが所持する通信端末7のカメラ41で撮像した撮像画像をユーザ6による映像情報として受信する。尚、他のユーザが目的地へと移動する際には通信端末7は車両のインストルメントパネル上に設置されていることを前提としており、内蔵のカメラ41で他のユーザの乗車する車両内の映像を撮像可能である。尚、他のユーザの操作でカメラ41の機能をオフすることも可能であり、その場合には映像情報は受信しない。
【0086】
また、前記S35においてCPU31は、他のユーザが所持する通信端末7において入力操作部39を介してユーザによる文字の入力操作があった場合には、入力された文字列をユーザ6によるテキスト情報として受信する。同じくコンシェルジュ4が所持する通信端末5において文字の入力操作があった場合には、入力された文字列のテキスト情報についても受信する。尚、他のユーザが所持する通信端末7やコンシェルジュ4の通信端末5において入力される文字列は例えば同じツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4からの質問文であったり、ユーザの質問に対する回答である。また、自主的にユーザへ提供したい情報(例えば目的地でのユーザが知るお勧めの食事や観光スポット)の場合もある。
【0087】
更に、前記S35においてCPU31は、他のユーザが所持する通信端末7においてマイクロホン35を介して他のユーザの音声入力があった場合には、入力された音声をユーザ6による音声情報として受信する。同じくコンシェルジュ4が所持する通信端末5においてマイクから音声入力があった場合には、入力された音声の音声情報についても受信する。尚、通信端末7において入力される音声は例えば同じツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4からの質問内容の発話であったり、ユーザの質問に対する回答内容の発話である。また、自主的にユーザへ提供したい情報(例えば目的地でのユーザが知るお勧めの食事や観光スポット)の場合もある。
【0088】
一方で、情報提供サーバ3を介してツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4から共有する対象となる情報の送信がなかったと判定された場合(S34:NO)には、S37へと移行する。
【0089】
その後、S36においてCPU31は、前記S35で受信したユーザ6による映像情報、ユーザ6によるテキスト情報及びユーザ6による音声情報について、ユーザに対して提供する。例えば映像情報やテキスト情報についてはディスプレイ38に表示し、音声情報についてはスピーカ36から出力する。その結果、同じツアーに参加したユーザ間でユーザによる映像情報、ユーザによるテキスト情報又はユーザによる音声情報の共有を行うことが可能となる。
【0090】
ここで、
図13及び
図14はツアーに参加したユーザ間でのユーザによる映像情報、ユーザによるテキスト情報又はユーザによる音声情報の共有の例を示した図である。
例えば
図13ではユーザによる映像情報とユーザによる音声情報の共有を行う例を示す。
図13に示すように上記情報共有処理プログラムが実行される通信端末7のディスプレイ38には、情報共有画面61が表示される。情報共有画面61にはツアーに参加するユーザの車内の車内映像62、63が表示される。尚、
図13に示すのは2人のユーザがツアーに参加する場合の例であるが、ツアーに参加する人数によって車内映像の数は異なる。ツアーに参加するユーザの数が特に多い場合には、現時点で発言を行っているユーザの車内映像のみを表示するようにしても良い。また、情報共有画面61には担当するコンシェルジュ4の顔画像64についても表示される。但し、実際の顔画像ではなく2次元化した画像としても良い。また、情報共有画面61には退室ボタン65についても表示され、ツアーからの離脱をユーザが希望する場合にはユーザが退室ボタン65を押すことによってツアーからの離脱(ユーザ間の情報の共有の終了)が可能となる。
【0091】
尚、一旦ツアーを離脱した後であっても目的地に到着する前であれば再び同じツアーに参加することも可能である。更に、ツアーの離脱後にユーザマッチング処理プログラム(
図6)を改めて実行することによって、他のツアーへと参加すること(参加するツアーの変更)も可能である。そして、
