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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/34 20200101AFI20240517BHJP
   F26B 3/02 20060101ALI20240517BHJP
   D06F 103/08 20200101ALN20240517BHJP
   D06F 103/32 20200101ALN20240517BHJP
   D06F 103/34 20200101ALN20240517BHJP
【FI】
D06F58/34
F26B3/02
D06F103:08
D06F103:32
D06F103:34
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021029475
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022130841
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】源水 和夫
(72)【発明者】
【氏名】河本 亮太
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-165939(JP,A)
【文献】特開2007-181585(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148159(WO,A1)
【文献】特開2007-120855(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0004278(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/34
F26B 3/02
D06F 103/08
D06F 103/32
D06F 103/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケース内に設けた除湿手段と、
前記除湿手段に送風する送風手段と、
前記除湿手段および前記送風手段の運転制御を行う制御手段と、
前記本体ケースの周辺温度を検知する温度検知手段と、
前記本体ケースの周辺湿度を検知する湿度検知手段と、を備えた除湿装置において、
前記制御手段は、
前記除湿手段と前記送風手段とを運転する衣類乾燥運転を有し、
前記衣類乾燥運転の開始時に、
前記温度検知手段によって運転開始温度を検知し、
前記湿度検知手段によって運転開始湿度を検知し、
前記運転開始温度と、前記運転開始湿度と、前記衣類乾燥運転の運転時間の基準となる乾燥常数テーブルと、から前記衣類乾燥運転の運転終了を判断する初期乾燥常数Dxを設定する乾燥常数初期設定を行い、
前記衣類乾燥運転の途中に、
前記温度検知手段によって運転途中温度を検知し、
前記湿度検知手段によって運転途中湿度を検知し、
前記運転途中温度と、前記運転途中湿度と、から前記初期乾燥常数Dxを補正して補正乾燥常数Dxとする乾燥常数補正を行い、
前記補正乾燥常数Dxと、前記運転途中温度と、前記運転途中湿度と、から前記衣類乾燥運転の運転終了を判定し、
前記衣類乾燥運転を停止し、前記衣類乾燥運転の終了時に、
前記温度検知手段によって運転終了温度を検知し、
前記湿度検知手段によって運転終了湿度を検知し、
前記補正乾燥常数Dxと、前記運転終了温度と、前記運転終了湿度と、から前記乾燥常数テーブルを補正して次回の乾燥常数テーブルとなる第1乾燥常数テーブルとする第1乾燥常数テーブル補正制御を行うことを特徴とする除湿装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記衣類乾燥運転の前記運転開始温度と、前記運転開始湿度と、を記憶部に記憶し、
前記第1乾燥常数テーブルを、前記運転開始温度と、前記運転開始湿度と、から補正して次回の乾燥常数テーブルとなる第2乾燥常数テーブルとする第2乾燥常数テーブル補正制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記衣類乾燥運転の運転時間である乾燥運転時間を記憶部に記憶し、
前記第1乾燥常数テーブルを、前記乾燥運転時間から補正して次回の乾燥常数テーブルとなる第3乾燥常数テーブルとする第3乾燥常数テーブル補正制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の除湿装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記湿度検知手段によって所定時間ごとの湿度である運転中湿度を検知し、
