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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-23
(45)【発行日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ノズル及びコンデンサの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/02 20060101AFI20240524BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20240524BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20240524BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20240524BHJP
【FI】
B05B1/02 102
H01G9/00 290Z
H01G11/84
H01G13/00 371Z
H01G13/00 381
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019239864
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107067
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤山 輝己
(72)【発明者】
【氏名】千々松 誠
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-125216(JP,A)
【文献】特開平08-007888(JP,A)
【文献】特開昭63-021815(JP,A)
【文献】特開昭62-163757(JP,A)
【文献】登録実用新案第3219890(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/02
H01G 9/00
H01G 11/84
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に液体を注入するノズルであって、
前記ノズルは、
開口部と、
前記開口部から所定方向に窪んだ窪みと、
前記窪みの内面に形成されており、前記開口部に対して前記所定方向に並んでいる、前記液体の吐出口と、
前記吐出口により開放されており、前記吐出口から前記所定方向に長さを有し、前記液体が流れる流路と、を有し、
前記窪みの前記内面は、前記所定方向と90度未満の角度で交差するテーパ面を含み、
前記所定方向に沿った断面において、前記窪みのうち前記テーパ面が設けられた領域の幅は、前記吐出口から前記開口部に近づくほど大きく、
前記テーパ面は、前記断面における形状が曲線である曲面部を含み、
前記容器は、コンデンサのパッケージであり、
前記液体は、前記パッケージに注入される用途を有する物質である、
ノズル。
【請求項2】
前記所定方向から見て、前記吐出口は、前記開口部の中心を含む、
請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記所定方向から見て、前記吐出口の形状は、前記開口部の形状と相似である、
請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記ノズルは、前記吐出口の下に前記開口部が配置される向きで使用され、前記吐出口から、前記開口部の下に位置する前記容器に、少なくとも重力により、前記液体を落とす、
請求項1~3のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項5】
前記テーパ面は、前記断面における形状が直線状である線形テーパ面を含み、
前記断面において、前記所定方向に延びる直線と前記線形テーパ面とがなす鋭角は、45度以上80度以下である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項6】
凹球面を、中空の球の内面と定義し、
前記曲面部の形状は、前記吐出口から見て前記開口部側の位置であって前記所定方向において前記吐出口と対向する位置に曲率中心を有する凹球面状である、
請求項1~5のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項7】
前記窪みの前記内面は、前記吐出口に隣り合っており前記所定方向から見て前記吐出口を囲む包囲部を含み、
前記包囲部は、前記テーパ面の少なくとも一部を含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項8】
前記包囲部は、回転面であり、
前記回転面の回転軸は、前記吐出口の中心を通り前記所定方向に延びる直線である、
請求項7に記載のノズル。
【請求項9】
前記開口部の周縁に、前記所定方向と直交する平坦面を含む、
請求項1~8のいずれか一項に記載のノズル。
【請求項10】
容器に液体を注入するノズルであって、
前記ノズルは、
開口部と、
前記開口部から所定方向に窪んだ窪みと、
前記窪みの内面に形成されており、前記開口部に対して前記所定方向に並んでいる、前記液体の吐出口と、
前記吐出口により開放されており、前記吐出口から前記所定方向に長さを有し、前記液体が流れる流路と、を有し、
前記窪みは、前記所定方向としての第1方向と直交する第2方向に前記ノズルを貫通している、
