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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-15
(45)【発行日】2024-05-23
(54)【発明の名称】触媒昇温システムの制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/06 20060101AFI20240516BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20240516BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240516BHJP
   F02D 41/40 20060101ALI20240516BHJP
【FI】
F02D41/06
F01N3/20 D
F01N3/24 U
F02D41/40
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021098564
(22)【出願日】2021-06-14
(65)【公開番号】P2022190300
(43)【公開日】2022-12-26
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野々村 仁志
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-296486(JP,A)
【文献】特開2005-133596(JP,A)
【文献】特開2011-179455(JP,A)
【文献】特開2016-133089(JP,A)
【文献】特開2017-194022(JP,A)
【文献】特開2018-178866(JP,A)
【文献】特開2018-193873(JP,A)
【文献】国際公開第2009/001623(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0186064(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
F02D 41/00-45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮自己着火式の内燃機関の排気経路に設けられた触媒を昇温する触媒昇温システムの制御装置であって、
前記触媒昇温システムは、
前記内燃機関の気筒それぞれに燃料を噴射する複数のインジェクタと、
前記気筒からの排気が流入し、前記排気に含まれている少なくとも炭化水素を浄化可能な第1触媒と、
前記第1触媒から流出される排気が流入し、前記排気に含まれている少なくとも窒素酸化物を浄化可能な第2触媒と、
前記インジェクタから噴射する燃料のうち、前記気筒内で燃焼させる燃料の量を前記内燃機関に対して要求されるトルクに応じて変える制御装置と、
を有しており、
前記制御装置は、
前記内燃機関の吸気量に対して理論空燃比となる各気筒への燃料の量であるストイキ噴射量を算出する燃料量算出部と、
前記第1触媒が炭化水素を浄化できる許容量を当該第1触媒の温度に基づいて算出する許容量算出部と、
前記第2触媒の昇温が必要であると判定した場合に、
各気筒における吸気行程から当該吸気行程の後に最初に到来する排気行程が完了するまでに噴射される燃料の総量である総噴射量が、前記燃料量算出部にて算出したストイキ噴射量となるように前記インジェクタからの燃料噴射を制御するとともに、前記排気行程の前の燃焼行程にて燃焼されず前記排気行程にて前記排気経路に排出される排気に残る炭化水素が前記許容量算出部にて算出した許容量を超えない噴射パターンで前記インジェクタからの燃料噴射を制御する、触媒昇温促進部と、
を有している、
触媒昇温システムの制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の触媒昇温システムの制御装置であって、
各気筒における吸気行程から当該吸気行程の後に最初に到来する排気行程が完了するまでの燃料噴射は、前記第2触媒の昇温が必要であると前記制御装置が判定した場合には、前記内燃機関に対して要求されるトルクに応じた単数の噴射であって主となる噴射であるメイン噴射と、前記メイン噴射の前の単数または複数の噴射であるパイロット噴射と、前記メイン噴射の後の単数または複数の噴射であるアフタ噴射と、前記アフタ噴射の後の単数の噴射であるポスト噴射、を有しており、
前記制御装置は、
前記触媒昇温促進部にて、前記総噴射量を、前記メイン噴射と、前記パイロット噴射と、前記アフタ噴射と、前記ポスト噴射の各噴射の噴射量に分配し、前記排気行程にて前記排気経路に排出される排気に残る炭化水素が前記許容量を超えないように前記ポスト噴射の噴射時期を調整する、
触媒昇温システムの制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の触媒昇温システムの制御装置であって、
前記第1触媒は、リーン燃焼時にはNOxを吸着しリッチ燃焼時には吸着しているNOxを浄化して排出するNOx吸蔵還元触媒であるNSR、または三元触媒、または酸化触媒のいずれかであり、
前記第2触媒は、NOxを浄化する選択式還元触媒であるSCR、または微粒子捕集フィルタと一体化されたSCRである、