前記衣類乾燥運転における運転開始から前記運転中湿度が下がり始めるまでの時間である低下運転時間を記憶部に記憶し、
前記第1乾燥常数テーブルを、前記低下運転時間から補正して次回の乾燥常数テーブルとなる第4乾燥常数テーブルとする第4乾燥常数テーブル補正制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の除湿装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記湿度検知手段によって、前記衣類乾燥運転の停止後のある一定時間経過後の部屋の湿度である運転後湿度を記憶し、
前記湿度検知手段によって、前記衣類乾燥運転の停止後のある一定時間経過後の部屋の温度である運転後温度を記憶し、
前記第1乾燥常数テーブルを、前記運転後湿度と前記運転後温度とから補正して次回の乾燥常数テーブルとなる第5乾燥常数テーブルとする第5乾燥常数テーブル補正制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類乾燥に使用される除湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の除湿機については、一つの例として特許第5333480号公報に記載されているものが知られている。
【0003】
以下、その除湿機および制御方法について図8図13を参照しながら説明する。その構成を図8及び図9に示すように、除湿機は、機器本体101内に除湿手段112および送風手段113と、これら除湿手段112および送風手段113の運転制御を行う制御手段108と、機器周辺温度を検知する温度検知手段104、湿度を検知する湿度検知手段105および運転操作を行なう操作部102を備えている。
【0004】
図10のフローチャートに示すように、除湿機の制御方法は、操作部運転スイッチの衣類乾燥モード(図示せず)を選択した場合、STEP111でスイッチ入力される。
【0005】
次に、STEP112で入力されたスイッチの種類を区別し、衣類乾燥スイッチの入力がある場合はSTEP113に移ることとなる。そしてSTEP113にて制御手段108により乾燥運転が開始され乾燥常数Dxが設定される。乾燥常数Dxは、あらかじめ標準的な試験条件(部屋の大きさ、衣類の量、温湿度など)を設定し、実験によって求めた値を設定する。
【0006】
次に、乾燥常数Dx値の補正に入る。乾燥常数Dx値の補正について、図11を用いて説明する。
【0007】
まず、タイマーをスタートさせ、経過時間Time(STEP118)を測定する。次に、温度検知手段104、湿度検知手段105において検知(STEP119)された温度、湿度は信号送付手段によりマイクロコンピューター107内の制御手段108に送られる。検知された温度Temp0、湿度Rh0をもとに制御手段108にて乾燥係数Tt0の算出(STEP120)を行い、それぞれを初期値として記憶する。
【0008】
そして、測定間隔X分でループする(STEP121)に入り、温度検知手段104、湿度検知手段105において検知(STEP122)された温度、湿度は信号送付手段によりマイクロコンピューター107内の制御手段108に送られる。検知された温度Temp(n)、湿度Rh(n)をもとに制御手段108にて絶対湿度Xr(n)の算出(STEP123)と乾燥係数Ttの算出(STEP124)を行い、乾燥常数Dxをもとに乾燥の判定を行う(STEP125)。
【0009】
まだ乾燥していないと判断した場合、絶対湿度Xr(n)が前回データの絶対湿度Xr(n-1)
より低下しているか判断(STEP126)し、低下していない場合はSTEP121にもどり繰り返す。低下している場合は、その時の経過時間Timeによって補正値DHを算出し乾燥常数Dxを補正(STEP127)する。
【0010】
具体的には、補正値DHは、経過時間Timeの関数として計算する。最初に設定した乾燥常数Dxを求めたときの絶対湿度Xr(n)が前回データの絶対湿度Xr(n-1)より低下する経過時間Txを基準に経過時間Timeが長い場合はその比率に応じて補正値DHをマイナスになり、経過時間Timeが短い場合はその比率に応じて補正値DHをプラスにする。1例としては、DH=a×(Tx-Time)の式で、aは定数のような形で算出する。そして、乾燥常数Dxから補正値DHを減じて補正し、図10のSTEP114に移る。
【0011】