ノズル。
【請求項11】
前記窪みは、前記第2方向に前記ノズルを貫通し、かつ、前記第1方向と直交する平面上において前記第2方向と交差する第3方向に前記ノズルを貫通している、
請求項10に記載のノズル。
【請求項12】
前記容器は、コンデンサのパッケージであり、
前記液体は、前記パッケージに注入される用途を有する物質である、
請求項10又は11に記載のノズル。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載のノズルを用いて前記パッケージに前記液体を注入する工程を有する、
コンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般にノズル及びコンデンサの製造方法に関し、より詳細には、容器に液体を注入するノズル及びこのノズルを用いてなされるコンデンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の滴下ノズル(ノズル)は、ノズル孔が内部に形成された筒壁を備えている。筒壁の下端位置において入口部が開口し、筒壁の上端位置において出口部が開口している。ノズル孔は、ノズル孔の内径が入口部において急激に細径化されて入口部の開口径が最小になるように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-213350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の滴下ノズル(ノズル)において、出口部(吐出口)から吐出される液体の一部である水滴が、ターゲット(例えば、液体が注入される容器)の周囲に飛散する可能性があり、これを抑制することが求められている。
【0005】
本開示は、水滴が容器の周囲に飛散する可能性を低減できるノズル及びコンデンサの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るノズルは、容器に液体を注入する。ノズルは、開口部と、窪みと、吐出口と、流路と、を有する。前記窪みは、前記開口部から所定方向に窪んだ部位である。前記吐出口は、前記液体の吐出口である。前記吐出口は、前記窪みの内面に形成されている。前記吐出口は、前記開口部に対して前記所定方向に並んでいる。前記流路は、前記吐出口により開放されている。前記流路は、前記吐出口から前記所定方向に長さを有する。前記流路には、前記液体が流れる。前記窪みの前記内面は、前記所定方向と90度未満の角度で交差するテーパ面を含む。前記所定方向に沿った断面において、前記窪みのうち前記テーパ面が設けられた領域の幅は、前記吐出口から前記開口部に近づくほど大きい。前記テーパ面は、前記断面における形状が曲線である曲面部を含む。前記容器は、コンデンサのパッケージである。前記液体は、前記パッケージに注入される用途を有する物質である。
本開示の別の一態様に係るノズルは、容器に液体を注入する。ノズルは、開口部と、窪みと、吐出口と、流路と、を有する。前記窪みは、前記開口部から所定方向に窪んだ部位である。前記吐出口は、前記液体の吐出口である。前記吐出口は、前記窪みの内面に形成されている。前記吐出口は、前記開口部に対して前記所定方向に並んでいる。前記流路は、前記吐出口により開放されている。前記流路は、前記吐出口から前記所定方向に長さを有する。前記流路には、前記液体が流れる。前記窪みは、前記所定方向としての第1方向と直交する第2方向に前記ノズルを貫通している。
【0007】
本開示の一態様に係るコンデンサの製造方法において、前記容器は、コンデンサのパッケージである。前記液体は、前記パッケージに注入される用途を有する物質である。前記コンデンサの製造方法は、前記ノズルを用いて前記パッケージに前記液体を注入する工程を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、水滴が容器の周囲に飛散する可能性を低減できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、実施形態1に係るノズルの側断面図である。図1Bは、同上のノズルの下面図である。
図2図2A図2Cは、同上のノズルの使用例を説明する側断面図である。
図3図3A図3Bは、比較例に係るノズルの側断面図である。
図4図4は、実施形態2に係るノズルの側断面図である。
図5図5は、実施形態3に係るノズルの側断面図である。
図6図6は、実施形態4に係るノズルの側断面図である。
図7図7は、実施形態5に係るノズルの側断面図である。
図8図8は、実施形態6に係るノズルの斜視図である。
図9図9Aは、同上のノズルの正断面図である。図9Bは、同上のノズルの側断面図である。
図10図10は、実施形態7に係るノズルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下、実施形態1に係るノズル1及びコンデンサの製造方法について、図面を用いて説明する。ただし、下記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。下記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(1)構成