図13に示す情報共有画面61が表示されている状態において、例えばツアーに参加するいずれかのユーザが「お勧めの食事場所知ってますか?」との音声を発すると、同ツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4では通信端末5、7を介してその音声を聞くことが可能となる。そして、その回答としていずれかのユーザやコンシェルジュ4が「××レストランが良いと思いますよ」の音声を発すると、質問をしたユーザに加えて同ツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4もその音声を聞くことが可能となる。尚、ユーザやコンシェルジュ4が発話して共有する音声については、基本的に目的地に関する内容とするが、目的地と関連しない内容に言及した音声を共有することも可能である。例えば自己紹介、雑談、目的地到着後に一緒に行動するお誘い、目的地や経路周辺の他施設に関する情報等の音声である。
【0092】
一方、
図14ではユーザによる映像情報とユーザによるテキスト情報の共有を行う例を示す。
図14に示すように上記情報共有処理プログラムが実行される通信端末7のディスプレイ38には、情報共有画面61が表示される。情報共有画面61には
図13と同様にツアーに参加するユーザの車内の車内映像62、63以外にコンシェルジュ4の顔画像64や退室ボタン65が表示される。そして、
図14に示す情報共有画面61が表示されている状態において、例えばツアーに参加するいずれかのユーザが「お勧めの食事場所知ってますか?」との文章を入力すると、情報共有画面61において入力された文章がテキスト66として表示され、同ツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4は通信端末5、7を介してその文章を視認することが可能となる。そして、その回答としていずれかのユーザやコンシェルジュ4が「××レストランが良いと思いますよ」の文章を入力すると、同じく情報共有画面61において入力された文章がテキスト67として表示され、質問をしたユーザに加えて同ツアーに参加する他のユーザやコンシェルジュ4もその文章を視認することが可能となる。尚、ユーザやコンシェルジュ4が入力して共有する文章については、基本的に目的地に関する内容とするが、目的地と関連しない内容に言及した文章を共有することも可能である。例えば自己紹介、雑談、目的地到着後に一緒に行動するお誘い、目的地や経路周辺の他施設に関する情報等の文章である。
【0093】
尚、ユーザ間で共有する情報としては、
図13や
図14に示すようなユーザ間やユーザとコンシェルジュ4との間の質疑応答の内容に加えて、コンシェルジュ4が自発的にツアーに参加するユーザに有益と思われる情報を提供するものであっても良い。但し、コンシェルジュ4から情報提供を行う場合には、ツアーに参加するユーザの目的地のジャンルやユーザの現時点における目的地への移動に対する進捗状況を考慮して行うことが望ましい。
【0094】
以下では目的地のジャンルが『キャンプ場』、『商業施設』であって、ツアーに参加するユーザの現時点における目的地への移動に対する進捗状況が移動期間に含まれる第1~第3ステップ(
図10参照)である場合を例に挙げて説明する。
例えば目的地のジャンルが『キャンプ場』である場合には、先ず最初の第1ステップでは、ユーザは目的地にはそれほど大きな関心は無く、寄り道や飲食する場所を探すと推定される。従って、第1ステップでは「移動経路の周辺にある観光施設や食事施設に関する情報」を提供する。次の第2ステップでは、ユーザは目的地であるキャンプ場に対する関心が徐々に大きくなる一方で休憩する場所を探すと推定される。従って、第2ステップでは「移動経路の周辺にある休憩施設(道の駅やSAPA)の情報や目的地に関する情報(例えばプランのアップグレードの案内)」を提供する。最後の第3ステップでは、ユーザは目的地であるキャンプ場に到着した後に何をするかを考えていると推定される。従って、第3ステップでは「目的地でのアクティビティや追加オプションを紹介する情報」を提供する。
【0095】