図10に示すように、STEP114では、測定間隔X時間が経過すると、STEP115に移る。STEP115では、温度検知手段104によって温度を検知し、湿度検知手段105によって湿度を検知し、STEP116に移る。
【0012】
STEP116では、温度検知手段104、湿度検知手段105において検知された温度・湿度は信号送付手段によりマイクロコンピューター107内の制御手段108に送られる。検知された温度、湿度をもとに制御手段108にて乾燥係数Ttの算出(STEP116)が行われる。
【0013】
乾燥係数Ttの算出(STEP116)方法について図12にて詳しく説明する。
【0014】
まず、検知された温度、湿度から雰囲気空気の絶対湿度Xrと全熱量Irを算出する(STEP128)。
【0015】
ここで、衣類の乾燥についての考え方を空気線図上で検討を行なうこととする。図13において一般的な雰囲気空気を空気状態とする。この空気で全熱量が変化しない状態は、等エンタルピー状態である。衣類乾燥時の衣類近傍空気は湿度100%の状態になっていることから上記雰囲気空気の等エンタルピー上の空気状態と推測できる。
【0016】
従って、図13に示すように、衣類近傍空気は乾燥過程のため湿度100%と仮定(STEP129)と、STEP121で算出された雰囲気空気の全熱量Irとから衣類近傍の絶対湿度Xcが算出できる(STEP130)。
【0017】
次にSTEP131に移り衣類近傍の絶対湿度Xcと雰囲気空気の絶対湿度Xrから乾燥係数Ttを算出する。この乾燥係数Ttは図13の空気線図上では衣類近傍絶対湿度Xcと雰囲気空気の絶対湿度Xrの差となる。この乾燥係数Ttが大となると衣類内水分の雰囲気空気への移行速度が大きくなる。よって乾燥係数Ttを大きくすると衣類の乾燥速度は大となる。
【0018】
図10において、前述のとおり算出されたTt(STEP116)をもとに、STEP117に移り、乾燥常数Dxをもとに乾燥の判定を行う。つまり、STEP114の測定間隔X時間経過毎に乾燥係数Tt値を求め、STEP117で補正された乾燥常数Dxをもとに乾燥の判定を行う。
【0019】
乾燥の判定は、乾燥常数Dxから測定間隔X時間経過毎に乾燥係数Ttを減算し、減算値が0以上の場合に乾燥していないと判断し、減算値が0より小さくなった場合に乾燥していると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特許第5333480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
除湿装置本体がセンシングできるパラメータとして、間接的に部屋の温湿度の変化から衣類の乾燥度を推定しているためにどうしても衣類乾燥終了判断に誤差が生じるという課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0022】
そして、この目的を達成するために、本発明は、本体ケース内に設けた除湿手段と、前記除湿手段に送風する送風手段と、前記除湿手段および前記送風手段の運転制御を行う制御手段と、前記本体ケースの周辺温度を検知する温度検知手段と、前記本体ケースの周辺湿度を検知する湿度検知手段と、を備えた除湿装置において、前記制御手段は、前記除湿手段と前記送風手段とを運転する衣類乾燥運転を有し、前記衣類乾燥運転の開始時に、
前記温度検知手段によって運転開始温度を検知し、前記湿度検知手段によって運転開始湿度を検知し、前記運転開始温度と、前記運転開始湿度と、前記衣類乾燥運転の運転時間の基準となる乾燥常数テーブルと、から前記衣類乾燥運転の運転終了を判断する初期乾燥常数Dxを設定する乾燥常数初期設定を行い、前記衣類乾燥運転の途中に、前記温度検知手段によって運転途中温度を検知し、前記湿度検知手段によって運転途中湿度を検知し、前記運転途中温度と、前記運転途中湿度と、から前記初期乾燥常数Dxを補正して補正乾燥常数Dxとする乾燥常数補正を行い、前記補正乾燥常数Dxと、前記運転途中温度と、前記運転途中湿度と、から前記衣類乾燥運転の運転終了を判定し、前記衣類乾燥運転を停止し、前記衣類乾燥運転の終了時に、前記温度検知手段によって運転終了温度を検知し、
前記湿度検知手段によって運転終了湿度を検知し、前記補正乾燥常数Dxと、前記運転終了温度と、前記運転終了湿度と、から前記乾燥常数テーブルを補正して次回の乾燥常数テーブルとなる第1乾燥常数テーブルとする第1乾燥常数テーブル補正制御を行うことを特徴とするものであり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、センシングして推定運転した結果が運転制御に反映されるので、衣類乾燥終了判断の精度が上がることで無駄な運転をなくし省エネ性向上と使い勝手の向上が図れる除湿装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施の形態の除湿機の断面概略図
