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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】情報処理装置およびカウント方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20240524BHJP
   G01S 13/52 20060101ALI20240524BHJP
   G01S 13/91 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G08G1/01 F
G01S13/52
G01S13/91
G08G1/01 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020099310
(22)【出願日】2020-06-08
(65)【公開番号】P2021193492
(43)【公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 剛央
(72)【発明者】
【氏名】野口 浩
(72)【発明者】
【氏名】河合 慶士
(72)【発明者】
【氏名】安木 慎
(72)【発明者】
【氏名】大野 耕祐
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-322891(JP,A)
【文献】特開2019-117573(JP,A)
【文献】特開2017-129410(JP,A)
【文献】特開2020-052901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通路に向けて電波を発するレーダー装置が計測した点群データをグループ化し、グループに含まれる物体の数を前記グループに紐付けるグループ化部と、
前記通路上に設定された計測境界線を通過した前記グループに紐付けられた物体の数をカウントする通過判定部と、を備え、
前記グループ化部は、前記グループの現在位置と、前記グループの前回位置とを前記グループに紐付け、
前記通過判定部は、前記計測境界線に対する前記現在位置および前記前回位置の位置関係に基づいて、前記グループの前記計測境界線の通過を判定し、
前記グループ化部は、前記グループが分離前グループから分離した分離グループである場合、前記分離前グループの位置を前記前回位置として前記分離グループに紐付ける、
情報処理装置。
【請求項2】
前記グループ化部は、前記分離前グループに紐付けられた物体の数を、前記分離グループの物体の数として割り振る、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
通路に向けて電波を発するレーダー装置が計測した点群データをグループ化し、グループに含まれる物体の数を前記グループに紐付けるグループ化部と、
前記通路上に設定された計測境界線を通過した前記グループに紐付けられた物体の数をカウントする通過判定部と、を備え、
前記グループ化部は、前記グループが複数の結合前グループを結合した結合グループである場合、前記複数の結合前グループの各々の位置を前回位置として前記結合グループに紐付ける
報処理装置。
【請求項4】
前記グループ化部は、第1の方向から前記計測境界線に向かって移動する物体をグループ化する第1のグループ化処理レイヤーと、前記第1の方向とは反対の第2の方向から前記計測境界線に向かって移動する物体をグループ化する第2のグループ化処理レイヤーと、に分け、
前記通過判定部は、前記第1の方向から前記計測境界線に向かって移動する物体をカウントする第1のカウント処理レイヤーと、前記第2の方向から前記計測境界線に向かって移動する物体をカウントする第2のカウント処理レイヤーと、に分ける、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
通路に向けて電波を発するレーダー装置が計測した点群データをグループ化し、
グループに含まれる物体の数を前記グループに紐付け、
前記通路上に設定された計測境界線を通過した前記グループに紐付けられた物体の数をカウント
前記グループの現在位置と、前記グループの前回位置とを前記グループに紐付け、
前記計測境界線に対する前記現在位置および前記前回位置の位置関係に基づいて、前記グループの前記計測境界線の通過を判定し、
前記グループが分離前グループから分離した分離グループである場合、前記分離前グループの位置を前記前回位置として前記分離グループに紐付ける、
カウント方法。
【請求項6】
通路に向けて電波を発するレーダー装置が計測した点群データをグループ化し、
グループに含まれる物体の数を前記グループに紐付け、
前記通路上に設定された計測境界線を通過した前記グループに紐付けられた物体の数をカウントし、
前記グループが複数の結合前グループを結合した結合グループである場合、前記複数の結合前グループの各々の位置を前回位置として前記結合グループに紐付ける、
カウント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置およびカウント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マーケティング調査や交通量調査において、人流(人数)調査が重要になっている。従来、人の手で人数カウントする数取器がある。また、特許文献1には、カメラを用いた人数カウント方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭62-34293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
