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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-10
(45)【発行日】2024-05-20
(54)【発明の名称】左心耳オクルーダー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/12 20060101AFI20240513BHJP
【FI】
A61B17/12
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023528101
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 CN2020142578
(87)【国際公開番号】W WO2022095268
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】202011226887.8
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】523167851
【氏名又は名称】上海普実医療器械股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI PUSH MEDICAL DEVICE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 202,Block 2,Lane 2888,South Qilianshan Road,Putuo District,Shanghai 200333,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 瑞
(72)【発明者】
【氏名】▲ゴン▼ 善石
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0178981(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106466196(CN,A)
【文献】特表2014-532465(JP,A)
【文献】特表2015-509752(JP,A)
【文献】特表2019-502521(JP,A)
【文献】特表2020-530339(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0360432(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0253611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0220610(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0100844(US,A1)
【文献】国際公開第2019/057950(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/123386(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105054980(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109662745(CN,A)
【文献】中国実用新案第210990532(CN,U)
【文献】中国実用新案第211560185(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左心耳オクルーダーであって、軸方向に順に接続されるアンカー部、接続部及び被覆部
を含み、
前記アンカー部は、第1固定素子と、径方向に収縮可能な第1サポートネットとを含み
、前記第1サポートネットの外周面に左心耳組織を把持するための複数のアンカー素子が
設けられ、前記第1固定素子は前記第1サポートネットの前記接続部に近接する端に装着
され、前記第1固定素子は前記接続部に着脱可能に接続され、
前記被覆部は、第2固定素子と、径方向に収縮可能な第2サポートネットとを含み、自
然状態では、前記被覆部の径方向の寸法は前記アンカー部の径方向の寸法以上であり、前
記第2固定素子は前記第2サポートネットの前記接続部から離れる端に装着され、前記第
1固定素子及び前記第2固定素子の前記第1サポートネットから離れる端にプッシュ装置
ジョイントがそれぞれ設けられることで、前記アンカー部は2つの使用状態を有し、
アンカー部の単独使用状態では、前記アンカー部と前記接続部との接続が解除され、プ
ッシュ装置が前記第1固定素子の前記アンカー部から離れる端にドッキングされ、
アンカー部の併用状態では、前記アンカー部と前記被覆部が前記接続部を介して着脱可
能に接続され、プッシュ装置が前記第2固定素子の前記被覆部から離れる端にドッキング
され
前記接続部は、螺合部材、中空制限素子及び係合素子を含み、前記中空制限素子は、両
端が開口構造であり、内部が球形キャビティを有し、
前記係合素子は、一端が前記球形キャビティの内部に回転可能に装着され、前記球形キ
ャビティと嵌合し、他端がアンカー部接続構造を有し、
前記螺合部材は、一端が前記中空制限素子内にスライド可能に装着され、同一軸線にあ
り、他端が被覆部接続構造を有することを特徴とする左心耳オクルーダー。
【請求項2】
左心耳オクルーダーであって、軸方向に順に接続されるアンカー部、接続部及び被覆部
を含み、
前記アンカー部は、第1固定素子と、径方向に収縮可能な第1サポートネットとを含み
、前記第1サポートネットの外周面に左心耳組織を把持するための複数のアンカー素子が
設けられ、前記第1固定素子は前記第1サポートネットの前記接続部に近接する端に装着
され、前記第1固定素子は前記接続部に着脱可能に接続され、
前記被覆部は、第2固定素子と、径方向に収縮可能な第2サポートネットとを含み、自
然状態では、前記被覆部の径方向の寸法は前記アンカー部の径方向の寸法以上であり、前
記第2固定素子は前記第2サポートネットの前記接続部から離れる端に装着され、前記第
1固定素子及び前記第2固定素子の前記第1サポートネットから離れる端にプッシュ装置
ジョイントがそれぞれ設けられることで、前記アンカー部は2つの使用状態を有し、
アンカー部の単独使用状態では、前記アンカー部と前記接続部との接続が解除され、プ
ッシュ装置が前記第1固定素子の前記アンカー部から離れる端にドッキングされ、
アンカー部の併用状態では、前記アンカー部と前記被覆部が前記接続部を介して着脱可
能に接続され、プッシュ装置が前記第2固定素子の前記被覆部から離れる端にドッキング
され、
前記接続部は、第1制限素子、第2制限素子及び弾性素子を含み、
前記第1制限素子と前記第2制限素子は対向して設けられるキャビティを有し、前記第
1制限素子は前記第2制限素子の内部に隙間をあけて装着され、前記第1制限素子の前記
第2制限素子を向く側にはへ延伸する第1フランジが設けられ、前記第2制限素子の前
記第1制限素子を向く側にはへ延伸する第2フランジが設けられ、前記第1フランジと
前記第2フランジの径方向の部分領域が互いに重なることで軸方向制限構造を形成し、
前記弾性素子は、前記第1制限素子と前記第2制限素子との間に装着され、両端が前記
第1制限素子と前記第2制限素子にそれぞれ接続され、前記第1制限素子と前記第2制限
素子は軸方向に伸縮又は相対的に湾曲可能であり、
