(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-27
(45)【発行日】2024-06-04
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成装置の制御方法及び画像形成装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240528BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20240528BHJP
【FI】
B41J2/01 213
B41J2/01 207
B41J2/01 205
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41F15/08 301C
(21)【出願番号】P 2020040076
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田口 彰宏
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-093609(JP,A)
【文献】特開2001-315347(JP,A)
【文献】特開2019-206104(JP,A)
【文献】特開2007-152680(JP,A)
【文献】特開2004-174750(JP,A)
【文献】特開平11-077986(JP,A)
【文献】特開2008-093982(JP,A)
【文献】特開2012-125957(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送部と、
インクジェットヘッドに設け
たノズルからインクを吐出し、前記搬送部により搬送された前記記録媒体に画像を形成するインクジェット部と、
前記搬送部の搬送方向に沿って前記インクジェット部と並べて配置され、前記記録媒体にスクリーン方式によって画像を形成するスクリーン印刷部と、
前記スクリーン印刷部における印画長に基づいて使用ノズルを設定し、かつ前記使用ノズルの吐出状態に基づいて、前記インクジェット部における画像形成動作を制御する制御部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記インクの吐出状態は、前記ノズルからインクが吐出されないノズル欠や、吐出された前記インクが所定の着弾位置から曲がる吐出曲がり、又は前記制御部に入力されたJobデータである
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部が制御する前記画像形成動作は、前記インクジェットヘッドを前記搬送方向と直交する走査方向に移動させて画像を形成する回数を示すパス数の設定である
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部が制御する前記画像形成動作は、前記記録媒体の送り動作の制御である
請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体を搬送する搬送部と、
インクジェットヘッドに設けた複数のノズルからインクを吐出し、前記搬送部により搬送された前記記録媒体に画像を形成するインクジェット部と、
前記搬送部の搬送方向に沿って前記インクジェット部と並べて配置され、前記記録媒体にスクリーン方式によって画像を形成するスクリーン印刷部と、
複数の前記ノズルにおけるインクの吐出状態に基づいて、前記インクジェットヘッドを前記搬送方向と直交する走査方向に移動させて画像を形成する回数を示すパス数を設定する制御部と、
を備え、
前記インクの吐出状態は、前記ノズルからインクが吐出されないノズル欠や、吐出された前記インクが所定の着弾位置から曲がる吐出曲がり、又は前記制御部に入力されたJobデータであり、
前記記録媒体に形成する画像の画像基準点は、前記記録媒体が前記スクリーン印刷部まで搬送された際に、前記スクリーン印刷部における版側基準点と重なり合い、
予め設定した基準パス数において、複数の前記ノズルのうち前記記録媒体が前記インクジェット部まで搬送された際に、前記画像基準点と重なり合うノズルを基準ノズルに設定され、
前記基準ノズルから前記版側基準点までの間隔の長さは、前記Jobデータから取得した印画領域の印画長の整数倍に設定される
画像形成装置。
【請求項6】
前記搬送部は、送り動作と一時停止を繰り返し行うことで、前記記録媒体を間欠的に搬送し、
前記制御部は、設定した前記パス数と前記印画長に基づいて、前記記録媒体の1回の送り量を算出する
請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記パス数を複数回に設定した場合、最終パス時において前記画像基準点が前記基準ノズルに重なり合うように前記送り量を算出する
請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、設定した前記パス数と
前記記録媒体の送り量に基づいて、前記使用ノズルのうち各パスで使用するノズルの数を設定する
請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記吐出状態を取得し、前記
使用ノズルの中に吐出不良である不良ノズルがあると判断した場合、前記パス数を複数回に設定する
請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、各パスで使用するノズルのうち前記不良ノズルを補完する補完ノズルを設定する
請求項
9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記基準パス数は、1回である
請求項
5に記載の画像形成装置。
【請求項12】
記録媒体を搬送部により搬送する処理と、
インクジェット部のインクジェットヘッドに設け
たノズルからインクを吐出し、前記搬送部により搬送された前記記録媒体に画像を形成する処理と、
前記搬送部の搬送方向に沿って前記インクジェット部と並べて配置されたスクリーン印刷部により、前記記録媒体にスクリーン方式によって画像を形成する処理と、を含み、
