(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-30
(45)【発行日】2024-06-07
(54)【発明の名称】誘虫光照射装置
(51)【国際特許分類】
A01M 1/04 20060101AFI20240531BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240531BHJP
【FI】
A01M1/04 Z
H01L33/00 L
(21)【出願番号】P 2020214480
(22)【出願日】2020-12-24
【審査請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】青木 慎一
(72)【発明者】
【氏名】矢口 充雄
(72)【発明者】
【氏名】葛原 一功
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-164439(JP,A)
【文献】特開2016-092373(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159453(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3130829(JP,U)
【文献】特開2020-088382(JP,A)
【文献】特開2009-192915(JP,A)
【文献】特開2010-193750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 1/00 - 99/00
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上面に配置され、それぞれが可視光を放つ1つ以上の第1LED素子と、
前記上面に配置され、それぞれが紫外光を放つ複数の第2LED素子と、を備え、
前記基板の平面視で、
前記1つ以上の第1LED素子の全ては、配置された前記複数の第2LED素子の全てを囲うように前記複数の第2LED素子に接する外接矩形の領域である第1領域の外側の領域である第2領域に配置される
誘虫光照射装置。
【請求項2】
前記基板に形成され、前記1つ以上の第1LED素子及び前記複数の第2LED素子に電力を供給する配線パターンと、
リード線と、
前記配線パターン及び前記リード線を接続するコネクタと、をさらに備え、
前記リード線及び前記コネクタは、前記第2領域に配置される
請求項1に記載の誘虫光照射装置。
【請求項3】
前記可視光は、青色光である
請求項1又は2に記載の誘虫光照射装置。
【請求項4】
前記1つ以上の第1LED素子のそれぞれの上方に前記可視光を拡散する拡散レンズを、さらに備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の誘虫光照射装置。
【請求項5】
前記拡散レンズは、前記可視光の波長領域における光透過率が前記紫外光の波長領域における光透過率よりも高い材料によって構成されている
請求項4に記載の誘虫光照射装置。
【請求項6】
前記第1領域と前記第2領域との間に配置され、前記紫外光を遮蔽する遮蔽部材を、さらに備える
請求項1~5のいずれか1項に記載の誘虫光照射装置。
【請求項7】
前記1つ以上の第1LED素子及び前記複数の第2LED素子の上方に配置され、板形状を有し、前記可視光及び前記紫外光が透過するカバー部材を、さらに備え、
前記遮蔽部材は、前記上面及び前記カバー部材に接合される
請求項6に記載の誘虫光照射装置。
【請求項8】
前記カバー部材は、前記可視光及び前記紫外光を散乱させる散乱層を有する
請求項7に記載の誘虫光照射装置。
【請求項9】
前記カバー部材は、カバー部材本体部を、さらに有し、
前記散乱層は、前記カバー部材本体部の下方に配置される
請求項8に記載の誘虫光照射装置。
【請求項10】
前記1つ以上の第1LED素子は、複数の第1LED素子であって、
前記基板の平面視で、前記複数の第2LED素子は、前記複数の第1LED素子の一部、及び、前記複数の第1LED素子の他部によって挟まれるように配置されている
請求項1~9のいずれか1項に記載の誘虫光照射装置。
【請求項11】
前記上面における前記可視光及び前記紫外光の波長範囲の反射率は、30%以下である
請求項1~10のいずれか1項に記載の誘虫光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘虫光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光は虫を誘引する光(誘虫光)として利用されることがあり、従来、このような紫外光を放つ誘虫光照射装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される発光装置(誘虫光照射装置)は、基板と、この基板上に配置された複数の紫外LED素子及び複数の青色LED素子とを備えている。また、特許文献1では、紫外LED素子と青色LED素子とが、近接した位置で交互に配置されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、複数の紫外LED素子及び複数の青色LED素子が特許文献1で開示されるように配置されると、複数の紫外LED素子から放たれた紫外光が複数の青色LED素子に到達しやすい。この場合、紫外光により複数の青色LED素子の劣化が起こる場合がある。これにより、誘虫光照射装置の発光特性が低下するなどの問題が発生する。
【0006】
本発明は、紫外光による劣化を抑制することができる誘虫光照射装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る誘虫光照射装置は、基板と、前記基板の上面に配置され、それぞれが可視光を放つ1つ以上の第1LED素子と、前記上面に配置され、それぞれが紫外光を放つ複数の第2LED素子と、を備え、前記基板の平面視で、前記1つ以上の第1LED素子の全ては、配置された前記複数の第2LED素子の全てを囲うように前記複数の第2LED素子に接する外接矩形の領域である第1領域の外側の領域である第2領域に配置される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の誘虫光照射装置は、紫外光による劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る誘虫光照射装置を備える照明システムの構成を示す側面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る誘虫光照射装置の外観図である。