前記第1制限素子と前記第2制限素子の反対側には接続構造がそれぞれ設けられること
を特徴とする左心耳オクルーダー。
【請求項3】
左心耳オクルーダーであって、軸方向に順に接続されるアンカー部、接続部及び被覆部
を含み、
前記アンカー部は、第1固定素子と、径方向に収縮可能な第1サポートネットとを含み
、前記第1サポートネットの外周面に左心耳組織を把持するための複数のアンカー素子が
設けられ、前記第1固定素子は前記第1サポートネットの前記接続部に近接する端に装着
され、前記第1固定素子は前記接続部に着脱可能に接続され、
前記被覆部は、第2固定素子と、径方向に収縮可能な第2サポートネットとを含み、自
然状態では、前記被覆部の径方向の寸法は前記アンカー部の径方向の寸法以上であり、前
記第2固定素子は前記第2サポートネットの前記接続部から離れる端に装着され、前記第
1固定素子及び前記第2固定素子の前記第1サポートネットから離れる端にプッシュ装置
ジョイントがそれぞれ設けられることで、前記アンカー部は2つの使用状態を有し、
アンカー部の単独使用状態では、前記アンカー部と前記接続部との接続が解除され、プ
ッシュ装置が前記第1固定素子の前記アンカー部から離れる端にドッキングされ、
アンカー部の併用状態では、前記アンカー部と前記被覆部が前記接続部を介して着脱可
能に接続され、プッシュ装置が前記第2固定素子の前記被覆部から離れる端にドッキング
され、
前記第1固定素子と前記接続部との接続箇所には、前記接続箇所の接続強度を高めるた
めの抵抗素子が設けられ、
前記抵抗素子は第1鋸歯と複数の第2鋸歯とを含み、前記第1鋸歯は前記第1固定素子
の前記接続部を向く端に装着され、前記第2鋸歯は前記接続部の前記第1固定素子を向く
端に装着され、接続状態では、前記第1鋸歯と前記第2鋸歯は互いにロックされるか、
又は、
前記抵抗素子は抵抗ワッシャーを含み、前記抵抗ワッシャーは環状構造であり、ポリエ
ステル繊維膜、ポリテトラフルオロエチレン膜など生体適合性を有するフレキシブル材料
からなり、前記抵抗ワッシャーの軸方向両端に複数の突起がそれぞれ設けられ、接続状態
では、前記抵抗ワッシャーは前記第1固定素子と前記接続部との間に押圧されることを特
徴とする左心耳オクルーダー。
【請求項4】
前記アンカー部は、前記第1サポートネットの前記接続部から離れる端に装着される第
4固定素子を含み、
前記第1サポートネットは複数の弾性金属線を含み、前記弾性金属線は互いに交互に編
まれて中空の柱状構造を形成し、軸方向両端は収束し、それぞれ前記第1固定素子と前記
第4固定素子により密閉され、前記第1固定素子と前記第4固定素子は互いに近接するこ
とで、前記アンカー部の軸方向両端を凹ませ、第1固定素子には前記接続部と嵌合するね
じ構造が設けられるか、又は、
前記アンカー部は弾性金属管を彫刻して形成されたサポートロッドであり、軸方向両端
は収束し、それぞれ前記第1固定素子と前記第4固定素子により密閉されるか、又は、前
記アンカー部の前記接続部に近接する端のみ前記第1固定素子により密閉され、第1固定
素子には前記接続部と嵌合するねじ構造が設けられることを特徴とする請求項1~3のい
ずれか一項に記載の左心耳オクルーダー。
【請求項5】
前記被覆部は、前記第2サポートネットの前記接続部に近接する端に装着される第3固
定素子を含み、前記接続部は前記第3固定素子を介して前記被覆部に着脱可能に接続され

前記第2サポートネットは複数の弾性金属線を含み、前記弾性金属線は互いに交互に編
まれて中空の扁平状構造を形成し、前記第2サポートネットの軸方向両端は収束し、それ
ぞれ前記第2固定素子と前記第3固定素子により密閉され、前記第2固定素子及び前記第
3固定素子は前記被覆部と同一軸線にあり、前記被覆部の前記接続部に近接する端の中部
は前記接続部へ突出し、前記第3固定素子によりシールされ、
及び/又は、
前記アンカー部及び前記被覆部の内部に高分子材料製の流れ阻止膜が設けられることを
特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の左心耳オクルーダー。
【請求項6】
前記係合素子の前記中空制限素子から離れる端に雄ねじ又は雌ねじが設けられることで
、前記アンカー部接続構造を形成し、前記第1固定素子は前記アンカー部接続構造と嵌合
し、及び/又は、
前記螺合部材の前記中空制限素子から離れる端に雄ねじ又は雌ねじが設けられることで
、前記被覆部接続構造を形成することを特徴とする請求項に記載の左心耳オクルーダー。
【請求項7】
前記アンカー素子は自由端と固定端とを含み、前記固定端は前記アンカー部に固定接続
され、前記自由端は外へ延伸し、複数の前記アンカー素子は前記アンカー部の外周面を取
り囲んでおり、
前記アンカー素子の長さは1~4mmであり、
複数の前記アンカー素子はそれぞれ前記アンカー部の1~3個の横断面エッジに位置し
、各横断面エッジには4~10個の前記アンカー素子が設けられ、
前記アンカー素子が同一横断面上にない場合、前記アンカー素子は前記アンカー部の径
方向にずれて分布していることを特徴とする請求項1に記載の左心耳オクルーダー。
【請求項8】
前記抵抗素子は第1抵抗ワッシャーと第2抵抗ワッシャーとを含み、前記第1抵抗ワッ
シャーは、軸方向の一端が前記第1固定素子に接続され、他端が鋸歯状を呈し、前記第2
抵抗ワッシャーは、前記接続部の外部にスライド可能に外装され、前記第2抵抗ワッシャ
ーの前記アンカー部から離れる端にばねが設けられ、他端が鋸歯状を呈し、接続状態では
、前記第1抵抗ワッシャーは軸線方向に前記第2抵抗ワッシャーを圧迫し、前記ばねは前
記第2抵抗ワッシャーの圧力作用下で軸方向に収縮し、前記第1抵抗ワッシャーと前記第
2抵抗ワッシャーの鋸歯端は互いに噛合するか、
又は、
前記抵抗素子は雌ねじ管を含み、接続状態では、前記雌ねじ管は前記第1固定素子及び
前記接続部の外部に外装され、前記第1固定素子及び前記接続部の表面には、前記雌ねじ
管と嵌合する雄ねじがそれぞれ設けられることを特徴とする請求項に記載の左心耳オク
ルーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、具体的には、左心耳オクルーダー及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮的左心耳閉鎖とは、経皮的穿刺法で細長い送達シースを通して左心耳オクルーダーを心臓左心房の左心耳に送達及び解放し、即ち、低侵襲介入療法で左心耳と左心房の通路を遮断することにより、心房内の血液が左心耳に流れなくなり、左心耳内の血栓も血液循環系に循環しなくなり、それによって心房細動に起因する血栓塞栓を予防する目的を達成する。2001年以来、経皮的左心耳オクルーダーを用いた治療は臨床において使用されるようになり、長年の臨床使用により、経皮的左心耳閉鎖術によって心房細動患者が脳卒中を発症する確率を効果的に低下させることができることが示されている。
【0003】
従来技術では、左心耳オクルーダーは、ほとんどニッケルチタン合金と高分子材料製の流れ阻止膜とからなり、ニッケルチタン合金は主に固定の役割を果たし、高分子製の流れ阻止膜は主に血流を遮断する役割を果たす。
【0004】