また、目的地のジャンルが『商業施設』である場合には、先ず最初の第1ステップでは、ユーザは目的地の商業施設に向かいつつ、周辺の他の商業施設の候補へ行くことも考えていると推定される。従って、第1ステップでは「目的地(商業施設)の紹介」を行う。次の第2ステップでは、ユーザが周辺の他の商業施設の候補へ行く考えは徐々に薄れ、目的地となる商業施設でどのような商品を購入するかについて検討すると推定される。従って、第2ステップでは「目的地(商業施設)で取り扱っている商品の情報」を提供する。最後の第3ステップでは、ユーザが周辺の他の商業施設の候補へ行く考えはなく、目的地となる商業施設で具体的にどのようにして買い物をするかを検討すると推定される。従って、第3ステップでは「目的地(商業施設)で現在行っているセール情報」を提供する。
【0096】
また、コンシェルジュ4から情報提供を行う場合には、ツアーに参加するユーザの共通するグループ属性に応じた内容で情報の提供を行うのが望ましい。例えば、
図15に示す例において「目的地でのアクティビティや追加オプションを紹介する情報」を提供する場合には、ツアーに参加するユーザのグループ属性が「ファミリー」である場合にはファミリー向けのアクティビティや追加オプションを選択して紹介する。また、ツアーに参加するユーザのグループ属性が「恋人同士」である場合には恋人同士向けのアクティビティや追加オプションを選択して紹介する。また、ツアーに参加するユーザのグループ属性が「60歳以上の年代」である場合には年齢が高い人でも参加しやすいアクティビティや追加オプションを選択して紹介する。
【0097】
一方、
図15に示す例において「目的地で取り扱っている商品の情報」を提供する場合には、ツアーに参加するユーザのグループ属性が「ファミリー」である場合にはファミリー向けの商品の情報を選択して紹介する。また、ツアーに参加するユーザのグループ属性が「男性のグループ」である場合には男性向けの商品の情報を選択して紹介する。また、ツアーに参加するユーザのグループ属性が「女性のグループ」である場合には女性向けの商品の情報を選択して紹介する。
【0098】
その後、S37においてCPU31は、ユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、通信端末7の現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。
【0099】
そして、ユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S37:YES)には、S38へと移行する。それに対して、ユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S37:NO)にはS31へと戻り、継続してユーザ間の情報の共有を行う。
【0100】
S38においてCPU31は、情報提供サーバ3から目的地で利用可能なクーポンに関する情報を受信し、ユーザに提供する。尚、クーポンの提供の代わりに目的地の広告情報等を提供しても良い。また、目的地の到着後もしばらくの間(例えば到着後10分以内)については前記S31~S36によるユーザ間の情報の共有について継続して行うことが望ましい。
【0101】
次に、情報提供サーバ3のCPU21が実行する情報共有処理プログラムについて説明する。尚、以下のS41~S45の各処理は、通信端末7からの対応する情報を受信したタイミングで開始される。従って、各ステップの実施順序は必ずしもステップ番号の小さい順に実施されるとは限らない。
【0102】
先ず、S41においてCPU21は、ツアーに参加するユーザやコンシェルジュ4の通信端末5、7から、共有する対象となる情報の送信があったか否かを判定する。例えばユーザが所持する通信端末5では、前記S32で取得したユーザ6による映像情報、ユーザ6によるテキスト情報及びユーザ6による音声情報が、共有する対象となる情報として情報提供サーバ3へと送信される。送信元の通信端末7を特定する端末IDについても併せて送信される。
【0103】
そして、ツアーに参加するユーザやコンシェルジュ4から共有する対象となる情報の送信があったと判定された場合(S41:YES)には、送信された情報を受信する(S42)。それに対して、ツアーに参加するユーザやコンシェルジュ4から共有する対象となる情報の送信がなかったと判定された場合(S41:NO)には、S44へと移行する。