【
図3】
図3は、実施の形態1に係る誘虫光照射装置が備える基板の平面図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線における誘虫光照射装置の切断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る誘虫光照射装置が備える基板の平面図である。
【
図6】
図6は、
図5のVI-VI線における誘虫光照射装置の切断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略または簡略化される場合がある。
【0012】
また、本明細書及び図面において、x軸、y軸及びz軸は、それぞれ三次元直交座標系の三軸を示している。各実施形態では、基板の上面とxy平面とは平行であり、xy平面と垂直は方向をx軸方向としている。
【0013】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではない。「上方」及び「下方」などの用語は、あくまでも部材間の相互の配置を指定するために用いており、誘虫光照射装置の使用時における姿勢を限定する意図ではない。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔を空けて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに密着して配置されて2つの構成要素が接触する場合にも適用される。
【0014】
(実施の形態1)
まず、実施の形態に係る誘虫光照射装置100を備える照明システム1の構成について説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100を備える照明システム1の構成を示す側面図である。
【0016】
図1が示すように、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100は、照明システム1などに用いられる。この照明システム1は、可視光と紫外光とを含む誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置100と、照明光L2を照射する照明光照射装置200と、第1架台101と、第2架台201と、支柱400とを備えるシステムである。
【0017】
ここでは、支柱400は、第1架台101及び第2架台201を介して、誘虫光照射装置100及び照明光照射装置200を支持する長尺形状の部材である。第1架台101及び第2架台201のそれぞれは、支柱400に取り付けられ、支柱400と誘虫光照射装置100及び照明光照射装置200のそれぞれとを接続する部材である。
【0018】
照明システム1は、例えば、屋外の競技施設10などで利用されるシステムである。照明光照射装置200が放つ照明光L2によって、競技施設10のグラウンドGが照明される。このとき、照明光L2が意図せず虫Pを誘引してしまうため、虫Pが照明光照射装置200に取り付いてしまう。そこで、この照明システム1では、誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射することによって、取り付いた虫Pを照明システム1の周囲に誘引し続け、つまりは、取り付いた虫Pを照明システム1に留めておくことができる。このような照明システム1によって、競技施設10外に虫Pが拡散することが抑制される。
【0019】
また、このような照明システム1においては、照明光照射装置200と誘虫光照射装置100とが同時に照明光L2と誘虫光L1とを照射してもよい。さらに、照明光照射装置200の消灯後にも、誘虫光照射装置100が誘虫光L1を照射し続けるとよい。これにより、照明光照射装置200が放つ照明光L2によって誘虫された虫Pは、誘虫光L1によって引き続き誘虫され続ける。つまりは、競技施設10外に虫Pが拡散することがより抑制される。
【0020】
なお、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100の使用用途は、上記に限定されるものではない。
【0021】
続いて、誘虫光照射装置100の構成要素について説明する。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100の外観図である。また、
図3は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100が備える基板150の平面図である。
【0023】
図2及び
図3が示すように、誘虫光照射装置100は、複数の第1LED素子110と、複数の拡散レンズ111と、複数の第2LED素子120と、2つの遮蔽部材130とを有する。また、誘虫光照射装置100は、2つの接続ユニット140と、基板150と、筐体160と、カバー部材170と、2つの取付部180とを有する。なお、
図2及び
図3においては、識別のため、複数の第1LED素子110には濃いドットが、複数の第2LED素子120には薄いドットが、2つの遮蔽部材130には斜線が付されている。
【0024】
図3が示すように、複数の第1LED素子110のそれぞれは、基板150の上面151(つまりは、z軸正側に位置する基板150の主面)に配置され、可視光を放つLED(Light Emitting Diode)によって構成されたLED素子である。換言すると、複数の第1LED素子110のそれぞれは、基板150の上面151に実装されている。
【0025】
可視光とは、例えば、白色光、赤色光及び緑色光であってもよいが、ここでは、青色光である。
【0026】
青色光とは、主に430nm以上490nm以下の波長を有する光である。より具体的には、青色光とは、430nm以上470nm以下の範囲にピーク波長を有する光である。また、青色光のピーク波長は、440nm以上460nm以下であるとよりよく、445nm以上455nm以下であるとさらによい。しかしながら、青色光のピーク波長は、これらに限られない。また、青色光とは、430nm以上490nm以下の波長の光以外の光を含まないとよい。また、青色光とは、430nm以上490nm以下の波長の光以外の光の強度が、ピーク波長の強度の10分の1以下である光であってもよい。
【0027】