一般的な左心耳オクルーダーの構造にはプラグ型及びデュアルディスク型がある。デュアルディスク型構造の左心耳オクルーダーは、1つのシール装置と1つの固定装置とからなり、通常、再回収及び再留置が可能な利点を有し、より実用的である。しかしながら、人体の左心耳の形態は様々であり、左心耳の内部構造は複雑であり、臨床経験からわかるように、従来の左心耳オクルーダーを用いて左心耳閉鎖を行うと、以下の問題がよく見られる。(1)プラグ型オクルーダーを用いて閉鎖すると、左心耳口部付近に残存腔が残りやすく、該残存腔では、依然として血栓が形成されやすく、患者の健康を危険にさらす。(2)デュアルディスク型オクルーダー閉鎖を使用すると、固定装置が正常な場合、シール装置は弁などの心耳口部付近の人体組織に影響する可能性があり、その反面、固定装置は正常に機能できない。上記問題の理由はほとんど従来の機器の配置が多くの左心耳組織によりよく適合できないことであり、上記問題を解決するために、手術中に左心耳の形態に応じて閉鎖機器の選択及び適合を行い、様々な形態の左心耳への適応性を向上させ、さらに経皮の左心耳閉鎖手術の適用範囲を拡大し、より多くの患者に恵みを与えることができる新しい左心耳オクルーダーを発明することが強く望まれている。
【0005】
従って、使用が柔軟で、様々な形態の左心耳への適応性を向上させる左心耳オクルーダーを設計できるか否かは、本特許が解決しようとする課題である。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の上記欠陥に対して、本発明は左心耳オクルーダー及びその使用方法を提供し、使用が柔軟で、様々な形態の左心耳への左心耳オクルーダーの適応性を向上させるという目的を実現する。
【0007】
本発明に係る技術的手段について、左心耳オクルーダーであって、軸方向に順に接続されるアンカー部、接続部及び被覆部を含み、前記アンカー部は、径方向に収縮可能な第1サポートネットと、第1固定素子とを含み、前記第1サポートネットの外周面に左心耳組織を把持する複数のアンカー素子が設けられ、前記第1固定素子は前記第1サポートネットの前記接続部に近接する端に装着され、前記第1固定素子は前記接続部に着脱可能に接続され、前記被覆部は、径方向に収縮可能な第2サポートネットと、第2固定素子とを含み、自然状態では、前記被覆部の径方向の寸法は前記アンカー部の径方向の寸法以上であり、前記第2固定素子は前記第2サポートネットの前記接続部から離れる端に装着され、前記第1固定素子及び前記第2固定素子の前記第1サポートネットから離れる端にプッシュ装置ジョイントがそれぞれ設けられることで、前記アンカー部は2つの使用状態を有し、アンカー部の単独使用状態では、前記アンカー部と前記接続部との接続が解除され、プッシュ装置が前記第1固定素子の前記アンカー部から離れる端にドッキングされ、アンカー部の併用状態では、前記アンカー部と前記被覆部が前記接続部を介して着脱可能に接続され、プッシュ装置が前記第2固定素子の前記被覆部から離れる端にドッキングされる。
【0008】
本技術的手段は左心耳オクルーダーを開示し、従来の左心耳オクルーダーとの相違点として、本手段はアンカー部の接続部に近接する端に第1固定素子が設けられることで、第1固定素子と接続部の構造によりアンカー部と接続部との着脱可能な接続が実現され、従って、アンカー部を接続部及び被覆部と組み合わせて用いてもよいし、単独で用いてもよい。また、実際の試験では、人体ごとに異なる心耳構造に応じて、異なる組み合わせ方式を採用してもよい。上記アンカー部を単独で使用することで、被覆部が弁などの心耳口付近の人体組織に影響することを回避することができ、アンカー部、接続部及び被覆部を併用することで左心耳付近の残存腔を遮り、残存腔に血栓が発生して患者の健康を危険にさらすことを回避することができる。以上のように、該左心耳オクルーダーは、使用が柔軟で、様々な形態の左心耳への適応性が向上する。
【0009】
さらに、前記接続部は、螺合部材、中空制限素子及び係合素子を含み、前記中空制限素子は、両端が開口構造であり、内部が球形キャビティを有し、前記係合素子は、一端が前記球形キャビティの内部に回転可能に装着され、前記球形キャビティと嵌合し、他端がアンカー部接続構造を有し、前記螺合部材は、一端が前記中空制限素子内にスライド可能に装着され、同一軸線にあり、他端が被覆部接続構造を有する。
【0010】
本技術的手段は接続部の具体的な構造をさらに開示し、螺合部材、中空制限素子及び係合素子の具体的な構造及び接続関係により、アンカー部と被覆部との相対的な距離及び角度を変更可能にする効果が実現され、さらに該左心耳オクルーダーの適応性が向上する。
【0011】
さらに、前記接続部は、第1制限素子、第2制限素子及び弾性素子を含み、前記第1制限素子と前記第2制限素子は対向して設けられるキャビティを有し、前記第1制限素子は前記第2制限素子の内部に隙間をあけて装着され、前記第1制限素子の前記第2制限素子を向く側には内へ延伸する第1フランジが設けられ、前記第2制限素子の前記第1制限素子を向く側には外へ延伸する第2フランジが設けられ、前記第1フランジと前記第2フランジの径方向の部分領域が互いに重なることで軸方向制限構造を形成し、前記弾性素子は、前記第1制限素子と前記第2制限素子との間に装着され、両端が前記第1制限素子と前記第2制限素子にそれぞれ接続され、前記第1制限素子と前記第2制限素子は軸方向に伸縮又は相対的に湾曲可能であり、前記第1制限素子と前記第2制限素子の反対側には接続構造がそれぞれ設けられる。
【0012】
本技術的手段は接続部構造の別の手段をさらに開示し、本手段は第1制限素子と第2制限素子との径方向隙間及び軸線隙間により、第2制限素子に対する第1制限素子の相対的な距離及び角度が変更可能であり、さらにアンカー部と被覆部との相対的な距離及び角度を変更可能にする効果が実現され、同様に該左心耳オクルーダーの適応性が向上する。
【0013】
さらに、前記アンカー部は、前記第1サポートネットの前記接続部から離れる端に装着される第4固定素子を含み、前記第1サポートネットは複数の弾性金属線を含み、前記弾性金属線は互いに交互に編まれて中空の柱状構造を形成し、軸方向両端は収束し、それぞれ前記第1固定素子と前記第4固定素子により密閉され、前記第1固定素子と前記第4固定素子は互いに近接することで、前記アンカー部の軸方向両端を凹ませ、第1固定素子には前記接続部と嵌合するねじ構造が設けられるか、又は、前記アンカー部は弾性金属管を彫刻して形成されたサポートロッドであり、軸方向両端は収束し、それぞれ前記第1固定素子と前記第4固定素子により密閉されるか、又は、前記アンカー部の前記接続部に近接する端のみ前記第1固定素子により密閉され、第1固定素子には前記接続部と嵌合するねじ構造が設けられるか、又は、前記アンカー部は軸方向両端の径方向の寸法が略同じ円筒状である。
【0014】
さらに、前記被覆部は、前記第2サポートネットの前記接続部に近接する端に装着される第3固定素子を含み、前記接続部は前記第3固定素子を介して前記被覆部に着脱可能に接続され、前記第2サポートネットは複数の弾性金属線を含み、前記弾性金属線は互いに交互に編まれて中空の扁平状構造を形成し、前記第2サポートネットの軸方向両端は収束し、それぞれ前記第2固定素子と前記第3固定素子により密閉され、前記第2固定素子及び前記第3固定素子は前記被覆部と同一軸線にあり、前記被覆部の前記接続部に近接する端の中部は前記接続部へ突出し、前記第3固定素子によりシールされ、及び/又は、前記アンカー部及び前記被覆部の内部に高分子材料製の流れ阻止膜が設けられる。本技術的手段は第2サポートネットの具体的な構造及びアンカー部と被覆部の内部構造をさらに開示し、アンカー部及び被覆部の内部に高分子材料製の流れ阻止膜が設けられることで、血流遮断作用を効果的に高める。また、実際の使用では、個体差によって、患者ごとに左心耳構造が異なり、従って、被覆部及びアンカー部の寸法要件も異なる。被覆部と接続部との着脱可能な接続によって、異なる寸法の被覆部と異なる寸法のアンカー部とを組み合わせて使用することができ、様々な形態の左心耳への該左心耳オクルーダーの適応性をさらに向上させる。