【0104】
その後、S43においてCPU21は、前記S42で受信した情報について、送信元のユーザ又はコンシェルジュ4が参加するツアーに属するユーザ及びコンシェルジュ4の所持する通信端末5、7に対して送信する。送信された情報は前述したように通信端末5、7を介してツアーに属するユーザ及びコンシェルジュ4に対して提供される(
図13、
図14)。それによって、複数のユーザ間で情報の共有が行われる。
【0105】
尚、ユーザに対する情報の送信は対象のツアーに属する複数のユーザ単位、即ちツアー単位で行う。より具体的には、情報提供サーバ3側が一の処理で対象のツアーに属する複数のユーザの通信端末7に対して情報を送信する(即ち送信先に複数のユーザを指定して送信を行う)。その結果、同時又は略同時に対象のツアーに属する複数のユーザに対して情報が送信される。
【0106】
その後、S44においてCPU21は、ツアーに参加するユーザが目的地までの移動を終了したか否か、即ちユーザが目的地に到着したか否かを判定する。具体的には、ツアーに参加するユーザが所持する通信端末7から定期的に取得するユーザの現在位置と目的地の座標とを比較し、ツアーに参加するユーザの現在位置が目的地から所定距離以内(例えば50m以内)となった場合に目的地に到達したと判定する。
【0107】
そして、ユーザが目的地までの移動を終了した、即ちユーザが目的地に到着したと判定された場合(S44:YES)には、S45へと移行する。それに対して、ユーザが目的地までの移動を継続している、即ちユーザが目的地に到着していないと判定された場合(S44:NO)にはS41へと戻り、継続してユーザ間の情報の共有を行う。尚、ツアーに参加する複数のユーザの内、一部のユーザのみ目的地に到着した場合については、目的地に到着したユーザの通信端末7を対象としてはS45の処理を行い、目的地に到着していないユーザの通信端末7を対象としてはS41~S43の処理を夫々並行して行うのが望ましい。
【0108】
S45においてCPU31は、目的地で利用可能なクーポンに関する情報を通信端末7に対して送信し、ユーザに提供する。尚、クーポンの提供の代わりに目的地の広告情報等を提供しても良い。また、目的地の到着後もしばらくの間(例えば到着後10分以内)については前記S41~S43によるユーザ間の情報の共有について継続して行うことが望ましい。
【0109】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る情報提供システム1、情報提供サーバ3及び情報提供サーバ3で実行されるコンピュータプログラムでは、複数のユーザを対象として各ユーザが移動する目的地と移動を共にするグループのグループ属性を取得し(S11)、複数のユーザの内から目的地が共通するとともに移動を共にするグループのグループ属性が共通する複数のユーザを特定し(S15)、特定された複数のユーザ間で共有対象となる情報の提供を行う(S43)ので、目的地が共通するとともに立場や状況が類似する複数のユーザをマッチングして、マッチングされたユーザ間で各種情報を共有させることが可能となる。その結果、マッチングされたユーザ間のコミュニケーションを円滑に行わせることができ、また興味のある情報や必要とする情報が共通するユーザをマッチングすることが可能となることから、ユーザにとって興味のある情報や必要とする情報を効果的に提供することができる。
また、ユーザのマッチングを行う際には、目的地とグループ属性に加えて、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況についても共通する複数のユーザをマッチングする(S15)ので、目的地やグループ属性が共通であることに加えて例えば目的地への移動開始直後や目的地に到着間近等の特に類似する状況にあるユーザを対象にマッチングすることが可能となる。従って、マッチングされた複数のユーザの興味のある事項が共通し易い状況となり、ユーザ間での情報共有をより適切に行うことが可能となる。
また、ユーザによる映像情報、ユーザによるテキスト情報又はユーザによる音声情報の内の少なくとも一つを共有対象となる情報として提供するので、従来のような事務的な情報を一方的に提供する場合と比較して、ユーザにとって興味のある情報を効果的に提供することが可能となる。