図2】本発明の実施の形態の除湿機のブロック回路図
図3】本発明の実施の形態1の除湿機の運転、および第1乾燥常数テーブル補正のフローチャート図
図4】本発明の実施の形態2の除湿機の運転、および第2乾燥常数テーブル補正のフローチャート図
図5】本発明の実施の形態3の除湿機の運転、および第3乾燥常数テーブル補正のフローチャート図
図6】本発明の実施の形態4の除湿機の運転、および第4乾燥常数テーブル補正のフローチャート図
図7】本発明の実施の形態5の除湿機の運転、および第5乾燥常数テーブル補正のフローチャート図
図8】従来の除湿機の断面概略図
図9】従来の除湿機のブロック回路図
図10】従来の除湿機の運転フローチャート図
図11】従来の除湿機のDx値補正のフローチャート図
図12】従来の除湿機の乾燥係数Tt算出フローチャート回路図
図13】従来の除湿機の乾燥係数Ttを説明するための空気線図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0026】
(実施の形態1)
図1図2に示すように、除湿機1は、機器本体内には、除湿手段2と、送風手段3と、制御手段4と、温度検知手段5と、湿度検知手段6と、操作部7と、を備えている。温度検知手段5は機器周辺の温度を検知し、湿度検知手段6は機器周辺の湿度を検知する。操作部7には、使用者によって、運転モード等の操作内容が入力される。制御手段4は、温度検知手段5が検知する機器周辺温度と、湿度検知手段6が検知する湿度と、使用者によって操作部7に入力される運転モードと、から、除湿手段2と送風手段3との運転を制御する。
【0027】
操作部7における運転スイッチの衣類乾燥モード(図示せず)を選択した場合、図3のフローチャートに示すように、STEP111でスイッチ入力される。
【0028】
次にSTEP112で入力されたスイッチの種類を区別し、衣類乾燥スイッチ8の入力がある場合は、STEP113に移ることとなる。そしてSTEP113にて制御手段4により衣類乾燥運転が開始され、初期乾燥常数Dxが設定される。
【0029】
ここで、初期乾燥常数Dxの乾燥常数初期設定について説明する。乾燥常数Dxは、あらかじめ標準的な試験条件(部屋の大きさ、衣類の量、温湿度など)を設定し、実験によって求めた値を乾燥常数テーブルとしてマイクロコンピューター9内の記憶部9aに保有している。衣類乾燥運転の開始時に、温度検知手段5によって運転開始時の温度を検知し、湿度検知手段6によって運転開始時の湿度を検知する。制御手段4は、運転開始時の温度と、運転開始時の湿度と、衣類乾燥運転の運転時間の基準となる乾燥常数テーブルと、から初期乾燥常数Dxを設定する乾燥常数初期設定を行う。
【0030】
次に、乾燥常数Dx値の補正に入る。ここでは、温度検知手段5において検知された運転開始時の温度と、湿度検知手段6において検知された運転開始時の湿度とは、信号送付手段によりマイクロコンピューター9内の制御手段4に送られる。
【0031】
ここで、再び従来例と同様に乾燥常数Dx値の補正について図11を用いて説明する。
【0032】
まず、タイマーをスタートさせ、経過時間Time(STEP118)を測定する。次に、温度検知手段104、湿度検知手段105において検知(STEP119)された温度、湿度は信号送付手段によりマイクロコンピューター9内の制御手段4に送られる。検知された温度Temp0、湿度Rh0をもとに制御手段4にて乾燥係数Tt0の算出(STEP120)を行い、それぞれを初期値として制御手段4は記憶部9aに記憶する。
【0033】
そして、測定間隔X分でループするSTEP121に入り、温度検知手段104、湿度検知手段105において検知(STEP122)された温度、湿度は信号送付手段によりマイクロコンピューター9内の制御手段4に送られる。検知された温度Temp(n)、湿度Rh(n)をもとに制御手段4にて絶対湿度Xr(n)の算出(STEP123)と乾燥係数Ttの算出(STEP124)を行い、乾燥常数Dxをもとに乾燥の判定を行う(STEP125)。
【0034】
まだ乾燥していないと判断した場合、絶対湿度Xr(n)が前回データの絶対湿度Xr(n-1)より低下しているか判断(STEP126)し、低下していない場合はSTEP121にもどり繰り返す。低下している場合は、その時の経過時間Timeによって補正値DHを算出し乾燥常数Dxを補正(STEP127)する。
【0035】
