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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-17
(45)【発行日】2024-05-27
(54)【発明の名称】電気泳動装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/447 20060101AFI20240520BHJP
【FI】
G01N27/447 315K
G01N27/447 331E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020139744
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035426
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】刈屋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】大浦 剛
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第02/079773(WO,A1)
【文献】特開2009-162583(JP,A)
【文献】特開2006-084411(JP,A)
【文献】特開2001-133467(JP,A)
【文献】国際公開第02/090968(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/447
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャピラリと、
試料又は試薬を収容する容器が載置されるステージと、
前記ステージの面に平行な水平方向及び前記ステージの面と直交する垂直方向に前記ステージを移動させるオートサンプラと、を備え、
前記オートサンプラは、
前記ステージが設けられ、前記水平方向と平行な第1の方向に前記ステージを移動させる第1の駆動部と、
前記垂直方向に前記第1の駆動部を移動させる第2の駆動部と、
前記第1の駆動部に設置され、前記ステージを前記垂直方向に降下させて前記キャピラリと接続された前記容器を前記キャピラリから退避させる際に、前記容器に対し下向きの力を印加するストッパと、を有し、
前記ステージを移動させることによって、前記容器の少なくとも一部が前記ストッパと対向する位置に前記容器を配置することを特徴とする電気泳動装置。
【請求項2】
請求項1の電気泳動装置において、
前記オートサンプラは、前記ステージを移動させることによって、前記容器の少なくとも一部が前記ストッパと対向する状態で、前記容器を前記ストッパに対して移動させることを特徴とする電気泳動装置。
【請求項3】
キャピラリと、
試料又は試薬を収容する容器が載置されるステージと、
前記ステージの面に平行な水平方向及び前記ステージの面と直交する垂直方向に前記ステージを移動させるオートサンプラと、を備え、
前記オートサンプラは、
前記ステージを前記垂直方向に降下させて前記キャピラリと接続された前記容器を前記キャピラリから退避させる際に、前記容器に対し下向きの力を印加するストッパを有し、
前記ステージを移動させることによって、前記容器の少なくとも一部が前記ストッパと対向する位置に前記容器を配置し、
前記ストッパは、前記容器の側面に設けられた係合部と係合することを特徴とする電気泳動装置。
【請求項4】
請求項の電気泳動装置において、
前記係合部は、前記容器の側面から突出するフランジを有することを特徴とする電気泳動装置。
【請求項5】
請求項の電気泳動装置において、
前記係合部は、前記容器の側面に設けられた溝を有することを特徴とする電気泳動装置。
【請求項6】
請求項1又は3の電気泳動装置において、
前記ストッパは、前記容器の上面の少なくとも一部を覆うことを特徴とする電気泳動装置。
【請求項7】
請求項の電気泳動装置において、
前記ストッパは、上面部に前記キャピラリが通過可能な開口部を有することを特徴とする電気泳動装置。
【請求項8】
キャピラリと、
試料又は試薬を収容する容器が載置されるステージと、
前記ステージの面に平行な水平方向及び前記ステージの面と直交する垂直方向に前記ステージを移動させるオートサンプラと、を備え、
前記オートサンプラは、
前記ステージを前記垂直方向に降下させて前記キャピラリと接続された前記容器を前記キャピラリから退避させる際に、前記容器に対し下向きの力を印加するストッパと、
前記水平方向と平行な第1の方向に前記ステージを移動させる第1の駆動部と、前記垂直方向に前記ステージを移動させる第2の駆動部と、前記第1の方向と交差し、前記水平方向と平行な第2の方向に前記ステージを移動させる第3の駆動部と、含み、
前記ステージは、前記第1の駆動部に設けられ、前記第3の駆動部は、前記第1の駆動部を前記第2の方向に移動させ、前記第2の駆動部は、前記第3の駆動部を前記垂直方向に移動させ、
前記ストッパは、前記第3の駆動部に設置され
前記オートサンプラは、前記ステージを移動させることによって、前記容器の少なくとも一部が前記ストッパと対向する位置に前記容器を配置することを特徴とする電気泳動装置。