制御部は、前記スクリーン印刷部における印画長に基づいて使用ノズルを設定し、かつ前記使用ノズルの吐出状態に基づいて、前記インクジェット部における画像形成動作を制御する処理を行う
画像形成装置の制御方法。
【請求項13】
前記インクの吐出状態は、前記ノズルからインクが吐出されないノズル欠や、吐出された前記インクが所定の着弾位置から曲がる吐出曲がり、又は前記制御部に入力されたJobデータである
請求項12に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項14】
前記制御部が制御する前記画像形成動作は、前記インクジェットヘッドを前記搬送方向と直交する走査方向に移動させて画像を形成する回数を示すパス数の設定である
請求項12に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項15】
前記制御部が制御する前記画像形成動作は、前記記録媒体の送り動作の制御である
請求項14に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項16】
記録媒体を搬送部により搬送する処理と、
インクジェット部のインクジェットヘッドに設けた複数のノズルからインクを吐出し、前記搬送部により搬送された前記記録媒体に画像を形成する処理と、
前記搬送部の搬送方向に沿って前記インクジェット部と並べて配置されたスクリーン印刷部により、前記記録媒体にスクリーン方式によって画像を形成する処理と、を含み、
制御部は、複数の前記ノズルにおけるインクの吐出状態に基づいて前記インクジェットヘッドを前記搬送方向と直交する走査方向に移動させて画像を形成する回数を示すパス数を設定し、
前記インクの吐出状態は、前記ノズルからインクが吐出されないノズル欠や、吐出された前記インクが所定の着弾位置から曲がる吐出曲がり、又は前記制御部に入力されたJobデータであり、
前記記録媒体に形成する画像の画像基準点は、前記記録媒体が前記スクリーン印刷部まで搬送された際に、前記スクリーン印刷部における版側基準点と重なり合い、
予め設定した基準パス数において、複数の前記ノズルのうち前記記録媒体が前記インクジェット部まで搬送された際に、前記画像基準点と重なり合うノズルを基準ノズルに設定され、
前記基準ノズルから前記版側基準点までの間隔の長さは、前記Jobデータから取得した印画領域の印画長の整数倍に設定される
画像形成装置の制御方法。
【請求項17】
前記搬送部は、送り動作と一時停止を繰り返し行うことで、前記記録媒体を間欠的に搬送し、
前記制御部は、設定した前記パス数と前記印画長に基づいて、前記記録媒体の1回の送り量を算出する
請求項16に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項18】
前記制御部は、前記パス数を複数回に設定した場合、最終パス時において前記画像基準点が前記基準ノズルに重なり合うように前記送り量を算出する
請求項17に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項19】
前記制御部は、設定した前記パス数と前記記録媒体の送り量に基づいて、前記使用ノズルのうち各パスで使用するノズルの数を設定する
請求項15に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項20】
前記制御部は、前記吐出状態を取得し、前記使用ノズルに吐出不良である不良ノズルがあると判断した場合、前記パス数を複数回に設定する
請求項14に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項21】
前記制御部は、各パスで使用するノズルのうち前記不良ノズルを補完する補完ノズルを設定する
請求項20に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項22】
前記基準パス数は、1回である
請求項16に記載の画像形成装置の制御方法。
【請求項23】
請求項12から22のいずれか1項に記載の画像形成装置の制御方法における処理を、コンピューターに実行させる
画像形成装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、この画像形成装置の制御方法及び画像形成装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッドに設けられた複数のノズルからインクを記録媒体に向けて吐出させることで、用紙等の記録媒体に画像を形成(記録)する画像形成装置がある。また、画像形成装置では、インクジェットヘッドを走査方向に複数回移動させて画像を形成する、いわゆるマルチパスで画像を形成する技術が提案されている。
【0003】
マルチパスで画像を形成する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、マルチパスの重畳領域において代替ノズルを用いて、ノズル欠や吐出曲がり等の吐出不良が発生した不良ノズルを補完する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、インクジェット方式による画像形成と、スクリーン方式による画像形成を組み合わせた画像形成装置が考えられているが、特許文献1に記載された技術は、パス数が一定であり、スクリーン方式による画像形成について考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、上述のような従来の問題点に鑑み、スクリーン方式による画像形成動作を考慮した画像形成装置、画像形成装置の制御方法及び画像形成装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、搬送部と、インクジェット部と、スクリーン印刷部と、制御部と、を備えている。搬送部は、記録媒体を搬送する。インクジェット部は、インクジェットヘッドに設けた複数のノズルからインクを吐出し、搬送部により搬送された記録媒体に画像を形成する。スクリーン印刷部は、搬送部の搬送方向に沿ってインクジェット部と並べて配置され、記録媒体にスクリーン方式によって画像を形成する。制御部は、複数のノズルにおけるインクの吐出状態に基づいて、インクジェットヘッドを搬送方向と直交する走査方向に移動させて画像を形成する回数を示すパス数を設定する。