補正値DHは、経過時間Timeの関数として計算する。最初に設定した初期乾燥常数Dxを求めたときの絶対湿度Xr(n)が前回データXr(n-1)より低下する経過時間Txを基準に経過時間Timeが長い場合はその比率に応じて補正値DHをマイナスになり、経過時間Timeが短い場合はその比率に応じて補正値DHをプラスにする。1例としては、DH=a×(Tx-Time)の式で、aは定数のような形で算出する。そして、乾燥常数Dxから補正値DHを減じて補正し、図3のSTEP114に移る。
【0036】
図3に示すように、STEP114では、測定間隔X時間が経過すると、STEP115に移る。STEP115では、温度検知手段5によって温度を検知し、湿度検知手段6によって湿度を検知し、STEP116に移る。
【0037】
STEP116では、検知された運転開始時の温度、湿度をもとに制御手段4にて乾燥係数Ttの算出(STEP116)が行われる。
【0038】
再び従来例と同様に、乾燥係数Ttの算出(STEP116)方法について詳しく説明する。図12に示すように、検知された運転開始時の温度、湿度から雰囲気空気の絶対湿度Xrと全熱量Irを算出する(STEP128)。
【0039】
ここで、衣類の乾燥についての考え方を空気線図上で検討を行なうこととする。図13において一般的な雰囲気空気を空気状態とする。この空気で全熱量が変化しない状態は等エンタルピー状態である。衣類乾燥時の衣類近傍空気は湿度100%の状態になっていることから上記雰囲気空気の等エンタルピー上の空気状態と推測できる。従って、図13に示すように、衣類近傍空気は乾燥過程のため湿度100%と仮定(STEP129)と、STEP128で算出された雰囲気空気の全熱量Irとから衣類近傍の絶対湿度Xcが算出できる(STEP130)。
【0040】
次にSTEP131に移り衣類近傍絶対湿度Xcと雰囲気空気の絶対湿度Xrから乾燥係数Ttを算出する。この乾燥係数Ttは図13の空気線図上では衣類近傍絶対湿度Xcと雰囲気空気の絶対湿度Xrの差となる。この乾燥係数Ttが大となると衣類内水分の雰囲気空気への移行速度が大きくなる。よって乾燥係数Ttを大きくすると衣類の乾燥速度は大となる。
【0041】
そして、図3に示すように、前述のとおり算出されたTt(STEP116)をもとに、STEP117に移り、乾燥の判定を行う。STEP114の測定間隔X時間経過毎に乾燥係数Tt値を求め、STEP117で補正された乾燥常数Dxをもとに乾燥の判定を行う。
【0042】
乾燥の判定は、乾燥常数Dxから測定間隔X時間経過毎に乾燥係数Ttを減算し、減算値が0以上の場合に乾燥していないと判断し、減算値が0より小さくなった場合に乾燥していると判断する。
【0043】
次に、STEP117で、衣類乾燥運転の運転終了を判定し、衣類乾燥運転を停止し、衣類乾燥運転の終了時に、温度検知手段5によって運転終了温度TempEを検知し、湿度検知手段6によって運転終了湿度RhEを検知し、運転終了温度TempEと、運転終了湿度RhEをマイクロコンピューター9の記憶部9aに記憶(STEP1)する。補正乾燥常数Dxと、運転終了温度TempEと、運転終了湿度RhEと、から乾燥常数テーブルを補正(STEP2)して次回の乾燥常数テーブルとなる第1乾燥常数テーブルとする第1乾燥常数テーブル補正制御(STEP3)を行うことを特徴とするものであり、センシングして推定運転した結果が次回以降の運転制御に反映されるので、衣類乾燥終了判断の精度がより向上するので無駄な運転をなくし省エネ性向上と使い勝手の向上が図れる。
【0044】
第1乾燥常数テーブル補正制御は、制御手段4が衣類乾燥運転の終了時の運転終了温度TempEおよび運転終了湿度を乾燥常数テーブル作成した時の実験結果と比較検討することで、実験環境との差を分析し乾燥常数Dxを補正して、次回の乾燥常数テーブルとなる第1乾燥常数テーブルに補正しマイクロコンピューター9の記憶部9aに保存する。従って、繰り返し学習して補正することで精度向上が期待できる。
【0045】
具体的には、制御手段4は、運転終了湿度RhEが実験結果と比較して、低湿側になっている場合は、衣類乾燥運転時間が長すぎたと判断して、乾燥常数Dxをマイナスする方向で補正し、高湿側になっている場合は、衣類乾燥運転時間が不足していたと判断して、乾燥常数Dxをプラスする方向で補正する。運転終了温度TempEが実験結果と比較して、高温側になっている場合は、衣類乾燥運転時間が長すぎたと判断して、乾燥常数Dxをマイナスする方向で補正し、低温側になっている場合は、衣類乾燥運転時間が不足していたと判断して、乾燥常数Dxをプラスする方向で補正する。なお、ギャップの大小により補正量を調整しても良い。