触媒昇温システムの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮自己着火式の内燃機関の排気経路に設けられた触媒を活性化させるために昇温する触媒昇温システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンでは、排気ガス中の有害成分(HC、CO、NOx)を浄化するため、排気経路に触媒が設けられる。触媒の浄化能力を十分に発揮させるため、エンジン始動後においては、触媒の温度をより短時間で活性化温度にまで上昇させることが重要である。
【0003】
このような触媒の昇温をより短時間に行う有効な手法として、エンジン気筒内での燃料の燃焼により発生した熱を触媒に届けるのではなく、エンジン気筒外での触媒自身または触媒の近傍で化学反応(酸化反応)により発生した熱を触媒に届けるものが知られている。つまり、前者では、熱が触媒に届くまでに、排気管壁面からの放熱が起こってしまうのに対し、後者では、燃料成分に化学エネルギーを残したままエンジン気筒を通過させて、触媒自身または触媒の近傍で化学反応を起こし、化学エネルギーを熱エネルギーに変換するため、前者と比較して排気管壁面からの放熱が抑制される結果、より沢山の熱を触媒に届けられる。
【0004】
例えば、特許文献1では、各気筒をリーン気筒とリッチ気筒に分け、リッチ気筒からはHC、COを過剰にして、リーン気筒からはO2を過剰にして、全体としては理論空燃比を維持する(リーン気筒の空気過剰率とリッチ気筒の空気過剰率の平均が1となるように燃料噴射量を制御する)。そして、各気筒からの排気が集合する集合部において酸化反応させるにあたって、リーン気筒での燃焼不安定化を抑制しつつ反応熱量を増大させるべく、リーン気筒の数をリッチ気筒の数より多く設定して、リーン気筒での空気過剰率を増大させることなく還元成分量(HC、CO)を増大させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-57492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、リッチ気筒とリーン気筒の全体でストイキ(理論空燃比)の近傍に燃料噴射量を制御する必要がある。つまり、集合部における空燃比がストイキとなるように、例えば、リッチ気筒である#1気筒での空気過剰率は0.85、リーン気筒である#3、#4、#2気筒でのそれぞれの気筒の空気過剰率は1.05とし、全体としては空気過剰率が1となるように燃料噴射量を制御している。これを正確に実現するためには、各気筒の排気ポートのそれぞれにA/Fセンサを設けざるを得ず、エンジンの構造が複雑になるうえコスト高となってしまう。
【0007】
また、特許文献1の内燃機関としてはガソリンエンジンを想定しており、単一の触媒を対象としている。しかし、ディーゼルエンジンでは、複数の触媒を直列で用いるのが一般的である。前段の触媒は、排気ガスから最初に熱を受け取ることができるので、何ら処置を施さなくとも比較的短時間で昇温が完了する。
【0008】
一方、後段の触媒は、熱を奪われた排気ガスが流入するので、昇温に時間が掛かる。ディーゼルエンジンにおいては、前段、後段を含め全ての触媒が適温になって初めて触媒としての浄化能力が十分に発揮できるので、前段の触媒の昇温完了後に後段の触媒の昇温を待っていたのでは効率が悪い。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、直列に繋がる第1触媒と第2触媒の昇温を、より簡易な構造で、かつ、より安価に、かつ、より効率良く短時間に実現できる触媒昇温システムの制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、本発明の第1の発明は、圧縮自己着火式の内燃機関の排気経路に設けられた触媒を昇温する触媒昇温システムの制御装置であって、前記触媒昇温システムは、前記内燃機関の気筒それぞれに燃料を噴射する複数のインジェクタと、前記気筒からの排気が流入し、前記排気に含まれている少なくとも炭化水素を浄化可能な第1触媒と、前記第1触媒から流出される排気が流入し、前記排気に含まれている少なくとも窒素酸化物を浄化可能な第2触媒と、前記インジェクタから噴射する燃料のうち、前記気筒内で燃焼させる燃料の量を前記内燃機関に対して要求されるトルクに応じて変える制御装置と、を有しており、前記制御装置は、前記内燃機関の吸気量に対して理論空燃比となる各気筒への燃料の量であるストイキ噴射量を算出する燃料量算出部と、前記第1触媒が炭化水素を浄化できる許容量を当該第1触媒の温度に基づいて算出する許容量算出部と、前記第2触媒の昇温が必要であると判定した場合に、各気筒における吸気行程から当該吸気行程の後に最初に到来する排気行程が完了するまでに噴射される燃料の総量である総噴射量が、前記燃料量算出部にて算出したストイキ噴射量となるように前記インジェクタからの燃料噴射を制御するとともに、前記排気行程の前の燃焼行程にて燃焼されず前記排気行程にて前記排気経路に排出される排気に残る炭化水素が前記許容量算出部にて算出した許容量を超えない噴射パターンで前記インジェクタからの燃料噴射を制御する、触媒昇温促進部と、を有している、触媒昇温システムの制御装置である。
【0011】
