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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-13
(45)【発行日】2024-05-21
(54)【発明の名称】溶接で製造された部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/005 20060101AFI20240514BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240514BHJP
   B62D 33/023 20060101ALI20240514BHJP
   B23K 31/00 20060101ALI20240514BHJP
【FI】
B23K1/005 A
B23K1/00 330N
B62D33/023 W
B23K31/00 F
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020122010
(22)【出願日】2020-07-16
(65)【公開番号】P2021098226
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0171618
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金 枝 垠
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-082656(JP,A)
【文献】特開2014-162254(JP,A)
【文献】特開2016-203647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 1/00
B23K 26/00
B23K 31/00
B62D 33/00
B62D 25/00
B62D 27/00
B62D 65/00
B62D 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接合部が設定された第1パートと、
第2接合部及び該第2接合部と交差する交差接合部が設定され、第1接合部の一部と第2接合部とがオーバーラップするように第1パートに結合され、第2接合部と第1接合部とが先行溶接された第2パートと、
第3接合部が設定され、第3接合部の一部は第1接合部の他の部分とオーバーラップし、第3接合部の残り部分は交差接合部とオーバーラップし、それぞれのオーバーラップした部分が後行溶接されることにより、第1パート及び第2パートに結合された第3パートと、を含み、
先行溶接と後行溶接とが互いに交差する地点に隣接して第1パートまたは第2パートまたは第3パートに剛性補強部が成形されたことを特徴とする溶接で製造された部品。
【請求項2】
先行溶接と後行溶接はレーザー溶接であることを特徴とする請求項1に記載の溶接で製造された部品。
【請求項3】
第1接合部、第2接合部及び交差接合部、並びに第3接合部は、それぞれ第1パート、第2パート及び第3パートの縁に沿って形成された第1フランジ、第2フランジ及び第3フランジに設定されたことを特徴とする請求項1に記載の溶接で製造された部品。
【請求項4】
第1パート、第2パート及び第3パートは、同一または互いに異なる金属材質であることを特徴とする請求項1に記載の溶接で製造された部品。
【請求項5】
第2接合部と交差接合部が第2パートの縁に沿って区域を分けて設定されることにより、第2接合部と交差接合部とが互いに出会う地点で第2接合部と交差接合部とが交差することを特徴とする請求項1に記載の溶接で製造された部品。
【請求項6】
剛性補強部は、一定の深さに陥没した溝形状であることを特徴とする請求項1に記載の溶接で製造された部品。
【請求項7】
剛性補強部は、第2パートの、第2接合部と交差接合部とが互いに出会う地点における第2接合部と交差接合部との間の地点に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の溶接で製造された部品。
【請求項8】
剛性補強部は、第2接合部と交差接合部との間の地点で第2接合部側に偏った地点に形成されたことを特徴とする請求項7に記載の溶接で製造された部品。
【請求項9】
剛性補強部は、第2接合部と交差接合部との間の地点で第2接合部側に偏って位置し、第2接合部に連結されるように一定の深さに陥没した溝形状であることを特徴とする請求項7に記載の溶接で製造された部品。
【請求項10】
