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特許7489584遠心分離装置、および、遠心分離装置を備えた洗濯機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-16
(45)【発行日】2024-05-24
(54)【発明の名称】遠心分離装置、および、遠心分離装置を備えた洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 39/10 20060101AFI20240517BHJP
   B04B 1/02 20060101ALI20240517BHJP
   B04B 11/02 20060101ALI20240517BHJP
【FI】
D06F39/10 E
B04B1/02
B04B11/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021554867
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2020039335
(87)【国際公開番号】W WO2021090671
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2019201986
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019201987
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】中村 一繁
(72)【発明者】
【氏名】倉掛 敏之
(72)【発明者】
【氏名】松田 眞一
(72)【発明者】
【氏名】池水 麦平
(72)【発明者】
【氏名】脇田 克也
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-183277(JP,A)
【文献】特開2018-075120(JP,A)
【文献】特開2012-050929(JP,A)
【文献】国際公開第2019/004036(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/10
B04B 1/02
B04B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路に設けられ、前記水路を流れる液体に含まれる異物を遠心分離する遠心分離装置であって、
前記水路と連通接続されたケースと、
前記ケース内に回転可能に設けられた中空の回転筒と、
前記回転筒内に前記水路から前記液体を流入させる液体入口と、
前記回転筒内から前記水路へ前記液体を流出させる液体出口と、
前記回転筒を回転駆動する筒モータと、
前記液体入口の上流側に設けられた旋回流生成部と、を備え、
前記旋回流生成部は、
前記液体入口と連通する円筒部と、
前記円筒部の上流側に設けられた渦巻部と、
前記水路から前記渦巻部に液体が流入する液体流入部と、を有し、
前記液体流入部は、前記円筒部の側壁より外方に設けられ、
前記渦巻部の側壁は、前記液体流入部からの距離に応じて、前記円筒部の側壁に向けて近づくように構成された遠心分離装置。
【請求項2】
水路に設けられ、前記水路を流れる液体に含まれる異物を遠心分離する遠心分離装置であって、
前記水路と連通接続されたケースと、
前記ケース内に回転可能に設けられた中空の回転筒と、
前記回転筒内に前記水路から前記液体を流入させる液体入口と、
前記回転筒内から前記水路へ前記液体を流出させる液体出口と、
前記回転筒を回転駆動する筒モータと、
前記液体入口の上流側に設けられた旋回流生成部と、を備え、
前記旋回流生成部は、
前記液体入口と連通する円筒部と、
前記円筒部の上流側に設けられた渦巻部と、
前記水路から前記渦巻部に液体が流入する液体流入部と、を有し、
前記液体流入部は、前記円筒部の側壁より外方に設けられ、
前記旋回流生成部は、
前記渦巻部の側壁と前記水路とが接続される第一の接続部と、
前記渦巻部の側壁と前記円筒部の側壁とが接続される第二の接続部と、を有し、
前記第一の接続部と前記第二の接続部とは、前記円筒部の中心をはさんで反対の位置関係とする遠心分離装置。
【請求項3】
水路に設けられ、前記水路を流れる液体に含まれる異物を遠心分離する遠心分離装置であって、
前記水路と連通接続されたケースと、
前記ケース内に回転可能に設けられた中空の回転筒と、
前記回転筒内に前記水路から前記液体を流入させる液体入口と、
前記回転筒内から前記水路へ前記液体を流出させる液体出口と、
前記回転筒を回転駆動する筒モータと、
前記液体入口の上流側に設けられた旋回流生成部と、を備え、
前記旋回流生成部は、
前記液体入口と連通する円筒部と、
前記円筒部の上流側に設けられた渦巻部と、
前記水路から前記渦巻部に液体が流入する液体流入部と、を有し、
前記液体流入部は、前記円筒部の側壁より外方に設けられ、
前記旋回流生成部は、前記液体流入部の下流側に、前記円筒部の側壁と同一半径である円弧壁が設けられた遠心分離装置。
【請求項4】
被洗浄物と前記液体である洗濯水とを収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽内の洗濯水を循環させる前記水路と、
前記水路に設けられ、前記水路を流れる洗濯水に含まれる異物を遠心分離する請求項1~のいずれか1項に記載の遠心分離装置と、
を備えた洗濯機。
【請求項5】
水路に設けられ、前記水路を流れる液体に含まれる異物を遠心分離する遠心分離装置であって、
前記水路と連通接続されたケースと、
前記ケース内に回転可能に設けられた中空の回転筒と、
前記回転筒内に前記水路から前記液体を流入させる液体入口と、
前記回転筒内から前記水路へ前記液体を流出させる液体出口と、
前記回転筒を回転駆動する筒モータと、
前記液体入口の上流側に設けられた旋回流生成部と、を備え、
前記旋回流生成部は、
前記液体入口と連通する円筒部と、
前記水路から前記液体が流入する液体流入部と、
前記液体流入部から流入する液体を旋回させる旋回流路と、を有し、
前記旋回流路は、前記旋回流生成部の中心に設けられた円柱状の凸部と、前記旋回流生成部の側壁と、によって形成され、
前記旋回流生成部は、前記円筒部の上流側に設けられた渦巻部を有し、
前記液体流入部は、前記円筒部の側壁より外方に設けられ、
前記渦巻部の側壁は、前記液体流入部からの距離に応じて、前記円筒部の側壁に向けて近づくように構成された遠心分離装置。
【請求項6】
前記旋回流路は、前記液体流入部と対向する位置において、流路の幅が前記液体流入部と同等に設定された請求項に記載の遠心分離装置。
【請求項7】
被洗浄物と前記液体である洗濯水とを収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽内の洗濯水を循環させる前記水路と、
前記水路に設けられ、前記水路を流れる洗濯水に含まれる異物を遠心分離する請求項5または6に記載の遠心分離装置と、
を備えた洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水路を流れる液体に含まれる異物を遠心分離する遠心分離装置、および、遠心分離装置を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
遠心分離装置を洗濯機に搭載した例として、洗濯中に洗濯物から遊離した汚れ等の異物を、遠心分離装置によって、洗濯水から分離して洗濯水を浄化することが考えられている。この構成によって、分離された汚れ等が洗濯物へ再付着することを抑えることができる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図15は、従来の洗濯機に搭載された遠心分離装置の要部断面図である。図16は、図15における16-16断面図である。
【0004】
図15および図16に示されるように、遠心分離装置51は、洗濯槽(図示せず)内の洗濯水を循環させる水路52に設けられ、洗濯槽内の洗濯水に含まれる異物を遠心分離する。そのために、遠心分離装置51は、水路52に連通接続された円筒状のケース53と、ケース53内に回転可能に設けられた円筒状の回転筒54と、回転筒54を回転駆動する筒モータ55と、水路52から洗濯水が流入する旋回流生成部56と、を有している。
【0005】
水路52は、図16に示すように、円筒状に構成された旋回流生成部56の中心62に対して側方に偏って、旋回流生成部56と連通するように接続されている。そして、異物を含む洗濯水は、水路52から旋回流生成部56に流入し、旋回流生成部56で旋回成分が付与され、洗濯水入口57から回転筒54内に流入する。
【0006】
回転筒54は、筒モータ55によって高速で回転している。したがって、回転筒54内に流入した洗濯水は、回転筒54内を高速で旋回する。この旋回流による遠心力の作用によって、洗濯水中に含まれる異物は、回転筒54の内周面58に向かって集積される。異物が除去された洗濯水は、ポンプ部59に設けられたポンプ羽根60によるポンプ作用によって水路52へ吐出され、洗濯槽との間で循環するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-183277号公報
【発明の概要】
【0008】
しかしながら、従来の構成では、旋回流生成部56内を流れる洗濯水は、旋回流生成部56の中心62から外れた位置を渦中心63として旋回し、回転筒54内での異物の分離性能が低下するという課題があった。
【0009】
水路52から旋回流生成部56に流入する洗濯水の流れを図16の矢印Xで示す。水路52から旋回流生成部56に流入した洗濯水は、旋回流生成部56で旋回を開始する。これを矢印Yで示す。旋回流生成部56内を一周した洗濯水は、水路52から流入する洗濯水の流れに進路を妨害される。そのため、旋回流生成部56内で一周した洗濯水は、旋回流生成部56の内周面61に沿って旋回することができず、旋回流生成部の中心62側に寄った流れになる。これを矢印Zで示す。その結果、旋回流生成部56内を流れる洗濯水の旋回流は、旋回流生成部56の中心62から外れた位置を渦中心63として旋回することとなる。
【0010】
図15に示されるように、旋回流生成部の中心62と、回転筒54の回転軸64とは一致するように設けられている。しかしながら、上述のように、洗濯水においては、旋回流生成部56内の旋回流の渦中心63が、旋回流生成部の中心62から外れた位置であることにより、回転筒54の回転軸64とで位置がずれる。すなわち、旋回流生成部56で旋回成分が付与された洗濯水は、洗濯水入口57から回転筒54内に流入する際に旋回流に乱れが生じる。その結果、旋回流生成部56における洗濯水への旋回成分付与効果が減少し、回転筒54内での異物の分離性能が低下するという課題があった。