【0008】
本発明の画像形成装置の制御方法は、以下(1)から(3)に示す
処理を含む。
(1)記録媒体を搬送部により搬送する処理。
(2)インクジェット部のインクジェットヘッドに設けた複数のノズルからインクを吐出し、搬送部により搬送された記録媒体に画像を形成する処理。
(3)搬送部の搬送方向に沿ってインクジェット部と並べて配置されたスクリーン印刷部により、記録媒体にスクリーン方式によって画像を形成する処理。
また、画像形成装置の制御方法は、記録媒体を搬送する前に、複数のノズルにおけるインクの吐出状態に基づいて、インクジェットヘッドを搬送方向と直交する走査方向に移動させて画像を形成する回数を示すパス数を設定する。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の制御プログラムは、上述した画像形成装置の制御方法における処理をコンピューターに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上記構成の画像形成装置、画像形成装置の制御方法及び画像形成装置の制御プログラムによれば、インクジェット部でのパス数を設定することができ、スクリーン方式による画像形成を考慮して画像形成動作を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置を示す全体構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置における制御系を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置におけるインクジェット部とオーソスクリーン部の位置関係を示す説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置におけるマルチパス画像形成時の動作を示す説明図である。
【
図5】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置における画像形成動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置における画像形成動作を示す説明図である。
【
図7】ノズルの吐出状態におけるインクの着弾位置を示すもので、
図7Aは正常状態、
図7Bはノズル欠が発生した状態、
図7Cは吐出曲がりが発生した状態、
図7Dは吐出力が所定値よりも弱まった状態を示している。
【
図8】本発明の実施の形態例に係る画像形成装置におけるノズルの吐出不良が発生している時の画像形成動作を示すもので、
図8Aは1パスでの画像形成動作を示し、
図8Bは3パスでの画像形成動作を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態例について、
図1~
図8を参照して説明する。なお、各図において共通する部材には、同一の符号を付している。
【0013】
1.実施の形態例
1-1.画像形成装置の構成例
まず、本発明の実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる画像形成装置の構成例について
図1を参照して説明する。
図1は、画像形成装置の全体構成を示す概略構成図である。
【0014】
図1に示す画像形成装置1は、インクジェット方式の画像形成装置と、スクリーン方式の画像形成装置を組み合わせた装置である。画像形成装置1は、搬送装置10と、インクジェット部30と、オートスクリーン部40と、洗浄部27と、糊付け部28と、乾燥部29と、と、を有している。また、画像形成装置1は、搬送装置10、インクジェット部30、オートスクリーン部40、洗浄部27、糊付け部28及び乾燥部29を制御する制御部50(
図2参照)を有している。
【0015】
搬送装置10は、供給部11と、搬送部12と、剥離部13と、回収部14と、を有している。供給部11は、繰り出しローラ16と、複数のガイドローラ17と、押圧ローラ18と、を有している。繰り出しローラ16には、記録媒体Pが巻回されている。記録媒体Pとしては、例えば、布帛が適用される。繰り出しローラ16は、回転駆動することで、巻回された記録媒体Pをガイドローラ17に向けて繰り出す。
【0016】
複数のガイドローラ17は、繰り出しローラ16と、押圧ローラ18の間に配置されている。複数のガイドローラ17は、繰り出しローラ16から繰り出された記録媒体Pにテンションを与える。これにより、記録媒体Pに皺が発生することを防止する。また、複数のガイドローラ17は、記録媒体Pを押圧ローラ18に向けて搬送する。
【0017】
押圧ローラ18は、ガイドローラ17から搬送された記録媒体Pを後述する搬送部12の搬送ベルト21に押し付ける。そして、記録媒体Pは、搬送ベルト21の表面に着けられた糊により搬送ベルト21の表面に接着して載置される。
【0018】
搬送部12は、搬送ベルト21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23と、を有している。搬送ベルト21は、無端状に形成されている。搬送ベルト21は、駆動ローラ22と従動ローラ23との間に架け渡されている。そして、搬送ベルト21は、駆動ローラ22が駆動することで、駆動ローラ22と従動ローラ23との間を周回移動する。
【0019】
また、搬送ベルト21における記録媒体Pを搬送する往路側には、インクジェット部30及びオートスクリーン部40が搬送方向に沿って並べて配置される。本例では、搬送ベルト21における搬送方向の上流側に、インクジェット部30が配置され、搬送方向の下流側にオートスクリーン部40が配置される。なお、搬送方向の上流側にオートスクリーン部40を配置し、搬送方向の下流側にインクジェット部30を配置してもよい。または、インクジェット部30を、オートスクリーン部40を構成する複数のスクリーン印刷部42R、42G、42B、42A、42Oの間に配置してもよい。