第2パートは、第2接合部と交差接合部とが互いに出会う地点を除いた残り地点で第2接合部と交差接合部が互いに離隔し、離隔した第2接合部と交差接合部との間には、一定の間隔で離隔して複数の剛性補強部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の溶接で製造された部品。
【請求項11】
剛性補強部の陥没した地点にはシーラーが充填されたことを特徴とする請求項6に記載の溶接で製造された部品。
【請求項12】
シーラーは、先行溶接と後行溶接とが互いに交差する地点に形成されたピンホールまで連結されてピンホールに充填されたことを特徴とする請求項11に記載の溶接で製造された部品。
【請求項13】
第1パートは、車両のテールゲートアウターパネルアセンブリのアッパーパネルであり、第3パートは、テールゲートアウターパネルアセンブリのロアパネルであり、第2パートは、テールゲートアウターパネルアセンブリのアッパーパネルとロアパネルとの間に配置されたエクステンションパネルであることを特徴とする請求項1に記載の溶接で製造された部品。
【請求項14】
第1パートと第3パートは、両側端部が互いに溶接し、対向する中央部が離隔し、中央部に第2パートが配置され、第1パート、第2パート及び第3パートがすべて交差する地点における先行溶接と後行溶接は、互いに鋭角を成して交差することを特徴とする請求項13に記載の溶接で製造された部品。
【請求項15】
請求項1に記載の溶接で製造された部品を製造する方法であって、
先行溶接と後行溶接とが互いに交差する地点に隣接して第1パートまたは第2パートまたは第3パートに剛性補強部を成形するステップと、
第1接合部の一部と第2接合部をオーバーラップさせて加圧した状態で先行溶接することにより、第1パートと第2パートとを結合するステップと、
第3接合部の一部を第1接合部の他の部分とオーバーラップさせ、第3接合部の残り部分は交差接合部とオーバーラップさせた状態で加圧し、後行溶接することにより、第1パート、第2パート及び第3パートを結合するステップと、を含むことを特徴とする溶接で部品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザーロウ付け溶接などによって複数のパネルを互いに交差するように溶接する場合に発生する溶接部位の不良を防止することができる溶接で製造された部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スチールまたはアルミニウムまたは互い異なる材質のパネルを溶接する場合、溶接品質の確保及び外観デザインの要求に応じてレーザーロウ付け溶接を行なう。しかし、レーザーロウ付け溶接は、厚さが薄いパネルを使用するため、素材自体の剛性確保が難しい。また、溶接のためのクランピングの際に外力によって変形する可能性がある。例として2つのパネルを互いに加圧した状態で行なうと、溶接後にスプリングバック現象が発生するおそれがある。特に3つ以上のパネルを交差させて溶接する場合には、2つ以上の溶接ラインが互いに交差するので、交差地点で溶接のオーバーラップにより熱応力が過大となってパネルの溶接地点に変形が発生し、激しい場合にはピンホールが発生するという問題がある。
【0003】
この問題点を解決するためには、溶接部がオーバーラップしないようにしなければならないが、その場合には所望の製品のデザイン実現が難しいという問題がある。そのため、製品のデザインを所望のとおりに確保し、溶接不良を防止することができる技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国特許第10-0812414号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、複数のパネルを互いに交差するように溶接する場合に、溶接部位の不良を防止できる、溶接で製造された部品及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による溶接で製造された部品は、第1接合部が設定された第1パートと、第2接合部及び該第2接合部と交差する交差接合部が設定され、第1接合部の一部と第2接合部とがオーバーラップするように第1パートに結合され、第2接合部と第1接合部とが先行溶接された第2パートと、第3接合部が設定され、第3接合部の一部は第1接合部の他の部分とオーバーラップし、第3接合部の残り部分は交差接合部とオーバーラップし、それぞれのオーバーラップした部分が後行溶接されることにより、第1パート及び第2パートに結合された第3パートと、を含み、先行溶接と後行溶接とが互いに交差する地点に隣接して第1パートまたは第2パートまたは第3パートに剛性補強部が成形されることを特徴とする。