【0011】
本開示は、旋回流生成部内で生成される旋回流の乱れを少なくして、液体から異物を効果的に分離して浄化することができる遠心分離装置、および、遠心分離装置を備えた洗濯機を提供する。
【0012】
本開示は、水路に設けられ、水路を流れる液体に含まれる異物を遠心分離する遠心分離装置であって、水路と連通接続されたケースと、ケース内に回転可能に設けられた中空の回転筒と、を備える。また、回転筒内に水路から液体を流入させる液体入口と、回転筒内から水路へ液体を流出させる液体出口とを有し、回転筒を回転駆動する筒モータと、液体入口の上流側に設けられた旋回流生成部と、を備える。さらに、旋回流生成部は、液体入口と連通する円筒部と、円筒部の上流側に設けられた渦巻部と、水路から渦巻部に液体が流入する液体流入部とを有し、円筒部の側壁より外方に液体流入部を設けている。
【0013】
この構成によって、旋回流生成部内で一周した液体が、水路から流入する液体の流れに進路を妨害されることなく、円筒部の側壁に沿った旋回流を生成することができる。したがって、旋回流生成部内を流れる旋回流の渦中心と、円筒部の中心と、さらに、回転筒の回転軸とを一致させることができる。そのため、旋回流生成部内で生成される旋回流の乱れを少なくして、液体に旋回成分が付与される。以上によって、回転筒内において液体に含まれる異物に強い遠心力を作用させることができ、液体から異物を効果的に分離することができる。
【0014】
また、本開示の洗濯機は、被洗浄物と液体である洗濯水とを収容する洗濯槽と、洗濯槽内の洗濯水を循環させる水路と、水路に設けられ、水路を流れる洗濯水に含まれる異物を遠心分離する上記遠心分離装置を備えた洗濯機である。
【0015】
この構成により、洗濯物から遊離した汚れ物質等の洗濯水に含まれる異物を、遠心分離装置において効果的に分離する洗濯機を実現することができる。そして、汚れ物質等の洗濯物への再付着を抑えて洗浄効果を高めることができる。
【0016】
また、従来の構成では、水路52から旋回流生成部56に洗濯水が流入する際に、流れる方向が広がることから流速が低下し、旋回流生成部56において生成される旋回流が弱くなるという課題があった。
【0017】
本開示は、旋回流生成部内で高速の旋回流が生成され、回転筒内において液体から異物を効果的に分離して浄化することができる遠心分離装置、および、遠心分離装置を備えた洗濯機を提供する。
【0018】
本開示は、水路に設けられ、水路を流れる液体に含まれる異物を遠心分離する遠心分離装置であって、水路と連通接続されたケースと、ケース内に回転可能に設けられた中空の回転筒と、を備える。また、回転筒内に水路から液体を流入させる液体入口と、回転筒内から水路へ液体を流出させる液体出口とを形成し、回転筒を回転駆動する筒モータと、液体入口の上流側に設けられた旋回流生成部とを備える。さらに、旋回流生成部は、液体入口と連通する円筒部と、水路から液体が流入する液体流入部と、液体流入部から流入する液体を旋回させる旋回流路とを有し、旋回流路を、旋回流生成部の中心に設けられた円柱状の凸部と、旋回流生成部の側壁とによって形成している。
【0019】
この構成によって、液体流入部から流入した液体は、円柱状の凸部を中心にして旋回流路に沿った流れで旋回流が生成されることにより流速の低下が抑えられ、旋回流生成部内において高速の旋回流によって液体に旋回成分が付与される。したがって、回転筒内において液体に含まれる異物に強い遠心力を作用させることができ、液体から異物を効果的に分離することができる。
【0020】
また、本開示の洗濯機は、被洗浄物と液体である洗濯水とを収容する洗濯槽と、洗濯槽内の洗濯水を循環させる水路と、水路に設けられ、水路を流れる洗濯水に含まれる異物を遠心分離する上記遠心分離装置を備えた洗濯機である。
【0021】
この構成により、洗濯物から遊離した汚れ物質等の洗濯水に含まれる異物を、遠心分離装置において効果的に分離する洗濯機を実現することができる。そして、汚れ物質等の洗濯物への再付着を抑えて洗浄効果を高めることができる。
【0022】
このように、本開示の遠心分離装置、および、遠心分離装置を備えた洗濯機は、液体から異物を効果的に分離して浄化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本開示の第1の実施の形態における遠心分離装置を備えた洗濯機の概略構成図である。
図2図2は、本開示の第1の実施の形態における遠心分離装置の要部断面図である。
図3図3は、図2における3-3断面図である。
図4図4は、図2における4-4断面図である。
図5図5は、本開示の第1の実施の形態における遠心分離装置を備えた洗濯機のブロック構成図である。
図6図6は、本開示の第2の実施の形態における遠心分離装置の要部断面図である。
図7図7は、図6における7-7断面図である。
図8図8は、本開示の第3の実施の形態における遠心分離装置を備えた洗濯機の概略構成図である。
図9図9は、本開示の第3の実施の形態における遠心分離装置の要部断面図である。
図10図10は、図9における10-10断面図である。
図11図11は、図9における11-11断面図である。
図12図12は、本開示の第3の実施の形態における遠心分離装置を備えた洗濯機のブロック構成図である。
図13図13は、本開示の第4の実施の形態における遠心分離装置の要部断面図である。
図14図14は、図13における14-14断面図である。
図15図15は、従来の洗濯機に搭載された遠心分離装置の要部断面図である。
図16図16は、図15における16-16断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本開示が限定されるものではない。
【0025】
(第1の実施の形態)
本開示の遠心分離装置として、洗濯機に活用する例を説明する。なお、遠心分離装置は、洗濯機に限らず、水路を流れる液体に含まれる異物を分離する装置に活用できる。
【0026】
図1は、本開示の第1の実施の形態における遠心分離装置を備えた洗濯機の概略構成図である。図1に示されるように、洗濯機は、被洗浄物と液体である洗濯水を収容する洗濯槽として、外槽1と、外槽1内に回転可能に設けられた回転槽4とを有する。
【0027】
外槽1は有底筒状に構成され、洗濯機の外枠を構成する筐体2の内部において、複数のサスペンション機構3によって弾性的に支持されている。回転槽4は、有底筒状に構成され、外槽1内に設けられている。また、投入口6は回転槽4の前面側(図1において左側)に設けられている。
【0028】
回転槽4は、槽回転軸7を中心として回転可能に設けられ、洗濯物5を収容する。回転槽4の周壁面には、内方へ突出した複数(例えば、3個)のバッフル8と、多数の小孔9が設けられている。また、外槽1内と回転槽4内とは、小孔9を通して連通している。外槽1と回転槽4と槽回転軸7とは、水平に対して角度θ(例えば、20°)前上がり(図1において左上方向)に傾けて設けられている。
【0029】
回転槽4は、外槽1の後部に設けられたモータ10によって、正逆回転自在に構成されている。モータ10は、例えば、ブラシレス直流モータで構成される。そして、後述する制御部31(図5参照)のインバータ制御によって、モータ10は、回転槽4の回転速度を自在に変化させることができる。
【0030】
筐体2の前面には、略円形状に形成された扉11が設けられている。使用者は、扉11と投入口6とを開閉することによって、回転槽4内に洗濯物5を出し入れする。外槽1の開口部1aは、投入口6と対向して形成される。また、伸縮自在な蛇腹状のパッキン12によって開口部1aと筐体2とは気密構成を確保して連結されている。
【0031】
給水口13は、筐体2の後面上部に設けられ、洗濯水を供給する。給水口13は、水道の蛇口13aと接続されている。したがって、洗濯水は給水口13から供給される水道水である。また、給水弁14と洗剤ケース15とが給水口13の下流側に設けられている。給水弁14は、制御部31によって開閉駆動され、洗濯水の給水および停止を行う。
【0032】
図1の矢印Aで示すように、洗剤ケース15は、洗剤投入部15aを洗剤ケース15から前面側へ引き出し可能に構成されている。この構成により、使用者は、洗剤ケース15内への洗剤の投入が容易に行える。給水口13から供給された洗濯水は、洗剤ケース15に流入する。そして、洗濯水は、洗剤ケース15内に投入されている洗剤を溶かしながら外槽1へ流入する。この洗濯水の流れを矢印Bで示す。
【0033】
また、洗濯水を排出する排水口16が外槽1の底部に設けられている。排水口16には排水路17が連結されている。排水路17には排水弁18が設けられている。排水弁18は、制御部31によって開閉駆動され、洗濯水を外槽1内に溜めたり筐体2の外に排水したりする。
【0034】
水路19は、一端が、排水路17に接続され、他端は、外槽1の前寄りの下部に連通接続されている。ここで、水路19は、外槽1外の下方に位置し、筐体2の前後方向に形成されている。また、水路19は、外槽1の下方に設けられた遠心分離装置20と連通接続している。また、水路19は、排水路17と遠心分離装置20をつなぐ水路19aと、遠心分離装置20と外槽1の前寄りの下部をつなぐ水路19bを有している。そして、水路19aを介して、外槽1内の洗濯水が遠心分離装置20へ流入する。また、水路19bを介して、遠心分離装置20を通過した洗濯水が外槽1内へ流出する。
【0035】
洗濯水は、排水弁18を閉じているときは、排水口16から排水路17を経由して水路19aを流れた後、遠心分離装置20を通過する。そして、遠心分離装置20を通過する際に、以下に説明するように、洗濯水に含まれる異物が分離される。ここで、異物には、洗濯物5から遊離した汚れや糸屑、洗濯水に溶解した洗剤に含まれる水軟化剤等が含まれる。
【0036】
図2は、本実施の形態における遠心分離装置の要部断面図である。図3は、図2における3-3断面図である。図4は、図2における4-4断面図である。
【0037】
遠心分離装置20は、水路19に連通接続されたケース21と、ケース21内に回転可能に設けられた中空の回転筒22と、回転筒22を回転駆動する筒モータ23とを有している。
【0038】
回転筒22には、水路19aから回転筒22内に液体を流入させる液体入口22aと、回転筒22内から水路19bへ液体を流出させる液体出口22bとが設けられている。また、回転筒22は、円筒状の内周面22cを有している。回転筒22の回転軸22dは、鉛直方向に設定されている。
【0039】
本実施の形態における遠心分離装置20は、洗濯機に搭載されていることから、液体は、洗濯物5を洗う洗濯水である。したがって、以降の説明においては、液体を洗濯水として説明する。なお、洗濯水は、洗剤を含んだ水(例えば、水道水)、洗剤を含まない水、すすぎ動作時のすすぎ水等を含む。
