(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】半導体集積回路、モータドライバ、およびモータ駆動システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20240520BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20240520BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20240520BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20240520BHJP
H01L 21/8238 20060101ALI20240520BHJP
H01L 27/092 20060101ALI20240520BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240520BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240520BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20240520BHJP
【FI】
H01L27/04 A
H02P29/00
H01L27/04 H
H01L27/04 D
H01L21/82 D
H01L21/82 W
H01L27/092 H
H01L27/088 331Z
H01L21/82 P
H01L29/78 301D
H01L29/78 301C
(21)【出願番号】P 2020086013
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝原 裕貴
【審査官】石塚 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-181996(JP,A)
【文献】特開2017-189066(JP,A)
【文献】特開平8-130307(JP,A)
【文献】特開平3-226291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/04
H01L 21/822
H02P 29/00
H01L 21/82
H01L 21/8238
H01L 27/092
H01L 27/088
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pチャネル型またはNチャネル型の第1ハイサイドトランジスタと、前記第1ハイサイドトランジスタと直列に接続されるNチャネル型の第1ローサイドトランジスタと、を有する第1ハーフブリッジ出力段と、
Pチャネル型またはNチャネル型の第2ハイサイドトランジスタと、前記第2ハイサイドトランジスタと直列に接続されるNチャネル型の第2ローサイドトランジスタと、を有する第2ハーフブリッジ出力段と、
を含むHブリッジ出力段を集積化して有し、
前記第2ハイサイドトランジスタが配置される第3トランジスタ配置領域の少なくとも一部は、前記第1ローサイドトランジスタが配置される第2トランジスタ配置領域の第1方向他方側に配置され、
前記第1ハイサイドトランジスタが配置される第1トランジスタ配置領域の少なくとも一部は、前記第2トランジスタ配置領域と前記第3トランジスタ配置領域の少なくとも一部とにより第1方向に挟まれて配置されつつ、前記第2トランジスタ配置領域に連接され、
前記第1トランジスタ配置領域の少なくとも一部は、前記第2ローサイドトランジスタが配置される第4トランジスタ配置領域の第1方向一方側に配置され、
前記第3トランジスタ配置領域の少なくとも一部は、前記第4トランジスタ配置領域と前記第1トランジスタ配置領域の少なくとも一部とにより第1方向に挟まれて配置されつつ、前記第4トランジスタ配置領域に連接され
、
前記第1トランジスタ配置領域は、
前記第2トランジスタ配置領域の第1方向と直交する方向である第2方向一方側に連接されて第1方向に延びる第1部分領域と、
前記第2トランジスタ配置領域の第1方向他方側かつ第1部分領域の第2方向他方側に連接されて第2方向に延びる第2部分領域と、
を有し、
前記第3トランジスタ配置領域は、
前記第4トランジスタ配置領域の第2方向一方側に連接されて第1方向に延びる第3部分領域と、
前記第4トランジスタ配置領域の第1方向一方側かつ前記第3部分領域の第2方向他方側に連接されて第2方向に延びる第4部分領域と、を有する、半導体集積回路。
【請求項2】
平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成され、第1方向一方側の第1分割領域と、第1方向他方側の第2分割領域とに2分割される四角領域を有し、
前記第2トランジスタ配置領域は、平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成され、
前記第2トランジスタ配置領域における第1方向一方側かつ第2方向他方側の隅は、前記第1分割領域における第1方向一方側かつ第2方向他方側の隅と一致し、
前記第4トランジスタ配置領域は、平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成され、
前記第4トランジスタ配置領域における第1方向他方側かつ第2方向他方側の隅は、前記第2分割領域における第1方向他方側かつ第2方向他方側の隅と一致する、請求項
1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
平面視での前記第1トランジスタ配置領域の面積は、平面視での前記第2トランジスタ配置領域の面積の2倍であり、
平面視での前記第3トランジスタ配置領域の面積は、平面視での前記第4トランジスタ配置領域の面積の2倍であり、
前記第1トランジスタ配置領域の前記面積は、前記第3トランジスタ配置領域の前記面積と等しい、請求項
2に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記第2トランジスタ配置領域の第1方向に延びる辺の長さは、前記第1分割領域の第1方向に延びる辺の長さの半分であり、
前記第4トランジスタ配置領域の第1方向に延びる辺の長さは、前記第2分割領域の第1方向に延びる辺の長さの半分である、請求項
3に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
第1~第4ドレイン下層配線と、第1~第4ソース下層配線と、を含む下層配線部と、
第1~第4ドレイン中層配線と、第1~第4ソース中層配線と、を含む中層配線部と、
第1~第2ドレイン上層配線と、第1~第2ソース上層配線と、を含む上層配線部と、
を有し、
前記第1トランジスタ配置領域において、それぞれ第1方向に延びる前記第1ドレイン下層配線および前記第1ソース下層配線が第2方向に交互に並んで配置され、
前記第2部分領域における前記第1ドレイン下層配線および前記第1ソース下層配線の第1方向長さは、前記第1部分領域における前記第1ドレイン下層配線および前記第1ソース下層配線の第1方向長さよりも短く、
前記第2トランジスタ配置領域において、それぞれ第1方向に延びる前記第2ドレイン下層配線および前記第2ソース下層配線が第2方向に交互に並んで配置され、
前記第3トランジスタ配置領域において、それぞれ第1方向に延びる前記第3ドレイン下層配線および前記第3ソース下層配線が第2方向に交互に並んで配置され、
前記第4部分領域における前記第3ドレイン下層配線および前記第3ソース下層配線の第1方向長さは、前記第3部分領域における前記第3ドレイン下層配線および前記第3ソース下層配線の第1方向長さよりも短く、
前記第4トランジスタ配置領域において、それぞれ第1方向に延びる前記第4ドレイン下層配線および前記第4ソース下層配線が第2方向に交互に並んで配置され、
前記第1トランジスタ配置領域において、それぞれ第2方向に延びる前記第1ドレイン中層配線および前記第1ソース中層配線が第1方向に交互に並んで配置され、
前記第1部分領域の第1方向一方側一部において配置される前記第1ドレイン中層配線および前記第1ソース中層配線の第2方向の長さは、前記第1部分領域の第1方向他方側一部および前記第2部分領域において配置される前記第1ドレイン中層配線および前記第1ソース中層配線の第2方向の長さよりも短く、
前記第2トランジスタ配置領域において、それぞれ第2方向に延びる前記第2ドレイン中層配線および前記第2ソース中層配線が第1方向に交互に並んで配置され、
前記第3トランジスタ配置領域において、それぞれ第2方向に延びる前記第3ドレイン中層配線および前記第3ソース中層配線が第1方向に交互に並んで配置され、
前記第3部分領域の第1方向他方側一部において配置される前記第3ドレイン中層配線および前記第3ソース中層配線の第2方向の長さは、前記第3部分領域の第1方向一方側一部および前記第4部分領域において配置される前記第3ドレイン中層配線および前記第3ソース中層配線の第2方向の長さよりも短く、
前記第4トランジスタ配置領域において、それぞれ第2方向に延びる前記第4ドレイン中層配線および前記第4ソース中層配線が第1方向に交互に並んで配置され、
前記第1ドレイン中層配線と前記第1ドレイン下層配線とが平面視で重なる位置に、第1ドレイン下側ビアが配置され、
前記第1ソース中層配線と前記第1ソース下層配線とが平面視で重なる位置に、第1ソース下側ビアが配置され、
前記第2ドレイン中層配線と前記第2ドレイン下層配線とが平面視で重なる位置に、第2ドレイン下側ビアが配置され、
前記第2ソース中層配線と前記第2ソース下層配線とが平面視で重なる位置に、第2ソース下側ビアが配置され、
前記第3ドレイン中層配線と前記第3ドレイン下層配線とが平面視で重なる位置に、第3ドレイン下側ビアが配置され、
前記第3ソース中層配線と前記第3ソース下層配線とが平面視で重なる位置に、第3ソース下側ビアが配置され、
前記第4ドレイン中層配線と前記第4ドレイン下層配線とが平面視で重なる位置に、第4ドレイン下側ビアが配置され、
前記第4ソース中層配線と前記第4ソース下層配線とが平面視で重なる位置に、第4ソース下側ビアが配置され、
前記第1ソース上層配線は、前記第1トランジスタ配置領域の第2方向一方側端部と前記第3トランジスタ配置領域の第2方向一方側端部と平面視で重なって第1方向に延びる延伸部と、前記延伸部の第1方向中央から第2方向他方側へ向かって突出する突出部と、を有し、
前記第1ドレイン上層配線および前記第2ドレイン上層配線は、前記第1ソース上層配線の第2方向他方側に第1方向に並んで配置されるとともに、前記突出部を第1方向両側から挟み、
前記第1ドレイン上層配線は、前記第1トランジスタ
配置領域と前記第2トランジスタ配置領域とに平面視で重なって形成され、
前記第2ドレイン上層配線は、前記第1ドレイン上層配線の第1方向他方側に配置され、前記第3トランジスタ
配置領域と前記第4トランジスタ配置領域とに平面視で重なって形成され、
前記第2ソース上層配線は、前記第1~第4トランジスタ配置領域に平面視で重なって第1方向に延びて形成され、前記第1ドレイン上層配線、前記突出部、および前記第2ドレイン上層配線の第2方向他方側に配置され、
前記第1ソース上層配線と前記第1ソース中層配線とが平面視で重なる位置に、第1ソース上側ビアが配置され、
前記第1ソース上層配線と前記第3ソース中層配線とが平面視で重なる位置に、第3ソース上側ビアが配置され、
前記第1ドレイン上層配線と前記第1ドレイン中層配線とが平面視で重なる位置に、第1ドレイン上側ビアが配置され、
前記第1ドレイン上層配線と前記第2ドレイン中層配線とが平面視で重なる位置に、第2ドレイン上側ビアが配置され、
前記第2ドレイン上層配線と前記第3ドレイン中層配線とが平面視で重なる位置に、第3ドレイン上側ビアが配置され、
前記第2ドレイン上層配線と前記第4ドレイン中層配線とが平面視で重なる位置に、第4ドレイン上側ビアが配置され、
前記第2ソース上層配線と前記第2ソース中層配線とが平面視で重なる位置に、第2ソース上側ビアが配置され、
前記第2ソース上層配線と前記第4ソース中層配線とが平面視で重なる位置に、第4ソース上側ビアが配置される、請求項
1から請求項
4のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
Pチャネル型またはNチャネル型の第3ハイサイドトランジスタと、前記第3ハイサイドトランジスタと直列に接続されるNチャネル型の第3ローサイドトランジスタと、を有する第3ハーフブリッジ出力段と、
Pチャネル型またはNチャネル型の第4ハイサイドトランジスタと、前記第4ハイサイドトランジスタと直列に接続されるNチャネル型の第4ローサイドトランジスタと、を有する第4ハーフブリッジ出力段と、
を含む第2Hブリッジ出力段を有し、
前記第3ハイサイドトランジスタが配置される第5トランジスタ配置領域、前記第3ローサイドトランジスタが配置される第6トランジスタ配置領域、前記第4ハイサイドトランジスタが配置される第7トランジスタ配置領域、および前記第4ローサイドトランジスタが配置される第8トランジスタ配置領域のレイアウトは、前記第1~第4トランジスタ配置領域と第1方向に延びる対称軸に関して線対称としている、請求項
1から請求項
5のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項7】
前記第1ハイサイドトランジスタおよび前記第2ハイサイドトランジスタは、それぞれPチャネル型である、請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記第1ハイサイドトランジスタおよび前記第2ハイサイドトランジスタは、それぞれPDMOS(PチャネルDMOS(Double-Diffused MOSFET))であり、
前記第1ローサイドトランジスタおよび前記第2ローサイドトランジスタは、それぞれNDMOS(NチャネルDMOS)である、請求項
7に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の半導体集積回路をパッケージ化して構成されるモータドライバ。
【請求項10】
請求項
9に記載のモータドライバと、
前記半導体集積回路における前記第1ハーフブリッジ出力段および前記第2ハーフブリッジ出力段に接続されるモータと、を有するモータ駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動用の半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを駆動するモータ駆動回路を集積化した半導体集積回路が知られている。モータ駆動回路には、いわゆるHブリッジ出力段と呼ばれる回路が設けられる場合がある。Hブリッジ出力段は、ハーフブリッジ出力段を2組組み合わせて構成される。ハーフブリッジ出力段は、ハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタを直列に接続して構成される。一方のハーフブリッジ出力段におけるトランジスタの接続ノードと、他方のハーフブリッジ出力段におけるトランジスタの接続ノードとの間に、駆動対象であるモータが接続される。
【0003】
