(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 27/00 20060101AFI20240517BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
F25D27/00
F25D23/02 304Z
(21)【出願番号】P 2020103429
(22)【出願日】2020-06-16
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】山下 祐喜
(72)【発明者】
【氏名】阿比留 洋一
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-159955(JP,A)
【文献】特開2012-047379(JP,A)
【文献】特開2018-115850(JP,A)
【文献】特開2014-020743(JP,A)
【文献】特開2011-194576(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 27/00
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉の前面となるパネルドアと、前記パネルドアの端部に形成するキャップドアと、前記パネルドアと前記キャップドアとで囲まれた内部に発泡ウレタンを充填して形成した扉で、前記扉の内部に表示装置を備えた冷蔵庫において、前記表示装置は、制御基板と、前記制御基板に有したLEDと、前記LEDの光を外部に導く第1導光部材と、で構成され、外部へ照射する前記第1導光部材の端部は前記キャップドアに開口した第1開口部に配置
し、前記キャップドアに前記制御基板を収納する制御基板保持部材を係合し、前記第1導光部材は前部第1導光部材と後部第1導光部材の2部品で形成され、前記前部第1導光部材は前記キャップドアに、前記後部第1導光部材は前記制御基板保持部材に保持されることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記第1導光部材は、前記LEDの光の照射方向の向きを変える反射部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第1導光部材の端部は前記第1開口部よりも外部に露出していることを特徴とする請求項1
または2のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記表示装置は、外部の光を検知する照度センサと、外部の光を前記照度センサに導く第2導光部材と、を有し、前記キャップドアに開口した第2開口部に前記第2導光部材の端部が配置することを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第2開口部は前記第1開口部よりも面積が大きく形成され、前記第2開口部に位置する前記第2導光部材の端部の面積は前記第1開口部に位置する前記第1導光部材の端部の面積よりも大きいことを特徴とする請求項
4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記パネルドアは金属製で、前記キャップドアは樹脂製であることを特徴とする請求項1から
5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、扉の内部に備えた回路基板にLEDを搭載し、LEDの光は扉の前面となる透明板を透過して外側へ照射して表示する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、LEDの光が導光部材を通ってキャップドアに形成された開口部から光を照射するので扉の断熱性を維持しながら、冷蔵庫の動作状態を報知することができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷蔵庫は、扉の前面となるパネルドアと、パネルドアの端部に形成するキャップドアと、パネルドアとキャップドアとで囲まれた内部に発泡ウレタンを充填して形成した扉で、扉の内部に表示装置を備えた冷蔵庫において、表示装置は、制御基板と、制御基板に有したLEDと、LEDの光を外部に導く第1導光部材と、で構成され、外部へ照射する第1導光部材の端部はキャップドアに開口した第1開口部に配置する。
【発明の効果】
【0006】
本開示における冷蔵庫は、パネルドアに扉の内部からLEDの光を透過させないので、扉の断熱性を維持しながら、冷蔵庫の動作状態を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0009】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0010】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図5を用いて、実施の形態1を説明する。
【0011】
図1は冷蔵庫の正面図、
図2は縦断面図である。まず
図1、
図2を用いて冷蔵庫の全体構成を説明する。
【0012】