数取器は、人の手に頼るため非効率である。特許文献1は、カメラを用いて人数カウントを行うため、例えば、昼夜による明るさの変化によって、適切に人数カウントができない場合がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、通路上に設定された計測境界線を通過した物体の数を、電波を用いて簡易かつ適切にカウントできる情報処理装置およびカウント方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る情報処理装置は、通路に向けて電波を発するレーダー装置が計測した点群データをグループ化し、グループに含まれる物体の数を前記グループに紐付けるグループ化部と、前記通路上に設定された計測境界線を通過した前記グループに紐付けられた物体の数をカウントする通過判定部と、を有する。
【0007】
本開示の一実施例に係るカウント方法は、通路に向けて電波を発するレーダー装置が計測した点群データをグループ化し、グループに含まれる物体の数を前記グループに紐付け、前記通路上に設定された計測境界線を通過した前記グループに紐付けられた物体の数をカウントする。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施例によれば、通路上に設定された計測境界線を通過した物体の数を、電波を用いて簡易かつ適切にカウントできる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示に係る情報処理装置を用いたカウントシステムの一例を示した図
図2】人の追跡の動作例を説明する図
図3】グループ化処理の一例を説明する図
図4】グループの分離処理の一例を説明する図
図5】グループの結合処理の一例を説明する図
図6】方向別処理の一例を説明する図
図7】情報処理装置およびサーバーのブロック構成例を示した図
図8A】情報処理装置の処理の一例を示したフローチャート
図8B】情報処理装置の処理の一例を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0013】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0014】
図1は、本開示に係る情報処理装置2を用いたカウントシステムの一例を示した図である。図1に示すように、カウントシステムは、レーダー装置1と、情報処理装置2と、サーバー3と、を有する。
【0015】
図1には、計測境界線A1が一点鎖線で示してある。計測境界線A1は、例えば、人および車両の通行量を計測する道路等の通路上に設定される。計測境界線A1は、例えば、情報処理装置2が実行するプログラムにおいて設定される。計測境界線A1の位置は、ユーザによって、変更されてもよい。
【0016】
情報処理装置2は、計測境界線A1を通過する人および車両を、計測境界線A1を通過する方向を区別してカウントする。例えば、情報処理装置2は、図1の矢印A2aの方向(レーダー装置1に近づく方向)において、計測境界線A1を通過する人および車両をカウントする。情報処理装置2は、図1の矢印A2bの方向(レーダー装置1から離れる方向)において、計測境界線A1を通過する人および車両をカウントする。
【0017】
レーダー装置1は、例えば、電柱等の構造物A3に設置される。レーダー装置1は、通路に向けて電波を発し、人や車両等の物体から反射した反射波に基づいて、点群データを生成する。レーダー装置1は、生成した点群データを、例えば、無線通信を用いて、情報処理装置2に送信する。
【0018】
情報処理装置2は、レーダー装置1から送信された点群データに基づいて、人および車両(ターゲット)を判別する。情報処理装置2は、判別した人および車両の、計測境界線A1を通過する数をカウントする。上記したように、情報処理装置2は、計測境界線A1を通過する方向を区別して、計測境界線A1を通過する人および車両の数をカウントする。情報処理装置2は、カウントした人および車両の数を、例えば、有線のネットワーク4を介して、サーバー3に送信する。
【0019】
サーバー3は、情報処理装置2から送信された人および車両の数を分析する。例えば、サーバー3は、計測境界線A1を通過した人および車両の、単位時間当たり(例えば、1時間当たりまたは1日当たり)の累積数を分析する。サーバー3は、例えば、図1の画面例A4に示すように、分析結果を表示装置に表示する。
【0020】
このように、情報処理装置2は、レーダー装置1の点群データを用いて、人および車両の数をカウントする。これにより、情報処理装置2は、数取器のように、人の手に頼らずに、人および車両の数をカウントできる。また、点群データは、電波を用いて取得されるため、情報処理装置2は、明るさによらずに、人および車両を適切にカウントできる。
【0021】
なお、上記では、レーダー装置1は、無線通信を用いて点群データを情報処理装置2に送信するとしたが、これに限られない。レーダー装置1は、有線通信を用いて点群データを情報処理装置2に送信してもよい。
【0022】
また、情報処理装置2は、有線のネットワーク4を介して、人および車両のカウント数をサーバー3に送信するとしたが、これに限られない。情報処理装置2は、無線通信を用いて人および車両のカウント数をサーバー3に送信してもよい。
【0023】
また、情報処理装置2は、レーダー装置1に組み込まれてもよいし、サーバー3に組み込まれてもよい。例えば、情報処理装置2は、プログラムまたは半導体チップとして、その機能がレーダー装置1に組み込まれてもよい。また、情報処理装置2は、プログラムとして、その機能がサーバー3に組み込まれてもよい。
【0024】
また、計測境界線A1は、通路上に複数設定されてもよい。
【0025】
人のカウント方法について説明する。人は、車両に比べ、密集して(集団で)移動する場合がある。例えば、数人が、会話しながら歩行する場合などが該当する。
【0026】
密集した人の各々を追跡して、計測境界線A1を通過する人数をカウントする場合、情報処理装置の処理負荷は大きくなる。