【0040】
外槽1内の洗濯水は、図2に示されるように、水路19aを通り、回転筒22底面の中央部に設けられた液体入口22aから回転筒22内に流入する。その後、回転筒22内に流入した洗濯水は、回転筒22の上部に設けられた液体出口22bから水路19bへ流出する。このように、液体入口22aが液体出口22bの下方にあるため、遠心分離装置20を通過する洗濯水は、回転筒22内を下方から上方に向かって流れる。なお、遠心分離装置20は、洗濯水の流れ方向が垂直方向となるように設置されるほか、水平方向や斜め方向へ流れるように設置されてもよい。
【0041】
筒モータ23は、回転筒22が、例えば、約4000rpmの高速で回転するように設定されている。これにより、回転筒22内に導入された洗濯水は回転筒22内で旋回し、高速の旋回流が発生する。洗濯水が、回転筒22内を通過する間に、回転筒22の高速回転により遠心力を受ける。これによって、洗濯水に含まれる異物は遠心分離され、回転筒22の内周面22cに向かって集積される。
【0042】
内周面22cは回転筒22の回転軸22dを中心とし、内周面22cの直径は、液体入口22aおよび液体出口22bの最大径より大きく構成されている。これによって、回転筒22の回転軸22dから、内周面22cに向かうほど、遠心力は強まる。
【0043】
したがって、この遠心力によって、回転筒22を通過する洗濯水から分離された異物は、回転筒22の内周面22cに近づくほど、より強い遠心力で内周面22cに保持される。その結果、遠心力によって分離された異物は、回転筒22を通過する洗濯水の循環流に引き込まれて戻ることがない。すなわち、洗濯物5に汚れが再付着することを抑えることができ、洗浄力を向上させることができる。
【0044】
また、遠心分離装置20には、旋回流生成部24が、ケース21を通過する洗濯水の流入側に設けられている。旋回流生成部24は、ケース21と一体的に形成されており、円筒部25と渦巻部26とを有する。円筒部25は、液体入口22aと連通し、円筒部25の中心25aは、回転筒22の回転軸22dと一致するように設けられる。渦巻部26は、円筒部25の上流側に設けられ、円筒部25および水路19aと連通接続する。
【0045】
渦巻部26は、図3に示すように、渦巻部26の側壁26aと水路19aの側壁19cとが、第一の接続部27aで接線状に接続されている。また、渦巻部26の側壁26aと円筒部25の側壁25bとが、第二の接続部27bで接線状に接続されている。
【0046】
液体流入部28は、水路19aから渦巻部26に液体が流入するように設けられる。液体流入部28は、実質的に第一の接続部27aにおいて形成され、円筒部25の側壁25bより外方に設けられている。ここで、水路の側壁19c、円筒部25の側壁25b、および、渦巻部26の側壁26a、の厚みは各々一定とする。
【0047】
また、円筒部25の中心25aから渦巻部26の側壁26aまでの距離Gは、第二の接続部27bにおいて円筒部25の半径Hと同一となるように、第一の接続部27aから連続的に短くなるように変化させている。例えば、渦巻部26の側壁26aは、第一の接続部27aである液体流入部28から第二の接続部27bへの距離に応じて、円筒部25の側壁25bに向けて徐々に近づくように構成されている。
【0048】
そして、第一の接続部27aと第二の接続部27bとは、円筒部25の中心25aを挟んで反対に位置するように構成されている。
【0049】
このとき、第一の接続部27aを起点とし第二の接続部27bまでの角度を、角度α1とする。角度α1は、例えば、90°≦α1≦270°である。好ましくは、170°≦α1≦190°であり、本実施の形態における角度α1は、180°である。
【0050】
遠心分離装置20は、図2および図4に示されるように、ポンプ部29が、ケース21を通過する洗濯水の流出側に設けられている。ポンプ部29には、回転筒22と一体的に形成されたポンプ羽根29aが配設されている。水路19bは、ポンプ羽根29aの回転中心から側方に偏ってポンプ部29に連通接続されている。
【0051】
ポンプ羽根29aは、筒モータ23の駆動により回転筒22とともに回転する。ポンプ羽根29aによるポンプ作用によって、外槽1内の洗濯水は、外槽1外の下方に形成された水路19を流れて遠心分離装置20を通過する。これによって、洗濯水は、図1の矢印Cで示されるように循環する。
【0052】
このとき、水路19を流れる洗濯水の流速は、ポンプの能力によって設定可能である。ポンプの能力は、ポンプ羽根29aの回転数に加え、ポンプ羽根29aの枚数(本実施の形態では8枚)や、形状等によって設定することができる。
【0053】
これにより、洗濯水は、水路19を流れて遠心分離装置20と外槽1との間を循環する。洗濯水が遠心分離装置20を通過する循環流の流速をV1とし、洗濯水が回転筒22内で洗濯水が旋回する旋回流の流速をV2とする。そして、旋回流の流速V2が循環流の流速V1より高速となるように、すなわち、V2>V1に設定されている。
【0054】
制御部31は、筐体2内の下部に設けられている。図5は、本実施の形態における遠心分離装置を備えた洗濯機のブロック構成図である。制御部31には、回転槽4に投入された洗濯物5の量を検知する布量検知部32の出力と、外槽1内に給水された洗濯水の量を検知する水量検知部33の出力と、回転槽4の回転駆動を検知する回転検知部34等の出力が入力される。制御部31は、操作表示部35により、使用者が設定した洗濯コースに基づいて、モータ10、給水弁14、排水弁18、筒モータ23等の駆動を制御し、洗濯運転を実行する。洗濯運転には、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程が含まれる。
【0055】
以上のように構成された遠心分離装置20を備えた洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。洗濯運転において、洗い工程は、洗剤の溶解した洗濯水が外槽1に給水され、回転槽4の回転によって叩き洗いを行いながら洗濯物5の汚れが洗い落とされる工程である。洗い工程に続いて、すすぎ工程では、例えば、第一の中間脱水動作、第一のすすぎ動作、第二の中間脱水動作、第二のすすぎ動作、の各動作が行われる。そして、すすぎ工程に続いて、洗濯運転の最後である脱水工程が実行される。
【0056】
以下に、洗濯運転の詳細を説明する。まず、洗濯運転のはじめに、使用者は、筐体2の前面に設けられた扉11を開いて、投入口6から回転槽4内に洗濯物5を投入する。次に、使用者は、筐体2の前面上部に設けられている操作表示部35の電源スイッチ(図示せず)を入れ、洗濯コースを設定する。その後、使用者は、操作表示部35のスタートスイッチ(図示せず)を操作して洗濯運転を開始する。
【0057】
洗濯運転の開始により、制御部31は、最初に、回転槽4内に投入された洗濯物5の量を布量検知部32によって検知する。洗濯物5の量は、回転槽4を回転させたときにモータ10にかかるトルク量、または、モータ10の電流値等から検知される。
【0058】
制御部31は、検知した洗濯物5の量に応じて、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程の時間および洗濯水の量を設定する。併せて、洗濯物5の量に応じて予め設定された洗剤量を操作表示部35に表示する。使用者は、洗剤ケース15から洗剤投入部15aを引き出し、操作表示部35に表示された洗剤量の目安にしたがって洗剤を洗剤投入部15aに投入した後、洗剤投入部15aを洗剤ケース15内へ移動させる。
【0059】
制御部31は、洗い工程において、洗剤の投入が完了した頃を見計らって給水弁14を開く。これによって、洗濯水が給水口13から洗剤ケース15に流入し、図1の矢印Bに示されるように、投入されている洗剤を溶かしながら外槽1へ洗濯水が給水される。外槽1内の底部に溜まった洗濯水は、小孔9から回転槽4内に流入する。外槽1内に溜まった洗濯水の量は、水量検知部33で検知される。制御部31は、外槽1内に溜まった洗濯水の量が、洗濯物5の量に応じて予め設定された所定量に達すると、給水弁14を閉じて給水を止める。
【0060】
制御部31は、以上の給水動作が完了すると、モータ10を駆動して回転槽4を回転させ、以下に説明する洗浄動作を行う。洗浄動作では、制御部31は回転槽4を回転させることによって、回転槽4内の洗濯物5はバッフル8によって回転方向へ持ち上げられて上方から落下し、回転槽4の底面あるいは回転槽4の底に溜まっている洗濯物5に叩きつけられる。洗剤による化学力と併せて、この機械力によって叩き洗いが行われる。洗濯物5を叩き洗いするときの回転槽4の回転数は、例えば、45rpmである。制御部31は、所定時間毎(例えば、数分間毎)に回転槽4を反転させ正逆回転駆動する。
【0061】
制御部31は、上述の洗浄動作を所定時間行うと、排水弁18を開いて外槽1内の洗濯水を機外へ排水する。これにより、洗濯水は、水路19を循環する方向である矢印Cとは逆方向に流れる。また、回転筒22の内周面22cに集められた異物は、この洗濯水の流れに乗り、排水弁18を通して筐体2の外へ排出される。これにより、浄化される洗濯水の一部を遠心分離中に捨てるような構成とする必要がない。
【0062】
以上のように、制御部31は、洗浄動作を所定時間行った後、排水弁18を通して外槽1内の洗濯水を排出し、給水動作および洗浄動作を有する洗い工程を完了する。この排水が完了した後、すすぎ工程に移る。
【0063】
すすぎ工程では、第一の中間脱水動作に続いて第一のすすぎ動作が行われる。その後、第二の中間脱水動作に続いて第二のすすぎ動作が行われる。すすぎ工程においても、洗い工程と同様に、制御部31は、給水弁14を開いて外槽1内に所定量の洗濯水を給水し、回転槽4を正逆回転させる。これによって洗濯物5のすすぎが行われる。ここで、洗濯水は、洗剤を含まない水、すすぎ水である。
【0064】
すすぎ工程後に行われる脱水工程では、制御部31は、排水弁18を開いて外槽1内の洗濯水を機外へ排出する。そして、制御部31は、モータ10により洗濯物5の入った回転槽4を高速で回転させて脱水を行う。
【0065】
以上のように、制御部31は、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を行って、洗濯運転を終了する。洗い工程、すすぎ工程、脱水工程においては、回転槽4の回転による振動によって外槽1全体の振動が生じる。この振動は、サスペンション機構3により吸収されて筐体2の振動は抑制される。
【0066】