【請求項9】
キャピラリと、
試料又は試薬を収容する容器が載置されるステージと、
前記ステージの面に平行な水平方向及び前記ステージの面と直交する垂直方向に前記ステージを移動させるオートサンプラと、を備え、
前記オートサンプラは、
前記ステージを前記垂直方向に降下させて前記キャピラリと接続された前記容器を前記キャピラリから退避させる際に、前記容器に対し下向きの力を印加するストッパを有し、
前記ステージを移動させることによって、前記容器の少なくとも一部が前記ストッパと対向する位置に前記容器を配置し、
前記容器は、底面に位置決め穴を有し、
前記ステージは、上面に位置決めピンを有し、
前記容器と前記ストッパとの隙間よりも前記位置決めピンの方が長いことを特徴とする電気泳動装置。
【請求項10】
キャピラリと、
試料又は試薬を収容する容器が載置されるステージと、
前記ステージの面に平行な水平方向及び前記ステージの面と直交する垂直方向に前記ステージを移動させるオートサンプラと、を備え、
前記オートサンプラは、
前記ステージを前記垂直方向に降下させて前記キャピラリと接続された前記容器を前記キャピラリから退避させる際に、前記容器に対し下向きの力を印加するストッパを有し、
前記ステージを移動させることによって、前記容器の少なくとも一部が前記ストッパと対向する位置に前記容器を配置し、
前記容器は、
前記試料又は前記試薬を収容するウェルを有する試料容器と、
前記試料容器を収容するアダプタと、
前記試料容器上に配置され、前記キャピラリが貫通可能なセプタと、
前記セプタ上に配置され、前記アダプタに固定されるセプタクリップと、を有し、
前記下向きの力は、前記キャピラリと前記セプタとの間に生じる摩擦力よりも大きいことを特徴とする電気泳動装置。
【請求項11】
請求項10の電気泳動装置において、
前記アダプタは、前記ストッパの上面部と係合する係合部を有することを特徴とする電気泳動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気泳動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気泳動装置として、キャピラリに高分子ゲルやポリマ溶液等の泳動媒体を充填したキャピラリ電気泳動装置が広く用いられている。特許文献1は、「マルチキャピラリアレイを用いてキャピラリへの多数の試料供給を自動的に行うユニットを提供する」ことを課題として、「複数本のキャピラリを用いたキャピラリアレイにより、蛍光標識された試料を分析する電気泳動装置において、キャピラリアレイの試料供給部におけるトレイに、アダプタ、その上にサンプルプレート、その上にセプタ及びその上にセプタホルダを載置したサンプルプレートアセンブリ」を開示している(同文献の要約参照)。
【0003】
このような電気泳動装置において、キャピラリアレイの陰極端からサンプルプレートアセンブリを引き抜く際に、セプタと陰極端との間に発生する摩擦力によってサンプルプレートアセンブリが浮き上がり、陰極端に取り残される虞がある。特許文献1は、サンプルプレートアセンブリの浮き上がりを防止するために、「ストリッパプレートは、前記摩擦力よりも大きいバネの力によってサンプルプレートアセンブリやバッファ槽を下に押し下げる。」という構成を採用している(同文献の段落0038参照)。このストリッパプレートは、サンプルプレートアセンブリに対し、バネの弾性力によって、キャピラリアレイへの接続方向とは逆向きに、セプタ及びキャピラリ間に生じる摩擦力よりも大きな力を加える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-324474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ストリッパプレートの駆動源がバネであることと、サンプルプレートアセンブリを搬送するオートサンプラとストリッパプレートとが別々に電気泳動装置に取り付けられていることから、ストリッパプレートの性能を十分に発揮させるためには、両機構の機能発揮位置を相互調整する必要がある。そのため、両機構の相互調整具合に起因して、サンプルプレートアセンブリの浮き上がりを防止する性能に装置間差が発生する可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、キャピラリと接続された容器をキャピラリから退避させる際の容器の浮き上がりを防止する性能の装置間差を低減する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電気泳動装置は、キャピラリと、試料又は試薬を収容する容器が載置されるステージと、前記ステージの面に平行な水平方向及び前記ステージの面と直交する垂直方向に前記ステージを移動させるオートサンプラと、を備え、前記オートサンプラは、前記ステージを前記垂直方向に降下させて前記キャピラリと接続された前記容器を前記キャピラリから退避させる際に、前記容器に対し下向きの力を印加するストッパを有し、前記ステージを移動させることによって、前記容器の少なくとも一部が前記ストッパと対向する位置に前記容器を配置することを特徴とする。
【0008】
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではない。