【0007】
先行溶接と後行溶接はレーザー溶接で行なうことができる。
【0008】
第1接合部、第2接合部及び交差接合部、並びに第3接合部は、それぞれ第1パート、第2パート及び第3パートの縁に沿って形成された第1フランジ、第2フランジ及び第3フランジに設定できる。
【0009】
第1パート、第2パート及び第3パートは、同一または互いに異なる金属材質にできる。
【0010】
第2接合部と交差接合部が第2パートの縁に沿って区域を分けて設定されることにより、第2接合部と交差接合部とが互いに出会う地点で第2接合部と交差接合部とが交差できる。
【0011】
剛性補強部は、一定の深さに陥没した溝形状にできる。
【0012】
剛性補強部は、第2パートの、第2接合部と交差接合部とが互いに出会う地点における第2接合部と交差接合部との間の地点に形成できる。
【0013】
剛性補強部は、第2接合部と交差接合部との間の地点で第2接合部側に偏った地点に形成できる。
【0014】
剛性補強部は、第2接合部と交差接合部との間の地点で第2接合部側に偏って位置し、第2接合部に連結されるように一定の深さに陥没した溝形状にできる。
【0015】
第2パートは、第2接合部と交差接合部とが互いに出会う地点を除いた残り地点で第2接合部と交差接合部とが互いに離隔し、離隔した第2接合部と交差接合部との間には、一定の間隔で離隔して複数の剛性補強部が形成できる。
【0016】
剛性補強部の陥没した地点にはシーラーが充填できる。
【0017】
シーラーは、先行溶接と後行溶接とが互いに交差する地点に形成されたピンホールまで連結されてピンホールに充填できる。
【0018】
第1パートは、車両のテールゲートアウターパネルアセンブリのアッパーパネルであり、第3パートは、テールゲートアウターパネルアセンブリのロアパネルであり、第2パートは、テールゲートアウターパネルアセンブリのアッパーパネルとロアパネルとの間に配置されたエクステンションパネルであることができる。
【0019】
第1パートと第3パートは、両側端部が互いに溶接し、対向する中央部が離隔し、中央部に第2パートが配置され、第1パート、第2パート及び第3パートがすべて交差する地点における先行溶接と後行溶接は、互いに鋭角を成して交差することができる。
【0020】
本発明による溶接で部品を製造する方法は、先行溶接と後行溶接とが互いに交差する地点に隣接して第1パートまたは第2パートまたは第3パートに剛性補強部を成形するステップと、第1接合部の一部と第2接合部とをオーバーラップさせて加圧した状態で先行溶接することにより、第1パートと第2パートとを結合するステップと、第3接合部の一部を第1接合部の他の部分とオーバーラップさせ、第3接合部の残り部分は交差接合部とオーバーラップさせた状態で加圧し、後行溶接することにより、第1パート、第2パート及び第3パートを結合するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の溶接で製造された部品及びその製造方法によれば、レーザーロウ付け溶接によって複数のパネルを互いに交差するように溶接する場合の溶接部位に発生する不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例で、溶接で製造された部品の第1パートを示す図である。
図2】本発明の一実施例で、溶接で製造された部品の第2パートを示す図である。
図3】本発明の一実施例で、溶接で製造された部品の第3パートを示す図である。
図4】本発明の一実施例で、溶接で製造された部品の第1パートと第2パートとが結合された状態を示す図である。
図5図4に示された部品のA-A部分を切開して示す断面図である。
図6】本発明の一実施例で、溶接で製造された部品がすべて結合された状態を示す図である。
図7図6のB-B部分を切開して示す断面図である。
図8図6のC-C部分を切開して示す断面図である。
図9図6のD-D部分を切開して示す断面図である。
図10図2の第2パートのA部分を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図3は、本発明の一実施例で、溶接で製造された部品の第1パート、第2パート及び第3パートを示す図である。図4は、本発明の一実施例で、溶接で製造された部品の第1パートと第2パートとが結合された状態を示す図である。図5は、図4に示された部品のA-A部分を切開して示す断面図である。図6は本発明の一実施例で、溶接で製造された部品がすべて結合された状態を示す図である。図7図6のB-B部分を切開して示す断面図である。図8図6のC-C部分を切開して示す断面図である。図9図6のD-D部分を切開して示す断面図である。図10図2に示される第2パートのA部分を拡大して示す図である。