【0027】
図2は、人の追跡の動作例を説明する図である。図2には、計測境界線A1が実線で示してある。図2に示す数字1~3およびクエスチョンは、人を示す。黒点は、レーダー装置1が計測した人の点群データを示す。
【0028】
図2において、人は、上から下に移動する。時間は、図2の(A),(B),(C)の順に経過する。別言すれば、図2は、(A),(B),(C)の順に、通路上における人の移動の様子を示す。図2に示す点線の丸は、前回の処理(時刻)における人の位置を示す。
【0029】
図2の(A)に示すように、3人が密集して、計測境界線A1に向かって移動する。
【0030】
図2の(B)に示すように、密集した3人が計測境界線A1上に位置する。3人が密集していると、レーダー装置1は分解能の問題で人を分離できなくなる。
【0031】
情報処理装置は、レーダー装置1の分解能の問題で人が分離されなくなると、例えば、図2の(B)のクエスチョンに示すように、個々の人を適切に追跡できなくなる場合がある。例えば、図2の(B)のクエスチョンで示す点群データは、実際は2人であるが、情報処理装置は、1人と判別する場合がある。このように、情報処理装置は、個々の人を適切に追跡できなかった場合、計測境界線A1を通過する人数を適切にカウントできなくなる。
【0032】
図2の(C)に示すように、密集した3人が計測境界線A1を通過した後、離れる。情報処理装置は、個々の人を適切に追跡できなった点群データ(図2の(B)の2つのクエスチョンの人)を、適切に追跡できない場合がある。例えば、図2の(C)の実線丸のクエスチョンで示す点群データは、実際は2人であるが、情報処理装置は、1人と判別する場合がある。
【0033】
このように、情報処理装置は、人が密集して移動すると、計測境界線A1を通過する人数を適切にカウントできない場合がある。
【0034】
そこで、図1の情報処理装置2は、密集した人をグループ化し、グループ化したグループにおいて、計測境界線A1を通過した人数をカウントする。
【0035】
図3は、グループ化処理の一例を説明する図である。図3の(A),(B),(C)は、図2と同様に、人の移動の様子を時系列で示している。図3の(A),(B),(C)に示す検知記録は、図3の(A),(B),(C)の各時系列における、人またはグループに関する情報を示す。検知記録は、例えば、情報処理装置の記憶部に記憶される。検知記録は、グループに紐付けられた情報と捉えてもよい。
【0036】
図3の(A)に示すように、人が密集した場合、情報処理装置2は、密集した人をグループ化する。図3の(A)の例では、情報処理装置2は、破線枠A11に示すように、3人を1つのグループにグループ化する。情報処理装置2は、例えば、DBSCAN(Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise)を用いて、点群データの密度が密になっている部分をグループ化してもよい。
【0037】
情報処理装置2は、密集した人をグループ化すると、グループ化したグループごとに、ID(識別子)を付与する。図3の(A)の例の場合、情報処理装置2は、図3の(A)の検知記録に示すように、ID1を付与する。
【0038】
また、情報処理装置2は、ID1のグループの人数と、ID1のグループの直前(前回)位置と、ID1のグループの現在位置とを記憶する。図3の(A)の例の場合、情報処理装置2は、図3の(A)の検知記録に示すように、3人と、直前位置x=0,y=12と、現在位置x=0,y=11とを記憶する。
【0039】
なお、グループの位置は、グループの重心の位置であってもよい。例えば、グループの位置は、図3の(A)の破線枠A11で示す領域の重心の位置であってもよい。直前位置とは、前回の検知処理におけるグループの位置を示し、現在位置とは、現在の検知処理(図3の(A)における検知処理)におけるグループの位置を示す。
【0040】
情報処理装置2は、グループの計測境界線A1に対する前回の相対位置と、グループの計測境界線A1に対する今回の相対位置との変化を記憶する。前回の検知処理における、ID1のグループの計測境界線A1に対する相対位置を「上」とする。今回の検知処理(図3の(A)における検知処理)における、ID1のグループの計測境界線A1に対する相対位置は、「上」であるので、情報処理装置2は、図3の(A)の検知記録に示すように、「上」から「上」を記憶する。
【0041】
なお、図3の例では、グループが、計測境界線A1に対し、レーダー装置1側に位置している場合、グループの計測境界線A1に対する相対位置を「上」としている。グループが、計測境界線A1上に位置している場合、グループの計測境界線A1に対する相対位置を「中心」としている。グループが、計測境界線A1に対し、レーダー装置1側が存在している側の領域と反対側の領域に位置している場合、グループの計測境界線A1に対する相対位置を「下」としている。以下でも断らない限り、グループの計測境界線A1に対する相対位置を前述のように定義する。
【0042】
また、情報処理装置2が、図3の(A)の検知処理において、初めてグループを判定(検知)した場合、直前位置は存在しない。そのため、直前位置は、検知記録に記憶されない。また、情報処理装置2が、図3の(A)の検知処理において、初めてグループを判定した場合、直前の相対位置は存在しない。そのため、相対位置変化は、現在の相対位置のみとなる。
【0043】
図3の(B)に示すように、ID1のグループ(グループの重心)は、計測境界線A1の真上に位置する。このときの検知記録は、図3の(B)の検知記録に示すようになる。
【0044】
なお、図3の(B)の検知記録に示す直前位置は、グループの直前の検知処理(前回の検知処理)で計測された位置を示す。従って、図3の(B)の検知記録に示す直前位置は、図3の(A)の検知記録に示した現在位置に一致する。
【0045】