本実施形態のノズル1は、容器9(図2A参照)に液体L1(図2Aの網掛け部分)を注入する。図1Aに示すように、ノズル1は、開口部2と、窪み3と、吐出口4と、流路5と、を有する。窪み3は、開口部2から所定方向(第1方向D1)に窪んだ部位である。吐出口4は、液体L1(図2A参照)の吐出口4である。吐出口4は、窪み3の内面F1に形成されている。吐出口4は、開口部2に対して所定方向(第1方向D1)に並んでいる。流路5は、吐出口4により開放されている。流路5は、吐出口4から所定方向(第1方向D1)に長さを有する。流路5には、液体L1が流れる。
【0012】
ノズル1の吐出口4から液体L1が吐き出される工程で、窪み3の内部には、表面張力により吐出口4に留まる水滴L10(図2B参照)が存在することがある。本実施形態によれば、この水滴L10が所定方向(第1方向D1)と直交する方向へ移動することは、窪み3により制限される。そのため、吐出口4から移動して開口部2から出る水滴L10の移動方向を、所定方向(第1方向D1)とは反対方向に制限できる可能性が高まる。よって、開口部2から出る水滴L10が容器9の周囲に飛散する可能性を低減できる。
【0013】
以下、ノズル1の構成についてより詳細に説明する。
【0014】
ノズル1は、例えば、PTFE(polytetrafluoroethylene)を材料として形成されている。ノズル1の外形形状は、円錐台状である。流路5は、ノズル1をノズル1の高さ方向(上底と下底との対向方向)に貫通している。これにより、ノズル1は、筒状に形成されている。流路5の第1端には、吐出口4が形成されており、流路5の第2端には、入口部が形成されている。入口部は、開口部である。すなわち、流路5の第1端は、吐出口4により開放されており、流路5の第2端は、入口部により開放されている。液体L1は、入口部から流路5に入り、吐出口4から出る。
【0015】
流路5は、吐出口4から第1方向D1に長さを有している。言い換えると、流路5のうち、少なくとも吐出口4と連続している領域は、第1方向D1に長さを有している。そのため、液体L1は、吐出口4から第1方向D1とは反対方向に吐出される。本実施形態の流路5は、第1方向D1に沿った直線状に形成されている。ノズル1の高さ方向は、第1方向D1に沿っている。
【0016】
ノズル1は、吐出口4の下に開口部2が配置される向きで使用される。すなわち、第1方向D1は、重力方向(下方向)とは反対方向(上方向)に沿っている。このとき、吐出口4は、上記入口部の下に配置される。ノズル1は、吐出口4から、開口部2の下に位置する容器9に、少なくとも重力により、液体L1を落とす(図2A参照)。また、ノズル1は、液体L1を駆動する駆動機構と共に用いられてもよい。駆動機構は、例えば、ポンプである。駆動機構は、液体L1に運動エネルギーを与える。これにより、液体L1は、流路5を経由して吐出口4から容器9へ吐出される。
【0017】
ノズル1は、第1方向D1とは反対方向における先端部(下端部)に、開口部2を有している。ノズル1は、窪み3を有している。窪み3は、開口部2から第1方向D1に窪んだ部位である。つまり、窪み3は、開口部2から上向きに窪んだ部位である。ノズル1は、窪み3の内面F1に、吐出口4を有している。吐出口4は、開口部2の上に位置している。図1Bに示すように、吐出口4及び開口部2の各々の形状は、第1方向D1から見て円状である。吐出口4の面積は、開口部2の面積よりも小さい。吐出口4の直径の一例は、0.8~0.9mmである。開口部2の直径の一例は、1.2mm~3.5mmである。
【0018】
図1Bに示すように、第1方向D1から見て、吐出口4は、開口部2の中心C2を含む。第1方向D1から見て、開口部2の中心C2は、吐出口4の中心C4と一致している。さらに、第1方向D1から見て、吐出口4の形状は、開口部2の形状と相似である。つまり、第1方向D1から見て、開口部2は吐出口4と同心円状である。
【0019】
ノズル1は、開口部2の周縁に、平坦面60を含む。平坦面60は、第1方向D1と直交する。平坦面60は、ノズル1の下面である。第1方向D1から見て、平坦面60の形状は円環状である。
【0020】
図1Aに示すように、窪み3の内面F1は、テーパ面F11を含む。本実施形態では、窪み3の内面F1の全体が、テーパ面F11である。テーパ面F11は、第1方向D1と90度未満の角度で交差する。第1方向D1に沿った断面(例えば、図1Aに示す断面)において、窪み3のうちテーパ面F11が設けられた領域の幅は、吐出口4から開口部2に近づくほど大きい。言い換えると、上下方向に沿った断面において、窪み3のうちテーパ面F11が設けられた領域の幅は、下に行くほど大きい。つまり、窪み3のうちテーパ面F11が設けられた領域の内径は、下に行くほど大きい。ここで言う窪み3の幅は、第2方向D2及びその反対方向における幅である。第2方向D2は、上下方向に沿った断面上において第1方向D1(上方向)と直交する。本開示において、「直交」とは、厳密に90度の角度で交差する場合だけに限定されない。「直交」とは、例えば、85度以上95度以下の角度で交差する場合を含み得る。
【0021】
テーパ面F11は、第1方向D1に沿った断面(例えば、図1Aに示す断面)における形状が曲線である曲面部を含む。本実施形態では、テーパ面F11の全体が曲面部である。曲面部の形状は、次の位置に曲率中心C1(中心)を有する凹球面状である(ただし、凹球面を、中空の球の内面と定義する)。曲率中心C1の位置は、吐出口4から見て開口部2側の位置であって第1方向D1において吐出口4と対向する位置である。本実施形態では、第1方向D1から見て、曲率中心C1は、吐出口4の中心C4と重なっている。本開示において、「凹球面状」とは、凹球面と、凹球面に類似した形状(例えば、中空の楕円体の内面及び放物面)と、を含む概念である。