【0024】
本発明は、レーザーロウ付け溶接などの溶接を介して複数のパネルを互いに交差するように溶接することにより製造する場合に発生しうる溶接部位の不良を防止することができる、溶接で製造された部品及びその製造方法に関する。
【0025】
図1図3に示すように、本発明に係る溶接で製造された部品は、第1接合部120が設定された第1パート100と、第2接合部320及び該第2接合部320と交差する交差接合部340が設定され、第1接合部の一部122と第2接合部320とがオーバーラップするように第1パート100に結合され、第2接合部320と第1接合部120とが先行溶接(W1)された第2パート300と、第3接合部520が設定され、第3接合部の一部524は第1接合部の他の部分124とオーバーラップし、第3接合部の残り部分522は交差接合部340とオーバーラップし、それぞれのオーバーラップした部分が後行溶接(W2)されることにより、第1パート100及び第2パート300に結合された第3パート500と、を含み、先行溶接W1と後行溶接W2とが互いに交差する地点に隣接して第1パート100または第2パート300または第3パート500に剛性補強部360が成形される。
【0026】
具体的には、本発明は、3つのパートが集まって一つの部品アセンブリをなす場合であり、その例として、パネル同士が溶接によって接合される場合に該当する。本発明が適用できる実施形態は、車両のテールゲートの外面をなすアウターパネルアセンブリであって、第1パート100は車両のテールゲートアウターパネルアセンブリのアッパーパネルであり、第3パート500はテールゲートアウターパネルアセンブリのロアパネルであり、第2パート300はテールゲートアウターパネルアセンブリのアッパーパネルとロアパネルとの間に配置されたエクステンションパネルであり得る。しかし、本発明は、テールゲートにのみ適用されるのではなく、車両のドアパネルや各種の外装パネル、様々な産業用部品などにも活用可能である。
【0027】
本発明は、厚さの薄いパネルに適用されるものなので、素材自体の剛性確保が容易ではなく、よって、溶接のためのクランピングの際に外力によってパネルの変形が発生するおそれがある。また、本発明は、先行溶接W1と後行溶接W2は、レーザー溶接、具体的にはレーザーロウ付け溶接にできる。この場合、溶接ラインがWCで交差すると、熱応力が過大であって変形が発生し、過度なスプリングバック現象によりピンホールなどが発生するおそれがある。したがって、このような問題を解決するために、本発明では、パネルの形状変更によって剛性をさらに付与して変形を防ぎ、溶接不良を防止するための構造を提案する。
【0028】
具体的に、図1は第1パート100を示すものであり、第1パート100の下端には、図示の如く第1接合部120が設定される。図2は第2パート300を示すものであり、第2パート300には、上端に第2接合部320が設定され、下端には第2接合部320と交差する交差接合部340が設定される。図4の如く、第2パート300は、第1接合部の一部122と第2接合部320とがオーバーラップするように第1パート100と結合される。そして、第2接合部320と第1接合部120とが先行溶接(W1)される。
【0029】
図3は、第3パート500を示すものである。第3パート500は、第3接合部520が設定され、図6のように第3接合部の一部524は第1接合部の他の部分124とオーバーラップし、第3接合部の残り部分522は交差接合部340とオーバーラップし、それぞれのオーバーラップした部分が後行溶接(W2)されることにより、第1パート100及び第2パート300と結合される。このような過程を介して、第1パート100、第2パート300及び第3パート500は相互溶接によって結合される。
【0030】
このような場合、相互の溶接ラインが交差しない場合に問題とならないが、本発明のように先行溶接W1と後行溶接W2とが互いに交差する地点WCでは、クランピングによる素材の変形及び熱応力が過大であってスプリングバック現象によって材料の破断やピンホールなどが発生するおそれがあるので、先行溶接W1と後行溶接W2とが互いに交差する地点に隣接して第1パート100または第2パート300または第3パート500に剛性補強部360が成形される。
【0031】
剛性補強部360は、溶接の際に行われる加圧による材料の溶接後のスプリングバック現象を防止するために材料に剛性を付与し、また、溶接後の熱応力によるスプリングバックが作用して品質の不良が発生することを防止し、スプリングバックによって後行溶接W2の際に発生する段差発生などの問題を克服するためのものである。特に、ピンホールが発生する場合、これをシーラーなどで塞ぐために剛性補強部360を活用することができるので、追っての塗装の際に塗装面が滑らかに保たれるようにする。