次に、本発明の第2の発明は、上記第1の発明に係る触媒昇温システムの制御装置であって、各気筒における吸気行程から当該吸気行程の後に最初に到来する排気行程が完了するまでの燃料噴射は、前記第2触媒の昇温が必要であると前記制御装置が判定した場合には、前記内燃機関に対して要求されるトルクに応じた単数の噴射であって主となる噴射であるメイン噴射と、前記メイン噴射の前の単数または複数の噴射であるパイロット噴射と、前記メイン噴射の後の単数または複数の噴射であるアフタ噴射と、前記アフタ噴射の後の単数の噴射であるポスト噴射、を有しており、前記制御装置は、前記触媒昇温促進部にて、前記総噴射量を、前記メイン噴射と、前記パイロット噴射と、前記アフタ噴射と、前記ポスト噴射の各噴射の噴射量に分配し、前記排気行程にて前記排気経路に排出される排気に残る炭化水素が前記許容量を超えないように前記ポスト噴射の噴射時期を調整する、触媒昇温システムの制御装置である。
【0012】
次に、本発明の第3の発明は、上記第1の発明または上記第2の発明に係る触媒昇温システムの制御装置であって、前記第1触媒は、リーン燃焼時にはNOxを吸着しリッチ燃焼時には吸着しているNOxを浄化して排出するNOx吸蔵還元触媒であるNSR、または三元触媒、または酸化触媒のいずれかであり、前記第2触媒は、NOxを浄化する選択式還元触媒であるSCR、または微粒子捕集フィルタと一体化されたSCRである、触媒昇温システムの制御装置である。
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、気筒を区別することなく、全ての気筒において常に理論空燃比となるように噴射量を制御すればよく、それを実現するために必要なA/Fセンサの数は排気の合流部に1つあればよいので、より簡易な構造で、より安価に実現できる。また、排気経路に排出された炭化水素と当該炭化水素と結合しなかった残存酸素を敢えて第1触媒に供給し、第1触媒にて酸化反応させて昇温させることで、その反応熱で排気ガス温度を上げるので、第1触媒を効率よく短時間に昇温させるとともに、第1触媒の後段に位置する第2触媒もより効率よく昇温させることができる。
【0014】
第2の発明によれば、排気経路に排出される炭化水素の量とポスト噴射の噴射時期には相関関係があり、その相関関係も比較的複雑なものではない。したがって、例えば両者を関係付けたマップを用意すれば、マップから第1触媒に供給すべき炭化水素の量に対応するポスト噴射の噴射時期を取得できるので、ポスト噴射の噴射時期の調整という簡易な制御で適切な量の炭化水素(及び酸素)を第1触媒に供給することができる。
【0015】
第3の発明によれば、NSRを第1触媒、SCRを第2触媒、として有している触媒昇温システムへ適用させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】触媒昇温システムを含む内燃機関システム全体の概略構成の例を説明する図である。
図2】[全体処理]の処理手順の例を説明するフローチャートである。
図3】[噴射量、噴射時期決定処理]の処理手順の例を説明するフローチャートである。
図4】[インターバル調整処理]の処理手順の例を説明するフローチャートである。
図5】[噴射処理]の処理手順の例を説明するフローチャートである。
図6】NSR温度・上限HC量特性とNSR温度・昇温代特性それぞれの例を説明する図である。
図7】ポスト噴射インターバル・排ガス中HC量特性の例を説明する図である。
図8】暖機用の噴射パターンにおけるポスト噴射の特徴を説明するための図である。
図9】排気マニホルド以降の各所における排気ガス温度を示す図である。
図10】触媒昇温システムによって暖機完了時間が短縮されたことを示す図である。
図11】ポスト噴射インターバル・ポストトルク感度特性の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
●[内燃機関システム1の概略構成の例(図1)]
以下に本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。まず図1を用いて、本発明に係る触媒昇温システムの制御装置を有する内燃機関システム1の概略構成の例について説明する。本実施の形態の説明では、圧縮自己着火式燃機関の例として、車両に搭載された内燃機関10(例えばディーゼルエンジン)を用いて説明する。以降、内燃機関10は、圧縮自己着火式の内燃機関を指す。なお、以降の説明において、「暖機」は「昇温」を含む。
【0018】
以下、システム全体について、吸気側から排気側に向かって順に説明する。吸気管11Aの流入側には、エアクリーナ(図示省略)、吸気流量検出装置21(例えば、吸気流量センサ)が設けられている。吸気流量検出装置21は、内燃機関10が吸入した空気の流量に応じた検出信号を制御装置50に出力する。また吸気流量検出装置21には、吸気温度検出装置28A(例えば、吸気温度センサ)、大気圧検出装置23(例えば、大気圧センサ)が設けられている。吸気温度検出装置28Aは、吸気流量検出装置21を通過する吸気の温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。大気圧検出装置23は、周囲の大気圧に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0019】