【0020】
また、搬送ベルト21における記録媒体Pを搬送する往路と反対側の復路側には、洗浄部27及び糊付け部28が配置される。洗浄部27は、搬送ベルト21の表面に付着した色糊やインク等の汚れを洗浄する。糊付け部28は、搬送ベルト21の表面に糊を塗布する。これにより、記録媒体Pを搬送ベルト21の表面に載置した際に、記録媒体Pが搬送ベルト21の表面に適宜な強度で接着する。なお、洗浄部27による洗浄動作及び糊付け部28による糊付け動作は、毎周期実施しなくてもよい。
【0021】
さらに、搬送ベルト21におけるオートスクリーン部40よりも搬送方向の下流側には、剥離部13が配置されている。剥離部13は、搬送ベルト21の表面から離反して配置されている。剥離部13は、搬送ベルト21の表面に載置された記録媒体Pを引き上げ、糊付けされた記録媒体Pを搬送ベルト21から剥離する。そして、剥離部13は、記録媒体Pを搬送方向の下流側に搬送する。
【0022】
剥離部13の搬送方向の下流側には、乾燥部29が配置されている。乾燥部29は、記録媒体Pに付着するインクや色糊を乾燥する。乾燥部29の搬送方向の下流側には、回収部14が配置されている。
【0023】
回収部14は、複数の振り落としローラ25と、台車26と、を有している。複数のフリ落としローラ25は、乾燥部29で乾燥された記録媒体Pを複数回折り曲げる。そして、振り落としローラ25は、折り曲げた記録媒体Pを台車26に向けて搬送し、記録媒体Pを台車26に格納する。
【0024】
また、搬送装置10は、後述する搬送駆動部65により、インクジェット部30及びオートスクリーン部40の画像形成動作に合わせて記録媒体Pの送り動作と一時停止を繰り返す、いわゆる間欠的な搬送動作を行う。
【0025】
インクジェット部30は、インクを吐出するインクジェットヘッド32と、インクジェットヘッド32を移動可能に支持するキャリッジ33(
図2参照)を有している。
【0026】
また、インクジェットヘッド32は、例えば、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(K)等の複数色の各色に設けられている。また、インクジェットヘッド32は、インクを貯留するタンク、インクが通過する配管、圧電素子、インクが吐出するノズル等を有している。
【0027】
圧電素子は、ノズル37からインクを吐出させるためにノズル37内のインクに圧力変動を付与するアクチュエータである。圧電素子は、後述するヘッド駆動部31(
図2参照)からの電圧信号に基づいて駆動する。なお、アクチュエータとしては、圧電素子に限定されるものではなく、例えば、ノズル37内のインクを加熱して気泡を生じさせる電熱線であってもよい。
【0028】
ノズル37は、インクジェットヘッド32における搬送ベルト21の表面及び記録媒体Pと対向する面に設けられている。そして、圧電素子が駆動することで、ノズル37からインクが吐出される。
【0029】
キャリッジ33は、インクジェットヘッド32を記録媒体Pの搬送方向と直交し、かつ記録媒体Pと対向する方向とも直交する方向(走査方向)に移動させる。キャリッジ33は、例えば、モータや、このモータにより回転動作する2つのプーリ、2つのプーリ間に架け渡されたベルト等を有している。そして、キャリッジ33は、後述する走査駆動部34(
図2参照)が出力する駆動信号に基づいて、モータを回転動作させて、インクジェットヘッド32を移動させる。そして、インクジェット部30は、インクジェットヘッド32のノズル37から記録媒体Pに向けてインクを吐出し、記録媒体Pに画像を形成する。
【0030】
オートスクリーン部40は、特定色の色糊を所定の画像パターンで記録媒体Pに付着させるために、複数のスクリーン印刷部42R、42G、42B、42A、42Oを有している。オートスクリーン部40は、複数のスクリーン印刷部42R、42G、42B、42A、42Oにより各色の色糊を記録媒体Pに付着させて各画像パターンに応じた画像を形成する。スクリーン印刷部42R、42G、42B、42A、42Oとしては、例えば、それぞれ、赤、緑、青、グレー、金の色糊が用いられる。
【0031】
複数のスクリーン印刷部42R、42G、42B、42A、42Oは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1スクリーン印刷部42Rについて説明する。第1スクリーン印刷部42Rは、スキージ(ヘラ)と、スキージを移動させるスキージ駆動部と、所定の画像パターンが孔として空けられた版と、特定色(例えば、赤色)の色糊と、を有している。そして、後述するスクリーン駆動部41の駆動信号に応じて、スキージ駆動部が駆動し、スキージが版を加圧しながら移動する。これにより、版の孔を通過した色糊が記録媒体Pに付着することで、記録媒体Pに特定色(赤色)からなる所定の画像パターンが形成される。
【0032】
また、各スクリーン印刷部42R、42G、42B、42A、42Oの版における搬送方向の長さLは、記録媒体Pに形成する画像の印画長Lと同じ長さである。また、各スクリーン印刷部42R、42G、42B、42A、42Oの間隔は、長さLに調整されている。さらに、インクジェット部30のインクジェットヘッド32の基準ノズル37A(
図4参照)と、第1スクリーン印刷部42Rの間隔は、印画長Lの整数倍に調整されており、本例では、2Lに設定されている。なお、インクジェット部30と第1スクリーン印刷部42Rの位置関係の詳細については、後述する。
【0033】
また、画像形成装置1は、インクジェット部30よりも搬送方向の上流側に浮き検知センサ15を有している。浮き検知センサ15は、記録媒体Pが搬送ベルト21からの浮き上がりを検知する。浮き検知センサ15が検知した情報は、制御部50に出力される。
【0034】
1-2.制御系の構成例
次に、画像形成装置1の制御系の構成について
図2を参照して説明する。