【0032】
具体的に、第1接合部120、第2接合部320及び交差接合部340、並びに第3接合部520は、それぞれ第1パート100、第2パート300及び第3パート500の縁に沿って形成された第1フランジ、第2フランジ及び第3フランジに設定できる。第1フランジ、第2フランジ及び第3フランジは、パネルの縁部分が折り曲げられて、一定の面積を有する面形状に成形される。これらの第1フランジ、第2フランジ及び第3フランジが追って第1接合部120、第2接合部320、交差接合部340及び第3接合部520の役割を果たす。
【0033】
また、第1パート100、第2パート300及び第3パート500は、同一または互いに異なる金属材質であり得る。特にアルミニウムの場合、レーザー溶接などを介して接合が行われるが、アルミニウムは、伸びが良いものの、破断には脆弱であるため、本発明の適用時に大きな効果を得ることができる。一方、第2接合部320と交差接合部340が、図2に示すように、第2パート300の縁に沿って区域を分けて設定されることにより、第2接合部320と交差接合部340とが互いに出会う地点で第2接合部320と交差接合部340とが交差することができる。図示された実施例は、第2パート300の両端部で第2接合部320と交差接合部340とが互いに出会う地点をなす場合である。
【0034】
剛性補強部360は、図10に示すように、一定の深さに陥没した溝形状であり得る。剛性補強部360は、第2パート300の、第2接合部320と交差接合部340とが互いに出会う地点における第2接合部320と交差接合部340との間の地点に形成できる。特に図示の如く、剛性補強部360は、第2接合部320と交差接合部340との間の地点における第2接合部320側に偏った地点に形成できる。
【0035】
具体的に、剛性補強部360は、第2接合部320と交差接合部340との間の地点で第2接合部320側に偏って位置し、第2接合部320に連結されるように一定の深さに陥没した溝形状であり得る。このような剛性補強部360の陥没した地点にはシーラーが充填できる。通常、シーラーガンを用いて対象部にシーラーを塗布するが、狭い地点にはシーラーガンが十分到達しないという問題がある。微少量のシーラー塗布制御が現実的に難しいので、ある程度の量のシーラーが塗布されるしかない。このような問題により、ピンホールなどの所望の地点以外にシーラーが塗布される現象が発生し、これにより、追って塗装が不良になるという問題があった。
【0036】
本発明の場合、剛性補強部360の陥没した地点にはシーラーを先に塗布することにより、シーラーが多少過剰に塗布されても溝にシーラーを充填して塗装表面の不良を防止することができ、充填されたシーラーの一部を側方に広げることにより、ピンホールが発生してもピンホールを塞ぐことができる。先行溶接W1と後行溶接W2とが互いに交差する地点には、もしピンホールなどが発生するとしても、シーラーを用いて塞ぐことができる。
【0037】
一方、第2パート300は、第2接合部320と交差接合部340とが互いに出会う地点を除いた残り地点で第2接合部320と交差接合部340とが互いに離隔し、離隔した第2接合部320と交差接合部340との間には、一定の間隔で離隔して複数の剛性補強部360、360’が形成できる。具体的に、本発明の部品を製造する方法は、先行溶接W1と後行溶接W2とが互いに交差する地点に隣接して第1パート100または第2パート300または第3パート500に剛性補強部360を成形するステップと、第1接合部の一部122と第2接合部320とをオーバーラップさせて加圧した状態で先行溶接(W1)することにより、第1パート100と第2パート300とを結合するステップと、第3接合部の一部524を第1接合部の他の部分124とオーバーラップさせ、第3接合部の残り部分522は交差接合部340とオーバーラップさせた状態で加圧し、後行溶接(W2)することにより、第1パート100、第2パート300及び第3パート500を結合するステップとを含む。
【0038】