複数の第2LED素子120のそれぞれは、基板150の上面151に配置され、紫外光を放つLEDによって構成されたLED素子である。換言すると、複数の第2LED素子120のそれぞれは、基板150の上面151に実装されている。
【0028】
紫外光とは、主に300nm以上400nm以下の波長を有する光である。より具体的には、紫外光とは、360nm以上390nm以下の範囲にピーク波長を有する光である。また、紫外光のピーク波長は、360nm以上380nm以下であるとよりよく、360nm以上375nm以下であるとさらによい。しかしながら、紫外光のピーク波長は、これらに限られない。また、紫外光とは、300nm以上400nm以下の波長の光以外の光を含まないとよい。また、紫外光とは、300nm以上400nm以下の波長の光以外の光の強度が、ピーク波長の強度の10分の1以下である光であってもよい。
【0029】
このように、複数の第1LED素子110のそれぞれと複数の第2LED素子120のそれぞれとは、青色光と紫外光とを放つ。誘虫光照射装置100が照射する誘虫光L1は、この放たれた青色光と紫外光とを含む光である。つまり、誘虫光L1は、非白色光である。
【0030】
虫Pは、光に反応して移動する走行性という習性を有する。ここで、虫Pは、光に向かって進む正の走行性を有する。また、紫外光の波長範囲は、一般的な虫Pの比視感度が高い波長範囲である。そのため、誘虫光L1が紫外光を含むことで、虫Pが誘虫光L1に向かって進む、つまりは、虫Pが誘虫光L1に誘引されやすくなる。また、青色光の波長範囲は、虫Pのうちカメムシ目などの比視感度が高い波長範囲となる。同様に、誘虫光L1が可視光として青色光を含むことで、カメムシ目なども誘虫光L1に誘引されやすくなる。
【0031】
複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120は、個々にパッケージ化された表面実装(SMD:Surface Mount Device)型のLED素子である。複数の第1LED素子110のそれぞれ及び複数の第2LED素子120のそれぞれは、樹脂製等の容器(パッケージ)と、容器内に配置されたLEDチップ(ベアチップ)と、LEDチップを封止する封止部材とを備える。
【0032】
具体的には、複数の第1LED素子110のそれぞれは、青色光を放つSMD型の青色LED素子である。この場合、LEDチップとしては、通電されると青色光を発する青色LEDチップを用いて、容器に充填される封止部材としては、青色光を透過する透明樹脂(一例として、シリコーン樹脂)を用いることができる。
【0033】
同様に、複数の第2LED素子120のそれぞれは、紫外光を放つSMD型の近紫外LED素子である。この場合、LEDチップとしては、通電されると紫外光を発する紫外LEDチップを用いて、容器に充填される封止部材としては、紫外光を透過し、かつ、紫外光により劣化しにくいガラス材料及びフッ素系樹脂などを用いることができる。さらに、容器に充填される封止部材としては、紫外光を透過する性質を有し、かつ、紫外光を吸収し難い性質又は紫外光を吸収しても劣化し難い性質を有するシリコーン樹脂などを用いてもよい。
【0034】
なお、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120そのものがLEDチップ(ベアチップ)であるLED素子であってもよい。この場合、基板150と複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120とは、LEDチップ(複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120)が基板150に直接実装されたCOB(Chip On Board)構造となる。
【0035】
さらにここで、複数の第1LED素子110と複数の第2LED素子120との配置について説明する。
【0036】
図2及び
図3が示すように、本実施の形態においては、誘虫光照射装置100は、12個の第2LED素子120を有し、12個の第2LED素子120は、3×4の行列状に配置されている。なお、基板150の上面151に配置された全ての第2LED素子120の個数が12個である。しかし、これに限られず、誘虫光照射装置100が有する第2LED素子120の数は、m個(m≧2、mは自然数)であればよい。つまり、基板150の上面151に配置された全ての第2LED素子120の個数がm個である。m個の第2LED素子120の配置は行列状に限られず、ランダム形状、リング形状及び線形状などでもよく、m個の第2LED素子120は上面151に平面充填された正多角形の頂点に相当する箇所に配置されてもよい。また、m個の第2LED素子120は、上記が組み合わされて配置されてもよい。
【0037】
また、基板150の平面視で、このように配置された複数の第2LED素子120の全てを囲うように複数の第2LED素子120に接する外接矩形の領域を、第1領域A1とする。なお、
図3においては、二点鎖線で囲まれた矩形が第1領域A1に相当する。本実施の形態においては、外接矩形とは、基板150の平面視で、全ての第2LED素子120を内包する(つまりは取り囲む)矩形であって、平面視での面積が最小となる四角形を意味する。また、
図3が示すように、外接矩形は、複数の第2LED素子120に接している。ここでは、3×4の行列状に配置された12個の第2LED素子120のうち、1行目と3行目と1列目と4列目とに配置された10個の第2LED素子120が、外接矩形と接している。なお、複数の第2LED素子120がj×kの行列状に配置された場合には(j≧1、k≧1、j及びkは自然数)、1行目とj行目と1列目とk列目とに配置された複数の第2LED素子120が、外接矩形と接する。
【0038】
また、基板150の上面151に配置された全ての第2LED素子120の個数がm個である場合には、第1領域A1とは、配置されたm個の第2LED素子120の全てを囲うように複数の第2LED素子120に接する外接矩形の領域を意味する。
【0039】
さらに、
図2及び
図3が示すように、本実施の形態においては、誘虫光照射装置100は、6個の第1LED素子110を有する。なお、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110の個数が6個である。
【0040】
6個の第1LED素子110は、上記の第1領域A1の外側である矩形の第2領域A2に配置されている。つまり、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110は、第2領域A2内に配置されている。なお、