また、図3の(B)の検知記録に示す相対位置変化は、「上」から「中心」となっている。図3の(B)の検知記録に示す相対位置変化の「上」は、図3の(A)の検知記録に示した相対位置変化の右側の「上」に一致する。
【0046】
図3の(C)に示すように、ID1のグループは、計測境界線A1の下に位置する。このときの検知記録は、図3の(C)の検知記録に示すようになる。
【0047】
なお、図3の(C)の検知記録に示す直前位置は、グループの直前に計測された位置を示す。従って、図3の(C)の検知記録に示す直前位置は、図3の(B)の検知記録に示した現在位置に一致する。
【0048】
また、図3の(C)の検知記録に示す相対位置変化は、「中心」から「下」となっている。図3の(C)の検知記録に示す相対位置変化の「中心」は、図3の(B)の検知記録に示した相対位置変化の「中心」に一致する。
【0049】
このように、情報処理装置2は、人が密集すると、密集した人をグループ化する。情報処理装置2は、移動する人を個々ではなく、グループ単位で追跡する。そして、情報処理装置2は、グループが計測境界線A1を通過したとき、そのグループに含まれる人数に基づいて、計測境界線A1を通過した人数をカウントする。
【0050】
例えば、図3の例の場合、情報処理装置2は、ID1のグループが計測境界線A1を通過したとき、ID1のグループの情報(検知記録)に含まれる人数に基づいて、計測境界線A1を3人通過したとカウントする。これにより、情報処理装置2は、計測境界線A1を通過する人数を適切にカウントできる。
【0051】
なお、情報処理装置2は、検知記録に含まれる相対位置変化に基づいて、グループが計測境界線A1を通過したか否か判定する。別言すれば、情報処理装置2は、計測境界線A1に対する現在位置および直前位置の位置関係に基づいて、グループの計測境界線A1の通過を判定する。
【0052】
例えば、情報処理装置2は、相対位置変化が「中心」から「下」を示す場合、「中心」から「上」を示す場合、「上」から「下」を示す場合、および「下」から「上」を示す場合に、グループが計測境界線A1を通過したと判定する。別言すれば、情報処理装置2は、検知記録の相対位置変化が、前述の4パターンのいずれかに該当したとき、検知記録に含まれる人数を、計測境界線A1を通過した人数としてカウントする。図3の例の場合、情報処理装置2は、図3の(C)のとき、ID1のグループが計測境界線A1を通過したと判定し、計測境界線A1を3人通過したとカウントする。
【0053】
グループは、分離する場合がある。例えば、会話しながら歩いていた集団の一部が、その集団から分かれる場合などが該当する。
【0054】
図4は、グループの分離処理の一例を説明する図である。図4の(A),(B),(C)は、図3と同様に、人の移動の様子を時系列で示している。図4の(A),(B),(C)に示す検知記録は、図3と同様に、図4の(A),(B),(C)の各時系列における、人またはグループに関する情報を示す。
【0055】
図4の(A)に示すように、ID1のグループは、計測境界線A1の上に位置している。ID1のグループの人数は、図4の(A)の検知記録に示すように、3人である。直前位置は、x=0,y=12である。現在位置は、x=0,y=11である。相対位置変化は、「上」から「上」である。
【0056】
図4の(B)の破線枠A21に示すように、人が密集した場合、情報処理装置2は、密集した人をグループ化する。図4の(B)の例では、情報処理装置2は、破線枠A21に示すように、2人を1つのグループにグループ化する。
【0057】
情報処理装置2は、密集した人をグループ化すると、グループ化したグループに、IDを付与する。図4の(B)の例の場合、情報処理装置2は、図4の(B)の検知記録に示すように、破線枠A21に示すグループにID2を付与する。
【0058】
また、情報処理装置2は、図4の(B)の破線枠A22に示すように、1人と判定した人(破線枠A22に示す点群データのグループ)にもIDを付与する。図4の(B)の例の場合、情報処理装置2は、図4の(B)の検知記録に示すように、破線枠A22に示す人にID1を付与する。
【0059】
ここで、情報処理装置2は、IDを付与した人またはグループが、所定の距離内に位置し、かつ、前回の検知処理において検知されたグループから、所定の距離内に位置している場合、IDを付与した人またはグループは1つのグループから分離したと判定する。
【0060】
例えば、図4の(B)の例の場合、ID1の人と、ID2のグループとは、所定の距離内に位置している。また、ID1の人と、ID2のグループとは、前回の検知処理において検知されたグループ(図4の(B)の点線丸の1)から、所定の距離内に位置している。この場合、情報処理装置2は、ID1の人およびID2のグループは、前回の検知処理において(図4の(A)の検知処理において)、1つのグループに属し(図4の(A)の破線枠に示すID1のグループに属し)、そのグループから分離したと判定する。
【0061】
情報処理装置2は、1つのグループから人またはグループが分離したと判定した場合、図4の(B)の実線枠A23に示すように再グループ化し、前回の検知記録の情報の一部を、再グループ化したグループの現在の検知記録の情報に引き継ぐ。
【0062】
例えば、情報処理装置2は、図4の(A)の検知記録の現在位置を、図4の(B)のID1における検知記録の直前位置に引き継ぎ、図4の(A)の検知記録の現在位置を、図4の(B)のID2における検知記録の直前位置に引き継ぐ。また、情報処理装置2は、図4の(A)のID1の人数3のうちの1人を、図4の(B)のID1における人数に引き継ぎ、図4の(A)のID1の人数3のうちの2人を、図4の(B)のID2における人数に引き継ぐ。
【0063】