【0015】
さらに、前記係合素子の前記中空制限素子から離れる端に雄ねじ又は雌ねじが設けられることで、前記アンカー部接続構造を形成し、前記第1固定素子は前記アンカー部接続構造と嵌合し、及び/又は、前記螺合部材の前記中空制限素子から離れる端に雄ねじ又は雌ねじが設けられることで、前記被覆部接続構造を形成する。
【0016】
さらに、前記アンカー素子は自由端と固定端とを含み、前記固定端は前記アンカー部に固定接続され、前記自由端は外へ延伸し、複数の前記アンカー素子は前記アンカー部の外周面を取り囲んでおり、前記アンカー素子の長さは1~4mmであり、複数の前記アンカー素子はそれぞれ前記アンカー部の1~3個の横断面エッジに位置し、各横断面エッジには4~10個の前記アンカー素子が設けられ、前記アンカー素子が同一横断面上にない場合、前記アンカー素子は前記アンカー部の径方向にずれて分布している。
【0017】
さらに、前記第1固定素子と前記接続部との接続箇所には前記接続箇所の接続強度を高めるための抵抗素子が設けられ、前記抵抗素子は複数の第1鋸歯と複数の第2鋸歯とを含み、前記第1鋸歯は前記第1固定素子の前記接続部を向く端に装着され、前記第2鋸歯は前記接続部の前記第1固定素子を向く端に装着され、接続状態では、前記第1鋸歯と前記第2鋸歯は互いにロックされるか、又は、前記抵抗素子は抵抗ワッシャーを含み、前記抵抗ワッシャーは環状構造であり、ポリエステル繊維膜、ポリテトラフルオロエチレン膜など生体適合性を有するフレキシブル材料からなり、前記抵抗ワッシャーの軸方向両端に複数の突起がそれぞれ設けられ、接続状態では、前記抵抗ワッシャーは前記第1固定素子と前記接続部との間に押圧される。
【0018】
さらに、前記抵抗素子は第1抵抗ワッシャーと第2抵抗ワッシャーとを含み、前記第1抵抗ワッシャーは、軸方向の一端が前記第1固定素子に接続され、他端が鋸歯状を呈し、前記第2抵抗ワッシャーは、前記接続部の外部にスライド可能に外装され、前記第2抵抗ワッシャーの前記アンカー部から離れる端にばねが設けられ、他端が鋸歯状を呈し、接続状態では、前記第1抵抗ワッシャーは軸線方向に前記第2抵抗ワッシャーを圧迫し、前記ばねは前記第2抵抗ワッシャーの圧力作用下で軸方向に収縮し、前記第1抵抗ワッシャーと前記第2抵抗ワッシャーの鋸歯端は互いに噛合し、又は、前記抵抗素子は雌ねじ管を含み、接続状態では、前記雌ねじ管は前記第1固定素子及び前記接続部の外部に外装され、前記第1固定素子及び前記接続部の表面には、前記雌ねじ管と嵌合する雄ねじがそれぞれ設けられる。
【0019】
本技術的手段は抵抗素子をさらに開示し、本発明は様々な抵抗素子の実施形態によって、アンカー部と接続部との接続強度を簡単かつ確実に向上させ、アンカー部と接続部がプッシュ装置により左心耳口部にプッシュされる中に、プッシュ装置が被覆部のプッシュ装置ジョイントから離脱する時に発生する力などの大きな外力を受けても、アンカー部と接続部との接続に影響を与えることがない。
【0020】
上記左心耳オクルーダーの使用方法であって、患者の左心耳構造を検出し、
前記アンカー部を移植する必要がある位置が左心耳から遠く、左心耳口部付近に大きな空間がまだ残っておりシール不可能である場合、
前記アンカー部、前記接続部及び前記被覆部を順に接続し、前記被覆部の前記接続部から離れる端をプッシュ装置の端部に装着し、前記被覆部及び前記アンカー部を線状に引張変形させ、プッシュ装置によってプッシュして送達シースを通過させて人体に入れるステップ1と、
移植位置では、まず、前記アンカー部を前記送達シースから押し出し、前記アンカー部の前記接続部から離れるサポートネットを徐々に展開して小さな平面を形成し、事前位置決めを行い、前記第1サポートネットの残りの部分を順に展開することで、前記アンカー部を左心耳組織に徐々に密着させ、前記アンカー素子を同時に展開して左心耳組織を把持するステップ2と、
前記接続部と前記被覆部を前記送達シースから順に押し出し、前記被覆部を展開して左心耳口部を被覆するステップ3と、を含む。
【0021】
本技術的手段は上記左心耳オクルーダーの使用方法を開示し、一方では、本方法はアンカー部、接続部及び被覆部の組み合わせ構造を使用することで、アンカー部の移植位置が左心耳から遠く、左心耳口部付近に大きな空間がまだ残っておりシール不可能である場合に左心耳の効果的な閉鎖を実現し、他方では、左心耳オクルーダーの押し出し中、アンカー部の接続部から離れるサポートネットを徐々に展開して小さな平面を形成し、事前位置決めを行い、先端が平らな状態で左心耳内で展開することで、機器による左心耳組織の潜在的な損傷を効果的に防止し、所定形状に徐々に回復する第1サポートネット及びアンカー素子が左心耳壁に密着し、左心耳組織を効果的に把持し、損傷を回避する。
【0022】
さらに、前記アンカー部の移植可能な位置が左心耳に近く、残存腔が残ることがなく前記アンカー部が左心耳口部を基本的にシール可能である場合、
前記アンカー部を第1固定素子を介してプッシュ装置に接続し、前記被覆部を線状に引張変形させ、前記プッシュ装置によってプッシュして送達シースを通過させて人体に入れるステップ1と、
移植位置では、前記アンカー部を前記送達シースから徐々に押し出し、前記アンカー部の前記接続部から離れるサポートネットを徐々に展開して小さな平面を形成し、事前位置決めを行い、前記サポートネットの残りの部分を順に展開することで、前記アンカー部を左心耳組織に徐々に密着させ、前記アンカー素子を同時に展開して左心耳組織を把持するステップ2と、
前記プッシュ装置を操作して前記プッシュ装置と前記アンカー部とを分離し、アンカー部を単独で用いて左心耳口部を閉鎖するステップ3と、を含む。
【0023】
本技術的手段は上記左心耳オクルーダーの使用方法をさらに開示し、一方では、本方法はアンカー部及び接続部を単独で使用することで、アンカー部の移植位置が左心耳に近く、左心耳口部がアンカー部により基本的にシール可能である場合に左心耳の効果的な閉鎖を実現し、他方では、左心耳オクルーダーの押し出し中、アンカー部の接続部から離れるサポートネットを徐々に展開して小さな平面を形成し、事前位置決めを行い、先端が平らな状態で左心耳内で展開することで、機器による左心耳組織の潜在的な損傷を効果的に防止し、所定形状に徐々に回復する第1サポートネット及びアンカー素子が左心耳壁に密着し、左心耳組織を効果的に把持し、損傷を回避する。
【0024】
本発明は少なくとも以下のいずれか1種の技術的効果を有する。
【0025】
1、アンカー部と接続部との着脱可能な接続によって、アンカー部を接続部及び被覆部と組み合わせて用いてもよいし、アンカー部を単独で用いてもよく、使用が柔軟であり、様々な形態の左心耳への左心耳オクルーダーの適応性が向上する。
【0026】
2、第3固定素子が被覆部と接続部との中間接続部材として機能することにより、被覆部と接続部との着脱可能な接続が実現される。被覆部と接続部との着脱可能な接続によって、異なる寸法の被覆部と異なる寸法のアンカー部とを組み合わせて使用することができ、様々な形態の左心耳への該左心耳オクルーダーの適応性がさらに向上する。
【0027】
3、螺合部材、中空制限素子及び係合素子の具体的な構造及び接続関係により、アンカー部と被覆部との相対的な距離及び角度を変更可能にする効果が実現され、該左心耳オクルーダーの適応性がさらに向上する。