図3においては、二点鎖線で囲まれた矩形が第2領域A2に相当する。第2領域A2は、基板150の平面視で、上面151内の領域であって、第1領域A1の外側の領域であればよく、矩形に限られない。
図3が示すように、ここでは2つの矩形の第2領域A2が設けられており、複数の第1LED素子110の一部は一方の第2領域A2に配置され、複数の第1LED素子110の他部は他方の第2領域A2に配置されている。より具体的には、6個の第1LED素子110のうち3個は一方の第2領域A2に配置され、残り3個は他方の第2領域A2に配置されている。3個の第1LED素子110は、直線形状に配置され、同様に残り3個の第1LED素子110も直線形状に配置されている。
【0041】
また、2つの第2領域A2は、平面視で、第1領域A1を挟むように位置している。このため、基板150の平面視で、複数の第2LED素子120は、一方の第2領域A2に配置された複数の第1LED素子110の一部、及び、他方の第2領域A2に配置された複数の第1LED素子110の他部によって挟まれるように配置されている。つまり、3個の第1LED素子110と残り3個の第1LED素子110とによって、12個の第2LED素子120は、挟まれるように配置されている。
【0042】
さらに、挟まれるように配置されている、について説明する。まず、一方の第2領域A2に配置された複数の第1LED素子110の一部のうち1つの第1LED素子110と、他方の第2領域A2に配置された複数の第1LED素子110の他部のうち1つの第1LED素子110とを、仮想的につなぐ直線を仮想直線とする。このとき、平面視で、この仮想直線と第1領域A1とが重なる場合に、複数の第2LED素子120は、複数の第1LED素子110の一部、及び、複数の第1LED素子110の他部によって挟まれるように配置されている、と言える。
【0043】
複数の第2LED素子120が上記のように挟まれるように配置されているため、誘虫光照射装置100が照射する誘虫光L1は、青色光と紫外光とが均一に複合された光となり易い。よって、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0044】
しかし、上記に限られず、第1LED素子110は以下のように構成されてもよい。誘虫光照射装置100が有する第1LED素子110の数は、n個(n≧1、nは自然数)であればよい。さらに、n個の第1LED素子110は、第2領域A2に配置されていればよい。なお、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110の個数がn個である。つまり、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110は、第2領域A2に配置されている。換言すると、基板150の上面151に配置された全ての第1LED素子110は、第1領域A1に配置されることはない。
【0045】
また、上記では、6個の第1LED素子110が2つの第2領域A2に分けて配置されたが、これに限られず、n個の第1LED素子110は、1つの第2領域A2に配置されてもよく、3つ以上の第2領域A2に分けて配置されてもよい。n個の第1LED素子110の配置は上記に限られず、ランダム形状、リング形状及び線形状などでもよく、n個の第1LED素子110は上面151に平面充填された正多角形の頂点に相当する箇所に配置されてもよい。また、n個の第1LED素子110は、上記が組み合わされて配置されてもよい。
【0046】
このように、本実施の形態においては、基板150の上面151は、第1領域A1と2つの第2領域A2とに区画されている。このため、複数の第1LED素子110と複数の第2LED素子120とは、間隔をあけて配置されることとなる。
【0047】
さらに、
図3が示すように、第1領域A1と複数の第1LED素子110のそれぞれとは接さず、第1領域A1と複数の第1LED素子110のそれぞれとの距離D1は、所定の距離である。なお距離D1は、基板150の平面視で、第1領域A1と複数の第1LED素子110のそれぞれとが最近接する箇所での距離である。所定の距離は、例えば、5mm以上60mm以下であるとよく、10mm以上50mm以下であるとよりよく、20mm以上40mm以下であるとさらによい。
【0048】
なお、基板150の上面151に配置される全ての第1LED素子110のそれぞれと第1領域A1との間に距離D1が設けられている。また、1つの第1LED素子110と第1領域A1との間の距離D1と、他の1つの第1LED素子110と第1領域A1との間の距離D1とは異なる値であってもよい。このように、距離D1が設けられる場合には、第1領域A1に配置される複数の第2LED素子120のそれぞれと、第2領域A2に配置される複数の第1LED素子110のそれぞれとは、距離D1以上を空けて配置される。
【0049】
以上のように、基板150の平面視で、複数の第1LED素子110の全ては、複数の第2LED素子120の全てを囲うように複数の第2LED素子120に接する外接矩形の領域である第1領域A1の外側の領域である2つの第2領域A2に配置される。このため、複数の第1LED素子110は、紫外光を放つ複数の第2LED素子120とは、間隔をあけて配置されている。
【0050】
よって、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100においては、複数の第2LED素子120が放つ紫外光は、複数の第1LED素子110に到達し難い。このため、この紫外光によって、複数の第1LED素子110が劣化することが抑制される。ここで、複数の第1LED素子110が劣化するとは、封止部材である透明樹脂が黄変する、この透明樹脂がパッケージから剥離する、又は、この透明樹脂に割れが発生する、などの問題を意味する。このため、例えば、黄変が抑制されるため、青色光が透明樹脂に吸収されることによる複数の第1LED素子110の発光特性の低下などの問題が発生し難い。つまりは、このような青色光を含む誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置100では、発光特性の低下などの問題が発生しにくい。
【0051】
本実施の形態においては、以上のように、紫外光による複数の第1LED素子110の劣化を抑制することができ、つまりは、紫外光による劣化を抑制することができる誘虫光照射装置100が実現される。
【0052】