【0046】
(実施の形態2)
本発明の実施形態2の第2乾燥常数テーブル補正制御について図4を用いて説明する。実施形態1(図3)と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0047】
制御手段4は、温度検知手段5によって衣類乾燥運転の開始時の運転開始温度TempSを検知し、湿度検知手段6によって運転開始湿度RhSを検知し、運転開始温度TempSと、運転開始湿度RhSを記憶部9aに記憶(STEP4)する。制御手段4が、第1乾燥常数テーブルを、運転開始温度TempSと、運転開始湿度RhSと、から補正(STEP5)して次回の乾燥常数テーブルとなる第2乾燥常数テーブルとする第2乾燥常数テーブル補正制御(STEP6)を行うことを特徴とするものであり、センシングして推定運転した結果が次回以降の運転制御に反映されるので、衣類乾燥終了判断の精度がより向上するので無駄な運転をなくし省エネ性向上と使い勝手の向上が図れる。
【0048】
第2乾燥常数テーブル補正制御は、制御手段4が衣類乾燥運転の開始時の運転開始温度TempSおよび運転開始湿度RhSを乾燥常数テーブル作成した時の実験結果と比較検討することで、実験環境との差を分析し乾燥常数Dxを補正して、次回の乾燥常数テーブルとなる第2乾燥常数テーブルに補正しマイクロコンピューター9の記憶部9aに保存する。従って、繰り返し学習して補正することで精度向上が期待できる。
【0049】
具体的には、制御手段4は、運転開始湿度RhSが実験結果と比較して、低湿側になっている場合は、乾燥負荷が少ないので標準の衣類乾燥運転時間では長すぎたと判断して、乾燥常数Dxをマイナスする方向で補正し、高湿側になっている場合は、乾燥負荷か多いので標準の衣類乾燥運転時間が不足していたと判断して、乾燥常数Dxをプラスする方向で補正する。制御手段4は、運転開始温度TempSが実験結果と比較して、高温側になっている場合は、乾燥負荷は少ないので標準の衣類乾燥運転時間が長すぎたと判断して、乾燥常数Dxをマイナスする方向で補正し、低温側になっている場合は、乾燥負荷が多いので標準の衣類乾燥運転時間が不足していたと判断して、乾燥常数Dxをプラスする方向で補正する。
【0050】
(実施の形態3)
本発明の実施形態3の第3乾燥常数テーブル補正制御について図5を用いて説明する。実施形態1(図3)と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0051】
制御手段4は、STEP117で、衣類乾燥運転の運転終了を判定し、衣類乾燥運転を停止し、衣類乾燥運転の終了時に、衣類乾燥運転開始から運転終了までの運転時間である乾燥運転時間TimeEを記憶部9aに(STEP7)する。制御手段4が、第1乾燥常数テーブルを、乾燥運転時間TimeEと、から補正(STEP8)して次回の乾燥常数テーブルとなる第3乾燥常数テーブルとする第3乾燥常数テーブル補正制御(STEP9)を行うことを特徴とするものであり、センシングして推定運転した結果が次回以降の運転制御に反映されるので、衣類乾燥終了判断の精度がより向上するので無駄な運転をなくし省エネ性向上と使い勝手の向上が図れる。
【0052】
第3乾燥常数テーブル補正制御は、制御手段4が衣類乾燥運転開始から運転終了までの運転時間である乾燥運転時間TimeEを乾燥常数テーブル作成した時の実験結果と比較検討することで、実験環境との差を分析し乾燥常数Dxを補正して、次回の乾燥常数テーブルとなる第3乾燥常数テーブルに補正しマイクロコンピューター9の記憶部9aに保存する。従って、繰り返し学習して補正することで精度向上が期待できる。
【0053】
具体的には、制御手段4は、衣類乾燥運転開始から運転終了までの運転時間である乾燥運転時間TimeEが実験結果と比較して、長時間側になっている場合は、乾燥負荷が多いので標準の衣類乾燥運転時間では不足していたと判断して、乾燥常数Dxをプラスする方向で補正し、短時間側になっている場合は、乾燥負荷か少ないので標準の衣類乾燥運転時間では長すぎたと判断して、乾燥常数Dxをマイナスする方向で補正する。
【0054】
(実施の形態4)
本発明の実施形態4の第4乾燥常数テーブル補正制御について図6を用いて説明する。実施形態1(図3)と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