また、ツアーに参加する複数のユーザ単位で、該複数のユーザの共通するグループ属性に応じた内容の情報の提供を行うので、グループ属性を考慮してユーザにとって興味のある情報や必要とする情報を提供することができる。
また、グループ属性は、グループに含まれるメンバーの人数、グループに含まれるメンバー間の関係性、グループに含まれるメンバーの性別、グループに含まれるメンバーの年代の内の少なくとも一つに基づいて決定するので、立場や状況が類似する複数のユーザをマッチングして、マッチングされたユーザ間で各種情報を共有させることが可能となる。その結果、マッチングされたユーザ間のコミュニケーションを円滑に行わせることができ、また興味のある情報や必要とする情報が共通するユーザをマッチングすることが可能となることから、ユーザにとって興味のある情報や必要とする情報を効果的に提供することができる。
【0110】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば本発明を企業の展示会でのユーザの移動に適用することも可能である。その場合に「目的地」は企業の出展ブースであっても良いし、出展ブース内にある具体的な展示物であっても良い。また、提供される情報は、展示会全体の情報であっても良いし、出展する企業に関する情報でもよいし、出展ブースに対する情報でも良いし、出展ブースに出展された展示物に対する情報でもよい。
【0111】
また、本実施形態では、実際にユーザ自身が車等の移動手段を用いて目的地へ移動する場合において複数のユーザ間で情報を共有することを前提としているが、ユーザの移動は現実世界の移動ではなく仮想空間上での仮想の移動を対象としても良い。即ち、VR(Virtual Reality)を使って仮想空間上を移動するユーザのアバターが仮想空間の目的地へ移動する場合においてアバターを操作する複数のユーザの間で情報を共有するようにしても良い。その場合には通信端末7はVRシステムを構成可能な専用のVRヘッドセット、スマートフォン、PCが該当する。尚、仮想空間上のアバターの操作はVRヘッドセットを使う場合にはリモコンやゲームパッドで行う。PCの場合には、マウスやキーボードで行う。スマートフォンの場合には、タッチパネルで行う。そして、このようなVRに本発明を適用する場合には、前記S11やS41ではユーザのアバターが移動する仮想空間上の目的地を通信端末7から取得するようにする。また、ユーザの現在位置はユーザのアバターの仮想空間内での現在位置となり、ユーザの目的地への移動に対する進捗状況はアバターの目的地への移動の進捗状況となる。
【0112】
また、仮想空間上での仮想の移動を対象とした場合には、ユーザが移動を共にするグループのグループ属性は、ユーザが操作するアバターのグループ属性(例えば一緒に行動するアバターの数)であっても良いし、アバターを操作するユーザのグループ属性(例えば一緒に行動するアバターを操作する複数のユーザが友達同士である場合には『友達同士』)であっても良い。
【0113】
また、本実施形態では1のツアーに対して少なくとも一人の担当コンシェルジュ4が設定されるが、コンシェルジュ4は設定しなくても良い。その場合には予め情報提供サーバ3に対してユーザに提供対象となる情報を格納しておき、ユーザの目的地や目的地への進捗状況、更にグループ属性に応じた情報を抽出して提供するようにする。
【0114】
また、本実施形態ではツアーに参加する複数のユーザは、夫々異なる移動手段で共通する目的地へ移動することを前提としているが、ツアーに参加する複数のユーザが同一の移動手段で共通する目的地へ移動することを前提としても良い。例えば、旅行会社が企画する同じツアー旅行に参加する参加者達が情報提供システム1により作成されるツアーにも参加する態様が考えられる。
【0115】
また、本実施形態では一旦ツアーに参加したユーザはユーザが意図的にツアーから抜ける操作を行わない限り、目的地に到着するまで同一のツアーに参加し続けることとなるが、情報提供サーバ3の判断でツアーからユーザを離脱させても良い。例えば、同じツアーに参加する複数のユーザについて、ツアー開始後の時間経過とともに目的地への移動に対する進捗状況が異なるユーザが出現した場合に、該ユーザを離脱させても良い。例えばツアーの中に目的地までの移動距離の短いユーザが含まれており、他のユーザが移動期間の第1ステップに位置するに関わらず、一部のユーザのみ第3ステップとなった場合がある。尚、ツアーから離脱させたユーザについては現在の進捗状況に対応する他のツアーへと新たに参加させるようにしても良い。