吸気管11Aの流出側はコンプレッサ35の流入側に接続され、コンプレッサ35の流出側は吸気管11Bの流入側に接続されている。ターボ過給機30のコンプレッサ35は、排気ガスのエネルギーによって回転駆動されるタービン36にて回転駆動され、吸気管11Aから流入された吸気を吸気管11Bに圧送することで過給する。
【0020】
コンプレッサ35の上流側となる吸気管11Aには、コンプレッサ上流圧力検出装置24A(例えば圧力センサ)が設けられている。コンプレッサ上流圧力検出装置24Aは、吸気管11A内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。コンプレッサ35の下流側となる吸気管11B(吸気管11Bにおけるコンプレッサ35とインタークーラ16との間の位置)には、コンプレッサ下流圧力検出装置24B(例えば圧力センサ)が設けられている。コンプレッサ下流圧力検出装置24Bは、吸気管11B内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0021】
吸気管11Bには、上流側にインタークーラ16が配置され、インタークーラ16よりも下流側にスロットル装置47が配置されている。インタークーラ16は、コンプレッサ下流圧力検出装置24Bよりも下流側に配置されている。インタークーラ16とスロットル装置47との間には、吸気温度検出装置28B(例えば、吸気温度センサ)が設けられている。吸気温度検出装置28Bは、インタークーラ16にて温度が低下された吸気の温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0022】
スロットル装置47は、制御装置50からの制御信号に基づいて吸気管11Bの開度を調整するスロットルバルブ47Vを駆動し、吸気流量を調整可能である。制御装置50は、スロットル開度検出装置47S(例えば、スロットル開度センサ)からの検出信号と目標スロットル開度に基づいて、スロットル装置47に制御信号を出力してスロットルバルブ47Vの開度を調整可能である。なお、目標スロットル開度とは、制御装置50が、例えば、アクセルペダル踏込量検出装置25からの検出信号に基づいて検出したアクセルペダルの踏込量と内燃機関10の運転状態等に基づいて求めたものである。
【0023】
アクセルペダル踏込量検出装置25は、例えばアクセルペダル踏込角度センサであり、アクセルペダルに設けられている。制御装置50は、アクセルペダル踏込量検出装置25からの検出信号に基づいて、運転者によるアクセルペダルの踏込量を検出することが可能である。
【0024】
吸気管11Bにおけるスロットル装置47よりも下流側には、吸気マニホルド圧力検出装置24C(例えば圧力センサ)が設けられており、EGR配管13の流出側が接続されている。そして吸気管11Bの流出側は吸気マニホルド11Cの流入側に接続されており、吸気マニホルド11Cの流出側は内燃機関10の流入側に接続されている。吸気マニホルド圧力検出装置24Cは、吸気マニホルド11Cに流入する直前の吸気の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。またEGR配管13の流出側(吸気管11Bとの接続部)からは、EGR配管13の流入側(排気管12Bとの接続部)から流入してきたEGRガスが、吸気管11B内に吐出される。
【0025】
内燃機関10は複数の気筒45A~45Dを有しており、インジェクタ43A~43Dが、それぞれの気筒に設けられている。インジェクタ43A~43Dには、コモンレール41と燃料配管42A~42Dを介して燃料が供給されており、インジェクタ43A~43Dは、制御装置50からの制御信号によって駆動され、それぞれの気筒45A~45D内に燃料を噴射する。
【0026】
内燃機関10には、クランク角度検出装置22A、カム角度検出装置22B、クーラント温度検出装置28C等が設けられている。クランク角度検出装置22Aは、例えば回転センサであり、内燃機関10のクランクシャフトの回転角度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。カム角度検出装置22Bは、例えば回転センサであり、内燃機関10のカムシャフトの回転角度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。制御装置50は、クランク角度検出装置22Aとカム角度検出装置22Bからの検出信号に基づいて、各シリンダの行程及び回転角度等を検出することができる。またクーラント温度検出装置28Cは、例えば温度センサであり、内燃機関10内に循環されている冷却用クーラントの温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0027】
内燃機関10の排気側には排気マニホルド12Aの流入側が接続され、排気マニホルド12Aの流出側には排気管12Bの流入側が接続されている。排気管12Bの流出側はタービン36の流入側に接続され、タービン36の流出側は排気管12Cの流入側に接続されている。
【0028】
排気管12Bには、EGR配管13の流入側が接続されている。EGR配管13は、排気管12Bと吸気管11Bとを連通し、排気管12B(排気経路に相当)の排気ガスの一部を吸気管11B(吸気経路に相当)に還流させることが可能である。またEGR配管13には、EGRクーラ15、EGR弁14が設けられている。EGR弁14は、制御装置50からの制御信号に基づいて、EGR配管13の開度を調整することで、EGR配管13内を流れるEGRガスの流量を調整する。