【0022】
また、窪み3の内面F1は、包囲部F31(図1B参照)を含む。包囲部F31は、吐出口4に隣り合っている。包囲部F31は、第1方向D1から見て吐出口4を囲む。包囲部F31は、テーパ面F11の少なくとも一部を含む。つまり、窪み3の内面F1のうち吐出口4に隣り合い吐出口4を囲む領域(包囲部F31)の形状は、テーパ状である。包囲部F31は、回転面である。回転面(包囲部F31)の回転軸は、吐出口4の中心C4を通り第1方向D1に延びる直線SL1である。本実施形態では、内面F1(テーパ面F11)の全体が回転面である。
【0023】
(2)使用例
次に、図2A図2Cを参照して、ノズル1の使用例を説明する。ノズル1は、容器9に液体L1を注入する用途で使用される。ここでは、一例として、次の場合について説明する。すなわち、ここでは、容器9はコンデンサのパッケージであり、液体L1は、パッケージに注入される用途を有する物質である。液体L1は、例えば、電解液である。
【0024】
一態様に係るコンデンサの製造方法は、ノズル1を用いてパッケージ(容器9)に液体L1を注入する工程(図2A参照)を有する。すなわち、この工程では、吐出口4から吐き出された液体L1を、パッケージ(容器9)に注入する。1つの容器9への液体L1の注入を開始してから、この容器9への液体L1の注入を終了するまでに要する時間は、例えば、数十ミリ秒~数百ミリ秒である。1つの容器9への液体L1の注入を開始してから、次の容器9への液体L1の注入を開始するまでに要する時間は、例えば、数百ミリ秒~数秒である。
【0025】
容器9の形状は、例えば、有底円筒状である。容器9は、容器9の開口部90が上に向けられた状態にされる。容器9は、ノズル1の下に配置される。そして、ノズル1の吐出口4から吐き出された液体L1が、開口部90を通して容器9の内部へ落ちる(図2A参照)。
【0026】
ノズル1の流路5への液体L1の供給が途絶えると、液体L1の表面張力と重力とが釣り合うことにより、図2Bに示すように、液体L1が吐出口4から落ちることが抑制される。つまり、液体L1のうち先端(下端)の部分が、ノズル1の下端に留まる。液体L1のうち先端(下端)の部分は、図2Bに示すように、球状の水滴L10になる場合がある。
【0027】
ここで、図3A図3Bに、比較例に係るノズル1Pを図示する。ノズル1Pは、開口部2及び窪み3を有していない。ノズル1Pは、吐出口4及び流路5を有している。吐出口4は、ノズル1Pの下面である平坦面60の中心に形成されている。
【0028】
図3Aに示すように、ノズル1Pでは、液体L1の先端(下端)に生じた水滴L10が、上下方向と直交する方向(水平方向)に偏って位置することがある。つまり、水滴L10の中心が吐出口4の中心C4に対してずれることがある。図3Aでは、平坦面60のうち吐出口4よりも右側の領域と水滴L10との接触面積が、平坦面60のうち吐出口4よりも左側の領域と水滴L10との接触面積と比較して大きい。すると、吐出口4の右側と左側とで、水滴L10と平坦面60との間に生じる表面張力に違いが生じる。すなわち、表面張力のうち、水滴L10を右側へ移動させる向きの成分が、水滴L10を左側へ移動させる向きの成分よりも大きくなる。すると、水滴L10が吐出口4から垂れ落ちるとき、図3Bに示すように、水滴L10は右側に引っ張られるように垂れ落ちる。そのため、水滴L10が容器9の周囲に飛散する可能性がある。
【0029】
これに対して、本実施形態のノズル1(図2B参照)では、水滴L10が第1方向D1と直交する方向へ移動することは、窪み3により制限される。つまり、水滴L10の中心が吐出口4の中心C4に対してずれにくい。そのため、水滴L10に作用する表面張力の大きさが一部の方向に偏る可能性が低減される。よって、水滴L10が吐出口4から垂れ落ちた場合であっても(図2C参照)、水滴L10が第1方向D1に対して斜め向きには落ちにくいので、開口部2から出る水滴L10が容器9の周囲に飛散する可能性を低減できる。つまり、水滴L10を容器9の中に落とすことができる可能性が高まる。
【0030】
特に、液体L1の粘度が比較的大きい場合(例えば、液体L1の粘度が水の粘度と比較して大きい場合)には、流路5への液体L1の供給が途絶えたときに、液体L1のうち吐出口4の下へ落ちた部分により、液体L1のうち流路5内の部分が吐出口4の外へ引っ張られやすい。そのため、吐出口4に水滴L10が生じやすい。しかし、本実施形態のノズル1を用いることにより、水滴L10が容器9の周囲に飛散する可能性を低減できる。よって、液体L1の粘度の大小に依らず、水滴L10が容器9の周囲に飛散する可能性を低減しつつ、液体L1をノズル1から吐出する工程を実行することができる。粘度が比較的大きい液体L1としては、グリコール系溶媒としてアルキレングリコール系水溶液(例えばエチレングリコール系水溶液、プロピレングリコール系水溶液)及びポリアルキレングリコール系水溶液(例えばポリエチレングリコール系水溶液)、グリセリン系水溶液、又はポリグリセリン系水溶液等が挙げられる。粘度が比較的大きい液体L1の粘度は、液体L1の温度が20度のときに、例えば、100[mPa・s]以上であり、更には150[mPa・s]以上である。
【0031】