より具体的には、例えば、第1領域A1と複数の第1LED素子110のそれぞれとの距離D1は所定の距離であり、上記範囲である。距離D1が大きいほど、複数の第2LED素子120が放つ紫外光は、複数の第1LED素子110により到達し難い。また、距離D1が小さいほど、誘虫光照射装置100が照射する誘虫光L1は、青色光と紫外光とが均一に複合された光となり易い。
【0053】
つまりは、距離D1は所定の距離であり、上記範囲であることで、紫外光による劣化をより抑制することができ、かつ、より多くの虫Pを誘引することができる誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置100が実現される。
【0054】
また、このような複数の第1LED素子110から放たれた可視光は、拡散レンズ111に到達する。
【0055】
複数の拡散レンズ111は、それぞれ複数の第1LED素子110の上方(つまり、z軸正側)に配置される光学部品である。つまり、1つの拡散レンズ111と、1つの第1LED素子110とは、1対1で対応するように配置されている。
【0056】
複数の拡散レンズ111は、複数の第1LED素子110が放つ可視光(ここでは青色光)を拡散する。つまりは、この可視光は、複数の拡散レンズ111を介して、より広角に放たれる。複数の拡散レンズ111のそれぞれの形状は、複数の第1LED素子110が放つ可視光(ここでは青色光)を拡散することができればどのような形状であってもよい。
図3及び
図4には、複数の拡散レンズ111のそれぞれの形状の一例が示されている。
図4は、
図3のIV-IV線における誘虫光照射装置100の切断面を示す断面図である。
図3及び
図4が示すように、複数の拡散レンズ111のそれぞれの形状は、平凸レンズ形状であり、より具体的には、所謂半球レンズ形状である。つまり、複数の拡散レンズ111と大気との界面で、可視光の屈折が起こるため、上記の通り可視光がより広角に放たれる。なお、複数の拡散レンズ111のそれぞれの形状は上記に限られず、例えば、両凸レンズであってもよい。
【0057】
図4では、複数の拡散レンズ111のそれぞれは、複数の第1LED素子110のそれぞれと直接接して配置されているが、これに限られない。例えば、複数の拡散レンズ111のそれぞれと、複数の第1LED素子110のそれぞれとの間には、接着層が設けられてもよい。
【0058】
また、例えば、複数の拡散レンズ111のそれぞれと複数の第1LED素子110のそれぞれとの間には空気層が設けられてもよい。つまり、複数の拡散レンズ111のそれぞれと複数の第1LED素子110のそれぞれとは接していなくてもよい。この場合には、基板150の上面151に複数の拡散レンズ111を支持する支持部材が設けられ、複数の拡散レンズ111のそれぞれは、この支持部材に接して配置されるとよい。
【0059】
このように、複数の第1LED素子110のそれぞれの上方に、複数の拡散レンズ111のそれぞれが配置されることで、複数の拡散レンズ111から放たれた可視光(青色光)は、拡散されて放たれる。つまりは、青色光を含む誘虫光L1は、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0060】
さらに、複数の拡散レンズ111のそれぞれは、複数の第1LED素子110が放つ可視光の波長領域における光透過率が、複数の第2LED素子120が放つ紫外光の波長領域における光透過率よりも高い材料によって構成されている。
【0061】
例えば、複数の拡散レンズ111のそれぞれの可視光の波長領域における光透過率は、高いとよく、具体的には、50%以上であるとよく、70%以上であるとよりよく、80%以上であるとさらによく、90%以上であるとさらによりよい。なお、本実施の形態においては、複数の第1LED素子110は、可視光として青色光を放つ。このため、複数の拡散レンズ111のそれぞれの青色光の波長領域における光透過率は、高いとよく、具体的には、50%以上であるとよく、70%以上であるとよりよく、80%以上であるとさらによく、90%以上であるとさらによりよい。
【0062】
また例えば、複数の拡散レンズ111のそれぞれの紫外光の波長領域における光透過率は、低いとよく、具体的には、50%未満であるとよく、30%未満であるとよりよく、20%未満であるとさらによく、10%未満であるとさらによりよい。
【0063】
複数の拡散レンズ111のそれぞれを構成する材料は、例えば透明樹脂であり、ここでは、アクリル樹脂である。また、このような透明樹脂として、ポリカーボネート樹脂などが用いられてもよい。これらの材料が用いられた場合には、複数の拡散レンズ111は、青色光を透過し、紫外光を吸収する。なお、この複数の拡散レンズ111が紫外光を吸収することで、複数の拡散レンズ111のそれぞれの紫外光の波長領域における光透過率は、上記の通りとなる。
【0064】
このように、複数の拡散レンズ111のそれぞれは、可視光の波長領域における光透過率が、紫外光の波長領域における光透過率よりも高い材料によって構成されている。つまりは、複数の拡散レンズ111のそれぞれの、可視光の波長領域における光透過率は高く、紫外光の波長領域における光透過率は低い。
【0065】
可視光の波長領域における光透過率が高いことで、例えば、可視光が、複数の拡散レンズ111に吸収又は反射されることが抑制される。つまり、複数の第1LED素子110が放つ可視光の光ロスが抑制される。従って、このような可視光を含む誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置100の発光効率を高めることができる。
【0066】
また、紫外光の波長領域における光透過率が低いことで、より具体的には、紫外光が吸収されることで、複数の第1LED素子110に紫外光がさらに到達し難くなる。よって、紫外光による複数の第1LED素子110の劣化をより抑制することができ、つまりは、紫外光による劣化をより抑制することができる誘虫光照射装置100が実現される。この場合、紫外光は、複数の第2LED素子120が放つ紫外光に限られず、太陽光が含む紫外光も該当する。
【0067】
基板150は、上面151と、上面151に形成された配線パターンとを有する基板であって、一例として、矩形のプリント配線基板であるがこれに限られない。つまり、本実施の形態に係る誘虫光照射装置100は、配線パターンを有している。上面151には、複数の第1LED素子110と、複数の第2LED素子120と、2つの遮蔽部材130と、2つの接続ユニット140とが配置されている。