図2は、画像形成装置1の制御系の構成を示すブロック図である。
【0035】
図2に示すように、画像形成装置1は、搬送装置10、インクジェット部30、オートスクリーン部40、洗浄部27、糊付け部28及び乾燥部29を制御する制御部50を有している。また、画像形成装置1は、第1操作部52と、第1表示部53と、第2操作部62と、第2表示部63を有している。
【0036】
制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)と、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)と、を有する。
【0037】
制御部50は、インクジェット部30を制御するインクジェット制御部51と、オートスクリーン部40を制御するスクリーン制御部61と、を有している。インクジェット制御部51は、インクジェット部30、第1操作部52及び第1表示部53に第1システムバス55を介して接続されている。
【0038】
第1操作部52は、ユーザからの操作入力を受け付け、操作入力に応じて操作情報をインクジェット制御部51に出力する。第1操作部52としては、例えば、第1表示部53の表示パネルに重ねて設けられたタッチパネルや、各種キー等が用いられる。
【0039】
第1表示部53は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示パネルを有している。そして、第1表示部53は、インクジェット制御部51の制御に基づいて、表示パネルに各種表示情報を表示する。表示情報としては、例えば、インクジェット画像形成にかかるステータス画面、メニュー画面や設定画面などである。
【0040】
インクジェット部30は、ヘッド駆動部31と、インクジェットヘッド32と、キャリッジ33と、走査駆動部34とを有している。ヘッド駆動部31は、インクジェット制御部51の制御に基づいて、インクジェットヘッド32の圧電素子を所望のパターンで変形させるための電圧信号をインクジェットヘッド32に出力する。走査駆動部34は、インクジェット制御部51の制御に基づいて、キャリッジ33に駆動信号を出力する。
【0041】
スクリーン制御部61は、オートスクリーン部40、第2操作部62及び第2表示部63に第2システムバス70を介して接続されている。第2操作部62は、ユーザからの操作入力を受け付け、操作入力に応じて操作情報をスクリーン制御部61に出力する。第2操作部62としては、第1操作部52と同様に、第2表示部63の表示パネルに重ねて設けられたタッチパネルや、各種キー等が用いられる。
【0042】
第2表示部63は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示パネルを有している。そして、第2表示部63は、スクリーン制御部61の制御に基づいて、表示パネルに各種表示情報を表示する。表示情報としては、例えば、インクジェット画像形成にかかるステータス画面、メニュー画面や設定画面などである。
【0043】
オートスクリーン部40は、スクリーン駆動部41と、各色に対応したスクリーン印刷部42R、42G、42B、42A、42Oを有している。スクリーン駆動部41は、スクリーン制御部61の制御に基づいて、各スクリーン印刷部42R、42G、42B、42A、42Oに設けたスキージを駆動させる。
【0044】
また、インクジェット制御部51とスクリーン制御部61は、例えば、情報を通信可能に接続されている。インクジェット制御部51とスクリーン制御部61との通信方式としては、例えば、入出力信号線通信、シリアル通信又は有線若しくは無線のLAN(Local Area Network)である。
【0045】
また、画像形成装置1は、搬送駆動部65と、乾燥駆動部66と、洗浄駆動部67と、糊付駆動部68を有している。搬送駆動部65、乾燥駆動部66、洗浄駆動部67及び糊付駆動部68は、第3システムバス80を介して制御部50に接続される。
【0046】
搬送駆動部65は、制御部50の制御に基づいて、搬送装置10の各部に駆動信号を出力して、各部を動作させる。乾燥駆動部66は、制御部50の制御に基づいて、乾燥部29の内部で記録媒体P上のインクや色糊を乾燥可能に所定の動作を実施する。所定の動作としては、例えば、ヒーターなどの発熱体の発熱動作若しくはファンなどの回転による送風動作、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
洗浄駆動部67は、制御部50の制御に基づいて、洗浄部27を動作させて、洗浄動作を実施する。洗浄動作としては、例えば、搬送ベルト21に洗剤を塗布する塗布動作や、搬送ベルト21に付着した汚れを拭き取る払拭動作等が挙げられる。また、洗浄部27の動作を継続的に行わない場合には、洗浄駆動部67は、洗浄部27を一時的に搬送ベルト21から離間させてもよい。糊付駆動部68は、制御部50の制御に基づいて、糊付け部28を動作させて、搬送ベルト21の表面に記録媒体Pを接着させる糊を塗布する。
【0048】
なお、搬送駆動部65と、乾燥駆動部66と、洗浄駆動部67と、糊付駆動部68の制御は、インクジェット制御部51が実施してもよく、あるいはスクリーン制御部61が実施してもよい。
【0049】
また、制御部50は、例えば外部の情報処理装置であるPC2に通信回線を介して接続されている。そして、制御部50は、PC2から送信されるジョブデータを、通信回線を介して受け取る。そして、受け取ったジョブデータをインクジェット制御部51及びスクリーン制御部61に送る。
【0050】
なお、本実施の形態では、外部装置としてパーソナルコンピュータを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置としては、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を適用することができる。
【0051】
1-3.インクジェット部とオートスクリーン部の位置関係
次に、上述した構成を有する画像形成装置1におけるインクジェット部30とオートスクリーン部40の詳細な位置関係について