【0028】
4、第1制限素子と第2制限素子との径方向隙間及び軸線隙間により、第2制限素子に対する第1制限素子の相対的な距離及び角度が変更可能であり、さらにアンカー部と被覆部との相対的な距離及び角度を変更可能にする効果が実現され、同様に該左心耳オクルーダーの適応性が向上する。
【0029】
5、本方法はアンカー部、接続部及び被覆部の組み合わせ構造を使用するか又はアンカー部を単独で使用することで、アンカー部の移植位置が左心耳から遠く、左心耳口部付近に大きな空間がまだ残っておりシール不可能である場合に左心耳の効果的閉鎖を実現し、また、左心耳オクルーダーの押し出し中、アンカー部の接続部から離れるサポートネットを徐々に展開して小さな平面を形成し、事前位置決めを行い、先端が平らな状態で左心耳内で展開することで、機器による左心耳組織の潜在的な損傷を効果的に防止し、所定形状に徐々に回復する第1サポートネット及びアンカー素子が左心耳壁に密着し、左心耳組織を効果的に把持し、損傷を回避する。
【0030】
6、アンカー部と被覆部との接続構造によって、両者に非同軸状態の柔軟性を付与し、異なる形態の左心耳によりよく適応できる。
【0031】
7、アンカー部を被覆部とともに使用するか、又はアンカー部を単独で使用することが可能であるため、臨床応用において、手術者は実際の左心耳の形態に応じて、アンカー部を単独で使用するか、又はアンカー部と被覆部の寸法の組み合わせを選択することができる。
【0032】
8、アンカー部と被覆部の仕様をより柔軟に選択できることで、適用範囲を拡大し、手術時間を短縮させることができる。
【0033】
9、抵抗素子が設けられることで、接続状態でのアンカー部と接続部との接続強度を効果的に高める。
【0034】
以下、図面及び具体的な実施形態を参照しながら本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の装置の一実施例の構造模式図である。
図2】本発明の一実施例の第1固定素子の構造模式図である。
図3】本発明における接続部の一実施例の構造模式図である。
図4】本発明における第3固定素子の一実施例の構造模式図である。
図5】本発明における接続部の一実施例の構造模式図である。
図6】本発明における接続部の一実施例の構造模式図である。
図7】本発明の装置の一実施例の1つの使用状態での構造模式図である。
図8】本発明における接続部の一実施例の1つの使用状態での構造模式図である。
図9】本発明における接続部の一実施例の1つの使用状態での構造模式図である。
図10】心臓の内部模式図である。
図11図10に示す心耳構造に本発明における左心耳オクルーダーを使用する効果図である。
図12図10における領域aの部分拡大図である。
図13図11における領域bの部分拡大図である。
図14】左心耳構造の部分模式図である。
図15図14に示す心耳構造に本発明における左心耳オクルーダーを使用する効果図である。
図16】左心耳構造の部分模式図である。
図17図16に示す心耳構造に本発明における左心耳オクルーダーを使用する効果図である。
図18】左心耳構造の部分模式図である。
図19図18に示す心耳構造に本発明における左心耳オクルーダーを使用する効果図である。
図20】本発明の一実施例における被覆部の構造模式図である。
図21】本発明における接続部の一実施例の構造模式図である。
図22】本発明における接続部の一実施例の構造模式図である。
図23図22の接続部の1つの使用状態での構造模式図である。
図24】本発明における抵抗素子の一実施例の構造模式図である。
図25】本発明における抵抗素子の一実施例の構造模式図である。
図26図25における抵抗素子の接続状態での構造模式図である。
図27】本発明における抵抗素子の一実施例の構造模式図である。
図28図27における抵抗素子と嵌合する装置の構造模式図である。
図29】本発明における雌ねじ管の一実施例の構造模式図である。
図30】本発明における第1固定素子の一実施例の構造模式図である。
図31図30の全断面構造模式図である。
図32】本発明における接続部の一実施例の構造模式図である。
図33図32の全断面構造模式図である。
図34図29図33に係る部品の接続状態での構造模式図である。
図35】本発明のアンカー部の併用状態での使用中の構造模式図である。
図36図35の後続ステップの構造模式図である。
図37図36の後続ステップの構造模式図である。
図38図37の後続ステップの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施例又は従来技術の技術的手段をより明確に説明するために、以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を説明する。明らかなように、以下説明される図面は単に本発明のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいてほかの図面を得て、ほかの実施形態を得ることができる。
【0037】
図面を簡潔にするために、各図には発明に関連する部分のみが例示的に示されているが、製品の実際の構造を表すものではない。また、図面を簡潔で理解しやすくするために、いくつかの図において、同じ構造又は機能を有する部材は1つだけ例示的に示されているか、又は1つだけマークされている。本明細書では、「1つ」は「1つだけ」を表すだけでなく、「1つよりも多い」状況も表すことができる。
【0038】
さらに理解できるように、本願の明細書及び添付する特許請求の範囲に使用される用語「及び/又は」とは、関連するリストされたアイテムの1つ又は複数の任意の組み合わせ及びすべての可能な組み合わせであり、且つこれらの組み合わせを含む。
【0039】
なお、本明細書では、特に明確な規定及び限定がない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」などの用語は広義に理解すべきであり、例えば、固定接続、着脱可能な接続、又は一体的接続であってもよく、機械的接続、電気的接続であってもよく、直接連結、中間媒体を介する間接的連結、2つの素子の内部の連通であってもよい。当業者であれば、具体的な場合に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0040】
また、本願の説明では、「第1」、「第2」などの用語は単に区別して説明するためのものであり、相対的な重要性を指示又は暗示しないと理解すべきである。
【0041】
本発明の実施例又は従来技術の技術的手段をより明確に説明するために、以下、図面を参照しながら本発明の具体的な実施形態を説明する。明らかなように、以下説明される図面は単に本発明のいくつかの実施例であり、当業者であれば、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいてほかの図面を得て、ほかの実施形態を得ることができる。
【実施例1】
【0042】
図1及び図7に示すように、左心耳オクルーダーであって、軸方向に順に接続されるアンカー部10、接続部20及び被覆部30を含む。
【0043】
具体的には、アンカー部10は、径方向に収縮可能な第1サポートネット11と、第1固定素子14とを含み、第1サポートネット11の外周面に左心耳組織を把持するための複数のアンカー素子13が設けられ、第1固定素子14は第1サポートネット11の接続部20に近接する端に装着され、第1固定素子14は接続部20に着脱可能に接続されることで、アンカー部10は単独で左心耳に配置可能である。1つの好ましい実施例では、図2に示すように、第1固定素子14は、一端が第1サポートネット11を固定するキャビティ構造を有し、他端が接続部20に着脱可能に接続される雌ねじ構造を有する。