【0068】
また、本実施の形態においては、誘虫光照射装置100が有する基板150の数は、1個である。ここで、比較例に係る誘虫光照射装置について検討する。比較例に係る誘虫光照射装置は、2個の基板と、一方の基板に配置され可視光を放つ第1LED素子と、他方の基板に配置され紫外光を放つ第2LED素子とを有する。本実施の形態に係る誘虫光照射装置100は、比較例に係る誘虫光照射装置と比べ、1つの基板150を有していればよいため、誘虫光照射装置100のコンパクト化などが容易である。また、基板150の数が1個であることで、部品点数が減りコストの削減が可能、及び、製造作業の工数の削減が可能などのメリットが生じる。
【0069】
また、上面151における可視光及び紫外光の波長範囲の反射率は、低いとよく、具体的には、30%以下であるとよく、20%以下であるとよりよく、10%以下であるとさらによい。
【0070】
ここでは、上面151における可視光及び紫外光の波長範囲の反射率は10%以下であり、例えば、上面151の色は黒色である。よって基板150は、所謂黒色基板である。上面151がこのように構成されていることで、複数の第1LED素子110から放たれた可視光、及び、複数の第2LED素子120から放たれた紫外光が上面151に到達すると、吸収される。これにより、放たれた可視光及び紫外光が上面151によって反射されることが抑制され、つまりは、誘虫光照射装置100における迷光を抑制することができる。
【0071】
配線パターンは、複数の第1LED素子110のそれぞれ及び複数の第2LED素子120のそれぞれに電力を供給するための配線である。つまり、配線パターンと、複数の第1LED素子110のそれぞれ及び複数の第2LED素子120のそれぞれとは、電気的に接続されている。
【0072】
また、配線パターンは、2つの接続ユニット140と電気的に接続されている。
【0073】
2つの接続ユニット140のそれぞれは、コネクタ141と2つのリード線142とを含む。
【0074】
コネクタ141は、2つのリード線142と基板150の配線パターンとを接続する樹脂製の電子部品である。コネクタ141は、上面151に配置され、配線パターンと電気的に接続されている。また、コネクタ141は、リード線142と電気的に接続されている。
【0075】
リード線142は、低抵抗な金属配線と、この金属配線を覆う樹脂被膜とによって構成されている。金属配線は、一例として、アルミニウム、チタン、銀、モリブデン、タングステン、銅及びクロムなどの金属材料によって構成されている。樹脂被膜は、例えば、塩化ビニルなどの樹脂によって構成されている。リード線142の一端はコネクタ141と、リード線142の他端は電源と、接続されている。つまり、電源によって電力供給が行われることで、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120が可視光及び紫外光を放つ。
【0076】
本実施の形態においては、2つの接続ユニット140は、第2領域A2に配置されている。なお、
図3が示すように、リード線142の一部が、第2領域A2に配置されていればよい。つまり、2つの接続ユニット140は、複数の第1LED素子110と同じく、紫外光を放つ複数の第2LED素子120とは、間隔をあけて配置されている。よって、複数の第2LED素子120が放つ紫外光は、2つの接続ユニット140に到達し難い。このため、この紫外光によって、コネクタ141及びリード線142が劣化することが抑制される。より具体的には、樹脂製のコネクタ141自身、及び、リード線142を構成する樹脂被膜が、劣化することが抑制される。
【0077】
ここで、コネクタ141が劣化するとはコネクタ141に割れが発生することなどを意味し、樹脂被膜が劣化するとはリード線142を構成する金属配線から樹脂被膜が剥離することなどを意味する。つまり、コネクタ141及びリード線142が劣化した場合には、電源から複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120への電力供給が適切に行われず、誘虫光照射装置100から誘虫光L1が照射されないなどの問題が発生する。しかし、誘虫光照射装置100では、紫外光によってコネクタ141及びリード線142が劣化することが抑制されるため、このような問題が発生しにくい。
【0078】
本実施の形態においては、以上のように、紫外光による2つの接続ユニット140の劣化を抑制することができ、つまりは、紫外光による劣化を抑制することができる誘虫光照射装置100が実現される。
【0079】
筐体160は、金属製のケースである。具体的には、筐体160は、アルミニウム、銀、金、鉄及び銅のうち1以上の金属によって構成されるとよく、ここでは、筐体160は、アルミニウムによって構成される。なお、筐体160は、樹脂製のケースであってもよい。
【0080】
筐体160の内部空間は、複数の第1LED素子110と、複数の拡散レンズ111と、複数の第2LED素子120と、2つの遮蔽部材130と、2つの接続ユニット140と、基板150とを収納する閉塞空間である。従って、これらの構成要素は、筐体160によって保護されている。
【0081】
続いて、カバー部材170について説明する。
【0082】
図4が示すように、カバー部材170は、複数の第1LED素子110及び複数の第2LED素子120の上方に配置され、板形状を有する部材である。また、カバー部材170は、筐体160に取り付けられる。また、カバー部材170の形状は、板形状を有していればよく、ここでは、平板形状であるが、これに限られず、湾曲形状又はドーム型であってもよい。また、カバー部材170は、紫外光及び可視光(ここでは、青色光)を透過する部材である。
【0083】
ここで、カバー部材170についてより詳細に説明する。カバー部材170は、カバー部材本体部171と、散乱層172とを含む。
【0084】
カバー部材本体部171は、光透過性を有する部材であり、より具体的には、少なくとも紫外光及び(ここでは、青色光)を透過する部材である。カバー部材本体部171の紫外光及び青色光の波長範囲における光透過率は、50%以上であるとよく、70%以上であるとよりよく、80%以上であるとさらによく、90%以上であるとさらによりよい。このため、カバー部材本体部171に到達した紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、カバー部材本体部171を透過し、誘虫光照射装置100の外部の空間へと放たれる。