また、窪み3の内面F1はテーパ面F11を含むので、テーパ面F11が無い場合と比較して、吐出口4に留まる水滴L10と窪み3の内面F1(テーパ面F11)との接触面積を大きくすることができる。そのため、水滴L10が吐出口4から垂れ落ちる可能性を低減できる。例えば、ノズル1が振動する場合であっても、水滴L10が吐出口4から垂れ落ちる可能性を低減できる。しかも、テーパ面F11の形状は凹球面状なので、テーパ面F11の形状が例えば中空の円錐台の内側面に相当する形状である場合と比較して、水滴L10とテーパ面F11との接触面積を大きくすることができる。
【0032】
(実施形態1の変形例)
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。また、以下の変形例は、実施形態1以外の実施形態に適用されてもよい。実施形態1以外の実施形態については、後述する。
【0033】
ノズル1の使用方向は、吐出口4の下に開口部2が配置される向きに限定されない。例えば、ノズル1の使用方向は、吐出口4の下に開口部2が配置される向きに対して斜め方向であってもよい。
【0034】
第1方向D1から見た開口部2及び吐出口4の形状は、円状に限定されず、例えば、楕円状又は多角形状であってもよい。
【0035】
ノズル1は、平坦面60を含んでいなくてもよい。つまり、ノズル1の径方向における平坦面60の幅が0又は略0であってもよい。
【0036】
ノズル1は、整流器を備えていてもよい。整流器は、開口部2又は吐出口4に配置される。整流器は、液体L1の吐出方向を調整して下方向(第1方向D1とは反対方向)にする部材である。整流器の形状は、例えば、第1方向D1に高さ(軸線)を有する筒状であって、第1方向D1から見た整流器の形状は、星形である。整流器は、例えば、開口部2(又は吐出口4)に内接するように配置される。
【0037】
ノズル1のうち、流路5を含む第1部位と、窪み3を含む第2部位とが、別々に形成された後に互いに取り付けられていてもよい。すなわち、第2部位は、第1部位に取り付けられるアタッチメントであってもよい。また、第1部位と第2部位とが互いに着脱可能に構成されていてもよい。また、第2部位の窪み3の内面F1を、第1部位の流路5の内面よりも撥水性が高い材料により形成してもよい。
【0038】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係るノズル1Aについて、図4を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
ノズル1Aでは、窪み3の内面F1の形状が、実施形態1と相違する。内面F1は、テーパ面F12を含む。本実施形態では、窪み3の内面F1の全体が、テーパ面F12である。
【0040】
テーパ面F12は、実施形態1のテーパ面F11と同様の次の特徴を有する。すなわち、テーパ面F12は、第1方向D1と90度未満の角度で交差する。第1方向D1に沿った断面(例えば、図4に示す断面)において、窪み3のうちテーパ面F12が設けられた領域の幅は、吐出口4から開口部2に近づくほど大きい。テーパ面F12は、回転面である。回転面(テーパ面F12)の回転軸は、吐出口4の中心C4を通り第1方向D1に延びる直線SL1である。
【0041】
また、テーパ面F12は、実施形態1のテーパ面F11と異なる次の特徴を有する。すなわち、テーパ面F12は、線形テーパ面を含む。本実施形態では、テーパ面F12の全体が、線形テーパ面である。第1方向D1に沿った断面における線形テーパ面の形状は、直線状である。第1方向D1に沿った断面において、第1方向D1に延びる直線SL2と線形テーパ面とがなす鋭角θ1は、45度以上80度以下である。本実施形態では、鋭角θ1は、50~60度程度である。また、テーパ面F12の形状は、中空の円錐台の内側面に相当する形状である。
【0042】
窪み3の内面F1はテーパ面F12を含むので、テーパ面F12が無い場合と比較して、吐出口4に留まる水滴L10と窪み3の内面F1(テーパ面F12)との接触面積を大きくすることができる。そのため、本実施形態でも、実施形態1と同様に、水滴L10が吐出口4から垂れ落ちる可能性を低減できる。
【0043】
また、鋭角θ1が45度以上なので、鋭角θ1が45度未満の場合と比較して、水滴L10が第1方向D1と直交する方向へ移動する可能性を低減できる。また、鋭角θ1が80度以下なので、鋭角θ1が80度よりも大きい場合と比較して、水滴L10とテーパ面F12との間に生じる表面張力が大きくなるので、水滴L10が吐出口4から垂れ落ちる可能性を低減できる。
【0044】
(実施形態3)
以下、実施形態3に係るノズル1Bについて、図5を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
ノズル1Bでは、窪み3の内面F1の形状が、実施形態1と相違する。内面F1は、テーパ面F13を含む。本実施形態では、窪み3の内面F1の全体が、テーパ面F13である。
【0046】
テーパ面F13は、実施形態1のテーパ面F11と同様の次の特徴を有する。すなわち、テーパ面F13は、第1方向D1と90度未満の角度で交差する。第1方向D1に沿った断面(例えば、図5に示す断面)において、窪み3のうちテーパ面F13が設けられた領域の幅は、吐出口4から開口部2に近づくほど大きい。窪み3のテーパ面F13は、第1方向D1に沿った断面における形状が曲線である曲面部を含む。本実施形態では、テーパ面F13の全体が、曲面部である。上記曲線は、円弧である。テーパ面F13は、回転面である。回転面(テーパ面F13)の回転軸は、吐出口4の中心C4を通り第1方向D1に延びる直線SL1である。
【0047】