【0044】
さらに、被覆部30は、径方向に収縮可能な第2サポートネット33と、第2固定素子32とを含み、自然状態では、被覆部30の径方向の寸法はアンカー部10の径方向の寸法以上であり、第2固定素子32は第2サポートネット33の接続部20から離れる端に装着され、第2固定素子32の接続部20から離れる端にプッシュ装置ジョイント32-aが設けられる。なお、プッシュ装置ジョイント32-aとは、本装置とプッシュ装置60との接続位置であり、その具体的な接続構造は、螺合接続、締り嵌め接続、又はほかの形態の接続であってもよい。
【0045】
さらに好ましくは、図4に示すように、被覆部30は第3固定素子31を含み、第3固定素子31は第2サポートネット33の接続部20に近接する端に装着され、接続部20は第3固定素子31を介して被覆部30に着脱可能に接続される。
【0046】
実際の使用中、アンカー部10は単独で使用されてもよく、接続部20及び被覆部30と併用されてもよく、具体的には、アンカー部の単独使用状態では、アンカー部10は第1固定素子14を介してプッシュ装置60に着脱可能に接続され、即ち、第1固定素子14の第1サポートネット11から離れる側をプッシュ装置ジョイントとする。アンカー部の併用状態では、アンカー部10は接続部20に着脱可能に接続され、接続部20のアンカー部10から離れる端は第3固定素子31を介して被覆部30に着脱可能に接続される。なお、接続部20のアンカー部10から離れる端に位置するプッシュ装置ジョイントにはプッシュ装置60と嵌合する接続構造が設けられる。
【0047】
さらに、被覆部30は、第2固定素子32及び第3固定素子31によって第2サポートネット33を構成するための弾性金属線を固定することで、密閉型構造を形成する。具体的には、接続部20の端に雄ねじ構造が設けられ、第3固定素子31の内部にナット構造が設けられ、このようにして、第3固定素子31を接続部20に着脱可能に接続する。1つの好ましい実施例では、アンカー部10及び被覆部30の内部に高分子材料製の流れ阻止膜が設けられる。
【0048】
さらに好ましくは、アンカー素子13は自由端と固定端とを含み、固定端はアンカー部10に固定接続され、自由端は外へ延伸し、複数のアンカー素子13はアンカー部10の外周面を取り囲んでいる。アンカー素子13の長さは1~4mmである。複数のアンカー素子13はそれぞれアンカー部10の1~3個の横断面エッジに位置し、各横断面エッジには4~10個のアンカー素子13が設けられる。アンカー素子13が同一横断面上にない場合、アンカー素子13はアンカー部10の径方向にずれて分布している。
【0049】
実際の応用では、人体の左心耳の個体差に応じて、本左心耳オクルーダーの異なる形態及び寸法仕様を選択することができる。
【0050】
通常、人体の左心耳40は、左心耳口部41と左心耳腔42とを含み、左心耳口部41は左心房に連通する。左心耳40の組織形態は人によって異なり、その解剖学的構造は大まかに以下のように分類される。
【0051】
第1タイプ:図10及び図12に示すように、左心耳口部41は近接する左心耳腔42と空間的径方向の寸法が近い。
【0052】
第2タイプ:図14に示すように、左心耳口部41の径方向の寸法は小さく、左心耳口部41に隣接する左心耳腔42の径方向の寸法は左心耳口部41よりも著しく大きく、且つ緩やかな角度で湾曲する。
【0053】
第3タイプ:図16に示すように、左心耳口部41の径方向の寸法は大きく、左心耳腔42の径方向の寸法は左心耳口部41よりも小さい。
【0054】
第4タイプ:図18に示すように、左心耳腔42は1つよりも多い分葉を有する。
【0055】
上記場合について、第1タイプの左心耳構造の場合、図11及び図13に示すように、アンカー部10の移植可能な位置は左心耳口部41に近く、左心耳口部41は残存腔が残ることなくアンカー部10により基本的にシール可能であり、アンカー部10を単独で使用することができ、左心耳口部41に残存腔がなく、左心耳と左心房の通路が遮断される。
【0056】
第2タイプ、第3タイプ及び第4タイプの左心耳構造の場合、被覆部30、接続部20及びアンカー部10の組み合わせ形態を用いて閉鎖する。
【0057】
1つの好ましい実施例では、図7に示すように、被覆部30本体の二重サポートネットは軸方向に密着し、被覆部30全体は略錐台状であり、周方向に外へ膨らむ一定の弧度を維持し、遠端部に中空の略錐台状の小空間が形成され、錐台の高さ範囲は3~6mmである。また、被覆部30の本体は略平面状であり、左心耳構造が浅い場合、被覆部30はほぼすべて左心耳外にあり、平面構造を使用することができる。上記2種の構造は図14に示す第2タイプの左心耳構造により適用でき、閉鎖効果は図15に示される。
【0058】
1つの好ましい実施例では、図20に示すように、被覆部30の軸方向には環状段差が設けられ、該設計は被覆部30に径方向の寸法が大きなエッジを追加することで、左心耳口部41に対して二重遮断を行い、遮断効果を確保する。図15図17及び図19に示すように、上記環状段差を有する被覆部30、接続部20及びアンカー部10の組み合わせ構造は、第3タイプ及び第4タイプの左心耳構造に適用される。さらに被覆部30を左心耳口部41により容易に密着させ、左心耳を閉鎖する。
【実施例2】
【0059】
本実施例は左心耳オクルーダーであり、実施例1との主な相違点は接続部20の具体的な構造であり、同じ部分についての重複説明を省略する。
【0060】
具体的には、図3及び図8に示すように、接続部20は、螺合部材21、中空制限素子22及び係合素子23を含み、中空制限素子22は、両端が開口構造であり、内部に球形キャビティを有する。係合素子23は、一端が球形キャビティの内部に回転可能に装着され、球形キャビティと嵌合し、他端がアンカー部接続構造23-aを有する。螺合部材21は、一端が中空制限素子22内にスライド可能に装着され、同一軸線にあり、他端が被覆部接続構造21-aを有する。なお、アンカー部接続構造23-aと被覆部接続構造21-aは雌ねじ構造、雄ねじ構造及び締り嵌め接続構造のうちのいずれか1種の構造を用い得る。
【0061】
さらに好ましくは、アンカー部10は、第1サポートネット11の接続部20から離れる端に装着される第4固定素子12を含み、第1サポートネット11は複数の弾性金属線を含み、弾性金属線は互いに交互に編まれて中空柱状構造を形成し、軸方向両端は収束し、それぞれ第1固定素子14と第4固定素子12により密閉され、第1固定素子14と第4固定素子12は互いに近接することで、アンカー部10の軸方向両端を凹ませ、第1固定素子14には接続部20と嵌合するねじ構造が設けられる。
【0062】
好ましくは、第1固定素子14の位置する面の凹み範囲は第4固定素子12の位置する面の凹み範囲よりも大きい。
【0063】
別の好ましい実施例では、図6及び図9に示すように、接続部20の中部は弾性金属管材からなる中空管を用いて、彫刻して互いに嵌着される接続ユニットを形成し、隣接する接続ユニット間に隙間があり、従って、一定の湾曲空間を形成し、管状素子の長さは増減可能であり、接続ユニットの隙間は増減可能であることで、本体部の長さ及び湾曲範囲を調整する。接続部20の両端に接続構造28がそれぞれ設けられ、該接続構造28は雌ねじ構造、雄ねじ構造及び締り嵌め構造のうちのいずれか1種であってもよい。