次に、遠心分離装置20において洗濯水が浄化される作用について説明する。洗い工程において、洗濯水は、汚れ物質などのさまざまな異物を含む。遠心分離装置20によって分離される異物として、水より比重が重いものがある。例えば、汚れ物質は、砂、繊維屑、髪の毛、角質汚れなどである。また、水より比重が軽くても、糸屑などの水より比重が重いものに付着するものが分離される。例えば、皮脂に代表される脂分などがある。
【0067】
洗い工程において、制御部31は、筒モータ23を駆動させ、外槽1内の汚れ物質を含む洗濯水を遠心分離装置20へ循環させる。すなわち、筒モータ23の駆動により、回転筒22とポンプ羽根29aとが回転する。外槽1内の洗濯水は、ポンプ羽根29aによるポンプ作用により、排水口16から流出し、水路19aを通って液体流入部28から旋回流生成部24の渦巻部26に流入する。
【0068】
水路19aは、図3に示すように、円筒部25の外周側に設けられている。また、液体流入部28は、円筒部25の側壁25bより外方に設けられている。このため、水路19aから渦巻部26に流入する洗濯水の流れ(矢印i)は、渦巻部26内を一周してきた洗濯水の流れ(矢印J)を阻害することなく、円筒部25の側壁25bに沿った流れ(矢印K)を生成することができる。これにより、旋回流生成部24内で生成される旋回流は、渦中心25cと円筒部25の中心25aとが一致するように生成される。
【0069】
このようにして、旋回流生成部24において旋回成分が付与された洗濯水は、液体入口22aから回転筒22内に流入する。また、回転筒22は筒モータ23によって回転している。
【0070】
ここで、旋回流生成部24で生成される旋回流の渦中心25cの位置が、回転筒22の回転軸22dとずれている場合、液体入口22aで旋回流が乱れ、下流である回転筒22内での旋回流に乱れが生じる。しかし、本実施の形態においては、上述のように、旋回流生成部24で生成される旋回流の渦中心25cが、回転筒22の回転軸22dと一致するため、回転筒22内に導入された洗濯水は、回転筒22内で乱れの少ない高速の旋回流を発生させることができる。
【0071】
以上のように、洗濯水は、液体入口22aから回転筒22内に導入されて回転筒22を通過し、液体出口22bから流出する。このとき、洗濯物から遊離した、洗濯水より比重の重い異物(砂、髪の毛、角質汚れなど)は、乱れの少ない高速の旋回流による強い遠心力の作用によって、回転筒22の内周面22cに向かい集積される。また、洗濯水に含まれる汚れの内、水より比重が軽いもの(皮脂に代表される脂分など)でも、水より比重が重いもの(糸屑など)に付着するものは洗濯水から分離するので洗濯水から除去することができる。このようにして、洗濯水に含まれる洗濯物特有の汚れ物質は、洗濯水から遠心分離されて除去される。
【0072】
一方、回転筒22の回転軸22d近傍を通過する循環流より外側にあって、回転筒22の内周面22cより内側にある、回転筒22内を満たす洗濯水は、回転筒22の液体入口22aおよび液体出口22bが循環流で占められている。加えて、回転筒22内の洗濯水に、高速の旋回流により回転筒22の内周面22cに向かって強い遠心力が作用している。このため、この遠心力により洗濯水から分離されて回転筒22の内周面22cに向かう汚れ物質は、回転筒22を通過する循環流に引き込まれて戻ることがない。すなわち、分離した汚れ物質が循環流とともに外槽1に戻り洗濯物5に再付着することが抑えられるので、洗浄効果を高めることができる。
【0073】
また、遠心分離装置20の回転筒22内では、洗濯水が旋回しながら、下から上に向かって通過する。このとき、洗濯水に洗剤によって生じる気泡、および、水路19中の気泡が旋回流生成部24から回転筒22内に入ってくることがある。このような場合でも、まず、水より軽い気泡は、旋回流によって回転筒22の中心部に集まり、さらに、上方へ浮上しようとする作用と、洗濯水が下から上に向かう流れとが相まって、液体出口22bから回転筒22外へ容易に排出される。
【0074】
これによって、水より軽い気泡が回転筒22内に留まることによって生じる、回転筒22内の水と気泡分布のアンバランスを抑え、回転筒22を回転させるために必要な筒モータ23のトルクの変動を最小限に抑えることができる。また、トルク変動によって生じる回転筒22の回転数変動も抑えることができる。また、水と気泡分布のアンバランスによって発生する回転筒22の回転振動を抑えることができるため、ケース21内であっても回転筒22をより大きく構成することができる。さらに、回転筒22内に水より軽い気泡が留まることによって生じる、回転筒22内の流れの乱れを抑えることによって、洗濯水から一旦分離されて内周面22cに保持された異物が、再び洗濯水へ戻ってしまうことを抑えることもできる。
【0075】
また、回転筒22内で汚れ物質が分離された洗濯水は、液体出口22bからポンプ部29へ流出する。本実施の形態では、旋回流生成部24で生成される旋回流の渦中心25cと、回転筒22の回転軸22dとが一致しているため、回転筒22内で乱れの少ない旋回流を生成することができる。したがって、ポンプ羽根29a間に均一に洗濯水を流入させることができる。このため、流入量の不均一によるポンプ性能の低下や、ポンプ羽根29aへの圧力の不均一によるアンバランスによって生じる耐久性能の低下などが生じない構成となっている。
【0076】
また、ポンプ部29に流入した洗濯水は、ポンプ羽根29aによるポンプ作用により、水路19bを通って外槽1に流入する。そして、外槽1内の洗濯水は、遠心分離装置20に備えられたポンプ機能により、水路19を通して遠心分離装置20との間で循環し、洗濯水の浄化が進行する。これによって、分離した汚れ物質が洗濯物5へ再付着することを抑えることができる。
【0077】
ここで、遠心分離装置20は、ポンプ作用を有するポンプ羽根29aが回転筒22と一体的に設けられ、制御部31は、回転筒22を回転させて遠心分離装置20と外槽1との間で洗濯水の循環を行う。したがって、洗濯水循環用のポンプを遠心分離装置20と別異に設ける必要がなく、構成を簡略にすることができる。
【0078】
また、制御部31は、排水時に排水弁18を開き、水路19を循環する矢印Cの方向とは逆方向に洗濯水を流す。回転筒22の内周面22cに集められた異物は、この洗濯水の流れに乗って、排水弁18を通して筐体2の外へ排出される。これにより、浄化される洗濯水の一部を遠心分離中に捨てるような構成とする必要がない。
【0079】
なお、洗濯水に含まれる異物の分離は、洗い工程のほか、すすぎ工程でも実行することができる。すすぎ工程において、洗濯物5から洗濯水に出た異物を遠心分離装置20で分離することにより、すすぎ効果を高めることができる。すすぎ時は、洗剤に含まれる洗浄助剤のうち、比重が水より重いゼオライトを除去することが可能であり、すすぎ性能が向上する。
【0080】
以上のように、本実施の形態の遠心分離装置20は、水路19に設けられ、水路19を流れる洗濯水(液体)に含まれる異物を遠心分離するものである。遠心分離装置20は、水路19と連通接続されたケース21と、ケース21内に回転可能に設けられた中空の回転筒22と、を備える。また、回転筒22内に水路19aから洗濯水を流入させる液体入口22aと、回転筒22内から水路19bへ洗濯水を流出させる液体出口22bとを有し、回転筒22を回転駆動する筒モータ23と、液体入口22aの上流側に設けられた旋回流生成部24とを備える。さらに、旋回流生成部24は、液体入口22aと連通する円筒部25と、円筒部25の上流側に設けられた渦巻部26と、水路19aから渦巻部26に洗濯水が流入する液体流入部28とを有し、液体流入部28は、円筒部25の側壁25bより外方に設けられたものである。
【0081】
この構成により、旋回流生成部24内で一周した洗濯水が、水路19aから流入する洗濯水の流れに進路を妨害されることなく、円筒部25の側壁25bに沿った旋回流を生成することができる。したがって、旋回流生成部24内を流れる旋回流の渦中心25cと、円筒部25の中心25aと、さらに、回転筒22の回転軸22dとを一致させることができる。そのため、旋回流生成部24内で生成される旋回流の乱れを少なくして、洗濯水に旋回成分が付与される。これによって、回転筒22内において洗濯水に含まれる異物に強い遠心力を作用させることができ、洗濯水から異物を効果的に分離することができる。
【0082】
また、渦巻部26の側壁26aと円筒部25の側壁25bとの距離は、液体流入部28からの距離に応じて近づくように構成されたものである。すなわち、渦巻部26の側壁26aは、液体流入部28からの距離に応じて、円筒部25の側壁25bに向けて徐々に近づくように構成されたものである。
【0083】
この構成により、旋回流生成部24で生成される旋回流の渦中心25cを、旋回流生成部24の下流に位置する回転筒22の回転軸22dに近づけることが可能になる。そのため、旋回流の乱れを少なくして強力な遠心力を作用させることができ、洗濯水から異物を効果的に分離することができる。
【0084】
また、旋回流生成部24は、渦巻部26の側壁26aと水路19aとが接続される第一の接続部27aと、渦巻部26の側壁26aと円筒部25の側壁25bとが接続される第二の接続部27bとを有し、第一の接続部27aと第二の接続部27bとは、円筒部25の中心25aを挟んで反対に位置するように構成されている。
【0085】
この構成により、旋回流生成部24に流入した洗濯水が、渦巻部26の側壁26aに沿って流れることによって旋回流が生成される。
【0086】
(第2の実施の形態)
図6は、本開示の第2の実施の形態における遠心分離装置の要部断面図である。図7は、図6における7-7断面図である。第2の実施の形態の特徴は、液体流入部28の下流側に、円筒部25の側壁25bと同一半径である円弧壁30が設けられたている点である。他の構成は第1の実施の形態と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は第1の実施の形態のものを援用する。
【0087】
円弧壁30は、図7に示されるように、液体流入部28から下流側に向かって形成され、その内側側壁30aが円筒部25の側壁25bと同一半径に形成されている。円弧壁30の先端は、第一の接続部27aを起点として角度α2の位置まで延びている。角度α2は、例えば、0°<α2≦90°である。好ましくは、35°≦α2≦55°であり、本実施の形態における角度α2は、45°である。
【0088】
渦巻部26の側壁26aと、円弧壁30の外側側壁30bとの間の距離は、図7においてPおよびQで示すように、液体流入部28から下流へ行くにしたがって短くなるように設定されている。流路の高さ方向の長さは一定のため、液体流入部28から下流に行くにしたがって流路の断面積が徐々に狭くなる。すわなち、洗濯水の流速は加速される。
【0089】