本実施の形態に係る冷蔵庫1は、前方を開口した冷蔵庫本体2を備え、この冷蔵庫本体2は外郭を構成する金属製の外板3と、硬質樹脂製の内板4と、前記外板3および内板4の間に発泡充填された断熱材5とで構成してあり、断熱仕切板6、7、8によって複数の貯蔵室が形成してある。また、冷蔵庫本体2の各貯蔵室は冷蔵庫本体2と同様の断熱構成を採用した回動式の扉9或いは引出し式の扉10、11、12、13で開閉自在としてある。
【0013】
冷蔵庫本体2内には、最上部に冷蔵室14を有し、冷蔵室14と断熱仕切板6で上下に区画され、断熱仕切板6の下方に設けた温度帯切り替え可能な切替室15と、切替室15の横に断熱区画して設けた製氷室16と、切替室15および製氷室16と断熱仕切板7で上下に区画され、断熱仕切板7の下方に設けた野菜室17と、さらに野菜室17と断熱仕切板8で上下に区画され、断熱仕切板8の下方に設けた冷凍室18を備えている。
【0014】
そして、冷蔵室14には複数の棚板19が上下複数段となって設けてあり、冷蔵室14の下部には冷蔵室14と冷却温度帯の異なるパーシャル室20が形成されている。
【0015】
冷蔵室14は、冷蔵保存するための貯蔵室で、具体的には、約2~3℃に設定され冷却される。また、冷蔵室14内に設けたパーシャル室20は微凍結保存に適した約-3℃に設定され、パーシャル室20は1℃前後のチルド温度帯にも温度設定が可能である。
【0016】
野菜室17は、冷蔵室14より若干高く温度設定される貯蔵室で、具体的には、4~7℃に設定され冷却される。この野菜室17は野菜等の収納食品から発せられる水分により高湿度となるため、局所的に冷えすぎると結露することがある。そのため、比較的高い温度に設定することで冷却量を少なくし、局所的な冷えすぎによる結露発生を抑制している。
【0017】
冷凍室18は、冷凍温度帯に設定される貯蔵室で、通常約-18℃に設定され冷却されるが、冷凍保存状態向上のため、例えば-30℃や-25℃などの低温に設定され冷却されることもある。
【0018】
切替室15は、庫内の温度が変更可能な貯蔵室であり、用途に応じて冷蔵温度帯から冷凍温度帯まで切り換えることができるようになっている。
【0019】
また、野菜室17の背面には冷却室21が設けてあり、この冷却室21には冷気を生成する冷却器22と、冷気を各室に供給する冷却ファン23とが設置してある。そして更に冷却器22の下方にはガラス管ヒータ等で構成した除霜手段24(以下、ヒータと称す)が設けてある。
【0020】
冷却器22は、圧縮機25と、熱交換器(図示せず)と、各室の開口部の露付きを防止する防露パイプ(図示せず)と、キャピラリーチューブ(図示せず)とを環状に接続して冷凍サイクルを構成しており、圧縮機25によって圧縮された冷媒の循環によって冷却を行う。
【0021】
また各扉9~13は、外側の前面板を構成する金属製のパネルドア30と、パネルドア30の上端部を覆う上キャップドア31と、下端部を覆う下キャップドア32とを備え、内部に発泡ウレタン40を充填して、内側をインナードア33で塞いで構成している。
【0022】
以下、冷蔵室扉9について
図3~
図5に基づき説明する。
【0023】
図3は冷蔵室14の冷蔵室扉9の部分正面図である。冷蔵室扉9は、前面となる金属製のパネルドア30と、パネルドア30の下端部を覆う樹脂製の下キャップドア32とを備えている。
【0024】
下キャップドア32には第1開口部34と第2開口部35が備えられている。
【0025】
図4は
図3のA-A断面図であり、冷蔵室扉9の内部で、下キャップドア32に形成した凹み部32a内に表示装置50が配置している。
【0026】
表示装置50は、冷蔵庫1の上部に有した本体制御基板51に配線接続された制御基板36と、制御基板36に実装したLED38と、LED38の光を外部に導く第1導光部材39と、制御基板36と第1導光部材39の一部を保持する制御基板保持部材37と、で構成されている。
【0027】
またLED38の光軸がパネルドア30に向かって水平方向に光の強度が最も強くなるように、制御基板36に保持されている。
【0028】
また凹み部32a内で、LED38の光の照射方向前方に形成された第1導光部材39は光透過性樹脂成形品からなる。
【0029】
第1導光部材39には、LED38の光の照射方向の向きを変える反射部39aが複数箇所に備えられ、光が外部へ出る第1導光部材39の端部39bが第1開口部34に配置している。端部39bは第1開口部34よりも前方にとび出して外部に露出して配置している。
【0030】
LED38の点灯によって光が出射する端面となる端部39bは第1開口部34よりも外部に露出するがパネルドア30の前面部よりも外部には露出しないよう配置している。
【0031】
また第1導光部材39は、実施例の場合、前部第1導光部材41と後部第1導光部材42の2部品で形成されており、前部第1導光部材41は下キャップドア32に保持され、後部第1導光部材42は制御基板保持部材37に保持されて構成されている。
【0032】
図5は
図3のB-B断面図であり、表示装置50の制御基板36には、冷蔵庫1の周囲の明るさを検知する照度センサ43を実装している。
【0033】
照度センサ43のセンサ部43aは鉛直下方に向かって設置されており、照度センサ43の下方と第2開口部35との間に光透過性樹脂成形品からなる第2導光部材44が設置されている。
【0034】