上記のようなHブリッジ出力段を有するモータ駆動回路を集積化した従来の半導体集積回路は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1では、一方のハーフブリッジ出力段は、ED(Extended Drain)MOSトランジスタである第1のPチャネルMOSトランジスタQP1と、LD(Lateral Double-diffused)MOSトランジスタである第1のNチャネルMOSトランジスタと、から構成され、他方のハーフブリッジ出力段は、EDMOSトランジスタである第2のPチャネルMOSトランジスタQP2と、LDMOSトランジスタである第2のNチャネルMOSトランジスタと、から構成される。
【0005】
そして、特許文献1では、Hブリッジ出力段を構成する複数のトランジスタに含まれるN型の不純物領域とP型の半導体基板とで、寄生NPNバイポーラトランジスタが形成されるので、寄生NPNバイポーラトランジスタのhFE(直流電流増幅率)が大きい場合には、許容限度を超える大きな寄生電流(コレクタ・エミッタ間電流)が流れる問題が生じることを述べている。
【0006】
そこで、特許文献1では、このような寄生NPNバイポーラトランジスタのhFEを抑制すべく、第1のPチャネルMOSトランジスタQP1に含まれる第1の不純物領域と、第1のNチャネルMOSトランジスタQN1に含まれる第2の不純物領域との間の距離、第2のPチャネルMOSトランジスタQP2に含まれる第3の不純物領域と、第2のNチャネルMOSトランジスタQN2に含まれる第4の不純物領域との間の距離、および、第2の不純物領域と第4の不純物領域との間の距離のそれぞれを第1の不純物領域と第3の不純物領域との間の距離よりも大きくしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のように、Hブリッジ出力段において形成される寄生バイポーラトランジスタに流れる寄生電流を抑制するための手段として、不純物領域間の距離、すなわちトランジスタ間の距離を大きくする手法を用いる場合、適切に当該手法を用いなければ、半導体集積回路の回路面積が大きくなる虞があった。
【0009】
上記状況に鑑み、本発明は、寄生電流を抑制しつつも回路面積を削減できるモータ駆動用の半導体集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る半導体集積回路は、
Pチャネル型またはNチャネル型の第1ハイサイドトランジスタと、前記第1ハイサイドトランジスタと直列に接続されるNチャネル型の第1ローサイドトランジスタと、を有する第1ハーフブリッジ出力段と、
Pチャネル型またはNチャネル型の第2ハイサイドトランジスタと、前記第2ハイサイドトランジスタと直列に接続されるNチャネル型の第2ローサイドトランジスタと、を有する第2ハーフブリッジ出力段と、
を含むHブリッジ出力段を集積化して有し、
前記第2ハイサイドトランジスタが配置される第3トランジスタ配置領域の少なくとも一部は、前記第1ローサイドトランジスタが配置される第2トランジスタ配置領域の第1方向他方側に配置され、
前記第1ハイサイドトランジスタが配置される第1トランジスタ配置領域の少なくとも一部は、前記第2トランジスタ配置領域と前記第3トランジスタ配置領域の少なくとも一部とにより第1方向に挟まれて配置されつつ、前記第2トランジスタ配置領域に連接され、
前記第1トランジスタ配置領域の少なくとも一部は、前記第2ローサイドトランジスタが配置される第4トランジスタ配置領域の第1方向一方側に配置され、
前記第3トランジスタ配置領域の少なくとも一部は、前記第4トランジスタ配置領域と前記第1トランジスタ配置領域の少なくとも一部とにより第1方向に挟まれて配置されつつ、前記第4トランジスタ配置領域に連接される構成としている(第1の構成)。
【0011】
また、上記第1の構成において、前記第1トランジスタ配置領域は、前記第2トランジスタ配置領域の第1方向と直交する方向である第2方向一方側に連接されて第1方向に延びる第1部分領域と、前記第2トランジスタ配置領域の第1方向他方側かつ第1部分領域の第2方向他方側に連接されて第2方向に延びる第2部分領域と、を有し、前記第3トランジスタ配置領域は、前記第4トランジスタ配置領域の第2方向一方側に連接されて第1方向に延びる第3部分領域と、前記第4トランジスタ配置領域の第1方向一方側かつ前記第3部分領域の第2方向他方側に連接されて第2方向に延びる第4部分領域と、を有する構成としてもよい(第2の構成)。
【0012】
また、上記第2の構成において、平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成され、第1方向一方側の第1分割領域と、第1方向他方側の第2分割領域とに2分割される四角領域を有し、前記第2トランジスタ配置領域は、平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成され、 前記第2トランジスタ配置領域における第1方向一方側かつ第2方向他方側の隅は、前記第1分割領域における第1方向一方側かつ第2方向他方側の隅と一致し、前記第4トランジスタ配置領域は、平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成され、前記第4トランジスタ配置領域における第1方向他方側かつ第2方向他方側の隅は、前記第2分割領域における第1方向他方側かつ第2方向他方側の隅と一致する構成としてもよい(第3の構成)。
【0013】
また、上記第3の構成において、平面視での前記第1トランジスタ配置領域の面積は、平面視での前記第2トランジスタ配置領域の面積の2倍であり、平面視での前記第3トランジスタ配置領域の面積は、平面視での前記第4トランジスタ配置領域の面積の2倍であり、前記第1トランジスタ配置領域の前記面積は、前記第3トランジスタ配置領域の前記面積と等しい構成としてもよい(第4の構成)。
【0014】
また、上記第4の構成において、前記第2トランジスタ配置領域の第1方向に延びる辺の長さは、前記第1分割領域の第1方向に延びる辺の長さの半分であり、前記第4トランジスタ配置領域の第1方向に延びる辺の長さは、前記第2分割領域の第1方向に延びる辺の長さの半分である構成としてもよい(第5の構成)。
【0015】
また、上記第2から第5のいずれかの構成において、第1~第4ドレイン下層配線と、第1~第4ソース下層配線と、を含む下層配線部と、
第1~第4ドレイン中層配線と、第1~第4ソース中層配線と、を含む中層配線部と、
第1~第2ドレイン上層配線と、第1~第2ソース上層配線と、を含む上層配線部と、
を有し、
前記第1トランジスタ配置領域において、それぞれ第1方向に延びる前記第1ドレイン下層配線および前記第1ソース下層配線が第2方向に交互に並んで配置され、
前記第2部分領域における前記第1ドレイン下層配線および前記第1ソース下層配線の第1方向長さは、前記第1部分領域における前記第1ドレイン下層配線および前記第1ソース下層配線の第1方向長さよりも短く、
前記第2トランジスタ配置領域において、それぞれ第1方向に延びる前記第2ドレイン下層配線および前記第2ソース下層配線が第2方向に交互に並んで配置され、
前記第3トランジスタ配置領域において、それぞれ第1方向に延びる前記第3ドレイン下層配線および前記第3ソース下層配線が第2方向に交互に並んで配置され、
前記第4部分領域における前記第3ドレイン下層配線および前記第3ソース下層配線の第1方向長さは、前記第3部分領域における前記第3ドレイン下層配線および前記第3ソース下層配線の第1方向長さよりも短く、
前記第4トランジスタ配置領域において、それぞれ第1方向に延びる前記第4ドレイン下層配線および前記第4ソース下層配線が第2方向に交互に並んで配置され、
前記第1トランジスタ配置領域において、それぞれ第2方向に延びる前記第1ドレイン中層配線および前記第1ソース中層配線が第1方向に交互に並んで配置され、
前記第1部分領域の第1方向一方側一部において配置される前記第1ドレイン中層配線および前記第1ソース中層配線の第2方向の長さは、前記第1部分領域の第1方向他方側一部および前記第2部分領域において配置される前記第1ドレイン中層配線および前記第1ソース中層配線の第2方向の長さよりも短く、
前記第2トランジスタ配置領域において、それぞれ第2方向に延びる前記第2ドレイン中層配線および前記第2ソース中層配線が第1方向に交互に並んで配置され、
前記第3トランジスタ配置領域において、それぞれ第2方向に延びる前記第3ドレイン中層配線および前記第3ソース中層配線が第1方向に交互に並んで配置され、
前記第3部分領域の第1方向他方側一部において配置される前記第3ドレイン中層配線および前記第3ソース中層配線の第2方向の長さは、前記第3部分領域の第1方向一方側一部および前記第4部分領域において配置される前記第3ドレイン中層配線および前記第3ソース中層配線の第2方向の長さよりも短く、
前記第4トランジスタ配置領域において、それぞれ第2方向に延びる前記第4ドレイン中層配線および前記第4ソース中層配線が第1方向に交互に並んで配置され、
前記第1ドレイン中層配線と前記第1ドレイン下層配線とが平面視で重なる位置に、第1ドレイン下側ビアが配置され、
前記第1ソース中層配線と前記第1ソース下層配線とが平面視で重なる位置に、第1ソース下側ビアが配置され、
前記第2ドレイン中層配線と前記第2ドレイン下層配線とが平面視で重なる位置に、第2ドレイン下側ビアが配置され、
前記第2ソース中層配線と前記第2ソース下層配線とが平面視で重なる位置に、第2ソース下側ビアが配置され、
前記第3ドレイン中層配線と前記第3ドレイン下層配線とが平面視で重なる位置に、第3ドレイン下側ビアが配置され、
前記第3ソース中層配線と前記第3ソース下層配線とが平面視で重なる位置に、第3ソース下側ビアが配置され、
前記第4ドレイン中層配線と前記第4ドレイン下層配線とが平面視で重なる位置に、第4ドレイン下側ビアが配置され、
前記第4ソース中層配線と前記第4ソース下層配線とが平面視で重なる位置に、第4ソース下側ビアが配置され、
前記第1ソース上層配線は、前記第1トランジスタ配置領域の第2方向一方側端部と前記第3トランジスタ配置領域の第2方向一方側端部と平面視で重なって第1方向に延びる延伸部と、前記延伸部の第1方向中央から第2方向他方側へ向かって突出する突出部と、を有し、
前記第1ドレイン上層配線および前記第2ドレイン上層配線は、前記第1ソース上層配線の第2方向他方側に第1方向に並んで配置されるとともに、前記突出部を第1方向両側から挟み、
前記第1ドレイン上層配線は、前記第1トランジスタ配線領域と前記第2トランジスタ配置領域とに平面視で重なって形成され、
前記第2ドレイン上層配線は、前記第1ドレイン上層配線の第1方向他方側に配置され、前記第3トランジスタ配線領域と前記第4トランジスタ配置領域とに平面視で重なって形成され、
前記第2ソース上層配線は、前記第1~第4トランジスタ配置領域に平面視で重なって第1方向に延びて形成され、前記第1ドレイン上層配線、前記突出部、および前記第2ドレイン上層配線の第2方向他方側に配置され、
前記第1ソース上層配線と前記第1ソース中層配線とが平面視で重なる位置に、第1ソース上側ビアが配置され、
前記第1ソース上層配線と前記第3ソース中層配線とが平面視で重なる位置に、第3ソース上側ビアが配置され、
前記第1ドレイン上層配線と前記第1ドレイン中層配線とが平面視で重なる位置に、第1ドレイン上側ビアが配置され、
前記第1ドレイン上層配線と前記第2ドレイン中層配線とが平面視で重なる位置に、第2ドレイン上側ビアが配置され、
前記第2ドレイン上層配線と前記第3ドレイン中層配線とが平面視で重なる位置に、第3ドレイン上側ビアが配置され、
前記第2ドレイン上層配線と前記第4ドレイン中層配線とが平面視で重なる位置に、第4ドレイン上側ビアが配置され、
前記第2ソース上層配線と前記第2ソース中層配線とが平面視で重なる位置に、第2ソース上側ビアが配置され、
前記第2ソース上層配線と前記第4ソース中層配線とが平面視で重なる位置に、第4ソース上側ビアが配置される構成としてもよい(第6の構成)。
【0016】
また、上記第2から第6のいずれかの構成において、Pチャネル型またはNチャネル型の第3ハイサイドトランジスタと、前記第3ハイサイドトランジスタと直列に接続されるNチャネル型の第3ローサイドトランジスタと、を有する第3ハーフブリッジ出力段と、Pチャネル型またはNチャネル型の第4ハイサイドトランジスタと、前記第4ハイサイドトランジスタと直列に接続されるNチャネル型の第4ローサイドトランジスタと、を有する第4ハーフブリッジ出力段と、を含む第2Hブリッジ出力段を有し、前記第3ハイサイドトランジスタが配置される第5トランジスタ配置領域、前記第3ローサイドトランジスタが配置される第6トランジスタ配置領域、前記第4ハイサイドトランジスタが配置される第7トランジスタ配置領域、および前記第4ローサイドトランジスタが配置される第8トランジスタ配置領域のレイアウトは、前記第1~第4トランジスタ配置領域と第1方向に延びる対称軸に関して線対称としている構成としてもよい(第7の構成)。
【0017】
また、上記第1から第7のいずれかの構成において、前記第1ハイサイドトランジスタおよび前記第2ハイサイドトランジスタは、それぞれPチャネル型である構成としてもよい(第8の構成)。
【0018】
また、上記第8の構成において、前記第1ハイサイドトランジスタおよび前記第2ハイサイドトランジスタは、それぞれPDMOS(PチャネルDMOS(Double-Diffused MOSFET))であり、前記第1ローサイドトランジスタおよび前記第2ローサイドトランジスタは、それぞれNDMOS(NチャネルDMOS)である構成としてもよい(第9の構成)。
【0019】
また、本発明の一態様に係るモータドライバは、上記第1から第9のいずれかの構成としている半導体集積回路をパッケージ化して構成される。
【0020】
また、本発明の一態様に係るモータ駆動システムは、上記モータドライバと、前記半導体集積回路における前記第1ハーフブリッジ出力段および前記第2ハーフブリッジ出力段に接続されるモータと、を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、モータ駆動用の半導体集積回路において、寄生電流を抑制しつつも回路面積を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の例示的な実施形態に係るモータ駆動システムの構成を示す図である。
【
図2】モータドライバの内部構成例を示すブロック図である。
【
図3A】Hブリッジ出力段によるモータ駆動状態の一例を示す図である。
【
図3B】Hブリッジ出力段によるモータ制動状態の一例を示す図である。
【
図3C】Hブリッジ出力段によるモータ駆動状態の一例を示す図である。
【
図3D】Hブリッジ出力段によるモータ制動状態の一例を示す図である。
【
図4】ラッチアップを説明するためのハイサイドトランジスタおよびローサイドトランジスタの縦構造の一例を示す断面図である。
【
図5A】第1比較例に係る半導体集積回路におけるトランジスタ配置領域を示す平面図である。
【
図5B】第1比較例に係る半導体集積回路における下層配線部を示す平面図である。
【
図5C】第1比較例に係る半導体集積回路における中層配線部を示す平面図である。
【
図5D】第1比較例に係る半導体集積回路における上層配線部を示す平面図である。
【
図6】第2比較例に係る半導体集積回路におけるトランジスタ配置領域を示す平面図である。
【
図7A】本発明の例示的な実施形態に係る半導体集積回路におけるトランジスタ配置領域を示す平面図である。
【
図7B】本発明の例示的な実施形態に係る半導体集積回路における下層配線部を示す平面図である。