以上のように、本実施の形態の旋回流生成部24は、液体流入部28の下流側に、円筒部25の側壁25bと同一半径である円弧壁30が設けられたものである。
【0090】
この構成により、渦巻部26の側壁と円弧壁30との間に形成される流路の断面積が徐々に小さくなり、旋回流生成部24で生成される洗濯水(液体)の旋回流の流速を速めることができる。その結果、速度の速い洗濯水を旋回流生成部24へ供給することができるので、旋回流生成部24において、より強い旋回流を生成することが可能である。加えて、乱れの少ない、より高速の旋回流を回転筒22内に発生させることができるため、より強力な遠心力を作用させることができる。これによって、異物の分離性能を高めることができる。
【0091】
なお、円弧壁30の厚みを変化させてもよい。この場合、円弧壁30の内側側壁30aの半径が円筒部25の側壁25bの半径と同一となるように設ける。そして、円弧壁30の外側側壁30bと渦巻部26の側壁26aとの間の距離が、図7においてP>Qとなるように、上流から下流に行くにしたがい距離を変化させる。例えば、円弧壁30の外側側壁30bを円筒部25の中心25aに近づけるように変化させる。これによって、乱れの少ない高速の旋回流を生成することができる。
【0092】
以上のように、第1の実施の形態および第2の実施の形態において、遠心分離装置、および、その遠心分離装置を備えた洗濯機を説明した。すなわち、洗濯機は、被洗浄物5と液体である洗濯水とを収容する、外槽1および洗濯槽4からなる洗濯槽と、洗濯槽内の洗濯水を循環させる水路19と、水路19に設けられ、水路19を流れる洗濯水に含まれる異物を遠心分離する第1の実施の形態または第2の実施の形態に記載の遠心分離装置20とを備える。
【0093】
この構成により、洗濯物5から遊離した汚れ物質等の洗濯水に含まれる異物を、遠心分離装置20において効果的に分離する洗濯機を実現することができる。そして、汚れ物質等の洗濯物5への再付着を抑えて洗浄効果を高めることができる。
【0094】
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、洗濯機のポンプ部29を遠心分離装置20に設け、筒モータ23によってポンプ羽根29aと回転筒22を一体的に回転させる構成としている。この他に、水路19にポンプ部(図示せず)を別途設け、図1の矢印Cで示すような循環流を生じさせる構成としてもよい。
【0095】
また、第1の実施の形態および第2の実施の形態においては、洗濯機の一例として、ドラム式洗濯機について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、洗浄水を用いて洗濯物を洗浄する洗濯機であればよい。すなわち、第1の実施の形態および第2の実施の形態が有する遠心分離装置は、ドラム式洗濯機のように叩き洗いをする構成、縦型洗濯機のように撹拌洗浄をする構成、または、収納ケース内で押し洗い、もしくは、シャワー洗浄をする構成等の、いずれの構成の洗濯機にも適用可能である。また、遠心分離装置は、洗濯機に限らず、液体から異物を分離し浄化する装置として活用できる。
【0096】
なお、上述の第1の実施の形態および第2の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0097】
(第3の実施の形態)
本開示の遠心分離装置として、洗濯機に活用する例を説明する。なお、遠心分離装置は、洗濯機に限らず、水路を流れる液体に含まれる異物を分離する装置に活用できる。
【0098】
図8は、本開示の第3の実施の形態における遠心分離装置を備えた洗濯機の概略構成図である。図8に示されるように、洗濯機は、被洗浄物と液体である洗濯水を収容する洗濯槽として、外槽101と、外槽101内に回転可能に設けられた回転槽104とを有する。
【0099】
外槽101は有底筒状に構成され、洗濯機の外枠を構成する筐体102の内部において、複数のサスペンション機構103によって弾性的に支持されている。回転槽104は有底筒状に構成され、外槽101内に設けられている。また、投入口106は回転槽104の前面側(図8において左側)に設けられている。
【0100】
回転槽104は、槽回転軸107を中心として回転可能に設けられ、洗濯物105を収容する。回転槽104の周壁面には、内方へ突出した複数(例えば、3個)のバッフル108と、多数の小孔109が設けられている。また、外槽101内と回転槽104内とは、小孔109を通して連通している。外槽101と回転槽104と槽回転軸107とは、水平に対して角度θ(例えば、20°)前上がり(図8において左上方向)に傾けて設けられている。
【0101】
回転槽104は、外槽101の後部に設けられたモータ110によって、正逆回転自在に構成されている。モータ110は、例えば、ブラシレス直流モータで構成される。そして、後述する制御部131(図12参照)のインバータ制御によって、モータ110は、回転槽104の回転速度を自在に変化させることができる。
【0102】
筐体102の前面には、略円形状に形成された扉111が設けられている。使用者は、扉111と投入口106とを開閉することによって、回転槽104内に洗濯物105を出し入れする。外槽101の開口部101aは、投入口106と対向して形成される。また、伸縮自在な蛇腹状のパッキン112によって開口部101aと筐体102とは気密構成を確保して連結されている。
【0103】
給水口113は、筐体102の後面上部に設けられ、洗濯水を供給する。給水口113は、水道の蛇口113aと接続されている。したがって、洗濯水は給水口113から供給される水道水である。また、給水弁114と洗剤ケース115とが給水口113の下流側に設けられている。給水弁114は、制御部131によって開閉駆動され、洗濯水の給水および停止を行う。
【0104】
図8の矢印Dで示されるように、洗剤ケース115は、洗剤投入部115aを洗剤ケース115から前面側へ引き出し可能に構成されている。この構成により、使用者は、洗剤ケース115内への洗剤の投入が容易に行える。給水口113から供給された洗濯水は、洗剤ケース115に流入する。そして、洗濯水は、洗剤ケース115内に投入されている洗剤を溶かしながら外槽101へ流入する。この洗濯水の流れを矢印Eで示す。
【0105】
また、洗濯水を排出する排水口116が外槽101の底部に設けられている。排水口116には排水路117が連結されている。排水路117には排水弁118が設けられている。排水弁118は、制御部131によって開閉駆動され、洗濯水を外槽101内に溜めたり筐体102の外に排水したりする。
【0106】
水路119は、一端が、排水路117に接続され、他端は、外槽101の前寄りの下部に連通接続されている。ここで、水路119は、外槽101外の下方に位置し、筐体102の前後方向に形成されている。また、水路119は、外槽101の下方に設けられた遠心分離装置120と連通接続している。また、水路119は、排水路117と遠心分離装置120をつなぐ水路119aと、遠心分離装置120と外槽101の前寄りの下部をつなぐ水路119bを有している。そして、水路119aを介して、外槽101内の洗濯水が遠心分離装置120へ流入する。また、水路119bを介して、遠心分離装置120を通過した洗濯水が外槽101内へ流出する。
【0107】
洗濯水は、排水弁118を閉じているときは、排水口116から排水路117を経由して水路119aを流れた後、遠心分離装置120を通過する。そして、遠心分離装置120を通過する際に、以下に説明するように、洗濯水に含まれる異物が分離される。ここで、異物には、洗濯物105から遊離した汚れや糸屑、洗濯水に溶解した洗剤に含まれる水軟化剤等が含まれる。
【0108】
図9は、本実施の形態における遠心分離装置の要部断面図である。図10は、図9における10-10断面図である。図11は、図9における11-11断面図である。
【0109】
遠心分離装置120は、水路119に連通接続されたケース121と、ケース121内に回転可能に設けられた中空の回転筒122と、回転筒122を回転駆動する筒モータ123とを有している。
【0110】
回転筒122には、水路119aから回転筒122内に液体を流入させる液体入口122aと、回転筒122内から水路119bへ液体を流出させる液体出口122bとが設けられている。また、回転筒122は、円筒状の内周面122cを有している。回転筒122の回転軸122dは、鉛直方向に設定されている。
【0111】
本実施の形態における遠心分離装置120は、洗濯機に搭載されていることから、液体は、洗濯物105を洗う洗濯水である。したがって、以降の説明においては、第1の実施の形態および第2の実施の形態と同様に液体を洗濯水として説明する。なお、洗濯水は、洗剤を含んだ水(例えば、水道水)、洗剤を含まない水、すすぎ動作時のすすぎ水等を含む。
【0112】
外槽101内の洗濯水は、図9に示されるように、水路119aを通り、回転筒122底面の中央部に設けられた液体入口122aから回転筒122内に流入する。その後、回転筒122内に流入した洗濯水は、回転筒122の上部に設けられた液体出口122bから水路119bへ流出する。このように、液体入口122aが液体出口122bの下方にあるため、遠心分離装置120を通過する洗濯水は、回転筒122内を下方から上方に向かって流れる。なお、遠心分離装置120は、洗濯水の流れ方向が垂直方向となるように設置されるほか、水平方向や斜め方向へ流れるように設置されてもよい。
【0113】
筒モータ123は、回転筒122が、例えば、約4000rpmの高速で回転するように設定されている。これにより、回転筒122内に導入された洗濯水が回転筒122内で旋回し、高速の旋回流が発生する。洗濯水が、回転筒122内を通過する間に、回転筒122の高速回転により遠心力を受ける。これによって、洗濯水に含まれる異物は遠心分離され、回転筒122の内周面122cに向かって集積される。
【0114】
内周面122cは、回転筒122の回転軸122dを中心とし、内周面122cの直径は、液体入口122aおよび液体出口122bの最大径より大きく構成されている。これによって、回転筒122の回転軸122dから、内周面122cに向かうほど、遠心力は強まる。
【0115】
したがって、この遠心力によって、回転筒122を通過する洗濯水から分離された異物は、回転筒122の内周面122cに近づくほど、より強い遠心力で内周面122cに保持される。その結果、遠心力によって分離された異物は、回転筒122を通過する洗濯水の循環流に引き込まれて戻ることがない。すなわち、洗濯物105に汚れが再付着することを抑えることができ、洗浄力を向上させることができる。
【0116】