【発明の効果】
【0009】
本開示の電気泳動装置によれば、キャピラリから容器を退避させる際の容器の浮き上がりを防止する性能の装置間差を低減することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る電気泳動装置の構成を示す概略図である。
図2】電気泳動装置の一部の構成を示す斜視図である。
図3】サンプルプレートアセンブリの構成を示す斜視図である。
図4】オートサンプラの構成を示す斜視図である。
図5】オートサンプラ内のX軸駆動部の構成を示す斜視図である。
図6】サンプルプレートアセンブリをサンプル設置部からステージに載せ替える動作を説明するための図である。
図7】サンプルプレートアセンブリに陰極端を挿入する際のオートサンプラの動作を説明するための図である。
図8A】サンプルプレートアセンブリとストッパが係合した状態を示す斜視図である。
図8B】サンプルプレートアセンブリとストッパが係合した状態を示す正面図である。
図9】サンプルプレートアセンブリと陰極端の接続ポジションを説明するための上面図である。
図10A】サンプルプレートアセンブリのNポジションを陰極端と接続する際のステージの位置を示す側面図である。
図10B】サンプルプレートアセンブリのKポジションを陰極端と接続する際のステージの位置を示す側面図である。
図11】第2の実施形態に係るトンネル型ストッパを有するX軸駆動部の構成を示す斜視図である。
図12A】トンネル型ストッパがサンプルプレートアセンブリの一部を覆った状態を示す斜視図である。
図12B】トンネル型ストッパがサンプルプレートアセンブリの一部を覆った状態を示す正面図である。
図13】第3の実施形態に係るオートサンプラの構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
<電気泳動装置の構成例>
図1は、第1の実施形態に係る電気泳動装置100の構成を示す概略図である。電気泳動装置100は、キャピラリアレイ110、電気泳動部120、送液部130及び照射検出部140を備える。
【0012】
キャピラリアレイ110は、1本又は複数本のキャピラリ101、キャピラリヘッド111、ロードヘッダ112及び固定基板113を有する。キャピラリアレイ110は、フレームに位置決めされた状態で、キャピラリアレイユニットとして電気泳動装置100に対し着脱することができる。キャピラリアレイ110は、所定の回数使用した場合や、分析項目を変更する場合等に交換される。キャピラリ101は、典型的には石英パイプであり、強度を向上させるために外被がポリイミド樹脂でコーティングされている。キャピラリヘッド111は、送液部130と耐圧気密に着脱可能な部材である。キャピラリヘッド111は、キャピラリ101が複数本である場合に、キャピラリ101の一端(陽極端)を束ねる。ロードヘッダ112には、管状の陰極電極114が設けられている。キャピラリ101は、陰極電極114を貫通して、陰極電極114の下端から陰極端116が突出した状態で、ロードヘッダ112に固定される。固定基板113は、複数のキャピラリ101を整列させるための複数の溝を有する。固定基板113は、キャピラリ101の検出位置102の近傍を、光学フラット平面に高さ数ミクロンの精度で配列し固定する。
【0013】
電気泳動部120は、恒温槽121、陰極側バッファ容器122及び高電圧電源124を有する。恒温槽121は、キャピラリアレイ110を収容し、キャピラリアレイ110の温度を調節する。恒温槽121の熱源としては、例えばペルチェ素子が使用され、室温より低い温度から50℃以上の高温まで温度設定が可能である。図1では図示を省略するが、恒温槽121はファンを有し、ファンにより恒温槽121内の空気を循環させることにより、恒温槽121内の温度のばらつきを小さくすることができる。陰極側バッファ容器122は、バッファ溶液123を収容する。キャピラリ101の陰極端116及び陰極電極114は、バッファ溶液123に浸漬される。この状態で、高電圧電源124により電圧が印加される。
【0014】
送液部130は、泳動媒体である高粘性ポリマ溶液(以下、ポリマという)をキャピラリ101に送液する。送液部130は、ポンプ131、ブロック132、ポリマ容器133及び陽極側バッファ容器134を有する。ポリマ容器133は、ポリマ136を収容する。陽極側バッファ容器134は、バッファ溶液137を収容する。バッファ溶液137には陽極電極138が浸漬される。ブロック132は、内部に流路を備え、キャピラリヘッド111、ポリマ容器133及び陽極側バッファ容器134を連通させるための接続部として機能する。ポンプ131は、ブロック132内の流路に接続される。ポリマ容器133内のポリマ136は、ポンプ131の駆動によりブロック132を介してキャピラリ101に送液される。また、ブロック132を介して、陽極側バッファ容器134内のバッファ溶液137とキャピラリ101とが電気的に接続される。
【0015】