図3を参照して説明する。
図3は、インクジェット部30とオートスクリーン部40の位置関係を示す説明図である。また、
図3では、1回の走査動作で画像Q1を形成する動作、いわゆる1パス(Pass)で画像Q1を形成する例について説明する。また、本例では、1パスが基準パス数に設定されている。
【0052】
図3に示すように、インクジェットヘッド32は、記録媒体Pの搬送方向に沿って平行に延在している。また、インクジェットヘッド32には、記録媒体Pの搬送方向に沿って所定の間隔を空けて複数のノズル37が形成されている。複数のノズル37のうち第1スクリーン印刷部42Rにおける版の搬送方向の下端部、すなわち第1スクリーン印刷部42Rの版先端位置X1から印画長Lの整数倍の位置にあるノズル37を基準ノズル37Aとする。なお、本例では、基準ノズル37Aと、スクリーン側基準点を示す版先端位置X1の間隔は、3Lに設定されている。
【0053】
また、基準ノズル37Aは、インクジェット部30での印画領域Wの搬送方向の下流側の端部、すなわち印画領域Wの先端位置W1に位置する。この印画領域Wは、例えば、Jobデータから取得される。先端位置W1は、画像側基準点を示す。そして、インクジェットヘッド32は、複数のノズル37のうち基準ノズル37Aから搬送方向の上流側に向けて長さL分のノズル37L(使用ノズル37L)を使用する。また、搬送駆動部65は、搬送ベルト21を長さLずつ搬送する。
【0054】
これにより、第1スクリーン印刷部42Rに搬送された記録媒体Pにおける印画領域Wの先端位置W1を、第1スクリーン印刷部42Rの版先端位置X1に合わせることができる。
【0055】
なお、基準ノズル37Aは、印画長Lの長さに応じて、複数のノズル37のうち第1スクリーン印刷部42Rの版先端位置X1からの間隔が印画長Lの整数倍となるノズル37に設定される。これにより、印画長Lの長さが変化した場合でも、インクジェット部30で画像形成処理を行う際に、画像の先端位置W1を所望の位置に合わせることができる。
【0056】
次に、
図4を参照してマルチパス画像形成時の記録媒体Pの1回の送り量(搬送量)について説明する。
図4は、複数パス、いわゆるマルチパス画像形成時の動作を示す説明図である。また、
図4では、3回の走査動作で画像Q1を形成する動作、いわゆる3パスで画像Q1を形成する例について説明する。なお、1パスでは、画像形成処理の作業速度を向上させることができる。これに対して、マルチパスでは、高精細な画像を形成することができると共に、ノズルの吐出不良が発生しても画像不良の発生を防止することができる。ノズルの吐出不良時の画像形成動作については、後述する。
【0057】
ここで、使用ノズル37Lは、第1使用ノズル群37L1、第2使用ノズル群37L2及び第3使用ノズル群37L3に分割される。第1使用ノズル群37L1は、使用ノズル37Lのうち搬送方向の上流側に位置し、第3使用ノズル群37L3は、使用ノズル37Lのうち搬送方向の下流側に位置している。そして、第2使用ノズル群37L2は、第1使用ノズル群37L1と第3使用ノズル群37L3の間に配置される。また、第1使用ノズル群37L1、第2使用ノズル群37L2及び第3使用ノズル群37L3の間隔は、L/3に設定される。
【0058】
まず、
図4Aに示すように、インクジェット部30での印画領域Wにおける搬送方向の上流側の端部からL/3だけ移動した位置に記録媒体Pを搬送する。そして、インクジェット部30は、使用ノズル37Lのうち第1使用ノズル群37L1を用いて記録媒体Pに1パス目の画像を形成する。
【0059】
次に、
図4Bに示すように、搬送駆動部65は、記録媒体PをL/3だけ搬送する。そして、インクジェット部30は、使用ノズル37Lのうち第1使用ノズル群37L1と第2使用ノズル群37L2を用いて記録媒体Pに2パス目の画像を形成する。このとき、第2使用ノズル群37L2の画像形成領域は、1パス目の第1使用ノズル群37L1の画像形成領域と重畳する。
【0060】
次に、
図4Cに示すように、搬送駆動部65は、記録媒体PをL/3だけ搬送する。そして、インクジェット部30は、第1使用ノズル群37L1、第2使用ノズル群37L2及び第3使用ノズル群37L3、すなわち使用ノズル37Lをすべて用いて記録媒体Pに3パス目(最終パス)の画像を形成する。このとき、第2使用ノズル群37L2の画像形成領域は、2パス目の第1使用ノズル群37L1の画像形成領域と重畳し、第3使用ノズル群37L3の画像形成領域は、2パス目の第2使用ノズル群37L2の画像形成領域と重畳する。
【0061】
最終パスでは、印画領域Wの先端位置W1が、基準ノズル37Aと搬送方向での位置が重なり合う。すなわち、マルチパス印画時では、最終パスの先端位置W1が1パス時に設定した基準ノズル37Aと重なり合うように、制御部50は、送り量を設定する。
【0062】
また、記録媒体PをL/3だけ搬送し、第1使用ノズル群37L1によって、現在の画像Q1よりも搬送方向の上流側に次の画像を形成する。そして、第2使用ノズル群37L2及び第3使用ノズル群37L3によって現在の画像Q1を形成する。さらに、記録媒体PをL/3だけ搬送し、第1使用ノズル群37L1及び第2使用ノズル群L2によって次の画像を形成すると共に、第3使用ノズル群37L3によって現在の画像Q1を形成する。
【0063】
なお、第1スクリーン印刷部42Rでは、インクジェット部30のパス数に合わせて、インクジェット部30が3回画像形成処理を行うごとに、スクリーン印刷を行う。
【0064】
これにより、第1スクリーン印刷部42Rに搬送された記録媒体Pにおける印画領域Wの先端位置W1を、第1スクリーン印刷部42Rの版先端位置X1に合わせることができる。その結果、インクジェット部30での画像形成処理が、1パス又はマルチパスであっても、インクジェット部30で形成されるインクジェット画像の位置と、第1スクリーン印刷部42Rで形成される第1スクリーン画像の位置がずれることを防ぐことができる。
【0065】
2.画像形成装置の動作