【0029】
排気管12Bには、排気温度検出装置29が設けられている。排気温度検出装置29は、例えば排気温度センサであり、排気温度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0030】
排気管12Bの流出側はタービン36の流入側に接続され、タービン36の流出側は排気管12Cの流入側に接続されている。タービン36には、タービン36へ導く排気ガスの流速を制御可能な(タービンへと排気ガスを導く流路の開度を調整可能な)可変ノズル33が設けられており、可変ノズル33は、ノズル駆動装置31によって開度が調整される。制御装置50は、ノズル開度検出装置32(例えば、ノズル開度センサ)からの検出信号と目標ノズル開度に基づいて、ノズル駆動装置31に制御信号を出力して可変ノズル33の開度を調整可能である。
【0031】
タービン36の上流側となる排気管12Bには、タービン上流圧力検出装置26A(例えば圧力センサ)が設けられている。タービン上流圧力検出装置26Aは、排気管12B内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。タービン36の下流側となる排気管12Cには、タービン下流圧力検出装置26B(例えば圧力センサ)が設けられている。タービン下流圧力検出装置26Bは、排気管12C内の圧力に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0032】
排気管12Cには、上流側にNOx吸蔵還元触媒(NSR:NOx Storage-Reduction)61が配置され、NSR61よりも下流側に選択式還元触媒(SCR:Selective Catalytic Reduction)62が配置されている。また、排気管12Cには、NSR61の上流側と下流側にそれぞれ、排気温度検出装置(触媒温度検出装置)63A、63B(例えば、排気温度センサ)が設けられている。さらに、排気管12Cには、排気温度検出装置63Bの下流側に(NSR61の下流側かつSCR62の上流側に)、A/Fセンサ64が設けられている。A/Fセンサ64は、排気ガス中の空燃比に応じた検出信号を出力する。
【0033】
尿素水添加弁65は、排気管12CにおけるNSR61の下流側、且つ、SCR62の上流側に配置されて、所定時間(例えば、200ミリ秒~400ミリ秒である。)毎に、排気ガス中に尿素水を添加する。また、排気管12Cには、SCR62の上流側と下流側にそれぞれ、排気温度検出装置66A、66B(例えば、排気温度センサ)が設けられている。
【0034】
車速検出装置27は、例えば車両速度検出センサであり、車両の車輪等に設けられている。車速検出装置27は、車両の車輪の回転速度に応じた検出信号を制御装置50に出力する。
【0035】
制御装置50は、CPU51、RAM52、記憶装置53、タイマ54等を有している。制御装置50(CPU51)には、上述した種々の検出装置からの検出信号が入力され制御装置50(CPU51)は、上述した種々のアクチュエータへの制御信号を出力する。なお、制御装置50の入出力は、上記の検出装置やアクチュエータに限定されるものではない。また、各部の温度や圧力等はセンサを搭載せずに推定計算により算出しても良い。制御装置50は、上記の検出装置を含めた各種の検出装置からの検出信号に基づいて内燃機関10の運転状態を検出し、上記のアクチュエータを含む各種のアクチュエータを制御する。記憶装置53は、例えばFlash-ROM等の記憶装置であり、内燃機関の制御や自己診断等を実行するためのプログラムやデータ等が記憶されている。また制御装置50(CPU51)は、燃料量算出部51A、許容量算出部51B、触媒昇温促進部51C等を有しているが、これらの詳細については後述する。
【0036】
なお、制御装置50は、主となる燃料噴射であるメイン噴射と、メイン噴射の前段噴射となる単数または複数の燃料噴射であるパイロット噴射と、メイン噴射の後の単数または複数の噴射であるアフタ噴射と、アフタ噴射の後の単数の噴射であるポスト噴射との組み合わせからなる多段噴射について、複数の噴射パターンを有しており、触媒の温度や内燃機関10の運転状態に応じて使い分けている。また、制御装置50は、複数の噴射パターンそれぞれにおける各噴射の噴射量と噴射時期については、内燃機関10の運転状態に基づいて決定している。
【0037】
●[第1の実施の形態における制御装置50の処理手順(図2図8)]
内燃機関システム1における触媒昇温システムは、インジェクタ43A~43Dと、NSR61と、SCR62と、制御装置50とを有しており、NSR61よりも下流に配置されたSCR62をより短時間に昇温するため、以下の処理を実施する。
【0038】
制御装置50(CPU51)は、例えば所定時間間隔(数[ms]~数10[ms]間隔)にて、図2に示す[全体処理]を起動し、ステップS110に処理を進める。
【0039】
ステップS110にて制御装置50は、SCR62の温度を取得し、ステップS120へ処理を進める。なお、制御装置50は、排気温度検出装置66A、66Bからの検出信号により、SCR62から排出される排気ガスの温度と、SCR62に流入する排気ガスの温度を検出し、その温度差からSCR62の温度を推定している。