照射検出部140は、光源141及び検出器142を有し、キャピラリ101内での電気泳動によって分離された試料を光学的に検出する。光源141は、キャピラリ101の検出位置102に励起光を照射し、これにより検出位置102を通過する試料から、試料に依存した光が放出される。検出器142は、試料から放出された光を検出する。キャピラリ101の検出位置102では、内部の発光が外部に漏れるようにコーティングが除去されている。
【0016】
電気泳動装置100の各部の動作は、不図示の制御装置により制御される。制御装置は、電気泳動装置100を動作させるためのプログラムを格納するメモリと、当該プログラムを実行するプロセッサと、を少なくとも備える。
【0017】
図2は、電気泳動装置100の一部の構成を示す斜視図である。図2に示すように、電気泳動装置100は、図1の構成に加えて、オートサンプラ150、バッファ搬送部160及びサンプル設置部170を備える。
【0018】
サンプル設置部170には、電気泳動装置100の外部からユーザがサンプルプレートアセンブリ180(容器)を設置することができる。図2に示す例においては、サンプル設置部170には4つのサンプルプレートアセンブリ180を設置することができるが、4つに限定されない。
【0019】
オートサンプラ150は、サンプルプレートアセンブリ180を三軸方向(X、Y、Z軸方向)に搬送する。バッファ搬送部160は、少なくともY軸方向及びZ軸方向に陰極側バッファ容器122を搬送する。オートサンプラ150及びバッファ搬送部160の動作は、上述の制御装置により制御される。なお、本明細書において、X軸方向(第1の方向)及びY軸方向(第2の方向)は、サンプルプレートアセンブリ180が載置されるステージ(後述)の上面に平行な方向(水平方向)とし、Z軸方向は、ステージ(後述)の上面に垂直な方向とする。また、X軸正方向を「前方」といい、X軸負方向を「後方」という場合がある。同様に、Z軸正方向を「上方」といい、Z軸負方向を「下方」という場合がある。
【0020】
図3は、サンプルプレートアセンブリ180の構成を示す斜視図である。サンプルプレートアセンブリ180は、サンプルアダプタ181、試料容器182、セプタ183及びセプタクリップ184を有する。試料容器182は、例えばマイクロタイタープレートであり、試料溶液又は試薬を収容する複数のウェルを有する。サンプルアダプタ181は、試料容器182を収容する。セプタ183は、試料容器182上に配置され、各ウェルを覆う複数の突起を有する。セプタ183は、例えばシリコンゴムなど、キャピラリ101が貫通可能な材質で形成することができる。セプタクリップ184は、例えば側面に設けられた爪をサンプルアダプタ181に引っ掛けることにより、試料容器182及びセプタ183をサンプルアダプタ181に固定する。セプタクリップ184は、試料容器182の各ウェルに対応する複数の穴を有し、これにより各キャピラリ101を試料容器182のウェルに挿入することができる。サンプルアダプタ181、試料容器182、セプタ183及びセプタクリップ184を組み立てることにより、サンプルプレートアセンブリ180として上記4部品が一体構造となる。
【0021】
<電気泳動方法>
試料の電気泳動方法の概略を説明する。まず、オートサンプラ150の駆動によって、サンプル設置部170に設置されたサンプルプレートアセンブリ180を搬送して、キャピラリ101の陰極端116をサンプルプレートアセンブリ180内に挿入する。サンプルプレートアセンブリ180内の試料容器182は多数のウェルを有し、各ウェルには蛍光標識されたDNA等の試料を含む溶液が収容される。陰極端116は、セプタ183を貫通して、ウェル内の試料溶液に浸漬される。この状態で、高電圧電源124により陽極電極138と陰極電極114の間に数kV程度の電圧を印加することで、試料は陰極端116からキャピラリ101内に導入される。次に、オートサンプラ150の駆動によって、サンプルプレートアセンブリ180を陰極端116から退避させるとともに、バッファ搬送部160の駆動によって、陰極端116を陰極側バッファ容器122内に挿入する。陰極端116がバッファ溶液123に浸漬された状態で、高電圧電源124により陽極電極138と陰極電極114の間に電圧を印加することで、試料はキャピラリ101内を電気泳動し、泳動度に応じて分離する。照射検出部140は、分離した試料を検出する。
【0022】
<オートサンプラの構成例>
図4は、オートサンプラ150の構成を示す斜視図である。オートサンプラ150は、サンプル設置部170の奥側に設けられる。オートサンプラ150は、ステージ200、X軸駆動部151(第1の駆動部)、Z軸駆動部152(第2の駆動部)及びY軸駆動部153(第3の駆動部)を有する。図4では図示を省略しているが、ステージ200には、サンプルプレートアセンブリ180が載置される。
【0023】
X軸駆動部151は、ステージ200をX軸方向に移動させる。Z軸駆動部152は、ステージ200をZ軸方向に駆動する。Y軸駆動部153は、ステージ200をY軸方向に駆動する。図4に示すオートサンプラ150においては、ステージ200は、X軸駆動部151に設けられている。また、一番下にY軸駆動部153が設けられ、その上にZ軸駆動部152が搭載され、さらにその上にX軸駆動部151が搭載されている。Y軸駆動部153の上面には、Z軸駆動部152をY軸方向に移動させるためのガイドレールが設けられ、Z軸駆動部152には、X軸駆動部151をZ軸方向に移動させるためのガイドレールが設けられている。サンプル設置部170には、サンプルプレートアセンブリ180を設置するためのスリット部171が設けられており、ステージ200は、スリット部171に侵入することができる。