【
図7C】本発明の例示的な実施形態に係る半導体集積回路における中層配線部を示す平面図である。
【
図7D】本発明の例示的な実施形態に係る半導体集積回路における上層配線部を示す平面図である。
【
図8】本発明の変形例に係るモータドライバの内部構成を示す図である。
【
図9】第3比較例に係る半導体集積回路におけるトランジスタ配置領域を示す平面図である。
【
図10】本発明の変形例に係る半導体集積回路におけるトランジスタ配置領域を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
<モータ駆動システム>
図1は、本発明の例示的な実施形態に係るモータ駆動システムの構成を示す図である。
図1に示すモータ駆動システム200は、一例として車載用であり、半導体装置として構成されるモータドライバ100と、電圧レギュレータ110と、MCU(Micro Control Unit)120と、モータM1~M3と、を有する。モータドライバ100と、電圧レギュレータ110と、MCU120は、ECU(Electronic Control Unit)に含まれる。
【0025】
モータドライバ100は、外部との電気的接続を確立するための端子として、電源端子VS、電源端子VCC、イネーブル端子E、チップセレクト端子CB、クロック信号入力端子SK、入力データ端子SI、出力データ端子SO、および出力端子OUT1~OUT6を有している。
【0026】
バッテリ電源150から直流電圧である電源電圧Vsが電源端子VSに印加される。電源電圧Vsは、例えば12Vである。電圧レギュレータ110は、電源電圧Vsを直流電圧である電源電圧Vccへ変換する。電源電圧Vccは、電源電圧Vsよりも低い電圧であり、例えば5Vや3.3Vである。電源電圧Vccは、電源端子VCCに印加されるとともに、MCU120へ供給される。
【0027】
MCU120は、イネーブル端子E、チップセレクト端子CB、クロック信号入力端子SK、入力データ端子SI、および出力データ端子SOを介してモータドライバ100と通信を行う。これについては後述するが、特にモータドライバ100は、チップセレクト端子CB、クロック信号入力端子SK、入力データ端子SI、および出力データ端子SOを有することにより、後述するシリアル通信方式で通信を行うことができる。
【0028】
モータM1~M3は、DCブラシ付きモータである。出力端子OUT1とOUT2との間には、モータM1が接続される。出力端子OUT3とOUT4との間には、モータM2が接続される。出力端子OUT5とOUT6との間には、モータM3が接続される。モータドライバ100は、出力端子OUT1~OUT6からの出力によりモータM1~M3を駆動することができる。
【0029】
<モータドライバ>
図2は、モータドライバ100の内部構成例を示すブロック図である。モータドライバ100は、半導体集積回路(半導体チップ)1001をパッケージ化した製品である。すなわち、電源端子VS等の端子は、リード端子として形成され、半導体集積回路1001の不図示のパッドとワイヤにより接続される。
【0030】
半導体集積回路1001は、制御論理回路1と、駆動回路21~26と、パワーオンリセット部3と、減電圧保護部4と、過電圧保護部5と、サーマルシャットダウン部6と、シュミットインバータIS1~IS4と、バッファBUと、抵抗R1~R4と、ハイサイドトランジスタQH1~QH6と、ローサイドトランジスタQL1~QL6と、を1チップに集積化して有する。
【0031】
半導体集積回路1001は、ハーフブリッジ出力段を構成するハイサイドトランジスタQH1~QH6、ローサイドトランジスタQL1~QL6を有する。第1ハイサイドトランジスタQH1と第1ローサイドトランジスタQL1は対を成し、1つのハーフブリッジ出力段を構成している。同様に第2ハイサイドトランジスタQH2と第2ローサイドトランジスタQL2、ハイサイドトランジスタQH3とローサイドトランジスタQL3、ハイサイドトランジスタQH4とローサイドトランジスタQL4、ハイサイドトランジスタQH5とローサイドトランジスタQL5、ハイサイドトランジスタQH6とローサイドトランジスタQL6も、それぞれ対を成し各別にハーフブリッジ出力段を構成している。
【0032】
一例として、ハイサイドトランジスタQH1~QH6はPDMOS(PチャネルDMOS(Double-Diffused MOSFET))で形成され、ローサイドトランジスタQL1~QL6はNDMOS(NチャネルDMOS)で形成されている。
【0033】
先述したように、モータドライバ100には出力端子OUT1~OUT6の6つの出力端子が用意されている。出力端子OUT1~OUT6は、それぞれのハーフブリッジ出力段におけるハイサイドトランジスタとローサイドトランジスタとが接続される接続ノードN1~N6に接続されている。
【0034】
先述した
図1に示すように、出力端子OUT1と出力端子OUT2との間にモータM1を、出力端子OUT3と出力端子OUT4との間にモータM2を、出力端子OUT5と出力端子OUT6との間にモータM3をそれぞれ接続する。すなわち、一方のハーフブリッジ出力段と他方のハーフブリッジ出力段との間にモータを接続してHブリッジ出力段(フルブリッジ出力段とも呼ばれる)でモータを駆動する。Hブリッジ出力段でモータを駆動するならばモータの正転・逆転の切り替えおよび制動が容易になることはよく知られている。
【0035】
各ハーフブリッジ出力段の入力側すなわちハイサイドトランジスタQH1~QH6、ローサイドトランジスタQL1~QL6のゲートには過電流保護部の機能も備えた駆動回路21~26がそれぞれ接続されている。
【0036】
モータドライバ100の1つの特徴は、シリアルインターフェース通信によってハイサイドトランジスタQH1~QH6、ローサイドトランジスタQL1~QL6を制御、駆動できることにある。シリアルインターフェース通信は、クロック信号に同期しながらデータを伝送するシリアル通信方式である。制御論理回路1は、シリアルインターフェース通信においてはスレーブの役割を担う。制御論理回路1に関連する外部端子として、チップセレクト端子CB、クロック信号入力端子SK、入力データ端子SI、出力データ端子SO、およびイネーブル端子Eが用意されている。これら5つの外部端子にはマスタとしてのMCU120(
図1)が接続されている。MCU120は、制御論理回路1にクロック信号SCK、チップセレクト信号CSB、入力データSDIを送出し、また、スレーブである制御論理回路1から出力データSDOを受け取る。なお、本実施形態で採用したシリアルインターフェース通信は、よく知られたシリアルペリフェラルインターフェース(SPI:Serial Peripheral Interface)と称される通信方式で車載などに比較的多く採用されるものである。
【0037】
チップセレクト端子CBには、マスタから与えられたアドレス信号に当たるチップセレクト信号CSBが入力される。チップセレクト端子CBに入力されるチップセレクト信号CSBがローレベルの間、SPI通信が可能となる。したがって、SPI通信のプロトコルはいわゆる負論理で実行される。チップセレクト端子CBは、半導体集積回路1001に内蔵された抵抗R1を介して電源端子VCCに接続されている。抵抗R1はいわゆるプルアップ抵抗と称され、チップセレクト端子CBを電源端子VCCの電圧レベルに保持する。こうした構成によって、MCU120から入力されるチップセレクト信号CSBが入力されていないときにはチップセレクト端子CBの電位はハイレベルに保持されるためにSPI通信の実行が遮断される。
【0038】
チップセレクト端子CBには抵抗R1の他にシュミットインバータIS1が接続されている。シュミットインバータIS1は、チップセレクト信号CSBの立上りと立下りで異なるしきい値を有する、いわゆるヒステリシスを有するインバータであり、チップセレクト端子CBに入力される信号にノイズが混在したときの誤動作を防止する。
【0039】
クロック信号入力端子SKにはSPI通信に用いるクロック信号SCKが入力される。チップセレクト端子CBに負の信号(ローレベル信号)が入力されている期間であって、クロック信号SCKが入力されている間、SPI通信が可能となる。クロック信号入力端子SKには抵抗R2およびシュミットインバータIS2が接続されている。抵抗R2は、いわゆるプルダウン抵抗と称され、クロック信号入力端子SKにクロック信号SCKが入力されていない間はローレベルに保持する。シュミットインバータIS2は、シュミットインバータIS1と同様の目的で採用しており、ノイズによって生じるSPI通信の誤動作を防止するために用意されている。
【0040】
入力データ端子SIにはMCU120から入力データSDIが入力される。入力データSDIはクロック信号入力端子SKに入力されるクロック信号SCK1つ1つに対応して決定されている。制御論理回路1が例えば、16ビットのレジスタを有している場合には16種類の入力データSDIを設定することができる。入力データ端子SIには、抵抗R3およびシュミットインバータIS3が接続されている。抵抗R3は、いわゆるプルダウン抵抗と称され、入力データ端子SIに信号が入力されていない間、入力データ端子SIをローレベルに保持する。シュミットインバータIS3は、シュミットインバータIS1,IS2と同様の目的で用意されている。すなわち、入力データ端子SIに不所望なノイズが到来したときのSPI通信の誤動作を防止する。
【0041】
出力データ端子SOから、出力データSDOがMCU120に向けて出力される。出力データ端子SOから出力される出力データSDOは、入力データ端子SIに入力された各種の入力信号に基づき決定された信号が出力される。制御論理回路1が例えば、16ビットのレジスタを有している場合には16種類の出力データSDOが出力される。制御論理回路1と出力データ端子SOとはバッファBUを介して接続されており、両者の間で生じる干渉を抑止する。
【0042】
イネーブル端子Eは例えば、過電流保護が作動した状態を解除する場合などに用いられる。イネーブル端子Eにはイネーブル信号ENが印加される。イネーブル端子EはSPI通信にとっては必ずしも必須の構成要件ではない。イネーブル端子Eには抵抗R4が接続され、さらにシュミットインバータIS4が接続されている。シュミットインバータIS4を設けた理由は、シュミットインバータIS1~IS3と同様の目的で用意されている。すなわち、イネーブル端子Eに不所望なノイズが到来したときのSPI通信およびモータドライバ100全体の誤動作を防止するためである。
【0043】
パワーオンリセット部3は、制御論理回路1に供給される電源電圧Vccが所定の大きさを下回ったときに制御論理回路1をリセットさせる。例えば、電源電圧Vccの通常の使用範囲が4.5V~5.5Vである場合、電源電圧Vccが3.8Vになったときに制御論理回路1の回路機能を十分に保証することができないとみなし、制御論理回路1をリセットさせる。
【0044】
減電圧保護部4は、電源端子VSに供給される電源電圧Vsが所定の大きさを下回ったときに出力端子OUT1~OUT6のすべてをハイインピーダンス(Hi-Z)に保持する。例えば、電源端子VSの電源電圧Vsの使用範囲が8V~36Vである場合、電源電圧Vsが例えば4.6V以下になったときに、ハイサイドトランジスタQH1~QL1、およびローサイドトランジスタQL1~QL6のすべてのトランジスタをオフさせることによって、すべての出力端子をハイインピーダンス(Hi-Z)に保持する。なお、電源電圧が例えば、5.1V以上になると再び出力を復帰し、通常動作に戻るように自己復帰させることができる。もちろん、自己復帰させずにラッチさせることも可能であり、その選択は制御論理回路1内部のレジスタ(不図示)で設定する。
【0045】
過電圧保護部5は、電源端子VSに供給される電源電圧Vsが所定の大きさを上回ったときに出力端子OUT1~OUT6のすべてをハイインピーダンス(Hi-Z)に保持する。例えば、電源端子VSの電源電圧Vsの使用範囲が通常8V~36Vである場合、電源電圧Vsが例えば50V以上になったときに、ハイサイドトランジスタQH1~QL1、およびローサイドトランジスタQL1~QL6のすべてのトランジスタをオフさせることによって、すべての出力端子をハイインピーダンスに保持する。なお、電源電圧Vsが例えば、45V以下になると再び出力を復帰し、通常動作に戻るように自己復帰させることができる。もちろん、自己復帰させずにラッチさせることも可能であり、その選択は上記レジスタで設定する。
【0046】
サーマルシャットダウン部6は、半導体集積回路1001のジャンクション温度が例えば175℃以上となったときに出力端子OUT1~OUT6のすべてをハイインピーダンス(Hi-Z)に保持する。Hi-Z状態はハイサイドトランジスタQH1~QL1、およびローサイドトランジスタQL1~QL6のすべてのトランジスタをオフさせることによって成される。なお、ジャンクション温度が例えば、175℃から下がり150℃以下になった場合に再び出力を復帰し、通常動作に戻るように自己復帰させることができる。もちろん、自己復帰させずにラッチさせることも可能であり、その選択は上記レジスタで設定する。
【0047】
駆動回路21~26には駆動回路とは別に不図示の過電流保護部が備えられている。過電流保護部は、出力端子OUT1~OUT6のいずれか1つに例えば、1.5Aの電流が流れたときに過電流と判定し、過電流を検出した出力端子のみをハイインピーダンス(Hi-Z)にラッチする。したがって、例えば、過電流を検出した出力端子がOUT1のみであって、他の出力端子OUT2~OUT6では過電流を検出しなかった場合は、出力端子OUT1に接続されている第1ハイサイドトランジスタQH1と第1ローサイドトランジスタQL1が共にオフとされ、出力端子OUT1がハイインピーダンスに保持されるも、出力端子OUT2~OUT6に接続されているハイサイドトランジスタQH2~QH6およびローサイドトランジスタQL2~QL6は制御論理回路1で指示された条件に添った動作を継続する。なお、ラッチを解除するには上記レジスタでリセットするかまたはイネーブル端子Eによってリセットすればよい。
【0048】
モータドライバ100は、これまで説明した外部端子の他に接地端子GND,PGNDを有し、これらの接地端子は半導体集積回路1001の内部配線により電気的に共通接続されている。
【0049】
<Hブリッジ出力段によるモータ駆動>
次に、先述したようにモータドライバ100に含まれるHブリッジ出力段によるモータの駆動について詳述する。
図3Aは、ハイサイドトランジスタQH1,QH2と、ローサイドトランジスタQL1,QL2から構成されるHブリッジ出力段HBによるモータ駆動状態の一例を示す図である。なお、他のハイサイドトランジスタQH3~QH6、ローサイドトランジスタQL3~QL6により構成される各Hブリッジ出力段については、Hブリッジ出力段HBと同様であるので、ここではHブリッジ出力段HBについて代表的に説明する。
【0050】
図3Aに示すように、Hブリッジ出力段HBは、第1ハイサイドトランジスタQH1と第1ローサイドトランジスタQL1とから構成される一方のハーフブリッジ出力段と、第2ハイサイドトランジスタQH2と第2ローサイドトランジスタQL2とから構成される他方のハーフブリッジ出力段と、から構成される。
【0051】