また第2導光部材44は、冷蔵庫1の設置環境の周囲の光を受光して受光方向を変える反射部44aを有し、第2開口部35から受光した光は第2導光部材44を通って反射部44aで反射し照度センサ43のセンサ部43aに受光する。
【0035】
第2開口部35に位置する第2導光部材44の受光部となる端部44bは第1導光部材39と同様に第2開口部35よりも前方にとび出して外部に露出して配置している。
【0036】
また第2導光部材44は、実施例の場合、前部第2導光部材45と後部第2導光部材46の2部品で形成されており、前部第2導光部材45は下キャップドア32に保持され、後部第2導光部材46は制御基板保持部材37に保持されて構成されている。
【0037】
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
【0038】
表示装置50の制御基板36は本体制御基板51と接続され、本体制御基板51からの表示信号により冷蔵庫1の制御状態、例えば省エネモードや除菌/脱臭などの動作状態をLED38を点灯、点滅、あるいは消灯させて、利用者に報知する。
【0039】
実施例では、冷蔵室14内を除菌/脱臭中であれば、本体制御基板51から制御基板36へ表示信号が入力され、LED38が発光し点灯する。
【0040】
LED38は鉛直方向に配置した制御基板36にLEDの光軸が水平方向になるように実装されているので、光はパネルドア30に向かって照射して第1導光部材39に照射し、反射部39aによって下方へ照射し、さらに別の反射部39aによって水平方向へ向きを変えて第1導光部材39内を導光する。
【0041】
そして、キャップドア32の第1開口部34に第1導光部材39の端部42aが配置し、外部へ照射される。
【0042】
よって、第1導光部材39を配置して、LED38の光を扉の枠部材となるキャップドア32に設けた第1開口部34から外部へ照射し点灯表示したことで、パネルドア30に扉の内部からLED38の光を透過させる必要がないので、扉の断熱性を維持しながら利用者に冷蔵庫1の動作状態を報知することができる。
【0043】
また反射部39aを複数箇所、実施例の場合、第1導光部材39を折り曲げて、折り曲げ部に面取り形状を2カ所備えて構成して、LED38の光軸を外部へ照射するようにしたので、制御基板保持部材37の前後方向、すなわち冷蔵室扉9の厚み方向を、小さくすることができ、扉の断熱性能の低下を抑制することができる。
【0044】
また第1導光部材39は、2部品で構成されてもよく、前部第1導光部材41はキャップドア32に保持され、後部第1導光部材42は制御基板保持部材37に保持されている。
【0045】
よって、別部品にすることで、製造工程での組み立て作業性を向上することができる。
【0046】
また、第1導光部材39の端部39bが第1開口部34よりも外部にとび出して露出するように配置しているので、利用者が冷蔵室扉9の正面に立った場合だけでなく、側面に立った場合でもLED38の点灯状態を視認することができる。
【0047】
また、照度センサ43を同じ制御基板36に備え、冷蔵庫1が設置されている周囲の光を受光する第2開口部35と照度センサ43との間に第2導光部材44を配置したので、同様に扉9の断熱性能を維持することができる。
【0048】
また、外部の明るさを受光する第2開口部35を第1開口部34よりも大きくすることで、光を点灯する第1開口部34とは異なる開口部であることを啓蒙することができ、また第2導光部材44を第1導光部材39よりも断面積が大きいので外部の光を受光しやすく、照度センサ43の感度を高めることができる。
【0049】
周囲の明るさから照度センサ43が、利用者の不在と判断した場合、制御基板36から本体制御基板51へ省エネ信号が入力され、本体制御基板51から制御基板36へ省エネ信号が出力されると省エネモードを点灯表示するLED38が点灯し、光は第1導光部材39を導光して第1開口部34から外側にとび出して露出した第1導光部材39の端部39bから外部へ光を照射し、利用者に省エネモードであることを報知するので、利用者は扉9に対して正面に立っていなくても横からでも確認することができる。
【0050】
またパネルドア30が金属製の場合、光を透過できない材料の場合でも、樹脂製のキャップドア32に設けた第1開口部34からLED38の光を外部に点灯することができるので、利用者への視認性を向上することができ、さらにパネルドア30にLED38の導光部を形成しないので冷蔵室扉9の断熱性を確保することができる。
【0051】
またパネルドア30がガラス製の場合でも、キャップドア32の第1開口部34から光を点灯することで、ガラス内を通過する時の光の拡散を抑制でき、LED38の点灯時の光のムラを抑制することができる。
【0052】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示は、パネルドアに扉の内部からLEDの光を透過させないので、扉の断熱性を維持しながら、冷蔵庫の動作状態を報知することができる冷蔵庫に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
9 冷蔵室扉
30 パネルドア
32 下キャップドア
34 第1開口部
36 制御基板
38 LED
39 第1導光部材
39b、44b 端部
50 表示装置