【0085】
カバー部材本体部171は、紫外光及び青色光を透過させる材料によって構成されており、ここでは、ホウケイ酸ガラスによって構成されている。なお、カバー部材本体部171は、紫外光及び青色光を透過させる材料であれば上記に限られず、ソーダガラス又は石英ガラスなどによって構成されていてもよい。カバー部材本体部171がこのように構成されることで、カバー部材170は、紫外光及び可視光(ここでは、青色光)を透過する。
【0086】
また、散乱層172は、可視光(ここでは青色光)及び紫外光を散乱させる層である。散乱層172は、カバー部材本体部171の下方(つまりz軸負側)に配置される。より具体的には、散乱層172は、カバー部材本体部171の下面全体に形成されている。
【0087】
ここでは、散乱層172は、例えば、上記のカバー部材本体部171を構成するホウケイ酸ガラスがケミカルエッチング処理又はサンドブラスト処理されることで形成される微細凹凸構造である。
【0088】
なお、散乱層172はこれに限られない。例えば、この散乱層172は、例えば、紫外光及び青色光を散乱させる微粒子(例えば、シリカ微粒子など)が母材に分散された散乱膜であってもよい。また、カバー部材本体部171そのものが、紫外光及び青色光を散乱させる微粒子が分散されたホウケイ酸ガラスなどを用いて成形されてもよい。
【0089】
カバー部材170が散乱層172を含むことで、青色光及び紫外光が散乱される。このため、カバー部材170に到達した紫外光及び青色光を含む誘虫光L1は、散乱光となって、誘虫光照射装置100の外部の空間へと放たれる。つまりは、青色光及び紫外光を含む誘虫光L1は、より広い範囲に向けて誘虫光照射装置100から出射される。これにより、誘虫光照射装置100が出射する誘虫光L1は、より多くの虫Pを誘引することができる。
【0090】
また、散乱層172がカバー部材本体部171の下方に配置されることで、散乱層172が誘虫光照射装置100の外部の空間に露出されない。つまり、散乱層172は、カバー部材本体部171によって保護されている。このため、例えば、誘虫光照射装置100に飛来した鳥などによって、散乱層172が破壊されることが防がれる。
【0091】
さらに、遮蔽部材130について説明する。
【0092】
遮蔽部材130は、複数の第2LED素子120が放つ紫外光を遮蔽する部材であって、上面151に配置されている。遮蔽部材130は、紫外光を吸収又は反射することで、紫外光を遮蔽する。遮蔽部材130が紫外光を吸収する場合は、遮蔽部材130の紫外光の波長範囲の吸収率は、高いとよく、具体的には、70%以上であるとよく、80%以上であるとよりよく、90%以上であるとさらによい。また、遮蔽部材130が紫外光を反射する場合は、遮蔽部材130の紫外光の波長範囲の反射率は、高いとよく、具体的には、70%以上であるとよく、80%以上であるとよりよく、90%以上であるとさらによい。
【0093】
ここでは、遮蔽部材130は、紫外光を吸収する部材であり、例えば、紫外光を吸収する樹脂製の長尺形状の平板部材によって構成されている。より具体的には、遮蔽部材130は、アクリル樹脂によって構成されているが、これに限られず、ポリカーボネート樹脂が用いられてもよい。
【0094】
また、本実施の形態においては、
図2及び
図3が示すように、誘虫光照射装置100は、2つの遮蔽部材130を備えている。2つの遮蔽部材130のそれぞれは、第1領域A1と2つの第2領域A2のそれぞれとの間に配置されている。より具体的には、本実施の形態においては、平面視で、1つの遮蔽部材130は第1領域A1と1つの第2領域A2との間に、他の1つの遮蔽部材130は第1領域A1と他の1つの第2領域A2との間に、配置されている。
【0095】
さらに、
図3及び
図4が示すように、2つの遮蔽部材130のそれぞれの形状は、y軸に沿って延びるように長尺である。ここでは、平面視で、遮蔽部材130の一端が矩形の基板150の一辺まで延び、かつ、遮蔽部材130の他端が当該一辺と対向する一辺まで延びている。なお、基板150の一辺とはx軸と平行でy軸正側の一辺であり、当該一辺と対向する一辺とはx軸と平行でy軸負側の一辺である。
【0096】
このように、紫外光を遮蔽する遮蔽部材130が設けられることで、複数の第2LED素子120が放つ紫外光は、複数の第1LED素子110により到達し難くなる。よって、紫外光による複数の第1LED素子110の劣化をより抑制することができる。
【0097】
さらに、
図4が示すように、1つの遮蔽部材130は、上面151及びカバー部材170に接合されている。なお、他の1つの遮蔽部材130も同様である。
【0098】
より具体的には、2つの遮蔽部材130のそれぞれは、上面151及び散乱層172に接合されている。ここでは、2つの遮蔽部材130のそれぞれと上面151とは、直接接合されている。つまりは、2つの遮蔽部材130のそれぞれと上面151とは、接している。同様に、2つの遮蔽部材130のそれぞれと散乱層172とは、直接接合されている。つまりは、2つの遮蔽部材130のそれぞれと散乱層172とは、接している。
【0099】
なお、2つの遮蔽部材130のそれぞれと上面151との間、及び、2つの遮蔽部材130のそれぞれと散乱層172との間には、接着層(不図示)が設けられてもよい。この場合、2つの遮蔽部材130のそれぞれは、上面151及び散乱層172に、接着層を介して接合されている。
【0100】
このように、2つの遮蔽部材130のそれぞれが上面151及びカバー部材170に接合されることで、2つの遮蔽部材130のそれぞれと上面151との間には、隙間が無く、同様に、2つの遮蔽部材130のそれぞれと散乱層172との間には、隙間が無い。このため、複数の第2LED素子120が放つ紫外光が、2つの遮蔽部材130の上方又は下方を経路として、複数の第1LED素子110に到達することが抑制される。つまりは、複数の第2LED素子120が放つ紫外光は、複数の第1LED素子110により到達し難くなる。よって、紫外光による複数の第1LED素子110の劣化をより抑制することができる。
【0101】
2つの取付部180は、筐体160と第1架台101とを接続するための部材である。なお、2つの取付部180は、一対の部材であり、筐体160を挟むように配置されている。2つの取付部180のそれぞれは、金属製又は樹脂製の、平板形状を有する部材である。
【0102】
また、筐体160は、2つの取付部180と回動可能に接続されている。例えば、
図1には筐体160の回転方向R1が矢印で示されており、