まず、図10に示すように、先行溶接W1と後行溶接W2とが互いに交差する地点に隣接して第1パート100または第2パート300または第3パート500に剛性補強部360を成形するステップを経る。そして、図4に示すように、第1接合部の一部122と第2接合部320をオーバーラップさせて加圧した状態で先行溶接(W1)することにより、第1パート100と第2パート300とを結合するステップを行う。このステップでは、第1接合部の一部122と第2接合部320をオーバーラップさせ、上下に治具などを介して加圧して2つの接合部を密着させた状態で、図5の断面のようにレーザーロウ付け溶接を行う。これにより、テールゲートアウターアッパーパネルとエクステンションパネルとの接合が行われる。テールゲートアウターアッパーパネルとエクステンションパネルは、図示の如く略90度の角度で接合されるので、低い成形性にも拘らず、優れた外観デザインを持つ。
【0039】
そして、図6に示すように、第3接合部の一部524を第1接合部の他の部分124とオーバーラップさせ、第3接合部の残り部分522は交差接合部340とオーバーラップさせた状態で加圧し、後行溶接(W2)することにより、第1パート100、第2パート300及び第3パート500を結合するステップを行うことにより、組立を完成する。図7図6に示された部品のB-B部分を切開して示す断面図であり、図8図6に示された部品のC-C部分を切開して示す断面図であり、図9図6に示された部品のD-D部分を切開して示す断面図である。
【0040】
これらの図から分かるように、第3接合部の一部524を第1接合部の他の部分124とオーバーラップさせて加圧した状態で、図7のように後行溶接(W2)する。第3接合部の残り部分522は、交差接合部340とオーバーラップさせた状態で加圧し、図9のように後行溶接(W2)する。このような後行溶接W2は、一つの工程であって一度に連続して起こるが、この場合、図8のように後行溶接W2と先行溶接W1とが互いに交差する地点が発生し、この地点でピンホールなどの品質問題が発生するおそれがある。
【0041】
これを解決するために、本発明は、図10のように第2パート300に剛性補強部360を予め成形しておく。剛性補強強部360の場合、第2接合部320と交差接合部340の間の地点で第2接合部320側に偏って位置し、具体的には、第2接合部320に連結されるように一定の深さに陥没した溝形状であり得る。このような剛性補強部360の陥没した地点にはシーラーが充填でき、シーラーは先行溶接(W1)と後行溶接(W2)が互いに交差する地点WCにピンホールが形成されても、当該地点まで手作業などで充填されるようにする場合、ピンホールにも充填することができる。もし剛性補強部360なしにピンホールにシーラーを充填しようとする場合には、シーラーの残余部分が追っての塗装時にふっくらと突き出るなど、塗装品質に問題が発生するおそれがある。
【0042】
具体的には、図6は、溶接で製造された部品がすべて結合された状態を示す図であり、図10図2に示された第2パート300のA部分を拡大して示す図である。これらの図から分かるように、第1パート100と第3パート500は、両側端部が互いに溶接し、対向する中央部が離隔し、中央部に第2パート300が配置され、第1パート100、第2パート300及び第3パート500が全て交差する地点における先行溶接W1と後行溶接W2は互いに鋭角をなして交差することができる。このように鋭角をなす地点の場合、溶接される部分がお互い近く設定されており、交差する地点WCを基準に非常に大きな応力が作用する。したがって、剛性補強部360の成形によって予め剛性を確保することにより、溶接及び塗装品質の確保が可能となる。
【0043】
後行溶接W2は、先行溶接W1の終端から一定距離離隔した地点を横切って交差することができる。もし、後行溶接W2が先行溶接W1の終端で交差する場合には、先行溶接W1による溶接ビード凝集部などにより、第3パート500の結合時に浮き現象などが発生するおそれがある。よって、かかる問題を解決するために、後行溶接W2は、先行溶接W1の終端W1’から一定距離離隔した地点を横切って交差するようにする。
【0044】
本発明の溶接で製造された部品及びその製造方法によれば、レーザーロウ付け溶接などの溶接を介して複数のパネルを互いに交差するように溶接することにより製造する場合に発生しうる溶接部位の不良を防止することができる。
本発明を実施例で説明したが、これに限定されるものではなく、技術的思想を逸脱しない範囲で、多様な改良及び変化を加えることができる。
【符号の説明】
【0045】
100 第1パート
120 第1接合部
122 第1接合部の一部
124 第1接合部の他の部分
300 第2パート
320 第2接合部
340 交差接合部
360、360’ 剛性補強部
500 第3パート
520 第3接合部
522 第3接合部の残り部分
524 第3接合部の一部
W1 先行溶接
W2 後行溶接
WC 交差する地点
W1’ W1の終端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10