より具体的には、それぞれPDMOSであるハイサイドトランジスタQH1,QH2の各ソースは、電源電圧Vsの印加端に共通接続される。第1ハイサイドトランジスタQH1のドレインと、NDMOSである第1ローサイドトランジスタQL1のドレインは、ノードN1にて接続される。第2ハイサイドトランジスタQH2のドレインと、NDMOSである第2ローサイドトランジスタQL2のドレインは、ノードN2にて接続される。モータM1に含まれる励磁コイルLは、ノードN1とノードN2との間に接続される。ローサイドトランジスタQL1,QL2の各ソースは、グラウンド電位の印加端に共通接続される。
【0052】
また、
図3Aに示すように、第1ハイサイドトランジスタQH1は、そのドレインからソースに向かって順方向となる上側寄生ダイオードDH1を有する。第1ローサイドトランジスタQL1は、そのソースからドレインに向かって順方向となる下側寄生ダイオードDL1を有する。第2ハイサイドトランジスタQH2は、そのドレインからソースに向かって順方向となる上側寄生ダイオードDH2を有する。第2ローサイドトランジスタQL2は、そのソースからドレインに向かって順方向となる下側寄生ダイオードDL2を有する。
【0053】
図3Aでは、トランジスタの制御状態の一例として、第1ハイサイドトランジスタQH1と第2ローサイドトランジスタQL2をオン状態とし、第2ハイサイドトランジスタQH2と第1ローサイドトランジスタQL1をオフ状態としている。この状態では、
図3Aに示すように、電源電圧Vsの印加端から第1ハイサイドトランジスタQH1、ノードN1、励磁コイルL、ノードN2、第2ローサイドトランジスタQL2、およびグラウンド電位の印加端の順の電流経路でモータ電流Imが流れ、モータM1は例えば正転する。
【0054】
図3Aのモータ駆動状態からモータM1の回転を停止、または減速させる制動状態へ移行するには、
図3Bのようなトランジスタの制御状態とする。
図3Bに示す状態では、Hブリッジ出力段HBにおけるすべてのトランジスタ(QH1,QH2,QL1,QL2)をオフ状態とする。これにより、
図3Bに示すように、励磁コイルLの逆起電力により、グラウンド電位の印加端、下側寄生ダイオードDL1、ノードN1、励磁コイルL、ノードN2、上側寄生ダイオードDH2、および電源電圧Vsの印加端の順の電流経路でモータ電流Imが流れる。すなわち、励磁コイルLに蓄えられているエネルギーは、電流経路内の抵抗成分(主に励磁コイルLの抵抗成分)で消費されるだけでなく、電源側への回生エネルギーとして消費される。その結果、モータ電流Imは、高速に減衰する。
【0055】
なお、
図3Aの状態から制動状態へ移行するには、上記の他に、ハイサイドトランジスタQH1,QH2をオフ状態とし、ローサイドトランジスタQL1,QL2をオン状態としてもよい。この場合、それまで流れていたモータ電流Imは流れ続けようとし、励磁コイルLとローサイドトランジスタQL1,QL2によって形成されるループ状の電流経路を流れる。その結果、励磁コイルLに蓄えられているエネルギーが電流経路内の抵抗成分で消費されるに従い、モータ電流Imが徐々に減衰する。
【0056】
また、
図3Cでは、トランジスタの制御状態の一例として、第2ハイサイドトランジスタQH2と第1ローサイドトランジスタQL1をオン状態とし、第1ハイサイドトランジスタQH1と第2ローサイドトランジスタQL2をオフ状態としている。この状態では、
図3Cに示すように、電源電圧Vsの印加端から第2ハイサイドトランジスタQH2、ノードN2、励磁コイルL、ノードN1、第1ローサイドトランジスタQL1、およびグラウンド電位の印加端の順の電流経路でモータ電流Imが流れ、モータM1は逆転(
図3Aと逆方向の回転)する。
【0057】
そして、
図3Cのモータ駆動状態から制動状態へ移行するには、
図3Dのようなトランジスタの制御状態とする。
図3Dに示す状態では、
図3Bと同様に、Hブリッジ出力段HBにおけるすべてのトランジスタ(QH1,QH2,QL1,QL2)をオフ状態とする。これにより、
図3Dに示すように、励磁コイルLの逆起電力により、グラウンド電位の印加端、下側寄生ダイオードDL2、ノードN2、励磁コイルL、ノードN1、上側寄生ダイオードDH1、および電源電圧Vsの印加端の順の電流経路でモータ電流Imが流れる。これにより、
図3Bと同様に、モータ電流Imは、高速に減衰する。
【0058】
なお、
図3Cの状態から制動状態へ移行するために、先述したようにハイサイドトランジスタQH1,QH2をオフ状態、ローサイドトランジスタQL1,QL2をオン状態としてもよい。
【0059】
<ラッチアップ>
しかしながら、上記のような
図3Bまたは
図3Dに示すような制動状態のための動作を行った場合、半導体集積回路1001において意図しないラッチアップが発生する虞がある。ここでは、ラッチアップについて説明する。
【0060】
図4は、ラッチアップを説明するための第2ハイサイドトランジスタQH2および第1ローサイドトランジスタQL1の縦構造の一例を示す断面図である。なお、
図4は、第1ハイサイドトランジスタQH1および第2ローサイドトランジスタQL2の縦構造を示すものとも捉えることができるが、便宜のため、
図4に示すトランジスタは、第2ハイサイドトランジスタQH2と第1ローサイドトランジスタQL1であるとして代表的に説明する。
【0061】
先述したように、第2ハイサイドトランジスタQH2はPDMOSで構成され、第1ローサイドトランジスタQL1はNDMOSで構成される。第2ハイサイドトランジスタQH2と第1ローサイドトランジスタQL1ともに、P型半導体基板350上に形成される。なお、P型半導体基板350は、グラウンド電位の印加端に接続される。
【0062】
第2ハイサイドトランジスタQH2および第1ローサイドトランジスタQL1は、平面視で閉形状(例えば四角環状)である帯状のP型の素子分離ウェル303により区画される各領域に形成される。
【0063】
第2ハイサイドトランジスタQH2は、N型の埋め込み層(B/L)301Aと、N型エピタキシャル層301Bと、N型ウェル領域301Cと、P型ウェル領域301Dと、P型LDD層(MVPLDD)301Eと、P型ソース領域301Fと、P型ドレイン領域301Gと、ゲート部301Hと、を有する。
【0064】
N型エピタキシャル層301Bは、P型半導体基板350上に形成される。埋め込み層301Aは、N型エピタキシャル層301BとP型半導体基板350との境界を跨ぐように形成される。
【0065】
素子分離ウェル303は、N型エピタキシャル層301Bの周囲を取り囲むように形成される。素子分離ウェル303は、上側に配置されたP型ウェル領域303Aと、下側に配置されたP型ローアイショレーション(L/I)領域303Bと、の2層構造を有する。
【0066】
2つのN型ウェル領域301Cと、P型ウェル領域301Dは、横方向に互いに間隔を空けて並んで配置され、N型エピタキシャル層301Bの表面に形成される。P型ウェル領域301Dは、2つのN型ウェル領域301Cにより横方向に挟まれて配置される。
【0067】
N型ウェル領域301Cの表面には、P型LDD層301Eが形成される。P型LDD層301Eの表面には、P型ソース領域301Fが形成される。P型ソース領域301Fは、電源端子VSに電気的に接続される。すなわち、P型ソース領域301Fには電源電圧Vsが印加される。
【0068】
P型ウェル領域301Dの表面には、P型ドレイン領域301Gが形成される。P型ドレイン領域301Gは、出力端子OUT2に電気的に接続される。
【0069】
フィールド絶縁膜304は、P型ウェル領域301Dの表面に配置され、その内縁はP型ドレイン領域301Gの外縁上に配置される。
【0070】
ゲート部301Hは、ゲート絶縁膜と、当該ゲート絶縁膜を上側から覆うゲート電極と、を有する。上記ゲート絶縁膜は、N型エピタキシャル層301Bの表面においてN型ウェル領域301CからP型ウェル領域301Dを跨ぐように配置される。上記ゲート電極は、上記ゲート絶縁膜の全部とフィールド絶縁膜304の一部を覆う。
【0071】
第1ローサイドトランジスタQL1は、N型の埋め込み層(B/L)302Aと、N型エピタキシャル層302Bと、N型ウェル領域302Cと、P型ウェル領域302Dと、N型ソース領域302Eと、N型LDD層(MVNLDD)302Fと、N型ドレイン領域302Gと、ゲート部302Hと、を有する。
【0072】
N型エピタキシャル層302Bは、P型半導体基板350上に形成される。埋め込み層302Aは、N型エピタキシャル層302BとP型半導体基板350との境界を跨ぐように形成される。
【0073】
素子分離ウェル303は、N型エピタキシャル層302Bの周囲を取り囲むように形成される。
【0074】
2つのN型ウェル領域302Cと、P型ウェル領域302Dは、横方向に互いに間隔を空けて並んで配置され、N型エピタキシャル層302Bの表面に形成される。P型ウェル領域302Dは、2つのN型ウェル領域302Cにより横方向に挟まれて配置される。
【0075】
N型ウェル領域302Cの表面には、N型ソース領域302Eが形成される。N型ソース領域302Eは、グラウンド電位の印加端に電気的に接続される。
【0076】
P型ウェル領域302Dの表面には、N型LDD層302Fが形成される。N型LDD層302Fの表面には、N型ドレイン領域302Gが形成される。N型ドレイン領域302Gは、出力端子OUT1に電気的に接続される。
【0077】
フィールド絶縁膜305は、N型ウェル領域302Cの表面に配置され、その外縁はN型ソース領域302Eの内縁上に配置される。
【0078】
ゲート部302Hは、ゲート絶縁膜と、当該ゲート絶縁膜を上側から覆うゲート電極と、を有する。上記ゲート絶縁膜は、N型エピタキシャル層302Bの表面においてN型ウェル領域302CからP型ウェル領域302Dを跨ぐように配置される。上記ゲート電極は、上記ゲート絶縁膜の全部とフィールド絶縁膜305の一部を覆う。
【0079】
ここで、
図4に示す縦構造には、P型ウェル領域301Dをエミッタとし、N型エピタキシャル層301Bをベースとし、P型半導体基板350をコレクタとする寄生PNPトランジスタPT1が付随する。また、
図4に示す縦構造には、N型エピタキシャル層301Bをコレクタとし、P型半導体基板350をベースとし、N型エピタキシャル層302Bをエミッタとする寄生NPNトランジスタPT2が付随する。
【0080】
そして、先述した
図3Bに示す制動動作状態の場合、P型ドレイン領域301Gに印加される出力端子OUT2(ノードN2)の電圧は、電源電圧Vsに上側寄生ダイオードDH2の順方向電圧Vfを足し合わせた正電圧(=Vs+Vf)となる。また、N型エピタキシャル層301Bには、電源電圧Vsが印加される。これにより、寄生PNPトランジスタPT1にベース電流が流れ、寄生PNPトランジスタPT1はアクティブとなる。
【0081】
また、上記の場合、N型ドレイン領域302Gに印加される出力端子OUT1(ノードN1)の電圧は、グラウンド電位から下側寄生ダイオードDL1の順方向電圧だけ差し引いた負電圧(=GND-Vf)となる。また、P型半導体基板350には、グラウンド電位が印加される。これにより、寄生NPNトランジスタPT2にベース電流が流れ、寄生NPNトランジスタPT2はアクティブとなる。
【0082】
すなわち、
図3Bに示す制動動作状態においては、上側寄生ダイオードDH2を介して電源電圧Vsの印加端に至る電流経路で回生電流が流れるだけでなく、寄生PNPトランジスタPT1を介してP型半導体基板350に至る電流経路でサブリーク電流が流れる。このサブリーク電流により、寄生NPNトランジスタPT2のベース電流が増大するので、寄生NPNトランジスタPT2が寄生PNPトランジスタPT1のベースから、より大きな電流を引き込むようになる。その結果、寄生PNPトランジスタPT1のベース電位がさらに下がり、寄生PNPトランジスタPT1が、より大きなサブリーク電流を引き込むようになる。
【0083】
上記一連の動作により、寄生トランジスタPT1,PT2によるラッチアップ構造が形成されると、寄生NPNトランジスタPT2のコレクタ・エミッタ間に大電流が流れることによる不具合が生じる。
【0084】
なお、
図3Dに示す制動動作状態の場合、第1ハイサイドトランジスタQH1と第2ローサイドトランジスタQL2による縦構造に付随する寄生トランジスタPT1,PT2によりラッチアップ構造が形成され、上記と同様の問題が生じる。
【0085】
<第1比較例>
ここで、後述する本発明の実施形態との比較のための第1比較例について説明する。なお、以下、図面においては、X方向を第1方向として、第1方向一方側をX1、第1方向他方側をX2として示し、Y方向を第2方向として、第2方向一方側をY1、第2方向他方側をY2として示す。第1方向と第2方向は、直交する。また、第1方向と第2方向とに直交する方向が上下方向となる。
【0086】
図5Aは、半導体集積回路ICAにおける各トランジスタQH1,QH2,QL1,QL2の配置領域を示す平面図である。なお、
図5Aには、上記トランジスタよりも上層に配置される各パッド(電源パッドPDVなど)も図示している。各パッドの詳細については、後述する。
【0087】
また、
図5Aに示す半導体集積回路ICAは、便宜上、トランジスタQH1,QH2,QL1,QL2を集積化できるサイズとして簡略化して記載しており、先述した
図2に示す半導体集積回路1001のサイズは、
図5Aに示す半導体集積回路ICAのサイズよりも大きくなる。
【0088】
平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成される第1トランジスタ配置領域Tr1には、第1ハイサイドトランジスタQH1が配置される。平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成される第2トランジスタ配置領域Tr2には、第1ローサイドトランジスタQL1が配置される。平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成される第3トランジスタ配置領域Tr3には、第2ハイサイドトランジスタQH2が配置される。平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成される第4トランジスタ配置領域Tr4には、第2ローサイドトランジスタQL2が配置される。
【0089】
第1~第4トランジスタ配置領域Tr1~Tr4は、平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成される四角領域SQRを、四角領域SQRにおける第2方向一方側の第1方向に延びる辺と四角領域SQRにおける第2方向他方側の第1方向に延びる辺とを第2方向に結ぶ第1直線LN1と、四角領域SQRにおける第1方向一方側の第2方向に延びる辺と四角領域SQRにおける第1方向他方側の第2方向に延びる辺とを第1方向に結ぶ第2直線LN2とにより4つに分割される各領域に配置される。
【0090】
第1トランジスタ配置領域Tr1は、第1方向一方側かつ第2方向一方側に配置され、第2トランジスタ配置領域Tr2は、第1方向一方側かつ第2方向他方側に配置され、第3トランジスタ配置領域Tr3は、第1方向他方側かつ第2方向一方側に配置され、第4トランジスタ配置領域Tr4は、第1方向他方側かつ第2方向他方側に配置される。
【0091】
平面視での第2トランジスタ配置領域Tr2の面積S2は、平面視での第1トランジスタ配置領域Tr1の面積S1の半分である。すなわち、S1:S2は、2:1である。平面視での第4トランジスタ配置領域Tr4の面積S4は、平面視での第3トランジスタ配置領域Tr3の面積S3の半分である。すなわち、S3:S4=2:1である。ここで、S1=S3であるので、S2=S4となる。