図4の(B)に示すように、ID1の人は、計測境界線A1の真上に位置している。ID2のグループ(重心)は、計測境界線A1の下に位置している。従って、図4の(B)の検知記録に示すID1の相対位置変化は、「上」から「中心」となっている。ID2の相対位置変化は、「上」から「下」となっている。なお、図4の(B)のID1およびID2の検知記録に示す相対位置変化の「上」は、図4の(A)の検知記録に示した相対位置変化の右側の「上」に一致する。
【0064】
相対位置変化「上」から「下」は、図3で説明したように、計測境界線A1を通過したと判定される。従って、情報処理装置2は、相対位置変化が「上」から「下」となっているID2のグループは、計測境界線A1を通過したと判定し、2をカウントする。
【0065】
図4の(C)に示すように、ID1の人は、計測境界線A1の下に位置している。ID2のグループは、計測境界線A1の下に位置している。従って、図4の(C)の検知記録に示すID1の相対位置変化は、「中心」から「下」となっている。ID2の相対位置変化は、「下」から「下」となっている。
【0066】
なお、図4の(C)のID1の検知記録に示す相対位置変化の「中心」は、図4の(B)のID1の検知記録に示した相対位置変化の「中心」に一致する。図4の(C)のID2の検知記録に示す相対位置変化の「下」は、図4の(B)のID2の検知記録に示した相対位置変化の「下」に一致する。
【0067】
相対位置変化「中心」から「下」は、図3で説明したように、計測境界線A1を通過したと判定される。従って、情報処理装置2は、相対位置変化が「中心」から「下」となっているID1のグループは、計測境界線A1を通過したと判定し、1をカウントする。
【0068】
このように、情報処理装置2は、人またはグループが1つのグループから分離したと判定した場合、分離元のグループの検知情報を、分離後の人またはグループに引き継ぐ。これにより、情報処理装置2は、計測境界線A1を通過する人数を適切にカウントできる。
【0069】
例えば、図4の(B)に示した分離した人およびグループ(ID1の人およびID2のグループ)は、検知記録の直前位置として、分離元のグループの図4の(A)の現在位置を引き継ぐ。これにより、情報処理装置2は、図4の(B)の破線枠A21に示すグループは計測境界線A1を通過し、破線枠A22に示す人は計測境界線A1を通過していないと適切に判定でき、計測境界線A1を通過する人数を適切にカウントできる。
【0070】
なお、図4の例では、1つのグループから1人の人と、1つのグループとに分離したが、これに限られない。1つのグループから、1人の人が複数に分離してもよい。1つのグループから、複数のグループが分離してもよい。
【0071】
或るグループは、別のグループと結合する場合がある。例えば、会話しながら歩いていた別々のグループが、合流する場合などが該当する。
【0072】
図5は、グループの結合処理の一例を説明する図である。図5の(A),(B),(C),(D)は、図3と同様に、人の移動の様子を時系列で示している。図5の(A),(B),(C),(D)に示す検知記録は、図3と同様に、図5の(A),(B),(C),(D)の各時系列における、人またはグループに関する情報を示す。
【0073】
図5の(A)の破線枠A31および検知記録に示すように、情報処理装置2は、1人で移動している人にID1を付与する。ID1の人の直前位置は、x=0,y=14である。ID1の人の現在位置は、x=0,y=13である。ID1の人の相対位置変化は、「上」から「上」である。
【0074】
また、図5の(A)の破線枠A32および検知記録に示すように、情報処理装置2は、2人をグループ化し、ID2を付与する。ID2のグループの直前位置は、x=0,y=13である。ID2のグループの現在位置は、x=0,y=12である。ID2のグループの相対位置変化は、「上」から「上」である。
【0075】
図5の(B)の破線枠A31に示すように、ID1の人は、計測境界線A1の手前まで移動する。ID1の人の直前位置は、図5の(A)のID1の検知記録の現在位置に一致し、x=0,y=13である。ID1の人の現在位置は、x=0,y=11である。ID1の人の相対位置変化は、「上」から「上」である。
【0076】
図5の(B)の破線枠A32に示すように、ID2のグループは、計測境界線A1の下に移動する。ID2のグループの直前位置は、図5の(A)のID2の検知記録の現在位置に一致し、x=0,y=12である。ID2のグループの現在位置は、x=0,y=9である。ID2のグループの相対位置変化は、「上」から「下」である。
【0077】
図5の(B)に示したID1の人は、図5の(C)に示すように、計測境界線A1の下に移動する。図5の(B)に示したID2のグループは、図5の(C)に示すように、計測境界線A1の下にさらに移動する。
【0078】
図5の(C)では、ID1の人と、ID2のグループとが結合している。情報処理装置2は、人またはグループが結合すると、結合したグループに1つのIDを付与する。図5の(C)の例の場合、情報処理装置2は、図5の(C)の検知記録に示すように、ID1を付与する。
【0079】
情報処理装置2は、ID1を付与したグループが、前回の検知処理において検知された複数の人またはグループから所定の距離内に位置している場合、ID1を付与したグループは結合したグループと判定する。
【0080】
例えば、図5の(C)の例の場合、ID1のグループ(図5の(C)の実線丸の1)は、前回の検知処理において検知された人(図5の(C)の下側の点線丸の1)から、所定の距離内に位置している。また、ID1のグループ(図5の(C)の実線丸の1)は、前回の検知処理において検知されたグループ(図5の(C)の下側の点線丸の2)から、所定の距離内に位置している。この場合、情報処理装置2は、図5の(C)の破線枠A33に示すグループは、結合したグループと判定する。
【0081】
情報処理装置2は、グループの結合が発生したと判定した場合、結合前の検知記録(前回の検知記録)における検知情報を引き継ぐ。
【0082】