【0064】
別の好ましい実施例では、アンカー部10は弾性金属管を彫刻して形成されたサポートロッドであり、軸方向両端は収束し、それぞれ第1固定素子14と第4固定素子12により密閉されるか、又はアンカー部10の接続部20に近接する端のみ第1固定素子14により密閉され、第1固定素子14には接続部20と嵌合するねじ構造が設けられる。
【0065】
別の好ましい実施例では、アンカー部10は、軸方向両端の径方向の寸法が略同じ円筒状である。
【0066】
さらに好ましくは、第2サポートネット33は複数の弾性金属線を含み、弾性金属線は互いに交互に編まれて中空の扁平状構造を形成し、第2サポートネット33の軸方向両端は収束し、それぞれ第2固定素子32と第3固定素子31により密閉して固定され、第2固定素子32及び第3固定素子31は被覆部30と同一軸線にあり、被覆部30の接続部20に近接する端の中部は接続部20へ突出し、第3固定素子31によりシールされる。
【0067】
換言すれば、第2サポートネット33は略シート状構造として設けられてもよく、径方向に一定の弧度を設定し、中央位置に近いほど曲率半径が小さくなり、このようにして、被覆部30をエッジから中央部へ第2固定素子32に接近させる傾向を示す。左心耳オクルーダーを左心耳に移植する際に、血流の衝撃下でずれて残存シャントが発生することなく被覆部30を左心耳口部41に密着させるように被覆部30とアンカー部10間に僅かな張力があることは好ましいため、弧度を設定することで、被覆部30の中央部はアンカー部10により近接し、両者間の張力によって被覆部30を左心耳口部41により容易に密着させ、残存シャントが発生し難くなる。
【実施例3】
【0068】
本実施例は左心耳オクルーダーであり、実施例2における接続部20の構造手段は並列関係であり、同じ部分についての重複説明を省略する。
【0069】
具体的には、図5又は図21に示すように、接続部20は、第1制限素子24、第2制
限素子25及び弾性素子26を含み、第1制限素子24と第2制限素子25は対向して設
けられるキャビティ27を有し、第1制限素子24は第2制限素子25の内部に隙間をあ
けて装着され、第1制限素子24の第2制限素子25を向く側にはへ延伸する第1フラ
ンジ24-aが設けられ、第2制限素子25の第1制限素子24を向く側にはへ延伸す
る第2フランジ25-aが設けられ、第1フランジ24-aと第2フランジ25-aの径
方向の部分領域が互いに重なることで軸方向制限構造を形成する。
【0070】
さらに、弾性素子26は、第1制限素子24と第2制限素子25との間に装着され、両端が第1制限素子24と第2制限素子25にそれぞれ接続され、第1制限素子24と第2制限素子25は軸方向に伸縮又は相対的に湾曲であり、第1制限素子24と第2制限素子25の反対側には接続構造28がそれぞれ設けられる。なお、第1制限素子24と第2制限素子25の径方向に十分な隙間が残っていることで、第1制限素子24と第2制限素子25を湾曲可能にし、弾性素子26はばね、又は弾性を有する金属片又は金属線であり、弾性素子26の両端は第1制限素子と第2制限素子の対向する側に係合又は溶接される。
【0071】
さらに好ましくは、図22に示すように、接続部20は、第1制限素子24、第2制限素子25及び弾性素子26を含み、本実施例と上記実施例との相違点として、本実施例では、第1制限素子24と第2制限素子25は管状部品を彫刻して形成され、図23に示すように、第1制限素子24と第2制限素子25自体は一定の湾曲能力を有し、それによって接続部20全体の適用性を高める。
【0072】
実際の応用では、左心耳口部41とアンカー部10を移植する箇所との同軸性が低く、さらにアンカー部10を深い位置に移植する必要がある場合、上記実施例における接続部20の構造は移植時にアンカー部10と被覆部30を非同軸状態にすることができ、両者間の柔軟性を高め、左心耳の特殊な構造が閉鎖効果に影響することはない。
【0073】
さらに好ましくは、係合素子23の中空制限素子22から離れる端に雄ねじ又は雌ねじが設けられることで、アンカー部接続構造23-aを形成し、第1固定素子14はアンカー部接続構造23-aと嵌合する。螺合部材21の中空制限素子22から離れる端に雄ねじ又は雌ねじが設けられることで、被覆部接続構造21-aを形成し、第3固定素子31は被覆部接続構造21-aと嵌合する。
【実施例4】
【0074】
本実施例は左心耳オクルーダーであり、実施例1~3との主な相違点として、本実施例は上記実施例をもとに抵抗素子50が追加されることであり、同じ部分についての重複説明を省略する。
【0075】
具体的には、図24図34に示すように、第1固定素子14と接続部20との接続箇所には接続箇所の接続強度を高めるための抵抗素子50が設けられる。
【0076】
1つの好ましい実施例では、図24に示すように、抵抗素子50は、複数の第1鋸歯51と複数の第2鋸歯52とを含み、第1鋸歯51は第1固定素子14の接続部20を向く端に装着され、第2鋸歯52は接続部20の第1固定素子14を向く端に装着され、接続状態では、第1鋸歯51と第2鋸歯52は互いにロックされる。
【0077】
具体的には、第1固定素子14とアンカー部接続構造23-aとの接続箇所には、両者間の接続堅牢性を高めるための抵抗素子50が設けられる。抵抗素子50は略三角錐状であり、第1固定素子14には第1鋸歯51である1つの抵抗素子が設けられ、アンカー部接続構造23-aには第2鋸歯52である複数の抵抗素子が設けられ得る。アンカー部接続構造23-aが第1固定素子14の最後まで接続すると、第1鋸歯51が特定の第2鋸歯52と接触し、このとき、印加トルクが増加し、アンカー部接続構造23-aがさらに供給され、それによって第1鋸歯51を任意の2つの第2鋸歯52間に位置させる。
【0078】
別の好ましい実施例では、図25に示すように、抵抗素子50は抵抗ワッシャー53を含み、抵抗ワッシャー53は環状構造であり、ポリエステル繊維膜、ポリテトラフルオロエチレン膜など生体適合性を有するフレキシブル材料からなり、抵抗ワッシャー53の軸方向両端に複数の突起54がそれぞれ設けられ、図26に示すように、接続状態では、抵抗ワッシャー53は第1固定素子14と接続部20との間に押圧される。
【0079】
具体的には、抵抗ワッシャー53の上下2つの断面には径方向に1周の突起54がそれぞれ設けられることで、抵抗素子50と隣接する素子との摩擦力を増加させ、使用時、抵抗素子50をアンカー部接続構造23-aに外装し、アンカー部接続構造23-aが第1固定素子14と完全に接続されると、抵抗素子50は両者間に押圧される。
【0080】
別の好ましい実施例では、図27及び図28に示すように、抵抗素子50は第1抵抗ワッシャー55及び第2抵抗ワッシャー56を含み、第1抵抗ワッシャー55は、軸方向の一端が第1固定素子14に接続され、他端が鋸歯状を呈し、第2抵抗ワッシャー56は、接続部20の外部にスライド可能に外装され、第2抵抗ワッシャー56のアンカー部10から離れる端にばね57が設けられ、他端が鋸歯状を呈し、接続状態では、第1抵抗ワッシャー55は軸線方向に第2抵抗ワッシャー56を圧迫し、ばね57は第2抵抗ワッシャー56の圧力作用下で軸方向に収縮し、第1抵抗ワッシャー55と第2抵抗ワッシャー56の鋸歯端は互いに噛合する。
【0081】