【0092】
なお、第1、第3トランジスタ配置領域Tr1,Tr3の各面積S1,S3を第2、第4トランジスタ配置領域Tr2,Tr4の各面積S2,S4の2倍としているのは、PDMOSであるハイサイドトランジスタQH1,QH2と、NDMOSであるローサイドトランジスタQL1,QL2で、オン抵抗値を近づけるためである。
【0093】
図5Bは、半導体集積回路ICAにおいて、
図5Aで示す各トランジスタ配置領域Tr1~Tr4に配置されるトランジスタよりも上層に配置される下層配線部W1の平面図である。なお、
図5Bには、各トランジスタ配置領域Tr1~T4と、各パッド(電源パッドPDVなど)も併せて示している。また、下層配線部W1は、後述する中層配線部W2および上層配線部W3よりも下層に配置される。
【0094】
図5Bに示すように、下層配線部W1は、第1トランジスタ配置領域Tr1において、それぞれ複数である第1ドレイン下層配線DW11と第1ソース下層配線SW11を有する。第1ドレイン下層配線DW11および第1ソース下層配線SW11は、第1方向に延びるように形成される。第1ドレイン下層配線DW11および第1ソース下層配線SW11は、第2方向に交互に並んで配置される。
図5Bでは、第1トランジスタ配置領域Tr1において第2方向他方側の端には、第1ドレイン下層配線DW11が配置される。
【0095】
ここで、第1トランジスタ配置領域Tr1においては、第1ドレイン下層配線DW11に上下に対向する位置に第1方向に延びるドレイン領域が配置されるとともに、第1ソース下層配線SW11に上下に対向する位置に第1方向に延びるソース領域が配置される。すなわち、ハイサイドトランジスタQH1におけるドレイン領域とソース領域とが第2方向に交互に並んで配置される。上記ドレイン領域は、
図4でのP型ドレイン領域301Gに相当し、上記ソース領域は、
図4でのP型ソース領域301Fに相当する。すなわち、第1トランジスタ配置領域Tr1においては、
図4で示すハイサイドトランジスタQH1の縦構造を単位として、当該単位の構成が横方向に繰り返される構成となる。第1トランジスタ配置領域Tr1における上記ドレイン領域は、第1ドレイン下層配線DW11と電気的に接続され、第1トランジスタ配置領域Tr1における上記ソース領域は、第1ソース下層配線SW11と電気的に接続される。
【0096】
また、
図5Bに示すように、下層配線部W1は、第2トランジスタ配置領域Tr2において、それぞれ複数である第2ドレイン下層配線DW21と第2ソース下層配線SW21を有する。第2ドレイン下層配線DW21および第2ソース下層配線SW21は、第1方向に延びるように形成される。第2ドレイン下層配線DW21および第2ソース下層配線SW21は、第2方向に交互に並んで配置される。
図5Bでは、第2トランジスタ配置領域Tr2において第2方向他方側の端には、第2ドレイン下層配線DW21が配置される。
【0097】
ここで、第2トランジスタ配置領域Tr2においては、第2ドレイン下層配線DW21に上下に対向する位置に第1方向に延びるドレイン領域が配置されるとともに、第2ソース下層配線SW21に上下に対向する位置に第1方向に延びるソース領域が配置される。すなわち、第1ローサイドトランジスタQL1におけるドレイン領域とソース領域とが第2方向に交互に並んで配置される。上記ドレイン領域は、
図4でのN型ドレイン領域302Gに相当し、上記ソース領域は、
図4でのN型ソース領域302Eに相当する。すなわち、第2トランジスタ配置領域Tr2においては、
図4で示すローサイドトランジスタQL1の縦構造を単位として、当該単位の構成が横方向に繰り返される構成となる。第2トランジスタ配置領域Tr2における上記ドレイン領域は、第2ドレイン下層配線DW21と電気的に接続され、第2トランジスタ配置領域Tr2における上記ソース領域は、第2ソース下層配線SW21と電気的に接続される。
【0098】
また、
図5Bに示すように、下層配線部W1は、第3トランジスタ配置領域Tr3において、それぞれ複数である第3ドレイン下層配線DW31と第3ソース下層配線SW31を有する。第3ドレイン下層配線DW31および第3ソース下層配線SW31は、第1方向に延びるように形成される。第3ドレイン下層配線DW31および第3ソース下層配線SW31は、第2方向に交互に並んで配置される。
図5Bでは、第3トランジスタ配置領域Tr3において第2方向他方側の端には、第3ドレイン下層配線DW31が配置される。
【0099】
ここで、第3トランジスタ配置領域Tr3においては、第3ドレイン下層配線DW31に上下に対向する位置に第1方向に延びるドレイン領域が配置されるとともに、第3ソース下層配線SW31に上下に対向する位置に第1方向に延びるソース領域が配置される。すなわち、第2ハイサイドトランジスタQH2におけるドレイン領域とソース領域とが第2方向に交互に並んで配置される。上記ドレイン領域は、
図4でのP型ドレイン領域301Gに相当し、上記ソース領域は、
図4でのP型ソース領域301Fに相当する。すなわち、第3トランジスタ配置領域Tr3においては、
図4で示すハイサイドトランジスタQH2の縦構造を単位として、当該単位の構成が横方向に繰り返される構成となる。第3トランジスタ配置領域Tr3における上記ドレイン領域は、第3ドレイン下層配線DW31と電気的に接続され、第3トランジスタ配置領域Tr3における上記ソース領域は、第3ソース下層配線SW31と電気的に接続される。
【0100】
また、
図5Bに示すように、下層配線部W1は、第4トランジスタ配置領域Tr4において、それぞれ複数である第4ドレイン下層配線DW41と第4ソース下層配線SW41を有する。第4ドレイン下層配線DW41および第4ソース下層配線SW41は、第1方向に延びるように形成される。第4ドレイン下層配線DW41および第4ソース下層配線SW41は、第2方向に交互に並んで配置される。
図5Bでは、第4トランジスタ配置領域Tr4において第2方向他方側の端には、第4ドレイン下層配線DW41が配置される。
【0101】
ここで、第4トランジスタ配置領域Tr4においては、第4ドレイン下層配線DW41に上下に対向する位置に第1方向に延びるドレイン領域が配置されるとともに、第4ソース下層配線SW41に上下に対向する位置に第1方向に延びるソース領域が配置される。すなわち、第2ローサイドトランジスタQL2におけるドレイン領域とソース領域とが第2方向に交互に並んで配置される。上記ドレイン領域は、
図4でのN型ドレイン領域302Gに相当し、上記ソース領域は、
図4でのN型ソース領域302Eに相当する。すなわち、第4トランジスタ配置領域Tr4においては、
図4で示すローサイドトランジスタQL2の縦構造を単位として、当該単位の構成が横方向に繰り返される構成となる。第4トランジスタ配置領域Tr4における上記ドレイン領域は、第4ドレイン下層配線DW41と電気的に接続され、第4トランジスタ配置領域Tr4における上記ソース領域は、第4ソース下層配線SW41と電気的に接続される。
【0102】
図5Cは、半導体集積回路ICAにおいて、
図5Bで示す下層配線部W1よりも上層に配置される中層配線部W2の平面図である。なお、
図5Cには、各トランジスタ配置領域Tr1~T4と、各パッド(電源パッドPDVなど)も併せて示している。
【0103】
図5Cに示すように、中層配線部W2は、第1トランジスタ配置領域Tr1において、それぞれ複数である第1ドレイン中層配線DW12と第1ソース中層配線SW12を有する。第1ドレイン中層配線DW12および第1ソース中層配線SW12は、第2方向に延びるように形成される。第1ドレイン中層配線DW12および第1ソース中層配線SW12は、第1方向に交互に並んで配置される。
図5Cでは、第1トランジスタ配置領域Tr1において第1方向一方側の端には、第1ドレイン中層配線DW12が配置される。
【0104】
図5Bと
図5Cで示すように、第1ドレイン中層配線DW12と第1ドレイン下層配線DW11とが平面視で重なる位置に、第1ドレイン下側ビアVAD11(黒四角)が配置される。第1ドレイン下側ビアVAD11は、第1ドレイン中層配線DW12と第1ドレイン下層配線DW11とを電気的に接続する。なお、ビアは、内壁面が導体(Cuなど)によりメッキされた上下に延びる穴部である。また、ビアの内部には導体が充填されていてもよい。すなわち、ビアは、内部に導体が設けられる穴部であればよい。
【0105】
図5Bと
図5Cで示すように、第1ソース中層配線SW12と第1ソース下層配線SW11とが平面視で重なる位置に、第1ソース下側ビアVAS11(黒四角)が配置される。第1ソース下側ビアVAS11は、第1ソース中層配線SW12と第1ソース下層配線SW11とを電気的に接続する。
【0106】
これにより、第1ドレイン下側ビアVAD11と第1ソース下側ビアVAS11は、平面視で千鳥状に配置される。
【0107】
また、
図5Bと
図5Cで示すように、第2ドレイン中層配線DW22と第2ドレイン下層配線DW21とが平面視で重なる位置に、第2ドレイン下側ビアVAD21(黒四角)が配置される。第2ドレイン下側ビアVAD21は、第2ドレイン中層配線DW22と第2ドレイン下層配線DW21とを電気的に接続する。
【0108】
図5Bと
図5Cで示すように、第2ソース中層配線SW22と第2ソース下層配線SW21とが平面視で重なる位置に、第2ソース下側ビアVAS21(黒四角)が配置される。第2ソース下側ビアVAS21は、第2ソース中層配線SW22と第2ソース下層配線SW21とを電気的に接続する。
【0109】
これにより、第2ドレイン下側ビアVAD21と第2ソース下側ビアVAS21は、平面視で千鳥状に配置される。
【0110】
また、
図5Bと
図5Cで示すように、第3ドレイン中層配線DW32と第3ドレイン下層配線DW31とが平面視で重なる位置に、第3ドレイン下側ビアVAD31(黒四角)が配置される。第3ドレイン下側ビアVAD31は、第3ドレイン中層配線DW32と第3ドレイン下層配線DW31とを電気的に接続する。
【0111】
図5Bと
図5Cで示すように、第3ソース中層配線SW32と第3ソース下層配線SW31とが平面視で重なる位置に、第3ソース下側ビアVAS31(黒四角)が配置される。第3ソース下側ビアVAS31は、第3ソース中層配線SW32と第3ソース下層配線SW31とを電気的に接続する。
【0112】
これにより、第3ドレイン下側ビアVAD31と第3ソース下側ビアVAS31は、平面視で千鳥状に配置される。
【0113】
また、
図5Bと
図5Cで示すように、第4ドレイン中層配線DW42と第4ドレイン下層配線DW41とが平面視で重なる位置に、第4ドレイン下側ビアVAD41(黒四角)が配置される。第4ドレイン下側ビアVAD41は、第4ドレイン中層配線DW42と第4ドレイン下層配線DW41とを電気的に接続する。
【0114】
図5Bと
図5Cで示すように、第4ソース中層配線SW42と第4ソース下層配線SW41とが平面視で重なる位置に、第4ソース下側ビアVAS41(黒四角)が配置される。第4ソース下側ビアVAS41は、第4ソース中層配線SW42と第4ソース下層配線SW41とを電気的に接続する。
【0115】
これにより、第4ドレイン下側ビアVAD41と第4ソース下側ビアVAS41は、平面視で千鳥状に配置される。
【0116】
図5Dは、半導体集積回路ICAにおいて、
図5Cで示す中層配線部W2よりも上層に配置される上層配線部W3の平面図である。なお、
図5Dには、各トランジスタ配置領域Tr1~T4と、各パッド(電源パッドPDVなど)も併せて示している。
【0117】
図5Dに示すように、上層配線部W3は、第1ソース上層配線SWT1と、第2ソース上層配線SWT2と、第1ドレイン上層配線DWT1と、第2ドレイン上層配線DWT2と、を有する。
【0118】
第1ソース上層配線SWT1は、第1トランジスタ配線領域Tr1と第3トランジスタ配置領域Tr3とに平面視で重なって第1方向に延びるように形成される。
【0119】
第1ドレイン上層配線DWT1および第2ドレイン上層配線DWT2は、第1ソース上層配線SWT1の第2方向他方側に第1方向に並んで配置される。第1ドレイン上層配線DWT1は、第1トランジスタ配線領域Tr1と第2トランジスタ配置領域Tr2とに平面視で重なって第1方向に延びるように形成される。第2ドレイン上層配線DWT2は、第1ドレイン上層配線DWT1の第1方向他方側に配置される。第2ドレイン上層配線DWT2は、第3トランジスタ配線領域Tr3と第4トランジスタ配置領域Tr4とに平面視で重なって第1方向に延びるように形成される。
【0120】
第2ソース上層配線SWT2は、第2トランジスタ配線領域Tr2と第4トランジスタ配置領域Tr4とに平面視で重なって第1方向に延びるように形成される。第2ソース上層配線SWT2は、第1ドレイン上層配線DWT1および第2ドレイン上層配線DWT2の第2方向他方側に配置される。
【0121】
図5Cと
図5Dに示すように、第1ソース上層配線SWT1と第1ソース中層配線SW12とが平面視で重なる位置に、第1ソース上側ビアVAS12(白四角)が配置される。第1ソース上側ビアVAS12は、第1ソース上層配線SWT1と第1ソース中層配線SW12とを電気的に接続する。
【0122】
図5Cと
図5Dに示すように、第1ソース上層配線SWT1と第3ソース中層配線SW32とが平面視で重なる位置に、第3ソース上側ビアVAS32(白四角)が配置される。第3ソース上側ビアVAS32は、第1ソース上層配線SWT1と第3ソース中層配線SW32とを電気的に接続する。
【0123】
図5Dに示すように、2つの電源パッドPDVは、第1ソース上層配線SWT1の一部として形成される。電源パッドPDVは、平面視で第1トランジスタ配置領域Tr1と第3トランジスタ配置領域Tr3との境界付近で、当該境界を第1方向両側から挟むように配置されるとともに、第1トランジスタ配置領域Tr1と第3トランジスタ配置領域Tr3の第2方向一方側端部に配置される。
【0124】
これにより、電源パッドPDVは、第1トランジスタ配置領域Tr1に配置される第1ハイサイドトランジスタQH1のソース領域および第3トランジスタ配置領域Tr3に配置される第2ハイサイドトランジスタQH2のソース領域と電気的に接続される。電源パッドPDVは、
図5Aで示すように、ワイヤWrにより電源電圧Vsの印加される電源端子VSに接続される。
【0125】
また、
図5Cと
図5Dに示すように、第1ドレイン上層配線DWT1と第1ドレイン中層配線DW12とが平面視で重なる位置に、第1ドレイン上側ビアVAD12(白四角)が配置される。第1ドレイン上側ビアVAD12は、第1ドレイン上層配線DWT1と第1ドレイン中層配線DW12とを電気的に接続する。
【0126】
図5Cと
図5Dに示すように、第1ドレイン上層配線DWT1と第2ドレイン中層配線DW22とが平面視で重なる位置に、第2ドレイン上側ビアVAD22(白四角)が配置される。第2ドレイン上側ビアVAD22は、第1ドレイン上層配線DWT1と第2ドレイン中層配線DW22とを電気的に接続する。
【0127】
図5Dに示すように、2つの第1出力パッドPD1は、第1ドレイン上層配線DWT1の一部として形成される。第1出力パッドPD1は、平面視で第1トランジスタ配置領域Tr1と第2トランジスタ配置領域Tr2との境界上に第1方向に並んで配置される。なお、第1出力パッドPD1は、第1トランジスタ配置領域Tr1と第2トランジスタ配置領域Tr2の第1方向中央位置付近に配置される。