【0040】
ステップS120にて制御装置50は、取得したSCR62の温度に基づいて、SCR62の暖機が必要であるか否かを判定する。制御装置50は、暖機が必要である場合(Yes)はステップS130へ処理を進め、暖機が不要である場合(No)はステップS160へ処理を進める。
【0041】
ステップS130へ処理を進めた場合、制御装置50は、切替フラグをONにして、ステップS140へ処理を進める。なお、切替フラグは、噴射パターンの切り替え(暖機用の噴射パターンを使用するか、通常の噴射パターンを使用するか)に用いられる。
【0042】
ステップS140にて制御装置50は、NSR61の温度を取得し、ステップS150へ処理を進める。なお、制御装置50は、排気温度検出装置63A、63Bからの検出信号により、NSR62から排出される排気ガスの温度と、NSR62に流入する排気ガスの温度を検出し、その温度差からNSR62の温度を推定している。
【0043】
ステップS150にて制御装置50は、取得したNSR62の温度に基づいて、上限HC量と昇温代を取得し、図2に示す処理を終了する。なお、上限HC量とは、NSR61が浄化可能な炭化水素の量であり、昇温代とは、NSR61より排出された排気ガスの温度と、NSR61に流入する排気ガスの温度の差である。制御装置50の記憶装置53には、図6に示すNSR温度・上限HC量特性及びNSR温度・昇温代特性が記憶されており、制御装置50は、両特性とNSR62の温度に基づいて上限HC量と昇温代を算出する。
【0044】
ステップS160へ処理を進めた場合、制御装置50は、切替フラグをOFFにして、図2に示す処理を終了する。
【0045】
なおステップS150の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、第1触媒が炭化水素を浄化できる許容量を当該第1触媒の温度に基づいて算出する、許容量算出部51B(図1参照)に相当している。
【0046】
●[噴射量、噴射時期の決定(図3)]
制御装置50(CPU51)は、例えば所定クランク角度タイミングにて、図3に示す[噴射量、噴射時期決定処理]を起動し、ステップS210に処理を進める。
【0047】
ステップS210にて制御装置50は、各気筒45A~45Dの吸気量、内燃機関10の回転数、車速、アクセルペダル開度を取得し、ステップS220へ処理を進める。なお、各気筒45A~45Dの吸気量とは、4つの気筒45A~45Dのうち、現在着目している気筒(例えば気筒45A)における吸気行程にて当該気筒に吸い込まれる空気の量である。制御装置50は、上述した各種の検出装置を用いて、各気筒45A~45Dの吸気量を始め、各値を検出している。
【0048】
ステップS220にて制御装置50は、取得した各気筒45A~45Dの吸気量、内燃機関10の回転数、車速、アクセルペダル開度に基づいて、基本ストイキ噴射量及び要求トルクを算出し、ステップS230へ処理を進める。なお、基本ストイキ噴射量とは、ある単一の気筒に吸い込まれた空気中の酸素に対し完全燃焼する燃料(軽油)の量である。
【0049】
ステップS230にて制御装置50は、A/Fセンサ64からの検出信号によりA/F(空燃比)を取得し、ステップS240へ処理を進める。
【0050】
ステップS240にて制御装置50は、取得したA/Fに応じて基本ストイキ噴射量を補正した補正済総噴射量を算出し、ステップS250へ処理を進める。つまり、制御装置50は、A/Fセンサ64により検出した実際のA/Fに基づいてフィードバック制御を実施し、基本ストイキ噴射量の誤差を調整している。
【0051】
ステップS250にて制御装置50は、切替フラグがONであるか否かを判定する。制御装置50は、切替フラグがONである場合(Yes)はステップS260へ処理を進め、切替フラグがOFFである場合(No)はステップS280へ処理を進める。
【0052】
ステップS260へ処理を進めた場合、制御装置50は、補正済総噴射量と要求トルクに応じて暖機用の多段噴射パターンでの各噴射における噴射量と噴射時期を決定し、ステップS270へ処理を進める。なお、暖機用の多段噴射パターンとは、パイロット噴射、メイン噴射、アフタ噴射、ポスト噴射の順に全てを噴射するものである(図8参照)。そして、ポスト噴射にて噴射された燃料のうち、燃焼しなかった未燃燃料(炭化水素)が、同じく当該未燃燃料と結合しなかった残存酸素とともにNSR61に供給される結果、NSR61にて酸化反応が起こり、その反応熱でSCR62の温度が上昇することとなる。
【0053】
ステップS270にて制御装置50は、[インターバル調整処理]を実行し、図3に示す処理を終了する。なお、[インターバル調整処理](図4)の詳細については後述する。
【0054】
ステップS280へ処理を進めた場合、制御装置50は、補正済総噴射量と要求トルクに応じて通常の多段噴射パターンでの各噴射における噴射量と噴射時期を決定し、図3に示す処理を終了する。なお、通常の多段噴射パターンとは、既存の噴射パターンであり、例えばパイロット噴射、メイン噴射の順に噴射した後、必要に応じてアフタ噴射、ポスト噴射を噴射するものである。通常の多段噴射パターンでは、暖機用の多段噴射パターンと異なり、各噴射で噴射された燃料は、気筒45A~45Dにて全て燃焼する。