また、遠心分離装置120には、旋回流生成部124が、ケース121を通過する洗濯水の流入側に設けられている。旋回流生成部124は、ケース121と一体的に形成されており、円筒部125と渦巻部126とを有する。円筒部125は、液体入口122aと連通し、円筒部125の中心125aは、回転筒122の回転軸122dと一致するように設けられる。渦巻部126は、円筒部125の上流側に設けられ、円筒部125および水路119aと連通接続する。
【0117】
渦巻部126は、図11に示すように、渦巻部126の側壁126aと水路119aの外側の側壁119cとが、第一の接続部127aで接線状に接続されている。また、渦巻部126の側壁126aと円筒部125の側壁125bとが、第二の接続部127bで接線状に接続されている。液体流入部128は、水路119aから渦巻部126に液体が流入するように設けられる。液体流入部128は、実質的に第一の接続部127aにおいて形成され、円筒部125の側壁125bより外方に設けられている。ここで、水路の側壁119c、円筒部の側壁125b、および、渦巻部の側壁126a、の厚みは各々一定とする。
【0118】
また、円筒部125の中心125aから渦巻部126の側壁126aまでの距離Qは、第二の接続部127bにおいて、円筒部125の半径Rと同一となるように、第一の接続部127aから連続的に短くなるように変化させている。例えば、渦巻部126の側壁126aは、第一の接続部127aである液体流入部128から第二の接続部127bへの距離に応じて、円筒部125の側壁125bに向けて徐々に近づくように構成されている。
【0119】
そして、第一の接続部127aと第二の接続部127bとは、円筒部125の中心125aを挟んで反対に位置するように構成されている。
【0120】
このとき、第一の接続部127aを起点とし第二の接続部127bまでの角度を、角度αとする。角度αは、例えば、90°≦α≦270°である。好ましくは、170°≦α≦190°であり、本実施の形態における角度αは、180°である。
【0121】
遠心分離装置120は、図10図11に示すように、旋回流路136が旋回流生成部124に設けられているとともに、旋回流路136は、旋回流生成部124の中央部に設けられた凸部137の外周壁と、旋回流生成部124の側壁124bと、渦巻部126の側壁126aとで形成されている。凸部137の半径Nは、円筒部125の中心125a側の水路119aの側壁119dと、円筒部125の中心125aとの距離である距離Wより小さく構成されている。
【0122】
凸部137は、旋回流生成部124の中心に設けられている。凸部137は、旋回流生成部124の底部から液体入口122aに向かって円柱状に形成されている。凸部137の中心は、円筒部125の中心125aおよび回転筒122の回転軸122dと一致する。凸部137の高さは、図11のように旋回流生成部124の高さとほぼ同等としてもよいし、それより高くして、液体入口122aや回転筒122内に突出しても構わない。
【0123】
液体流入部128から旋回流生成部124に流入した洗濯水は、旋回流路136を流れて旋回する。洗濯水は、旋回成分が付与され、円筒部125を上昇して液体入口122aから回転筒122内に流入する。
【0124】
凸部137の上面137aは、中央部から外周にかけて下方へ傾斜している。これにより、回転筒122内の異物が下方へ排出される際に、凸部137の上面137aを異物が滑落し、異物が上面137aに残らない構成となっている。なお、凸部137は、中空の円筒状であってもよい。
【0125】
遠心分離装置120は、図9および図10に示されるように、ポンプ部129が、ケース121を通過する洗濯水の流出側に設けられている。ポンプ部129には、回転筒122と一体的に形成されたポンプ羽根129aが配設されている。水路119bは、ポンプ羽根129aの回転中心から側方に偏ってポンプ部129に連通接続されている。
【0126】
ポンプ羽根129aは、筒モータ123の駆動により回転筒122とともに回転する。ポンプ羽根129aによるポンプ作用によって、外槽101内の洗濯水は、外槽101外の下方に形成された水路119を流れて遠心分離装置120を通過する。これによって、洗濯水は、図8の矢印Fで示されるように循環する。
【0127】
このとき、水路119を流れる洗濯水の流速は、ポンプの能力によって設定可能である。ポンプの能力は、ポンプ羽根129aの回転数に加え、ポンプ羽根129aの枚数(本実施の形態では8枚)や、形状等によって設定することができる。
【0128】
これにより、洗濯水は、水路119を流れて遠心分離装置120と外槽1との間を循環する。洗濯水が遠心分離装置120を通過する循環流の流速をV1とし、洗濯水が回転筒122内で洗濯水が旋回する旋回流の流速をV2とする。そして、旋回流の流速V2が循環流の流速V1より高速となるように、すなわち、V2>V1に設定されている。
【0129】
制御部131は、筐体102内の下部に設けられている。図12は、本実施の形態における遠心分離装置を備えた洗濯機のブロック構成図である。制御部131には、回転槽104に投入された洗濯物105の量を検知する布量検知部132の出力と、外槽101内に給水された洗濯水の量を検知する水量検知部133の出力と、回転槽104の回転駆動を検知する回転検知部134等の出力が入力される。制御部131は、操作表示部135により使用者が設定した洗濯コースに基づいて、モータ110、給水弁114、排水弁118、筒モータ123等の駆動を制御し、洗濯運転を実行する。洗濯運転には、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程が含まれる。
【0130】
以上のように構成された遠心分離装置120を備えた洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。洗濯運転において、洗い工程は、洗剤の溶解した洗濯水が外槽101に給水され、回転槽104の回転によって叩き洗いを行いながら洗濯物105の汚れが洗い落とされる工程である。洗い工程に続いて、すすぎ工程では、例えば、第一の中間脱水動作、第一のすすぎ動作、第二の中間脱水動作、第二のすすぎ動作、の各動作が行われる。そして、すすぎ工程に続いて、洗濯運転の最後である脱水工程が実行される。
【0131】
以下に、洗濯運転の詳細を説明する。まず、洗濯運転のはじめに、使用者は、筐体102の前面に設けられた扉111を開いて、投入口106から回転槽104内に洗濯物105を投入する。次に、使用者は、筐体102の前面上部に設けられている操作表示部135の電源スイッチ(図示せず)を入れ、洗濯コースを設定する。その後、使用者は、操作表示部135のスタートスイッチ(図示せず)を操作して洗濯運転を開始する。
【0132】
洗濯運転の開始により、制御部131は、最初に、回転槽104内に投入された洗濯物105の量を布量検知部132によって検知する。洗濯物105の量は、回転槽104を回転させたときにモータ110にかかるトルク量、または、モータ110の電流値等から検知される。
【0133】
制御部131は、検知した洗濯物105の量に応じて、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程等の各工程の時間および洗濯水の量を設定する。併せて、洗濯物105の量に応じて予め設定された洗剤量を操作表示部135に表示する。使用者は、洗剤ケース115から洗剤投入部15aを引き出し、操作表示部135に表示された洗剤量の目安にしたがって洗剤を洗剤投入部115aに投入した後、洗剤投入部115aを洗剤ケース115内へ移動させる。
【0134】
制御部131は、洗い工程において、洗剤の投入が完了した頃を見計らって給水弁114を開く。これによって、洗濯水が給水口113から洗剤ケース115に流入し、図8の矢印Eに示されるように、投入されている洗剤を溶かしながら外槽101へ洗濯水が給水される。外槽101内の底部に溜まった洗濯水は、小孔109から回転槽104内に流入する。外槽101内に溜まった洗濯水の量は、水量検知部133で検知される。制御部131は、外槽101内に溜まった洗濯水の量が、洗濯物105の量に応じて予め設定された所定量に達すると、給水弁114を閉じて給水を止める。
【0135】
制御部131は、以上の給水動作が完了すると、モータ110を駆動して回転槽104を回転させ、以下に説明する洗浄動作を行う。洗浄動作では、制御部131は回転槽104を回転させることによって、回転槽104内の洗濯物105はバッフル108によって回転方向へ持ち上げられて上方から落下し、回転槽104の底面あるいは回転槽104の底に溜まっている洗濯物105に叩きつけられる。洗剤による化学力と併せて、この機械力によって叩き洗いが行われる。洗濯物105を叩き洗いするときの回転槽104の回転数は、例えば、45rpmである。制御部131は、所定時間毎(例えば、数分間毎)に回転槽104を反転し正逆回転駆動する。
【0136】
制御部131は、上述の洗浄動作を所定時間行うと、排水弁118を開いて外槽101内の洗濯水を機外へ排水する。これにより、洗濯水は、水路119を循環する方向である矢印Fとは逆方向に流れる。また、回転筒122の内周面122cに集められた異物は、この洗濯水の流れに乗り、排水弁118を通して筐体102の外へ排出される。これにより、浄化される洗濯水の一部を遠心分離中に捨てるような構成とする必要がない。
【0137】
以上のように、制御部131は、洗浄動作を所定時間行った後、排水弁118を通して外槽101内の洗濯水を排出し、給水動作および洗浄動作を有する洗い工程を完了する。この排水が完了した後、すすぎ工程に移る。
【0138】
すすぎ工程では、第一の中間脱水動作に続いて第一のすすぎ動作が行われる。その後、第二の中間脱水動作に続いて第二のすすぎ動作が行われる。すすぎ工程においても、洗い工程と同様に、制御部131は、給水弁114を開いて外槽101内に所定量の洗濯水を給水し、回転槽104を正逆回転させる。これによって洗濯物105のすすぎが行われる。ここで、洗濯水は、洗剤を含まない水、すすぎ水である。
【0139】
すすぎ工程後に行われる脱水工程では、制御部131は、排水弁118を開いて外槽101内の洗濯水を機外へ排出する。そして、制御部131は、モータ110により洗濯物105の入った回転槽104を高速で回転させて、脱水を行う。
【0140】
以上のように、制御部131は、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程を行って、洗濯運転を終了する。洗い工程、すすぎ工程、脱水工程においては、回転槽104の回転による振動によって外槽101全体の振動が生じる。この振動は、サスペンション機構103により吸収されて筐体102の振動は抑制される。
【0141】