【0128】
これにより、第1出力PD1は、第1トランジスタ配置領域Tr1に配置される第1ハイサイドトランジスタQH1のドレイン領域および第2トランジスタ配置領域Tr2に配置される第1ローサイドトランジスタQL1のドレイン領域と電気的に接続される。第1出力パッドPD1は、
図5Aで示すように、ワイヤWrにより出力端子OUT1に接続される。
【0129】
また、
図5Cと
図5Dに示すように、第2ドレイン上層配線DWT2と第3ドレイン中層配線DW32とが平面視で重なる位置に、第3ドレイン上側ビアVAD32(白四角)が配置される。第3ドレイン上側ビアVAD32は、第2ドレイン上層配線DWT2と第3ドレイン中層配線DW32とを電気的に接続する。
【0130】
図5Cと
図5Dに示すように、第2ドレイン上層配線DWT2と第4ドレイン中層配線DW42とが平面視で重なる位置に、第4ドレイン上側ビアVAD42(白四角)が配置される。第4ドレイン上側ビアVAD42は、第2ドレイン上層配線DWT2と第4ドレイン中層配線DW42とを電気的に接続する。
【0131】
図5Dに示すように、2つの第2出力パッドPD2は、第2ドレイン上層配線DWT2の一部として形成される。第2出力パッドPD2は、平面視で第3トランジスタ配置領域Tr3と第4トランジスタ配置領域Tr4との境界上に第1方向に並んで配置される。なお、第2出力パッドPD2は、第3トランジスタ配置領域Tr3と第4トランジスタ配置領域Tr4の第1方向中央位置付近に配置される。
【0132】
これにより、第2出力PD2は、第3トランジスタ配置領域Tr3に配置される第2ハイサイドトランジスタQH2のドレイン領域および第4トランジスタ配置領域Tr4に配置される第2ローサイドトランジスタQL2のドレイン領域と電気的に接続される。第2出力パッドPD2は、
図5Aで示すように、ワイヤWrにより出力端子OUT2に接続される。
【0133】
図5Cと
図5Dに示すように、第2ソース上層配線SWT2と第2ソース中層配線SW22とが平面視で重なる位置に、第2ソース上側ビアVAS22(白四角)が配置される。第2ソース上側ビアVAS22は、第2ソース上層配線SWT2と第2ソース中層配線SW22とを電気的に接続する。
【0134】
図5Cと
図5Dに示すように、第2ソース上層配線SWT2と第4ソース中層配線SW42とが平面視で重なる位置に、第4ソース上側ビアVAS42(白四角)が配置される。第4ソース上側ビアVAS42は、第2ソース上層配線SWT2と第4ソース中層配線SW42とを電気的に接続する。
【0135】
図5Dに示すように、2つのグラウンドパッドPDGは、第2ソース上層配線SWT2の一部として形成される。グラウンドパッドPDGは、平面視で第2トランジスタ配置領域Tr2と第4トランジスタ配置領域Tr4との境界付近で、当該境界を第1方向両側から挟むように配置されるとともに、第2トランジスタ配置領域Tr2と第4トランジスタ配置領域Tr4の第2方向他方側端部に配置される。
【0136】
これにより、グラウンドパッドPDGは、第2トランジスタ配置領域Tr2に配置される第1ローサイドトランジスタQL1のソース領域および第4トランジスタ配置領域Tr4に配置される第2ローサイドトランジスタQL2のソース領域と電気的に接続される。グラウンドパッドPDGは、
図5Aで示すように、ワイヤWrによりグラウンド電位の印加される接地端子GNDに接続される。
【0137】
<第1比較例の問題点と第2比較例>
上記のような第1比較例においては、
図5Aに示すように、第2トランジスタ配置領域Tr2と、第3トランジスタ配置領域Tr3とが、第1直線LN1と第2直線LN2とが交差する交差点CPにて接している。すなわち、第2トランジスタ配置領域Tr2と第3トランジスタ配置領域Tr3との距離(以下、最短距離の意味)がゼロとなる。
【0138】
これにより、
図3Bに示すような制動動作状態の場合、
図4を用いて先に説明したようにハイサイドトランジスタQH2とローサイドトランジスタQL1とにより形成されるラッチアップ構造において、寄生NPNトランジスタPT2のhFEが大きくなり、寄生NPNトランジスタPT2のコレクタ・エミッタ間に流れる電流が大きくなってしまう。
【0139】
また、
図5Aに示すように、第1トランジスタ配置領域Tr1と、第4トランジスタ配置領域Tr4とが、交差点CPにて接している。すなわち、第1トランジスタ配置領域Tr1と第4トランジスタ配置領域Tr4との距離がゼロとなる。
【0140】
これにより、
図3Dに示すような制動動作状態の場合、ハイサイドトランジスタQH1とローサイドトランジスタQL2とにより形成されるラッチアップ構造において、寄生NPNトランジスタPT2のhFEが大きくなり、寄生NPNトランジスタPT2のコレクタ・エミッタ間に流れる電流が大きくなってしまう。
【0141】
そこで、
図6に示すような第2比較例に係る半導体集積回路ICBにおいては、第2トランジスタ配置領域Tr2と第4トランジスタ配置領域Tr4とからなる組を、第1トランジスタ配置領域Tr1と第3トランジスタ配置領域Tr3とからなる組から、第2方向に距離DS1だけ離している。
【0142】
これにより、第2トランジスタ配置領域Tr2と第3トランジスタ配置領域Tr3との間の距離、および第1トランジスタ配置領域Tr1と第4トランジスタ配置領域Tr4との間の距離をそれぞれ第1比較例よりも長くすることができる。従って、先述のようなラッチアップ構造における寄生NPNトランジスタPT2のhFEを低下させ、寄生NPNトランジスタPT2のコレクタ・エミッタ間に流れる電流を抑制できる。
【0143】
しかしながら、上記のような第2比較例に係る半導体集積回路ICBでは、回路面積(チップ面積)が増大する問題が生じる。このような状況に鑑み、以下に説明するような本発明の実施形態が考案された。
【0144】
<トランジスタ配置領域のレイアウト>
図7Aは、本発明の例示的な実施形態に係る半導体集積回路IC1における各トランジスタQH1,QH2,QL1,QL2の配置領域を示す平面図である。なお、
図7Aには、上記トランジスタよりも上層に配置される各パッド(電源パッドPDVなど)も図示している。各パッドの詳細については、後述する。
【0145】
図7Aに示す半導体集積回路IC1においては、
図5Aに示す第1比較例からの変更点として、
図5Aの第1トランジスタ配置領域Tr1と第2トランジスタ配置領域Tr2とからなる領域において、第2トランジスタ配置領域Tr2の第1方向に延びる辺の長さを半分にしつつ、第2トランジスタ配置領域Tr2の第2方向に延びる辺の長さを2倍とし、第2トランジスタ配置領域Tr2の第1方向一方側かつ第2方向他方側の隅の位置は変更していない。従って、半導体集積回路IC1では、第1比較例と比べて、第2トランジスタ配置領域Tr2の面積S2および第1トランジスタTr1の面積S1は変えておらず、S1:S2=2:1である。
【0146】
また、
図7Aに示す半導体集積回路IC1においては、
図5Aに示す第1比較例からの変更点として、
図5Aの第3トランジスタ配置領域Tr3と第4トランジスタ配置領域Tr4とからなる領域において、第4トランジスタ配置領域Tr4の第1方向に延びる辺の長さを半分にしつつ、第4トランジスタ配置領域Tr4の第2方向に延びる辺の長さを2倍とし、第4トランジスタ配置領域Tr4の第1方向他方側かつ第2方向他方側の隅の位置は変更していない。従って、半導体集積回路IC1では、第1比較例と比べて、第4トランジスタ配置領域Tr4の面積S4および第3トランジスタTr3の面積S3は変えておらず、S3:S4=2:1である。
【0147】
図7Aに示す構成をさらに言い換えて説明すると、平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成される四角領域SQRは、第1方向一方側の四角形の第1分割領域DVR1と、第1方向他方側の四角形の第2分割領域DVR2に2分割される。第2トランジスタ配置領域Tr2は、平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成される。第2トランジスタ配置領域Tr2における第1方向一方側かつ第2方向他方側の隅は、第1分割領域DVR1における第1方向一方側かつ第2方向他方側の隅と一致する。第1トランジスタ配置領域Tr1は、第1分割領域DVR1における第2トランジスタ配置領域Tr2を除いた領域である。
【0148】
従って、第1トランジスタ配置領域Tr1は、第2トランジスタ配置領域Tr2の第2方向一方側に連接されて第1方向に延びる四角形の第1部分領域PR1と、第2トランジスタ配置領域Tr2の第1方向他方側かつ第1部分領域PR1の第2方向他方側に連接されて第2方向に延びる四角形の第2部分領域PR2と、を有する(
図7Aの破線は、第1部分領域PR1と第2部分領域PR2との境界を示す)。すなわち、第1トランジスタ配置領域Tr1は、平面視で逆L字状である。
【0149】
また、第4トランジスタ配置領域Tr4は、平面視にて第1方向および第2方向にそれぞれ延びる辺を有する四角状に形成される。第4トランジスタ配置領域Tr4における第1方向他方側かつ第2方向他方側の隅は、第2分割領域DVR2における第1方向他方側かつ第2方向他方側の隅と一致する。第3トランジスタ配置領域Tr3は、第2分割領域DVR2における第4トランジスタ配置領域Tr4を除いた領域である。
【0150】
従って、第3トランジスタ配置領域Tr3は、第4トランジスタ配置領域Tr4の第2方向一方側に連接されて第1方向に延びる四角形の第3部分領域PR3と、第4トランジスタ配置領域Tr4の第1方向一方側かつ第3部分領域PR3の第2方向他方側に連接されて第2方向に延びる四角形の第4部分領域PR4と、を有する(
図7Aの破線は、第3部分領域PR3と第4部分領域PR4との境界を示す)。すなわち、第3トランジスタ配置領域Tr3は、平面視で逆L字状である。
【0151】
このように、本実施形態では、第4部分領域PR4(第3トランジスタ配置領域Tr3の少なくとも一部)は、第2トランジスタ配置領域Tr2の第1方向他方側に配置される。第2部分領域PR2(第1トランジスタ配置領域Tr1の少なくとも一部)は、第2トランジスタ配置領域Tr2と第4部分領域PR4(第3トランジスタ配置領域Tr3の少なくとも一部)とにより第1方向に挟まれて配置されつつ、第2トランジスタ配置領域Tr2と第4部分領域PR4(第3トランジスタ配置領域Tr3の少なくとも一部)のそれぞれに連接される。
【0152】
これにより、第2トランジスタ配置領域Tr2と第3トランジスタ配置領域Tr3とを、間に第1トランジスタ配置領域Tr1が介在する分、距離DS21だけ離して配置させることができる。従って、
図3Bに示すような制動動作状態の場合、ハイサイドトランジスタQH2とローサイドトランジスタQL1とにより形成されるラッチアップ構造において、寄生NPNトランジスタPT2のhFEを低下させることができ、寄生NPNトランジスタPT2のコレクタ・エミッタ間に流れる電流を抑制できる。
【0153】
また、本実施形態では、第2部分領域PR2(第1トランジスタ配置領域Tr1の少なくとも一部)は、第4トランジスタ配置領域Tr4の第1方向一方側に配置される。第4部分領域PR4(第3トランジスタ配置領域Tr3の少なくとも一部)は、第4トランジスタ配置領域Tr4と第2部分領域PR2(第1トランジスタ配置領域Tr1の少なくとも一部)とにより第1方向に挟まれて配置されつつ、第4トランジスタ配置領域Tr4と第2部分領域PR2(第1トランジスタ配置領域Tr1の少なくとも一部)のそれぞれに連接される。
【0154】
これにより、第4トランジスタ配置領域Tr4と第1トランジスタ配置領域Tr1とを、間に第3トランジスタ配置領域Tr3が介在する分、距離DS22だけ離して配置させることができる。従って、
図3Dに示すような制動動作状態の場合、ハイサイドトランジスタQH1とローサイドトランジスタQL2とにより形成されるラッチアップ構造において、寄生NPNトランジスタPT2のhFEを低下させることができ、寄生NPNトランジスタPT2のコレクタ・エミッタ間に流れる電流を抑制できる。
【0155】
さらに、本実施形態では、
図5Aと比べて、第1~第4トランジスタ配置領域Tr1~Tr4からなる領域の面積(=四角領域SQRの面積)を維持することができる。すなわち、半導体集積回路IC1の回路面積が増大することを抑制できる。これにより、
図7Aの黒塗り矢印で示すように、第2比較例(
図6)での半導体集積回路ICBの回路面積よりも本実施形態では回路面積を削減することができる。
【0156】
また、第2トランジスタ配置領域Tr2の第1方向に延びる辺の長さは、第1分割領域DVR1の第1方向に延びる辺の長さの半分としている。第2トランジスタ配置領域Tr2の第1方向に延びる辺の長さをさらに短くすることで、距離DS21をさらに長くしてもよいが、その場合、第2トランジスタ配置領域Tr2の面積を維持するために第2トランジスタ配置領域Tr2の第2方向に延びる辺の長さをさらに長くする必要がある。すると、半導体集積回路IC1における
図7Aに示すトランジスタ配置領域以外の領域に配置される図示しない素子と第2トランジスタ配置領域Tr2との距離が短くなり、望ましくない場合がある。また、第4トランジスタ配置領域Tr4の第1方向に延びる辺の長さを、第2分割領域DVR2の第1方向に延びる辺の長さの半分としていることについても、上記と同様である。
【0157】
<下層配線部>
図7Bは、半導体集積回路IC1において、
図7Aで示す各トランジスタ配置領域Tr1~Tr4に配置されるトランジスタよりも上層に配置される下層配線部W1の平面図である。なお、
図7Bには、各トランジスタ配置領域Tr1~T4と、各パッド(電源パッドPDVなど)も併せて示している。また、下層配線部W1は、後述する中層配線部W2および上層配線部W3よりも下層に配置される。
【0158】
本実施形態に係る半導体集積回路IC1における下層配線部W1の構成は、先述した第1比較例での下層配線部(
図5B)と基本的に同様である。なお、トランジスタ配置領域におけるドレイン領域およびソース領域についての構成も第1比較例と基本的に同様である。
【0159】
図7Bに示すように、第1トランジスタ配置領域Tr1において、それぞれ第1方向に延びる第1ドレイン下層配線DW11および第1ソース下層配線SW11が第2方向に交互に並んで配置される。より具体的には、第1部分領域PR1および第2部分領域PR2のそれぞれにおいては、それぞれの第2方向他方側の端に第1ドレイン下層配線DW11が配置され、第1ドレイン下層配線DW11および第1ソース下層配線SW11が第2方向に交互に並んで配置される。第1ドレイン下層配線DW11および第1ソース下層配線SW11の第1方向の長さについては、第2PR部分領域PR2における上記長さが第1PR部分領域PR1における上記長さよりも短い。
【0160】
ここで、第1トランジスタ配置領域Tr1においては、第1ドレイン下層配線DW11に上下に対向する位置に第1方向に延びるドレイン領域が配置されるとともに、第1ソース下層配線SW11に上下に対向する位置に第1方向に延びるソース領域が配置される。すなわち、第1ハイサイドトランジスタQH1におけるドレイン領域とソース領域とが第2方向に交互に並んで配置される。第1トランジスタ配置領域Tr1における上記ドレイン領域は、第1ドレイン下層配線DW11と電気的に接続され、第1トランジスタ配置領域Tr1における上記ソース領域は、第1ソース下層配線SW11と電気的に接続される。