【0024】
図5は、X軸駆動部151の構成を示す斜視図である。X軸駆動部151は、ステージ200、ストッパ300、ベース311、ガイドレール312及び駆動源313を有する。ガイドレール312は、ベース311上に配置されX軸方向に延設されている。駆動源313は、例えばモータであり、ステージ200は、駆動源313の駆動によってガイドレール312に沿ってX軸方向に移動する。ステージ200は位置決めピン201を有している。位置決めピン201は、サンプルプレートアセンブリ180の底面に設けられた位置決め穴(図5には不図示)に嵌合され、これによりステージ200上にサンプルプレートアセンブリ180を載置する際の位置決めが容易となる。
【0025】
ストッパ300は、X軸方向から見て略C字状の部材を2つ有する。各C字状部材は、開口部が向かい合うように、それぞれの底面部がベース311上面のY軸方向端部に固定されている。ストッパ300は、例えば、3つの面が形成されるように板状の部材を略直角に折り曲げることにより形成することができる。図5では、ストッパ300は、ベース311のX軸方向の手前側のみに設置されているが、ベース311のX軸方向の全体に亘って延設されていてもよい。
【0026】
<オートサンプラの動作例>
図6は、サンプルプレートアセンブリ180をサンプル設置部170からステージ200に載せ替える動作を説明するための図である。初めに、オートサンプラ150は、X軸駆動部151、Z軸駆動部152及びY軸駆動部153を駆動して、サンプル設置部170に設置されている所定のサンプルプレートアセンブリ180の後方へステージ200を移動させる(図6(a))。このとき、ステージ200の高さは、サンプルプレートアセンブリ180の底面より下にする。
【0027】
続いて、オートサンプラ150は、X軸駆動部151を駆動して、ステージ200を前方に移動させてサンプルプレートアセンブリ180の下方へ位置させる(図6(b))。このとき、ステージ200上の位置決めピン201とサンプルプレートアセンブリ180の底部の位置決め穴185はある程度それぞれの中心軸が合った位置となる。
【0028】
次に、オートサンプラ150は、Z軸駆動部152を駆動して、ステージ200を上方に移動する(図6(c))。これにより、サンプル設置部170のスリット部171からステージ200がサンプルプレートアセンブリ180をすくい上げるように上昇し、ステージ200にサンプルプレートアセンブリ180が搭載される。このとき、ステージ200上の位置決めピン201はサンプルプレートアセンブリ180の位置決め穴185に挿入されるので、サンプルプレートアセンブリ180は、毎回、ステージ200上の同じ位置に搭載されるようになっている。
【0029】
次に、オートサンプラ150は、X軸駆動部151を駆動して、サンプル設置部170の上方に位置するステージ200を後方に移動してX軸駆動部151上に移動させる(図6(d))。このとき、サンプルプレートアセンブリ180の形状と、X軸駆動部151上に固定されたストッパ300の形状が係合する。これにより、サンプルプレートアセンブリ180の浮き上がりを防止できる状態となる。
【0030】
図7は、サンプルプレートアセンブリ180に陰極端116を挿入する際のオートサンプラ150の動作を説明するための図である。なお、本明細書において、サンプルプレートアセンブリ180を搬送してキャピラリ101の陰極端116を試料容器182のウェルに挿入することを「接続」という場合がある。
【0031】
陰極端116は、X軸方向から見て、Z軸方向下方に向かって垂直に突出している。そのため、オートサンプラ150は、サンプル設置部170に設置されたサンプルプレートアセンブリ180をステージ200に載せ替えた後、X軸駆動部151及びY軸駆動部153を駆動して、試料容器182のウェルと陰極端116が接続できるように、ステージ200のXY方向の位置を調整する(図7(a))。次に、Z軸駆動部152によりステージ200を上方に上昇し、陰極端116をサンプルプレートアセンブリ180に挿入する(図7(b))。陰極端116からサンプルプレートアセンブリ180を引き抜く際は、Z軸駆動部152により垂直に降下させる(図7(c))。このとき、サンプルプレートアセンブリ180内のセプタ183と陰極端116との間に摩擦力が生じるため、ストッパ300がない場合は、サンプルプレートアセンブリ180はステージ200から浮き上がり、陰極端116側に取り残されてしまう。
【0032】
図8Aは、サンプルプレートアセンブリ180とストッパ300が係合した状態を示す斜視図である。陰極端116がサンプル設置部170よりも後方に位置するため、サンプルプレートアセンブリ180は、サンプル設置部170からステージ200に載せ替えられた後、X軸駆動部151によって後方へ引き込まれる。この動作の際に、サンプルプレートアセンブリ180のサンプルアダプタ181の一部が、ベース311上に設置されているストッパ300の上面部301の下方に入り込む。これにより、サンプルプレートアセンブリ180の浮き上がりを防止できる状態となる。ステージ200上のサンプルプレートアセンブリ180は、この状態で、陰極端116に対し挿抜可能である。