また、テーパ面F13は、実施形態1のテーパ面F11と異なる次の特徴を有する。すなわち、第1方向D1に沿った断面において、曲面部を形成する曲線の曲率中心C1(中心)の位置は、第1方向D1から見て流路5の外側である。曲面部は、上記曲線を回転させて形成される回転面である。上記回転面の回転軸は、吐出口4の中心C4を通り第1方向D1に延びる直線SL1である。
【0048】
本実施形態でも、実施形態1と同様に、テーパ面F12が無い場合と比較して、水滴L10が吐出口4から垂れ落ちる可能性を低減できる。
【0049】
(実施形態4)
以下、実施形態4に係るノズル1Cについて、図6を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0050】
ノズル1Cでは、窪み3の内面F1の形状が、実施形態1と相違する。内面F1は、平面部F14を含む。平面部F14は、第1方向D1と直交する。平面部F14は、吐出口4を囲んでいる。つまり、第1方向D1から見て、平面部F14の形状は円環状であり、平面部F14の内側に吐出口4が形成されている。
【0051】
内面F1は、壁面F15を更に含む。壁面F15の形状は、筒(円筒)の内面に相当する形状である。壁面F15は、平面部F14の外縁から下へ延びている。壁面F15に囲まれた空間の上端には、平面部F14及び吐出口4が設けられており、下端には、開口部2が設けられている。
【0052】
また、窪み3の内面F1は、包囲部F32を含む。包囲部F32は、吐出口4に隣り合っている。包囲部F32は、第1方向D1から見て吐出口4を囲む。包囲部F32は、平面部F14の少なくとも一部を含む。つまり、窪み3の内面F1のうち吐出口4に隣り合い吐出口4を囲む領域(包囲部F32)の形状は、平面状である。
【0053】
吐出口4に留まった水滴L10が第1方向D1と直交する方向へ移動することは、窪み3(壁面F15)により制限される。つまり、水滴L10の中心が吐出口4の中心C4からずれにくい。そのため、水滴L10に作用する表面張力の大きさが一部の方向に偏る可能性が低減される。よって、本実施形態でも、実施形態1と同様に、開口部2から出る水滴L10が容器9の周囲に飛散する可能性を低減できる。
【0054】
(実施形態5)
以下、実施形態5に係るノズル1Dについて、図7を用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0055】
ノズル1Dでは、窪み3の内面F1の形状が、実施形態1と相違する。内面F1は、実施形態1のテーパ面F11と、実施形態2のテーパ面F12と、をつないだ形状を有している。すなわち、内面F1は、テーパ面F11と、テーパ面F12と、を含む。テーパ面F11の形状は、凹球面状である。テーパ面F12の形状は、中空の円錐台の内側面に相当する形状である。吐出口4に隣接して、テーパ面F12が設けられている。テーパ面F12の下に、テーパ面F11が設けられている。テーパ面F12の下端は、テーパ面F11の上端につながっている。テーパ面F11の下端には、開口部2が設けられている。
【0056】
本実施形態でも、実施形態1と同様に、テーパ面F11、F12のいずれも存在しない場合と比較して、水滴L10が吐出口4から垂れ落ちる可能性を低減できる。
【0057】
(実施形態5の変形例)
以下、実施形態5の変形例を列挙する。ここで、実施形態5においてテーパ面F12が設けられている領域を、第1領域と称し、テーパ面F11が設けられている領域を、第2領域と称す。つまり、吐出口4に隣接する領域が第1領域であり、第1領域の下の領域が第2領域である。
【0058】
第1領域には、テーパ面F11~F13のいずれか1つが設けられ、第2領域には、テーパ面F11~F13、平面部F14及び壁面F15のいずれか1つが設けられていてもよい。
【0059】
あるいは、第1領域には、平面部F14が設けられ、第2領域には、テーパ面F11~F13のいずれか1つが設けられていてもよい。
【0060】
また、以上では、窪み3の内面F1が、テーパ面F11~F13、平面部F14及び壁面F15の中から選ばれる2つの面の組み合わせからなる例を説明したが、内面F1が、3つ以上の面の組み合わせからなっていてもよい。すなわち、第2領域の下に、テーパ面F11~F13、平面部F14及び壁面F15の中から選ばれる2つ以上の面が設けられていてもよい。なお、内面F1は、同様の形状の面を複数含んでいてもよい。例えば、内面F1は、テーパ面F11を複数含んでいてもよい。
【0061】
また、テーパ面F11~F13、平面部F14及び壁面F15は、窪み3の内面F1の少なくとも一部の形状の一例に過ぎず、内面F1は、これら以外の形状の面を含んでいてもよい。
【0062】
(実施形態6)
以下、実施形態6に係るノズル1Eについて、図8図9Bを用いて説明する。実施形態1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
ノズル1Eでは、窪み3の形状が、実施形態1と相違する。窪み3の形状は、ノズル1Eの平坦面60(下面)に形成された溝状である。窪み3の内部空間の形状は、直方体状である。すなわち、窪み3の内面F1は、底面F16と、2つの側面F17と、を含む。底面F16は、第1方向D1と直交する平面状である。底面F16には、吐出口4が形成されている。2つの側面F17は、第1方向D1に沿った面であり、底面F16と平坦面60とをつないでいる。
【0064】