【0161】
また、
図7Bに示すように、第2トランジスタ配置領域Tr2において、それぞれ第1方向に延びる第2ドレイン下層配線DW21および第2ソース下層配線SW21が第2方向に交互に並んで配置される。
【0162】
ここで、第2トランジスタ配置領域Tr2においては、第2ドレイン下層配線DW21に上下に対向する位置に第1方向に延びるドレイン領域が配置されるとともに、第2ソース下層配線SW21に上下に対向する位置に第1方向に延びるソース領域が配置される。すなわち、第1ローサイドトランジスタQL1におけるドレイン領域とソース領域とが第2方向に交互に並んで配置される。第2トランジスタ配置領域Tr2における上記ドレイン領域は、第2ドレイン下層配線DW21と電気的に接続され、第2トランジスタ配置領域Tr2における上記ソース領域は、第2ソース下層配線SW21と電気的に接続される。
【0163】
また、
図7Bに示すように、第3トランジスタ配置領域Tr3において、それぞれ第1方向に延びる第3ドレイン下層配線DW31および第3ソース下層配線SW31が第2方向に交互に並んで配置される。より具体的には、第3部分領域PR3および第4部分領域PR4のそれぞれにおいては、それぞれの第2方向他方側の端に第3ドレイン下層配線DW31が配置され、第3ドレイン下層配線DW31および第3ソース下層配線SW31が第2方向に交互に並んで配置される。第3ドレイン下層配線DW31および第3ソース下層配線SW31の第1方向の長さについては、第4PR部分領域PR4における上記長さが第3PR部分領域PR3における上記長さよりも短い。
【0164】
ここで、第3トランジスタ配置領域Tr3においては、第3ドレイン下層配線DW31に上下に対向する位置に第1方向に延びるドレイン領域が配置されるとともに、第3ソース下層配線SW31に上下に対向する位置に第1方向に延びるソース領域が配置される。すなわち、第2ハイサイドトランジスタQH2におけるドレイン領域とソース領域とが第2方向に交互に並んで配置される。第3トランジスタ配置領域Tr3における上記ドレイン領域は、第3ドレイン下層配線DW31と電気的に接続され、第3トランジスタ配置領域Tr3における上記ソース領域は、第3ソース下層配線SW31と電気的に接続される。
【0165】
また、
図7Bに示すように、第4トランジスタ配置領域Tr4において、それぞれ第1方向に延びる第4ドレイン下層配線DW41および第4ソース下層配線SW41が第2方向に交互に並んで配置される。
【0166】
ここで、第4トランジスタ配置領域Tr4においては、第4ドレイン下層配線DW41に上下に対向する位置に第1方向に延びるドレイン領域が配置されるとともに、第4ソース下層配線SW41に上下に対向する位置に第1方向に延びるソース領域が配置される。すなわち、第2ローサイドトランジスタQL2におけるドレイン領域とソース領域とが第2方向に交互に並んで配置される。第4トランジスタ配置領域Tr4における上記ドレイン領域は、第4ドレイン下層配線DW41と電気的に接続され、第4トランジスタ配置領域Tr4における上記ソース領域は、第4ソース下層配線SW41と電気的に接続される。
【0167】
<中層配線部>
図7Cは、半導体集積回路IC1において、
図7Bで示す下層配線部W1よりも上層に配置される中層配線部W2の平面図である。なお、
図7Cには、各トランジスタ配置領域Tr1~T4と、各パッド(電源パッドPDVなど)も併せて示している。
【0168】
図7Cに示すように、第1トランジスタ配置領域Tr1において、それぞれ第2方向に延びる第1ドレイン中層配線DW12および第1ソース中層配線SW12が第1方向に交互に並んで配置される。第1トランジスタ配置領域Tr1における第1方向一方側の端には、第1ドレイン中層配線DW12が配置される。第1PR部分領域PR1の第1方向一方側一部において配置される第1ドレイン中層配線DW12および第1ソース中層配線SW12の第2方向の長さは、第1PR部分領域PR1の第1方向他方側一部および第2部分領域PR2において配置される第1ドレイン中層配線DW12および第1ソース中層配線SW12の第2方向の長さよりも短い。
【0169】
図7Bと
図7Cで示すように、第1ドレイン中層配線DW12と第1ドレイン下層配線DW11とが平面視で重なる位置に、第1ドレイン下側ビアVAD11(黒四角)が配置される。第1ドレイン下側ビアVAD11は、第1ドレイン中層配線DW12と第1ドレイン下層配線DW11とを電気的に接続する。
【0170】
図7Bと
図7Cで示すように、第1ソース中層配線SW12と第1ソース下層配線SW11とが平面視で重なる位置に、第1ソース下側ビアVAS11(黒四角)が配置される。第1ソース下側ビアVAS11は、第1ソース中層配線SW12と第1ソース下層配線SW11とを電気的に接続する。
【0171】
これにより、第1ドレイン下側ビアVAD11と第1ソース下側ビアVAS11は、平面視で千鳥状に配置される。
【0172】
また、
図7Cに示すように、第2トランジスタ配置領域Tr2において、それぞれ第2方向に延びる第2ドレイン中層配線DW22および第2ソース中層配線SW22が第1方向に交互に並んで配置される。第2トランジスタ配置領域Tr2における第1方向一方側の端には、第2ドレイン中層配線DW22が配置される。
【0173】
図7Bと
図7Cで示すように、第2ドレイン中層配線DW22と第2ドレイン下層配線DW21とが平面視で重なる位置に、第2ドレイン下側ビアVAD21(黒四角)が配置される。第2ドレイン下側ビアVAD21は、第2ドレイン中層配線DW22と第2ドレイン下層配線DW21とを電気的に接続する。
【0174】
図7Bと
図7Cで示すように、第2ソース中層配線SW22と第2ソース下層配線SW21とが平面視で重なる位置に、第2ソース下側ビアVAS21(黒四角)が配置される。第2ソース下側ビアVAS21は、第2ソース中層配線SW22と第2ソース下層配線SW21とを電気的に接続する。
【0175】
これにより、第2ドレイン下側ビアVAD21と第2ソース下側ビアVAS21は、平面視で千鳥状に配置される。
【0176】
図7Cに示すように、第3トランジスタ配置領域Tr3において、それぞれ第2方向に延びる第3ドレイン中層配線DW32および第3ソース中層配線SW32が第1方向に交互に並んで配置される。第3トランジスタ配置領域Tr3における第1方向他方側の端には、第3ドレイン中層配線DW32が配置される。第3PR部分領域PR3の第1方向他方側一部において配置される第3ドレイン中層配線DW32および第3ソース中層配線SW32の第2方向の長さは、第3PR部分領域PR3の第1方向一方側一部および第4部分領域PR4において配置される第3ドレイン中層配線DW32および第3ソース中層配線SW32の第2方向の長さよりも短い。
【0177】
図7Bと
図7Cで示すように、第3ドレイン中層配線DW32と第3ドレイン下層配線DW31とが平面視で重なる位置に、第3ドレイン下側ビアVAD31(黒四角)が配置される。第3ドレイン下側ビアVAD31は、第3ドレイン中層配線DW32と第3ドレイン下層配線DW31とを電気的に接続する。
【0178】
図7Bと
図7Cで示すように、第3ソース中層配線SW32と第3ソース下層配線SW31とが平面視で重なる位置に、第3ソース下側ビアVAS31(黒四角)が配置される。第3ソース下側ビアVAS31は、第3ソース中層配線SW32と第3ソース下層配線SW31とを電気的に接続する。
【0179】
これにより、第3ドレイン下側ビアVAD31と第3ソース下側ビアVAS31は、平面視で千鳥状に配置される。
【0180】
また、
図7Cに示すように、第4トランジスタ配置領域Tr4において、それぞれ第2方向に延びる第4ドレイン中層配線DW42および第4ソース中層配線SW42が第1方向に交互に並んで配置される。第4トランジスタ配置領域Tr4における第1方向他方側の端には、第4ドレイン中層配線DW42が配置される。
【0181】
また、
図7Bと
図7Cで示すように、第4ドレイン中層配線DW42と第4ドレイン下層配線DW41とが平面視で重なる位置に、第4ドレイン下側ビアVAD41(黒四角)が配置される。第4ドレイン下側ビアVAD41は、第4ドレイン中層配線DW42と第4ドレイン下層配線DW41とを電気的に接続する。
【0182】
図7Bと
図7Cで示すように、第4ソース中層配線SW42と第4ソース下層配線SW41とが平面視で重なる位置に、第4ソース下側ビアVAS41(黒四角)が配置される。第4ソース下側ビアVAS41は、第4ソース中層配線SW42と第4ソース下層配線SW41とを電気的に接続する。
【0183】
これにより、第4ドレイン下側ビアVAD41と第4ソース下側ビアVAS41は、平面視で千鳥状に配置される。
【0184】
<上層配線部>
図7Dは、半導体集積回路IC1において、
図7Cで示す中層配線部W2よりも上層に配置される上層配線部W3の平面図である。なお、
図7Dには、各トランジスタ配置領域Tr1~T4と、各パッド(電源パッドPDVなど)も併せて示している。
【0185】
図7Dに示すように、上層配線部W3は、第1ソース上層配線SWT1と、第2ソース上層配線SWT2と、第1ドレイン上層配線DWT1と、第2ドレイン上層配線DWT2と、を有する。
【0186】
第1ソース上層配線SWT1は、第1トランジスタ配置領域Tr1の第2方向一方側端部と第3トランジスタ配置領域Tr3の第2方向一方側端部と平面視で重なって第1方向に延びる延伸部SWT1_Aと、延伸部SWT1_Aの第1方向中央から第2方向他方側へ向かって突出する突出部SWT1_Bと、を有する。すなわち、第1ソース上層配線SWT1は、略T字状である。
【0187】
延伸部SWT1_Aの第1方向一方側部分における第2方向他方側端部TB11と、第1ドレイン上層配線DWT1の第2方向一方側端部TB12は、第1方向に交互に配置される。延伸部SWT1_Aの第1方向他方側部分における第2方向他方側端部TB21と、第2ドレイン上層配線DWT2の第2方向一方側端部TB22は、第1方向に交互に配置される。
【0188】
第1ドレイン上層配線DWT1および第2ドレイン上層配線DWT2は、第1ソース上層配線SWT1の第2方向他方側に第1方向に並んで配置されるとともに、突出部SWT1_Bを第1方向両側から挟む。
【0189】
第1ドレイン上層配線DWT1は、第1トランジスタ配線領域Tr1と第2トランジスタ配置領域Tr2とに平面視で重なって第2方向に延びるように形成される。第2ドレイン上層配線DWT2は、第1ドレイン上層配線DWT1の第1方向他方側に配置される。第2ドレイン上層配線DWT2は、第3トランジスタ配線領域Tr3と第4トランジスタ配置領域Tr4とに平面視で重なって第2方向に延びるように形成される。
【0190】
第2ソース上層配線SWT2は、第1トランジスタ配線領域Tr1~第4トランジスタ配置領域Tr4に平面視で重なって第1方向に延びるように形成される。第2ソース上層配線SWT2は、第1ドレイン上層配線DWT1、突出部SWT1_B、および第2ドレイン上層配線DWT2の第2方向他方側に配置される。
【0191】
第2ソース上層配線SWT2の第1方向一方側部分における第2方向一方側端部TB31と、第1ドレイン上層配線DWT1の第2方向他方側端部TB32は、第1方向に交互に配置される。第2ソース上層配線SWT2の第1方向他方側部分における第2方向一方側端部TB41と、第2ドレイン上層配線DWT2の第2方向他方側端部TB42は、第1方向に交互に配置される。
【0192】
図7Cと
図7Dに示すように、第1ソース上層配線SWT1と第1ソース中層配線SW12とが平面視で重なる位置に、第1ソース上側ビアVAS12(白四角)が配置される。第1ソース上側ビアVAS12は、第1ソース上層配線SWT1と第1ソース中層配線SW12とを電気的に接続する。
【0193】
図7Cと
図7Dに示すように、第1ソース上層配線SWT1と第3ソース中層配線SW32とが平面視で重なる位置に、第3ソース上側ビアVAS32(白四角)が配置される。第3ソース上側ビアVAS32は、第1ソース上層配線SWT1と第3ソース中層配線SW32とを電気的に接続する。
【0194】
図7Dに示すように、2つの電源パッドPDVは、第1ソース上層配線SWT1の一部として形成される。電源パッドPDVは、平面視で第1トランジスタ配置領域Tr1と第3トランジスタ配置領域Tr3との境界付近で、当該境界を第1方向両側から挟むように配置されるとともに、第1トランジスタ配置領域Tr1と第3トランジスタ配置領域Tr3の第2方向一方側端部に配置される。
【0195】
これにより、電源パッドPDVは、第1トランジスタ配置領域Tr1に配置される第1ハイサイドトランジスタQH1のソース領域および第3トランジスタ配置領域Tr3に配置される第2ハイサイドトランジスタQH2のソース領域と電気的に接続される。電源パッドPDVは、
図7Aで示すように、ワイヤWrにより電源電圧Vsの印加される電源端子VSに接続される。
【0196】
また、
図7Cと
図7Dに示すように、第1ドレイン上層配線DWT1と第1ドレイン中層配線DW12とが平面視で重なる位置に、第1ドレイン上側ビアVAD12(白四角)が配置される。第1ドレイン上側ビアVAD12は、第1ドレイン上層配線DWT1と第1ドレイン中層配線DW12とを電気的に接続する。
【0197】
図7Cと
図7Dに示すように、第1ドレイン上層配線DWT1と第2ドレイン中層配線DW22とが平面視で重なる位置に、第2ドレイン上側ビアVAD22(白四角)が配置される。第2ドレイン上側ビアVAD22は、第1ドレイン上層配線DWT1と第2ドレイン中層配線DW22とを電気的に接続する。
【0198】
図7Dに示すように、2つの第1出力パッドPD1は、第1ドレイン上層配線DWT1の一部として形成される。第1出力パッドPD1は、平面視で第1トランジスタ配置領域Tr1と第2トランジスタ配置領域Tr2との境界付近で、当該境界を第1方向両側から挟むように配置される。なお、第1出力パッドPD1は、第2トランジスタ配置領域Tr2の第2方向中央位置に配置される。
【0199】
これにより、第1出力パッドPD1は、第1トランジスタ配置領域Tr1に配置される第1ハイサイドトランジスタQH1のドレイン領域および第2トランジスタ配置領域Tr2に配置される第1ローサイドトランジスタQL1のドレイン領域と電気的に接続される。第1出力パッドPD1は、
図7Aで示すように、ワイヤWrにより出力端子OUT1に接続される。
【0200】
また、
図7Cと
図7Dに示すように、第2ドレイン上層配線DWT2と第3ドレイン中層配線DW32とが平面視で重なる位置に、第3ドレイン上側ビアVAD32(白四角)が配置される。第3ドレイン上側ビアVAD32は、第2ドレイン上層配線DWT2と第3ドレイン中層配線DW32とを電気的に接続する。
【0201】
図7Cと
図7Dに示すように、第2ドレイン上層配線DWT2と第4ドレイン中層配線DW42とが平面視で重なる位置に、第4ドレイン上側ビアVAD42(白四角)が配置される。第4ドレイン上側ビアVAD42は、第2ドレイン上層配線DWT2と第4ドレイン中層配線DW42とを電気的に接続する。
【0202】
図7Dに示すように、2つの第2出力パッドPD2は、第2ドレイン上層配線DWT2の一部として形成される。第2出力パッドPD2は、平面視で第3トランジスタ配置領域Tr3と第4トランジスタ配置領域Tr4との境界付近で、当該境界を第1方向両側から挟むように配置される。なお、第2出力パッドPD2は、第4トランジスタ配置領域Tr4の第2方向中央位置に配置される。