【0033】
図8Bは、サンプルプレートアセンブリ180とストッパ300が係合した状態を示す正面図である。図8Bに示すように、サンプルプレートアセンブリ180のサンプルアダプタ181は、ストッパ300と係合するフランジ186(係合部)を有している。サンプルプレートアセンブリ180がストッパ300の領域へ搬送されると、フランジ186の上方にストッパ300の上面部301が位置する状態となる。これにより、サンプルプレートアセンブリ180を陰極端116から引き抜く際にサンプルプレートアセンブリ180が浮き上がったとしても、ストッパ300がフランジ186に引っ掛かり、ステージ200上にサンプルプレートアセンブリ180を留める働きをする。換言すれば、ストッパ300は、ステージ200を下方に駆動してキャピラリ101をサンプルプレートアセンブリ180から引き抜く際に、サンプルプレートアセンブリ180に対し下向きに働く力を印加する。このサンプルプレートアセンブリ180に対し下向きに働く力は、セプタ183とキャピラリ101との間に働く摩擦力より大きい。
【0034】
サンプルアダプタ181にフランジ186を設ける代わりに、サンプルアダプタ181の側面部に、ストッパ300の上面部301が通過可能な溝(係合部)を設けてもよい。この場合、溝の内部にストッパ300の上面部301が位置する状態であれば、サンプルプレートアセンブリ180を陰極端116から引き抜く際にサンプルプレートアセンブリ180が浮き上がったとしても、ストッパ300が溝に引っ掛かり、それ以上の浮き上がりが防止される。
【0035】
図8Bの右図は、左図中の領域Gの拡大図である。この拡大図に示すように、サンプルプレートアセンブリ180のサンプルアダプタ181と、ストッパ300との間には隙間302がある。隙間302があることにより、サンプルプレートアセンブリ180をX軸方向に移動させる際には、サンプルプレートアセンブリ180はストッパ300に接触しないので、移動が妨げられることはない。隙間302のZ軸方向の大きさは、ステージ200上の位置決めピン201のZ軸方向の長さよりも小さくすることができる。これにより、サンプルプレートアセンブリ180をキャピラリ101の陰極端116から退避させる際に、サンプルプレートアセンブリ180が浮き上がってストッパ300とフランジ186とが接触したとしても、位置決めピン201は位置決め穴185に挿入された状態のままとなる。したがって、ステージ200に対するサンプルプレートアセンブリ180の位置を維持することができる。
【0036】
ストッパ300とサンプルアダプタ181は駆動源を有しない構造体であるので、サンプルプレートアセンブリ180の浮き上がりを防止するための機構の位置調整は必要ない。
【0037】
図9は、サンプルプレートアセンブリ180と陰極端116の接続ポジションを説明するための上面図である。サンプルプレートアセンブリ180と陰極端116との接続ポジションの数は、試料容器182のウェル数とキャピラリ101の本数によって決まる。一例として、試料容器182のウェル数が96個であり、キャピラリ101の本数が24本である場合について説明する。図9に示すように、試料容器182のウェル数が96個の場合、ウェルは、X軸方向に8個1列として、Y軸方向に12列並んでいる。また、キャピラリ101が24本の場合、キャピラリ101の陰極端116は、X軸方向に8本1列として、Y軸方向に3列並んでいる。よって、サンプルプレートアセンブリ180と陰極端116との接続ポジションの数は4つとなる。4つの接続ポジションを、X軸方向の手前側からKポジション701、Lポジション702、Mポジション703及びNポジション704とする。
【0038】
図10Aは、サンプルプレートアセンブリ180のNポジション704を陰極端116と接続する際のステージ200の位置を示す側面図である。図10Aに示すように、サンプルプレートアセンブリ180の最もX軸後方側のNポジション704に陰極端116を接続する場合、サンプルプレートアセンブリ180は、X軸方向の全体に亘ってストッパ300と係合する。
【0039】
図10Bは、サンプルプレートアセンブリ180のKポジション701を陰極端116と接続する際のステージ200の位置を示す側面図である。図10Bに示すように、サンプルプレートアセンブリ180の最もX軸前方側のKポジション701に陰極端116を接続する場合、サンプルプレートアセンブリ180は、X軸方向の一端部のみがストッパ300と係合する。
【0040】
このように、4つの接続ポジションそれぞれにサンプルプレートアセンブリ180が移動した場合でも、サンプルプレートアセンブリ180の少なくとも一部がストッパ300と係合した状態が維持される。ただし、ストッパ300のX軸方向の長さα及びサンプルプレートアセンブリ180がストッパ300の下に入り込んでいる距離βは、陰極端116からサンプルプレートアセンブリ180を引き抜く際に、ストッパ300が、セプタ183と陰極端116との間に生じる摩擦力に耐えうる強度を発揮できればよく、短くても問題はない。
【0041】