【0055】
なおステップS220、S230、S240の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、内燃機関の吸気量に対して理論空燃比となる各気筒への燃料の量であるストイキ噴射量を算出する、燃料量算出部51A(図1参照)に相当している。
【0056】
またステップS250、S260、S270の処理を実行している制御装置50(CPU51)は、第2触媒の暖機が必要である判定した場合に、各気筒における吸気行程から当該吸気行程の後に最初に到来する排気行程が完了するまでに噴射される燃料の総量である総噴射量が、燃料量算出部にて算出したストイキ噴射量となるようにインジェクタからの燃料噴射を制御するとともに、排気行程の前の燃焼行程にて燃焼されず排気行程にて排気経路に排出される排気に残る炭化水素が許容量算出部にて算出した許容量を超えない噴射パターンでインジェクタからの燃料噴射を制御する、触媒昇温促進部51C(図1参照)に相当している。
【0057】
●[インターバル調整処理(図4)]
次に図4を用いて、図3に示すフローチャートのステップS270の[インターバル調整処理]の詳細を説明する。SCR62をより短時間に暖機するならば、ポスト噴射にて噴射された燃料の全てを未燃燃料としてNSR61に供給し、より多くの反応熱を得ることが望ましい。しかし、NSR61の浄化能力以上の炭化水素を供給することはできないので、上限HC量に基づいてポスト噴射のインターバルを調整する。インターバルとは、アフタ噴射が噴射された時からポスト噴射が噴射される時までの時間である。インターバルを調整することにより、ポスト噴射された燃料のうち、どれだけの燃料が未燃燃料として残るかが決まる。例えば、インターバルが短ければポスト噴射で噴かれた燃料のほぼ全てが燃焼するし、長くなればなるほど未燃燃料が増える。図3に示すフローチャートのステップS270の処理を実行する際、制御装置50は図4に示すステップS310へ処理を進める。
【0058】
ステップS310にて制御装置50は、SCR62の暖機が完了するまでの温度、上限HC量、昇温代に基づいてNSR61へ供給するHC量を算出し、ステップS320へ処理を進める。具体的には、制御装置50は、現在のSCR62が暖機完了温度に達するまでの温度が大きい場合は、できる限り沢山の酸化反応熱を得るべく、上限HC量をそのままNSR61へ供給するHC量とする。一方で、制御装置50は、その温度差が小さくなると、酸化反応熱で勢い余ってSCR62を昇温し過ぎないように、上限HC量より少ない量をNSR61へ供給するHC量とする。このように、常に上限HC量をNSR61へ供給するわけではなく、SCR62の暖機が完了するまでの温度、昇温代を考慮してHCの供給量を調整することが望ましい。
【0059】
ステップS320にて制御装置50は、NSR61へ供給するHC量に基づいてインターバルを取得する。なお、制御装置50の記憶装置53には、図7に示すポスト噴射インターバル・排ガス中HC量特性がポスト噴射の燃料量ごとに記憶されており、制御装置50は、ポスト噴射インターバル・排ガス中HC量特性とNSR61へ供給するHC量に基づいてポスト噴射のインターバルを算出する。例えば、ポスト噴射量がP1であり、NSR61へ供給するHC量がV1であった場合、記憶装置53に記憶されたマップのうちポスト噴射量=P1のマップから、排ガス中HC量がV1となるポスト噴射のインターバルである「A」を取得する。
【0060】
ステップS330にて制御装置50は、取得したインターバルに基づいて暖機用の多段噴射パターンでのポスト噴射における噴射時期を調整し、図4に示す処理を終了する。
【0061】
●[噴射処理(図5)]
制御装置50(CPU51)は、例えば所定クランク角度タイミングにて、図5に示す[噴射処理]を起動し、ステップS410に処理を進める。
【0062】
ステップS410にて制御装置50は、決定した噴射量と噴射時期でインジェクタ43A~43Dを制御し、図5に示す処理を終了する。
【0063】
●[インターバルと未燃燃料の関係(図8)]
図8は、横軸をクランク角度、縦軸をインジェクタ43A~43Dの開弁度合(ONはバルブが全開、OFFはバルブが全閉)とし、暖機用の多段噴射パターンの例を視覚化したものである。図8に示すように、暖機用の多段噴射パターンの例では、まず、2発のパイロット噴射の後、単発のメイン噴射が噴かれる。そして、メイン噴射に続いて、3発のアフタ噴射が噴かれた後、さらに単発のポスト噴射が噴かれる。
【0064】
また、図8において、OFFからONに立ち上がる起点は、各噴射の噴射時期を示し、線に囲まれた領域は、各噴射の噴射量を示している。したがって、全ての領域を合わせると、図3に示す[噴射量、噴射時期決定処理]における補正済総噴射量となる。
【0065】
このような暖機用の多段噴射パターンにおいて、パイロット噴射、メイン噴射、アフタ噴射で噴かれた燃料は気筒45A~45Dにて全て燃焼するのに対し、ポスト噴射で噴かれた燃料については一部が燃焼する。具体的には、最後のアフタ噴射が噴かれてからポスト噴射を噴くまでにどれだけの間隔を空けたか(インターバル)によって、燃焼する燃料の量が変わり、その量はインターバルをとればとるほど少なくなる。言い換えれば、未燃燃料(図8に示す網掛け部)の量は、インターバルをとればとるほど多くなる。
【0066】