次に、上述した構成を有する画像形成装置1における動作例について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、画像形成動作を示すフローチャートである。
【0066】
図5に示すように、制御部50は、入力されたJobデータから画像形成を行う印画領域Wの印画長Lを取得する(ステップS11)。次に、制御部50は、ステップS11で取得した印画長Lから複数のノズル37のうち使用ノズル37Lを算出する(ステップS12)。ステップS12の処理では、制御部50は、複数のノズル37のうち基準ノズル37Aから印画長L分のノズル37を使用ノズル37Lとして算出する。
【0067】
次に、制御部50は、インクジェット部30でのパス数設定を手動設定で行うのか、自動設定で行うのかを判断する(ステップS13)。ステップS13の判断は、入力されたJobデータから判断してもよく、あるいは第1操作部52に入力された情報から判断してもよい。
【0068】
ステップS13の処理において、手動設定で行うと制御部50が判断した場合(ステップS13の手動設定)、制御部50は、第1表示部53にパス数設定画面を表示させる。そして、ユーザは、第1操作部52を介してパス数を設定する(ステップS14)。ステップS14の処理でパス数が設定されると、制御部50は、後述するステップS16の処理に移行する。
【0069】
また、ステップS13の処理において、自動設定で行うと制御部50が判断した場合(ステップS13の自動設定)、制御部50は、インクジェットヘッド32の使用ノズル37Lの吐出状態を基にパス数を設定する(ステップS15)。ステップS15の処理でパス数が設定されると、制御部50は、ステップS16の処理に移行する。
【0070】
インクの吐出状態とは、ノズル37からインクが吐出されないノズル欠や、吐出されたインクが所定の着弾位置から曲がる吐出曲がり等や制御部50に入力されたJobデータである。ノズルの吐出状態については、後述する。また、Jobデータとしては、形成する画像Q1の画質を示す通常印刷モードや高精細モード等である。例えば、通常印刷モードでは、パス数を1パスに設定し、高精細モードでは、パス数を3パスや4パス等のマルチパスに設定する。
【0071】
ステップS16の処理において、制御部50は、設定されたパス数と、印画長L又は使用ノズル37Lの数に基づいて、記録媒体Pの送り量を算出する。ここで、パス数をn、印画長Lとした場合、送り量Tは、L/nに設定される。
【0072】
次に、制御部50は、パス数及び使用ノズル37Lに基づいて、プリントマスクを作成する(ステップS17)。プリントマスクは、形成する画像に対して使用ノズル37Lにおけるインクを吐出する位置及び吐出する量等を規定するデータである。
【0073】
次に、制御部50は、パス数、送り量及びプリントマスクに基づいて各パスにおける使用するノズル37の数及びインクジェットヘッド32に対する記録媒体Pの位置を設定する(ステップS18)。
【0074】
次に、インクジェット制御部51は、上述した処理で設定した条件で、ヘッド駆動部31及び走査駆動部を制御し、インクジェット部30による画像形成を開始させる。また、スクリーン制御部61は、インクジェット部30の画像形成条件に合わせて、スクリーン駆動部41を制御し、オートスクリーン部40により印刷を開始させる(ステップS19)。
【0075】
さらに、制御部50は、ステップS16の処理で設定した送り量となるように、搬送駆動部65を制御し、記録媒体Pの搬送を開始する(ステップS20)。
【0076】
ステップS19及びステップS20の処理を繰り返すことで、
図6に示すように、まず、搬送方向の最上流に配置されたインクジェット部30により記録媒体Pの印画領域Wに画像Q1(インクジェット画像)が形成される。次に、第1スクリーン印刷部42Rに記録媒体Pが搬送される。そして、第1スクリーン印刷部42Rにより、記録媒体Pの印画領域Wに「A」で図示した画像S1(第1スクリーン画像)が形成される。
【0077】
次に、第2スクリーン印刷部42Gに記録媒体Pが搬送される。そして、第2スクリーン印刷部42Gにより、記録媒体Pの印画領域Wに「B」で図示した画像S2(第2スクリーン画像)が形成される。さらに、第3スクリーン印刷部42Bに記録媒体Pが搬送されて、第3スクリーン印刷部42Bにより、記録媒体Pの印画領域Wに「C」で図示した画像S3(第3スクリーン画像)が形成される。
【0078】
次に、第4スクリーン印刷部42Aに記録媒体Pが搬送されて、第4スクリーン印刷部42Aにより、記録媒体Pの印画領域W全体に色糊をベタ塗りする。また、
図6に示さない、搬送方向の最下流に配置された第5スクリーン印刷部42O(
図1参照)に記録媒体Pが搬送されて、第5スクリーン印刷部42Oにより、記録媒体Pの印画領域Wに所定の画像が形成される。
【0079】
これにより、記録媒体Pの印画領域W上には、インクジェット画像Q1と、第1スクリーン画像S1、第2スクリーン画像S2、第3スクリーン画像S3及びベタ塗りのスクリーン画像が重ね合わされる。
【0080】
3.ノズルの吐出状態
次に、ノズルの吐出状態と、ノズルの吐出状態に対するインクジェット部30の制御動作について
図7及び
図8を参照して説明する。
図7Aから7Dは、インクの吐出状態におけるインクの着弾位置を示す説明図であり、
図7Aは正常状態、
図7Bはノズル欠が発生した状態、
図7Cは吐出曲がりが発生した状態、
図7Dは吐出力が所定値よりも弱まった状態を示している。
【0081】
正常状態では、
図7Aに示すように、インクF1は、所定の位置に着弾する。これに対して、ノズル欠が発生した場合では、
図7Bに示すように、所定の位置にインクF1が着弾されない。また、ノズル37に吐出曲がりが発生した場合では、
図7Cに示すように、インクF1が所定の位置から異なる位置に着弾する。
【0082】
さらに、ノズル37からの吐出力が弱まった場合、
図7Dに示すように、インクF1は、キャリッジ33の移動方向に沿って所定の位置とは異なる位置に着弾する。制御部50は、画像検出部により、
図7Bから
図7Dに示す状態を検出した場合、ノズル37に吐出不良が発生していると判断する。
【0083】