制御手段4は、STEP115で、湿度検知手段6によって所定時間ごとの湿度である運転中湿度Rh(n)を検知し、前回の運転中湿度Rh(n-1)と比較(STEP10)する。そして、制御手段4は、衣類乾燥運転における運転開始から運転中湿度が下がり始めるまでの時間TimeMを記憶部9aに記憶(STEP11)する。制御手段4が第1乾燥常数テーブルを、運転中湿度が下がり始めるまでの時間TimeMと、から補正(STEP12)して次回の乾燥常数テーブルとなる第4乾燥常数テーブルとする第4乾燥常数テーブル補正制御(STEP13)を行うことを特徴とするものであり、センシングして推定運転した結果が次回以降の運転制御に反映されるので、衣類乾燥終了判断の精度がより向上するので無駄な運転をなくし省エネ性向上と使い勝手の向上が図れる。
【0056】
第4乾燥常数テーブル補正制御は、制御手段4が衣類乾燥運転における運転開始から運転中湿度が下がり始めるまでの時間TimeMを乾燥常数テーブル作成した時の実験結果と比較検討することで、実験環境との差を分析し乾燥常数Dxを補正して、次回の乾燥常数テーブルとなる第4乾燥常数テーブルに補正しマイクロコンピューター9の記憶部9aに保存する。従って、繰り返し学習して補正することで精度向上が期待できる。
【0057】
具体的には、制御手段4は、衣類乾燥運転における運転開始から運転中湿度が下がり始めるまでの時間TimeMが実験結果と比較して、長時間側になっている場合は、乾燥負荷が多いので標準の衣類乾燥運転時間では不足していたと判断して、乾燥常数Dxをプラスする方向で補正し、短時間側になっている場合は、乾燥負荷か少ないので標準の衣類乾燥運転時間では長すぎたと判断して、乾燥常数Dxをマイナスする方向で補正する。
【0058】
(実施の形態5)
本発明の実施形態5の第5乾燥常数テーブル補正制御について図7を用いて説明する。実施形態1(図3)と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0059】
制御手段4は、STEP117で、衣類乾燥運転の運転終了を判定し、衣類乾燥運転を停止し、衣類乾燥運転停止後のある一定時間経過後に温度検知手段5によって衣類乾燥運転停止後のある一定時間経過後の温度TempAを検知し、湿度検知手段6によって衣類乾燥運転停止後のある一定時間経過後の湿度RhAを検知し、一定時間経過後の温度TempAと、一定時間経過後の湿度RhAを記憶部9aに記憶(STEP14)する。制御手段4が、第1乾燥常数テーブルを、一定時間経過後の温度TempAと、一定時間経過後の湿度RhAと、から補正(STEP15)して次回の乾燥常数テーブルとなる第5乾燥常数テーブルとする第5乾燥常数テーブル補正制御(STEP16)を行うことを特徴とするものであり、センシングして推定運転した結果が次回以降の運転制御に反映されるので、衣類乾燥終了判断の精度がより向上するので無駄な運転をなくし省エネ性向上と使い勝手の向上が図れる。
【0060】
第5乾燥常数テーブル補正制御は、制御手段4が衣類乾燥運転停止後のある一定時間経過後の温度TempAと、湿度RhAを乾燥常数テーブル作成した時の実験結果と比較検討することで、実験環境との差を分析し乾燥常数Dxを補正して、次回の乾燥常数テーブルとなる第5乾燥常数テーブルに補正しマイクロコンピューター9の記憶部9aに保存する。従って、繰り返し学習して補正することで精度向上が期待できる。
【0061】
具体的には、制御手段4は、衣類乾燥運転停止後のある一定時間経過後の温度TempAが実験結果と比較して、高温側になっている場合は、衣類乾燥運転時間が長すぎたと判断して、乾燥常数Dxをマイナスする方向で補正し、低温側になっている場合は、衣類乾燥運転時間が不足していたと判断して、乾燥常数Dxをプラスする方向で補正する。
【0062】
制御手段4は、衣類乾燥運転停止後のある一定時間経過後の湿度RhAが実験結果と比較して、低湿側になっている場合は、衣類乾燥運転時間が長すぎたと判断して、乾燥常数Dxをマイナスする方向で補正し、高湿側になっている場合は、衣類乾燥運転時間が不足していたと判断して、乾燥常数Dxをプラスする方向で補正する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、センシングして推定運転した結果が運転制御に反映されるので、衣類乾燥終了判断の精度が上がることで無駄な運転をなくし省エネ性向上と使い勝手の向上が図れるので、衣類乾燥に使用される家庭用除湿機等として有用である。
【符号の説明】
【0064】
1 除湿機
2 除湿手段
3 送風手段
4 制御手段
5 温度検知手段
6 湿度検知手段
7 操作部
8 衣類乾燥スイッチ
9 マイクロコンピューター
9a 記憶部
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