ここで、第1方向D1及び第2方向D2の両方と直交する方向を、第3方向D3とする。第2方向D2における窪み3の長さは、第3方向D3における窪み3の長さよりも長い。窪み3は、第2方向D2にノズル1Eを貫通している。さらに、窪み3は、第2方向D2とは反対方向にノズル1Eを貫通している。すなわち、窪み3は、第2方向D2におけるノズル1Eの両端間に亘って形成されており、ノズル1Eは、第2方向D2の端及びその反対方向の端にそれぞれ、貫通部301を有している。貫通部301は、ノズル1Eの側面101に設けられた孔である。
【0065】
流路5への液体L1の供給が途絶えたとき、図9A図9Bに示すように、吐出口4の外部に生じる水滴L10は、表面張力により、窪み3の内部に溜まる。窪み3が存在することによって、比較例に係るノズル1P(図3A参照)と比較して水滴L10の表面張力が大きくなり、液切れが良くなる。
【0066】
(実施形態7)
以下、実施形態7に係るノズル1Fについて、図10を用いて説明する。実施形態6と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
ノズル1Fでは、窪み3の形状が、実施形態6と相違する。下から見て、窪み3の形状は、十字状である。つまり、窪み3の内部空間は、領域R1と、領域R2と、を有する。領域R1は、第2方向D2に、ノズル1Fの両端間に亘って延びる領域である。領域R2は、第1方向D1と直交する平面上において第2方向D2と交差(ここでは、直交)する第3方向D3に、ノズル1Fの両端間に亘って延びる領域である。吐出口4の下では、領域R1と領域R2とが交差している。
【0068】
ノズル1Fは、領域R1における両端に、貫通部301を有し、領域R2における両端に、貫通部302を有している。貫通部301、302は、ノズル1Fの側面101に設けられた孔である。すなわち、窪み3は、第2方向D2にノズル1Fを貫通し、かつ、第1方向D1と直交する平面上において第2方向D2と交差(ここでは、直交)する第3方向D3にノズル1Fを貫通している。さらに、窪み3は、第2方向D2とは反対方向にノズル1Fを貫通し、第3方向D3とは反対方向にノズル1Fを貫通している。
【0069】
本実施形態でも実施形態6と同様に、窪み3が存在することによって、比較例に係るノズル1P(図3A参照)と比較して水滴L10の表面張力が大きくなり、液切れが良くなる。
【0070】
なお、ノズル1Fの側面101に設けられて窪み3の内部空間とつながった孔(貫通部301及び302)の個数は、2つ又は4つに限定されず、1つ、3つ又は5つ以上であってもよい。
【0071】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0072】
第1の態様に係るノズル(1、1A~1F)は、容器(9)に液体(L1)を注入する。ノズル(1、1A~1F)は、開口部(2)と、窪み(3)と、吐出口(4)と、流路(5)と、を有する。窪み(3)は、開口部(2)から所定方向(第1方向D1)に窪んだ部位である。吐出口(4)は、液体(L1)の吐出口(4)である。吐出口(4)は、窪み(3)の内面(F1)に形成されている。吐出口(4)は、開口部(2)に対して所定方向に並んでいる。流路(5)は、吐出口(4)により開放されている。流路(5)は、吐出口(4)から所定方向に長さを有する。流路(5)には、液体(L1)が流れる。
【0073】
上記の構成によれば、吐出口(4)から液体(L1)が吐き出される工程で、窪み(3)の内部には、表面張力により吐出口(4)に留まる水滴(L10)が存在することがある。この水滴(L10)が所定方向(第1方向D1)と直交する方向へ移動することは、窪み(3)により制限される。そのため、水滴(L10)の位置が吐出口(4)に対してずれる可能性が低減されるので、水滴(L10)に作用する表面張力の大きさが一部の方向に偏る可能性が低減される。よって、開口部(2)から出る水滴(L10)が容器(9)の周囲に飛散する可能性を低減できる。
【0074】
また、第2の態様に係るノズル(1、1A~1F)では、第1の態様において、所定方向(第1方向D1)から見て、吐出口(4)は、開口部(2)の中心(C2)を含む。
【0075】
上記の構成によれば、吐出口(4)から移動する水滴(L10)を開口部(2)に導きやすい。
【0076】
また、第3の態様に係るノズル(1、1A~1F)では、第2の態様において、所定方向(第1方向D1)から見て、吐出口(4)の形状は、開口部(2)の形状と相似である。
【0077】
上記の構成によれば、吐出口(4)から移動する水滴(L10)を開口部(2)に更に導きやすい。
【0078】
また、第4の態様に係るノズル(1、1A~1F)は、第1~3の態様のいずれか1つにおいて、吐出口(4)の下に開口部(2)が配置される向きで使用される。ノズル(1、1A~1D)は、吐出口(4)から、開口部(2)の下に位置する容器(9)に、少なくとも重力により、液体(L1)を落とす。
【0079】
上記の構成によれば、吐出口(4)から移動して開口部(2)から出る水滴(L10)の移動方向を、重力方向に制限できる可能性が高まる。
【0080】
また、第5の態様に係るノズル(1、1A、1B、1D)では、第1~4の態様のいずれか1つにおいて、窪み(3)の内面(F1)は、テーパ面(F11~F13)を含む。テーパ面(F11~F13)は、所定方向(第1方向D1)と90度未満の角度で交差する。所定方向に沿った断面において、窪み(3)のうちテーパ面(F11~F13)が設けられた領域の幅は、吐出口(4)から開口部(2)に近づくほど大きい。
【0081】