具体的には、第1固定素子14とアンカー部接続構造23-aには、第1抵抗ワッシャー55と第2抵抗ワッシャー56である抵抗素子50がそれぞれ設けられ、両者間に互いに噛合する鋸歯端がある。第2抵抗ワッシャー56はアンカー部接続構造23-aの外周に外装され、アンカー部接続構造23-aの根元部に対してわずかに変位可能であり、段差状を形成する。アンカー部接続構造23-aの抵抗素子下にはばね57である弾性素子が配置される。第1固定素子がアンカー部接続構造に接続される場合、第1抵抗ワッシャー55と第2抵抗ワッシャー56は互いに噛合し、このとき、弾性素子は圧縮状態にあり、支持力を有し、抵抗素子が噛合状態にあることを確保する。
【0082】
別の好ましい実施例では、図29に示すように、抵抗素子50は雌ねじ管58を含み、接続状態では、雌ねじ管58は第1固定素子14及び接続部20の外部に外装され、図30図34に示すように、第1固定素子14及び接続部20の表面には、雌ねじ管58と嵌合する雄ねじがそれぞれ設けられる。さらにアンカー部10と接続部20との接続信頼性を向上させ、移植位置では、プッシュ装置60が被覆部30のプッシュ装置ジョイント32-aから回転して離脱するなどの外力を受けても、アンカー部10と被覆部30との接続に影響を与えることがない。
【0083】
なお、上記接続状態とは、左心耳オクルーダーをプッシュ装置でプッシュしている状態であり、アンカー部の単独使用状態では、接続状態はアンカー部10がプッシュ装置60に直接ドッキングされることであり、アンカー部の併用状態では、接続状態はアンカー部10、接続部20及び被覆部30が順に接続される状態であり、該状態では、プッシュ装置60は被覆部30にドッキングされる。また、上記抵抗素子は接続部20と被覆部30との接続箇所にも適用され得る。
【実施例5】
【0084】
本実施例は、上記実施例のいずれか1種における左心耳オクルーダーに適用される左心耳オクルーダーの使用方法である。
【0085】
本方法は、まず、エコーで左心耳構造を評価し、次に適切な左心耳オクルーダーの形態及び仕様を選択する。
【0086】
具体的には、アンカー部10を移植する必要がある位置が左心耳から遠く、左心耳口部41付近に大きな空間がまだ残っておりシール不可能である場合、
図35に示すように、アンカー部10、接続部20及び被覆部30を順に接続し、被覆部30の接続部20から離れる端をプッシュ装置60の端部に装着し、被覆部30及びアンカー部10を線状に引張変形させ、プッシュ装置60によってプッシュして送達シース61を通過させて人体に入れるステップ1と、
図36及び図37に示すように、移植位置では、まず、アンカー部10を送達シース61から押し出し、アンカー部10の接続部20から離れるサポートネットを徐々に展開して小さな平面を形成し、事前位置決めを行い、サポートネットの残りの部分を順に展開することで、アンカー部10を左心耳組織に徐々に密着させ、アンカー素子13を同時に展開して左心耳組織を把持するステップ2と、
図38に示すように、接続部20と被覆部30を送達シース61から順に押し出し、被覆部30を展開して左心耳口部41を被覆するステップ3と、を含む。
【0087】
換言すれば、手術者は通常、まずエコーで左心耳構造を評価し、次に適切なオクルーダーを選択して手術を施す。アンカー部10を移植する必要がある位置が左心耳口部41から遠く、左心耳口部41付近に大きな空間がまだ残っておりシール不可能である場合、アンカー部10を被覆部30と組み合わせて使用する必要がある。接続部20の両端はそれぞれアンカー部10及び被覆部30と螺合する。被覆部30及びアンカー部10のサポートネットを線状に引張変形させ、次にオクルーダーをプッシュして線状の形態で細長い送達シース61を通過させて人体に入れる。移植位置では、まず、アンカー部10の接続部20から離れる端を送達シース61から押し出し、第4固定素子12を一番先に押し出す。第4固定素子12付近のサポートネットは径方向の寸法が小さな平面を徐々に形成する。アンカー部10は遠位端を平面とする状態で左心耳内でさらに展開することで、オクルーダーによる左心耳組織の潜在的な損傷を効果的に防止でき、様々な構造の左心耳に広く適用できる。アンカー部10をさらに押し出すに伴い、アンカー部10は上左心耳組織に徐々に密着し、アンカー素子13は展開して左心耳組織の損傷を引き起こすことなく左心耳組織を把持し、最後に、被覆部30を押し出し、左心耳口部41を被覆する。
【0088】
さらに好ましくは、アンカー部10の移植可能な位置が左心耳に近く、残存腔が残ることなくアンカー部10が左心耳口部41を基本的にシール可能である場合、
アンカー部10をプッシュ装置60に接続し、被覆部30を線状に引張変形させ、プッシュ装置60によってプッシュして送達シース61を通過させて人体に入れるステップ1と、
移植位置では、まず、アンカー部10を送達シース61から押し出し、アンカー部10の接続部20から離れるサポートネットを徐々に展開して小さな平面を形成し、事前位置決めを行い、サポートネットの残りの部分を順に展開することで、アンカー部10を左心耳組織に徐々に密着させ、アンカー素子13を同時に展開して左心耳組織を把持するステップ2と、
プッシュ装置60を操作してプッシュ装置60とアンカー部10とを分離し、アンカー部10を単独で用いて左心耳口部41を閉鎖するステップ3と、を含む。
【0089】
換言すれば、アンカー部10の移植可能な位置が左心耳口部41に近く、存腔が残ることなく左心耳口部41がアンカー部10により基本的にシール可能である場合、アンカー部10を単独で使用することができる。まず、プッシュ装置60をアンカー部10に接続し、左心耳に移植し、移植後、図11及び図13に示すように、左心耳口部41に残存腔がなく、左心耳と左心房の通路が遮断される。
【0090】
実際の応用では、選択されるオクルーダーの寸法が不適切である場合、オクルーダーを送達シース61に回収し、適切な寸法のもので交換し、移植を再度行うことができる。アンカー部10と被覆部30を組み合わせて使用する場合、アンカー部10又は被覆部30のうちの一方が適切であるが、他方が不適切である可能性があり、この場合、不適切な部分だけを交換して移植を再度行うことができる。従って、該左心耳オクルーダーの着脱可能なセグメント設計によって、手術者は十分な柔軟性を活用してよりよい閉鎖効果を実現するとともに、手術時間を短縮させることができる。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、当業者であれば、本発明の原理を逸脱せずに種々の改良や修飾を行うことができ、これらの改良や修飾も本発明の保護範囲に属すると見なすべきである。
【符号の説明】
【0092】
10.アンカー部、11.第1サポートネット、12.第4固定素子、13.アンカー素子、14.第1固定素子、20.接続部、21.螺合部材、21-a.被覆部接続構造、22.中空制限素子、23.係合素子、23-a.アンカー部接続構造、24.第1制限素子、24-a.第1フランジ、25.第2制限素子、25-a.第2フランジ、26.弾性素子、27.キャビティ、28.接続構造、30.被覆部、31.第3固定素子、32.第2固定素子、32-a.プッシュ装置ジョイント、33.第2サポートネット、40.左心耳、41.左心耳口部、42.左心耳腔、50.抵抗素子、51.第1鋸歯、52.第2鋸歯、53.抵抗ワッシャー、54.突起、55.第1抵抗ワッシャー、56.第2抵抗ワッシャー、57.ばね、58.雌ねじ管、60.プッシュ装置、61.送達シース
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