【0116】
また、本実施形態では目的地が共通し、目的地への移動に対する進捗状況が共通し、更に移動を共にするグループのグループ属性についても共通する複数のユーザを特定してマッチングしている(S12~S21)が、目的地への移動に対する進捗状況については考慮せずに目的地とグループ属性が共通するか否かのみによってユーザをマッチングしても良い。また、「目的地が共通する」とは必ずしも目的地が地理的な位置が同一である必要はなく、例えば同じジャンルを目的地とする場合であっても良いし、更に同じグループのフランチャイズ等のチェーンストア、同じオーナーや親会社によって運営される店舗群、関連のあるグループ会社、親会社(本店)とその子会社(支店、営業所)、同じ宗派の寺院等を目的地とする場合であっても良い。
【0117】
一方で、目的地への移動目的が共通することも条件として追加してユーザのマッチングを行うようにしても良い。移動目的としては例えば「通勤」、「通学」、「レジャー」、「帰省」、「食事」等がある。更に、移動目的はユーザのスケジュールから推測することも可能である。例えば同じ商業施設へと移動するユーザであってもユーザが有休を取得して移動している場合にはその商業施設に「レジャー」で行くと推測できる。一方でユーザが有休を取得していない場合にはその商業施設の従業員が「通勤」の為に移動していると推測できる。
【0118】
また、本実施形態ではツアーに参加するユーザの間で共有対象となるユーザによる映像情報として、ユーザを撮像した映像情報を挙げているが他の映像情報であっても良い。例えば、ユーザが過去に目的地に訪れた際に目的地で撮像した画像であっても良い。
【0119】
また、本実施形態では、ユーザの目的地の入力操作に基づいて今回の移動におけるユーザの目的地を設定しているが、ユーザの過去の行動履歴等に基づいてユーザの目的地を推測して設定しても良い。例えば、過去に同じ曜日の同じ時間帯にユーザが頻繁に同一の施設を訪れている場合には、今回の移動の目的地についても同施設であると推測できる。また、夕方以降にショッピングモール等の自宅以外の施設から移動を開始する場合には自宅を目的地と推測することも可能である。
【0120】
また、本実施形態では、ユーザの入力操作に基づいてユーザが移動を共にするグループのグループ属性を取得しているが、例えばユーザによって予め通信端末7に登録されたスケジュールやユーザの通話履歴、メールの履歴等を考慮して、情報提供サーバ3がユーザのグループ属性を推定しても良い。更にユーザの過去の行動履歴等に基づいて推定しても良い。例えば、過去に同じ曜日の同じ時間帯にユーザがファミリーで同一の施設を訪れている場合には、今回の移動のグループ属性についても『ファミリー』と推測できる。
【0121】
また、本実施形態では、ユーザが車両に乗車している状態であることを前提とするが、車両以外の移動手段に乗車している状態であっても良いし、徒歩で移動している状態であっても良い。
【0122】
また、本実施形態では、通信端末7をスマートフォンに適用した例について説明したが、情報を提供する機能を有していれば他の種類の通信端末に対して適用することも可能である。例えば携帯電話機、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ、ナビゲーション装置等に適用することが可能である。また、ナビゲーション装置以外に適用する場合には、ユーザが車で移動する以外の状況、例えば徒歩で移動する状況においても実施可能である。
【0123】
また、本実施形態では、S12~S14のユーザの目的地への移動の進捗状況を特定する処理を情報提供サーバ3が行う構成としているが、通信端末7が行っても良い。
【符号の説明】
【0124】
1…情報提供システム、3…情報提供サーバ、4…コンシェルジュ、5…コンシェルジュの通信端末、6…ユーザ、7…ユーザの通信端末、8…通信ネットワーク網、13…ユーザ道程DB、61…情報共有画面、62,63…ユーザの映像