図8A及び
図8Bは、ノズル37の吐出不良が発生している時の画像形成動作を示す説明図である。
図8Aは1パスでの画像形成動作を示し、
図8Bは3パスでの画像形成動作を示している。
【0084】
図8Aに示すように、使用ノズル37Lの中にノズル欠等の不良ノズル37Gが発生している場合、形成された画像Q1には、インクジェットヘッド32の走査方向に沿って白スジK1が発生する。そのため、制御部50は、使用ノズル37Lに不良ノズル37Gがあると判断すると、
図5に示すステップS15の処理において、インクジェット部30のパス数をマルチパスに設定する。
【0085】
図8Bに示すように、3パスでの画像形成動作では、制御部50は、1パス目で使用するノズル37のうち、2パス目及び3パス目で画像Q1に対して不良ノズル37Gと対応する位置にあるノズルを補完ノズル37Cに設定する。また、2パス目で使用するノズル37のうち1パス目及び3パス目で画像Q1に対して不良ノズル37Gと対応する位置にあるノズルを補完ノズル37Cに設定する。同様に、3パス目で使用するノズル37のうち1パス目及び2パス目で画像Q1に対して不良ノズル37Gと対応する位置にあるノズルを補完ノズル37Cに設定する。
【0086】
そして、制御部50は、補完ノズル37Cから吐出されるインク量を増加させるようにプリントマスクを修正する。このように、使用ノズル37Lの吐出状態に応じてパス数及び補完ノズル37Cを設定することで、
図8Bに示すように、不良ノズルGにより発生する白スジK1等の画像不良を補完ノズル37Cで補完K2することができる。
【0087】
さらに、基準ノズル37Aとパス数を設定することで、補完ノズル37Cを容易に設定することができる。また、予め基準ノズル37A及び使用ノズル37Lを設定し、この基準ノズル37Aを基に送り量を設定することで、パス数が変化しても、印画領域Wの先端位置W1がインクジェット部30とオートスクリーン部40でずれることを防止することができる。
【0088】
また、ノズルの吐出状態としてノズル37の吐出不良について説明したが、これに限定されるものではない。ノズルの吐出状態としては、記録媒体Pの材質の違いによって生じるインクのにじみや色割れ等を考慮してもよい。そして、制御部50は、吐出状態としてにじみや色割れ等によって生じる画像不良を考慮して、パス数を設定してもよい。
【0089】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0090】
また、上述した実施の形態例では、スクリーン側基準点として版先端位置X1を適用し、画像側基準点として先端位置W1を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、スクリーン側基準点として版の搬送方向の上流側の端部、すなわち版の後端位置を適用し、画像側基準点として画像の印画流域の上流側の端部、すなわち後端位置を適用してもよい。この画像側基準点は、記録媒体をスクリーン印刷部に搬送した際に、版側基準点と重なり合う点であればよい。また、基準ノズルとしては、複数のノズルのうち版後端位置との間隔が印画長の整数倍の箇所に位置するノズルが適用される。
【0091】
そして、記録媒体を基準パス数で画像形成する際、印画領域の後端位置が基準ノズルの位置に合わせて搬送される。また、マルチパスで画像形成する場合では、最終パス時に印画領域の後端位置が基準ノズルに重なり合う。
【0092】
画像側基準点は、記録媒体をスクリーン印刷部に搬送した際に、版側基準点と重なり合う点であればよい。そして、基準ノズルは、版側基準点と印画長を基に設定され、基準パス数時に記録媒体がインクジェット部に搬送された際に、画像側基準点と重なり合う。また、マルチパス時では、最終パス時に基準ノズルと画像側基準点が重なり合う。
【0093】
また、基準パス数は、「1」に限定されるものではなく、2以上のパス数を基準パス数に設定してもよい。
【0094】
さらに、インクジェットヘッド32におけるノズル37が形成された箇所の長さが印画長Lよりも長い例について説明したが、これに限定されるものではない。インクジェットヘッド32の長さは、印画長Lよりも短くてもよい。例えば、インクジェットヘッド32における使用ノズル37Lの長さが印画長Lの1/2の長さの場合、1パス時の送り量は、L/2に設定され、3パス時の送り量は、L/6に設定される。
【0095】
また、上述した実施の形態例では、記録媒体として用紙を用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、記録媒体としては、例えば、布帛、プラスチックフィルム、ガラス板等その他各種の記録媒体を適用できるものである。
【0096】
また、上記の各構成要素、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路の設計などによりハードウエアで実現してもよい。また、上記の各構成要素、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【符号の説明】
【0097】
1…画像形成装置、 10…搬送装置、 11…供給部、 12…搬送部、 13…剥離部、 14…回収部、 15…浮き検知センサ、 16…繰り出しローラ、 17…ガイドローラ、 18…押圧ローラ、 21…搬送ベルト、 22…駆動ローラ、 23…従動ローラ、 27…洗浄部、 28…糊付け部、 29…乾燥部、 30…インクジェット部、 31…ヘッド駆動部、 32…インクジェットヘッド、 33…キャリッジ、 34…走査駆動部、 37…ノズル、 37A…基準ノズル、 37C…補完ノズル、 37G…不良ノズル、 37L…使用ノズル、 37L1…第1使用ノズル群、 37L2…第2使用ノズル群、 37L3…第3使用ノズル群、 40…オートスクリーン部、 41…スクリーン駆動部、 42R、42G、42B、42A、42O…スクリーン印刷部、 50…制御部、 51…インクジェット制御部、 61…スクリーン制御部、 65…搬送駆動部、 66…乾燥駆動部、 67…洗浄駆動部、 68…糊付駆動部