例えば、図5の(C)の検知記録に示す人数1は、図5の(B)のID1の検知記録の人数を引き継いでいる。図5の(C)の検知記録に示す人数1における直前位置は、図5の(B)のID1の現在位置を引き継いでいる。
【0083】
また、図5の(C)の検知記録に示す人数2は、図5の(B)のID2の検知記録の人数を引き継いでいる。図5の(C)の検知記録に示す人数2における直前位置は、図5の(B)のID2の現在位置を引き継いでいる。
【0084】
なお、結合後のグループの検知記録の現在位置は、結合後のグループの位置を示す。図5の(C)の例の場合、破線枠A33に示す結合後のグループの位置は、図5の(C)の検知記録に示すように、x=0,y=8である。
【0085】
また、図5の(C)の検知記録に示す人数1における相対位置変化は、「上」から「下」である。図5の(C)の検知記録に示す人数1における相対位置変化の「上」は、図5の(B)のID1の相対位置変化の右側の「上」を引き継いでいる。
【0086】
また、図5の(C)の検知記録に示す人数2における相対位置変化は、「下」から「下」である。図5の(C)の検知記録に示す人数2における相対位置変化の左側の「下」は、図5の(B)のID2の相対位置変化の右側の「下」を引き継いでいる。
【0087】
図5の(D)に示すように、図5の(C)の検知処理において結合されたID1のグループ1は、計測境界線A1に対し、さらに下に移動する。情報処理装置2は、検知記録に含まれる相対位置変化が共通になると、検知記録の人数と位置情報とをまとめる。
【0088】
例えば、情報処理装置2は、図5の(D)に示すID1のグループの相対位置変化を、図5の(D)の検知記録に示すように、「下」から「下」で共通にする。情報処理装置2は、図5の(D)の検知記録に示すように、検知記録の人数を、直前の検知処理における人数を合計した人数「3」にする。情報処理装置2は、直前の検知処理における現在位置x=0,y=8を、図5の(D)の検知記録に示すように、共通の直前位置にする。情報処理装置2は、図5の(D)の検知記録に示すように、現在のID1のグループの位置をx=0,y=7で共通にする。
【0089】
このように、情報処理装置2は、人またはグループが結合した場合、結合する前の人またはグループの各々の検知記録の検知情報を引き継ぐ。これにより、情報処理装置2は、計測境界線A1を通過する人数を適切にカウントできる。
【0090】
例えば、情報処理装置2は、図5の(B)では、ID2の検知記録の相対位置変化「上」から「下」に基づき、破線枠A32に示すグループの人数をカウントする。情報処理装置2は、図5の(C)に示す結合したグループでは、検知記録の人数1における相対位置変化「上」から「下」に基づき、結合前の破線枠A31に対応する人のみをカウントする。情報処理装置2は、図5の(C)の結合したグループでは、結合前の破線枠A32に対応するグループの人数2における人数をカウントしない。これにより、情報処理装置2は、計測境界線A1を通過する人数を適切にカウントできる。
【0091】
なお、図5の例では、1人の人と、グループとが結合したが、これに限られない。複数の人が結合してもよいし、複数のグループが結合してもよい。
【0092】
別方向に移動するグループが密集すると、グループの位置が不明となる場合がある。例えば、或るグループは、計測境界線の上から下に向かって移動し、別のグループは、計測境界線の下から上に向かって移動する。この場合において、或るグループと別のグループとが密集すると、グループの位置が不明となる。
【0093】
図6は、方向別処理の一例を説明する図である。図6では、図6の(A),(B),(C)のそれぞれにおいて、左から右に向かって、人の移動の様子を時系列で示している。
【0094】
図6の(A)に示す破線枠A41は、2人のグループを示す。図6の(A)に示す破線枠A42は、3人のグループを示す。破線枠A41のグループは、計測境界線A1の上から下に向かって移動し、破線枠A42のグループは、計測境界線A1の下から上に向かって移動する。
【0095】
図6の(A)の時系列の中央に示すように、破線枠A41に示すグループと、破線枠A42に示すグループとが密集した場合、情報処理装置2は、これらの2つのグループを結合する。2つのグループは、別々の方向に移動する別のグループであり、情報処理装置2は、結合したグループの重心移動を適切に判定できない場合がある。
【0096】
そこで、情報処理装置2は、計測境界線A1を通過する人数のカウント処理を、人またはグループの移動方向に基づいて2つのレイヤーに分け、実行する。例えば、情報処理装置2は、計測境界線A1の上から下に向かって移動する人またはグループをカウントする第1のレイヤーと、計測境界線A1の上から下に向かって移動する人またはグループをカウントする第2のレイヤーとに分ける。情報処理装置2は、2つのレイヤーの各々において、計測境界線A1を通過する人数のカウント処理を実行する。
【0097】
図6の(B)は、第1のレイヤーにおける処理例を示している。情報処理装置2は、第1のレイヤーにおいては、計測境界線A1を上から下に向かって移動する人またはグループについて、人数のカウント処理を実行する。
【0098】
図6の(C)は、第2のレイヤーにおける処理例を示している。情報処理装置2は、第2のレイヤーにおいては、計測境界線A1を下から上に向かって移動する人またはグループについて、人数のカウント処理を実行する。
【0099】
このように、情報処理装置2は、人またはグループの移動方向に基づいて、人数カウントの処理を分ける。これにより、情報処理装置2は、計測境界線A1を通過する人数を適切にカウントできる。
【0100】
図7は、情報処理装置2およびサーバー3のブロック構成例を示した図である。図7には、レーダー装置1も示してある。図7に示すように、情報処理装置2は、設定部11と、情報補正部12と、グループ化部13と、判別部14と、検知記憶部15と、学習情報記憶部16と、判別情報学習部17と、人数推定部18と、通過判定部19と、を有する。サーバー3は、情報分析部21と、表示部22と、を有する。