例えば、アフタ噴射からAだけインターバルをとって噴かれたポスト噴射では、未燃燃料がV1だけ残るのに対し、Aよりも長いBだけインターバルをとったポスト噴射では、V1より多いV2の未燃燃料が残る。
【0067】
制御装置50の記憶装置53には、ポスト噴射について、アフタ噴射からポスト噴射までのインターバルと、未燃燃料(炭化水素)として残る(排気ガス中に含まれる)量の関係がマップとしてポスト噴射量ごとに記憶されている(図7参照)。制御装置50は、このポスト噴射インターバル・排ガス中HC量特性(図7参照)に基づいて、図4に示す[インターバル調整処理]を行い、できる限り多くの未燃燃料を、当該未燃燃料と結合しなかった残存酸素とともにNSR61に供給している。
【0068】
●[触媒昇温システムの作用・効果(図9図11)]
触媒昇温システムでは、ポスト噴射で噴かれた燃料の一部について気筒45A~45Dで燃焼させることなく、敢えて未燃燃料として残存酸素とともにNSR61に供給している。NSR61は、白金等の触媒物質が含まれており三元触媒としても機能するため、未燃燃料と残存酸素の酸化反応が起こり、その反応熱でSCR62の温度を効果的に上昇させることができる。
【0069】
具体的には、図9に示すように、従来、気筒45A~45Dから排出された排気ガスは、排出当初は高温であるが、排気マニホルド12Aやターボ過給機30、あるいは、これらを繋ぐ排気管12B等、各所にて放熱し、気筒45A~45Dからの距離が離れるにつれ、その温度は下がる一方であった。その結果、SCR62に届くころには、暖機には不十分な温度となっていた。
【0070】
これに対し、本発明に係る触媒昇温システムによれば、気筒45A~45Dにて全ての燃料が燃焼しないため、排気マニホルド12Aでの温度は従来と比較して低いものの、NSR61にて未燃燃料と残存酸素の酸化反応が起こるため温度が上昇し、SCR62における排気ガス温度を従来と比較してより高くすることができる。つまり、燃焼により熱エネルギーを発生させると途中で無駄に捨てられてしまうこととなるので、化学エネルギーとして保存したままNSR61まで届けて、NSR61にて熱エネルギーに変換している。
【0071】
その結果、図10に示すように、SCR62が暖機完了温度Tに達するまでの時間を従来のt2からt1まで短縮することができる。なお、SCR62の暖機中は、できる限りNSR61へ多くの未燃燃料を供給すべく、アフタ噴射からポスト噴射までのインターバルが比較的長くとられる。よって、図11に示すように、インターバルが長くなればなるほどポスト噴射によるトルク感度は低くなり、メイン噴射で想定したトルクに影響を与えることはない。
【0072】
本発明の触媒昇温システムは、本実施の形態で説明した外観、構成、構造等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、直列に繋がる複数の触媒としてNSR61とSCR62を例に説明したが、他の触媒を組み合わせたものであっても良い。具体的には、前段に配置されるNSR61は、未燃燃料(炭化水素)と残存酸素の酸化反応を促進させるものであればよく、三元触媒または酸化触媒としても良い。また、後段に配置されるSCR62は、微粒子捕集フィルタ(DPF:Diesel particulate filter)と一体にしたものであっても良いし、それぞれ独立にしたうえで、前段触媒(NSR61、または、三元触媒、または、酸化触媒)とSCR62の中間にDPFを配置しても良い。
【0073】
また、本実施形態において、暖機用の多段噴射パターンの例として、パイロット噴射(2発)、メイン噴射(1発)、アフタ噴射(3発)、ポスト噴射(1発)の順に噴くもの挙げたが、パイロット噴射とアフタ噴射の数はこれに限定されない。例えば、パイロット噴射、アフタ噴射ともに1発、あるいは、2発でも良い。
【符号の説明】
【0074】
1 内燃機関システム
10 内燃機関
11C 吸気マニホルド
11A 吸気管
11B 吸気管
12A 排気マニホルド
12B 排気管
12C 排気管
13 EGR配管
14 EGR弁
15 EGRクーラ
16 インタークーラ
21 吸気流量検出装置
22A クランク角度検出装置
22B カム角度検出装置
23 大気圧検出装置
24A コンプレッサ上流圧力検出装置
24B コンプレッサ下流圧力検出装置
24C 吸気マニホルド圧力検出装置
25 アクセルペダル踏込量検出装置
26A タービン上流圧力検出装置
26B タービン下流圧力検出装置
27 車速検出装置
28C クーラント温度検出装置
28A、28B 吸気温度検出装置
29 排気温度検出装置
30 ターボ過給機
31 ノズル駆動装置
32 ノズル開度検出装置
33 可変ノズル
35 コンプレッサ
36 タービン
41 コモンレール
42A~42D 燃料配管
43A~43D インジェクタ
45A~45D 気筒
47 スロットル装置
47S スロットル開度検出装置
47V スロットルバルブ
50 制御装置
51A 燃料量算出部
51B 許容量算出部
51C 触媒昇温促進部
53 記憶装置
54 タイマ
61 NSR
62 SCR
63A、63B 排気温度検出装置
64 A/Fセンサ
65 尿素水添加弁
66A、66B 排気温度検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11