<第1の実施形態のまとめ>
以上のように、第1の実施形態に係る電気泳動装置100において、サンプルプレートアセンブリ180(容器)を搬送するステージ200を有するオートサンプラ150にストッパ300が設けられている。オートサンプラ150は、ステージ200を移動させることにより、サンプルプレートアセンブリ180の側面部に設けられたフランジ186とストッパ300の上面部301とが対向する位置にサンプルプレートアセンブリ180を搬送する。このように、サンプルプレートアセンブリ180をサンプル設置部170からオートサンプラ150に移動させるだけで、サンプルプレートアセンブリ180の浮き上がりを防止できる状態となる。したがって、浮き上がりを防止する機能を発揮するための部材の相互調整が必要ないため、浮き上がりを防止する機能の装置間差を小さくできる。また、バネなどの、浮き上がり防止機能を発揮するために位置調整を要する駆動源を使用する必要もない。
【0042】
ストッパ300は、サンプルプレートアセンブリ180にキャピラリ101が挿入された状態から、サンプルプレートアセンブリ180を退避させる際に、サンプルプレートアセンブリ180に対し下向きの力を印加する。これにより、サンプルプレートアセンブリ180のセプタ183とキャピラリ101との摩擦力によってサンプルプレートアセンブリ180が浮き上がったとしても、ストッパ300に接触して下向きの力が印加されるので、キャピラリ101側にサンプルプレートアセンブリ180が取り残されることを防止できる。
【0043】
ストッパ300の上面部301が、サンプルプレートアセンブリ180の側面部のフランジ186と係合するので、キャピラリ101の陰極端116とサンプルプレートアセンブリ180の上面との間に構造体が配置されない。これにより、キャピラリ101側にステージ200を移動させる量の調整が容易となる。
【0044】
<第1の実施形態の変形例>
以上説明した例では、ベース311の上面からストッパ300の上面部301までの高さは、ベース311の上面からサンプルプレートアセンブリ180の上面までの高さよりも小さく、サンプルプレートアセンブリ180の側面部のフランジ186とストッパ300とが係合する。その代わりに、ストッパ300の高さを高くして、ストッパ300の上面部301がサンプルプレートアセンブリ180の上面よりも上方に位置するようにしてもよい。
【0045】
[第2の実施形態]
第1の実施形態においては、略C字状のストッパ300の上面部301が、サンプルアダプタ181のフランジ186の上方に位置することにより、サンプルプレートアセンブリ180の浮き上がりが防止されることを説明した。ストッパの形状は、サンプルプレートアセンブリ180をキャピラリ101から退避させる際に、サンプルプレートアセンブリ180に下向きの力を印加することができればよく、略C字状に限定されない。そこで、第2の実施形態においては、ストッパの他の形状を提案する。
【0046】
本実施形態に係る電気泳動装置の全体構成については、第1の実施形態の電気泳動装置100(図1図2)と同様であるため、その詳細な説明は省略する。また、本実施形態において、第1の実施形態で説明した部材と同じ部材には同一の符号が付されている。
【0047】
図11は、第2の実施形態に係るトンネル型ストッパ400を有するX軸駆動部151の構成を示す斜視図である。第1の実施形態のストッパ300と同様に、トンネル型ストッパ400は、X軸駆動部151のベース311上に固定されている。また、トンネル型ストッパ400の上面部401には陰極端116がアクセス可能な開口部402が設けられている。
【0048】
図12Aは、トンネル型ストッパ400がサンプルプレートアセンブリ180の一部を覆った状態を示す斜視図である。図12Aに示すように、サンプルプレートアセンブリ180がトンネル型ストッパ400の下に入り込むことで、サンプルプレートアセンブリ180の浮き上がりを防止できる状態となる。すなわち、トンネル型ストッパ400がサンプルプレートアセンブリ180の上方を覆うことにより、サンプルプレートアセンブリ180の浮き上がりが防止される。X軸駆動部151は、サンプルプレートアセンブリ180とキャピラリ101の陰極端116との接続ポジションに開口部402が位置するように、ステージ200を移動させる。
【0049】
サンプルプレートアセンブリ180を陰極端116から引き抜く際にサンプルプレートアセンブリ180が浮き上がったとしても、トンネル型ストッパ400の上面部401がサンプルプレートアセンブリ180の上面に接触し、ステージ200上にサンプルプレートアセンブリ180を留める働きをする。換言すれば、トンネル型ストッパ400は、ステージ200を下方に駆動してキャピラリ101をサンプルプレートアセンブリ180から引き抜く際に、サンプルプレートアセンブリ180に対し下向きに働く力を印加する。
【0050】
図12Bは、トンネル型ストッパ400がサンプルプレートアセンブリ180の一部を覆った状態を示す正面図である。図12Bに示すように、ベース311の上面からトンネル型ストッパ400の上面までの高さは、ベース311の上面からサンプルプレートアセンブリ180の上面までの高さよりも大きい。これにより、サンプルプレートアセンブリ180をX軸方向に移動させる際には、サンプルプレートアセンブリ180はトンネル型ストッパ400に接触しないので、移動が妨げられることはない。