【0101】
設定部11には、レーダー装置1の傾き等の設置状態およびレーダー装置1が計測する道路状態の情報が入力される。また、設定部11には、人流および車両の交通量に関する情報が、サーバー3からフィードバックされる。設定部11は、レーダー装置1の設置状態の情報、レーダー装置1が計測する道路状態の情報、およびサーバー3からフィードバックされる情報に基づいて、補正情報を生成する。設定部11は、生成した補正情報を情報補正部12に出力する。
【0102】
情報補正部12は、レーダー装置1から出力される点群データを受信する。情報補正部12は、設定部11から出力される補正情報に基づいて、受信した点群データを補正する。例えば、情報補正部12は、補正情報に基づいて、レーダー装置1が点群データを捉えにくい場所を移動する人の点群データを、明確になるように補正する。
【0103】
グループ化部13は、補正された点群データを、例えば、点群データの密集度に基づいてグループ化する。
【0104】
判別部14は、グループ化された点群データが人であるか、または、車両であるかを判別する(1次判別)。判別部14は、学習情報記憶部16に記憶されている学習情報に基づいて、グループ化された点群データが人であるか、または、車両であるかを判別する。判別部14は、グループの面積やグループ内の点群数から、グループ内の人数を推定(取得)する。判別部14は、1次判別結果を検知記憶部15に記憶する。
【0105】
グループ化部13は、検知記憶部15に記憶された1次判別結果および後述する2次判別結果に基づいて、グループ化された点群データを再グループ化する。例えば、グループ化部13は、図4の(B)で説明した再グループ化処理を実行する
【0106】
判別部14は、再グループ化されたグループにおいて、人であるか、または、車両であるかを判別する(2次判別)。判別部14は、学習情報記憶部16に記憶されている学習情報に基づいて、2次判別を行う。判別部14は、2次判別結果を検知記憶部15に記憶する。
【0107】
検知記憶部15には、判別部14の1次判別結果および2次判別結果が記憶される。1次判別結果および2次判別結果には、検知記録(ID、人数、直前位置、現在位置、および相対位置変化)が含まれる。
【0108】
学習情報記憶部16は、下記の判別情報学習部17が学習した学習情報を記憶する。
【0109】
判別情報学習部17は、人、車両、および人の再グループ化の判別に必要な面積、速度、および隙間量等の情報を事前に学習し、学習情報を生成する。生成した学習情報は、学習情報記憶部16に記憶される。
【0110】
人数推定部18は、判別部14の2次判別結果に基づいて、再グループ化されたグループの人数および分離されたグループの人数を推定(決定)する。
【0111】
通過判定部19は、検知記録の相対位置変化に基づいて、計測境界線A1に対する人および車両の通過を判定する。通過判定部19は、計測境界線A1に対する人および車両の通過を判定すると、計測境界線A1を通過する人および車両の数をカウントする。通過判定部19は、計測境界線A1を通過する再グループ化されたグループにおいては、人数推定部18が推定した人数を用いてカウントする。通過判定部19は、カウントした人および車両の数をサーバー3に送信する。
【0112】
サーバー3の情報分析部21は、情報処理装置2から送信される人および車両の数を分析する。例えば、情報分析部21は、計測境界線A1を通過した人および車両の単位時間当たりの累積数を算出する。
【0113】
表示部22は、情報分析部21の分析結果を表示装置に表示する。
【0114】
図7に示す検知記憶部15および学習情報記憶部16は、メモリによって構成されてもよい。図7に示すその他のブロックは、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサによって、その機能が実現されてもよい。プロセッサは、メモリに記憶されているプログラムを実行し、図7に示すその他のブロックの機能を実現する。
【0115】
グループ化部13は、第1の方向から計測境界線A1に向かって移動する人のグループ化処理と、第1の方向とは反対の第2の方向から計測境界線A1に向かって移動する人のグループ化処理と、を別々に実行してもよい。通過判定部19は、第1の方向から計測境界線A1に向かって移動する人のカウント処理と、第2の方向から計測境界線A1に向かって移動する人のカウント処理と、を別々に実行してもよい。
【0116】
情報処理装置2のブロック構成は、図7の例に限られない。例えば、グループ化部13は、判別部14の機能を有してもよい。グループ化部13は、判別部14および人数推定部18の機能を有してもよい。
【0117】
図8Aおよび図8Bは、情報処理装置2の処理の一例を示したフローチャートである。情報処理装置2は、図8Aおよび図8Bに示すフローチャートを周期的に繰り返し実行する。情報処理装置2は、第1のレイヤー処理と、第2のレイヤー処理とのそれぞれにおいて、独立して図8Aおよび図8Bに示すフローチャートを実行してもよい。
【0118】
情報処理装置2は、レーダー装置1の設置状態の情報、レーダー装置1が計測する道路状態の情報、およびサーバー3からフィードバックされる情報に基づいて、補正情報を生成する(S1)。
【0119】
情報処理装置2は、レーダー装置1から点群データを受信する(S2)。
【0120】
情報処理装置2は、S1にて生成した補正情報に基づいて、S2にて受信した点群データを補正する(S3)。
【0121】
情報処理装置2は、S3にて補正した点群データを、例えば、点群データの密集度に基づいてグループ化する(S4)。
【0122】
情報処理装置2は、学習情報に基づいて、グループ化した点群データが、人であるかまたは車両であるかを1次判別する(S5)。