次に、遠心分離装置120において洗濯水が浄化される作用について説明する。洗い工程において、洗濯水は、汚れ物質などのさまざまな異物を含む。遠心分離装置120によって分離される異物として水より比重が重いものがある。例えば、汚れ物質は、砂、繊維屑、髪の毛、角質汚れなどである。また、水より比重が軽くても、糸屑などの水より比重が重いものに付着するものが分離される。例えば、皮脂に代表される脂分などがある。
【0142】
洗い工程において、制御部131は、筒モータ123を駆動させ、外槽101内の汚れ物質を含む洗濯水は遠心分離装置120へ循環させる。すなわち、筒モータ123の駆動により、回転筒122とポンプ羽根129aとが回転する。外槽101内の洗濯水は、ポンプ羽根129aによるポンプ作用により、排水口116から流出し、水路119aを通って液体流入部128から旋回流生成部124の渦巻部126に流入する。
【0143】
水路119aは、図11に示されるように、円筒部125の外周側に設けられている。また、液体流入部128は、円筒部125の側壁125bより外方に設けられている。このため、液体流入部128から渦巻部126に流入する洗濯水(矢印L)は、渦巻部126の側壁126aに沿って旋回流路136を旋回する。
【0144】
渦巻部126の側壁126aと凸部137の外周壁との距離Pは、第一の接続部127aから第二の接続部127bにかけて徐々に短くなる。したがって、渦巻部126に流入する洗濯水は、旋回流路136に沿った流れによって旋回流が生成されることにより流速の低下が抑えられる。
【0145】
旋回流路136を一周してきた洗濯水の流れ(矢印S)は、渦巻部126に流入する洗濯水の流れ(矢印L)によって阻害されることなく、円筒部125の側壁125bに沿った流れ(矢印T)を生成することができる。これにより、旋回流生成部124内で生成される旋回流は、凸部137を中心として、円筒部125の中心125aと一致する旋回流が生成される。
【0146】
このようにして、旋回流生成部124において旋回成分が付与された洗濯水は、液体入口122aから回転筒122内に流入する。また、回転筒22は筒モータ123によって回転している。
【0147】
ここで、旋回流生成部124で生成される旋回流の渦中心の位置が、回転筒122の回転軸122dとずれている場合、液体入口122aで旋回流が乱れ、下流である回転筒122内での旋回流に乱れが生じる。しかし、本実施の形態においては、上述のように、旋回流生成部124で生成される旋回流の渦中心が、凸部137によって回転筒122の回転軸122dと一致するため、回転筒122内に導入された洗濯水は、回転筒122内で乱れの少ない高速の旋回流を発生させることができる。
【0148】
以上のように、洗濯水は、液体入口122aから回転筒122内に導入されて回転筒122を通過し、液体出口122bから流出する。このとき、洗濯物から遊離した、洗濯水より比重の重い異物(砂、髪の毛、角質汚れなど)は、乱れの少ない高速の旋回流による強い遠心力の作用によって、回転筒122の内周面122cに向かい集積される。また、洗濯水に含まれる汚れの内、水より比重が軽いもの(皮脂に代表される脂分など)でも、水より比重が重いもの(糸屑など)に付着するものは洗濯水から分離するので洗濯水から除去することができる。このようにして、洗濯水に含まれる洗濯物特有の汚れ物質は、洗濯水から遠心分離されて除去される。
【0149】
一方、回転筒122の回転軸122d近傍を通過する循環流より外側にあって、回転筒122の内周面122cより内側にある、回転筒122内を満たす洗濯水は、回転筒122の液体入口122aおよび液体出口122bが循環流で占められている。加えて、回転筒122内の洗濯水に、高速の旋回流により、回転筒122の内周面122cに向かって強い遠心力が作用している。このため、この遠心力により洗濯水から分離されて回転筒122の内周面122cに向かう汚れ物質は、回転筒122を通過する循環流に引き込まれて戻ることがない。すなわち、分離した汚れ物質が循環流とともに外槽101に戻り洗濯物105に再付着することが抑えられるので、洗浄効果を高めることができる。
【0150】
また、遠心分離装置120の回転筒122内では、洗濯水が旋回しながら、下から上に向かって通過する。このとき、洗濯水に洗剤によって生じる気泡、および、水路119中の気泡が旋回流生成部124から回転筒122内に入ってくることがある。このような場合でも、まず、水より軽い気泡は、旋回流によって回転筒122の中心部に集まり、さらに、上方へ浮上しようとする作用と、洗濯水が下から上に向かう流れとが相まって、液体出口122bから回転筒122外へ容易に排出される。
【0151】
これによって、水より軽い気泡が回転筒122内に留まることによって生じる、回転筒122内の水と気泡分布のアンバランスを抑え、回転筒122を回転させるために必要な筒モータ123のトルクの変動を最小限に抑えることができる。また、トルク変動によって生じる回転筒122の回転数変動も抑えることができる。また、水と気泡分布のアンバランスによって発生する回転筒122の回転振動を抑えることができるため、ケース121内であっても回転筒122をより大きく構成することができる。さらに、回転筒122内に水より軽い気泡が留まることによって生じる、回転筒122内の流れの乱れを抑えることによって、洗濯水から一旦分離されて内周面122cに保持された異物が、再び洗濯水へ戻ってしまうことを抑えることもできる。
【0152】
また、回転筒122内で汚れ物質が分離された洗濯水は、液体出口122bからポンプ部129へ流出する。本実施の形態では、旋回流生成部124で生成される旋回流の渦中心と、回転筒122の回転軸122dとが一致しているため、回転筒122内で乱れの少ない旋回流を生成することができる。したがって、ポンプ羽根129a間に均一に洗濯水を流入させることができる。このため、流入量の不均一によるポンプ性能の低下や、ポンプ羽根129aへの圧力の不均一によるアンバランスによって生じる耐久性能の低下などが生じない構成となっている。
【0153】
また、ポンプ部129に流入した洗濯水は、ポンプ羽根129aによるポンプ作用により、水路119bを通って外槽101に流入する。そして、外槽101内の洗濯水は、遠心分離装置120に備えられたポンプ機能により、水路119を通して遠心分離装置120との間で循環し、洗濯水の浄化が進行する。これによって、分離した汚れ物質が洗濯物105へ再付着することを抑えることができる。
【0154】
ここで、遠心分離装置120は、ポンプ作用を有するポンプ羽根129aが回転筒122と一体的に設けられ、制御部131は、回転筒122を回転させて遠心分離装置120と外槽101との間で洗濯水の循環を行う。したがって、洗濯水循環用のポンプを遠心分離装置120と別異に設ける必要がなく、構成を簡略にすることができる。
【0155】
また、制御部131は、排水時に排水弁118を開き、水路119を循環する矢印F方向とは逆方向に洗濯水を流す。回転筒122の内周面122cに集められた異物は、この洗濯水の流れに乗って、排水弁118を通して筐体102の外へ排出される。これにより、浄化される洗濯水の一部を遠心分離中に捨てるような構成とする必要がない。
【0156】
なお、洗濯水に含まれる異物の分離は、洗い工程のほか、すすぎ工程でも実行することができる。すすぎ工程において、洗濯物105から洗濯水に出た異物を遠心分離装置120で分離することにより、すすぎ効果を高めることができる。すすぎ時は、洗剤に含まれる洗浄助剤のうち、比重が水より重いゼオライトを除去することが可能であり、すすぎ性能が向上する。
【0157】
以上のように、本実施の形態の遠心分離装置120は、水路119に設けられ、水路119を流れる洗濯水(液体)に含まれる異物を遠心分離するものである。遠心分離装置120は、水路119と連通接続されたケース121と、ケース121内に回転可能に設けられた中空の回転筒122と、を備える。また、回転筒22内に水路119aから洗濯水を流入させる液体入口122aと、回転筒122内から水路119bへ洗濯水を流出させる液体出口122bとを有し、回転筒122を回転駆動する筒モータ123と、液体入口122aの上流側に設けられた旋回流生成部124とを備える。また、旋回流生成部124は、液体入口122aと連通する円筒部125と、水路119aから洗濯水が流入する液体流入部128と、液体流入部128から流入する洗濯水を旋回させる旋回流路136とを有する。さらに、旋回流路136は、旋回流生成部124の中心に設けられた円柱状の凸部137と、旋回流生成部124の側壁124bとによって形成される。
【0158】
この構成により、液体流入部128から流入した洗濯水は、凸部137を中心にして旋回流路136に沿った流れで旋回流が生成されることにより流速の低下が抑えられ、旋回流生成部124内において高速の旋回流によって洗濯水に旋回成分が付与される。したがって、回転筒122内において洗濯水に含まれる異物に強い遠心力を作用させることができ、洗濯水から異物を効果的に分離することができる。
【0159】
また、旋回流生成部124は、円筒部125の上流側に設けられた渦巻部126を有し、液体流入部128は、円筒部125の側壁125bより外方に設けられ、渦巻部126の側壁126aと円筒部125の側壁125bとの距離は、液体流入部128からの距離に応じて短くなるように構成されている。すなわち、渦巻部126の側壁126aは、液体流入部128からの距離に応じて、円筒部125の側壁125bに向けて近づくように構成されている。
【0160】
この構成により、液体流入部128から流入した洗濯水は、渦巻部126の側壁126aに沿って旋回流路136を流れ、凸部137を中心に旋回するため、旋回流生成部124内において高速の旋回流が生成されて洗濯水に旋回成分が付与される。
【0161】
(第4の実施の形態)
図13は、本開示の第4の実施の形態における遠心分離装置の要部断面図である。図14は、図13における14-14断面図である。第4の実施の形態の特徴は、旋回流路136の幅が、液体流入部128と対向する位置、すなわち水路119aから旋回流路136に流入した洗濯水が旋回流路136内で旋回し始める位置において、液体流入部128と同等の幅に設定されている点である。他の構成は第3の実施の形態と同じであり、同一の構成に同一の符号を付して、詳細な説明は第3の実施の形態のものを援用する。
【0162】
図13および図14に示されるように、水路119aは、円筒状に構成された旋回流生成部124の中心124aから側方に偏って旋回流生成部124と連通するように接続されている。旋回流生成部124は、旋回流生成部124の側壁124bと水路119aの外側の側壁119cとが接線状に接続されている。洗濯水は、液体流入部である液体流入部128から旋回流生成部124に流入する。
【0163】