【0051】
<第2の実施形態のまとめ>
以上のように、第2の実施形態においては、オートサンプラ150は、ステージ200を移動させることにより、サンプルプレートアセンブリ180の上面の一部とトンネル型ストッパ400の上面部401とが対向する位置にサンプルプレートアセンブリ180を搬送する。トンネル型ストッパ400は、サンプルプレートアセンブリ180の上方を覆うことによって、サンプルプレートアセンブリ180を陰極端116から引き抜く際に、サンプルプレートアセンブリ180に対し下向きに働く力を印加する。したがって、本実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、第2の実施形態に係るトンネル型ストッパ400は、サンプルプレートアセンブリ180の上方を覆うので、サンプルプレートアセンブリ180の形状を特別に設計する必要がない。さらに、トンネル型ストッパ400は1つの部品で形成することができるので、製造及びX軸駆動部151への配置が容易である。
【0052】
[第3の実施形態]
第2の実施形態においては、トンネル型ストッパ400がオートサンプラ150のX軸駆動部151に固定されている構成を説明した。第3の実施形態においては、オートサンプラの構造及びストッパの配置を変更した構成例を提案する。本実施形態に係る電気泳動装置の全体構成については、第1の実施形態の電気泳動装置100(図1)と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0053】
<オートサンプラの構成例>
図13は、第3の実施形態に係るオートサンプラ350の構成を示す斜視図である。図13に示すように、オートサンプラ350は、X軸駆動部351、Z軸駆動部352及びY軸駆動部353を有する。X軸駆動部351は、ステージ200をX軸方向に移動させる。Z軸駆動部352は、ステージ200をZ軸方向に駆動する。Y軸駆動部353は、ステージ200をY軸方向に駆動する。オートサンプラ350においては、Z軸駆動部352のYZ平面に沿ったベースに、Z軸方向に延設されたガイドレールが設けられ、当該ガイドレールにY軸駆動部353のベースが搭載されている。Y軸駆動部353のベースには、Y軸方向に延設されたガイドレールが設けられ、当該ガイドレールにX軸駆動部351が搭載される。
【0054】
Y軸駆動部353は、ベースのY軸方向の両端部からX軸方向に突出するアーム354を2本有し、当該アーム354を橋架するようにトンネル型ストッパ500が設けられている。すなわち、トンネル型ストッパ500は、Y軸方向に延設されている。トンネル型ストッパ500の上面部501には、陰極端116がアクセス可能な開口部502が設けられている。
【0055】
<第3の実施形態のまとめ>
以上のように、第3の実施形態においては、オートサンプラ350は、ステージ200を移動させることにより、サンプルプレートアセンブリ180の上面の一部とトンネル型ストッパ500の上面部501とが対向する位置にサンプルプレートアセンブリ180を搬送する。トンネル型ストッパ500は、Y軸駆動部353に固定され、Y軸方向に延設されている。トンネル型ストッパ500は、サンプルプレートアセンブリ180の上方を覆うことによって、サンプルプレートアセンブリ180を陰極端116から引き抜く際に、サンプルプレートアセンブリ180に対し下向きに働く力を印加する。したがって、本実施形態においても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、サンプルプレートアセンブリ180の浮き上がりを防止可能な状態を維持したまま、Y軸方向にサンプルプレートアセンブリ180を移動させることができる。結果として、例えば複数組のキャピラリアレイ110がY軸方向に配列されている場合、現在挿入されているキャピラリアレイ110から他のキャピラリアレイ110にサンプルプレートアセンブリ180を移動させる際に、Y軸方向の移動が容易である。
【0056】
[変形例]
本開示は、上述した実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例を含んでいる。例えば、上述した実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。また、ある実施形態の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成の一部を追加、削除又は置換することもできる。
【符号の説明】
【0057】
100…電気泳動装置、101…キャピラリ、102…検出位置、110…キャピラリアレイ、120…電気泳動部、130…送液部、140…照射検出部、150…オートサンプラ、160…バッファ搬送部、170…サンプル設置部、180…サンプルプレートアセンブリ、200…ステージ、300…ストッパ、350…オートサンプラ、400…トンネル型ストッパ、500…トンネル型ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図13