【0123】
情報処理装置2は、或るグループに対し、近距離(所定の距離内)において、他のグループが存在するか判定する(S6)。
【0124】
情報処理装置2は、或るグループに対し、所定の距離内において、他のグループが存在しないと判定した場合(S6の「別グループ存在なし」)、処理をS8に移行する。
【0125】
一方、情報処理装置2は、或るグループに対し、所定の距離内において、他のグループが存在すると判定した場合(S6の「別グループ存在あり」)、或るグループと他のグループとを再グループ化する(S7)。
【0126】
情報処理装置2は、検知記憶部15から検知記録を取得する(S8)。なお、取得した検知記録は、位置情報や人数の引き継ぎがされている。
【0127】
情報処理装置2は、S8にて取得した検知記録および学習情報に基づいて、グループ化したグループおよび再グループ化したグループの2次判別を行う(S9)。情報処理装置2は、2次判別したグループが車両であると判別した場合(S9の「車両」)、処理をS13に移行する。
【0128】
一方、情報処理装置2は、2次判別したグループが人であると判別した場合(S9の「人」)、そのグループが再グループ化されたグループであるか否か判定する(S10)。
【0129】
情報処理装置2は、S10にて、グループが再グループ化されたグループであると判定した場合(S10の再グループ化対象)、人数の引き継ぎ処理を行う(S11)。例えば、図4の(B)で説明したように、分離する直前のグループの検知記録の人数を、分離したグループに割り振り、現在の検知記録に引き継ぐ。
【0130】
情報処理装置2は、S10にて、グループが再グループ化されたグループでないと判定した場合(S10の再グループ化非対象)、再グループ化非対象の人数を推定する(S12)。
【0131】
情報処理装置2は、検知記録を検知記憶部15に記憶する(S13)。検知記録には、S11で割り振った人数およびS12で推定した人数が含まれる。
【0132】
情報処理装置2は、人および車両の計測境界線A1の通過を判定する(S14)。情報処理装置2は、人および車両の計測境界線A1の通過がないと判定した場合(S14の通過なし)、当該フローチャートの処理を終了する。
【0133】
一方、情報処理装置2は、人および車両の計測境界線A1の通過があると判定した場合、計測境界線A1を通過した人の人数および車両の台数をカウントする(S15)。
【0134】
情報処理装置2は、S15にてカウントした人の人数および車両の台数をサーバー3に送信する(S16)。そして、情報処理装置2は、当該フローチャートの処理を終了する。
【0135】
以上説明したように、情報処理装置2は、通路に向けて電波を発するレーダー装置1が計測した点群データをグループ化し、グループに含まれる人の数をグループに紐付けるグループ化部13と、通路上に設定された計測境界線A1を通過したグループに紐付けられた人の数をカウントする通過判定部19と、を有する。これにより、情報処理装置2は、通路上に設定された計測境界線を通過した人の数を、電波を用いて簡易かつ適切にカウントできる。
【0136】
例えば、情報処理装置2は、レーダー装置1が、明るさに依らない電波を用いて計測した点群データに基づいて、通路を移動する人を判別する。情報処理装置2は、密集した人を個別に追跡せず、グループとして追跡する。そして、情報処理装置2は、計測境界線A1をグループが通過した場合、計測境界線A1を通過した人の数として、グループに紐付けられた人の数をカウントする。これにより、情報処理装置2は、計測境界線A1を通過した人の数を、電波を用いて簡易かつ適切にカウントできる。
【0137】
上記では、情報処理装置2は、人をグループ化し、カウントするとしたが、これに限られない。情報処理装置2は、車両等、何らかの物体をグループ化し、カウントしてもよい。
【0138】
また、上記では、情報処理装置2は、人および車両をカウントするとしたが、これに限られない。情報処理装置2は、人および車両のいずか一方をカウントしてもよい。
【0139】
また、カウントシステムのカウント対象は、道路上の通行量に限られない。カウントシステムは、例えば、倉庫内の所定の通路における人の通行量をカウントしてもよい。そして、カウントシステムは、倉庫内の人流等を分析してもよい。
【0140】
上述の実施の形態においては、各構成要素に用いる「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0141】
以上、図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかである。そのような変更例または修正例についても、本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態における各構成要素は任意に組み合わされてよい。
【0142】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0143】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0144】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本開示は、道路等の通路を通過する人および車両をカウントする情報処理装置に有用である。
【符号の説明】
【0146】
1 レーダー装置
2 情報処理装置
3 サーバー
4 ネットワーク
11 設定部
12 情報補正部
13 グループ化部
14 判別部
15 検知記憶部
16 学習情報記憶部
17 判別情報学習部
18 人数推定部
19 通過判定部
21 情報分析部
22 表示部
A1 計測境界線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B