【0203】
これにより、第2出力パッドPD2は、第3トランジスタ配置領域Tr3に配置される第2ハイサイドトランジスタQH2のドレイン領域および第4トランジスタ配置領域Tr4に配置される第2ローサイドトランジスタQL2のドレイン領域と電気的に接続される。第2出力パッドPD2は、
図7Aで示すように、ワイヤWrにより出力端子OUT2に接続される。
【0204】
図7Cと
図7Dに示すように、第2ソース上層配線SWT2と第2ソース中層配線SW22とが平面視で重なる位置に、第2ソース上側ビアVAS22(白四角)が配置される。第2ソース上側ビアVAS22は、第2ソース上層配線SWT2と第2ソース中層配線SW22とを電気的に接続する。
【0205】
図7Cと
図7Dに示すように、第2ソース上層配線SWT2と第4ソース中層配線SW42とが平面視で重なる位置に、第4ソース上側ビアVAS42(白四角)が配置される。第4ソース上側ビアVAS42は、第2ソース上層配線SWT2と第4ソース中層配線SW42とを電気的に接続する。
【0206】
図7Dに示すように、2つのグラウンドパッドPDGは、第2ソース上層配線SWT2の一部として形成される。グラウンドパッドPDGは、平面視で第1トランジスタ配置領域Tr1と第3トランジスタ配置領域Tr3との境界付近で、当該境界を第1方向両側から挟むように配置されるとともに、第1トランジスタ配置領域Tr1と第3トランジスタ配置領域Tr3の第2方向他方側端部に配置される。
【0207】
これにより、グラウンドパッドPDGは、第2トランジスタ配置領域Tr2に配置される第1ローサイドトランジスタQL1のソース領域および第4トランジスタ配置領域Tr4に配置される第2ローサイドトランジスタQL2のソース領域と電気的に接続される。グラウンドパッドPDGは、
図7Aで示すように、ワイヤWrによりグラウンド電位の印加される接地端子GNDに接続される。
【0208】
<ステッピングモータ駆動への適用例>
次に、本発明の実施形態をステッピングモータの駆動に適用した場合の一例について説明する。
図8は、ステッピングモータ400を駆動するためのモータドライバ300の内部構成例を示すブロック図である。ステッピングモータ400は、2相励磁型のステッピングモータである(なお、ステッピングモータ400は、以下、単にモータ400と略称する)。
【0209】
モータ400は、第1励磁相の励磁コイル410と、第2励磁相の励磁コイル420と、を有する。モータ400の回転駆動時には、モータドライバ300から励磁コイル410,420に対して、駆動電流I1,I2がそれぞれ供給される。
【0210】
モータドライバ300は、外部から入力される種々の制御信号(
図8ではクロック信号CLKのみを例示)に応じてモータ400の駆動電流I1,I2を生成する半導体装置であり、半導体集積回路3001をパッケージ化して構成される。半導体集積回路3001は、駆動部310と、制御部320と、を集積化して有する。
【0211】
制御部320は、クロック信号CLKの入力を受けて、第1励磁相の駆動制御を行うための入力信号IN1A,IN1Bと、第2励磁相の駆動制御を行うための入力信号IN2A,IN2Bを生成し、これらを駆動部310に出力する。
【0212】
クロック信号CLKは、所定の周波数でパルス駆動される矩形波信号である。制御部320は、クロック信号CLKのパルスエッジに同期してモータ400を所定のステップ角ずつ回転させるように、入力信号IN1A,IN1B、および、入力信号IN2A,IN2Bを生成する。すなわち、モータ400の回転速度は、クロック信号CLKの周波数に応じて変化する。
【0213】
駆動部310は、ロジック回路315と、Hブリッジ出力段HB1と、Hブリッジ出力段HB2と、を有する。
【0214】
Hブリッジ出力段HB1は、ハイサイドトランジスタQH1とローサイドトランジスタQL1とから構成されるハーフブリッジ出力段と、ハイサイドトランジスタQH2とローサイドトランジスタQL2とから構成されるハーフブリッジ出力段と、を有する。Hブリッジ出力段HB1の構成は、先述した
図2に示すハイサイドトランジスタQH1,QH2とローサイドトランジスタQL1,QL2とから構成されるHブリッジ出力段と基本的に同様に構成される。ただし
図8の構成では、出力端子OUT1と出力端子OUT2との間に、励磁コイル410が接続される。また、ローサイドトランジスタQL1,QL2のそれぞれのソースは、センス抵抗端子RS1に接続される。センス抵抗端子RS1には、センス抵抗Rs1が接続される。
【0215】
Hブリッジ出力段HB2は、ハイサイドトランジスタQH3とローサイドトランジスタQL3とから構成されるハーフブリッジ出力段と、ハイサイドトランジスタQH4とローサイドトランジスタQL4とから構成されるハーフブリッジ出力段と、を有する。Hブリッジ出力段HB2の構成は、先述した
図2に示すハイサイドトランジスタQH3,QH4とローサイドトランジスタQL3,QL4とから構成されるHブリッジ出力段と基本的に同様に構成される。ただし
図8の構成では、出力端子OUT3と出力端子OUT4との間に、励磁コイル420が接続される。また、ローサイドトランジスタQL3,QL4のそれぞれのソースは、センス抵抗端子RS2に接続される。センス抵抗端子RS2には、センス抵抗Rs2が接続される。
【0216】
ロジック回路315は、入力信号IN1A,IN1Bに応じて、Hブリッジ出力段HB1における各トランジスタのオンオフ制御を行う。具体的には例えば、(IN1A,IN1B)=(H,L)であるとき、ハイサイドトランジスタQH1とローサイドトランジスタQL2とがオンされて、ハイサイドトランジスタQH2とローサイドトランジスタQL1とがオフされる電流オン動作が行われる。(IN1A,IN1B)=(L,H)であるとき、ハイサイドトランジスタQH1とローサイドトランジスタQL2とがオフされて、ハイサイドトランジスタQH2とローサイドトランジスタQL1とがオンされる電流オン動作が行われる。また、(IN1A,IN1B)=(L,L)であるとき、それまでに流れていた駆動電流I1が減衰するように各トランジスタのオンオフ制御が行われる電流オフ動作が行われる。
【0217】
ロジック回路315は、入力信号IN2A,IN2Bに応じて、Hブリッジ出力段HB2における各トランジスタのオンオフ制御を行う。具体的には例えば、(IN2A,IN2B)=(H,L)であるとき、ハイサイドトランジスタQH3とローサイドトランジスタQL4とがオンされて、ハイサイドトランジスタQH4とローサイドトランジスタQL3とがオフされる電流オン動作が行われる。(IN2A,IN2B)=(L,H)であるとき、ハイサイドトランジスタQH3とローサイドトランジスタQL4とがオフされて、ハイサイドトランジスタQH4とローサイドトランジスタQL3とがオンされる電流オン動作が行われる。また、(IN2A,IN2B)=(L,L)であるとき、それまでに流れていた駆動電流I2が減衰するように各トランジスタのオンオフ制御が行われる電流オフ動作が行われる。
【0218】
なお、ロジック回路315には、センス抵抗端子RS1,RS2に生じるセンス電圧を監視して、駆動電流I1,I2を調整する機能(=駆動電流I1,I2それぞれのオン期間をチョッピングすることで電流値を一定に維持する定電流チョッピング機能)も備えている。
【0219】
このようなHブリッジ出力段HB1においては、電流オン動作の後に行われる電流オフ動作では、すべてのトランジスタをオフとする場合がある。その場合、電流オフ動作時には、出力端子OUT1,OUT2のうち一方が負電圧となり、他方が正電圧となる。このとき、先述したようなハイサイドトランジスタQH2(QH1)とローサイドトランジスタQL1(QL2)により形成されるラッチアップ構造において流れる電流が問題となる。なお、Hブリッジ出力段HB2についても同様の問題が生じる。
【0220】
ここで、
図9は、上記のようなラッチアップによる問題を解決するための半導体集積回路3001における各トランジスタ配置領域のレイアウト例を示す平面図である。ハイサイドトランジスタQH1,QH2,QH3,QH4は、それぞれトランジスタ配置領域Tr1,Tr3,Tr5,Tr7に配置される。ローサイドトランジスタQL1,QL2,QL3,QL4は、それぞれトランジスタ配置領域Tr2,Tr4,Tr6,Tr8に配置される。
【0221】
図9に示すレイアウトでは、それぞれ第2方向に延びるトランジスタ配置領域Tr1とトランジスタ配置領域Tr3とが第1方向に連接され、それぞれ第2方向に延びるトランジスタ配置領域Tr2とトランジスタ配置領域Tr4とが第1方向に連接される。トランジスタ配置領域Tr2、Tr4からなる組は、トランジスタ配置領域Tr1、Tr3からなる組から第2方向他方側に距離DS3だけ離れている。
【0222】
これにより、トランジスタ配置領域Tr2,Tr3間の距離、およびトランジスタ配置領域Tr4,Tr1間の距離をそれぞれ確保することができ、ラッチアップ構造において流れる電流を抑制できる。
【0223】
同様に
図9に示すレイアウトでは、それぞれ第2方向に延びるトランジスタ配置領域Tr5とトランジスタ配置領域Tr7とが第1方向に連接され、それぞれ第2方向に延びるトランジスタ配置領域Tr6とトランジスタ配置領域Tr8とが第1方向に連接される。トランジスタ配置領域Tr6,Tr8からなる組は、トランジスタ配置領域Tr5,Tr7からなる組から第2方向他方側に距離DS3だけ離れている。
【0224】
これにより、トランジスタ配置領域Tr6,Tr7間の距離、およびトランジスタ配置領域Tr8,Tr5間の距離をそれぞれ確保することができ、ラッチアップ構造において流れる電流を抑制できる。
【0225】
しかしながら、
図9に示すレイアウトでは、半導体集積回路3001の回路面積が大きくなる問題がある。そこで、本実施形態では、
図10に示すようなレイアウトとしている。
【0226】
図10に示すレイアウトでは、Hブリッジ出力段HB1に関するトランジスタ配置領域Tr1~Tr4を第2方向他方側に配置し、Hブリッジ出力段HB2に関するトランジスタ配置領域Tr5~Tr8を第2方向一方側に配置している。平面視でのトランジスタ配置領域Tr1~Tr8の面積は、
図9と同じとしている。
【0227】
トランジスタ配置領域Tr1~Tr4のレイアウトは、先述した
図7Aと同様である。トランジスタ配置領域Tr5~Tr8のレイアウトは、トランジスタ配置領域Tr1~Tr4と第1方向に延びる対称軸Jに関して線対称としている。これにより、トランジスタ配置領域Tr2,Tr3間の距離、およびトランジスタ配置領域Tr4,Tr1間の距離をそれぞれ確保し、トランジスタ配置領域Tr6,Tr7間の距離、およびトランジスタ配置領域Tr8,Tr5間の距離をそれぞれ確保しつつ、半導体集積回路3001の回路面積を
図9に比べて削減できる(
図10の黒塗り矢印)。
【0228】
すなわち、本実施形態では、ステッピングモータを駆動するための半導体集積回路において、ラッチアップ構造による寄生電流の問題を解決しつつ、回路面積を削減できる。
【0229】
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内であれば、実施形態は種々の変更が可能である。
【0230】
例えば、Hブリッジ出力段におけるハイサイドトランジスタは、Nチャネル型のトランジスタとしてもよい。この場合、ラッチアップは生じないが、寄生バイポーラトランジスタに流れる電流が問題となるので、先述した実施形態のようにトランジスタ配置領域間の距離を確保することで、寄生バイポーラトランジスタに流れる電流を抑制しつつ、半導体集積回路の回路面積を削減できる。
【産業上の利用可能性】
【0231】
本発明は、各種用途のモータの駆動に利用することができる。
【符号の説明】
【0232】
1 制御論理回路
3 パワーオンリセット部
4 減電圧保護部
5 過電圧保護部
6 サーマルシャットダウン部
21~26 駆動回路
100 モータドライバ
110 電圧レギュレータ
120 マイクロコントローラ
150 バッテリ電源
200 モータ駆動システム
300 モータドライバ
301A 埋め込み層
301B N型エピタキシャル層
301C N型ウェル領域
301D P型ウェル領域
301E P型LDD層
301F P型ソース領域
301G P型ドレイン領域
301H ゲート部
302A 埋め込み層
302B N型エピタキシャル層
302C N型ウェル領域
302D P型ウェル領域
302E N型ソース領域
302F N型LDD層
302G N型ドレイン領域
302H ゲート部
303 素子分離ウェル
304 フィールド絶縁膜
305 フィールド絶縁膜
310 駆動部
315 ロジック回路
320 制御部
350 P型半導体基板
400 ステッピングモータ
410,420 励磁コイル
1001,3001 半導体集積回路
DH1 上側寄生ダイオード
DH2 上側寄生ダイオード
DL1 下側寄生ダイオード
DL2 下側寄生ダイオード
DW11 第1ドレイン下層配線
DW12 第1ドレイン中層配線
DW21 第2ドレイン下層配線
DW22 第2ドレイン中層配線
DW31 第3ドレイン下層配線
DW32 第3ドレイン中層配線
DW41 第4ドレイン下層配線
DW42 第4ドレイン中層配線
DWT1 第1ドレイン上層配線
DWT2 第2ドレイン上層配線
HB Hブリッジ出力段
HB1 Hブリッジ出力段
HB2 Hブリッジ出力段
IC1 半導体集積回路
ICA 半導体集積回路
ICB 半導体集積回路
J 対称軸
L 励磁コイル
M1~M3 モータ
PD1 第1出力パッド
PD2 第2出力パッド
PDG グラウンドパッド
PDV 電源パッド
PR1 第1部分領域
PR2 第2部分領域
PR3 第3部分領域
PR4 第4部分領域
PT1 寄生PNPトランジスタ
PT2 寄生NPNトランジスタ
QH1 第1ハイサイドトランジスタ
QH2 第2ハイサイドトランジスタ
QH3~QH6 ハイサイドトランジスタ
QL1 第1ローサイドトランジスタ
QL2 第2ローサイドトランジスタ
QL3~QL6 ローサイドトランジスタ
SQR 四角領域
DVR1 第1分割領域
DVR2 第2分割領域
Rs1 センス抵抗
Rs2 センス抵抗
SW11 第1ソース下層配線
SW12 第1ソース中層配線
SW21 第2ソース下層配線
SW22 第2ソース中層配線
SW31 第3ソース下層配線
SW32 第3ソース中層配線
SW41 第4ソース下層配線
SW42 第4ソース中層配線
SWT1 第1ソース上層配線
SWT1_A 延伸部
SWT1_B 突出部
SWT2 第2ソース上層配線
Tr1 第1トランジスタ配置領域
Tr2 第2トランジスタ配置領域
Tr3 第3トランジスタ配線領域
Tr4 第4トランジスタ配置領域
Tr5~Tr8 トランジスタ配置領域
VAD11 第1ドレイン下側ビア
VAD12 第1ドレイン上側ビア
VAD21 第2ドレイン下側ビア
VAD22 第2ドレイン上側ビア
VAD31 第3ドレイン下側ビア
VAD32 第3ドレイン上側ビア
VAD41 第4ドレイン下側ビア
VAD42 第4ドレイン上側ビア
VAS11 第1ソース下側ビア
VAS12 第1ソース上側ビア
VAS21 第2ソース下側ビア
VAS22 第2ソース上側ビア
VAS31 第3ソース下側ビア
VAS32 第3ソース上側ビア
VAS41 第4ソース下側ビア
VAS42 第4ソース上側ビア
W1 下層配線部
W2 中層配線部
W3 上層配線部
Wr ワイヤ