旋回流生成部124に旋回流路136が設けられている。旋回流路136は、旋回流生成部124内の中央部に設けられた凸部137と、旋回流生成部124の側壁124bとで形成されている。凸部137は、旋回流生成部124の底部から液体入口122aに向かって円柱状に形成されている。凸部137の中心は、回転筒122の回転軸122dと一致する。
【0164】
凸部137の半径Uは、旋回流生成部124の中心124aと、水路119aの旋回流生成部124の中心124a側の側壁119dとの距離である距離Vと同等に構成されている。そして、液体流入部128と対向する位置136aにおいて、旋回流路136の幅Q1は、液体流入部128の幅Q2と同等に設定されている。
【0165】
以上のように、本実施の形態の旋回流路136は、液体流入部128と対向する位置136a、すなわち旋回流路136に流入した洗濯水が旋回流路136内で旋回し始める位置において、流路の幅が液体流入部128と同等の幅に設定されたものである。
【0166】
この構成により、液体流入部128から旋回流路136に流入する洗濯水の流れに乱れが生じることなく、旋回流路136に沿った流れで旋回流が生成されることにより流速の低下が抑えられ、旋回流生成部124内において高速の旋回流によって洗濯水に旋回成分が付与される。したがって、回転筒122内において洗濯水に含まれる異物に強い遠心力を作用させることができるようになり、洗濯水から異物を効果的に分離することができる。
【0167】
なお、液体流入部128と対向する位置136aにおける旋回流路136の幅Q1と、液体流入部128の幅Q2は、必ずしも同じ寸法である必要はなく、液体流入部128から旋回流生成部124に流入した洗濯水の流速の低下が抑えられればよい。
【0168】
以上のように、第3の実施の形態および第4の実施の形態において、遠心分離装置、および、その遠心分離装置を備えた洗濯機を説明した。すわなち、洗濯機は、被洗浄物105と液体である洗濯水とを収容する、外槽101および洗濯槽104からなる洗濯槽と、洗濯槽内の洗濯水を循環させる水路119と、水路119に設けられ、水路119を流れる洗濯水に含まれる異物を遠心分離する第3の実施の形態または第4の実施の形態に記載の遠心分離装置120とを備える。
【0169】
この構成により、被洗浄物である洗濯物105から遊離した汚れ物質等の洗濯水に含まれる異物を、遠心分離装置120において効果的に分離する洗濯機を実現することができる。そして、汚れ物質等の洗濯物105への再付着を抑えて洗浄効果を高めることができる。
【0170】
なお、第3の実施の形態および第4の実施の形態においては、洗濯機のポンプ部129を遠心分離装置120に設け、筒モータ123によってポンプ羽根129aと回転筒122を一体的に回転させる構成としている。この他に、水路119にポンプ部(図示せず)を別途設け、図8の矢印Fで示めすような循環流を生じさせる構成としてもよい。
【0171】
また、第3の実施の形態および第4の実施の形態においては、洗濯機の一例として、ドラム式洗濯機について説明したが、これに限定されるものではない。要するに、洗浄水を用いて洗濯物を洗浄する洗濯機であればよい。すなわち、第3の実施の形態および第4の実施の形態が有する遠心分離装置は、ドラム式洗濯機のように叩き洗いをする構成、縦型洗濯機のように撹拌洗浄をする構成、または、収納ケース内で押し洗い、もしくは、シャワー洗浄をする構成等の、いずれの構成の洗濯機にも適用可能である。また、遠心分離装置は洗濯機に限らず、液体から異物を分離し浄化する装置として活用できる。
【0172】
なお、上述の第3の実施の形態および第4の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0173】
以上説明したように、第1の開示は、水路に設けられ、水路を流れる液体に含まれる異物を遠心分離する遠心分離装置であって、水路と連通接続されたケースと、ケース内に回転可能に設けられた中空の回転筒と、を備える。また、回転筒内に水路から液体を流入させる液体入口と、回転筒内から水路へ液体を流出させる液体出口とを有し、回転筒を回転駆動する筒モータと、液体入口の上流側に設けられた旋回流生成部と、を備える。さらに、旋回流生成部は、液体入口と連通する円筒部と、円筒部の上流側に設けられた渦巻部と、水路から渦巻部に液体が流入する液体流入部とを有し、円筒部の側壁より外方に液体流入部を設けている。
【0174】
この構成により、旋回流生成部内で一周した液体が、水路から流入する液体の流れに進路を妨害されることなく、円筒部の側壁に沿った旋回流を生成することができる。したがって、旋回流生成部内を流れる旋回流の渦中心と、円筒部の中心と、さらに、回転筒の回転軸とを一致させることができる。そのため、旋回流生成部内で生成される旋回流の乱れを少なくして、液体に旋回成分が付与される。以上によって、回転筒内において液体に含まれる異物に強い遠心力を作用させることができ、液体から異物を効果的に分離することができる。
【0175】
第2の開示は、特に、第1の開示において、渦巻部の側壁が、液体流入部からの距離に応じて、液体流入部から円筒部の側壁に向けて近づくように構成されている。
【0176】
この構成により、旋回流生成部で生成される旋回流の渦中心を、旋回流生成部の下流に位置する回転筒の回転軸に近づけることが可能になる。そのため、旋回流の乱れを少なくして強力な遠心力を作用させることができ、液体から異物を効果的に分離することができる。
【0177】
第3の開示は、特に、第1または第2の開示において、旋回流生成部は、渦巻部の側壁と水路とが接続される第一の接続部と、渦巻部の側壁と円筒部の側壁とが接続される第二の接続部を有し、第一の接続部と第二の接続部とは、円筒部の中心をはさんで反対の位置関係とする。
【0178】
この構成により、旋回流生成部に流入した液体が、渦巻部の側壁に沿って流れることによって旋回流を生成することができる。
【0179】
第4の開示は、特に、第1~第3のいずれか1つの開示において、旋回流生成部は、液体流入部の下流側に、円筒部の側壁と同一半径である円弧壁が設けられている。
【0180】
この構成により、渦巻部の側壁と円弧壁との間に形成される流路の断面積が徐々に小さくなり、旋回流生成部で生成される液体の旋回流の流速を速めることができる。
【0181】
第5の開示は、被洗浄物と液体である洗濯水とを収容する洗濯槽と、洗濯槽内の洗濯水を循環させる水路と、水路に設けられ、水路を流れる洗濯水に含まれる異物を遠心分離する第1~第4のいずれか1つの開示の遠心分離装置と、を備えた洗濯機である。
【0182】
この構成により、洗濯物から遊離した汚れ物質等の洗濯水に含まれる異物を、遠心分離装置によって効果的に分離する洗濯機を実現できる。そして、汚れ物質等の洗濯物への再付着を抑えて洗浄効果を高めることができる。
【0183】
第6の開示は、水路に設けられ、水路を流れる液体に含まれる異物を遠心分離する遠心分離装置であって、水路と連通接続されたケースと、ケース内に回転可能に設けられた中空の回転筒と、を備える。また、回転筒内に水路から液体を流入させる液体入口と、回転筒内から水路へ液体を流出させる液体出口と、回転筒を回転駆動する筒モータと、液体入口の上流側に設けられた旋回流生成部とを備える。さらに、旋回流生成部は、液体入口と連通する円筒部と、水路から液体が流入する液体流入部と、液体流入部から流入する液体を旋回させる旋回流路とを有し、旋回流路は、旋回流生成部の中心に設けられた円柱状の凸部と、旋回流生成部の側壁とによって形成している。
【0184】
この構成により、液体流入部から流入した液体は、凸部を中心にして旋回流路に沿った流れで旋回流が生成されることにより流速の低下が抑えられ、旋回流生成部内において高速の旋回流によって液体に旋回成分が付与される。したがって、回転筒内において液体に含まれる異物に強い遠心力を作用させることができ、液体から異物を効果的に分離することができる。
【0185】
第7の開示は、特に、第6の開示において、旋回流生成部は、円筒部の上流側に設けられた渦巻部を有し、液体流入部は、円筒部の側壁より外方に設けられ、渦巻部の側壁は、液体流入部からの距離に応じて、円筒部の側壁に向けて近づくように構成されている。
【0186】
この構成により、液体流入部から流入した液体は、渦巻部の側壁に沿って旋回流路を流れ、凸部を中心に旋回するため、旋回流生成部内において高速の旋回流が生成され、液体に旋回成分を付与することができる。
【0187】
第8の開示は、特に、第6の開示において、旋回流路は、液体流入部と対向する位置において、流路の幅が液体流入部と同等に設定されている。
【0188】
この構成により、液体流入部から旋回流路に流入する液体の流れに乱れが生じることなく、旋回流路に沿った流れで旋回流が生成されることにより流速の低下が抑えられ、旋回流生成部内において高速の旋回流が生成され、液体に旋回成分を付与することができる。
【0189】
第9の開示は、被洗浄物と液体である洗濯水とを収容する洗濯槽と、洗濯槽内の洗濯水を循環させる水路と、水路に設けられ、水路を流れる洗濯水に含まれる異物を遠心分離する第6~第8のいずれか1つの開示の遠心分離装置と、を備えた洗濯機である。
【0190】
この構成により、被洗浄物である洗濯物から遊離した汚れ物質等の洗濯水に含まれる異物は、遠心分離装置において効果的に分離され、汚れ物質等の洗濯物への再付着を抑えて洗浄効果を高めることができる洗濯機を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
以上のように、本開示にかかる遠心分離装置、および、遠心分離装置を備えた洗濯機は、液体から異物を効果的に分離して浄化することができるので、遠心分離装置、および遠心分離装置を備えた洗濯機として有用である。
【符号の説明】
【0192】
1、101 外槽(洗濯槽)
4、104 回転槽(洗濯槽)
19、19a、19b、119、119a、119b 水路
19c、119c、119d、124b 側壁
20、120 遠心分離装置
21、121 ケース
22、122 回転筒
22a、122a 液体入口
22b、122b 液体出口
22c、122c 内周面
22d、122d 回転軸
23、123 筒モータ
24、124 旋回流生成部
25、125 円筒部
25a、124a、125a 中心
25b、125b 側壁
25c 渦中心
26、126 渦巻部
26a、126a 側壁
27a、127a 第一の接続部
27b、127b 第二の接続部
28、128 液体流入部
29、129 ポンプ部
29a、129a ポンプ羽根
30 円弧壁
31、131 制御部
136 旋回流路
136a 対向する位置
137 凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16