上記の構成によれば、テーパ面(F11~F13)が無い場合と比較して、吐出口(4)に留まる水滴(L10)と窪み(3)の内面(F1)との接触面積を大きくすることができる。そのため、吐出口(4)に留まる水滴(L10)が吐出口(4)から離れる(垂れ落ちる)可能性を低減できる。
【0082】
また、第6の態様に係るノズル(1A、1D)では、第5の態様において、テーパ面(F12)は、線形テーパ面を含む。所定方向(第1方向D1)に沿った断面における線形テーパ面の形状は、直線状である。所定方向に沿った断面において、所定方向に延びる直線(SL2)と線形テーパ面とがなす鋭角(θ1)は、45度以上80度以下である。
【0083】
上記の構成によれば、テーパ面(F12)が無い場合と比較して、吐出口(4)に留まる水滴(L10)と窪み(3)の内面(F1)との接触面積を大きくすることができる。
【0084】
また、第7の態様に係るノズル(1、1B、1D)では、第5又は6の態様において、テーパ面(F11、F13)は、曲面部を含む。所定方向(第1方向D1)に沿った断面における曲面部の形状は、曲線である。
【0085】
上記の構成によれば、吐出口(4)に留まる水滴(L10)と窪み(3)の内面(F1)との接触面積を更に大きくすることができる。
【0086】
また、第8の態様に係るノズル(1、1D)では、第7の態様において、凹球面を、中空の球の内面と定義する。曲面部の形状は、次の位置に曲率中心(C1)を有する凹球面状である。曲率中心(C1)の位置は、吐出口(4)から見て開口部(2)側の位置であって所定方向(第1方向D1)において吐出口(4)と対向する位置である。
【0087】
上記の構成によれば、吐出口(4)に留まる水滴(L10)と窪み(3)の内面(F1)との接触面積を更に大きくすることができる。
【0088】
また、第9の態様に係るノズル(1、1A、1B、1D)では、第5~8の態様のいずれか1つにおいて、窪み(3)の内面(F1)は、包囲部(F31)を含む。包囲部(F31)は、吐出口(4)に隣り合っている。包囲部(F31)は、所定方向(第1方向D1)から見て吐出口(4)を囲む。包囲部(F31)は、テーパ面(F11~F13)の少なくとも一部を含む。
【0089】
上記の構成によれば、包囲部(F31)が無い場合と比較して、吐出口(4)に留まる水滴(L10)と窪み(3)の内面(F1)との接触面積を大きくすることができる。
【0090】
また、第10の態様に係るノズル(1、1A、1B、1D)では、第9の態様において、包囲部(F31)は、回転面である。回転面の回転軸は、吐出口(4)の中心(C4)を通り所定方向(第1方向D1)に延びる直線(SL1)である。
【0091】
上記の構成によれば、水滴(L10)を吐出口(4)の中心(C4)に留めやすい。
【0092】
また、第11の態様に係るノズル(1、1A、1C、1D)では、第1~10の態様のいずれか1つにおいて、開口部(2)の周縁に、平坦面(60)を含む。平坦面(60)は、所定方向(第1方向D1)と直交する。
【0093】
上記の構成によれば、開口部(2)の周縁の肉厚を確保できる。
【0094】
また、第12の態様に係るノズル(1E、1F)では、第1~11の態様のいずれか1つにおいて、窪み(3)は、第2方向(D2)にノズル(1E、1F)を貫通している。第2方向(D2)は、所定方向としての第1方向(D1)と直交する。
【0095】
上記の構成によれば、液切れを良くすることができる。
【0096】
また、第13の態様に係るノズル(1F)では、第12の態様において、窪み(3)は、第2方向(D2)にノズル(1F)を貫通し、かつ、第3方向(D3)にノズル(1F)を貫通している。第3方向(D3)は、第1方向(D1)と直交する平面上において第2方向(D2)と交差する。
【0097】
上記の構成によれば、液切れを良くすることができる。
【0098】
また、第14の態様に係るノズル(1、1A~1F)では、第1~13の態様のいずれか1つにおいて、容器(9)は、コンデンサのパッケージである。液体(L1)は、パッケージに注入される用途を有する物質である。
【0099】
上記の構成によれば、コンデンサの製造工程において開口部(2)から出る水滴(L10)がパッケージの周囲に飛散する可能性を低減できる。また、コンデンサの容器(9)に注入される液体(L1)の量をより正確に管理できる。さらに、高粘度の液体(L1)を用いた場合であっても、コンデンサの容器(9)に注入される液体(L1)の量をより正確に管理できる。
【0100】
第1の態様以外の構成については、ノズル(1、1A~1F)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0101】
また、第15の態様に係るコンデンサの製造方法は、第14の態様に係るノズル(1、1A~1F)を用いてパッケージ(容器9)に液体(L1)を注入する工程を有する。
【0102】
上記の構成によれば、コンデンサの製造工程において開口部(2)から出る水滴(L10)がパッケージの周囲に飛散する可能性を低減できる。
【符号の説明】
【0103】
1、1A~1F ノズル
2 開口部
3 窪み
4 吐出口
5 流路
9 容器(パッケージ)
60 平坦面
D1 第1方向(所定方向)
D2 第2方向
D3 第3方向
F1 内面
F31 包囲部
C1 曲率中心
C2 中心
C4 中心
F11、F13 テーパ面(曲面部)
F12 テーパ面(線形テーパ面)
L1 液体
SL1 直線
SL2 直線
θ1 鋭角
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10