図2におけるx軸と平行な回動軸を中心に、筐体160は、回動される。なお、2つの取付部180と第1架台101とは、固定されているとよい。筐体160が回転方向R1に回転されることで、誘虫光L1の照射方向が制御される。
【0103】
以上のように構成された誘虫光照射装置100が上記の照明システム1に適用されることができる。また、誘虫光照射装置100は、照明システム1に適用されるだけでなく、例えば、誘虫光照射装置100単独で商業施設又は公共施設などの施設の出入り口に配置されてもよい。この場合においても、誘虫光照射装置100が放つ誘虫光L1によって、虫Pを誘虫光照射装置100の周囲に誘引し続け、つまりは、虫Pを誘虫光照射装置100に留めておくことができる。さらに、紫外光による劣化を抑制することができる誘虫光照射装置100は発光特性が低下するなどの問題が発生し難く、したがって、信頼性の高い誘虫光照射装置100として利用される。
【0104】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る誘虫光照射装置について、
図5及び
図6を用いて説明する。
図5は、本実施の形態に係る誘虫光照射装置が備える基板150の平面図である。
図6は、
図5のVI-VI線における誘虫光照射装置の切断面を示す断面図である。
【0105】
本実施の形態に係る誘虫光照射装置は、主に、以下の2点を除いては、実施の形態1に係る誘虫光照射装置100と同じ構成を有する。
【0106】
具体的に2点とは、遮蔽部材130aの形状が実施の形態1に係る遮蔽部材130の形状と異なる点、及び、本実施の形態に係る誘虫光照射装置が透光窓131aを有する点である。なお、
図5が示すように、本実施の形態においては、2つの接続ユニット140は、第2領域A2に配置されていなくてもよい。
【0107】
遮蔽部材130aは、実施の形態1に係る遮蔽部材130と同じく、第1領域A1と第2領域A2との間に配置され、紫外光を遮蔽する部材である。さらに、遮蔽部材130aの形状は、平面視で矩形であって、第2領域A2を囲む枠体形状である。また、
図6が示すように、遮蔽部材130aは、上面151から立設して配置されている。遮蔽部材130aの形状は、平面視で矩形に限られず、第2領域A2を囲む形状であればよい。よって、遮蔽部材130aの内側には、複数の第1LED素子110が配置されている。換言すると、本実施の形態に係る遮蔽部材130aは、矩形である第2領域A2の周囲を覆う隔壁として用いられている。
【0108】
透光窓131aは、遮蔽部材130aの上方に配置された、可視光を透過する光透過性を有する部材である。なお、ここでは、可視光は、複数の第1LED素子110が放つa青色光である。ここでは、透光窓131aの形状は、平板形状である。なお、より具体的には、透光窓131aは、複数の拡散レンズ111と同じく、可視光の波長領域における光透過率が、紫外光の波長領域における光透過率よりも高い材料によって構成されているとよい。
【0109】
つまり、透光窓131aは、可視光の波長領域における光透過率が高く、かつ、紫外光の波長領域における光透過率が低い。
【0110】
可視光の波長領域における光透過率が高いことで、例えば、可視光が、透光窓131aに吸収されることが抑制される。つまり、複数の第1LED素子110が放つ可視光の光ロスが抑制される。従って、このような可視光を含む誘虫光L1を照射する誘虫光照射装置の発光効率を高めることができる。
【0111】
また、紫外光の波長領域における光透過率が低いことで、複数の第1LED素子110に紫外光がさらに到達し難くなる。よって、紫外光による複数の第1LED素子110の劣化をより抑制することができ、つまりは、紫外光による劣化をより抑制することができる誘虫光照射装置が実現される。
【0112】
また、
図5が示すように、本実施の形態においては、誘虫光照射装置は、2つの遮蔽部材130aと、2つの透光窓131aとを有している。また、実施の形態1と同じく、本実施の形態においても、2つの第2領域A2が設けられている。
【0113】
遮蔽部材130aと透光窓131aとが上記のように構成されることで、1つの第2領域A2に配置される複数(ここでは3個)の第1LED素子110は、上面151と、1つの遮蔽部材130aと、1つの透光窓131aとによって、隙間なく覆われる。また、他の1つの第2領域A2に配置される複数(ここでは3個)の第1LED素子110においても同様である。つまり、全ての第1LED素子110が、上面151と、2つの遮蔽部材130aと、2つの透光窓131aとによって隙間なく覆われる。
【0114】
これにより、複数の第1LED素子110に紫外光がさらに到達し難くなる。よって、紫外光による複数の第1LED素子110の劣化をより抑制することができ、つまりは、紫外光による劣化をより抑制することができる誘虫光照射装置が実現される。
【0115】
なお、遮蔽部材130aの形状と透光窓131aの形状とは、上記に限られない。つまり、遮蔽部材130aの形状と透光窓131aの形状とは、1つの第2領域A2に配置される複数の第1LED素子110を隙間なく覆うことができれば、どのような形状であってもよい。また、上面151と、1つの遮蔽部材130aと、1つの透光窓131aとによって、複数の第2領域A2に配置される複数の第1LED素子110を覆うことができてもよい。
【0116】
さらに、遮蔽部材130aと透光窓131aとは別の構成要素として説明されたが、これに限られず、遮蔽部材130aと透光窓131aとは一体成形された構成要素であってもよい。
【0117】
(その他の実施の形態)
以上、各実施の形態について説明したが、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0118】
なお、上記実施形態では、外接矩形は1つに定まるが、これに限られない。面積が最小となる外接矩形が複数存在する場合には、この複数の外接矩形のうちいずれの外接矩形においても、上記の位置関係が満たされるように配置される。
【0119】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0120】
100 誘虫光照射装置
110 第1LED素子
111 拡散レンズ
120 第2LED素子
130、130a 遮蔽部材
131a 透光窓
141 コネクタ
142 リード線
150 基板
151 上面
170 カバー部材
171 カバー部材本体部
172 散乱層
A1 第1領域
A2 第2領域